JP2012063648A - 光コネクタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで信頼性の高い光コネクタを製造できる光コネクタの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】先端が鏡面切断された光ファイバをフェルールの光ファイバ挿通孔に挿入し(第1工程)、フェルールの端面から光ファイバの先端が所定長だけ突出した状態で固定し(第2工程)、フェルールの端面及び光ファイバの先端面を清浄する(第3工程)。そして、光ファイバの先端面を覆うように、フェルールの端面に非流動性の屈折率整合体を配設する(第4工程)。第4工程では、例えばシート状の屈折率整合体をフェルールの端面に貼着する。
【選択図】図4
【解決手段】先端が鏡面切断された光ファイバをフェルールの光ファイバ挿通孔に挿入し(第1工程)、フェルールの端面から光ファイバの先端が所定長だけ突出した状態で固定し(第2工程)、フェルールの端面及び光ファイバの先端面を清浄する(第3工程)。そして、光ファイバの先端面を覆うように、フェルールの端面に非流動性の屈折率整合体を配設する(第4工程)。第4工程では、例えばシート状の屈折率整合体をフェルールの端面に貼着する。
【選択図】図4
Description
本発明は、光ファイバ同士を接続するための光コネクタの製造方法に関する。
従来、光伝送装置などの光ファイバ入出力部において、光ファイバケーブルの接続や切り離しを容易化できる一括接続可能な光ファイバコネクタ(以下、光コネクタ)が開発され、実用化されている。例えば、複数の光ファイバ素線を並列に配置して連結した光ファイバテープ心線(以下、テープ心線)等の多心光ファイバをフェルールに固定した光コネクタ(いわゆるMT(Mechanically Transferable)コネクタ)がある。この種の光コネクタにおいては、フェルールに固定された光ファイバ同士を接続する際、光ファイバ間に空隙があると、この空隙によってフレネル反射が生じ、接続損失が増大することが知られている。
MTコネクタのように多心光ファイバが装着された光コネクタの場合は、それぞれの光ファイバの先端を凸球面状にPC(Physical Contact)研磨し、光ファイバの先端をフェルール端面から1〜3μm程度突出させ、光ファイバ同士を押圧して突き合せることにより、ファイバ間隙を無くする手法が採られる。
または、光ファイバの先端をフェルール端面から凹ませた状態で位置合わせし(例えば0〜15μm)、接続する際にフェルール端面に流動性を有するグリス状又はオイル状の屈折率整合剤を塗布し、ファイバ間に屈折率整合剤を介在させることによりファイバ間隙を実質的に無くする手法が採られる。この場合、光ファイバの先端をPC研磨する必要はなく、切断したままの状態で適用することができる。
または、光ファイバの先端をフェルール端面から凹ませた状態で位置合わせし(例えば0〜15μm)、接続する際にフェルール端面に流動性を有するグリス状又はオイル状の屈折率整合剤を塗布し、ファイバ間に屈折率整合剤を介在させることによりファイバ間隙を実質的に無くする手法が採られる。この場合、光ファイバの先端をPC研磨する必要はなく、切断したままの状態で適用することができる。
しかしながら、前者の場合、光コネクタに装着された多心光ファイバを均一な押圧荷重で突き合せるためには、フェルール端面からの突出長のばらつきを0.5μm以下としなければならない。すなわち、光ファイバの先端を個別にPC研磨した上で、光ファイバの先端をフェルール端面に対して高精度に位置決めしなければならないので、高コスト化につながる。
また、後者の場合、光ファイバの先端位置をフェルール端面から凹ませすぎると接続損失が増大してしまい、光ファイバの先端がフェルール端面から突出した状態になっていると突き合せ時に光ファイバが損傷する虞がある。すなわち、光ファイバの先端をフェルール端面に対して高精度に位置決めしなければならないので、高コスト化につながる。また、MTコネクタを着脱する際、接続端面(フェルール端面)に付着した屈折率整合剤を都度清掃する必要があるため、作業性が低下する。さらには、屈折率整合剤にごみや気泡が巻き込まれることにより、接続損失が増大する虞がある。
また、後者の場合、光ファイバの先端位置をフェルール端面から凹ませすぎると接続損失が増大してしまい、光ファイバの先端がフェルール端面から突出した状態になっていると突き合せ時に光ファイバが損傷する虞がある。すなわち、光ファイバの先端をフェルール端面に対して高精度に位置決めしなければならないので、高コスト化につながる。また、MTコネクタを着脱する際、接続端面(フェルール端面)に付着した屈折率整合剤を都度清掃する必要があるため、作業性が低下する。さらには、屈折率整合剤にごみや気泡が巻き込まれることにより、接続損失が増大する虞がある。
そこで、光コネクタにおいて、シート状の屈折率整合剤を光ファイバ間に介在させる技術が提案されている(例えば特許文献1、2)。特許文献1、2においては、シート状の屈折率整合剤を予めフェルール端面等に配置しておき、光ファイバを溝などのガイドに沿わせながら移動させ、屈折率整合材に突き当てて接触させる。つまり、光ファイバの先端位置は屈折率整合剤によって規制されるため高精度な位置決めは必要なく、光ファイバの先端をPC研磨する必要もないので、低コスト化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術を利用する場合、光ファイバをガイドに沿わせながら移動させるため、光ファイバの先端にごみや樹脂屑が付着してしまう。そして、この状態で光ファイバを屈折率整合剤に突き当てると、光ファイバと屈折率整合剤の間に異物が介在することとなり、安定した接続特性(例えば反射減衰量)が阻害されてしまう。また、屈折率整合剤を介して光ファイバ同士を突き合わせたときに、異物によってファイバ端面が損傷する虞がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、低コストで信頼性の高い光コネクタを製造できる光コネクタの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、先端が鏡面切断された光ファイバをフェルールの光ファイバ挿通孔に挿入する第1工程と、
前記フェルールの端面から前記光ファイバの先端が所定長だけ突出した状態で固定する第2工程と、
前記フェルールの端面及び前記光ファイバの先端面を清浄する第3工程と、
前記光ファイバの先端面を覆うように、前記フェルールの端面に非流動性の屈折率整合体を配設する第4工程と、を備えることを特徴とする光コネクタの製造方法である。
前記フェルールの端面から前記光ファイバの先端が所定長だけ突出した状態で固定する第2工程と、
前記フェルールの端面及び前記光ファイバの先端面を清浄する第3工程と、
前記光ファイバの先端面を覆うように、前記フェルールの端面に非流動性の屈折率整合体を配設する第4工程と、を備えることを特徴とする光コネクタの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光コネクタの製造方法において、前記第2工程では、前記光ファイバの先端を前記フェルールの端面から0以上20μm以下突出させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光コネクタの製造方法において、前記屈折率整合体は、前記フェルール端面に密着するタック性を有するとともに前記光ファイバの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の光コネクタの製造方法において、前記第4工程では、前記屈折率整合体を20μm以上の厚さで形成することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光コネクタの製造方法において、前記屈折率整合体は、前記フェルール端面に密着するタック性を有するとともに前記光ファイバの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなる第1層と、前記第1層よりも硬度の高い材料からなる第2層で構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光コネクタの製造方法において、前記第4工程では、前記第1層を20μm以上の厚さで形成することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか一項に記載の光コネクタの製造方法において、前記第2工程では、前記フェルールに設けられた樹脂注入口からシアノアクリレート系の主剤とアミン系の硬化剤からなる接着剤を注入することにより、前記光ファイバを前記フェルールに固定することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか一項に記載の光コネクタの製造方法において、前記第4工程では、前記フェルール端面に、凸球面状に前記屈折率整合体を形成することを特徴とする。
本発明によれば、接続する光ファイバ間に非流動性(例えばシート状)の屈折率整合体を介在させるので、光ファイバの先端をPC研磨する必要はない。したがって、光コネクタの低コスト化を図ることができる。また、光ファイバの先端面を清浄してから屈折率整合体を配設するので、光ファイバと屈折率整合体の間に異物が介在することはない。したがって、光コネクタにおいて安定した接続特性を得ることができ、信頼性の高い光コネクタを実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る多心型光コネクタ(いわゆるMTコネクタ)の概略構成を示す図である。図1(a)に正面図、図1(b)に上面図、図1(c)に側面図を示している。
図1に示すように、実施形態のMTコネクタ100は、MTフェルール1に保護ブーツ16を介してテープ心線3が装着されて構成されている。テープ心線3は、例えば、12本の光ファイバ(外径125μmの裸ファイバ)3aを並列に配置して一括被覆したものであり、先端面が鏡面となるように切断されている。
テープ心線3は、個々の光ファイバ3aの先端がMTフェルール1の接続端面(フェルール端面)1aから突出した状態でMTフェルール1に装着され、接着剤Rにより固定されている。そして、光ファイバ3aの先端を覆うように、非流動性の屈折率整合体MがMTフェルール1の接続端面1aに配設されている。
図1は、実施形態に係る多心型光コネクタ(いわゆるMTコネクタ)の概略構成を示す図である。図1(a)に正面図、図1(b)に上面図、図1(c)に側面図を示している。
図1に示すように、実施形態のMTコネクタ100は、MTフェルール1に保護ブーツ16を介してテープ心線3が装着されて構成されている。テープ心線3は、例えば、12本の光ファイバ(外径125μmの裸ファイバ)3aを並列に配置して一括被覆したものであり、先端面が鏡面となるように切断されている。
テープ心線3は、個々の光ファイバ3aの先端がMTフェルール1の接続端面(フェルール端面)1aから突出した状態でMTフェルール1に装着され、接着剤Rにより固定されている。そして、光ファイバ3aの先端を覆うように、非流動性の屈折率整合体MがMTフェルール1の接続端面1aに配設されている。
図2はMTコネクタ用のフェルール(いわゆるMTフェルール)の一例を示す斜視図で、図3は図2に示すMTフェルールの断面図である。
図2、図3に示すように、MTフェルール1には、一端側に、複数の光ファイバ挿通孔11が横一列に並んで形成されている。また、光ファイバ挿通孔11の両側には、接続相手(例えば光コネクタ)と連結する際にガイドピンが挿入されるガイドピン孔14が形成されている。光ファイバ挿通孔11は、MTフェルール1の接続端面1aに向かって段階的に縮径され、接続端面1aの近傍では光ファイバ3aの外径125μmよりも若干大きく、例えば内径126μmとなっている。
図2、図3に示すように、MTフェルール1には、一端側に、複数の光ファイバ挿通孔11が横一列に並んで形成されている。また、光ファイバ挿通孔11の両側には、接続相手(例えば光コネクタ)と連結する際にガイドピンが挿入されるガイドピン孔14が形成されている。光ファイバ挿通孔11は、MTフェルール1の接続端面1aに向かって段階的に縮径され、接続端面1aの近傍では光ファイバ3aの外径125μmよりも若干大きく、例えば内径126μmとなっている。
MTフェルール1の他端側には、光ファイバ挿通孔11に連通する光ファイバ挿入口15が形成されている。この光ファイバ挿入口15に、テープ心線3を保護するための保護ブーツ16が嵌着される。
MTフェルール1の内部においては、個々の光ファイバ挿通孔11に光ファイバ3aを案内するためのガイド溝(例えばU溝)12が光ファイバ挿通孔11に連設されている。MTフェルール1の上面には、内部に接着剤を注入するための樹脂注入口13が形成されている。
なお、本実施形態で示すMTフェルール1はメス型のMTフェルールであるが、本発明はガイドピン孔14の位置にガイドピンを配置させたオス型のMTフェルールにも適用できる。
MTフェルール1の内部においては、個々の光ファイバ挿通孔11に光ファイバ3aを案内するためのガイド溝(例えばU溝)12が光ファイバ挿通孔11に連設されている。MTフェルール1の上面には、内部に接着剤を注入するための樹脂注入口13が形成されている。
なお、本実施形態で示すMTフェルール1はメス型のMTフェルールであるが、本発明はガイドピン孔14の位置にガイドピンを配置させたオス型のMTフェルールにも適用できる。
図4は、MTコネクタ100の組立工程を示す図である。
MTコネクタ100を組み立てる場合、予め、装着するテープ心線3の先端から所定長だけ被覆32を除去し、被覆際から口出し長が6mmとなるようにクリーバで鏡面切断し、個々の光ファイバ3aにおいて裸ファイバ31を露出させておき、図4(a)に示すように、保護ブーツ16を介して光ファイバ挿入口15からテープ心線3をMTフェルール1内に導入する。そして、光ファイバ3aの先端をガイド溝12に沿わせて挿入していき、光ファイバ3aを光ファイバ挿通孔11に挿通させる。このとき、光ファイバ3aの先端を、MTフェルール1の接続端面1aから0.5〜2μm突出させる(第1工程)。
この状態で、テープ心線3を光コネクタ組立工具2に固定する。具体的には、光コネクタ組立工具2のベース部材21にテープ心線3を載置し、MTフェルール1から所定長だけ離れた位置で、把持部22によりテープ心線3をベース部材21に固定する。
MTコネクタ100を組み立てる場合、予め、装着するテープ心線3の先端から所定長だけ被覆32を除去し、被覆際から口出し長が6mmとなるようにクリーバで鏡面切断し、個々の光ファイバ3aにおいて裸ファイバ31を露出させておき、図4(a)に示すように、保護ブーツ16を介して光ファイバ挿入口15からテープ心線3をMTフェルール1内に導入する。そして、光ファイバ3aの先端をガイド溝12に沿わせて挿入していき、光ファイバ3aを光ファイバ挿通孔11に挿通させる。このとき、光ファイバ3aの先端を、MTフェルール1の接続端面1aから0.5〜2μm突出させる(第1工程)。
この状態で、テープ心線3を光コネクタ組立工具2に固定する。具体的には、光コネクタ組立工具2のベース部材21にテープ心線3を載置し、MTフェルール1から所定長だけ離れた位置で、把持部22によりテープ心線3をベース部材21に固定する。
次に、図4(b)に示すように、MTフェルール1の接続端面1aから突出させた光ファイバ3aの先端に基準面4を突き当て、基準面4をテープ心線3の挿入方向と反対方向に押圧する。そして、テープ心線3を押し戻すことにより、光ファイバ3aの先端が、MTフェルール1の接続端面1aに対して0以上20μm以下で突出した状態となるように位置決めする。図4(b)に示すように、基準面4に光ファイバ3aの先端が突き当たる凹部4aを形成しておけば、光ファイバ3aは凹部4aの深さに相当する長さ(図4(b)では10μm)だけ、MTフェルール1の接続端面1aから突出した状態となる。このとき、光コネクタ組立工具2のベース部材21上においてテープ心線3に撓みが形成される。この撓みにより、光ファイバ3aが基準面4に所定の押圧荷重で突き当てられることとなる。
この状態を保持しつつ、MTフェルール1に設けられた樹脂注入口13から接着剤Rを注入して、テープ心線3をMTフェルール1に接着し、固定する(第2工程)。
この状態を保持しつつ、MTフェルール1に設けられた樹脂注入口13から接着剤Rを注入して、テープ心線3をMTフェルール1に接着し、固定する(第2工程)。
この第2工程では、接着剤Rとして、シアノアクリレート系の主剤とアミン系の硬化剤からなる接着剤を用いるのが望ましい。
図5は、光ファイバ挿通孔11への接着剤Rの浸入状態を示す図である。図5(a)にシアノアクリレート系の接着剤R1を用いた場合を示し、図5(b)に一般的な熱硬化型樹脂(例えばエポキシ系樹脂)からなる接着剤R2を用いた場合を示している。
熱硬化型の接着剤R2を用いる場合、硬化させる際には高温(例えば100℃)にする必要がある。そのため、硬化が始まる前に接着剤R2の粘度が一旦下がる。そして、光ファイバ3aと光ファイバ挿通孔11とのクリアランスは1μm以下であるので、毛細管現象により接着剤R2が光ファイバ挿通孔11に浸入し、図5(b)に示すようにMTフェルール1の接続端面1aから接着剤R2が流出する虞がある。接着剤R2が光ファイバ3aの先端に付着すると、後述の清浄処理でも除去されないので、接続損失が増大する要因となる。
図5は、光ファイバ挿通孔11への接着剤Rの浸入状態を示す図である。図5(a)にシアノアクリレート系の接着剤R1を用いた場合を示し、図5(b)に一般的な熱硬化型樹脂(例えばエポキシ系樹脂)からなる接着剤R2を用いた場合を示している。
熱硬化型の接着剤R2を用いる場合、硬化させる際には高温(例えば100℃)にする必要がある。そのため、硬化が始まる前に接着剤R2の粘度が一旦下がる。そして、光ファイバ3aと光ファイバ挿通孔11とのクリアランスは1μm以下であるので、毛細管現象により接着剤R2が光ファイバ挿通孔11に浸入し、図5(b)に示すようにMTフェルール1の接続端面1aから接着剤R2が流出する虞がある。接着剤R2が光ファイバ3aの先端に付着すると、後述の清浄処理でも除去されないので、接続損失が増大する要因となる。
これに対して、シアノアクリレート系の接着剤R1は、常温での粘度が70cP〜100cPであり、肉薄になると硬化する性質を持っており、光ファイバ挿通孔11に流入するとともに硬化が始まので、熱硬化型の接着剤R2を用いた場合に比較して、MTフェルール1の接続端面1aから接着剤R1が流出する可能性は極めて低い。光ファイバ挿通孔11の長さを0.3mm以上としておけば、シアノアクリレート系の接着剤R1は確実にこの部分で硬化する。つまり、シアノアクリレート系の接着剤R1を用いると、図5(a)に示すようにMTフェルール1の接続端面1aに到達する前に硬化を完了させることが容易となる。したがって、接着剤の付着により接続損失が増大するのを防止できる。
また、アミン系の硬化剤を使用することにより、シアノアクリレート系の主剤の硬化時間が短縮されるので、作業効率が向上するとともに、MTフェルール1の接続端面1aに到達する前に確実に接着剤R1の硬化を完了させることができる。
また、アミン系の硬化剤を使用することにより、シアノアクリレート系の主剤の硬化時間が短縮されるので、作業効率が向上するとともに、MTフェルール1の接続端面1aに到達する前に確実に接着剤R1の硬化を完了させることができる。
第2工程においてMTフェルール1にテープ心線3を固定した後、図4(c)に示すように、MTフェルール1の接続端面1aと光ファイバ3aの先端面を清浄する(第3工程)。例えば、BEMCOT(登録商標)やCLETOP(登録商標)等のコネクタ清掃具により、MTフェルール1の接続端面1aと光ファイバ3aの先端面を清拭する。
このとき、MTフェルール1の接続端面1aに対する光ファイバ3aの先端の突出長は20μm以下となっているので、MTフェルール1と光ファイバ3aの段差にコネクタ清掃具の繊維が引っ掛かることはなく、端面を効率よく清拭することができる。
このとき、MTフェルール1の接続端面1aに対する光ファイバ3aの先端の突出長は20μm以下となっているので、MTフェルール1と光ファイバ3aの段差にコネクタ清掃具の繊維が引っ掛かることはなく、端面を効率よく清拭することができる。
そして、図4(d)に示すように、光ファイバ3aの先端面を覆うように、MTフェルール1の接続端面1aに非流動性の屈折率整合体Mを20μm以上50μm以下の厚さで配設する(第4工程)。非流動性の屈折率整合体Mは、光ファイバ3aと屈折率整合性を有し、一定の粘性又は定形性を有する屈折率整合剤である。つまり、グリス状やオイル状のようにMTフェルール1の接続端面1aに定着困難な流動性のものとは異なり、例えばシート状に形成されている。
屈折率整合体Mの厚さが20μmより薄いと、光ファイバ3aの突出長が大きい場合に破損する可能性が高くなる。そして、屈折率整合体Mが破損すると、光学的特性を保持するという機能が果たされなくなる。また、屈折率整合体Mが薄すぎると、光ファイバ3aの先端面(カット面)の不揃いをカバーして、複数の光ファイバ3aと均一に密着することが困難となる。そして、複数の光ファイバ3aと屈折率整合体Mが均一に密着しない、すなわち両者の間に空隙が生じると、接続損失が増大する要因となる。したがって、屈折率整合体Mの厚さは20μm以上とするのが望ましい。
一方、接続損失の増大を抑制するには、屈折率整合体Mは薄いほうが有利であるため、屈折率整合体Mの厚さは実使用上50μm以下とするのが望ましい。
一方、接続損失の増大を抑制するには、屈折率整合体Mは薄いほうが有利であるため、屈折率整合体Mの厚さは実使用上50μm以下とするのが望ましい。
屈折率整合体Mとしては、光ファイバ3aの先端(MTフェルール1の接続端面1a)に密着した状態で保持されるとともに、この屈折率整合体Mを介して接続された2本の光ファイバの間隔が振動等の外的要因により変動しても、光ファイバの端面間で保持される程度のタック性(粘着性)を有するものが望ましい。光ファイバの間隔は数μm程度の範囲で変化するため、その範囲の変化に対応できるものであればよい。
また、屈折率整合体Mには、MTフェルール1の接続端面1aから突出した光ファイバ3aの突出長を吸収できる程度の弾性を有する、すなわちMTフェルール1の接続端面1aから突出した光ファイバ3aによって突き破られない程度に変形しやすいことが要求される。
すなわち、実施形態では、屈折率整合体Mを、MTフェルール1の接続端面1aに密着するタック性を有するとともに、光ファイバ3aの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなる1層構造としている。
また、屈折率整合体Mには、MTフェルール1の接続端面1aから突出した光ファイバ3aの突出長を吸収できる程度の弾性を有する、すなわちMTフェルール1の接続端面1aから突出した光ファイバ3aによって突き破られない程度に変形しやすいことが要求される。
すなわち、実施形態では、屈折率整合体Mを、MTフェルール1の接続端面1aに密着するタック性を有するとともに、光ファイバ3aの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなる1層構造としている。
さらに、屈折率整合体Mは、接続先の光コネクタのMTフェルール又は光ファイバとの間で適度な分離性を有し、接続した光コネクタ同士を分離するときに、凝集破壊せず、接続端面又は光ファイバ端面に付着しない材料とするのが望ましい。つまり、屈折率整合体Mのタック性が高すぎると、接続した光コネクタ同士を分離する際に、接続先の光コネクタのMTフェルール又は光ファイバに密着した状態が保持され、当該光コネクタのMTフェルール1から剥離又は塑性変形してしまう。そして、剥離又は塑性変形した屈折率整合体Mでは所望の接続特性が得られなくなる。したがって、屈折率整合体Mの材料を選定する際にはこの点を考慮すべきである。
屈折率整合体Mには、例えばアクリル系、エポキシ系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系、メタクリル系、ナイロン系、ビスフェノール系、ジオール系、ポリイミド系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系などの各種粘着材を用いてシート化したものを使用することができる。これらの中でも、耐環境性、密着性の面から、シリコーン系又はアクリル系の材料が好ましい。
なお、架橋剤、添加剤、軟化剤、粘度調節剤、下塗り剤等により任意に粘着力、濡れ性を調整してもよく、耐水性や耐湿性、耐熱性を付加してもよい。また、屈折率整合体Mの材料、作製方法によっては多孔構造になることもあるが、光学接続時に押圧力を加えることにより圧縮すれば、空隙をなくすことができるので、接続特性に影響を与えることはない。
なお、架橋剤、添加剤、軟化剤、粘度調節剤、下塗り剤等により任意に粘着力、濡れ性を調整してもよく、耐水性や耐湿性、耐熱性を付加してもよい。また、屈折率整合体Mの材料、作製方法によっては多孔構造になることもあるが、光学接続時に押圧力を加えることにより圧縮すれば、空隙をなくすことができるので、接続特性に影響を与えることはない。
第4工程で屈折率整合体Mを配設する際、光ファイバ3aの先端の突出長は0以上となっており、MTフェルール1の接続端面1aから凹んでいないので、光ファイバ3aの先端と屈折率整合体Mとは密着し、両者の間に空隙が生じることはない。したがって、上述したようにして作製されたMTコネクタ100において、空隙によりフレネル反射が生じ、接続損失が増大するのを防止できる。
このように、実施形態では、先端が鏡面切断された光ファイバ3aをMTフェルール1の光ファイバ挿通孔11に挿入し(第1工程)、MTフェルール1の接続端面1aから光ファイバ3aの先端が所定長だけ突出した状態で固定し(第2工程)、MTフェルール1の接続端面1a及び光ファイバ3aの先端面を清浄する(第3工程)。そして、光ファイバ3aの先端面を覆うように、MTフェルール1の接続端面1aに非流動性の屈折率整合体Mを配設することにより(第4工程)、MTコネクタ100を製造する。
実施形態に係る光コネクタの製造方法によれば、接続する光ファイバ間に非流動性(例えばシート状)の屈折率整合体Mを介在させるので、光ファイバ3aの先端をPC研磨する必要はない。したがって、MTコネクタ100の低コスト化を図ることができる。また、光ファイバ3aの先端面を清浄してから屈折率整合体Mを配設するので、光ファイバ3aと屈折率整合体Mの間に異物が介在することはない。したがって、MTコネクタ100において安定した接続特性を得ることができ、信頼性の高い光コネクタを実現できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
実施形態では、屈折率整合体Mを1層構造としているが、図6に示すように、MTフェルール1の接続端面1aに密着するタック性を有するとともに、光ファイバ3aの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなる第1層M1と、第1層M1よりも硬度の高い材料からなる第2層M2とで構成した2層構造としてもよい。
ここで、第1層M1より硬度の高い材料とは、接続先の光コネクタのMTフェルール又は光ファイバとの間で適度な分離性を有し、接続した光コネクタ同士を分離するときに、凝集破壊せず、接続端面又は光ファイバ端面に付着しない材料である。
つまり、第2層M2には、第1層M1と同等のタック性は要求されないので、第1層M1と同じ材料でタック性を低く調整したもので構成したり、タック性のない材料で構成したりするのが望ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、又はポリエチレンで構成することができる。また、全体としての屈折率整合体Mの厚さが厚くなると接続損失が増大するため、第2層M2の厚さは0以上10μm以下とするのが望ましい。
実施形態では、屈折率整合体Mを1層構造としているが、図6に示すように、MTフェルール1の接続端面1aに密着するタック性を有するとともに、光ファイバ3aの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなる第1層M1と、第1層M1よりも硬度の高い材料からなる第2層M2とで構成した2層構造としてもよい。
ここで、第1層M1より硬度の高い材料とは、接続先の光コネクタのMTフェルール又は光ファイバとの間で適度な分離性を有し、接続した光コネクタ同士を分離するときに、凝集破壊せず、接続端面又は光ファイバ端面に付着しない材料である。
つまり、第2層M2には、第1層M1と同等のタック性は要求されないので、第1層M1と同じ材料でタック性を低く調整したもので構成したり、タック性のない材料で構成したりするのが望ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、又はポリエチレンで構成することができる。また、全体としての屈折率整合体Mの厚さが厚くなると接続損失が増大するため、第2層M2の厚さは0以上10μm以下とするのが望ましい。
このように、屈折率整合体Mを2層構造とすることにより、屈折率整合体MがMTフェルール1から剥離又は塑性変形することなく、接続した光コネクタと容易に分離することができる。したがって、MTコネクタ100を繰り返し使用することができる。
また、第1層M1は、接続先の光コネクタとの分離性を考慮することなく、タック性を有する材質を選定すればよいので、材料の選定が容易となる。
また、第1層M1は、接続先の光コネクタとの分離性を考慮することなく、タック性を有する材質を選定すればよいので、材料の選定が容易となる。
また、実施形態のMTコネクタ100において、MTフェルール1の接続端面1aに、凸球面状に屈折率整合体Mを形成するのが望ましい。例えば、図7に示すように、MTフェルール1の接続端面1aが凸状(例えば曲率半径r=500μm)に形成されていれば、この接続端面1aに配設されるシート状の屈折率整合体Mも凸球面状に形成される。
なお、MTフェルール1の接続端面1aが凹状に形成されている場合は、中央部の厚さが両端部よりも厚いシート状の屈折率整合体Mを用いることで、屈折率整合体Mの表面は凸球面状となる。
これにより、MTコネクタ100に装着された光ファイバ3aと接続先の光コネクタに装着された光ファイバとの間に空隙が生じるのを防止できるので、接続損失が増大するのを効果的に抑制できる。
なお、MTフェルール1の接続端面1aが凹状に形成されている場合は、中央部の厚さが両端部よりも厚いシート状の屈折率整合体Mを用いることで、屈折率整合体Mの表面は凸球面状となる。
これにより、MTコネクタ100に装着された光ファイバ3aと接続先の光コネクタに装着された光ファイバとの間に空隙が生じるのを防止できるので、接続損失が増大するのを効果的に抑制できる。
上記実施形態では、MTフェルール1に、12本の光ファイバ3aを並列に配置して一括被覆したテープ心線3を装着する場合について説明したが、例えば、テープ心線3を構成する光ファイバ3aの本数は4本、8本又は12本であってもよい。また、隣接する光ファイバ3a間を間欠的に連結したテープ心線(いわゆる間欠連結型テープ心線)をMTフェルールに装着してMTコネクタを製造する場合にも適用できる。
さらには、テープ心線3を複数枚積層した状態でMTフェルールに装着する多段型のMTコネクタ若しくはMPOコネクタを製造する場合に適用できる。
さらには、テープ心線3を複数枚積層した状態でMTフェルールに装着する多段型のMTコネクタ若しくはMPOコネクタを製造する場合に適用できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 MTフェルール
1a 接続端面
2 光コネクタ組立工具
3 テープ心線
3a 光ファイバ
4 基準面
11 光ファイバ挿通孔
12 ガイド溝
13 樹脂注入口
14 ガイドピン孔
15 光ファイバ挿入口
16 保護ブーツ
21 ベース部材
22 把持部
31 裸ファイバ
32 被覆
100 コネクタ
M 屈折率整合体
R 接着剤
1a 接続端面
2 光コネクタ組立工具
3 テープ心線
3a 光ファイバ
4 基準面
11 光ファイバ挿通孔
12 ガイド溝
13 樹脂注入口
14 ガイドピン孔
15 光ファイバ挿入口
16 保護ブーツ
21 ベース部材
22 把持部
31 裸ファイバ
32 被覆
100 コネクタ
M 屈折率整合体
R 接着剤
Claims (8)
- 先端が鏡面切断された光ファイバをフェルールの光ファイバ挿通孔に挿入する第1工程と、
前記フェルールの端面から前記光ファイバの先端が所定長だけ突出した状態で固定する第2工程と、
前記フェルールの端面及び前記光ファイバの先端面を清浄する第3工程と、
前記光ファイバの先端面を覆うように、前記フェルールの端面に非流動性の屈折率整合体を配設する第4工程と、を備えることを特徴とする光コネクタの製造方法。 - 前記第2工程では、前記光ファイバの先端を前記フェルールの端面から0以上20μm以下突出させることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタの製造方法。
- 前記屈折率整合体は、前記フェルール端面に密着するタック性を有するとともに前記光ファイバの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタの製造方法。
- 前記第4工程では、前記屈折率整合体を20μm以上の厚さで形成することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光コネクタの製造方法。
- 前記屈折率整合体は、前記フェルール端面に密着するタック性を有するとともに前記光ファイバの突出長を吸収できる弾性を有する材料からなる第1層と、前記第1層よりも硬度の高い材料からなる第2層で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタの製造方法。
- 前記第4工程では、前記第1層を20μm以上の厚さで形成することを特徴とする請求項5に記載の光コネクタの製造方法。
- 前記第2工程では、前記フェルールに設けられた樹脂注入口からシアノアクリレート系の主剤とアミン系の硬化剤からなる接着剤を注入することにより、前記光ファイバを前記フェルールに固定することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の光コネクタの製造方法。
- 前記第4工程では、前記フェルール端面に、凸球面状に前記屈折率整合体を形成することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の光コネクタの製造方法。
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JP2010208685A JP2012063648A (ja) | 2010-09-17 | 2010-09-17 | 光コネクタの製造方法 |
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- 2010-09-17 JP JP2010208685A patent/JP2012063648A/ja active Pending
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