JP3571396B2 - カラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はカラーフィルタとカラーフィルタの製造方法に係り、特に液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)においては、近年のカラー化の要請に対応するために、アクティブマトリックス方式および単純マトリックス方式のいずれの方式においてもカラーフィルタが用いられている。例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式の液晶ディスプレイでは、カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色が用いられ、R,G,Bのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R,G,Bのそれぞれの画素を光が透過してカラー表示が行われる。そして、色混合は2色以上の画素に対応する液晶シャッタを開いて混色し別の色に見せる加色混合の原理により網膜上で視覚的に行われる。
【0003】
上記のカラーフィルタは、その形成方法により次のようなものがあり、要求されている特性としては、平坦性、パターン解像性、分光性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、低製造コスト等が挙げられる。
(A)染色法カラーフィルタ
ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂に重クロム酸塩等の感光剤を添加した塗工液を、スピンコート法等により透明ガラス基板上に0.4〜2μm程度の膜厚に塗布後、所定形状のマスクを介して露光・現像して被染色層を形成し、この被染色層を酸性染料または反応性染料で染色して第1色目の着色層を形成する。次に、第1色目の着色層上に二度染め防止のためのアクリル、ウレタン、エポキシ等の防染層を形成してから第2色目以降の着色層を同様の工程で形成し、R,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成する。
(B)分散法カラーフィルタ
透明な感光性樹脂に着色剤として染料、有機顔料、無機顔料等を分散した感光液を透明基板上に塗布して感光性樹脂層を形成する。次に、この感光性樹脂層を所定形状のマスクを介して露光・現像して第1色目の着色層を形成し、同様にして第2色目以降の着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成する。
【0004】
しかし、上述の(A)染色法では、色変えの度にフォトリソグラフィ工程の処理を行う必要があり、さらに、二度染め防止用の防染層を形成する必要があるため、工程が煩雑となり、製造コスト面で問題があった。また、着色剤として染料を用いているため耐熱性、耐候性、耐薬品性等が劣るという問題もあった。
【0005】
また、(B)分散法では、耐熱性、耐候性、耐薬品性等に優れたカラーフィルタの製造が可能であるが、着色された感光液の均一塗布工程が複数回必要であり、工程が煩雑となり製造コスト面で問題があった。さらに、透明基板を大面積化することが困難であるという問題もあった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、電着によるカラーフィルタの製造方法が開発されている。電着法では、例えば、基板上に形成された透明電極をパターニングし、パターン化された透明電極のうち同色の着色層を形成する箇所にのみ選択的に電圧を印加し、着色電着浴中で電着を行って第1色目の着色層が形成される。次に、別の色の着色層を形成する箇所にのみ選択的に電圧を印加し、同様にして第2色目以降の着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成する(特開昭59−90818号等)。
【0007】
また、他の電着法として、基板上に透明電極を形成し、全面にポジ型感光性樹脂層を設け、第1色目用のパターンで露光・現像を行い、露出した透明電極上に着色電着浴中で電着を行って第1色目の着色層が形成され、次に、別の色の着色層を形成する箇所にのみ露光・現像を行い、同様にして第2色目以降の着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成するものがある(特開昭61−279803号等)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような電着法により形成された着色層は、着色材料として顔料を使用することにより耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れ、また、電気化学的な成膜方法であるため、均一性に優れ大面積化に対応できる利点がある。
【0009】
しかし、上記のような電着によるカラーフィルタの製造において、着色層の形成前に金属クロム等で遮光層(ブラックマトリックス)を形成した場合、ブラックマトリックスには導電性があるため、着色層形成時にブラックマトリックス上にも着色層が形成されてしまい、平坦性を著しく損なうという問題があった。
【0010】
この問題は、黒色顔料を分散させた材料を用いてブラックマトリックスを形成する場合であっても、黒色顔料としてカーボンブラック等の導電性材料を使用したときに、同様に生じる問題である。
【0011】
更に、R,G,Bからなる着色層を形成した後に、黒色顔料を分散させたフォトレジストを塗布し、露光・現像によってブラックマトリックスを形成する方法が提案されているが、遮光性材料に光反応を利用することに相反関係があり、充分な光学濃度を有するブラックマトリックスが得られないという問題があった。また、上述の電着法により着色層を形成した後、無電解メッキによってブラックマトリックスを形成する方法が提案されている(特開平6−273610号)。しかし、特開昭61−279803号等に示されるように、全面塗布した感光性樹脂層を各色の着色層を形成するごとに露光した場合、露光回数の増加にともなって感光性樹脂の解像度が低下し、特に最終色として形成された着色層は解像度が低く、その後に形成されるブラックマトリックスは、一定面積の各色の着色層を形成する必要性から着色層の一部を覆うように形成され、このためカラーフィルタの平坦性を著しく損なうという問題があった。
【0012】
このような問題は、電着法に限らず、電解ミセル法等の電気化学反応を利用したカラーフィルタの製造方法すべてに発生する。
【0013】
一方、上述の電着法による着色層形成では、透明基板上に透明電極を形成することが必須となるが、この透明電極がカラーフィルタの端部に露出している場合、このようなカラーフィルタが液晶ディスプレイとして使用された際に、高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成され、リード線や接続線が電気分解されて断線する電蝕が生じるという問題がある。
【0014】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、充分な光学濃度とパターン精度を有するブラックマトリックスを備えて平坦性に優れるとともに、液晶ディスプレイとして使用された際の電蝕発生のないカラーフィルタと、このようなカラーフィルタを効率よく得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のカラーフィルタの製造方法は透明基板上に、全面ベタあるいは所定のパターンで透明電極を形成する第1の工程と、前記透明電極上に、親水性樹脂と無電解メッキの触媒とを含有する非導電性のレリーフを所定のパターンで形成する第2の工程と、前記レリーフが形成されていない前記透明電極上に、複数色の着色パターンを電気化学的反応を利用して順次形成して所定の色数からなる着色層を形成する第3の工程と、前記レリーフを無電解メッキ液に接触させることにより前記レリーフ内にのみ金属を析出させて、前記レリーフを遮光層とする第4の工程と、を有するような構成とした。
【0016】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は透明基板上に、全面ベタあるいは所定のパターンで透明電極を形成する第1の工程と、前記透明電極上に、親水性樹脂を含有する非導電性のレリーフを所定のパターンで形成する第2の工程と、前記レリーフが形成されていない前記透明電極上に、複数色の着色パターンを電気化学的反応を利用して順次形成して所定の色数からなる親油性の着色層を形成する第3の工程と、前記レリーフに無電解メッキの触媒を含有させた後に無電解メッキ液に接触させることにより前記レリーフ内にのみ金属を析出させて、前記レリーフを遮光層とする第4の工程と、を有するような構成とした。
【0017】
さらに、本発明のカラーフィルタは上記のような方法によって製造され、透明基板と、該透明基板上に形成された透明電極と、該透明電極上に電気化学的反応を利用して所定のパターンで形成された複数の着色パターンからなる着色層と、該着色パターン間に位置し、かつ、前記透明電極を覆うように無電解メッキによって形成されたブラックマトリックスとを有し、前記透明電極の形成領域の周縁部は、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて前記透明基板の端部よりも内側に位置するような構成とした。
【0018】
【作用】
透明基板上に形成された透明電極上に電気化学的反応を利用して複数色の着色パターンを順次形成して所望の着色層が形成される際に、透明電極上には既に非導電性のレリーフが形成されているため、着色層は上記のレリーフを覆うことなく形成され、しかも、上記のレリーフは親水性樹脂と無電解メッキの触媒とを、あるいは親水性樹脂を含有しており、このレリーフが無電解メッキ液と接触して、あるいは無電解メッキの触媒を含有させた後に無電解メッキ液と接触して、レリーフ内にのみ金属が析出され遮光層が形成されるので、従来法に比べて高精度でかつ平坦性に優れた着色層と遮光層の微細パターンが形成され、遮光層は充分な光学濃度を有する。また、透明電極の形成領域の周縁部が、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて透明基板の端部よりも内側に位置するので、この透明電極と透明基板の端部とが電気的に絶縁分離され、カラーフィルタが液晶ディスプレイとして使用された際に、高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で使用されても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることはない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。図1において、まず、第1の工程として、透明基板2の全面に酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電性物質により透明電極3を形成する(図1(A))。このような透明電極3の形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成され、厚みは200〜2000Å程度が好ましい。
【0021】
次に、第2の工程として、透明電極3の全面に親水性樹脂を含有する感光性レジストを塗布して感光性レジスト層4を形成し、ブラックマトリックス用のフォトマスク10を介して感光性レジスト層4を露光する(図1(B))。そして、露光後の感光性レジスト層4を現像してブラックマトリックス用のパターンを有するレリーフを形成し、この透明基板2に熱処理(100〜200℃、5〜30分間)を施した後、レリーフに無電解メッキの触媒となる金属化合物の水溶液を塗布し水洗して非導電性のレリーフ5とする(図1(C))。
【0022】
その後、第3の工程として、まず、レリーフ5が形成された透明電極3上に感光性レジストを塗布し、赤色の着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層4´を露光・現像して赤色の着色層に対応したパターンで透明電極3を露出させる。そして、赤色顔料を分散させた電着浴中に上記の透明基板2を浸漬し、透明電極3に直流電圧を印加して、露出している透明電極3に赤色電着材を析出させ、十分に水洗した後に乾燥してピンホールのない着色層6Rを形成する(図1(D))。次に、緑色の着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層4´を露光・現像し、同様に電着によって透明電極3上に緑色の着色層6Gを形成し、さらに、青色の着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層4´を露光・現像し、同様に電着によって青色の着色層6Bを形成する(図1(E))。このような第3の工程では、1度形成した感光性レジスト層4´を複数回露光するので、感光性レジスト層4´の解像度の低下が生じる。しかし、既に透明電極上にブラックマトリックス用のパターンを有する非導電性のレリーフ5が形成されているため、感光性レジスト層4´の解像度が低下して感光性レジスト層4´の除去位置の精度が低下しても、レリーフ5に囲まれた所望の色の着色層形成部位のみが露出することになり、着色層はレリーフ5の非形成部にのみ形成され、着色層の形成精度の低下を来すことはない。
【0023】
次に、第4の工程として、透明電極3上に形成されているレリーフ5を無電解メッキ液に接触させることにより、このレリーフ5内にのみ金属を析出させて遮光層となしブラックマトリックス7を形成する(図1(F))。さらに、上述のように形成された着色層6R,6G,6Bと、ブラックマトリックス7を覆うように保護層8、透明共通電極9を設けてカラーフィルタ1とする(図1(G))。
【0024】
カラーフィルタ1の透明基板2としては、石英ガラス、パイレックスガラス、合成石英板等の可撓性のないリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有するフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるLCD用のカラーフィルタに適している。
【0025】
上記の第2の工程において用いる感光性レジストとしては、例えばゼラチン、カゼイン、グルー、卵白アルブミン等の天然タンパク質、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、無水マレイン酸共重合体、及び上記の樹脂のカルボン酸変性物あるいはスルホン酸変性物等の親水性樹脂を1種、あるいは複数種を混合したものに対し、例えば、ジアゾ基を有するジアゾニウム化合物およびパラホルムアルデヒドの反応生成物であるジアゾ樹脂、アジド基を有するアジド化合物、ポリビニルアルコールにケイ皮酸を縮合したケイ皮酸縮合樹脂、スチルバゾリウム塩を用いた樹脂、重クロム酸アンモニウム等の光硬化型の感光性基を有するものを添加することで感光性を付与したものを挙げることができる。尚、感光性基は上述の光硬化型感光性基に限定されないことは勿論である。
【0026】
さらに、感光性レジストにはセラミックスや多孔質アルミナ等の無機物質を添加してもよい。このような親水性樹脂あるいは無機物質は、感光性レジスト中に10重量%程度含有されることが好ましい。このように、感光性レジスト中に親水性樹脂が含有されることにより、上述のように触媒を含有するレリーフ5が無電解メッキ液と接触した際に、無電解メッキ液がレリーフ5に浸透し易くなり、レリーフ5中に均一に金属粒子が析出することになる。したがって、形成されたブラックマトリックス7は充分な黒さと低反射率を有することになり、従来のクロム薄膜形成における金属層による反射という問題が解消され得る。
【0027】
また、第2の工程においてレリーフ5に含有させる無電解メッキの触媒は、例えばパラジウム、金、銀、白金、銅等の塩化物、硝酸塩等の水溶性塩、および錯化合物が用いられ、水溶液として市販されている無電解メッキ用のアクチベータ溶液をそのまま用いることができる。
【0028】
尚、レリーフ5に含有される無電解メッキの触媒の含有量は、0.0001〜0.001重量%程度が好ましい。
【0029】
上記の第3の工程において用いられる電着材料は、一般に有機材料(高分子材料)からなり、その原形は電着塗装法としてよく知られている。電着塗装では、電気化学的な主電極との反応によりカチオン電着とアニオン電着とがある。これは、電着材料がカチオンとして存在するか、アニオンとして挙動するかで分類される。電着に用いられる有機高分子物質としては、天然油脂系、合成油脂系、アルキッド樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系等の種々の有機高分子物質が挙げられる。
【0030】
アニオン型では、古くからマレイン化油やポリブタジエン系樹脂がしられており、電着物質に硬化は酸化重合反応による。カチオン型はエポキシ系樹脂が多く、単独あるいは変性されて使用できる。その他に、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂が多く用いられ、熱硬化や光硬化等により強固な着色層が形成できる。
【0031】
液晶カラーフィルタの電着では、アニオン型またはカチオン型電着浴中に微粉砕された顔料や染料を分散させ、イオン性高分子材料とともに導電性部に共析させる。
【0032】
上記の第4の工程において用いる無電解メッキ液は、例えば次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、N−ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド等の還元剤と、例えばニッケル、コバルト、鉄、銅、クロム等の水溶性の被還元性重金属塩と、メッキ速度、還元効率等を向上させるカセイソーダ、水酸化アンモニウム等の塩基性化合物と、無機酸、有機酸等のpH調整剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等のオキシカルボン酸、ホウ酸、炭酸、有機酸、無機酸のアルカリ塩に代表される緩衝剤と、重金属イオンの安定性を目的とした錯化剤の他、反応促進剤、安定剤、界面活性剤等とを有する無電解メッキ液が使用される。
【0033】
上記の保護層8は、カラーフィルタ1の表面平滑化、信頼性の向上および液晶ディスプレイ(LCD)において使用する際の液晶層への汚染防止等を目的とするものであり、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の透明樹脂、あるいは二酸化ケイ素等の透明無機化合物等を用いて形成することができる。このような保護層の厚さは0.5〜50μm程度が好ましい。
【0034】
また、透明共通電極9としては、酸化インジウムスズ(ITO)膜等を用いることができる。ITO膜は蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法により形成することができ、厚さは200〜2000Å程度が好ましい。
【0035】
尚、上述の本発明のカラーフィルタの製造方法では、着色層6R,6G,6Bの形成を電着法により行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、電解ミセル法等の電気化学的反応を利用して着色層を形成することができる。
【0036】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法の他の例として、レリーフ5への無電解メッキの触媒の含有を、第2の工程ではなく、第4の工程で行うものであってもよい。すなわち、着色層6R,6G,6Bが、上述のようなメラミン樹脂系、アクリル樹脂系等により形成されている場合、これらの着色層6R,6G,6Bは親油性を有することになる。このように、着色層6R,6G,6Bが親油性を示す場合、上述の製造方法の第2の工程においてレリーフ5に無電解メッキの触媒を含有させず、第4の工程で、まず、透明基板全面に無電解メッキの触媒となる金属化合物の水溶液を塗布し(この場合、着色層は親油性であるため金属化合物の水溶液は浸透せず、レリーフ5内にのみ金属化合物の水溶液が浸透する)、水洗して触媒含有レリーフとし、その後、レリーフ5を無電解メッキ液に接触させることにより、このレリーフ5内にのみ金属を析出させて遮光層となしブラックマトリックス7を形成するようにしてもよい。
【0037】
上述の実施例では、第1の工程において、透明基板2の全面に透明電極3を形成しているが、本発明のカラーフィルタの製造方法では、透明電極3を所定のパターンで形成してもよい。所定のパターンを有する透明電極3の形成は、例えば、透明基板2の全面に透明電極を形成し、その後エッチングを行う方法、あるいは、透明基板2上に塗布した感光性レジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光・現像し、露出している透明基板2上に透明導電性物質を成膜する方法等、公知の方法にしたがって行うことができる。
【0038】
上記の透明電極3のパターンとしては、本発明により製造されたカラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される際にシール部材が接触する領域のうち導通部が形成される領域を除いた領域を含まないようなパターンが挙げられる。カラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される場合には、カラーフィルタと対向電極基板とを所定の間隔で対向させ、周辺部をシール部材により封止し、間隙部に液晶層が形成される。図2は、カラーフィルタ1が液晶ディスプレイに使用される場合のシール部材が接触する領域を示す図であり、カラーフィルタ1の周辺部は、導通部が形成される領域Bを除いた斜線領域Aにおいてシール部材と接触する。したがって、透明電極3のパターンとしては、例えば、カラーフィルタ1を構成する透明基板2の全面のうちから、斜線領域Aを除いたパターンとすることができる。このように、シール部材が接触する領域に透明電極を形成しないことによって、通常、特殊なエポキシ樹脂からなるシール部材が直接透明基板2に接着することが可能となり、従来から問題となっていたシール部材と透明電極3との接着強度の低さが解消され、構造的にも強固な液晶ディスプレイが可能となる。
【0039】
また、上記の透明電極3のパターンの他の例としては、本発明により製造されたカラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される際に表示部となる領域と導通部となる領域のみを含むようなパターンが挙げられる。図3は、このような透明電極3のパターンを示す図である。図3において、カラーフィルタ1の周辺部は、導通部が形成される領域Bを除いた斜線領域Aにおいてシール部材と接触する。また、透明基板2の中央部の斜線領域Cは着色層6が形成された表示部である。そして、透明電極3のパターンとしては、カラーフィルタ1を構成する透明基板2の全面のうち、導通部が形成される領域Bと表示部となる斜線領域Cのみを含むパターン(図3に実線Pで囲まれたパターン)とすることができる。透明電極3のパターンを図3に示されるようなパターンとすることにより、上述のようにシール部材とカラーフィルタとの接着が確実になるとともに、表示部となる斜線領域Cの外側に位置するブラックマトリックス(図示せず)は、直接透明基板2に接着するため、ブラックマトリックスの密着性が良好となる。
【0040】
このように、第1の工程において透明電極3を所定のパターンで形成した後、、上述の第2の工程乃至第4の工程を進むことによってカラーフィルタが得られる。
【0041】
図4は本発明のカラーフィルタの一例を示す概略構成図である。図4において、本発明のカラーフィルタ11は、透明基板12上に透明電極13を介して着色層16が形成され、着色層16の各着色パターン間および着色層形成領域の外側にブラックマトリックス17を備えている。尚、図4では、着色層16とブラックマトリックス17上に形成される保護層と透明共通電極は省略してある。
【0042】
上記のカラーフィルタ11において、透明電極13の形成領域の周縁部13aは、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて透明基板12の端部12aよりも内側に位置し、透明基板12の端部近傍の表面が露出している。さらに、カラーフィルタ11では、上記の透明電極13の形成領域の周縁部13aはブラックマトリックス17の形成領域の周縁部17aよりも内側に位置し、ブラックマトリックス17の外周部は直接透明基板12に接着している。そして、このカラーフィルタ11を液晶ディスプレイに用いる場合、シール部材により対向電極基板と所定の間隔を設けて固着されるが、その際、図4に想像線で示されるように、シール部材21はカラーフィルタ11の外周部およびブラックマトリックス17の外周部に密着する。
【0043】
上述のように、本発明のカラーフィルタ11では、透明電極13が存在せずに透明基板12が露出している箇所にシール部材21が直接密着するので、従来から問題となっていたシール部材(通常、特殊なエポキシ樹脂からなる)と透明電極3との接着強度の低さが解消され、構造的にも強固な液晶ディスプレイが可能となる。また、透明電極13がカラーフィルタ11の端部に露出していないため、液晶ディスプレイが高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で使用されても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなく、従来の液晶ディスプレイで問題となっていたリード線や接続線が電気分解されて断線する電蝕が有効に防止される。さらに、本発明のカラーフィルタ11では、シール部材21が密着するブラックマトリックス17の外周部が透明電極13を介することなく直接透明基板12に接着しているため、ブラックマトリックス17の外周部と透明基板12との接着力がより高いものとなり、液晶ディスプレイの構造的な安定性が向上している。
【0044】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
第1の工程
ガラス基板上に酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリング法により成膜して厚さ1500ÅのITO層を全面に形成し、次に、このITO層をエッチングして図3に実線Pで示されるようなパターンを有する透明電極を形成した。
第2の工程
次に、透明電極を形成した透明基板上に、スピンコート法(回転数=1500r.p.m.)により下記組成の感光性レジストを塗布し、その後、70℃、5分間の条件で乾燥して感光性レジスト層(厚さ=1μm)を形成した。
【0045】
(感光性レジストの組成)
・ポリビニルアルコール10%水溶液
(日本合成化学製ゴーセナールT−330) …20重量部
・ジアゾ樹脂10%水溶液(シンコー技研製D−011) …20重量部
・水 …15重量部
次に、感光性レジスト層に対してブラックマトリックス用のフォトマスク(線幅=30μm)を介して露光を行った。露光用の光源は超高圧水銀灯2kWを用い、10秒間照射した。その後、常温の水を用いてスプレー現像を行いエアー乾燥して、ブラックマトリックス用のレリーフを形成した。
【0046】
つぎに、この透明基板に150℃、30分間の熱処理を施し、その後、レリーフ上に塩化パラジウム水溶液(日本カニゼン製レッドシューマー)をスプレー塗布し、水洗、水切りを行い、上記のレリーフを無電解メッキ触媒を含有した非導電性のレリーフとした。
第3の工程
次いで、上記のレリーフが形成された透明電極上に感光性レジスト(東京応化工業(株)製OFPR−800)をスピンコート法(回転数=1500r.p.m.)により塗布し、赤色着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層を露光・現像して赤色着色層に対応したパターンで透明電極を露出させた。次に、アニオン型の電着材料(東亜合成化学(株)製アクリル樹脂 アロンS−4030、住友化学(株)製アルコキシメラミン M−66Bおよびトリエチルアミン、ジノニルナフタレンジスルホン酸を75:25:6:0.5の重量比で含む)を残留固体分が13.5重量%となるように純水で希釈したものに赤色顔料(ナフトールレッド)を5重量%の割合で添加して赤色着色層用の電着液を調製した。そして、この電着液中に、透明電極を陽極、白金電極を陰極とし、電極間隔30mmとなるように基板を浸漬し、透明電極に10mAの定電流を60秒間通電して電着を行った。次に、電着液から取り出した基板を十分に水洗した後、100℃、10分間の乾燥を行って透明性の良好な赤色の着色層を形成した。
【0047】
次に、緑色着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層を露光・現像し、また、赤色顔料の代りに緑色顔料(フタロシアニングリーン)を用いた他は上記の赤色着色層用の電着液と同様にして緑色着色層用の電着液を調製した。そして、この緑色着色層用の電着液を用いて上記の赤色着色層の形成と同一条件で電着を行った。次に、電着液から取り出した基板を十分に水洗した後、100℃、10分間の乾燥を行って透明性の良好な緑色の着色層を形成した。
【0048】
さらに、青色着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層を露光・現像し、また、赤色顔料の代りに青色顔料(銅フタロシアニンブルー)を用いた他は上記の赤色着色層用の電着液と同様にして青色着色層用の電着液を調製した。そして、この青色着色層用の電着液を用いて上記の赤色着色層の形成と同一条件で電着を行った。次に、電着液から取り出した基板を十分に水洗した後、100℃、10分間の乾燥を行って透明性の良好な青色の着色層を形成した。
第4の工程
その後、透明基板をホウ素系還元剤を含む30℃のニッケルメッキ液(奥野製薬製ニッケルメッキ液トップケミアロイB−1)に5分間浸漬させ、水洗乾燥して黒色レリーフ(ブラックマトリックス)を形成し、図4に示されるようなカラーフィルタを得た。
【0049】
このブラックマトリックスの光学濃度Dおよび反射率Rを測定したところ、D≧3.0、R≦5%であり、また、ブラックマトリックスとガラス基板との密着状態は、浮き、剥離等が全く見られず良好であった。このことから、本発明により形成されたブラックマトリックスは、カラーフィルタ用ブラックマトリックスとして充分な光学濃度と低い反射率を具備していることがわかった。
【0050】
さらに、得られたカラーフィルタを用いて液晶ディスプレイ(LCD)を作成し、カラー画像を表示させたところ、色ずれや滲みのない良好なカラー画像が表示された。また、液晶ディスプレイを高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下においても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなかった。
(実施例2)
実施例1において、第2の工程におけるレリーフへの無電解メッキ触媒の含有を行わず、代わりに、第4の工程において、無電解メッキの前に透明基板に150℃、30分間の熱処理を施し、その後、レリーフ上に塩化パラジウム水溶液(日本カニゼン製レッドシューマー)をスプレー塗布し、水洗、水切りを行って、レリーフに無電解メッキ触媒を含有させた他は、実施例1と同様にして図4に示されるようなカラーフィルタを得た。
【0051】
このブラックマトリックスの光学濃度Dおよび反射率Rを測定したところ、D≧3.0、R≦5%であり、また、ブラックマトリックスとガラス基板との密着状態は、浮き、剥離等が全く見られず良好であった。このことから、本発明により形成されたブラックマトリックスは、カラーフィルタ用ブラックマトリックスとして充分な光学濃度と低い反射率を具備していることがわかった。
【0052】
さらに、得られたカラーフィルタを用いて液晶ディスプレイ(LCD)を作成し、カラー画像を表示させたところ、色ずれや滲みのない良好なカラー画像が表示された。また、液晶ディスプレイを高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下においても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなかった。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば透明基板上に形成された透明電極上に予め非導電性のレリーフが形成された状態で電気化学的反応を利用して複数色の着色パターンを順次形成して所望の着色層が形成されるので、形成された着色層は上記のレリーフを覆うことなく、しかも、上記のレリーフにのみ無電解メッキによって金属が析出され遮光層が形成されるので、高精度でかつ平坦性に優れた着色層と遮光層の微細パターンの形成が可能となり、遮光層は充分な光学濃度を有する。また、カラーフィルタの透明電極と透明基板の端部とが電気的に絶縁分離されることにより、カラーフィルタが液晶ディスプレイとして使用された際に、高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で使用されても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなく、また、液晶ディスプレイのシール部材とカラーフィルタとの密着やカラーフィルタ内での遮光層と透明基板との接着が向上し、安定した性能を示し、構造的にも強固な液晶ディスプレイが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【図2】カラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される場合のシール部材が接触する領域および透明電極のパターンの例を示す図である。
【図3】透明電極のパターンの他の例を示す図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,11…カラーフィルタ
2,12…透明基板
3,13…透明電極
4,4´…感光性レジスト層
5…レリーフ
6(6R,6G,6B),16…着色層
7,17…ブラックマトリックス
12a…透明基板の端部
13a…透明電極の形成領域の周縁部
17a…ブラックマトリックスの形成領域の周縁部
A…シール部材接触領域
B…導通部形成領域
C…表示部領域
【産業上の利用分野】
本発明はカラーフィルタとカラーフィルタの製造方法に係り、特に液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)においては、近年のカラー化の要請に対応するために、アクティブマトリックス方式および単純マトリックス方式のいずれの方式においてもカラーフィルタが用いられている。例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式の液晶ディスプレイでは、カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色が用いられ、R,G,Bのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R,G,Bのそれぞれの画素を光が透過してカラー表示が行われる。そして、色混合は2色以上の画素に対応する液晶シャッタを開いて混色し別の色に見せる加色混合の原理により網膜上で視覚的に行われる。
【0003】
上記のカラーフィルタは、その形成方法により次のようなものがあり、要求されている特性としては、平坦性、パターン解像性、分光性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、低製造コスト等が挙げられる。
(A)染色法カラーフィルタ
ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂に重クロム酸塩等の感光剤を添加した塗工液を、スピンコート法等により透明ガラス基板上に0.4〜2μm程度の膜厚に塗布後、所定形状のマスクを介して露光・現像して被染色層を形成し、この被染色層を酸性染料または反応性染料で染色して第1色目の着色層を形成する。次に、第1色目の着色層上に二度染め防止のためのアクリル、ウレタン、エポキシ等の防染層を形成してから第2色目以降の着色層を同様の工程で形成し、R,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成する。
(B)分散法カラーフィルタ
透明な感光性樹脂に着色剤として染料、有機顔料、無機顔料等を分散した感光液を透明基板上に塗布して感光性樹脂層を形成する。次に、この感光性樹脂層を所定形状のマスクを介して露光・現像して第1色目の着色層を形成し、同様にして第2色目以降の着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成する。
【0004】
しかし、上述の(A)染色法では、色変えの度にフォトリソグラフィ工程の処理を行う必要があり、さらに、二度染め防止用の防染層を形成する必要があるため、工程が煩雑となり、製造コスト面で問題があった。また、着色剤として染料を用いているため耐熱性、耐候性、耐薬品性等が劣るという問題もあった。
【0005】
また、(B)分散法では、耐熱性、耐候性、耐薬品性等に優れたカラーフィルタの製造が可能であるが、着色された感光液の均一塗布工程が複数回必要であり、工程が煩雑となり製造コスト面で問題があった。さらに、透明基板を大面積化することが困難であるという問題もあった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、電着によるカラーフィルタの製造方法が開発されている。電着法では、例えば、基板上に形成された透明電極をパターニングし、パターン化された透明電極のうち同色の着色層を形成する箇所にのみ選択的に電圧を印加し、着色電着浴中で電着を行って第1色目の着色層が形成される。次に、別の色の着色層を形成する箇所にのみ選択的に電圧を印加し、同様にして第2色目以降の着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成する(特開昭59−90818号等)。
【0007】
また、他の電着法として、基板上に透明電極を形成し、全面にポジ型感光性樹脂層を設け、第1色目用のパターンで露光・現像を行い、露出した透明電極上に着色電着浴中で電着を行って第1色目の着色層が形成され、次に、別の色の着色層を形成する箇所にのみ露光・現像を行い、同様にして第2色目以降の着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備えたカラーフィルタを形成するものがある(特開昭61−279803号等)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような電着法により形成された着色層は、着色材料として顔料を使用することにより耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れ、また、電気化学的な成膜方法であるため、均一性に優れ大面積化に対応できる利点がある。
【0009】
しかし、上記のような電着によるカラーフィルタの製造において、着色層の形成前に金属クロム等で遮光層(ブラックマトリックス)を形成した場合、ブラックマトリックスには導電性があるため、着色層形成時にブラックマトリックス上にも着色層が形成されてしまい、平坦性を著しく損なうという問題があった。
【0010】
この問題は、黒色顔料を分散させた材料を用いてブラックマトリックスを形成する場合であっても、黒色顔料としてカーボンブラック等の導電性材料を使用したときに、同様に生じる問題である。
【0011】
更に、R,G,Bからなる着色層を形成した後に、黒色顔料を分散させたフォトレジストを塗布し、露光・現像によってブラックマトリックスを形成する方法が提案されているが、遮光性材料に光反応を利用することに相反関係があり、充分な光学濃度を有するブラックマトリックスが得られないという問題があった。また、上述の電着法により着色層を形成した後、無電解メッキによってブラックマトリックスを形成する方法が提案されている(特開平6−273610号)。しかし、特開昭61−279803号等に示されるように、全面塗布した感光性樹脂層を各色の着色層を形成するごとに露光した場合、露光回数の増加にともなって感光性樹脂の解像度が低下し、特に最終色として形成された着色層は解像度が低く、その後に形成されるブラックマトリックスは、一定面積の各色の着色層を形成する必要性から着色層の一部を覆うように形成され、このためカラーフィルタの平坦性を著しく損なうという問題があった。
【0012】
このような問題は、電着法に限らず、電解ミセル法等の電気化学反応を利用したカラーフィルタの製造方法すべてに発生する。
【0013】
一方、上述の電着法による着色層形成では、透明基板上に透明電極を形成することが必須となるが、この透明電極がカラーフィルタの端部に露出している場合、このようなカラーフィルタが液晶ディスプレイとして使用された際に、高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成され、リード線や接続線が電気分解されて断線する電蝕が生じるという問題がある。
【0014】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、充分な光学濃度とパターン精度を有するブラックマトリックスを備えて平坦性に優れるとともに、液晶ディスプレイとして使用された際の電蝕発生のないカラーフィルタと、このようなカラーフィルタを効率よく得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のカラーフィルタの製造方法は透明基板上に、全面ベタあるいは所定のパターンで透明電極を形成する第1の工程と、前記透明電極上に、親水性樹脂と無電解メッキの触媒とを含有する非導電性のレリーフを所定のパターンで形成する第2の工程と、前記レリーフが形成されていない前記透明電極上に、複数色の着色パターンを電気化学的反応を利用して順次形成して所定の色数からなる着色層を形成する第3の工程と、前記レリーフを無電解メッキ液に接触させることにより前記レリーフ内にのみ金属を析出させて、前記レリーフを遮光層とする第4の工程と、を有するような構成とした。
【0016】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は透明基板上に、全面ベタあるいは所定のパターンで透明電極を形成する第1の工程と、前記透明電極上に、親水性樹脂を含有する非導電性のレリーフを所定のパターンで形成する第2の工程と、前記レリーフが形成されていない前記透明電極上に、複数色の着色パターンを電気化学的反応を利用して順次形成して所定の色数からなる親油性の着色層を形成する第3の工程と、前記レリーフに無電解メッキの触媒を含有させた後に無電解メッキ液に接触させることにより前記レリーフ内にのみ金属を析出させて、前記レリーフを遮光層とする第4の工程と、を有するような構成とした。
【0017】
さらに、本発明のカラーフィルタは上記のような方法によって製造され、透明基板と、該透明基板上に形成された透明電極と、該透明電極上に電気化学的反応を利用して所定のパターンで形成された複数の着色パターンからなる着色層と、該着色パターン間に位置し、かつ、前記透明電極を覆うように無電解メッキによって形成されたブラックマトリックスとを有し、前記透明電極の形成領域の周縁部は、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて前記透明基板の端部よりも内側に位置するような構成とした。
【0018】
【作用】
透明基板上に形成された透明電極上に電気化学的反応を利用して複数色の着色パターンを順次形成して所望の着色層が形成される際に、透明電極上には既に非導電性のレリーフが形成されているため、着色層は上記のレリーフを覆うことなく形成され、しかも、上記のレリーフは親水性樹脂と無電解メッキの触媒とを、あるいは親水性樹脂を含有しており、このレリーフが無電解メッキ液と接触して、あるいは無電解メッキの触媒を含有させた後に無電解メッキ液と接触して、レリーフ内にのみ金属が析出され遮光層が形成されるので、従来法に比べて高精度でかつ平坦性に優れた着色層と遮光層の微細パターンが形成され、遮光層は充分な光学濃度を有する。また、透明電極の形成領域の周縁部が、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて透明基板の端部よりも内側に位置するので、この透明電極と透明基板の端部とが電気的に絶縁分離され、カラーフィルタが液晶ディスプレイとして使用された際に、高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で使用されても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることはない。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。図1において、まず、第1の工程として、透明基板2の全面に酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電性物質により透明電極3を形成する(図1(A))。このような透明電極3の形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成され、厚みは200〜2000Å程度が好ましい。
【0021】
次に、第2の工程として、透明電極3の全面に親水性樹脂を含有する感光性レジストを塗布して感光性レジスト層4を形成し、ブラックマトリックス用のフォトマスク10を介して感光性レジスト層4を露光する(図1(B))。そして、露光後の感光性レジスト層4を現像してブラックマトリックス用のパターンを有するレリーフを形成し、この透明基板2に熱処理(100〜200℃、5〜30分間)を施した後、レリーフに無電解メッキの触媒となる金属化合物の水溶液を塗布し水洗して非導電性のレリーフ5とする(図1(C))。
【0022】
その後、第3の工程として、まず、レリーフ5が形成された透明電極3上に感光性レジストを塗布し、赤色の着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層4´を露光・現像して赤色の着色層に対応したパターンで透明電極3を露出させる。そして、赤色顔料を分散させた電着浴中に上記の透明基板2を浸漬し、透明電極3に直流電圧を印加して、露出している透明電極3に赤色電着材を析出させ、十分に水洗した後に乾燥してピンホールのない着色層6Rを形成する(図1(D))。次に、緑色の着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層4´を露光・現像し、同様に電着によって透明電極3上に緑色の着色層6Gを形成し、さらに、青色の着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層4´を露光・現像し、同様に電着によって青色の着色層6Bを形成する(図1(E))。このような第3の工程では、1度形成した感光性レジスト層4´を複数回露光するので、感光性レジスト層4´の解像度の低下が生じる。しかし、既に透明電極上にブラックマトリックス用のパターンを有する非導電性のレリーフ5が形成されているため、感光性レジスト層4´の解像度が低下して感光性レジスト層4´の除去位置の精度が低下しても、レリーフ5に囲まれた所望の色の着色層形成部位のみが露出することになり、着色層はレリーフ5の非形成部にのみ形成され、着色層の形成精度の低下を来すことはない。
【0023】
次に、第4の工程として、透明電極3上に形成されているレリーフ5を無電解メッキ液に接触させることにより、このレリーフ5内にのみ金属を析出させて遮光層となしブラックマトリックス7を形成する(図1(F))。さらに、上述のように形成された着色層6R,6G,6Bと、ブラックマトリックス7を覆うように保護層8、透明共通電極9を設けてカラーフィルタ1とする(図1(G))。
【0024】
カラーフィルタ1の透明基板2としては、石英ガラス、パイレックスガラス、合成石英板等の可撓性のないリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有するフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるLCD用のカラーフィルタに適している。
【0025】
上記の第2の工程において用いる感光性レジストとしては、例えばゼラチン、カゼイン、グルー、卵白アルブミン等の天然タンパク質、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、無水マレイン酸共重合体、及び上記の樹脂のカルボン酸変性物あるいはスルホン酸変性物等の親水性樹脂を1種、あるいは複数種を混合したものに対し、例えば、ジアゾ基を有するジアゾニウム化合物およびパラホルムアルデヒドの反応生成物であるジアゾ樹脂、アジド基を有するアジド化合物、ポリビニルアルコールにケイ皮酸を縮合したケイ皮酸縮合樹脂、スチルバゾリウム塩を用いた樹脂、重クロム酸アンモニウム等の光硬化型の感光性基を有するものを添加することで感光性を付与したものを挙げることができる。尚、感光性基は上述の光硬化型感光性基に限定されないことは勿論である。
【0026】
さらに、感光性レジストにはセラミックスや多孔質アルミナ等の無機物質を添加してもよい。このような親水性樹脂あるいは無機物質は、感光性レジスト中に10重量%程度含有されることが好ましい。このように、感光性レジスト中に親水性樹脂が含有されることにより、上述のように触媒を含有するレリーフ5が無電解メッキ液と接触した際に、無電解メッキ液がレリーフ5に浸透し易くなり、レリーフ5中に均一に金属粒子が析出することになる。したがって、形成されたブラックマトリックス7は充分な黒さと低反射率を有することになり、従来のクロム薄膜形成における金属層による反射という問題が解消され得る。
【0027】
また、第2の工程においてレリーフ5に含有させる無電解メッキの触媒は、例えばパラジウム、金、銀、白金、銅等の塩化物、硝酸塩等の水溶性塩、および錯化合物が用いられ、水溶液として市販されている無電解メッキ用のアクチベータ溶液をそのまま用いることができる。
【0028】
尚、レリーフ5に含有される無電解メッキの触媒の含有量は、0.0001〜0.001重量%程度が好ましい。
【0029】
上記の第3の工程において用いられる電着材料は、一般に有機材料(高分子材料)からなり、その原形は電着塗装法としてよく知られている。電着塗装では、電気化学的な主電極との反応によりカチオン電着とアニオン電着とがある。これは、電着材料がカチオンとして存在するか、アニオンとして挙動するかで分類される。電着に用いられる有機高分子物質としては、天然油脂系、合成油脂系、アルキッド樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系等の種々の有機高分子物質が挙げられる。
【0030】
アニオン型では、古くからマレイン化油やポリブタジエン系樹脂がしられており、電着物質に硬化は酸化重合反応による。カチオン型はエポキシ系樹脂が多く、単独あるいは変性されて使用できる。その他に、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂が多く用いられ、熱硬化や光硬化等により強固な着色層が形成できる。
【0031】
液晶カラーフィルタの電着では、アニオン型またはカチオン型電着浴中に微粉砕された顔料や染料を分散させ、イオン性高分子材料とともに導電性部に共析させる。
【0032】
上記の第4の工程において用いる無電解メッキ液は、例えば次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、N−ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド等の還元剤と、例えばニッケル、コバルト、鉄、銅、クロム等の水溶性の被還元性重金属塩と、メッキ速度、還元効率等を向上させるカセイソーダ、水酸化アンモニウム等の塩基性化合物と、無機酸、有機酸等のpH調整剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等のオキシカルボン酸、ホウ酸、炭酸、有機酸、無機酸のアルカリ塩に代表される緩衝剤と、重金属イオンの安定性を目的とした錯化剤の他、反応促進剤、安定剤、界面活性剤等とを有する無電解メッキ液が使用される。
【0033】
上記の保護層8は、カラーフィルタ1の表面平滑化、信頼性の向上および液晶ディスプレイ(LCD)において使用する際の液晶層への汚染防止等を目的とするものであり、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の透明樹脂、あるいは二酸化ケイ素等の透明無機化合物等を用いて形成することができる。このような保護層の厚さは0.5〜50μm程度が好ましい。
【0034】
また、透明共通電極9としては、酸化インジウムスズ(ITO)膜等を用いることができる。ITO膜は蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法により形成することができ、厚さは200〜2000Å程度が好ましい。
【0035】
尚、上述の本発明のカラーフィルタの製造方法では、着色層6R,6G,6Bの形成を電着法により行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、電解ミセル法等の電気化学的反応を利用して着色層を形成することができる。
【0036】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法の他の例として、レリーフ5への無電解メッキの触媒の含有を、第2の工程ではなく、第4の工程で行うものであってもよい。すなわち、着色層6R,6G,6Bが、上述のようなメラミン樹脂系、アクリル樹脂系等により形成されている場合、これらの着色層6R,6G,6Bは親油性を有することになる。このように、着色層6R,6G,6Bが親油性を示す場合、上述の製造方法の第2の工程においてレリーフ5に無電解メッキの触媒を含有させず、第4の工程で、まず、透明基板全面に無電解メッキの触媒となる金属化合物の水溶液を塗布し(この場合、着色層は親油性であるため金属化合物の水溶液は浸透せず、レリーフ5内にのみ金属化合物の水溶液が浸透する)、水洗して触媒含有レリーフとし、その後、レリーフ5を無電解メッキ液に接触させることにより、このレリーフ5内にのみ金属を析出させて遮光層となしブラックマトリックス7を形成するようにしてもよい。
【0037】
上述の実施例では、第1の工程において、透明基板2の全面に透明電極3を形成しているが、本発明のカラーフィルタの製造方法では、透明電極3を所定のパターンで形成してもよい。所定のパターンを有する透明電極3の形成は、例えば、透明基板2の全面に透明電極を形成し、その後エッチングを行う方法、あるいは、透明基板2上に塗布した感光性レジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光・現像し、露出している透明基板2上に透明導電性物質を成膜する方法等、公知の方法にしたがって行うことができる。
【0038】
上記の透明電極3のパターンとしては、本発明により製造されたカラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される際にシール部材が接触する領域のうち導通部が形成される領域を除いた領域を含まないようなパターンが挙げられる。カラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される場合には、カラーフィルタと対向電極基板とを所定の間隔で対向させ、周辺部をシール部材により封止し、間隙部に液晶層が形成される。図2は、カラーフィルタ1が液晶ディスプレイに使用される場合のシール部材が接触する領域を示す図であり、カラーフィルタ1の周辺部は、導通部が形成される領域Bを除いた斜線領域Aにおいてシール部材と接触する。したがって、透明電極3のパターンとしては、例えば、カラーフィルタ1を構成する透明基板2の全面のうちから、斜線領域Aを除いたパターンとすることができる。このように、シール部材が接触する領域に透明電極を形成しないことによって、通常、特殊なエポキシ樹脂からなるシール部材が直接透明基板2に接着することが可能となり、従来から問題となっていたシール部材と透明電極3との接着強度の低さが解消され、構造的にも強固な液晶ディスプレイが可能となる。
【0039】
また、上記の透明電極3のパターンの他の例としては、本発明により製造されたカラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される際に表示部となる領域と導通部となる領域のみを含むようなパターンが挙げられる。図3は、このような透明電極3のパターンを示す図である。図3において、カラーフィルタ1の周辺部は、導通部が形成される領域Bを除いた斜線領域Aにおいてシール部材と接触する。また、透明基板2の中央部の斜線領域Cは着色層6が形成された表示部である。そして、透明電極3のパターンとしては、カラーフィルタ1を構成する透明基板2の全面のうち、導通部が形成される領域Bと表示部となる斜線領域Cのみを含むパターン(図3に実線Pで囲まれたパターン)とすることができる。透明電極3のパターンを図3に示されるようなパターンとすることにより、上述のようにシール部材とカラーフィルタとの接着が確実になるとともに、表示部となる斜線領域Cの外側に位置するブラックマトリックス(図示せず)は、直接透明基板2に接着するため、ブラックマトリックスの密着性が良好となる。
【0040】
このように、第1の工程において透明電極3を所定のパターンで形成した後、、上述の第2の工程乃至第4の工程を進むことによってカラーフィルタが得られる。
【0041】
図4は本発明のカラーフィルタの一例を示す概略構成図である。図4において、本発明のカラーフィルタ11は、透明基板12上に透明電極13を介して着色層16が形成され、着色層16の各着色パターン間および着色層形成領域の外側にブラックマトリックス17を備えている。尚、図4では、着色層16とブラックマトリックス17上に形成される保護層と透明共通電極は省略してある。
【0042】
上記のカラーフィルタ11において、透明電極13の形成領域の周縁部13aは、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて透明基板12の端部12aよりも内側に位置し、透明基板12の端部近傍の表面が露出している。さらに、カラーフィルタ11では、上記の透明電極13の形成領域の周縁部13aはブラックマトリックス17の形成領域の周縁部17aよりも内側に位置し、ブラックマトリックス17の外周部は直接透明基板12に接着している。そして、このカラーフィルタ11を液晶ディスプレイに用いる場合、シール部材により対向電極基板と所定の間隔を設けて固着されるが、その際、図4に想像線で示されるように、シール部材21はカラーフィルタ11の外周部およびブラックマトリックス17の外周部に密着する。
【0043】
上述のように、本発明のカラーフィルタ11では、透明電極13が存在せずに透明基板12が露出している箇所にシール部材21が直接密着するので、従来から問題となっていたシール部材(通常、特殊なエポキシ樹脂からなる)と透明電極3との接着強度の低さが解消され、構造的にも強固な液晶ディスプレイが可能となる。また、透明電極13がカラーフィルタ11の端部に露出していないため、液晶ディスプレイが高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で使用されても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなく、従来の液晶ディスプレイで問題となっていたリード線や接続線が電気分解されて断線する電蝕が有効に防止される。さらに、本発明のカラーフィルタ11では、シール部材21が密着するブラックマトリックス17の外周部が透明電極13を介することなく直接透明基板12に接着しているため、ブラックマトリックス17の外周部と透明基板12との接着力がより高いものとなり、液晶ディスプレイの構造的な安定性が向上している。
【0044】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
第1の工程
ガラス基板上に酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリング法により成膜して厚さ1500ÅのITO層を全面に形成し、次に、このITO層をエッチングして図3に実線Pで示されるようなパターンを有する透明電極を形成した。
第2の工程
次に、透明電極を形成した透明基板上に、スピンコート法(回転数=1500r.p.m.)により下記組成の感光性レジストを塗布し、その後、70℃、5分間の条件で乾燥して感光性レジスト層(厚さ=1μm)を形成した。
【0045】
(感光性レジストの組成)
・ポリビニルアルコール10%水溶液
(日本合成化学製ゴーセナールT−330) …20重量部
・ジアゾ樹脂10%水溶液(シンコー技研製D−011) …20重量部
・水 …15重量部
次に、感光性レジスト層に対してブラックマトリックス用のフォトマスク(線幅=30μm)を介して露光を行った。露光用の光源は超高圧水銀灯2kWを用い、10秒間照射した。その後、常温の水を用いてスプレー現像を行いエアー乾燥して、ブラックマトリックス用のレリーフを形成した。
【0046】
つぎに、この透明基板に150℃、30分間の熱処理を施し、その後、レリーフ上に塩化パラジウム水溶液(日本カニゼン製レッドシューマー)をスプレー塗布し、水洗、水切りを行い、上記のレリーフを無電解メッキ触媒を含有した非導電性のレリーフとした。
第3の工程
次いで、上記のレリーフが形成された透明電極上に感光性レジスト(東京応化工業(株)製OFPR−800)をスピンコート法(回転数=1500r.p.m.)により塗布し、赤色着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層を露光・現像して赤色着色層に対応したパターンで透明電極を露出させた。次に、アニオン型の電着材料(東亜合成化学(株)製アクリル樹脂 アロンS−4030、住友化学(株)製アルコキシメラミン M−66Bおよびトリエチルアミン、ジノニルナフタレンジスルホン酸を75:25:6:0.5の重量比で含む)を残留固体分が13.5重量%となるように純水で希釈したものに赤色顔料(ナフトールレッド)を5重量%の割合で添加して赤色着色層用の電着液を調製した。そして、この電着液中に、透明電極を陽極、白金電極を陰極とし、電極間隔30mmとなるように基板を浸漬し、透明電極に10mAの定電流を60秒間通電して電着を行った。次に、電着液から取り出した基板を十分に水洗した後、100℃、10分間の乾燥を行って透明性の良好な赤色の着色層を形成した。
【0047】
次に、緑色着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層を露光・現像し、また、赤色顔料の代りに緑色顔料(フタロシアニングリーン)を用いた他は上記の赤色着色層用の電着液と同様にして緑色着色層用の電着液を調製した。そして、この緑色着色層用の電着液を用いて上記の赤色着色層の形成と同一条件で電着を行った。次に、電着液から取り出した基板を十分に水洗した後、100℃、10分間の乾燥を行って透明性の良好な緑色の着色層を形成した。
【0048】
さらに、青色着色層用のフォトマスクを介して感光性レジスト層を露光・現像し、また、赤色顔料の代りに青色顔料(銅フタロシアニンブルー)を用いた他は上記の赤色着色層用の電着液と同様にして青色着色層用の電着液を調製した。そして、この青色着色層用の電着液を用いて上記の赤色着色層の形成と同一条件で電着を行った。次に、電着液から取り出した基板を十分に水洗した後、100℃、10分間の乾燥を行って透明性の良好な青色の着色層を形成した。
第4の工程
その後、透明基板をホウ素系還元剤を含む30℃のニッケルメッキ液(奥野製薬製ニッケルメッキ液トップケミアロイB−1)に5分間浸漬させ、水洗乾燥して黒色レリーフ(ブラックマトリックス)を形成し、図4に示されるようなカラーフィルタを得た。
【0049】
このブラックマトリックスの光学濃度Dおよび反射率Rを測定したところ、D≧3.0、R≦5%であり、また、ブラックマトリックスとガラス基板との密着状態は、浮き、剥離等が全く見られず良好であった。このことから、本発明により形成されたブラックマトリックスは、カラーフィルタ用ブラックマトリックスとして充分な光学濃度と低い反射率を具備していることがわかった。
【0050】
さらに、得られたカラーフィルタを用いて液晶ディスプレイ(LCD)を作成し、カラー画像を表示させたところ、色ずれや滲みのない良好なカラー画像が表示された。また、液晶ディスプレイを高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下においても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなかった。
(実施例2)
実施例1において、第2の工程におけるレリーフへの無電解メッキ触媒の含有を行わず、代わりに、第4の工程において、無電解メッキの前に透明基板に150℃、30分間の熱処理を施し、その後、レリーフ上に塩化パラジウム水溶液(日本カニゼン製レッドシューマー)をスプレー塗布し、水洗、水切りを行って、レリーフに無電解メッキ触媒を含有させた他は、実施例1と同様にして図4に示されるようなカラーフィルタを得た。
【0051】
このブラックマトリックスの光学濃度Dおよび反射率Rを測定したところ、D≧3.0、R≦5%であり、また、ブラックマトリックスとガラス基板との密着状態は、浮き、剥離等が全く見られず良好であった。このことから、本発明により形成されたブラックマトリックスは、カラーフィルタ用ブラックマトリックスとして充分な光学濃度と低い反射率を具備していることがわかった。
【0052】
さらに、得られたカラーフィルタを用いて液晶ディスプレイ(LCD)を作成し、カラー画像を表示させたところ、色ずれや滲みのない良好なカラー画像が表示された。また、液晶ディスプレイを高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下においても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなかった。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば透明基板上に形成された透明電極上に予め非導電性のレリーフが形成された状態で電気化学的反応を利用して複数色の着色パターンを順次形成して所望の着色層が形成されるので、形成された着色層は上記のレリーフを覆うことなく、しかも、上記のレリーフにのみ無電解メッキによって金属が析出され遮光層が形成されるので、高精度でかつ平坦性に優れた着色層と遮光層の微細パターンの形成が可能となり、遮光層は充分な光学濃度を有する。また、カラーフィルタの透明電極と透明基板の端部とが電気的に絶縁分離されることにより、カラーフィルタが液晶ディスプレイとして使用された際に、高温多湿雰囲気や結露を生じる雰囲気下で使用されても、透明電極の端部と近傍のリード線や電気的な接続線との間に電気的な迂回路が形成されることがなく、また、液晶ディスプレイのシール部材とカラーフィルタとの密着やカラーフィルタ内での遮光層と透明基板との接着が向上し、安定した性能を示し、構造的にも強固な液晶ディスプレイが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【図2】カラーフィルタが液晶ディスプレイに使用される場合のシール部材が接触する領域および透明電極のパターンの例を示す図である。
【図3】透明電極のパターンの他の例を示す図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,11…カラーフィルタ
2,12…透明基板
3,13…透明電極
4,4´…感光性レジスト層
5…レリーフ
6(6R,6G,6B),16…着色層
7,17…ブラックマトリックス
12a…透明基板の端部
13a…透明電極の形成領域の周縁部
17a…ブラックマトリックスの形成領域の周縁部
A…シール部材接触領域
B…導通部形成領域
C…表示部領域
Claims (8)
- 透明基板上に、全面ベタあるいは所定のパターンで透明電極を形成する第1の工程と、
前記透明電極上に、親水性樹脂と無電解メッキの触媒とを含有する非導電性のレリーフを所定のパターンで形成する第2の工程と、
前記レリーフが形成されていない前記透明電極上に、複数色の着色パターンを電気化学的反応を利用して順次形成して所定の色数からなる着色層を形成する第3の工程と、
前記レリーフを無電解メッキ液に接触させることにより前記レリーフ内にのみ金属を析出させて、前記レリーフを遮光層とする第4の工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。 - 透明基板上に、全面ベタあるいは所定のパターンで透明電極を形成する第1の工程と、
前記透明電極上に、親水性樹脂を含有する非導電性のレリーフを所定のパターンで形成する第2の工程と、
前記レリーフが形成されていない前記透明電極上に、複数色の着色パターンを電気化学的反応を利用して順次形成して所定の色数からなる親油性の着色層を形成する第3の工程と、
前記レリーフに無電解メッキの触媒を含有させた後に無電解メッキ液に接触させることにより前記レリーフ内にのみ金属を析出させて、前記レリーフを遮光層とする第4の工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。 - 前記透明基板がガラス基板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記第3の工程において、電着により前記着色層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記第1の工程において、透明基板上に透明電極を所定のパターンで形成し、該パターンは、液晶ディスプレイに使用される際にシール部材が接触する領域のうち導通部が形成される領域を除いた領域を含まないことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記第1の工程において、透明基板上に透明電極を所定のパターンで形成し、該パターンは、液晶ディスプレイに使用される際に表示部となる領域と導通部となる領域のみを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 透明基板と、該透明基板上に形成された透明電極と、該透明電極上に電気化学的反応を利用して所定のパターンで形成された複数の着色パターンからなる着色層と、該着色パターン間に位置し、かつ、前記透明電極を覆うように無電解メッキによって形成されたブラックマトリックスとを有する請求項1乃至請求項6のいずれかの製造方法により製造されたカラーフィルタであって、前記透明電極の形成領域の周縁部は、液晶ディスプレイに使用される際に導通部となる領域を除いて前記透明基板の端部よりも内側に位置することを特徴とするカラーフィルタ。
- 前記透明電極の形成領域の周縁部は、前記ブラックマトリックスの形成領域の周縁部よりも内側に位置することを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ。
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