JP2012057171A - ビニルラクタム重合体及びその製造方法 - Google Patents

ビニルラクタム重合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄の際、高い洗浄移行防止効果を発揮し、特に、洗濯用洗剤に広く用いられているが、従来は染料移行防止効果を発揮することが困難であったアニオン性界面活性剤存在下においても、優れた染料移行防止効果を発揮することかできるビニルラクタム単位を有する重合体を提供する。
【解決手段】K値28以下のビニルラクタムホモポリマーであって、該ビニルラクタムホモポリマーは、亜硫酸塩を含有し、重合体中の硫黄含有量が0.1〜2.0質量%であり、アンモニア含有量が0.3質量%以下であるビニルラクタムホモポリマー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ビニルラクタム重合体及びその製造方法に関する。
ポリビニルピロリドンやポリビニルカプロラクタム等のビニルラクタム単位を有する重合体は、そのN−ビニル環状ラクタム構造に起因して、種々の特性を有することが知られており、有用な工業製品として注目されている。例えば、ポリビニルピロリドンは、洗濯用洗剤組成物に用いられている。このような重合体は、着色された織物から洗濯液中に溶け出した染料と錯化合物を形成し、染料を分散することにより他の織物への染色を防止する効果(染料移行防止効果)を発揮することになる。このように、ビニルラクタム単位を有する重合体(以下、ビニルラクタム重合体ともいう。)は、染料移行防止剤として欠くことのできないものとなっている。
ところで、洗剤中の洗浄成分としては、通常、界面活性剤が用いられているが、中でも洗濯用洗剤においては、アニオン性界面活性剤が広く用いられている。この場合、ビニルラクタム重合体と界面活性剤とが相互作用することから、染料移行防止剤の作用がこれによって弱められないようにすることが求められる。特に、アニオン性界面活性剤の場合、相互作用によってビニルラクタム重合体と界面活性剤とが凝集し、染料移行防止剤としての作用が阻害されてしまうという不具合が生じていた。従って、このような場合においても、ビニルラクタム単位を有する重合体の染料移行防止能が効果的に発揮することができるようにすることが求められている。
従来のビニルラクタム単位を有する重合体を含有する染料移行防止剤としては、ポリビニルピロリドンや、1−ビニルピロリドン及び1−ビニルイミダゾールから形成された共重合体を含有する洗剤のための色移り防止剤が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。これらのものは、特に、洗濯用洗剤に広く用いられているアニオン性界面活性剤含有下においては、染料移行防止効果が発揮されるようにするための工夫の余地があった。
これに対して、アニオン性界面活性剤存在下において、染料移行防止効果を発揮することができる洗浄剤としては、1−ビニルピロリドンと1−ビニルイミダゾールとカチオン性モノマーからなる共重合体を含有する洗剤添加剤が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、第四級窒素とカルボキシル塩とを含む水溶性ポリ(ビニルピリジンベタイン)又はこれらのコポリマーを染料移行抑制量含有する界面活性剤を少なくとも1重量%含むことを特徴とする洗濯用洗剤組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。更に、第四級窒素及びスルホネート及び/又はカルボキシレート官能性から選択されるアニオン性部分を含む水溶性ポリビニルピリジニウム誘導体を含む洗濯用洗剤組成物も開示されている(例えば、特許文献5参照。)。これらの洗濯用洗剤組成物は、特に、高濃度のアニオン性界面活性剤存在下においては、染料移行防止効果を発揮するためには未だ工夫の余地があった。
なお、水性媒体中で、開示剤としてHを用いるラジカル溶液重合により、N−ビニルピロリドンの低分子量ホモポリマーの高濃度水溶液を製造する方法において、N−ビニルピロリドンに対して0.1〜30重量%のC〜C6−アルカノール、ヒドロキシルアミン塩及び硫黄を結合形で含有する水溶性化合物から選択された重合調節剤の存在下に重合調節剤の存在下に重合することを特徴とする、N−ビニルピロリドンの低分子量ポリマーの高濃度水溶液を製造する方法が開示されており、実施例には、開示剤としてHを用い、重合調節剤としてメルカプトエタノールをN−ビニルピロリドンに対して4.3重量%用いて重合させてN−ビニルピロリドンの低分子量ポリマーの高濃度水溶液を製造する方法が記載されている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、この製造方法により製造された低分子ポリマーは、染料移行防止効果を向上させることに着目して構成されたものではない。従って、洗浄の際に、アニオン性界面活性剤存在下において、充分な染料移行防止効果を発揮することができるようにするための工夫の余地があった。
加国特許第994635号明細書(第19頁) 特許第3272362号明細書(第1頁) 特許第3272359号明細書(第1−2頁) 特開2001−517730号公報(第2、8−12頁) 特開2002−20421号公報(第1−2頁) 特開平11−71414号公報(第1頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、洗浄の際に、界面活性剤存在下において、染料移行防止効果を発揮し、特に、アニオン性界面活性剤存在下において、優れた染料移行防止効果を発揮することができる染料移行防止剤を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、洗浄の際に、アニオン性界面活性剤存在下において、染料移行防止効果を発揮することができる染料移行防止剤について種々検討したところ、ビニルラクタム単位を有する重合体を90質量%以上有するK値28以下の重合体を必須成分とすることにより、洗浄液中の染料を分散させる能力を向上させ、その結果、染料移行防止効果を向上させることができることに着目した。そして、酸基を有する連鎖移動剤を必須成分とすることにより、特に、酸基を有する連鎖移動剤をビニルラクタム単位を有する重合体の末端に結合させることにより、染料に対する作用効果を向上させることができ、特に、アニオン性界面活性剤存在下においても、染料移行防止剤に要求される性能を充分に発揮することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到したものである。ビニルラクタム単位を有する重合体は、アニオン性界面活性剤との相互作用により性能が低下することになるが、本発明においては、酸基を有する連鎖移動剤の作用によって、ビニルラクタム重合体がアニオン性界面活性剤存在下で性能が低下することを防ぐとともに、染料との相互作用を強め、染料を分散させて染料移行防止効果を発揮することになると考えられる。
すなわち本発明は、ビニルラクタム単位を90質量%以上有するK値28以下の重合体を含有する染料移行防止剤であって、上記染料移行防止剤は、酸基を有する連鎖移動剤を含む染料移行防止剤である。
本発明はまた、上記染料移行防止剤を含有してなる洗濯用洗剤組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の染料移行防止剤が含有する重合体は、ビニルラクタム単位を必須とするものである。これにより、洗浄の際に、溶解した染料を錯化する性質が付与され、染料移行防止効果を発揮することができる。
上記ビニルラクタム単位を有する重合体(以下、ビニルラクタム系重合体ともいう)としては、例えば、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタム等の単量体を単独重合させて得られるホモポリマー(単独重合体)又はこれらの単量体を必須とし必要に応じてその他の単量体を共重合して得られるコポリマー(共重合体)等が好適である。なお、上記ビニルラクタム単位を有する重合体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記単独重合体としては、例えば、ポリビニルピロリドンやポリビニルカプロラクタムであることが好ましく、特にポリビニルピロリドンであることが好ましい。
上記共重合体において、例えば、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタム等と共重合させる単量体成分としては、ビニルラクタム単位を有することとなる単量体成分と共重合可能なものであれば、特に限定されず、例えば、(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(2)(メタ)アクリル酸アミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−イソプロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;(3)(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体及びその四級化物;(4)ビニルピリジン−N−オキシド等のアミン−N−オキシド基含有不飽和単量体;(5)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;(6)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;(7)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;(8)プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;(9)2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;(10)ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;(11)スチレン及びその誘導体;(12)ビニルスルホン酸及びその誘導体;(13)エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(14)エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類;等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの単量体のうち、共重合性の点から(1)〜(9)がより好ましく、染料との相互作用の強さから(3)及び(4)がさらに好ましく、中でも2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール及びその四級化物、及び、ビニルピリジン−N−オキシドが最も好ましい。
上記ビニルラクタム系重合体を製造するために用いる重合開始剤については、特に限定はなく、2,2’−アゾイソブチルニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤;t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素;等を用いることができる。また、必要に応じて亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を上記開始剤(例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドや過硫酸カリウム等)と組み合わせて使用することもできる。この場合は、還元剤として用いられる亜硫酸塩等は、酸基を有する連鎖移動剤としても作用させることが可能である。
上記重合開始剤は、有機過酸化物と亜硫酸塩、又は、過硫酸塩と亜硫酸塩の組み合わせを用いることが好ましい。これにより、得られたビニルラクタム系重合体は、界面活性剤存在下において優れた染料移行防止効果を発揮し、また、洗浄中において、染色布の色落ちを効果的に防止することができる。
本発明におけるビニルラクタム重合体は、K値28以下である。好ましくは、25以下であり、より好ましくは22以下であり、更に好ましくは18以下である。このような重合体を含有する染料移行防止剤を用いると、洗浄の際に、染料移行防止効果を発揮することができ、特に、アニオン性界面活性剤存在下においても、優れた染料移行防止効果を発揮することが可能となる。K値28を超えると、アニオン性界面活性剤存在下において、優れた染料移行防止効果を発揮することができないおそれがある。また、K値の下限としては、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。K値が10未満であると、ビニルラクタム重合体と染料の相互作用が弱くなり、優れた染料移行防止効果を発揮することができないおそれがある。
なお、K値は、重合体の分子量を示す指標となるものであり、例えば、以下のように求めることができる。
<K値の求め方>
重合体を水に1質量%の濃度で溶解させ、その溶液の粘度を25℃において毛細管粘度計によって測定し、この測定値を用いて次のフィケンチャー式;
(logηrel)/C=〔(75Ko)/(1+1.5KoC)〕+Ko
K=1000Ko
(但し、Cは、溶液100ml中の重合体のg数を表す。ηrelは、溶媒に対する溶液の粘度を表す。)から計算した。なお、得られる数値が高いほど、分子量が高いことを示す。
上記重合体が含有するビニルラクタム単位としては、重合体を構成する全単量体成分100質量%中、90質量%以上であることが適当である。これにより、染料を分散させる能力の高いビニルラクタム単位を有する重合体の作用効果を充分に発揮することができ、高い染料移行防止効果を発揮することができる。90質量%未満であると、染料移行防止効果が充分に発揮されず、用途上特にその有用性を更に高めることができないおそれがある。より好ましくは、95質量%以上であり、特に好ましくは、97質量%以上であり、更に好ましくは、99質量%以上であり、最も好ましくは、100質量%である。
本発明の染料移行防止剤は、酸基を有する連鎖移動剤を含むものである。ここで、連鎖移動剤は、重合がラジカル重合により進行する場合、成長ラジカル(高分子)からの連鎖移動反応を促進し、重合度を低下させる効果を有する。また、上記酸基を有する連鎖移動剤は、酸基を分子中に少なくとも1つ有するものであればよく、上記酸基を有する連鎖移動剤としては、(1)メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸等のカルボキシル基を有するメルカプト化合物及びその塩;(2)メルカプト−1−プロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するメルカプト化合物及びその塩;(3)亜硫酸、チオ硫酸、次亜リン酸等の還元性を有する無機酸及びその塩;(4)アスコルビン酸、ギ酸、シュウ酸等の還元性を有する有機酸及びその塩;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これら連鎖移動剤のうち、(1)〜(3)のうち、1種又は2種以上を用いることが好ましい。より好ましくは、3−メルカプトプロピオン酸塩及び亜硫酸塩であり、更に好ましくは亜硫酸塩である。
上記酸基を有する連鎖移動剤を含む染料移行防止剤は、メルカプト酢酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル等のエステル基をもつメルカプト基をもつメルカプト化合物等を重合に使用した後、加水分解することにより得ることもできる。
本発明の染料移行防止剤は、上記酸基を有する連鎖移動剤を含むことにより、洗浄の際に、高い染料移行防止効果を発揮することができ、特に、アニオン性界面活性剤存在下においても、染料移行防止効果を発揮することができる。
本発明において、染料移行防止剤が酸基を有する連鎖移動剤を含む形態としては、(1)ビニルラクタム系重合体を形成する重合において、連鎖移動剤を存在させることによって、染料移行防止剤が連鎖移動剤を含むことになる形態、(2)ビニルラクタム系重合体を形成する重合体に対して添加することによって、染料移行防止剤が連鎖移動剤を含むことになる形態、(3)(1)及び(2)を組み合わせることによって、染料移行防止剤が連鎖移動剤を含む形態が挙げられる。本発明においては、特に、(1)ビニルラクタム系重合体を形成する重合において、連鎖移動剤を存在させることによって、染料移行防止剤が連鎖移動剤を含むことになる形態とすることが好ましい。これにより、重合体の末端に酸基を結合させることができ、石鹸、粉末洗剤等において、広く用いられているアニオン性界面活性剤存在下において、重合体がアニオン性界面活性剤との相互作用により凝集し失活するのを防ぐとともに重合体と染料との相互作用を高めて、染料移行防止効果を発揮することとなる。
上記連鎖移動剤の含有量は、単量体に対して0.1〜15質量%が好適である。0.1質量%未満であると、重合体とアニオン性界面活性剤との凝集を充分抑制できないおそれがあり、15質量%を超えると、重合体と染料との相互作用を低減させてしまうおそれがある。より好ましくは、0.5〜10質量%であり、更に好ましくは、1〜8質量%である。
上記(1)重合において、連鎖移動剤を存在させることによって、染料移行防止剤が連鎖移動剤を含むことになる形態においては、連鎖移動剤の使用量は、重合において、単量体に対して0.1〜15質量%が好適である。0.1質量%未満であると、重合体とアニオン性界面活性剤との凝集を抑制できないおそれがあり、アニオン性界面活性剤存在下において、優れた染料移行防止効果を発揮することができないおそれがあり、15質量%を超えると、重合体と染料との相互作用を低減させてしまうおそれがある。より好ましくは、0.5〜10質量%であり、更に好ましくは、1〜8質量%である。
上記重合工程において、重合反応は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等の通常の重合方法によって行うことができる。中でも、溶液重合によることが好適である。
上記重合では、溶媒を使用してもよいが、溶媒としては、重合体が溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類等が挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。これらの中でも特に、水、アルコール類が好ましく、特に、水が好ましい。
本発明の染料移行防止剤としては、染料移行率が28%以下であることが好適であり、これにより、洗濯用洗剤に広く用いられているアニオン性界面活性剤存在下においても、優れた染料移行防止効果を発揮することが可能となる。染料移行率が28%より大きいと、染料移行防止効果が充分に発揮することができないおそれがある。より好ましくは、25%以下であり、更に好ましくは、23%以下である。
なお、ここで、染料移行率は、洗浄工程の際の染料移行防止効果を示す指標となるものであり、以下のように求めることができる。
<染料移行率の求め方>
(1)8cm×8cmの綿布(Testfabrics,Inc社 Style#423 Bleached,Mercerized Cotton Twill)のL、a、b値を色差計(日本電色社製 NR−3000)により測定する(L、a、bとする)。
(2)ターゴットメーターを25℃にセットし、塩化カルシウム2水和物4.8gをイオン交換水15kgに溶解させることにより作製した硬水800g、1質量%の直鎖アルキベンゼンスルホン酸Na水溶液30.8g、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液67.7g、ゼオライト1.23g、試料ポリマーの0.35質量%水溶液25.1g、0.1質量%染料(DirectBlue71)水溶液8.8gを、ポットに入れ、75rpmで1分間攪拌する。
(3)ついで綿布1枚を入れ、75rpmで30分間攪拌する。
(4)ピンセットで綿布を取りだし、3kgのイオン交換水で綿布をすすぎ、80℃の熱風乾燥機で30分間乾燥させる。
(5)得られた綿布のL、a、b値を色差計で測定する(L、a、bとする)。
(6)(1)と(5)において測定した綿布のL、a、b値から、JIS8730に準じて、以下の式でΔE値を算出する。
ΔE=〔(L−L+(a−a+(b−b1/2
(7)上記(1)〜(6)と同様にして、ポリマーを加えない空試験を実施し、ΔE値を測定する。
(8)以上のようにして得られるΔEから、次式;
染料移行率(%)=(ポリマー添加試験でのΔE値)/(空試験でのΔE値)*100
により、染料移行率を求める。なお、得られる数値が低いほど、染料移行防止効果が高いことを示す。
本発明の洗濯用洗剤組成物は、上述した染料移行防止剤を含有するものであるが、上記染料移行防止剤が有するN−ビニルラクタム構造が、アニオン性界面活性剤存在下において,洗浄の際に、繊維から水に溶け出した染料を錯化合物を形成することにより吸着、分散するため、他の繊維への染料移行を効果的に防止して高い洗浄力を発揮することができる。
上記洗濯用洗剤組成物の用途としては、例えば、粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤等が挙げられる。
上記洗濯用洗剤組成物中における本発明の染料移行防止剤の含有割合としては、洗濯用洗剤組成物の固形分100質量%中、0.01〜10質量%であることが好適であり、より好ましくは、0.05〜5質量%である。
上記洗濯用洗剤組成物の含有物としては、上記染料移行防止剤の他に、界面活性剤を含有することが好ましく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキル又はアルケニルリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。なお、これらのアニオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していてもよい。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。なお、これらのノニオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していてもよい。
上記カチオン系界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシル型又はスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
上記洗濯用洗剤組成物において、界面活性剤の含有割合としては、例えば、洗濯用洗剤組成物100質量%中、1〜70質量%であることが好適である。1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できないおそれがあり、60質量%を超えると、経済性に優れたものとすることができないおそれがある。より好ましくは15〜60質量%である。
上記洗濯用洗剤組成物としてはまた、洗剤ビルダーを含有するものであることが好適であり、この場合の洗剤ビルダーの含有割合としては、例えば、洗濯用洗剤組成物100質量%中、0.1〜60質量%であることが好適である。より好ましくは、本発明の洗濯用洗剤組成物が液状で供給される場合には1〜10質量%、粉末状で供給される場合には1〜50質量%とすることである。
上記洗剤ビルダーとしては特に限定されず、例えば、各種のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウムポリ酢酸塩、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリヒドロキシスルホン酸塩等の有機ビルダー;ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩等の無機ビルダー等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記有機ビルダーにおいて、ポリ酢酸塩又はポリカルボン酸塩としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、オキシニコハク酸、メリット酸、グリコール酸、ベンゼンポリカルボン酸、クエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩が挙げられる。
上記無機ビルダーとしては、炭酸、重炭酸、ケイ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はゼオライト等のアルミノケイ酸塩であることが特に好適である。
上記洗濯用洗剤組成物としては更に、蛍光増白剤、起泡剤、気泡抑制剤、腐食防止剤、防錆剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、pH調整剤、殺菌剤、キレート化剤、粘度調整剤、酵素、酵素安定剤、香料、繊維軟化剤、過酸化物、過酸化物安定剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、漂白剤、酵素、染料等の通常使用される添加剤や、溶媒等の1種又は2種以上を含有してもよく、その含有量は、求める性能等に応じて適宜設定すればよい。
本発明はまた、K値28以下のビニルラクタムホモポリマーであって、上記ビニルラクタムホモポリマーは、亜硫酸塩を含有し、重合体中の硫黄含有量が0.1〜2.0質量%であり、アンモニア含有量が0.3質量%以下であるビニルラクタムホモポリマーでもある。
本発明のビニルラクタムホモポリマーは、亜硫酸塩を用いて重合するものである。そのため、ビニルラクタムホモポリマーは、亜硫酸塩を含有する場合があり、亜硫酸塩由来の硫黄を含有することになる。本発明のビニルラクタムホモポリマー中の硫黄含有量は、0.1〜2.0質量%である。0.1質量%未満であると、重合体へのスルホン酸導入量が少ないことを意味し、染料移行防止効果が充分でなくなるおそれがあり、2.0質量%を超えると、スルホン酸導入量が多すぎ、ビニルラクタムホモポリマーの特徴が損なわれ、染料移行防止効果が低下するおそれがある。好ましくは、0.2〜1.5質量%である。より好ましくは、0.3〜1.0質量%である。
上記ビニルラクタムホモポリマーとしては、ポリビニルピロリドンであることが好ましい。
上記硫黄含有量は、以下の方法により測定する。
<硫黄含有量の測定方法>
重合により得られた重合体溶液を、透析膜(SPECTRUM LABORATORIES INC製 Spectra/Por Membrane MWCO:1000分画分子量1000)40cm(長さ)の中に20g入れ密閉し、これを2Lビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌する。12時間後、ビーカーの水を入れ替え、更に12時間攪拌する操作を2回繰り返す。その後、透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出す。この透析液中の硫黄量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法によって測定し、透析液の固形分から重合体中の硫黄量を定量する。重合体へスルホン酸基が導入されていることは、上記の透析液を乾燥させたものを赤外分光法(IR)で測定し、1040cm−1付近の吸収によっても確認できる。
上記亜硫酸塩としては、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの1種以上、又は、2種以上を用いてもよい。好ましくは、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムである。
上記亜硫酸塩として亜硫酸アンモニウムを用いる場合は、ビニルラクタムホモポリマーがアンモニアを含有することがある。この場合、重合後に蒸留やイオン交換処理等でアンモニアを低減することができる。
本発明のビニルラクタムホモポリマー中のアンモニア含有量は、0.3質量%以下である。0.3質量%を超えると、アンモニア臭気が生じるおそれがある。好ましくは、0.2質量%以下である。より好ましくは、0.1質量%以下、最も好ましくは、アンモニアを含有しないことである。
上記アンモニア含有量は、イオンクロマトグラフにより測定することができる。
上記ビニルラクタムホモポリマーのK値は、上述した範囲であることが好ましい。
上記ビニルラクタムホモポリマーを10%水溶液とした場合のpHは、4以上が好ましく、5以上が更に好ましく、6以上が最も好ましい。pHが4未満であると、残存した亜硫酸塩から亜硫酸ガスが発生し臭気の問題が生じるおそれがある。
本発明のビニルラクタムホモポリマーは、アンモニア臭気を低減することができるため、洗剤やヘアジェル等の化粧品に好適に使用することができる。
本発明のビニルラクタム重合体は、亜硫酸塩を用いて重合するものであり、重合体中に導入されたスルホン酸基によって、洗浄の際に、アニオン性界面活性剤との相互作用による性能低下を生じることなく、良好な染料移行防止効果を発揮することができる。またアンモニア含有量が低減できているため、染料移行防止剤として洗剤等に配合された場合も、アンモニアによる臭気の問題を防ぐことができる。
本発明はまた、K値28以下のビニルラクタム系重合体の製造方法であって、上記製造方法は、水系溶媒中でハイドロパーオキサイドと亜硫酸のアルカリ金属塩とを用い、pH5〜10で重合させる製造方法でもある。
上記ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−クミルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。好ましくは、t−ブチルハイドロパーオキサイドである。
上記ハイドロパーオキサイドの使用量は、単量体成分に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜2質量%である。
上記亜硫酸のアルカリ金属塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、1種又は2種を用いてもよい。亜硫酸のアルカリ金属塩は、水溶液として使用することが好ましい。
上記亜硫酸のアルカリ金属塩の使用量は、単量体成分に対して、0.01〜20質量%が好ましい。より好ましくは、0.1〜15質量%であり、0.5〜10質量%が最も好ましい。
本発明のビニルラクタム系重合体溶液の製造方法においては、重合液のpHを5〜10に制御して行うことが重要である。pHが5未満であると、N−ビニルピロリドンの分解が生じ、2−ピロリドンが多量に生成する傾向がある。pHが10を超えると、開始剤効率が悪くなり、残存N−ビニルピロリドン量が多くなり、分子量が増大することがある。なお、重合液のpH制御のために、亜硫酸塩のアルカリ金属塩として、例えば、水溶液でアルカリ性の亜硫酸ナトリウムと酸性の亜硫酸水素ナトリウムを組み合わせて用いたり、亜硫酸水素ナトリウムを水酸化ナトリウム等で中和して用いたりすることができる。6〜9がより好ましく、7〜9が更に好ましい。
上記ビニルラクタム系重合体のK値は、上述した範囲であることが好ましい。
上記ビニルラクタム系重合体は、上述したビニルラクタム系重合体の例示物質等が挙げられ、ポリビニルピロリドンであることが好ましい。また、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタム等の単量体を必須とし、必要に応じてその他の単量体を共重合して得られるコポリマー等である場合は、その他の単量体は、全単量体に対して70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、50質量%以下、最も好ましくは30質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。
上記水系溶媒としては、水を単独で用いることが好ましいが、水のほかに、適宜有機溶媒を含有させることもできる。水と含有させることのできる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;グリコールエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテル類;2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;等が挙げられる。これら有機溶媒は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。なお、これら有機溶媒をも含有させる場合には、これら有機溶媒の含有量が溶媒中の30質量%以下となるようにすることが好ましい。
本発明の製造方法により製造したビニルラクタム系重合体は、アンモニア等の臭気成分を含有しないものとすることができる。また、ハイドロパーオキサイドと亜硫酸のアルカリ金属塩とを用いることにより、高い重合速度が得られる。また、本発明の製造方法により製造したビニルラクタム系重合体は、重合体中に導入されたスルホン酸基によって、洗浄の際に、アニオン性界面活性剤との相互作用による性能低下を生じることなく、良好な染料移行防止効果を発揮することができる。またアンモニア等の臭気成分を含有しないため、染料移行防止剤として洗剤等に配合された場合にも、アンモニア等による臭気の問題を防ぐことができる。
本発明の製造方法により製造したビニラクタム系重合体の用途としては、染料移行防止剤、各種無機物や有機物の分散剤、凝集剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋性組成物等が挙げられ、より具体的には、泥土分散剤、セメント材料分散剤、セメント材料用増粘剤、洗剤用ビルダー、重金属補足剤、金属表面処理剤、染色助剤、染料定着剤、泡安定剤、乳化安定剤、インク染料分散剤、水性インク安定剤、塗料用顔料分散剤、塗料用シックナー、感圧接着剤、紙用接着剤、スティク糊、医療用接着剤、貼付剤用粘着剤、化粧パック用粘着剤、樹脂用フィラー分散剤、記録紙用コーティング剤、インクジェット紙用表面処理剤、感光性樹脂用分散剤、帯電防止剤、保湿剤、吸水性樹脂用原料、肥料用バインダー、高分子架橋剤、樹脂相溶化剤、写真薬添加剤、化粧用調剤添加剤、整髪料助剤、ヘアスプレー添加剤、サンスクリーン組成物添加剤等が挙げられる。これらの中でも特に、染料移行防止剤が好ましい。
本発明は更に、ビニルラクタム系重合体の製造方法であって、上記製造方法は、過硫酸塩、亜硫酸塩及び重金属化合物を用いて重合する工程を含むビニルラクタム系重合体の製造方法でもある。
以下に詳述する。
本発明のビニルラクタム系重合体の製造方法は、N−ビニルピロリドンを必須とする単量体成分の水系溶媒溶液に、レドックス系重合開始剤として過硫酸塩、亜硫酸塩及び重金属化合物とを添加して重合反応させるものであることが好ましい。
上記亜硫酸塩、過硫酸塩及び重金属化合物は、本発明の製造方法における重合の開始剤として用いられることが好ましい。
上記亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。好ましくは、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムである。
上記過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。好ましくは、過硫酸アンモニウムである。
上記重金属化合物としては、例えば、硫酸銅(II)、硫酸鉄(II)、塩化銅(II)、硫酸鉄(III)・n水和物、酢酸銅(II)、塩化鉄(III)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記水系溶媒としては、水を単独で用いることが好ましいが、水のほかに、適宜有機溶媒を含有させることもできる。水と含有させることのできる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;グリコールエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテル類;2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;等が挙げられる。これら有機溶媒は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。なお、これら有機溶媒をも含有させる場合には、これら有機溶媒の含有量が溶媒中の30質量%以下となるようにすることが好ましい。
本発明においては、単量体成分、過硫酸塩、亜硫酸塩は逐次添加することが好ましい。
具体的には、逐次添加とは、連続的な添加(例えば、一定時間をかけて滴下する態様)であってもよいし、断続的な添加(例えば、各原料(単量体成分、過硫酸塩、亜硫酸塩及び重金属化合物)を複数回に分けて投入する態様)であってもよいし、両者を組み合わせた添加であってもよい。なお、単量体成分、過硫酸塩、亜硫酸塩は、各々別々に逐次添加することが望ましい。
重金属化合物は、重合開始前に重合容器に加えていてもよいし、水溶液として逐次添加してもよい。また、単量体に混合して逐次添加することもできる。
上記重金属化合物の使用量は、単量体成分に対して、重金属イオンとして10〜1000ppbであることが好ましい。重金属イオンが10ppb未満であると、短時間に重合することができない、重合体中の不純物の含有量を充分に低減することができない等のおそれがあり、1000ppbを超えると、本発明の製造方法により得られたビニルラクタム系重合体が着色するおそれがある。より好ましくは、50〜700ppbであり、更に好ましくは、100〜500ppbである。
上記過硫酸塩の使用量は、単量体成分に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、単量体成分を充分に低減することができないおそれがあり、5質量%を超えると、残存した過硫酸塩により貯蔵時の不安定化が生じることがある。より好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記亜硫酸塩の使用量は、単量体成分に対して、0.1〜15質量%が好ましい。0.1質%未満であると、残存単量体を充分に低減することができないおそれがあり、15質量%を超えると、有機溶媒等を用いる用途を使用した場合に濁りが生じるおそれがある。より好ましくは、0.1〜10質量%であり、更に好ましくは、0.5〜8質量%である。
本発明のビニルラクタム系重合体溶液の製造方法においては、重合液のpHを5〜11に制御して行うことが重要である。pHが5未満であると、N−ビニルピロリドンの分解が生じ、2−ピロリドンが多量に生成する傾向である。pHが11を超えると、開始剤効率が悪くなり、残存N−ビニルピロリドン量が多くなり、分子量が増大することがある。6〜10がより好ましく、7〜9が更に好ましい。なお、重合液のpH制御のために、亜硫酸塩のアルカリ金属塩として、例えば、水溶液でアルカリ性の亜硫酸ナトリウムと酸性の亜硫酸水素ナトリウムを組み合わせて用いたり、亜硫酸水素ナトリウムを水酸化ナトリウム等で中和して用いたりすることができる。
上記亜硫酸塩と過硫酸塩のモル比は、亜硫酸塩を1とすると、過硫酸塩を0.01〜2とすることが好ましい。2よりも過硫酸塩の割合が大きくなると、着色のおそれがあり、0.01より過硫酸塩の割合が小さくなると、残存単量体を充分低減することができないおそれがある。より好ましくは、0.05〜.1.5である。更に好ましくは、0.1〜1である。
本発明のビニルラクタム系重合体の製造方法においては、アンモニアを用いることが好ましい。
上記アンモニアの使用量は、単量体成分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、残存する単量体(N−ビニルピロリドン)を充分に低減することができないおそれがあり、5質量%を超えると、後述する蒸留やイオン交換等の後処理でもアンモニアを充分に低減することができないおそれがある。より好ましくは、0.03〜1質量%であり、更に好ましくは、0.05〜0.3質量%である。アンモニアは、上記過硫酸塩、亜硫酸塩、及び、重金属化合物のアンモニウム塩の形で使用されることが好ましい。また、上記範囲内でアンモニアを多く使用した場合に、重合後に蒸留やイオン交換処理等を行い、アンモニアを低減することができる。
上記ビニルラクタム系重合体は、上述したビニルラクタム系重合体の例示物質等が挙げられ、例えば、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタム等の単量体を必須とし、必要に応じてその他の単量体を共重合して得られるコポリマー等である場合は、その他の単量体は、全単量体に対して70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、50質量%以下、最も好ましくは30質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。
上記ビニルラクタム系重合体のK値は、上述した範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法によりビニルラクタム系重合体を製造すると、不純物の含有量を低減し、安全性が高く、透明性の高いビニルラクタム系重合体溶液を従来の重合開始剤を用いて製造するよりも重合時間を短縮して、製造することができる。本発明の製造方法により得られたビニルラクタム系重合体は、ヘアジェル等の化粧品や染料移行防止剤として好適に用いることができる。本発明の製造方法により製造したビニルラクタム系重合体は、重合体中に導入されたスルホン酸基によって、洗浄の際に、アニオン性界面活性剤との相互作用による性能低下を生じることなく、良好な染料移行防止効果を発揮することができる。また、本発明の製造方法により製造したビニルラクタム系重合体を染料移行防止剤として用いた場合は、例えば、他の染料移行防止効果のあるポリマーを染料移行防止剤として用いた場合よりも、染色布の色落ち率を減少させることができる。
上記色落ち率は、以下の方法により求めることができる。
<染色布の色落ち率測定方法>
(1)4cm×4cmの染色綿布(Testfabrics,Inc 社 Style♯ STC EMPA133 Cotton dyed with Direct Blue71)3枚のL、a、b値の色差計(日本電色社製 NR−3000)により測定する(L、a、bとする)。
(2)ターゴットメーターを40℃にセットし、塩化カルシウム2水和物5.25gをイオン交換水15kgに溶解させることにより作製した硬水756g、1質量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na水溶液63.0g、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液138.6g、ゼオライト2.52g、試料ポリマーの0.35質量%水溶液9.15gをポットに入れ、75rpmで1分間攪拌する。
(3)ついで染色綿布3枚を入れ、75epmで30分間攪拌する。
(4)ピンセットで3枚の染色綿布を取りだし、3kgのイオン交換水で綿布をすすぎ、80℃の熱風乾燥機で30分間乾燥させる。
(5)得られた染色綿布のL、a、b値を色差計で測定する(L、a、bとする)。
(6)(1)と(5)において測定した3枚の染色綿布のL、a、b値からJIS8730に準じて、以下の式でΔE値を算出し、3枚の平均値を求める。
ΔE=[(L−L+(a−a+(b−b1/2
(7)上記(1)〜(6)と同様にして、ポリマーを加えない空試験を実施し、ΔEの平均値を測定する。
(8)以上のようにして得られるΔEから、次式;
色落ち率(%)=(ポリマー添加試験でのΔE平均値−空試験でのΔ平均値)/(空試験でのΔE平均値)×100
により、色落ち率を求める。なお、得られる数値が低いほど、色落ちの程度が小さいことを示す。
本発明はまた、K値28以下のビニルラクタム系共重合体であって、上記ビニルラクタム系共重合体は、亜硫酸塩を含有し、重合体中の硫黄含有量が0.1〜2.0質量%であるビニルラクタム系共重合体でもある。
本発明のビニルラクタム系共重合体は、亜硫酸塩を用いて重合するものである。そのため、ビニルラクタム系重合体は、亜硫酸塩を含有する場合があり、亜硫酸塩由来の硫黄を含有することになる。本発明のビニルラクタム系共重合体中の硫黄含有量は、0.1〜2.0質量%である。0.1質量%未満であると、重合体へのスルホン酸導入量が少ないことを意味し、染料移行防止効果が充分でなくなるおそれがあり、2.0質量%を超えると、スルホン酸導入量が多すぎ、ビニルラクタム系共重合体の特徴が損なわれ、染料移行防止効果が低下するおそれがある。好ましくは、0.2〜1.5質量%である。より好ましくは、0.3〜1.0質量%である。
上記ビニルラクタム系共重合体を成すビニルラクタム単量体としては、N−ビニルピロリドンが好ましく、共重合させるその他の単量体としては、例えば、(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(2)(メタ)アクリル酸アミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−イソプロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;(3)(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体及びその四級化物;(4)ビニルピリジン−N−オキシド等のアミン−N−オキシド等のアミン−N−オキシド基含有不飽和単量体;(5)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;(6)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;(7)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;(8)プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;(9)2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;(10)ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;(11)スチレン及びその誘導体;(12)ビニルスルホン酸及びその誘導体;(13)エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(14)エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類;等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの単量体のうち、共重合性の点から(1)〜(9)がより好ましく、染料との相互作用の強さから(3)及び(4)がさらに好ましく、中でも2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール及びその四級化物、及び、ビニルピリジン−N−オキシドが最も好ましい。その他の単量体は、全単量体に対して70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、60質量%以下、最も好ましくは50質量%以下であり、下限としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
上記硫黄含有量は、上述した方法で測定することができる。
上記亜硫酸塩としては、上述した亜硫酸塩等が挙げられる。
本発明におけるビニルラクタム系共重合体は、K値28以下である。好ましくは、25以下であり、より好ましくは22以下であり、更に好ましくは18以下である。このような重合体を含有する染料移行防止剤を用いると、洗浄の際に、染料移行防止効果を発揮することができ、特に、アニオン性界面活性剤存在下においても、優れた染料移行防止効果を発揮することが可能となる。K値28を超えると、アニオン性界面活性剤存在下において、優れた染料移行防止効果を発揮することができないおそれがある。また、K値の下限としては、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。K値が10未満であると、ビニルラクタム系共重合体と染料の相互作用が弱くなり、優れた染料移行防止効果を発揮することができないおそれがある。
上記ビニルラクタム系共重合体を30%水溶液とした際の、JIS−K3331に準じたハーゼン色数(APHA)は、180以下が好ましく、150以下が更に好ましく、120以下が最も好ましい。30%水溶液のハーゼン色数が上記範囲を超えると、洗剤に配合した際に着色のおそれがある。
本発明の染料移行防止剤は、上述の構成よりなり、洗浄の際に、界面活性剤存在下において、染料移行防止効果を発揮し、特にアニオン性界面活性剤の存在下においても、優れた染料移行防止効果を発揮することができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水148.4部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を90℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン60部、3−メルカプトプロピオン酸1.6部、1Nの水酸化ナトリウム16.0部、イオン交換水44部からなるモノマー溶液と2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩(和光純薬社製「V50」)1.2部をイオン交換水28.8部に溶解させた開始剤溶液をそれぞれ連続的に2時間かけて滴下した。更に、加熱攪拌を3時間続ける間に、0.24部のV50をイオン交換水5.76部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値、染料移行率及び色落ち率を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水78.7部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を98℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン90部、メルカプト−1−プロパンスルホン酸4.5部、1Nの水酸化ナトリウム0.8部及びイオン交換水90部からなるモノマー溶液とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製「V601」)1.8部を2−プロパノール34.2部に溶解させた開始剤溶液をそれぞれ連続的に2時間かけて滴下した。更に、加熱攪拌を3時間続ける間に、0.36部のV601を2−プロパノール6.84部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値及び染料移行率を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水78部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を98℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン46.8部、30%次亜リン酸5.46部、25%アンモニア水溶液2.11部及びイオン交換水1.2部からなるモノマー溶液と4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸(日宝化学社製NC−25)0.94部、トリエタノールアミン0.98部をイオン交換水22.6部に溶解させた開始剤溶液をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に、加熱攪拌を1時間続ける間に、0.06部のNC−25、0.06部のエタノールアミンをイオン交換水1部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値及び染料移行率を測定した。結果を表1に示す。
実施例4
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水225部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン90部からなるモノマー、t−ブチルヒドロパーオキシド(化薬アクゾ社製「カヤブチル−H70」)1.3部とイオン交換水43.7部からなる開始剤溶液及び15%亜硫酸アンモニウム水溶液30部をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に、加熱攪拌を1.5時間続ける間に、0.26部のカヤブチル−H70とイオン交換水8.7部からなる開始剤溶液及び10%亜硫酸アンモニウム水溶液9.0部をそれぞれ2回に分けて投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値、染料移行率及び色落ち率を測定した。また、臭気、アンモニア含有量及び硫黄含有量についても測定した。結果を表1〜3に示す。
実施例5
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水149.4部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を90℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン60部、3−メルカプトプロピオン酸0.6部、1N水酸化ナトリウム5.9部、イオン交換水54部からなるモノマー溶液と2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩(和光純薬社製「V50」)1.2部をイオン交換水28.8部に溶解させた開始剤溶液をそれぞれ連続的に2時間かけて滴下した。更に、加熱攪拌を3時間続ける間に、0.24部のV50をイオン交換水5.76部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値及び染料移行率を測定した。結果を表1に示す。
実施例6
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水120部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン90部と0.016質量%硫酸銅(II)水溶液0.28部からなるモノマー溶液、2質量%過硫酸アンモニウム水溶液36部、亜硫酸ナトリウム1.8部と亜硫酸水素ナトリウム1.8部を水32.4部に溶解させた水溶液をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に2質量%過硫酸アンモニウム水溶液9部、亜硫酸ナトリウム0.45部と亜硫酸水素ナトリウム0.45部を水8.1部に溶解させた水溶液をそれぞれ1時間滴下した。更に30分間加熱攪拌を行い、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値、染料移行率及び色落ち率を測定した。また、臭気、アンモニア含有量及び硫黄含有量についても測定した。
結果を表1〜4に示す。
実施例7
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水777部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン630部、2質量%t−ブチルハイドロパーオキサイド溶液(日本油脂社製「パーブチルH−69」を水に溶解させて調製)236部、亜硫酸ナトリウム7.9部と亜硫酸水素ナトリウム23.6部とをイオン交換水283.5部に溶解させた水溶液をそれぞれ連続的に3時間かけて滴下した。更に2質量%のt−ブチルハイドロパーオキサイド79部、及び、亜硫酸ナトリウム1.6部と亜硫酸水素ナトリウム4.7部とをイオン交換水56.7部に溶解させた水溶液をそれぞれ1時間滴下した。更に30分間加熱攪拌を行い無色透明のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液についてK値、染料移行率を測定した。また、臭気、アンモニア含有量及び硫黄含有量についても測定した。
結果を表1及び3に示す。
実施例8
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水111部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン90部、2質量%t−ブチルハイドロパーオキサイド溶液(日本油脂社製「パーブチルH−69」を水に溶解させて調製)22.5部、亜硫酸ナトリウム2.25部と亜硫酸水素ナトリウム2.25部とをイオン交換水40.5部に溶解させた水溶液をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に2質量%のt−ブチルハイドロパーオキサイド22.5部、及び亜硫酸ナトリウム0.45部と亜硫酸水素ナトリウム0.45部とをイオン交換水8.1部に溶解させた水溶液をそれぞれ1時間滴下した。更に30分間加熱攪拌を行い無色透明のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液についてK値、染料移行率を測定した。また、臭気、アンモニア含有量及び硫黄含有量についても測定した。
結果を表1及び3に示す。
実施例9
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、水99部、0.025質量%硫酸鉄(III)水溶液1.15部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン200部からなるモノマー液、6質量%過硫酸アンモニウム水溶液40部、亜硫酸ナトリウム4.2部と亜硫酸水素ナトリウム2.2部を水33.6部に溶解させた水溶液をそれぞれ連続的に3時間かけて滴下した。更に6質量%過硫酸アンモニウム水溶液10部、亜硫酸ナトリウム1.0部と亜硫酸水素ナトリウム0.56部を水8.4部に溶解させた水溶液をそれぞれ1時間滴下した。引き続き30分間加熱攪拌を行い、ポリマー溶液を得た。
結果を表1及び4に示す。
実施例10
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水143.1部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン63部、N−ビニルイミダゾール27部からなるモノマー溶液1と2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシド21部、及び10%亜硫酸アンモニウム水溶液52部をそれぞれ連続的に2時間かけて滴下した。更に2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシド10.5部、及び10%亜硫酸アンモニウム水溶液10.4部をそれぞ連続的に1時間かけて滴下した。引き続き30分間加熱攪拌を行い、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液についてK値、染料付着率、硫黄含有量を測定した。
結果を表5に示す。
参考例1
過硫酸アンモニウムの代わりに過硫酸ナトリウムを用いた以外は、実施例6と同様にして重合を行い、ポリマー溶液を得た。
結果を表1及び4に示す。
比較例1
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、N−ビニルピロリドン90部、イオン交換水206部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。室温下で攪拌しながら、0.1%硫酸銅水溶液0.045部、25%アンモニア水溶液0.5部、30%過酸化水素水溶液2.1部を加え、重合を開始した。内温が重合熱によって上昇した後、80℃で1.5時間加熱攪拌を続けた。次に、30%過酸化水素水溶液1.0部を加えた後、更に1時間加熱を続けポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値及び染料移行率を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
25%アンモニア水溶液を2部、30%過酸化水素水溶液10部を使用した以外は、比較例1と同様にして重合を行いポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値、染料移行率及び色落ち率を測定した。結果を表1及び2に示す。
比較例3
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水82.2部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を98℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン90部、2−メルカプトエタノール1.8部、イオン交換水90部からなるモノマー溶液とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製「V601」)1.8部を2−プロパノール34.2部を溶解させた開始剤溶液をそれぞれ連続的に2時間かけて滴下した。更に加熱攪拌を4時間続ける間に0.36部のV601を2−プロパノール6.84部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて、投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値及び染料移行率を測定した。結果を表1に示す。
比較例4
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水100部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気下とした。重合容器を加熱し内温を98℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン60部、30%次亜リン酸溶液1.8部、25%アンモニア水溶液0.7部、イオン交換水10.5部からなるモノマー溶液と4,4’−アゾビス−4−シアノ吉野草(日宝化学社製 NC−25)0.37部、トリエタノールアミン0.42部をイオン交換水29.2部に溶解させた開始剤溶液をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に加熱攪拌を1時間続ける間に、0.07部のNC−25、0.08部のトリエタノールアミンをイオン交換水1.3部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液について、K値及び染料移行率を測定した。結果を表1に示す。
比較例5
亜硫酸ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムを、亜硫酸ナトリウムのみに変えた以外は、実施例8と同様にして重合を行った。
結果を表3に示す。
比較例6
亜硫酸ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムを、亜硫酸水素ナトリウムのみに変えた以外は、実施例8と同様にして重合を行った。得られた溶液は激しい刺激臭があり、GPCで確認したところポリマーの生成は認められなかった。
結果を表3に示す。
比較例7
硫酸銅(II)を用いない以外は、実施例6と同様にして重合を行ったが、ポリマーの生成は認められなかった。結果を表4に示す。
比較例8
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水100部、N−ビニルピロリドン6.3部、N−ビニルイミダゾール2.7部、2−メルカプトエタノール0.54部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器を加熱し内温を75℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン56.7部、N−ビニルイミダゾール24.3部、2−メルカプトエタノール4.9部からなるモノマー溶液1と2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬社製「V50」)1.8部をイオン交換水34.2部に溶解させた開始剤溶液をそれぞれ2時間かけて滴下した。更に加熱攪拌を2時間続ける間に、0.9部のV50をイオン交換水17.1部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー水溶液を得た。得られたポリマー溶液についてK値、染料付着率を測定した。
結果を表5に示す。
比較例9
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、イオン交換水185部、N−ビニルピロリドン63部、N−ビニルイミダゾール27部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器を加熱し内温を65℃とした後、攪拌しながら、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬社製「V50」)1.8部をイオン交換水10.8部に溶解させた開始剤溶液を投入した後、2−メルカプトエタノール1.8部をイオン交換水10.8部に溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。更に加熱攪拌を7時間続ける間に、0.9部のV50をイオン交換水5.4部に溶解させた開始剤溶液を2回に分けて投入してポリマー水溶液を得た。得られたポリマー夜を下記についてK値、染料付着率を測定した。
結果を表5に示す。
染料付着率 測定方法
(1)8cm×8cmの綿布(Testfabrics,Inc社 Style♯423Bleached,Mercerized Cotton Twill)のL、a、b値を色差計(日本電色社製 NR−3000)により測定する(L、a、bとする)。
(2)塩化カルシウム2水和物4.85gをイオン交換水15kgに溶解させることにより作製した硬水273g、1質量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na10.5g、1質量%炭酸ナトリウム23.1g、ゼオライト0.42g、試料ポリマーの0.35質量%水溶液3.0g、0.1%染料(Direct Blue71)水溶液2.0g、イオン交換水6.6gを、600mLの円筒形容器(高さ12cm、内径8.5cm)に入れ、密閉し、室温下で1分間シェーカーで振とうする。
(3)ついで綿布1枚を入れ、密閉して室温下で1時間シェーカーで振とうする。
(4)ピンセットで綿布を取り出し、2kgのイオン交換水で綿布をすすぎ、80℃の熱風乾燥機で30分間乾燥させる。
(5)得られた綿布のL、a、b値を色差計で測定する(L、a、bとする)。
(6)(1)と(5)において測定した綿布のL、a、b値から、JIS8730に準じて、以下の式でΔE値を算出する。
ΔE=[(L−L+(a−a+(b−b1/2
(7)(1)〜(6)と同様にして、ポリマーを加えない空試験を実施し、ΔE値を測定する。
(8)以上のようにして得られるΔE値から、次式:
染料付着率(%)=(ポリマー添加試験でのΔE値)/(空試験でのΔE値)×100
により、染料付着率を求める。なお、得られる数値が低いほど染料付着防止効果が高いことを示し、前述の染料移行防止効果も高いことを示す。
Figure 2012057171
Figure 2012057171
Figure 2012057171
Figure 2012057171
Figure 2012057171

Claims (4)

  1. K値28以下のビニルラクタムホモポリマーであって、
    該ビニルラクタムホモポリマーは、亜硫酸塩を含有し、重合体中の硫黄含有量が0.1〜2.0質量%であり、アンモニア含有量が0.3質量%以下であることを特徴とするビニルラクタムホモポリマー。
  2. K値28以下のビニルラクタム系重合体の製造方法であって、
    該製造方法は、水系溶媒中でハイドロパーオキサイドと亜硫酸のアルカリ金属塩とを用い、pH5〜10で重合させることを特徴とする製造方法。
  3. ビニルラクタム系重合体の製造方法であって、
    該製造方法は、過硫酸塩、亜硫酸塩及び重金属化合物を用いて重合する工程を含むことを特徴とするビニルラクタム系重合体の製造方法。
  4. K値28以下のビニルラクタム系共重合体であって、
    該ビニルラクタム系共重合体は、亜硫酸塩を含有し、重合体中の硫黄含有量が0.1〜2.0質量%であることを特徴とするビニルラクタム系共重合体。
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