<実施の形態1>
本実施の形態1に係る通信装置たる無線通信装置100を備える通信システムについて、図1〜18を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。図に示すように、本実施の形態に係る通信システムでは、複数の無線通信装置100を備えている。以下、本実施の形態に係る通信システムを「自システム」と呼ぶこともあり、自システム以外に存在している他のシステムを「既存システム」と呼ぶ。また、以下、複数の無線通信装置100のうち任意の1つを「無線通信装置100a」と呼ぶこともあり、無線通信装置100aの周辺に存在する他の無線通信装置100を「周辺装置100b」と呼ぶこともある。
無線通信装置100a及び周辺装置100bは、これらが属する自システムにおいて互いに無線通信を行うことが可能となっている。その際、これら無線通信装置100a及び周辺装置100bが、それらのエリア(無線通信の範囲)の一方又は両方に入る第1及び第2既存システム101a,101bが存在するのであれば、第1及び第2既存システム101a,101bで利用している周波数チャネルとの電波干渉を回避する周波数チャネルを、後述する通信チャネルの周波数として利用するものとなっている。
さて、無線通信装置100a及び周辺装置100bは、いずれも機器に搭載されている。ここでいう機器とは、無線LAN(Local Area Network)端末や、携帯電話のように持ち運ぶことが可能な携帯通信端末や、ETC(Electronic Toll Collection System:料金収受システム)が搭載された車両や、路側機やサーバーなどのインフラのように固定された機器が該当する。なお、無線通信装置100及び周辺装置100bを搭載する機器には、自システム以外の通信システムを構成する通信装置も搭載されていてもよい。
また、無線通信装置100aと周辺装置100bとの間で行われる無線通信の通信方式は、例えば、上述の機器が無線LAN端末や携帯通信端末である場合には、それらで通常利用されている通信方式や、欧米で検討されているIEEE802.11p、またはCALM(Communication Access for Land Mobile)で利用される通信方式であってもよい。また、例えば、上述の機器が車両である場合には、無線通信装置100aと周辺装置100bとの間で行われる無線通信の通信方式は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)であってもよい。
本実施の形態では、無線通信装置100a及び周辺装置100bはいずれも車両に搭載されている場合を例にして、以下説明する。
図2は、本実施の形態1に係る無線通信装置100aの構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、無線通信装置100aは、送受信手段1と、情報処理手段2と、情報格納手段3と、周波数制御手段4とを備える。なお、周辺装置100bの構成は、無線通信装置100aと実質的に同じである。そこで、以下においては、主に無線通信装置100aを例にして説明する。
送受信手段1は、周辺装置100bと無線通信を行うものであり、情報処理手段2から出力された送信情報を周辺装置100bに送信する。その一方で、送受信手段1は、周辺装置100bから送信された送信情報を受信し、当該送信情報を情報処理手段2に出力する。
また、送受信手段1は、無線通信装置100aが任意の時点でそのエリアに入る第1既存システム101aから無線空間上において送信される電波に基づいて、第1既存システム101aで利用されている第1周波数チャネルを検出する。つまり、無線通信装置100aの無線通信の範囲内に第1既存システム101aが存在する場合に、送受信手段1は、当該第1既存システム101aで利用されている第1周波数チャネル(以下「検出周波数チャネル」と呼ぶこともある)を検出する。送受信手段1は、検出周波数チャネルも情報処理手段2に出力する。
情報処理手段2は、自身で管理している送信要求が生成された場合に、周辺装置100bに送信すべき送信情報を生成する。具体的には、送信要求が生成された場合に、情報処理手段2は、情報格納手段3に格納されている車両情報と、新規の周波数リストとを取得する。
ここで、情報格納手段3に格納されている車両情報は、無線通信装置100aが搭載された車両に関する情報である。本実施の形態では、車両情報は、当該車両センサにより検出される、当該車両の速度、加減速度、位置、走行方向、ウィンカーのON/OFFに関する情報を含んでいるものとする。以下、無線通信装置100aにおける車両情報を、「自装置車両情報」と呼ぶこともある。
周波数リストは、詳細については後述するが、無線通信装置100aと周辺装置100bとが、既存システム101で利用されていない周波数チャネルを利用して無線通信を行うための情報であり、周波数制御手段4によって次々に作成され、情報格納手段3に次々に格納される。本実施の形態において、周波数制御手段4により作成される周波数リストのうち最新の周波数リストを、新規の周波数リストと呼ぶ。
本実施の形態においては、情報処理手段2は、情報格納手段3から取得した自装置車両情報に、情報格納手段3から同様に取得した新規の周波数リストなどを付与して送信情報を生成する。つまり、情報処理手段2は、自装置車両情報と新規の周波数リストとを含む送信情報を生成する。情報処理手段2は、生成した送信情報を送受信手段1に出力する。そして、情報処理手段2において生成された送信情報が、送受信手段1を介して周辺装置100bに送信される。つまり、本実施の形態においては、送受信手段1は、新規の周波数リストを外部に送信することになる。
なお、本実施の形態においては、送信要求は主に周期的に生成されるが、イベント的に生成されることもあるものとする。したがって、情報処理手段2は、送信情報を主に周期的に生成するが、イベント的に生成することもある。
情報処理手段2は、送受信手段1が受信した周辺装置100bからの送信情報を、送受信手段1から受け取る。
本実施の形態において、周辺装置100bは、無線通信装置100aと同様に、当該周辺装置100bが任意の時点でそのエリアに入る第2既存システム101bで利用されている第2周波数チャネルを検出する。そして、周辺装置100bは、当該周辺装置100bを搭載している車両に関する車両情報と、当該第2周波数チャネルとを含む送信情報を無線通信装置100aに送信している。つまり、送受信手段1が受信する周辺装置100aからの送信情報は、周辺装置100bが搭載されている車両に関する車両情報と、当該第2周波数チャネルとを含んだものとなっている。
したがって、本実施の形態では、送受信手段1は、周辺装置100bにおける車両情報(以下「周辺装置車両情報」と呼ぶこともある)と、周辺装置100bが任意の時点でそのエリアに入る第2既存システム101bで利用されている第2周波数チャネル(以下、「受信周波数チャネル」と呼ぶこともある)とを周辺装置100bから受信する。
情報処理手段2は、周辺装置100bが送信した送信情報を送受信手段1から受け取ると、当該送信情報に含まれる周辺装置車両情報を情報格納手段3に出力するとともに、当該送信情報に含まれる受信周波数チャネルを周波数制御手段4に出力する。また、情報処理手段2は、検出周波数チャネルを送受信手段1から受け取ると、当該検出周波数チャネルを周波数制御手段4に出力する。
情報格納手段3には、自装置車両情報と、周辺装置車両情報とが格納される。また、情報格納手段3には、周波数リストが格納される。
周波数制御手段4は、送受信手段1が検出した検出周波数チャネルと、送受信手段1が周辺装置100bから受信した受信周波数チャネルと、情報格納手段3に格納されている周波数リストが示す第3周波数チャネル(以下「リスト周波数チャネル」)とに基づいて、これら周波数チャネルを示す新規の周波数リストを作成する。この新規の周波数リストは、上述の第1及び第2既存システム101a,101bで利用されている周波数チャネルと、リスト周波数チャネルとを示すことになる。周波数制御手段4は、作成した新規の周波数リストを情報格納手段3に格納する。
また、周波数制御手段4は、新規の周波数リストに基づいて、送受信手段1が周辺装置100bとの無線通信に利用する周波数チャネルを切り替える。本実施の形態では、周波数制御手段4は、送受信手段1が当該無線通信に利用する周波数チャネルを、新規の周波数リストが示す周波数チャネル以外の周波数チャネルに切り替える設定を行う。ここで、新規の周波数リストは、第1及び第2既存システム101a,101bで利用されている周波数チャネルを示すことから、周波数制御手段4によってそれ以外に切り替えられる周波数チャネル、つまり、送受信手段1が利用する周波数チャネルは、当該第1及び第2既存システム101a,101bで利用されている周波数チャネルと電波干渉しない周波数チャネルとなる。したがって、本実施の形態に係る無線通信装置100aにおいては、既存システム101の無線通信との電波干渉を回避しつつ、周辺装置100bと無線通信を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、無線通信装置100aは、周辺装置100bと無線通信を行うのに必要な制御情報(ここでは上述の送信情報)を、既存システム101に割り当てられない専用の基準周波数チャネルを利用して、周辺装置100bと送受信するものとする。そして、無線通信装置100aは、既存システム101に割り当てられている複数の周波数チャネルのうち、既存システム101で利用されていない周波数チャネルを利用して、制御情報以外の情報を、周辺装置100bと送受信することを目的とするものとする。
なお、無線通信装置100a及び周辺装置100bが上述の送信情報などの制御情報を送受信する際に利用する周波数チャネルを「制御チャネル」と呼ぶこともある。また、無線通信装置100a及び周辺装置100bが制御情報以外の情報を送受信する際に利用する周波数チャネルを「通信チャネル」と呼ぶこともある。
図3は、本実施の形態に係る無線通信装置100aの構成を詳細に示すブロック図である。以下、図3を用いて、無線通信装置100aが備える各構成要素の機能を詳細に説明する。
図3に示すように、送受信手段1は、送信部10と、受信部11と、周波数切替部12とを備える。
周波数切替部12は、周波数制御手段4(周波数切替制御部40)で設定される周波数チャネルを、送信部10及び受信部11に対して設定する。
送信部10は、情報処理手段2(送信情報生成部21)からの送信情報が入力されると、周波数切替部12により設定された周波数チャネル上の搬送波を、当該送信情報に基づいて変調し、それによって得られた無線信号を周辺装置100bに送信する。この際の送信として、複数の周辺装置100bに送信情報を並列的に送信するブロードキャスト送信、または、特定の周辺装置100bに送信情報を送信するユニキャスト送信が行われる。
受信部11は、周波数切替部12により設定された周波数チャネル上の無線信号を、周辺装置100bの送信部10から受信し、当該無線信号に含まれる送信情報を取得する復調を行う。そして、受信部11は、取得した送信情報を情報処理手段2(受信情報解析部22)に出力する。
また、受信部11は、第1既存システム101aから送信される電波から、当該第1既存システム101aで利用されている検出周波数チャネルを検出し、当該検出周波数チャネルを情報処理手段2(受信情報解析部22)に出力する。
なお、送受信手段1を構成するハードウェアに相当する送受信装置は、複数のシステムや通信方式に対して1つだけ設けられてもよいし、複数のシステム及び通信方式と同じ数だけ設けられてもよい。送受信装置が複数設けられる場合には、各送受信装置の送信部10及び受信部11には互いに異なる周波数チャネルが設定されてもよいが、送受信装置が1つだけ設けられる場合には、送信部10及び受信部11には互いに同一の周波数チャネルが設定される。なお、送受信装置の数が1つであっても複数であっても動作はほとんど変わらないので、以下においては、送受信装置は1つだけ設けられている場合について説明する。
図3に示すように、情報処理手段2は、送信要求入力部20と、送信情報生成部21と、受信情報解析部22とを備える。
送信要求入力部20は送信要求を周期的に生成するとともに、それを生成するタイミングを管理している。上述したように、送信要求が生成された場合には送信情報が送信されることから、送信要求入力部は、送信情報を送信するタイミングを管理することになる。なお、送信要求入力部20は、送信要求をイベント的に生成することもある。送信要求入力部20は、生成した送信要求を送信情報生成部21に出力する。
送信情報生成部21は、送信要求入力部20から送信要求を受けると、情報格納手段3(車両情報格納部30)から自装置車両情報を取得するとともに、情報格納手段3(周波数リスト格納部31)から新規の周波数リストを取得する。そして、送信情報生成部21は、自装置車両情報に新規の周波数リストなどを付与して送信情報を生成し、当該送信情報を送信部10に出力する。
受信情報解析部22は、周辺装置100bの送信情報を受信部11から受け取ると、当該送信情報を解析して、当該送信情報に含まれる周辺装置車両情報と受信周波数チャネルとを取得する。そして、受信情報解析部22は、取得した周辺装置車両情報を情報格納手段3(車両情報格納部30)に格納するとともに、取得した受信周波数チャネルを周波数制御手段4(周波数リスト処理部41)に出力する。また、受信情報解析部22は、検出周波数チャネルを受信部11から受け取ると、当該検出周波数チャネルを周波数制御手段4(周波数リスト処理部41)に出力する。
図3に示すように、情報格納手段3は、車両情報格納部30と、周波数リスト格納部31とを備える。
車両情報格納部30には、自装置車両情報及び周辺装置車両情報などが格納される。周波数リスト格納部31には、周波数リストが格納される。なお、周波数リスト格納部31には、検出周波数チャネルや、受信周波数チャネルが格納されてもよい。
図3に示すように、周波数制御手段4は、周波数切替制御部40と、周波数リスト処理部41とを備える。
周波数リスト処理部41は、送受信手段1が検出した検出周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして(1つに統合して)、新規の周波数リストを作成する。また、周波数リスト処理部41は、送受信手段1が受信した受信周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして、新規の周波数リストを作成する。このように作成される新規の周波数リストは、第1既存システム101aで利用されている検出周波数チャネルと、第2既存システム101bで利用されている受信周波数チャネルとを示すことになる。
周波数リスト処理部41は、作成した新規の周波数リストを周波数リスト格納部31に格納する。その後、周波数リスト処理部41は、周波数リスト格納部31に格納されている新規の周波数リストに基づいて、新しい周波数リストを作成する動作を繰り返していく。
周波数切替制御部40は、周波数リスト格納部31に格納されている新規の周波数リストを取得し、周波数切替制御部40は、新規の周波数リストが示す周波数チャネル以外の周波数チャネルに、送受信手段1の周波数切替部12が設定すべき周波数チャネルを切り替える。つまり、周波数切替制御部40は、新規の周波数リストが示す周波数チャネル以外の周波数チャネルに、送受信手段1が無線通信に利用する周波数チャネルを切り替える。これにより、本実施の形態に係る自システムにおいては、既存システム101に利用されている周波数チャネル以外の周波数チャネルを、上述の通信チャネルとして利用することから、既存システム101の無線通信との電波干渉を回避しつつ、周辺装置100bと無線通信を行うことが可能となる。
また、この周波数切替制御部40は、後述するように、送受信手段1が検出周波数チャネルを検出する周波数スキャンを行う際には、周波数切替部12が設定すべき周波数チャネルを次々に切り替えていくように周波数切替部12に要求する。
<動作>
図4〜18は、本実施の形態に係る通信システムにおける動作を示す図である。以下、本実施の形態に係る通信システムの動作を図4〜18を用いて説明する。
図4は、無線通信装置100aにおける送受信手段1の送信部10の動作を示すフローチャートである。以下、この図4を用いて、無線通信装置100aにおける送受信手段1の送信部10の動作について説明する。
まず、ステップS101にて無線通信装置100aが起動した後、ステップS102において、送信部10は、送信情報生成部21からの送信情報の入力待ち、及び、周波数切替部12からの周波数チャネルの設定待ちとなる。
このステップS102において、送信情報生成部21からの送信情報が送信部10に入力された場合には、ステップS103において、送信部10は、当該送信情報を周辺装置100bに対し送信する。その後、ステップS102に戻る。
一方、ステップS102において、周波数切替部12による周波数チャネルの設定が送信部10に対して行われると、ステップS104において、送信部10は、設定された周波数チャネルを、それ以降の送信動作に利用する。その後、ステップS102に戻る。なお、送信部10は、次に周波数チャネルの設定が行われるまで、直前に設定された周波数チャネルを利用して送信動作を行うものとする。
以上の動作を行う送信部10においては、送信情報が入力されるごとにステップS103の動作が行われ、周波数チャネルが設定されるごとにステップS104の動作が行われることになる。
図5は、無線通信装置100aにおける送受信手段1の受信部11の動作を示すフローチャートである。次に、この図5を用いて、無線通信装置100aにおける送受信手段1の受信部11の動作について説明する。
まず、ステップS201にて無線通信装置100aが起動した後、ステップS202において、受信部11は、周辺装置100bからの送信情報の受信待ち、検出周波数チャネルの検出待ち、及び、周波数切替部12からの周波数チャネルの設定待ちとなる。
受信部11が、ステップS202において周辺装置100bからの送信情報を受信した場合には、ステップS203において、当該送信情報を受信情報解析部22に出力し、ステップS202に戻る。同様に、受信部11が、ステップS202において検出周波数チャネルを検出した場合には、ステップS203において、当該検出周波数チャネルを受信情報解析部22に出力し、ステップS202に戻る。
一方、ステップS202において、周波数切替部12による周波数チャネルの設定が受信部11に対して行われると、ステップS204において、受信部11は、設定された周波数チャネルを、それ以降の受信動作に利用する。その後、ステップS202に戻る。なお、受信部11は、次に周波数チャネルの設定が行われるまで、直前に設定された周波数チャネルを利用して受信動作を行うものとする。
以上の動作を行う受信部11においては、送信情報が受信されるか、検出周波数チャネルが検出されるごとにステップS203の動作が行われ、周波数チャネルが設定されるごとにステップS204の動作が行われることになる。
図6は、送受信手段1における送受信状況と周波数チャネル設定状況との関係を示す図である。次に、図6を用いて、送受信状況と周波数チャネル設定状況との関係について説明する。なお、図6に示される2つの無線通信装置100A,100Bは、互いに無線通信可能に相手装置周辺に存在しており、一方が上記無線通信装置100aに対応し、他方が上記周辺装置100bに対応しているものとする。
図6に示される時間帯T1においては、無線通信装置100A,100Bは、いずれも周波数チャネルCH1に設定されている。具体的には、同時間帯T1において、無線通信装置100A,100Bとの間の送信及び受信が交互に繰り返され、送信に利用されている周波数チャネルと受信に利用されている周波数チャネルは互いに同じとなっている。このような場合には、無線通信装置100A,100Bは、互いに情報を送受信することができる。同様に、図6に示される時間帯T2においては、無線通信装置100A,100Bは、いずれも周波数チャネルCH2に設定されていることから、互いに情報を送受信することができる。
一方、図6に示される時間帯T3においては、無線通信装置100Aは周波数チャネルCH1に設定されており、無線通信装置100Bは周波数チャネルCH2に設定されている。具体的には、同時間帯T3において、無線通信装置100A,100Bとの間の送信に利用されている周波数チャネルと受信に利用されている周波数チャネルは互いに異なっている。このような場合には、無線通信装置100A,100Bは、互いに情報を送受信することができない。なお、図示していないが、無線通信装置100Aは周波数チャネルCH2に設定されており、無線通信装置100Bは周波数チャネルCH1に設定されている場合にも、同様に、互いに情報を送受信することができない。
図7は、無線通信装置100Aの送受信手段1が、周波数スキャンを行うことにより、検出周波数チャネルを検出する動作を説明する図である。次に、この図7を用いて、既存システム101A〜101Cで利用されている周波数チャネルを、検出周波数チャネルとして検出する際の周波数スキャンについて説明する。なお、この図7において、既存システム101A〜101Cは、周波数チャネルCH1〜CH3をそれぞれ利用しているものとする。
図7に示されるように、時間帯T1において、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH1に設定されており、周波数チャネルCH1上の電波を検出することが可能となっている。この例では、周波数チャネルCH1は既存システム101Aに利用されていることから、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH1上の電波を検出する。
周波数スキャンにおいては、送受信手段1に設定される周波数チャネルが、周波数切替制御部40(周波数切替部12)によって1つずつ順に切り替えられる。図に示される例では、時間帯T1から時間帯T2に移行する際には、無線通信装置100Aの送受信手段1に設定される周波数チャネルが、周波数チャネルCH1から周波数チャネルCH2に切り替えられている。
そうすると、時間帯T2において、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH2の電波を検出することが可能となる。この例では、周波数チャネルCH2は既存システム101Bに利用されていることから、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH2上の電波を検出する。
同様に、時間帯T2から時間帯T3に移行する際には、無線通信装置100Aの送受信手段1に設定される周波数チャネルが、周波数チャネルCH2から周波数チャネルCH3に切り替えられ、時間帯T3において、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH3の電波を検出することが可能となる。この例では、周波数チャネルCH3は既存システム101Cに利用されていることから、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH3上の電波を検出する。
同様に、時間帯T3から時間帯T4に移行する際には、無線通信装置100Aの送受信手段1に設定される周波数チャネルが、周波数チャネルCH3から周波数チャネルCH4に切り替えられ、時間帯T4において、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH4の電波を検出することが可能となる。この例では、周波数チャネルCH4は既存システム101A〜101Cのいずれにも利用されていないことから、無線通信装置100Aの送受信手段1は、周波数チャネルCH4上の電波を検出しない。
以上のような周波数スキャンを行うことにより、無線通信装置100Aの送受信手段1は、無線通信装置100Aが任意の時点でそのエリアに入る既存システム101A〜101Cで利用されている周波数チャネルCH1〜CH3を、検出周波数チャネルとして検出することができる。なお、図を用いて説明しないが、周辺装置100bも同様に周波数スキャンを行うことにより、無線通信装置100aで受信されることになる受信周波数チャネルを検出数することができる。
以上のような周波数スキャンの際、各周波数チャネルを監視する時間は、既存システム101の検出に必要な最小時間だけ監視する必要がある。例えば、上述のETCなどで利用されるDSRCにおいては、アップリンク、ダウンリンクで利用される周波数チャネルが7つずつ存在し、ダウンリンクとアップリンクはペアで利用されている。そのため、ダウンリンクのみを周波数スキャンすれば、当該ダウンリンクの周波数チャネルだけでなく、それとペアになっているアップリンクの周波数チャネルについても電波を検出することができることになる。
図8は、無線通信装置100aにおける情報処理手段2の送信要求入力部20及び送信情報生成部21の動作を示すフローチャートである。次に、この図8を用いて、当該情報処理手段2の送信要求入力部20及び送信情報生成部21の動作を説明する。
まず、ステップS301にて無線通信装置100aが起動した後、ステップS302において、送信要求入力部20は、自身で管理する周期的な送信要求、及び、イベント的な送信要求の生成待ちとなる。同ステップS302において送信要求が生成されるまで、ステップS302を繰り返し行う。
このステップS302において送信要求が生成されると、ステップS303において、送信要求入力部20は、送信情報生成部21に送信要求を出力する。
送信情報生成部21は、送信要求入力部20からの送信要求を受けると、ステップS304において、車両情報格納部30及び周波数リスト格納部31から、自装置車両情報及び新規の周波数リストをそれぞれ取得する。それから、ステップS305において、送信情報生成部21は、自装置車両情報に新規の周波数リストなどを付与して、送信情報を生成する。ステップS306において、送信情報生成部21は、生成した送信情報を送信部10に出力する。その後、ステップS302に戻る。
以上の動作を行う情報処理手段2においては、送信要求が発生するごとにステップS303〜S306の動作が行われることになる。
図9は、情報処理手段2で生成される送信情報の構成を示す図である。次に、この図9を用いて、当該送信情報に含まれる周波数リストなどについて説明する。なお、この図9に示される既存システムチャネル利用情報は周波数リストに相当するものである。
図9に示すように、本実施の形態では、情報処理手段2が車両情報に周波数チャネルをヘッダとして付与することにより、送信情報が生成されている。このうち周波数チャネル情報は、無線通信装置100aと周辺装置100bが、既存システム101で利用されていない周波数チャネルを利用して無線通信を行うための情報であり、既存システムチャネル利用情報、自システムチャネル利用情報、及び、周波数切替情報から構成されている。このように、本実施の形態では、周波数リスト(既存システムチャネル利用情報)が車両情報にヘッダとして付与されていることから、通信トラフィックを削減することができる。
既存システムチャネル利用情報においては、既存システム101で利用されている周波数チャネルがマッピングされている。具体的には、所定の複数の周波数チャネルの番号(ここではCH1〜7)のうち、各既存システム101で利用されている、または、特定の既存システム101で利用されている周波数チャネルの番号に対して「1」が設定され、それ以外の周波数チャネルの番号に対して「0」が設定される。当該チャネル利用情報には、周波数チャネル番号を含めてもよいし、周波数チャネル番号が予め固定されている場合には、当該チャネル利用情報に周波数チャネル番号を含めなくてもよい。
自システムチャネル利用情報には、自システムが利用する周波数チャネルの番号や、利用する帯域幅、送信電力、伝送速度などが設定される。つまり、無線通信装置100aと周辺装置100bとの間の無線通信(無線通信端末100同士の無線通信)に利用すべき周波数の番号などが設定される。
周波数切替情報は、周波数切替フラグ、周波数切替タイミングまたは周波数スキャンタイミングから構成される。なお、これら周波数切替フラグ、周波数切替タイミングまたは周波数スキャンタイミングは、情報処理手段2によって送信情報に含められる。
周波数切替フラグは、無線通信装置100aの送受信手段1及び周辺装置100bのそれぞれが、当該送受信手段1と周辺装置100bとの間で使用している周波数チャネルを切替えるか否かを示すフラグである。ここで、周波数切替タイミングは、無線通信装置100aの送受信手段1及び周辺装置100bのそれぞれが、当該送受信手段1と周辺装置100bとの間で利用している周波数チャネルを同時に切り替えるためのタイミングを示す。
なお、後述する実施の形態3においては、周波数切替フラグが周波数チャネルの切替えないことを示している場合には、周波数切替タイミングが格納される部分には、周波数スキャンタイミングが格納される。ここで、周波数スキャンタイミングは、無線通信装置100aの送受信手段1及び周辺装置100bが同時に周波数スキャンを行うための周波数スキャンタイミングを示す。この周波数スキャンタイミングの詳細については、実施の形態3で説明する。
図10は、無線通信装置100aにおける周波数制御手段4の周波数切替制御部40の動作を示すフローチャートである。次に、この図10を用いて、無線通信装置100aにおける周波数制御手段4の周波数切替制御部40の動作を説明する。
まず、ステップS401にて無線通信装置100aが起動した後、ステップS402において、周波数切替制御部40は、内部タイマー(図示せず)により計時された時点が、図9に設定されている周波数切替タイミングまたは周波数スキャンタイミングとなったかを判断する。同ステップS402において、内部タイマーの時点がいずれかのタイミングとなったと判断するまで、ステップS402を繰り返し行い、内部タイマーの時点がいずれかのタイミングとなったと判断した場合にステップS403に進む。
ステップS402後のステップS403において、周波数切替制御部40は、内部タイマーの時点が周波数切替タイミング及び周波数スキャンタイミングのいずれのタイミングとなったかを判断する。同ステップS403において、周波数切替制御部40は、内部タイマーの時点が周波数切替タイミングとなった判断した場合にはステップS404に進み、内部タイマーの時点が周波数スキャンタイミングとなった判断した場合にはステップS406に進む。
ステップS403後のステップS404においては、周波数切替制御部40は、周波数リスト格納部31から新規の周波数リストを取得する。
ステップS405において、図9に示された周波数リスト内の全ての周波数チャネル(CH1〜7)のうち、取得した新規の周波数リストが示す周波数チャネル以外の周波数チャネルに、送受信手段1が利用する周波数チャネルを切り替えるように、周波数切替部12に要求する。その後、ステップS402に戻る。
ここで、通信装置100と周波数切替タイミングを送受信する周辺装置100bにおいても同様に行われる。したがって、無線通信装置100aと周辺装置100bとが周波数チャネルを切り替えるタイミングは同時となる。よって、無線通信装置100aと周辺装置100bとの間の無線通信が、周波数チャネル切替により妨げられる時間を低減することができる。
ステップS403後のステップS406においては、周波数切替制御部40は、送受信手段1が利用する周波数チャネルが、図9に示された周波数リスト内の全ての周波数チャネル(CH1〜7)のいずれか1つに一定時間ごとに順に切り替えられていくように、周波数切替部12に要求する。つまり、図7を用いて説明した周波数スキャンが行われる。その後、ステップS402に戻る。
以上の動作を行う周波数切替制御部40においては、周波数切替タイミングごとにステップS403,S404,S405の動作が行われ、周波数スキャンタイミングごとにステップS403,S406の動作が行われることになる。
なお、以上の説明におけるステップS402では、無線通信装置100a及び周辺装置100bが、内部タイマーの時点が送信情報に含まれる周波数切替タイミングとなった場合に周波数チャネルを切り替えたが、これに限ったものではない。例えば、無線通信装置100aは、周辺装置100bと時刻同期を実施して周波数チャネルを切り替えてもよいし、無線通信装置100aが周辺装置100bから送信情報を受信した時点で周波数チャネルを切り替えてもよいし、内部タイマーが一定時間を計時した時点で周波数チャネルを切り替えてもよい。
また、以上の説明におけるステップS405において、周波数切替部12に設定されるべき周波数チャネルは、新規の周波数リストが示す周波数チャネルではない限り、ランダムに選択されてもよいし、既存システム101に利用されている2つの周波数チャネルの中央のチャネルであってもよいし、自システムが利用している周波数チャネルであってもよい。また、周波数切替部12には、1つの周波数チャネルが設定されてもよいし、複数の周波数チャネルが既存システム101に利用されていない場合には当該複数の周波数チャネルがまとめて設定されてもよい。後者の場合には、通信速度などが向上する。
図11は、周波数切替制御部40における周波数切替及び周波数スキャンのシーケンスを示す図である。この図11に示されるように、周波数切替制御部40は、周波数切替タイミング、あるいは、周波数スキャンタイミングを経てから、周波数切替部12に周波数切替要求を行う。このように本実施の形態に係る無線通信装置100においては、既存の送受信手段1の動作とほとんど同じであることから、既存の無線通信装置の構成を少し変更するだけで済む。
この図11に示されるように、周波数切替制御部40は、周波数切替タイミングごとに、送受信手段1で利用する周波数チャネルが、ステップS405で選択した周波数チャネルに切り替えられるように周波数切替部12に要求する。これにより、周波数切替タイミングごとに、送受信手段1の周波数チャネルが、ステップS405で選択された周波数チャネルに切り替えられる。
一方、周波数切替制御部40は、周波数スキャンタイミング直後に、送受信手段1の周波数チャネルが、一定時間ごとに、周波数リスト内の全ての周波数チャネルのいずれか1つに順に切り替えられていくように周波数切替部12に要求する。これにより、図7を用いて説明したように、無線通信装置100aの送受信手段1は、スキャン対象の周波数チャネル(周波数リスト内の全ての周波数チャネル)のうち、第1既存システム101aで利用されている第1周波数チャネルを検出周波数チャネルとして検出することができる。
図12は、無線通信装置100aにおける周波数リスト処理部41(周波数制御手段4)の動作を示すフローチャートである。次に、この図12を用いて無線通信装置100aにおける周波数リスト処理部41の動作について説明する。
まず、ステップS501にて無線通信装置100aが起動した後、ステップS502において、周波数リスト処理部41は、受信情報解析部22からの検出周波数チャネル及び受信周波数チャネルの入力待ちとなる。同ステップS502において、検出周波数チャネルまたは受信周波数チャネルが入力されるまで、ステップS502を繰り返し行い、いずれか一方が入力された場合にステップS503に進む。
ステップS503において、周波数リスト処理部41は、周波数リスト格納部31から当該ステップS503の時点での新規の周波数リストを取得する。ステップS504において、周波数リスト処理部41は、検出周波数チャネル及び受信周波数チャネルのいずれが入力されたかを判断する。同ステップS504において、周波数リスト処理部41は、受信周波数チャネルが入力されたと判断した場合には、ステップS505に進み、検出周波数チャネルが入力されたと判断した場合には、ステップS506に進む。
ステップS504後のステップS505において、周波数リスト処理部41は、送受信手段1が検出した検出周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして(1つに統合して)、新規の周波数リストを作成する。その後ステップS507に進む。
ステップS504後のステップS506において、周波数リスト処理部41は、送受信手段1が受信した受信周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして、新規の周波数リストを作成する。その後ステップS507に進む。
ステップS507において、周波数リスト処理部41は、ステップS505またはS507で作成した新規の周波数リストを周波数リスト格納部31に格納する。その後ステップS502に戻る。
以上の動作を行う周波数リスト処理部41においては、受信周波数チャネルが入力されるごとに、ステップS503,S504,S505,S507の動作が行われ、検出周波数チャネルが入力されるごとに、ステップS503,S504,S506,S507の動作が行われることになる。
<マージ処理>
図13〜15は、ステップS505,S506におけるマージ処理を示す図である。次に、ステップS505,S506におけるマージ処理について説明する。なお、図13〜図15に共通する条件として、既存システム101A〜101Cは、周波数チャネルCH5,CH7,CH1をそれぞれ利用しているものとする。一方、自システムを構成する無線通信装置100A〜100C(それぞれが上述の無線通信装置100aに相当する)は、上述の制御チャネルとして、専用の周波数チャネルCH0を利用しているものとする。そして、無線通信装置100A〜100Cは、既存システム101A〜101Cのエリア内にそれぞれ存在しており、既存システム101A〜101Cは、無線通信装置100A〜100Cのエリア内にそれぞれ存在しているものとする。なお、無線通信装置100Bと、無線通信装置100A,100Cとは互いに近くに位置しているが、無線通信装置100Aと無線通信装置100Cとは互いに近くに位置していないものとする。
図13〜15は時刻t1〜t3(t1<t2<t3)における状態をそれぞれ示している。なお、時刻t1の前の状態として、無線通信装置100A〜100Cのそれぞれの周波数リストには何も設定されておらず、各周波数リストにおける周波数チャネルCH1〜CH7は全て、既存システム101で利用されていないことを示す「0」が設定されているものとする。
図13は、時刻t1において、無線通信装置100A〜100Cのそれぞれは検出周波数チャネルを検出したが、受信周波数チャネルを受信していない状態を示している。この場合、既存システム101Aの通信範囲に属している無線通信装置100Aは、既存システム101Aで利用されている周波数チャネルCH5を検出周波数チャネルとして検出する。そして、無線通信装置100AがステップS506のマージ処理を行うことにより、図13に示されるように、無線通信装置100Aの周波数リストの周波数チャネルCH5には、既存システム101で利用されていることを示す「1」が設定される。
同様に、無線通信装置100BがステップS506のマージ処理を行うことにより、無線通信装置100Bの周波数リストの周波数チャネルCH7には「1」が設定され、無線通信装置100CがステップS506のマージ処理を行うことにより、無線通信装置100Cの周波数リストの周波数チャネルCH1には「1」が設定される。
図14は、時刻t2において、無線通信装置100A〜100Cのそれぞれは検出周波数チャネルを検出するとともに、受信周波数チャネルを受信した状態を示す図である。なお、この図14において、無線通信装置100A〜100Cが検出周波数チャネルに関して行うマージ処理は図13と同じであるため省略する。ここでは、無線通信装置100A〜100Cが受信周波数チャネルに関して行うマージ処理について説明する。
無線通信装置100Bの送受信手段1は、自身の周波数リストを外部に送信する。したがって、無線通信装置100Aは、無線通信装置100Bからの当該周波数リストを受信周波数チャネルとして受信することになる。この場合に、無線通信装置100AがステップS505のマージ処理を行うことにより、図14の下側に示されるように、無線通信装置100Aの周波数リストの周波数チャネルCH7には「1」が追加して設定される。
同様に、無線通信装置100Bが、無線通信装置100A及び無線通信装置100Cからの受信周波数チャネルに関して、ステップS505のマージ処理を行うことにより、無線通信装置100Bの周波数リストのCH5,CH1には「1」が設定される。同様に、無線通信装置100Cが、無線通信装置100Bからの受信周波数チャネルに関して、ステップS505のマージ処理を行うことにより、無線通信装置100Cの周波数リストのCH7には「1」が設定される。
このように、本実施の形態に係る無線通信装置100においては、自身が検出した検出周波数チャネルと、自身の周辺に存在する他の無線通信装置100からの受信周波数チャネルと、周波数リストが示すリスト周波数チャネルとに基づいて新規の周波数リストが作成される。自身の周辺に存在する他の無線通信装置100からの受信周波数チャネルは、将来的に自身が検出する可能性が高いことから、本実施の形態に係る無線通信装置100においては、既存システム101で利用されている周波数チャネルを効率よく取得することができる。
また、本実施の形態に係る無線通信装置100においては、マージが行われることにより、既存システム101で利用されている周波数チャネルを示す周波数リストが作成される。したがって、周波数リスト内の周波数チャネル(CH1〜7)のうち、既存システム101で利用されている周波数チャネルと電波干渉しない周波数チャネル(CH2〜4,6)を把握することができる。
また、本実施の形態に係る無線通信装置100においては、既存システム101で利用されている周波数チャネルと電波干渉しない周波数チャネル(CH2〜4,6)に、送受信手段1が利用する周波数チャネル(ここでは通信チャネル)を切り替える。したがって、既存システム101の無線通信との電波干渉を回避しつつ、無線通信装置100は他の無線通信装置100と無線通信を行うことができる。
図15は、時刻t3において、無線通信装置100A〜100Cのそれぞれは検出周波数チャネルを検出するとともに、受信周波数チャネルを受信した状態を示す図である。この時刻t3においても、時刻t2と同様の動作が行われる。そうすると、無線通信装置100Bの送受信手段1が、時刻t2における新規の周波数リストを、当該新規の周波数リストに示される周波数チャネルCH5を送信した無線通信装置100Aとは別の無線通信装置100Cに送信する。これにより、無線通信装置100Cは、自身の周辺にはない無線通信装置100Aのエリアに入っている既存システム101Aで利用されている周波数チャネルCH5を知ることが可能となる。同様に、無線通信装置100Bの送受信手段1が、時刻t2における新規の周波数リストを、当該新規のリストに示される周波数チャネルCH1を送信した無線通信装置100Cとは別の無線通信装置100Aに送信する。これにより、無線通信装置100Aは、自身の周辺にはない無線通信装置100Cのエリアに入っている既存システム101Cで利用されている周波数チャネルCH1を知ることが可能となる。
なお、図13〜15を用いた以上の説明では、無線通信装置100A〜100Cのそれぞれにおける周波数リストにおいて、検出周波数チャネルと、受信周波数チャネルとを区別せずに「1」と設定したが、これに限ったものではない。例えば、図16に示すように、各周波数リストにおいて、マージ処理する際に、検出周波数チャネルを「1」と設定し、受信周波数チャネルを「2」と設定してもよい。また、マージ処理の対象となる周波数チャネルが、変調方式や通信フレームから自システムで通信チャネルとして利用されている周波数チャネルであるかを判別して、自システムで通信チャネルとして利用されている周波数チャネルを「3」と設定してもよい。
また、図示はしていないが、同一周波数チャネルにおいて「1」〜「3」のいずれかが重複した場合には、通信禁止を示す「4」を当該周波数チャネルに設定し、自システムにおいて、「4」が設定された周波数チャネルを一定時間利用停止するようにしてもよい。
<マージの解除>
例えば、図15に示される状態の後、無線通信装置100Aが移動して、既存システム101Bから遠くなったにもかわらず、その周波数リストにおいて、当該既存システム101Bに係る受信周波数チャネルがそのまま保持され続けると、無線通信装置100Aが利用できる周波数チャネルが必要以上に制限されてしまう。そこで、本実施の形態に係る無線通信装置100aでは、マージ処理された新規の周波数リストにおいて、当該マージを解除する動作も行う。
図17は、周波数リストにおける周波数チャネルの当該マージ解除を示す図である。なお、図17以降において、「Idle」及び「Busy」は、図13等で示した周波数リストの「0」及び「1」にそれぞれ相当する。
周波数制御手段4(周波数リスト処理部41)は、送受信手段1が、受信周波数チャネルを受信してから、図示しないタイマーにより計時される一定時間内に、当該受信周波数チャネルと同じ周波数チャネルを検出周波数チャネルとして検出するかを判断する。例えば、図17において、周波数制御手段4は、周波数チャネルCH1が受信周波数チャネルとして受信された時点からX秒内に、周波数チャネルCH1が検出周波数チャネルとして検出されるかを判断する。
周波数制御手段4は、検出したと判断した場合には、新規の周波数リストにおける当該受信周波数チャネルを「Busy」状態にし、タイマーを再スタートさせる。
一方、周波数制御手段4は、検出しなかったと判断した場合には、新規の周波数リストにおける、一定時間が経過した受信周波数チャネルのマージを解除する。例えば、図17において、周波数制御手段4は、周波数チャネルCH1が受信周波数チャネルとして検出された時点からX秒内に、検出周波数チャネルとして検出さなかった場合に、新規の周波数リストにおける周波数チャネルCH1を「Idle」状態にする。
このような無線通信装置100においては、周波数リストにマージされた周波数チャネルのうち、自身の周辺に存在しなくなった可能性が高い既存システム101の周波数チャネルについてマージを解除することができる。したがって、無線通信装置100が利用できる周波数チャネルが必要以上に制限されるのを抑制することができる。
なお、このようなマージ解除においては、検出周波数チャネルと、受信周波数チャネルとが区別される必要があることから、当該マージ解除を望む場合には、図16に示したように、マージ処理において検出周波数チャネル及び受信周波数チャネルを互いに区別可能にしておく必要がある。
また、ここでは、マージ解除に関する一定時間はタイマーで計時するものとしたが、これに限ったものではない。例えば、受信周波数チャネルの受信時刻を管理し、次にマージするタイミングにおいて、受信時刻と現在時刻との差が一定以上か否かを判定して、その周波数チャネルを「Idle」状態に戻すものであってもよい。また、次にマージするタイミングにおいて、過去の受信周波数チャネルを「Idle」状態に戻し、最新の受信周波数チャネルのみを「Busy」状態にするのであってもよい。
さて、図15に示される状態の後、無線通信装置100Aが移動して、既存システム101Aから遠くなったにもかかわらず、その周波数リストにおいて、当該既存システム101Aに係る検出周波数チャネルがそのまま保持され続けると、無線通信装置100Aが利用できる周波数チャネルが必要以上に制限されてしまう。そこで、本実施の形態に係る無線通信装置100aでは、マージ処理された新規の周波数リストにおいて、当該マージを解除する動作を行う。
図18は、周波数リストにおける周波数チャネルの当該マージ解除を示す図である。なお、図18に示されるように、無線通信装置100aの情報格納手段3においては、最新の検出周波数チャネルと、それ以前に検出された過去の検出周波数チャネルとを区別して保持しておく。
周波数制御手段4(周波数リスト処理部41)は、送受信手段1が、検出周波数チャネルを検出してから、図示しないタイマーにより計時される一定時間内に、当該検出周波数チャネルと同じ周波数チャネルを、最新の検出周波数チャネルとして検出するかを判断する。例えば、図18において、周波数制御手段4は、周波数チャネルCH1が過去の検出周波数チャネルとして検出された時点からX秒内に、周波数チャネルCH1が最新の検出周波数チャネルとして検出されるかを判断する。
周波数制御手段4は、検出したと判断した場合には、新規の周波数リストにおける当該過去の検出周波数チャネルを「Busy」状態にし、タイマーを再スタートさせる。
一方、周波数制御手段4は、検出しなかったと判断した場合には、新規の周波数リストにおける、一定時間が経過した過去の検出周波数チャネルのマージを解除する。例えば、図18において、周波数制御手段4は、周波数チャネルCH1が過去の検出周波数チャネルとして検出された時点からX秒内に、新規の検出周波数チャネルとして検出されなかった場合に、新規の周波数リストにおける周波数チャネルCH1を「Idle」状態にする。
このような無線通信装置100においては、周波数リストにマージされた周波数チャネルのうち、自身の周辺に存在しなくなった可能性が高い既存システム101の周波数チャネルについてマージを解除することができる。したがって、無線通信装置100が利用できる周波数チャネルが必要以上に制限されるのを抑制することができる。
なお、ここでは、マージ解除に関する一定時間はタイマーで計時するものとしたが、これに限ったものではない。例えば、検出周波数チャネルの検出時刻を管理し、次にマージするタイミングにおいて、検出時刻と現在時刻との差が一定以上か否かを判定して、その周波数チャネルを「Idle」状態に戻すものであってもよい。
以上のような本実施の形態に係る無線通信装置100によれば、自身が検出した検出周波数チャネルと、自身の周辺に存在する他の無線通信装置100からの受信周波数チャネルと、周波数リストが示すリスト周波数チャネルとに基づいて新規の周波数リストを作成する。自身の周辺に存在する他の無線通信装置100からの周波数チャネルは、将来的に自身が検出する可能性が高いことから、本実施の形態に係る無線通信装置100においては、既存システム101で利用されている周波数チャネルを効率よく取得することができる。また、無線通信装置100は、既存システム101で利用されている周波数チャネルを示す周波数リストに基づいて、送受信手段1が利用する周波数チャネル(ここでは通信チャネル)を切り替える。したがって、既存システム101の無線通信との電波干渉を回避しつつ、他の無線通信装置100と無線通信を行うことができる。
なお、以上の説明においては、図11に示したように、周波数切替制御部40は、周波数スキャンを行う際に、送受信手段1で利用する周波数チャネルを、周波数リスト内の全ての周波数チャネルのいずれか1つに順に切り替えていくように周波数切替部12に要求した。しかし、これに限ったものではなく、周波数切替制御部40は、周波数リスト内の周波数チャネルうち、マージされている周波数チャネルを除いて切り替えるように周波数切替部12に要求してもよい。このようにすれば、周波数スキャンの際に切り替えるべき周波数チャネルの数を減らすことができることから、周波数スキャンにかかる時間を少なくすることができる。
なお、本実施の形態では、既存システム101に割り当てられている複数の周波数チャネルのうち、既存システム101で利用されている周波数チャネルと電波干渉しない周波数チャネルを、通信チャネルの周波数として利用した。しかしこれに限ったものではなく、制御チャネルの周波数として利用するものであってもよい。また、自システムを構成する無線通信装置100同士の電波干渉については、公知の技術を用いればよい。
<実施の形態2>
図19は、本実施の形態2に係る無線通信装置100aの構成を概略的に示すブロック図であり、図20は、その構成を詳細に示すブロック図である。以下、本実施の形態に係る無線通信装置100aにおいて、実施の形態1に係る無線通信装置100aと同じ構成要素については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
図19に示されるように、本実施の形態に係る無線通信装置100aは、実施の形態1に係る無線通信装置100aの構成に、外部入力手段5が加わった構成となっている。この外部入力手段5は、無線通信装置1と同じ車両に搭載された外部装置110から様々な情報を取得し、その情報うち必要な情報を情報格納手段3に格納したり、周波数制御手段4に出力したりする。
ここで、本実施の形態では、外部装置110は、例えば、車両センサ、GPS(Global Positioning System)、カーナビゲーションシステム、他の通信装置、ミリ波レーダ、DSRC車載器を含んでいるものとする。この外部装置110は、サーバーや路側装置から第4周波数チャネル(以下、「外部周波数チャネル」と呼ぶこともある)を取得する。また、外部装置110は、座標系(ここでは地球上の経度・緯度)上における車両の位置を示すGPS位置情報、車両の進行方向、経路案内情報、及び、地図情報を取得する。
図20に示されるように、この外部入力手段5は、外部要求入力部50と、外部情報入力部51とを備えている。なお、同図に示されるように、本実施の形態に係る周波数制御部4は、実施の形態1に係る周波数制御部4の構成に、外部情報取得部42が加わった構成となっている。
外部要求入力部50は、外部装置110、システム利用者、他システム、及び、車両のアプリケーションから情報送信要求を受けると、送信要求入力部20が送信要求を生成するように、送信要求入力部20に対して要求する。
外部情報入力部51は、外部装置110が取得した、外部周波数チャネル、GPS位置情報、車両の進行方向、経路案内情報、及び、地図情報を含む様々な情報を車両情報格納部30に格納する。なお、外部情報入力部51は、外部装置110が取得した当該様々な情報を周期的に車両情報格納部30に格納してもよいし、当該情報が変化した場合に車両情報格納部30に格納してもよい。また、外部情報入力部51は、外部情報取得部42からの要求に応じて、外部装置110が取得した外部周波数チャネル、GPS位置情報、車両の進行方向、経路案内情報、及び、地図情報等を外部情報取得部42に出力する。
次に、本実施の形態に係る無線通信装置100の動作を、実施の形態1に係る無線通信装置100と異なる点を中心に説明する。
図8に示されるステップS302において説明したように、実施の形態1に係る無線通信装置100では、送信要求入力部20が管理する送信トリガーたる送信要求が生成されるタイミングで、送信情報生成部21が送信情報を生成していた。それに対し、本実施の形態に係る無線通信装置100では、外部要求入力部50が送信要求入力部20に対して送信要求の生成を要求することから、上述のタイミングだけでなく、外部要求入力部50が送信要求入力部20に対して送信要求の生成を要求するタイミングにおいても、送信情報生成部21が送信情報を生成することになる。
また、実施の形態1に係る無線通信装置100では、図11を用いて説明したように、ステップS504の後、ステップS505,S506において、周波数リスト処理部41が周波数リストに対してマージ処理を行っていたが、本実施の形態に係る無線通信装置100では、ステップS504の後、以下で説明する動作が、ステップS505,506と選択的に行われる。
外部情報取得部42は、外部情報入力部50から受け取った外部周波数チャネルを周波数リスト処理部41に出力する。そして、周波数リスト処理部41は、外部情報取得部42からの外部周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして、新規の周波数リストを作成する。
このような本実施の形態に係る無線通信装置100によれば、検出周波数チャネル、受信周波数チャネル、リスト周波数チャネルだけでなく、外部周波数チャネルもマージする。したがって、送受信手段1が、既存システム101で利用されている周波数チャネルを取得できない場合であっても、それに相当する外部周波数チャネルを取得することができる。よって、実施の形態1に係る無線通信装置100よりも、既存システムの無線通信との電波干渉を確実に回避しつつ、他の無線通信装置100と無線通信を行うことができる。
次に、本実施の形態に係る無線通信装置100のもう一つの動作について説明する。まず、検出周波数チャネルが検出された場合に、外部情報取得部42が、その直前または直後に外部情報入力部51から受け取ったGPS位置情報と一対一で対応付けて、当該検出周波数チャネルを第5周波数チャネル(以下、「保存周波数チャネル」と呼ぶこともある)として保存していく。これにより、図21に示されるようなテーブルが保存される。そして、ステップS504の後、以下で説明する動作が、ステップS505,506と選択的に行われる。
外部情報入力部51が、外部情報取得部42が保存したGPS位置情報と同じGPS位置情報を外部装置110から取得した場合に、外部情報取得部42が、当該GPS位置情報に予め対応付けられた保存周波数チャネルを取得する。そして、外部情報取得部42が、取得した保存周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして、新規の周波数リストを作成する。
このような本実施の形態に係る無線通信装置100によれば、検出周波数チャネル、受信周波数チャネル、リスト周波数チャネルだけでなく、保存周波数チャネルもマージする。したがって、送受信手段1が、既存システム101で利用されている周波数チャネルを取得できない場合であっても、それに相当する保存周波数チャネルを取得することができる。よって、実施の形態1に係る無線通信装置100よりも、既存システムの無線通信との電波干渉を確実に回避しつつ、他の無線通信装置100と無線通信を行うことができる。
なお、外部情報入力部51が、上述のGPS位置情報を外部装置110から取得する際に、車両の進行方向、経路案内情報及び地図情報も外部装置110から取得していた場合には、外部情報取得部42は、保存周波数チャネルのうち、当該進行方向、経路案内情報及び地図情報に関する周波数チャネルのみを取得してもよい。そして、外部情報取得部42が、取得した当該保存周波数チャネルと、周波数リスト格納部31に格納されている周波数リストが示すリスト周波数チャネルとをマージして、新規の周波数リストを作成してもよい。
このような本実施の形態に係る無線通信装置100によれば、周波数リストに、自身の周辺に存在する可能性が高い既存システム101に係る周波数チャネルをマージすることができる。換言すれば、自身の移動方向に存在する可能性が高い既存システム101の周波数チャネルのみを周波数リストにマージすることができるので、必要以上に周波数チャネルがマージされるのを抑制することができる。
<実施の形態3>
図22は、本実施の形態3に係る無線通信装置100aの構成を詳細に示すブロック図である。以下、本実施の形態に係る無線通信装置100aにおいて、実施の形態1に係る無線通信装置100aと同じ構成要素については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
図22に示されるように、本実施の形態に係る無線通信装置100aの周波数制御手段4は、実施の形態1に係る周波数制御手段4の構成に、時刻同期処理部43が加わった構成となっている。また、本実施の形態に係る送信要求入力部20は、時刻同期を実施するために必要な時刻情報の送信要求を生成する。ここで、時刻情報とは、GPSから取得できる時刻、つまり協定世界時(UTC:Universal Time Coordinated)や、車両内で管理する内部時刻などを示す情報である。
時刻同期制御部43は、無線通信装置100aの送受信手段1と周辺装置100bのそれぞれが同期して周波数スキャンを行うことができるように、周辺装置100bから受信した時刻情報と、無線通信装置100aで管理する時刻情報とを利用して時刻同期を行う。
なお、本実施の形態に係る無線通信装置100では、図9に示される送信情報の周波数切替フラグがSwitchを示す場合には周波数切替を実行し、当該周波数切替フラグがScanを示す場合には周波数スキャンを実行する。そして、送信情報の周波数切替フラグがScanを示す場合には、図9に示される送信情報での周波数切替タイミングが格納される部分には、周波数スキャンタイミングが格納される。ここで、周波数スキャンタイミングは、無線通信装置100aの送受信手段1及び周辺装置100bのそれぞれが、検出周波数チャネル及び受信周波数チャネルを検出するスキャンを同時に行うためのタイミングを示す。
なお、図9に示される周波数切替タイミングに、周波数スキャンタイミングの情報を格納する動作は、送信情報を生成する情報処理手段2によって行われる。換言すれば、本実施の形態においては、情報処理手段2は、周波数スキャンタイミングを、送信情報に含めるものとなっている。
図23は、無線通信装置100aにおける周波数制御手段4の時刻同期制御部43の動作を示すフローチャートである。以下、この図23を用いて、無線通信装置100aにおける周波数制御手段4の時刻同期制御部43の動作を説明する。
まず、ステップS601にて無線通信装置100aが起動した後、ステップS602において、時刻同期制御部43は、周辺装置100bからの時刻情報の受信待ちとなる。同ステップS602において、周辺装置100bからの時刻情報を受信したと判断した場合にはステップS603に進み、周辺装置100bからの時刻情報を受信しなかったと判断した場合にはステップS608に進む。
ステップS602後のステップS603において、時刻同期制御部43は、時刻同期が実施されたことがあるかを確認する。同ステップ603において、時刻同期が一度も実施されていない場合にはステップS604に進み、時刻同期が実施されたことがある場合にはステップS607に進む。
ステップS604において、時刻同期制御部43は、受信した時刻情報と、無線通信装置100aの車両内で管理している時刻情報とを比較し、ステップS605において、時刻同期処理を実施する。その後、ステップS606において、時刻同期制御部43は、時刻同期後のタイミングに基づいて、周波数切替タイミング及び周波数スキャンタイミングを取得するための計時を開始する。その後、ステップS602に戻る。
ステップS603後のステップS607において、時刻同期制御部43は、受信した送信情報に含まれる周波数チャネル情報を利用して周波数切替タイミング及び周波数スキャンタイミングの補正を行う。この補正については、後で図を用いて説明する。その後、ステップS602に戻る。
ステップS602後のステップS608において、時刻同期制御部43は、周波数切替タイミング及び周波数スキャンタイミング待ちとなる。同ステップS608において、時刻同期制御部43は、計時された時点が、周波数切替タイミング及び周波数スキャンタイミングのいずれかに該当すると判断した場合にはステップS609に進み、そうでない場合にはステップS602に戻る。
ステップS609において、時刻同期制御部43は、計時された時点が周波数切替タイミングである場合には、周波数切替制御部40に周波数切替タイミングであることを通知する。同様に、時刻同期制御部43は、計時された時点が周波数スキャンタイミングである場合には、周波数切替制御部40に周波数スキャンタイミングであることを通知する。その後、ステップS602に戻る。
なお、ステップS605における時刻同期処理は、送受信側の双方がGPSを有している場合には、周辺装置100bから受信したGPSからのUTCに基づいて時刻を同期させてもよいし、双方の内部時刻やUTCを時刻情報として交換することによって時刻を同期させてもよい。
なお、時刻情報は、周期的に送信してもよいし、送信要求入力部20が送信要求を生成した場合に送信してもよい。
図24は、ステップS607における時刻同期制御部43が行う補正処理の手順を示す図である。この図24においては、無線通信装置100A,100Bが互いに送受信する周波数スキャンタイミングを利用して、周波数スキャンを行うタイミングが同期するように補正が行われている。なお、この図24において、無線通信装置100A,100Bは、一方が無線通信装置100aに相当し、他方が周辺装置100bに相当するものとする。また、無線通信装置100A,100Bとの間においては、送受信が交互に切り替えて行われており、その切替が行われてから次に切替が行われるまでの時間幅、つまり、各時間帯T1〜T8のそれぞれの時間幅は50msecであるものとする。
まず、時間帯T2において、無線通信装置100Aは、無線通信装置100Bに周波数スキャンタイミングを送信している。ここで、無線通信装置100Aから無線通信装置100Bに送信される周波数スキャンタイミングは、当該周波数スキャンタイミングが送信されている時間帯T2の時点から170msec後、つまり、時間帯T6において周波数スキャンを行うことを示している。
一方、無線通信装置100Bは、送受信が切替わる時間帯T3において、無線通信装置100Bに周波数スキャンタイミングを送信しようとしている。ここで、無線通信装置100Bから無線通信装置100Aに送信しようとしている周波数スキャンタイミングは、当該周波数スキャンタイミングが送信されようとしている時間帯T3の時点から80msec後、つまり、時間帯T5において周波数スキャンを行うことを示している。
このような場合において、本実施の形態に係る無線通信装置100A,100Bは、なるべく早い時間帯において周波数スキャンをするように各装置で管理しているタイミングを補正する。図24に示す例では、時間帯T6よりも時間帯T5の方が早いから、時間帯T5で周波数スキャンをする周波数スキャンタイミングを送信した無線通信装置100Bにおいてはタイミングの補正を行わずに、時間帯6で周波数スキャンをする周波数スキャンタイミングを送信した無線通信装置100Aにおいてタイミングの補正を行う。このような補正処理により、周波数スキャンタイミングを同期させることができる。なお、ここでは、周波数スキャンタイミングを同期することについて説明したが、周波数切替タイミングを同期することも同様である。
このような本実施の形態に係る無線通信装置100によれば、無線通信装置100と他の無線通信装置100とが周波数チャネルをスキャンするタイミングは同時となる。したがって、無線通信装置100と他の無線通信装置100との間の無線通信が、周波数チャネルスキャンにより妨げられる時間を低減することができる。