JP2012063200A - 光学式エンコーダ用反射板、エンコーダ及び光学式エンコーダ用反射板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の光反射面とは異なる部分における光反射を防ぐことが可能な光学式エンコーダ用反射板、エンコーダ及び光学式エンコーダ用反射板の製造方法を提供する。
【解決手段】光を反射する光反射面を有する基板1と、当該光反射面15のうち所定領域を空けた第一領域と基板のうち光反射面から外れた第二領域とに跨って形成され、光を吸収する光吸収層3と、光を透過可能な材料を用いて形成され、光反射面及び光吸収層を覆う保護層4とを備える光学式エンコーダ用反射板10が提供される。
【選択図】図2
【解決手段】光を反射する光反射面を有する基板1と、当該光反射面15のうち所定領域を空けた第一領域と基板のうち光反射面から外れた第二領域とに跨って形成され、光を吸収する光吸収層3と、光を透過可能な材料を用いて形成され、光反射面及び光吸収層を覆う保護層4とを備える光学式エンコーダ用反射板10が提供される。
【選択図】図2
Description
本発明は、光学式エンコーダ用反射板、エンコーダ及び光学式エンコーダ用反射板の製造方法に関する。
モーターの回転軸などを含む回転体の回転数、回転角度、回転位置といった回転情報を検出する装置として、エンコーダが知られている。このようなエンコーダの一種として、例えば反射型の光学式エンコーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。反射型の光学式エンコーダは、例えば表面に反射領域と非反射領域とが形成されたエンコーダディスクを有し、当該反射領域で反射する光を受光素子で検出して位置決めをする構成である。例えば、鏡面状に形成された基板の表面に光吸収層がパターニングされた光学式エンコーダ用反射板の構成が知られている。
しかしながら、例えば上記構成においては、反射板のうち表面とは異なる部分(例えば側面)において光を反射可能な構成となっている場合がある。当該所定の光反射面とは異なる部分において反射された光が受光素子で検出されると、検出誤差が発生する可能性がある。
以上のような事情に鑑み、本発明は、所定の光反射面とは異なる部分における光反射を防ぐことが可能な光学式エンコーダ用反射板、エンコーダ及び光学式エンコーダ用反射板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に従えば、光を反射する光反射面を有する基板と、当該光反射面のうち所定領域を空けた第一領域と基板のうち光反射面から外れた第二領域とに跨って形成され、光を吸収する光吸収層と、光を透過可能な材料を用いて形成され、光反射面及び光吸収層を覆う保護層とを備える光学式エンコーダ用反射板が提供される。
本発明の第二の態様に従えば、本発明の第一の態様に従う光学式エンコーダ用反射板を備えることを特徴とするエンコーダが提供される。
本発明の第三の態様に従えば、光を反射する光反射面を有する基板において、光を吸収する光吸収層を、光反射面のうち所定領域を空けた第一領域と基板のうち光反射面から外れた第二領域とに跨るように形成する工程と、光反射面及び光吸収層を覆う保護層を、光を透過可能な材料を用いて形成する工程とを含む光学式エンコーダ用反射板の製造方法が提供される。
本発明の態様によれば、所定の光反射面とは異なる部分における光反射を低減することが可能となる。
[第一実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る光学式エンコーダ用反射板10(10A)の構成を示す平面図である。図2は、図1におけるA−A´断面に沿った構成を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る光学式エンコーダ用反射板10(10A)の構成を示す平面図である。図2は、図1におけるA−A´断面に沿った構成を示す図である。
図1及び図2に示すように、光学式エンコーダ用反射板10Aは、基板1と、当該基板1の表面1aに形成された光吸収層3と、を有している。光学式エンコーダ用反射板10Aは、例えば一般的な光学式エンコーダに備えられている反射板に代えて配置することができ、ロータリエンコーダ、リニアエンコーダ等、様々なタイプのエンコーダにも適用可能である。
基板1は、例えばアルミニウムやその合金などの金属材料を用いて形成されている。当該基板1は、上記金属材料とは異なる金属材料によって形成された構成であっても勿論構わない。基板1は、例えば均一な厚さで円環状に形成されている。当該基板1の厚み、寸法、形状については、例えば用途に応じて適宜決定することができる。基板1の表面1aは平坦に形成されており、光を反射可能な鏡面となっている。
基板1は、表面1aの光反射率が例えば、約40%、50%、60%、70%、80%とすることができ、又は90%以上となるように形成することができる。基板1の表面1aにおいて十分な光反射率を確保するため、例えば光反射率が70%以上となるように基板1を形成することができる。なお、「光反射率」とは、例えば光学式エンコーダで用いられる検出光に対する光反射率を意味する。
光吸収層3は、基板1の表面1aのうち所定の領域(所定領域)15を空けた領域に薄膜状に形成されている。この光吸収層3は、当該領域15において基板1の表面1aが露出するように当該表面1aを覆っている。光吸収層3は、基板1の表面1aに直接積層されている。光吸収層3は、光を吸収する金属を用いて形成されている。このような金属として、例えばニッケル、クロム、鉄及び亜鉛などの金属が挙げられる。
光吸収層3は、基板1の外周面1b及び内周面1cにはみ出した部分(はみ出し部分)3bを有している。外周面1b及び内周面1cは、基板1の表面1a及び裏面1dを接続する側面である。はみ出し部分3bは、基板1の表面1aから基板1の外周面1b及び内周面1cにかけて、当該光吸収層3と基板1との境界部分を塞ぐように形成されている。このように、光吸収層3のはみ出し部分3bによって光吸収層3と基板1との境界部分が保護される構成となっている。
上記構成の光学式エンコーダ用反射板10Aに対して例えば図2の上側から光(例えば光学式エンコーダの検出光など)が照射される場合、基板1の表面1aが露出する領域(所定領域)15においては当該基板1の表面1aで光が反射され、所定領域15から外れた領域においては光吸収層3によって光が吸収されるようになっている。このように、所定領域15は、光学式エンコーダ用反射板10Aにおける光反射領域となっている。以下、所定領域15を光反射領域15と表記する。なお、本実施形態では、基板1の外周面1b及び内周面1cにも光吸収層3の一部(はみ出し部3b)が設けられているため、当該基板1の外周面1b及び内周面1cに到達した光が吸収されることになる。
光学式エンコーダ用反射板10Aにおいて、当該光反射領域15は、位置検出用の光反射パターンの一部として用いられる。図1に示すように、光反射領域15は、例えば光学式エンコーダ用反射板10A上に円周方向に沿って複数形成されている。勿論、光学式エンコーダ用反射板10Aの形状に応じて、所望の方向(例えば直線方向あるいは曲線方向など)に形成しても構わない。各光反射領域15は、図中上側から見た形状が例えば矩形となるように形成されている。
各光反射領域15の最小線幅又は最小ピッチは、光学式エンコーダの分解能に応じて設定されている。例えば当該最小線幅又は最小ピッチを100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μmのいずれかに設定することができる。また、当該最小線幅又は最小ピッチは、例えば10μm以下あるいは100μm以上とすることもできる。
約20μm以下の最小線幅又は最小ピッチを有するパターンを備えた光学式エンコーダ用反射板10Aは、高い分解能を有する光学式エンコーダに対応できる。また、約10μm又は5μm以下の最小線幅又は最小ピッチを有するパターンを備えた光学式エンコーダ用反射板10Aは、より高い分解能を有する光学式エンコーダに対応できる。
高分解能の光学式エンコーダに対応した光学式エンコーダ用反射板10Aにおいて、パターンの最小線幅又は最小ピッチは、例えば、約20μm、18μm、16μm、14μm、12μm、10μm、8μm、6μm、4μmとすることができ、あるいは2μm以下とすることもできる。
次に、上記のように構成された光学式エンコーダ用反射板10Aの製造方法を説明する。まず、図3に示すように、基板1の表面1aにフォトレジスト層2を形成する。例えばスピンナなどの塗工装置を用いて基板1の表面1aにフォトレジストを一様に塗布することでフォトレジスト層2を形成する。フォトレジストは、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。フォトレジスト層2を形成した後、当該フォトレジスト層2に対して所定の条件で加熱処理(プレベーク)を施す。プレベーク条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて適宜設定することができる。
次に、フォトレジスト層2に所定のパターンの像を投影し、当該フォトレジスト層2を露光する(露光処理)。露光処理後、フォトマスクを取り外し、所定の現像液を用いて現像する。当該現像処理により、図4に示すように、基板1の表面1aにレジストパターン2aが形成される。必要に応じて、レジストパターン2aに所定の条件で加熱処理(ポストベーク)を施してもよい。ポストベーク条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて適宜設定することができる。
現像処理において、現像液の種類および現像条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて決定することができる。例えばフォトレジスト層2がポジ型フォトレジスト層の場合には、現像処理により非露光部分が基板1に残存してレジストパターン2aが形成され、露光部分は溶出して基板1の表面1aの一部が露出する。例えばフォトレジスト層2がネガ型フォトレジスト層の場合には、露光部分が基板1上に残存してレジストパターン2aが形成され、非露光部分は溶出して基板1の表面1aの一部が露出する。
現像処理の後、必要に応じて、レジストパターン2aが形成された基板1の表面1a全体を苛性処理液に浸漬させて苛性処理を施しても構わない。この苛性処理により基板1の表面1aのうちレジストパターン2aに対する露出部分の汚れが除去される。苛性処理液の種類や苛性処理の条件(例えば、浸漬温度および浸漬時間)については、使用する基板1、基板1の材料などに応じて適宜決定することができる。
この苛性処理の後、当該基板1の表面1a全体を中和処理液に浸漬し、基板1の表面1aのうちレジストパターン2aに対する上記露出部分を中和する。中和処理液の種類、中和処理の条件(例えば、浸漬温度および浸漬時間)は、使用する基板1の種類や苛性処理液の種類などに応じて適宜決定することができる。
中和処理を終えた後、基板1の表面1aを形成する金属のイオン化傾向よりも小さく、かつ、光吸収層3を形成する金属のイオン化傾向よりも大きいイオン化傾向を有する金属のイオンを含有するアルカリ性の溶液(以下、「金属イオン含有溶液」という。)に、基板1を浸漬させる。
これにより、図5に示すように、基板1の表面1aの露出部分の金属が金属イオン含有溶液中の金属で置換され、レジストパターン2aに対する表面1aの露出部分に金属置換膜5が形成される。また、図5に示すように、基板1の外周面1b及び内周面1cの金属についても金属イオン含有溶液中の金属で置換され、外周面1b及び内周面1cに金属置換膜5が形成される。
金属イオン含有溶液は、使用する基板1の材質および光吸収層3の材質などに応じて適宜決定することができる。例えば、基板1がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、光吸収層3としてニッケル膜または銅膜を形成する場合には、金属イオン含有溶液として亜鉛イオンを含むアルカリ性溶液を使用することができる。
金属置換膜5の形成条件(例えば、浸漬温度および浸漬時間)は、使用する基材および金属イオン含有溶液の種類などに応じて適宜設定することができる。また、形成する金属置換膜5の膜厚は、特に限定されず、表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cの表層さえ置換されればよい。
このようにして形成した金属置換膜5を備える基板1に、そのまま無電解メッキ処理を施してもよい。また、基板1に対する密着性がより高い光吸収層3を形成するため、例えば一度、基板1から金属置換膜を剥離し、再度、金属置換膜を形成するようにしても構わない。また、この金属置換膜の剥離と形成を繰り返すようにしても構わない。
金属置換膜5を剥離する場合、例えば基板1を酸に浸漬させる。これにより、金属置換膜5の金属が溶解し、再び、基板1が露出する。金属置換膜5の剥離に使用する酸は、使用する基板1および金属置換膜5の種類などに応じて適宜決定することができる。例えば、基板1がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、金属置換膜5として亜鉛置換膜を形成した場合には、酸として硝酸水溶液(例えば濃度2〜8質量%の硝酸水溶液)を使用することができる。また、金属置換膜5の剥離処理条件(例えば、浸漬温度および浸漬時間)は、使用する基板1や酸、形成された金属置換膜5の種類などに応じて適宜設定することができる。
金属置換膜5を剥離した後、再度金属置換膜5を形成する場合には、例えば上記の金属置換膜5の形成手法と同一の手法によって行うことができる。このとき、使用する金属イオン含有溶液や金属置換膜5の形成条件は、上記工程と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、形成する金属置換膜5の膜厚は上記工程と同様に薄くてもよい。金属置換膜5の剥離と形成をさらに繰り返す場合は、それらに使用する金属イオン含有溶液や酸、および金属置換膜5の剥離処理条件や形成条件は、上記各工程と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
次に、レジストパターン2a及び金属置換膜5が形成された基板1を無電解メッキ液に浸漬させる。金属置換膜5が形成されていない状態の基板1を無電解メッキ液に浸漬させると、基板1の表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cにメッキ金属が析出する。一方、金属置換膜5が形成された基板1を無電解メッキ液に浸漬させると、金属置換膜5の金属がメッキ金属で置換される。この結果、いずれの場合にも、図6に示すように、基板1の表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cに無電解メッキ膜からなる光吸収層3が形成される。
無電解メッキ液としては、基板1を形成する金属のイオン化傾向よりも小さい金属(金属置換膜を備える場合にはこの金属置換膜を形成する金属のイオン化傾向よりも小さい金属)を含み、かつ、基板1の表面1aよりも光反射率の低い金属であれば、無電解メッキ液を使用することができる。このような無電解メッキ液として、例えば、無電解ニッケルメッキ液、無電解黒ニッケルメッキ液、無電解銅メッキ液などが挙げられる。無電解メッキ処理条件(例えば、浸漬温度および浸漬時間)は、使用する基板1や無電解メッキ液、形成された金属置換膜5の種類などに応じて適宜設定することができる。
金属置換膜5を形成した状態で無電解メッキを行う場合、金属置換膜5の金属とメッキ金属とが置換され、基板1に対してより密着性の高い無電解メッキ膜を形成することができる。また、当該金属置換膜5を形成する際に、金属イオン含有溶液として亜鉛イオンを含むアルカリ性溶液を使用することにより、当該無電解メッキ処理において亜鉛とニッケルまたは銅との置換が進行しやすく、アルミニウムまたはアルミニウム合金表面に無電解ニッケルメッキ膜または無電解銅メッキ膜を容易に形成することができる。
金属置換膜5を形成する際に、例えば一度形成した金属置換膜5を剥離して、再度金属置換膜5を形成させることにより、光吸収層3の密着性がより高まることを見出した。この理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、金属置換膜5を剥離することによって新鮮な反射面が露出し、この露出部分に再度金属置換膜5を形成すると、この金属置換膜5の金属粒子は、その前に形成した金属置換膜5(剥離したもの)の金属粒子に比べて微細なものとなる。金属粒子が微細であるほど金属置換膜5の表面積が大きくなる。このため、この金属置換膜5上に形成される無電解メッキ膜の密着性はより向上すると推察される。
光吸収層3を形成した後、フォトレジスト層2(レジストパターン2a)を除去する。レジストパターン2aの除去方法としては、例えば当該レジストパターン2aが形成された基板1をレジスト剥離液に浸漬する方法などが挙げられる。レジスト剥離液としては、例えば、使用したフォトレジストの種類に応じて適宜選択して使用することができる。また、浸漬処理条件は使用するレジスト剥離液の種類に応じて適宜設定することができる。レジストパターン2aを除去することにより、図7に示すように、基板1の表面1aの一部が光吸収層3から露出する光反射領域15が形成される。
次に、光反射領域15や光吸収層3の酸化などによる劣化を防止するため、図8に示すように、基板1の表面1a側全面に保護層4を形成する。当該保護層4は、例えばスピンコーティングなどの塗装方法により耐酸化膜形成材料などを塗布したり、真空蒸着やスッパタリングなどの真空プロセスにより誘電体材料を付着させたりすることで形成することができる。このようにして、光学式エンコーダ用反射板10Aが得られる。
次に、上記の光学式エンコーダ用反射板10Aの製造工程のうち、露光処理についてより詳細に説明する。当該露光処理では、フォトレジスト層2に対して露光パターンを形成する。当該露光パターンを形成する場合、例えば基板1の外周面1bを基準位置として位置決めする方法と、基板1の内周面1cを基準位置として位置決めする方法とがある。
まず、図9〜図12に示すように、基板1の外周面1bを基準位置として露光パターンの形成位置を設定する方法について説明する。図9は、基板1の表面1aにフォトレジスト層2を形成した状態を示す図である。図9は、基板1全体についての断面図である。
露光処理を行う際には、まずフォトレジスト層2が形成された上記基板1を、図10に示すように工具50に取り付ける。工具50としては、例えば段部50aが形成されているものを用いる。当該段部50aには、基板1の外周面1bとほぼ同一の径を有する円形の壁部50bが形成されている。図10に示すように、基板1は外周面1bのほぼ全面が壁部50bに密接した状態で保持される。
この状態で、図11に示すように、例えば所望のパターン(例えば光学式エンコーダの光反射パターンなど)PTが形成されたフォトマスク60を基板1に密着または近接させて設置させる。フォトマスク60は、例えば工具50との間で位置合わせが行われた状態で基板1に対して設置させる。したがって、基板1は、外周面1bを基準としてフォトマスク60(パターンPT)との間で位置決めされた状態となる。
次に、図12に示すように、フォトマスク60の図中上方から所定の波長のエネルギー線(紫外線など)を水銀ランプなどの光源を用いてフォトレジスト層2に照射して所定時間露光する。露光条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて適宜設定することができる。フォトマスク60は特に限定されず、例えば、ガラス基板(好ましくは、石英ガラス基板)上にクロムなどを用いてパターンPTを形成したものなどが挙げられる。以上の処理により、フォトマスク60に形成されたパターンPTに対応する像がフォトレジスト層2に転写され、当該フォトレジスト層2が露光される。
次に、図13〜図16に示すように、基板1の内周面1cを基準位置として露光パターンの形成位置を設定する方法について説明する。図13は、基板1の表面1aにフォトレジスト層2を形成した状態を示す図である。図13は、基板1全体についての断面図である。
露光処理を行う際には、まずフォトレジスト層2が形成された上記基板1を、図14に示すように工具50に取り付ける。工具50としては、例えば突出部70aが形成されているものを用いる。当該突出部70aには、基板1の内周面1cにほぼ一致するように円筒面70bが形成されている。図14に示すように、基板1は内周面1cのほぼ全面が円筒面70bに密接した状態で保持される。
この状態で、図15に示すように、例えば所望のパターン(例えば光学式エンコーダの光反射パターンなど)PTが形成されたフォトマスク80を基板1に密着または近接させて設置させる。フォトマスク80としては、例えば基板1の内周と同一径の円形の開口部80aが形成されたフォトマスク80を用いることができる。フォトマスク80は、開口部80aが突出部70aに挿入された状態で基板1に対して設置させる。したがって、基板1は、内周を基準としてフォトマスク80(パターンPT)との間で位置決めされた状態となる。
次に、図16に示すように、フォトマスク80の図中上方から所定の波長のエネルギー線(紫外線など)を水銀ランプなどの光源を用いてフォトレジスト層2に照射して所定時間露光する。露光条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて適宜設定することができる。以上の処理により、フォトマスク60に形成されたパターンPTに対応する像がフォトレジスト層2に転写され、当該フォトレジスト層2が露光される。
上記のように円環状に形成された基板1に対する露光処理においては、当該基板1の外周面1b及び内周面1cのいずれを基準位置とすることもできる。この場合、外周面1b又は内周面1cの円形の形状を利用することにより、露光パターンひいては光反射領域15を外周面1b又は内周面1cと同心円上に複数並んだ状態で形成することができるなお、基板1が例えば円形などの場合(外周のみが設けられている場合)には、当該基板1の外周面1bを基準位置とすることで、同様に複数の光反射領域15を当該外周と同心円上に並んだ状態で形成することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る光学式エンコーダ用反射板10Aは、光を反射する表面1aを有する基板1と、当該表面1aのうち所定の光反射領域15を空けた領域と基板1のうち表面1aとは異なる外周面1b及び内周面1cとに跨って形成され、光を吸収する光吸収層3とを備えることとしたので、基板1のうち表面1aとは異なる部分(例えば外周面1bや内周面1c)に到達した光は光吸収層3によって吸収されることになる。したがって、当該部分(例えば外周面1bや内周面1c)での光反射が低減されることになる。これにより、所定の光反射領域15とは異なる部分における光反射を防ぐことが可能となる。
加えて、本実施形態に係る光学式エンコーダ用反射板10Aは、光を透過可能な材料を用いて形成され表面1a及び光吸収層3を覆う保護層4を備えることとしたので、基板1の表面1a側を保護することができる。これにより、本実施形態では、基板1の表面1aの劣化を防ぐことができる。これにより、光反射特性が低下しにくい光学式エンコーダ用反射板10Aを提供することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図17は、本実施形態に係る光学式エンコーダ用反射板10(10B)の構成を示す断面図である。図17に示すように、光学式エンコーダ用反射板10Bは、第一実施形態に記載の光学式エンコーダ用反射板10Aに加えて被覆層12aを有する構成となっている。
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図17は、本実施形態に係る光学式エンコーダ用反射板10(10B)の構成を示す断面図である。図17に示すように、光学式エンコーダ用反射板10Bは、第一実施形態に記載の光学式エンコーダ用反射板10Aに加えて被覆層12aを有する構成となっている。
被覆層12aは、光反射領域15における基板1の表面1aを覆うように形成されている。被覆層12aは、例えば光透過性を有する材料を用いて形成されている。このような材料としては、例えば樹脂などの有機材料、金属酸化物などの無機材料が挙げられる。被覆層12aが設けられていることにより、基板1の表面1aが保護されるため、基板1や光吸収層3の腐食が発生しにくくなる。
また、本実施形態においても、光吸収層3は、基板1の外周面1b及び内周面1cにはみ出し部分3bを有している。このように、光学式エンコーダ用反射板10Bは、保護層4、被覆層12a及びはみ出し部分3bを有しているため、光吸収層3と基板1との境界部分がより強く保護される構成となっている。
次に、光学式エンコーダ用反射板10Bの製造方法を説明する。
まず、図18に示すように、基板1の表面1aに光透過性フォトレジスト層12を形成する。上記第一実施形態と同様、例えばスピンナなどの塗工装置を用いて基板1の表面1aに光透過性を有するフォトレジストを一様に塗布することで光透過性フォトレジスト層12を形成する。フォトレジストは、例えば光学式エンコーダに設けられる検出光を透過する材料であれば、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。光透過性フォトレジスト層12を形成した後、当該光透過性フォトレジスト層12に対して所定の条件で加熱処理(プレベーク)を施す。プレベーク条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて適宜設定することができる。
まず、図18に示すように、基板1の表面1aに光透過性フォトレジスト層12を形成する。上記第一実施形態と同様、例えばスピンナなどの塗工装置を用いて基板1の表面1aに光透過性を有するフォトレジストを一様に塗布することで光透過性フォトレジスト層12を形成する。フォトレジストは、例えば光学式エンコーダに設けられる検出光を透過する材料であれば、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。光透過性フォトレジスト層12を形成した後、当該光透過性フォトレジスト層12に対して所定の条件で加熱処理(プレベーク)を施す。プレベーク条件は、使用するフォトレジストの種類などに応じて適宜設定することができる。
次に、光透過性フォトレジスト層12に所定のパターンの像を投影して当該フォトレジスト層2を露光すると共に、露光処理後、所定の現像液を用いて現像する。これらの処理により、図19に示すように、基板1の表面1aに光透過性レジストパターンである被覆層12aが形成される。現像処理の後、第一実施形態と同様、必要に応じて、被覆層12aが形成された基板1の表面1a全体を苛性処理液に浸漬させて苛性処理を施しても構わない。苛性処理を施した場合、当該苛性処理の後に基板1の表面1a全体を中和処理液に浸漬し、基板1の表面1aのうち被覆層12aに対する上記露出部分を中和する。
次に、基板1の表面1aを形成する金属のイオン化傾向よりも小さく、かつ、光吸収層3を形成する金属のイオン化傾向よりも大きいイオン化傾向を有する金属のイオンを含有するアルカリ性の溶液(以下、「金属イオン含有溶液」という。)に、基板1を浸漬させる。これにより、図20に示すように、基板1の表面1aの露出部分、基板1の外周面1b及び内周面1cの金属がそれぞれ金属イオン含有溶液中の金属で置換され、被覆層12aに対する表面1aの露出部分に金属置換膜5が形成される。なお、上記第一実施形態と同様、当該金属置換膜5を必ずしも形成しなくても構わない。
次に、被覆層12a及び金属置換膜5が形成された基板1を無電解メッキ液に浸漬させる。金属置換膜5が形成されていない状態の基板1を無電解メッキ液に浸漬させると、基板1の表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cにメッキ金属が析出する。一方、金属置換膜5が形成された基板1を無電解メッキ液に浸漬させると、金属置換膜5の金属がメッキ金属で置換される。この結果、いずれの場合にも、図21に示すように、基板1の表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cに無電解メッキ膜からなる光吸収層3が形成される。
次に、被覆層12aを除去せずに残留させたまま、図22に示すように、基板1の表面1a側全面に保護層4を形成する。これにより、当該被覆層12aによって覆われた光反射領域15や光吸収層3の酸化などによる劣化を防止することができる。保護層4は、例えばスピンコーティングなどの塗装方法により耐酸化膜形成材料などを塗布したり、真空蒸着やスッパタリングなどの真空プロセスにより誘電体材料を付着させたりすることで形成することができる。したがって、保護層4は、被覆層12aの上に形成されることになる。このようにして、光学式エンコーダ用反射板10Bが得られる。
このように、本実施形態によれば、光吸収層3のはみ出し部分3b、保護層4に加えて被覆層12aが設けられる構成としたので、基板1の光反射領域15が腐食したり酸化したりして劣化するのを防ぐことができる。これにより、光反射特性が低下しにくい光学式エンコーダ用反射板10Bを提供することができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態を説明する。本実施形態では、第一実施形態及び第二実施形態で説明した光学式エンコーダ用反射板を搭載した光学式エンコーダ(以下、単にエンコーダと表記する)ECについて説明する。図23は、エンコーダECの構成を示す斜視図である。
次に、本発明の第三実施形態を説明する。本実施形態では、第一実施形態及び第二実施形態で説明した光学式エンコーダ用反射板を搭載した光学式エンコーダ(以下、単にエンコーダと表記する)ECについて説明する。図23は、エンコーダECの構成を示す斜視図である。
図23に示すように、エンコーダECは、モーター装置MTRの回転軸SFなどの回転体の回転情報(回転数、回転角度など)を検出する装置である。エンコーダECは、回転部R及び検出部Dを有している。エンコーダECは、回転部Rと検出部Dとが対向配置された状態で用いられる。図24は、エンコーダECの回転部Rの構成を示す斜視図である。以下、図23及び図24を参照して、エンコーダECの構成を説明する。
回転部Rは、モーター装置MTRの回転軸SFに取り付けられ、回転軸SFと一体的に回転する。回転部Rは、回転軸SFに固定させるハブHBと、当該ハブHBに固定される反射板RFとを有している。ハブHBは、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金などによって形成されている。ハブHBは、回転軸SFを貫通させる貫通孔OPが形成された板状部90を有している。板状部90のうち図23の上側及び下側のそれぞれの面には、円筒状に形成された突出部90a及び90bが設けられている。突出部90aの径は、突出部90bの径よりもやや小さくなっている。このため、突出部90aと突出部90bとの間には段部90cが形成されている。
反射板RFは、当該段部90cに取り付けられている。反射板RFとしては、例えば上記第一実施形態及び第二実施形態のいずれかに記載の光学式エンコーダ用反射板10(10A又は10B)が用いられている。反射板RFは、内周面RFcが段部90cの壁面90dのほぼ全面に密着された状態でハブHBに取り付けられている。反射板RFとハブHBとが例えば不図示の接着剤などを介して接着された構成であっても構わない。
反射板RFの表面RFaには、例えば2種類の光反射パターンRP1及びRP2が形成されている。当該光反射パターンRP1及びRP2は、それぞれ円周方向に沿って並んだ複数の光反射領域15を有している。光反射パターンRP1は反射板RFの外周面RFb側に1列に設けられており、光反射パターンRP2は反射板RFの内周面RFc側に1列に設けられている。
反射板RFの内周面RFcの寸法精度としては、例えば2μm〜3μm以下の精度を得ることが可能である。反射板RFを形成する際、例えば内周面RFcと外周面RFbとを同時に加工することにより、外周面RFbの同心度についても同様に高い精度を得ることが可能となる。このため、上記第一実施形態に記載のように反射板RFの内周面RFc又は外周面RFbのいずれを基準として光反射領域15を形成することにより、高い同心度を持った光反射パターンRP1及びRP2が得られることになる。このため、検出精度の高いエンコーダECが得られることとなる。
モーター装置MTRの回転軸SFには、不図示のベアリングが配置されている。当該ベアリングには、内部にグリースや油などが供給されている。回転軸SFが回転すると、当該ベアリング内部のグリースや油が回転によって飛散する場合がある。当該グリースや油が光反射パターンRP1及びRP2に付着すると、検出部Dにおける検出精度が低下してしまう。
これに対して、流通低減部として突出部90a及び90bがハブHBに設けられているため、モーター装置MTRの回転軸SFに配置した不図示のベアリングから反射板RFの表面RFa側(光反射パターンRP1及びRP2側)に飛散するグリースや油などが塞き止められることになる。このため、光反射パターンRP1及びRP2にグリースや油などが付着するのを防ぐことができる構成となっている。このように、ハブHBの一部にラビリンスのような防油機能を付加することで、簡単な構造で、さらに信頼性を向上したエンコーダECが得られる。
検出部Dは、上記の光反射パターンRP1及びRP2を検出する。検出部Dは、発光素子DL及び受光素子DR1及びDR2を有している。検出部Dは、例えばコップ状に形成された支持部Sの底部に取り付けられている。支持部Sは、縁部がモーター装置MTRの筐体に固定されており、かつ、どの部分も回転軸SFには固定されていない状態となっている。このため、回転軸SFが回転しても、支持部Sとモーター装置MTRの筐体との相対位置が変化しないようになっている。検出部Dは、不図示の制御装置に接続されており、検出結果が当該制御装置に送信されるようになっている。
発光素子DLは、光反射パターンRP1及びRP2のそれぞれへ向けて検出光を射出する。発光素子DLとしては、例えばLEDなどが用いられる。受光素子DR1は、例えば光反射パターンRP1によって反射された検出光の進行方向上に配置されており、当該反射光を受光する。受光素子DR2は、例えば光反射パターンRP2によって反射された検出光の進行方向上に配置されており、当該反射光を受光する。受光素子DR1及びDR2としては、例えば光電素子などが用いられる。
上記のように構成されたエンコーダECにおいては、モーター装置MTRの回転軸SFが回転すると、当該回転軸SFに取り付けられた回転部Rが回転軸SFと一体的に回転する。モーター装置MTRに固定された検出部Dについては、回転軸SFには接続されていないため、回転せずに静止した状態となる。
回転部Rが回転すると、当該回転部Rの反射板RFに形成された光反射パターンRP1及びRP2が回転方向に移動する。制御装置は、検出部Dの発光素子DLから光反射パターンRP1及びRP2へ向けて検出光を射出させる。当該検出光は、光反射パターンRP1及びRP2においてそれぞれ反射される。各反射光は、それぞれ受光素子DR1及びDR2に入射し、電気信号に変換されて制御装置へ送信される。制御装置では、当該電気信号に基づいて回転軸SFの回転情報を検出する。
反射板RFとして、第一実施形態及び第二実施形態の光学式エンコーダ用反射板10A及び10Bが用いられている場合、基板1の表面1aのうち光反射領域15が保護層4あるいは被覆層12aで覆われた構成となっている。これに対して、保護層4及び被覆層12aが発光素子DLからの検出光に対して光透過可能な材料を用いて形成されているため、検出光は保護層4又は被覆層12aを透過して光反射領域15で反射され、反射光は保護層4及び被覆層12aを透過して受光素子DR1及びDR2に到達することとなる。
以上のように、本実施形態によれば、回転部Rの反射板RFとして、上記第一実施形態及び第二実施形態のいずれかに記載の光学式エンコーダ用反射板10を用いることとしたので、反射板RFのうち光反射領域15とは異なる部分(例えば外周面RFbや内周面RFc)に到達した光は光吸収層3によって吸収されることになる。したがって、当該部分での光反射が回避されることになる。所定の光反射領域15とは異なる部分における光反射を防ぐことが可能となるため、エンコーダECにおける誤検出を回避することができる。これにより、検出精度が安定した信頼性の高いエンコーダECを得ることができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、光吸収層3のはみ出し部分3bが基板1の外周面1b及び内周面1cの一部分に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、図25に示すように、はみ出し部分3bが外周面1b及び内周面1cの全面に亘って設けられた構成であっても構わない。
例えば、上記実施形態においては、光吸収層3のはみ出し部分3bが基板1の外周面1b及び内周面1cの一部分に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、図25に示すように、はみ出し部分3bが外周面1b及び内周面1cの全面に亘って設けられた構成であっても構わない。
また、例えば図26に示すように、基板1の裏面1dにも光吸収層3のはみ出し部分3cが設けられた構成であっても構わない。図26に示す構成では、はみ出し部分3cがはみ出し部分3bに接続された状態となっている。例えば図26の実線部分に示すように、はみ出し部分3cが、裏面1dの一部分に形成された構成であっても構わない。例えば図26の破線部分に示すように、はみ出し部分3cが裏面1dの全面に亘って形成された構成であっても構わない。
例えば光学式エンコーダ用反射板10の製造過程において、基板1の表面1a、外周面1b、内周面1c及び裏面1dの全面を無電解メッキ液に浸漬させることで、光反射領域15以外の領域の全面に光吸収層3が形成された構成とすることができる。この場合、光反射領域15以外の全領域において光が吸収されるため、誤検出を極力回避することができる。
また、上記実施形態では、光吸収層3が無電解メッキ法によって形成された無電解メッキ膜である例を挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば光吸収層3が電解酸化法によって形成された電解酸化膜であっても構わない。
光吸収層3が電解酸化膜である場合、当該光吸収層3の構成物質は、光反射面である基板1の表面1aと直接的な結びつきを有し、基板1の表面1aに対する光吸収層3の密着性が非常に高い。電解酸化処理(ウェットプロセス)の使用は、光反射領域15と非反射領域を形成する際の真空プロセスの使用の回避、及び/又は低コスト化に有利である。また、電解酸化処理の使用は、高精細なパターン形成、所定膜厚の確保、及び/又は膜厚の均一性に有利であり、高分解能の光学式エンコーダに対応したパターンを備えた反射板に好ましく適用できる。
光吸収層3を電解酸化膜として形成する場合の製造方法を説明する。この工程では、鏡面状に形成された基板1の表面1aの一部に電解酸化を施して電解酸化膜である光吸収層3を形成する。
先ず、図27に示すように、鏡面状の反射面を有する基板1の表面1aに上記実施形態に記載の手法と同様の手法を用いてフォトレジスト膜2を形成する。当該フォトレジスト膜を露光して、露光後に所定の現像液を用いて現像し、図28に示すように、レジストパターン2aを形成する。
次に、現像後の基板1に電極を接続し、電解酸化処理液に浸漬する。電解酸化処理液は、使用する基板1の種類に応じて適宜決定される。例えば、基板1として少なくとも表面がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材を使用した場合には、例えば1リットルの純水に濃度75%の硫酸180gを混合したアルマイト処理液などを電解酸化処理液として使用する。電解酸化処理液に浸漬した基板1に所定の電流密度で所定時間通電する。電解酸化処理液の温度、電流密度、および通電時間は使用する基板1や電解酸化処理液の種類に応じて適宜決定される。
この通電により、基板1の表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cが電極酸化され、図29に示すように、当該表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cに無数の微細な孔が形成された電解酸化膜である光吸収層3が形成される。この光吸収層3の種類は使用する基板1の種類に依存し、基板1がアルミニウムの場合には酸化アルミニウム膜、アルミニウム合金の場合には酸化アルミニウム合金膜である。
光吸収層3の膜厚は通常約2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100μmであり、約10〜70μmであるのが好ましく、約15〜50μmであることがより好ましい。光吸収層3の膜厚が15μm未満になるとその部分の反射率が十分に低下しない傾向にあり、他方、50μmを超えると製造時間が長くなり、コストアップする傾向にある。光吸収層3は通常、その一部が基板1の反射面から盛り上がるように形成され、残りの部分が基板1の反射面より下側に形成される。盛り上がった部分の厚みは通常、光吸収層3全体の約1/3〜1/2程度である。
このようにして形成された光吸収層3の反射率は、例えば、基板1の表面1aの反射率の約90、80、70、60、50、40、30、20、又は10%以下であるのが好ましく、50%以下であることがより好ましい。基板1の反射面の反射率に対する光吸収層3の反射率の割合が50%を超えると反射領域と非反射領域との間で反射率の差が小さくなり、正確な位置決めが困難になる傾向ある。光吸収層3の反射率は、反射面の反射率より低く、例えば、約80、70、60、50、40、30、20、10、5%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましい。
本実施形態において、基板1の表面1aと光吸収層3との反射率の差をより拡げるために、例えば光吸収層3(非反射領域)を染色しても構わない。これにより光吸収層3の反射率が低下する。この染色処理は、基板1の表面1aの染色を防止するため、例えばレジストパターン2aを除去する前に施すようにする。
染色方法としては、電解酸化工程を行った後の基板1を染色液に浸漬して光吸収層3に染料を含浸させる方法が挙げられる。また、含浸された染料は光吸収層3の孔に入りこんでいるため、この孔の入口を塞ぐことにより染料を孔中に封入し、洗浄処理などの際の脱色を防止することができる。この封入は染色処理後の反射板材料を封孔液に浸漬することにより実施することができる。
染色液としては、純水に黒色染料を溶解した黒色染色液、および黒色に順ずる濃色の染色液が挙げられるが、非反射領域の反射率をより低減できる点で黒色染色液が好ましい。また、前記封孔液としては、酢酸ニッケル系や酢酸コバルト系などの薬剤を水に溶解したものが挙げられる。
次に、図30に示すように、レジストパターン2aを除去する。レジストパターンの除去方法としては、電解酸化工程または染色工程を行った後の基板1をレジスト剥離液に浸漬する方法などが挙げられる。レジスト剥離液としては、使用したフォトレジストの種類に応じて適宜選択して使用することができる。また、浸漬処理条件は使用するレジスト剥離液の種類に応じて適宜設定される。
このようにしてレジストパターンを除去することにより基板1の反射面の電解酸化されていない部分(鏡面部分)が露出し、この鏡面部分からなる光反射領域15と電解酸化膜である光吸収層3からなる非反射領域とを有する光学式エンコーダ用反射板を得ることができる。
上記の製造方法により得られた光学式エンコーダ用反射板は、基板1の表面1aの露出部分、外周面1b及び内周面1cを直接電解酸化しているため、形成される電解酸化膜と基材との剥離が発生しない。また、上記の製造方法は、光反射領域15と光反射層3とを形成する際に真空プロセスを使用しないため、従来の光学式エンコーダ用反射板の製造方法に比べて低コストで生産性の高いものである。
上記製造過程において、必要に応じて後述する染色処理を施した後、通常、レジストパターンを除去するが、フォトレジストとして光透過性フォトレジスト(被覆層12aを形成する場合のフォトレジスト)を使用した場合には、透明レジストパターンを除去せず、光透過性フォトレジストのレジストパターンを当該被覆層12aとして残留させておくようにしても構わない。
10(10A、10B)…光学式エンコーダ用反射板 EC…エンコーダ 1…基板 RF…反射板 1a、RFa…表面 1b、RFc…内周面 1c、RFb…外周面 1d…裏面 3…光吸収層 3b、3c…はみ出し部分 4…保護層 15…光反射領域
Claims (13)
- 光を反射する光反射面を有する基板と、
前記光反射面のうち所定領域を空けた第一領域と前記基板のうち前記光反射面から外れた第二領域とに跨って形成され、前記光を吸収する光吸収層と、
前記光を透過可能な材料を用いて形成され、前記光反射面及び前記光吸収層を覆う保護層と
を備える光学式エンコーダ用反射板。 - 前記光吸収層は、無電解メッキ膜又は電解酸化膜を含む
請求項1に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記基板は、前記光反射面に平行に形成された裏面、及び、前記光反射面と前記裏面とを接続する側面、を有し、
前記第二領域は、少なくとも前記側面の一部に設けられる
請求項1又は請求項2に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記第二領域は、前記側面のほぼ全面に設けられる
請求項3に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記第二領域は、前記側面及び前記裏面に設けられる
請求項3又は請求項4に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記基板は、金属材料を用いて形成されている
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 光透過可能な材料を用いて形成され、前記所定領域を覆う被覆層
を備える請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記基板は、円形に形成されており、
前記所定領域は、前記基板の外周に沿って複数配置されている
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記所定領域は、前記基板の基準位置を中心とした円の円周に沿って複数配置されている
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記基板は、外部に接続される被接続部を有し、
前記基準位置は、前記被接続部に設けられる
請求項9に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 前記基板は、前記表面への液状体の流通を低減する流通低減部を有する
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の光学式エンコーダ用反射板。 - 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光学式エンコーダ用反射板を備える
エンコーダ。 - 光を反射する光反射面を有する基板において、前記光を吸収する光吸収層を、前記光反射面のうち所定領域を空けた第一領域と前記基板のうち前記光反射面から外れた第二領域とに跨るように形成する工程と、
前記光反射面及び前記光吸収層を覆う保護層を、前記光を透過可能な材料を用いて形成する工程と
を含む光学式エンコーダ用反射板の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016113688A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-23 | キヤノン・コンポーネンツ株式会社 | めっき皮膜付樹脂製品及びその製造方法、並びにエンコーダ |
-
2010
- 2010-09-15 JP JP2010206624A patent/JP2012063200A/ja active Pending
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