この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
<画像形成装置の構成>
本発明は、電子写真方式の画像形成装置であればどのような装置にも適用できるものであり、具体的には、コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、複合機(MFP、Multi Function Peripheral)などに適用される。以下では、本発明に係る画像形成装置の典型例として、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能、およびスキャナ機能といった複数の機能を搭載した複合機について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に従う画像形成装置MFPの概略構成図である。図1を参照して、画像形成装置MFPは、自動原稿搬送部2と、スキャナ3と、プリントエンジン4と、給紙部5とを含む。
自動原稿搬送部2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラ22と、レジストローラ23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上に載置され、送出ローラ22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラ23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するスキャナ3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
スキャナ3は、第1ミラーユニット31と、第2ミラーユニット32と、結像レンズ33と、撮像素子34と、プラテンガラス35とを含む。第1ミラーユニット31は、光源311とミラー312とを含み、搬送ドラム24の直下の位置において、通過する原稿に向けて光源311から光を照射する。この光源311から照射された光のうち、原稿によって反射した光は、第2ミラーユニット32へ入射する。第2ミラーユニット32は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー321および322を含み、第1ミラーユニット31からの反射光は、ミラー321および322で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。結像レンズ33は、この反射光をライン状の撮像素子34に結像する。
画像形成装置MFPでは、プラテンガラス35に載置された原稿から画像情報を取得することも可能である。この場合には、可動式の光源351およびミラー352が原稿の画像面をスキャンする。このスキャンに伴って、光源351から与えられた光は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー353および354で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。
撮像素子34は、受光した反射光を電気信号に変換して、後述する制御部10へ出力する。スキャナ3によって取得された原稿の画像情報、すなわち撮像素子34から出力される電気信号は、制御部10にて各種の画像処理が行われる。
プリントエンジン4は、電子写真方式の画像形成プロセスの一例として、単色のプリント出力が可能である。すなわち、プリントエンジン4は、画像形成処理を実行する作像部に相当する。具体的には、プリントエンジン4は、感光体ドラム41と、帯電器42と、画像書込部43と、現像部44と、転写器45と、除電器46と、定着装置47と、クリーニング部48と、IDC(Image Density Control)センサ49とを含む。ユーザ操作などによって、画像形成処理(プリント処理)の開始が指示されると、画像書込部43は、プリント対象の画像データに基づいてポリゴンミラー(図示しない)を回転作動させることで、レーザ発光器431から照射されるレーザビームを、感光体ドラム41の軸方向に対する主走査露光として照射する。以下、この軸方向を主走査方向という。同時に、感光体ドラム41自身の回転による副走査も行なわれる。以下、この回転方向を副走査方向という。このレーザビームの照射前に、感光体ドラム41には、帯電器42によって所定電位が付与されている。感光体ドラム41は、この電位により一様に帯電されている。なお、感光体ドラム41を帯電する構成としては、図1に示すローラ帯電方式に代えてコロナ放電方式を採用してもよい。このコロナ放電方式では、所定電位を発生するチャージャーと、チャージャーと電気的に接続されたグリッドメッシュ、ブレード、ブラシなどとを用いて、感光体ドラム41を帯電する。
感光体ドラム41の感光層には、主走査露光および副走査露光によって、原稿画像の静電潜像が形成される。なお、露光装置としては、ポリゴンミラーを用いてレーザ発光器431からのレーザ光を制御する構成に代えて、感光体ドラム41の軸方向に沿って配置した複数のLED(Light Emitting Diode)の発光量を制御する構成を採用してもよい。また、像担持体としては、図1に示すローラ状の感光体ドラム41に代えて、後述するようなベルト形状の感光体を採用してもよい。
現像部44は、この感光体ドラム41上に形成された静電潜像を反転現像してトナー像を生成する。一例として、現像部44は、2成分現像方式に従ってトナー像を生成する。すなわち、現像部44内には、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が蓄えられており、これらのトナーとキャリアとは、攪拌スクリューによって攪拌されることで摩擦荷電された現像剤となる。そして、この現像剤が供給スクリューによって現像ローラに供給される。さらに、現像剤は、現像ローラの回転により感光体ドラム41上の現像領域に近接した位置へと搬送されると、現像ローラの電位と感光体ドラム41上に形成されている静電潜像の有する電位との間に生じる電界を受けて、感光体ドラム41へ移動する。その結果、感光体ドラム41上の静電潜像がトナー像として現像される。なお、現像部44としては、上述の2成分現像方式に代えて、1成分現像方式もしくはハイブリッド現像方式を採用してもよい。
上述の現像部44における動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラ52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラ55および56ならびにタイミングローラ51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ローラを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ベルトを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラ、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
定着装置47は、加熱ローラ471と加圧ローラ472とを含む。加熱ローラ471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラ471と加圧ローラ472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ローラを用いた定着方式に代えて、定着ベルトなど用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部48によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部48は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、クリーニング部48に代えて、現像部44を用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
IDCセンサ49は、感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検出する。このIDCセンサ49は、代表的に反射型フォトセンサからなる光強度センサであり、感光体ドラム41の表面からの反射光強度を検出する。すなわち、IDCセンサ49は、画像形成された結果を検出する。
<中間階調の再現処理>
次に、電子写真方式の画像形成プロセスにおける中間階調の再現処理について説明する。上述したように、電子写真方式における画像形成プロセスでは、レーザビームなどを用いて、一様に帯電させた感光体の表面を再現すべき画像に応じて露光させることで、感光体上に静電潜像を形成し、さらに、この形成された静電潜像を現像部によってトナー像として現像する。すなわち、電子写真方式では、感光体の表面上でトナー像とすべき部分か否かを制御するのみであり、各部分の着色量(すなわち、トナー付着量)を連続的に制御することはできない。そこで、電子写真方式における中間階調は、網点(ハーフトーン)手法を用いて、単位面積あたりのトナーを付着すべき面積の比率(以下「面積率」とも称す。)を制御することで再現される。すなわち、小さな点や線からなる露光パターンに従って、露光装置による単位面積あたりの露光量を制御することで中間階調が再現される。一般的に、露光装置では、露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御する、いわゆるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式が採用されているため、本実施の形態においても、このパルス幅変調方式の露光装置を用いる構成について例示する。このパルス幅変調方式では、画像の濃度が低い(低階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に短くし、画像の濃度が高い(高階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に長くする。
より具体的には、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、いわゆるスクリーン技術を用いて中間階調を再現する。このスクリーン技術では、複数の階調値にそれぞれ対応付けて複数のスクリーンが予め用意される。そして、この複数のスクリーンの中から、入力画像に含まれる中間階調を有する単位領域毎にスクリーンが選択され、この選択されたスクリーンに従って感光体の表面に対する露光パターンが制御される。すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する。写真などを高精度で再現するためには、多数の階調値を再現可能にする必要があるため、目的とし得る階調値に相当する数のスクリーンが予め用意される。このようなスクリーン群としては、一般的には、「ドットスクリーン」または「ラインスクリーン」が採用される。
各スクリーンは、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とにより定義された2値化パターンを有している。なお、以下の図において、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現する。
複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(または、トナー付着領域)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(または、トナー非付着領域)とが定められたパターンを含む。本明細書において、「第1領域」はトナーを付着させるための制御の対象となる画素または画素の集合体に対応し、「第2領域」はそれ以外の領域、すなわち、トナーを付着させるための制御の対象ではない画素または画素の集合体に対応する。
なお、以下の説明では、第1領域(または、トナー付着領域)を単に「付着領域」とも称し、第2領域(または、トナー非付着領域)を単に「非付着領域」とも称する。
「ドットスクリーン」は、典型的には、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域として配置したパターンを有する。一方、「ラインスクリーン」は、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンをもつ。
このとき、プリント結果における粒状性(ざらつき)の少ない緻密な画像を再現するためには、スクリーン切替によって空間周波数を大きく変化させないことが好ましい。そのため、ドットスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、元のドットの周囲に他のドットを追加配置して集合させる方法、もしくは、分散させてドットの配置数を増加させる方法が採用される。このように、ドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドットの集合体の拡大、または、分散したドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
また、ラインスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、元のラインの中心位置を維持したまま、そのライン幅を広くする方法、もしくは、ラインの配置数を分散させて増加させる方法が採用される。このように、ラインスクリーンでは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ライン幅の拡大、または、分散したラインの配置数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
<制御部の構成>
図2は、この発明の実施の形態1に従う画像形成装置MFP内の制御部10のハードウェア構成を示す模式図である。
図2を参照して、制御部10は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)102と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)106、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)108、およびHDD(Hard Disk Drive)110と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)112および内部通信I/F114とを含む。なお、これらの部位は、内部バス116を介して互いに接続される。
制御部10では、CPU102が、ROM106などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM104などに展開して実行することで、画像形成装置MFPが制御される。
RAM104は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM104には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM108は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置MFPのIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD110は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信した印刷ジョブやスキャナ3によって取得した画像情報などを蓄積する。
外部通信I/F112は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークNWを介してパーソナルコンピュータPCや他の画像形成装置との間でデータ通信を提供する。
内部通信I/F114は、操作パネルなどと接続され、操作パネルに対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU102へ伝送するとともに、CPU102からの命令に従って、操作パネルにメッセージなどを表示するために必要な信号を送信する。
<制御構造>
図3は、この発明の実施の形態1に従う画像形成装置MFPの制御部10における制御構造を示すブロック図である。
図3を参照して、制御部10は、プリント対象の入力画像に応じた静電潜像を感光体(感光体ドラム41)上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。より具体的には、制御部10は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158と、スクリーン選択部160と、スクリーン格納部162と、指令生成部166と、スクリーン生成部170とを含む。スクリーン格納部162は、RAM103、EEPROM107、HDD109(図2)に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU101(図2)がプログラムをRAM103(図2)に展開し、各コマンドを実行することで提供される。
前処理部152は、プリント対象の入力画像に対して、色補正などの前処理を行なう。この前処理部152によって処理された入力画像は、領域分離部154へ出力される。
領域分離部154は、前処理部152から受けた入力画像を文字領域と画像領域とに分離する。基本的に、文字領域は、中間階調として再現する必要がない部分であり、画像領域は、中間階調として再現する必要がある部分である。領域分離部154によって分離された文字領域の情報は、文字処理部156へ出力され、画像領域の情報は、階調値判断部158へ出力される。
文字処理部156は、領域分離部154から受けた文字領域の情報に対して、輪郭強調処理などの文字に適した処理を行なう。そして、文字処理部156は、処理結果を指令生成部166へ出力する。
階調値判断部158は、領域分離部154から受けた画像領域の情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158は、その判断結果をスクリーン選択部160へ出力する。
スクリーン選択部160は、階調値判断部158から受けた判断結果に基づいて、再現すべき濃度に応じたスクリーンを順次選択し、画像領域に対して、使用すべきスクリーンの種類をマッピングする。より具体的には、スクリーン選択部160は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンセット164を参照して、再現すべき濃度に対応するスクリーンを決定する。そして、スクリーン選択部160は、マッピング結果を指令生成部166へ出力する。
指令生成部166は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン選択部160から受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。そして、この露光指令は、画像書込部43(図1)へ出力される。すなわち、この露光指令によって、スクリーンの選択結果に従って画像形成処理が実行される。
スクリーン生成部170は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンセット164を必要に応じて生成または更新する。すなわち、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況などに応じて、画像形成プロセスが変化するので、スクリーン生成部170は、このようなプロセス変化に応じて、スクリーンの特性を適切に生成または更新される。典型的には、スクリーン生成部170は、目的の濃度階調特性に対する、トナー像またはプリント出力における実際の濃度階調特性のずれに基づいて、予め用意されているスクリーン群172を適切に組み合わせて、スクリーンセット164を決定する。このスクリーンセットの生成/更新処理については、以下に詳述する。
<スクリーンセットの生成/更新処理>
スクリーンを用いる画像形成装置では、特定の面積率においてプロセスが不安定化し、目的の階調値を再現できない場合がある。すなわち、スクリーンに隙間領域が生じる場合には、理想の作像処理を行なうことができない。そこで、このような画像形成装置では、IDCセンサ49(図1)などを用いて、いずれの階調においても目的の濃度を再現できるように、補正が行われる。
本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、このIDCセンサ49などを用いて、プリントエンジン4によって実際に形成されたトナー像の濃度などを検出し、このIDCセンサ49による検出結果に基づいて、目的の階調値を再現できるスクリーンセットを生成および/または更新する。
図4は、この発明の実施の形態1に従うスクリーンセットの切替えを説明するための図である。図5は、スクリーン別の階調特性の一例を示す図である。図6は、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの一例を示す図である。
まず、予め用意されているスクリーン群172(ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーン)の各々についての階調特性が取得される。具体的には、図4(A)に示すような複数の異なる階調値を有する基準パターンを入力画像として、スクリーン群172に含まれるスクリーンの種類だけ画像形成処理が繰返し実行される。この画像形成処理によってそれぞれ形成されたトナー像の濃度がIDCセンサ49により検出される。すなわち、図4(A)に示すような基準パターンに従って、ドットスクリーンに含まれるそれぞれのパターンを用いて形成された像の濃度をIDCセンサ49によって検出した結果からドットスクリーンについての階調特性が取得される。同様の手順で、図4(A)に示すような基準パターンに従って、ラインスクリーンおよび白抜きドットスクリーンに含まれるそれぞれのパターンを用いて形成された像の濃度をIDCセンサ49によって検出した結果からラインスクリーンおよび白抜きドットスクリーンのそれぞれについての階調特性が取得される。
なお、図1には、IDCセンサ49が感光体ドラム41上のトナー像の濃度を検出する構成を例示するが、トナー像が転写された記録紙上の濃度を検出するようにしてもよい。さらに、中間転写体(たとえば、転写ベルト)を有する画像形成装置では、この中間転写体上のトナー像の濃度を検出するようにしてもよい。
実際には、図4(A)に示すような基準パターンを印刷した原稿をスキャナ3(図1)でスキャンすることで入力画像を生成してもよいし、図4(A)に示す画像情報を含むデータを直接的に入力してもよい。なお、図4(A)には、濃度が連続的に変化する、いわゆるグラデーションパターンを図示するが、離散的に異なる濃度をもつ複数パターンを配置した、いわゆるパッチパターンを用いてもよい。
このようにして取得された階調特性の一例を図5に示す。図4(A)に示す基準パターンでは、長手方向に対する濃度変化率を一定にしているため、スクリーンにおける面積率の長手方向についての変化率は一定となる。そのため、各スクリーンについて、面積率(実際に作像されたトナー像の位置に対応)と実際の濃度(階調値)との関係を示すと、図5に示すようになる。図5に示す階調特性において、基準パターンの階調特性(目的の階調特性)と各スクリーンの階調特性との間の偏差が補正すべき量に相当する。言い換えれば、基準パターンの階調特性に対する偏差が大きいほど、プロセスが不安定化していることを意味する。
たとえば、ドットスクリーンの階調特性について見れば、面積率が比較的小さい範囲から目的とする階調値を再現できている。これに対して、ラインスクリーンの階調特性について見れば、面積率がある程度大きくなるまで(図5に示す面積率がA以下の範囲)は階調値を有効に再現できていない。また、面積率がA〜Bの範囲では、ドットスクリーンに比較して、ラインスクリーンの方がより基準パターンに一致した階調特性を示している。さらに、面積率がB以上の範囲では、ラインスクリーンは基準パターンから乖離する傾向が見られる。
このような階調特性の差異は、プロセスが不安定化する面積率が異なるために生じるものである。すなわち、ドットスクリーンでは、図6(A)に示すように、面積率が相対的に低い場合であっても黒のドットが再現できる。これに対して、ラインスクリーンでは、図6(B)に示すように、面積率が相対的に低い場合には黒ラインの一部が再現されておらず、この結果、実際に現れる濃度が目的の濃度より低くなる。すなわち、ドットスクリーンは、面積率が相対的に低い場合に、ラインスクリーンに含まれる同一の面積率を有するパターンに比較して、相対的に大きな階調値を有するパターンからなる。
また、ラインスクリーンでは、図6(B)に示すように、面積率が相対的に高い場合には隣接する黒ライン間の隙間の一部が再現されておらず、この結果、実際に現れる濃度が目的の濃度より高くなる。
さらに、本願発明者らの実験によって、このような基準パターンの階調特性からの偏差量の大きさは、粒状性の良否との間に強い相関関係があることがわかった。より具体的には、出願人が提案する評価方法により得られる官能値(GI値)を、複数種類のスクリーン線数についてドットスクリーンとラインスクリーンとについて比較した。この結果、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、ドットスクリーンの方がより粒状性が優れており、一方、再現すべき階調値が中央値の付近では、ラインスクリーンの方がより粒状性が優れていることがわかった。
したがって、ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーンの3種類のスクリーンを用意できる場合には、図4(B)に示すように、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順に切替えるようなスクリーンセットを用いることが好ましい。
また、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの2種類のスクリーンだけを用意できる場合には、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、ドットパターンの順、もしくは、ドットパターン、ラインパターンの順、に切替えるようなスクリーンセットを用いることが好ましい。
再度、図5を参照して、いずれの階調値において使用するスクリーンを切替えるかについては、基準パターンに対する偏差の大きさに基づいて判断される。たとえば、図5において、濃度Laより低い範囲では、基準パターンに対する偏差はドットスクリーンの方が小さいが、濃度Laより高い範囲では、基準パターンに対する偏差はラインスクリーンの方が小さくなる。同様に、濃度Lbより低い範囲では、基準パターンに対する偏差はラインスクリーンの方が小さいが、濃度Lbより高い範囲では、基準パターンに対する偏差は白抜きドットスクリーンの方が小さくなる。そのため、濃度LaおよびLbをスクリーンの切替ポイントとして決定することができる。このように、各濃度について、基準パターンに対するそれぞれのスクリーンの階調特性における偏差を算出することで、切替ポイントが決定される。すなわち、それぞれのスクリーンの階調特性に基づいて、基準パターンに対応する階調特性に対する誤差がより小さくなるように、切替ポイントが決定される。
なお、スクリーンセットにおいて、用いられるスクリーン種類が変更される階調値において、切替前後の階調値を等しくしておく必要がある。これは、階調差があると、グラデーションのような階調変化をもつ入力画像をプリントした際に、異なるスクリーンを用いてプリントされた領域間に擬似輪郭などが生じる場合があるからである。そのため、図5に示すように、濃度Laにおいてドットスクリーンからラインスクリーンに切替えられる場合には、面積率A1に対応するドットスクリーンのパターンに引き続いて、面積率A2に対応するラインスクリーンのパターンが用いられる。同様に、濃度Lbにおいてラインスクリーンから白抜きドットスクリーンに切替えられる場合には、面積率B1に対応するラインスクリーンのパターンに引き続いて、面積率B2に対応する白抜きドットスクリーンのパターンが用いられる。
なお、上述のように、IDCセンサなどを用いて実際に形成されたトナー像などの濃度に基づいてスクリーンセットを生成/更新する構成に加えて、または、これに代えて、予め標準的な階調特性を有するスクリーンセットを用意しておき、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況、プロセス設定条件などの作像条件に応じて、この予め用意されたスクリーンセットを補正するようにしてもよい。このような構成によれば、実際に形成されたトナー像の濃度を検出する必要がないので、画像形成装置MFPの生産性を向上させることができる。
<処理手順>
図7は、この発明の実施の形態1に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、代表的に、制御部10のCPU102(図2)が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
図7を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS100の処理を繰返す。
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS102)。具体的には、CPU102は、スキャナ3(図1)へ制御指令を与えて、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS104)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS106)。その後、CPU102は、ステップS106において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS108)。
並行して、CPU102は、ステップS106において分離した画像領域について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS110)、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを選択する(ステップS112)。
最終的に、CPU102は、ステップS108において出力された処理結果と、ステップS112において選択されたスクリーンとに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS114)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS116)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、処理は終了する。
<ドットスクリーンにおけるドットの拡大のさせ方>
次に、上述したドットスクリーンにおける階調値の増加に伴なったドットの拡大(「成長」ともいう)のさせ方について説明する。図8は、この発明の実施の形態に従うドットの拡大のさせ方の第1の例を示す図である。図9は、この発明の実施の形態に従うドットの拡大のさせ方の第2の例を示す図である。
図8を参照して、このドットの拡大のさせ方は、ドットの重心を画素の中心とする場合の方法である。前述したドットスクリーンにおける階調値の増加に伴った付着領域を拡大するときに従う所定の規則は、次の(1)〜(4)の段階で示す規則を含む。
(1) ドットの重心位置の1つの画素の濃度が最大になるまでドットを成長させる。
(2) 1番目のパターン211および3番目のパターン213で示すように、ドットの重心を中心に主走査方向の両側に、ドット幅が、m画素の幅からn画素の幅になるまで、徐々にドットを成長させる(m,n:整数、m<n,ここでは、m≧1,n≧3)。
(3) 2番目のパターン212および4番目のパターン214で示すように、ドットの重心を中心に副走査方向の両側に、ドット幅が、i画素の幅からj画素の幅になるまで、徐々にドットを成長させる(i,j:整数、i<j,ここでは、i≧1,j≧3)。
(4) 必要があれば、(2)から(3)までの段階を順次繰返す(このときに、mにnの値を代入し、nに所定数(ここでは、2)加算し、iにjの値を代入し、jに所定数(ここでは、2)加算する)。
また、所定規則は、ドットを拡大してもドットの重心を維持するようにドットの重心から主走査方向および副走査方向について対称形状となるようにドットを拡大する規則を含む。
また、ここでは、5画素の等方形状のドットまで成長させることとするが、これに限定されず、5画素以外の等方形状のドットに適用可能である。また、ドットは、等方形状に限定されず、ドットの円形度を維持できる範囲であれば、他の形状であってもよく、たとえば、5画素×3画素の矩形形状であってもよい。
さらに、主走査方向にm画素および副走査方向にi画素の矩形形状、ならびに、主走査方向にn画素および副走査方向にi画素の矩形形状、ならびに、主走査方向にn画素および副走査方向にj画素の矩形形状が、それぞれ、ドットの円形度および粒状性を維持可能なように、m,n,i,jの値が定められる。たとえば、n/i(<m/i,n/j)≦3となるように、m,n,i,jの値が定められる。
図9を参照して、このドットの拡大のさせ方は、ドットの重心を隣接画素の中点とする場合の方法である。前述したドットスクリーンにおける階調値の増加に伴った付着領域を拡大するときに従う所定規則は、図8で説明した規則と同様である。
図10は、この発明の実施の形態に従うドットの拡大に伴って隣接ドットが干渉し始めるときの隣接ドットの関係を示す第1の図である。図10を参照して、ここでは、ドットの重心が隣接画素の中点であり、かつ、ドット間距離が主走査方向に4画素および副走査方向に4画素となるスクリーン線数およびスクリーン角のスクリーンセットを用いる場合について説明する。
なお、ここでは、1画素の1/3の発光時間、および、1画素の2/3の発光時間で発光することによって、1画素ごとに3段階の中間階調を表現できることとする。しかし、これに限定されず、発光時間をさらに細かく制御するようにして、たとえば、4段階の中間階調を表現できるようにしても良いし、256段階の中間階調を表現できるようにしても良い。
このように、図10は、ドットの重心が隣接画素の中点であるので、図9で説明した所定規則に従って、ドットが成長する。そして、ドットのサイズが主走査方向に4画素および副走査方向に5画素の矩形にまで拡大したときに、隣接ドットが接する。図10は、この接する少し前(1/3画素前)の状態を示している。図10においては、このまま拡大を続けると、ドット224Aが、ドット224B〜224Eとそれぞれ接する。
隣接ドットが接するときに始めて隣接ドットが干渉するので、隣接ドットが接する少し前の状態においては、隣接ドットは、未だ干渉していない。このため、隣接ドット間のトナー非付着領域(図10では、2/3画素の領域)は、比較的大きな(図10では、4画素×3画素の)トナー非付着領域と分断されず、孤立領域とはならない。また、このまま、隣接ドットが接するまでドットが拡大したとしても、隣接ドット間のトナー非付着領域は、孤立領域とはならない。
図11は、この発明の実施の形態に従うドットの拡大に伴って隣接ドットが干渉し始めるときの隣接ドットの関係を示す第2の図である。図11を参照して、ここでは、図10と同様、ドット間距離が主走査方向に4画素および副走査方向に4画素となるスクリーン線数およびスクリーン角のスクリーンセットを用いるが、図10と異なり、ドットの重心が画素の中心である場合について説明する。
このように、図11は、ドットの重心が画素の中心であるので、図8で説明した所定規則に従って、ドットが成長する。そして、ドットのサイズが主走査方向に5画素および副走査方向に5画素の矩形にまで拡大するまでの最後の画素が拡大を始めるときに、隣接ドットが接する。図10は、この接した少し後(1/3画素後)の状態を示している。図11においては、ドット214Aが、ドット214B〜214Eとそれぞれ接する。
このため、隣接ドットが接した後、ドットが5画素の等方形状まで拡大するまでの間、隣接ドット間のトナー非付着領域(図11では、1/3画素の領域)は、比較的大きな(図11では、3画素×3画素の)トナー非付着領域と分断され、白抜きの孤立領域となる。
図12は、この発明の実施の形態に従うスクリーンにおけるドットの重心の位置関係を説明するための図である。図12を参照して、スクリーンにおいて、隣接ドットの重心間の距離が、主走査方向にa画素および副走査方向にb画素(a>b)である場合、重心231Aを中心とする主走査方向に2a画素および副走査方向に2a画素の矩形領域の各辺に隣接ドットの重心231B〜231Eが配置される。
ここで、図8および図9で説明した所定規則に従ってドットを拡大させる場合、すべてのドットは同一形状で均一に成長することから、ドットの主走査方向または副走査方向の幅のうち大きい方がa画素の長さとなったときに、隣接ドットが接する。同様に、b>aの場合は、ドットの主走査方向または副走査方向の幅がb画素の長さとなったときに、隣接ドットが接する。
つまり、隣接ドットの重心間の距離が主走査方向にa画素および副走査方向にb画素とした場合に、ドットの主走査方向または副走査方向の幅のうち大きい方が、C(=Max(a,b))画素の長さとなったときに、隣接するドットが接する。
また、隣接するドットが接するということは、隣接するドットが接触するときにドットとドットとが重ならないということである。また、ドットとドットとが重ならないということは、図11で説明した白抜きの孤立領域の発生を防止できるということである。
ここで、図8で説明したそれぞれのパターンの主走査方向および副走査方向の画素数は、図8(A)のパターン211が3画素および1画素、図8(B)のパターン212が3画素および3画素、図8(C)のパターン213が5画素および3画素、図8(D)のパターン214が5画素および5画素である。
このため、Cが奇数である場合、図8のドットの拡大のさせ方、つまり、画素の中心をドットの重心とする拡大のさせ方を適用すれば、それぞれのパターン211〜214の主走査方向および副走査方向の画素数が奇数であるため、ドットの主走査方向または副走査方向の幅がC画素に達したときに、必ず隣接するドットが接することとなり、隣接するドットが接触する時にドットとドットとが重ならず、白抜きの孤立領域の発生を防止できる。
また、Cが偶数である場合、図8のドットの拡大のさせ方、つまり、画素の中心をドットの重心とする拡大のさせ方を適用した場合、それぞれのパターン211〜214の主走査方向および副走査方向の画素数が奇数であるため、ドットの主走査方向または副走査方向の幅がC画素に達したときに、必ず、図11で説明したように、ドットとドットとが重なり、白抜きの孤立領域が発生してしまう。
ここで、図9で説明したそれぞれのパターンの主走査方向および副走査方向の画素数は、図9(A)のパターン221が2画素および1画素、図9(B)のパターン222が2画素および3画素、図9(C)のパターン223が4画素および3画素、図9(D)のパターン224が4画素および5画素である。
このため、Cが偶数である場合、図9のドットの拡大のさせ方、つまり、隣接画素の中点をドットの重心とする拡大のさせ方を適用すれば、それぞれのパターン221〜224の主走査方向の画素数が偶数であるため、ドットの主走査方向の幅がC画素に達したときに、隣接するドットが接することとなり、隣接するドットが接触する時にドットとドットとが重ならず、白抜きの孤立領域の発生を防止できる。
なお、この場合、ドットの副走査方向の幅が先にC画素に達しときには、ドットとドットとが重なり、白抜きの孤立領域が発生してしまう。
しかし、Cが偶数である場合には、図8のドットの拡大のさせ方、つまり、画素の中心をドットの重心とする拡大のさせ方よりも、図9のドットの拡大のさせ方、つまり、隣接画素の中点をドットの重心とする拡大のさせ方の方が、白抜きの孤立領域の発生を防止できる場合があるため、白抜きの孤立領域の発生を抑制することができる。
なお、図8および図9においては、ドット成長方法を示すパターンによると、パターンによって同時にドット成長する画素の数が異なる。したがって、各画素の分割数をそろえて、ドットを成長させると、ドットが成長するスピード(ドットの面積増加量)が階調によって異なってしまう。そこで、同時にドット成長する画素数が多い画素ほど、その画素数に応じて分割数を増やし、常にドット成長スピードが等しくなるようにする。
<スクリーンセットの生成方法>
スクリーンセットは、コンピュータのCPUによって生成される。この生成方法においては、まず、CPUによって、スクリーンセットのスクリーン線数およびスクリーン角を受付けることによって、ドットスクリーンにおけるパターンの隣接ドット間の主走査方向および副走査方向の距離の画素数a,bが指定される。
次に、CPUによって、指定された画素数a,bのうち大きい方の画素数であるC(=Max(a,b))が奇数であるか偶数であるかが判定される。
そして、奇数であると判定された場合、CPUによって、たとえば、図8,図11で説明したような、ドットの重心が画素の中心となるようなスクリーンセットが生成される。一方、偶数であると判定された場合、CPUによって、たとえば、図9,図10で説明したような、ドットの重心が隣接画素の中点となるようなスクリーンセットが生成される。
そして、生成されたスクリーンセットは、コンピュータのメモリに記憶され、画像形成装置MFPの製造時に、MFPのROM106などの記憶部に記憶される。
<作用効果>
以上説明したように、スクリーンセットのドット間の主走査方向の距離aおよび副走査方向の距離bに応じて、C=Max(a,b)の値が偶数である場合は、ドットの重心が隣接画素の中点となるようなパターンを含むスクリーンからなるスクリーンセットを予め生成してMFPに組込んでおき、Cの値が奇数である場合は、ドットの重心が画素の中心となるようなパターンを含むスクリーンからなるスクリーンセットを予め生成してMFPに組込んでおくことによって、孤立領域の発生を抑制することが可能な画像形成装置MFPを提供できる。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1においては、本発明をモノクロのプリントエンジンを搭載した画像形成装置に適用した場合の構成について例示したが、本発明は、カラーのプリントエンジンを搭載した画像形成装置についても適用可能である。
図13は、この発明の実施の形態2に従う画像形成装置MFP#の概略構成図である。図13を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFP#は、実質的に、図1に示す実施の形態1に従う画像形成装置MFPのプリントエンジン4をフルカラーのプリントエンジン4#に変更し、さらに、制御部10を制御部10#に変更した構成に相当する。そのため、以下の説明においては、プリントエンジン4#および制御部10#以外の部位についての説明は繰返さない。
<画像形成装置の構成>
プリントエンジン4#は、電子写真方式の画像形成プロセスの一例として、フルカラーのプリント出力が可能である。具体的には、プリントエンジン4#は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を生成するイメージング(作像)ユニット44Y,44M,44C,44Kを含む。イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、プリントエンジン4#内に張架されて駆動される転写ベルト27に沿って、その順序に配置される。
イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、それぞれ画像書込部43Y,43M,43C,43Kと、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kとを含む。画像書込部43Y,43M,43C,43Kの各々は、対象の画像データに含まれる各色イメージに応じたレーザ光を発するレーザダイオードと、このレーザ光を偏向して対応の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面を主走査方向に露光させるポリゴンミラーとを含んでいる。
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面には、上述ような画像書込部43Y,43M,43C,43Kによる露光によって静電潜像が形成され、この静電潜像がそれぞれ対応するトナーユニット441Y,441M,441C,441Kから供給されるトナー粒子によってトナー像として現像される。
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面に現像された各色のトナー像は、転写ベルト27に順次転送される。さらに、この転写ベルト27上に重ねられたトナー像は、給紙部5からタイミングを合わせて供給される記録紙にさらに転写される。
この記録紙上に転写されたトナー像は、下流部に配置された定着部において定着された後、トレイ57に排出される。
なお、本発明は、上述のようなフルカラー(4色)のトナー像を重ね合わせるプリントエンジンに限られず、たとえば「黒」および「赤」の2色のトナー像を形成可能な画像形成装置にも適用可能である。
<制御部>
制御部10#のハードウェア構成については、上述の図2に示す実施の形態1に従う画像形成装置MFP内の制御部10と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
図14は、この発明の実施の形態2に従う画像形成装置MFPの制御部10#における制御構造を示すブロック図である。図14を参照して、制御部10#は、プリント対象の入力画像(カラー画像)に応じた各色の静電潜像を感光体(転写ベルト27)上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。
より具体的には、制御部10#は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158C,158M,158Y,158Kと、スクリーン選択部160C,160M,160Y,160Kと、スクリーン格納部162#と、指令生成部166#と、スクリーン生成部170#とを含む。スクリーン格納部162#は、RAM103、EEPROM107、HDD109(図2)に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU101(図2)がプログラムをRAM103(図2)に展開し、各コマンドを実行することで提供される。
前処理部152、領域分離部154、および文字処理部156については、図3に示す制御部10と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
色分離部176は、領域分離部154から受けた画像領域の情報を各色の画像情報に分解する。すなわち、色分離部176は、イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kでそれぞれ形成されるトナー像に応じて、画像情報を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の情報に分解する。そして、色分離部176は、分解して得られた情報をそれぞれ階調値判断部158C,158M,158Y,158Kへ出力する。
階調値判断部158C,158M,158Y,158Kの各々は、色分離部176から受けた対応する色の画像情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158C,158M,158Y,158Kは、それぞれの判断結果をそれぞれスクリーン選択部160C,160M,160Y,160Kへ出力する。
スクリーン選択部160C,160M,160Y,160Kは、それぞれ階調値判断部158C,158M,158Y,158Kから受けた判断結果に基づいて、再現すべき階調値に応じたスクリーンを順次選択し、使用すべきスクリーンの種類をマッピングする。なお、スクリーン選択部160C,160M,160Y,160Kの各々における処理は、図3に示すスクリーン選択部160の処理と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
指令生成部166#は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン選択部160C,160M,160Y,160Kから受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。そして、この露光指令は、画像書込部43Y,43M,43C,43K(図13)へ出力される。
スクリーン生成部170#は、スクリーン格納部162#に格納されている各色に対応するスクリーンセット164C,164M,164Y,164Kを必要に応じて生成または更新する。スクリーン生成部170#は、基本的には、色毎に独立してスクリーンセットを生成する。
<処理手順>
図15は、この発明の実施の形態2に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、代表的に、制御部10のCPU102(図2)が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
図15を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS300)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS300においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS300の処理を繰返す。
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS300においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS302)。具体的には、CPU102は、スキャナ3(図13)へ制御指令を与えて、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS304)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS306)。その後、CPU102は、ステップS306において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS308)。
並行して、CPU102は、ステップS306において分離した画像領域の情報を各色の画像情報に分解する(ステップS310)。続いて、CPU102は、ステップS310における分解処理によって得られた画像情報のうち最初の画像情報を選択し(ステップS312)、当該選択した画像情報について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS314)、さらに、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを選択する(ステップS316)。
その後、CPU102は、ステップS310における分解処理によって得られたすべての画像情報についてスクリーン選択処理が完了したか否かを判断する(ステップS318)。すべての画像情報についてはスクリーン選択処理が完了していない場合(ステップS318においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS310における分解処理によって得られた画像情報のうち未処理の画像情報の1つを選択し(ステップS320)、ステップS314以下の処理を再度実行する。
一方、すべての画像情報についてはスクリーン選択処理が完了した場合(ステップS318においてYESの場合)には、CPU102は、ステップS308において出力された処理結果と、ステップS316において選択された各色のスクリーンとに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS322)、その生成した露光指令を画像書込部43Y,43M,43C,43Kへ出力する(ステップS324)。すると、プリントエンジン4#が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、処理は終了する。
[その他の実施の形態]
(1) 前述した実施の形態においては、プリントエンジン4は、発光光源としてレーザ発光器431を備えることとした。そして、プリントエンジン4が、主走査方向には発光光源であるレーザ発光器431から照射されるレーザビームの光を走査し、主走査方向に垂直な副走査方向には感光体ドラム41を動かすことによって感光体ドラム41を露光することとした。
しかし、これに限定されず、プリントエンジン4は、発光光源として複数のLEDを備えるようにしてもよい。複数のLEDは、感光体の動く方向と垂直な方向(感光体がドラムである場合は、軸方向)に列を為す複数の画素のそれぞれに光を照射可能に並べられる。そして、プリントエンジン4が、感光体を動かしながら、複数のLEDからの光で感光体を露光するようにする。
この場合、図8および図9で示したドットの成長において、水平方向と垂直方向とが逆になる。つまり、複数のLEDで照射される画素の列が図の垂直方向となり、感光体の動く方向が図の水平方向となる。
(2) 前述の実施の形態においては、図4および図5で説明したドットパターンにおいて、階調値に増加に伴って共通の所定規則に基づき形状が拡大するドットが定められたパターンについて、隣接ドットの重心間の主走査方向および副走査方向の距離のうち大きい方が奇数の場合は、ドットの重心が画素の中心となるように定められたパターンを適用し、偶数の場合は、ドットの重心が隣接画素の中点となるように定められたパターンを適用することとした。
しかし、これに限定されず、白抜きドットパターンにおいて、階調値に増加に伴って共通の所定規則に基づき形状が縮小する白抜きドットが定められたパターンについて、隣接白抜きドットの重心間の主走査方向および副走査方向の距離のうち大きい方が奇数の場合は、白抜きドットの重心が画素の中心となるように定められたパターンを適用し、偶数の場合は、白抜きドットの重心が隣接画素の中点となるように定められたパターンを適用することととしてもよい。
(3) 前述の実施の形態に係るプログラムによって実現される機能の一部または全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
(4) 前述の実施の形態に従うCPUで実行されるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。したがって、このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明に係るプログラムに含まれ得る。
(5) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。