JP2012051852A - サザンカ花部から得られる抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤及びヒト線維芽細胞増殖促進剤、並びに新規サポニン化合物 - Google Patents

サザンカ花部から得られる抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤及びヒト線維芽細胞増殖促進剤、並びに新規サポニン化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】サザンカ花部由来の、抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤及びヒト線維芽細胞増殖促進剤、並びに、サザンカ花部の抽出液から分離、精製して得られる新規なサポニン化合物を提供する。
【解決手段】サザンカ花部、サザンカ花部の抽出液、サザンカ花部の抽出液から分離、精製して得られるサポニン化合物を、活性成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤及びヒト線維芽細胞増殖促進剤、並びに、サザンカ花部の抽出液から分離、精製して得られる新規なサポニン化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ツバキ科の植物であるサザンカ(Camellia sasanqua)の花部(サザンカ花部又は山茶花。以後、サザンカ花部と表す。)、サザンカ花部の抽出液、又はその抽出液から得られるサポニン化合物を活性成分として含有する抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤、及びヒト線維芽細胞増殖促進剤に関する。又、本発明は、サザンカ花部の抽出液から分離、精製して得られる新規なサポニン化合物(トリテルペン化合物)に関する。
サザンカは日本を原産とする常緑広葉樹の一種で、日本、朝鮮、中国の海岸近くの山地に広く分布する。日本では古くから観賞用として栽培しているほか、種子から得られる油脂は(中国等では)「サザンカ油」として知られ、頭髪油、食用、機械油、軟膏基材等として広く用いられている。しかしながら、その含有成分や生物活性についての検討はほとんど行われていなかった。
本発明は、サザンカ花部に含有される成分の薬剤としての作用についての研究に基づいてなされたもので、サザンカ花部由来の、抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤及びヒト線維芽細胞増殖促進剤を提供することを課題とする。本発明は、又、サザンカ花部の抽出液から分離、精製して得られ、抗アレルギー剤、ヒト線維芽細胞増殖促進剤等として用いられる新規なサポニン化合物を提供することを課題とする。
本発明者は、サザンカ花部、サザンカ花部の抽出液について、次に示す1)〜4)の検討を行った。
1)抗アレルギー剤の活性評価の指標として、RBL−2H3細胞における抗原刺激による脱顆粒抑制作用。
2)脂肪分解阻害剤の活性評価の指標として、膵リパーゼ阻害作用。
3)抗糖尿病剤やしわとり等のための美容素材としての用途が考えられる抗酸化剤の活性評価の指標として、DPPHラジカル消去作用及びスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)様作用。
4)創傷治癒剤やヒト線維芽細胞増殖促進剤の活性評価の指標として、ヒト線維芽細胞増殖促進作用。
又、本発明者は、前記抽出液から分離、精製して得られるサポニン化合物についても、前記の1)〜4)の検討を行った。
その結果、サザンカ花部、その抽出液、及び抽出液から分離、精製して得られるサポニン化合物が、脱顆粒抑制(抗アレルギー)作用、膵リパーゼ阻害作用、DPPHラジカル消去作用やスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)様作用、及びヒト線維芽細胞増殖促進作用を示すことを見出し、以下に示す態様の発明を完成した。
本発明は、その第1の態様として、サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤(請求項1)を提供する。この抗アレルギー剤は、RBL−2H3細胞における抗原刺激による脱顆粒を抑制する作用を示し、ヒト又は動物に投与することによりアレルギーの発症を抑制する作用を奏する。なお、サザンカ花部の抽出液とは、サザンカ花部を、水、低級脂肪族アルコール、グリコール、低級脂肪族アルコールやグリコールの含水物等の抽出溶媒により抽出した液を言うが、この明細書では、さらに、その抽出した液を濃縮して得られるエキスや、その抽出した液を分配処理して得られる分配移行液(fraction)等も含む意味で用いる。
又、本発明は、その第2の態様として、サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とする脂肪分解阻害剤(請求項2)を提供する。この脂肪分解阻害剤は膵リパーゼ阻害作用を示し、これをヒト又は動物に投与することにより膵リパーゼによる脂肪の分解を阻害する。食事中の脂肪は、膵リパーゼによって分解され、モノグリセライドと脂肪酸となって吸収されるので、この脂肪の分解を阻害することにより、肥満を抑制できると期待される。
さらに、本発明は、その第3の態様として、サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とする抗酸化剤(請求項3)を提供する。この抗酸化剤は、DPPHラジカル消去作用及びスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)様作用を示し、ヒト又は動物に投与することにより、生活習慣病や老化等の原因となる活性酸素の生成を抑制し又活性酸素を消去する等の作用が期待される。従って、糖尿病の発症の抑制、心臓病や脳卒中の予防、抗がん等の効果が期待されるとともに、しわとり等の老化防止の効果も期待され、美容素材としての用途も考えられる。
さらに又、本発明は、その第4の態様として、サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とするヒト線維芽細胞増殖促進剤(請求項4)を提供する。このヒト線維芽細胞増殖促進剤は、ヒト線維芽細胞増殖促進作用を示し、ヒト又は動物に投与することにより、ヒト線維芽細胞の増殖を促進する。従って、創傷治癒剤等としての用途が考えられる。
本発明者は、さらに又、前記の抽出液を分離、精製し、含有成分の詳細な探索等を行い、さらにその含有成分の生物活性について検討を行ったところ、前記の抽出液中には、下記の式(1)、式(2)、式(3)、式(4)又は式(5)で表される化合物等、種々のサポニン化合物が含まれており、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)又は式(5)で表されるサポニン化合物は、脱顆粒抑制作用及び/又はヒト線維芽細胞増殖促進作用を示し、抗アレルギー剤及び/又はヒト線維芽細胞増殖促進剤として用いられることを見出した。
そこで、本発明は、その第5の態様として、下記式(1)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
下記式(2)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
下記式(3)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
及び、下記式(5)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
からなる群より選ばれる1種以上のサポニン化合物を、活性成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤(請求項5)を提供する。この抗アレルギー剤は、RBL−2H3細胞における抗原刺激による脱顆粒を抑制する作用を示し、ヒト又は動物に投与することによりアレルギーの発症を抑制する作用を奏する。
又、本発明は、その第6の態様として、下記式(1)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
下記式(2)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
下記式(3)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
下記式(4)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
及び、下記式(5)で表されるサポニン化合物:
Figure 2012051852
からなる群より選ばれる1種以上のサポニン化合物を、活性成分として含むことを特徴とするヒト線維芽細胞増殖促進剤(請求項6)を提供する。このヒト線維芽細胞増殖促進剤は、ヒト線維芽細胞増殖促進作用を示し、ヒト又は動物に投与することにより、ヒト線維芽細胞の増殖を促進する。従って、創傷治癒剤等としての用途が考えられる。
ヒト線維芽細胞増殖促進剤としては、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、又は式(5)で表される化合物の中でも、式(1)、式(2)、又は式(3)で表される化合物を用いるものが好ましく、特に好ましくは、式(1)又は式(2)で表される化合物を用いるものである。
前記の第1の態様又は第5の態様の抗アレルギー剤、第2の態様の脂肪分解阻害剤、第3の態様の抗酸化剤、第4の態様又は第6の態様のヒト線維芽細胞増殖促進剤は、ヒト又は動物に投与することにより前記の作用を奏するので、ヒト又は動物用の医薬や医薬組成物(以後、医薬組成物を含めて医薬と言う。)等として用いることができる。
本発明者は、さらに、サザンカ花部の抽出液の分離、精製により得られた化合物について構造の解析を行ったところ、前記式(2)で表されるサポニン化合物、前記式(4)で表されるサポニン化合物、及び前記式(5)で表されるサポニン化合物は、新規なサポニン化合物であることを見出した。即ち本発明は第7の態様として、以下に示す新規なサポニン化合物を提供する。
下記の式(2)で表されるサポニン化合物(請求項7)。
Figure 2012051852
下記の式(4)で表されるサポニン化合物(請求項8)。
Figure 2012051852
下記の式(5)で表されるサポニン化合物(請求項9)。
Figure 2012051852
請求項7又は請求項9で表されるサポニン化合物は、脱顆粒抑制作用を示し、抗アレルギー剤の活性成分として用いることができる。又、請求項7、請求項8又は請求項9で表されるサポニン化合物は、ヒト線維芽細胞増殖促進作用を示し、ヒト線維芽細胞増殖促進剤の活性成分として用いることができる。
本発明の抗アレルギー剤(第1の態様及び第5の態様)は、RBL−2H3細胞における抗原刺激による脱顆粒抑制(抗アレルギー)作用を示し、ヒト又は動物のアレルギーの発症を抑制する効果がある。本発明の脂肪分解阻害剤(第2の態様)は、膵リパーゼ阻害作用を示し、ヒト又は動物の肥満を抑制する効果がある。本発明の抗酸化剤(第3の態様)は、DPPHラジカル消去作用及びスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)様作用を示し、生活習慣病や老化等の原因となる活性酸素の生成を抑制し又活性酸素を消去する等の作用が期待される。従って、糖尿病発症抑制剤、心臓病や脳卒中の予防剤、しわとり等の老化防止の効果を有する美容素材としての用途が考えられる。本発明のヒト線維芽細胞増殖促進剤(第4の態様及び第6の態様)は、ヒト線維芽細胞の増殖を促進する作用を有し、創傷治癒剤としての用途が考えられる。
本発明の新規サポニン化合物(第7の態様)は、脱顆粒抑制及び/又はヒト線維芽細胞増殖促進作用を示し、抗アレルギー剤及び/又はヒト線維芽細胞増殖促進剤として用いることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明の範囲はこの実施の形態のみに限定されるものではない。
本発明の、第1の態様の抗アレルギー剤、第2の態様の脂肪分解阻害剤、第3の態様の抗酸化剤、第4の態様のヒト線維芽細胞増殖促進剤としては、
1)サザンカ花部を(抽出等の処理を行わずに)活性成分として用いるもの、
2)サザンカ花部を、水、低級脂肪族アルコール、グリコール又は低級脂肪族アルコールやグリコールの含水物等により抽出した抽出液を濃縮して得られる抽出エキスを活性成分として用いるもの、を例示することができる。サザンカ花部を用いる場合は、サザンカ花部をそのまま用いることができるし、又は、粉砕、破砕、切断、すりつぶし等による形状変化を行ったもの、もしくは、乾燥等の調製を行ったものを用いることもできる。
抽出液は、サザンカ花部をそのまま、又は、粉砕、破砕、切断、すりつぶし等による形状変化を行ったものを、水、低級脂肪族アルコール、グリコール、又は低級脂肪族アルコールやグリコールの含水物等の抽出溶媒により抽出して得ることができる。抽出効率の点からは、粉砕、破砕、切断、すりつぶし等による形状変化を行ったものを用いる方法が望ましい。
抽出溶媒として用いられるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール類が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール又はこれらの混液等が挙げられる。グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。抽出溶媒としては、好ましくはこれらのアルコールやグリコール、又はこれらのアルコールやグリコールに30容量%までの水を含有する含水アルコールや含水グリコールが用いられる。前記のアルコールやグリコールの中でもメタノール又はエタノールが好ましい。これらの抽出溶媒は、抽出材料に対して、1〜50倍(重量)程度、好ましくは10〜30倍程度用いられる。
抽出温度は、室温〜溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、50℃〜抽出溶媒の沸点の温度が好ましい。抽出は、振盪下もしくは非振盪下又は還流下に、前記の抽出材料、即ち、サザンカ花部そのもの、又は、それを粉砕、破砕、切断、すりつぶし等による形状変化を行ったもの等を、前記の抽出溶媒に浸漬することによって行うのが適当である。
好ましい抽出時間は、抽出温度や抽出の際の振盪の有無等により変動し、特に限定されない。例えば、抽出材料を振盪下に浸漬する場合には、30分間〜10時間程度行うのが適当であり、非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜20日間程度行うのが適当である。又、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分間〜数時間加熱還流するのが好ましい。なお、50℃より低い温度で浸漬して抽出することも可能であるが、その場合には、前記の時間よりも長時間浸漬するのが好ましい。抽出操作は、同一材料について1回だけ行ってもよいが、複数回、例えば2〜5回程度繰り返すのが好ましい。
前記の抽出工程により得られた抽出液には、サザンカ花部の含有成分が溶出されている。本発明の、第1の態様の抗アレルギー剤、第2の態様の脂肪分解阻害剤、第3の態様の抗酸化剤、第4の態様のヒト線維芽細胞増殖促進剤としては、このようにして得られた抽出液を濃縮して用いてもよい。又、このようにして得られた抽出液に分配処理を施し、得られた分配移行液を用いてもよい。濃縮は、低温で減圧下に行うのが好ましい。濃縮する前に濾過して濾液を濃縮してもよい。なお、濃縮等の操作を行わず抽出液をそのまま用いても、抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤、ヒト線維芽細胞増殖促進剤としての作用を奏する。
又、濃縮は乾固するまで行ってもよく、粉末状又は凍結乾燥品等として用いてもよい。濃縮する方法、粉末状及び凍結乾燥品とする方法は当該分野での公知の方法を用いることができる。
このようにして得られる抽出液(さらに濃縮したもの、分配により得られる分配移行液等を含む意味である。)は、精製処理に付し、含有される各成分に分離することができる。前記の、式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物は、この精製、分離により得ることができる。そして、この精製、分離により得られた式(1)、式(2)、式(3)、又は式(5)で表される化合物も、抗アレルギー剤として用いることができ(本発明の第5の態様)、又、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、又は式(5)で表される化合物も、ヒト線維芽細胞増殖促進剤として用いることができる(本発明の第6の態様)。
精製処理は、例えば、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法、溶媒による分配抽出等を単独、又は組み合わせて採用することができる。クロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を挙げることができ、これらのいずれか、又はそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。
前記のように、本発明の第1の態様の抗アレルギー剤、第2の態様の脂肪分解阻害剤、第3の態様の抗酸化剤、又は第4の態様のヒト線維芽細胞増殖促進剤を含有させることにより、ヒト又は動物用の医薬を製造することができる。本発明の抗アレルギー剤、脂肪分解阻害剤、抗酸化剤、ヒト線維芽細胞増殖促進剤が、ヒト又は動物用の医薬として用いられる場合は、サザンカ花部そのもの、サザンカ花部の抽出液、もしくは前記式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、又は式(5)で表される化合物を、そのままの状態で又は適当な媒体で希釈して、医薬品等の製造分野における公知の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又は液剤等の種々の形態にして用いられる。
これらの形態においては、適当な媒体を添加してもよい。適当な媒体としては、医薬的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント又はポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば乳糖、砂糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン)、錠剤用滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ)、崩壊剤(例えば馬鈴薯澱粉)又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)等が挙げられる。
錠剤とする場合は、通常の製薬における周知の方法でコートしてもよい。液体製剤とする場合は、例えば水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ又はエリキシルの形態であってもよい。又、使用前に水や他の適切な賦形剤と混合する乾燥製品として提供してもよい。
こうした液体製剤は、通常の添加剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂等の懸濁化剤、レシチン、ソルビタンモノオレエート、アラビアゴム等の乳化剤(食用脂を含んでもよい)、アーモンド油、分画ココヤシ油又はグリセリン、プロピレングリコールやエチレングリコールのような油性エステル等の非水性賦形剤、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル又はソルビン酸等の保存剤を含んでもよく、さらに所望により着色剤又は香料等を含んでもよい。
本発明の医薬における、抽出液、前記式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、又は式(5)で表される化合物の使用量は、濃縮、精製の程度、活性の強さ等、使用目的、対象疾患や自覚症状の程度、使用者の体重、年齢等によって適宜調整される。例えば、医薬として成人について使用する場合は、1回の投与毎に、抽出液の場合では、1mg〜20g程度の範囲で使用し、この範囲内で精製度や水分含量等に応じて調整することが適当な場合が多い。又、前記式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、又は式(5)で表される化合物を使用する場合は、1mg〜1g程度が適当な場合が多い。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下の実施例では、特に記載がない限り、以下に示す各種溶媒、濾紙、クロマトグラフィー用担体及びHPLCカラムを用いた。又、特に明記しない試薬については、和光純薬工業社製試薬(特級)を用いた。
実施例1
日本京都産サザンカ花部(4.0kg)をメタノール(MeOH:ナカライテスク社製、試薬一級)で熱時抽出(3時間)し、抽出液を濾取した。残渣にメタノールを加え、同様の抽出操作を計3回行った。得られたメタノール抽出液を合わせ、減圧下溶媒を留去し、MeOH抽出エキス(収量417.7g、収率10.4%)(以下、括弧内で収量及び/又は収率を表す場合は、「収量」、「収率」を略して示す。なお、「収率」とは、サザンカ花部からの単離収率である。)を得た。
このMeOH抽出エキス(400g)を、酢酸エチル(AcOEt)と水(1:1)で分配し、AcOEt移行部(57.9g、1.5%)とHO移行部を得た。さらにこのHO移行部を、n−ブタノール(n−BuOH)と水(1:1)で分配し、n−BuOH移行部(149.5g、3.9%)とHO移行部(191.7g、5.0%)を得た。得られたn−BuOH移行部について、HP−20カラムクロマトグラフィー(HO→MeOH→アセトン)に付し、各溶出部を減圧下溶媒留去することにより、HO溶出部(0.9g、0.025%)、MeOH溶出部(54.1g、1.47%)、アセトン溶出部(88.2g、2.40%)を得た。
実施例2 RBL−2H3細胞を用いた抗原刺激時における脱顆粒抑制(抗アレルギー)作用(β−hexosaminidase遊離阻害率の測定)
実施例1で得られたサザンカ花部のMeOH抽出エキス、AcOEt移行部、n−BuOH移行部、HO移行部について、脱顆粒抑制(アレルギーの抑制)活性の検討を行った。具体的には、肥満細胞のモデル細胞であるラット好塩基球性白血病細胞(RBL−2H3細胞)を用い、RBL−2H3細胞が抗原刺激によって脱顆粒を起こした際にヒスタミン等と共に放出されるβ−hexosaminidaseの遊離率を以下に示す方法により求め、その結果より被験物質のβ−hexosaminidase遊離阻害率を求め、それを、脱顆粒の指標とし抗アレルギー作用成分の探索を行った。表1に示すように、MeOH抽出エキス、AcOEt移行部及びn−BuOH移行部に有意な抑制活性(脱顆粒抑制作用)が見られた.特にn−BuOH移行部に強い抑制活性が認められた。
[β−hexosaminidaseの遊離率、被験物質のβ−hexosaminidase遊離阻害率]
ヒューマンサイエンス研究資源バンクから購入したRBL−2H3細胞を、10%牛胎児血清(FBS)、100unit/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン含有Minimum Essential Medium Eagle(MEM、Sigma社製)で培養(5%CO、37°C)した。次に細胞培養用24ウェル平底マイクロプレートに、2.0×10cells(400μl medium/well)ずつ播種し、1時間培養した後、マウスモノクローナル抗DNP IgE抗体(Sigma社製)を培養液に加え(終濃度:0.45μg/ml)、24時間培養(5%CO、37°C)することによって細胞を感作させた。その後、感作した細胞を500μlのsiraganian buffer(pH7.2:119mMのNaCl、5mMのKCl、0.4mMのMgCl、25mMのピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルフォン酸)(PIPES)、40mMのNaOH)で2回洗浄し、160μlの5.6mMのグルコース、1mMのCaCl、0.1%BSA含有siraganian bufferを加えて10分間予備加温(5%CO、37°C)した。
次に、20μlの被験物質溶液(DMSO終濃度:0.1%)を加え、10分後に抗原(DNP−BSA、終濃度:10μg/ml)を加えて10分間インキュベートして細胞を刺激した。10分間氷冷して反応を止めた後、上清50μlを96ウェル平底マイクロプレートに移し、0.1Mcitrate bufferに溶解した1mMのp−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−glucosaminide(PNAG)50μlを加えて混和後37°Cで1時間反応させた。反応溶液に200μlのstop buffer(pH10.0:0.1MのNaHCO/NaCO)を加えて混和し、マイクロプレートリーダー(model550、BIO−RAD社)にて吸光度(測定波長:405nm、参照波長:655nm)を測定し、この吸光度の測定値に基づき、以下の式により遊離率を求めた。又、被験物質のみの吸光度も併せて測定し補正した。細胞内全β−hexosaminidaseの測定には、超音波破砕機で破砕した細胞を遠心分離した上清を用いた。このときの吸光度を吸光度Aとする。
Figure 2012051852
被験物質のβ−hexosaminidase遊離阻害率は以下の式により求めた.
Figure 2012051852
実験結果を表1に示す。なお、実験はN=4で行った。表中の数値は、その平均±標準誤差を表す。対照群との平均値の有意差の検定にはDunnettの方法を用い、p値が0.05以下のものを有意とみなした。p値が0.05以下のものには、表中の数値に*を示した。特に、p値が0.01以下のものには、表中の数値に**を示した。これは、以下に示す他の測定、他の表においても同様である。
Figure 2012051852
実施例3 膵リパーゼ阻害作用試験
実施例1で得られたサザンカ花部のMeOH抽出エキス、AcOEt移行部、n-BuOH移行部、HO移行部について、膵リパーゼ阻害作用の検討を行った。具体的には、次に示す方法により膵リパーゼ阻害作用を求めた。表2に示す結果より明らかなように、MeOH抽出エキス、AcOEt移行部及びn−BuOH移行部に有意な阻害活性(膵リパーゼ阻害作用)が認められた。
[膵リパーゼ阻害作用の測定]
基質としてトリオレイン溶液[トリオレイン80mg、ホスファチジルコリン10mg及びタウロコール酸5mgに0.1Mトリス緩衝液(pH7.0:0.1MのNaCl含有)9mlを加え、10分間超音波処理を行った溶液]100μlに、被験サンプル溶液5μlを加え、さらに0.1Mトリス緩衝液(pH7.0)95μlを加え、全量を200μlとした。37℃で3分間予備加温したのち、ブタ膵臓由来のリパーゼ溶液50μlを加えて30分間反応させ、その後2分間沸騰水浴(90〜100℃)に入れて反応を停止させた。別に、各サンプルにつきリパーゼ溶液に代えてトリス緩衝液を50μl加え、同様の操作を行ったものを盲検として調製した。生成したオレイン酸の濃度をNEFA C−テストワコー(和光純薬社)により測定した。なお、リパーゼはトリス緩衝液に溶解し、本実験条件下で約0.7meq/Lのオレイン酸が生成する濃度に調製した。被験サンプルはDMSOを用いて溶解し希釈した。比較対照薬としてorlistatを用いた。このようにして測定したオレイン酸量に基づき、以下の式により阻害率(%)を算出し、その値を表2に示した。
阻害率(%)=
{1−(サンプル添加時のオレイン酸量−サンプル添加時[盲検]のオレイン酸量)/
(サンプル非添加時(対照)のオレイン酸量−(対照)[盲検]のオレイン酸量)}×100
Figure 2012051852
肥満は脂肪の合成が分解を上回ることによって発症する。したがって肥満の予防には食事に含まれる脂肪の吸収を遅らせなければならない。食事中の脂肪は膵リパーゼによって分解され、モノグリセライドと脂肪酸となって吸収される。そこで、膵リパーゼによる脂肪の分解を阻害することで、カイロミクロンを低下させ、肥満を予防できると期待される。表2に示すように、MeOH抽出エキス、AcOEt移行部及びn−BuOH移行部に有意な膵リパーゼ阻害活性が認められるので、これらは脂肪分解阻害剤として使用でき、肥満の予防に効果があると期待される。
実施例4 DPPHラジカル捕捉試験
実施例1で得られたサザンカ花部のMeOH抽出エキス、AcOEt移行部、n−BuOH移行部、HO移行部について、次に示す方法によりDPPHラジカル捕捉試験を行った。
[DPPHラジカル捕捉試験]
96ウェルマイクロプレートの各ウェルに、エタノールと0.1M酢酸−酢酸Na緩衝液(pH5.5)混合物(1:2)を120μl、被検物質のエタノール溶液を40μl、及び2.5×10−4MのDPPHエタノール溶液を40μl加えた。撹拌後、室温にて30分間静置した後、マイクロプレートリーダーSH−1000(コロナ電気)により吸光度を測定した(測定波長517nm、参照波長655nm)。測定値に基づき以下の式によりラジカル捕捉率を算出し、さらに50%阻害濃度(EC50)を求めた。このようにして得たラジカル捕捉率及びEC50値を表3に示す。
ラジカル補足率(%)=
{1−(被験物質添加時の吸光度)/(被験物質非添加時[対照]の吸光度)}×100
Figure 2012051852
実施例5 DPPHラジカル消去作用、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)様作用試験
実施例1で得られたサザンカ花部のMeOH抽出エキス、AcOEt移行部、n−BuOH移行部、HO移行部について、次に示す方法によりスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)様作用試験を行った。
[DPPHラジカル消去作用、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)様作用試験]
100μMのキサンチン、100μMのEDTA、25μMのWST−1(同仁化学研究所製試薬)を含む50mMの炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.2)、及び被験サンプルを含む反応液2.9mlを、37℃で10分間予備加温し、58mU/mlのキサンチンオキシダーゼ100μを加えて20分間インキュベーションした。インキュベーション後、2M塩酸100μlを加えて反応を止め、O2−により還元されて生成したWST−1ホルマザンの吸光度を測定した(測定波長:450nm)。測定値に基づき以下の式によりScavenging activity(%)を算出し、さらに50%阻害濃度(EC50)を求めた。このようにして得たScavenging activity(%)及びEC50値を表4に示す。
Scavenging activity(%)=
{1−(被験物質添加時の吸光度)/(被験物質非添加時[対照]の吸光度)}×100
Figure 2012051852
表3及び表4に示す結果より明らかなように、サザンカ花部のMeOH抽出エキス、AcOEt移行部及びn−BuOH移行部に有意なDPPHラジカル消去作用、SOD様作用が認められた。
実施例6 サザンカ花部の含有成分の単離
実施例1で得られたMeOH溶出部を、逆相ODSカラムクロマトグラフィー[54.1g、MeOH:HO=HO→(10:90)→(20:80)→(30:70)→(40:60)→(50:50)→(60:40)→(70:30)→(80:20)→(90:10)→MeOH]にて分画し、画分1(0.83g)、画分2(3.28g)、画分3(27.96g)、画分4(6.14g)、画分5(9.56g)、画分6(0.88g)、画分7(0.64g)を得た。
画分5(8.89g)を、逆相ODSカラムクロマトグラフィー[347.9g、MeOH:HO=(50:50)→(55:45)→(60:40)→(65:35)→(70:30)→(75:25)→(80:20)→(85:15)→(90:10)→(95:5)→MeOH]にて分画し、画分5−1(16.1mg)、画分5−2(226.2mg)、画分5−3(389.5g)、画分5−4(945.2mg)、画分5−5(3.69g)、画分5−6(3.05g)、画分5−7(329.4mg)、画分.5−8(319.0mg)を得た。さらに画分5−5について、HPLC[カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II、溶離液:68%aq.MeOH in 1%酢酸]を用いて分離精製した結果、化合物6(27.8mg)、化合物2(108.5mg、0.0145%)、化合物3(42.3mg、0.0057%)を単離した。
又、画分5−6について、HPLC[カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II、溶離液:73%aq.MeOH in 1%酢酸]を用いて分画・単離し、画分5−6−1(18.4mg)、画分.5−6−2(92.4mg)、画分5−6−3(化合物5、22.6mg、0.0057%)、画分5−6−4(192.5mg)、画分5−6−5(化合物1、57.3mg、0.0032%)、画分5−6−6(100.4mg)、画分5−6−7(367.4mg)を得た。さらに、画分5−6−2についてHPLC[カラム: COSMOSIL Cholester Waters、溶離液:73%aq.MeOH in 1%酢酸]で分離精製し、化合物4(17.9mg、0.0010%)を得た。
上記のようにして得られた化合物1〜5について、H-NMR、13C-NMR、質量分析(MSスペクトル)、旋光度、IRスペクトル等の測定を行い、その測定結果に基づき構造決定や同定を行ったところ、化合物1は、前記式(1)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:Sasanquasaponin Iと命名する。)、化合物2は、前記式(2)で表される新規サポニン化合物(Sasanquasaponin IIと命名する。)、化合物3は、前記式(3)で表されるサポニン化合物(Sasanquasaponin IIIと命名する。)、化合物4は、前記式(4)で表される新規サポニン化合物(Sasanquasaponin IVと命名する。)、化合物5は、前記式(5)で表される新規サポニン化合物(Sasanquasaponin Vと命名する。)であることが確認された。
なお、旋光度[α]、質量分析、UVスペクトル、IRスペクトル及びH−NMR及び13C−NMR等は、以下に示す測定装置、条件により行った。
[旋光度][α] 堀場高感度SEPA−300デジタルポラリメーター(l=0.5)を用いて測定した。
[質量分析]
高分解能質量分析(高分解能FAB−MS、EI−MS)及び質量分析(FAB−MS、EI−MS)は、日本電子社製JMS−SX 102及びJMS−GCMATE型質量分析装置を用いて測定した。
[IRスペクトル] Shimadzu FT−IR DR−8000 spectrometerを用いて測定した。
[UVスペクトル] ShimadzuUV−1600を用いて測定した。
[核磁気共鳴スペクトル] H−NMR及び13C−NMRは、日本電子社製 JNM−EX 270(270MHz)、JNM−LA 500(500MHz)及びJNM−ECA 600(600MHz)を用い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いて測定した。
[高速液体クロマトグラフィー(HPLC)] ポンプはShimadzu LC−6ADを、示差屈折計検出器はShimadzu RID−10Aを、紫外可視分光光度計検出器はShimadzu SPD−10Aを用いた。
以下、実施例6で得られた化合物1〜5についての、外観、旋光度[α]、質量分析、UVスペクトル、IRスペクトル、H−NMRの測定結果を示す。
[化合物1:Sasanquasaponin I]
・性状:無色微粉末結晶
・mp.: 213.0-215.0°C
・旋光度:[α] 20−24.6°(c=0.85、MeOH)
IRスペクトル(KBr):νmax 3370、1720、1698、1075、1047cm−1
H−NMR(600MHz、ピリジン−d)δ 0.79、1.01、1.05、1.07、1.12、1.27、1.87(all s、25、26、29、24、23、30、27−H)、0.84(t、J=7.6Hz、6'''''−H)、1.35(m、5'''''−H)、2.71、2.78(both m、4'''''−H)、3.21(1H、dd、J=5.0、12.0Hz、3−H)、3.59、3.76(both d、J=10.3Hz、28−H)、4.24(1H、d−like、15−H)、4.84(d、J=7.0Hz、1'−H)、5.49(1H、br s、12−H)、5.79(d、J=11.0Hz、2'''''−H)、5.94(1H、d、J=7.6Hz、1''−H)、6.09(td、J=7.6、11.0Hz、3'''''−H)、6.18(1H、dd、J=5.5、11.7Hz、22−H)、6.24(1H、br s、1''''−H)、6.26(1H、d、J=7.0Hz、1'''−H)
[化合物2:Sasanquasaponin II]
・性状:無色微粉末結晶
・mp.: 219.5-221.0°C
・旋光度:[α]D29−18.2°(c=0.43、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):νmax 3370、1720、1684、1075、1045cm−1
H−NMR (600 MHz、ピリジン−d)δ 0.80、1.02、1.06、1.06、1.14、1.28、1.87(all s、25、26、29、24、23、30、27−H)、1.43(3H、d、J=6.9Hz、Tig−4−H)、1.78(3H、s、Tig−5−H)、3.19(1H、dd、J=5.0、11.0Hz、3−H)、3.61、3.77(both d、J=10.3Hz、28-H)、4.24(1H、d−like、15−H)、4.84(1H、d、J=7.0Hz、1’−H)、5.47(1H、br s、12−H)、5.92(1H、d、J=7.4Hz、1''−H)、6.17(1H、dd、J=5.5、11.7Hz、22−H)、6.21(1H、d、J=7.6Hz、1'''−H)、6.25(1H、br s、1''''−H)、6.84(1H、q、J=6.9Hz、Tig−3−H)
・positive−ion FAB−MS: m/z 1241 (M+Na)+
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1241.5923[C599426Naの計算値: (M+Na)+:m/z 1241.5931]。
[化合物3:Sasanquasaponin III]
・性状:無色微粉末結晶
・mp.: 227.0-229.0°C
・旋光度:[α]D21−18.5°(c=0.72、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):νmax 3370、1720、1699、1076、1043cm−1
H−NMR (600 MHz、 ピリジン−d)δ 0.79、1.00、1.05、1.06、1.12、1.28、1.86(all s、25、26、29、24、23、30、27−H)、1.82(3H、s、Ang−5−H)、2.02(3H、d、J=6.9Hz、Ang−4−H)、3.18(1H、dd、J=5.0、11.0Hz、3−H)、3.63、3.79(1H each、both d、J=10.3Hz、28-H)、4.25(1H、d−like、15−H)、4.89(d、J=7.0Hz、1’-H)、5.46(1H、br s、12−H)、5.83(1H、q、J=6.9Hz、Ang−3−H)、5.93(d、J=7.0Hz、1''−H)、6.19(1H、dd、J=5.5、11.7Hz、22−H)、6.22(d、J=7.6Hz、1'''−H)、6.25(br s、1''''−H)
[化合物4:Sasanquasaponin IV]
・性状:無色微粉末結晶
・mp.: 215.0-217.0°C
・旋光度:[α]D21−31.9° (c=0。17、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):νmax 3370、1716、1697、1078、1045cm−1
H−NMR (600 MHz、 ピリジン−d)δ 0.79、1.05、1.09、1.12、1.15、1.21、1.87(all s、25、24、29、23、26、30、27-H)、1.60(3H、d、J=6.8Hz、Tig−4−H)、1.84(3H、s、Tig−5−H)、3.19(1H、dd、J=5.0、11.7Hz、3−H)、4.38、4.61(1H each、both d、J=11.0Hz、28−H)、4.35(1H、d−like、15−H)、4.59(1H、dd、J=5.5、11.7Hz、22−H)、4.91(d、J=7.0Hz、1’-H)、5.52(1H、br s、12−H)、5.94(d、J=7.4Hz、1''−H)、6.25(d、J=7.6Hz、1'''−H)、6.26(br s、1''''−H)、7.00(1H、q、J=6.9Hz、Tig−3−H)
・positive−ion FAB−MS: m/z 1241 (M+Na)+
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1241.5923[C599426Naの計算値: (M+Na)+:m/z 1241.5931]。
[化合物5:Sasanquasaponin V]
・性状:無色微粉末結晶
・mp.: 224.0-226.0°C
・旋光度:[α]D21−32.4° (c=0.31、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):νmax 3370、1730、1717、1078、1047cm−1
H−NMR (600 MHz、 ピリジン−d)δ 0.75、0.78、1.05、1.10、1.12、1.16、1.54(all s、25、26、24、29、30、23、27-H)、1.00(3H、t、J=7.6Hz、4'''''−H)、1.30(3H、d、J=6.9Hz、5'''''−H)、1.63、1.94(1H each、both m、3'''''−H)、2.59(1H、 m、2'''''−H)、3.17(1H、dd、J=4.9、11.1Hz、3−H)、3.66、4.04(1H each、both d、J=10.3Hz、28-H)、4.09(1H、dd like、22−H)、4.90(d、J=7.0Hz、1’-H)、5.32(1H、br s、12−H)、5.94(d、J=7.7Hz、1''−H)、6.22(m、16−H)、6.22(d、J=7.6Hz、1'''−H)、6.25(br s、1''''−H)
・positive−ion FAB−MS: m/z 1227 (M+Na)+
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1227.6143
[C599625Naの計算値: (M+Na)+:m/z 1227.6138]。
化合物2、化合物4、化合物5についての、13C−NMR(600MHz、ピリジン−d)の測定結果を、それぞれ以下の表5、表6、表7に示す。なお、表5〜7中、Acylは、cis−2−ヘキセノイルを、Tigは、チグロイルを、Angはアンゲロイルを、GlcAはβ−D−グルクロノピラノシルを、Glcはβ−D−グルコピラノシル、Galはβ−D−ガラクトピラノシル、Rhaはα−L−ラムノピラノシルを表す。
Figure 2012051852
Figure 2012051852
Figure 2012051852
実施例7 サポニン成分の脱顆粒抑制 (抗アレルギー) 作用
実施例6で得られた化合物1〜5について、RBL−2H3細胞を用いた抗原刺激時における脱顆粒抑制(抗アレルギー)作用の検討を実施例2と同様な方法で行った。その結果を表8に示すが、その結果より明らかなように、化合物1(Sasanquasaponin I)、化合物2(Sasanquasaponin II)、化合物3(Sasanquasaponin III)及び化合物5(Sasanquasaponin V)に有意な抑制活性が認められた。その活性は、医薬品であるtranilastやketotifen fumarateよりも強い。一方、化合物4(Sasanquasaponin IV)には活性は認められなかった。
Figure 2012051852
実施例8 サポニン成分のヒト線維芽細胞増殖促進作用
実施例1で得られたサザンカ花部のMeOH抽出エキス、及び実施例6で得られた化合物1〜5について、次に示す方法によりヒト線維芽細胞増殖促進作用の検討を行った。その結果を表9に示すが、表9より明らかなように、MeOH抽出エキス及び化合物1〜5(Sasanquasaponin I〜V)にヒト線維芽細胞増殖促進作用が認められた。中でも、MeOH抽出エキス及び化合物1、2、3(Sasanquasaponin I、II、III)は、有意なヒト線維芽細胞増殖促進作用を示しており、特に、MeOH抽出エキス及び化合物1、2(Sasanquasaponin I、III)は優れたヒト線維芽細胞増殖促進作用を示している。
[ヒト線維芽細胞増殖促進作用の測定]
ヒト新生児線維芽細胞(NB1RGB,TOYOBO)5x10個/mL in D−MEM[10%FBS,penicillin(100units/mL),streptomycin(100μg/mL),amphotericinB(0.25mg/mL)]を96穴プレートに100μLずつ播種した(5×10cells/well)。
サザンカ花部の抽出エキス及び被験物質は、DMSOに溶解後、D−MEMで1000倍に希釈し、100μLの被験体を添加後、COインキュベーターで培養を開始した。44時間後,PBSで2回洗浄後,D−MEM100μL及びMTT試薬(3−(4,5−dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide 5 mg/mL PBS)を10μL加え,4時間培養した後、0.04NHCl含有2−propanol 100μLで溶解し、マイクロプレートリーダーSH−1000(コロナ電気)によりO.D.を測定した(測定波長570nm、参照波長655nm)。
このようにして得たO.D.測定値の「平均値±標準誤差」を表9に示した。又、Control群のO.D.を100にしたときの、各O.D.の比(%:相対値)を表9の相対値(%)の欄に示した。
Figure 2012051852
表9の結果より明らかなように、MeOH抽出エキス、化合物1〜5にヒト線維芽細胞増殖促進作用が認められ、中でもMeOH抽出エキス、化合物1〜3に有意な効果が認められる。

Claims (9)

  1. サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤。
  2. サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とする脂肪分解阻害剤。
  3. サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とする抗酸化剤。
  4. サザンカ花部、及び/又は、サザンカ花部の抽出液を活性成分として含むことを特徴とするヒト線維芽細胞増殖促進剤。
  5. 下記式(1)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    下記式(2)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    下記式(3)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    及び、下記式(5)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    からなる群より選ばれる1種以上のサポニン化合物を、活性成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤。
  6. 下記式(1)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    下記式(2)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    下記式(3)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    下記式(4)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    及び、下記式(5)で表されるサポニン化合物:
    Figure 2012051852

    からなる群より選ばれる1種以上のサポニン化合物を、活性成分として含むことを特徴とするヒト線維芽細胞増殖促進剤。
  7. 下記の式(2)で表されるサポニン化合物。
    Figure 2012051852
  8. 下記の式(4)で表されるサポニン化合物。
    Figure 2012051852
  9. 下記の式(5)で表されるサポニン化合物。
    Figure 2012051852
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