JP2012051214A - 中間転写媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱転写シートの色材が転写された受容層を被転写体へ転写する際の箔切れ性が良好で、かつ耐久性の高い印画物を簡単に得ることができる中間転写媒体を提供する。
【解決手段】基材1と、該基材の一方の面に少なくとも保護層4、及び受容層5が積層されてなる中間転写媒体10であって、保護層は、バインダー樹脂とフィラーとを含有しており、フィラーの粒径分布は、ピークを二ヶ所以上有し、一のピークを有する粒径が10nm以上50nm以下であり、他の一のピークを有する粒径が70nm以上250nm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写媒体に関し、特には、熱転写シートの色材が転写された受容層を、被転写体へ転写する際の箔切れ性が良好で、かつ耐久性の高い印画物を簡単に得ることができる中間転写媒体に関する。
従来、簡便な印刷方法として熱転写方法が広く使用されるようになってきた。熱転写方法は、基材シートの一方の面に色材層が設けられた中間転写媒体と、必要に応じて画像受容層が設けられた熱転写受像シートを重ね合わせ、サーマルヘッド等の加熱手段により中間転写媒体の背面を画像状に加熱して、色材層に含まれる色材を選択的に移行させて、熱転写受像シート上に画像を形成する方法である。
熱転写方法は、溶融転写方式と昇華転写方式に分けられる。溶融転写方式は顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融インキ層をPETフィルム等の基材シートに担持させた中間転写媒体を用い、サーマルヘッド等の加熱手段に画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート等の熱転写受像シート上に、色材をバインダーと共に転写する画像形成方法である。溶融転写方式による画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字等の2値画像の記録に適している。
一方、昇華転写方式は主に昇華により熱移行する染料を樹脂バインダー中に溶解或いは分散させた染料層をPETフィルム等の基材シートに担持させた中間転写媒体を用い、サーマルヘッド等の加熱手段に画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチック等の基材シート上に(必要に応じて染料受容層を設けてなる熱転写受像シート上に)、染料のみを転写移行させる画像形成方法である。昇華転写方式は、印加されるエネルギー量に応じて染料の移行量を制御できるため、サーマルヘッドのドット毎に画像濃度を制御した階調画像の形成を行なうことができる。また、使用する色材が染料であるため、形成される画像には透明性があり、異なる色の染料を重ねた場合の中間色の再現性が優れている。したがって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の異なる色の中間転写媒体を用い、熱転写受像シート上に各色染料を重ねて転写する際にも、中間色の再現性に優れた高画質な写真調フルカラー画像の形成が可能である。
マルチメディアに関連した様々なハード及びソフトの発達により、この熱転写方法は、コンピューターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてCD−ROMその他に代表されるデジタル画像及びビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。この熱転写方法による熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたっている。代表的なものとしては、印刷の校正刷り、画像の出力、CAD/CAMなどの設計およびデザインなどの出力、CTスキャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真などの出力、さらに遊園地、ゲームセンター、博物館、水族館などのアミューズメント施設における合成写真、記念写真としての用途などをあげることができる。
上記の熱転写受像シートの用途の多様化に伴い、任意の対象物に熱転写画像を形成する要求が高まっている。通常は、熱転写画像を形成する対象物として、基材上に受容層を設けた専用の熱転写受像シートを用いているが、この場合には、基材等に制約が生ずることとなる。このような状況下、特許文献1に示される受容層が基材上に剥離可能に設けられた中間転写媒体が提案されている。この中間転写媒体によれば、染料層を有する中間転写媒体を用いて、受容層に染料を転写して画像を形成し、その後に中間転写媒体を加熱して、受容層を任意の被転写体上に転写することができ、被転写体に制約を受けることがなく熱転写画像の形成が可能となる。
しかしながら、上記の中間転写媒体を用いて形成された熱転写画像は、最表面が画像が形成された受容層であることから耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性に欠ける弱点がある。そこで、近時、特許文献2に示されるように、基材上に、剥離層、保護層、受容層兼接着層が設けられた中間転写媒体が提案されている。この中間転写媒体によれば、熱転写画像の表面に保護層が形成されることから、熱転写画像に耐久性を付与することができる。
特開昭62−238791号公報 特開2004−351656号公報
しかしながら、特許文献2で提案される中間転写媒体は、保護層の箔切れ性が悪く、画像が形成された中間転写媒体を、被転写体上に転写する際、尾引きの発生や、転写部分の端部で転写不良が生じることとなる。一方、箔切れ性を向上させるために、保護層の膜厚を下げることも考えられるが、保護層の膜厚を下げた場合には、耐久性が低下してしまう問題が生ずることとなる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、熱転写シートの色材が転写された受容層を、被転写体へ転写する際の箔切れ性が良好で、かつ耐久性の高い印画物を簡単に得ることができる中間転写媒体を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材と、該基材の一方の面に少なくとも保護層、及び受容層が積層されてなる中間転写媒体であって、前記保護層は、バインダー樹脂とフィラーとを含有しており、前記フィラーの粒径分布は、ピークを二ヶ所以上有し、一のピークを有する粒径が10nm以上50nm以下であり、他の一のピークを有する粒径が70nm以上250nm以下であることを特徴とする。
また、前記一のピークを有するフィラーと、前記他の一のピークを有するフィラーとの合計質量が、前記保護層の全質量の10質量%以上50質量%以下であってもよい。
また、前記一のピークを有するフィラーと、前記他の一のピークを有するフィラーとの質量比が、3:1〜1:3の範囲内であってもよい。
本発明によれば、熱転写シートの色材が転写された受容層を、被転写体へ転写する際の箔切れ性が良好で、かつ耐久性の高い印画物を簡単に得ることができる。
本願発明の中間転写媒体の層構成を示す概略断面図である。
以下に、本発明の中間転写媒体10について図面を用いて具体的に説明する。図1に示すように本発明の中間転写媒体10は、基材1と、該基材1の一方の面(図1に示す場合にあっては基材1の上面)に形成される保護層4、及び受容層5とから構成される。また、保護層4と受容層5とは熱転写時に被転写体に転写される構成をとる。本発明において、熱転写時に被転写体に転写される層(図1に示す場合にあっては、剥離層3、保護層4、受容層5)を転写層2という場合がある。
ここで、本発明は、保護層4が、バインダー樹脂とフィラーとを含有しており、フィラーの粒径分布は、ピークを二ヶ所以上有し、一のピークを有する粒径が10nm以上50nmであり、他の一のピークを有する粒径が70nm以上250nm以下であることを特徴とする。以下、本発明について更に具体的に説明する。
(基材)
基材1は本発明の中間転写媒体10における必須の構成であり、剥離層3を保持するために設けられる。基材1について特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。基材1の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
(転写層)
図1に示すように基材1上には、熱転写時に基材1から剥離可能に設けられた転写層2が形成されている。この転写層2は、少なくとも本発明の中間転写媒体10における必須の構成である保護層4と受容層5とから構成されている。そして、この転写層2は熱転写時に基材1から剥離され、被転写体に転写される。
(保護層)
転写層2を構成する保護層4は、バインダー樹脂とフィラーとを含有する。そして、本発明は、保護層4に含有されるフィラーの粒径分布が、ピークを二ヶ所以上有し、一のピークを有する粒径が10nm以上50nm以下であり、他の一のピークを有する粒径が70nm以上250nm以下であることを特徴とする。なお、本発明のフィラーの粒径は、BET法により求められた粒径である。以下、粒径分布が、10nm以上50nm以下のピークのフィラーを第1ピークのフィラーといい、粒径分布が、70nm以上250nm以下のピークのフィラーを第2ピークのフィラーという場合がある。
本発明は、第1ピークのフィラーを保護層4に含有させることで、保護層4を粗面化させ、これにより保護層4の「箔切れ性」を向上させている。ここで、保護層4に、第1ピークのフィラーのみが含有されている場合には、保護層4の「箔切れ性」は向上するものの、保護層4の粗面化が進行し、保護層4の「耐久性」が低下することとなる。そこで、本発明は、第1ピークのフィラーに加え、第2ピークのフィラーを含有させることで保護層4に優れた「耐久性」を付与している。つまり、本発明は、「箔切れ性」を向上させることができる一方で「耐久性」が低下する第1ピークのフィラーと、第1ピークのフィラーに対して「箔切れ性」は低下するものの、「耐久性」を向上させることができる第2ピークのフィラーとを組合せることで、「箔切れ性」と「耐久性」に優れた保護層とすることができる。
さらに、本発明の第1ピークのフィラー、及び第2ピークのフィラーはともに、ナノオーダーの粒子であることから、これらのフィラーを保護層の全体に分布させることができ、透明性の高い保護層とすることができる。
(フィラー)
保護層4に含有されるフィラーは、上記で説明したように、粒径分布が、ピークを二ヶ所以上有し、一のピークを有する粒径が10nm以上50nm以下であり、他の一のピークを有する粒径が70nm以上250nm以下であることの条件を満たせば、他の要件について特に限定はなく、従来公知のフィラーを適宜選択して用いることができる。特に本発明においては、上記フィラーとして粒径がナノオーダーであるシリカゾルを好適に使用することができる。
また、第1ピークのフィラーと、第2ピークのフィラーとは、同一の物質であってもよく、異なる物質であってもよい。
(バインダー樹脂)
保護層4に含有されるバインダー樹脂について特に限定はなく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂等が使用可能である。
また、電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層4は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている点で保護層4のバインダー樹脂として好適に用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては特に限定されることはなく、従来公知の電離放射線硬化性樹脂の中から適宜選択して用いることができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを用いることができる。紫外線吸収性樹脂を含有する保護層4は、印画物に耐光性を付与することに優れている。
紫外線吸収性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものが挙げられる。
保護層4に含有される第1ピークのフィラーと、第2ピークのフィラーの含有量について特に限定はないが、第1ピークのフィラーと第2ピークのフィラーとの合計質量が、保護層の全質量の10質量%未満である場合には、「箔切れ性」と「耐久性」を所望の程度まで向上させることができなくなる虞がある。一方、第1ピークのフィラーと第2ピークのフィラーとの合計質量が、保護層の全質量の50質量%より多い場合には、その分バインダー樹脂の含有量が減少し、保護層としての機能を発揮しえなくなる虞が生じうる。このような点を考慮すると、第1ピークのフィラーと第2ピークのフィラーとの合計質量は、保護層の全質量の10質量%〜50質量%であることが好ましい。なお、本発明の保護層の全質量とは、バインダー樹脂と、第1ピークのフィラーと、第2ピークのフィラーとの合計質量をいう。
保護層4に含有される第1ピークのフィラーと、第2ピークのフィラーとの質量比について特に限定はなく、保護層4の厚さや、求められる耐久性等に応じて適宜設定することができる。一方で、第1ピークのフィラーと第2ピークのフィラーとの質量比が3:1〜1:3の範囲外である場合には、「箔切れ性」、「耐久性」の要求を同時に満たすことができなくなる虞が生じうる。この点を考慮すると、第1ピークのフィラーと第2ピークのフィラーとの質量比が3:1〜1:3の範囲内であることが好ましい。
本発明の保護層4の厚みについて特に限定はなく、2〜15μm程度の厚みのものを好適に用いることができる。特に、本発明の保護層4は、上記で説明したように「箔切れ性」がよく、また、「耐久性」に優れることから、保護層4の厚みが、例えば15μm程度と厚い場合であっても、転写層2の転写時に尾引き等が発生することがない。また、保護層4の厚みが、例えば2μm程度と薄い場合であっても、優れた耐久性を付与することができる。
保護層4の形成方法としては、上記に例示されるバインダー樹脂の1種または2種以上と、第1ピークのフィラーと、第2ピークのフィラーとを適当な溶剤により、溶解または分散させて保護層用塗工液を調製し、これを基材1(必要に応じて基材1上に設けられた剥離層)上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の従来公知の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
(受容層)
図1に示すように、保護層4上には転写層2を構成する受容層5が設けられている。この受容層上には、熱転写によって、色材層を有する熱転写シートから熱転写法によって画像が形成される。そして、画像が形成された中間転写媒体の転写層2は、被転写体上に転写され、その結果、印画物が形成される。このため、受容層5を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
受容層5が接着層を介して被転写体に転写される場合には、受容層5自体の接着性は必ずしも要求されない。しかし、受容層5が接着層を介さないで被転写体に転写される場合には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの接着性を有する樹脂材料を用いて受容層5を形成することが好ましい。
受容層5は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で1〜10g/m2程度である。
(剥離層)
基材1からの転写層2の剥離性を向上させるために、基材1と保護層4との間に剥離層3を形成することとしてもよい。剥離層3を形成する樹脂としては、従来公知の離型性樹脂であれば特に限定されることはなく、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。また、剥離層3は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また剥離層3は、離型性樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。なお、剥離層3は、転写時に被転写体側へ移行してもよく、基材1側に残ることとしてもよく、また剥離層3の厚みは0.5〜5μm程度が一般的である。剥離層3の形成方法としては、上記樹脂を適当な溶剤により、溶解または分散させて剥離層3用塗工液を調製し、これを基材1上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の従来公知の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
(被転写体)
被転写体上には、上述した中間転写媒体の熱転写画像の形成された転写層2が転写され、その結果、各種耐久性に優れた熱転写画像を有する印画物が得られる。本発明の中間転写媒体が適用される被転写体は特に限定されず、例えば天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよい。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)を用い、該基材上に下記組成の剥離層形成用塗工液を乾燥状態で1.0g/m2の厚さとなるように塗工し剥離層を形成した。次いで、剥離層上に下記組成の保護層形成用塗工液1を、乾燥状態で4μmの厚さとなるように塗工し保護層を形成した。更に該保護層の上に下記組成の受容層形成用塗工液を、乾燥状態で2.0g/m2の厚さとなるように塗工し受容層を形成して実施例1の中間転写媒体を得た。なお、上記の剥離層形成用塗工液、保護層形成用塗工液1、受容層形成用塗工液は、全てグラビアコーティングにて塗工した。
<剥離層形成用塗工液>
・アクリル樹脂 95部
(BR−87、三菱レイヨン(株)製)
・ポリエステル樹脂 5部
(バイロン200、東洋紡(株)製)
・トルエン 200部
・MEK 200部
<保護層形成用塗工液1>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 15部
(MEK−ST 粒径10−15nm(日産化学(株)製))
・シリカゾル 15部
(MEK−ST−ZL 粒径70−100nm(日産化学(株)製))
・MEK 400部
<受容層形成用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 95部
(CNL、日信化学工業(株)製)
・エポキシ変性シリコーンオイル 5部
(KP−1800U、信越化学工業(株)製)
・トルエン 200部
・MEK 200部
(実施例2)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液2>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 15部
(MEK−ST−L 粒径40−50nm(日産化学(株)製))
・シリカゾル 15部
(MEK−ST−ZL 粒径70−100nm(日産化学(株)製))
・MEK 400部
(実施例3)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液3に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液3>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 15部
(MEK−ST 粒径10−15nm (日産化学(株)製))
・シリカゾル 15部
(粒径200nm)
・MEK 400部
(実施例4)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液4に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液4>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 15部
(MEK−ST−L 粒径40−50nm(日産化学(株)製))
・シリカゾル 15部
(粒径200nm)
・MEK 400部
(実施例5)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液5に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液5>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 25部
(MEK−ST 粒径10−15nm (日産化学(株)製))
・シリカゾル 25部
(粒径200nm)
・MEK 400部
(実施例6)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液6に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液6>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 5部
(MEK−ST 粒径10−15nm (日産化学(株)製))
・シリカゾル 5部
(粒径200nm)
・MEK 400部
(実施例7)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液7に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例7の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液7>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 22.5部
(MEK−ST 粒径10−15nm (日産化学(株)製))
・シリカゾル 7.5部
(粒径200nm)
・MEK 400部
(実施例8)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液8に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例8の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液8>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 7.5部
(MEK−ST 粒径10−15nm (日産化学(株)製))
・シリカゾル 22.5部
(粒径200nm)
・MEK 400部
(実施例9)
基材として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)を用い、該基材上に上記組成の保護層形成用塗工液3を、乾燥状態で4μmの厚さとなるように塗工し剥離層兼保護層を形成した。更に該剥離層兼保護層の上に上記組成の受容層形成用塗工液を、乾燥状態で2.0g/m2の厚さとなるように塗工し受容層を形成して実施例9の中間転写媒体を得た。なお、上記の剥離層形成用塗工液、保護層形成用塗工液1、受容層形成用塗工液は、全てグラビアコーティングにて塗工した。
(実施例10)
保護層形成用塗工液1を上記組成の保護層形成用塗工液4に変更した以外は、全て実施例9と同様にして実施例10の中間転写媒体を得た。
(比較例1)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液9に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液9>
・アクリル樹脂 100部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・MEK 400部
(比較例2)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液10に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液10>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 30部
(MEK−ST 粒径10−15nm (日産化学(株)製))
・MEK 400部
(比較例3)
保護層形成用塗工液1を下記組成の保護層形成用塗工液11に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例3の中間転写媒体を得た。
<保護層形成用塗工液11>
・アクリル樹脂 70部
(BR−80(三菱レイヨン(株)製))
・シリカゾル 30部
(粒径200nm)
・MEK 400部
<<耐久性(Taber試験)>>
HDP−600プリンタ(HID社製)を用いて、塩ビカード(DNP社製)上に、実施例1〜8、比較例1〜3の中間転写媒体を重ね合わせ転写層(剥離層、保護層、受容層)を転写して実施例1〜8、比較例1〜3の印画物を形成した。この印画物に磨耗輪CS−10Fを用い,荷重500gfで250回毎に磨耗輪を研磨し、合計500回研磨した。研磨後に表面の状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価を行った。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
◎・・・画像が全く削られていない。
○・・・画像がほぼ削られていない。
△・・・画像がある程度削られているが使用上問題なし。
×・・・画像がかなり削られている。
<<尾引き(箔切れ性)試験>>
実施例1〜8、比較例1〜3の印画物の尾引き(箔切れ性)の確認を目視にて行い、以下の評価基準で評価を行った。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
◎・・・尾引きが生じない(1mm以下)。
○・・・尾引きがほとんど生じない(2mm以下)。
△・・・尾引きが多少生じるが使用上問題なし(2−5mm程度)。
×・・・尾引きがかなり生じる(5−10mm程度)。
××・・・尾引きがかなり生じる(10mm以上)
Figure 2012051214
表1から明らかなように、二ヶ所以上のピークを有し、このうち1のピークの粒径が10nm以上50nm以下であり、他の一のピークの粒径が70nm以上250nm以下のフィラーを含有する実施例は、箔切れ性が良好で、かつ耐久性が高いことがわかる。一方、フィラーを含有しない比較例1、ピークの粒径が70nm以上250nm以下のフィラーのみを含有する比較例3は、箔切れ性が悪い。また、ピークの粒径が10nm以上50nm以下のフィラーのみを含有する比較例2は、耐久性に劣る。以上より、ピークの粒径が10nm以上50nm以下のフィラーと、70nm以上250nm以下のフィラーとを含有する本発明の優位性が明らかとなった。
1…基材
2…転写層
3…剥離層
4…保護層
5…受容層
10…中間転写媒体

Claims (3)

  1. 基材と、該基材の一方の面に少なくとも保護層、及び受容層が積層されてなる中間転写媒体であって、
    前記保護層は、バインダー樹脂とフィラーとを含有しており、
    前記フィラーの粒径分布は、ピークを二ヶ所以上有し、一のピークを有する粒径が10nm以上50nm以下であり、他の一のピークを有する粒径が70nm以上250nm以下であることを特徴とする中間転写媒体。
  2. 前記一のピークを有するフィラーと、前記他の一のピークを有するフィラーとの合計質量が、前記保護層の全質量の10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写媒体。
  3. 前記一のピークを有するフィラーと、前記他の一のピークを有するフィラーとの質量比が、3:1〜1:3の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写媒体。
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