JP2012051172A - 機能性フィルムおよび機能性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機層のうち、基板上に直接形成される第1の有機層の厚さが他の有機層以上の厚さであり、最上層の有機層の厚さが他の有機層以下の厚さであり、かつ、全ての有機層が全ての無機層よりも厚いことで上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
このようなガスバリアフィルムに成膜されるガスバリア性を発現する膜としては、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の各種の無機物(無機化合物)からなる膜が知られている。
また、ガスバリア性を向上させるには無機膜の下地となる有機膜を厚くして、平滑性を向上させることが好ましいが、有機膜を厚くしすぎると割れ等が発生してしまう。
また、前記第1の有機層の厚みが500〜3000nmで、前記最上層の有機層の厚みが80〜1000nmであることが好ましい。
また、前記最上層の有機層は他の有機層よりも屈折率が低いことが好ましい。
また、前記第1の有機層と前記最上層の有機層とが異なる材料で構成されていることが好ましい。
また、前記有機層を塗布方式によって形成することが好ましい。
また、前記第1の有機層を形成する材料を塗布する際の、前記第1の有機層の形成材料の粘度が10cP以下であることが好ましい。
また、前記最上層の有機層を形成する材料を塗布する際の、前記最上層の有機層の形成材料の粘度が5cP以下であることが好ましい。
また、前記最上層の有機層は他の有機層よりも屈折率が低いことが好ましい。
図1に示すように、本発明の機能性フィルムは、基板B0の表面に、ポリマーを主成分とする第1の有機層12を成膜(形成)し、この第1の有機層12の上に真空成膜法によって無機層14を成膜し、この無機層14の上に、第1の有機層12よりも厚さが薄い最上層の有機層16を成膜(形成)した機能性フィルム10である。
また、最上層の有機層16は、基本的に、無機層14を保護するための保護層である。
本発明の機能性フィルムの製造方法は、図2(A)に示す有機成膜装置20と、図2(B)に示す無機成膜装置22とによって実施される。
有機成膜装置20は、長尺な基板フィルムB0(フィルム原反 以下、基板B0とする)を長手方向に搬送しつつ、この基板B0の表面に第1の有機層12を成膜(第1の有機層12を形成)する。
他方、無機成膜装置22は、表面に第1の有機層12を成膜された基板B0を長手方向に搬送しつつ、第1の有機層12の上に、無機層14を成膜する。
さらに、有機成膜装置20は、第1の有機層12と無機層14が成膜された基板B0を、長手方向に搬送しつつ、無機層14の上に、最上層の有機層16を成膜する。
図2に示す装置においては、これにより、図1に示すような、本発明の機能性フィルム10を製造する。
また、有機成膜装置20は、最上層の有機層16となるモノマー(モノマー混合物)を含む塗料を第1の有機層12と無機層14とが成膜された基板Bm2(以下、単に「基板Bm2」ともいう)に塗布/乾燥して、モノマーを重合させることにより、基板Bm2の表面に最上層の有機層16を成膜し、本発明の機能性フィルムを完成する装置でもある。
図示例において、有機成膜装置20は、塗布手段26と、乾燥手段28と、UV照射装置30と、回転軸32と、巻取り軸34と、搬送ローラ対36および38とを有する。
なお、以下の説明において、基板B0と基板Bm2とを区別する必要がない場合には、単に「基板B」とする。同様に、第1の有機層12と最上層の有機層16と区別する必要がない場合には、単に「有機層」とする。
回転軸32に基板ロール40が装填されると、基板Bは、基板ロール40から、搬送ローラ対36を経て、塗布手段26、乾燥手段28およびUV照射装置30の下部を通過して、搬送ローラ対38を経て、巻取り軸34に至る、所定の搬送経路を通される(送通される)。有機成膜装置20においては、基板ロール40からの基板Bの送り出しと、巻取り軸34における基板Bの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Bを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、基板Bに有機層(第1の有機層12および最上層の有機層16)の成膜を連続的に行う。
また、基板B0は、表面に、保護膜や接着膜など、各種の膜が形成されているものであってもよい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの、プラスチック(高分子材料)からなるプラスチックフィルムが、基板B0の好適な一例として例示される。
また、基板B0は、前述のようなプラスチックフィルムなどの表面(第1の有機層12の形成面)に、保護層、接着層、光反射層、反射防止層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているものであってもよい。
有機膜は、具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸-マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他の有機珪素化合物の膜が好適に例示される。
中でも、ガスバリア性に効く平滑性、耐熱性の観点から、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物の重合物から構成された有機層は、好適であり、特に、アクリレートおよび/またはメタクリレートモノマーの重合体を主成分とするアクリル樹脂あるいはメタクリル樹脂は、好適に例示される。
このような有機成膜装置20においては、塗布手段26によって、予め調製した前記モノマー混合物を含む塗料を基板Bに塗布し、乾燥して、重合することにより、有機膜を成膜する。
塗料の塗布方法には、特に限定はなく、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等の公知の方法が、全て利用可能である。
塗料の乾燥方法には、特に限定はなく、ヒータによる加熱乾燥、温風による加熱乾燥等、基板Bの搬送速度等に応じて、UV照射装置30に至る前に、塗料を乾燥可能なものであれば、公知の乾燥手段が全て利用可能である。
真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。中でも特に、米国特許4842893号、同4954371号、同5032461号の各明細書に記載のフラッシュ蒸着法が好ましい。フラッシュ蒸着法はモノマー中の溶存酸素を低下させる効果を有し、重合率を高めることができるため特に有用である。
本発明においてはポリマーを溶液塗布しても良いし、特開2000−323273号、同2004−25732号の各公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。また、ポリマーの前駆体(例えば、モノマー)を成膜後、重合することによりポリマー層を形成させても良い。さらに、第1の有機層12は、市販の重合性接着剤を塗布、硬化させて形成することもできる。
また、最上層の有機層16は、無機層14を保護するための保護層としての役割を有するものであり、無機層の下地となるものではないため、表面の平滑性を向上させるために厚く形成する必要もない。
また、有機層を厚くしすぎると割れが発生するおそれがあるが、厚くする必要がない最上層の有機層16を薄くすることにより、割れが発生することを防止している。
前述のとおり、無機層は、凹凸を包埋し平滑な表面を有する有機層上に形成されるので、厚く形成して欠陥が生じることを防止する必要がない。そのため、無機層を薄く形成しても、欠陥が生じることがなく、十分なガスバリア性を実現できる。
また、全ての有機層は、全ての無機層よりも厚くなるように形成することにより、保護性を得ることができ、耐衝撃性等を向上させることができる点で好ましい。また、有機層は無機層に比べ生産性が高いので、厚い有機層を付与しても生産上の律速にはならない。
最上層の有機層16は、機能性フィルム10において、空気との界面である。この最上層の有機層16と空気との屈折率差が大きいと、界面での反射率が大きくなって透過率が低下する。したがって、最上層の有機層16は、他の有機層よりも屈折率が低くなるように形成することにより、最上層の有機層16と空気との界面での反射率の増大を防止し、透過率の低下を防止することができる。
また、最上層の有機層16以外の有機層、本実施例においては、第1の有機層12の屈折率は、1.45〜1.72とすることが好ましい。最上層の有機層16以外の有機層の屈折率をこの範囲とすることにより、無機層との界面での反射率の増大を防止し、透過率の低下を防止することができる。
ここで、基板B0上に第1の有機層12を形成した際には、基板B0上に第1の有機層12が形成された基板By1(以下、単に「基板By1」ともいう)としてロール状に巻き取られて基板ロール42とされ、次いで、無機成膜装置22(その供給室50)に供給される。
一方、基板Bm2上に最上層の有機層16を形成した際には、巻取り軸34によってロール状に巻回され機能性フィルムロールとして、次の工程に供される。
無機成膜装置22も、有機成膜装置20と同様に、ロール・ツー・ロールによる成膜を行なう装置で、基板ロール42から基板By1を送り出し、長手方向に搬送しつつ無機層14を成膜して、第1の有機層12と無機層14とを成膜した基板Bm2を巻取り軸58によってロール状に巻き取る。
無機成膜装置22において、基板B0に第1の有機層12を成膜してなる基板By1を巻回した基板ロール42は、供給室50の回転軸56に装填される。
回転軸56に基板ロール42が装填されると、基板By1は、供給室50から、成膜室52を通り、巻取り室54の巻取り軸58に至る所定の搬送経路を通される(送通される)。無機成膜装置22においても、基板ロール42からの基板By1の送り出しと、巻取り軸56における基板Bm2の巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板By1を所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室52において、基板By1に無機層14の成膜を連続的に行なう。
また、供給室50には、真空排気手段61が配置され、供給室50内を、成膜室52における成膜圧力に応じた所定の真空度(圧力)に減圧する。これにより、供給室50の圧力が、成膜室52の圧力(成膜)に悪影響を与えることを防止する。なお、真空排気手段61は、後述する成膜室52の真空排気手段74と同様、公知の物を用いればよい。
成膜室52は、基板By1の表面(すなわち第1の有機層12の表面)に、真空成膜法によって無機層14を成膜(形成)するものである。図示例において、成膜室52は、ドラム62と、成膜手段64と、ガイドローラ68と、ガイドローラ72と、真空排気手段74とを有する。
なお、成膜室52が、スパッタリングやプラズマCVD等による成膜をおこなうものである場合には、成膜室52には、さらに、高周波電源やガス導入手段等も設置される。
なお、図示例の無機成膜装置22は、好ましい態様として、供給室50および巻取り室54にも真空排気手段を設け、成膜室52における成膜圧力に応じて、供給室50および巻取り室54も真空とするが、本発明を実施する装置は、これに限定はされない。
例えば、供給室50および巻取り室54には、真空排気手段を設けずに、基板By1が通過するスリットを、基板By1に接触することなく、かつ、基板By1が通過可能な最小限のサイズとすることにより、成膜室52を略気密に構成してもよい。あるいは、供給室50および巻取り室54には、真空排気手段を設けずに、供給室50および巻取り室54と、成膜室52との間に、基板By1が通過するサブチャンバを設け、このサブチャンバ内を真空ポンプによって真空にしてもよい。
供給室50から供給され、ガイドローラ68によって所定の経路に案内され、ドラム62の所定位置に巻き掛けられた基板By1は、ドラム62の周面の所定領域に掛け回されて、ドラム62に支持/案内されつつ、所定の搬送経路を搬送され、成膜手段64によって、表面(第1の有機層12の上)に、無機層14を形成される。また、成膜室52が、スパッタリングやプラズマCVD等による成膜をおこなうものである場合には、ドラム62は、対向電極としても作用するように、接地(アース)されてもよく、あるいは高周波電源に接続されてもよい。さらに、ドラム62は、冷却手段等の温度調節手段を内蔵してもよい。
ここで、本発明の製造方法においては、無機層14の成膜方法には、特に限定は無く、CVD、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等、公知の真空成膜法(気相堆積法)が、全て、利用可能である。
例えば、成膜室52がICP−CVD法(誘導結合型プラズマCVD)によって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、誘導磁場を形成するための誘導コイルや、成膜領域に反応ガスを供給するためのガス供給手段等を有して構成される。
成膜室52が、CCP−CVD法(容量結合型プラズマCVD)によって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、中空状でドラム62に対向する面に多数の小孔を有し反応ガスの供給源に連結される、高周波電極および反応ガス供給手段として作用するシャワー電極等を有して構成される。
成膜室52が、CVD法によって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、ガスの供給手段等を有して構成される。
さらに、成膜室52が、スパッタリングによって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、ターゲットの保持手段や高周波電極、ガスの供給手段等を有して構成される。
真空排気手段74にも、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。
特に、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウムは、より好適なガスバリア性を発現できる点で、機能性フィルムの無機層として、好適に例示される。
前述のとおり、本発明において、無機層は、凹凸を包埋し平滑な表面を有する有機層上に形成されるので、厚く形成して欠陥が生じることを防止する必要がない。そのため、無機層を薄く形成しても、欠陥が生じることがなく、十分なガスバリア性を実現できる。
巻取り室54に搬送されたBm2は、ガイドローラ80に案内されて巻取り軸58に搬送され、巻取り軸58によってロール状に巻回され基板Bm2として、次の工程に供される。また、先の供給室50と同様、巻取り室54にも真空排気手段82が配置され、成膜中は、巻取り室54も、成膜室52における成膜圧力に応じた真空度に減圧される。なお、真空排気手段82も、成膜室52の真空排気手段74と同様、公知の物を用いればよい。
また、第1の有機層12と最上層の有機層16とを同じ成膜方法で形成したが、本発明は、これに限定はされず、第1の有機層12と最上層の有機層16とをそれぞれ異なる成膜方法で形成してもよい。例えば、第1の有機層をフラッシュ蒸着法により形成し、最上層の有機層を塗布により形成してもよい。
なお、図3(A)および(B)に示す機能性フィルム110および120は、図1に示す機能性フィルム10において、更に、第2の有機層112と無機層14とを有する以外は、同じ構成を有するので、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明は異なる部位を主に行う。
有機成膜装置20による第2の有機膜112の成膜方法は、基本的に第1の有機層12および最上層の有機層16と同様である。
第2の有機層112の厚さを最上層の有機層16以上の厚さとすることにより、基板Bm2の凹凸を包埋し平滑性を向上させることができ、この第2の有機層112上に形成される無機層14に欠陥が発生することを防止でき、ガスバリア性を向上させることができる。ここで、第2の有機層112は、基板B0に比べて凹凸の少ない無機層14上に形成されるので、基板B0上に形成される第1の有機層12以下の厚さとしても、十分に基板Bm2の凹凸を包埋し、平滑性を向上させることができる。また、第2の有機層112の厚さを第1の有機層12以下の厚さとすることにより、割れが発生することを防止でき、また、透過率が低下することを防止することができる。
このように、第2の有機膜112および無機層14を重ねて7層以上の層構成を有する機能性フィルムとすることもできる。
実施例1として、図1に示すような3層構成の機能性フィルムを作成した。
基板B0として、幅が1000mmで厚さが100μmの長尺なPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)を用いた。
第1の有機層12を成膜するための塗料としては、アクリレート系モノマー(日本化薬社製、TMPTA) 200g、光重合開始剤(長瀬産業社製、Irg907) 20g、有機溶剤(MEK) 1700gの割合で混合した混合溶液を用いた。さらに、混合溶媒に酸化チタンの分散液(JSR社製)を5g(MEK10%分散)を混ぜ、屈折率を調整した。
塗布手段26は、ダイコータを用い、塗料の液厚が10μmとなるように塗布を制御した。乾燥手段28は、100度の温風による乾燥手段を用いて塗料を乾燥した。さらに、UV照射装置30は、紫外線照射装置を用いた。UV照射装置は、紫外線の照射量が積算照射量で約500mJ/cm2となるように、光量を制御した。得られた第1の有機層12の膜厚は、1000nmであった。また、第1の有機層12の屈折率を測定したところ、1.60であった。
成膜室52は、反応性スパッタリングによる成膜装置とした。ターゲットとして金属アルミニウムを、プロセスガスとして酸素ガスおよびアルゴンガスを用いた。
次いで、真空排気手段74を駆動して、成膜室52の排気を開始し、圧力が5×10−4Paとなった時点で、成膜室52へのプロセスガスの導入を開始し、さらに真空排気手段74による排気を制御して、成膜室52内の圧力を1×10−3Paとした。また、成膜室52の排気開始と同じに、供給室50および巻取り室54も、真空排気手段61および82を駆動して排気を行い、内部の圧力を5×10−4Paに制御した。
成膜室52へのガス導入開始と同時に、基板By1の搬送を開始し、各室の圧力が5×10−4Paで安定した時点で、成膜手段64のカソードへの電力供給を開始して、基板By1(第1の有機層12の表面)に、反応性スパッタリングによる無機層14(酸化アルミニウム膜)の成膜を行なった。また、無機層14の屈折率は、1.68となるように導入する酸素の量で調整した。
最上層の有機層16を成膜するための塗料としては、アクリレート系モノマー(日本化薬社製、TMPTA) 50g、光重合開始剤(長瀬産業社製、Irg907) 20g、有機溶剤(MEK) 1700gの割合で混合した混合溶液を用いた。混合溶媒に酸化チタンの分散液(JSR社製)を5g(MEK10%分散)を混ぜ、屈折率を調整した。
塗布手段26は、ダイコータを用い、塗料の液厚が4μmとなるように塗布を制御した。UV照射装置30は、紫外線の照射量が積算照射量で約500J/cm2となるように、光量を制御した。得られた最上層の有機層16の膜厚は、100nmであった。また、最上層の有機層16の屈折率を測定したところ、1.45であった。
水蒸気透過率が、1.0×10−4g/(m2・day)未満の場合を◎;
1.0×10−4g/(m2・day)以上、2.0×10−4g/(m2・day)未満の場合を○;
2.0×10−4g/(m2・day)以上、1.6×10−3g/(m2・day)未満の場合を△;
1.6×10−3g/(m2・day)以上の場合を×; とした。
測定の結果、水蒸気透過率は、1.5×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。
全光線透過率が、85%以上の場合を○;
85%未満、68%以上の場合を△;
68%未満の場合を×; とした。
測定の結果全光線透過率は、88%で、評価は、「○」であった。
ガスバリア性、透過率ともに、評価「△」以上であれば、実用上問題ない性能である。
第1の有機層12の厚さを150nmとした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.5×10−3g/(m2・day)で、評価は「△」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
第1の有機層12の厚さを3100nmとし、最上層の有機層16の厚さを1000nmとした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、2.4×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、89%で、評価は「○」であった。
第1の有機層12の厚さを500nmとした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.8×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
最上層の有機層16の厚さを500nmとした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.6×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、83%で、評価は「△」であった。
最上層の有機層16の厚さを1000nmとした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.7×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、78%で、評価は「△」であった。
第1の有機層12の厚さを40nmとし、第1の有機層12を無機層14よりも薄くした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、3.5×10−3g/(m2・day)で、評価は「×」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
第1の有機層12の厚さを75nmとし、第1の有機層12を他の有機層、すなわち、最上層の有機層16よりも薄くした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、2.5×10−3g/(m2・day)で、評価は「×」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
最上層の有機層16の厚さを10nmとし、最上層の有機層16を無機層14よりも薄くした以外は、前記実施例11と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、2.1×10−3g/(m2・day)で、評価は「×」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、89%で、評価は「○」であった。
実施例21として、図3(A)に示すような5層構成の機能性フィルムを作製した。
実施例21では、実施例11の機能性フィルムの最上層の有機層16の前に(下層に)、第2の有機層112および無機層14を形成した以外は、実施例11の機能性フィルムと全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、第2の有機層112、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
第2の有機層112を成膜するための塗料としては、アクリレート系モノマー(日本化薬社製、TMPTA) 200g、光重合開始剤(長瀬産業社製、Irg907) 20g、有機溶剤(MEK) 1700gの割合で混合した混合溶液を用いた。さらに、混合溶媒に酸化チタンの分散液(JSR社製)を5g(MEK10%分散)を混ぜ、屈折率を調整した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、8.4×10−5g/(m2・day)で、評価は「◎」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
第2の有機層112の厚さを1000nmとし、最上層の有機層16の厚さを1000nmとした以外は、前記実施例21と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、第2の有機層112、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、7.6×10−5g/(m2・day)で、評価は「◎」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、76%で、評価は「△」であった。
第2の有機層112の厚さを40nmとし、第2の有機層112を無機層14よりも薄くした以外は、前記実施例21と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、第2の有機層112、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、4.5×10−4g/(m2・day)で、評価は「△」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
第2の有機層112の厚さを75nmとし、第2の有機層112を他の有機層、すなわち、最上層の有機層16よりも薄くした以外は、前記実施例21と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、第2の有機層112、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、3.8×10−4g/(m2・day)で、評価は「△」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
第2の有機層112の厚さを2000nmとし、第2の有機層112を第1の有機層よりも厚くした以外は、前記実施例21と全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、第2の有機層112、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、2.1×10−4g/(m2・day)で、評価は「△」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
評価結果を、下記表1に示す。
また、実施例においては、全ての有機層の屈折率を全ての無機層よりも低くしたので、反射率を低減することができ、優れた透過率を実現できた。
なお、第1の有機層の厚さが500nm以下となる実施例12では、ガスバリア性がやや低下した。これは、層の厚さが薄すぎて、平滑性が得られず、無機層のガスバリア性が低下したと考えられる。また、第1の有機層の厚さが3000nm以上となる実施例13では、ガスバリア性がやや低下した。これは、層の厚さが厚すぎて、割れが発生したと考えられる。従って、第1の有機層の厚さは、500〜3000nmが好ましいことが分かる。
また、実施例15および16から、最上層の有機層の厚さが厚くなるほど、透過率が低下することがわかる。従って、最上層の有機層は薄いことが好ましいことがわかる。
これに対して、有機層が無機層よりも薄い比較例11、13、21では、ガスバリア性が低下した。これは、無機層の下地層となる有機層の厚さが薄いため、平滑性が得られず、無機層のガスバリア性が低下したり(比較例11、21)、あるいは、無機層の保護が十分でないため、無機層が割れるなどしてガスバリア性が低下した(比較例13)ものと考えられる。
また、第1の有機層の厚さが、他の有機層よりも薄い比較例12、および、第2の有機層の厚さが、最上層の有機層よりも薄い比較例22では、ガスバリア性が低下した。これは、無機層の下地層となる有機層の厚さが薄いため、平滑性が得られず、無機層のガスバリア性が低下したものと考えられる。また、第2の有機層の厚さが、第1の有機層よりも厚い比較例23では、ガスバリア性が低下していた。これは、第2の有機層が厚くなりすぎて、層に割れが発生したものと考えられる。
[実施例31]
第1の有機層および最上層の有機層の屈折率は、有機層の塗料に混合する酸化チタンの分散液(JSR社製)の比率を変更して、屈折率を調整した。
実施例31では、第1の有機層12の屈折率を、1.64とし、無機層14の屈折率を1.72とし、最上層の有機層16の屈折率を1.45とした以外は、実施例11の機能性フィルムと全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.5×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、88%で、評価は「○」であった。
最上層の有機層16の屈折率を1.60とした以外は、実施例31の機能性フィルムと全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.4×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、79%で、評価は「△」であった。
最上層の有機層16の屈折率を1.64とした以外は、実施例31の機能性フィルムと全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.6×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、74%で、評価は「△」であった。
第1の有機層12の屈折率を1.45とし、最上層の有機層16の屈折率を1.75とした以外は、実施例31の機能性フィルムと全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.5×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、68%で、評価は「△」であった。
第1の有機層12の屈折率を1.45とし、最上層の有機層16の屈折率を1.64とした以外は、実施例31の機能性フィルムと全く同様にして、基板B0の表面に第1の有機層12、無機層14、最上層の有機層16の順に成膜して、機能性フィルムを作製した。
作製後、実施例11と同様に、ガスバリア性を評価したところ、水蒸気透過率は、1.4×10−4g/(m2・day)で、評価は「○」であった。また、透過率を評価したところ、全光線透過率は、74%で、評価は「△」であった。
評価結果を、下記表2に示す。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 第1の有機膜
14 無機膜
16 最上層の有機膜
20 有機成膜装置
22 無機成膜装置
26 塗布手段
28 乾燥手段
30 UV照射装置
32,56 回転軸
34,58 巻取り軸
36,38 搬送ローラ対
40,42 基板ロール
50 供給室
52 成膜室
54 巻取り室
60,68,72,80 ガイドローラ
61,74,82 真空排気手段
62 ドラム
64 成膜手段
76,78 隔壁
76a、78a スリット
112 第2の有機膜
B0、By1、Bm2 基板
Claims (14)
- 基板上に少なくとも2層の有機層と、少なくとも1層の無機層とが交互に形成されており、
前記基板から最も遠い層である最上層が有機層であり、
前記有機層のうち、前記基板上に直接形成される第1の有機層の厚さは他の有機層以上の厚さであり、前記最上層の有機層の厚さは他の有機層以下の厚さであり、
かつ、全ての有機層は全ての無機層よりも厚いことを特徴とする機能性フィルム。 - 全ての有機層は全ての無機層よりも屈折率が低い請求項1に記載の機能性フィルム。
- 前記第1の有機層の厚みが500〜3000nmで、前記最上層の有機層の厚みが80〜1000nmである請求項1または2に記載の機能性フィルム。
- 前記無機層は、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウムのいずれかで構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の機能性フィルム。
- 前記最上層の有機層は他の有機層よりも屈折率が低い請求項1〜4のいずれかに記載の機能性フィルム。
- 前記第1の有機層と前記最上層の有機層とが異なる材料で構成されている請求項5に記載の機能性フィルム。
- 基板上に少なくとも2層の有機層と、少なくとも1層の無機層とを交互に形成する機能性フィルムの製造方法において、
前記基板から最も遠い最上層に有機層を形成し、
前記有機層のうち、前記基板上に直接形成する第1の有機層の厚さを他の有機層以上の厚さに形成し、前記最上層の有機層の厚さを他の有機層以下の厚さに形成し、
かつ、全ての有機層を全ての無機層よりも厚く形成することを特徴とする機能性フィルムの製造方法。 - 全ての有機層は全ての無機層よりも屈折率が低い請求項7に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記有機層を塗布方式によって形成する請求項7または8に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記最上層の有機層をダイコータを用いて塗布する請求項9に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記第1の有機層を形成する材料を塗布する際の、前記第1の有機層の形成材料の粘度が10cP以下である請求項9または10に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記最上層の有機層を形成する材料を塗布する際の、前記最上層の有機層の形成材料の粘度が5cP以下である請求項9〜11のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記無機層を真空成膜法によって形成する請求項7〜12のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記最上層の有機層は他の有機層よりも屈折率が低い請求項7〜13のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
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