JP2012067197A - チッピングプライマー及びバンパープライマー共用塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用することができ、かつ水系塗料として使用可能な組成物を提供する。
【解決手段】非塩素化ポリオレフィン樹脂74〜80PHR、メラミン樹脂10〜18PHR及びカーボネート系ウレタン樹脂5〜15PHRを含む水系のプライマー組成物であり、チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途に使用可能であり、自動車ボディーとバンパーを同一行程で塗装可能なプライマー組成物。
【選択図】なし
【解決手段】非塩素化ポリオレフィン樹脂74〜80PHR、メラミン樹脂10〜18PHR及びカーボネート系ウレタン樹脂5〜15PHRを含む水系のプライマー組成物であり、チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途に使用可能であり、自動車ボディーとバンパーを同一行程で塗装可能なプライマー組成物。
【選択図】なし
Description
本発明はプライマー塗料組成物、特にチッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用する塗料組成物、並びに当該組成物からなる塗膜に関する。
プライマーとは素地表面に塗装される塗膜構成要素の1つである。プライマーは素地表面の凹凸などの欠陥を隠して塗膜仕上がりを確保する効果、素地と塗膜との付着性を確保する効果、及び素地の発錆を抑制する効果などを有する。
プライマーの種類には自動車ボディーに耐チッピング性を付与するためのチッピングプライマーがある。ここで、チッピングとは自動車の走行時に跳ね上げられた石などによる衝突で塗膜が損傷を受ける現象である。チッピングは局部的に塗膜が破壊されることで塗装外観が著しく損なわれるだけでなく、金属素地まで到達する場合には金属の腐食が進行する。そのため、耐チッピング性は自動車用塗膜の重要な性能の1つである。
また、プライマーの種類には自動車バンパーと塗膜との間の付着性及び耐水性を高めるためのバンパープライマーがある。従来、自動車のバンパー素材としては低温衝撃性及び低線膨張性に優れたウレタン材料が使用されてきたが、コスト、生産性及びリサイクル性などに優れたポリプロピレン化の動きが急速に進み、現在ではポリプロピレンバンパーが多く使用されている。しかし、ポリプロピレンは無極性で素材の表面エネルギーが小さいため付着性が悪い。そのため、塗膜とバンパーとの間の付着性を高めることが求められる。また、自動車を高圧洗浄した場合にバンパーから塗膜が剥離するという問題が生じており、耐水性を付与することなども求められる。
チッピングプライマー及びバンパープライマーは共に主要樹脂成分としてポリオレフィン系樹脂を含有している。しかし、チッピングプライマーは耐チッピング性を付与することを目的としているのに対し、バンパープライマーは付着性、耐水性及び屈曲性を付与することを目的としているため、各プライマーに要求される機能は異なる。また、一般的にチッピングプライマーは溶剤系塗料であるのに対し、バンパープライマーは水系塗料であり、塗料のタイプも異なる。そのため、従来のプライマー塗料組成物をチッピングプライマー及びバンパープライマーとして共用することはできない。
例えば、特許文献1及び2は非塩素化ポリオレフィン樹脂を含み、付着性及び耐水性などを付与することができる水性プライマー塗料組成物を開示しているが、耐チッピング性については記載されていない。
自動車の塗装工程においては自動車ボディーをチッピングプライマーで塗装し、自動車バンパーをバンパープライマーで塗装するという別々の工程が必要とされている。しかし、チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用することが可能なプライマー塗料組成物を提供すれば、これらの塗装工程を1工程で行うことができる。
また、近年、環境意識の高まりから揮発性有機化合物(VOC)に対する関心が高まっており、溶剤系塗料から水系塗料への移行が必要とされている。しかし、ポリオレフィン系樹脂を含む従来の水系塗料でチッピングプライマーとしての機能を有するものは知られていない。これは、ポリオレフィン系樹脂を水中に分散させるために必用な界面活性剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂の含有量が相対的に減少してしまうからである。
従って、本発明はチッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用することができ、かつ水系塗料として使用可能な組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明者は鋭意検討した結果、非塩素化ポリオレフィン、メラミン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂を所定の割合で含有する組成物により前記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)非塩素化ポリオレフィン74〜80PHR、メラミン樹脂10〜18PHR及びカーボネート系ウレタン樹脂5〜15PHRを含む組成物。
(2)水系のプライマー塗料組成物である、(1)に記載の組成物。
(3)チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用される、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物からなる塗膜。
(5)厚さが8〜10μmである、(4)に記載の塗膜。
(1)非塩素化ポリオレフィン74〜80PHR、メラミン樹脂10〜18PHR及びカーボネート系ウレタン樹脂5〜15PHRを含む組成物。
(2)水系のプライマー塗料組成物である、(1)に記載の組成物。
(3)チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用される、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物からなる塗膜。
(5)厚さが8〜10μmである、(4)に記載の塗膜。
本発明によれば、チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用することができ、かつ水系塗料として使用可能な組成物を提供することが可能である。
樹脂成分
本発明の組成物は非塩素化ポリオレフィン、メラミン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂を含む。
本発明の組成物は非塩素化ポリオレフィン、メラミン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂を含む。
(1)非塩素化ポリオレフィン
本発明における非塩素化ポリオレフィンとは塩素を含まないポリオレフィンである。非塩素化ポリオレフィンとしては特に制限されず、公知の様々なものを使用することができる。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン及びデセンなどのC2-10オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びフマル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;スチレン;並びにアクリロニトリル;などからなる群から選択される1種又は2種以上から構成される重合体及び共重合体を使用することができる。共重合体にはランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体が含まれる。本発明において好ましく使用される非塩素化ポリオレフィンはエチレン、プロピレンなどのC2-10オレフィンからなる非塩素化ポリオレフィン、又はそれらとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などとのエステルである。
本発明における非塩素化ポリオレフィンとは塩素を含まないポリオレフィンである。非塩素化ポリオレフィンとしては特に制限されず、公知の様々なものを使用することができる。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン及びデセンなどのC2-10オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びフマル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;スチレン;並びにアクリロニトリル;などからなる群から選択される1種又は2種以上から構成される重合体及び共重合体を使用することができる。共重合体にはランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体が含まれる。本発明において好ましく使用される非塩素化ポリオレフィンはエチレン、プロピレンなどのC2-10オレフィンからなる非塩素化ポリオレフィン、又はそれらとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などとのエステルである。
本発明で使用する非塩素化ポリオレフィンの重量平均分子量は、特に制限されないが、通常5,000〜100万、好ましくは10,000〜50万、特に好ましくは15,000〜20万である。
本発明における非塩素化ポリオレフィンの重量平均分子量はポリスチレンを標準物質とするGPCにより測定される。
(2)メラミン樹脂
メラミン樹脂とはメラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られる樹脂及びその各種誘導体(例えば、メチルエーテル化メラミン樹脂、エチルエーテル化メラミン樹脂、プロピルエーテル化メラミン樹脂及びブチルエーテル化メラミン樹脂などのアルキルエーテル化メラミン樹脂;並びにメチル化メラミン樹脂、エチル化メラミン樹脂、プロピル化メラミン樹脂及びブチル化メラミン樹脂などのアルキル化メラミン樹脂など)である。本発明ではメチル及びブチルエーテル化メラミン樹脂が好ましく使用される。
メラミン樹脂とはメラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られる樹脂及びその各種誘導体(例えば、メチルエーテル化メラミン樹脂、エチルエーテル化メラミン樹脂、プロピルエーテル化メラミン樹脂及びブチルエーテル化メラミン樹脂などのアルキルエーテル化メラミン樹脂;並びにメチル化メラミン樹脂、エチル化メラミン樹脂、プロピル化メラミン樹脂及びブチル化メラミン樹脂などのアルキル化メラミン樹脂など)である。本発明ではメチル及びブチルエーテル化メラミン樹脂が好ましく使用される。
本発明におけるメラミン樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、通常300〜2,000である。
(3)カーボネート系ウレタン樹脂
カーボネート系ウレタン樹脂とはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる樹脂である。
カーボネート系ウレタン樹脂とはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる樹脂である。
ポリカーボネートポリオールはポリカーボネート骨格を有する多価アルコールであり、例えば、ジオールとジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート又はホスゲンなどとの反応により得られるものなどが挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール-A及び水添ビスフェノール-Aなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、トリイソシアネートトルエン、トリイソシアネートベンゼン、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネートジメチルベンゼン、ジイソシアネートジエチルベンゼン及びテトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロペンタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ビス(イソシネートメチル)シクロヘキサン及びトリメチルシクロヘキシルイソシアネートなどが挙げられる。
本発明で使用されるカーボネート系ウレタン樹脂としては特に制限されず、公知の様々なものを使用することができる。例えば、ジオールとジアルキルカーボネートからなるカーボネートジオールとジイソシアネートの重縮合反応生成物カーボネート系ウレタン樹脂などが挙げられるが、好ましくは1,4-ブタンジオールとジメチルカーボネートから得られるカーボネートジオールと1,6-ヘキサンジイソシアネートの重縮合反応物カーボネート系ウレタン樹脂が使用される。
本発明におけるカーボネート系ウレタン樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、通常1,000〜20万、好ましくは5,000〜10万、特に好ましくは10,000〜70,000である。
本発明におけるカーボネート系ウレタン樹脂の重量平均分子量はポリスチレンを標準物質とするGPCにより測定される。
(4)配合比
本発明の組成物は非塩素化ポリオレフィンを74〜80PHR、好ましくは74〜78PHR、特に好ましくは75〜77PHR含む。
本発明の組成物は非塩素化ポリオレフィンを74〜80PHR、好ましくは74〜78PHR、特に好ましくは75〜77PHR含む。
本発明の組成物はメラミン樹脂を10〜18PHR、好ましくは11〜17PHR、特に好ましくは13〜15PHR含む。
本発明の組成物はカーボネート系ウレタン樹脂を5〜15PHR、好ましくは6〜14PHR、特に好ましくは8〜12PHR含む。
本発明においてPHRとは非塩素化ポリオレフィン、メラミン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂の総重量を100重量部とした場合の各樹脂成分の重量部である。
その他の成分
本発明の組成物は上記樹脂成分に加えて他の樹脂成分を含んでいてもよい。例えば、任意成分としてポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びユリア樹脂などを本発明の効果を損なわない範囲、例えば樹脂成分の総重量を基準として20重量%以下、で含んでいてもよい。
本発明の組成物は上記樹脂成分に加えて他の樹脂成分を含んでいてもよい。例えば、任意成分としてポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びユリア樹脂などを本発明の効果を損なわない範囲、例えば樹脂成分の総重量を基準として20重量%以下、で含んでいてもよい。
本発明の組成物は上記樹脂成分に加えて、塗料として通常添加される他の成分、例えば、顔料、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、導電性充填剤、有機改質剤及び可塑剤などを本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
増粘剤としては、例えば、会合型ノニオン系ウレタン増粘剤、アルカリ膨潤型増粘剤、無機系の層間化合物であるベントナイトなどが挙げられる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック及び酸化鉄などの無機顔料、並びにアゾ系顔料、アントラセン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料及びフタロシアニン系顔料などの有機顔料などの着色顔料;タルク及び沈降性硫酸バリウムなどの体質顔料;導電カーボン、及びアンチモンドープ酸化スズをコートしたウイスカーなどの導電顔料;アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、スズ及び酸化アルミニウムなどの金属又は合金などの無着色又は着色金属製光輝材などが挙げられる。
顔料分散剤としては、例えば、水性アクリル系樹脂;酸性ブロック共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;アセチレンジオール誘導体;水溶性カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。これらの顔料分散剤を用いることで、安定な顔料ペーストを調製することができる。
消泡剤としては、例えば、アセチレンジオール誘導体などが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、アセチレンジオール誘導体などが挙げられる。
プライマー塗料組成物
非塩素化ポリオレフィン、メラミン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂を含む本発明の組成物はプライマー塗料組成物として使用することができ、特に水系塗料として使用される。水系塗料は主溶剤又は主分散媒として水を使用しているため、VOC排出量を抑えることができる。
非塩素化ポリオレフィン、メラミン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂を含む本発明の組成物はプライマー塗料組成物として使用することができ、特に水系塗料として使用される。水系塗料は主溶剤又は主分散媒として水を使用しているため、VOC排出量を抑えることができる。
本発明の組成物に使用する溶剤又は分散媒のうち、通常60容量%以上、好ましくは75容量%以上は水である。副溶剤又は副分散媒として種々の水溶性有機溶媒を使用することもでき、例えば、メタノール、エタノール及びエチレングリコールなどの低級アルコールが挙げられる。これらの有機溶媒はプライマー組成物で、0.1〜30重量%、特に1〜15重量%の濃度で使用することが好ましい。
本発明の組成物は自動車ボディー及びバンパーなどの樹脂成形品を同時に塗装することにより耐チッピング性、付着性、耐水性などのボディー塗装品質、またバンパーなどの樹脂成形品の付着性、耐水性、屈曲性などの塗装品質を確保することができる。1回の同時塗装で良好な塗膜を実現できる。
塗装方法としては特に限定されず、公知の様々な方法を使用することができる。例えば、スプレー塗装、浸漬塗装、シャワー塗装、ディスク塗装及びベル塗装などが挙げられる。塗装後は自然乾燥又は強制乾燥のいずれの方法で乾燥させてもよい。強制乾燥法としては特に限定されず、公知の様々な方法を使用することができる。例えば、温風乾燥及び近赤外線乾燥などが挙げられる。
自動車ボディー及びバンパーなどに塗装された本発明の組成物からなる塗膜は耐チッピング性、付着性、耐水性及び屈曲性を有する。塗膜の厚さに特に制限はないが、特に8〜10μmの場合に耐チッピング性が優れている。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
製造例1
通常の方法で合成したアイソタクチックポリプロピレン(Mw=250,000)400gを、撹拌機と滴下ロートとモノマーを還流するための冷却管を取り付けた三口フラスコに入れ、180℃で一定に保たれた油浴中で完全に溶解した。フラスコ内の窒素置換を約10分間行った後、撹拌を行いながら、無水マレイン酸15gを約5分間かけて投入した。次に、ジ-t-ブチルパーオキサイド2gを10mlのへプタンに溶解し、滴下ロートにより、約30分間かけて投入した。この時、系内は180℃に保たれた。さらに1時間反応を継続した後、アスピレータでフラスコ内を減圧しながら約30分間かけて、未反応の無水マレイン酸を取り除き、カルボキシル基含有ポリプロピレン系ランダム共重合体を得た。このものの無水マレイン酸含有量はアルカリ滴定法による測定値に基づき24重量%であると特定された。
通常の方法で合成したアイソタクチックポリプロピレン(Mw=250,000)400gを、撹拌機と滴下ロートとモノマーを還流するための冷却管を取り付けた三口フラスコに入れ、180℃で一定に保たれた油浴中で完全に溶解した。フラスコ内の窒素置換を約10分間行った後、撹拌を行いながら、無水マレイン酸15gを約5分間かけて投入した。次に、ジ-t-ブチルパーオキサイド2gを10mlのへプタンに溶解し、滴下ロートにより、約30分間かけて投入した。この時、系内は180℃に保たれた。さらに1時間反応を継続した後、アスピレータでフラスコ内を減圧しながら約30分間かけて、未反応の無水マレイン酸を取り除き、カルボキシル基含有ポリプロピレン系ランダム共重合体を得た。このものの無水マレイン酸含有量はアルカリ滴定法による測定値に基づき24重量%であると特定された。
次に、得られた無水マレイン酸変性プロピレン系ランダム共重合体200g、界面活性剤(エソミンT/25、ライオン製)32g、安定剤(ステアリルグリシジルエーテル)8g、キシレン37gを添加し、125℃で30分混練した。次に2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール8.2gを5分かけて添加し、5分保持した後、90℃の蒸留水965gを40分かけて添加した。減圧処理を行い、キシレンを除去した後、室温まで撹拌しながら冷却し、水性分散液を得た。水性分散液の固形分は30重量%、pH=7.5で、粘度は80mPa・S(ブルックフィールド型粘度計、ローターNo. 1、30rpm、25℃)であり、平均粒子径は200nmであった。
実施例1
製造例1のカルボキシル基含有ポリプロピレン系ランダム共重合体水性分散液をろ過した液520gを容器に秤量した。これとは別の容器に、ヘキサメトキシメチロールメラミン(サイメル303、サイテック株式会社製)60gを取り、撹拌下ジメチルエタノールアミン4.5gを徐々に加えた。温度を45℃まで加熱し、45℃に加温した蒸留水135.5gを強い撹拌下5分かけて添加した。得られたヘキサメトキシメチロールメラミンの水性分散液は固形分30重量%、粘度60mPa・Sであった。
製造例1のカルボキシル基含有ポリプロピレン系ランダム共重合体水性分散液をろ過した液520gを容器に秤量した。これとは別の容器に、ヘキサメトキシメチロールメラミン(サイメル303、サイテック株式会社製)60gを取り、撹拌下ジメチルエタノールアミン4.5gを徐々に加えた。温度を45℃まで加熱し、45℃に加温した蒸留水135.5gを強い撹拌下5分かけて添加した。得られたヘキサメトキシメチロールメラミンの水性分散液は固形分30重量%、粘度60mPa・Sであった。
次に、得られたヘキサメトキシメチロールメラミン水性分散液100gを別容器中のカルボキシル基含有ポリプロピレン系ランダム共重合体水性分散液に撹拌下25℃で10分かけて投入した。さらに、カーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW-511、三井化学ポリウレタン株式会社製、固形分40%)50gを撹拌下25℃で10分かけて投入した。次いでこの樹脂混合液に二酸化チタン100g、カーボンブラック1.0gを混合し、混練し、水性プライマー塗料[A]を製造した。得られたプライマー塗料[A]は、灰色均一な性状を有し、固形分40%、VOC 25g/リットル、粘度800mPa・S(ブルックフィールド型粘度計、ローターNo. 2、6rpm、25℃)であった。
このプライマー塗料を、予め自動車ボディー用電着塗料を塗装、乾燥したリン酸亜鉛処理鋼板と、表面を清澄にしたポリプロピレン樹脂成形板(三井ノーブレンSB-E3)に乾燥膜厚10μmとなるよう同時にスプレー塗装した。その後、80℃にて5分乾燥し、さらに白色自動車用上塗料を乾燥膜厚30μmとなるようスプレー塗装した。室温にて10分放置後、120℃で30分間乾燥した。得られた塗装板を室温で1日間放置した後、以下の塗膜性能試験を行った。
結果を表3に示すが、リン酸亜鉛鋼板においては耐チッピング性、付着性、耐水性、ポリプロピレン樹脂成形板においては付着性、耐水性及び屈曲性に関し極めて良好な結果が得られた。
付着性:塗膜表面にカッターで素地に達する切れ目を入れて2mm間隔で100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180度方向に引き剥がし、残存する碁盤目の数を数えた。剥がれなかった碁盤目数が100の場合のみ合格とし、それ以外は不合格とした。
耐水性:塗装板を40℃に保った蒸留水に240時間浸漬した後、上述の付着性試験を行い、同様に判定した。
耐チッピング性:飛石試験器(スガ試験器製)を用いて玄武岩砕石(直径2.4mm〜4.8mm)100gを試験板からの距離350mmにて圧力0.3MPaで射出し、塗膜の傷つき性を調べた。塗膜に直径1mm以上の大きさの傷が無い場合は○、直径1mm以上の大きさの傷が5個以下の場合は△、5個を超える場合は×とした。
屈曲性:塗装板を直径1インチのマンドレル屈曲試験器を用いて、20℃において90度の角度まで折り曲げて塗膜の亀裂の有無を調べた。亀裂が全く認められないものを合格とした。
実施例2
実施例1と同様のカルボキシル基含有塩素化ポリプロピレン系ランダム共重合体水性分散液、ヘキサメトキシメチロールメラミンの水性分散液及びカーボネート系ウレタン樹脂を用い、表1に示す混合比にて水性プライマー塗料を作成した以外は、実施例1と同様に行った。得られた水性プライマー塗料[B]は、灰色均一な性状を有し、固形分40%、VOC 24g/リットル、粘度700mPa・S(ブルックフィールド型粘度計、ローターNo. 2、6rpm、25℃)であった。結果を表3に示すが、極めて良好な結果が得られた。
実施例1と同様のカルボキシル基含有塩素化ポリプロピレン系ランダム共重合体水性分散液、ヘキサメトキシメチロールメラミンの水性分散液及びカーボネート系ウレタン樹脂を用い、表1に示す混合比にて水性プライマー塗料を作成した以外は、実施例1と同様に行った。得られた水性プライマー塗料[B]は、灰色均一な性状を有し、固形分40%、VOC 24g/リットル、粘度700mPa・S(ブルックフィールド型粘度計、ローターNo. 2、6rpm、25℃)であった。結果を表3に示すが、極めて良好な結果が得られた。
実施例3〜5
表1に示す各種水性樹脂分散液を用いて水性プライマー塗料を製造し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示すごとく、いずれも良好であった。
表1に示す各種水性樹脂分散液を用いて水性プライマー塗料を製造し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示すごとく、いずれも良好であった。
比較例1〜5
表2に示す各種水性プライマー塗料を用いて試験板を作成し、実施例1と同様の試験を行った。表4に示す通り結果はいずれも問題があり、実用に耐えないものであった。
表2に示す各種水性プライマー塗料を用いて試験板を作成し、実施例1と同様の試験を行った。表4に示す通り結果はいずれも問題があり、実用に耐えないものであった。
Claims (5)
- 非塩素化ポリオレフィン74〜80PHR、メラミン樹脂10〜18PHR及びカーボネート系ウレタン樹脂5〜15PHRを含む組成物。
- 水系のプライマー塗料組成物である、請求項1に記載の組成物。
- チッピングプライマー及びバンパープライマーの両用途で使用される、請求項1又は2に記載の組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物からなる塗膜。
- 厚さが8〜10μmである、請求項4に記載の塗膜。
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JP2010213393A JP2012067197A (ja) | 2010-09-24 | 2010-09-24 | チッピングプライマー及びバンパープライマー共用塗料組成物 |
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JP2010213393A Withdrawn JP2012067197A (ja) | 2010-09-24 | 2010-09-24 | チッピングプライマー及びバンパープライマー共用塗料組成物 |
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2010
- 2010-09-24 JP JP2010213393A patent/JP2012067197A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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WO2019198823A1 (ja) | 2018-04-13 | 2019-10-17 | 株式会社クラレ | 多層フィルムおよびそれを備える成形体 |
CN111971355A (zh) * | 2018-04-13 | 2020-11-20 | 株式会社可乐丽 | 多层膜和具备该多层膜的成形体 |
KR20200139232A (ko) | 2018-04-13 | 2020-12-11 | 주식회사 쿠라레 | 다층 필름 및 그것을 구비하는 성형체 |
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