JP2013221048A - 活性光線硬化型インクジェットインク、およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性光線硬化性化合物と、1〜10質量%のワックスと、0.01〜1質量%の非重合性の液体成分とを含み、温度により可逆的にゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクであって、前記液体成分の沸点は150℃以上、前記液体成分の融点は25℃以下であり、前記液体成分に対する前記ワックスの溶解度が、40℃で1質量%以上である、活性光線硬化型インクジェットインクとする。
【選択図】なし
Description
[1]活性光線硬化性化合物と、1〜10質量%のワックスと、0.01〜3質量%の非重合性の液体成分とを含み、温度により可逆的にゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクであって、前記液体成分の沸点は150℃以上、前記液体成分の融点は25℃以下であり、前記液体成分に対する前記ワックスの溶解度が、40℃で1質量%以上である、活性光線硬化型インクジェットインク。
[2]前記液体成分は、脂肪酸エステルである、[1]に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[3]前記活性光線硬化性化合物が、ラジカル重合性化合物である、[1]または[2]に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[4]前記ワックスの添加量が1質量%以上7質量%未満である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体に射出する工程と、前記記録媒体に射出された前記インクに活性光線を照射して、前記インクを硬化させる工程とを含むインクジェット記録方法であって、前記記録媒体に射出されるときの前記活性光線硬化型インクジェットインクの温度を、前記活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる前記ワックスの含有量が、飽和溶解量以下となる温度とする、インクジェット記録方法。
活性光線硬化性化合物は、活性光線により架橋または重合する光重合性化合物である。活性光線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等であり、好ましくは紫外線および電子線である。活性光線硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物またはカチオン重合性化合物であり、好ましくはラジカル重合性化合物である。
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能モノマー等が含まれる。
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物等が含まれる。これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性や密着性などを考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明おいてワックスとは、一般に常温で固体、加熱すると液体となる有機物」と定義される。ワックスの融点は、好ましくは融点が30℃以上150℃未満である。本発明の活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるワックスは、少なくとも1)ゲル化温度よりも高い温度で、活性光線硬化性化合物に溶解すること、2)ゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化すること、が必要である。
ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、パルミチルステアリルケトン等のケトンワックス(例えば18−Pentatriacontanon(Alfa Aeser社製)、Hentriacontan−16−on(Alfa Aeser社製)、カオーワックスT1(花王株式会社製)等);
ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル等のエステルワックス(例えばユニスターM−2222SL(日油株式会社製)、エキセパールSS(花王株式会社製、融点60℃)、EMALEX CC−18(日本エマルジョン株式会社製)、アムレプスPC(高級アルコール工業株式会社製)、エキセパール MY−M(花王株式会社製)、スパームアセチ(日油株式会社製)、EMALEX CC−10(日本エマルジョン株式会社製)等);
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;
キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;
ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;
モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;
硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;
モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;
ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;
ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;
12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;
12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド(例えば日本化成社製 ニッカアマイドシリーズ、伊藤製油社製 ITOWAXシリーズ、花王社製 FATTYAMIDシリーズ等);
N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;
N,N'-エチレンビスステアリルアミド、N,N'-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N'-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;
ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;
ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物(例えば日本エマルジョン社製 EMALLEXシリーズ、理研ビタミン社製 リケマールシリーズ、理研ビタミン社製 ポエムシリーズ等);
ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸のエステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製);
ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス(Baker−Petrolite社製 UNILINシリーズ等);
ダイマー酸;
ダイマージオール(CRODA社製 PRIPORシリーズ等)等が含まれる。
これらのワックスは、活性光線硬化型インクジェットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
本発明の活性光線硬化性インクジェットインクには、上記ワックスによるゾルゲル相転移を補助するゲル化剤が含まれていてもよい。ゲル化剤の例には、ステアリン酸イヌリン等の脂肪酸イヌリン;パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン(千葉製粉社製 レオパールシリーズ等);ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル;ベヘン酸エイコサンポリグリセリル(日清オイリオ社製 ノムコートシリーズ等);N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-(2-エチルヘキサノイル)-L-グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能);1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)等のジベンジリデンソルビトール類;特開2005−126507号公報、特開2005−255821号公報および特開2010−111790号公報に記載の低分子オイルゲル化剤;等がある。
液体成分は、活性光線により重合しない非重合性の化合物である。液体成分は、非重合性の成分であるため、活性光線硬化性化合物の硬化物と相溶性が低く、インク硬化物の表面近傍に高い濃度で存在する。この液体成分に、硬化物内のワックスが溶解することで、ワックスが析出し難くなり、「ブルーミング」が抑制される。
フタル酸ジノルマルアルキル(C8〜C10)、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジデシル(n−DDP)、フタル酸ジアルキル(C10〜C12)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、トリメリット酸トリノルマルアルキル(C8〜C10)、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸エステル、セバジン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル等の多塩基酸・1価アルコール由来のエステル;
ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエート、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサノイン、トリカプリル酸グリセリル、エチルヘキサン酸ブチルエチルプロパンジオール等の脂肪酸エステル・多価アルコール由来のエステルまたはその誘導体;
オレイン酸モノグリセライド、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、カプリル酸モノ・ジグリセライド、カプリル酸トリグリセライド等の脂肪酸エステル;
ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;
リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチルヘキシル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2等の水酸基含有エステル;
トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ペンタオレイン酸ポリグリセリル−4、ヘプタオレイン酸ポリグリセリル−10、デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカオレイン酸ポリグリセリル−10、デカマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル−10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;等が含まれる。活性光線硬化型インクジェットインクに含まれるエステルは、一種類のみであってもよく、二種類以上の混合物であってもよい。脂肪酸エステルは、特に脂肪酸・1価アルコール由来のエステルであることが好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクには、光重合開始剤がさらに含まれていてもよい。具体的には、活性光線が電子線である場合は、通常、光重合開始剤は含まれなくてもよいが、活性光線が紫外線である場合は、光重合開始剤が含まれることが好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて色材がさらに含まれていてもよい。色材は、染料または顔料でありうるが、インクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されないが、例えばカラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料または無機顔料でありうる。
KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製);
Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製);
Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、
Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製);
Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);
カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが挙げられる。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて他の成分がさらに含まれていてもよい。他の成分は、各種添加剤や他の樹脂等であってよい。添加剤の例には、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが含まれる。他の樹脂の例には、硬化膜の物性を調整するための樹脂などが含まれ、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、およびワックス類等が含まれる。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクは、前述のように、温度により可逆的にゾルゲル相転移するインクである。ゾルゲル相転移型の活性光線硬化型インクは、高温(例えば80℃程度)ではゾルであるため、インクジェット記録ヘッドから吐出することができる。高温下で活性光線硬化型インクジェットインクを吐出すると、インク滴(ドット)が記録媒体に着弾した後、自然冷却されてゲル化する。これにより、隣り合うドット同士の合一を抑制し、画質を高めることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、1)本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体に射出する工程と、2)記録媒体に着弾したインクに活性光線を照射して、前記インクを硬化させる工程と、を含む。
以下の成分(ワックス、液体成分、重合性化合物、重合禁止剤、重合開始剤、顔料分散液)を用いて、活性光線硬化型インクジェットインクを調製した。
脂肪族ケトン(カオーワックスT1,花王)
ベヘニン酸ベヘニル(ユニスターM−2222SL,日油)
ベヘニン酸(ルナックBA,花王)
エルカ酸アミド(ニュートロンS,日本精化)
ベヘニルアルコール(ベヘニルアルコール80R,高級アルコール工業)
パルミチン酸2−エチルヘキシル(エキセパール EH-P,花王、沸点407℃、融点−2℃)
2−エチルヘキサン酸セチル(エキセパールHO,花王、沸点228℃、融点4℃以下)
パルミチン酸イソプロピル(エキセパールIPP,花王、沸点332℃、融点8〜15℃)
ステアリン酸イソトリデシル(エキセパールTD-S,花王、沸点490℃、融点4℃以下)
ミリスチン酸イソプロピル(エキセパールIPM, 花王、沸点193℃、融点−5℃)
ショ糖エルカ酸エステル(ER-190,三菱化学フーズ、沸点150℃以上、融点4℃以下)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲン707, 沸点250℃以上、融点-3℃)
ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(A-400,新中村化学)
4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494、SARTOMER)
6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499、SARTOMER)
Irgastab UV10(チバスペシャリティケミカル)
[重合開始剤]
DAROCURE TPO(チバスペシャリティケミカル)
顔料分散液1(M:マゼンタ)の調製
下記の分散剤、活性光線硬化性化合物および重合禁止剤を、ステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌して溶解させた。得られた溶液を室温まで冷却後、下記のマゼンタ顔料1を21質量部加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gとともにガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理した。その後、ジルコニアビーズを除去して、下記組成の顔料分散液1を調製した。
〔顔料分散液1の組成〕
分散剤:アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製) 9質量部
活性光線硬化性化合物:APG−200(トリプロピレングリコールジアクリレート、新中村化学社製) 70質量部
重合禁止剤:Irgastab UV10(チバ・ジャパン社製) 0.02質量部
マゼンタ顔料1:Pigment Red 122(大日精化製、クロモファインレッド6112JC)
表1に示された組成に従って、各成分を混合して得た混合物を80℃に加熱して撹拌した。得られた溶液を加熱下において#3000の金属メッシュフィルタで濾過した後、冷却してインクを調製した。表1において、各成分の配合量の単位は質量部である。
各実施例及び比較例で添加した液体成分10gを、ステンレスビーカーに入れ、同一の実施例及び比較例で添加したワックスを、0.1g添加し、90℃まで加熱し、完全に溶解させた。その後、40℃のホットプレートへ移し、析出がないかを確認した。評価は以下のように行った。
○:40℃の液体成分に0.1gのワックスが完全に溶解した状態であった。
×:40℃の液体成分に0.1gのワックスが溶解せず、析出が見られた。
各実施例および比較例で得られた活性光線硬化型インクジェットインクで、ライン型インクジェット記録装置を用いて単色画像を形成した。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドの温度は80℃に設定した。記録媒体に、抜き文字、5cm×5cmのベタ画像、または濃度階調パッチを印字した。画像を形成した後、記録装置の下流部に配置したLEDランプ(Phoseon Technology社製395nm、水冷LED)で、画像に紫外線を照射してインクを硬化した。
(ブルーミングの評価)
上記方法によって、記録媒体である印刷用コート紙A(OKトップコート 米坪量128g/m2 王子製紙社製)に形成した5cm×5cmのベタ画像を、25℃と5℃の環境下でそれぞれ1ヶ月間保管した。各温度で保管後の画像を目視観察し、下記の基準に従ってブルーミングを評価した。
○:画像表面に析出物が認められない。
△:画像表面に薄らとした析出物が存在しており、目視で確認できる。
×:画像表面が粉上の物質で覆われており、目視で明らかに確認できる。
上記方法によって、記録媒体である印刷用コート紙A(OKトップコート 米坪量128g/m2 王子製紙社製)に、5cm×5cmのベタ画像を形成した。このベタ画像の上に、印刷用コート紙A(OKトップコート 米坪量128g/m2 王子製紙社製)を重ね、上から2kgの重り(底面は100cm×100cm)を載せて、1日間静置した。その後、重り及び印刷用コート紙Aを外し、ベタ画像と重ねた部分の印刷用コート紙Aにインク成分の付着がないか、下記基準に従って評価した。
○:重ねた印刷用コート紙Aにインク成分の付着がない。
△:重ねた紙にインク成分の付着がわずかに認められる。
×:重ねた紙にインク成分の付着が明らかにある。
上記方法によって、記録媒体である印刷用コート紙A(OKトップコート 米坪量128g/m2 王子製紙社製)に印字した5cm×5cmのベタ画像を目視評価し、下記の評価基準に従って濃度ムラの評価を行った。
○:15cm離れた位置から観測して、画像に濃度ムラが認められない
△:15cm離れた位置から観測すると、画像の一部において濃度ムラが認められるが、30cm離した位置からは、濃度ムラが認められない
×:30cm離した位置から観測して、画像に濃度ムラが認められる
上記調製した各インクを搭載したインクジェット記録装置で、インクジェットヘッドからインク出射を行い、ノズル欠および出射曲がりの有無について目視観察を行い、下記の基準に則り、出射安定性の評価を行った。
○:ノズル欠の発生が全く認められなかった
△:全ノズル512中、1〜4個のノズルでノズル欠が認められた
×:全ノズル512中、5個以上のノズルでノズル欠が認められた
これに対して、ワックスも液体成分も含まない比較例1のインクや、ワックスを含まずに、液体成分のみを含む比較例3のインク、さらにワックスを極少量しか含まない比較例4のインクでは、濃度ムラが見られた。これは、インクのピニング性が低かったためである。
12 記録媒体
14、24 インク吐出用記録ヘッド
16、26 ヘッドキャリッジ
18、28 活性光線照射部
19 温度制御部
27 ガイド部
Claims (5)
- 活性光線硬化性化合物と、1〜10質量%のワックスと、0.01〜3質量%の非重合性の液体成分とを含み、温度により可逆的にゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクであって、
前記液体成分の沸点は150℃以上、前記液体成分の融点は25℃以下であり、
前記液体成分に対する前記ワックスの溶解度が、40℃で1質量%以上である、活性光線硬化型インクジェットインク。 - 前記液体成分は、脂肪酸エステルである、請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記活性光線硬化性化合物が、ラジカル重合性化合物である、請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記ワックスの添加量が1質量%以上7質量%未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクを記録媒体に射出する工程と、
前記記録媒体に射出された前記インクに活性光線を照射して、前記インクを硬化させる工程とを含むインクジェット記録方法であって、
前記記録媒体に射出されるときの前記活性光線硬化型インクジェットインクの温度を、
前記活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる前記ワックスの含有量が、飽和溶解量以下となる温度とする、インクジェット記録方法。
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