JP2012048347A - 永久磁石の動作点解析方法、解析プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気回路の磁束密度B及び磁界Hと永久磁石の動作点のパーミアンス係数との関係を把握しやすい、永久磁石の動作点解析方法及び解析プログラムを提供する。
【解決手段】解析手段と記憶手段と表示手段を備える演算装置を用いて、永久磁石のB−H曲線34と永久磁石を要素分割した要素データとに基づいて電磁界解析を行い、永久磁石の動作点36を求める。入力されたB−H曲線34のデータを記憶手段に記憶するステップを備える。更に、解析手段を介して、記憶手段が記憶したB−H曲線34のデータに基づいて、電磁界解析を行い、永久磁石の複数の部位における磁束密度と磁界を求めるステップ、及び、電磁界解析の結果から、B−H曲線34の第1象限、第2象限、第3象限及びこれらの象限の間で連続的に変化し且つ磁束密度及び磁界に対して線形に変化する変数35を用いることにより、要素のそれぞれにおける動作点36を求めるステップを備える。
【選択図】図7
【解決手段】解析手段と記憶手段と表示手段を備える演算装置を用いて、永久磁石のB−H曲線34と永久磁石を要素分割した要素データとに基づいて電磁界解析を行い、永久磁石の動作点36を求める。入力されたB−H曲線34のデータを記憶手段に記憶するステップを備える。更に、解析手段を介して、記憶手段が記憶したB−H曲線34のデータに基づいて、電磁界解析を行い、永久磁石の複数の部位における磁束密度と磁界を求めるステップ、及び、電磁界解析の結果から、B−H曲線34の第1象限、第2象限、第3象限及びこれらの象限の間で連続的に変化し且つ磁束密度及び磁界に対して線形に変化する変数35を用いることにより、要素のそれぞれにおける動作点36を求めるステップを備える。
【選択図】図7
Description
本発明は、永久磁石の磁束密度−磁界曲線データに基づいて、永久磁石の複数の部位における、磁束密度−磁界曲線上の位置を算出する解析方法、解析プログラム、及び解析プログラムを記録した記録媒体に関する。
永久磁石を含む電磁機器では、永久磁石の磁束密度(B)−磁界(H)曲線(以下、「B−H曲線」と称する)を考慮することが不可欠である。永久磁石は当然、何らかの方法で着磁した状態で用いる。
以下では、本発明の説明のために後で必要になることもあり、永久磁石のB−H曲線上の一般的な振る舞い及び扱い方を詳細に説明する。
図1に、永久磁石のB−H曲線の例を示す。横軸は磁界Hであり、縦軸は磁束密度Bである。着磁されていない状態1から外部磁界を印加すると、初磁化曲線2に従って磁束密度Bが増加する。このとき、図1に示したように、初期においては急激に磁束密度Bが増加し、その後、領域3のような飽和現象を示す。
この状態から印加磁界Hを小さくすると、初磁化曲線2よりも磁束密度Bが大きい曲線を辿り、印加磁界Hがゼロになったとき、磁束密度Bがゼロより大きな値4を示す。この値4が残留磁束密度であり、永久磁石ではこの値が大きい。希土類元素であるNdを用いた永久磁石では、この残留磁束密度が約1.2テスラにも達する。
次いで磁界Hを逆向きに印加していくと、磁束密度Bが緩やかに減少した後、急激に減少してマイナスの値に転じる。このときのH軸切片5が保持力(Hc)であり、特に縦軸を磁束密度Bで表した場合を明確にするときには、bHcと表す。永久磁石を用いた電磁機器では、B−H曲線の中で残留磁束密度を示す部分から保持力を示す部分までが特に重要であり、この部分が減磁曲線6である。その後、図1に示すように、印加磁界Hの変化に伴い、磁束密度Bは変化する。
印加磁界Hに対する磁束密度Bの変化を表すこれらの曲線が、ヒステリシス曲線である。また、印加磁界Hの振幅が十分に大きく磁束密度Bがプラス及びマイナスの領域ともに飽和している状態を含む場合がメジャーループ、含まない場合がマイナーループである。以上、物理及び工学で標準的な用語を用いて説明したが、他の用語を用いる場合でも、当業者であれば容易に理解できる。後述する本発明の説明も同様である。
以上に説明したように、永久磁石のB−H曲線は、磁界H−磁束密度B座標上において、第1、第2、第3及び第4象限を連続的に変化する。従って、永久磁石のB−H曲線上の位置は、第1、第2、第3及び第4象限のいずれかの位置にあり、位置の変化は、これらの象限を跨ぐ場合でも跨がない場合でも、本来連続的に表されるべきものである。
ところで、永久磁石を含む磁気回路を設計する際に一般的に用いられている指標に、パーミアンス係数がある。以下、パーミアンス係数について簡単に説明する。
図2に示すように、コイル7(ターン数をN、電流をI)が周りの空間に作る磁場を考える。図中の磁束管8において、磁束に沿った磁場Hの、点A9から点B10までの線積分は、
より、
である。磁位(スカラーポテンシャル)φmの差が起磁力である。積分路が電流を取り囲む場合には、起磁力は閉曲線を貫通する電流の総和になる。磁束管8の断面上で磁束密度が一定と見なしてよいときは、磁束管8を流れる磁束は、任意の位置で、
と書けるので、
である。このとき、点A9、点B10間の磁気抵抗(リラクタンス)は
と表され、
となる。リラクタンスすなわち磁気抵抗の逆数がパーミアンスである。このように、一般の磁気回路を扱う場合に、パーミアンスが用いられる。
次に、永久磁石を含む磁気回路の場合である。なお、簡単のために、漏れ磁束がない場合について説明する。図3に示す磁気回路における空隙11の磁束密度に着目する。以下では、下付き添え字g、i及びpを用いて、空隙11、鉄12及び永久磁石13に関する諸量を区別する。永久磁石13内における磁界をH、磁束密度をB、各部分の磁路長をl、及び断面積をSとすれば、アンペアの法則より、
である。また、磁束はどの断面でも一定であるから、
が成り立つ。ただし、鉄12のHiとSiは、磁路全体での平均値である。これらから、パーミアンス係数
が得られる。
図4に、このときの永久磁石のBとHと減磁曲線の関係を示す。縦軸が磁束密度B、横軸が磁界Hであり、縦軸と横軸は座標原点14で交わっている。減磁曲線15は、縦軸と残留磁束密度16、横軸と保磁力(bHc)17で交わっている。永久磁石の平均的な磁束密度及び磁界は、減磁曲線15のいずれかにあり、図4では動作点18にあるとする。このとき、座標原点14から動作点18に引いた半直線と横軸のなす角19をθとする。パーミアンス係数pの定義から、
である。このように、永久磁石13の減磁曲線15上の位置すなわち動作点18からBとHが決まり、空隙11における磁束密度
が求まる。
ところで、
は、永久磁石13から眺めた外部磁気回路の磁気抵抗である。これから、
となるので、パーミアンス係数pは、外部磁気回路のパーミアンスPを永久磁石13の単位体積あたりに換算したものと見ることができる。
このような磁気回路の考え方は、古くから用いられてきたものであり、コンピュータによる有限要素法解析などの数値解析が実用になる以前は、永久磁石を用いた電磁機器の設計方法として広く用いられてきた。また上述したように、外部磁気回路のパーミアンスPとの物理的な関連の取りやすさから、永久磁石の減磁曲線上の動作点を表す場合に、パーミアンス係数pを用いることが一般に行われてきた。動作点をパーミアンス係数で表す方法は、コンピュータによる有限要素法解析などの数値解析が実用になった現在でも広く用いられており、その例を特許文献1、2などに見ることができる。
上述したように、永久磁石の動作点をパーミアンス係数で表す方法は、永久磁石を含む磁気回路との物理的関連の取りやすさから非常に有効であり、従って今日まで広く一般的に用いられてきた。
上述したように、パーミアンス係数は外部磁気回路のパーミアンスPを永久磁石の単位体積あたりに換算したものという物理的な意味があり、磁気回路のパーミアンスPは磁気回路の磁気抵抗の逆数であること及び磁気抵抗は当然正の値であることから、式(10)に示すパーミアンス係数もまた、物理的には正の値として定義されている。すなわち、パーミアンス係数は、幾何学的な形状により決まる正の値である。
また、式(10)に示すように、パーミアンス係数は、動作点がB−H曲線の第1象限から第2象限に移動するとき、無限大の発散(図4に示した角19(θ)が90°のとき)を挟んで不連続になる。従って、図1に示したように、本来、永久磁石のB−H曲線上の位置すなわち動作点は、第1、第2、第3及び第4象限のいずれかの位置にあり、位置の変化は、これらの象限を跨ぐ場合でも跨がない場合でも、本来連続的に表されるべきものであるにもかかわらず、パーミアンス係数では連続的に表現できないという問題があった。
また、永久磁石の動作点をパーミアンス係数で表すことには、電磁機器の設計上で、更に以下に記述するような問題がある。
永久磁石の動作点を決めているのは、言うまでもなく磁束密度B及び磁界Hである。磁束密度B及び磁界Hは、線形で表示した方が、磁気回路の設計上分かりやすいことが多い。具体的には、磁気回路のある部分の断面積を10%増やすと、近似的にはその部分の磁束密度Bが約10%減少する、といった考え方をする。実際、永久磁石メーカのカタログでも、減磁曲線は、磁束密度B及び磁界Hに対して線形で表している。
このとき、図4の減磁曲線において、磁気回路を変更して永久磁石部分の磁束密度を10%減少させたとしても、永久磁石の動作点のパーミアンス係数は、当然10%の減少とはならない。動作点のパーミアンス係数が、式(10)のように傾きで定義されているからである。すなわち、電磁気的には、磁束密度B及び磁界Hを線形で表示した方が、磁気回路問題を扱いやすいにもかかわらず、磁束密度B及び磁界Hの変化に対して、永久磁石の動作点のパーミアンス係数は線形に変化せず、磁気回路の磁束密度B及び磁界Hと、永久磁石の動作点のパーミアンス係数との関係を把握しにくい問題があった。
また、永久磁石の動作点をパーミアンス係数で表すことに付随して、更に、以下に記述するような問題がある。上述の問題も含めて詳細に説明する。
永久磁石のB−H曲線は本来、図1に示すような非線形な特性である。しかしながら、図1の減磁曲線6を図5のように簡単化して表すことが多い。図5において、図1の減磁曲線6は、減磁曲線20、21で表しており、減磁曲線20は、縦軸と残留磁束密度22で交わっている。動作点23、24は、それぞれ減磁曲線20、21の領域にある動作点を表している。減磁曲線20と減磁曲線21との交点は、クニック点25であり、図1の減磁曲線6の中で磁束密度が急激に減少する部分に対応する。クニック点25は、非可逆減磁開始点または屈曲点とも呼ばれる。図5のように減磁曲線を近似的に扱える場合を、角形性が良いと表現する。近年の、希土類元素であるNdを用いた永久磁石は、角形性が良いとされている。
動作点が減磁曲線20の領域にある場合には、磁界Hが増減しても動作点23は減磁曲線20の上を可逆的に動くと見なせる。従って、磁界Hによって永久磁石が非可逆的に弱まる減少、すなわち減磁は起こらないと見なせる。
一方、マイナス磁界H(B−H曲線でマイナス方向の磁界H)の増加により、動作点がクニック点25よりもマイナス磁界H側の領域、例えば動作点24に移動した場合には、マイナス磁界Hが減少してゼロになっても動作点は減磁曲線20上を辿って戻らず、動作点24から、減磁曲線20に概ね平行で下側にあるマイナーループ曲線26を辿り、残留磁束密度が最初の残留磁束密度22より小さい残留磁束密度27となる。これが、磁石が弱まってしまう減磁現象である。減磁が起きると、永久磁石を用いた電磁機器は、当初の設計通りの性能を出すことができなくなる。そのため、電磁機器を動作させても減磁しないように設計することが非常に重要である。
ところで、後に示すように、実際には動作点は永久磁石の内部で分布を持つ。従って、永久磁石の平均的な動作点だけではなく、永久磁石の中で、ある動作点にある磁石の部分が全体に占める割合を正確に知ることが重要となる。温度または磁界に対する限界設計を進める場合、永久磁石を含む電磁機器にある動作をさせた場合、磁石内部で減磁する部分の全体に占める割合を、正確に把握する必要などが生じるからである。しかしながら、動作点をパーミアンス係数、すなわちB−H曲線を磁束密度B及び磁界Hと共に線形で表示した場合の第2象限における傾きで表した場合、パーミアンス係数とそれに対応する永久磁石の面積の関係が分かりづらい。
図6は、減磁曲線と動作点のグラフに、動作点のパーミアンス係数を併せて表示した例である。なお、パーミアンス係数は、図示の値28に真空の透磁率μ0を乗じた値である。このような図は、磁石メーカが出すカタログによく用いられている。この例では、動作点29のパーミアンス係数は1.2、クニック点30のパーミアンス係数は0.4である。
図6から明らかなように、マイナス磁界Hの同じ変化量に対して、パーミアンス係数の小さい領域ではパーミアンス係数の変化量が小さく、パーミアンス係数の大きい領域ではパーミアンス係数の変化量が大きい。従って、パーミアンス係数の大きい領域ほど、マイナス磁界Hの変化に対してパーミアンス係数の変化が大きく見えてしまい、磁気回路の磁束密度B及び磁界Hと、永久磁石の動作点のパーミアンス係数との関係を把握しにくい問題があった。
本発明は、次のような基本的特徴を備える。本発明による永久磁石の動作点解析方法は、解析手段と記憶手段と表示手段を備える演算装置を用いて、永久磁石の磁束密度−磁界曲線と前記永久磁石を有限個の要素に分割した要素データとに基づいて電磁界解析を行い、前記永久磁石の動作点を求める。入力された前記磁束密度−磁界曲線のデータを前記記憶手段に記憶するステップを備える。更に、前記解析手段を介して、前記記憶手段が記憶した前記磁束密度−磁界曲線のデータに基づいて、前記電磁界解析を行い、前記永久磁石の複数の部位における磁束密度と磁界を求めるステップ、及び、前記電磁界解析の結果から、前記磁束密度−磁界曲線の第1象限、第2象限、第3象限及びこれらの象限の間で連続的に変化し且つ磁束密度及び磁界に対して線形に変化する変数を用いることにより、前記要素のそれぞれにおける前記動作点を求めるステップを備える。
また、本発明による永久磁石の動作点解析方法は、前記表示手段がヒストグラムを表示するステップを備える。前記ヒストグラムの横軸は、前記動作点を表す前記変数であり、前記ヒストグラムの縦軸は、前記電磁界解析が2次元解析の場合には、前記動作点を表す前記変数に対する前記要素の面積であり、前記電磁界解析が3次元解析の場合には、前記動作点を表す前記変数に対する前記要素の体積である。
本発明によれば、B−H曲線上の動作点の位置を、B−H曲線の第1、第2及び第3象限に渡って連続する変数で表すことができ、磁気回路の磁束密度B及び磁界Hと、永久磁石の動作点のパーミアンス係数との関係を把握しやすくなる。
以下、図を用いて、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態について説明する。本発明による永久磁石の動作点解析方法は、永久磁石の磁気、熱及び応力等の電磁気特性及び機械特性等を算出し、永久磁石の磁束密度B−磁界H曲線(B−H曲線)データに基づいて、永久磁石の複数の部位における、永久磁石のB−H曲線上の位置(動作点)を算出する。永久磁石は、有限個の要素に分割され、各要素について動作点を表す変数が計算される。永久磁石の各要素の座標値や属性などを含む要素データは、ユーザが入力することができる。また、B−H曲線のデータは、ユーザが入力することができる。
また、本発明による解析プログラムは、本発明による永久磁石の動作点解析方法における一連のプロセスをコーディングしたものである。本発明による記録媒体は、上記解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明による永久磁石の動作点解析方法及び永久磁石の動作点解析プログラムは、演算装置である計算機(コンピュータ)で実行される。また、本発明による記録媒体は、演算装置である計算機に読み取られて、記録されているプログラムが実行される。計算機は、入力手段、解析手段、記憶手段及び表示手段を備え、データの入力、解析、入力データや解析データの記憶、解析結果の表示などの処理を行う。
図7に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の解析方法を示す。図7において、横軸は磁界H、縦軸は磁束密度Bであり、両軸はそれぞれの原点33で交わっている。また、特に表示はしていないが、横軸及び縦軸ともに磁界H及び磁束密度Bに関して線形で表している。
減磁曲線34は、近似的に直線で表し、残留磁束密度(Br)及び保磁力(bHc)を持つ。減磁曲線34において、残留磁束密度を与える点を残留磁束密度点31、保磁力を与える点を保磁力点32と呼ぶ。永久磁石の動作点36は、当然、減磁曲線34の上にある。
動作点を表す変数35は、図示のように、残留磁束密度点31においてゼロ、保磁力点32において1.0として、B−H曲線上において線形で定義されている。すなわち、動作点を表す変数35は、磁界H及び磁束密度Bに関して線形に変化する。更に、動作点を表す変数35は、第1象限から第2象限及び第3象限に渡って、負の値から1.0以上の値まで連続的に定義されている。図6に示した従来例と比較すると、動作点の表し方の違いが分かりやすい。
本実施例における動作点を表す変数35の値を、数式を用いて説明する。動作点36の磁界をHp、磁束密度をBpとすると、動作点36を表す変数は次の式で書ける。
または、
本実施例では、図7に示したように、動作点36を表す変数35の値は0.4である。このように、動作点36が減磁曲線34の残留磁束密度点(磁束密度軸切片)31にあるとき(Hp=0、Bp=Br)を、動作点を表す変数35の基準値とし、この基準値をゼロに取っている。マイナスの磁界H(B−H曲線でマイナス方向の磁界H)が強くなるほど動作点を表す変数35が大きくなるように定義する場合には、本実施例のように、動作点を表す変数35の基準の値を残留磁束密度点31に置くと、動作点が第1象限と第2象限にある場合を、変数35の値によって区別しやすい。同じように、動作点が第2象限と第3象限にある場合を、変数35の値から判断しやすいよう、本実施例では、動作点36が保磁力点32にある場合(Hp=bHc、Bp=0)の変数の値を1.0としている。当然、この値を10.0または100.0等の他の値に定義しても良い。
図8に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法を示す。図8において、座標及び減磁曲線34の取り方は、図7と同一であり、記号や符号の表記も図7と同様である。
本実施例では、動作点36のマイナスの磁界Hが弱くなるほど動作点を表す変数が大きくなるように、動作点を表す変数37を定義している。動作点を表す変数37は、図示のように、残留磁束密度点31において1.0、保磁力点32においてゼロとして、B−H曲線上において線形で定義されている。すなわち、動作点を表す変数37は、磁界H及び磁束密度Bに関して線形に変化する。更に、動作点を表す変数37は、第1象限から第2象限及び第3象限に渡って、負の値から1.0以上の値まで連続的に定義されている。本実施例では、図8に示したように、動作点36を表す変数37の値は0.6である。
このように、本実施例では、動作点36が減磁曲線34の保磁力点(磁界軸切片)32にあるとき(Hp=bHc、Bp=0)を、動作点を表す変数37の基準値とし、この基準値をゼロに取っている。マイナスの磁界Hが弱くなるほど動作点を表す変数37が大きくなるように定義する場合には、本実施例のように、動作点を表す変数37の基準の値を保磁力点32に置くと、動作点が第2象限と第3象限にある場合を、変数37の値によって区別しやすい。同じように、動作点が第1象限と第2象限にある場合を、変数37の値から判断しやすいよう、本実施例では、動作点36が残留磁束密度点31にある場合(Hp=0、Bp=Br)の変数の値を1.0としている。当然、この値を10.0または100.0等の他の値に定義しても良い。
動作点36を表す変数は、動作点36の磁界Hpと磁束密度Bpを用いて、次の式で書ける。
または、
図9に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法を示す。図9において、縦軸及び横軸の定義は、図8と同じであり、記号や符号の表記も図8と同様である。
図9に示すように、本実施例での減磁曲線は、クニック点42を有し、クニック点42で接続する2つの直線部分39、43からなる。本実施例では、このような場合でも、動作点41が減磁曲線の直線部分39の残留磁束密度点(磁束密度軸切片)38にあるとき(Hp=0、Bp=Br)を、動作点を表す変数46の基準値とし、この基準値をゼロに取る。また、直線部分39を延長した半直線44と磁界軸の交点45で、動作点を表す変数46の値が1.0であるとする。実際には、動作点41が半直線44の上に移動することはないが、上述のように定義することには、以下に述べるように十分な利点がある。
有限要素法などの数値解析を用いて永久磁石を含む電磁機器を電磁界解析する場合、永久磁石の減磁曲線特性を、図9のように、減磁曲線の直線部分39と半直線44とで表される直線として扱うことが多い。上述した、永久磁石の減磁曲線の角形性が良い場合には、十分な近似が成立するからである。
直線で表されるこのような減磁曲線の定義方法としては、残留磁束密度点38及び交点(保磁力bHc)45を与える、または残留磁束密度点38及び直線部分39の傾きを与えることが一般に用いられている。減磁曲線の直線部分39の傾きが、リコイル透磁率である。
このように、減磁曲線を、直線部分39と半直線44とで表される直線として扱って電磁界解析した場合、当然のことながら、動作点は、クニック点42を超えて半直線44の領域を動くことがあり得る。このような場合、電磁界解析の結果から、磁石の動作点が半直線44の領域にあり、それがどの程度クニック点42を超えているかを正確に知ることが重要である。これにより、電磁機器の設計を改良して、磁石の動作点がクニック点42を超えることがないように、言い換えれば、電磁機器を運転した場合に永久磁石が減磁して、電磁機器の性能が劣化することがないようにできるからである。このような目的から、減磁曲線にクニック点42がある場合でも、本実施例のように動作点を表す変数46を表すことは有効である。
動作点41を表す変数は、動作点41の磁界Hpと磁束密度Bpを用いて、次の式で書ける。
図10に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法を示す。図10と図9の関係は、図8と図7の関係と同じであり、動作点を表す変数47の基準の位置などが異なる。動作点41の磁界をHp、磁束密度をBpとすると、動作点41を表す変数は、次の式で書ける。
以上に、非可逆減磁開始点として減磁曲線のクニック点を採用する場合を述べてきた。これには、上述したように、十分な物理的意味があった。しかしながら、減磁曲線は曲線であるが故に、減磁曲線からクニック点を選ぶ方法には任意性がある。この問題を解決する方法として、以下の例を示す。
図42に、典型的なNd永久磁石の減磁曲線を示す。図示のように、3つの減磁曲線をまとめて減磁曲線124と称する。減磁曲線124は、これまで通りB−H曲線の座標軸を用いて表示し、3種類の温度60℃、100℃及び140℃をまとめて表示している。曲線125は、減磁曲線124(磁束密度Bと磁界Hの関係で表されている)を、磁化Mと磁界Hの関係に変換して示したものである。曲線125も、減磁曲線124に対応して、3つの曲線をまとめて曲線125と称している。
ここで、磁束密度Bと磁化Mには、次式に示す関係がある。
磁束密度Bと磁化Mは、SI単位系では同一の単位テスラ(T)を持つ。
磁化M−磁界H曲線の磁界軸切片を一般に固有保磁力と呼び、iHcと表す。3つの減磁曲線124は、それぞれクニック点126、127及び128を有し、保磁力bHc129、130及び131を有する。
温度が100℃及び140℃の場合、固有保磁力iHcは、保磁力bHcとほぼ同一である。すなわち、温度が100℃の減磁曲線は、固有保磁力iHc130を有し、温度が140℃の減磁曲線は、固有保磁力iHc131を有す。一方、温度が60℃の場合には、保磁力bHc129の値は、約−880(kA/m)であるのに対し、固有保磁力iHc132は、約−1000(kA/m)である。
図42から分かるように、クニック点126、127及び128と、固有保磁力iHc132、130及び131の磁界の差は、ほぼ同一である。一方、クニック点と保磁力bHcの磁界の差は、温度が60℃の場合のように、B−H曲線上のクニック点が第3象限にある場合には、クニック点が第2象限にある場合に比較して大きさも符号も変わってしまうことが分かる。
このように、固有保磁力iHcはクニック点と密接な関係があることから、選定に任意性の伴うクニック点の代わりに、固有保磁力iHcを動作点を表す変数の基準とし、この基準値をゼロに取ることができる。このとき、動作点の磁界をHpとすると、動作点を表す変数は次の式で書ける。
以上の実施例1〜4にて、動作点を表す変数の基準値、及び第1象限と第2象限、第2象限と第3象限の境の位置で変数の値を変えた例を示したが、当然のことながら、これらの具体例によって本発明が限定される訳ではない。以下に示す実施例では、動作点を表す変数を、図7及び図9に示すように取った場合を示す。
以下では、永久磁石の磁気、熱及び応力等の電磁気及び機械特性等を算出し、永久磁石のB−H曲線データに基づいて、永久磁石の複数の部位における、永久磁石のB−H曲線上の位置(すなわち動作点)を算出する解析方法を、実施例を用いて説明する。更に、動作点の解析手段と永久磁石の形状を視覚的に表示する手段を有し、永久磁石の形状に重ねて永久磁石の表面に、動作点を表す変数によるゾーンコンターを表示する機能を有する解析方法、及びこの解析方法の一連のプロセスをコーディングしたプログラムを、実施例を用いて説明する。ゾーンコンターとは、動作点を表す変数の値によるコンター図(等高線図)であり、動作点を表す変数の値の大きさを、白黒(グレー)またはカラーで区別して表示することができる。例えば、磁界の絶対値が大きくなるにつれて、白黒の場合は、相対的に黒系色に近づき、カラーの場合は、相対的に赤系色に近づくように表示する。
図11に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。永久磁石の減磁曲線及び動作点を表す変数の定義は、図7と同一である。
解析対象とする電磁機器は、SPMSMすなわち表面磁石式永久磁石同期モータであり、図11は、回転軸に垂直な断面の磁石一極分を示す。ステータコア50のティース51には、巻線コイル52が分布巻きに巻回されている。ロータコア53の表面には、永久磁石54を設置している。ロータ全体とステータ全体は、エアギャップ119によって同心円状に隔てて配置してある。永久磁石54は、典型的なネオジウム・Nd磁石であり、その残留時刻密度は1.1テスラ、リコイル透磁率は真空の透磁率の1.025倍である。また、永久磁石54は、いわゆるラジアル着磁であり、残留磁束密度の方向は半径方向である。
図11は、無負荷時で巻線コイルに電流を流さないときの、2次元有限要素法による電磁解析結果を示しており、図中の流線は、磁束の流れ(磁力線)を示している。電磁界解析結果から、永久磁石54の磁束密度Bと磁界Hを、永久磁石54のメッシュ要素毎に減磁曲線にあてはめて、メッシュ要素毎に、動作点を表す変数の値を求めた。ロータは回転するが、図11は、図示の位置にある場合の計算結果を示している。
図11には、永久磁石54について、動作点を表す変数の値によってグレースケールによるゾーンコンターを描いている。ゾーンコンターのスケール55は、図中左上の凡例に示すように、−0.2から1.2の間とした。動作点を表す変数は、永久磁石54内で空間分布しており、無負荷時であるから、全体的に小さいことが分かる。また、動作点の空間分布は、ステータのティース51に対応する部分とティース51間に対応する部分とに違いがあることが分かる。すなわち、ステータのティース51や巻線コイル52の位置による影響を受けて、動作点には回転の角度方向の分布が見える。
ところで、ロータの回転に伴い、永久磁石54とティース51の位置関係は変化するので、永久磁石54のある部分に着目した場合、その部分の動作点を表す変数は、ロータの回転に伴い変化する。
図12は、無負荷で巻線コイルに電流を流さず、ロータを回転させた場合の電磁界解析結果を示す図である。図12では、ロータを回転させた電磁界解析結果から、各回転位置における永久磁石54の動作点を表す変数を計算し、各要素における動作点を表す変数のロータ回転に関する最大値(磁界の絶対値の最大値)を求めて、図11と同様なゾーンコンターで表示している。すなわち、ロータを回転させた場合の電磁界解析では、回転状態を表す複数の解析ステップを含み、この複数の解析ステップの中で最も磁界の絶対値が大きい動作点を、電磁界解析における動作点としている。
永久磁石54の動作点を表す変数の空間分布は、ほぼ半径方向のみとなり、回転方向には変化が見られない。また、動作点を表す変数の値は、図11に示した動作点を表す変数の回転角度方向に関する最大値(磁界の絶対値の最大値)に対応している。動作点を表す変数の値は、ロータの回転に伴って図11に示したように、永久磁石54の内部で変化する。そこで、ある磁石要素の動作点は、ロータが回転してステータとの位置関係が変わった場合のそれぞれの動作点の中から、最大となる値を、その要素の動作点とする。つまり、ロータが回転してステータとの位置関係が変わる場合における、各要素の最大動作点を示す。従って、結果的に、ステータのティース51や巻線コイル52といった構造の、回転の角度方向の影響はなくなって見える。
なお、永久磁石の各要素の動作点を表す変数が同時に最大となるロータの回転位置は、通常は存在しない。しかし、たとえ瞬時であっても動作点がクニック点を超えると減磁してしまうことから、図12のように、各要素について動作点を表す変数の最大値を割り当ててこれを表示する方法は、実用上非常に有効である。以下の例では、動作点として、動作点を表す変数の最大値を割り当てた動作点を表示に用いる。永久磁石54のある部分に着目した場合、その部分の動作点が、ロータの回転中にクニック点よりもマイナス磁界が大きくなった場合に減磁するのであるから、各要素の動作点を表す変数のロータ回転における最大値とクニック点の動作点を表す変数の大小関係によって、永久磁石54が減磁するか否かを判断できる。
図13及び図14に、図11に示すSPMSMの巻線コイル52に通電電流500アンペアを通電し、ロータに紙面上を反時計回りのトルクが生じている状態、すなわち負荷時を示している。通電電流の位相角は0度である。図13と図14の関係は、図11と図12の関係と同じである。すなわち、図13では、ステータコア50とロータコア53が図に示した位置関係にあるときの計算結果を示しており、図14では、ロータを回転させた場合の計算結果を示している。
図13及び図14を見ると、図11及び図12に比較して、動作点を表す変数は全体的に大きくなっていることが分かる。また、永久磁石54内部に回転方向の空間分布が見られる。領域57は、いわゆる減磁側であり、いわゆる増磁側の領域56に比較して動作点を表す変数の値は全体的に大きい。本実施例では、動作点を表す変数の値が大きいほど、動作点がクニック点を超えて減磁する可能性がある。また、磁石のギャップ側の角の部分でも、動作点を表す変数の値が大きいことが分かる。
図15及び図16に、通電電流の位相角が40度の場合を示す。通電電流値は、500アンペアである。このように、通電電流の位相角が変化すると、永久磁石54の動作点を表す変数の空間分布は、磁石54内で全体的に値が大きくなるように変化し、減磁の可能性が高くなることが分かる。
このように、動作点を表す変数を図7または図9に示したように求め、それに基づく解析結果として、動作点を表す変数に関するゾーンコンターを永久磁石に表示することにより、動作点がB−H曲線上の第1、第2及び第3象限のいずれにあるかにかかわらず連続的に分布を表現することができ、減磁させないモータの設計に非常に有効であることが分かる。また、通常、電磁界解析の結果は、磁束密度を線形で表したゾーンコンターによって表示する(ゾーンコンターは、磁束密度に対して線形に変化する)。前述したように、永久磁石の動作点は、磁界H及び磁束密度Bで決まる。従って、有限要素法解析結果を磁束密度の線形によるゾーンコンターで表示することが一般に用いられていることを考えると、本実施例のように、動作点を表す変数に関するゾーンコンターを変数の線形で表すことは自然であり、磁束線分布や磁束密度分布及び磁界分布との関係が定量的に把握しやすい。
以上の実施例5では、動作点を表す変数の磁石内部における空間分布を表す方法の例を示した。この方法は、永久磁石の減磁する可能性の高い部分を把握するために有効である。
一方、仮に動作点を表す変数が部分的にクニック点を超えている場合などに、動作点を表す変数がクニック点を超えている部分の磁石全体に占める割合を正確に知る必要がある。永久磁石の動作点を表す変数の、永久磁石内部の分布をより定量的に表すための方法を、以下の実施例で説明する。
図17に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果の概要を示す。永久磁石の減磁曲線及び動作点を表す変数の定義は、図9と同一である。
図17では、ヒストグラム58が描かれている。ヒストグラム58には、動作点を表す変数46を横軸に取り、縦軸に動作点を表す変数46に対する磁石要素の面積を描いた。なお、これまでの実施例では、モータの断面における2次元磁界解析に基づく計算結果を示してきたので、ヒストグラム58において、縦軸に磁石要素の面積を描いた。3次元磁界解析結果に基づく場合には、ヒストグラム58の縦軸は、磁石要素の体積を描いて表示する。
なお、ヒストグラムすなわち度数分布図は、各階級のデータの個数を棒グラフの高さで表現することが多いが、本実施例及び以下に示す実施例では、階級の個数が多く棒グラフで表示すると視覚的に分かり難くなることから、棒グラフの替わりに、棒グラフの高さを結んだ折れ線グラフで表示する。
図17は、分かりやすさのために、減磁曲線(減磁曲線の直線部分39、43)、動作点を表す変数46、及びヒストグラム58を同一紙面に描いた概念図である。ヒストグラム58は、例えばその積分値が100になるように、規格化して描くと更に分かりやすい。
参考までに、図17には、動作点を表す変数46による永久磁石60のゾーンコンター59の例も併せて表示している。ヒストグラム58において、動作点を表す変数46が小さい部分は、ゾーンコンター59においてグレーの薄い領域61に対応し、動作点を表す変数46が大きい部分は、ゾーンコンター59においてグレーの濃い領域62に対応する。動作点41の磁界をHp、磁束密度をBpとすると、動作点41を表す変数は次の式で書ける。
このようにして描いたヒストグラムの実施例を以下に示す。
図18に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。図18は、図16に示した解析及び表示結果から、永久磁石54のヒストグラム63を構成したものである。
ヒストグラム63において、横軸は永久磁石の動作点を表す変数64、縦軸はヒストグラム値65である。具体的には、動作点を表す変数64を0.01ステップ刻みに取り、永久磁石の各メッシュ要素の中で変数がある値の範囲、例えば0.02±0.005の範囲にある要素を選び出し、その面積を変数値0.02のヒストグラム値65とし、最後にヒストグラム値65の合計が100となるよう規格化したものである。このように、動作点を表す変数64を線形で表すことで、磁石面積のヒストグラム63は、そのまま図17のように減磁曲線に重ねて見ることができるため、電磁界解析結果と動作点のヒストグラムの定量的な関係が分かりやすい。
また、本実施例では、動作点を表す変数64が0.0及び1.0を跨って(0.0以下から1.0以上まで)連続して定義されている。特に、動作点を表す変数64が1.0を超える領域にも対応する磁石要素があり、動作点を表す変数64の1.0を挟んでヒストグラム63が連続して分布している。前述したように、B−H曲線上における第2象限及び第3象限の間で、動作点は物理的には連続的に移動するものである。従って、これに対応するヒストグラムも連続して定義されるべきである。本実施例では、ヒストグラム63が連続して分布しており、本発明の有効性を示している。
また、この電磁界解析における永久磁石の減磁曲線を、図17に示す減磁曲線の直線部分39及び43とすると、動作点を表す変数64(図17では、符号46で表されている)で表したクニック点42の値66は0.65である(図17及び図18参照)。
図18に示すヒストグラム63は、2つの領域に分割され、そのうちの1つは、磁石の中で動作点を表す変数64がクニック点(符号66で示されている値の点)を超える領域67(図18でハッチングされた領域)である。領域67は、クニック点42の値66よりも対応する磁界の絶対値が大きい動作点の領域、すなわち本実施例ではクニック点42の値66よりも動作点が大きい領域である。従って、ヒストグラム63から、永久磁石の中で領域67に対応する部分が減磁してしまうことが定量的に把握できる。また、図16に示した動作点を表す変数のゾーンコンターを参照することにより、減磁してしまう空間的な場所をほぼ把握できる。
なお、図18に示した永久磁石のヒストグラム63において、永久磁石の固有保磁力iHcの値に対応する動作点を横軸上に表示しても良い。固有保磁力iHcの値に対応する動作点も、クニック点に対応する動作点(符号66で示されている値の点)と同様に表示する。この場合には、永久磁石の中で、動作点を表す変数64が固有保磁力iHcの値を超える領域に対応する部分が、減磁してしまうことになる。
また、実際の電磁機器の設計においては、クニック点に対してある安全率を設定する場合が多い。このような目的のために、例えば、ヒストグラムの横軸に、ユーザが任意に設定した動作点の値133を表示すると便利である。動作点の値133は、動作点を表す変数換算で0.1の安全率を、クニック点の値66から見込んだ値である。この場合、ヒストグラムに動作点の値133よりも対応する磁界の絶対値が大きい動作点の領域、すなわち本実施例では動作点の値133よりも動作点が大きい領域があれば、この領域では減磁する可能性があるとみなし、安全率を見込んだ設計をすることができる。
ユーザは、任意に設定する動作点として、1つまたは複数の動作点を入力して設定することができる。これにより、例えば、安全率を変えると減磁する領域がどのように変化するかを調べることができ、電磁機器の設計において利便性が増す。
図43は、図18に示したヒストグラム63と同様に、本実施例における、永久磁石54のヒストグラム63を示す図である。ただし、ヒストグラム63は、3つの領域に分割されている。このうち、1つは、図18に示した領域67であり、1つは、磁石の中で動作点を表す変数64が、ユーザが任意に設定した動作点の値133を超える領域150である。領域150は、ユーザが任意に設定した動作点の値133よりも対応する磁界の絶対値が大きい動作点の領域、すなわち本実施例ではユーザが任意に設定した動作点の値133よりも動作点が大きい領域である。ただし、領域150は、領域67と重なる領域を含まない。
上記の説明と図18、図43に示したように、ヒストグラム63は、クニック点を表す動作点、固有保磁力iHcを表す動作点、及びユーザにより任意に指定された1つまたは複数の動作点のうち、少なくとも1つを横軸上に表示することができる。更に、表示した動作点の値を境界として、ヒストグラム63を複数の領域に分割することができる。更に、分割した領域のうち、少なくとも一つの領域について、ヒストグラムの値の和を計算し、永久磁石が非可逆減磁する領域であるとして表示することができる。
図40は、図18に示したヒストグラムを、安全率を見込んだ設計のために、ユーザに表示した例を示す図である。ヒストグラムには、クニック点、安全率を考慮した動作点、及び非可逆減磁領域の割合が表示されている。
更に、領域67の面積(非可逆減磁領域の割合)を正確に知るため等の、本発明の他の実施例を以下に示す。
図19に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。図19は、図18と同一の電磁界解析結果及び動作点を表す変数の計算結果に基づく。
図19において、横軸は永久磁石の動作点を表す変数64、縦軸は積算したヒストグラム値68である。具体的には、例えば、動作点を表す変数64で表したクニック点の値66に対する縦軸の値69は、図18におけるヒストグラム値を横軸についてマイナス無限大からクニック点の値66まで積算した値(ヒストグラムの値の和)である。更に、評価を容易にするため、図19の縦軸の最大値を、すなわち図18におけるヒストグラム値を横軸についてマイナス無限大からプラス無限大まで積算した値を、100.0となるよう規格化している。
本実施例で示したような積算した値を縦軸に持つヒストグラムにおいて、図19では、縦軸の値69は40である。このとき、図18の領域67の面積は100−40=60である。つまり、この場合、動作点を表す変数がクニック点を超えて減磁してしまう永久磁石部分の面積は、永久磁石の全面積に対して60%であるということが定量的に分かる。図40に示したように非可逆減磁領域の割合が60%であるというのは、このような方法で正確に求めることができる。
図20に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。本実施例は、図13に示した電磁界解析結果から永久磁石の動作点を表す変数を計算し、それに対応する磁石面積のヒストグラムを描いたものである。すなわち、図14に示した結果から図18に示したヒストグラムを構成したのと同じ方法を用いて、図20に示すヒストグラムを描いた。
図13のモータはSPMSMであるため、永久磁石54の磁界H及び磁束密度Bの分布は、ティース51の形状及びその間隔などのステータ構造の影響を受けやすい。これを反映して、図13ではゾーンコンターの濃淡がティース15の影響を受けて分布しており、その影響で、図20に示すヒストグラムも複数のピークを示している。
図18に示したヒストグラムでは、その構成方法から分かるように、ステータ構造とロータの特定の回転位置に対応する複数のピークは、ほぼ見られない。実施例では示していないが、IPMSMすなわち埋め込み磁石型同期モータでは、永久磁石はロータのエアギャップ側表面から奥まった位置にあるため、ステータ構造とロータの特定の回転位置による影響は、SPMSMに比較して受けにくくなる。このため、図18及び図20と同じ構成方法で描いたヒストグラムは、SPMSMの場合よりも似通ってくる。
図21に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。
図21に示したヒストグラムは、図11から図16と同じモータに対して通電電流を変えて電磁界解析した結果から、永久磁石の動作点を表す変数を計算した結果をまとめて1つのグラフにしたものである。ヒストグラム70、71、72、73及び74は、それぞれ、通電電流が100アンペア、200アンペア、300アンペア、400アンペア及び500アンペア時の結果である。通電電流の位相角は全て40度にした。
図21において、動作点を表す変数64で表したクニック点の値66は、図18と同様に0.65である。ヒストグラム70及び71は、動作点を表す変数64がクニック点の値66以上である領域に面積を持たないことから、通電電流が200アンペア以下の場合には減磁しないと判断することができる。一方、ヒストグラム72、73及び74は、動作点を表す変数64がクニック点の値66以上である領域に面積を持つことから、通電電流が300アンペア以上の場合には、永久磁石が部分的に減磁することが定量的に分かる。
図22に、図21に示したのと同一の計算結果を、縦軸が積算した値であるヒストグラムで表した例を示す。図21と図22の関係は、図18と図19の関係と同一である。図22に示す積算したヒストグラム75、76、77、78及び79は、それぞれ、図21に示したヒストグラム70、71、72、73及び74に対応する。動作点を表す変数64で表したクニック点の値66に対する、積算したヒストグラム値68は、積算したヒストグラム75、76、77、78及び79において、それぞれ縦軸の値82、82、81、80及び69から、100.0、100.0、74.0、48.0及び40.0である。
この結果から、通電電流が100アンペア、200アンペア時には、永久磁石の動作点は、全ての部分においてクニック点より小さいことが更に定量的に分かる。また、通電電流が300アンペア、400アンペア及び500アンペア時には、動作点がクニック点より小さくなる永久磁石の部分の面積は、永久磁石の全面積に対して、それぞれ74.0%、48.0%及び40.0%であることが定量的に明確に分かる。換言すれば、通電電流が300アンペア、400アンペア及び500アンペア時には、永久磁石において、それぞれ100.0−74.0=26.0(%)、100.0−48.0=52.0(%)及び100.0−40.0=60.0(%)の部分が減磁してしまうことが定量的に明確に分かる。このことは、前述したように、永久磁石を含む電磁機器の研究・開発・設計において非常に重要である。
以上の実施例では、2次元の電磁界解析に本発明を適用した例を示してきた。当然、本発明は、3次元の電磁界解析にも適用できる。その一実施例を以下に示す。
図23は、本実施例に用いたIPMSMの磁石一極分のモデルを示す図である。図23には、軸方向の長さが半分になるように軸方向の中央面で切った部分を示している。
永久磁石84は、ロータコア83に埋め込まれている。巻線86は、ステータコア85に分布巻きにて巻回されている。また、永久磁石84は、典型的なNd磁石であり、その残留時刻密度は1.1テスラ、リコイル透磁率は真空の透磁率の1.025倍である。また、永久磁石84は、いわゆるラジアル着磁であり、残留磁束密度の方向は半径方向である。また、通電電流は300アンペア、通電電流の位相角は40.0度である。
図24及び図25に、図23に示すモデルを3次元電磁界解析した結果から永久磁石84の各要素の動作点を表す変数を求め、永久磁石84の表面にゾーンコンターを表示した結果を示す。図24及び図25は、同一の永久磁石84を半径方向内側及び外側から見たものである。ゾーンコンターのスケール55は、−0.2から1.2である。なお、図24及び図25は、ロータを回転させた3次元電磁界解析の結果から、図12、図14及び図16の場合と同様に、永久磁石の各要素について動作点を表す変数の最大値を取った場合の結果を示したものである。
図26に、図25に示した永久磁石の動作点を表す変数の計算結果から、上述してきた方法と同じ方法でヒストグラム89を描いた結果を示す。ただし、上述してきた実施例は、2次元電磁界解析結果を示したものであり、従ってヒストグラム及び積算したヒストグラムは、永久磁石の面積に関するものであった。本実施例は、3次元電磁界解析の例であるから、当然、ヒストグラム値88は、永久磁石の体積に関する。
図27に、図26に示したヒストグラム89から構成した、積算したヒストグラム91を示す。図27の縦軸は、積算したヒストグラム値90であるが、図26と同様に、永久磁石の体積に関する。
図26及び図27において、これまでの実施例と同様に、永久磁石84の、動作点を表す変数87で表したクニック点の値66を0.65とすると、図26のヒストグラム89から、動作点がクニック点を超える永久磁石の部分がわずかにあることが分かる。更に、図27の縦軸の値92を98.0とすると、積算したヒストグラム91、点66及び縦軸の値92から、動作点がクニック点を超える永久磁石の部分の体積は、永久磁石の全体積に対して、100.0−98.0=2.0(%)であることが定量的に分かる。従って、永久磁石の全体積の2.0%の部分が減磁してしまうことが定量的に分かる。
以上の実施例5〜11では、動作点を表す変数を図7及び図9に示すように取った場合についての例を示してきた。これらの実施例から、例えば、動作点分布のクニック点側上限とクニック点の関係を、動作点を表す変数に換算して、これを安全率としてモータを研究・開発・設計することができる。そこで、次に、更に直接的に動作点とクニック点の関係を表すための、本発明の実施例を示す。
図28に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。図28は、図26と同一の電磁界解析からの計算結果を示す。
図28において、動作点を表す変数93は、図26の横軸(動作点を表す変数87)を、クニック点の値66である0.65を原点として反転したものである。この動作点を表す変数93の取り方は、図29に示す動作点を表す変数の定義方法と等価である。図29については、次に説明する。ヒストグラム94の値は、図26の場合と同一である。
図29は、本実施例による、永久磁石の動作点の解析方法を示す図である。図29において、動作点を表す変数95の定義以外は、図9と同一である。動作点を表す変数95の原点は、クニック点42においてゼロと定義している。また、動作点を表す変数95は、磁界H軸と同じ向きを正の方向に取っている。本実施例では、動作点を表す変数95の目盛り間隔は、図9の場合と同一に取った。
このように定義した動作点を表す変数95は、動作点とクニック点の関係を直接的に表すことから、本実施例では「対クニック点尤度」と表現する。動作点41の磁界をHp、磁束密度をBp、クニック点42の磁界をHq、磁束密度をBqとすると、動作点41を表す変数は、次の式で書ける。
本実施例では図示しないが、動作点41を表す変数は、次のように定義しても良い。
式(24)のように定義した場合は、動作点がB軸上にある場合に、動作点41を表す変数の値が1.0となる。
ここで図28に戻ると、動作点を表す変数93は、対クニック点尤度として考えやすいことが分かる。すなわち、永久磁石のほとんどの部分は、対クニック点尤度すなわち動作点を表す変数93が正の領域に分布し、わずかな部分が負の値を持っていて減磁してしまう。このことは、図26の実施例において説明したことと等価であるが、本実施例では、動作点を表す変数93とクニック点との関係が更に明瞭になっていることが分かる。
図30に、図23に示したIPMSMの磁石一極分のモデルにおいて、通電電流300アンペアで通電電流の位相角を0.0度、40.0度及び80.0度とした場合の電磁界解析結果から、図26と同じ方法を用いて描いたヒストグラムを示す。ヒストグラム96、89及び97は、それぞれ通電電流の位相角が0.0度、40.0度及び80.0度の場合である。
図30から、通電電流の値が同一でも位相角が大きくなると、動作点を表す変数87が全体的に大きくなり、位相角が80.0度の場合には、永久磁石の一部において動作点がクニック点の値66を超えて減磁してしまうことが分かる。
図31に、図28と同一の方法で構成したヒストグラムを示す。ヒストグラム98、99及び100は、それぞれ図30のヒストグラム96、89及び97に対応する。横軸93は、上述したように対クニック点尤度と考えると分かりやすい。
図31では、電流位相角が0.0度の場合のヒストグラム98は、クニック点に対し尤度を有すること、電流位相角が40.0度の場合のヒストグラム99は、その下限がクニック点に近づいて尤度がほとんどないこと、電流位相角が80.0度の場合のヒストグラム100は、その下限がクニック点を下回り、永久磁石の一部が減磁してしまうこと等が、図30よりも更に明瞭に分かりやすい。
なお、実施例には示していないが、本発明によれば、図28及び図31に示したヒストグラムの横軸に関する積算値を縦軸とするグラフを描くことができる。また、図29に示した定義における動作点を表す変数による永久磁石のゾーンコンターを、図24等と同様に描くことができる。これらは、対クニック点尤度の観点で更に分かりやすい。
以上に述べた実施例は、永久磁石が一つの場合であった。しかし、本発明は、当然、計算領域の中に複数の永久磁石がある場合にも適用できる。例えば、永久磁石毎にヒストグラムを表示し、または永久磁石毎のヒストグラムを一つのグラフにまとめて描けば良い。
以上に記載した実施例では、減磁曲線すなわちB−H曲線が、永久磁石の中で均一な場合を示してきた。
ところで、永久磁石の残留磁束密度B及び保磁力は、温度が上昇すると一般に変化する。従って、永久磁石内部に温度分布がある場合には、永久磁石内部で減磁曲線が不均一となることを考慮する必要がある。また、例えば、Nd磁石に重希土類元素のディスプロシウム・Dyを拡散する製法においては、永久磁石内部でDy濃度に分布が生じることがあることから、やはり、永久磁石内部で減磁曲線が不均一となることを考慮する必要が生じる。以下では、一個の永久磁石の内部で減磁曲線が不均一となり、一個の永久磁石の内部に複数の減磁曲線が分布する場合における、本発明の実施例を示す。
図32に、一つの永久磁石の中に分布する複数の減磁曲線の例を示す。図32は、永久磁石の内部の温度分布によって、減磁曲線が分布する例である。すなわち、永久磁石の特性は、複数のB−H曲線で表されている。この場合には、永久磁石を分割した要素のそれぞれに対応するB−H曲線を用いて、要素のそれぞれにおける動作点を求める。
なお、図32では、説明を分かりやすくするために、誇張して描いている。本来、温度分布は連続的であるから、減磁曲線も連続的に無数に考える必要があるが、ここでは、簡単のために、3つの減磁曲線101、102及び103で代表して説明する。また、図を見やすくするために、符号及び引き出し線を一部省略してあるが、前述の実施例を参照することで、当業者であれば正確に理解できる。
減磁曲線101、102及び103は、それぞれ残留磁束密度点104、105及び106を有し、更にそれぞれクニック点107、108及び109を有する。減磁曲線101、102及び103に対応する永久磁石の部分の温度は、それぞれ相対的に低温、中温及び高温である。このように、一つの永久磁石の内部で複数の減磁曲線を考慮する必要がある場合でも、永久磁石の減磁に関する指標をできるだけまとめて表したい。
ここで、減磁曲線101、102及び103の残留磁束密度を、それぞれBr1、Br2及びBr3とする。クニック点107、108及び109について、磁界をそれぞれHq1、Hq2、及びHq3とし、磁束密度をそれぞれBq1、Bq2及びBq3とする。また、図示していないが、減磁曲線101、102及び103上の動作点について、磁界をそれぞれHp1、Hp2、及びHp3とし、磁束密度をそれぞれBp1、Bp2及びBp3とする。
図33に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法を示す。図33には3つの減磁曲線が描かれており、これらの減磁曲線は、図32に示した3つの減磁曲線101、102及び103と同一である。すなわち、符号は記していないが、図33では、上から順に、減磁曲線101、102及び103が描かれている。図を見やすくするため、図33では、図32と同一の符号及び引き出し線を省略している。
減磁曲線101、102及び103の上の動作点を表す変数の定義は、それぞれスケール110、111及び112に示されている。動作点を表す変数の定義スケール110、111及び112は、ぞれぞれ、クニック点107、108及び109を基準の値としている。基準の値は、本実施例ではゼロである。また、各スケール110、111及び112の目盛り間隔は、同一としている。
図29に示した実施例から容易に理解されるように、動作点を表す変数の定義スケール110、111及び112は、それぞれ減磁曲線101、102及び103の上で表した対クニック点尤度である。このように、動作点を表す変数を対クニック点尤度として表すことにより、永久磁石各部の減磁曲線が異なっても、永久磁石全体の動作点分布を対クニック点尤度という単一の指標で表すことができる。
減磁曲線101上の動作点を表す変数は、次の式で定義した。
同様に、減磁曲線102上の動作点を表す変数は、次の式で定義した。
同様に、減磁曲線103上の動作点を表す変数は、次の式で定義した。
式(25)〜(27)で、分母は、複数の減磁曲線の残留磁束密度の平均値である。
本実施例では図示しないが、動作点を表す変数を、次のように定義しても良い。すなわち、減磁曲線101上の動作点を表す変数は、
減磁曲線102上の動作点を表す変数は、
減磁曲線103上の動作点を表す変数は、
と、それぞれ定義しても良い。この場合は、各減磁曲線上において動作点がB軸上にある場合に、動作点を表す変数が1.0となる。
図34に、本実施例による、永久磁石の動作点の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。図34において、横軸113は、図33で定義した動作点を表す変数であり、上述のように対クニック点尤度と考えると分かりやすい。縦軸114は、永久磁石体積のヒストグラム値である。
ここで、計算対象は、図23に示したモータである。永久磁石84には、内周側に100℃、外周側に140℃、内周から外周にかけては温度が連続して変わるように、温度分布を与えている。この実施例における温度分布は、モータの熱解析によって計算した。当然、温度分布には、実測値を与えても良い。
図34は、本実施例における、永久磁石の体積ヒストグラムを示す図である。上述のモータに、位相角20度の通電電流300アンペアを流した電磁界解析結果から、図33に示した方法に従って、永久磁石84の各部の動作点を表す変数を求め、対応する永久磁石部分の体積ヒストグラムを構成した。このように、永久磁石に温度分布があり、減磁曲線に分布がある場合でも、図33のように動作点を表す変数を定義することにより、対クニック点尤度の観点という一つの指標で表すことができる。
以上に、動作点を表す変数をB−H曲線上の線形で表した場合の実施例を示した。その中で、ヒストグラム表示の有効性を示した。
次に、動作点を従来のパーミアンス係数で表した場合にヒストグラム表示を適用した、本発明の実施例を示す。
図35に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果を示す。図35は、図18と同一のヒストグラムを示しているが、横軸が異なる。上段の横軸64は、図18と同一であり、下段の横軸115は、図6に示したパーミアンス係数を示している。なお、パーミアンス係数は、図6に示したパーミアンス係数に対応する値28に真空の透磁率μ0を乗じた値であるが、図35では真空の透磁率μ0を省略した。
図6と図17を比較することによって、動作点を表す変数を示す横軸64を横軸115に変換することは容易である。両者を表す数式から変換しても良いし、直接、パーミアンス係数の横軸115を用いてヒストグラムを構成しても良い。
図36は、同様な方法で、横軸をパーミアンス係数として、図26から構成したヒストグラムである。図36では、横軸にパーミアンス係数116のみを示した。
図37に、図36に示したヒストグラムを、横軸に関して等目盛りで表示した結果を示す。図37は、動作点を表す変数を、パーミアンス係数の等目盛りで表したヒストグラムである。このように、動作点を表す変数をパーミアンス係数で表した場合にも、対応する永久磁石の体積をヒストグラムで表示することができ、このことも本発明の一部である。
以上に、減磁曲線が直線と見なせる場合について、本発明の実施例を示してきた。本発明は、減磁曲線を図1に示すような実際のB−H曲線に即して曲線として扱う場合にも適用できる。
図38に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムによる表示結果の動作を示すために用いた減磁曲線を示す。減磁曲線120は、B−H曲線に関して曲線で定義されている。このとき、残留磁束密度点121をBr、また動作点122の磁束密度及び磁界をBp及びHpとする。また、非可逆減磁が急激に大きくなる点123の磁束密度及び磁界をBq及びHqとする。
このとき、図9及び式(18)と同様の考え方で動作点を表す変数を定義すると、次式となる。
また、図29及び数23と同様の考え方で動作点を表す変数を定義すると、次式となる。
数32の定義は、対クニック点尤度の観点であり、非可逆減磁が急激に大きくなる点123を実質的にクニック点と見なしている。
これまで述べてきた方法を、フローチャートに表現した実施例を以下に示す。
図39に、本発明による永久磁石の動作点解析方法の一実施形態による、永久磁石のB−H曲線上の位置、すなわち動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムの動作をフローチャート化して示す。図39に示したフローチャートに従い、演算装置である計算機は、入力手段、解析手段、記憶手段及び表示手段により、データの入力、解析、入力データや解析データの記憶、解析結果の表示などの処理を行う。以下、図39に示したフローチャートの説明をする。
Step1にて、入力手段により、電磁界解析及び動作点の解析に用いるB−H曲線が入力される。入力されたB−H曲線のデータは、記憶手段に記憶される。また、図示していないが、永久磁石を有限個の要素に分割した要素データも入力され、記憶手段に記憶される。
Step2にて、解析手段は、記憶手段に記憶されたB−H曲線のデータと永久磁石の要素データとを読出し、読み出したこれらのデータに基づき、永久磁石を含んだ解析モデルに電磁界解析を行う。このとき、熱解析や応力解析を同時に行うこともできる。
Step3にて、解析手段は、解析結果から、永久磁石を構成する各要素の磁束密度B及び磁界Hを計算する。
Step4にて、解析手段は、永久磁石の要素毎に動作点を表す変数を計算する。動作点を表す変数の定義方法は、上述してきた実施例を参考にすれば良い、例えば、式(16)から式(32)のいずれかを採用して定義すれば良い。
Step5にて、解析手段は、磁石要素体積の動作点を表す変数に関するヒストグラムを構成する。ここで、解析モデルが2次元の場合は、磁石要素面積のヒストグラムを構成する。上述してきた実施例を参考にすれば、例えば、図18に示したようなヒストグラムを構成する。
Step6にて、表示手段は、動作点がクニック点を超えるヒストグラムの総和を、全ヒストグラムの総和に対する相対値で表示する。上述してきた実施例を参考にすれば、例えば、図18において、領域67の面積をヒストグラムの全面積に対する相対値で表示する。本発明の解析方法及びこの解析方法を用いたプログラムのユーザは、永久磁石の中で、動作点がクニック点を超える領域(図18の領域67)の面積に相当する部分が非可逆減磁すると、定量的に判断することができる。
Step7にて、表示手段は、解析モデル中で永久磁石の部分の表面を、動作点を表す変数でゾーンコンター表示する。上述してきた実施例を参考にすれば、例えば、図13または図24に示したように表示する。Step6にて得た非可逆減磁を引き起こす永久磁石の割合と、Step7で得るゾーンコンターを併せて評価することにより、ユーザは、非可逆減磁する部分を定量的に把握することができる。
次に、永久磁石がその内部に温度分布を持つことによって、減磁曲線に分布ができる場合の解析方法を、図41を用いて説明する。図41は、本発明による永久磁石の動作点の他の解析方法、及びこの解析方法を用いたプログラムの動作を示すフローチャートである。図41に示したフローチャートに従い、演算装置である計算機は、入力手段、解析手段、記憶手段及び表示手段により、データの入力、解析、入力データや解析データの記憶、解析結果の表示などの処理を行う。以下、図41に示したフローチャートの説明をする。
Step1にて、入力手段により、電磁界解析及び動作点の解析に用いるB−H曲線が入力される。併せて、B−H曲線の温度に関する依存性のデータが入力される。入力されたB−H曲線のデータとB−H曲線の温度に関する依存性のデータは、記憶手段に記憶される。また、図示していないが、永久磁石を有限個の要素に分割した要素データも入力され、記憶手段に記憶される。
Step2にて、解析手段は、記憶手段に記憶されたB−H曲線のデータと永久磁石の要素データとを読出し、読み出したこれらのデータに基づき、永久磁石を含んだ解析モデルに、電磁界解析を行う。
Step3にて、解析手段は、Step2で得られた渦電流発熱及びヒステリシス損失発熱などの条件を用いて、温度解析を行う。
Step4にて、解析手段は、Step3で得られた永久磁石の温度分布、及びStep1で記憶手段に記憶されたB−H曲線の温度に関する依存性のデータを用いて、永久磁石の要素毎にB−H曲線を補正する。
Step5にて、解析手段は、B−H曲線の補正値がしきい値より小さくなったか否かを判断する。ここで、しきい値は、ソフトウエアが設定しても良いし、ユーザが入力手段により入力しても良い。補正値がしきい値以上であった場合は、Step2に戻り、補正したB−H曲線を用いて電磁界解析を行う。補正値がしきい値を下回った場合は、温度解析と電磁界解析が収束したと見なし、Step6に進む。
Step6にて、解析手段は、減磁耐力解析を行う。この減磁耐力解析は、図39に示したフローチャートのStep3からStep7までの処理を含む。
本発明による永久磁石の動作点解析方法及び永久磁石の動作点解析プログラムでは、解析方法またはプログラムそれ自体によってヒストグラムを表示しない場合であっても、ヒストグラム表示用データを出力していても良い。このヒストグラム表示用データは、典型的には、動作点を表す変数値とヒストグラム値のカラムを有するテキストデータであり、表計算ソフトにて読み込んでグラフ表示することができる。テキストデータでなく、ヒストグラムを表示するソフトウエアに適したデータ形式で出力しても良い。
ヒストグラム表示用データは、演算装置である計算機が備える解析手段が、動作点を求めた後に出力する。出力先は、計算機が備える記憶手段でも良く、計算機に接続された外部記憶装置でも良い。
31、38、104、105、106、121…残留磁束密度点、32…保磁力点、34、101、102、103、120、124…減磁曲線、35、37、46、47、64、87、93、95…動作点を表す変数、36、41、122…動作点、39、43…減磁曲線の直線部分、42、107、108、109、126、127、128…クニック点、44…半直線、45…交点、50…ステータコア、51…ティース、52…巻線コイル、53…ロータコア、54、60…永久磁石、55…ゾーンコンターのスケール、56…減磁側の領域、57…増磁側の領域、58、63、70、71、72、73、74、89、94、96、97…ヒストグラム、59…ゾーンコンター、61…グレーの薄い領域、62…グレーの濃い領域、65、88…ヒストグラム値、66…クニック点の値、67…クニック点を超える領域、68、90…積算したヒストグラム値、69、80、81、82、92…縦軸の値、75、76、77、78、79、91…積算したヒストグラム、83…ロータコア、84…永久磁石、85…ステータコア、86…巻線、110、111、112…スケール、113、115…横軸、114…縦軸、116…パーミアンス係数、119…エアギャップ、123…非可逆減磁が急激に大きくなる点、125…曲線、129、130、131…保磁力bHc、132…固有保磁力iHc、133…動作点の値、150…任意に設定した動作点の値を超える領域。
Claims (28)
- 解析手段と記憶手段と表示手段を備える演算装置を用いて、永久磁石の磁束密度−磁界曲線と前記永久磁石を有限個の要素に分割した要素データとに基づいて電磁界解析を行い、前記永久磁石の動作点を求める永久磁石の動作点解析方法において、
入力された前記磁束密度−磁界曲線のデータを前記記憶手段に記憶するステップと、
前記解析手段を介して、前記記憶手段が記憶した前記磁束密度−磁界曲線のデータに基づいて、前記電磁界解析を行い、前記永久磁石の複数の部位における磁束密度と磁界を求めるステップ、及び、前記電磁界解析の結果から、前記磁束密度−磁界曲線の第1象限、第2象限、第3象限及びこれらの象限の間で連続的に変化し且つ磁束密度及び磁界に対して線形に変化する変数を用いることにより、前記要素のそれぞれにおける前記動作点を求めるステップとを備える、
ことを特徴とする永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点が前記磁束密度−磁界曲線の磁束密度軸切片上にある場合を、前記動作点を表す前記変数の基準に取る永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項2記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点を表す前記変数は、前記基準の値をゼロとし、かつ、前記磁束密度−磁界曲線の第1象限にある前記動作点をマイナスの値で表す永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項2または3記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点を表す前記変数は、前記磁束密度−磁界曲線の磁界軸切片上にある前記動作点の値を1とし、かつ、前記磁束密度−磁界曲線の第3象限にある前記動作点を1より大きい値で表す永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項4に記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点の磁束密度及び磁界をそれぞれBp及びHpとし、前記磁束密度−磁界曲線の磁束密度軸切片及び磁界軸切片をそれぞれBr及びbHcとしたとき、前記動作点を表す前記変数は、Hp/bHcまたは1−(Bp/Br)で表される永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点が前記磁束密度−磁界曲線の磁界軸切片上にある場合を、前記動作点を表す前記変数の基準に取る永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項6記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点を表す前記変数は、前記基準の値をゼロとし、かつ、前記磁束密度−磁界曲線の第3象限にある前記動作点をマイナスの値で表す永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項6または7記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点を表す前記変数は、前記磁束密度−磁界曲線の磁束密度軸切片上にある前記動作点の値を1とし、かつ、前記磁束密度−磁界曲線の第1象限にある前記動作点を1より大きい値で表す永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項8に記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点の磁束密度及び磁界をそれぞれBp及びHpとし、前記磁束密度−磁界曲線の磁束密度軸切片及び磁界軸切片をそれぞれBr及びbHcとしたとき、前記動作点を表す前記変数は、1−(Hp/bHc)またはBp/Brで表される永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点が前記磁束密度−磁界曲線のクニック点にある場合を、前記動作点を表す前記変数の基準に取る永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項10記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点を表す前記変数は、前記基準の値をゼロとする永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項11記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点の磁束密度をBpとし、前記磁束密度−磁界曲線の磁束密度軸切片をBrとし、前記クニック点の磁束密度をBqとするとき、前記動作点を表す前記変数は、(Bp−Bq)/Brまたは(Bp−Bq)/(Br−Bq)で表される永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記磁束密度−磁界曲線を磁化−磁界曲線で表し、前記動作点が前記磁化−磁界曲線の磁界軸切片上にある場合を、前記動作点を表す前記変数の基準に取る永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項13記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点を表す前記変数は、前記基準の値をゼロとする永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項14記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記動作点の磁界をHpとし、前記磁化−磁界曲線の磁界軸切片を固有保磁力iHcとしたとき、前記動作点を表す前記変数は、1−(Hp/iHc)で表される永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1から15のいずれか1項記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記表示手段がヒストグラムを表示するステップを備え、
前記ヒストグラムの横軸は、前記動作点を表す前記変数であり、
前記ヒストグラムの縦軸は、前記電磁界解析が2次元解析の場合には、前記動作点を表す前記変数に対する前記要素の面積であり、前記電磁界解析が3次元解析の場合には、前記動作点を表す前記変数に対する前記要素の体積である永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項16記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記ヒストグラムを表示するステップでは、前記ヒストグラムは、総和が1または100に規格化されている永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項16または17記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記ヒストグラムを表示するステップでは、前記磁束密度−磁界曲線のクニック点を表す動作点、前記永久磁石の固有保磁力iHcを表す動作点、及びユーザにより任意に指定された1つまたは複数の動作点のうち、少なくとも1つの動作点を前記横軸上に表示する永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項18記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記ヒストグラムを表示するステップでは、前記横軸上に表示した前記少なくとも1つの動作点の値を境界として、前記ヒストグラムを複数の領域に分割し、分割した前記領域のうち、少なくとも一つの領域についてヒストグラムの値の和を計算して表示する永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項19記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記ヒストグラムを表示するステップでは、分割した前記領域のうち、前記境界に対応する磁界の絶対値よりも、磁界の絶対値が大きい動作点で表される方の領域を、前記永久磁石が非可逆減磁する領域であるとして表示する永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1から20のいずれか1項記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記電磁界解析が複数の解析ステップを含む場合には、前記要素のそれぞれについて、複数の前記解析ステップの中で最も磁界の絶対値が大きい動作点を、前記電磁界解析における前記動作点とする永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1から21のいずれか1項記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記永久磁石の特性が複数の前記磁束密度−磁界曲線で表される場合には、前記要素のそれぞれに対応する前記磁束密度−磁界曲線を用いて、前記要素のそれぞれにおける前記動作点を求める永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項22記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記記憶するステップでは、前記記憶手段が、入力された前記磁束密度−磁界曲線の温度依存性データを記憶し、
前記磁束密度と磁界を求めるステップでは、前記解析手段が、前記記憶手段が記憶した前記磁束密度−磁界曲線のデータと前記温度依存性データを用いて、前記電磁界解析と温度解析を行って前記磁束密度−磁界曲線を補正し、
前記動作点を求めるステップでは、補正された前記磁束密度−磁界曲線を用いて、前記要素のそれぞれにおける前記動作点を求める永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1から23のいずれか1項記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記表示手段は、前記永久磁石の形状を表示し、かつ、前記動作点を表す前記変数の値によるコンター図を、白黒またはカラーで前記永久磁石の形状に重ねて表示する永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項16から24のいずれか1項記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記動作点を求めるステップでは、前記解析手段が、前記ヒストグラムを表示するためのヒストグラム表示用データを出力し、前記ヒストグラム表示用データには、前記ヒストグラムの横軸と縦軸についてのデータが含まれる永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項16項記載の永久磁石の動作点解析方法において、
前記ヒストグラムの横軸には、前記動作点を表す前記変数と、前記動作点を表すパーミアンス係数とを表示する永久磁石の動作点解析方法。 - 請求項1から26のいずれか1項記載の永久磁石の動作点解析方法における一連のプロセスをコーディングしていることを特徴とする永久磁石の動作点解析プログラム。
- 請求項27記載の永久磁石の動作点解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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