JP2012053079A - ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法 - Google Patents

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正寛 市原
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Abstract

【課題】粘着剤層の粘着力が経時的に低下しにくく、偏光板にカールが生じにくいロール状偏光板のセットを提供する。
【解決手段】液晶セル40の背面側に貼合する第1のロール状偏光板71と、視認側に貼合する第2のロール状偏光板71´とからなり、第1のロール状偏光板71は、第1の外側樹脂フィルム25、第1の偏光フィルム21、第1の粘着剤層27、第1の離型フィルム80をこの順に積層した長尺の偏光板である。第2のロール状偏光板71´は、第2の外側樹脂フィルム35、第2の偏光フィルム31、第2の粘着剤層37、第2の離型フィルム90、をこの順に積層した長尺の偏光板である。ロール状偏光板71,71´の一方又は両方は、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム33を有しており、第2の位相差フィルム33は、有機物で修飾されていない無機層状化合物とセルロース誘導体との混合物からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法に関し、特に、液晶セルの一方の面側と他方の面側に貼合されるロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法に関する。
携帯電話,携帯情報端末,コンピュータ用のモニター,テレビなどの情報用表示デバイスとして、液晶表示装置(LCD)が使用されている。近年、消費電力が少なく、低電圧で駆動し、軽量かつ薄型の液晶表示装置が急速に普及してきている。液晶技術の進展に伴い、さまざまなモードの液晶表示装置が提案されており、応答速度やコントラスト、狭視野角といった液晶表示装置に特有の問題点が解消されつつある。しかしながら、液晶表示装置は、依然として陰極線管(CRT)に比べて視野角が狭いことが指摘されており、視野角拡大のための各種試みがなされている。
このような液晶表示装置の一つに、正又は負の誘電率異方性を有する棒状の液晶分子を基板に対して垂直に配向させた、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置がある。この垂直配向モードは、非駆動状態においては、液晶セルの液晶分子が基板に対して垂直に配向しているため、光は偏光の変化を伴わずに液晶層を通過する。このため、液晶パネルの上下に互いに吸収軸が直交するように直線偏光板を配置することで、正面から見た場合にほぼ完全な黒表示を得ることができ、高いコントラスト比を得ることができる。
しかしながら、液晶セルに偏光板のみを備えたVAモードの液晶表示装置では、それを斜めから見た場合に、配置された偏光板の軸角度が90°からずれてしまうこととセル内の棒状の液晶分子が複屈折を発現することに起因して光漏れが生じてしまう。その結果、見る角度によってコントラスト比の著しい変動や大きな色調変化を引き起こすという不具合があった。なお、このような液晶表示装置を斜めから見た場合のコントラスト比と色変化を「視野角特性」と呼ぶ。
この視野角特性の不具合を解消するためには、液晶セルと直線偏光板の間に光学補償フィルムを配置する必要がある。従来は、光学補償フィルムとして二軸性の位相差フィルムを液晶セルと上下の偏光板の間にそれぞれ1枚ずつ配置する仕様や、一軸性の位相差フィルムと完全二軸性の位相差フィルムを、それぞれ1枚ずつ液晶セルの上下に配置する仕様、2枚とも液晶セルの片側に配置する仕様などが採用されてきた。例えば、特許文献1には、垂直配向モードの液晶表示装置において、上下の偏光板と液晶セルの間に、それぞれAプレート(すなわち、正の一軸性位相差フィルム)とCプレート(すなわち、完全二軸性位相差フィルム)を配置することが記載されている。
従来、完全二軸性位相差フィルムとして、無機層状化合物のコーティング層を用いる技術が知られている。例えば、特許文献2と特許文献3には、セルロースアセテートなどのセルロースアシレートフィルムに、ポリビニルアルコールと無機層状化合物を含む被覆層を形成し、偏光板用保護フィルムとすることが開示されている。また、特許文献4には、無機層状化合物層を位相差フィルムとすることが開示されている。さらに、この文献には、水に膨潤又は分散することができる無機層状化合物にポリビニルアルコールなどの親水性樹脂を混合してコーティング層を形成し、位相差フィルムとすることも開示されている。また、特許文献5にも、ポリビニルアルコールと水膨潤性無機層状化合物を含む組成物を製膜して位相差フィルムとすることが開示されている。
これらの文献に開示される無機層状化合物は、そのままでは一般に親水性であることから、それにポリビニルアルコールなどの親水性樹脂が配合された組成物から製膜した光学フィルムや位相差フィルムは、耐水性が十分でないことがあった。そこで最近では、比較的良好な耐水性を有し、厚み方向位相差値を容易にコントロールできることから、無機層状化合物を有機修飾した有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂からなる塗工液をコーティングした位相差フィルムが広く用いられている。
例えば、特許文献6には、第一位相差板とコーティング層とを備えた複合位相差フィルムが開示されている。この文献には、面内に配向している透明樹脂フィルムからなる樹脂位相差フィルムに、屈折率異方性を有し、かつ有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体を含むコーティング位相差層を、粘着剤層(感圧接着剤層)を介して積層し、さらにそのコーティング位相差層の表面に粘着剤層を設けて複合位相差フィルムとすることが開示されている。また、特許文献7には、位相差板とコーティング層とを備えた複合偏光板が開示されている。この文献には、脂肪族ジイソシアネートをベースとするウレタン樹脂をバインダーとし、これと有機修飾粘土複合体とを含む組成物をフィルム状に形成して位相差フィルムとすることが開示されている。さらにこの文献には、位相差フィルムに第一の粘着剤層(感圧接着剤層)を介して偏光板を積層して複合偏光板とすることや、その位相差フィルム側に第二の粘着剤層(感圧接着剤層)を形成することも記載されている。
ところで、光学部材メーカーでは、液晶表示装置に用いられる偏光板などの光学機能を有する長尺の光学フィルムやそれらの積層体を、ロール状に巻き取りながら連続して製造するのが一般的である。このようにして製造された偏光板は、液晶パネル加工メーカーに納品され、液晶パネル加工メーカーにおいて液晶セルに貼合され、液晶パネルが製造される。従来、光学部材メーカーは、偏光板などの光学部品を液晶パネル加工メーカーに納品する際には、液晶パネル加工メーカーが所望する所定のサイズに長尺光学シートを打ち抜いて枚葉体の光学シートに加工し、これを検品した上で、数枚を重ねて梱包するようにしていた。
このように、光学部材メーカーにおいて、所定のサイズに打ち抜いて得られた光学シートを数枚重ねて梱包する際には、埃や汚れなどが生じないように、クリーン度の高い作業環境が求められている。また、輸送中に傷やクラックなどが生じないように、梱包資材は特別に選定され、梱包作業も入念に行う必要があった。一方、液晶パネル加工メーカーでは、厳重に梱包された光学シートを組み立て加工に用いるが、梱包が厳重であるため、梱包を解く作業が大変であり、かつ、梱包を解く作業は、傷やクラックが生じないように厳重に注意して行わなければならず、作業が煩雑となり生産性が落ちるとともに、作業者の負担が大きいものとなっていた。また、通常、梱包前、開梱後及び液晶パネル部材を貼合した後など、何度も検品することになるため、過剰検品という問題もあった。
これを解決する手段として、例えば、特許文献8には、偏光板を含む光学フィルムを備える2つのロールからなるロール原反セットを使用して、これらのロールを所定長さに切断し、各々の偏光板の吸収軸が直交するように光学表示ユニット(液晶セル)に貼り合わせる技術が開示されている。この技術によれば、貼り合わせの軸精度が良好になり、また装置内の汚染による欠点が発生しにくくなるとされている。しかしながら、本文献には、ロール原反セットとして、どのような材質、特性を有するものを用いれば、貼り合わせの軸精度が良好になり、装置内の汚染による欠点が発生しにくいのかについては、明確には考察されていない。
特開2001−109009号公報(請求項15、段落0036) 特開2008−15500号公報(請求項1,4,13) 特開2009−25671号公報(請求項1〜5) 特許第3060744号公報(請求項1、段落0022) 特開平10−10320号公報(請求項1) 特開2005−338215号公報(請求項1,4) 特開2006−10912号公報(請求項1,7,8) 特開2009−276751号公報(請求項1〜7)
特許文献6,7に記載される複合位相差フィルムや複合偏光板においては、有機修飾粘土複合体を含むコーティング位相差層の上に粘着剤層が形成されるが、粘着剤層の粘着力が経時的に低下する場合があった。この原因は明らかではないが、粘土複合体から遊離した有機物が理由の一つと考えられる。この粘着力の低下のため、コーティング位相差層と粘着剤層が接触した状態で長期間保管した後に粘着剤層を介してコーティング位相差層を液晶セルに貼合するとき、粘着剤層の粘着力が低下していたり、粘着剤層が部分的に抜け落ちやすくなって取扱い性が悪化したりする場合があった。また、コーティング位相差層を含む光学フィルムが液晶セルに貼合された液晶表示装置を高温高湿環境にさらしたときに、光学フィルムが液晶セルから剥離したりする場合があった。
また、このような偏光板は、偏光フィルムの片面のみに位相差フィルムが貼合されたり、偏光フィルムを挟んで異なる種類のフィルムが貼合されたりするなど、偏光フィルムを基準に表裏非対称な構造となっている。このような表裏非対称な偏光板は、枚葉に打ち抜かれた状態ではカールを起こしやすく、粘着剤層を介して枚葉の偏光板を液晶セルに貼合する際に、端部や中央部に気泡を噛み込むなどの不具合が生じやすい。また、枚葉の偏光板であると、偏光フィルム中の水分率の変化に伴い、カールが大きくなることもあり、これにより、液晶セルへの貼合が更に難しくなる。特に、保護フィルムの柔軟性が高い場合、このようなカールの影響は更に大きくなり、貼合がより困難になる。
本発明の目的は、粘着剤層の粘着力が経時的に低下しにくく、かつ偏光板のカールやこれに伴う偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを効果的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能なロール状偏光板のセット及びその製造方法を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、液晶セルから偏光板が剥がれにくく、かつ偏光板のカールやこれに伴う偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを効果的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能な液晶パネルの製造方法を提供することである。
上記課題は、本発明のロール状偏光板のセットによれば、液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;前記第1のロール状偏光板は、第1の外側樹脂フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムと、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;前記第2のロール状偏光板は、第2の外側樹脂フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムと、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の偏光フィルムと粘着剤層との間に配置された第1の位相差フィルムと、前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の前記偏光フィルムと前記粘着剤層との間であって、前記粘着剤層と接する位置に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、前記第1の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が10〜500nmの範囲にあり、前記第2の位相差フィルムは、有機物で修飾されていない無機層状化合物と、水酸基の置換度が2.1〜3.0であり数平均分子量が2万5千から12万の範囲にあるセルロース誘導体との混合物からなることにより解決される。
この場合、前記第2の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が10nm以下、厚み方向位相差値が40〜350nmの範囲にあるネガティブCプレートであると好適である。
また、前記第1の位相差フィルムは、以下のいずれかであることが好ましい。波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあるポジティブAプレート;波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が20〜500nmの範囲にあるポジティブBプレート;波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板;波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板;波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板と、波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板と、が積層された複合位相差板。
また、上記課題は、本発明のロール状偏光板のセットの製造方法によれば、液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットを製造する方法であって;ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程と、前記第1原反作製工程で得られる前記第1の偏光板長尺原反を前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅となるように切断する第1スリット工程と、前記第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程と、を備える第1のロール状偏光板製造工程;及びポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程と、前記第2原反作製工程で得られる前記第2の偏光板長尺原反を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断する第2スリット工程と、前記第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程と、を備える第2のロール状偏光板製造工程を含み、前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の偏光フィルムと粘着剤層との間に配置された第1の位相差フィルムと、前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の前記偏光フィルムと前記粘着剤層との間であって、前記粘着剤層と接する位置に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、前記第1の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が10〜500nmの範囲にあり、前記第2の位相差フィルムは、有機物で修飾されていない無機層状化合物と、水酸基の置換度が2.1〜3.0であり数平均分子量が2万5千から12万の範囲にあるセルロース誘導体との混合物からなることにより解決される。
また、上記課題は、本発明の液晶パネルの製造方法によれば、液晶セルの背面側に第1の偏光板を貼合し、前記液晶セルの視認側に第2の偏光板を貼合して、液晶パネルを製造する方法であって;前記液晶セルの短辺又は長辺のうち、上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットにおける第1のロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺が流れ方向の辺となるように前記液晶セルを搬送する液晶セルの第1搬送工程;前記第1のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で供給される前記液晶セルの背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程と、前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第1偏光板裁断工程と、前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程と、前記第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される前記液晶セルの背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程と、を備え、かつ前記第1偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第1偏光板裁断工程、前記第1偏光板位置合わせ工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板裁断工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板貼合工程、及び前記第1偏光板裁断工程の順に行われる第1偏光板供給貼合工程;前記液晶セルを、その長辺又は短辺方向のうち前記第1搬送工程とは反対の辺が流れ方向となるように搬送する液晶セルの第2搬送工程;及び上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程と、前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの長辺又は短辺のうち前記第2搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第2偏光板裁断工程と、前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程と、前記第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程と、を備え、かつ前記第2偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第2偏光板裁断工程、前記第2偏光板位置合わせ工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板裁断工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板貼合工程、及び前記第2偏光板裁断工程の順に行われる第2偏光板供給貼合工程を含むことにより解決される。
この場合、前記第1偏光板巻き出し工程及び前記第2偏光板巻き出し工程は、前記第1偏光板巻き出し工程で前記第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向と、前記第2偏光板巻き出し工程で前記第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向とが直交するように行われることが好ましい。
さらに、前記液晶セルは、VAモードの液晶セルであると好適である。
本発明のロール状偏光板のセット及びその製造方法によれば、第2の位相差フィルムに含まれる無機層状化合物が有機物で修飾されていないため、粘着剤層の粘着力が経時的に低下しにくい。このため、第2の位相差フィルムと粘着剤層との剥離や、液晶セルに貼合した際の液晶セルからの偏光板の剥離が生じにくい。さらに、本発明のロール状偏光板のセット及びその製造方法によれば、偏光フィルムを挟んで表裏非対称な長尺の偏光板を、枚葉に切り出すことなく液晶パネルの製造工程に供することが可能である。このため、偏光板のカールや偏光板貼合時に気泡や異物の噛み込みを効率的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能となる。
また、本発明の液晶セルの製造方法によれば、粘着剤層の粘着力が低下しにくいため、長期間使用しても偏光板を液晶セルから剥離しにくくすることが可能となる。さらに、本発明の液晶セルの製造方法によれば、上述したようなカールや偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを抑制しつつ偏光板を液晶セルへの貼合を行うことが可能となる。
ロール状偏光板のセットの断面模式図である。 ロール状偏光板のセットを用いた液晶パネル及び液晶表示装置の断面模式図である。 ロール状偏光板のセットの具体例である。 ロール状偏光板のセットの具体例である。 ロール状偏光板のセットの具体例である。 ロール状偏光板のセットの具体例である。 ロール状偏光板のセットの具体例である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法の一例を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、本発明は以下に説明する部材や配置等によって限定されず、これらの部材等は本発明の趣旨に沿って適宜改変することができる。
<ロール状偏光板のセット>
図1は、本発明の一実施形態におけるロール状偏光板のセットの断面模式図を示している。この図に示すように、本発明のロール状偏光板のセットは、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´の2つのロール状偏光板から構成される。後述する図2に示すように、これらのロール状偏光板71,71´は、液晶パネル2の構成部品として用いられる。液晶パネル2は、液晶セル40の両面に第1の偏光板20と第2の偏光板30を積層することにより作製できる。第1のロール状偏光板71、第2のロール状偏光板71´は、液晶パネル2のそれぞれ背面側偏光板、視認側偏光板を作製するための、長尺の偏光板を巻き取ったロールである。
ここで、「背面側偏光板」とは、液晶パネル2を液晶表示装置1に搭載した際にバックライト10側に位置する偏光板を意味し、「視認側偏光板」とは、液晶パネル2を液晶表示装置1に搭載した際に視認側(バックライト10とは反対側)に位置する偏光板を意味する。以下、各ロール状偏光板71,71´について詳細に説明する。なお、以下に説明するロール状偏光板のうち、外側樹脂フィルム25,35は、本発明において必須の構成要素ではなく、必要に応じて適宜設けることができる任意の構成要素である。
(第1のロール状偏光板)
第1のロール状偏光板71は、液晶パネル2の背面側偏光板(第1の偏光板20)として用いられるロール状の偏光板である。図1に示すように、第1のロール状偏光板71は、第1の外側樹脂フィルム25と、第1の偏光フィルム21と、第1の位相差フィルム23と、第1の粘着剤層27と、第1の離型フィルム80と、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成されている。第1のロール状偏光板71は、第1の偏光フィルム21の吸収軸が長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれている。第1のロール状偏光板71の巻き回し方向は、特に制限されないが、例えば第1の離型フィルム80の側が内側となるように巻き回すことができる。
ここで、「液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅」とは、第1のロール状偏光板71が貼り合わされる液晶セル40の長辺あるいは短辺の長さに応じて適切に設定された幅を指し、液晶セル40の長辺又は短辺の長さと第1のロール状偏光板71の幅とは必ずしも同じでなくてもよい。
(1)第1の偏光フィルム21
第1の偏光フィルム21としては、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができ、ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度であり、好ましくは1,500〜5,000程度である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、第1の偏光フィルム21の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば10〜150μm程度である。
第1の偏光フィルム21は、通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を経て製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。一軸延伸には、周速度の異なるロール間で一軸に延伸する方法や、熱ロールを用いて一軸に延伸する方法などが採用できる。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、水等の溶剤を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法により行うことができる。二色性色素として、具体的にはヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水に浸漬して膨潤させる処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10−4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10−3〜1重量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度であり、好ましくは150〜600秒程度、更に好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、第1の偏光フィルム21が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒である。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色とホウ酸処理が施され、第1の偏光フィルム21が得られる。第1の偏光フィルム21の厚みは、例えば2〜40μm程度とすることができる。
(2)第1の位相差フィルム23
第1の位相差フィルム23は、面内位相差値が10〜500nmの範囲にあり、光学異方性を有する樹脂フィルムである。本実施形態の第1の位相差フィルム23は、第1の偏光フィルム21の内側(液晶セル40側)に積層されている。第1の位相差フィルム23としては、光学補償機能を有する光学補償フィルムや、直交する偏光成分に位相差を生じさせる波長板などを用いることができる。
ここで、光学補償フィルムとしては、以下の位相差フィルムを例示することができる。
(a)波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあるポジティブAプレート;
(b)波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が20〜500nmの範囲にあるポジティブBプレート;
また、波長板としては、以下の位相差フィルムを例示することができる。
(c)波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板;
(d)波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板;
(e)波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板と、波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板とが積層された複合位相差板;
(a)ポジティブAプレート
ポジティブAプレートは、樹脂フィルムを一軸延伸した正の一軸延伸位相差フィルムであり、液晶セル40に貼合したときに視野角を広げる光学補償機能を有している。ポジティブAプレートは、樹脂を製膜した未延伸フィルムを一軸方向に延伸することで作製することができる。ポジティブAプレートは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をn、フィルムの厚み方向の屈折率をnとしたときに、「n>n=n」の関係となる位相差フィルムである。ポジティブAプレートとしては、波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜300nmの範囲内である。また、厚み方向位相差値は特に限定されない。N係数は、0.9〜1.1の範囲が好ましい。
なお、厚み方向の屈折率異方性は、式(2)により定義される厚み方向位相差値Rthで表される。厚み方向位相差値Rthは、面内位相差値R、遅相軸を傾斜軸として40°傾斜して測定した位相差値R40、フィルムの厚みd、フィルムの平均屈折率nを用いて、式(1)と次式(4)〜(7)から数値計算によりn、n、nを求め、これらを式(2)に代入して算出することができる。また、Nz係数=は、式(3)から算出することができる。以下、本明細書の他の記載において同様である。
0=(nx−ny)×d (1)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
z係数=(nx−nz)/(nx−ny) (3)
40=(n−ny′)×d/cos(φ) (4)
(n+n+n)/3=n (5)
ここで、
φ=sin−1[sin(40°)/n] (6)
y′=n×n/[n ×sin(φ)+n ×cos(φ)]1/2 (7)
市販の位相差測定装置では、ここに示した数値計算を装置内で自動的に行い、面内位相差値Rや厚み方向位相差値Rthなどを自動的に表示するようになっているものが多い。このような測定装置としては、例えば、KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を挙げることができる。
第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23(ポジティブAプレート)を積層する際の光軸は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に対してポジティブAプレートの遅相軸が0±0.5°、好ましくは0°であるか、あるいは90±0.5°、好ましくは90°となるように配置する。
(b)ポジティブBプレート
ポジティブBプレートは、樹脂フィルムを二軸延伸した正の二軸延伸位相差フィルムであり、液晶セル40に貼合したときに視野角を広げる光学補償機能を有している。ポジティブBプレートは、樹脂を製膜した未延伸フィルムを二軸方向に延伸することで作製することができる。ポジティブBプレートは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をn、フィルムの厚み方向の屈折率をnとしたときに、「n>n>n」の関係となる位相差フィルムである。ポジティブBプレートとしては、波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは100nm以下(0〜100nmの範囲)である。また、厚み方向位相差値は20〜500nmの範囲が好ましく、より好適には80〜300nmの範囲である。N係数は、2.0〜3.0の範囲が好ましく、より好ましくは2.3〜2.7の範囲内である。
第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23(ポジティブBプレート)を積層する際の光軸は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に対してポジティブBプレートの遅相軸が0±0.5°、好ましくは0°であるか、あるいは90±0.5°、好ましくは90°となるように配置する。
(c)1/4波長板
1/4波長板は、可視光の波長領域(380〜780nm)のいずれかの光に対してほぼ1/4波長(90°)の位相差を示す位相差板であり、直線偏光と円偏光を相互に変換する機能を有している。1/4波長板は、樹脂を製膜した未延伸フィルムを一軸又は二軸方向に延伸したり、斜め延伸したりすることで作製することができる。1/4波長板としては、波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは70〜160nmの範囲、更に好ましくは80〜150nmの範囲である。また、厚み方向位相差値は特に限定されない。N係数は、0.9〜1.1の範囲が好ましい。
第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23(1/4波長板)を積層する際の光軸は、第1の偏光板20を円偏光板とする場合、第1の偏光フィルム21の吸収軸を基準に反時計回りを正として第1の偏光フィルム21の吸収軸を回転させたときに、1/4波長板の遅相軸に至る角度が35〜55°、好ましくは45°となるように配置する。あるいは、上記と同じように第1の偏光フィルム21の吸収軸を回転させたときに、1/4波長板の遅相軸に至る角度が125〜145°、好ましくは135°となるように配置する。なお、これらの角度は、第1の偏光フィルム21側から1/4波長板の方向を見たときの回転角度を基準としている。
(d)1/2波長板
1/2波長板は、可視光の波長領域(380〜780nm)のいずれかの光に対してほぼ1/2波長(180°)の位相差を示す位相差板であり、直線偏光の向きを180°回転させる機能を有している。1/2波長板は、樹脂を製膜した未延伸フィルムを一軸又は二軸方向に延伸したり、斜め延伸したりすることで作製することができる。1/2波長板としては、波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは200〜300nmの範囲である。また、厚み方向位相差値は特に限定されない。N係数は、0.9〜1.1の範囲が好ましい。
第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23(1/2波長板)を積層する際の光軸は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に対して1/2波長板の遅相軸が0±0.5°、好ましくは0°であるか、あるいは90±0.5°、好ましくは90°となるように配置する。
(e)1/4波長板と1/2波長板とが積層された複合位相差板
第1の位相差フィルム23としては、1/4波長板と1/2波長板とが積層された複合位相差板であってもよい。1/4波長板と1/2波長板のそれぞれの光学特性等については、上述した(c)、(d)と同様である。偏光板においては、1/2波長板が偏光フィルム側に、1/4波長板が液晶セル40側に位置するように配置される。
第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23(1/4波長板と1/2波長板の複合位相差板)を積層する際の光軸は、第1の偏光板20を円偏光板とする場合、第1の偏光フィルム21の吸収軸を基準に反時計回りを正として第1の偏光フィルム21の吸収軸を回転させたときに、1/2波長板の遅相軸に至る角度が5〜25°、好ましくは15°となり、1/4波長板の遅相軸に至る角度が65〜85°、好ましくは75°となるように配置する。あるいは、上記と同じように第1の偏光フィルム21の吸収軸を回転させたときに、1/2波長板の遅相軸に至る角度が155〜175°、好ましくは165°となり、1/4波長板の遅相軸に至る角度が95〜115°、好ましくは105°となるように配置する。なお、これらの角度は、第1の偏光フィルム21側から1/4波長板や1/2波長板の方向を見たときの回転角度を基準としている。
以上が第1の位相差フィルム23の具体的な種類ごとの説明である。なお、第1の位相差フィルム23は、JIS L 1096に準処して測定されるガーレ法剛軟度が350mgf以下であることが好ましく、200mgf以下であることがより好ましく、更には150mgf以下であることが一層好ましい。このように、剛軟度が小さいフィルムを使用することにより、得られる第1のロール状偏光板71の剛性が低減されるため、液晶セル40に貼合する際のハンドリング性を向上させることができる。
第1の位相差フィルム23を構成する樹脂材料は特に限定されない。このような樹脂材料の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂〔(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂を意味する〕、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、透明性や偏光フィルムとの接着性を阻害しない範囲で、添加物を含有することができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂は、必要に応じてゴム微粒子を配合した材料でもよい。ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂は、靭性が高くなり、フィルムの薄肉化を可能にする。
上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他の共重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、イソフタル酸、4,4´−ジカルボキシジフェニール、4,4´−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等のジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、上記カルボン酸成分やジオール成分と共に、p−ヒドロキシ安息香酸やp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することも可能である。他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分及び/又はジオール成分が用いられてもよい。
上記セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部又は全部がアセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステル又はセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、及びそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、第1の偏光フィルム21との接着性が良好なトリアセチルセルロースが好ましく用いられる。このようなセルロース系樹脂を用いた透明保護フィルムの市販品としては、コニカミノルタオプト(株)製のコニカミノルタタックフィルムシリーズ、富士フイルム(株)製のフジタックシリーズなどがある。
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン又は他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した環状オレフィン系樹脂や、エチレン又はプロピレン等の鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した鎖状オレフィン系樹脂が挙げられる。
ここで、環状オレフィン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンとオレフィン類とからディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネン又はその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンとオレフィン類又はメタクリル酸エステル類とからディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセン又はその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添よって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン及びそれらの誘導体類並びにその他の環状オレフィンモノマーから選択される2種以上を用いて同様に開環メタセシス共重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン又はそれらの誘導体に、ビニル基を有する芳香族化合物等を付加共重合させて得られる樹脂等が挙げられる。
また、鎖状オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が例示される。
ポリプロピレン系樹脂を第1の位相差フィルム23の構成樹脂として選択した場合、以下のような優位点がある。すなわち、ポリプロピレン系樹脂は、光弾性係数が2×10−13cm/dyne前後と小さく、また、透湿度が低いため、それを液晶セル40に適用することにより、湿熱条件での耐久性に優れた液晶表示装置1とすることができる。さらに、ポリプロピレン系樹脂フィルムの偏光フィルムに対する接着性は、トリアセチルセルロースフィルムほどではないにしても良好であり、公知の各種接着剤を用いた場合に、ポリプロピレン系樹脂フィルムを十分な強度でポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに接着することができる。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量共重合させたものであってもよい。共重合体からなるポリプロピレン系樹脂は、コモノマーユニットを、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下の範囲で含有する樹脂であってもよい。また、共重合体におけるコモノマーユニットの含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。コモノマーユニットの含有量を1重量%以上とすることにより、加工性や透明性を有意に向上させ得る。一方、コモノマーユニットの含有量が20重量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂の融点が下がり、耐熱性が低下する傾向にある。なお、2種以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含有量が、上記範囲であることが好ましい。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、例えば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであってもよい。α−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C);
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C);
1−ノネン(C);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);
1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
上記α−オレフィンの中でも、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが好ましく、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテン及び1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含有量や1−ブテンユニットの含有量は、例えば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
第1の位相差フィルム23の透明度や加工性を上げる観点から、共重合体は、プロピレンを主体とするプロピレンとエチレン又は上記α−オレフィンとのランダム共重合体であることが好ましく、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であることがより好ましい。プロピレン/エチレンランダム共重合体におけるエチレンユニットの含有量は、上述のとおり、1〜20重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましく、3〜7重量%であることが更に好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。本発明においては、耐熱性の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜200g/10分の範囲内であることが好ましく、0.5〜50g/10分の範囲内であることがより好ましい。MFRがこの範囲内にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく、均一なポリプロピレン系樹脂フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって、製造することができる。公知の重合用触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、ポリプロピレン系樹脂の製造においては、上記(2)の触媒系が最も一般的に使用できる。上記(2)の触媒系における有機アルミニウム化合物の好ましい例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物の好ましい例としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
上記(1)及び(2)の固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられる。また、上記(3)のメタロセン系触媒としては、例えば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
ポリプロピレン系樹脂には、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸等の高級脂肪酸及びその塩などが挙げられる。造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカン等の高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。上記の添加物は、複数種が併用されてもよい。
上述した樹脂材料は、任意の方法で製膜し、これを延伸することで第1の位相差フィルム23を作製することができる。未延伸フィルムを製膜する方法としては、例えば、溶融樹脂からの押出成形法や、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などが挙げられる。
押出成形により未延伸フィルムを製造する方法について、詳しく説明する。押出成形においては、樹脂材料は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、溶融状シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。例えば単軸押出機を用いる場合は、スクリューの長さLと直径Dとの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積Vと樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積Vとの比である圧縮比V/Vが1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ又はマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。樹脂材料の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36であり、圧縮比V/Vが2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。
また、樹脂材料の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気又は真空にすることが好ましい。さらに、樹脂材料が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下程度のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの設置により押出機先端部分の樹脂圧力を高めることは、当該先端部分での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融した樹脂材料との摩擦係数の小さい材料でめっき又はコーティングされ、更にリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(i)又は(ii)を満たすことが好ましく、更には条件(iii)又は(iv)を満たすことがより好ましい。
(i)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm、
(ii)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm、
(iii)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm、
(iv)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm。
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な未延伸フィルムを得ることができる。
なお、樹脂材料の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、樹脂材料中の異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
未延伸フィルムは、Tダイから押出された溶融状シートを、金属製冷却ロール(チルロール又はキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間で挟圧し、冷却固化させることにより得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は、通常、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に、溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、溶融状シートとタッチロールとの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
上記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで溶融状シートを冷却固化させるに際しては、冷却ロール及びタッチロールの表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させることが好ましい。例えば、両ロールの表面温度は0℃以上30℃以下の範囲に調整されることが好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、樹脂材料中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなることがある。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面が結露して水滴が付着し、得られるフィルムの外観を悪化させる傾向がある。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態が未延伸フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られる未延伸フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.4S以下であることが好ましく、更には0.05S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のタッチロールを用いることにより、溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を生じさせることなくフィルムに成形することが容易となる。
線圧は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とすることが好ましく、100N/cm以上250N/cm以下とすることがより好ましい。線圧を上記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながら未延伸フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で、溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、溶融状シートと強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。二軸延伸フィルムの厚みは、通常5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)は、200mm以下とすることが好ましく、160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを上記のように短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、及び使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
未延伸フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻き取り機に巻き取られてロール状保護フィルムとなる。なお、巻き取りの際、未延伸フィルムを使用するまでの間、その表面を保護するために、その片面又は両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼合した状態で巻き取ってもよい。溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
未延伸フィルムを構成する樹脂材料は、上述した樹脂材料を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの樹脂材料は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもできる。このポリマー変性としては、共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性制御、及び異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
第1の位相差フィルム23は、上記工程で得られた未延伸フィルムに一軸延伸、二軸延伸など公知の延伸処理を施すことで製造することができる。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。また、延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向などが挙げられる。これらのうち、特に、第1の位相差フィルム23としてポジティブAプレートやポジティブBプレートを使用する際には、機械流れ方向(MD)やこれに直交する方向(TD)に一軸又は二軸延伸する方法が好ましい。この場合、例えば、固定端延伸が好ましい。
また、第1の位相差フィルム23として波長板を使用する場合は、後述するロール・トゥ・ロール貼合方式により第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23を貼合することが好ましい。この場合、機械流れ方向(MD)に斜交する方向に斜め延伸することで第1の位相差フィルム23を製造することが好ましい。以下、この固定端延伸と斜め延伸による第1の位相差フィルム23の製造方法について詳細に説明する。
(固定端延伸)
第1の位相差フィルム23は、未延伸フィルムを直接、固定端延伸することにより得ることができる。ここで、固定端延伸とは、未延伸フィルムの両端を固定しておき、固定された両端間の距離を広げながら未延伸フィルムに熱を与えることにより、広げた方向に未延伸フィルムを延伸する方法である。
光学的に均一性が高い延伸フィルムが得られやすいことから、固定端延伸としては固定端横延伸が好ましい。代表的な固定端横延伸の方法としては、テンター法が挙げられる。テンター法は、フィルム幅方向の両端をチャックで固定したフィルムを、チャック間隔を広げながらオーブン中で延伸する方法である。
通常、固定端横延伸は以下の工程を有する。
(i)オレフィン系樹脂の融点付近の温度で未延伸フィルムを予熱する予熱工程;
(ii)予熱された未延伸フィルムを横方向(フィルムの幅方向)に固定端延伸する延伸工程;
(iii)横方向に延伸された延伸フィルムを熱固定する熱固定工程。
テンター法に用いる延伸機(テンター延伸機)としては、予熱工程を行うゾーン、延伸工程を行うゾーン、熱固定工程を行うゾーンにおいて、それぞれの温度を独立に調節できる機構を備えたものが好ましい。このようなテンター延伸機を用いて固定端横延伸を行うことにより、光学的に均一性が高い延伸フィルムを得ることができる。上記(i)〜(iii)の工程のうち、最も重要な工程は(ii)の工程であり、(i)と(iii)の工程は、高温環境下における透過率と透明性の低下が抑制された延伸フィルムを得るために適宜付加される。
(i)予熱工程
本工程は、固定端延伸を行う延伸工程(ii)の前に行われる工程であり、未延伸フィルムを延伸するのに十分な温度まで加熱する工程である。予熱工程での予熱温度は、オーブンの予熱工程を行うゾーンにおける雰囲気温度を意味し、オレフィン系樹脂からなる未延伸フィルムの融点付近の温度が好ましい。具体的には、90〜180℃の範囲内の温度、好ましくは110〜160℃の範囲内の温度で予熱を行う。予熱温度が90℃に満たないと、未延伸フィルムに熱が十分に与えられず、続く延伸工程(ii)で未延伸フィルムが固定端横延伸されるときに応力が不均一にかかり、得られる延伸フィルムの光学的な均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、予熱温度が180℃を超えると、必要以上に熱が未延伸フィルムに与えられるため、未延伸フィルムが部分的に溶融してドローダウンする(下に垂れる)場合がある。テンター延伸機の予熱工程を行うゾーンが2ゾーン以上に分かれている場合、それぞれのゾーンの予熱温度は同じでもよいし、異なっていてもよい。
予熱工程での未延伸フィルムの滞留時間は、10〜120秒であることが好ましく、より好ましくは30〜90秒、更に好ましくは30〜60秒である。滞留時間とは、未延伸フィルムがテンター延伸機の予熱工程を行うゾーン内に存在する時間を意味する。予熱工程での滞留時間が10秒に満たないと、未延伸フィルムに熱が十分に与えられず、続く延伸工程(ii)で未延伸フィルムが固定端横延伸されるときに応力が不均一にかかり、得られる延伸フィルムの光学的な均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、滞留時間が120秒を超えると、必要以上に熱が未延伸フィルムに与えられるため、未延伸フィルムが部分的に溶融してドローダウンする場合がある。
(ii)延伸工程
予熱された未延伸フィルムは、本工程で横方向(フィルムの幅方向)に固定端延伸される。ここで、本工程における延伸温度は100℃以上170℃以下、好ましくは110℃以上160℃以下とされ、かつ、延伸倍率は1.3倍以上、好ましくは1.5倍以上としている。これにより、得られる延伸フィルムは、高温環境下に晒されたときの透過率と透明性の低下が抑制される。具体的には、得られた延伸フィルムを100℃で150時間保持することによるヘイズ値の変化が%表示のヘイズ値の差で0.5ポイント以下、更には0.3ポイント以下とすることができる。
ここで、「ヘイズ値の変化が%表示のヘイズ値の差で0.5ポイント以下」とは、この延伸フィルムを100℃で150時間保持したときに、この保持後の延伸フィルムが示すヘイズ値(単位%)と、保持前の延伸フィルムが示すヘイズ値(単位%)との差が0.5以下であることを意味する。なお、ヘイズ値は、JIS K 7361に準拠して測定される。
ここで、延伸温度とは、オーブンの延伸工程を行うゾーンにおける雰囲気温度を意味する。また、延伸倍率とは、未延伸フィルムの延伸方向における長さに対する固体端延伸後の延伸フィルムの延伸方向における長さの比を意味する。テンター延伸機を用いた固定端横延伸における延伸倍率は、テンター延伸機入口におけるチャックにて固定された未延伸フィルム両端間の距離に対するテンター延伸機出口におけるチャックにて固定された延伸フィルム両端間の距離の比である。延伸温度や延伸倍率が上記範囲を超えると、高温環境下に晒されたときのヘイズ値が顕著に増加するため好ましくない。
延伸工程(ii)における延伸温度は、上記範囲内であれば特に制限されず、例えば、上記範囲内に属する一定温度であってもよいし、あるいは、上記範囲内において延伸温度を徐々に若しくは段階的に変化させてもよい。また、テンター延伸機の延伸工程を行うゾーンが2ゾーン以上に分かれている場合、それぞれのゾーンの延伸温度は同じでもよいし、異なっていてもよい。
延伸工程(ii)でのフィルムの滞留時間は、10〜1000秒が好ましく、30〜300秒であることがより好ましい。滞留時間とは、フィルムがテンター延伸機の延伸工程を行うゾーン内に存在する時間を意味する。延伸工程での滞留時間が10秒に満たないと、急延伸により延伸応力が強くなり、得られる延伸フィルムの光学的な均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、滞留時間が1000秒を超えると、生産性が落ちる問題がある。
(iii)熱固定工程
本工程は、延伸工程(ii)で延伸された延伸フィルムの光学的特性の安定性を効果的に確保するために実施される。この工程では、延伸工程(ii)における延伸フィルムの幅をそのまま保持した状態で、所定の熱固定温度のゾーンに通過させる。熱固定工程での熱固定温度は、オーブンの熱固定工程を行うゾーンにおける雰囲気温度を意味する。熱固定温度は、好ましくは60〜180℃の範囲内、より好ましくは80〜160℃の範囲内である。熱固定温度が60℃に満たないと、最終的に得られる延伸フィルムの熱安定性が不十分となる場合がある。また、熱固定温度が180℃を超えると、必要以上に熱が延伸フィルムに与えられるため、延伸フィルムが部分的に溶融してドローダウンする場合がある。なお、テンター延伸機の熱固定工程を行うゾーンが2ゾーン以上に分かれている場合、それぞれのゾーンの熱固定温度は同じでもよいし、異なっていてもよい。
熱固定工程での延伸フィルムの滞留時間は、10〜120秒であることが好ましく、より好ましくは30〜90秒、更に好ましくは30〜60秒である。滞留時間とは、延伸フィルムがテンター延伸機の熱固定工程を行うゾーン内に存在する時間を意味する。熱固定工程での滞留時間が10秒に満たないと、最終的に得られる延伸フィルムの熱安定性が不十分となる場合がある。また、滞留時間が120秒を超えると、生産性が落ちる問題がある。
(iv)熱緩和工程
固定端横延伸は、更に熱緩和工程を有してもよい。この熱緩和工程は、テンター法においては、通常、延伸工程(ii)と熱固定工程(iii)との間で行われ、熱緩和のゾーンは、他のゾーンから独立して温度設定が可能なように設けられるのが通例である。具体的には、熱緩和工程は、延伸工程(ii)において未延伸フィルムを所定の幅に延伸した後、残留歪を取り除くために、通常、チャックの間隔を延伸終了時の間隔より0.5〜7%程度狭くして行われる。
このようにして製造される延伸フィルムは、位相差フィルムとして機能する。上述した製造方法で製造された位相差フィルムは、高温環境下に晒されたときの透過率と透明性の低下がほとんど生じない。具体的には、100℃で150時間保持することによるヘイズ値の変化が%表示のヘイズ値の差で0.5ポイント以下、更には0.3ポイント以下であるオレフィン系樹脂フィルムが得られる。位相差フィルムの透過率と透明性の低下の原因として、高温環境下ではオレフィン系樹脂フィルムからブリード物が発生することが挙げられるが、上記の製造方法で製造した位相差フィルムでは高温環境下でのブリードの発生が抑制される。このため、高温環境下に晒されたときに位相差フィルムの透過率や透明性の低下がほとんど生じないと考えられる。
この位相差フィルムを画像表示装置2に適用することにより、高温環境下における画像表示装置2の表示性能を向上させることができる。このヘイズ値の変化が0.5ポイントを超えると、画像表示装置2の輝度が低下したり、更には正面コントラストが低下したりする場合があるため好ましくない。
(斜め延伸)
上述したように、未延伸フィルムを機械流れ方向(MD)に対して斜交する方向に斜め延伸することで、第1の位相差フィルム23を製造することもできる。特に、第1の位相差フィルム23が1/4波長板や1/2波長板の場合、ロール・トゥ・ロール貼合方式で第1の偏光板20を製造する際には第1の偏光フィルム21の吸収軸とこれらの波長板の遅相軸とを所定の角度で交差させて両者を貼合する必要がある。通常、第1の偏光フィルム21の吸収軸は、ロール状の第1の偏光フィルム21の長手方向と平行であるため、ロール状の第1の偏光フィルム21とロール状の第1の位相差フィルム23とをロール・トゥ・ロール貼合方式で貼合させるためには、ロール状の第1の位相差フィルム23の遅相軸をロール状の長手方向に対して所定の角度で交差させる必要がある。このため、未延伸フィルムを斜め延伸して分子を斜め配向させる方法が有効となる。
斜め延伸においても、上述した固定端横延伸で説明したテンター法などを使用することができる。斜め延伸では、フィルム幅方向の両端をチャックで固定したフィルムを、両端の移動速度や移動距離に差を設けることでフィルムを機械流れ方向(MD)と斜交する方向に延伸する。
この斜め延伸処理の一例を説明する。この例では、テンター法における延伸工程において、未延伸フィルムを機械流れ方向と斜交する方向に延伸する。斜め延伸における延伸工程は、斜め延伸用のテンター延伸機により行われる。このテンター延伸機は、延伸工程におけるフィルム走行方向が予熱工程から送られるフィルムの走行方向から所定角度傾いた状態となっている。延伸工程では、まず、斜め延伸装置から送り出される斜め延伸フィルムの送り出し速度を、この斜め延伸装置に送り込まれる未延伸フィルムの送込み速度よりも大きくする。そして、斜め延伸装置内では、未延伸フィルムの送り方向に直交する方向(幅方向)における一端の移動速度を、他端の移動速度よりも大きくする。
延伸工程におけるフィルムの移動速度は適宜設定できるが、例えば、10〜100m/分である。また、フィルム両端の移動速度の差は、通常、1%以下、好ましくは0.5%以下である。予熱工程や熱固定工程など他の工程については、上述した固定端横延伸と同様である。なお、斜め延伸処理の具体的な方法については、特開2004−258508号公報や国際公開第2007/061105号などに記載された方法を参考にすることができる。
(斜め配向コーティング)
上述したように、第1の位相差フィルム23が1/4波長板や1/2波長板の場合、ロール・トゥ・ロール貼合方式により第1の偏光板20を作製するためには、ロール状の第1の位相差フィルム23の長手方向に対して遅相軸が斜めに傾斜した斜め配向フィルムとする必要がある。このための方法として、光照射により液晶配向能を生じさせた光配向による斜め配向コーティング法がある。
光照射により液晶配向能を生じさせる光配向性重合性組成物は、光を照射することで生じる二色性に起因する分子の配向誘起若しくは異性化反応のような光反応を生じる光配向性基を備えた液晶物質を使用する。そして、この液晶物質を第1の偏光フィルム21の表面に塗工し、光配向性基が吸収し得る波長の偏光を斜め方向から照射することで、液晶配向能を生起させて液晶組成物中の分子を配向させる。これにより、長尺状の第1の偏光フィルム21の表面に第1の位相差フィルム23である斜め配向した液晶配向層を形成させることができる。なお、この斜め配向コーティングについては、特開2006−209097号公報に記載された方法を参考にすることができる。
(3)第1の外側樹脂フィルム25
第1の外側樹脂フィルム25は、第1の偏光フィルム21の外側に積層される樹脂フィルムである。第1の外側樹脂フィルム25としては、例えば保護フィルムを採用することができる。第1の外側樹脂フィルム25としては、透明樹脂から構成されるものが好ましい。この透明樹脂の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂〔(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂を意味する〕、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、透明性や偏光フィルムとの接着性を阻害しない範囲で、添加物を含有することができる。
これらの透明樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施して、第1の外側樹脂フィルム25としてもよい。このとき、延伸は、機械流れ方向(MD)又はこれに垂直な方向(TD)に延伸する一軸延伸、MD及びTDの双方に延伸する二軸延伸、MDでもTDでもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行ってもよい。
(4)第1の粘着剤層27
第1の粘着剤層27は、粘着性を有する層であり、第1のロール状偏光板71又はこれから所定形状に裁断された第1の偏光板20を液晶セル40に貼合するために用いられる。第1の粘着剤層27を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするものが挙げられる。なかでも、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤は、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、更に耐候性や耐熱性などに優れ、加熱や加湿の条件下でも、浮きや剥がれなどのセパレート問題が生じにくいため、好ましく用いられる。
アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ベースポリマーには、エステル部分が、メチル基、エチル基、ブチル基、又は2−エチルヘキシル基のような炭素数20以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのような官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとのアクリル系共重合体が好ましく用いられる。このようなアクリル系共重合体を含む粘着剤層は、液晶セル40に貼合した後で何らかの不具合があって剥離する必要が生じた場合に、ガラス基板に糊残りなどを生じさせることなく、比較的容易に剥離することができる。粘着剤に用いるアクリル系共重合体は、そのガラス転移温度が25℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。また、このアクリル系共重合体は、通常10万以上の重量平均分子量を有する。
第1の粘着剤層27を形成する粘着剤として、光拡散剤が分散された拡散粘着剤を用いることもできる。光拡散剤は、粘着剤層に光拡散性を付与するためのものである。光拡散剤は、粘着剤層を構成するベースポリマーと異なる屈折率を有する微粒子であればよく、無機化合物からなる微粒子や有機化合物(ポリマー)からなる微粒子を用いることができる。上記したようなアクリル系ベースポリマーを含めて、粘着剤層を構成するベースポリマーは1.4前後の屈折率を示すことが多いので、光拡散剤は、その屈折率が1〜2程度のものから適宜選択すればよい。粘着剤層を構成するベースポリマーと光拡散剤との屈折率差は、通常0.01以上であり、適用される液晶表示装置1の明るさや視認性を確保する観点からは、0.01以上0.5以下であることが好ましい。光拡散剤として用いる微粒子は、球形のもの、それも単分散に近いものが好ましく、平均粒径が2〜6μm程度の微粒子が好適に用いられる。
無機化合物からなる微粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、酸化ケイ素(屈折率1.45)などを挙げることができる。また、有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、例えば、メラミン樹脂ビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などが挙げられる。
光拡散剤の配合量は、それが分散される粘着剤層に必要とされるヘイズ値や、それが適用される液晶表示装置1の明るさなどを考慮して適宜決められるが、通常、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して3〜30重量部程度である。
光拡散剤が分散された粘着剤層のJIS K 7361に従って測定されるヘイズ値は、適用される液晶表示装置1の明るさを確保するとともに、表示像のにじみやボケを生じにくくする観点から、20〜80%の範囲とすることが好ましい。
透明な粘着剤又は拡散粘着剤を構成する各成分(ベースポリマー、光拡散剤、架橋剤など)は、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶かして粘着剤組成物とされる。ただし、光拡散剤などの溶剤に溶けない成分は、分散された状態となる。この粘着剤組成物を第1の位相差フィルム23又は第1の離型フィルム上に塗布し、乾燥させることにより、第1の粘着剤層27を形成することができる。
第1の粘着剤層27は、第1の偏光板20に帯電する静電気を除電するために、帯電防止性を有することが好ましい。第1のロール状偏光板71は、第1の粘着剤層27上に積層された第1の離型フィルム80を剥離して液晶セル40に貼合するときなどに、静電気を帯びることがある。このとき、第1の粘着剤層27が帯電防止性を有していると、その静電気が速やかに除電され、液晶セル40の表示回路が破壊されたり、液晶分子が配向を乱されたりすることが抑制される。
第1の粘着剤層27に帯電防止性を付与する方法としては、例えば、粘着剤組成物に、金属微粒子、金属酸化物微粒子、又は金属等をコーティングした微粒子等を含有させる方法;電解質塩とオルガノポリシロキサンとからなるイオン導電性組成物を含有させる方法;有機塩系の帯電防止剤を配合する方法などが挙げられる。求められる帯電防止性の保持時間は、一般的なロール状偏光板の製造、流通及び保管期間の観点から、最低6ヶ月程度である。
第1の粘着剤層27は、接着剤層を硬化させるため、活性エネルギー線を通す場合がある。そのため、活性エネルギー線の該当スペクトル領域に高透過率を有することが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射により粘着剤としての諸特性が変化しないことが好ましい。
第1の粘着剤層27は、例えば、温度23℃、相対湿度65%の環境下で3〜20日程度熟成され、架橋剤の反応を十分に進行させた後、液晶セル40への貼合に供される。
第1の粘着剤層27の厚みは、その接着力などに応じて適宜決定されるが、通常、1〜40μm程度である。加工性や耐久性などの特性を損なうことなく、薄型のロール状偏光板を得るためには、粘着剤層の厚みは3〜25μm程度とすることが好ましい。また、光拡散剤が分散された粘着剤層を用いる場合、第1の粘着剤層27の厚みをこの範囲とすることにより、液晶表示装置1を正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケを生じにくくすることができる。
(5)第1の離型フィルム
第1の離型フィルム80としては、通常、透明基材フィルムに易剥離層を形成して、粘着剤層からの剥離性を付与したものが用いられる。透明基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンのような熱可塑性樹脂の押出フィルム、それらを組み合わせた共押出フィルム、それらを一軸又は二軸に延伸したフィルムなどが挙げられる。
第1の離型フィルム80のJIS L 1096に準処して測定されるガーレ法剛軟度は、20mgf以上であることが好ましく、70mgf以上であることがより好ましい。ガーレ法剛軟度が20mgf未満であると、離型フィルムの剛性が不足であり、ハンドリング性が低下することがある。
(7)接着剤層(不図示)
第1の偏光フィルム21への第1の位相差フィルム23と第1の外側樹脂フィルム25の貼合は、通常、接着剤層を介してなされる。第1の偏光フィルム21の両面に設けられる接着剤層を形成する接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
接着剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を用いることができる。好ましく用いられる接着剤の1つは、無溶剤型の接着剤である。無溶剤型の接着剤は、有意量の溶剤を含まず、加熱や活性エネルギー線(例えば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により反応硬化する硬化性化合物(モノマー又はオリゴマーなど)を含み、当該硬化性化合物の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、加熱や活性エネルギー線の照射により反応硬化する硬化性化合物と、重合開始剤とを含む。特に、第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25がポリプロピレン系樹脂からなる場合、ポリプロピレン系樹脂フィルムは透湿度が低いため、水系接着剤を使用した場合に水抜けが悪く、接着剤の水分によって第1の偏光フィルム21の損傷や偏光性能の劣化などを引き起こす場合がある。したがって、このような透湿度の低い樹脂フィルムを接着する場合には、無溶剤系の接着剤が好ましい。
速硬化性及びこれに伴う第1の偏光板20の生産性向上の観点から、接着剤層を形成する好ましい接着剤の例として、活性エネルギー線の照射で硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。このような活性エネルギー線硬化性接着剤の例として、例えば、紫外線や可視光などの光エネルギーで硬化する光硬化性接着剤が挙げられる。光硬化性接着剤としては、反応性の観点から、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特に、エポキシ化合物を硬化性化合物とする無溶剤型のエポキシ系接着剤は、第1の偏光フィルム21と第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25との接着性に優れているためより好ましい。
上記無溶剤型のエポキシ系接着剤に含有される硬化性化合物であるエポキシ化合物としては、特に制限されないが、カチオン重合により硬化するものが好ましい。特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いることがより好ましい。このような分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。なお、硬化性化合物であるエポキシ化合物は、通常、分子内に2個以上のエポキシ基を有する。
未硬化のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を介して第1の偏光フィルム21に第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25を貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、接着剤層を硬化させ、第1の偏光フィルム21上に第1の位相差フィルム23や第1の外側樹脂フィルム25を固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線、例えば紫外線の照射強度や照射量は、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や第1の偏光フィルム21などのフィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や第1の偏光フィルム21などのフィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。
以上のようにして得られる、硬化後のエポキシ系接着剤からなる接着剤層の厚みは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。
また、接着剤として、接着剤層を薄くする観点から、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解した、又は接着剤成分を水に分散させた接着剤を用いることもできる。例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用いた水系組成物が、好ましい水系接着剤として挙げられる。
第1の偏光フィルム21の表面に、接着剤を用いて第1の位相差フィルム23と第1の外側樹脂フィルム25を貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、第1の偏光フィルム21及び/又はこれに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、又は両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
第1の偏光フィルム21及び/又はそれに貼合されるフィルムの接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
水系接着剤を介して接合された積層体は、通常、乾燥処理が施され、接着剤層の乾燥、硬化が行われる。乾燥処理は、例えば熱風を吹き付けることにより行うことができる。乾燥温度は、通常40〜100℃程度の範囲から選択され、好ましくは60〜100℃である。乾燥時間は、例えば20〜1,200秒程度である。乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。接着剤層の厚みが大きくなりすぎると、第1の偏光板20の外観不良となりやすい。
(第2のロール状偏光板)
次に、第2のロール状偏光板71´について説明する。第2のロール状偏光板71´は、液晶パネル2の視認側(前面側)偏光板(第2の偏光板30)として用いられる。第2のロール状偏光板71´は、第2の外側樹脂フィルム35と、第2の偏光フィルム31と、第2の位相差フィルム33と、第2の粘着剤層37と、第2の離型フィルム90とをこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成されている。
第2のロール状偏光板71´は、第2の偏光フィルム31の吸収軸が長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、液晶セル40の短辺又は長辺のうち第1のロール状偏光板71とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれている。第2のロール状偏光板71´の巻き回し方向は特に制限されないが、例えば第2の離型フィルム90側が内側となるように巻き回すことができる。
上記「液晶セル40の短辺又は長辺のうち第1のロール状偏光板71とは反対の辺に対応する幅」とは、第2のロール状偏光板71´が貼り合わされる液晶セル40の短辺又は長辺の長さに応じて適切に設定された幅を指し、液晶セル40の短辺又は長辺の長さと第2のロール状偏光板71´の幅とは必ずしも同じでなくてもよい。
(1)第2の偏光フィルム31
第2の偏光フィルム31としては、上述した第1の偏光フィルム21と同様に、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。第1の偏光フィルム21と第2の偏光フィルム31とは、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(2)第2の位相差フィルム33
第2の位相差フィルム33は、有機物で修飾されていない無機層状化合物と、水酸基の置換度が2.1〜3.0であり、数平均分子量が2万5千〜12万であるセルロース誘導体との混合物からなる位相差フィルムである。第2の位相差フィルム33は、粘着剤層と接する位置に配置される。
一般に、樹脂に無機層状化合物を分散した複合材料は、無機層状化合物を有機修飾して樹脂との親和性を高め分散性をもたらすものが多く、逆に修飾などの変性がなされていない無機層状化合物を用いた複合材料は、しばしば透明性に劣る。そこで、従来は透明材料には何らかの修飾された無機層状化合物が用いられていたが、無機層状化合物を修飾する有機物が遊離して複合材料からブリードアウトするなどの弊害を起こす場合があった。有機物で修飾された無機層状化合物を含む第2の位相差フィルム33と第2の粘着剤層37(感圧接着剤層)との経時による粘着力低下は、その作用機構は明確ではないが、上述したように無機層状化合物を修飾する修飾剤化合物が遊離し、感圧接着剤を変性させているものと推定される。ところが、これを回避するために有機物で修飾されていない無機層状化合物を選択すると、透明性に劣り位相差フィルムとしての使用には困難であった。
本発明では、有機物で修飾されていない無機層状化合物とセルロース誘導体とを組み合わせているにもかかわらず、有機物で修飾されていない無機層状化合物がセルロース誘導体中で十分な分散性を示し、光学用途に適する透明性を持つことを見出した点に特徴を有している。さらに、本発明では、有機物で修飾されていない無機層状化合物を用いるため、上述した修飾剤化合物に起因する物性低下、特に粘着剤層と組み合わせた場合におけるその粘着力低下を生じないという効果が奏される。
また、修飾された無機層状化合物は一般に工程数が多く量産性に劣るが、本発明では修飾された無機層状化合物を用いていないため、位相差フィルムが廉価になり、かつ、生産性の高くなる。なお、本発明の「有機物で修飾されていない」とは、第2の位相差フィルム33と第2の粘着剤層37との粘着力を低下させる量の有機化合物を実質的に含んでいないことを意味する。
無機層状化合物とは、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄などの金属イオンと珪酸が連結してなるシート型構造が層状に形成された粘土鉱物であり、特に層状ケイ酸塩鉱物であることが好ましい。
このような無機層状化合物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スチブンサイトなどのスメクタイト族鉱物、カオリナイト、アンチゴナイト、単斜クリソタイル石、斜方クリソタイル石、パラクリソタイル石、リザード石、アメス石、ケリー石、グルーナ石、ヌポア石などのカオリナイト族鉱物、白雲母、セラドン石、ロスコー雲母、砥部雲母、鉄雲母、金雲母、真珠雲母、クリントン石などのマイカ族鉱物などが挙げられる。このような無機層状化合物は、それぞれ単独で用いられてもよいし、異なる複数種が併用されてもよい。
これら無機層状化合物のうち、人工的に合成された層状ケイ酸塩鉱物が好ましく、スメクタイト族鉱物中でも合成スメクタイトがより好ましい。合成スメクタイトは、天然物に比べて高純度であり、粒子径が小さく、その分布が狭いことから、位相差フィルムの構成材料として比較的好適である。
また、天然物の層状ケイ酸塩鉱物は地中から掘り出すために、地中で有機物によって多少修飾されている可能性があり、この有機物が無機層状化合物から遊離して第2の粘着剤層37に悪影響を及ぼすことも否定できない。一方、人工的に合成された無機層状化合物は、一般にケイ素やアルミニウムなどの無機物から水熱合成、溶融合成により人工的に製造される。水熱合成や溶融合成は、いずれも200℃以上の高温で行われるため、合成の過程で有機物がほぼ完全に分解される。このため、人工の無機層状化合物が有機物で修飾されている可能性は限りなくゼロに近い。したがって、人工物では無機層状化合物から有機物が遊離することがほとんどなく、この点から天然物よりも好ましい。
なお、天然物の層状ケイ酸塩鉱物であっても、高純度化され粒子径が十分に小さく、位相差フィルムとしての用途に支障ないものであれば適宜使用することができる。このような天然の層状ケイ酸塩鉱物は、人工的に合成されたものより一般に廉価であるため、位相差フィルムの生産性向上に大きく寄与する点で好ましい。天然に存在する無機層状化合物は、海底や湖底に堆積した火山灰が加温度、加圧力下で浸食、風化作用を受けることにより生成される。これらを採掘し精製することにより、工業的に利用可能な無機層状化合物を得ることができる。
また、無機層状化合物を人工的に合成するには、通常、目的の無機層状化合物に近い組成を持つゲルや長石などの鉱物を出発原料に用い、この出発原料を十分な熱エネルギーと反応時間で水熱反応させる方法が採用される。
こうして得られる無機層状化合物は、市販品として容易に入手可能であり、例えば、クニピア(クニミネ工業(株)販売:天然物ベントナイト精製物)、スメクトンSA(クニミネ工業(株)製:合成サポナイト)、ベンゲル((株)ホウジュン販売:天然ベントナイト精製物)、ホワイトベントナイト((株)ボルクレイ・ジャパン販売:天然ベントナイト精製物)、ビーガム(バンダービルト社製:天然スメクタイト精製物)、ルーセンタイト(コープケミカル(株)製:合成スメクタイト)、ミクロマイカ(コープケミカル(株)製:合成雲母)、ソマシフ(コープケミカル(株)製:合成雲母)、ラポナイト(ロックウッド・アディティブズ社製:合成スメクタイト)などが挙げられる。
本発明に用いられるセルロース誘導体とは、下式(I)に相当するセルロースにおいて、水酸基の一部がエステル化やエーテル化などにより、アルカノイルオキシ基やアルコキシ基などで置換されている化合物をいう。
Figure 2012053079
セルロース誘導体としては、例えば、セルロースアセテート(セルローストリアセテートやセルロースジアセテートと呼ばれている化合物を含む)、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどが含まれる。このようなセルロース誘導体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、異なる複数種が併用されてもよい。また、少量の可塑剤などの添加剤を加えて用いてもよい。
本発明では、水酸基の置換度が2.1〜3.0の範囲にあるセルロース誘導体が使用される。ここで、セルロース誘導体における水酸基の置換度とは、一般にいわれる置換度(Degree of Substitution)と同じ意味であって、下式(II)に相当するセルロースの単位環(ピラノース環と呼ぶこともできる)1個あたり3個存在する水酸基が、他の基によって置換されている割合を意味する。
Figure 2012053079
式(I)のとおり、セルロースは式(II)に相当する単位環(ピラノース環)が多数結合した構造を有するので、水酸基の置換度は、平均的な値として求められる。また、上の定義からわかるように、セルロースの単位環(ピラノース環)には水酸基が3個存在するので、セルロース誘導体における水酸基の置換度は、最大で3.0となる。
このような水酸基の置換度は、公知の方法で測定できる。例えば、セルロースアセテートの水酸基の置換度は、セルロースアセテートをプロピオニル化した後、13C−NMRを測定することにより求めることができる。測定方法については、手塚らの方法(Carbohydr. Res. 273 (1995) 83−91)を参照できる。
セルロース誘導体における水酸基の置換度は、2.1以上が好ましく、より好ましくは2.4以上、更に好ましくは2.5以上である。また、セルロース誘導体における水酸基の置換度は、3.0以下が好ましく、より好ましくは2.9以下である。水酸基の置換度が2.1を下回るセルロース誘導体を用いると、得られる位相差フィルムの高温高湿環境下における耐久性が十分でなくなる傾向にある。反対に、水酸基が一部残っているセルロース誘導体を用いることで、無機層状化合物が分散しやすくなる傾向にある。このため、セルロース誘導体としては、水酸基の7割以上(好適には8割以上)が置換されているが、一部が水酸基のまま残っているものが好ましい。
また、セルロース誘導体の数平均分子量は、2万5千〜12万が好ましい。数平均分子量が2万5千を下回ると、得られる位相差フィルムの機械強度が弱くなる傾向にある。一方、数平均分子量が12万を超えると、それに相溶する高分子と無機層状化合物を配合して得られる塗工液において、無機層状化合物が十分に分散しにくくなる傾向にある。その結果、このような塗工液を用いて得られた位相差フィルムにおいても、無機層状化合物の分散状態が悪くなり、透明性が低下する。セルロース誘導体の数平均分子量は、2万5千〜9万5千であるのが好ましい。これらの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した値を採用することができる。
セルロース誘導体は、低置換度セルロースアセテートと高置換度セルロースアセテートの混合物が好ましい。低置換度セルロースアセテートと高置換度セルロースアセテートの混合物の水酸基の置換度は、2.5〜2.75であることが好ましい。低置換度セルロースアセテートの水酸基の置換度は2.1〜2.6が好ましく、数平均分子量は2万5千〜7万5千であることが好ましい。また、高置換度セルロースアセテートの水酸基の置換度は2.8〜3が好ましく、数平均分子量は6万5千〜9万5千が好ましい。低置換度セルロースアセテートと高置換度セルロースアセテートの混合物の水酸基の置換度が2.5未満であると、位相差フィルムの耐湿熱性が低下し、位相差フィルムが白化する場合がある。また、これらの混合物の水酸基の置換度が2.75を超えると、位相差フィルムの中の有機物で修飾されていない無機層状化合物の分散状態が悪化し、透明性が低下する場合がある。
セルロース誘導体の製法は、特に限定されないが、通常、以下の手順で行われる。まず、α−セルロース含有量の比較的高い木材パルプなどのセルロース原料を離解・解砕した後、酢酸、プロピオン酸、酪酸や少量の酸性触媒を含んだ酢酸などを散布混合する前処理活性化工程を行う。次に、酢酸、プロピオン酸又は酪酸などとその無水物及び酸性触媒(例えば硫酸)を含む混酸で活性化セルロースを処理して一次セルロースエステルを得る酢化工程を行う。こうして得られた一次セルロースエステルを加水分解して所望の置換度の二次セルロースエステルにする熟成工程を行う。さらに、この工程で得られた二次セルロースエステルを反応溶液から沈澱分離、精製、安定化、乾燥する後処理工程を経ることで、セルロース誘導体を得ることができる。
こうして得られるセルロース誘導体は、市販品として容易に入手可能であり、例えば、LM−80(ダイセル化学工業(株)製)、L−20、L−30、L−40、L−70(ダイセル化学工業(株)製:セルロースジアセテート)、LT−35、LT−55、LT−105(ダイセル化学工業(株)製:セルローストリアセテート)、TC−5(信越化学工業(株)製:ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、メトローズ(信越化学工業(株)製:メチルセルロース)、信越AQOAT(信越化学工業(株)製:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート)、メセロース(巴工業(株)製:メチルセルロース)、cellulose triacetate製品番号181005(アルドリッチ社製:セルローストリアセテート)などが挙げられる。
セルロース誘導体に対する無機層状化合物の重量比は、0.5〜5の範囲が好ましい。セルロース誘導体に対する無機層状化合物の重量比が0.5未満であると、位相差フィルムとしたときに十分な厚み方向位相差値が得られにくい。一方、セルロース誘導体に対する無機層状化合物の重量比が5を超えると、それらを極性有機溶媒と混合して塗工液としたときに、無機層状化合物が十分に分散しにくくなる。そして、このような塗工液を用いて得られた第2の位相差フィルム33においても、無機層状化合物の分散状態が悪くなり、透明性が低下する。セルロース誘導体に対する無機層状化合物の重量比は、1〜4の範囲となるようにするのがより好ましい。
第2の位相差フィルム33において、内部ヘイズ値は10%以下であることが好ましい。第2の位相差フィルム33には、疎水性、耐久性、可塑性、凝集力をさらに向上させるための各種添加剤、例えば、滑剤、架橋剤、可塑剤などを含有していてもよい。
第2の位相差フィルム33は、フィルムの厚みやそれを構成する組成物の配合比率を適宜調整して厚み方向位相差値を制御し、負の完全二軸性位相差フィルム(ネガティブCプレート)とすることができる。
第2の位相差フィルム33は、波長590nmにおける面内位相差値が10nm以下(0〜10nmの範囲)であり、厚み方向位相差値が40〜350nmの範囲にあることが好ましい。面内位相差値が10nmを超えると、その値が無視できなくなり厚み方向の負の一軸性が損なわれ、複合偏光板化して液晶セル40に貼合した際に光漏れなどが生じることがある。厚み方向の負の一軸性を維持するという観点から、面内位相差値は、好ましくは0〜5nmである。また、第2の位相差フィルム33の厚み方向位相差値は、位相差フィルムの用途、特に複合偏光板が貼合して用いられる液晶セル40の特性に合わせて適時選択されるものであり、上記の範囲内に特に制限されるものではないが、50〜350nmがより好ましく、40〜300nmが特に好ましい。
この厚み方向位相差値は、第2の位相差フィルム33中の粘土鉱物の含有量とフィルムの厚みによって制御することができる。したがって、フィルムの厚みは特に制限されず、位相差フィルムに求められる位相差値を実現するのに必要な厚みであればよい。
[塗工液]
第2の位相差フィルム33は、塗工液を所定の基材などに塗工することで製造することができる。塗工液は、有機物で修飾されていない無機層状化合物と、水酸基の置換度が2.1〜3.0であり、数平均分子量が2万5千〜12万の範囲にあるセルロース誘導体と、極性有機溶媒を含有する。
塗工液は、セルロース誘導体に対する無機層状化合物の重量比が0.5〜5の範囲にあり、極性有機溶媒に対する無機層状化合物とセルロース誘導体の合計濃度(固形分濃度)が3〜15重量%であることが好ましい。塗工液の最適な固形分濃度は、無機層状化合物とセルロース誘導体の各固形分の種類や各々の組成比によって適宜選択される。
極性有機溶媒としては、無機層状化合物を膨潤させ、さらにコロイド状を呈するまで膨潤させ得るものや、セルロース誘導体を溶解するものであれば特に限定されない。このような極性有機溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、炭酸プロピレン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリンなどが好ましい。これらをそれぞれ単独か、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
極性有機溶媒の比誘電率は30以上が好ましい。このような好ましい極性有機溶媒の典型的な例として、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、炭酸プロピレンなどが挙げられる。また、これらから複数選択された混合溶媒を用いることもできる。また、この塗工液組成物には、基板上に塗工する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤などを含有させてもよい。
このような塗工液組成物の成分を分散・溶解するのに用いられる装置としては、特に限定されない。例えば、タービン型などの攪拌翼を備えた通常の攪拌混合機、ホモジナイザー(ホモゲナイザー)、ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、超音波分散機などが挙げられる。中でも、ビーズミル、ペイントシェーカーは有機物で修飾されていない無機層状化合物を効率よく微分散させることができるため好ましい。これらの装置は、有機物で修飾されていない無機層状化合物の分散状態や、セルロース誘導体やセルロース誘導体に相溶する高分子などの樹脂成分の溶解程度に応じて異なる複数種が併用されてもよい。
[塗工液の製造方法]
塗工液の製造方法は、以下の手順で行うことができる。まず、無機層状化合物を極性有機溶媒中に分散させる分散工程を行い、得られる分散液とセルロース誘導体の極性溶媒溶液を混合するセルロース誘導体混合工程を行うことで、塗工液を製造する。
この分散工程では、無機層状化合物を極性有機溶媒と混合して無機層状化合物を極性有機溶媒中に分散させる。ここで用いられる極性有機溶媒としては、上述したように有機物で修飾されていない無機層状化合物を膨潤させるものが用いられる。この場合、さらにコロイド状を呈するまで膨潤させ得るものが好ましい。この極性有機溶媒として好適なものは、上述したとおりである。
最後に、セルロース誘導体混合工程で得られた無機層状化合物の分散液を、セルロース誘導体の極性有機溶媒溶液と混合する。このような工程を経て、上述したような第2の位相差フィルム33の製造に好適に用いられ得る塗工液が好適に製造される。
(3)第2の外側樹脂フィルム35
第2の外側樹脂フィルム35は、第2の偏光フィルム31の外側に積層される樹脂フィルムである。第2の外側樹脂フィルム35としては、例えば保護フィルムを採用することができる。この保護フィルムとしては、上述した第1の外側樹脂フィルム25で説明したものと同様の構成を採用することができる。
また、第2の外側樹脂フィルム35として防眩フィルムを採用することもできる。防眩フィルムとしては、微細な凹凸形状を表面に有するハードコート層が形成されたものを挙げることができる。このようなハードコート層は、基材フィルムの表面に有機微粒子又は無機微粒子を含有した塗膜を形成する方法や、有機微粒子又は無機微粒子を含有する、又は含有しない塗膜を形成後、該塗膜を、凹凸形状を付与したロールの凹凸表面に押し当てる方法(例えばエンボス法等)などによって製造することができる。
さらに、第2の外側樹脂フィルム35としては、上述した保護フィルムや防眩フィルムに限定されず、他の機能性フィルムであってもよい。例えば、反射防止、低反射、防汚、帯電防止などの機能を有するフィルムであってもよい。
[反射防止・低反射性の付与(反射防止・低反射フィルム)]
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一つの層(すなわち、高屈折率層又は中屈折率層)を、延伸又は未延伸セルロースアセテート系等の樹脂フィルム上に設けることで形成される。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法、物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾル/ゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法などが挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止膜として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗設してなる反射防止膜が各種提案されている。またこのような、塗布による反射防止フィルムの最上層表面に微細な凹凸の形状を付与した防眩性反射防止層からなる反射防止フィルムも挙げられる。
[防汚性等の付与]
防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、セルロースアセテート系等の樹脂フィルムに公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
[防塵性・帯電防止層の付与]
防塵性、帯電防止の特性を付与する目的で、セルロースアセテート等の樹脂フィルムに公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
(4)第2の粘着剤層37、第2の離型フィルム90
第2の粘着剤層37及びその上に積層される第2の離型フィルム90も、それぞれ上記第1の粘着剤層27、第1の離型フィルム80において説明したものを同様に用いることができる。第1と第2の粘着剤層27,37、及び第1と第2の離型フィルム80,90は、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
第2の偏光フィルム31への第2の位相差フィルム33と第2の外側樹脂フィルム35の貼合、積層は、第1のロール状偏光板71について記述した方法と同様であってよい。第2の偏光フィルム31の両面に設けられる接着剤層を形成する接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。また、第1のロール状偏光板71の作製に使用される接着剤と第2のロール状偏光板71´の作製に使用される接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
以上が第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´を構成する各フィルムの説明である。第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´は、ロール状偏光板のセットとしてロール・ツゥー・セル方式の貼合工程(すなわち、ロール状の偏光板を液晶セル40に貼合していく工程)に供され、液晶パネル2とされる。本発明のロール状偏光板のセットによれば、第1のロール状偏光板71、第2のロール状偏光板71´は貼合する液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有しているため、それぞれ液晶セル40の短辺又は長辺のうちロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺の長さに裁断するだけで、液晶セル40に対応するサイズを有する偏光板を得ることができる。また、第1及び第2のロール状偏光板71,71´は、その長辺方向に吸収軸を有するため、ロール・ツゥー・セルでの貼合により、優れた軸精度で偏光板と液晶セル40との貼合を行うことができる。これにより、光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能も格段に向上した液晶パネル2を得ることができる。
<液晶パネル及び液晶表示装置>
図2は、液晶パネル2と液晶表示装置1の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。この図に示される液晶表示装置1は、液晶パネル2と、バックライト10と、光拡散板50と、を備えている。液晶パネル2は、液晶セル40と、液晶セル40の一方の面に貼合された背面側偏光板としての第1の偏光板20と、液晶セル40の他方の面に貼合された前面側偏光板としての第2の偏光板30と、から構成されている。第1の偏光板20は、第1の位相差フィルム23と第1の外側樹脂フィルム25とで、第1の偏光フィルム21を挟持した構成を有しており、第1の位相差フィルム23が液晶セル40に対向するように、第1の粘着剤層27を介して液晶セル40に貼合されている。また、第2の偏光板30は、第2の位相差フィルム33と第2の外側樹脂フィルム35とで第2の偏光フィルム31を挟持した構成を有しており、第2の位相差フィルム33が液晶セル40に対向するように、第2の粘着剤層37を介して液晶セル40に貼合されている。液晶表示装置1において、液晶パネル2は、背面側偏光板である第1の偏光板20がバックライト側となるように、すなわち、第1の外側樹脂フィルム25が光拡散板50と対向するように配置される。
光拡散板50は、バックライト10からの光を拡散させる機能を有する光学部材であって、例えば、熱可塑性樹脂に光拡散剤である粒子を分散させて光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂フィルムの表面に凹凸を形成して光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂フィルムの表面に粒子が分散された樹脂組成物の塗布層を設け、光拡散性を付与したものなどであり得る。その厚みは、0.1〜5mm程度とすることができる。
光拡散板50と液晶パネル2との間には、輝度向上シート(反射型偏光フィルムである(「DBEF」など))、光拡散シートなど、他の光学機能性を示すシート又はフィルムを配置することもできる。他の光学機能性を示すシート又はフィルムは、必要に応じて2枚以上、複数種類配置することも可能である。
本発明では、ロール状偏光板から引き出した長尺状の偏光板を、枚葉に切り出すことなく、液晶パネル2の製造工程に供することが可能である。これにより、偏光板が表裏非対称な構成でも、カールが生じにくくなる。これにより、第1のロール状偏光板71から所定形状に裁断された第1の偏光板20と、第2のロール状偏光板71´から所定形状に裁断された第2の偏光板30とを液晶セル40と貼合する際に、気泡や異物の噛み込みなどの不具合が生じにくくなる。また、ロール状偏光板のセットを用い、ロール・ツゥー・セル方式で第1の偏光板20及び第2の偏光板30を液晶セル40に貼合するため、得られる液晶パネル2は、偏光板と液晶セル40との貼合の軸精度に優れるとともに、装置内の汚染などに起因する欠点の発生を抑制することができ、これにより光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能も格段に向上した液晶表示装置1を得ることができる。
また、長尺状の偏光板を枚葉に切り出す必要がないため、枚葉体の偏光板を複数枚積層した状態で保管したり梱包したりする必要がない。このため、運搬時などに偏光板の表面が擦れることが原因による損傷などが生じにくく、したがって光学特性の優れた偏光板を提供することが可能となる。特に、位相差フィルム23,33や外側樹脂フィルム25,35が柔軟性の高いポリプロピレン系樹脂などで形成されている場合、偏光板20,30は剛軟度が小さく、枚葉に切り出した場合にハンドリングが困難である。しかしながら、本発明ではロール状偏光板71,71´を枚葉に切り出す必要がないため、このような剛軟度の小さい偏光板20,30であっても、液晶セル40に貼り合わせる際のハンドリング性を向上させることが可能となる。
<ロール状偏光板のセットの具体例>
次に、ロール状偏光板のセットの具体例について説明する。本発明のロール状偏光板のセットは、液晶セル40の両側に貼合される偏光板20,30のいずれかの偏光板に、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム33とを少なくとも1枚ずつ配置している。したがって、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´のいずれかにおいても、第1の位相差フィルム23と第2の位相差フィルム33とを少なくとも1枚ずつ備えている。
さらに、上述したように、第1の位相差フィルム23としては、ポジティブAプレート、ポジティブBプレート、1/2波長板、1/4波長板、1/2波長板と1/4波長板の複合位相差板を採用することができる。これらの構成を以下に具体例としていくつか挙げて説明する。
(i)具体例1
本具体例は、図3(a)に示すように、背面側に配置される第1のロール状偏光板71にポジティブAプレート(+Aプレート)又はポジティブBプレート(+Bプレート)である第1の位相差フィルム23を備え、視認側に配置される第2のロール状偏光板71´にネガティブCプレート(−Cプレート)である第2の位相差フィルム33を備えている。
なお、図3(b)に示すように、背面側に配置される第1のロール状偏光板71にネガティブCプレート(−Cプレート)である第2の位相差フィルム33を備え、視認側に配置される第2のロール状偏光板71´にポジティブAプレート(+Aプレート)又はポジティブBプレート(+Bプレート)である第1の位相差フィルム23を備える構成であってもよい。
(ii)具体例2
本具体例は、図4(a)に示すように、第1のロール状偏光板71にポジティブAプレート又はポジティブBプレートである第1の位相差フィルム23と、ネガティブCプレートである第2の位相差フィルム33とを備えている。一方、第2のロール状偏光板71´には、いずれの位相差フィルムも備えていない。
なお、図4(b)に示すように、第2のロール状偏光板71´にポジティブAプレート又はポジティブBプレートである第1の位相差フィルム23と、ネガティブCプレートである第2の位相差フィルム33とを備える構成であってもよい。この場合、第1のロール状偏光板71には、いずれの位相差フィルムも備えていない。
(iii)具体例3
本具体例は、図5に示すように、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´の両方に、それぞれポジティブAプレート又はポジティブBプレートである第1の位相差フィルム23と、ネガティブCプレートである第2の位相差フィルム33と、を備えている。
(iv)具体例4
本具体例は、図6に示すように、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´の両方に、それぞれ1/4波長板23aである第1の位相差フィルム23と、ネガティブCプレートである第2の位相差フィルム33と、を備えている。
(v)具体例5
本具体例は、図7に示すように、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´の両方に、それぞれ1/4波長板23aと1/2波長板23bの複合位相差板である第1の位相差フィルム23と、ネガティブCプレートである第2の位相差フィルム33と、を備えている。
<ロール状偏光板のセットの製造方法>
次に、ロール状偏光板のセットの製造方法について説明する。以下に掲げる製造方法は、図1や図3に記載したロール状偏光板のセットを製造する場合の実施形態について説明している。この実施形態におけるロール状偏光板のセットは、以下の工程(a)〜(c)を備える第1のロール状偏光板製造工程と、以下の工程(d)〜(f)を備える第2のロール状偏光板製造工程とを含む方法によって好適に作製することができる。なお、図4〜図7に記載した他の構成のロール状偏光板を製造する際にも、同様の製造方法を採用することができる。
(a)第1の外側樹脂フィルム25と、第1の偏光フィルム21と、第1の位相差フィルム23と、第1の粘着剤層27と、第1の離型フィルム80とをこの順に、かつ第1の偏光フィルム21の吸収軸が長辺方向(第1の偏光板長尺原反の長辺方向)と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程、
(b)第1原反作製工程で得られる第1の偏光板長尺原反を液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅となるように切断して長尺の偏光板を得る第1スリット工程、
(c)第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程。
(d)第2の外側樹脂フィルム35と、第2の偏光フィルム31と、第2の位相差フィルム33と、第2の粘着剤層37と、第2の離型フィルム90とをこの順に、かつ第2の偏光フィルム31の吸収軸が長辺方向(第2の偏光板長尺原反の長辺方向)と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程、
(e)第2原反作製工程で得られる第2の偏光板長尺原反を液晶セル40の短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断して長尺の偏光板を得る第2スリット工程、
(f)第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程。
第1原反作製工程(a)及び第2原反作製工程(d)で行われる各種フィルム(粘着剤層を含む)の貼合、積層は、同時に行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。これらのフィルムの貼合、積層は、例えば、ロール状のフィルムを用いたロール・ツゥー・ロール方式で行うことができる。
第1スリット工程(b)において、第1の偏光板長尺原反は、第1の偏光フィルム21の吸収軸に平行に(第1の偏光板長尺原反の長辺方向に平行に)液晶セル40の長辺に対応する幅でスリット加工される。その場合、第2スリット工程(e)において、第2の偏光板長尺原反は、第2の偏光フィルム31の吸収軸に平行に(第2の偏光板長尺原反の長辺方向に平行に)液晶セル40の短辺に対応する幅でスリット加工される。
第1スリット工程(b)及びそれに続く第1偏光板巻き取り工程(c)においては、ロール状に巻き取られた第1偏光板長尺原反を巻き出してスリットしながら、スリットされた長尺の偏光板をロール状に巻き取る方法、第1原反作製工程で得られるロール状に巻き取られていない第1の偏光板長尺原反を巻き取ることなくスリットし、スリットされた長尺の偏光板をロール状に巻き取る方法があり、いずれも採用できる。第2スリット工程(e)及びそれに続く第2偏光板巻き取り工程(f)についても同様である。第1偏光板巻き取り工程(c)及び第2偏光板巻き取り工程(f)におけるスリットされた長尺の偏光板の巻き取り方向は特に制限されないが、例えば第1及び第2の離型フィルム80,90側が内側となるように巻き取ることができる。
第1のロール状偏光板製造工程と第2のロール状偏光板製造工程の順序は特に制限されず、同時に並行して行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。
このロール状偏光板のセットの製造方法によれば、第1のロール状偏光板71と第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工される。このため、これらをロール状偏光板としてセットで用いることにより、それぞれを液晶セル40の短辺又は長辺のうち、ロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺の長さに切断するだけで、液晶セル40に対応するサイズを有する偏光板を得ることができる。また、ロール状偏光板71,71´は、その長辺方向に吸収軸を有するため、偏光板と液晶セル40との貼合時における軸精度が良くなり、光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能に優れる液晶パネル2を得ることができる。さらに、得られるロール状偏光板のセットにおいては、一方のロール状偏光板の吸収軸は液晶セル40の長辺に平行となり、他方のロール状偏光板の吸収軸は液晶セル40の短辺に平行となるため、両方のロール状偏光板(又はこれを所定形状に裁断して得られる偏光板)の長辺方向が液晶パネル製造工程における液晶セル40の搬送方向と平行になるようにして液晶セル40との貼合を行うだけで、それぞれの偏光板の吸収軸を互いに直交させることができる。
<液晶パネルの製造方法>
液晶パネル2は、上記ロール状偏光板のセットを用い、液晶セル40の背面側に第1の偏光板20(第1のロール状偏光板71から所定形状に裁断された偏光板)を貼合し、液晶セル40の視認側に第2の偏光板30(第2のロール状偏光板71´から所定形状に裁断された偏光板)を貼合して製造される。液晶パネル2の製造方法は、例えば、第1のロール状偏光板71は液晶セル40の長辺に対応する幅を有し、第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する場合、液晶セル40を、その短辺方向が流れ方向となるように搬送する液晶セル40の第1搬送工程;下記工程(A)〜(D)を備える第1偏光板供給貼合工程;液晶セル40を、その長辺方向が流れ方向となるように搬送する液晶セル40の第2搬送工程;及び、下記工程(E)〜(H)を備える第2偏光板供給貼合工程を含んでいる。これにより、液晶セル40の一方の面に第1の偏光板20が積層され、他方の面には第2の偏光板30が積層された液晶パネル2が得られる。
(A)上記ロール状偏光板のセットのうち、第1のロール状偏光板71から長尺の偏光板を、液晶セル40の第1搬送工程で供給される液晶セル40の背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程、
(B)第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して、第1の偏光板20を得る第1偏光板裁断工程、
(C)第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板(第1の偏光板20)を、液晶セル40の第1搬送工程で搬送される液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程、
(D)第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板(第1の偏光板20)を液晶セル40の第1搬送工程で搬送される液晶セル40の背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程。
(E)上記ロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板71´から長尺の偏光板を、液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程、
(F)第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して、第2の偏光板30を得る第2偏光板裁断工程、
(G)第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板(第2の偏光板30)を、液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程、
(H)第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板(第2の偏光板30)を液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程。
図8は、液晶パネル2の製造方法の一例を示す概略図であり、具体的には、第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程、並びにこれらの工程の実施に好適に用いることができる装置の概略を示したものである。この図に示すように、液晶セル40の背面側への第1の偏光板20の貼合は、以下の工程を経て行われ、これにより片面に第1の偏光板20が貼合された液晶セル41が得られる。
・ベルトコンベヤー等を用いた液晶セル40の第1搬送工程64;
・巻き出し用ロール等を用いて、第1のロール状偏光板71から長尺の偏光板72を巻き出す(A)第1偏光板巻き出し工程60;
・巻き出された長尺の偏光板72を、切断手段62aを用いて、液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して、第1の偏光板20を得る(B)第1偏光板裁断工程62;
・巻き出された長尺の偏光板72又は第1偏光板裁断工程62で裁断して得られた第1の偏光板20を、センサ61a等を用いた位置制御により、搬送された液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる(C)第1偏光板位置合わせ工程61;
・第1偏光板位置合わせ工程61を経た後の長尺の偏光板72又は裁断して得られた第1の偏光板20を、貼合ロール63a等を用いて、搬送された液晶セル40の背面側に貼り合わせる(D)第1偏光板貼合工程63。
(B)第1偏光板裁断工程62で用いる切断手段62aとしては、例えば、レーザー、切断刃、その他の公知の切断手段を用いることができる。なお、当該裁断工程においては、図8に示されるように、長尺の偏光板72の最表面に配置される第1の離型フィルム80を裁断することなく他各層のみを裁断する、いわゆる「ハーフカット」を行うことが好ましい。これにより、第1の離型フィルム80を、所定形状に裁断された第1の偏光板20の搬送媒体として利用することができる。また、この際、第1の離型フィルム80に適度な張力をかけることにより、所定形状に裁断された第1の偏光板20のカール発生を抑制することができる。
ただし、図9に示されるように、所定形状に裁断された第1の偏光板20の搬送媒体として、別途、離型フィルム回収用フィルム76を用いる場合には、「ハーフカット」ではなく、長尺の偏光板72を構成するすべての層を切断してもよい。この場合、後述する離型フィルム回収工程65においては、裁断された偏光板から剥離された第1の離型フィルム80ごと離型フィルム回収用フィルム76が回収される。離型フィルム回収用フィルム76としては、第1の離型フィルム80に対して粘着性を有するフィルムが用いられる。
(C)第1偏光板位置合わせ工程61においては、センサ61aによって得られる長尺の偏光板72又は第1の偏光板20と液晶セル40との相対的位置関係情報に基づいて、長尺の偏光板72又は第1の偏光板20を固定し、液晶セル40の位置を調整して位置合わせを行ってもよいし、液晶セル40を固定し、長尺の偏光板72又は第1の偏光板20の位置を調整して位置合わせを行ってもよい。後者の場合、ハンドリング性の観点から、(B)第1偏光板裁断工程62を(C)第1偏光板位置合わせ工程61の前に行い、所定形状に裁断された第1の偏光板20の状態で位置合わせを行うことが好ましい。
(D)第1偏光板貼合工程63において、長尺の偏光板72又は裁断して得られた第1の偏光板20の液晶セル40への貼合は、図8に示されるように、離型フィルム剥離装置81を用いて、位置合わせされた長尺の偏光板72又は第1の偏光板20から第1の離型フィルム80を剥離した後(離型フィルム回収工程65)、露出した第1の粘着剤層27側で液晶セル40上に積層し、貼合ロール63aを用いて押し付けることにより行うことができる。離型フィルム回収工程65は、剥離した第1の離型フィルム80を巻き取る工程を含む。
ここで、(A)第1偏光板巻き出し工程60に続く、(B)第1偏光板裁断工程62、(C)第1偏光板位置合わせ工程61及び(D)第1偏光板貼合工程63の順序は特に制限されず、例えば、(B)→(C)→(D)の順、又は(C)→(B)→(D)の順に行うことができる。あるいは、図10に示されるように、(C)→(D)→(B)の順に行うこともできる。このような順序で行う装置においては、この図に示されるように、センサ61a、切断手段62a及び貼合ロール63a等は、必要に応じて、その伸縮により各構成部品の装置における位置を移動させることができる伸縮部75を備えることができる。各構成部品が固定式であり、いずれかの工程を行うためのスペースが確保できない場合であっても、伸縮部75を設けることにより、工程終了後に構成部品の位置を移動させることが可能になるため、次工程を行うためのスペースを確保することができる。
偏光板のハンドリング性の観点からは、(B)第1偏光板裁断工程62を(C)第1偏光板位置合わせ工程61の前に行い、所定形状に裁断された第1の偏光板20の状態で位置合わせを行うことが好ましい。
(B)→(C)→(D)の順に行う場合、工程(B)における長尺の偏光板72の裁断と、工程(C)における位置合わせのタイミングは特に制限されず、図8に示されるように、工程(C)の直前に工程(B)の位置合わせを行うようにしてもよいし、あるいは図11に示されるように、工程(B)と(C)との間に一定のインターバルを設けるようにしてもよい。後者の場合、裁断時に偏光板の位置ずれが生じることによって、工程(C)における位置合わせ精度が低下することを防止することができる。
液晶セル40の視認側への第2の偏光板30(図8において図示せず)の貼合(第2偏光板供給貼合工程)も、液晶セル40への上記第1の偏光板20の貼合(第1偏光板供給貼合工程)と同様にして行うことができる。なお、図8〜図11及び後述する図12,図13は、液晶セル40にまず第1の偏光板20を貼合する例を示しているが、第2の偏光板30を貼合した後、第1の偏光板20を貼合するようにしてもよい。
図12は、液晶パネル2の製造方法の一例を示す概略図であり、具体的には、液晶セル40の背面側に第1の偏光板20を貼合して、片面に第1の偏光板20が貼合された液晶セル41を得た後、液晶セル40の視認側に第2の偏光板30を貼合して液晶パネル2を作製する場合の一例を示したものである。この図において、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´は、(A)第1偏光板巻き出し工程60で第1のロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板72の流れ方向と、(E)第2偏光板巻き出し工程60´で第2のロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板72´の流れ方向とが直交するようになっている。これらの流れ方向が直交していると、必然的に液晶セル40の両面に貼合される偏光板の吸収軸も互いに直交した状態となる。このため、この製造方法では、後述する図13に示される方法において必要とされる液晶セル40の旋回工程92を省略し、上下反転工程91のみを介して第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とを連続的に行うことが可能となり、生産効率を向上させることができる。なお、第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とは、同じ場所で行ってもよいし、異なる場所で行ってもよい。
また、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´は、図13に示されるように、(A)第1偏光板巻き出し工程60で第1のロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板72の流れ方向と、(E)第2偏光板巻き出し工程60´で第2のロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板72´の流れ方向とが平行になるように行われてもよい。このような場合においては、通常、この図に示されるように、上下反転工程91を経た、片面に第1の偏光板20が貼合された液晶セル41を、次の第2偏光板供給貼合工程の流れ方向に旋回させる旋回工程92が設けられる。この図で示されるように、省スペースの観点から、第1偏光板供給貼合工程の工程ラインと第2偏光板供給貼合工程の工程ラインとは上下に配置されることが好ましい。
なお、上記いずれの液晶パネル2の製造方法においても、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´での長尺の偏光板72、72´の供給を液晶セル40の両側から行うことにより、上下反転工程91を省略することが可能となる。図12及び図13には、第1偏光板巻き出し工程60で巻き出される長尺の偏光板72及び第2偏光板巻き出し工程60´で巻き出される長尺の偏光板72´が、ともに液晶セル40,41の上側から供給され、貼合される形態を示したが、上下を反転させ、長尺の偏光板72,72´がそれぞれ、液晶セル40,41の下側から供給され、貼合されるようにすることも可能である。
上記(A)〜(H)のいずれかの工程の前若しくは後、又はこれらのいずれかの工程と並行して、偏光板の欠点検査工程を設けてもよい。欠点検査方法としては特に制限されず、例えば、偏光板の両面に対して透過光又は反射光を照射して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の吸収軸とクロスニコルとなるように配置(0°クロスと称することがある)して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の吸収軸に対して検査用偏光板の吸収軸が所定角度(例えば、0°より大きく10°以内の範囲)になるように配置(x°クロスと称することがある)して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法が挙げられる。なお、得られた画像から欠点を検出する際の画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
上記のうち、透過光を照射して画像撮影を行う方法では、偏光板内部の異物を検出できる。反射光を照射して画像撮影を行う方法では、偏光板表面に付着した異物を検出できる。0°クロスで検査用偏光板を配置し、画像撮影を行う方法では、主に、表面に付着した異物又は汚れ、及び内部の異物等を輝点として検出できる。x°クロスで検査用偏光板を配置し、画像撮影を行う方法では、主に、偏光フィルム21,31と、外側樹脂フィルム25,35、位相差フィルム23,33との界面において生じる局所的な凹凸欠陥、いわゆるクニックを検出することができる。
上記欠点検査工程を設ける場合には、欠点検査工程で得られた欠点の情報に基づいて、裁断工程(工程(B)及び(F)、位置合わせ工程(工程(C)及び(G))又は貼合工程(工程(D)及び(H))において、液晶セル40に貼合される偏光板領域内に欠点を含まないように、欠点を避けて切断、位置合わせ又は貼合されることが好ましい。また、歩留まりの観点からは、欠点検査工程は、好ましくは第1、第2偏光板貼合工程(D)、(H)より前に行われて、欠点部分を排除することが好ましい。
また、液晶パネル2の製造方法においては、液晶セル40の両面に偏光板を貼合した後、液晶パネル2を検査する液晶パネル欠点検査工程を含むことが好ましい。欠点検査方法としては、液晶パネル2の両面に対して反射光を照射して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法が例示される。また、他の方法として、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、得られた画像から欠点を検出する際の画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
さらに、上記液晶パネル2の欠点検査工程で得られた欠点の情報に基づいて、液晶パネル2の良品判定がなされる判定工程を設けてもよい。良品判定された液晶パネル2は、次工程である液晶表示装置1への実装工程に供される。一方、不良品判定された場合には、リワーク処理(液晶セル40から偏光板を剥がす工程)が施され、新たに偏光板が貼合され、次いで検査される。良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
以上に示した液晶パネル2の製造方法は、第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とを連続した製造ラインで実施することができ、製造効率に優れる。本発明の液晶パネル2の製造方法に含まれる各工程は、高品質の液晶パネル2を得るために、清浄度の高い隔離構造内部で行うことが好ましい。
液晶セル40はVAモードの液晶セル40であることが好ましい。VAモードでは、液晶表示装置1の正面から見た場合と斜め方向から見た場合で輝度が変動するため、視野角を広げる必要があり、このため、位相差フィルムを少なくとも1枚用いることがあるからである。VAモードの液晶セル40を用いて液晶パネル2が形成される場合には、偏光板20と偏光板30の吸収軸は、通常、互いに直交であり、かつこれらの吸収軸は矩形の液晶セル40の長辺方向又は短辺方向に平行となる。このため、液晶パネル2の製造においては、長辺方向に吸収軸を有し、液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有する第1及び第2のロール状偏光板を用いる本発明の製造方法を好適に用いることができる。
上述した例では、第1のロール状偏光板71は液晶セル40の長辺に対応する幅を有する状態で、第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれていた。そして、液晶セルの第1搬送工程において、液晶セル40の短辺が流れ方向となるように搬送し、第1偏光板裁断工程において、第1のロール状偏光板71を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の背面側に貼合し、液晶セルの第2搬送工程において、液晶セル40の長辺が流れ方向となるように搬送し、第2のロール状偏光板71´を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の視認側に貼合している。
しかしながら、第1のロール状偏光板71は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する状態で、第2のロール状偏光板71´は液晶セル40の長辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれていた場合、液晶セルの第1搬送工程において、液晶セル40の長辺が流れ方向となるように搬送し、第1偏光板裁断工程において、第1のロール状偏光板71を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の背面側に貼合し、液晶セルの第2搬送工程において、液晶セル40の短辺が流れ方向となるように搬送し、第2のロール状偏光板71´を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の視認側に貼合することになる。
1 液晶表示装置、2 液晶パネル、10 バックライト、20 第1の偏光板、21 第1の偏光フィルム、23 第1の位相差フィルム、23a 1/4波長板、23b 1/2波長板、25 第1の外側樹脂フィルム、27 第1の粘着剤層、30 第2の偏光板、31 第2の偏光フィルム、33 第2の位相差フィルム、35 第2の外側樹脂フィルム、37 第2の粘着剤層 40 液晶セル、41 片面に第1の偏光板が貼合された液晶セル、50 光拡散板、60 第1偏光板巻き出し工程、60´ 第2偏光板巻き出し工程、61 第1偏光板位置合わせ工程、61´ 第2偏光板位置合わせ工程、61a センサ、62 第1偏光板裁断工程、62´ 第2偏光板裁断工程、62a 切断手段、63 第1偏光板貼合工程、63´ 第2偏光板貼合工程、63a 貼合ロール、64 液晶セルの第1搬送工程、64´ 液晶セルの第2搬送工程、65,65´ 離型フィルム回収工程、71 第1のロール状偏光板、71´ 第2のロール状偏光板、72 第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板、72´ 第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板、75 伸縮部、76 離型フィルム回収用フィルム、80 第1の離型フィルム、81 離型フィルム剥離装置、90 第2の離型フィルム、91 上下反転工程、92 旋回工程、

Claims (7)

  1. 液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;
    前記第1のロール状偏光板は、
    第1の外側樹脂フィルムと、
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、
    第1の粘着剤層と、
    第1の離型フィルムと、
    をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
    前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;
    前記第2のロール状偏光板は、
    第2の外側樹脂フィルムと、
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、
    第2の粘着剤層と、
    第2の離型フィルムと、
    をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
    前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、
    前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の偏光フィルムと粘着剤層との間に配置された第1の位相差フィルムと、
    前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の前記偏光フィルムと前記粘着剤層との間であって、前記粘着剤層と接する位置に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、
    前記第1の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が10〜500nmの範囲にあり、
    前記第2の位相差フィルムは、有機物で修飾されていない無機層状化合物と、水酸基の置換度が2.1〜3.0であり数平均分子量が2万5千から12万の範囲にあるセルロース誘導体との混合物からなることを特徴とするロール状偏光板のセット。
  2. 前記第2の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が10nm以下、厚み方向位相差値が40〜350nmの範囲にあるネガティブCプレートである、請求項1に記載のロール状偏光板のセット。
  3. 前記第1の位相差フィルムは、以下のいずれかである、請求項1又は2に記載のロール状偏光板のセット。
    波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあるポジティブAプレート;
    波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が20〜500nmの範囲にあるポジティブBプレート;
    波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板;
    波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板;
    波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板と、波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板とが積層された複合位相差板。
  4. 液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットを製造する方法であって;
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程と、
    前記第1原反作製工程で得られる前記第1の偏光板長尺原反を前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅となるように切断する第1スリット工程と、
    前記第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程と、を備える第1のロール状偏光板製造工程;及び
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程と、
    前記第2原反作製工程で得られる前記第2の偏光板長尺原反を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断する第2スリット工程と、
    前記第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程と、を備える第2のロール状偏光板製造工程を含み、
    前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の偏光フィルムと粘着剤層との間に配置された第1の位相差フィルムと、
    前記第1のロール状偏光板と前記第2のロール状偏光板の一方又は両方の前記偏光フィルムと前記粘着剤層との間であって、前記粘着剤層と接する位置に配置された第2の位相差フィルムと、を更に備え、
    前記第1の位相差フィルムは、波長590nmにおける面内位相差値が10〜500nmの範囲にあり、
    前記第2の位相差フィルムは、有機物で修飾されていない無機層状化合物と、水酸基の置換度が2.1〜3.0であり数平均分子量が2万5千から12万の範囲にあるセルロース誘導体との混合物からなることを特徴とするロール状偏光板のセットの製造方法。
  5. 液晶セルの背面側に第1の偏光板を貼合し、前記液晶セルの視認側に第2の偏光板を貼合して、液晶パネルを製造する方法であって;
    前記液晶セルの短辺又は長辺のうち、請求項1〜3のいずれかに記載のロール状偏光板のセットにおける第1のロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺が流れ方向の辺となるように前記液晶セルを搬送する液晶セルの第1搬送工程;
    前記第1のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で供給される前記液晶セルの背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程と、
    前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第1偏光板裁断工程と、
    前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程と、
    前記第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される前記液晶セルの背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程と、を備え、かつ
    前記第1偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第1偏光板裁断工程、前記第1偏光板位置合わせ工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板裁断工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板貼合工程、及び前記第1偏光板裁断工程の順に行われる第1偏光板供給貼合工程;
    前記液晶セルを、その長辺又は短辺方向のうち前記第1搬送工程とは反対の辺が流れ方向となるように搬送する液晶セルの第2搬送工程;及び
    請求項1〜3のいずれかに記載のロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程と、
    前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの長辺又は短辺のうち前記第2搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第2偏光板裁断工程と、
    前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程と、
    前記第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程と、を備え、かつ
    前記第2偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第2偏光板裁断工程、前記第2偏光板位置合わせ工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板裁断工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は、前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板貼合工程、及び前記第2偏光板裁断工程の順に行われる第2偏光板供給貼合工程を含むことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  6. 前記第1偏光板巻き出し工程及び前記第2偏光板巻き出し工程は、前記第1偏光板巻き出し工程で前記第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向と、前記第2偏光板巻き出し工程で前記第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向とが直交するように行われる、請求項5に記載の液晶パネルの製造方法。
  7. 前記液晶セルは、VAモードの液晶セルである、請求項5又は6に記載の液晶パネルの製造方法。
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