以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、ホイール式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図14は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのホイール式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回軸受3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置5とにより大略構成されている。そして、ホイール式の油圧ショベル1は、ホイール式の下部走行体2によって公道等を走行し、作業現場において作業装置5を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
ここで、下部走行体2は、骨組み構造をなすトラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aに設けられ、油圧モータ(図示せず)によって駆動される前,後と左,右の車輪2Bとにより構成されている。また、トラックフレーム2Aの中央位置には、大径な円筒状の支持筒2Cが設けられ、この支持筒2Cには、後述する旋回軸受3の内輪6が取付けられている。そして、下部走行体2は、エンジン、モータ等の原動機によって各車輪2Bを駆動することにより、公道、作業現場等を走行することができる。
旋回軸受3は、下部走行体2の支持筒2C上に設けられ、後述する旋回フレーム10の底板11に設けられた駆動源となる旋回モータ(図示せず)によって水平方向で回転駆動されるものである。この旋回軸受3は、図2に示すように、下部走行体2の支持筒2C上に取付けられた円環状の内輪6と、該内輪6の外周側に同軸に設けられた円環状の外輪7と、前記内輪6の外周側に設けた軌道6Aと外輪7の内周側に設けた軌道7Aとの間で両者を回転(旋回)自在に支持する転動体としての多数個の鋼球8(2個のみ図示)とにより構成されている。
また、旋回軸受3は、重量物である上部旋回体4と作業装置5の全重量を支持し、かつ作業装置5によって掘削作業等を行ったときの掘削反力(負荷)等を受止めるものであるから、下部走行体2と上部旋回体4に対して高い強度をもって取付けられている。
内輪6は、例えば四角形状の断面をもって円環状に形成され、その内周側には、前述した旋回モータの駆動歯車が噛合する内歯歯車6Bが形成されている。そして、内輪6は、周方向に列設された多数本のボルト9(2本のみ図示)を用いて下部走行体2の支持筒2Cの上部に一体的に取付けられている。
外輪7は、例えば四角形状の断面をもって内輪6よりも一回り大きな円環状に形成され、その全周に亘って上,下方向に貫通して多数個のボルト挿通孔7B(2個のみ図示)が設けられている。各ボルト挿通孔7Bには、外輪7を旋回フレーム10の底板11に取付けるときに用いられる後述のボルト18が挿通される。
また、各ボルト挿通孔7Bは、底板11に対して外輪7を高い強度で取付けることができるように、外輪7の周方向に短い間隔で配設されている。このようにボルト挿通孔7Bを周方向に短い間隔で配設した場合には、一部のボルト挿通孔7Bは、旋回フレーム10の左,右の縦板12,13の下側に配置されることになる。しかし、右縦板13には、後述の切欠き部15を形成しているから、ボルト挿通孔7Bは、右縦板13を避けることなく、取付強度を高めるのに有効な位置に自由に配置することができる。
次に、本発明の特徴部分である旋回フレーム10を備えた上部旋回体4の構成について述べる。即ち、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム10、キャブ19、貯油タンク20、カウンタウエイト21等により構成されている。
10は上部旋回体4の旋回フレームである。この旋回フレーム10は、図3に示す如く、左,右方向の中央に位置するセンタフレーム10Aと、該センタフレーム10Aの左側に位置して後述のキャブ19等を支持するキャブフレーム10Bと、前記センタフレーム10Aの右側に位置して後述の貯油タンク20等を支持するタンクフレーム10Cとを備えている。また、センタフレーム10Aは、後述の底板11、左縦板12、右縦板13、前板14、切欠き部15、補強ブロック17により大略構成されている。
11はセンタフレーム10Aのベースとなる底板で、該底板11は、前,後方向に水平に延びる厚肉な鋼板により形成されている。底板11は、その上面11A側に後述の左縦板12と右縦板13とが取付けられ、下面11B側に旋回軸受3の外輪7が取付けられている。また、底板11には、図2に示すように、旋回軸受3の外輪7に形成した各ボルト挿通孔7Bに対応する位置に多数個の雌ねじ孔11Cが上,下方向に貫通して形成されている。即ち、多数個の雌ねじ孔11Cは、図3に示すように、円環状に並ぶように配置され、この円の直径寸法は、左,右の縦板12,13の間隔寸法よりも大きくなっている。
従って、多数個のボルト挿通孔7Bを取付強度を高めるのに有効な位置に配置しようとした場合、多数個のボルト挿通孔7Bの中には、左,右の縦板12,13に対向する位置に配置されるものがある。しかし、各縦板12,13に設けられる後述の切欠き部15によってボルト18との干渉を避けることにより、雌ねじ孔11Cを理想的な位置に設けることができる。
なお、切欠き部15は、左縦板12と右縦板13の両方または一方に設けられるもので、底板11に形成された多数個の雌ねじ孔11Cのうち各縦板12,13と対向する位置に雌ねじ孔11Cがある場合、その雌ねじ孔11Cに対向する位置に設けられる。そこで、第1の実施の形態では、切欠き部15を右縦板13に設けた場合を例に挙げて説明するものとする。
12は底板11の左寄りに位置して該底板11の上面11Aに立設された左縦板である。また、13は左縦板12の右側に所定の間隔をもって底板11の上面11Aに立設された右縦板である。この左縦板12と右縦板13とは、前,後方向にほぼ平行に延び、それぞれの前側の上側位置は、作業装置5を俯仰動可能に取付けるための作業装置取付部12A,13Aとなっている。また、各縦板12,13の後端部には後述のカウンタウエイト21が取付けられている。さらに、左,右の縦板12,13間には、底板11上に各縦板12,13を立上げ状態に保持する前板14が立設されている。各縦板12,13は、図6、図12に示すように、底板11の上面11Aに対して隅肉溶接等の溶接手段により一体的に固着される。この溶接作業では、後述の補強ブロック17を含め、例えば溶接ロボット等を用いて自動的に溶接することができる。
ここで、左縦板12と右縦板13とは、図3に示すように、各雌ねじ孔11Cが並べられた円を仮想円Cとすると、この仮想円Cの上側を通って前,後方向に延びるように設けられている。これにより、各縦板12,13は、底板11に円形状に並んだ多数個の雌ねじ孔11Cの上側を前,後方向に延びて設けられているから、例えば右縦板13の下面側13Bに対向して配置される雌ねじ孔11Cも存在する。この場合、右縦板13には、前記雌ねじ孔11Cに螺合するボルト18を避けるために後述の切欠き部15を設ける構成としている。
15は右縦板13に設けられた例えば2個の切欠き部を示している(図5参照)。この2個の切欠き部15は、底板11に固着される右縦板13の下面側13Bに位置して、右縦板13が外輪7を跨ぐ位置、即ち、図6、図7に示すように、底板11の雌ねじ孔11Cに対向する位置に設けられている。切欠き部15は、後述するボルト18の先端側に形成された雄ねじ部18Aの直径寸法よりも大きな幅寸法(前,後方向寸法)をもった略コ字状の切欠として形成されている。そして、図10に示すように、右縦板13の下面側13Bを底板11の上面11Aに当接させたときには、切欠き部15と底板11の上面11Aとの間に後述の補強ブロック17が挿入される空間部16を形成することができる。
ここで、各切欠き部15は、右縦板13の下面側13Bに対向して雌ねじ孔11Cを設けた場合に、該雌ねじ孔11Cから上側に突出するボルト18の先端部が右縦板13に衝突するのを防止するものである。これにより、雌ねじ孔11Cは、高い取付強度が得られる位置に自由に配置することができる。
17は切欠き部15と底板11の上面11Aとの間の空間部16に挿入される第1の実施の形態による補強ブロックを示している。この補強ブロック17は、空間部16を埋めることで、底板11と右縦板13との取付強度を高める補強部材を構成するものである。補強ブロック17は、図8、図9に示すように、四角形状の上面部17A、下面部17Bおよび4面の側面部17Cにより上,下方向に扁平な直方体として形成され、前,後方向の幅寸法は、空間部16(切欠き部15)よりも僅かに小さな寸法に設定されている。また、補強ブロック17の四隅には面取り部17Dが形成されている。これにより、補強ブロック17は、図11に示すように、空間部16に容易に挿入することができる。
一方、補強ブロック17の左,右方向の幅寸法Wは、図14に示すように、右縦板13の左,右方向の板厚寸法Tよりも大きな寸法に設定されている。従って、補強ブロック17は、後述するボルト収容穴17Eの直径寸法を大きく形成できるから、右縦板13の板厚寸法Tに関係なく、大きな締結力をもった太いボルト18を用いることができ、底板11に対する外輪7の取付強度を高めることができる。しかも、右縦板13と補強ブロック17との間に段差を形成できるから、前述した底板11に右縦板13を溶接する溶接ロボットによる自動溶接作業の一部として、隅肉溶接で容易に溶接することができる。
さらに、補強ブロック17には、下側に開口する円柱状の空間からなるボルト収容穴17Eが形成されている。このボルト収容穴17Eは、ボルト18の雄ねじ部18Aを底板11の雌ねじ孔11Cに下側から螺合したときに、該底板11の上面11Aから上側に突出する前記雄ねじ部18Aの先端部を収容するものである。このボルト収容穴17Eにより、ボルト18の先端部は、底板11の上面11Aから上側に突出させることができ、錆の発生を抑えることができる。また、右縦板13の下側に位置する雌ねじ孔11Cに螺合するボルト18と、その他の雌ねじ孔11Cに螺合するボルト18とに、同じ長さ寸法をもった共通のボルトを用いることができる。
18は旋回軸受3の外輪7に旋回フレーム10の底板11を取付けるための多数本のボルトで、該各ボルト18は、外輪7のボルト挿通孔7Bに下側から挿入し、その先端側の雄ねじ部18Aを底板11の雌ねじ孔11Cに螺合することにより、外輪7に底板11を取付けるものである。ここで、各ボルト18の長さ寸法は、図7に示すように、外輪7と底板11を合わせた上,下方向寸法よりも少し長く設定されている。
また、補強ブロック17の左,右方向の幅寸法Wを、右縦板13の左,右方向の板厚寸法Tよりも大きな寸法に設定し、ボルト収容穴17Eの直径寸法を大きく形成したことにより、各ボルト18としては、外輪7に底板11を強固に固定するのに十分な締結力をもった太い雄ねじ部18Aをもったボルトを用いることができる。
次に、底板11と右縦板13と補強ブロック17とを組立てるときの作業手順の一例と、ボルト18を用いて旋回軸受3の外輪7に旋回フレーム10の底板11を取付けるときの組立作業について、図7、図10〜図14を参照しつつ説明する。
まず、図10に示すように、底板11の上面11Aに右縦板13の下面側13Bを当接させる。これにより、切欠き部15と底板11の上面11Aとの間に空間部16を形成する。この状態で、図11に示すように、空間部16に補強ブロック17を挿入する。このときに、補強ブロック17は、水平状態の底板11上に載置しているから、手で支えなくても所定の位置に配置することができる。
そして、空間部16に補強ブロック17を挿入したら、図12に示すように、溶接ロボット等を用いて底板11と右縦板13との間、補強ブロック17と底板11、右縦板13との間を連続した動作で自動的に溶接する。また、底板11と右縦板13と補強ブロック17とを一体的に溶接したら、図13、図14に示すように、底板11に下穴をあけて雌ねじを切ることで雌ねじ孔11Cを形成する。これにより、底板11と右縦板13と補強ブロック17とを組立てることができる。ここで、雌ねじ孔11Cは、底板11に対して左縦板12と右縦板13を溶接した後に該底板11に形成する作業手順に限らず、各縦板12,13を溶接する前の底板11単体の段階で形成する構成としてもよい。
次に、旋回軸受3の外輪7に旋回フレーム10の底板11を取付ける場合には、図7に示すように、ボルト18を外輪7の各ボルト挿通孔7Bに下側から挿入し、ボルト18の雄ねじ部18Aを底板11の雌ねじ孔11Cに螺合することにより、外輪7上に底板11を取付けることができる。
なお、19は旋回フレーム10を構成するキャブフレーム10Bの前側に搭載されたキャブで、該キャブ19は、オペレータが搭乗する居住空間を形成するものである。また、20はタンクフレーム10Cに搭載された貯油タンクで、該貯油タンク20は、燃料、作動油等を貯えるものである。さらに、21はセンタフレーム10Aの後部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト21は、作業装置5との重量バランスをとるものである。
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ19に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバー(いずれも図示せず)を操作することにより、下部走行体2の車輪2Bを駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、旋回軸受3によって上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5を俯仰動させたりして土砂の掘削作業等を行うことができる。
かくして、第1の実施の形態によれば、旋回フレーム10を構成する右縦板13の下面側13Bには、底板11に設けた各雌ねじ孔11Cに対向する位置に下側に開口した切欠き部15を設ける構成としている。従って、右縦板13の真下に雌ねじ孔11Cを設けた場合でも、切欠き部15は、雌ねじ孔11Cから上側に突出するボルト18の先端部が右縦板13に衝突するのを防止することができる。
ここで、各縦板12,13には、作業装置5が掘削作業等を行ったときの掘削反力等が大きな荷重となって作用する。この荷重は、比較的に脆弱な溶接部分、特に、溶接部位を切欠いて形成した切欠き部15に集中することが考えられる。
これに対し、切欠き部15内には、該切欠き部15と底板11の上面11Aとの間に形成される空間部16を埋めるように補強ブロック17を設け、該補強ブロック17を溶接手段を用いて底板11と右縦板13とに固着する構成としている。これにより、大きな荷重が切欠き部15に集中するのを防止することができる。
この結果、各雌ねじ孔11Cは、各縦板12,13を避けて底板11にを設ける必要がなくなるから、高い取付強度が得られる位置に雌ねじ孔11Cを自由に配置することができる。この上で、切欠き部15には補強ブロック17を設けているから、底板11に対する右縦板13の取付(溶接)強度を高めることができる。これにより、旋回フレーム10に対する旋回軸受3の位置が限定されることがある機種、例えばホイール式の油圧ショベル、小型の油圧ショベル、小旋回型の油圧ショベル等においても、設計時の自由度や取付強度を高めることができ、機能性、耐久性、信頼性等を向上することができる。
また、切欠き部15と底板11との間の空間部16には、補強ブロック17を1個だけ挿入すればよいから、部品点数を少なく抑えることができ、組立作業を容易に行なうことができる。さらに、空間部16に設けた補強ブロック17は、底板11上に置くことができ、溶接するときに手で支える必要がないから、溶接ロボット等を用いて底板11に右縦板13を溶接する溶接作業の一部として自動で溶接することができ、旋回フレーム10を製造するときの作業効率を向上させることができる。
また、補強ブロック17には、下向きに開口するボルト収容穴17Eを設けているから、ボルト18の先端部を底板11の上面よりも上側に突出させることができる。これにより、溶接部分の隙間から水分が浸入することがあっても、水分が溜まらないようにして錆の発生を抑えることができる。また、右縦板13の下側に位置する雌ねじ孔11Cに螺合するボルト18と、その他の雌ねじ孔11Cに螺合するボルト18とは、同じ長さ寸法をもった共通のボルトとすることができるから、誤組付けを防止して組立作業性を向上することができる。
さらに、補強ブロック17の左,右方向の幅寸法Wを右縦板13の左,右方向の板厚寸法Tよりも大きな寸法に設定しているから、右縦板13の板厚寸法Tに関係なく、雄ねじ部18Aが太いボルト18を用いることができ、底板11に対する外輪7の取付強度を高めることができる。また、広幅な補強ブロック17は、右縦板13との間に段差を形成できるから、底板11に右縦板13を溶接するときの隅肉溶接を、そのまま補強ブロック17と底板11、右縦板13との間にも施すことができ、溶接作業を容易に行うことができる。
次に、図15ないし図18は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、底板と補強ブロックとに亘って雌ねじを形成する構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図15において、31は切欠き部15(空間部16)内に設けられた第2の実施の形態による補強ブロックを示している。この補強ブロック31は、図16、図17に示すように、前述した第1の実施の形態による補強ブロック17とほぼ同様に、四角形状の上面部31A、下面部31Bおよび4面の側面部31Cにより上,下方向に扁平な直方体として形成され、四隅には面取り部31Dが形成されている。しかし、第2の実施の形態による補強ブロック31は、図18に示すように、底板11の雌ねじ孔11Cと一緒に後述の雌ねじ穴32が形成されている点で、第1の実施の形態による補強ブロック17と相違している。
即ち、32は補強ブロック31に設けられた雌ねじ穴である。この雌ねじ穴32は、下側に開口した有底のねじ穴として形成されている。雌ねじ穴32は、補強ブロック31を底板11、右縦板13に溶接した状態で、底板11に雌ねじ孔11Cを形成するときに、この雌ねじ孔11Cと一緒に(連続して)形成されるものである。即ち、雌ねじ孔11Cと雌ねじ穴32とは、1つの雌ねじとして形成され、両方にボルト18の雄ねじ部18Aを螺合することができる。これにより、雌ねじ穴32は、雌ねじとしてボルト18の雄ねじ部18Aに螺合する機能と、雄ねじ部18Aの先端部を収容するボルト収容穴としての機能とを備えている。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、雌ねじ穴32は、底板11に雌ねじ孔11Cを形成するときに一緒に形成できるから、加工工数を削減して製造効率を高めることができる。また、雌ねじ穴32にも、ボルト18の雄ねじ部18Aを螺合できるから、該雄ねじ部18Aの螺合範囲を長くして取付強度を高めることができる。
次に、図19および図20は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、補強ブロックに上,下方向に貫通したボルト収容穴を設ける構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図19、図20において、41は切欠き部15(空間部16)内に設けられる第3の実施の形態による補強ブロックを示している。この補強ブロック41は、前述した第1の実施の形態による補強ブロック17とほぼ同様に、四角形状の上面部41A、下面部41Bおよび4面の側面部41Cにより上,下方向に扁平な直方体として形成され、四隅には面取り部41Dが形成されている。しかし、第3の実施の形態による補強ブロック41は、上,下方向(上面部41Aから下面部41B)に貫通するようにボルト収容穴41Eが形成されている点で、第1の実施の形態による補強ブロック17と相違している。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態によれば、補強ブロック41の上面部41Aから下面部41Bに貫通してボルト収容穴41Eを設けているから、実質的に上面部41Aと下面部41Bの区別を無くすことができる。これにより、切欠き部15内に補強ブロック41を上,下を反転して組付けた場合でも、ボルト収容穴41Eは貫通しているからボルト18の先端部を収容することができる。この結果、補強ブロック41の誤組付けを防止でき、組立作業性を向上することができる。
なお、第1の実施の形態では、底板11の雌ねじ孔11Cを右縦板13の真下に配置し、右縦板13、雌ねじ孔11Cおよび補強ブロック17を上,下方向に一直線状に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図21に示す第1の変形例のように構成してもよい。即ち、右縦板13の下面側13Bに左,右方向でずれた位置で対面するように雌ねじ孔11Cを設ける構成としてもよい。この場合、補強ブロック17は、雌ねじ孔11Cに合わせて移動し、移動した位置で底板11と右縦板13に対し溶接手段を用いて固着すればよい。
また、例えば図22に示す第2の変形例のように構成してもよい。即ち、右縦板13の下面側13Bに左,右方向でずれて僅かに対面する位置に雌ねじ孔11Cを設ける構成としてもよい。この場合、切欠き部15内には、左,右方向に長尺な補強ブロック51を設け、この補強ブロック51を底板11と右縦板13に対し溶接手段を用いて固着すればよい。これらの変形例の構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
一方、第1の実施の形態では、補強ブロック17の左,右方向の幅寸法Wを、右縦板13の左,右方向の板厚寸法Tよりも大きな寸法に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、補強ブロック17の左,右方向の幅寸法Wを、右縦板13の左,右方向の板厚寸法Tと同等、または小さな寸法に設定してもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
また、第1の実施の形態では、右縦板13に切欠き部15を形成し、その内部に補強ブロック17を設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、左縦板12と対向する位置に雌ねじ孔11Cがある場合、その雌ねじ孔11Cに対向する位置に切欠き部を設け、この左縦板12の切欠き部に補強ブラケットを設ける構成としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
また、第1の実施の形態では、補強ブロック17を上,下方向に扁平な直方体として形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば補強ブロック17を角錐台、円柱、円錐台等の他の形状としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
また、各実施の形態では、底板11と、該底板11上に左,右方向に離間して前,後方向に平行に延びた左縦板12,右縦板13とを備えた旋回フレーム10を用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図23に示す第3の変形例による旋回フレーム61に切欠き部、補強ブラケット等を適用する構成としてもよい。この旋回フレーム61は、底板62と、該底板62上に前側に向け互いに接近するように略V字状に延びた左縦板63,右縦板64とを備えている。この変形例では、底板62に設けた多数個の雌ねじ孔62Aによる仮想円C′を通るように左縦板63と右縦板64とが配置されている。
さらに、各実施の形態では、建設機械として、ホイール式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばクローラ式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、旋回軸受を備えた油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。