JP2012052182A - オルタネータ用Mo焼結部品およびそれを用いたオルタネータ並びに自動車 - Google Patents

オルタネータ用Mo焼結部品およびそれを用いたオルタネータ並びに自動車 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱膨張率、強度などの優れたオルタネータ用Mo焼結部品を提供する。
【解決手段】 銅を10〜50質量%含有するモリブデン合金材からなるオルタネータ
用Mo焼結部品において、モリブデン合金材は、モリブデン結晶の平均粒径10〜100
μm、単位面積500μm×500μmあたりのMo結晶の面積比のばらつきが平均値の
±10%以内であることを特徴とする。MoとCuの存在割合のばらつきが小さいので熱
膨張率などの特性が優れている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車載用オルタネータに用いるMo焼結部品、およびそれを用いたオルタネー
タ並びに自動車に関する。
自動車には、エンジンにより回転駆動されて発電するオルタネータと呼ばれる発電機が
備わっている。オルタネータは、自動車の走行中の回転駆動を利用して充電するためのも
のである。オルタネータの一例として、特開2002−21687号公報(特許文献1)
がある。オルタネータは、回転軸とロータの回転により得られた電流を制御回路を経てバ
ッテリに充電される。
制御回路にはスイッチング素子を様々な素子が搭載されている。回転軸とロータの回転
運動が行われると摩擦熱により発熱する。熱により制御回路に不具合がでないようにする
ためには放熱性を改善しなくてはならない。放熱性改善の対策として、放熱フィンの取付
が検討されているが、放熱フィンのみでは十分な放熱効果が得られなかった。
このため、オルタネータのロータ(回転軸に取り付けられる回転円板状部品)の放熱性
を向上させることが試みられている。
例えば、特開2006−54297号公報(特許文献2)では、銅とステンレスインバ
ーの焼結合金からなる放熱基板が開示されている。また、特開平11−307701号公
報(特許文献3)にはMo圧粉体に銅を溶浸したMoCu溶浸基板が開示されている。特
許文献2および特許文献3のいずれも素材を圧延して所定形状に加工していた。このため
、コストという点では必ずしも満足いくものではなかった。
また、特許文献2および特許文献3ともに半導体素子を搭載するためのパッケージとし
ての着眼点しかなく、オルタネータのロータの放熱性を向上させると言った着眼点はなか
った。
特開2002−21687号公報 特開2006−54297号公報 特開平11−307701号公報
オルタネータのロータの放熱性を向上させるための部品が求められていた。ロータの放
熱性を向上させる方法として、ロータに穴を明け、その穴に放熱性のよい部品(放熱部品
)を充填する方法がある。一方、オルタネータのロータは回転軸と接しているため振動が
加わる。また、回転に伴う摩擦熱も発生することから放熱部品には強度および放熱性が優
れていることが求められる。また、オルタネータの回転板は軸受鋼(SUJ2)などの金
属でできており熱膨張率を金属に近いことも必要である。
本発明は、このような技術課題に鑑みてなされたもので、放熱性がよく、かつ強度が高
いオルタネータ用Mo焼結部品およびそれを用いたオルタネータ並びに自動車を提供する
ものである。
本発明のオルタネータ用Mo焼結部品は、銅を10〜50質量%含有するモリブデン焼
結合金材からなるオルタネータ用Mo焼結部品において、モリブデン合金材は、モリブデ
ン結晶の平均粒径10〜100μm、単位面積500μm×500μmあたりのMo結晶
の面積比のばらつきが平均値の±10%以内であることを特徴とするものである。
また、表面粗さRaが5μm以下であることが好ましい。また、モリブデン焼結合金材
は、Ni、Co、Feの少なくとも一種以上を金属元素換算で0.1〜3質量%含有して
いることが好ましい。また、モリブデン焼結合金材が密度90〜98%の焼結合金材であ
ることが好ましい。また、銅がモリブデン結晶同士の隙間に充填されていることが好まし
い。また、モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であることが好ましい。
また、厚さ0.5〜1mm、直径5〜10mmの円板状であることが好ましい。また、
熱膨張率が7〜14×10−6/℃であることが好ましい。また、引っ張り強度が0.
44GPa以上であることが好ましい。また、比抵抗が5.3×10−6Ω・m以下であ
ることが好ましい。
また、本発明のオルタネータは、本発明のオルタネータ用Mo焼結部品を取り付けた回
転板を搭載したものである。また、オルタネータ用Mo焼結部品を複数個取り付けたこと
が好ましい。また、このようなオルタネータを搭載した自動車に好適である。
本発明によれば、オルタネータ用Mo焼結部品のMo結晶サイズのばらつきが小さいの
で放熱性や強度の優れたものを提供することができる。また、熱膨張率も軸受鋼(SUJ
2)などの金属と近い。その結果、オルタネータ、さらには自動車の信頼性を向上させる
ことができる。
本発明のオルタネータの構成部品の一例を示す図。 本発明のオルタネータ用Mo焼結部品の組織の一例を示す図。 本発明のオルタネータ用Mo焼結部品の一例を示す図。 本発明のオルタネータ用Mo焼結部品の製造方法の一例を示す図。
本発明のオルタネータ用Mo焼結部品は、銅を10〜50質量%含有するモリブデン合
金材からなるオルタネータ用Mo焼結部品において、モリブデン合金材は、モリブデン結
晶の平均粒径10〜100μm、単位面積500μm×500μmあたりのMo結晶の面
積比のばらつきが平均値の±10%以内であることを特徴とするものである。
銅の含有量が10質量%未満または50質量%を超えると、熱膨張係数が熱膨張率が7
〜14×10−6/℃を外れる可能性が高い。
オルタネータとは、自動車などの駆動機関の走行中の回転駆動を利用して充電するため
のものである。図1にオルタネータの構成部品の一例を示した。図中、1はオルタネータ
用Mo焼結部品、2は回転板、3は回転軸である。
回転板に搭載されたオルタネータは、回転板上に積載される構造であったり、回転板に
穴をあけ、その穴にオルタネータ用Mo焼結部品をはめ込む構造など様々な構造がある。
回転板は高速回転するため、回転板の穴にMo焼結部品をはめ込む構造を取った方が回転
中にMo部品が外れるといった不具合が発生し難い。この穴は貫通穴や凹部形状となって
いる。また、オルタネータ用Mo焼結部品に絶縁層を介して半導体素子を搭載してもよい
。オルタネータには、回転板に半導体素子を搭載するタイプもある。オルタネータ用Mo
焼結部品は、熱伝導率160W/m・K以上と放熱性も良いため半導体素子を搭載したと
しても優れた放熱性を示す。オルタネータ用回転板は軸受鋼(例えばSUJ2)などでで
きている。SUJ2は熱膨張率10×10−6/℃前後であるため、それに搭載されるM
o部品の 熱膨張率は前述のように熱膨張率が7〜14×10−6/℃、さらには8〜1
1×10−6/℃であることが好ましい。
また、モリブデン合金材は、モリブデン結晶の平均粒径10〜100μm、単位面積5
00μm×500μmあたりのMo結晶の面積比のばらつきが平均値の±10%以内であ
ることを特徴とするものである。
モリブデン結晶の平均粒径が10μm未満と小さいと相対的に銅の割合が増えるので強
度が低下する。一方、100μmを超えると相対的に銅の割合が少なくなるので好ましく
ない。モリブデン合金材は焼結体であり、モリブデンと銅の存在割合(面積比)のばらつ
きが平均値の±10%以内である。モリブデンと銅の面積比のばらつきが少ないと、モリ
ブデン合金材の特性ばらつきを抑制できる。
オルタネータ用Mo焼結部品は、前述のように回転板にはめ込んで使われるものである
。例えば、半導体素子を搭載した場合、素子の熱によりオルタネータ用Mo焼結部品は熱
膨張する。このとき、Mo結晶と銅の存在割合のばらつきが大きいと部分的な膨張に差が
出て回転板から外れるおそれがある。そのため、熱膨張率の部分的な差をなくすためにM
o結晶と銅の存在割合(面積比)のばらつきを±10%以内にすることが重要である。
また、Mo結晶と銅の面積比の測定は単位面積500μm×500μmを基準として測
定するものとする。単位面積を500μm×500μmとしたのは、平均粒径の上限を1
00μmとしているので、その5倍程度の面積であれば測定誤差を低減することが可能で
あるためである。また、Mo結晶と銅の面積比の測定は、SEM写真またはEPMAの面
分析により測定できる。
また、オルタネータ用Mo焼結部品は、表面粗さRaが5μm以下であることが好まし
い。前述のように回転板にはめ込んだりするとき、表面粗さRaが大きいとはめ込んだ際
に回転板の貫通穴(または凹部)との接触箇所において回転板の回転に伴う振動により破
壊起点となるおそれがある。また、絶縁層を介して半導体素子を搭載する場合も表面粗さ
Raが大きいと、半導体素子が傾いたり、絶縁層を厚くしないといけなくなる。絶縁層は
一般的に絶縁樹脂、金属酸化物が用いられる。絶縁樹脂や金属酸化物は、熱伝導率が30
W/m・K以下と放熱性が悪い。そのため、絶縁層があまり厚いと放熱性が低下する。そ
のため、絶縁層は100μm以下、さらには50μm以下であることが好ましい。Mo焼
結部品の表面粗さRaは5μm以下、さらには2μm以下であることが好ましい。
また、モリブデン合金材は、MoとCuの2元系を基本とするが、Ni、Co、Feの
少なくとも一種以上を金属元素換算で0.1〜3質量%含有していてもよい。Ni、Co
、Feを所定量含有することにより、モリブデン合金材の強度や硬度を上げることができ
る。モリブデン合金の強度はMoとCuの2元系のときは引っ張り強度が0.44GPa
以上であるものが、Ni、Co、Feの添加により引っ張り強度が0.50GPa以上す
ることができる。
また、モリブデン合金材は、密度が90%以上、さらには90〜98%であることが好
ましい。密度は、(アルキメデス法による実測値/理論密度)×100%で示すものとす
る。理論密度は、モリブデンの理論密度10.22g/cm、銅の理論密度8.96g
/cm、鉄の理論密度7.87g/cm、コバルトの理論密度8.9g/cm、ニ
ッケルの理論密度8.9g/cmを用いて重量比を掛け算して求める。例えば、Moを
70wt%、銅を30wt%のモリブデン合金材の場合、70wt%×10.22+30
wt%×8.96=9.842g/cmがMo(70wt%)−Cu(30wt%)の
モリブデン合金材の理論密度となる。
密度が90%未満ではモリブデン合金材の強度が低下するおそれがある。一方、密度が
98%を超えて高いと強度は十分であるが、製造コストの増大を招くおそれがある。その
ため、密度は90〜98%が好ましい。
図2に本発明のオルタネータ用Mo焼結部品の組織の一例を示した。図中、4はモリブ
デン結晶粒子、5は銅である。また、銅がモリブデン結晶同士の隙間に充填されているこ
とが好ましい。また、モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であることが
好ましい。
Mo焼結部品は、Mo粉末と銅粉末を混合して焼結して製造される焼結体である。モリ
ブデンの融点は2620℃、銅の融点は1083℃であるので1200℃以上の高温で焼
結するとモリブデン結晶粒子はそのままあるいは一部粒成長して結晶粒子として存在し、
銅は溶けてモリブデン結晶粒子同士の隙間に充填されるようになる。
また、モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であることが好ましい。モ
リブデン結晶に平均粒径の2倍を超える粗大粒子があると、モリブデン結晶と銅の存在割
合のばらつきが発生し易い。
図3にオルタネータ用Mo焼結部品の一例を示した。図3では円柱形状のオルタネータ
用Mo焼結部品を例示したものであり、その他、四角柱形状などの多角柱形状であっても
よい。また、図3中、Lはオルタネータ用Mo焼結部品の直径、Tはオルタネータ用Mo
焼結部品の厚さである。直径L、厚さTのサイズは特に限定されるものではないが、厚さ
0.5〜1mm、直径5〜10mmの円板状であることが好ましい。オルタネータは前述
の通り回転板を回転させて充電する充電器である。回転板が高速回転するので、オルタネ
ータ用Mo焼結部品があまり大きいと回転板の重量が重くなり回転板を回転させる力を大
きくしなければならなくなるので好ましくない。
このようなオルタネータ用Mo焼結部品は、オルタネータの回転板に取り付け易い。特
に、貫通穴に埋め込むタイプに好適である。貫通穴に埋め込まれたオルタネータ用Mo焼
結部品はろう付けにより固定される。回転中の発熱により熱膨張したとしてもMo結晶と
銅の面積比のばらつきが±10%以内と小さいので熱膨張のばらつきが小さい。そのため
、貫通穴から抜け落ちるおそれが少ないため、信頼性の高いオルタネータを提供すること
ができる。また、本発明のオルタネータを搭載した自動車の信頼性をも向上させることが
できる。
特に、複数個のオルタネータ用Mo焼結部品を搭載したオルタネータであるほど信頼性
を向上させることができる。オルタネータ用Mo焼結部品の搭載数は特に限定されるもの
ではないが、6〜20個である。
次に製造方法について説明する。本発明のオルタネータ用Mo焼結部品の製造方法は特
に限定されるものではないが、効率よく得るための方法として次の製造方法が挙げられる

まず、原料粉末としてMo粉末と銅粉末を用意し、混合する。Mo粉末としては、平均
粒径1〜8μm、さらに好ましくは3〜5μmである。平均粒径が8μmを超えると平均
粒径の2倍以上の粗大粒子ができ易い。また、Mo粉末の純度は99.9wt%以上のも
のであることが好ましい。また、銅粉末は、10μm以下、さらには0.5〜5μmであ
ることが好ましい。銅粉末の平均粒径が10μmを超えるとMo粒子間に銅粉末が入らな
い状態ができ易いため、好ましくない。また、銅粉末の純度も99.9wt%以上のもの
であることが好ましい。また、必要に応じ、Ni,Co,Feなどの第三成分を添加する
場合は、第三成分の平均粒径も平均粒径10μm以下、さらに好ましくは0.5〜5μm
以下である。
各原料粉末を混合した後、樹脂バインダを混合する工程を行う。樹脂バインダは、PV
A(ポリビニルアルコール)などが好ましい。樹脂バインダ混合工程において、原料混合
粉末を造粒する。原料粉末の造粒粉末は、平均粒径50〜200μm、さらに80〜14
0μmが好ましい。造粒粉末の段階で、Mo粉末と銅粉末(第三成分を添加した場合は第
三成分粉末も含めて)を均一に混合しておくことが好ましい。
次に、この造粒粉末(樹脂バインダと混合した原料粉末)を金型に詰めてプレス成形す
ることにより、オルタネータ用Mo焼結部品形状のMo成形体を得るプレス工程を行う。
プレス圧力は3〜13ton/cm(294〜1274MPa)が好ましい。プレス圧
力が3ton/cm未満では成形体の強度が不十分であり、13ton/cmを超え
て大きいと成形体の密度が高くなりすぎ金型に負荷がかかる。
次に得られたMo成形体を酸化還元雰囲気中で焼成する第一の焼成体を得る第一の焼成
工程を行う。第一の焼成工程は、最高到達温度を900〜1200℃とし、最高到達温度
での保持時間を1〜4時間とすることが好ましい。第一の焼成工程は、後述の第二の焼成
工程を本焼結としたときの仮焼結(または本焼結前の中焼結)との位置づけとなる。最高
到達温度が900℃未満では成形体の緻密化が不十分であり、1200℃を超えると緻密
化されすぎてしまう。緻密化されすぎると、銅がMo結晶粒子間の隙間に十分入り込まな
くなる。また、酸化還元雰囲気とはウエット水素ガスであることが好ましい。ウエット水
素ガスとは、水蒸気を含有した水素ガスのことである。
第一の焼成工程では、最終製品としてMo焼結体(オルタネータ用Mo焼結部品)の緻
密化を目的としたものではなく、酸化還元雰囲気中で焼成することにより、Mo焼結体表
面の炭素を取り除くとともにMo焼結体が必要以上に酸化されるのを防ぐことを目的とし
た工程である。Mo焼結体が酸化されると銅がMo結晶粒子間にきちんと充填されないお
それがある。
また、ウエット水素(水蒸気を含んだ水素ガス)により、Mo焼結体表面から炭素を除
去することができる。除去された炭素は二酸化炭素(CO)や一酸化炭素(CO)とな
り除去される。これは、加熱により温められた水蒸気(HO)は炭素(C)と反応し易
くなり、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)としてMo焼結体から除去され易い
。Mo成形体を作る際に樹脂バインダを使っている。

また、第一の焼成工程は、600℃から最高到達温度までを3〜7時間かけて昇温する
ことが好ましい。第一の焼成工程は、昇温速度があまり早いと成形体中のバインダの消失
や緻密化に不均一な個所がでて、密度が不均一な焼結体となるおそれがある。一方で7時
間以上かけて昇温すれば不均一性は解消されるが、時間がかかりすぎて製造効率が低下す
る。
また、第一の焼成工程において、焼成中にMo成形体が酸化されるのを防ぐためにウエ
ット水素含有雰囲気中で焼成するものとする。必要以上に酸化を防ぐ観点から、焼成炉内
を窒素ガスで置換した後、ウエット水素ガス流量を0.2m/H(時間)以上、さらに
は0.2〜17m/H(時間)とすることが好ましい。ウエット水素ガスを気流として
供給し、Mo成形体にフレッシュなウエット水素ガスが供給されるようにすることが好ま
しい。また、所定のガス流量があれば、除去された炭素成分(二酸化炭素、一酸化炭素)
を気流と一緒に焼結炉外に排除できる。樹脂バインダは、熱を加えると炭素として残存す
る。残存した炭素は第一の焼成工程中に炭素成分(二酸化炭素や一酸化炭素)になるが、
これら炭素成分は銅と反応し易いことから、気流の制御によりフレッシュなウエット水素
ガスを供給できるようにする必要がある。
特に、焼成ボート(Moボート)上に複数個のMo成形体を並べて1バッチ200個以
上の成形体を一度に焼成する場合は、ウエット水素ガス流量の調整は必要であり、そのと
きは焼成炉内のウエット水素ガス流量が2m3/H以上の箇所があるようにすることが好
ましい。
図4に、製造方法の一例として、1バッチで複数個のMo成形体を焼成する際の成形体
を焼成炉に入れる例を示した。図中、6はMo成形体、7は焼成用容器、8は焼成ボート
、9はセパレータである。焼成ボート8上にMo成形体6を複数個載せる。このとき、各
成形体6の隙間を水素ガスが通り安くするために各成形体同士の隙間を1mm以上開ける
ことが好ましい。複数個の成形体6を載せた焼成ボート8をセパレータ9を介して複数枚
積層する。これを焼成用容器7内に配置する。この焼成用容器ごと、焼成炉に入れること
により1バッチ200個以上、さらには400個以上、さらには2000個以上の成形体
を一度に焼成することができる。なお、焼成ボート、セパレータ、焼成用容器はMoでで
きていることが好ましい。また、焼成ボートは必要に応じ酸化物セラミックスのコーティ
ングが施されているものを用いてもよい。
次に、第一の焼成体を水素含有雰囲気中で焼成する第二の焼成体を得る第二の焼成体を
得る第二の焼成工程、を行う。第二の焼成工程は、いわゆる本焼結工程にあたる工程であ
る。
第二の焼成工程は、最高到達温度1200〜1600℃とし、最高到達温度での保持時
間を1〜5時間であることが好ましい。最高到達温度が1200℃未満では緻密化が十分
行われず密度が90%未満になり易い。一方、1600℃を超えると銅が流れ出し、密度
が低下する。好ましくは1300〜1500℃である。
また、最高到達温度での保持時間が1時間未満ではMo焼結体の緻密化が不十分であり
、5時間を超えると銅が溶けだすおそれがある。
また、第二の焼成工程も第一の焼成工程と同様にMo焼結体の酸化を防ぐために水素含
有雰囲気中で行う必要がある。このため、焼成炉内を窒素ガスで置換した後、水素ガスを
供給する方法が好ましい。また、フレッシュな水素ガスを供給することが好ましいため、
水素ガス気流を第一の焼成工程と同様の条件で調整することが好ましい。特に、1バッチ
200個以上、さらには400個以上と多数個の焼結体を得るためはウエット水素ガスま
たは水素ガスの流量の調整は必要である。
また、第一の焼成工程から第二の焼成工程は、図4に示したような焼成容器を用いるこ
とにより第一と第二の焼成工程の移動を連続的に行うことができるので量産性が上がる。
また、出来上がったMo焼結体(オルタネータ用Mo焼結部品)は、必要であれば、表
面研磨加工を施すものとする。研磨加工は、バレル研磨やダイヤモンド砥石による研磨加
工が挙げられる。
[実施例]
(実施例1〜5、比較例1)
平均粒径3μm、純度99.9wt%のMo粉末と、平均粒径5μm、純度99.9%
の銅粉末を混合し、さらに樹脂バインダ(PVA)と混合して平均粒径80〜120μm
の造粒粉末を調製した。次に、3〜5ton/cmのプレス圧力で金型成型してMo成
形体を調製した。なお、MoとCuの組成比およびMo焼結体のサイズは表1に示した通
りである。
Mo成形体400個をMo焼成ボート上に2mm間隔で並べた。これをスペーサを介し
て3段重ねて、Mo焼成容器内に収めた。これをプッシュ式焼成炉に投入して表1に示す
条件にて第一及び第二の焼成工程を行った。なお、焼成工程は一旦、窒素ガスを充満させ
た後、ウエット水素ガス気流中で行った。また、600℃から最高到達温度までは3〜7
時間かけて昇温して行ったものである。
その後、表面研磨加工を施して実施例にかかるオルタネータ用Mo焼結部品を調製した
。得られたオルタネータ用Mo焼結部品は直径7mm×厚さ0.6mmで統一した。また
、表面粗さRaは3μmで統一した。
比較例1として、密度90%のMo焼結体を調製した後、Cuを溶浸した溶浸法により
製造したものを用意した。
実施例および比較例にかかるオルタネータ用Mo焼結部品に関し、単位面積500μm
×500μmあたりのMo結晶の面積比を求めた。これは任意の断面において単位面積5
00μm×500μmの拡大写真(SEM写真)を撮り、そこに写るMo結晶の面積を求
めMo結晶の面積比とした。また、Mo結晶と銅の見分けが付きにくいものについてはE
PMA面分析を利用した。この作業を任意の5箇所行い、その平均値を「Mo結晶の面積
比の平均値」とし、各測定点の平均値からの差を求め、最も大きな差を「ばらつき」とし
た。
また、Mo結晶の平均粒径は、前述の拡大写真から求めた。具体的には、(長径+短径
)÷2で個々のMo結晶粒子の粒径を求め、100個分の平均値を「平均粒径」とした。
また、同様の拡大写真を用いてそこに写る最も大きな粒子の粒径と平均粒径の比を求めた
。また、密度は(アルキメデス法/理論密度)×100(%)により求めた。さらに、熱
膨張率、引っ張り強度、比抵抗、熱伝導率を求めた。
熱膨張率は25℃〜400℃までの体積膨張率で求めた。引っ張り強度はJIS−Z−
2241に準ずる引張強さ(tensile strength)により求めた。比抵抗
はJIS−H−0505に準ずる体積抵抗率にて求めた。また、熱伝導率はレーザーフラ
ッシュ法により求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2012052182
Figure 2012052182
表から分かる通り、本実施例にかかるオルタネータ用Mo焼結部品は、熱膨張係数が7
~14×10−6/℃、引っ張り強度0.44GPa以上、比抵抗5.3×10−6Ω・
m以下、熱伝導率160W/m・K以上と優れた特性を示した。また、断面写真をみると
Mo結晶粒子の隙間には銅が充填されていた。
一方、溶浸法で製造した比較例1は、Mo焼結体の中心部には銅が充填されていない領
域があり、密度は87%であった。そのため、熱膨張率、強度および熱伝導率は低下し、
比抵抗値は大きくなっていた。また、予めMoのみで焼結体を構成していることから焼結
温度を1700℃程度と高くしなければならないことから平均粒径の2倍以上の粗大粒子
が形成されていた。
(実施例6〜10)
次に組成およびMo焼結体サイズを表3のようにしたものを表4の条件にて製造した。
各実施例にかかるオルタネータ用Mo焼結部品について実施例1と同様の測定を行った。
その結果を表5に示す。また、焼成工程は600℃から最高到達温度までの昇温を3〜7
時間かけて行ったものである。また、得られたMo焼結部品を表面研磨して表面粗さを表
3の数値にした。
Figure 2012052182
Figure 2012052182
Figure 2012052182
本実施例にかかるオルタネータ用Mo焼結部品は、サイズを変えても優れた特性を示す
ことが分かった。
(実施例1A〜10A、比較例1A)
実施例1〜10および比較例1のオルタネータ用Mo焼結部品を使ってオルタネータを
作製した。具体的には、オルタネータ用Mo焼結部品表面に絶縁層を介して半導体素子を
搭載した。次に、凹部または貫通穴を設けた回転板に各オルタネータ用Mo焼結部品を表
6に示す個数配置し、ろう付けした。回転板ごと耐熱サイクル試験を行った。室温→12
0℃→室温→−20℃を1サイクルとし、1000サイクル後に半導体素子の位置ずれの
有無を確認した。位置ずれが1個でも発生したものを「×」、全く発生しなかったものを
「○」で表示した。その結果を表6に併せて示す。なお、回転板はSUJ2(12×10
−6/℃)製である。
Figure 2012052182
表から分かる通り、本実施例にかかるオルタネータ用Mo焼結部品を搭載したオルタネー
タは信頼性が高いことが判明した。一方、比較例1のものは熱膨張率が低く、熱伝導率も
低いことから一部の素子に位置ずれが確認された。
1…オルタネータ用Mo焼結部品
2…回転板
3…回転軸
4…モリブデン結晶
5…銅
6…Mo成形体
7…焼成用容器
8…焼成ボート
9…セパレータ

Claims (13)

  1. 銅を10〜50質量%含有するモリブデン合金材からなるオルタネータ用Mo焼結部品に
    おいて、モリブデン合金材は、モリブデン結晶の平均粒径10〜100μm、単位面積5
    00μm×500μmあたりのMo結晶の面積比のばらつきが平均値の±10%以内であ
    ることを特徴とするオルタネータ用Mo焼結部品。
  2. 表面粗さRaが5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のオルタネータ用Mo焼
    結部品。
  3. モリブデン合金材は、Ni、Co、Feの少なくとも一種以上を金属元素換算で0.1〜
    3質量%含有していることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の
    オルタネータ用Mo焼結部品。
  4. モリブデン合金材が密度90〜98%の焼結合金材であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のいずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  5. 銅がモリブデン結晶同士の隙間に充填されていることを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  6. モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であることを特徴とする請求項1な
    いし請求項5のいずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  7. 厚さ0.5〜1mm、直径5〜10mmの円板状であることを特徴とする請求項1ないし
    請求項6のいずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  8. 熱膨張率が7〜14×10−6/℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のい
    ずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  9. 引っ張り強度が0.44GPa以上であるであることを特徴とする請求項1ないし請求項
    8のいずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  10. 比抵抗が5.3×10−6Ω・m以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項9の
    いずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のオルタネータ用Mo焼結部品を取り付
    けた回転板を搭載したことを特徴とするオルタネータ。
  12. オルタネータ用Mo部品を複数個取り付けたことを特徴とする請求項11記載のオルタネ
    ータ。
  13. 請求項11または請求項12のいずれか1項に記載のオルタネータを搭載したことを特徴
    とする自動車。
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