JP2012062470A - アルコキシシランモノマーを含有する硬化性転相インク - Google Patents

アルコキシシランモノマーを含有する硬化性転相インク Download PDF

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Abstract

【課題】改良された転相インク、例えば、より印刷速度の高い状態で硬化性が改良した転相インク。
【解決手段】転相インクは、少なくとも1つの硬化性キャリア、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つのワックス、少なくとも1つのアルコキシシランモノマーを含むインク媒剤を含む。インクを用いて画像を作成する方法において、転相インクを溶融し、次いで、画像を受け入れる基板に吐出し、転相インクがゲル状態を形成し、これに紫外線をあて、転相インクの硬化性成分を硬化させる。アルコキシシランは、ケイ素−酸素−ケイ素結合を生成する架橋に関与し、それにより、有益な安定性および画質が高いインクが得られる。
【選択図】なし

Description

本開示は、一般的に、硬化性インクに関し、特に硬化性転相インク、および画像を作成する方法におけるこれらの使用に関し、特に、インクジェット印刷における使用に関する。本明細書のインクは、硬化性において利点がありつつ、高品質の画像を得ることができる。
インクジェット用デバイスは、当該技術分野で知られており、したがって、このデバイスに関する詳細な記載は本明細書では必要としない。米国特許第6,547,380号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されているように、インクジェット印刷システムには、一般的に、連続流式およびドロップオンデマンド式の2種類がある。
インクジェット式において、転相インク(固体インク、ゲルインク、ホットメルトインクとも呼ばれる)を用いることが知られている。一般的に、転相インクは、例えば、周囲温度では固相であるが、インクジェット印刷デバイスを操作する高温では液相で存在する。
既知の組成物およびプロセスが、これらの意図する目的に適しているが、改良された転相インク、例えば、より印刷速度の高い状態で硬化性が改良した転相インクの必要性が依然として存在する。
用語「硬化性」は、重合(例えば、遊離ラジカル経路を含む)によって硬化させることが可能な材料、および/または、放射線感受性の光開始剤を用いることによって、重合が光によって開始されるような材料を記述する。例えば、用語「放射線硬化性」は、例えば、放射線源(光源および熱源を含み、開始剤が存在する状態または存在しない状態を含む)にあてると硬化するあらゆる形態を指す。例示的な放射線硬化技術としては、例えば、限定されないが、場合により、光開始剤および/または感作剤存在下、紫外線(UV)光(例えば、200〜400nmの波長)を用いる硬化、または紫外線よりも稀だが可視光を用いる硬化、場合により光開始剤が存在しない状態で、電子線放射線を用いる硬化、高温熱開始剤(一般的に、吐出温度では大部分が不活性である)が存在する状態または存在しない状態で、熱硬化を用いる硬化、およびこれらの適切な組み合わせが挙げられる。
本明細書の転相インク組成物は、硬化性転相インクである。このインクは、少なくとも1つの硬化性モノマーまたはキャリア、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つのワックス、少なくとも1つのアルコキシシランモノマーを含むインク媒剤を含む。場合により、インク媒剤は、少なくとも1つの添加剤(例えば、光開始剤)も含んでいてもよい。さらに、インク媒剤のワックスは、インクの硬化にワックスを関与させたい場合には、非硬化性ワックスであってもよく、硬化性ワックスであってもよい。
例示的なインク組成物は、圧電式インクジェット印刷プロセスの要求事項を満たしつつ、優れた印刷品質を与える。例示的なインク組成物は、インク媒剤と、アルコキシシランモノマーとを含む。特に、例示的なインク組成物は、硬化性モノマー、ゲル化剤、アルコキシシランモノマーを含むインク媒剤を含む。さらなる例示的なインク組成物は、2種類以上の化学的に別個の硬化性ゲル化剤を含むインク媒剤を含む。このようなインク組成物を調製する例示的な方法、およびこのようなインク組成物を使用する例示的な方法も記載されている。
いくつかの実施形態では、硬化性転相インクは、室温ではゲルであるか、または、インク組成物を吐出温度で基板に吐出した後に冷却するにつれ、ゲルが得られてもよい。また、硬化性転相インクは、室温で固体であってもよい。
本明細書に記載のインク組成物がゲル状態である場合、インク組成物の粘度は、少なくとも約1,000mPa・s、例えば、少なくとも約10,000mPa・s、または少なくとも約100,000mPa・sである。例示的なインク組成物のゲル状態での粘度値は、約10〜約10mPa・s、例えば、約104.5〜約106.5mPa・sの範囲であってもよい。実施形態のゲル状態での粘度は、印刷プロセスによって変わってもよい。例えば、中間転写体を利用する例示的な実施形態で用いる場合、または、インクのにじみおよびけば立ちの影響を最低限にするために、多孔性紙に直接吐出する場合には、最も高い粘度が適している場合がある。一方、多孔性の低い基板(例えば、プラスチック)は、個々のインクピクセルのドットゲインおよび凝集を制御するように、粘度が低いことが必要な場合がある。ゲル粘度は、インクの配合および基板の温度によって制御することができる。
転相インクは、粘度が約35センチポイズ(cP)未満であり、例えば、約2〜約30センチポイズ、例えば、約5センチポイズ〜約20センチポイズ、約7センチポイズ〜約15センチポイズであってもよい。インク組成物を、約125℃未満の温度、例えば、約40℃〜約125℃の温度で吐出してもよい。
また、転相インクは、アルコキシシランモノマーを含んでいる。アルコキシシランモノマーは、上述のインクの他の成分から分離される。アルコキシシランモノマーは、ケイ素に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有する任意のモノマーである。
アルコキシシランは、加水分解によって、転相インクの硬化を高めるシロキサン架橋を生成してもよい。その後の架橋の生成により、強いケイ素−酸素−ケイ素結合が生成する。ケイ素−酸素−ケイ素結合は、硬化摩耗試験に対する硬化性転相インクの耐性を顕著に高める。アルコキシシランモノマーを、UVを照射している間、モノマー部分を介して架橋したネットワークに組み込んでもよい。この後に、アルコキシ基を水で加水分解し(周囲の空気中、または水蒸気を導入することによって)、O−Si−O結合で構成される第2の架橋機構を与えてもよく、これによって、良好な耐摩耗性を有する硬化した画像が得られ、これは、硬化の指標である。
アルコキシシランにUV光をあて、重合させ、硬化した画像に組み込む。次いで、周囲空気中の水分子にさらし、アルコキシシランを加水分解してヒドロキシルにし、次いで、架橋した構造内にケイ素−酸素−ケイ素結合を生成する。また、転相インクを、加水分解しやすくするために、水分含有量を増やした雰囲気に意図的にさらし、それによって、硬化性転相インクの硬化をさらに高めてもよい。印刷後、アルコキシシラン部分を空気中の水分によって約48時間まで架橋させ、硬化させ続けてもよい。
アルコキシシラン化合物は、以下の式を有していてもよく、
Figure 2012062470

式中、
、R、Rは、それぞれ、例えば、アルキル鎖中に少なくとも約1〜約18個、約1〜約10個、約1〜8個、約1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である(直鎖、分岐、飽和、不飽和、環状、非環状、置換されているか、置換されていないアルキル基を含む)。さらに、R、R、Rは、同じ数の炭素原子を有する直鎖アルキル基であってもよい。Rは、水素またはメチル基である。
適切なアルコキシシランモノマーの特定の例としては、例えば、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびこれらの混合物が挙げられる。
アルコキシシランモノマーは、インク中に、任意の望ましい量または任意の有効な量で存在してもよく、例えば、インクの約10重量%〜約80重量%、例えば、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%の量で存在してもよい。
硬化性転相インクは、少なくともゲル化剤、少なくとも硬化性ワックス、場合により光開始剤、少なくとも硬化性モノマーで構成されるインク媒剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、2種類以上の硬化性液体モノマーが硬化性転相インク中に存在する場合、硬化性液体モノマーは、「コモノマー」と呼ばれる。コモノマーは、任意の適切な硬化性モノマーから選択されてもよい。
インク組成物は、ゲル化材料(例えば、エポキシ−ポリアミドコンポジットゲル化剤)の溶解度およびゲル化性のために、第1のコモノマーを含んでいてもよく、熱によって誘導される可逆性ゲル相を有するインク媒剤を含むインク組成物を製造するのに有用であり、インク媒剤は、硬化性液体モノマー(例えば、UV硬化性液体モノマー)で構成される。このようなインク組成物のゲル相によって、インク液滴を、受け入れる基板に固定することができる。
組成物の少なくとも1つの硬化性モノマーの例としては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、Sartomer製のSR−9003)、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシル化メチルエーテルモノアクリレート、イソデシルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、これらの混合物などが挙げられる。
用語「硬化性モノマー」は、硬化性オリゴマーも包含することを意図しており、組成物で使用してもよい。組成物で使用可能な、適切な硬化性オリゴマーの例としては、粘度が低く、例えば、約50cPs〜約10,000cPs、例えば、約75cPs〜約7,500cPs、または約100cPs〜約5,000cPsである。
いくつかの実施形態では、コモノマーは、短鎖アルキルグリコールジアクリレートまたはエーテルジアクリレート、例えば、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートから選択されてもよく、非蛍光コモノマーは、短鎖アルキルエステル置換基を有するアクリレートから選択されてもよい(例えば、カプロラクトンアクリレート、市販の製品CD536、CD2777、CD585、CD586(Sartomer Co.Inc.から入手可能))。
実施形態の硬化性転相インク組成物は、インク媒剤の合計重量に対し、約10重量%〜約80重量%、例えば、約20重量%〜約70重量%の範囲の量で1つ以上のコモノマーを含んでいてもよい。
硬化性転相インク組成物は、少なくとも1つのゲル化剤を含んでいてもよい。
有機ゲル化剤は、所望の温度範囲内で、インク媒剤およびインク組成物の粘度を顕著に増加させる機能がある。特に、ゲル化剤は、インク組成物が吐出される特定の温度よりも低い温度で、インク媒剤中で半固体ゲルを生成する。
ゲル化剤の転相性を用い、インクを基板に吐出した後、基板上にある吐出したインク組成物中の粘度をすばやく増加させてもよい。特に、吐出されたインク液滴は、インク組成物のインク吐出温度よりも低い温度で、インク組成物が液体状態からゲル状態(または半固体状態)へと顕著に粘度変化を受ける転相遷移作用によって、受け入れる基板、例えば、画像を受け入れる媒体(例えば、紙)の上の位置に固定される。
インク組成物がゲル状態を生成する温度は、インク組成物の吐出温度よりも低い任意の温度であり、例えば、インク組成物の吐出温度よりも約10℃以上低い任意の温度である。約20℃〜約85℃の温度で、ゲル状態が生成してもよい。インク組成物が液体状態である吐出温度からゲル転移温度まで冷却すると、インク粘度がすばやく、大きく増加し、この時点で、インク組成物がゲル状態に変わる。
インク組成物に適したゲル化剤は、インク媒剤中のモノマー/オリゴマーをすばやく可逆的にゲル化し、例えば、約20℃〜約85℃の温度範囲で、狭い転相遷移を示す。例示的なインク組成物のゲル状態は、最小で102.5mPa・s、例えば、10mPa・sを示すはずであり、基板の温度(例えば、約30℃〜約70℃)では、吐出温度での粘度と比較して、粘度が上昇する。特定の実施形態では、ゲル化剤を含むインク組成物は、吐出温度よりも5℃〜10℃低い温度で粘度がすばやく上昇し、最終的には、吐出粘度の10倍、例えば、約10倍を超える粘度まで到達する。
インク組成物で使用するのに適したゲル化剤としては、米国特許出願第12/474,946号(引用することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)に開示されるような、硬化性アミド、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート成分、ポリアミド成分で構成される硬化性ゲル化剤、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂で構成される硬化性コンポジットゲル化剤、これらの混合物などが挙げられる。組成物にゲル化剤が含まれることで、塗布した後に組成物が冷却するにつれて、組成物の粘度が急激に増加するため、基板(例えば、基板の1つ以上の部分および/または基板の上にすでに形成された画像の1つ以上の部分)に過剰に浸透することなく、この組成物を基板に塗布することができる。液体が多孔性基板(例えば、紙)に過剰に浸透すると、基板の不透明度を望ましくないほど下げることがある。また、硬化性ゲル化剤は、組成物のモノマーの硬化に関与することもできる。
組成物で使用するのに適したゲル化剤は、シリコーンまたは他の油を有する基板上で組成物を利用する場合、濡れ性を改良するために、両親媒性であってもよい。両親媒性とは、分子の極性部分と非極性部分を有する分子を指す。例えば、ゲル化剤は、長い非極性の炭化水素鎖と、極性のアミド結合とを有していてもよい。
使用するのに適したアミドゲル化剤としては、米国特許公開第2008/0122914号および米国特許第7,276,614号および第7,279,587号に記載されているものが挙げられる。
米国特許第7,279,587号に記載されるように、アミドゲル化剤は、以下の式を有する化合物であってもよく、
Figure 2012062470

式中、
は、
(i)炭素原子が約1〜約12個のアルキレン基(アルキレン基は、二価の脂肪族基またはアルキル基であり、直鎖、分岐、飽和、不飽和、環状、非環状、置換されているか、置換されていないアルキレン基を含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかがアルキレン基に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、
(ii)炭素原子が約1〜約15個のアリーレン基(アリーレン基は、二価の芳香族基またはアリール基であり、置換されているか、置換されていないアリーレン基を含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかがアリーレン基に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、
(iii)炭素原子が約6〜約32個のアリールアルキレン基(アリールアルキレン基は、二価のアリールアルキル基であり、置換されているか、置換されていないアリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキル部分は、直鎖であっても分岐であってもよく、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかが、アリールアルキレン基のアリール部分またはアルキル部分に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、または
(iv)炭素原子が約5〜約32個のアルキルアリーレン基(アルキルアリーレン基は、二価のアルキルアリール基であり、置換されているか、置換されていないアルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖であっても分岐であってもよく、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、アルキルアリーレン基のアリール部分またはアルキル部分に存在していてもよく、存在していなくてもよい)
であり、
置換されたアルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、アルキルアリーレン基の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アゾ基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が接続して環を形成していてもよく、
およびR’は、それぞれ互いに独立して、
(i)炭素原子が約1〜約54個のアルキレン基、(ii)炭素原子が約5〜約15個のアリーレン基、(iii)炭素原子が約6〜約32個のアリールアルキレン基、または(iv)炭素原子が約6〜約32個のアルキルアリーレン基であり、
置換されたアルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、アルキルアリーレン基の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアネート基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が接続して環を形成していてもよく、
およびR’は、それぞれ互いに独立して、
(a)光開始基、例えば、以下の式の1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンから誘導される基、
Figure 2012062470

以下の式の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンから誘導される基、
Figure 2012062470

以下の式の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンから誘導される基、
Figure 2012062470

以下の式のN,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルエチレンジアミンから誘導される基、
Figure 2012062470

など、または、
(b)以下の基
(i)炭素原子が約2〜約100個のアルキル基(直鎖、分岐、飽和、不飽和、環状、非環状、置換されているか、置換されていないアルキル基を含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかがアルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、
(ii)炭素原子が約5〜約100個のアリール基(置換されているか、置換されていないアリール基を含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかがアリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、
(iii)炭素原子が約5〜約100個のアリールアルキル基(置換されているか、置換されていないアリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかがアリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、または
(iv)炭素原子が約5〜約100個のアルキルアリール基(置換されているか、置換されていないアルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、いずれかがアルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分に存在していてもよく、存在していなくてもよい)
であり、
置換されたアルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基の置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアネート基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が接続して環を形成していてもよく、
XおよびX’は、それぞれ互いに独立して、酸素原子または式−NR−の基であり、Rは、
(i)水素原子、
(ii)炭素原子が約5〜約100個、例えば、約5〜約60個、または約6〜約30個のアルキル基(直鎖、分岐、飽和、不飽和、環状、非環状、置換されているか、置換されていないアルキル基を含み、ヘテロ原子は、いずれかがアルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、
(iii)炭素原子が約5〜約100個、例えば、約5〜約60個、または約6〜約30個のアリール基(置換されているか、置換されていないアリール基を含み、ヘテロ原子は、いずれかがアリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、
(iv)炭素原子が約5〜約100個、例えば、約5〜約60個、または約6〜約30個のアリールアルキル基(置換されているか、置換されていないアリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、いずれかがアリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分に存在していてもよく、存在していなくてもよい)、または
(v)炭素原子が約5〜約100個、例えば、約5〜約60個、または約6〜約30個のアルキルアリール基(置換されているか、置換されていないアルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、いずれかがアルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分に存在していてもよく、存在していなくてもよい)
であり、
置換されたアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基の置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアネート基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が接続して環を形成していてもよい。
上述の特定の適切な置換基およびゲル化剤は、さらに、米国特許第7,279,587号および第7,276,614号に記載されており(引用することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)、そのため、本明細書ではさらに詳細には記載しない。
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、以下のもの
Figure 2012062470

を含む混合物を含んでいてもよく、式中、−C3456+a−は、分岐したアルキレン基をあらわし、これは不飽和部および環状の基を含んでいてもよく、変数「a」は、0〜12の整数である。
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、例えば、硬化性エポキシ樹脂とポリアミド樹脂とで構成されるコンポジットゲル化剤であってもよい。適切なコンポジットゲル化剤は、同一出願人による米国特許公開第2007/0120921号に記載されている。
コンポジットゲル化剤中のエポキシ樹脂成分は、任意の適切なエポキシ基含有材料であってもよい。いくつかの実施形態では、エポキシ基含有成分は、ポリフェノール系エポキシ樹脂またはポリオール系エポキシ樹脂のいずれかのジグリシジルエーテル、またはこれらの混合物を含む。つまり、いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、分子の末端に位置する2個のエポキシ官能基を有する。ポリフェノール系エポキシ樹脂は、いくつかの実施形態では、2個以下のグリシジルエーテル末端基を有するビスフェノールA−コ−エピクロロヒドリン樹脂である。ポリオール系エポキシ樹脂は、2個以下のグリシジルエーテル末端基を有するジプロピレングリコール−コ−エピクロロヒドリン樹脂であってもよい。適切なエポキシ樹脂は、重量平均分子量が約200〜約800の範囲であり、例えば、約300〜約700である。
エポキシ−ポリアミドコンポジットゲル化剤のポリアミド成分として、任意の適切なポリアミド材料を用いてもよい。ポリアミドは、重合させた脂肪酸(例えば、天然源(例えば、ヤシ油、菜種油、ヒマシ油など、これらの混合物を含む)から誘導されたポリアミド樹脂、または二量化したC−18不飽和酸原料(例えば、オレイン酸、リノール酸など)から調製される一般的に知られている炭化水素「ダイマー酸」と、ポリアミン(例えば、ジアミン(例えば、アルキレンジアミン、例えば、エチレンジアミン、DYTEK(登録商標)シリーズのジアミン、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンなど)、または、ポリエステル−ポリアミドおよびポリエーテル−ポリアミドのようなポリアミドコポリマーとで構成されていてもよい。ゲル化剤を作成するのに、1種類以上のポリアミド樹脂を使用してもよい。Arizona Chemical Company製のSYLVAGEL(登録商標)ポリアミド樹脂、およびこれらの改変体(ポリエーテル−ポリアミド樹脂を含む)を使用してもよい。Arizona Chemical Companyから得たSYLVAGEL(登録商標)樹脂の組成物は、以下の一般式を有するポリアルキレンオキシジアミンポリアミドとして記載され、
Figure 2012062470

式中、Rは、炭素が少なくとも17個のアルキル基であり、Rは、ポリアルキレンオキシドを含み、Rは、C−6炭素環基を含み、nは、少なくとも1、例えば、1〜約100、約1〜約50、約5〜約25の整数である。
また、ゲル化剤は、例えば、同一出願人による米国特許公開第2007/0120924号に開示されているように、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート成分と、ポリアミド成分とを含んでいてもよい。硬化性ポリアミド−エポキシアクリレートは、少なくとも1つの官能基を含むという観点で硬化性である。一例として、ポリアミド−エポキシアクリレートは、二官能である。官能基(例えば、アクリレート基)は、遊離ラジカルによって開始して硬化し、硬化したインク媒剤にゲル化剤を化学結合させることができる。また、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレートは、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂で構成される硬化性コンポジットゲル化剤に関する上述の構造の範囲内から選択されてもよい。
インク組成物は、ゲル化剤を任意の適切な量で、例えば、組成物の約1重量%〜約50重量%の量で含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、組成物の約2重量%〜約20重量%、例えば、約3重量%〜約10重量%の量で存在していてもよい。
インク組成物は、少なくとも1つの硬化性ワックスを含んでいてもよい。ワックスは、室温(25℃で)固体であってもよい。ワックスを含むことで、インク組成物を塗布温度から冷却するにつれて、粘度上昇が促進されてもよい。したがって、ワックスは、ゲル化剤が、組成物が基板へとにじみ出ることを防ぐのを助ける場合がある。
硬化性ワックスは、他の成分と混和性であり、硬化性モノマーと重合してポリマーを生成するであろう、任意のワックス成分であってもよい。ワックスとの用語は、例えば、ワックスと一般的に呼ばれるような、種々の天然材料、改変された天然材料、合成材料のいずれかを含んでいる。
硬化性ワックスの適切な例としては、硬化性基を含むか、または硬化性基で官能化されるワックスが挙げられる。硬化性基としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アルケン、アリルエーテル、エポキシド、オキセタンなどが挙げられる。これらのワックスは、ワックス(例えば、カルボン酸またはヒドロキシルに変換可能な官能基を有するポリエチレンワックス)の反応によって合成することができる。本明細書に記載の硬化性ワックスは、上述の硬化性モノマーを用いて硬化させてもよい。
硬化性基で官能化されていてもよい、末端がヒドロキシルのポリエチレンワックスの適切な例としては、限定されないが、CH−(CH−CHOH構造を有する炭素鎖(鎖長nの混合物が存在する場合、平均鎖長は、約16〜約50の範囲であってもよい)と同様の平均鎖長さを有する直鎖低分子量ポリエチレンとの混合物が挙げられる。
硬化性基で官能化されていてもよい、末端がカルボン酸のポリエチレンワックスの適切な例としては、CH−(CH−COOH構造を有する炭素鎖(鎖長nの混合物が存在する場合、平均鎖長は、約16〜約50の範囲である)と同様の平均鎖長さを有する直鎖低分子量ポリエチレンとの混合物が挙げられる。
硬化性ワックスは、例えば、組成物の約0.1重量%〜約30重量%の量で、組成物中に含まれていてもよい。
インク媒剤は、硬化性成分と、場合により、反応性希釈剤、着色剤、開始剤、酸化防止剤、架橋剤を含むさらなる材料と、任意の従来の任意成分の添加剤との混合物であってもよい。このような従来の添加剤としては、例えば、消泡剤、滑り剤およびレベリング剤、顔料分散剤などが挙げられる。また、インクは、所望な場合、さらなるモノマー材料またはポリマー材料を含んでいてもよい。
インク組成物は、場合により、着色剤を含んでいてもよい。任意の望ましい着色剤または有効な着色剤(染料、顔料、これらの混合物などを含む)を、インク組成物中で用いてもよく、但し、着色剤をインク媒剤に溶解してもよく、分散してもよい。顔料(典型的には、染料よりも安価であり、堅牢性である)が、特定の実施形態に含まれてもよい。多くの染料の色は、硬化段階中に起こる重合プロセスによって、おそらく、遊離ラジカルによって分子構造が攻撃されることによって変わってもよい。組成物を、例えば、Color Index(C.I.)Solvent Dyes、Disperse Dyes、改変されたAcid and Direct Dyes、Basic Dyes、Sulphur Dyes、Vat Dyesなどの従来のインク着色剤材料と組み合わせて用いてもよい。
着色剤は、インク組成物中に、例えば、インク組成物の約0.1〜約15重量%、例えば、約2.0〜約9重量%の量で含まれてもよい。
硬化性転相インク組成物は、場合により、開始剤(例えば、光開始剤)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、このような開始剤は、インクを硬化するのを補助するのに望ましい。
いくつかの実施形態では、放射線(例えば、UV光線)を吸収し、インクの硬化性成分の硬化を開始させる光開始剤を用いてもよい。遊離ラジカル重合によって硬化する、実施形態のインク組成物、例えば、アクリレート基またはポリアミドで構成されるインクを含むインク組成物のための光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アルコキシアルキルフェノン、商品名IRGACUREおよびDAROCURでCibaから販売されるα−アミノアルキルフェノン、アシルホスフィン光開始剤のような光開始剤が挙げられる。
光開始剤は、硬化を開始するために、約200〜約420nmの波長の光を吸収してもよいが、もっと長い波長で吸収する開始剤(例えば、560nmまでを吸収してもよいチタノセン)の使用も、制限なく用いることができる。
インク組成物に含まれる開始剤の合計量は、例えば、インク組成物の約0.5〜約15重量%、例えば、約1〜約10重量%であってもよい。
また、硬化性転相インク組成物は、場合により、酸化防止剤を含んでいてもよい。インク組成物の任意の酸化防止剤は、画像が酸化することを防ぎ、インク調製プロセスの加熱段階中、インク成分が酸化するのも防ぐ。
存在する場合、任意の酸化防止剤は、実施形態のインク組成物中、任意の望ましい量または有効な量で、例えば、インク組成物の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、または少なくとも約1重量%で存在する。
また、転相インクは、場合により、架橋剤を含んでいてもよい。任意の架橋剤は、印刷中の転相インクの硬化性を高めることができる。適切な架橋剤の特定の例としては、例えば、プロポキシル化−(2)−ネオペンチルグリコールジアクリレート(SR9003)、エトキシル化−(6)−トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR399LV)、ペンタアクリレートエステル(SR9041)、およびこれらの混合物が挙げられる。
架橋剤は、インク中に、任意の望ましい量または有効な量で存在してもよく、例えば、インクの約0.5重量%〜約35重量%の量で存在してもよい。
画像を作成する方法は、少なくとも1つのキャリア、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つのワックス、少なくとも1つのアルコキシシランモノマーを含むインク媒剤を含むインク組成物を溶融することと、この転相インクを、画像を受け入れる基板に吐出することと、この画像を受け入れる基板の上にある転相インクに紫外線をあて、転相インクの硬化性成分を硬化させることとを含んでいてもよい。
インクは、望ましくは、低温で、特に、例えば、約110℃よりも低い温度で、例えば、約40℃〜約110℃で吐出される。このような低い吐出温度では、吐出されるインクと、インクが吐出される基板との温度差によって、インクの迅速な転相(つまり、液体から固体)が起こるような従来の使用は、有効ではない場合がある。したがって、基板の上に吐出されたインクの粘度をすばやく上げるためにゲル化剤を用いてもよい。特に、インクが液体状態からゲル状態(または半固体状態)へと顕著に粘度変化を受ける転相遷移作用によって、吐出されたインクの液滴を、インクのインク吐出温度よりも低い温度に維持されている、受け入れる基板、例えば、最終記録基板(例えば、紙または透明材料)、または中間転写体(例えば、転写溶融ドラムまたはベルト)の上の位置に固定することができる。
インクがゲル状態を形成する温度は、インクの吐出温度よりも低い任意の温度、例えば、約5℃〜約100℃の任意の温度である。インクが液体状態である吐出温度から、インクがゲル状態になるゲル温度まで冷却すると、インク粘度が急激に、大きく増加する。ある特定の実施形態では、粘度の増加は、少なくとも102.5倍の粘度増加である。
インク組成物は、任意の望ましい方法または適切な方法によって調製することができる。例えば、インク成分をともに混合した後、約80℃〜約120℃の温度まで加熱し、均一なインク組成物が得られるまで撹拌し、次いで、インクを周囲温度、例えば、約20〜約25℃まで冷却してもよい。インクは、周囲温度で固体である。
インクジェットプロセスで直接印刷するための装置で、上述のインクを用いてもよい。本明細書に開示されている別の実施形態は、本明細書に開示されているインクをインクジェット印刷装置に組み込むことと、インクを溶融させることと、記録基板に対し、溶融インクの液滴を、画像パターンになるように吐出することを含むプロセスに関する。直接的な印刷プロセスは、例えば、米国特許第5,195,430号にも開示されている。他のホットメルト印刷プロセス(例えば、ホットメルト音響インクジェット印刷、ホットメルト熱インクジェット印刷、ホットメルト連続流インクジェット印刷または偏向インクジェット印刷など)で、本明細書に開示されているようなインクを用いてもよい。また、本明細書に開示されるような転相インクを、ホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスで使用することもできる。
普通紙、例えば、XEROX(登録商標)4024紙、XEROX(登録商標)Image Series紙、Courtland 4024 DP紙、罫線付きノート紙、ボンド紙、シリカでコーティングされた紙、例えば、Sharp Companyシリカコーティング紙、JuJo紙、HAMMERMILL LASERPRINT(登録商標)紙など、光沢コーティングされた紙、例えば、XEROX(登録商標)Digital Color Gloss、Sappi Warren Papers LUSTROGLOSS(登録商標)など、PASADENA LITHO LABEL(登録商標)紙、透明材料、布地、繊維製品、プラスチック、ポリマー膜、無機基板(例えば、金属、セラミック、木材)などの任意の適切な基板または記録シートを使用してもよい。
表1は、アルコキシシランモノマー、架橋剤を含み、アルコキシシランモノマーを含まない転相インク、架橋剤もアルコキシシランモノマーも含まない転相インクを用いた、転相インクの配合を示す。
Figure 2012062470
表1のそれぞれのインクをMylarシートに印刷し、Fusion UV Systems,Inc.製のLIGHTHAMMER 6UV硬化システムを用い、毎分240フィート(fpm)でUV光をあてた。次いで、印刷した画像を通常の雰囲気下(周囲の空気/湿度)または水分が多い雰囲気下(湿度100%)にさらした。実施例のインクについて、印刷してから1時間後および48時間後に硬化摩耗試験を行った。比較例のインク1および比較例のインク2について、両方とも、印刷してから1時間後に硬化摩耗試験を行った。
インクの硬化性は、未硬化の印刷物にUV光を通す速度に逆依存することがわかっている。従来の架橋剤を含むインクは、30fpmで印刷した場合に、許容され得る硬化摩耗試験結果を有することがわかっている。しかし、本出願で開示されているアルコキシシランモノマー含有インクは、約240fpmまたはそれ以上の印刷速度で、許容され得る硬化摩耗試験結果を有することがわかっている。
標準的な硬化摩耗試験手順を用い、Qチップを酢酸エチルに浸し、次いで、画像を前後に擦った。1回の前後移動で1回擦ったとした。下にあるMylar(登録商標)が見えるようになるまで画像を擦った。次いで、擦った回数を硬化点とした。
インクの硬化性は、未硬化の印刷物にUV光を通す速度に逆依存することがわかっている。従来の架橋剤を含むインクは、30fpmで印刷した場合に、許容され得る硬化摩耗試験結果を有することがわかっている。次いで、擦った回数をインクの硬化性を決定づける根拠と考えた。実施例のインク、比較例のインク1および比較例のインク2の硬化摩耗試験の結果を以下の表2に示す。
Figure 2012062470
上の表2に示されるように、通常の雰囲気条件にさらされ、印刷してから1時間後に硬化摩耗試験を行った、アルコキシシランモノマーを含む転相インク(実施例のインク)は、架橋剤のみを含む転相インク(比較例のインク1)または架橋剤もアルコキシシランモノマーも含まない転相インク(比較例のインク2)と比較して、硬化摩耗試験の結果がかなり向上している。さらに、上の結果は、転相インク中のアルコキシシランモノマーが、印刷してから少なくとも48時間は加水分解し続けており、通常の雰囲気下でも、水分が多い雰囲気下でも、転相インクの印刷物の硬化性をさらに高めていることも示している。さらに、このインクが、水分が多い雰囲気にさらされた場合、アルコキシシランモノマーを含む転相インクで、転相インクの硬化性の向上がさらに顕著である。
3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランのみが示されているが、上述の記載の範囲内にある任意の他のアルコキシシランを用いても、同様の結果が実現可能であると予想されるだろう。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの硬化性モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1つのワックス、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つのアルコキシシランモノマーを含むインク媒剤を含む転相インク。
  2. 前記少なくとも1つのアルコキシシランモノマーが、以下の式を有し、
    Figure 2012062470

    式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、アルキル基であり、Rが、水素またはメチル基である、請求項1に記載の転相インク。
  3. 前記少なくとも1つのアルコキシシランモノマーが、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の転相インク。
  4. 前記転相インクが、さらに、反応性希釈剤、開始剤、酸化防止剤、架橋剤、消泡剤、滑り剤およびレベリング剤、顔料分散剤などを含む群から選択される少なくとも1つの添加剤から構成される、請求項1に記載の転相インク。
  5. 前記転相インクが、約40℃〜約125℃の吐出温度で約1〜約35センチポイズの溶融粘度を有する、請求項1に記載の転相インク。
  6. 少なくとも1つの硬化性モノマーまたはオリゴマーをインクの約10重量%〜約80重量%含み、少なくとも1つのゲル化剤が、インクの約1重量%〜約50重量%の量で存在し、少なくとも1つのワックスが、インクの約0.1重量%〜約30重量%の量で存在し、少なくとも1つのアルコキシシランモノマーが、インクの約10重量%〜約80重量%の量で存在するインク媒剤を含む、転相インク。
  7. 前記少なくとも1つのアルコキシシランモノマーが、以下の式を有し、
    Figure 2012062470

    式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、アルキル基であり、Rが、水素またはメチル基である、請求項6に記載の転相インク。
  8. 画像を作成する方法であって、
    少なくとも1つの硬化性モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1つのワックス、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つのアルコキシシランモノマーを含むインク媒剤を含む転相インクを溶融することと、
    前記転相インクを画像基板の上に吐出することと、
    前記画像を受け入れる基板の上にある転相インクに紫外線をあて、転相インクを硬化させることとを含む、方法。
  9. 前記画像を受け入れる基板を、前記転相インクに紫外線をあててから約48時間、周囲雰囲気にさらすか、または、水分を約50%〜約80%含む雰囲気にさらすことを含む、請求項8に記載の画像を作成する方法。
  10. 前記転相インクの硬化性成分の硬化を、前記画像を受け入れる基板に転相インクを吐出してから約48時間まで続ける、請求項8に記載の画像を作成する方法。
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