以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
<画像形成装置の構成>
本発明は、電子写真方式の画像形成装置であればどのような装置にも適用できるものであり、具体的には、コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、複合機(Multi Function Peripheral)などに適用される。以下では、本発明に係る画像形成装置の典型例として、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能、およびスキャナ機能といった複数の機能を搭載した複合機について説明する。
図1は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの概略構成図である。図1を参照して、画像形成装置MFPは、自動原稿搬送部2と、スキャナ3と、プリントエンジン4と、給紙部5とを含む。
自動原稿搬送部2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラ22と、レジストローラ23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上に載置され、送出ローラ22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラ23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するスキャナ3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
スキャナ3は、第1ミラーユニット31と、第2ミラーユニット32と、結像レンズ33と、撮像素子34と、プラテンガラス35とを含む。第1ミラーユニット31は、光源311とミラー312とを含み、搬送ドラム24の直下の位置において、通過する原稿に向けて光源311から光を照射する。この光源311から照射された光のうち、原稿によって反射した光は、第2ミラーユニット32へ入射する。第2ミラーユニット32は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー321および322を含み、第1ミラーユニット31からの反射光は、ミラー321および322で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。結像レンズ33は、この反射光をライン状の撮像素子34に結像する。
画像形成装置MFPでは、プラテンガラス35に載置された原稿から画像情報を取得することも可能である。この場合には、可動式の光源351およびミラー352が原稿の画像面をスキャンする。このスキャンに伴って、光源351から与えられた光は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー353および354で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。
撮像素子34は、受光した反射光を電気信号に変換して、後述する制御部10へ出力する。スキャナ3によって取得された原稿の画像情報、すなわち撮像素子34から出力される電気信号は、制御部10にて各種の画像処理が行なわれる。
プリントエンジン4は、電子写真方式の画像形成プロセスの一例として、単色のプリント出力が可能である。すなわち、プリントエンジン4は、画像形成処理を実行する作像部に相当する。具体的には、プリントエンジン4は、感光体ドラム41と、帯電器42と、画像書込部43と、現像部44と、転写器45と、除電器46と、定着装置47と、クリーニング部48とを含む。ユーザ操作などによって、画像形成処理(プリント処理)の開始が指示されると、画像書込部43は、プリント対象の画像データに基づいてポリゴンミラー(図示しない)を回転作動させることで、レーザ発光器431から照射されるレーザビームを、感光体ドラム41の軸方向に対する主走査露光として照射する。同時に、感光体ドラム41自身の回転による副走査も行なわれる。このレーザビームの照射前に、感光体ドラム41には、帯電器42によって所定電位が付与されている。感光体ドラム41は、この電位により一様に帯電されている。なお、感光体ドラム41を帯電する構成としては、図1に示すローラ帯電方式に代えてコロナ放電方式を採用してもよい。このコロナ放電方式では、所定電位を発生するチャージャーと、チャージャーと電気的に接続されたグリッドメッシュ、ブレード、ブラシなどとを用いて、感光体ドラム41を帯電する。
感光体ドラム41の感光層には、主走査露光および副走査露光によって、原稿画像の静電潜像が形成される。なお、露光装置としては、ポリゴンミラーを用いてレーザ発光器431からのレーザ光を制御する構成に代えて、感光体ドラム41の軸方向に沿って配置した複数のLED(Light Emitting Diode)の発光量を制御する構成を採用してもよい。また、像担持体としては、図1に示すローラ状の感光体ドラム41に代えて、後述するようなベルト形状の感光体を採用してもよい。
現像部44は、この感光体ドラム41上に形成された静電潜像を反転現像してトナー像を生成する。一例として、現像部44は、2成分現像方式に従ってトナー像を生成する。すなわち、現像部44内には、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が蓄えられており、これらのトナーとキャリアとは、攪拌スクリューによって攪拌されることで摩擦荷電された現像剤となる。そして、この現像剤が供給スクリューによって現像ローラに供給される。さらに、現像剤は、現像ローラの回転により感光体ドラム41上の現像領域に近接した位置へと搬送されると、現像ローラの電位と感光体ドラム41上に形成されている静電潜像の有する電位との間に生じる電界を受けて、感光体ドラム41へ移動する。その結果、感光体ドラム41上の静電潜像がトナー像として現像される。なお、現像部44としては、上述の2成分現像方式に代えて、1成分現像方式もしくはハイブリッド現像方式を採用してもよい。
上述の現像部44における動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラ52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラ55および56ならびにタイミングローラ51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ローラを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ベルトを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラ、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
定着装置47は、加熱ローラ471と加圧ローラ472とを含む。加熱ローラ471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラ471と加圧ローラ472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ローラを用いた定着方式に代えて、定着ベルトなど用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部48によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部48は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、クリーニング部48に代えて、現像部44を用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
<中間階調の再現処理>
次に、電子写真方式の画像形成プロセスにおける中間階調の再現処理について説明する。上述したように、電子写真方式における画像形成プロセスでは、レーザビームなどを用いて、一様に帯電させた感光体の表面を再現すべき画像に応じて露光させることで、感光体上に静電潜像を形成し、さらに、この形成された静電潜像を現像部によってトナー像として現像する。すなわち、電子写真方式では、感光体の表面上でトナー像とすべき部分か否かを制御するのみであり、各部分の着色量(すなわち、トナー付着量)を連続的に制御することはできない。そこで、電子写真方式における中間階調は、網点(ハーフトーン)手法を用いて、単位面積あたりのトナーを付着すべき面積の比率(以下「面積率」とも称す。)を制御することで再現される。すなわち、小さな点や線からなる露光パターンに従って、露光装置による単位面積あたりの露光量を制御することで中間階調が再現される。一般的に、露光装置では、露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御する、いわゆるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式が採用されているため、本実施の形態においても、このパルス幅変調方式の露光装置を用いる構成について例示する。このパルス幅変調方式では、画像の濃度が低い(低階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に短くし、画像の濃度が高い(高階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に長くする。
より具体的には、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、いわゆるスクリーン技術を用いて中間階調を再現する。スクリーン技術では、複数の階調値にそれぞれ対応付けて複数の網点化画像(スクリーン)が生成され、入力画像に含まれる中間階調を有する単位領域毎にスクリーンに従って感光体の表面に対する露光パターンが制御される。すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、複数の階調値にそれぞれ対応するスクリーンを生成して、そのスクリーンで表わされるパターンに従って記録紙上にトナー画像を形成する。写真などを高精度で再現するためには、多数の階調値を再現可能にする必要があるため、目的とし得る階調値に相当するパターンを表わすスクリーンが生成される。このようなパターンとしては、一般的には、「ドットスパターン」または「ラインパターン」が採用される。パターンを表わすスクリーンを生成する際、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは周期関数を用いる。
図2および図3は、ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図であり、図4および図5は、ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。図2〜図5に示すように、各スクリーンは、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とにより定義された2値化パターンを有している。なお、図2〜図5では、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現しており、以下の図においても同様の表現方法を採用する。
図2〜図5に示すように、複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(または、トナー付着領域)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(または、トナー非付着領域)とが定められたパターンを含む。以下の説明において、「第1領域」はトナーを付着させるための制御の対象となる画素または画素の集合体に対応し、「第2領域」はそれ以外の領域、すなわち、トナーを付着させるための制御の対象ではない画素または画素の集合体に対応する。
なお、以下の説明では、第1領域(または、トナー付着領域)を単に「付着領域」と称し、第2領域(または、トナー非付着領域)を単に「非付着領域」と称する。
図2および図3に示すように、「ドットスクリーン」は、典型的には、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域として配置したパターンを有する。図4および図5に示すように、一方、「ラインスクリーン」は、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンをもつ。
このとき、プリント結果における粒状性(ざらつき)の少ない緻密な画像を再現するためには、スクリーン切替によって空間周波数を大きく変化させないことが好ましい。そのため、ドットスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図2に示すように、元のドットの周囲に他のドットを追加配置して集合させる方法、もしくは、図3に示すように、分散させてドットの配置数を増加させる方法が採用される。このように、ドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドットの集合体の拡大、または、分散したドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
また、ラインスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図4に示すように、元のラインの中心位置を維持したまま、そのライン幅を広くする方法、もしくは、図5に示すように、ラインの配置数を分散させて増加させる方法が採用される。このように、ラインスクリーンでは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ライン幅の拡大、または、分散したラインの配置数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
さらに、上述のドットスクリーンとラインスクリーンとを複合したスクリーン群が採用される場合もある。図6および図7は、ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
図6には、低階調側では、図2に示すドットスクリーンに類似したパターン変化を示す一方で、高階調側では、図4に示すラインスクリーンに類似したパターン変化を示すスクリーン群の例を示す。すなわち、図6に示すスクリーン群では、低階調側では、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には(すなわち、隣接するドット同士が接合した後には)、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が徐々に拡大する。
また、図7には、図6に示すスクリーン群に比較してその高階調側の階調再現性を高めたスクリーン群が例示される。すなわち、図7に示すスクリーン群では、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が全体的に徐々に拡大する。さらに、ライン幅が所定値を超えると、ラインの一部の幅のみが徐々に拡大する。
<電子写真方式における画像再現性>
上述のように、電子写真方式では、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンについては、再現性が低下し得る。したがって、上述のような中間階調の再現処理に用いるスクリーン群についても、付着領域および非付着領域のいずれもができる限り狭くならないようにすることが好ましい。
上述の図2〜図5に示すスクリーン群は、ドットまたはラインという基本的な形状を基本にして、面積率を単調増加させて再現する階調値を変化させている。そのため、ある階調値においては、1画素分の幅しかない付着領域および/または非付着領域が存在していることがわかる。
また、図6に示すスクリーン群は、低階調側において、ドットスクリーンに類似した形態でドット径が拡大し、高階調側において、ラインスクリーンに類似した形態でライン幅が拡大するので、上述の図2〜図5に示すスクリーンに比較して、画像再現性の劣化を抑制することができる。さらに、図7に示すスクリーンは、高階調側において、非付着領域の幅を維持したまま、その長さが短くなるので、図6に示すスクリーンに比較して、高階調側における画像再現性の劣化を抑制することができる。
<本実施の形態に従うスクリーン>
本実施の形態に従う画像形成装置MFPが中間階調の再現処理に用いる複数のスクリーン(以下「スクリーンセット」とも称す。)は、上述の図7に示すスクリーン群に比較して、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避することで、中間階調をさらに高い安定性で再現する。
図10は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。なお、本発明についての理解をより容易にするために、図10には、図2〜図7に示すスクリーンと対比可能なスクリーンを描画するが、本発明に係るスクリーンはこれに限られるものではない。
図6および図7に示すスクリーン群では、図2〜図5に示すスクリーン群に比較して、幅の狭い付着領域および/または非付着領域を含むパターンが低減されているが、ある面積率において、間隔の狭い非付着領域が現れてしまうと、その間隔の狭い非付着領域が消滅することはあっても、非付着領域の間隔が広がることはない。
たとえば、図7に示すスクリーン群では、ドットスクリーンに類似した形態から、ラインスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するドット同士が接合する。すなわち、各ドットでは、当該ドットのある一方に位置する隣接ドットに向かって付着領域が拡大することでラインが現れる。このラインが現れる直前には、隣接するドット間で、その幅の狭い隙間領域202が生じる。この隙間領域202は、隣接するドット同士が接合すると消滅する。なお、このとき、隙間領域202以外の非付着領域については、その幅は変化しない。
また、図7に示すスクリーン群では、ラインスクリーンに類似した形態から、非付着領域についてのドットスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するライン同士の一部が接合する。すなわち、各ラインでは、当該ラインのある一方に位置する隣接ラインに向かって部分的にライン幅が拡大することで非付着領域についてのドットが現れる。この非付着領域についてのドットが現れる直前には、隣接するライン間で、その幅の狭い隙間領域204が生じる。この隙間領域204は、隣接するライン同士を接合する付着領域が延びることで消滅する。なお、このとき、隙間領域204以外の付着領域については、その幅は変化しない。
これに対して、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、スクリーン全体の階調値には影響を与えることなく、上述のような隙間領域202および204の発生を防止することを可能にしている。概略すると、本実施の形態に従うスクリーンは、ある階調値において付着領域に設定される部分であっても、より高い階調値においては、非付着領域に設定され得る点において、上述の図2〜図7に示すスクリーンとは大きく相違している。すなわち、上述の図2〜図7に示すスクリーンでは、ある階調値において付着領域とされた部分については、それより高い階調値においては常に付着領域とされているが、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、このような付着領域および非付着領域についての制限を緩和して、よりフレキシブルなパターン変化を行なう。
より具体的には、図10に示すスクリーンでは、ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーンという3つのスクリーンを順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせる。すなわち、目的とする階調値が高くなるに従って、パターン211、パターン212、パターン213、パターン214、パターン215、パターン216、パターン217、パターン218の順で変化する。このうち、パターン211および212は、「ドットパターン」であり、パターン213、214および215は、「ラインパターン」であり、パターン216および217は、「白抜きドットパターン」である。
本明細書において、「ドットスクリーン」は、上述したように、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域としたパターンを意味する。このドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「ドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ドットパターン」とも称す。
また、「ラインスクリーン」は、上述したように、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンを意味する。このラインスクリーンは、階調値の増加に伴って、ドットスクリーンにおける規則とは独立した別の所定の規則(ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大)に従って付着領域が拡大するパターン変化を有する。なお、「ラインスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ラインパターン」とも称す。
さらに、「白抜きドットスクリーン」は、非付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を付着領域としたパターンを意味する。この白抜きドットスクリーンは、階調値の減少に伴って非付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「白抜きドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「白抜きドットパターン」とも称す。
図10において、より高い階調値への変化に伴って、特定の階調値でドットパターン(パターン212)からラインパターン(パターン213)へ切替わる場合には、パターン212に示すドットを一方向にのみ拡大することでラインを生じさせるのではなく、ドットに含まれる一部分(領域205)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ドットの一部を隣接するドットの方向に拡大(領域206)させる。言い換えれば、ドットパターンを構成する領域205の付着領域を、領域206へ移動させることで、表現する階調値を増大する。なお、パターン212とパターン213との間では、面積率は一定となっているが、これは、表現される濃度がそのスクリーン種類(ドットパターンとラインパターンとの相違)に応じて異なるためである。すなわち、同じ面積率であっても、その値によっては、いずれかのスクリーン(この例では、ラインパターン)の方がより高い濃度として再現される場合があるからである。
このようにドットパターンからラインパターンへの切替時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域202の発生を抑制できるとともに、ラインパターンへの切替後における非付着領域の線幅をより広くすることができる。
また、さらに高い濃度への変化に伴って、ラインパターン(パターン215)から白抜きドットパターン(パターン216)へ切替わる場合には、パターン215に示すラインの一部を一方向にのみ拡大することで白抜きドットを生じさせるのではなく、ラインに含まれる一部分(領域207)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ラインの一部を隣接するラインの方向に拡大(領域208)させる。言い換えれば、ラインパターンを構成する領域207の付着領域を、領域208へ移動させることで、再現する階調値を増大する。なお、パターン215とパターン216との間では、面積率は一定となっているが、これについても、上述したように再現される階調値がそのスクリーン種類(ラインパターンと白抜きドットパターンとの相違)に応じて異なるためである。このようにラインパターンから白抜きドットパターンへの切替時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域204の発生を抑制できるとともに、白抜きドット自体も2マス×2マスの大きさを維持できる。この白抜きドットの幅は、図7に示す非付着領域の幅より広くなっている。
すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、階調値の増加に従って第1領域(トナー付着領域)が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、階調値の増加に従って第1領域(トナー付着領域)が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連のラインスクリーン)とを算出するための関数を保持する。そして、入力画像の単位領域に対し、再現すべき階調値が第1しきい値(図10に示すパターン212によって再現される階調値とパターン213によって再現される階調値との中間値)より小さい場合には、第1スクリーン群よりスクリーンが選択され、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンが選択される。
上述したように、画像形成装置MFPは、上記関数を用いて、階調値の減少に伴って第2領域(トナー非付着領域)が第1および第2規則と異なる独立した第3規則に基づき減少する第3スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)をさらに算出することが好ましい。このとき、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より大きい第2しきい値(図10に示すパターン215によって再現される階調値とパターン216によって再現される階調値との中間値)より大きい場合には第3スクリーン群よりスクリーンが選択される。
別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを算出するための関数を保持する。そして、再現すべき階調値の増加に伴って第1領域を所定の方向に拡大するように当該第1スクリーン群からスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図10に示すパターン215の状態)。さらに、再現すべき階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーン選択元が当該第1スクリーン群から当該第2スクリーン群に切替えられる。切替時のスクリーンとしては、所定の方向において、当該第1パターン内の隣接する第1領域間の距離よりも、当該第2パターン内の第2領域の幅が大きいスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図10に示すパターン216)。
さらに別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(トナー非付着領域)を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを算出するための関数を保持する。そして、階調値の減少に伴って第2領域が所定の方向に拡大するように、第2スクリーン群からスクリーンが選択(算出)され(たとえば、図10に示すパターン215の状態)、その後、階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーンの選択元が第2スクリーン群から第1スクリーン群に切替えられる。切替時のスクリーンとして、所定の方向において、第2パターン内の第2領域の幅よりも、第1パターン内の隣接する第1領域間の距離が小さいスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図10に示すパターン216の状態)。
上述のような関数を採用した場合には、切替前後において、第1スクリーン群から選択(算出)されるスクリーン(たとえば、図10に示すパターン212の状態)と、第2スクリーン群から選択(算出)されるスクリーン(たとえば、図10に示すパターン213の状態)とは、実質的に同じ階調値を有することが好ましい。
また、切換前後において、同じ階調値を維持したまま、第1領域のトナー付着の制御対象の画素を第2領域におけるトナー付着の制御対象でない画素に置き換える再配置が実行されることが好ましい。たとえば、図10に示すパターン212の状態とパターン213の状態とを比較すると、第1領域(トナー付着領域)の数は維持されたまま、第2領域(トナー非付着領域)の一部が第1領域(トナー付着領域)に置き換えられていることがわかる。また、図10に示すパターン215の状態とパターン216の状態との間でも同様である。
このように、本実施の形態においては、ある濃度において付着領域に設定される部分であっても、より高い濃度において非付着領域に設定する手法を用いてスクリーン切替を行なうことで、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避し、これによって、中間階調をより安定性を高めて再現できる。
なお、図10においては、濃度が高くなるにつれて、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順でスクリーン切替を行なう構成について例示したが、切替ロジックをより簡素化する観点から、ドットスクリーンとラインスクリーンとの間でのみスクリーン切替を行なう構成を採用してもよい。
<関数の説明>
図2は、スクリーンを生成するための用いられる関数について、周波数空間における座標と当該スクリーンに含まれるパターンで表わされる画像との関係を示す図である。
図11では、周期関数を2値化パターンで表わすことで、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とが定義されている。図11では、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現しており、以下の図においても同様の表現方法を採用する。
すなわち、図11の周期関数において2値化のしきい値よりも大きな値である領域を「第1領域(トナー付着領域)」と定義し、該しきい値よりも小さな値である領域を「第2領域(トナー非付着領域)」と定義することで、図11の周期関数を用いてパターンを定義することができる。この場合、図11の周期関数は、その振幅方向の値が記録紙上の位置ごとのトナー付着の優先度を表わし、振幅方向の値が大きいほど対応する位置へのトナーの付着の可能性を高く、小さいほど可能性を低く規定している。
図11を参照して、1つの空間座標(u,v)で定義される空間周波数を有する周期関数ではラインパターンが表現され、該空間周波数(比率)によってスクリーン角度θがtanθ=u/vと定義される。また、空間座標(u,v)の原点からの距離によって周期が定義されるため、スクリーン線数LがL=(u2+v2)0.5と定義される。
ここで、「スクリーン角度」とは、各パターンにおける付着領域(または、非付着領域)の配列方向を意味し、図11に示す例では、紙面に対して傾め方向がスクリーン角度となる。また、「スクリーン線数」とは、単位長あたりの単位スクリーンの数を意味し、図11に示す例では、スクリーン間隔の逆数が線数となる。一般的に、スクリーン線数は「lpi:line per inch」といった単位を用いて定義される。
しかしながら、図11に表わされたように、1つの空間座標(u,v)で定義される空間周波数を有する周期関数ではドットパターンは表現されない。そこで、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、以下の式(1)の関数F1(x,y)で表わされるように、異なる空間座標で定義される互いに異なる空間周波数を有する第1の周期関数と第2の周期関数とを合成することで、スクリーン角度の異なる2つのパターンを重ね合わせてさまざまなパターンを生成する。
式(1)の関数F1(x,y)は記録紙上の位置(x,y)ごとのトナー付着の優先度を規定する関数を定義するものであり、空間座標(u,v)およびパラメータαを特定することで取得される関数は、値が大きいほど記録紙上の位置(x,y)へのトナーの付着の可能性を高く、小さいほど可能性を低く規定している。なお、式(1)の関数F1(x,y)では、第1の周期関数で表わされるスクリーン角度と第2の周期関数で表わされるスクリーン角度とが周波数空間で90度を成すものとしているが、これらの角度は90度には限定されない。
さらに、画像形成装置MFPでは、式(1)の関数F1(x,y)で表わされるように、第1の周期関数と第2の周期関数との組み合わせ比率を定義するパラメータαを用い、重ねる2つのスクリーンの組み合わせ比率を可変とすることで、パターンの種類を可変とする。すなわち、関数F1(x,y)は、α=0のときは1つの空間座標(u,v)で定義される空間周波数を有する一方の周期関数の示すスクリーンのみであることを表わし、α=1のときは、互いに90度の角度をなす2つのスクリーンが1:1での重ね合わされてなるスクリーンを表わす。
なお、重ね合わせ後に、取り得る値を−1〜+1に規格化すると関数F1(x,y)は以下の式(2)の関数F2(x,y)で表わされ、さらにその出力値の取り得る範囲を0〜+1に規格化すると関数F1(x,y)は以下の式(3)の関数F3(x,y)で表わされる。
図12は、上記関数F3(x,y)において空間座標(u,v)とパラメータαの値とを変化させた場合の、形成されるパターンの出力例を示す図である。たとえば、その出力値である0〜+1を256階調に分割して各段数をしきい値にし、しきい値以上の出力値を印字領域になるように規定することで、関数F3(x,y)を用いて256階調のパターンを形成することができる。なお、階調作成はこれに限ったものでなくてよい。
図12を参照して、α=0のときは、一方の周期関数の示すスクリーンのみであるためにラインパターンが形成され、α=1のときは、互いに90度の角度をなす2つのスクリーンが同じ比率で重ね合わされてなるスクリーンであるためにドットパターンが形成されることがわかる。従って、上記関数F3(x,y)を用いてラインパターンを形成する場合にはα=0とし、ドットパターンを形成する場合にはα=1とすればよいことがわかる。
<制御部の構成>
図13は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFP内の制御部10のハードウェア構成を示す模式図である。
図13を参照して、制御部10は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)102と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)106、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)108、およびHDD(Hard Disk Drive)110と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)112および内部通信I/F114とを含む。なお、これらの部位は、内部バス116を介して互いに接続される。
制御部10では、CPU102が、ROM106などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM104などに展開して実行することで、画像形成装置MFPが制御される。
RAM104は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM104には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM108は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置MFPのIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD110は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信した印刷ジョブやスキャナ3によって取得した画像情報などを蓄積する。
外部通信I/F112は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークNWを介してパーソナルコンピュータPCや他の画像形成装置との間でデータ通信を提供する。
内部通信I/F114は、操作パネルなどと接続され、操作パネルに対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU102へ伝送するとともに、CPU102からの命令に従って、操作パネルにメッセージなどを表示するために必要な信号を送信する。
<制御構造>
図14は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの制御部10における制御構造を示すブロック図である。
図14を参照して、制御部10は、プリント対象の入力画像に応じた静電潜像を感光体(感光体ドラム41)上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。より具体的には、制御部10は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158と、スクリーン生成部160と、関数格納部162と、指令生成部166とを含む。
画像再生の際には、再現モードがユーザ操作などによって制御部10に与えられる。再現モードとは再現性の度合いの規定を指す。たとえば、写真モードや文字モードなどが挙げられ、写真モードでは再現性が高く、文字モードでは再現性が低く規定される。再現モードにはスクリーン角度とスクリーン線数とが対応付けられている。
関数格納部162は、RAM103、EEPROM107、HDD109(図13)に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU101(図13)がプログラムをRAM103(図13)に展開し、各コマンドを実行することで提供される。関数格納部162には、たとえば上記式(3)で表わされた、スクリーンを生成するための関数163と、予め規定された、階調と関数163のパラメータαとの対応関係164と、再現モードとスクリーン角度およびスクリーン線数との対応関係165とが格納される。
前処理部152は、プリント対象の入力画像に対して、色補正などの前処理を行なう。この前処理部152によって処理された入力画像は、領域分離部154へ出力される。
領域分離部154は、前処理部152から受けた入力画像を文字領域と画像領域とに分離する。基本的に、文字領域は、中間階調として再現する必要がない部分であり、画像領域は、中間階調として再現する必要がある部分である。領域分離部154によって分離された文字領域の情報は、文字処理部156へ出力され、画像領域の情報は、階調値判断部158へ出力される。
文字処理部156は、領域分離部154から受けた文字領域の情報に対して、輪郭強調処理などの文字に適した処理を行なう。そして、文字処理部156は、処理結果を指令生成部166へ出力する。
階調値判断部158は、領域分離部154から受けた画像領域の情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158は、その判断結果をスクリーン生成部160へ出力する。
スクリーン生成部160は、階調値判断部158から受けた判断結果である所定単位領域ごとの階調値に基づき、対応関係164,165を参照して、関数格納部162に格納されている関数163を用いてスクリーンを生成する。スクリーン生成部160での生成処理については後述する。なお、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況などに応じて画像形成プロセスが変化するので、スクリーン生成部160は、スクリーン生成の際に上記パラメータαに反映させてもよい。典型的には、画像形成装置MFPに図示しない感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検出するためのセンサが含まれる場合、スクリーン生成部160は、目的の濃度階調特性に対する、トナー像またはプリント出力における実際の濃度階調特性のずれも考慮してパラメータαを決定してもよい。
スクリーン生成部160は、単位領域ごとに使用するスクリーンを生成して画像領域にマッピングする。そして、スクリーン生成部160は、マッピング結果を指令生成部166へ出力する。
指令生成部166は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン生成部160から受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。その際、入力画像のうちの画像領域については、画素ごとの階調値を参照する。そして、この露光指令は、画像書込部43(図1)へ出力される。すなわち、この露光指令によって、生成されたスクリーンに従って画像形成処理が実行される。指令生成部166での露光指令を生成するための処理については後述する。
<スクリーンの生成処理>
スクリーン生成部160でのスクリーン生成処理の一例について説明する。一例として、256階調の各階調に応じてスクリーンを生成する場合について説明する。
関数163として上記式(3)で表わされた関数F3(x,y)を用いる場合、予め対応関係164として、階調値とパラメータαの値との対応関係が規定されている。対応関係164では、所定の階調値の範囲である階調帯ごとにパラメータαの値が対応付けられている。
スクリーン生成部160は、関数格納部162に格納されている対応関係164を参照して階調値判断部158からの所定単位領域ごとの階調値より、所定単位領域ごとのパラメータαを特定する。さらに、スクリーン生成部160は、関数格納部162に格納されている対応関係165を参照して与えられた再現モードより、スクリーン角度θとスクリーン線数Lとを、それぞれθ1、L1と特定する。
スクリーン角度θとスクリーン線数Lとは、図11に表わされたように、それぞれ、空間座標(u,v)でtanθ=u/v、L=(u2+v2)0.5と定義される。そこで、スクリーン生成部160は、それぞれの定義式にθ1、L1を代入することで、空間座標(u,v)の値を得る。
スクリーン生成部160は、特定されたαと算出された空間座標(u,v)の値とを上記式(3)である関数格納部162に格納されている関数163に代入することで、当該単位領域の階調に対応した関数F3(x,y)で表わされるスクリーンを生成する。そして、当該単位領域に対して生成した関数F3(x,y)で表わされるスクリーンをマッピングして、その結果を指令生成部166へ出力する。
<露光指令の生成処理>
画像形成装置MFPにはパルス幅変調方式の露光装置が搭載されているため、露光指令は、画素ごとの露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御するための指令である。指令生成部166は画素ごとに露光に用いられる光をオン/オフ時間を決定して、画素ごとのオン/オフ時間を表わした露光指令を生成する。
指令生成部166はスクリーンがマッピングされた領域、つまり画像領域については、関数F3(x,y)で表わされるスクリーンの値と入力画像の階調値とを画素ごとに比較し、当該画素について露光に用いられる光のオン/オフまたはオン/オフ時間を決定する。
決定方法の一つの具体例として、指令生成部166は、座標(x,y)で表わされる画素についての入力画像の階調値G(x,y)、スクリーンの値F3(x,y)について、スクリーンの値の方が入力画像の階調値よりも大なる場合(F3(x,y)>G(x,y))には露光に用いられる光をオンし、スクリーンの値の方が入力画像の階調値よりも小なる場合(F3(x,y)<G(x,y))には露光に用いられる光をオフすると決定する。これにより、スクリーンの値の方が入力画像の階調値よりも大である画素にはトナーが付着し、スクリーンの値の方が入力画像の階調値よりも小なる画素にはトナーが付着しない。
また、他の例として、指令生成部166は、予め、入力画像の階調値とスクリーンの値との差分を変数とした所定の関数H(G(x,y)−F3(x,y))で露光に用いられる光のオン時間を規定しておき、画素ごとに、入力画像の階調値とスクリーンの値との差分を上記関数Hに代入することで露光に用いられる光のオン時間を決定してもよい。
<処理手順>
図15は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。図16は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおけるスクリーンの生成を示すフローチャートである。図17は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける露光指令の生成手順を示すフローチャートである。これらのフローチャートは、代表的に、制御部10のCPU102(図13)が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
図15を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS100の処理を繰返す。
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS102)。具体的には、CPU102は、スキャナ3(図1)へ制御指令を与えて、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS104)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS106)。その後、CPU102は、ステップS106において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS108)。
並行して、CPU102は、ステップS106において分離した画像領域について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS110)、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを生成する(ステップS112)。
CPU102は、ステップS108において出力された処理結果と、ステップS112において生成されたスクリーンおよび画像領域の画素値とに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS114)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS116)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、処理は終了する。
次に、図16を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPにおけるスクリーンセットの生成処理(ステップS112)について説明する。
図16を参照して、まず、CPU102は、予め記憶されている再現モードとスクリーン角度およびスクリーン線数との対応関係を参照して、与えられた再現モードに対応付けられている値を、この処理に用いるスクリーン角度θ1およびスクリーン線数L1として特定する(ステップS200)。続いて、CPU102は、tanθ=u/v、L=(u2+v2)0.5で表わされる、スクリーン角度θおよびスクリーン線数Lと空間座標(u,v)との関係式に特定されたスクリーン角度θ1およびスクリーン線数L1を代入することで、スクリーンを生成するための用いる関数F3の空間座標(u,v)を特定する(ステップS202)。
次に、CPU102は、処理対象の単位領域について、予め記憶されている階調とスクリーンを生成するための用いる関数のパラメータαとの対応関係を参照して、上記ステップS110で判断された当該領域の階調値に対応付けられている値を、当該領域に対応したスクリーンの生成のための関数F3に用いられるパラメータαとして特定する(ステップS204)。
CPU102は、上記ステップS204の処理を入力画像のうちの画像領域についてすべての単位領域について実行する。CPU102は、すべての単位領域についてスクリーンを生成すると(ステップS206でYES)、生成したスクリーンを対応する単位領域ごとにマッピングし、その結果を出力する(ステップS208)。そして、CPU102はスクリーンセットの生成処理を終了し、処理をステップS114の露光指令の生成処理に移行する。
次に、図17を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける露光指令の生成処理(ステップS114)について説明する。図17では、上述の前者の方法で露光に用いられる光のオン/オフを決定するものとする。
図17を参照して、まず、CPU102は、ステップS108での処理結果である文字領域についての処理結果と、ステップS208での画像領域についてのスクリーンのマッピング結果とを合成する(ステップS300)。そして、CPU102は、合成後の、入力画像の全範囲について、画素ごとに、露光に用いられる光のオン/オフを決定することで、それを指示するための露光指令を生成する。
すなわち、CPU102は、処理対象の画素が画像領域に属する画素である場合(ステップS302でYES)、当該画素の属する単位領域にマッピングされたスクリーンの値F3(x,y)と当該画素の階調値G(x,y)とを比較する。その結果、スクリーンの値F3(x,y)の方が階調値G(x,y)よりも大なる場合には(ステップS304でYES)、CPU102は、その画素の露光を「オン」とする(ステップS306)。そうでないときには(ステップS304でNO)、CPU102は、その画素の露光を「オフ」とする(ステップS308)。
処理対象の画素が画像領域に属する画素でない場合、つまり文字領域に属する画素であって、文字部分を構成するものである場合(ステップS302でNO、かつステップS310でYES)、CPU102は、その画素の露光を「オン」とする(ステップS312)。文字部分を構成しないものである場合(ステップS302でNO、かつステップS310でNO)、CPU102は、その画素の露光を「オフ」とする(ステップS314)。
CPU102は、ステップS302〜S314の露光に用いられる光のオン/オフを決定する処理を入力画像のすべての画素について実行する。CPU102は、すべての画素についてオン/オフを決定すると(ステップS316でYES)、画素ごとに露光に用いられる光のオン/オフを記述した指令を生成する(ステップS318)。そして、CPU102はスクリーンセットの生成処理を終了し、処理をステップS116に戻す。
<作用効果>
この発明の実施の形態によれば、それぞれ周期関数で表わされる2つのスクリーンを重ね合わせることで1つのスクリーンを生成するための関数を記憶しておき、画像領域の階調に応じて重ね合わせの比率を決定して当該階調に応じたスクリーンが生成される。そして、そのスクリーンを用いて中間階調が再現される。そのため、画像領域の階調に応じて容易にパターンを切り替えることで中間階調を安定して再現することができると同時に、プリント結果における粒状性を向上させることができる。
図18、図19および図20は、実施の形態に従う画像形成装置MFPでの中間階調の再現例を示す図である。図18の上段は入力画像であり、ハイライト部からシャドウ部まで連続して階調値が変化する画像(いわゆるグラデーション画像)とする。下段は印字出力画像を表わしている。これらの具体例では、スクリーンを生成するための関数として、上記式(3)で定義される、互いに90度の角度で2つの周期関数を重ねた関数が用いられている。
図18の下段は、2つの周期関数の連続階調のある濃度領域にしきい値を2つ設け、低階調値側の第1のしきい値で表わされる階調値よりも低階調である第1の階調帯にはパラメータαとして1、第1のしきい値で表わされる階調値と高階調値側の第2のしきい値で表わされる階調値との間の第2の階調帯にはパラメータαとして0、第2のしきい値で表わされる階調値よりも高階調である第3の階調帯にはパラメータαとして1、が対応付けられた場合の、印字出力画像を表わしている。第1のしきい値で表わされる階調値に対応した位置がポイントA、第2のしきい値で表わされる階調値で表わされる階調値に対応した位置がポイントBで表わされている。図19(A)は図18下段の印字出力画像のポイントA付近の拡大図であり、図19(B)はポイントB付近の拡大図である。
上のようにパラメータαの値が階調帯と対応付けられることで、図19(A)、(B)に表わされるように、ポイントAでは用いられるスクリーンに含まれるドットがドットパターンからラインパターンに切り替わり、ポイントBはラインパターンから白抜きドットパターンに切り替わっている。すなわち、パラメータαの値を0と1とで切り替えてスクリーンを用いる場合、パターンがポイントA,Bで切り替わり、ポイントA,Bを挟んでドットパターンからラインパターン、ラインパターンからドットパターンと急激にスクリーンに含まれるパターンの形状が変化する。これにより、特にポイントA,B付近での階調値の変化が大きくなり、印字出力された画像の品質を落とす原因となり得る。
これに対して、図20(A)の印字出力画像の例は、ハイライト部からシャドウ部に向けて階調帯を5つに区分し、それぞれ、階調値の低い階調帯から順にパラメータαの値を1,0.5,0,0.5,1と対応付けた場合の例である。また、図20(B)は、ハイライト部からシャドウ部に向けて階調帯を7つに区分し、それぞれ、階調値の低い階調帯から順に1,0.6,0.3,0,0.3,0.6,1と対応付けた場合の例である。
図21は、図20(A)および図20(B)のポイントC付近のパターン構成を模式的に表わした図である。図20(A)および図20(B)のポイントCは、パラメータαの値が1から0に切り替えられる付近を指しており、図20(A)の例および図20(B)の例でも、ポイントC付近でパラメータαの値が0から1の中間の値となることで、ドットパターンとラインパターンとが混合したいわゆるパターンが形成されることになる。
このように、階調帯を多く設けてパラメータαとして0と1との間の値を対応付けるようにすることで、ラインパターンとドットパターンとの間のパターンの切り替えを連続的にすることができ、階調値の変化を抑えることができる。このように実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、容易にパターンを切り替えることができると共に、中間階調の再現性、特に粒状性を向上させることができる。
なお、以上の例では、画像領域の所定単位領域ごとに階調値に応じて関数の定義に対応したパラメータαを代入することでスクリーンを生成するための関数を取得している。しかしながら、たとえば図20(A)や図20(B)に表わされたように、予め所定数の値がパラメータαとして用いられると規定されている場合には、それぞれの値に対応した複数の関数が記憶されており、対応する関数を取得するようにしてもよい。
<変形例>
なお、露光指令を生成する際、より好ましくは、処理対象の所定単位領域の階調値に対応付けられているパラメータαの値が1である場合、すなわち、当該領域にマッピングされたスクリーンがドットパターンを含むスクリーンである場合、CPU102は、ある画素について露光に用いる光のオン/オフを判断する際に、当該画素の座標で表わされる位置に加えて、当該画素内であって上記座標からずれた位置についても、入力画像の階調値G(x,y)とスクリーンの値F3(x,y)とを比較する。
すなわち、座標(x,y)で表わされる画素についての露光に用いる光のオン/オフを判断する際に、座標(x,y)から当該画素内でずれた位置である座標(x+△x,y+△y)(−1<△x、△y<+1)についても、スクリーンの値の方が入力画像の階調値よりも大なる場合(F3(x+△x,y+△y)>G(x+△x,y+△y))には露光に用いられる光をオンし、スクリーンの値の方が入力画像の階調値よりも小なる場合(F3(x+△x,y+△y)<G(x+△x,y+△y))には露光に用いられる光をオフすると決定する。
このようにすることで、処理対象の画素について、露光に用いる光のオン/オフ時間を容易に判断することができる。
さらに、実施の形態に従う画像形成装置MFPでの処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。