以下、本発明に係る旋回式建設機械の実施の形態を、ミニショベルと呼ばれる後方小旋回式の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図15は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は旋回式建設機械としての油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより大略構成されている。
ここで、油圧ショベル1の下部走行体2は、後述のセンタフレーム14およびサイドフレーム23,24等からなるトラックフレーム13を備え、サイドフレーム23,24の長さ方向一側にはアイドラとしての遊動輪4が設けられている。
サイドフレーム23,24の長さ方向他側には、走行用の油圧モータ(図示せず)等により駆動されるスプロケットとしての駆動輪5が設けられ、該駆動輪5と遊動輪4との間には、サイドフレーム23,24の長さ方向に延びて左,右の履帯(クローラ)6(図1中に一方のみ図示)が巻装されている。
下部走行体2は、油圧モータで履帯6を駆動することにより作業現場等を走行し、例えば山岳地、泥濘地等の不整地でも安定して走行できるものである。また、下部走行体2の前部側には、土砂等の排土作業、地均し作業等を行う排土板7が左,右の支持アーム7A(図1中に一方のみ図示)を介して上,下に回動可能に設けられている。
一方、油圧ショベル1の上部旋回体3は、トラックフレーム13上に後述の旋回装置26を介して設けられた旋回フレーム8と、該旋回フレーム8上に設けられた運転席9、外装カバー10およびキャノピー11等とにより構成されている。
上部旋回体3の外装カバー10は、旋回フレーム8上でエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)等を収容する機械室を画成している。また、上部旋回体3の旋回フレーム8には、その前部側にスイングポスト式の作業装置12が設けられ、該作業装置12は、土砂の掘削作業等を行うものである。
13は下部走行体2を構成するトラックフレームで、該トラックフレーム13は、図2および図3等に示すように、後述のセンタフレーム14と、該センタフレーム14の左,右両側に位置する左,右のサイドフレーム23,24と、これらのサイドフレーム23,24をセンタフレーム14に連結する左,右の脚部25等とにより構成されている。
14はトラックフレーム13の中央部に位置するセンタフレームで、該センタフレーム14は、図3ないし図10等に示す如く、平板状の素材に折曲げ加工を施すことにより縦断面形状が略L字状に形成された下板部15と、該下板部15の上側に位置して該下板部15と連結される上板部16と、該上板部16と下板部15とを後端側で互いに連結する後板部17とにより大略構成されている。
即ち、センタフレーム14は、図3ないし図10等に示す如く鋼板等からなる下板部15、上板部16および後板部17を溶接手段を用いて接合することにより扁平な箱状体として形成されている。そして、センタフレーム14の下板部15と上板部16との間には、図3等に示すように後述の脚部25が左,右両側から嵌合して固着されている。
この場合、センタフレーム14の下板部15には、前端側に上向きに折曲げられ後板部17と同様の高さ寸法をもった前側立上げ部15Aが一体形成され、該前側立上げ部15Aの上端が上板部16の前側下面に接合されている。また、後板部17は、図5に示す如く上板部16と下板部15の後端側を覆うように配置され、その上,下方向両端が上板部16,下板部15の後端側に溶接(接合)されている。
18,19はセンタフレーム14に上,下方向に貫通して設けられた上,下の貫通孔で、このうちの上貫通孔18は、センタフレーム14の上板部16の中央部に設けられ、下貫通孔19は、センタフレーム14の下板部15の中央部に上貫通孔18と上,下方向に対向して設けられている。ここで、上,下の貫通孔18,19は、何れも後述のセンタジョイント33よりも大きい孔径を有しており、これにより、該センタジョイント33を上,下の貫通孔18,19内で上,下方向に通過できるように構成している。より具体的には、図4および図7に示すように、上貫通孔18の孔径Aと下貫通孔19の孔径Bは、センタジョイント33の下端側に設けられた後述のフランジ板44の長さ寸法Cよりも大きくしている。
20はセンタフレーム14の上板部16に上貫通孔18を取囲んで設けられた円形の旋回装置取付部(丸胴)で、該旋回装置取付部20は、上板部16の上面から上方に突出する状態で該上板部16の上面側に一体成形され、多数のねじ穴20Aが周方向に離間して設けられている。そして、これらのねじ穴20Aには、図13ないし図15等に示す如く後述する旋回装置26の内輪28を旋回装置取付部20上に固定するための各ボルト27が螺着され、これにより、センタフレーム14上に旋回装置26を介して上部旋回体3を載置する構成となっている。
21はセンタフレーム14の前面側中央部に設けられた取付ブラケットで、該取付ブラケット21は、センタフレーム14の前面側中央部に溶接手段を用いて接合され、センタフレーム14から前側に向けて突出している。そして、取付ブラケット14には、図1に示す排土板7を上,下に昇降させる油圧シリンダ(図示せず)が回動可能に連結されるものである。
22は取付ブラケット21の左,右両側に位置してセンタフレーム14の前端側に設けられた一対の支持ブラケットで、該各支持ブラケット22は、取付ブラケット21とほぼ同様に溶接手段を用いて接合され、センタフレーム14から前側へと斜め下向きに突出している。そして、各支持ブラケット22には、図1に示す排土板7が先端側に取付けられた左,右の支持アーム7Aの基端側がそれぞれ回動可能に連結されるものである。
23,24はトラックフレーム13の一部をなす左,右のサイドフレームで、該各サイドフレーム23,24は、図2および図3等に示すようにセンタフレーム14の左,右両側に後述の脚部25を介して設けられ、前,後方向に延びて配設されている。そして、各サイドフレーム23,24の長さ方向一側(前端側)には遊動輪4が設けられ、長さ方向他側(後端側)には駆動輪5が設けられ、これら遊動輪4と駆動輪5との間には履帯6がサイドフレーム23,24の長さ方向に延びて巻装されている。
25は左,右のサイドフレーム23,24をセンタフレーム14に連結する脚部で、該各脚部25は、例えば鋳造、鋳鋼等の手段を用いて図2に示す如く二又形状をなす中空脚体として形成されている。そして、各脚部25は、センタフレーム14と各サイドフレーム23,24との間を左,右方向に延び、その一側(基端)はセンタフレーム14に溶接により接合されている。また、前,後に二又状をなして延びる脚部25の他側(先端側)は、斜め下向きに傾斜した状態で各サイドフレーム23,24に溶接により接合されている。
次に、26はセンタフレーム14の旋回装置取付部20と上部旋回体3の旋回フレーム8との間に設けられた旋回装置で、該旋回装置26は、図13ないし図15等に示す如く旋回装置取付部20の上面にボルト27等を用いて固着された内輪28と、旋回フレーム8の下面に他のボルト29等を用いて固着された外輪30と、内輪28と外輪30との間に配設された複数の転動体としての鋼球31(2個のみ図示)とにより構成され、旋回フレーム8を旋回装置取付部20上で旋回可能に支持するものである。
旋回装置26には内輪28の内周側に内歯歯車32が全周にわたって形成され、この内歯歯車32には、旋回フレーム8上に設けた旋回用減速機のピニオン(図示せず)が噛合している。そして、旋回装置26は、ピニオンが内歯歯車32の周囲を公転するときの公転力が旋回用減速機側に伝えられると、外輪30が旋回フレーム8を伴って内輪28の周囲を回転し、これにより上部旋回体3は下部走行体2に対し低速、高トルクで旋回駆動されるものである。
33は下部走行体2と上部旋回体3との間で圧油が流通するのを許すセンタジョイントで、該センタジョイント33は、旋回装置取付部20(旋回装置26)の旋回中心側に位置してセンタフレーム14に設けられている。ここで、センタジョイント33は、筒形ボディ34とスピンドル35とからなり、該スピンドル35と筒形ボディ34とは、図5等に示す如く旋回装置取付部20(旋回装置26)の中心軸O−O上に位置して互いに相対回転可能に連結されている。
スピンドル35は、筒形ボディ34内に回転可能に挿嵌され、止め輪(図示せず)等を用いて筒形ボディ34内に抜止め状態で取付けられている。また、筒形ボディ34の下部側には、後述のフランジ板44がボルト45を用いて取付けられている。
筒形ボディ34とスピンドル35との間には、上、下に離間して複数の環状流路が形成され、これらの環状流路は、筒形ボディ34の径方向に形成した複数の下側接続口36と個別に連通している。そして、これらの下側接続口36には、下部走行体2側の油圧配管(図示せず)がそれぞれ個別に接続されるものである。
一方、スピンドル35には、各環状流路と個別に連通する複数の給排流路(図示せず)が例えば上,下方向に延びて形成され、スピンドル35の上部側には、これらの給排流路と個別に連通する複数の上側接続口37が設けられている。そして、これらの上側接続口37には、上部旋回体3側の油圧配管(図示せず)がそれぞれ個別に接続されるものである。
これにより、上部旋回体3側の油圧配管は、センタジョイント33の各上側接続口37、各給排流路、各環状流路および各下側接続口36を介して下部走行体2側の各油圧配管と個別に接続され、例えば油圧ポンプからの圧油が走行用の油圧モータ等に上部旋回体3の旋回動作時にも、センタジョイント33を通じて給排されるものである。
センタジョイント33のスピンドル35には、図5等に示す如く径方向外向きに突出したストッパ部38が設けられ、該ストッパ部38は、図14等に示す如く後述の廻止め部材51に係合される。これにより、センタジョイント33のスピンドル35は、上部旋回体3の旋回フレーム8に廻止めされ、旋回動作時には筒形ボディ34内で旋回フレーム8と一体に回転するものである。
次に、39はセンタジョイント33をセンタフレーム14に対して着脱可能に取付けるセンタジョイント取付具を示している。ここで、センタジョイント取付具39は、後述する一対の取付シート40と、一対の取付フランジ43と、一対の中間ブラケット46と、4本の第1ボルト47と、4本の第2ボルト48とにより大略構成されている。
40はセンタフレーム14の下板部15に設けられた一対の取付シートで、該各取付シート40は、下板部15の上面側のうち該下板部15の下貫通孔19を挟んで互いに対向する位置に設けられている。ここで、各取付シート40は、基板41Aと一対の側板41Bとにより横断面形状がコ字状の枠体として形成された取付脚部41と、該取付脚部41の上側に位置して上面に後述の中間ブラケット46が配置される(着脱可能に取付けられる)取付板部42とにより大略構成されている。
取付脚部41の上端縁は、取付板部42の下面に溶接手段を用いて接合され、取付脚部41の下端縁は、センタフレーム14の下板部15の上面側に溶接手段を用いて接合されている。この場合に、取付脚部41は横断面形状をコ字状としているので、取付板部42およびセンタフレーム14の下板部15に対する溶接長さを大きく確保でき、これらとの接合強度を向上することができる。
取付シート40をセンタフレーム14の下板部15に接合した状態で、取付板部42の一部および取付脚部41の側板41Bの一部は、下貫通孔19の周縁よりも旋回中心側(中心軸O−O側)に張出している。そして、取付板部42のうち下貫通孔19の周縁よりも旋回中心側に張出した部分を張出し部42Aとし、該張出し部42Aには、後述の取付フランジ43を上,下方向に通過可能なフランジ通過部42Bが設けられている。また、取付板部42の張出し部42Aのうちフランジ通過部42Bから外れた両端側には、後述する第2ボルト48が上側から螺合される一対のねじ孔42Cが穿設されている。
ここで、フランジ通過部42Bは、矩形状(凹状)に切欠かれた切欠きとして取付板部42に形成され、図6に示すように、フランジ通過部42Bの幅寸法Dは、取付フランジ43の幅寸法Eよりも大きくしている。これにより、センタジョイント33がセンタジョイント取付具39によりセンタフレーム14に取付けられているときは、フランジ通過部42B内に取付フランジ43の先端側が入り込んだ状態で、取付板部42と取付フランジ43とが後述の中間ブラケット46を介して接続される構成となっている。
43はセンタジョイント33に設けられた一対の取付フランジで、該各取付フランジ43は、センタジョイント33から各取付シート40に向けて半径方向の外側に延びるように設けられている。このために、センタジョイント33の下側には、板状のフランジ板44がボルト45を用いて取付けられており、該フランジ板44の長さ方向両端側をそれぞれ取付フランジ43としている。
即ち、フランジ板44は、センタジョイント33の筒形ボディ34に取付けられる取付板部44Aと、該取付板部44Aの両端側から上方に向けて折れ曲がった傾斜板部44Bと、該傾斜板部44Bの端部から水平方向に延びる水平板部44Cとにより構成されている。そして、フランジ板44をボルト45を用いてセンタジョイント33の下側に取付けた状態で、フランジ板44のうちのセンタジョイント33よりも径方向外側に突出する部位を、それぞれ取付フランジ43としている。
ここで、各取付フランジ43には、後述の第1ボルト47が下側から挿通される一対の挿通孔43Aが設けられている。そして、各挿通孔43Aは、各取付フランジ43を各取付シート40のフランジ通過部42B内に配置した状態で、該各取付シート40の張出し部42Aに設けられた各ねじ孔42Cに対して直列に並ぶように、各取付フランジ43の先端側に穿設されている。
46は各取付シート40と各取付フランジ43との上側に配置された一対の中間ブラケットで、該各中間ブラケット46は、各取付シート40と各取付フランジ43との間を接続するものである。ここで、各中間ブラケット46は、略矩形の板体として形成され、図6に示すように、その長さ寸法Fは、取付シート40を構成する取付板部42の幅寸法Gよりも小さく、かつ、取付板部42のフランジ通過部42Bの幅寸法Dよりも大きくしている。
各中間ブラケット46には、挿通孔46Aおよびねじ孔46Bが長さ方向に直列に並んで設けられている。即ち、各中間ブラケット46の長さ方向両端側のうち取付シート40を構成する取付板部42の各ねじ孔42Cと対応する部位には、後述の第2ボルト48が上側から挿通される挿通孔46Aが穿設されている。また、各中間ブラケット46の長さ方向中央部のうち取付フランジ43の挿通孔43Aに対応する部位には、後述の第1ボルト47が下側から螺合されるねじ孔46Bが穿設されている。
各中間ブラケット46は、第1ボルト47および第2ボルト48を用いて各取付フランジ43と各取付シート40とに取付けられる構成となっている。この場合に、各中間ブラケット46は、各取付フランジ43と各取付シート40との間にそれぞれ設けられているので、例えば貫通孔を跨いで1個の中間ブラケットが配置される従来技術に比べ、各中間ブラケット46を小型、簡素に構成することができる。
47は各中間ブラケット46とセンタジョイント33の各取付フランジ43との間に設けられた第1の締結具としての一対の第1ボルトで、該各第1ボルト47は、各中間ブラケット46の長さ方向中央部を各取付フランジ43に下側から締結するものである。即ち、各第1ボルト47は、取付フランジ43の上側に中間ブラケット46を配置した状態で、取付フランジ43の下側から該取付フランジ43の挿通孔43Aに挿通され、中間ブラケット46のねじ孔46Bに螺合されることにより、中間ブラケット46と取付フランジ43とを締結するものである。従って、各取付フランジ43に対し各中間ブラケット46を取付ける作業および取外す作業は、各取付フランジ43の下側から各第1ボルト47を着脱することにより行うことができる。
48は各中間ブラケット46とセンタフレーム14の各取付シート40との間に設けられた第2の締結具としての一対の第2ボルトで、該各第2ボルト48は、各中間ブラケット46の長さ方向両端部を各取付シート40に上側から締結するものである。即ち、各第2ボルト48は、取付シート40の上側に中間ブラケット46を配置した状態で、中間ブラケット46の上側から該中間ブラケット46の挿通孔46Aに挿通され、取付シート40のねじ孔42Cに螺合されることにより、中間ブラケット46と取付シート40とを締結するものである。従って、各取付シート40に対し各中間ブラケット46を取付ける作業および取外す作業は、各中間ブラケット40の上側から各第2ボルト48を着脱することにより行うことができる。
次に、49はセンタフレーム14の上板部16のうち旋回装置取付部20の内側に取付けられたグリースバスで、該グリースバス49は、図13ないし図15に示すように、旋回装置26の内輪28に形成した内歯歯車32の下側に配置され、ボルト50を用いてセンタフレーム14に固定されている。そして、グリースバス49は、内部にグリース等の潤滑油(図示せず)を収容し、この潤滑油を内輪28の内歯歯車32と前記ピニオンとの噛合部等に供給するものである。
51はセンタジョイント33のスピンドル35を上部旋回体3の旋回フレーム8に対して廻止め状態に保持する廻止め部材で、該廻止め部材51は、図13ないし図15に示す如く旋回フレーム8にボルト52等を用いて固定され、その先端側はスピンドル35に設けられたストッパ部38に廻止め状態で係合している。そして、廻止め部材51は、旋回装置26の中心軸O−O上でセンタジョイント33が上,下方向(軸方向)に移動するのを許し、センタジョイント33のスピンドル35側がストッパ部38を介して旋回フレーム8と一体に回転させるものである。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走した後、例えば上部旋回体3を旋回させつつ作業装置12を俯仰動させることにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。また、排土板7を接地させた状態で油圧ショベル1を走行させることにより、地面に積上げられた土砂を排土板7によって走行方向へと押出すように排土することができ、作業現場での整地作業、土砂の埋戻し作業等を行うことができる。
次に、油圧ショベル1の組立作業について説明する。トラックフレーム13のセンタフレーム14を組立てるときには、図4ないし図10に示す如く鋼板等からなる下板部15、上板部16および後板部17を溶接手段を用いて接合する。なお、図11および図12中では、上板部16を省略した状態でセンタフレーム14を示している。
このように形成されたセンタフレーム14に対し、図3に示す如く左,右のサイドフレーム23,24を左,右の脚部25,25を介して溶接手段等により接合し、トラックフレーム13を組立てる。なお、図4、図7ないし図9中では、サイドフレーム23,24と脚部25とを省略した状態でセンタフレーム14を示している。
このようなトラックフレーム13に対してセンタジョイント33を組付けるときには、図13に示すように、センタジョイント33の各取付フランジ43に各中間ブラケット46を取付けた状態で、これら各中間ブラケット46をセンタフレーム14の各取付シート40に上側から取付ける。
即ち、油圧ショベル1を新車として組立てる工場では、まず、各中間ブラケット46をセンタジョイント33の各取付フランジ43の上側に第1ボルト47を用いて取付ける。このとき、第1ボルト47は各取付フランジ43の下側から締結する。
そして、このように各中間ブラケット46が取付けられたセンタジョイント33を、図13に示すように、センタフレーム14の下板部15に向けて上方から下ろし、各中間ブラケット46の長さ方向両端側を各取付シート40の取付板部42に載置する。このとき、各取付フランジ43は、各取付板部42のフランジ通過部42B内に入り込み、各取付板部42と各取付フランジ43とが同一平面上に位置する。
この状態で、各中間ブラケット46を各取付板部42の上側に第2ボルト48を用いて取付ける。このとき、第2ボルト48は各中間ブラケット46の上側から締結する。これにより、センタジョイント33は、センタフレーム14に対し上方から取付けることができる。
このようにセンタジョイント33をセンタフレーム14に取付けたならば、図13に示すように、センタフレーム14の上板部16の上面側にグリースバス49をボルト50を用いて取付ける。続いて、センタフレーム14の旋回装置取付部20に旋回装置26(の内輪28)をボルト27を用いて取付ける。そして、旋回装置26(の外輪30)に旋回フレーム8をボルト29を用いて取付ける。これにより、上部旋回体3の旋回フレーム8が、センタフレーム14の旋回装置取付部20に旋回装置26を介して旋回可能に組付けられる。
次に、新車組立後に行うセンタジョイント33の取外作業について説明する。このようなセンタジョイント33の取外作業は、例えば長時間にわたる稼働等によってセンタジョイント33の保守点検、交換作業等が必要になった場合に行われる。
この場合は、図15に示すように、第1ボルト47を取外す(締結を解除する)ことにより、センタジョイント33の各取付フランジ43を各中間ブラケット46から取外す。このとき、第1ボルト47の取外しは、トラックフレーム13を構成するセンタフレーム14の下側から行うことができる。そして、各中間ブラケット46から取外されたセンタジョイント33は、下板部15の下貫通孔19を通じてセンタフレーム14の下方に取出し、必要な保守点検、交換作業等を行うことができる。
このようにセンタジョイント33をセンタフレーム14から取外した後、各取付シート40から各中間ブラケット46を取外す場合には、センタジョイント33が取外された下貫通孔19を通じて第2ボルト48を取外し(締結を解除し)、各中間ブラケット46を各取付シート40の取付板部42から取外す。このとき、下貫通孔19に対して各中間ブラケット46は十分に小さいため、これら各中間ブラケット46の取外し作業は容易に行うことができる。
センタフレーム14から取外された各中間ブラケット46およびセンタジョイント33は、センタフレーム14から取外したときとは逆の手順で、センタフレーム14の下側から下貫通孔19を通じて取付けることができる。即ち、センタフレーム14の下貫通孔19を通じて各取付シート40に各中間ブラケット46を第2ボルト48を用いて締結する。
次いで、センタフレーム14の下側からセンタジョイント33を下貫通孔19に挿通し、センタジョイント33の各取付フランジ43を各取付シート40のフランジ通過部42B内に進入させる。そして、各取付フランジ43の上面を各中間ブラケット46の長さ方向中央部の下面に当接させた状態で、各取付フランジ43の下側から第1ボルト47を締結する。
以上のように、本実施の形態によれば、油圧ショベル1を新車として組み立てるときは、センタジョイント33をセンタフレーム14に上側から取付けることができ、新車組立時の作業性を良好にできる。一方、新車組立後、センタジョイント33の保守点検、交換作業等を行うときは、センタジョイント33をセンタフレーム14の下側から脱着することができる。このため、上部旋回体3を下部走行体2から取外すことなくセンタジョイント33の保守点検、交換作業等を行うことができ、これら点検、交換等の作業の容易化を図ることができる。
しかも、本実施の形態によれば、センタジョイント33の各取付フランジ43とセンタフレーム14の各取付シート40とを一対の中間ブラケット46により接続する構成としているので、例えば貫通孔を跨いで1個の中間ブラケットが配置される従来技術に比べ、各中間ブラケット46を小型、簡素に構成することができる。このため、各中間ブラケット46の加工作業性、取付作業性を向上することができ、新車組立時における生産性の向上を図ることができる。
また、各中間ブラケット46を小型に構成できるので、例えば上部旋回体3側から落ちてきた土砂等が各中間ブラケット46に溜まりにくくなる。また、各中間ブラケット46を小型に構成できるため、運転時における各中間ブラケット46の振動を低減することもできる。これにより、例えば第1ボルト47や第2ボルト48を緩みにくくすることができ、油圧ショベル1の信頼性を向上することができる。
さらに、各中間ブラケット46を上,下の貫通孔18,19に対して十分に小さくすることができるため、各中間ブラケット46の交換を行う場合に、これら各中間ブラケット46が第2ボルト48の取外し作業の邪魔になることを低減することもできる。また、センタジョイント33の下貫通孔19内で各中間ブラケット46を容易に通過させることもでき、センタフレーム14から各中間ブラケット46を脱着する作業を容易に行うことができる。
本実施の形態によれば、下貫通孔19が設けられた下板部15と上貫通孔18が設けられた上板部16とによりセンタフレーム14を構成すると共に、下板部15の上面側に下貫通孔19を挟んで各取付シート40を設ける構成としているので、上板部16の上貫通孔18と下板部15の下貫通孔19とを通じてセンタジョイント33を、センタフレーム14の上,下方向に通過させることができる。
本実施の形態によれば、取付シート40を横断面形状がコ字状の枠体として形成される取付脚部41と該取付脚部41の上側に位置して上面に中間ブラケット46が取付けられる取付板部42とにより構成しているので、例えばブロック体により取付シートを構成する場合に比べ、取付シート40を軽量に構成することができる。しかも、取付脚部41と取付板部42およびセンタフレーム14の下板部15との間の溶接長さを大きく確保でき、これらの部材41,42,15の接合強度を向上することができる。
さらに、本実施の形態によれば、取付板部42の張出し部42Aにセンタジョイント33の取付フランジ43を上,下方向に通過可能なフランジ通過部42Bを設ける構成としているので、取付フランジ43をフランジ通過部42Bに進入させ、取付フランジ43と取付板部42とを同一平面上に近接して配置した状態で、各取付フランジ43と各取付シート40とを各中間ブラケット46により接続することができる。これにより、各取付フランジ43と各取付シート40との間を接続する各中間ブラケット46の更なる小型化を図ることができる。
次に、図16は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、取付シートの取付脚部と取付板部とを鋳造手段を用いて一体に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61はセンタフレーム14の下板部15に設けられた一対の取付シートで、該各取付シート61は、基板62Aと一対の側板62Bとにより横断面形状が略コ字状の枠体として形成された取付脚部62と、該取付脚部62の上側に位置して上面に中間ブラケット46が着脱可能に取付けられ張出し部63A、フランジ通過部63B、ねじ孔63Cを有する取付板部63とにより大略構成されている。そして、本実施の形態の場合には、取付脚部62および取付板部63を鋳造手段を用いて一体に形成している。
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如き取付シート61を用いてセンタジョイント33をセンタフレーム14に取付けるもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
然るに、本実施の形態によれば、取付脚部62および取付板部63を鋳造手段を用いて一体に形成する構成としているので、取付シート61の形成作業を容易化でき、製造コストを低減することができる。
なお、上述した各実施の形態では、フランジ通過部42B,63Bを矩形状の切欠きとして形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、フランジ通過部を半円形状、三角形状等の切欠きとして形成し、これに合わせて、取付フランジの先端側の形状も半円形状、三角形状等に形成してもよい。即ち、フランジ通過部は、上,下方向に取付フランジを通過できるように、取付フランジの先端側の形状に倣った形状に形成することができる。
上述した各実施の形態では、センタジョイント33の下端側に取付けられたフランジ板44の長さ方向両端側を取付フランジ43とすることにより、一対の取付フランジ43を一部材により構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、一対の取付フランジをそれぞれ別部材により構成してもよい。
上述した各実施の形態では、センタジョイント33の筒形ボディ34をセンタフレーム14側に取付ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば特許文献1に記載の如く、センタジョイントのスピンドルをセンタフレーム側に取付ける構成としてもよい。
上述した各実施の形態では、センタフレーム14の下板部15に取付シート40,61を取付ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばセンタフレームの上板部に取付シートを取付ける構成としてもよい。
上述した各実施の形態では、上部旋回体3の旋回フレーム8上に運転席9を上方から覆うキャノピー11を設ける形式の油圧ショベルを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回フレーム上に運転室を画成するキャブを備えた油圧ショベルに適用してもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、旋回フレーム8の前部にスイングポスト式の作業装置12を設けた後方小旋回式の油圧ショベルを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばオフセットブーム式の作業装置を備えた小旋回式の油圧ショベル、標準機と呼ばれる中型の油圧ショベル等、種々の形式の油圧ショベルにも適用できる。さらに、油圧クレーン等の他の旋回式建設機械にも適用できる。