JP2012059955A - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換層への太陽光の入射効率及び光電変換効率が高く歩留まりのよい製造が可能な光電変換素子を提供する。
【解決手段】光電変換素子1は、一主面10s(表面10s)が多数の針状の凸部101を有する凹凸構造10tを備えたテクスチャ構造面である結晶Si基板10からなる光電変換層10と、表面10sに直接成膜されてなる透光性導電層30と、光電変換層10の裏面10r(一主面10sと反対側の主面10r)に形成された裏面電極層20と、透光性導電層(表面電極)30上に形成された取り出し電極40とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶シリコン系光電変換素子及びこれを用いた太陽電池に関するものである。
単結晶Si又は多結晶Si基板を光電変換層として利用する結晶Si系太陽電池が実用化されている。結晶Si系太陽電池において、太陽光の受光側のSi基板面には、基板面における太陽光の反射を抑制して効率良く光電変換層内に太陽光を入射させるために、テクスチャ構造と呼ばれる凹凸構造が形成されている。
一般に、テクスチャ構造の形成には、単結晶Siでは水酸化ナトリウム水溶液を用いたウエットエッチング法、多結晶Siではフッ酸と硝酸の混合溶液を用いたウエットエッチング法が用いられている。
しかしながら、これらの方法で形成されるテクスチャ構造の太陽光の反射率は、単結晶で10%程度、多結晶では25%程度と、反射率を良好に低下させる構造を得ることが難しい。図8(a)は、市販の光電変換セルに用いられている単結晶Siテクスチャ構造の表面SEM像、(b)は市販の光電変換セルに用いられている多結晶Siテクスチャ構造の表面SEM像である。また、図9は、図8の光電変換セルの反射率の波長依存性を、本発明者が測定した結果を示したものである。図示されるように、特に多結晶では、ウエットエッチングの結晶の面方位依存性により、面内均一性及び再現性の良いテクスチャ構造を得ることが難しい。
単結晶、多結晶によらず、面内均一性及び再現性の良好なテクスチャ構造を形成する方法として、指向性の強い反応性イオンエッチング等のドライエッチングを用いることが検討されている(特許文献1〜特許文献4等)。特許文献4では、歩留まり良くテクスチャ構造を形成可能なドライエッチング条件を開示している。
特開昭60−27195号公報 特開平5−75152号公報 特開平9−102625号公報 特開2003−197940号公報
特許文献1〜4等による検討により、ドライエッチングによるテクスチャ構造の形成にて面内均一性や再現性についてはある程度向上されたが、光電変換層へ太陽光の入射効率は未だ不十分であり、現在のSi系光電変換素子では、テクスチャ構造上に更に反射防止膜を設けることが必須となっている。
反射防止膜は絶縁性であるため、反射防止膜を設けた構成では、その表面電極は反射防止膜の一部を除去して局所的に光電変換層と導通させた電極とする必要があり、光電変換層と電極との間の抵抗が大きくなる。従って、反射防止膜の挿入により入射効率を高めても、抵抗値の増加に伴う光電変換効率の低下により、高い光電変換効率を得ることが難しい。
更に、上記したような反射防止膜を貫通して局所的に光電変換半導体層と導通させた電極の形成には、ファイヤースルー性を有する導電性ペーストを用いて、高温焼成により反射防止膜を貫通させるため、基板の熱変形が発生しやすく歩留まり低下を引き起こしやすいという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光電変換層への太陽光の入射効率及び光電変換効率が高く、歩留まりのよい製造が可能な光電変換素子を提供することを目的とするものである。
本発明の光電変換素子は、一導電型結晶シリコン基板の一主面側に他の導電型不純物を拡散させてpn接合が形成されてなる光電変換層と、前記一主面に形成された透光性導電層と、前記光電変換層の前記一主面の反対側の主面に形成された裏面電極層とを備えた光電変換素子であって、
前記光電変換層の前記一主面は、該主面における太陽光の反射を抑制する多数の針状の凸部を有する凹凸構造を備えたテクスチャ構造面であり、
前記透光性導電層は該テクスチャ構造面上に直接成膜されてなることを特徴とするものである。
ここで、「針状の凸部」とは、基板のテクスチャ構造面の反対側の主面と略平行な面における、凸部の底部に対する先端部の断面積の比が、20%以下である凸部を意味する。また、凸部の底部とは、隣接する凹部のうち先端部に近い方の凹部の最下部と同じ高さに位置する部分を意味するものとする。本明細書において「高さ」とは、基板のテクスチャ構造面の反対側の主面に対して略垂直方向の、底部から先端部までの距離を意味するものとする。
本発明の光電変換素子において、前記テクスチャ構造面の太陽光の反射率は、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。本明細書において、太陽光とは、Siの吸収波長帯とされている波長400nm〜1200nmの光を意味することとする。また、太陽光の反射率とは、上記波長領域の光の平均積分球反射率と定義する。
前記テクスチャ構造面の算術平均表面粗さRaは、100nm以上であることが好ましい。
前記凸部は、平均高さが1μm以上であることが好ましい。ここで、「凸部の平均高さ」は、凸部の算術平均高さを意味する。また、ここで、算術平均高さより高い凸部を40%以下の範囲内で含んでもよいものとする。なお、凸部の高さの測定は、AFMにより測定するものとする。
前記テクスチャ構造面は、マスク材として、前記凹凸構造を形成するドライエッチングに対して耐性を有する第1粒子と、該第1粒子よりも前記耐性が低い第2粒子と、前記第1粒子よりも前記耐性が低い結着剤とを含む液状組成物を前記シリコン基板の一主面に塗布成膜して得られるものを用い、
前記シリコン基板の一主面にマスク材を配する工程と、該マスク材が配された前記主面にドライエッチングにより前記凹凸構造を形成する工程と、前記凹凸構造に、水素ガスによるドライエッチング処理と、希フッ酸中に浸漬させる処理とを順次実施する洗浄工程とを施すことにより形成することができる。
また、上記と同様のマスク材を用い、前記シリコン基板の一主面にマスク材を配する工程と、該マスク材が配された前記主面にドライエッチングにより前記凹凸構造を形成する工程と、前記凹凸構造に、マイクロバブル及び超音波が断続的に、又は、連続的に供給されている希フッ酸中に浸漬させる処理を含む洗浄工程とを施すことにより形成することができる。
ここでマイクロバブルとは一般的に、直径がミクロンのオーダーである微細な泡を意味する(例えば、大成博文著「マイクロバブルのすべて」日本実業出版社(2006)、或いは、上山智嗣、宮本誠著「マイクロバブルの世界」工業調査会(2006)参照)。
前記第1粒子は無機粒子であることが好ましく、SiOを主成分とする粒子であることがより好ましい。また、前記第2粒子は樹脂粒子であることが好ましく、アクリル樹脂を主成分とする粒子であることが好ましい。前記結着剤は、水溶性高分子又は水分散性高分子を主成分とするものであることが好ましい。
本発明の光電変換素子において、前記一導電型結晶シリコン基板が多結晶シリコンからなる(不可避不純物を含んでもよい)ことが好ましい。
本発明の太陽電池は、上記本発明の光電変換素子を備えたことを特徴とするものである。
本発明の光電変換素子は、結晶Si系光電変換素子において、光電変換層の受光側の主面が、太陽光の反射を抑制する多数の針状の凸部を有するテクスチャ構造面であり、該テクスチャ構造面上に透光性導電層が直接成膜されてなるものである。かかる構成では、多数の針状の凸部を有するテクスチャ構造面が、太陽光の反射を高効率に抑制することができるので、反射防止膜を設けることなく光電変換層のテクスチャ構造面の略全面に表面電極(透光性導電層)を形成することができる。そのため、テクスチャ構造面により高い入射効率で入射された太陽光を、高い光電変換効率にて利用することができる上、テクスチャ構造面の略全面から電荷を取り出すことができるため、局所的に設けられた電極により電荷を取り出す構成に比して光電変換層と電極との間の抵抗が格段に小さくなる。更に、局所的な電極形成が不要であるために高温焼成の必要もない。従って、本発明によれば、入射光の利用効率及び光電変換効率が高く、歩留まりの良い製造が可能な光電変換素子を提供することができる。
(a)は本発明にかかる一実施形態の光電変換素子の構成を示す厚み方向断面図、(b)はテクスチャ構造面の凹凸構造を拡大した図 (a)〜(h)は図1に示される本発明の光電変換素子の製造方法のフローを模式的に示した図 (a)はドライエッチングによる凹凸形成後純水中での超音波洗浄を行った後のテクスチャ構造の表面SEM写真、(b)は(a)の超音波洗浄時間を○○分延長した際のテクスチャ構造の表面SEM写真、(c)は更に○○分超音波洗浄時間を延長した際のテクスチャ構造の表面SEM写真 (a)及び(b)は実施例1において、水素ガスによるドライエッチング処理によりテクスチャ構造面を洗浄した場合の表面SEM像。(a)は倍率5000倍、(b)は倍率10000倍。 (a)は多結晶シリコンインゴットからワイヤーソーカットされて得られた多結晶シリコン基板の切断面の反射率の波長依存性、(b)は実施例1のテクスチャ構造の反射率の波長依存性を示す図 単結晶Si基板を用いた場合のテクスチャ構造面(未処理の場合は切断面)の反射率の波長依存性を示す図。(a)は単結晶シリコンインゴットからワイヤーソーカットされて得られた単結晶シリコン基板の切断面、(b)は(a)の表面にアルカリエッチング洗浄した場合のテクスチャ構造面、(c)は(b)の表面にSiN反射防止膜を備えた構成、(d)は本発明におけるマスク材を用いたドライエッチングにより凹凸構造を形成し、希フッ酸への浸漬処理を施したテクスチャ構造面、(e)は実施例3のテクスチャ構造面、(f)は実施例4のテクスチャ構造面。 (a)及び(b)は、波長1000nmの光に対するテクスチャ構造の反射率と表面粗さとの関係を示す図 市販のSi系光電変換セルのテクスチャ構造の表面SEM像。(a)は単結晶Si系、(b)は多結晶Si系。 図8に対応する市販のSi系光電変換セルのテクスチャ構造面の反射率の波長依存性を示す図
「光電変換半導体素子(太陽電池)及びその製造方法」
<光電変換半導体素子>
図面を参照して本発明にかかる一実施形態の光電変換半導体素子(以下、光電変換素子と略記する)について説明する。図1(a)は、本実施形態の光電変換素子の構成を示す厚み方向模式断面図、図1(b)は、図1(a)の凹凸構造の一部を拡大した模式図である。視認しやすくするため各部の縮尺は適宜異ならせて示してある。
図示されるように、光電変換素子1は、一主面10s(表面10s)が多数の針状の凸部101を有する凹凸構造10tを備えたテクスチャ構造面である結晶Si基板10からなる光電変換層10と、表面10sに直接成膜されてなる透光性導電層30と、光電変換層10の裏面10r(一主面10sと反対側の主面10r)に形成された裏面電極層20と、透光性導電層(表面電極)30上に形成された取り出し電極40とを備えた構成としている。
図1(b)に示されるように、凹凸構造10tを形成する多数の針状の凸部101は、光電変換層10の裏面10rと略平行な面における、凸部101の底部の断面積sbに対する凸部101の先端部の断面積stの比が、20%以下である凸部を意味する。図1(b)に示されるように、凸部101の底部とは、隣接する凹部102のうち先端部に近い方の凹部102の最下部と同じ高さに位置する部分を意味するものである。先端部の断面積stはエッチング時にマスクによって保護され、残った部分を意味する。
光電変換層10は、第一導電型(p型)Si層11と第二導電型(n型)Si層12との二層構造となっており、光電変換層10内にてpn接合が形成されている。本実施形態では第一導電型Si層11がp型層、第二導電型Si層12がn型層である場合を例に説明するが、それぞれの導電型が逆の構成となっていてもよい。
光電変換素子1において、光電変換層10は結晶性Siであればよく、単結晶でも多結晶でもよい。
「背景技術」の項目において、従来のウエットエッチングによる結晶Si系光電変換素子のテクスチャ構造の太陽光の反射率は、単結晶で10%程度、多結晶では25%程度と高く、また、ドライエッチングにより形成されたテクスチャ構造においても、太陽光の反射率を充分に低下させることができていないことを述べた。また、多結晶では、ウエットエッチングの結晶の面方位依存性により、面内均一性及び再現性の良いテクスチャ構造を得ることが難しいことを述べた。
光電変換素子1は、後記実施例図5、図6に示されるように単結晶、多結晶のいずれの場合においても同様に反射率が一桁台の非常に低反射率のテクスチャ構造面を有するため、特に、低反射率、及び面内均一性再現性に課題を有する多結晶Siに適用する場合により大きな効果を得ることができる。
光電変換層10は、第一導電型(p型)Si層11と第二導電型(n型)Si層12との二層構造となっている。p型ドーパント及びn型ドーパントとしては特に制限されず、一般に結晶Siのドーパントとして用いられているドーパントイオンであればよい。p型ドーパントとしてはIII族元素であるホウ素、n型ドーパントとしてはV族元素であるリンが好適に用いられる。
裏面電極層20としては特に制限されず、任意の金属電極を用いることができるが、導電性の高いアルミニウムや銀等を用いることが好ましい。
透光性導電層30(表面電極)は、光を取り込むと共に、裏面電極層20と対になって、光電変換層10で生成された電荷が流れる電極として機能する層であり、光電変換層10の凹凸構造10tからなるテクスチャ構造面上に直接成膜されてなるものである。透光性導電層30としては特に制限されないが、ITO(酸化インジウム錫)や金属ドープ酸化亜鉛(ZnO:Al等のn−ZnO)等が好ましい。透光性導電層30の膜厚は特に制限されず、50nm〜2μmが好ましい。
取り出し電極40としては特に制限されないが、銀やアルミニウム等の塗布成膜が可能な電極が好ましい。取り出し電極40の膜厚は特に制限されず、0.1〜3μmが好ましい。
テクスチャ構造面の凹凸構造10tは、図1(a)に示されるように、多数の針状の凸部101を細かいピッチで備えた構成としている。かかる凹凸構造10tでは、太陽光を良好に光電変換層10内に閉じ込めて、テクスチャ構造面における該光の反射率を、従来のテクスチャ構造に比して格段に低下させ、テクスチャ構造面に入射した光を高効率に光電変換層10に入射させることができる。後記実施例では、反射率5%以下を達成しており、最も低い反射率では1%を実現している(後記実施例、図5,図6を参照)。
図4は、後記する実施例において得られたテクスチャ構造面の凹凸構造10tの表面SEM像であり、(a)と(b)とで倍率を変えたものを示してある。図4に示されるSEM像からは、凹凸構造10tの凸部101のピッチは、100〜500nm若しくはそれ以下となっていることが確認されるが、面内においてばらつきがあることも認められる。
また、凸部101の平均高さは、大きな光閉じ込め効果が得られることから、高い方が好ましいが、凸部101の高さを高くするにはより長い形成時間を要することになる。凸部101の形成工程の処理時間(タクトタイム)は、ランニングコストの観点から短いことが好ましく、従って、所望の反射率を実現可能な範囲で平均高さは低いことが好ましい。上記のように、本実施形態の凹凸構造10tは、多数の針状の凸部101を細かいピッチで備えた構成とすることができるので、凸部101の平均高さが1μm程度であれば、大きな光閉じ込め効果が得られ、充分に低い反射率の凹凸構造10tとすることができる。
一方で、多数の凸部101の個々の高さhについても、ピッチと同様ばらつきがあることが、図4のSEM像から確認することができる。凹凸構造10tにおいて、最大高さ粗さRzとしては、0.9μm〜3.0μmの範囲であることが好ましい。この多数の凸部101のピッチ及び高さのばらつきを含む上記の凹凸構造10tの特徴は、本発明者が見出した凹凸構造10tの形成方法によって得られる構造に特有のものである。以下に、光電変換素子1の製造方法について説明する。
<光電変換素子の製造方法>
図2(a)〜(h)を参照して、光電変換素子1の製造方法について説明する。図2(a)〜(h)は、光電変換素子1の製造方法のフローを示す概略断面図である。
まず、一主面(表面10s)の平滑性の良好なp型結晶シリコン基板(ウエハ)10を用意する(図2(a))。
シリコン基板10が単結晶シリコンの場合は引き上げ法等により形成されたインゴット、多結晶シリコンの場合は、原材料を坩堝内で溶解・凝固させたインゴットをワイヤーソーなどにより所望の厚み(例えば300μm程度)にスライスして得る方法が一般的である。その他、多結晶シリコンの場合は、融液から板状に引き上げる方法により得ることができる。
凹凸構造10tの形成面である表面10sの平滑性は、後工程である凹凸構造10tの形成時に、その凹凸の深さの面内均一性に影響を及ぼすことから、良好であることが好ましい。
結晶シリコン系光電変換素子は、後に示すpn接合形成を、一方の導電型の基板の上方から他方の導電型のドーパントを拡散させる手法により行うことが一般的である。従って、下層側の導電型層の厚みがミクロンオーダであるのに対し、上層側の導電型層の厚みは数百nmオーダと非常に薄い層となる。
一方、上記したように、シリコン基板は、インゴットを、ワイヤーソーを用いて切り出す手法が一般的であり、ワイヤーソーによる切り出しでは、その切り出し面にはミクロンオーダのダメージが残ることが一般的である。
これらのダメージを残したまま後工程である凹凸構造10tをドライエッチングにより形成する場合、ダメージ部分はダメージを受けていないシリコン基板部分に比して脆いため、ドライエッチング時には凹凸形成よりもダメージ部分の除去プロセスが支配的となり、ダメージ除去後に凹凸構造の形成がなされる形となる。そのため、凹凸構造10tの形成時に良好なパターンでの凹凸構造10tを形成することが難しく、また、表面に存在するダメージの面内分布に依存してその凹凸の形状や深さの面内均一性のばらつきが大きいものとなる。
従って、光電変換素子1の製造に用いる結晶シリコン基板10は、単結晶、多結晶にかかわらず、ワイヤーソーにより切り出された基板は、そのまま使用せず、ワイヤーソーダメージが除去された状態のものとする必要がある。
一方、表面の平滑性が良好で、ワイヤーソーダメージのように、ドライエッチングによる凹凸形成工程に影響を及ぼすダメージや凹凸等がないものであれば、上記のようなダメージ除去処理をすることなく用いることができる。
光電変換素子1の製造方法において、凹凸構造10tは、結晶Si基板10の一主面10s(表面10s)に、凹凸構造10tを形成するドライエッチングに対して耐性を有する複数の第1粒子51と、第1粒子51よりもドライエッチング耐性が低い複数の第2粒子52とを含むマスク材50を配し、複数の第1粒子をマスクとしたドライエッチングにより凹凸を形成した後、マスク残渣の洗浄を行って形成される。
マスク材50の表面10sへの形成方法は特に制限されず、あらかじめ作製されたシート状のマスク材50を用いてもよいし、上記ドライエッチングに対して耐性を有する第1粒子51と、第1粒子51よりもドライエッチング耐性が低い第2粒子52と、第1粒子51よりもドライエッチング耐性が低い結着剤(バインダ)とを含む液状組成物を調製し、該液状組成物を表面10sに塗布成膜して形成してもよい。
本実施形態では、後者である塗布成膜によりマスク材50を形成する態様について説明する。
(塗布液(液状組成物)の調製)
まず、凹凸構造10tの形成に先立ち、マスク材50の原料液となる、上記ドライエッチングに対して耐性を有する第1粒子51と、第1粒子51よりもドライエッチング耐性が低い第2粒子52とをそれぞれ複数含む粒子群と、第1粒子51よりもドライエッチング耐性が低い結着剤(バインダ)とを含む液状組成物を調製する。粒子群には、上記2種の粒子に限られず、他種の粒子を含んでもよい。
ここで、ドライエッチングに対して、第1粒子はエッチング耐性を有し、エッチング処理によりエッチングされにくい粒子であるのに対し、第2粒子はドライエッチング処理によりエッチングされやすい粒子である。具体的には、エッチングレートに関して、例えば、エッチングレートERを「第2粒子のエッチング速度/第1粒子のエッチング速度」としたとき、ER>5、さらには、ER>10であることが好ましい。
第1粒子としては、エッチング耐性を持つものであれば、特に制限はなく、例えば、無機粒子、無機元素を含有する有機染顔料粒子、無機元素を有するラテックス粒子やカプセル粒子等が挙げられる。これらの中でも、第1粒子としては、エッチング耐性、入手容易性、及び取り扱い性の観点から、無機粒子が好ましい。
無機粒子としては、酸化チタンやシリカ(SiO2)、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどの非金属材料、金属又は半導体材料が挙げられる。例えば金属としては、Cu、Au、Ag、Sn、Pt、Pd、Ni、Co、Rh、Ir、Al、Fe、Ru、Os、Mn、Mo、W、Nb、Ta、Bi、Sb及びPbからなる群より選ばれた金属単体又は前記群より選ばれた金属の1種もしくは複数種からなる合金材料が挙げられる。また、半導体としては、Si、Ge、AlSb、InP、GaAs、GaP、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、SeTe、CuCl、などが挙げられる。また、これらの無機粒子を内包しシリカを壁膜材料としたマイクロカプセルなどが挙げられる。
無機元素を含有する有機染顔料粒子としては、金属元素含有アゾ系色素粒子や金属元素含有フタロシアニン系色素粒子などが挙げられる。
無機元素を有するラテックス粒子やカプセル粒子としては、アクリルラテックスをコロイダルシリカで被覆した粒子、アクリルラテックスをケイ酸塩で被覆した粒子、ポリスチレンラテックス粒子をシリカで被覆した粒子などが挙げられる
第2粒子としては、上記した第1粒子とのエッチング耐性の差を有するものであれば特に制限はないが、エッチング耐性が低く、取り扱いが容易であることから、樹脂粒子を好ましく用いることができる。樹脂粒子としては、熱可塑性樹脂粒子が好ましく、例えば、アクリル樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリアミド粒子、ポリイミド粒子、ポリエチレンテレフタレート樹脂粒子、ポリスチレン粒子、シリコーン樹脂等が挙げられる。
第1粒子及び第2粒子の平均粒径は、同じであってもよいが、第1粒子よりも前記第2粒子の平均粒径が大きいことが好ましい。これにより、第2粒子のエッチングにより生じる第1粒子の粒子間隙が確保され易くなる。
第1粒子及び第2粒子の平均粒径としては、形成する粒子層を薄膜化する観点及び太陽光の反射率を良好に低下させる凹凸構造10tを得る観点から、0.05μm〜1μmであることが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。
ここで、粒子の平均粒径は、動的光散乱法で得られる粒子径を意味し、その測定方法は以下の通りである。動的光散乱法では、サブミクロン域以下の粒子径・粒子径分布の測定が可能であり、測定しようとする粒子もしくはその分散液を媒体中で超音波照射するなどの公知の方法で分散し、これを適宜希釈したうえで測定試料とする。動的光散乱法で得られる粒子径の累積度数曲線において累積度数が50%の粒子径を平均粒径とし、同様にして累積度数10%の粒子径の90%の粒子径に対する比率を粒径分布の指標とすることができる、このような原理を採用している測定装置としては、例えば堀場製作所製のLB−500等が挙げられる。
また、第1粒子及び第2粒子の粒度分布は、2〜50であることの好ましく、より好ましくは2〜10である。この粒度分布を上記範囲とすることで、最大平均粒径が大きくなりすぎず、平坦な粒子層が得られ易く、均一な表面処理が実現され易くなる。
第1粒子と第2粒子との配合量は、同程度か、第2粒子が多い方が好ましい。
太陽光を良好に閉じ込め、上記した低い反射率のテクスチャ構造面を実現可能な凹凸構造10tを得る為には、液状組成物の成膜面における上記第1粒子の被覆率が30%以上 70%以下であることが好ましい。従って、かかる被覆率を実現可能な範囲となるように、液状組成物中の第1粒子及び第2粒子の配合量、配合比率、及び平均粒径を設計する。
この被覆率とは、粒子層を被処理基板に形成したとき、第1粒子が被処理基板を覆う割合、即ち、エッチング方向から見たとき、当該第1粒子が被覆基板に投影される面積の割合を示す。この被覆率は、次のようにして測定される。被処理基板に貼り合わせた後に走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡を使いその表面を観察し、投影面積から算出することができる。
結着剤53としては、特に制限されないが、例えば、水溶性の高分子材料や有機溶媒可溶性高分子材料が挙げられる。特に、環境負荷、設備の簡略化の観点から、水溶性のものが好適である。
また、結着剤53は、上記高分子材料を形成し得る重合性モノマーを、粒子層を構成するその他の成分と混合し、表面処理用液状組成物を構成し、塗布後に光や熱による重合反応により成膜化、つまり粒子層を形成するようにしてもよい。
その重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリル系モノマーとして、(メタ)アクリル酸C1〜C12アルキルエステルや、これらと新和性のあるアクリル系改質剤として公知の化合物を併用することができる。アクリル系改質剤としては、例えばカルボキシ含有モノマーや酸無水物含有モノマーが挙げられる。これらの重合性モノマノマーは公知の重合方法で重合させることができ、重合に必要な開始剤や連鎖移動剤、オリゴマー材料や界面活性剤など、公知の材料から適宜選択できる。また、重合性モノマーの例としては、公知のエポキシ系モノマーやイソシアネート系モノマーが挙げられる。
より具体的には、例えば、ガラス転移温度が−100〜50℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは5,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものが好適に挙げられる。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂、重量平均分子量が100000以下のポリビニルアルコール変性体などがある。
より好ましい結着剤としては、易水溶性である、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体、セルロース系誘導体(ポリビニルピロリドン、カルボシキメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、天然多糖類もしくはその誘導体(デンプン、キサンタンガムやアルギンサン等)、ゼラチン、水分散可能なウレタン、アクリル系高分子ラテックスなども挙げられる。
結着剤の配合量は、粒子群の分散性に応じて適宜設定されるが、例えば、粒子群に対して5重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは10重量%〜30重量%である。
上記液状組成物には、上記した以外、粒子群を安定に分散させることができる分散剤や、例えば、製造時における塗布液の粘度や表面張力を調整する界面活性剤及び溶媒などを含んでいてもよい。
特に分散剤としては、フェニルホスホン酸、具体的には日産化学(株)社の「PPA」など、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、などが使用できる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。また、分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンブロック共重合体、アリル基などの重合性不飽和結合を有するポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を選択してもよい。これらの分散剤(界面活性剤)については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの分散剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明は脂肪酸エステルとしてWO98/35345号パンフレットに記載のようにモノエステルとジエステルを組み合わせて使用することも好ましい。
液状組成物を構成する溶媒としては、結着剤種に合わせて、当該結着剤を溶解する溶媒から選択される。具体的には、例えば、結着剤として水溶性のものを適用する場合、溶媒として水系溶媒を適用することが、環境負荷、設備の簡略化の観点からよい。
水系溶媒としては、例えば、水、低級アルコ−ル(メタノ−ル、エタノ−ル、ブタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル等)が挙げられる。溶媒としては、水が最も好ましい。
上記した複数の第1粒子51と複数の第2粒子52とを含む粒子群、結着剤53、及びその他の添加物を含む場合はそれらを溶媒中に添加し、結着剤53が溶解された溶媒中に上記粒子群が略均一に分散されて含まれるように攪拌混合して液状組成物を得る。分散性良く粒子群が含まれる液状組成物とするには、攪拌混合の方法として、高速剪断を与えるディゾルバなどのような攪拌羽根で混合分散させて調製する方法、超音波分散機等の分散装置で混合分散させて調製する方法などを用いることが好ましい。
(液状組成物の塗布成膜)
上記のようにして調製された液状組成物を、図2(b)に示されるように、結晶Si基板10の凹凸構造10t形成面に塗布成膜する。成膜方法は特に制限されず、塗布方法はスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、プレートコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等が挙げられるが、生産性を考慮するとスピンコート法やスプレー法が好ましい。
塗布厚みは100nmから1000nmが好ましく、さらには300nm〜600nmが好ましい。スピンコート法の場合はウェハーの裏面にマスク材料が回り込まないように試料台を結晶Si基板と同じにすることが好ましい。また裏面に回りこんだ場合は洗浄することが好ましい。
また、結着剤53としては、上記した以外に、上記高分子材料を形成し得る重合性モノマーを用いてもよい。かかる構成では、結着剤53中に、後記する溶媒を除く粒子層を構成するその他の成分と混合した液状組成物とし、この液状組成物を成膜面10sに塗布後、光や熱により重合させることにマスク材50を成膜することができる。
かかる重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリル系モノマーとして、(メタ)アクリル酸C1〜C12アルキルエステルや、これらと新和性のあるアクリル系改質剤として公知の化合物を併用することができる。アクリル系改質剤としては、例えばカルボキシ含有モノマーや酸無水物含有モノマーが挙げられる。これらの重合性モノマノマーは公知の重合方法で重合させることができ、重合に必要な開始剤や連鎖移動剤、オリゴマー材料や界面活性剤など、公知の材料から適宜選択できる。また、重合性モノマーの例としては、公知のエポキシ系モノマーやイソシアネート系モノマーが挙げられる。
(ドライエッチング処理)
次に、図2(c)に示されるように、マスク材50上からドライエッチング処理を施し、凹凸構造10tを形成する。ドライエッチングの方法は特に制限されないが、エッチングガスの直進性が高く、微細なパターニングが可能であることから、反応ガスをプラズマによりイオン化・ラジカル化してエッチングを施す反応性イオンエッチング(RIE)が好ましく、中でも誘導結合方式の反応性イオンエッチングであるICPが好ましい。
エッチングガスとしては塩素系ガス、フッ素系ガス、臭素系ガスが好ましく、中でも六フッ化硫黄(SF)ガスがより好ましい。また、これらのガス中に酸素ガスを混合させた混合ガスを用いることが、よりエッチング特性が良好となるため好ましく、中でも六フッ化硫黄ガスと酸素ガスの混合ガスを用いる場合は、より微細な凹凸構造を得ることができるためより好ましい。
エッチング処理が施されると、図2(d)に示されるように、第1粒子51で被覆された領域を除く、マスク材50を構成する結着剤53がエッチングされると共に、第2粒子52もエッチングされる。
これにより、エッチングされた領域が凹部となり、エッチングされない領域が凸部となり、結晶Si基板10の表面に凹凸構造10tが形成される。なお、当該エッチングされる領域では、マスク材50ごとエッチングされる。
ドライエッチング処理を施すための条件は、マスク材50の厚み・種類(結着剤53の種類や粒子群の種類など)に応じて、適宜設定される。例えば、後記実施例1にて使用したマスク材50を用いたドライエッチング処理において、処理時間と反射率の関係について調べた結果、処理時間6分で反射率6%を達成し、処理時間9分では反射率3%を達成した。また、処理時間10分においても反射率は3%程度であった。これらの結果から、反射率5%程度を実現し得ると判断されるドライエッチング処理時間は約8分間の処理であることが確認された。従って、本実施形態において、ドライエッチング処理時間は8分以上であることが好ましく、8〜10分であることがより好ましく、8〜9分であることが更に好ましい(ドライエッチングの装置及びその他の条件は実施例1を参照)。ただしエッチング時のパワー等を上げることにより時間短縮は可能である。
(洗浄処理)
ドライエッチング後の凹凸構造10tの表面10sには、第1粒子51や第2粒子52、結着剤53及び、エッチングガスの構成元素を含むエッチング残渣、更にプラズマダメージが存在している。図3(a)に、ドライエッチングによる凹凸形成(約9分)後、超音波洗浄(純水中、5分)洗浄を行った後の表面SEM写真を示す。図3(a)には、右上部にシリカ残渣がはっきりと確認される。また、SEM写真では確認することが難しいが、Si基板をドライエッチング処理すると、その加工表面にステイン層と呼ばれる極微細な凹凸ができることが知られており、この層の存在により表面物性に影響を及ぼすことから、かかるステイン層をプラズマダメージと称している。
上記エッチング残渣及びプラズマダメージの存在により、後工程のpn接合形成において、n型ドーパント(例えばリン)の拡散の際、ドーパントガス(例えば燐酸ガス)の熱拡散を行うが、エッチング残渣やプラズマダメージの存在により、その拡散が阻害されるため、良好なpn接合を形成することができなくなる。従って、本実施形態では、n型ドーパントの拡散前に、エッチング残渣及びプラズマダメージの除去を行う。
エッチング残渣は、主に上記第2粒子(エッチング耐性の高い粒子)であり、その他、エッチングガスとの反応物(硫黄やフッ素の化合物)などがある。これらの残渣は主に、凹凸構造10tの凸部101上であるが、凹部102にも残っている場合もある。
これらの洗浄方法としては、これまで超音波洗浄や溶剤のスピン洗浄等様々な方法が採用できるが完全に表面付着物を除去できるまでには長時間かかる。また強い洗浄条件で行うと形成された凹凸形状が崩れ、反射率が逆に上がってしまうという問題があった(図3(b)→(c))を参照。
そこで本発明者は、洗浄効果とダメージ低減の両立を鋭意検討した。その結果、上記エッチング残渣及びプラズマダメージを良好に取り除き、高い光電変換効率を達成可能とする2種類の洗浄方法を見出した。以下にその洗浄方法を説明する。
<<第1の洗浄方法:水素ガスを用いたドライエッチング>>
第1の洗浄方法では、まず、図2(c)に示されるように、ドライエッチングによる凹凸構造10tの上方より、水素ガスによるドライエッチングを実施する(図中矢印↓)。ここで、水素ガスによるドライエッチング(以下、「水素エッチング」とする)は、シリコン基板表面の自然酸化膜を水素還元により除去することを目的としている水素還元処理とは異なるものであり、エッチング残渣とプラズマダメージを除去するための処理である。しかしながら、シリコン基板表面に対して水素が施されるため、表面の酸化膜の除去も同じプロセス中に実施されることもある。
ドライエッチングの方法は特に制限されず、プロセスの容易性から前工程である凹凸形成と同様の装置にて実施できる方法を選択することが好ましい。
水素エッチングの条件は特に制限されない。良好にエッチング残渣及びプラズマダメージが除去され、且つ、ランニングコスト及び信頼性の高いエッチングが可能な範囲とすることが好ましい。かかるエッチング条件としては、例えば、水素流量100sccm、ガス圧3Pa,高周波出力(パワー)100W,エッチング時間5分等が挙げられる。
水素エッチングでは、エッチング耐性がエッチング残渣(例えばシリカ)<プラズマダメージ部<<結晶Si、の順であると考えられる。従って、エッチング残渣除去を充分に実施しても、凹凸構造10tの凸部101がエッチングされて反射率に悪影響を及ぼす恐れはあまりないと考えられる。
プラズマダメージであるステイン層についても、上記ドライエッチングにより良好に除去することができる。しかしながら、より効率良くステイン層を除去するためには、水素ドライエッチングの後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ液によるウエットエッチングを実施することが好ましい。アルカリ液の好ましい濃度としては、0.1〜10wt%が挙げられ、かかる濃度範囲の場合、エッチング時間を10秒〜2分とすることにより良好にステイン層を除去することができる。
凹凸形成及び表面洗浄を施したシリコン結晶版の表面は、非常に酸化されやすく、一般に、SiOの酸化皮膜が形成される。かかる酸化皮膜は、水素ドライエッチングにより除去することができるが、より除去率を高くするためには、水素ドライエッチングに引き続き、希フッ酸等の酸溶液に浸漬させることが好ましい。
本発明者は、後記実施例に示されるように、マスク材50を用いたドライエッチングによる凹凸形成後、水素エッチングを3分〜15分程度実施し、希フッ酸中への浸漬処理を施すことにより、凹凸構造10tの太陽光の反射率を1%まで低減させることに成功した。かかる効果は、Si基板10が単結晶である場合も、多結晶である場合も同様に得ることができるがこと確認されている。
<<第2の洗浄方法:希フッ酸中でのマイクロバブル含有超音波洗浄>>
第2の洗浄方法では、マイクロバブルを含ませた希フッ酸中での超音波洗浄処理を実施する。希フッ酸中に凹凸構造を浸漬させてエッチング残渣を超音波洗浄する技術は公知技術であり、エッチング残渣を希フッ酸で溶解させ、超音波による微細な振動によりその効果を促進するものである。しかしながら、かかる洗浄だけでは、上記した本実施形態の凹凸構造10t表面に存在するエッチング残渣及びプラズマダメージの除去を充分に、また効率的に行うことができない。
本発明者は、本実施形態の凹凸構造10tのように、サブミクロンオーダの微細凹凸構造中に点在するエッチング残渣やプラズマダメージを溶解により除去するには、超音波の振動だけではなく、更に物理的な力を除去対象物及びその周辺に加える必要があると考え、超音波の発生している希フッ酸溶液中に、更にマイクロバブルを同時に供給しながら洗浄することにより、上記した第1の洗浄方法とほぼ同等に、エッチング残渣やプラズマダメージを良好に除去できることを見出した。
希フッ酸の濃度としては0.5〜5wt%であることが好ましい。希フッ酸濃度が濃いほど洗浄時間を短縮することができるが、取り扱い性の観点から、濃度は薄い方が好ましい。本実施形態のように、超音波とマイクロバブルを含ませた洗浄を行う場合は、希フッ酸の濃度は比較的低濃度でも充分に洗浄効果を得ることができる。
また、マイクロバブルとしては、特にその直径は制限されないが、10〜数百μmの範囲であることが好ましい。また、本発明は泡のサイズの分布の程度には特に限定されない。ほぼ単一の分布を有する微細な泡、種々のサイズの複数の分布を有する微細な泡をも含む。また処理工程の間に泡のサイズが変動する場合も含む。
また、マイクロバブル中の成分気体は特に制限されず、成分気体は単一の成分でも混合成分の気体でもよく、適宜選択することができる。具体的には、マイクロバブルの成分気体としては、水素、酸素、窒素、二酸化炭素、オゾン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アルゴン、ヘリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、特に、窒素、アルゴンが好ましい。
また、マイクロバブルの大きさは特に制限されないが、バブルの直径が、10〜100μmである場合に良好な洗浄効果を得ることができる。
このようにマイクロバブルと超音波の発生下での洗浄の場合、これらの物理的な力のみでエッチング残渣及びプラズマダメージをある程度除去することが可能である。特にこれらの除去対象物が少ない場合は純水中での洗浄で充分である。
しかしながら、純水による洗浄では、第1の洗浄方法において述べた、自然酸化膜の除去を更に実施する必要がある。このように、マイクロバブルと超音波発生下での純水による洗浄を行った後に、希フッ酸に浸漬させて自然酸化膜の除去を行ってもよいが、希フッ酸中での洗浄とすることにより、洗浄時間も短縮される上、自然酸化膜の除去も洗浄と同時に実施することができ、プロセスも簡易になる。
プラズマダメージであるステイン層の除去については、上記第1の洗浄方法で述べたとおりの方法を用いればよい。
既に述べたように、従来のウエットエッチング及びドライエッチングによるテクスチャ構造の形成では、多結晶Si基板の場合は、多結晶の結晶粒の面方位の非一様性により、反射率を低下させることが難しく、20%台と高いものであり、単結晶の場合でも10%前後であった。これに比して、上記第1の洗浄方法及び第2の洗浄方法いずれの場合にも、良好で高効率な洗浄を行うことができ、更に、上記マスク材50を用いたドライエッチングによる凹凸構造10tの形成を組み合わせた態様では、単結晶、多結晶にかかわらず、多数の針状の凸部を有する、太陽光の反射を高効率に抑制できるテクスチャ構造面を形成することができる。
なお、第1の洗浄方法、第2の洗浄方法のいずれにおいても、洗浄後のテクスチャ構造面(凹凸構造10t)にアルカリ性又は酸性の水溶液が付着している場合には、中和をしておくことが好ましい。更に、次工程のpn接合形成時には、テクスチャ構造面10sを充分に乾燥させておくことが好ましい。
(pn形成)
次に、図2(e)に示されるように、洗浄後のp型シリコンウエハのテクスチャ構造面(凹凸構造10t)から、n型ドーパント(リン等)を拡散させてn層を形成し、pn接合を形成する。n型ドーパントがリンである場合は、例えば、塩化ホスホリル(POCl)を拡散源としたガス拡散法等により、リンを熱拡散させてpn接合の形成を行う(拡散温度は800℃。)。
次に側面や裏面に回りこんだ余分なp層やn層を削ってpn分離を行う。分離方法は特に制限されず、希フッ酸でのウエットエッチングやプラズマエッチング等を採用してよい。また、リンを拡散させた場合は、テクスチャ構造面10sにリン酸ガラスが生成されるので、希フッ酸での浸漬で除去することが好ましい。
既に述べたように、本実施形態の光電変換素子1では、テクスチャ構造面10s(凹凸構造10t)が、エッチング残渣及びプラズマダメージが良好に除去されている。このことは、後記実施例図4(a),(b)から確認することができる。図4(a),(b)は、電子顕微鏡によるテクスチャ構造10sの表面SEM像であり、倍率を5000倍、10000倍としたものである。図示されるように、いずれの写真においてもエッチング残渣及びプラズマダメージは観察されない。
従って、光電変換素子1では、テクスチャ構造面10sにおいて、pn形成の阻害要因となるエッチング残渣やプラズマダメージが非常に少ないため、良好且つ略一様なpn接合を形成することができる。pn接合の部分的な欠損や、面内不均一性は、光電変換素子の光電変換効率に大きな影響を及ぼす。光電変換素子1では、上記のように、良好且つ略一様なpn接合を形成することができるため、テクスチャ構造面10sにより高効率に光電変換層10内に入射された太陽光を高効率に光電変換することができる。
(電極形成)
次に、図2(f)に示されるように、裏面10rに裏面電極20を形成し、次いで、pn接合が形成されたテクスチャ構造面10s上に、該面を略一様に被覆する透光性導電層30を直接成膜する(図2(g))。
裏面電極20及び透光性導電層30の成膜方法としては特に制限されないが、スパッタ法、CVD法、MOCVD法、MBE法等の気相法でもよいし、液相法により形成してもよい。裏面電極20は銀ペーストやAlペーストをスクリーン印刷法等により塗布した後焼成して形成してもよい。
光電変換素子1では、このように、テクスチャ構造面10s上に直接成膜された、透光性導電層30を表面電極とすることができる。かかる構成では、表面電極が透光性であるため、従来の櫛形電極に比して発電面積を広くすることできる。またpn接合のすぐ上に電極が形成できるため電極までの経路が短縮されるので直列抵抗を低減できる。従って、これらの相乗効果により高効率な発電効率を達成することができる。
更に、従来の櫛形電極のように局所的な電極形成が不要であるために高温焼成の必要がない。高温焼成は、従って、本発明によれば、入射光の利用効率及び光電変換効率が高く、歩留まりの良い製造が可能な光電変換素子を提供することができる。
なお、本実施形態の光電変換素子1では、反射防止膜は成膜しない方が好ましいが、反射防止膜を備えた構成としてもよい。
最後に、透光性導電層30の表面に取り出し電極40を形成して光電変換素子1を得る(図2(h))。
取り出し電極40は、Alや銀ペーストを用いたスクリーン印刷法により塗布した後焼成して形成される。なお、本実施形態では、裏面電極20を最初に形成した態様について説明したが、裏面電極20は、透光性導電層30形成後に成膜されてもよいし、取り出し電極40の形成後に形成されてもよい。
以上のようにして、光電変換素子1は製造することができる。
上記したように、光電変換素子1では、テクスチャ構造面に入射した太陽光の反射を高効率に抑制し、高効率に光電変換層10内に入射させることができるので、従来必須とされていたSiN等の反射防止膜を設けることなく、光電変換層10のテクスチャ構造面の略全面に表面電極(透光性導電層)30を形成することができる。
そのため、テクスチャ構造面により高い入射効率で入射された太陽光を、高い光電変換効率にて利用することができる上、テクスチャ構造面の略全面から電荷を取り出すことができるため、局所的に設けられた電極により電荷を取り出す構成に比して光電変換層と電極との間の抵抗が格段に小さくなる。更に、局所的な電極形成が不要であるために高温焼成の必要がなく、基板の変形等による歩留まりの低下も抑制される。従って、光電変換素子1は、入射光の利用効率及び光電変換効率が高く、歩留まりの良い製造が可能なものとなる。
光電変換素子1は、太陽電池等に好ましく使用することができる。光電変換素子1に対して必要に応じて、カバーガラス、保護フィルム等を取り付けて、太陽電池とすることができる。
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
まず、マスク材の塗布液の調製を行った。まず結合剤としてポリビニルアルコール(PVA)を3重量%含んだPVA液(水溶媒)を用意した。次に、該PVA液100重量部に対して第1粒子としてシリカ(SiO)粒子(扶桑化学社製SP-03F、平均粒径0.3μm)を6重量部、第2粒子としてアクリル樹脂粒子(綜研化学社製MP1000、平均粒径0.4μm)を4重量部、分散剤として(2-エチルヘキシルスルホコハク酸Na)を0.5重量部添加してディゾルバにて分散させてマスク材塗布液を得た。
P型でワイヤソーダメージが除去された多結晶シリコンウエハ(156mm角)の一表面に、スピンコータ(ミカサ製1H-360s)により、マスク材塗布液を塗布して乾燥させ、膜厚0.5μmのマスク材を成膜した。
次に、RIE装置(リアクティブイオンエッチング装置:神港精機社製EXAM)にて凹凸構造の形成を行った。
SFとOの混合ガス(SF:O=1:0.5)を用いて、ガス圧20Pa、高周波出力150Wで8分間ドライエッチング処理をした。
次いで、RIE装置においてエッチングガスをHガスに入れ替え、水素流量100sccm、ガス圧3Pa、高周波出力100Wで5分間ドライエッチング処理を行い、次に水酸化ナトリウム1%溶液に浸漬し、さらに希フッ酸10%溶液に浸漬した後、純水リンス洗浄して、表面に高さ約1μmの凹凸形状を得た。
次に塩化ホスホリル(POCl)を、拡散温度800℃にてガス拡散して表面にn型層を形成し、ウエハ側面と裏面をCF4とO2の混合ガスによりプラズマエッチングをしてpn分離を行った。
次に希フッ酸10%溶液に浸漬させ、表面にあるリン酸ガラスを除去した後、表面にITOの透明導電膜をプラズマCVD装置にて成膜し、ITO表面に銀ペーストを細長くスクリーン印刷にて形成し、更に、裏面にはAlペーストをスクリーン印刷にて形成した後温度860℃にて焼成し、光電変換素子を作製した。
(実施例2)
エッチング残渣及びプラズマダメージの洗浄方法を異ならせた以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。本実施例において、エッチング残渣及びプラズマダメージの洗浄方法は、マイクロバブル生成装置及び超音波生成装置を用いて、マイクロバブル及び超音波が連続的に供給されている希フッ酸10%溶液中に1分間浸漬させた後、純水リンス洗浄をすることにより行った。その結果、実施例1と同様に、表面に高さ約1μmの凹凸形状を得た。
(実施例3)
シリコンウエハをP型単結晶ウエハとした以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
(実施例4)
シリコンウエハをP型単結晶ウエハとした以外は実施例2と同様にして光電変換素子を得た。
(比較例1)
リン酸ガラスの除去工程まで実施した後、プラズマCVD法にてSiNの反射防止膜を膜厚約50nmで成膜し、透光性導電層を成膜しなかった以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
(比較例2)
p型多結晶シリコンウエハの一表面をフッ化水素と硝酸の混合溶液(配合比率50:50(体積比率))に浸漬させて、該表面にテクスチャ構造を形成した以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。
(比較例3)
水素によるドライエッチングから水酸化ナトリウム水溶液への浸漬工程の代わりに、純水中において超音波洗浄を5分実施した以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(評価)
上記実施例1〜3及び比較例1〜3にて得られた光電変換素子の表面反射率及び発電効率を測定した。その結果を表1に示す。表1において、発電効率が◎のものは発電効率17%以上、○は16%〜14%、△は13%〜11%であることを意味する。
表1に示されるように、本発明の光電変換素子では、多結晶、単結晶にかかわらず、表面反射率1%、発電効率も良好であることが確認された。
また、比較例1では、本発明の光電変換素子に反射防止膜を入れた構成としている。比較例1では、反射率は実施例1〜3と同等であるのに対し、絶縁膜であるSiNの挿入、及び表面電極の局所性による発電効率の低下も確認された。
また、比較例2は従来の多結晶シリコン太陽電池の構成であり、比較例3は、実施例1においてエッチング残渣の洗浄工程を従来の純水中での超音波洗浄とした例である。
実施例1〜3の結果、及び比較例1〜比較例3とにより、本発明の有効性を確認することができた。
図5は実施例1において、マスク材の塗布前の多結晶シリコンウエハ表面(a)と、n型ドーパント拡散前のテクスチャ構造面(b)の反射率のスペクトルを示したものである。図5に示されるように、多結晶Si基板を用いた場合において、Siの吸収波長帯である400nm〜1200nmにおいて、テクスチャ構造形成前の反射率が20%以上であったのに対し、テクスチャ構造形成後の反射率が1〜2%を達成されていることが確認された。
図6は実施例3及び実施例4において、マスク材の塗布前の単結晶シリコンウエハ表面(a)と、n型ドーパント拡散前のテクスチャ構造面((e):実施例3,(f):実施例4)の反射率のスペクトルを示したものである。また、図6では、従来のアルカリ処理によるテクスチャ構造形成方法により得られたテクスチャ構造面の反射率のスペクトルも併せて示してある((b)アルカリ処理のテクスチャ構造面、(c)は(b)のテクスチャ構造面上にSiN反射防止膜を設けた面))。また、図6(d)は、実施例3において、水素を用いたドライエッチング処理前の凹凸構造面の反射率スペクトルを示したものである。
図6に示されるように、単結晶Si基板を用いた場合は、Siの吸収波長帯である400nm〜1200nmにおいて、テクスチャ構造形成前の反射率が20%以上であり、また、従来のアルカリ処理によるテクスチャ構造面における反射率10%前後であることが確認された。また、従来のアルカリ処理によるテクスチャ構造面に、SiN膜を設けた構成では、400nmより短波長領域から600nmの波長域において反射率は6%以下となっているが、600nmより長波長側では短波長側に比して高くなっており、反射率の波長依存性が高いことが確認された。一方、マスク材を用いたテクスチャ構造面では、洗浄工程に関わらず反射率が1〜2%を達成されていることが確認された。
図7は、本発明者が、Si基板面の表面粗さ(1.5μm角)と波長1μmの光に対する積分球反射率との関係を調べた結果をグラフに示したものである。図7(a)にはRa(算術平均表面粗さ)及びRq(二乗平均平方根粗さ)と反射率との関係、(b)にはRz(最大高さ粗さ),Rzjis(10点平均粗さ),Rp(最大山),及びRv(最大谷)と、反射率との関係を示してある。
図7(a),(b)より、上記実施例1〜4及び比較例1、2のテクスチャ構造面の表面粗さを見積もることができる。実施例1〜4では、反射率が1〜3%であるので、これらの算術平均表面粗さRaは122nm以上であることが確認される。上記実施形態において説明したように、凹凸構造のピッチ(細かさ)は、マスク材に含まれる第1粒子及び第2粒子の設計により調整することができる。また、最大高さ粗さRzは1151nm(1.151μm)以上であることも確認される。
実施例1〜3に示されるように、本発明により、結晶Si系太陽電池において、6%以下の低反射率のテクスチャ構造の作製に成功し、これにより結晶Si太陽電池において初めて、透光性導電層(透明電極層)からなる表面電極を備えた構成を実現した。かかる電極層の実現により、高効率に光電変換層中に太陽光を閉じ込め、更に、大幅に広くなった発電領域にて発電させることに成功し、発電された電荷を取り出す際の抵抗も最小限にすることを可能にした。従って、本発明によれば、太陽光の利用効率、光電変換効率、及び装置内のロスが少ない、優れた光電変換性能を有する結晶Si系太陽電池を初めて実現することができた。
本発明の光電変換素子は、太陽電池、及び赤外センサ等に使用される光電変換素子等の用途に好ましく適用できる。
1 光電変換素子(太陽電池)
10 結晶Si基板(光電変換層)
10s 表面(一主面,テクスチャ構造面)
10r 裏面(一主面と反対側の主面)
10t 凹凸構造(凹凸構造面,テクスチャ構造面)
101 凸部
102 凹部
11 第一導電型(p型)Si層
12 第二導電型(n型)Si層
20 裏面電極層
30 透光性導電層(表面電極)
40 取り出し電極
50 マスク材
51 第1粒子
52 第2粒子
53 結着剤

Claims (13)

  1. 一導電型結晶シリコン基板の一主面側に他の導電型不純物を拡散させてpn接合が形成されてなる光電変換層と、前記一主面に形成された透光性導電層と、前記光電変換層の前記一主面の反対側の主面に形成された裏面電極層とを備えた光電変換素子であって、
    前記光電変換層の前記一主面は、該主面における太陽光の反射を抑制する多数の針状の凸部を有する凹凸構造を備えたテクスチャ構造面であり、
    前記透光性導電層は該テクスチャ構造面上に直接成膜されてなることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記テクスチャ構造面の太陽光の反射率が6%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記反射率が3%以下であることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記テクスチャ構造面の算術平均表面粗さRaが100nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  5. 前記凸部の平均高さが1μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記テクスチャ構造面が、
    前記シリコン基板の一主面に、前記凹凸構造を形成するドライエッチングに対して耐性を有する第1粒子と、該第1粒子よりも前記耐性が低い第2粒子と、前記第1粒子よりも前記耐性が低い結着剤とを含む液状組成物を前記シリコン基板の一主面に塗布成膜して得られるマスク材を配する工程と、
    該マスク材が配された前記主面にドライエッチングにより前記凹凸構造を形成する工程と、
    前記凹凸構造に、水素ガスによるドライエッチング処理と、希フッ酸中に浸漬させる処理とを順次実施する洗浄工程とを施すことにより製造されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記テクスチャ構造面が、
    前記シリコン基板の一主面に前記凹凸構造を形成するドライエッチングに対して耐性を有する第1粒子と、該第1粒子よりも前記耐性が低い第2粒子と、前記第1粒子よりも前記耐性が低い結着剤とを含む液状組成物を前記シリコン基板の一主面に塗布成膜して得られるマスク材を配する工程と、
    該マスク材が配された前記主面にドライエッチングにより前記凹凸構造を形成する工程と、
    前記凹凸構造に、マイクロバブル及び超音波が断続的に、又は、連続的に供給されている希フッ酸中に浸漬させる処理とを順次実施する洗浄工程とを施すことにより製造されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 前記第1粒子が無機粒子であり、前記第2粒子が樹脂粒子であることを特徴とする請求項6または7に記載の光電変換素子。
  9. 前記第1粒子がSiOを主成分とする粒子であることを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子。
  10. 前記第2粒子がアクリル樹脂を主成分とする粒子であることを特徴とする請求項8又は9に記載の光電変換素子。
  11. 前記結着剤が、水溶性高分子又は水分散性高分子を主成分とするものであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の光電変換素子。
  12. 前記一導電型結晶シリコン基板が多結晶シリコンからなる(不可避不純物を含んでもよい)ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光電変換素子。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の光電変換素子を備えたことを特徴とする太陽電池。
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