JP2019174847A - 円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法 - Google Patents

円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019174847A
JP2019174847A JP2019127834A JP2019127834A JP2019174847A JP 2019174847 A JP2019174847 A JP 2019174847A JP 2019127834 A JP2019127834 A JP 2019127834A JP 2019127834 A JP2019127834 A JP 2019127834A JP 2019174847 A JP2019174847 A JP 2019174847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wave plate
film
stretching
quarter
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019127834A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6825654B2 (ja
Inventor
弘昌 橋本
Hiromasa Hashimoto
弘昌 橋本
和弘 大里
Kazuhiro Osato
和弘 大里
孝央 小林
Takao Kobayashi
孝央 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2019127834A priority Critical patent/JP6825654B2/ja
Publication of JP2019174847A publication Critical patent/JP2019174847A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6825654B2 publication Critical patent/JP6825654B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる長尺の円偏光板を実現できる光学積層体を提供する。【解決手段】固有複屈折値が正の樹脂からなる、長尺の1/2波長板及び長尺の1/4波長板を備え、前記1/2波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角が、50°以上90°以下であり、前記1/2波長板のNZ係数が、1.0〜1.5であり、前記1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角が、0°以上50°未満であり、前記1/4波長板のNZ係数が、1.0〜1.5である、光学積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体、並びに、この光学積層体を含む円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)等の画像表示装置には、表示面における外光の反射を低減するため、円偏光板が設けられることがある。このような円偏光板としては、一般に、直線偏光子及び位相差フィルムである1/4波長板を組み合わせたフィルムが用いられる。しかし、従来の1/4波長板は、特定の狭い波長範囲の光でしか略1/4波長のレターデーションを達成できないものがほとんどであった。そのため、円偏光板によって特定の狭い波長範囲の外光の反射は低減できるが、それ以外の外光の反射を低減することは難しかった。
これに対し、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせた広帯域1/4波長板が提案されている(特許文献1〜6参照)。この広帯域1/4波長板によれば、広い波長範囲の光で略1/4波長のレターデーションを達成できるので、広い波長範囲において外光の反射を低減できる円偏光板を実現できる。
また、特許文献7のような遅相軸方向がフィルムの面内方向であって、そのフィルムの幅方向に、直交でもなく平行でもない斜め方向に存在する位相差フィルムの技術が知られている。
特許第4708787号公報 特開平05−100114号公報 特開2003−114325号公報 特開平10−68816号公報 特開平11−183723号公報 特開平11−295526号公報 特開2012−25167号公報
直線偏光子と広帯域1/4波長板とを組み合わせた円偏光板では、直線偏光子の偏光透過軸、1/2波長板の遅相軸、及び、1/4波長板の遅相軸という光学軸の方向を、これらの光学軸が所定の角度をなすように調整することが求められる。
しかし、正面方向以外の傾斜方向から円偏光板を見た場合、前記の光学軸がなす見かけ上の角度が、所定の角度からずれることがある。そのため、従来の円偏光板は、正面方向においては外光の反射を低減できるが、正面方向以外の傾斜方向においては外光の反射を効果的に低減できないことがあった。特に、広帯域1/4波長板を備える円偏光板は、1/4波長板だけでなく1/2波長板も備えるので、光学軸の数が従来の円偏光板よりも多くなっている。そのため、広帯域1/4波長板を備える円偏光板では、見かけ上の光学軸のずれが、1/2波長板を備えない従来の円偏光板よりも大きくなり、傾斜方向における外光の反射を低減する能力に劣る傾向があった。
本発明は上述した課題に鑑みて創案されたもので、正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる長尺の円偏光板を実現できる光学積層体;正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる、長尺の円偏光板;並びに、前記の円偏光板から切り出した反射防止フィルムを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置;を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の1/2波長板及び長尺の1/4波長板を備える光学積層体であって、1/2波長板及び1/4波長板の遅相軸の方向、並びに、1/2波長板及び1/4波長板のNZ係数が所定の範囲に収まっている光学積層体を用いれば、正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる長尺の円偏光板を実現できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕 固有複屈折値が正の樹脂からなる、長尺の1/2波長板及び長尺の1/4波長板を備え、
前記1/2波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角が、50°以上90°以下であり、
前記1/2波長板のNZ係数が、1.0〜1.5であり、
前記1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角が、0°以上50°未満であり、
前記1/4波長板のNZ係数が、1.0〜1.5である、光学積層体。
〔2〕 前記1/2波長板の遅相軸と前記1/4波長板の遅相軸との交差角が、55°〜65°である、〔1〕記載の光学積層体。
〔3〕 前記の固有複屈折値が正の樹脂が、環状オレフィン重合体を含む、〔1〕又は〔2〕記載の光学積層体。
〔4〕 前記1/2波長板及び前記1/4波長板が、1回以上の斜め延伸を施された延伸フィルムである、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学積層体。
〔5〕 前記1/2波長板が、前記斜め延伸の後で、更に縦延伸を施された逐次二軸延伸フィルムである、〔4〕記載の光学積層体。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学積層体及び長尺の直線偏光子を、ロールツロールにより、前記直線偏光子、前記1/2波長板及び前記1/4波長板がこの順になるように貼り合わせて得られる円偏光板であって、
前記直線偏光子の偏光透過軸と前記1/2波長板の遅相軸とがなす角度が、50°以上90°未満である、円偏光板。
〔7〕 〔6〕記載の円偏光板から切り出して得られた反射防止フィルムを備える、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明によれば、正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる長尺の円偏光板を実現できる光学積層体;正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる、長尺の円偏光板;並びに、前記の円偏光板から切り出した反射防止フィルムを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る長尺の光学積層体を模式的に示す分解斜視図である。 図2は、延伸前フィルムの延伸に用いるテンター延伸機の一例を模式的に示す平面図である。 図3は、中間フィルムの延伸に用いるロール延伸機の一例を模式的に示す平面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。
以下の説明において、フィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向のレターデーションRthは、別に断らない限り、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで表される値である。さらに、フィルムのNZ係数は、別に断らない限り、(nx−nz)/(nx−ny)で表される値であり、0.5+Rth/Reで計算しうる。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
以下の説明において、フィルムの遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルムの面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、フィルムの配向角とは、別に断らない限り、ある基準方向に対して当該フィルムの面内の遅相軸がなす角度をいう。また、以下の説明において、長尺のフィルムの配向角は、別に断らない限り、当該フィルムの幅方向に対して遅相軸がなす配向角を表す。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する。
以下の説明において、長尺のフィルムの斜め方向とは、別に断らない限り、そのフィルムの面内方向であって、そのフィルムの幅方向に平行でもなく垂直でもない方向を示す。
以下の説明において、あるフィルムの正面方向とは、別に断らない限り、当該フィルムの主面の法線方向を意味し、具体的には前記主面の極角0°且つ方位角0°の方向を指す。
以下の説明において、あるフィルムの傾斜方向とは、別に断らない限り、当該フィルムの主面に平行でも垂直でもない方向を意味し、具体的には前記主面の極角が0°より大きく90°より小さい範囲の方向を指す。
以下の説明において、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、長尺のフィルムの長手方向は、通常は製造ラインにおけるフィルム搬送方向と平行である。
以下の説明において、「偏光板」、「1/2波長板」及び「1/4波長板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、複数のフィルムを備える部材における各フィルムの光学軸(偏光吸収軸、偏光透過軸、遅相軸等)がなす角度は、別に断らない限り、前記のフィルムを厚み方向から見たときの角度を表す。
[1.光学積層体の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る光学積層体100を模式的に示す分解斜視図である。図1においては、1/4波長板120の表面には、1/2波長板110の遅相軸111を投影した軸112を一点鎖線で示す。また、図1に示す光学積層体100において、光学積層体100の幅方向、1/2波長板110の幅方向及び1/4波長板120の幅方向は一致するので、共通の符号TDで示す。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る長尺の光学積層体100は、固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の1/2波長板110、及び、固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の1/4波長板120を備える。
1/2波長板110は、所定の面内レターデーションを有する長尺の光学部材である。この1/2波長板110は、当該1/2波長板110の幅方向TDに対して所定の平均配向角θhをなす方向に、当該1/2波長板110の面内方向に平行な遅相軸111を有する。
また、1/4波長板120は、所定の面内レターデーションを有する長尺の光学部材である。この1/4波長板120は、当該1/4波長板120の幅方向TDに対して所定の平均配向角θqをなす方向に、当該1/4波長板120の面内方向に平行な遅相軸121を有する。
このような構造を有する光学積層体100は、当該光学積層体100を透過する広い波長範囲の光にその光の波長の略1/4波長の面内レターデーションを与えうる広帯域1/4波長板として機能しうる。そして、このような光学積層体100を直線偏光子と組み合わせることにより、広い波長範囲において、右円偏光及び左円偏光の一方の光を吸収し、残りの光を透過させうる円偏光板を実現できる。
[2.1/2波長板]
1/2波長板の面内レターデーションは、通常240nm以上通常300nm以下である。1/2波長板がこのような面内レターデーションを有することにより、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて、広帯域1/4波長板として機能しうる光学積層体を実現できる。さらに、この光学積層体を直線偏光子と組み合わせることにより、正面方向及び傾斜方向の両方において広い波長範囲の光の反射を抑制することが可能な円偏光板を実現できる。中でも、傾斜方向における外光の反射を特に効果的に低減するためには、1/2波長板の面内レターデーションは、好ましくは250nm以上であり、好ましくは280nm以下、より好ましくは265nm以下である。
1/2波長板のNZ係数は、通常1.00以上、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.10以上であり、通常1.50以下、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.30以下である。1/2波長板のNZ係数が前記のように1.0に近いことは、1/2波長板の光学的な一軸性が高いことを表す。ここで光学的な一軸性とは、一方向に延伸した延伸フィルムに近い光学特性を発現しうる性質を示す。このように高い一軸性を有する1/2波長板を備える光学積層体を用いて得られる円偏光板は、傾斜方向において外光の反射をより効果的に低減できる。また、このようなNZ係数を有する1/2波長板は、製造を容易に行うことができる。
1/2波長板の波長分散は、順波長分散特性、フラット波長分散特性、及び逆波長分散特性等の波長分散特性を有しうる。順波長分散特性は、波長が短くなるに従って、レターデーションが大きくなる波長分散特性を意味する。また、逆波長分散特性は、波長が短くなるに従って、レターデーションが小さくなる波長分散特性を意味する。さらに、フラット波長分散特性は、波長に関係なく、レターデーションが変わらない波長分散特性を意味する。
1/2波長板の遅相軸が当該1/2波長板の幅方向に対してなす平均配向角θhは、通常50°以上、好ましくは55°以上、より好ましくは60°以上であり、通常90°以下、好ましくは85°以下、より好ましくは80°以下である(図1参照)。1/2波長板の平均配向角θhを前記の範囲に収めることにより、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて広帯域1/4波長板として機能しうる光学積層体を実現できる。さらに、この光学積層体を直線偏光子と組み合わせることにより、正面方向及び傾斜方向の両方において広い波長範囲の光の反射を抑制することが可能な円偏光板を実現できる。
フィルムの平均配向角は、偏光顕微鏡(オリンパス社製「BX51」)を用いて、フィルムの幅方向50mm間隔で測定し、面内の遅相軸を測定し、遅相軸の方向とフィルムの幅方向との成す角度(配向角)の平均値を求め、これを平均配向角として測定しうる。
1/2波長板は、固有複屈折値が正の樹脂からなる部材であり、通常は前記の樹脂からなるフィルムである。固有複屈折値が正の樹脂は、固有複屈折値が正の重合体を含む。この重合体の例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ポリビニルアルコール;ポリカーボネート;ポリアリレート;セルロースエステル重合体、ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;ポリアリルサルホン;ポリ塩化ビニル;ノルボルネン重合体等の環状オレフィン重合体;棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、重合体は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。これらの中でも、機械特性、耐熱性、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、環状オレフィン重合体が好ましい。
環状オレフィン重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体である。環状オレフィン重合体は、主鎖に脂環式構造を有する重合体、側鎖に脂環式構造を有する重合体、主鎖及び側鎖に脂環式構造を有する重合体、並びに、これらの2以上の任意の比率の混合物としうる。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を有する重合体が好ましい。
脂環式構造の例としては、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、及び不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造が挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲であると、樹脂の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
環状オレフィン重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。環状オレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、透明性及び耐熱性が良好となる。
環状オレフィン重合体の中でも、シクロオレフィン重合体が好ましい。シクロオレフィン重合体とは、シクロオレフィン単量体を重合して得られる構造を有する重合体である。また、シクロオレフィン単量体は、炭素原子で形成される環構造を有し、かつ該環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。重合性の炭素−炭素二重結合の例としては、開環重合等の重合が可能な炭素−炭素二重結合が挙げられる。また、シクロオレフィン単量体の環構造の例としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらを組み合わせた多環等が挙げられる。中でも、得られる重合体の誘電特性及び耐熱性等の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィン単量体が好ましい。
上記のシクロオレフィン重合体の中でも好ましいものとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体は、成形性が良好なため、特に好適である。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素化物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる他の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる他の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)を挙げることができる。ここで、置換基の例としては、アルキル基、アルキレン基、及び極性基を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の例としては、ヘテロ原子、及びヘテロ原子を有する原子団が挙げられる。ヘテロ原子の例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子が挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、及びスルホン酸基が挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体の例としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体が挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素原子数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;並びに1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、これらの開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、当該ノルボルネン系重合体を含む1/2波長板を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにできる。
単環の環状オレフィン系重合体の例としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィン系モノマーの付加重合体を挙げることができる。
環状共役ジエン系重合体の例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系モノマーの付加重合体を環化反応して得られる重合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマーの1,2−または1,4−付加重合体;およびこれらの水素化物を挙げることができる。
固有複屈折値が正の樹脂に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、樹脂の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされ好適である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量である。
固有複屈折値が正の樹脂に含まれる重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、1/2波長板の安定性を高めることができる。
固有複屈折値が正の樹脂における重合体の割合は、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%、特に好ましくは90重量%〜100重量%である。重合体の割合を前記範囲にすることにより、1/2波長板が十分な耐熱性及び透明性を得られる。
固有複屈折値が正の樹脂は、前記の重合体に加えて、配合剤を含みうる。配合剤の例を挙げると、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;酸化防止剤;微粒子;界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
固有複屈折値が正の樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下である。固有複屈折値が正の樹脂のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、高温環境下における1/2波長板の耐久性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、延伸処理を容易に行える。
固有複屈折値が正の樹脂は、光弾性係数の絶対値が、好ましくは10×10−12Pa−1以下、より好ましくは7×10−12Pa−1以下、特に好ましくは4×10−12Pa−1以下である。これにより、1/2波長板のレターデーションのバラツキを小さくすることができる。ここで、光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
1/2波長板の全光線透過率は、好ましくは80%以上である。光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定しうる。
1/2波長板のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値を採用しうる。
1/2波長板が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下であり、理想的にはゼロである。揮発性成分の量を少なくすることにより、1/2波長板の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。
ここで、揮発性成分とは、フィルム中に微量含まれる分子量200以下の物質であり、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、フィルム中に含まれる分子量200以下の物質の合計として、フィルムをクロロホルムに溶解させてガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量することができる。
1/2波長板の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下であり、理想的にはゼロである。1/2波長板の飽和吸水率が前記範囲であると、面内レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。
ここで、飽和吸水率は、フィルムの試験片を23℃の水中に24時間浸漬し、増加した質量の、浸漬前フィルム試験片の質量に対する百分率で表される値である。
1/2波長板の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。これにより、1/2波長板の機械的強度を高めることができる。
1/2波長板の製造方法は任意である。1/2波長板は、例えば、樹脂からなる長尺の延伸前フィルムに1回以上の斜め延伸を施すことを含む製造方法により、延伸フィルムとして製造してもよい。ここで「斜め延伸」とは、長尺のフィルムを斜め方向に延伸することを表す。斜め延伸を含む製造方法によれば、1/2波長板を容易に製造することができる。
さらに、1/2波長板は、前記の斜め延伸の後で更に縦延伸を施すことを含む製造方法により、逐次二軸延伸フィルムとして製造することが好ましい。ここで「縦延伸」とは、長尺のフィルムを長手方向に延伸することを表す。
以下、1/2波長板の好ましい製造方法の一例を、説明する。この例に係る1/2波長板の製造方法は、(a)固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の延伸前フィルムを用意する第一工程と、(b)長尺の延伸前フィルムを斜め方向に延伸して、長尺の中間フィルムを得る第二工程と、(c)中間フィルムを長手方向に自由一軸延伸して、長尺の1/2波長板を得る第三工程とを含む。
(a)第一工程では、固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の延伸前フィルムを用意する。延伸前フィルムは、例えば、溶融成形法又は溶液流延法によって製造しうる。溶融成形法のより具体的な例としては、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、及び延伸成形法が挙げられる。これらの方法の中でも、機械強度、表面精度等に優れた1/2波長板を得るために、押出成形法、インフレーション成形法又はプレス成形法が好ましく、中でも効率よく簡単に1/2波長板を製造できる観点から押出成形法が特に好ましい。
(a)第一工程で長尺の延伸前フィルムを用意した後で、(b)その長尺の延伸前フィルムを斜め方向に延伸して中間フィルムを得る第二工程を行なう。第二工程では、通常、延伸前フィルムを長手方向に連続的に搬送しながら、テンター延伸機を用いて延伸を行なう。
図2は、延伸前フィルムの延伸に用いるテンター延伸機200の一例を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、この例に示すテンター延伸機200は、繰出しロール10から繰り出される延伸前フィルム20を、水平に搬送しながら、図示しないオーブンによる加熱環境下で、その斜め方向に延伸するための装置である。
テンター延伸機200は、延伸前フィルム20の両端部21及び22をそれぞれ把持しうる複数個の把持子210R及び210Lと、前記の把持子210R及び210Lを案内するためにフィルム搬送路の両側に設けられた一対のガイドレール220R及び220Lとを備える。
把持子210R及び210Lは、ガイドレール220R及び220Lに沿って走行しうるように設けられている。また、把持子210R及び210Lは、前後の把持子210R及び210Lと一定間隔を保って、一定速度で走行しうるように設けられている。さらに、把持子210R及び210Lは、テンター延伸機200に順次供給される延伸前フィルム20の幅方向の両端部21及び22を、テンター延伸機200の入口部230において把持し、テンター延伸機200の出口部240で開放しうるように設けられている。
ガイドレール220R及び220Lは、製造すべき中間フィルム30の遅相軸の方向及び延伸倍率等の条件に応じた、非対称な形状を有している。本例に示すテンター延伸機200には、ガイドレール220R及び220Lの間隔が下流ほど広くなる延伸ゾーン250が設けられている。この延伸ゾーン250では、ガイドレール220R及び220Lの形状は、そのガイドレール220R及び220Lによって案内される把持子210R及び210Lが、左方向へ延伸前フィルム20の進行方向を曲げるように、延伸前フィルム20を搬送しうる形状に設定されていて、一方の把持子210Rの移動距離が他方の把持子210Lの移動距離よりも長くなっている。ここで、長尺のフィルムの進行方向とは、別に断らない限り、そのフィルムの幅方向の中点の移動方向のことをいう。また、「右」及び「左」とは、別に断らない限り、搬送方向の上流から下流を観察した場合における向きを示す。
また、ガイドレール220R及び220Lは、把持子210R及び210Lが所定の軌道を周回しうるように、無端状の連続軌道を有している。このため、テンター延伸機200は、テンター延伸機200の出口部240で延伸前フィルム20を開放した把持子210R及び210Lを、順次、入口部230に戻しうる構造を有している。
(b)第二工程において、このようなテンター延伸機200を用いた延伸前フィルム20の延伸は、以下のようにして行なわれる。
繰出しロール10から延伸前フィルム20を繰り出し、その延伸前フィルム20をテンター延伸機200に連続的に供給する。
テンター延伸機200は、その入口部230において延伸前フィルム20の両端部21及び22を把持子210R及び210Lによって順次把持する。両端部21及び22を把持された延伸前フィルム20は、把持子210R及び210Lの走行に伴って搬送される。前記のように、本例のテンター延伸機200では、延伸前フィルム20の進行方向を左方向へ曲げるようにガイドレール220R及び220Lの形状を設定している。そのため、一方の把持子210Rが延伸前フィルム20を把持しながら走行する軌道の距離は、他方の把持子210Lが延伸前フィルム20を把持しながら走行する軌道の距離よりも長くなる。よって、テンター延伸機200の入口部230において延伸前フィルム20の進行方向に対して垂直な方向に相対していた一組の把持子210R及び210Lは、テンター延伸機200の出口部240において左側の把持子210Lが右側の把持子210Rよりも先行するので、延伸前フィルム20の斜め方向への延伸が行なわれて、長尺の中間フィルム30が得られる(図2の破線LD1、LD2及びLD3参照)。得られた中間フィルム30は、テンター延伸機200の出口部240において把持子210R及び210Lから開放され、巻き取られてロール40として回収される。
(b)第二工程における延伸倍率B1は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは4.0倍以下、より好ましくは3.0倍以下である。(b)第二工程における延伸倍率B1を前記範囲の下限値以上にすることにより、延伸方向の屈折率を大きくできる。また、上限値以下にすることにより、1/2波長板の遅相軸方向を容易に制御することができる。
(b)第二工程における延伸温度T1は、好ましくはTg℃以上、より好ましくはTg+2℃以上、特に好ましくはTg+5℃以上であり、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+35℃以下、特に好ましくはTg+30℃以下である。ここで、Tgとは、固有複屈折値が正の樹脂のガラス転移温度を言う。また、このテンター延伸機200において(b)第二工程における延伸温度T1とは、テンター延伸機200の延伸ゾーン250における温度をいう。(b)第二工程における延伸温度T1を前記の範囲にすることにより、延伸前フィルム20に含まれる分子を確実に配向させることができるので、所望の光学特性を有する中間フィルム30を容易に得ることができる。
(b)第二工程で延伸されたことによって、中間フィルム30に含まれる分子は配向している。そのため、中間フィルム30は、遅相軸を有する。(b)第二工程では、斜め方向へ延伸が行なわれるので、中間フィルム30の遅相軸は、中間フィルム30の斜め方向に発現する。具体的には、中間フィルム30は、その幅方向に対して、通常5°〜85°の範囲に遅相軸を有する。
中間フィルム30の遅相軸の具体的な方向は、製造したい1/2波長板の遅相軸の方向に応じて設定することが好ましい。通常は、(c)第三工程により得られる1/2波長板の遅相軸がその幅方向に対してなす角度は、中間フィルム30の遅相軸がその幅方向に対してなす角度よりも大きくなる。そのため、中間フィルム30の遅相軸がその幅方向に対してなす角度は、1/2波長板の遅相軸がその幅方向に対してなす角度よりも小さくすることが好ましい。
中間フィルム30の遅相軸は、延伸前フィルム20を斜め方向に延伸したことによって発現したものであるので、中間フィルム30の遅相軸の具体的な方向は、上述した(b)第二工程における延伸条件によって調整しうる。例えば、繰出しロール10からの延伸前フィルム20の繰出し方向D20と、中間フィルム30の巻取り方向D30とがなす繰出し角度φを調整することにより、中間フィルム30の遅相軸の方向を調整しうる。ここで、延伸前フィルム20の繰出し方向D20とは、繰出しロール10から繰り出される延伸前フィルム20の進行方向を示す。また、中間フィルム30の巻取り方向D30とは、ロール40として巻き取られる中間フィルム30の進行方向を示す。
(b)第二工程の後で、(c)中間フィルム30を長手方向に自由一軸延伸して、長尺の1/2波長板を得る第三工程を行なう。ここで自由一軸延伸とは、ある一方向への延伸であって、延伸される方向以外の方向に拘束力を加えないことをいう。よって、本例に示す中間フィルム30の長手方向への自由一軸延伸は、中間フィルム30の幅方向の端部を拘束しないで行なう長手方向への延伸のことをいう。(c)第三工程でのこのような延伸は、通常、中間フィルム30を長手方向に連続的に搬送しながら、ロール延伸機を用いて行なわれる。
図3は、中間フィルム30の延伸に用いるロール延伸機300の一例を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、本例に示すロール延伸機300は、ロール40から繰り出される中間フィルム30を、図示しないオーブンによる加熱環境下で、その長手方向に延伸するための装置である。
ロール延伸機300は、搬送方向の上流から順に、中間フィルム30を長手方向に搬送しうるニップロールとして上流ロール310及び下流ロール320を備える。ここで、下流ロール320の回転速度は上流ロール310の回転速度よりも速く設定されている。
前記のロール延伸機300を用いた中間フィルム30の延伸は、以下のようにして行なわれる。
ロール40から中間フィルム30を繰り出し、その中間フィルム30をロール延伸機300に連続的に供給する。
ロール延伸機300は、供給された中間フィルム30を上流ロール310及び下流ロール320の順に搬送する。この際、下流ロール320の回転速度が上流ロール310の回転速度よりも速いので、中間フィルム30の長手方向への延伸が行なわれて、1/2波長板50が得られる。前記のロール延伸機300による延伸では、中間フィルム30の幅方向の両端部31及び32は拘束されていない。そのため、通常は、長手方向への延伸に伴って中間フィルム30の幅は縮むので、中間フィルム30よりも幅が小さい1/2波長板50が得られる。本例では、1/2波長板50は、長手方向及び斜め方向という2方向に延伸された二軸延伸フィルムとして得られる。
その後、1/2波長板50は、必要に応じてその両端部がトリミングされた後で、巻き取られてロール60として回収される。
(c)第三工程における延伸倍率B2は、(b)第二工程における延伸倍率B1よりも小さくすることが好ましい。これにより、斜め方向に遅相軸を有する1/2波長板50において、シワの発生を抑制しながら延伸を行うことが可能となる。このように、斜め方向への延伸及び長手方向への自由一軸延伸をこの順に行なうことと、延伸倍率をB1>B2とすることとを組み合わせることにより、幅方向に対して従来の斜め一軸延伸フィルムよりも大きな角度方向に遅相軸を有する1/2波長板50を容易に製造できる。
この際、延伸倍率B2を大きくすることで、1/2波長板50の光学的な一軸性を高めることができる。固有複屈折が正の樹脂を延伸して得られた1/2波長板50においては、一軸性が高いほどNZ係数は1.0に近くなる傾向がある。一軸性の高い1/2波長板50は、NZ係数を1.0に近づけられるので、この1/2波長板を備える光学積層体を用いて得られる円偏光板により傾斜方向における外光の反射を効果的に低減できる。
(c)第三工程における具体的な延伸倍率B2は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.15倍以上、特に好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.8倍以下、特に好ましくは1.6倍以下である。(c)第三工程における延伸倍率B2を前記範囲の下限値以上にすることにより、1/2波長板50のシワを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、遅相軸の方向を容易に制御することが可能となる。
(c)第三工程における延伸温度T2は、(b)第二工程における延伸温度T1を基準として、好ましくは「T1−20℃」より高く、より好ましくは「T1−18℃」以上、特に好ましくは「T1−16℃」以上であり、好ましくは「T1+5℃」より低く、より好ましくは「T1+4℃」以下、特に好ましくは「T1+3℃」以下である。(c)第三工程における延伸温度T2を前記の範囲にすることにより、1/2波長板50の面内レターデーションを効果的に調節することができる。
前記の例に示した1/2波長板の製造方法は、更に変更して実施してもよい。
例えば、1/2波長板の製造方法は、(a)第一工程、(b)第二工程及び(c)第三工程以外に、更に任意の工程を有していてもよい。そのような工程としては、例えば、1/2波長板の表面に保護層を設ける工程が挙げられる。
また、例えば、延伸前フィルムとして、延伸前フィルムを任意の方向に延伸したフィルムを用いてもよい。このように、(b)第二工程に供する前に延伸前フィルムを延伸する方法としては、例えば、ロール方式、フロート方式の縦延伸法、テンター延伸機を用いた横延伸法などを用いうる。
また、上述した例では、中間フィルム30を巻き取ってロール40にし、そのロール40から中間フィルム30を繰り出して(c)第三工程に供給したが、(b)第二工程で得た中間フィルム30を巻き取らずに(c)第三工程に供給してもよい。
[3.1/4波長板]
1/4波長板の面内レターデーションは、通常110nm以上通常154nm以下である。1/4波長板がこのような面内レターデーションを有することにより、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて、広帯域1/4波長板として機能しうる光学積層体を実現できる。さらに、この光学積層体を直線偏光子と組み合わせることにより、正面方向及び傾斜方向の両方において広い波長範囲の光の反射を抑制することが可能な円偏光板を実現できる。中でも、傾斜方向における外光の反射を特に効果的に低減するためには、1/4波長板の面内レターデーションは、好ましくは118nm以上であり、好ましくは138nm以下、より好ましくは128nm以下である。
1/4波長板のNZ係数は、通常1.00以上、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.10以上であり、通常1.50以下、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.30以下である。1/4波長板のNZ係数が前記のように1.0に近いことは、1/4波長板の光学的な一軸性が高いことを表す。このように高い一軸性を有する1/4波長板を備える光学積層体を用いて得られる円偏光板は、傾斜方向において外光の反射を効果的に低減できる。また、このようなNZ係数を有する1/4波長板は、製造を容易に行うことができる。
1/4波長板の波長分散は、順波長分散特性、フラット波長分散特性、及び逆波長分散特性等の波長分散特性を有しうる。
1/4波長板の遅相軸が当該1/4波長板の幅方向に対してなす平均配向角θqは、通常0°以上、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、通常50°未満、好ましくは40°以下、より好ましくは30°以下である(図1参照)。1/4波長板の平均配向角θqを前記の範囲に収めることにより、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて広帯域1/4波長板として機能しうる光学積層体を実現できる。さらに、この光学積層体を直線偏光子と組み合わせることにより、正面方向及び傾斜方向の両方において広い波長範囲の光の反射を抑制することが可能な円偏光板を実現できる。
また、1/2波長板の平均配向角θh及び1/4波長板の平均配向角θqから分かるように、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とは、通常、交差している。ここで、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸との交差角θdは、好ましくは55°以上、より好ましくは57°以上、特に好ましくは59°以上であり、好ましくは65°以下、より好ましくは63°以下、特に好ましくは61°以下である(図1参照)。前記の交差角θdは、1/2波長板の平均配向角θhと1/4波長板の平均配向角θqとの差として測定しうる。交差角θdを前記の範囲に収めることにより、光学積層体を用いて得られる円偏光板が、光の反射を効果的に抑制できる。
1/4波長板は、固有複屈折値が正の樹脂からなる部材であり、通常は前記の樹脂からなるフィルムである。1/4波長板のための固有複屈折値が正の樹脂としては、1/2波長板のための固有複屈折値が正の樹脂として説明した範囲から選ばれる樹脂を、任意に用いうる。1/2波長板のための固有複屈折値が正の樹脂として説明した範囲から選ばれる樹脂を1/4波長板に適用することにより、1/2波長板の項において説明したのと同様の利点を1/4波長板でも得ることができる。中でも、1/2波長板と1/4波長板とは、同一の樹脂からなることが好ましい。
1/4波長板の全光線透過率は、好ましくは80%以上である。
1/4波長板のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。
1/4波長板が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下であり、理想的にはゼロである。揮発性成分の量を少なくすることにより、1/4波長板の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。
1/4波長板の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下であり、理想的にはゼロである。1/4波長板の飽和吸水率が前記範囲であると、面内レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。
1/4波長板の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。1/4波長板の厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、所望のレターデーションの発現が容易にできる。また、上限値以下にすることにより、光学積層体の薄膜化が可能である。
1/4波長板の製造方法は任意である。1/4波長板は、例えば、樹脂からなる長尺の延伸前フィルムに1回以上の斜め延伸を施すことを含む製造方法により、延伸フィルムとして製造しうる。斜め延伸を含む製造方法によれば、1/4波長板を容易に製造することができる。
1/4波長板の好ましい製造方法としては、例えば、(d)固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の延伸前フィルムを用意する第四工程と、(e)長尺の延伸前フィルムを斜め方向に延伸して、長尺の1/4波長板を得る第五工程と、を含む製造方法が挙げられる。
(d)第四工程では、固有複屈折値が正の樹脂からなる長尺の延伸前フィルムを用意する。延伸前フィルムは、例えば、1/2波長板の製造方法における(a)第一工程と同様の方法により、製造し得る。(d)第四工程において(a)第一工程と同様の方法によって延伸前フィルムを製造することにより、(a)第一工程と同様の利点を(d)第四工程でも得られる。
(d)第四工程で長尺の延伸前フィルムを用意した後で、(e)その長尺の延伸前フィルムを斜め方向に延伸して1/4波長板を得る第五工程を行なう。第五工程では、通常、延伸前フィルムを長手方向に連続的に搬送しながら、テンター延伸機を用いて延伸を行なう。この際、テンター延伸機としては、1/2波長板の製造方法における(b)第二工程で説明したのと同様のテンター延伸機を用いうる。(e)第五工程において(b)第二工程と同様のテンター延伸機を用いることにより、(b)第二工程と同様の利点を(e)第五工程でも得られる。
(e)第五工程における延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.3倍以上、特に好ましくは1.5倍以上であり、好ましくは5.0倍以下、より好ましくは4.5倍以下、特に好ましくは4.3倍以下である。(e)第五工程における延伸倍率を前記範囲の下限値以上にすることにより、延伸方向の屈折率を大きくできる。また、上限値以下にすることにより、1/4波長板の遅相軸方向を容易に制御することができる。
(e)第五工程における延伸温度は、好ましくはTg℃以上、より好ましくはTg+2℃以上、特に好ましくはTg+5℃以上であり、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+35℃以下、特に好ましくはTg+30℃以下である。(e)第五工程における延伸温度を前記の範囲にすることにより、延伸前フィルムに含まれる分子を確実に配向させることができるので、所望の光学特性を有する1/4波長板を容易に得ることができる。
前記の例に示した1/4波長板の製造方法は、更に変更して実施してもよい。例えば、1/4波長板の製造方法は、(d)第四工程及び(e)第五工程以外に、更に任意の工程を有していてもよい。例えば、1/4波長板の製造方法は、製造された1/4波長板の両端部をトリミングする工程を含んでいてもよい。また、1/4波長板の製造方法は、1/2波長板の製造方法の任意の工程と同様の工程を含んでいてもよい。
[4.任意の層]
光学積層体は、1/2波長板及び1/4波長板に組み合わせて、更に任意の層を備えうる。例えば、光学積層体は、傷つき防止のための保護フィルム層を備えうる。
また、光学積層体は、1/2波長板と1/4波長板との接着のために、接着剤を含む接着剤層を備えうる。接着剤には、硬化によって常温下で粘着性を失う狭義の接着剤(ホットメルト接着剤、UV硬化型粘着剤、EB型硬化粘着剤等を含む。)だけでなく、粘着性を失わない粘着剤(感圧接着剤等)を含む。
接着剤としては、1/2波長板に含まれる樹脂及び1/4波長板に含まれる樹脂の両方に親和性がある重合体を含むものが好ましい。接着剤に含まれる重合体としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン系共重合体、他のオレフィン系重合体が挙げられる。また、これらの重合体を酸化、ケン化、塩素化、クロルスルホン化などにより変性した変性物を用いてもよい。
[5.光学積層体の特性]
光学積層体は、上述した1/2波長板及び1/4波長板を備えることにより、少なくとも下記の利点を得ることができる。
・光学積層体は、広い波長範囲において、当該光学積層体を正面方向に透過する光に、その光の波長の略1/4波長の面内レターデーションを与えられる。
・光学積層体は、広い波長範囲において、当該光学積層体を傾斜方向に透過する光に、その光の波長の略1/4波長の面内レターデーションを与えられる。
・したがって、光学積層体は、直線偏光子と組み合わせることにより、正面方向及び傾斜方向の両方において広い波長範囲の光の反射を低減できる円偏光板を実現できる。
[6.光学積層体の製造方法]
光学積層体は、長尺の1/2波長板と長尺の1/4波長板とを貼り合わせることによって製造し得る。通常は、1/2波長板の長手方向と1/4波長板の長手方向とを平行にして、貼り合わせを行う。この貼り合わせは、光学積層体の製造効率を高める観点から、ロールツロール(Roll to Roll)によって行うことが好ましい。
ロールツロールでの貼り合わせとは、長尺状のフィルムのロールからフィルムを繰り出し、これを搬送し、搬送ライン上で他のフィルムとの貼り合わせの工程を行い、さらに得られた貼合物を巻き取りロールとする態様の貼り合わせをいう。例えば、1/2波長板と1/4波長板とを貼り合わせる場合、長尺状の1/2波長板のロールから1/2波長板を繰り出し、これを搬送し、搬送ライン上で1/4波長板との貼り合わせの工程を行い、得られた光学積層体を巻き取りロールとすることにより、ロールツロールでの貼り合わせを行いうる。この場合において、1/4波長板も、ロールから繰り出して貼り合わせの工程に供給しうる。
ロールツロールを用いて光学積層体を製造する場合、従来のように枚葉の1/2波長板及び1/4波長板を貼り合わせる方法とは異なり、複雑な光学軸合わせの工程が不要である。そのため、光学積層体の効率の良い製造を実現できる。
[7.円偏光板]
上述した光学積層体を直線偏光子と貼り合わせることにより、円偏光板が得られる。この円偏光板は、上述した長尺の光学積層体及び長尺の直線偏光子を、直線偏光子、1/2波長板及び1/4波長板が厚み方向においてこの順になるように貼り合わせて得られる円偏光板である。
直線偏光子は、偏光透過軸及び偏光吸収軸を有する長尺の偏光板であり、偏光吸収軸と平行な振動方向を有する直線偏光を吸収し、偏光透過軸と平行な振動方向を有する直線偏光を透過させうる機能を有する。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素及び二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものを用いうる。通常、直線偏光子を製造するための延伸処理では、フィルムを長手方向に延伸するので、得られる直線偏光子においては当該直線偏光子の長手方向に平行な偏光吸収軸及び当該直線偏光子の幅方向に平行な偏光透過軸が発現しうる。この直線偏光子は、偏光吸収軸と平行な振動方向を有する直線偏光を吸収しうるものであり、特に、偏光度に優れるものが好ましい。直線偏光子の厚さは、5μm〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
直線偏光子の偏光透過軸は、当該直線偏光子の幅方向に平行であることが好ましい。これにより、直線偏光子は、当該直線偏光子を備える長尺の円偏光板の幅方向に吸収軸を有しうる。この場合、長尺の直線偏光子と長尺の光学積層体とを長手方向を平行にして貼り合せることによって、長尺の円偏光板を製造することが可能である。そのため、長尺の直線偏光子と長尺の光学積層体とをロールツロールにより貼り合わせることで、長尺の円偏光板を製造することが可能となる。
長尺の直線偏光子と長尺の広帯域1/4波長板とを貼り合わせて長尺の円偏光板を製造する場合、従来は、直線偏光子、1/2波長板及び1/4波長板の光学軸の方向を、各光学軸が円偏光板に求められる所定の角度をなすように調整することが難しかった。そのため、従来は、長尺のフィルムから角度を調整して切り出した枚葉の直線偏光子及び枚葉の広帯域1/4波長板を貼り合わせて円偏光板を製造していたので、円偏光板の製造のために手間及びコスト(端材の発生等)がかかっていた。このような従来の事情に鑑みると、本発明の円偏光板がロールツロールを用いて効率的に製造できることは、工業生産上、有利である。
円偏光板において、直線偏光子の偏光透過軸と光学積層体の1/2波長板の遅相軸とがなす平均角度θphは、好ましくは50°以上、更に好ましくは55°以上、特に好ましくは60°以上であり、好ましくは90°未満、更に好ましくは85°以下、特に好ましくは80°以下である。通常、長尺の直線偏光子の偏光透過軸は当該直線偏光子の幅方向に平行であるので、円偏光板をロールツロールで製造した場合には、直線偏光子の偏光透過軸と光学積層体の1/2波長板の遅相軸とがなす平均角度θphは、1/2波長板の平均配向角θhと略一致する。このように円偏光板がロールツロールで製造される場合、平均角度θph、平均配向角θh及び平均配向角θqの関係は、θq=2θph−135°=2θh−135°を満足することが特に好ましい。直線偏光子の偏光透過軸と1/2波長板の遅相軸とがなす平均角度θphが前記の範囲に収まっていることにより、この円偏光板は、光を反射しうる面に設けた場合に、正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる。そのため、この円偏光板は、可視領域の広い波長範囲において、外光の反射を効果的に低減できる反射防止フィルムとして用いうる。
円偏光板は、直線偏光子及び光学積層体に組み合わせて、更に任意の層を備えうる。任意の層としては、例えば、直線偏光子と光学積層体とを接着するための接着剤層;フィルムの滑り性を良くするためのマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層等が挙げられる。
また、円偏光板は、波長板の傾斜方向から観察した際に生じるレターデーション変化を抑制する目的で、正面方向ではレターデーションがゼロであるが、傾斜方向の傾きとともに波長板のレターデーション変化を打ち消すようにレターデーションが変化するポジCプレートのような光学補償層をさらに備えうる。ここで、ポジCプレートとは、nx=ny<nzの関係を満たすものをいう。
[8.有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、上述した長尺の円偏光板から切り出して得られた反射防止フィルムを備える。反射防止フィルムは、通常、有機EL表示装置において表示面に設けられる。有機EL表示装置の表示面に、反射防止フィルムを、直線偏光子側の面が視認側に向くように設けることにより、装置外部から入射した光が装置内で反射して装置外部へ出射することを抑制することができ、その結果、表示装置の表示面のぎらつきを抑制しうる。具体的には、装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが1/2波長板及び1/4波長板を通過することにより円偏光となる。円偏光は、表示装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子中の反射電極等)により反射され、再び1/4波長板及び1/2波長板を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。これにより、反射防止の機能が達成される。
また、偏光サングラスを使用して有機EL表示装置を視認する場合、有機EL表示装置に設けられた直線偏光子の偏光透過軸は、偏光サングラスの偏光透過軸に対して+45°もしくは−45°にある方が良好な視認性を維持しうる。
特に、上述した光学積層体では、1/2波長板のNZ係数及び1/4波長板のNZ係数を所定の範囲に収めたので、正面方向の反射防止機能だけではなく、斜め方向の反射防止機能も有することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
〔平均配向角の測定方法〕
フィルムの遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は、偏光顕微鏡(オリンパス社製「BX51」)を用いて、フィルムの幅方向50mm間隔で測定し、面内の遅相軸を測定し、遅相軸の方向とフィルムの幅方向との成す角度(配向角)の平均値を求め、これを平均配向角とした。
〔レターデーション及びNZ係数の測定方法〕
位相差計(王子計測社製「KOBRA−21ADH」)を用いて、フィルムの幅方向に50mm間隔の複数の地点で、面内レターデーション及び厚み方向のレターデーションを測定した。これらの地点での測定値の平均値を計算し、この平均値を、当該フィルムの面内レターデーション及び厚み方向のレターデーションとした。この際、測定は、波長590nmで行った。また、得られた面内レターデーション及び厚み方向のレターデーションからNZ係数を算出した。
〔目視による評価方法〕
平面状の反射面を有するミラーを用意した。このミラーを、反射面が水平で且つ上向きになるように置いた。このミラーの反射面上に、偏光フィルム側が上向きになるように円偏光板を貼り付けた。
その後、晴れた日に日光で円偏光板を照らした状態で、ミラー上の円偏光板を目視で観察した。観察は、円偏光板の、
(i)極角0°、方位角0°の正面方向と、
(ii)極角45°、方位角0°〜360°の傾斜方向と
の両方で行った。
(i)正面方向での観察では、日光の反射がほとんど気にならず、円偏光板が黒く見えるかどうかを評価した。
また、(ii)傾斜方向での観察では、方位角によって反射率及び色味が変化しないかどうかを評価した。
前記の目視評価を、20人の観察者が行い、各人が全ての実施例及び比較例の結果を順位づけし、その順位に相当する点数(1位7点、2位6点、・・・最下位1点)を与えた。各実施例および比較例について各人が採点した合計点を得点順に並べ、その点数のレンジの中で上位グループからA、B、C、D及びEの順に評価した。
〔シミュレーションによる反射率の計算方法〕
シミュレーション用のソフトウェアとしてシンテック社製「LCD Master」を用いて、各実施例及び比較例で製造された円偏光板をモデル化し、反射率を計算した。
シミュレーション用のモデルでは、平面状の反射面を有するミラーの前記反射面に、1/4波長板側でミラーに接するように円偏光板を貼り付けた構造を設定した。したがって、このモデルでは、厚み方向において、偏光フィルム、1/2波長板、1/4波長板及びミラーがこの順に設けられた構造が設定された。
そして、前記のモデルにおいて、D65光源から円偏光板に光を照射したときの反射率を、前記円偏光板の(i)正面方向及び(ii)傾斜方向において計算した。ここで、(i)正面方向では、極角0°、方位角0°の方向の反射率を計算した。また、(ii)傾斜方向では、極角45°において、方位角0°〜360°の範囲で方位角方向に5°ずつ計算を行い、その計算値の平均を当該モデル化された円偏光板の傾斜方向での反射率として採用した。このシミュレーションにおいては、実際に偏光フィルムの表面で発生する表面反射成分については、反射率から除いている。
[製造例1:延伸前基材(A)の製造]
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン社製、ガラス転移温度Tg=126℃)を100℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを通してTダイに供給した。そして、溶融した樹脂をTダイからキャスティングドラム上にフィルム状に押し出し、冷却して、厚み70μm、幅1350mmの長尺の延伸前基材(A)を得た。この延伸前基材(A)は、保護のためにマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、ロールとして回収した。
[製造例2:延伸前基材(B)の製造]
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレットとして、日本ゼオン製「ZEONOR1420R」(ガラス転移温度Tg=137℃)を用いたこと以外は製造例1と同様にして、厚み70μm、幅1350mmの長尺の延伸前基材(B)を製造し、ロールとして回収した。
[実施例1]
〔1−1.1/2波長板の製造〕
製造例1で得た延伸前基材(A)のロールから延伸前基材(A)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。そして、テンター延伸機により、延伸前基材(A)に斜め延伸を施して、長尺の中間フィルムを得た。斜め延伸の延伸条件は、延伸倍率1.5倍、延伸温度140℃であった。得られた中間フィルムの遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は45°であり、面内レターデーションは190nmであった。
得られた中間フィルムに、さらに自由縦一軸延伸を施した。この自由縦一軸延伸の際、延伸方向はフィルム長手方向、延伸倍率は1.42倍、延伸温度は125℃とした。その後、延伸された中間フィルムの幅方向の両端をトリミングして、幅1330mmの長尺の1/2波長板を得た。得られた1/2波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は75°、NZ係数は1.15、面内レターデーションは260nm、厚みは40μmであった。得られた1/2波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、第一フィルムロール(I−1)を得た。
〔1−2.1/4波長板の製造〕
製造例1で得た延伸前基材(A)のロールから延伸前基材(A)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。そして、テンター延伸機により、延伸前基材(A)に斜め延伸を施して、長尺の1/4波長板を得た。斜め延伸の延伸条件は、延伸倍率4.3倍、延伸温度142℃であった。得られた1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は15°、NZ係数は1.19、面内レターデーションは130nm、厚みは17μmであった。得られた1/4波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、第二フィルムロール(I−2)を得た。
〔1−3.光学積層体の製造〕
第一フィルムロール(I−1)から1/2波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。まあ、第二フィルムロール(I−2)から1/4波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。そして、1/2波長板と1/4波長板とを、互いの長手方向を平行にして、接着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせた。これにより、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが厚み方向から見て60°で交差するように貼り合わせられた、長尺の光学積層体(I−3)を得た。
〔1−4.円偏光板の製造〕
長尺の直線偏光子として、偏光フィルム(サンリッツ社製「HLC2−5618S」、厚さ180μm、幅方向に対して0°の方向に偏光透過軸を有する偏光子。)を用意した。この偏光フィルムの一方の面と、光学積層体(I−3)の1/2波長板側の面とを、偏光フィルムの長手方向と光学積層体(I−3)の長手方向とを平行にして、粘着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせた。これにより、(偏光フィルム)/(粘着剤層)/(1/2波長板)/(粘着剤層)/(1/4波長板)の層構成を有する長尺の円偏光板を得た。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[実施例2]
1/2波長板を製造する工程において、平均配向角72.5°の1/2波長板が得られるように、中間フィルムの自由縦一軸延伸の延伸倍率を1.41倍に変更し、延伸温度を124℃に変更した。
また、1/4波長板を製造する工程において、平均配向角10°の1/4波長板が得られるように、延伸前基材(A)の延伸方向を調整した。
以上の事項以外は実施例1と同様にして、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが厚み方向から見て62.5°で交差した長尺の円偏光板を製造した。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[実施例3]
1/2波長板を製造する工程において、平均配向角70.0°の1/2波長板が得られるように、延伸前基材(A)の斜め延伸の延伸温度を139℃に変更し、中間フィルムの自由縦一軸延伸の延伸倍率を1.41倍に変更し、延伸温度を123℃に変更した。
また、1/4波長板を製造する工程において、平均配向角5°の1/4波長板が得られるように、延伸前基材(A)の延伸方向を調整し、延伸倍率を4.1倍に変更し、延伸温度を141℃に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にして、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが厚み方向から見て65°で交差した長尺の円偏光板を製造した。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[実施例4]
1/2波長板を製造する工程において、平均配向角67.5°の1/2波長板が得られるように、延伸前基材(A)の斜め延伸の延伸倍率を1.36倍に変更し、延伸温度を136℃に変更し、中間フィルムの自由縦一軸延伸の延伸倍率を1.28倍に変更した。
また、1/4波長板を製造する工程において、平均配向角0°の1/4波長板が得られるように、延伸前基材(A)の延伸方向を前記延伸前基材(A)の幅方向に変更し、延伸倍率を3.4倍に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にして、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが厚み方向から見て67.5°で交差した長尺の円偏光板を製造した。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[実施例5]
〔5−1.1/2波長板の製造〕
製造例2で得た延伸前基材(B)のロールから延伸前基材(B)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、自由縦一軸延伸を施した。この自由縦一軸延伸の際、延伸方向はフィルム長手方向、延伸倍率は1.9倍、延伸温度は136℃とした。その後、延伸された中間フィルムの幅方向の両端をトリミングして、長尺の1/2波長板を得た。得られた1/2波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は90°、Nz係数は1.0、面内レターデーションは260nmであった。得られた1/2波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、第一フィルムロール(V−1)を得た。
〔5−2.1/4波長板の製造〕
製造例1で得た延伸前基材(A)のロールから延伸前基材(A)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。そして、テンター延伸機により、延伸前基材(A)に斜め延伸を施して、長尺の1/4波長板を得た。斜め延伸の延伸条件は、延伸倍率2.4倍、延伸温度138℃であった。得られた1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は30°、Nz係数は1.19、面内レターデーションは130nmであった。得られた1/4波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、第二フィルムロール(V−2)を得た。
〔5−3.光学積層体の製造〕
第一フィルムロール(V−1)から1/2波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。まあ、第二フィルムロール(V−2)から1/4波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。そして、1/2波長板と1/4波長板とを、互いの長手方向を平行にして、接着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせた。これにより、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが厚み方向から見て60°で交差するように貼り合わせられた、長尺の光学積層体(V−3)を得た。
〔5−4.円偏光板の製造〕
長尺の直線偏光子として、偏光フィルム(サンリッツ社製「HLC2−5618S」、厚さ180μm、幅方向に対して0°の方向に偏光透過軸を有する偏光子。)を用意した。この偏光フィルムの一方の面と、光学積層体(I−3)の1/2波長板側の面とを、偏光フィルムの偏光透過軸と1/2波長板(V−1)の遅相軸とが厚み方向から見て75°で交差するように、粘着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせ、貼り合わせた部分を切り出した。これにより、(偏光フィルム)/(粘着剤層)/(1/2波長板)/(粘着剤層)/(1/4波長板)の層構成を有する枚葉の円偏光板を得た。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[比較例1]
〔C1−1.1/2波長板の製造〕
製造例1で得た延伸前基材(A)のロールから延伸前基材(A)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。そして、テンター延伸機により、延伸前基材(A)に斜め延伸を施して、長尺の1/2波長板を得た。斜め延伸の延伸条件は、延伸倍率1.5倍、延伸温度142℃であった。得られた1/2波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は15°、Nz係数は1.19、面内レターデーションは260nmであった。得られた1/2波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、第一フィルムロール(CI−1)を得た。
〔C1−2.1/4波長板の製造〕
製造例1で得た延伸前基材(A)のロールから延伸前基材(A)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。そして、テンター延伸機により、延伸前基材(A)に斜め延伸を施して、長尺の中間フィルムを得た。斜め延伸の延伸条件は、延伸倍率1.25倍、延伸温度135℃であった。得られた中間フィルムの遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は45°であり、面内レターデーションは140nmであった。
得られた中間フィルムに、さらに自由縦一軸延伸を施した。この自由縦一軸延伸の際、延伸方向はフィルム長手方向、延伸倍率は1.40倍、延伸温度は133℃とした。その後、延伸された中間フィルムの幅方向の両端をトリミングして、長尺の1/4波長板を得た。得られた1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は75°、NZ係数は1.15、面内レターデーションは130nmであった。得られた1/4波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、第二フィルムロール(CI−2)を得た。
〔C1−3.光学積層体の製造〕
第一フィルムロール(CI−1)から1/2波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。まあ、第二フィルムロール(CI−2)から1/4波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。そして、1/2波長板と1/4波長板とを、互いの長手方向を平行にして、接着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせた。これにより、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが厚み方向から見て60°で交差するように貼り合わせられた、長尺の光学積層体(CI−3)を得た。
〔C1−4.円偏光板の製造〕
長尺の直線偏光子として、偏光フィルム(サンリッツ社製「HLC2−5618S」、厚さ180μm、幅方向に対して0°の方向に偏光透過軸を有する偏光子。)を用意した。この偏光フィルムの一方の面と、光学積層体(CI−3)の1/2波長板側の面とを、偏光フィルムの長手方向と光学積層体(CI−3)の長手方向とを平行にして、粘着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせた。これにより、(偏光フィルム)/(粘着剤層)/(1/2波長板)/(粘着剤層)/(1/4波長板)の層構成を有する長尺の円偏光板を得た。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[比較例2]
〔C2−1.1/4波長板の製造〕
製造例1で得た延伸前基材(A)のロールから延伸前基材(A)を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。そして、テンター延伸機により、延伸前基材(A)に斜め延伸を施して、長尺の1/4波長板を得た。斜め延伸の延伸条件は、延伸倍率2.36倍、延伸温度144℃であった。得られた1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角は45°、NZ係数は1.15、面内レターデーションは130nmであった。得られた1/4波長板を、保護のために新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)と貼り合わせながら巻き取って、フィルムロール(CII−1)を得た。
〔C2−2.円偏光板の製造〕
フィルムロール(CII−1)から1/4波長板を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離した。この1/4波長板と、長尺の直線偏光子としての偏光フィルム(サンリッツ社製「HLC2−5618S」、厚さ180μm、幅方向に対して0°の方向に偏光透過軸を有する偏光子。)とを、1/4波長板の長手方向と偏光フィルムの長手方向とを平行にして、粘着剤層(日東電工製「CS9621」)を介して貼り合わせた。これにより、(偏光フィルム)/(粘着剤層)/(1/4波長板)の層構成を有する長尺の円偏光板を得た。こうして得た円偏光板について、上述した方法で評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
λ/2:1/2波長板。
λ/4:1/4波長板。
斜め:斜め方向。
横:幅方向。
縦:長手方向。
Re:面内レターデーション。
交差角:1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸とが交差する角度。
Figure 2019174847
[検討]
表1に示すように、実施例においては、正面方向及び傾斜方向の両方において反射率を低くできている。このことから、本発明の光学積層体を用いることにより、正面方向及び傾斜方向のいずれにおいても外光の反射を効果的に低減できる円偏光板が実現できることが確認された。
10 繰出しロール
20 延伸前フィルム
21及び22 延伸前フィルムの幅方向の端部
30 中間フィルム
31及び32 中間フィルムの幅方向の端部
40 ロール
50 1/2波長板
60 ロール
100 光学積層体
110 1/2波長板
111 1/2波長板の遅相軸
112 1/4波長板の表面に、1/2波長板の遅相軸を投影した軸
120 1/4波長板
121 1/4波長板の遅相軸
200 テンター延伸機
210R及び210L 把持子
220R及び220L ガイドレール
230 テンター延伸機の入口部
240 テンター延伸機の出口部
250 延伸ゾーン
300 ロール延伸機
310 上流ロール
320 下流ロール

Claims (1)

  1. 固有複屈折値が正の樹脂からなる、長尺の1/2波長板及び長尺の1/4波長板を備え、
    前記1/2波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角が、50°以上90°以下であり、
    前記1/2波長板のNZ係数が、1.0〜1.5であり、
    前記1/4波長板の遅相軸が幅方向に対してなす平均配向角が、0°以上50°未満であり、
    前記1/4波長板のNZ係数が、1.0〜1.5である、光学積層体。
JP2019127834A 2019-07-09 2019-07-09 円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法 Active JP6825654B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019127834A JP6825654B2 (ja) 2019-07-09 2019-07-09 円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019127834A JP6825654B2 (ja) 2019-07-09 2019-07-09 円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015093751A Division JP2016212171A (ja) 2015-05-01 2015-05-01 光学積層体、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019174847A true JP2019174847A (ja) 2019-10-10
JP6825654B2 JP6825654B2 (ja) 2021-02-03

Family

ID=68168747

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019127834A Active JP6825654B2 (ja) 2019-07-09 2019-07-09 円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6825654B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11183723A (ja) * 1997-12-22 1999-07-09 Sumitomo Chem Co Ltd 複合偏光板およびこれを用いた反射防止フィルターおよび反射防止機能付きタッチパネル
JP2003114325A (ja) * 2001-10-03 2003-04-18 Nitto Denko Corp 積層1/4波長板、円偏光板及びこれを用いた液晶表示装置、ならびにその製造方法
JP2009126128A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Konica Minolta Opto Inc 芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法、芳香族ポリカーボネートフィルム、及び有機エレクトロルミネッセンス素子用基板
JP2009134257A (ja) * 2007-10-31 2009-06-18 Sumitomo Chemical Co Ltd 位相差フィルム、およびそれを用いた楕円偏光板
JP2009276442A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Konica Minolta Opto Inc 1/4波長板、画像表示装置および液晶表示装置
JP2012053079A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Sumitomo Chemical Co Ltd ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法
WO2013118172A1 (ja) * 2012-02-08 2013-08-15 コニカミノルタ株式会社 長尺延伸フィルムの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11183723A (ja) * 1997-12-22 1999-07-09 Sumitomo Chem Co Ltd 複合偏光板およびこれを用いた反射防止フィルターおよび反射防止機能付きタッチパネル
JP2003114325A (ja) * 2001-10-03 2003-04-18 Nitto Denko Corp 積層1/4波長板、円偏光板及びこれを用いた液晶表示装置、ならびにその製造方法
JP2009134257A (ja) * 2007-10-31 2009-06-18 Sumitomo Chemical Co Ltd 位相差フィルム、およびそれを用いた楕円偏光板
JP2009126128A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Konica Minolta Opto Inc 芳香族ポリカーボネートフィルムの製造方法、芳香族ポリカーボネートフィルム、及び有機エレクトロルミネッセンス素子用基板
JP2009276442A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Konica Minolta Opto Inc 1/4波長板、画像表示装置および液晶表示装置
JP2012053079A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Sumitomo Chemical Co Ltd ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法
WO2013118172A1 (ja) * 2012-02-08 2013-08-15 コニカミノルタ株式会社 長尺延伸フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6825654B2 (ja) 2021-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6702193B2 (ja) 長尺の円偏光板、長尺の広帯域λ/4板、並びに、長尺の広帯域λ/4板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、液晶表示装置の、製造方法
JP4488124B2 (ja) 延伸フィルムの製造方法、延伸フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP4557188B2 (ja) 長尺の延伸フィルムおよびその製造方法並びに用途
WO2016043124A1 (ja) 円偏光板、広帯域λ/4板、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP5151356B2 (ja) 延伸フィルムの製造方法、延伸フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
WO2017170346A1 (ja) 円偏光板及び画像表示装置
JP2008238514A (ja) 延伸フィルムの製造方法、延伸フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP6582989B2 (ja) 延伸フィルムの製造方法
JP6806135B2 (ja) 延伸フィルム、及び円偏光板
JP2016212171A (ja) 光学積層体、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP6451645B2 (ja) 延伸フィルムの製造方法
JP4525381B2 (ja) 延伸ポリオレフィンフィルムの製造方法
JP6075033B2 (ja) 位相差フィルム積層体及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置
JP6825654B2 (ja) 円偏光板の製造方法及び光学積層体の製造方法
WO2017150375A1 (ja) 画像表示装置
JP5370527B2 (ja) 延伸フィルムおよび延伸フィルムの製造方法
JP7405013B2 (ja) 長尺の円偏光板、長尺の広帯域λ/4板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、液晶表示装置
JP2019055603A (ja) 斜め延伸フィルム及びその製造方法
JP2009214441A (ja) 延伸フィルムの製造方法、延伸フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2016179650A (ja) 斜め延伸フィルム及びその製造方法
JP2009214343A (ja) 延伸フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190709

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190723

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6825654

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250