JP2012059486A - リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層 - Google Patents

リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性が高くかつ可撓性の高い多孔質絶縁層、及びその層が電極表面上に形成され、耐熱性及び可撓性が向上した二次電池を提供する。
【解決手段】正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、非水系電解液組成物とを有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質層または前記負極活物質層のうち少なくともいずれか1層の表面上に、無機酸化物によって被覆され、かつ樹脂から構成されるファイバーを含有する多孔質絶縁層が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層とそれを用いたリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池においては、正極板と負極板とを電気的に絶縁する絶縁層を備え、この絶縁層は電解液を保持する役割をも有する。これら絶縁層の一例としては、リチウムイオン二次電池で用いられるポリエチレンやポリプロピレン等からなる微多孔性フィルムセパレータなどが挙げられる。
近年は電池の高容量化が進行し、不具合時の発熱量は大きくなっており、絶縁層の耐熱性向上の必要性が高くなっている。さらに、製造工程での電極活物質の脱落防止、安全性の向上など、様々な理由から、電極表面に多孔質絶縁層を形成することが提案されており、さらに空隙率が高く、電池性能が高い多孔質絶縁層を形成するためにファイバー状の材料を含むものが提案されている。例えば、電極表面に、有機物のファイバーからなる不織布を用いて形成された多孔質絶縁膜により、製造工程中での電極の破損を抑えたリチウムイオン電池用電極板が提案されている(例えば、特許文献1)。また、電極表面にポリオレフィンファイバーを主成分とする多孔質絶縁膜を塗布により形成させるリチウムイオン電池用電極板の製造法、および該電極を用いた電池が提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、樹脂材料を含有する多孔質絶縁層は、概して高温で形状変化しやすいため、正極、負極間の絶縁性を保持しきれないという課題があった。
また、ファイバー状のセラミックフィラーと樹脂バインダーからなる多孔性絶縁層を塗布形成された電池用電極板を用いたリチウムイオン電池が提案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、電極表面上への多孔質絶縁層形成にセラミックフィラー等の無機物を用いると、耐熱性は向上するものの可撓性が劣化するため、電池作製時または輸送時の振動によって多孔性絶縁層が破損されるという課題があった。
特開平07−220759号公報 特開2002−83590号公報 特開2005−285605号公報
本発明の目的は、耐熱性が高くかつ可撓性の高い多孔質絶縁層、及びその層が電極表面上に形成され、耐熱性及び可撓性が向上した二次電池を提供することにある。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成されることがわかった。
(1)
正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、非水系電解液組成物とを有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質層または前記負極活物質層のうち少なくともいずれか1層の表面上に、無機酸化物によって被覆され、かつ樹脂から構成されるファイバーを含有する多孔質絶縁層が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
(2)
前記ファイバーの平均繊維径が4nm以下、300nm以上であることを特徴とする(1)記載のリチウムイオン二次電池。
(3)
前記多孔質絶縁層が樹脂バインダーを含有することを特徴とする(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池。
(4)
正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、非水系電解液組成物とを有するリチウムイオン二次電池における前記正極活物質層または前記負極活物質層のうち少なくともいずれか1層の表面上に有するリチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層において、無機酸化物によって被覆され、かつ樹脂から構成されるファイバーを含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層。
本発明により、耐熱性が高くかつ可撓性の高い多孔質絶縁層、及びその層が電極表面上に形成され、耐熱性及び可撓性が向上した二次電池を提供することができる。
本発明に係る多孔質絶縁層は、電極表面上に塗布により形成されており、多孔質絶縁層は、表面が無機酸化物によって被覆されており、かつ樹脂から構成されるファイバーを含有することを特徴とする。無機酸化物によって被膜されたファイバーは、表面が無機酸化物によって被覆されていることによって、耐熱性が向上している。また、ファイバーは、ファイバーの構成成分である樹脂によって応力が緩和されており、可撓性が高い。したがって、耐熱性と可撓性を両立した多孔質絶縁層を形成することができる。
〈ファイバー〉
本発明における樹脂から構成されるファイバーとは、ファイバーの構成成分として樹脂を50質量%以上含有するファイバーである。
ファイバーの構成成分である樹脂としては、熱可塑性ポリマーから構成されることが好ましい。樹脂の構成成分を熱可塑性ポリマーとすることにより、エレクトロスピニング法を利用してファイバーを製造することができるため、生産性を高くできるからである。本発明における熱可塑性ポリマーとしては、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステルやナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン(以下、PPと呼ぶことがある)などのポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられるが、ポリエステルやポリアミドが耐熱性が高く特に好ましい。ファイバーの製造方法は特に限定されず、エレクトロスピニング法を用いての製造方法としては、特開2005−273067号公報に記載されている公知の方法を採用することができる。また、他に特開2004−162244号公報に記載されている溶融紡糸法を採用することができる。
また、樹脂から構成されるファイバーの平均繊維径は、多孔質絶縁層の断面観察から観測することが出来る。透過型電子顕微鏡により層断面において円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる樹脂から構成されるファイバーをランダムに200本、又はそれ以上観察し、その平均値を求めることにより得られる。ここで、本発明に係る繊維径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できるファイバーの外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、繊維径を測定する際、層断面上で明らかにファイバーの側面などを表しているものは測定しない。また、樹脂から構成されるファイバーは、ファイバー長などには限定がないものである。
また、無機酸化物により被覆され、かつ樹脂から構成されるファイバーの平均繊維径は4nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。当該範囲にあれば、該ファイバーから構成される多孔質絶縁層の孔径は1μm以下になることから、活物質の脱落を効果的に抑えることができる。
また、無機酸化物により被覆され、樹脂から構成されるファイバーを含有する多孔質絶縁層の孔径は下記式より推定できる。
Figure 2012059486
但し、d=平均繊維径 v=繊維真密度 ρ=かさ密度 X=孔径
ファイバーを繊維1本ずつにした状態で分散媒中に分散させる方法としては、ミキサーやホモジナイザー等の撹拌機を用いればよい。また、撹拌による分散の前処理工程として、分散媒中で叩解することが好ましく、ナイアガラビーター、リファイナー、カッター、ラボ用粉砕器、バイオミキサー、家庭用ミキサー、ロールミル、乳鉢、あるいはPFI叩解機などでせん断力を与え、ファイバーを繊維1本ずつにした状態で分散させ分散媒中に投与することができる。
さらに、ファイバー分散液中でのファイバーの分散性を均一にしたり、多孔膜とした際に構造体の力学的強度を向上させるために、分散液中のファイバー濃度は分散液全質量に対して0.001〜30質量%にすることが好ましい。より好ましくは0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。ファイバー分散液中に、分散のために必要に応じて分散剤を用いてよい。分散剤の種類としては例えば、水系で用いる場合、ポリカルボン酸塩などのアニオン系、第四級アンモニウム塩などのカチオン系、ポリオキシエチレンエーテルやポリオキシエチレンエステルなどのノニオン系の物から選択することが好ましい。分散剤の数平均分子量としては1000〜50000であることが望ましい。
〈無機酸化物〉
本発明におけるファイバーは無機酸化物により被覆されている。本発明における被覆においては、ファイバーの表面積の70%以上が無機酸化物により覆われていることが好ましく、ファイバーの表面積の90%以上が無機酸化物により覆われていることがさらに好ましい。本発明では、スラリー中において無機酸化物による被覆を行うので、ファイバーの表面に満遍なく無機酸化物を被覆することができる。そのため、耐熱性に優れた多孔質絶縁層を作製することができる。
また、無機酸化物とは、単一の無機酸化物だけでなく、2種以上の無機酸化物を複合した複合酸化物をも包含する。無機酸化物の成分としてはLi、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である無機酸化物を用いることができる。具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)等が挙げられる。
また、本発明において用いられる無機酸化物として、希土類酸化物を用いることもできる。具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などがあげられる。
これらの無機酸化物をファイバーの表面に被覆する方法としては金属アルコキシド、金属アリールオキシド、カルボン酸金属塩、金属塩、それらの誘導体、重合方法による重合体などを用いる方法がある。このような化合物の代表例としては、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、酪酸アルミニウム、カプロン酸アルミニウム、カプリル酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、メタクリル酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ナフテン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、p−ブチル安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、アジピン酸アルミニウムなどがあげられる。このような金属原子含有有機化合物は、たとえば金属アルコキシドの場合、該金属またはその水酸化物とアルコールを高温で加熱することによって得られ、空気中の水分を遮断した状態で保有される。また有機酸金属塩は、該金属の酸化物または水酸化物と有機酸との反応によって得られる。
本発明においてファイバーの表面に無機酸化物を被覆する方法としては、ファイバーを分散媒中で分散しスラリーを作製し、このスラリーに無機酸化物を添加する方法がある。該方法によりファイバー表面に無機酸化物を被覆することができる。
ここでスラリーとは、ファイバーが分散媒中に分散された状態のものをいう。これらのスラリー中のファイバーをギロチンカッターやスライスマシンで所望のファイバー長にカットする。ファイバー長は、特に制限はないが、スラリー中でのファイバーの分散性を向上させるために、0.01〜30mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10mmである。また、特開2004−162244号公報に記載されているように、ファイバーの前駆体であるポリマーアロイファイバーの状態で所望のファイバー長にカットしてから断面の海島構造の海ポリマーを溶解してカットしてもよい。カットしたファイバーは単ファイバーにした状態で分散媒中に分散させる。分散媒としては水だけでなく、ファイバーとの親和性も考慮してヘキサンやトルエンなどの炭化水素系、クロロホルムやトリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素系、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール系、エチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル系、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系、酢酸メチルや酢酸エチルなどのエステル系、エチレングリコールやプロピレングリコールなどの多価アルコールなどの一般的な有機溶媒を好適に用いることができるが、安全性や環境等に考慮すると水を用いることが望ましい。
ファイバーを繊維1本ずつにした状態で分散媒中に分散させる方法としては、ミキサーやホモジナイザー等の撹拌機を用いればよい。また、撹拌による分散の前処理工程として、分散媒中で叩解することが好ましく、ナイアガラビーター、リファイナー、カッター、ラボ用粉砕器、バイオミキサー、家庭用ミキサー、ロールミル、乳鉢、あるいはPFI叩解機などでせん断力を与え、ファイバーを繊維1本ずつにした状態で分散媒中に投与することができる。
このスラリーに対し、前記無機酸化物を添加することによりファイバーの表面に無機酸化物層を形成することができる。無機酸化物を添加する工程の間、ファイバーは分散していることが好ましい。スラリー中に存在する化合物に応じて、pHの調整を行うことが望ましく。pHの調整には酢酸、もしくはアンモニアを用いることが好ましい。酢酸及びアンモニアは、加熱によって取り除くことができるためである。
〈多孔質絶縁層〉
本発明に係る多孔質絶縁層は、無機化合物により被覆されたファイバーを含有することを特徴とする。当該ファイバーが、無機化合物により被覆されていることにより、耐熱性が向上する。また、多孔質絶縁層は、樹脂バインダーを含有することも好ましい。
樹脂バインダーとは、樹脂から構成されるバインダーをいう。樹脂バインダーとしては、特に制限はないが、スチレン−ブタジエンラテックス(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアセタール樹脂、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンがあげられる。この中でも特に、スチレン−ブタジエンラテックス、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
本発明において、表面が無機化合物により被覆されたファイバーを含有するスラリーを塗布し、乾燥することにより多孔質絶縁層を形成することが好ましい。
本発明における塗布方法としては、電極上に均一な塗膜を所望の厚みで塗布出来れば特に制限はない。連続走行する支持体に塗布液を塗布する方法としては、Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」に述べられている如く、各種の方法が提案されており、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法等を用いることができる。
また、流量規制型のダイスを有する塗布装置は、高速、薄膜、多層同時塗布が可能であり、その特徴により写真感光材料や磁気記録材料等の塗布装置として広く用いられており、その好ましい一例としては、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案された多層スライドビード塗布装置を用いる方法があげられる。このタイプのコーターは、塗布装置先端と走行する可撓性支持体の間にビードと称する塗布液溜まりをつくり、このビードを介して塗布が行われる。本発明においては、いずれの塗布装置も好ましく用いることが可能であるが、電解質層と電解質層の間への気泡の混入が小さいなどのメリットから多層同時塗布がより好ましい。
また、スラリーを塗布した後に、乾燥を行うことや圧縮をすることが好ましい。乾燥する方法としては、特に制限は無く公知の乾燥方法を用いることができる。また圧縮する方法としては、特に制限は無く、ローラ間を加圧しながら通すロールプレスや、金属板の間に挟みこんで上下から油圧ポンプ等プレスする方法等で行うことができる。また、プレス時に加熱をしながら行うこともできる。
〈二次電池用電極〉
ここでは、本発明の二次電池用電極について説明する。本発明における二次電池用電極は、正極活物質と電極合剤を集電体上に固定化した正極もしくは負極活物質と電極合剤を集電体上に固定化した負極である。
(正極活物質)
正極活物質としては、無機系活物質、有機系活物質、これらの複合体が例示できるが、無機系活物質あるいは無機系活物質と有機系活物質の複合体が、特にエネルギー密度が大きくなる点から好ましい。
無機系活物質として、例えば、Li0.3MnO、LiMn12、V、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li1.2(Fe0.5Mn0.50.8、Li1.2(Fe0.4Mn0.4Ti0.20.8、Li1+x(Ni0.5Mn0.51−x、LiNi0.5Mn1.5、LiMnO、Li0.76Mn0.51Ti0.49、LiNi0.8Co0.15Al0.05、Fe、等の金属酸化物、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、LiMPOF(M=Fe、Mn)、LiMn0.875Fe0.125PO、LiFeSiO、Li2−xMSi1−x(M=Fe、Mn)、LiMBO(M=Fe、Mn)などのりん酸、ケイ酸、ほう酸が挙げられる。なお、これらの化学式中、xは0〜1の範囲であることが好ましい。
さらに、FeF、LiFeF、LiTiFなどのフッ素系、LiFeS、TiS、MoS、FeS等の金属硫化物、これらの化合物とリチウムの複合酸化物が挙げられる。有機系活物質としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、等の導電性高分子、有機ジスルフィド化合物、有機イオウ化合物DMcT(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)、ベンゾキノン化合物PDBM(ポリ2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン−3,6−メチレン)、カーボンジスルフィド、活性硫黄等の硫黄系正極材料、有機ラジカル化合物等が用いられる。
また、正極活物質の表面には、無機酸化物が被覆されていることが電池の寿命を延ばす点で好ましい。無機酸化物を被覆するに当たっては、正極活物質の表面に被覆する方法が好ましく、被覆する方法としては、例えばハイブリタイザーなどの表面改質装置を用いて被覆する方法などが挙げられる。
かかる無機酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等のIIA〜VA族、遷移金属、IIIB、IVBの酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、γ−LiAlO、LiTiO等が挙げられ、特に酸化ケイ素が好ましい。
〈負極活物質〉
負極活物質は、特に制限は無く公知の負極活物質が利用できる。本発明における負極活物質としては、黒鉛やスズ合金と結着剤の混合物、シリコン薄膜、リチウム箔が挙げられる。
黒鉛やスズ合金と結着剤の負極活物質は、黒鉛やスズ合金などの粉末とスチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンなどの結着剤と混合したペーストを乾燥させることにより得ることができる。リチウム箔の負極活物質は、集電体に厚さ10〜30μmのリチウム箔を貼合させたものを用いることができる。高容量化が可能であり、電極合材を必須としないことから、シリコン系薄膜負極やリチウム金属負極からなる負極活物質を用いることが好ましい。
〈電極合剤〉
本発明に用いることができる電極合剤としては、導電剤、結着剤が挙げられる。
導電剤は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素ファイバーや金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−148,554号に記載)等)、金属ファイバーあるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種またはこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用が特に好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
本発明では電極合剤を保持するための結着剤を用いる。このような結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
前記結着剤は、一種単独または二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
〈集電体〉
正・負極の集電体としては、本発明の二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極の集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、銅あるいは銅合金がより好ましい。
前記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、多孔質体、発泡体、ファイバー群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
〈電極の作製〉
ここでは、本発明における二次電池の電極の作製について説明する。本発明における二次電池の形状としては、シート、角、シリンダーなどいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
前記合剤の塗布方法としては、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法およびスクイーズ法等が好適に挙げられる。その中でも、ブレード法、ナイフ法およびエクストルージョン法が好ましい。また、塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布は、片面ずつ逐時でも、両面同時に行ってもよい。
さらに、前記塗布は、連続でも間欠でもストライプでもよい。その塗布層の厚み、長さおよび巾は、電池の形状や大きさにより決められるが、片面の塗布層の厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μmが好ましい。
前記電極シート塗布物の乾燥および脱水方法としては、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線および低湿風を、単独あるいは組み合わせた方法を用いることできる。乾燥温度は80〜350℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。含水量としては、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質では、それぞれ500ppm以下にすることが好ましい。シートのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特にカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は特に限定されないが、0.2〜3t/cmが好ましい。前記カレンダープレス法のプレス速度としては、0.1〜50m/分が好ましく、プレス温度は室温〜200℃が好ましい。正極シートに対する負極シート幅の比としては、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.0が特に好ましい。正極活物質と負極活物質との含有量比は、化合物種類や合剤処方により異なる。
本発明の二次電池の形態は、特に限定されないが、コイン、シート、円筒等、種々の電池セルに封入することが出来る。
〈二次電池〉
本発明の二次電池は、主として、正極、負極、多孔質絶縁層及び非水電解質組成物から構成される。
本発明のリチウムイオン二次電池の非水電解質組成物としては、従来公知のリチウムイオン二次電池に用いられているリチウム塩を有機溶媒に溶解したものが用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に制限は無い。例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClOなどの無機化合物;LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO、LiPF6−n(C(nは1〜6の整数)、LiSOCF、LiSO、LiSOなどの有機化合物などを用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の非水電解質組成物に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;γ−ブチロラクトンといった環状エステル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルといったニトリル類;などが挙げられ、これらを1種単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。尚、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキサン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を加えることもできる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の用途は、特に限定されないが、例えば、電子機器としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[電極の作製]
(ファイバー分散スラリーの作製)
(スラリー1)
エレクトロスピニング法を利用してファイバーを製造するために、エレクトロスピニング装置「NF」(株)メックを使用した。コレクタにはプレートコレクタを用い、ノズルーコレクタ間距離を150mm、内径0.2mmのノズルを用い、20kVの電圧を印加して紡糸を行った。溶液にはナイロン6の蟻酸溶液5%を用いた。その結果、平均繊維径が50nmのナノファイバーシートを得た。得られた繊維を0.5mm長に切断してカット繊維とし、このカットした繊維1gに分散剤としてアロンT−50(サンノプコ(株))を0.1g、純水1000gを添加した。この溶液を超音波分散機(UH−50 エスエムテー(株))を用いて15分撹拌した。これによってナイロン6の0.1%分散液を得た。これをスラリー1とする。
(スラリー2)
エレクトロスピニング法を利用してファイバーを製造するために、エレクトロスピニング装置「NF」(株)メックを使用した。コレクタにはプレートコレクタを用い、ノズルーコレクタ間距離を150mm、内径0.2mmのノズルを用い、20kVの電圧を印加して紡糸を行った。溶液にはナイロン6の蟻酸溶液10%を用いた。その結果、平均繊維径が110nmのナノファイバーシートを得た。得られた繊維を0.5mm長に切断してカット繊維とし、このカットした繊維1gに分散剤としてアロンT−50(サンノプコ(株))を0.1g、純水1000gを添加した。この溶液を超音波分散機(UH−50 エスエムテー(株))を用いて15分撹拌した。これによってナイロン6の0.1%分散液を得た。これをスラリー2とする。
(スラリー3)
エレクトロスピニング法を利用してファイバーを製造するために、エレクトロスピニング装置「NF」(株)メックを使用した。コレクタにはプレートコレクタを用い、ノズルーコレクタ間距離を150mm、内径0.2mmのノズルを用い、20kVの電圧を印加して紡糸を行った。溶液には5%PP(ポリプロピレン)フルフラール溶液を120℃に加温して用いた。その結果、平均繊維径230nmのナノファイバーシートを得る事ができた。得られた繊維を0.5mm長に切断してカット繊維とし、このカットした繊維1gに分散剤としてノイゲン−EA87(第一工業製薬(株))を0.1g、純水1000gを添加した。この溶液を超音波分散機(UH−50 エスエムテー(株))を用いて15分撹拌した。これによってPP(ポリプロピレン)の0.1%分散液を得た。これをスラリー3とする。
(スラリー4)
エレクトロスピニング法を利用してファイバーを製造するために、エレクトロスピニング装置「NF」(株)メックを使用した。コレクタにはプレートコレクタを用い、ノズルーコレクタ間距離を150mm、内径0.2mmのノズルを用い、20kVの電圧を印加して紡糸を行った。溶液にはナイロン6の蟻酸溶液25%を用いた。その結果、平均繊維径が1390nmのナノファイバーシートを得た。得られた繊維を0.5mm長に切断してカット繊維とし、このカットした繊維1gに分散剤としてアロンT−50(サンノプコ(株))を0.1g、純水1000gを添加した。この溶液を超音波分散機(UH−50 エスエムテー(株))を用いて15分撹拌した。これによってナイロン6の0.1%分散液を得た。これをスラリー4とする。
[無機酸化物被覆]
(アルミナ被覆工程)
スラリー1〜4に酢酸を添加してpH4に調整した。このスラリー500ml中に、1%硫酸アルミニウム水溶液5gを加えて、撹拌機を用いて混合した。
次に、アンモニア水を加えてpH6に調整し、撹拌しながら24時間熟成させた。作製したスラリー500mlを限外濾過装置(ビバフロー200VF20PO:分画分子量10000)を用いて、100mlまで濃縮した。この分散液100mlに400mlの純水を加え、500mlに希釈した。この操作をさらに4回繰り返すことで、スラリー中から硫酸アルミニウムを取り除き、アルミナ被覆されたファイバーを含有するスラリーを得る事ができた。スラリー1〜4のファイバーにおいてアルミナ被覆されたものをそれぞれファイバー1〜4という。表面にアルミナ層が形成されたことをTEM−EDX(透過電子顕微鏡法−エネルギー分散型X線分光法)を用いて確認した。アルミナ被覆された結果、ファイバー1〜4の平均繊維径が、それぞれ60nm、120nm、240nm、1400nmとなった。
(ジルコニア被覆工程)
スラリー1〜4に酢酸を添加することでpH4に調整した。このスラリー500ml中に、1%酢酸ジルコニウム水溶液5gを加えて、撹拌機を用いて混合した。次に、アンモニア水を加えpH6に調整し、撹拌しながら24時間熟成させた。作製したスラリー500mlを限外濾過装置(ビバフロー200VF20PO:分画分子量10000)を用いて、100mlまで濃縮した。この分散液100mlに400mlの純水を加え、500mlに希釈した。この操作をさらに4回繰り返すことで、スラリー中から酢酸ジルコニウムを取り除き、ジルコニア被覆されたファイバーを含有するスラリーを得る事ができた。スラリー1〜4のファイバーにおいてジルコニア被覆されたものをそれぞれファイバー5〜8という。表面にジルコニア層が形成されたことをTEM−EDX(透過電子顕微鏡法−エネルギー分散型X線分光法)を用いて確認した。ジルコニア被覆された結果、ファイバー5〜8の平均繊維径が、それぞれ60nm、120nm、240nm、1400nmとなった。
(酸化ケイ素被覆工程)
スラリー1〜4に酢酸を添加することでpH4に調整した。このスラリー500ml中に、テトラエトキシシラン5gを添加し、撹拌機を用いて混合した。次に、アンモニア水を加えpH6に調整し、撹拌しながら24時間熟成させた。作製したスラリー500mlを限外濾過装置(ビバフロー200VF20PO:分画分子量10000)を用いて、100mlまで濃縮した。この分散液100mlに400mlの純水を加え、500mlに希釈した。この操作をさらに4回繰り返すことで、スラリー中からテトラエトキシシランを取り除き、酸化ケイ素被覆されたファイバーを含有するスラリーを得た。スラリー1〜4のファイバーにおいて酸化ケイ素被覆されたものをそれぞれファイバー9〜12という。表面に酸化ケイ素が形成されたことをTEM−EDX(透過電子顕微鏡法−エネルギー分散型X線分光法)を用いて確認した。酸化ケイ素被覆された結果、ファイバー9〜12の平均繊維径が、それぞれ60nm、120nm、240nm、1400nmとなった。
[負極の作製]
96部のグラファイト、2部のスチレンブタジエン共重合体ラテックス、2部のカルボキシメチルセルロースを適量の水に加えた後、撹拌機を用いて混合し、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmの銅箔の両面にダイコート法で塗布した。この負極前駆体を130℃で5分間温風乾燥後、カレンダープレス機によりロールプレスすることで厚さ100μmの負極を作製した。
[正極の作製]
90部のリン酸鉄リチウム(LiFePO)と、6部のグラファイト粉末を混合した粉末に、2部のポリフッ化ビニリデン共重合体と2部のN−メチルピロリドンとを加えた後、撹拌機を用いて混合し、スラリーを調製した。
このスラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にダイコート法で塗布した。この正極前駆体を、130℃で5分間温風乾燥後、カレンダープレス機によりロールプレスすることで厚さ100μmの正極を作製した。
[二次電池の製造]
(実施例1)
スラリー1から生成されたアルミナ被覆されたファイバーを含有するスラリー10%を、エバポレーターを用いて5%に調整した。このスラリーを用いて負極上の両面に乾燥後の厚みが各片面10μmになるようにダイコータ法にて塗布した後に、130℃で温風乾燥し、多孔質膜を形成し、負極の二次電池用電極を得た。続いて、正極及び該負極の上記塗布がされていない部位に電流端子(タブ)を超音波溶接した後に、正極を該負極上に重ね、巻回機にて巻回してから円筒缶に入れた。次に、この円筒缶を120℃で減圧乾燥後、酸素濃度10ppm以下、露点−60℃以下の乾燥空気で満たされたドライブース内で、円筒缶にエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)が体積比率3:7の混合溶媒にLiPFが1mol/Lの濃度で溶解された電解液を注入した後、封口して二次電池セルを製造した。これを実施例1とする。
(実施例3、4、7〜10)
実施例1同様の手法を用いて、使用するスラリー、被覆無機酸化物、塗布厚みを変更して二次電池セル3、4、7〜10を製造した。これをそれぞれ実施例3、4、7〜10とする。
(実施例2及び5)
無機酸化物で被覆されたファイバーの質量に対して1%のスチレンブタジエンラテックスをスラリー1及び2に加えて10%にした後、エバポレーターを用いて5%に調整した以外は同様に、実施例1の手法と同様にしてそれぞれ二次電池セル2,5を製造した。これを実施例2及び5とする。
(実施例6)
無機酸化物で被覆されたファイバーの質量に対して5%のポリテトラフルオロエチレンをスラリー2に加えて10%にした後、エバポレーターを用いて5%に調整した以外は同様に、実施例1の手法と同様にして二次電池セル6を製造した。これを実施例6とする。
(比較例1)
スラリー1中のファイバーの質量に対して1%のスチレンブタジエンラテックスをスラリー1に加えて10%にした後、エバポレーターを用いて5%に調整した。このスラリーを用いて負極上の両面に乾燥後の厚みが各片面10μmになるようにダイコータ法にて塗布した後に、130℃で温風乾燥し、多孔質膜を形成し、負極の二次電池用電極を得た。続いて、正極及び該負極の上記塗布がされていない部位に電流端子(タブ)を超音波溶接した後に、正極を該負極上に重ね、巻回機にて巻回してから円筒缶に入れた。次に、この円筒缶を120℃で減圧乾燥後、酸素濃度10ppm以下、露点−60℃以下の乾燥空気で満たされたドライブース内で、円筒缶にエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)が体積比率3:7の混合溶媒にLiPFが1mol/Lの濃度で溶解された電解液を注入した後、封口して二次電池セルを製造した。これを比較例1とする。
(比較例2)
平均繊維径が200nmであり、ファイバー長100μmのアルミナ短ファイバーを用意し、ジェット式ミルで粉砕処理を行ってファイバー長が4μmになるように切断した。このファイバー状フィラーを1900g、スチレンブタジエンラテックス1250gを適量の純水に混合し、メディアレス分散機クレアミックス(エムテクニック(株)製品名)にて、12000rpmにて、5分の条件で分散処理を行い、多孔層形成用スラリーを得た。このスラリーを用いて実施例1と同様に負極表面上に多孔質絶縁層を形成した。この負極を用いて実施例1と同様にして二次電池セルを製造した。これを比較例2とする。
(比較例3)
スラリー3中のファイバーの質量に対して1%のスチレンブタジエンラテックスをスラリー中に加えた。スラリー1に変えて該スラリー3を用いた以外は、比較例1と同様の手法を用いて二次電池セルを製造した。これを比較例3とする。
[特性評価]
(耐熱性の評価)
得られた各二次電池を、0.2Cの定電流で4.2Vになるまで、引き続き4.2Vの定電圧で充電を行った。定電流充電開始から、定電圧終了までの総時間は7時間とした。充電後の各二次電池について、4.2Vから3.0Vになるまで、0.2Cで放電させて初期化を行った。
上記の条件での初期化後の各二次電池について、0.5Cの定電流で4.2Vになるまで、引き続き4.2Vの定電圧で充電を行った。定電流充電開始から、定電圧充電終了までの総時間は3時間とした。この充電された状態の各二次電池について、150℃の環境下で2時間保持する高温保持試験を行い、その後、短絡の有無を調べた。短絡が無い場合、耐熱性が高いことになる。
(可塑性の評価)
得られた二次電池セルを20Gで、50Hzのパルス幅の振動を10時間加える振動試験を行った。振動試験前の放電容量に対する振動試験後の放電容量の比を百分率値として表した値を放電容量比として以下のランクで評価した。なお、この放電容量比は高いほど可塑性が高いことになる。
◎:95%以上の容量を保持
○:90%以上、95%未満の容量を保持
△:80%以上、90%未満の容量を保持
×:80%未満の容量を保持
評価結果を表1に示す。
Figure 2012059486
表1から本発明の二次電池は、極めて高い耐熱性及び可撓性が両立して示すことがわかった。

Claims (4)

  1. 正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、非水系電解液組成物とを有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質層または前記負極活物質層のうち少なくともいずれか1層の表面上に、無機酸化物によって被覆され、かつ樹脂から構成されるファイバーを含有する多孔質絶縁層が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記ファイバーの平均繊維径が4nm以下、300nm以上であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記多孔質絶縁層が樹脂バインダーを含有することを特徴とする請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、非水系電解液組成物とを有するリチウムイオン二次電池における前記正極活物質層または前記負極活物質層のうち少なくともいずれか1層の表面上に有するリチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層において、無機酸化物によって被覆され、かつ樹脂から構成されるファイバーを含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用多孔質絶縁層。
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