JP2012055941A - スポット溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スポット溶接方法は、ワークW1,W2に溶接電流を流すスポット溶接方法において、ワークW1,W2の被溶接部Wに当てて、ワークW1,W2に電流を流す電極チップ22,32と、被溶接部Wから一定距離はなれた位置において、ワークW1,W2の被溶接部Wが互いに離れないように保持する補助クランプ23及び補助クランプ33とを備えた電動式スポット溶接装置1を用いて、電極チップ22,32並びに補助クランプ23,33をワークW1,W2に当てて加圧し、電極チップ22,32からワークW1,W2に溶接電流を通電後、被溶接部Wの硬度を得るための冷却時間経過後に、電極チップ22,32をワークW1,W2から離し、所定時間経過後に、補助クランプ23,33をワークW1,W2から離す。
【選択図】図2
Description
このスポット溶接方法によれば、溶接電流を流す主電極をワークに当てる前に、予備電極を予備加圧力でワークに当てて予備電流を流すと、ワークの温度が高くなってワークが軟化する。これにより、ワーク間の隙間が無くなるので、ワーク間の接触状態が良好となり、溶接時の主電極の主加圧力が小さくて済む。
また、自動車の車体構造においては、剛性を高めるため高張力鋼材が用いられる。この高張力鋼材は硬度が高い反面、伸び性能が低い。
このような高張力鋼材は、スポット溶接すると、急冷する時間が長くなると、伸び性能が低い為、反りよりナゲット及びナゲット周辺部にクラックが発生することがあった。
したがって、急冷により被溶接部材が反るのを防止しでき、高張力鋼材を溶接した場合であっても、被溶接部材の被溶接部が凝固するまで保持部材によって加圧しつつ自然冷却できるので、被溶接部材の冷却を緩やかにして、クラックを抑制するスポット溶接方法を提供できる。
図1は、ロボットアーム80の先端に取り付けられた状態の本発明の一実施の形態に係る電動式スポット溶接装置1を示す一部省略側面図である。
電動式スポット溶接装置1は、ロボットアーム80の先端に設けられた装置支持部90に取付けられた電動式スポット溶接ガン10と、電動式スポット溶接ガン10と電気的に接続された溶接ガン制御装置100と、を備える。
電動式スポット溶接ガン10は、溶接ガン本体11のモータにより、固定電極部30に対して可動電極部20を矢印A1又はA2方向に往復移動し、固定電極部30と可動電極部20との間に被溶接部材としてのワークW1及びワークW2を挟んで開閉するC型溶接装置として構成されている。
可動電極部20は、溶接ガン本体11の可動電極取付部12に取り付けられる電極基部21と、電極基部21の先端側(図2に示す矢印A1側)の略中央に設けられた略円柱状の電極チップ22と、電極チップ22から電極チップ22の半径方向に一定距離離れた位置であって、電極チップ22の周囲に電極基部21の先端側に取り付けられた複数の補助クランプ23と、を備える。
複数の補助クランプ23は、それぞれ補助クランプ先端23aを有し、可動電極取付部12の矢印A1側への移動に伴い、ワークW1の被溶接部Wから一定距離はなれた位置Pに当接して加圧する。この補助クランプ先端23aは、ワークW1と離間した状態において、電極チップ22の電極チップ先端22aより、固定電極部30側(図2に示す矢印A1側)に突出している。
図3(a)に示すように、補助クランプ23は、略円筒形状に形成された補助クランプ本体230と、補助クランプ本体230の先端側(図3(a)に示す矢印A1側)から補助クランプ先端23a(図2参照)まで延びてワークW1に当接する軸部材231と、補助クランプ本体230の先端側に設けられ軸部材231を摺動可能に保持する案内部材232と、補助クランプ本体230の内部に収容され、軸部材231を先端側(図3(a)に示す矢印A1側)に付勢する付勢部材233と、を備える。
案内部材232は、筒状に形成された内周壁232aを備える。軸部材231は、この内周壁232aに摺接して案内部材232を貫通する。
補助クランプ23は、ワークW1に当接する軸部材231の基端に絶縁部231aを備え、補助クランプ本体230に絶縁部230aを備え、電極基部21(図2参照)に絶縁部230aを介して、電極基部21(図2参照)に取り付けられる。これにより、補助クランプ23及び電極チップ22(図2参照)をともにワークW1(図2参照)に当接した状態で、電極チップ22からワークW1及びW2に溶接電流を流しても、補助クランプ23から漏電することを防止できる。
補助クランプ25は、略円筒形状に形成された補助クランプ本体250と、補助クランプ本体250の先端側(図3(b)に示す矢印A1側)から補助クランプ先端23a(図2参照)まで延びてワークW1に当接する軸部材251と、補助クランプ本体250の先端側に設けられ軸部材251を摺動可能に保持する案内部材252と、補助クランプ本体250の内部に収容され、軸部材251を先端側(図3(b)に示す矢印A1側)に付勢する付勢部材253と、を備える。
軸部材251には、その基端(図3(b)に示す矢印A2側端部)に絶縁部251aを備え、付勢部材253に絶縁部251aを介して取り付けられる。軸部材251の先端は、ワークW1と接する面がフラットである補助クランプ先端25aを形成する。
案内部材252は、筒状に形成された内周壁252aを備える。軸部材251は、この内周壁252aに摺接して案内部材252を貫通する。
図4(a)に示すように、第1の変形例における軸部材261は、軸部材231(図3(a)参照)とは先端の形状が異なる。軸部材261の先端26aは、ワークW1と接する部分が半球体形状に形成されている。これにより、例えば、ワークの表面が平坦でない場合でも、先端26aを適切にワークW1に当接できる。
図4(b)に示すように、第2の変形例における軸部材271は、軸部材231(図3(a)参照)とは形状が異なる。軸部材271は、スプリング形状に形成されている。これにより、補助クランプがワークW1に当接するときの衝撃を小さくすることができる。
電動式スポット溶接ガン10は、ロボットアーム80(図1参照)及び装置支持部90(図1参照)の動作により被溶接部材であるワークW2に固定電極部30の補助クランプ33が当接される。その後、電動式スポット溶接ガン10は、溶接ガン制御装置100(図1参照)の制御により、溶接ガン本体11のモータを回転させ、固定電極部30に対して可動電極部20を矢印A1側に移動させ、被溶接部材であるワークW1に可動電極部20の補助クランプ23を当接させる。電動式スポット溶接ガン10は、さらに、可動電極部20を矢印A1側に移動させる。すると、可動電極部20の補助クランプ25の軸部材251(図3参照)は、ワークW1を所定の圧力で加圧しつつ、矢印A2側へ後退する。また、固定電極部30の補助クランプ35の軸部材は、ワークW2を所定の圧力で加圧しつつ、矢印A1側へ後退する。その後、電動式スポット溶接ガン10は、さらに、可動電極部20を矢印A1側に移動させ、可動電極部20の電極チップ22をワークW1に当接させ加圧するとともに、固定電極部30の電極チップ32をW2に当接させ加圧する。
そして、電動式スポット溶接ガン10は、溶接ガン制御装置100(図1参照)の制御により、電極チップ22及び電極チップ32からワークW1及びW2に溶接電流を通電する。すると、ワークW1及びW2は、互いの間にナゲットNが生成され、溶接される。
図5は、電動式スポット溶接装置1の動作のタイミングを説明する図である。
図5中、横軸は電極チップ22をワークW1に当接させ、電極チップ32をワークW2に当接させた時点をT0として時間経過Tを示し、一点鎖線Aは溶接電流の大きさを示し、二点鎖線tはナゲットNの表面温度を示している。また、図5中、ナゲットN内部に示すハッチングは、表面温度の高さを示し、ハッチングの目が細かい程、温度が高いことを示している。
図6は、急冷時のナゲットの表面温度とナゲットの硬度との関係を示す図である。
図6中、横軸は通電終了時間T1からの急冷時間の経過を示し、2点鎖線tはナゲットの表面温度を示し、実線hはナゲットの硬度を示している。
図6に示すように、ナゲットは急冷時間の経過とともに表面温度が急激に低下し、これに伴い、ナゲットの硬度hは上昇する。
硬度目標Hは、溶接された部材の引っ張り試験である剥離試験において、所定の溶接強度に必要な硬度である。
図7は、前記実施形態に係る電動式スポット溶接ガンの変形例の概略構成を示す図である。
変形例である電動式スポット溶接ガン10Aは、片側スポット溶接装置である点が異なる。本変形例の説明において、電動式スポット溶接ガン10(図2参照)と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
電動式スポット溶接ガン10Aは、溶接ガン本体11のモータにより、支持部41により支持され、アース電極40が設置されたワークW1及びW2に対して可動電極部20を矢印A1又はA2方向に往復移動し、ワークW1及びW2を溶接する片側スポット溶接装置として構成されている。
電動式スポット溶接装置1は、2枚以上重ねた被溶接部材(例えば、ワークW1及びW2)に溶接電流を流すスポット溶接装置であって、駆動部(例えば、モータ)を有する溶接ガン本体(例えば、溶接ガン本体11)と、前記溶接ガン本体に取り付けられ、前記被溶接部材の被溶接部(例えば、W)に当てて、前記被溶接部材に電流を流す電極(例えば、電極チップ22及び電極チップ32)と、前記被溶接部から一定距離はなれた位置であって、前記電極を挟む様に前記溶接ガン本体に取り付けられ、2枚以上重ねた前記被溶接部材の前記被溶接部が互いに離れないように保持する保持部材(例えば、補助クランプ23及び補助クランプ33)と、前記溶接ガン本体及び前記電極を制御する溶接ガン制御装置(例えば、溶接ガン制御装置100)と、を備え、前記保持部材の先端は、前記被溶接部材と離間した状態において、前記電極の先端より突出して形成され、前記溶接ガン制御装置は、前記溶接ガン本体の前記駆動部を制御して、前記電極及び前記保持部材を前記被溶接部材に当接させて加圧する加圧部(例えば、加圧部101)と、前記電極から前記被溶接部材に溶接電流を通電する通電部(例えば、通電部102)と、前記駆動部を制御して、前記被溶接部材に当接する前記電極及び前記保持部材のうち、前記電極のみを前記被溶接部材から離間する電極離間部(例えば、電極離間部103)と、前記駆動部を制御して、前記被溶接部材に当接する前記保持部材を前記被溶接部材から離間する保持部材離間部(例えば、保持部材離間部104)と、を有する。
ワークW1及びW2に溶接電流を流す電極チップ22及び電極チップ32及びワークW1及びW2の被溶接部Wが互いに離れないように保持する補助クランプ23及び補助クランプ33をワークW1及びW2に当てて加圧し、電極チップ22及び電極チップ32からワークW1及びW2に溶接電流を通電後、被溶接部Wの硬度を得るための冷却時間経過後に、電極チップ22及び電極チップ32をワークW1及びW2から離してから所定時間経過後に、補助クランプ23及び補助クランプ33をワークW1及びW2から離す。
22,32 電極チップ(電極)
23,33 補助クランプ(保持部材)
W1,W2 ワーク(被溶接部材)
W 被溶接部
Claims (1)
- 2枚以上重ねた被溶接部材に溶接電流を流すスポット溶接方法において、
前記被溶接部材の被溶接部に当てて、前記被溶接部材に電流を流す電極と、
前記被溶接部から一定距離はなれた位置において、2枚以上重ねた前記被溶接部材の前記被溶接部が互いに離れないように保持する保持部材とを備えたスポット溶接装置を用いて、
前記電極及び前記保持部材を前記被溶接部材に当てて加圧し、前記電極から前記被溶接部材に溶接電流を通電後、
前記被溶接部の硬度を得るための冷却時間経過後に、前記電極を前記被溶接部材から離し、
前記電極を前記被溶接部材から離してから所定時間経過後に、前記保持部材を前記被溶接部材から離すスポット溶接方法。
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