JP2012046683A - ギヤ油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基油にポリスルフィド化合物を配合する。ポリスルフィド化合物としてジスルフィド化合物,トリスルフィド化合物,テトラスルフィド化合物,ペンタスルフィド化合物を併用する。各スルフィド化合物の組成比率を、各スルフィド化合物の活性度と、各スルフィド化合物の銅金属に対する銅板の腐食減量とに基づいて定める。これにより、容易かつ簡便にAPIサービス分類におけるGL−5のギヤ油組成物を得ることができる。
【選択図】なし
Description
一般に、低粘度化すると極圧性や耐摩耗性が低下する傾向となるから、これを解決するために、極圧剤の活性を上げるか、或いは極圧剤の量を増やすのが一番効果的であるが、一方では酸化安定性が悪化してしまうこととなる。そして、極圧剤の活性を下げるか、或いは極圧剤の量を減らすと、極圧性や耐摩耗性が下がってしまうという悪循環が見られる。
一方で、活性度を下げると、低温側では分解が起きず、高温側で分解が始まるようになり、熱・酸化安定性が増して前述のような性状の変化が小さいが、耐焼付き性や耐摩耗性が大幅に低下することとなる。従って、活性度のコントロールが非常に難しい。
こうしたことから、先に、出願人らは、適当な極圧性能を得るためにジアルキルトリサルファイドを使用したギヤ油組成物を提供した。(特許文献1)
一方では、硫黄-硫黄結合の数が増えていくにつれて、分解が起きやすくなり、金属表面でのしゅう動によって起るミクロでの焼付きによる温度上昇により、効果的にスルフィド化合物が分解して、金属表面に硫化鉄の反応被膜が形成されて焼き付きや摩耗を防ぐことが出来るようになる。
「S2wt%+S3wt%+S4wt%+S5wt%=100wt%」
であり、上記ポリスルフィド化合物の硫黄分の合計がギヤ油組成物中の1.4〜1.8wt%の範囲にする。
そして、上記ジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物、ペンタスルフィド化合物の各々についての銅板腐食性試験(JIS K 2513準拠:150℃で8時間)を行ったときの各腐食減量〔腐食減量(mg)=試験前の銅版重量−試験後の銅版重量〕を夫々W2、W3、W4、W5とするときに、「〔(S2×W2)+(S3×W3)+(S4×W4)+(S5×W5)〕/100=12±3」の式が成立するようにして、APIサービス分類のGL−5に相当するギヤ油組成物とするものである。
これにより、低粘度であって、極圧性、耐摩耗性、酸化安定性などを下げずに、良好なバランスの取れたギヤ油組成物を確実かつ容易に得ることができるものである。
(化1)
A−Sx−A (1)
特に好ましいものとしては、ジ-t-ブチルジスルフィド、ジ-t-ブチルトリスルフィド、ジ-t-ブチルテトラスルフィド及びジ-t-ブチルペンタスルフィドがある。
S2wt%+S3wt%+S4wt%+S5wt%=100wt%
の式が成立するように構成比率を決めるものである。なお、上記各構成比率の2つ以下
が0wt%の場合があってもよい。
試験用のよく磨いた銅板を試験管に30ml採った各ポリスルフィド化合物の硫黄分を1.4〜1.8wt%になるように基油に添加した試料中に完全に浸漬し、試験温度を150±1℃とし、試験時間を8時間±5分として恒温槽中に保持した後に、以下の処理を行う。
上記試験管を恒温槽から取り出し、試験管内の試料と銅板をビーカーに静かに移す。直ちに銅板をステンレス鋼製のピンセットでつまみ出し、新しい試料中に浸した後、洗浄用溶剤に浸して、銅板に付着した試料を洗い落とす。次に適当量の洗浄用溶剤を入れた試験管内に銅板を入れ、超音波洗浄器(出力200W 発振周波数39kHz以上のもの)により15分間洗浄する。この超音波洗浄を5回繰り返す。超音波洗浄終了後の銅板をろ紙で挟み、わずかに洗浄用溶剤で湿らした脱脂綿で強くこすり、新しい脱脂綿に汚れがつかなくなるまで全面をこする。その後、乾いた脱脂綿で銅板全面を軽くふき取り、直ちに重量測定を行う。
腐食減量(mg)=試験前の銅板重量−試験後の銅板重量
ジスルフィド化合物の腐食減量をW2、トリスルフィド化合物の腐食減量をW3、テトラスルフィド化合物の腐食減量をW4、ペンタスルフィド化合物の腐食減量をW5とする。
この腐食減量の数値は、ジスルフィド化合物からペンタスルフィド化合物へと、硫黄の数が増すに従って大きな数値となって表れる。
〔(S2×W2)+(S3×W3)+(S4×W4)+(S5×W5)〕/100
=12±3
すなわち、この式が成立つように、ジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物、ペンタスルフィド化合物を配合して使用することとなる。
例えば、本発明のギヤ油組成物には、良く知られた各種の酸化防止剤を配合することにより酸化安定性は多少改善できるが、上記したようにポリスルフィド化合物を配合しているので、酸化防止剤の効果に限界があることは注意すべきことである。酸化防止剤としては、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミンおよびヒンダードフェノール類から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルキル基の炭素数が16を越えると油への溶解性が低下することがある。また、R1およびR2は、同一であっても、異なっても良い。
上記の直鎖または分枝鎖のアルキル基の具体例としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、メチルオクチル、エチルペプチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシルなどが挙げられる。
アルキル化ジフェニルアミンの含有割合は、ギア油組成物中に、0.05〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。含有割合が0.05質量%未満であると十分な酸化防止能が得られないことがあり、2質量%を越えると効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
R3の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、エチルヘプチル、n−デシル、1−メチルノニル、n−ウンデシル、1,1−ジメチルノニル、n−ドデシル、n−テトラデシルなどが挙げられる。
アルキル化フェニル−α−ナフチルアミンは、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
アルキル化フェニル−α−ナフチルアミンの含有割合は、ギア油組成物中に0.05〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。含有割合が0.05質量%未満であると十分な酸化防止能が得られないことがあり、2質量%を越えると効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
また、R6は、炭素数1〜5のアルキレン基であり、好ましくは、炭素数1〜4のアルキレン基である。
また、nは、1〜4の整数であり、好ましくは、1〜3である。
ヒンダードフェノール類の含有割合は、ギア油組成物中に、0.05〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。含有割合が0.05質量%未満であると十分な酸化防止能が得られないことがあり、2質量%を越えると効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
また、ホウ素変性コハク酸イミド系無灰分散剤としては、イミド化に際してポリアミンの一端に無水コハク酸が付加したモノタイプコハク酸イミドおよび/またはポリアミンの両端に無水コハク酸が付加したビスタイプコハク酸イミドを、ホウ素変性させたコハク酸イミドが挙げられる。
ホウ素変性コハク酸イミド系無灰分散剤は、上記式7で示されるコハク酸イミドに、ホウ酸、ホウ酸塩またはホウ酸エステル等のホウ素化合物を作用させることにより得ることができる。ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸またはテトラホウ酸が挙げられる。
窒素/ホウ素(N/B)質量比が2〜4のホウ素変成コハク酸イミドと、N/B質量比が0.5〜1.5のホウ素変成コハク酸イミドとの混合物が好ましい。このような混合物として配合する場合のホウ素変成コハク酸イミドの含有割合は、組成物全量基準で0.5〜4質量%が好ましい。一方、ホウ素変成コハク酸イミドの含有割合は、ギア油組成物中に0.5〜6質量%が好ましい。
本発明において、ホウ素変性ビスタイプコハク酸イミド系無灰分散剤の含有割合は、摩耗防止性を向上させるために、ギア油組成物中に2〜10質量%、好ましくは3〜8質量%、より好ましくは4〜7質量%であり、さらに詳しくは、窒素含有量基準での含有割合は、0.03〜0.15質量%、好ましくは0.05〜0.12質量%、より好ましくは0.07〜0.11質量%である。
防錆剤としては、例えば、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキルまたはアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が使用可能である。
これら防錆剤の好ましい配合量は、ギア油組成物中に0.01〜5質量%の範囲であり、0.05〜2質量%の範囲が特に好ましい。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、またはβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリルが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコール、またはフルオロアルキルエーテルが挙げられる。
これらの添加剤成分は、本発明に好ましく用いることができる成分の幾つかの例である。これら添加剤の例は、本発明を説明するために記されるのであって、本発明を限定しようとするものではない。
最近では、自動車の高性能化によって高速化、低騒音化による自動車の駆動系各部のパック化によって、冷却効率が低下してトランスミッション油やハイポイドギア油の運転油温が上昇し、ギア油の熱・酸化安定性が不足して、様々なトラブルが発生するために、極圧性能と同時に高い熱・酸化安定性が要求されるようになっているが、本発明によってギア油の中でも、最も高い極圧性を必要とする、APIサービス分類のGL-5のハイポイドギア油に使用することが可能となる。
実施例及び比較例の調製にあたり、下記の組成材料を用意した。
1.基油
(1−1)基油A: グループ1の鉱油(特性値:40℃動粘度;464.9mm2/s、100℃動粘度;31.19mm2/s、粘度指数;97、硫黄分;1.08wt%)
(1−2)基油B: グループ3の鉱油(特性値:40℃動粘度;23.65mm2/s、100℃動粘度;5.04mm2/s、粘度指数;146、硫黄分;0.0067wt%)
(2−1)ジスルフィド化合物: ジ・t−ブチルジスルフィド
(2−1)トリスルフィド化合物: ジ・t−ブチルトリスルフィド
(2−1)テトラスルフィド化合物: ジ・t−ブチルテトラスルフィド
(2−1)ペンタスルフィド化合物: ジ・t−ブチルペンタスルフィド
3.リン酸化合物
(3−1)リン酸エステルA: 2−エチルヘキシル酸性リン酸エステルの2−エチルヘキシルアミン(P含量;7.1wt%)
(3−1)リン酸エステルB: 2−エチルヘキシル酸性リン酸エステルのオレイルアミン塩(P含量;5.44wt%)
(3−3)チオリン酸エステルA: アルキルジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸エステル(P含量;10.5wt%、S含量;21.3wt%)
(3−4)チオリン酸エステルB: アルケニルジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸エステル(P含量;10.6wt%、S含量;22.0wt%)
4.コハク酸イミド: アルケニルコハク酸イミド誘導体
5.消泡剤: ジメチルシロキサン
上記した組成材料を用いて、表1に示す組成により実施例1〜3、比較例1〜4のギヤ油組成物を調製した。
そしてこのポリスルフィド化合物の各スルフィド化合物を含んだギア油組成物について、次のように150℃で8時間の銅腐食を行って各スルフィド化合物の腐食減量を測定した。
ジ-t-ブチルジスルフィド、ジ-t-ブチルトリスルフィド、ジ-t-ブチルテトラスルフィド及びジ-t-ブチルペンタスルフィドについて、各々の硫黄分が1.4wt%になるように基油Aと基油Bを混合した混合基油に添加して溶解したサンプルを用いて、150℃、8時間での試験を行ったところ、上記各スルフィド化合物の腐食減量は、ジ-t-ブチルジスルフィドが0.01mg、ジ-t-ブチルトリスルフィドが4.6mg、ジ-t-ブチルテトラスルフィドが12mg、ジ-t-ブチルペンタスルフィドが144mgとなった。
上記したポリスルフィド化合物のジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物、ペンタスルフィド化合物の各試料について、上記した銅板腐食性試験によって求めた各腐食減量(W2,W3,W4,W5)と、ポリスルフィド化合物の各試料の構成比率(S2,S3,S4,S5)によって、次式によりポリスルフィド化合物の活性度指数を計算した。
〔(S2×W2)+(S3×W3)+(S4×W4)+(S5×W5)〕/100=
評価基準: 12±3の範囲・・・・・○
12±3の範囲外・・・・×
上記実施例1〜3及び比較例1〜4の各ギヤ油組成物について、40℃動粘度(mm2/s)、100℃動粘度(mm2/s)、リン含量(wt%)、全酸度(mgKOH/g)、基油の合計硫黄分(wt%)、ポリスルフィド化合物の合計硫黄分(計算値)(wt%)、基油+添加剤の合計硫黄分(wt%)を求めた。
ポリスルフィド化合物の合計硫黄分の評価基準:
GL−5のギア油組成物として潤滑性を発揮するためには、市販ギア油においてシェル4球摩耗試験からSAE90の動粘度で、摩耗痕径が0.4mm以下になる必要があり、そのためにはギア油組成物中にポリスルフィド化合物の硫黄分として1.4〜1.8wt%が必要とされる。従って、
1.4〜1.8wt%の範囲・・・・・・○
1.4〜1.8wt%の範囲外・・・・・×
上記実施例1〜3及び比較例1〜4の各ギヤ油組成物について、その性能を見るために以下の試験を行った。
試験機器及び試験方法等は、ASTM D 2783に準拠し、融着荷重(WL)は10kgf刻み、最大非焼き付き荷重(LNL)は5kgf刻みで荷重を上昇させて、融着荷重(WL)および最大非焼付き荷重(LNL)を求めた。
試験機器および試験方法はJIS K 2514に準拠し、試料中に触媒を浸し、150±0.5℃で240±0.1時間、かき混ぜ棒で試料をかき混ぜて酸化させた後、未酸化油の性状と比較し、100℃粘度増加率(%)を以下の式により求める。
100℃粘度増加率%=
100×(100℃の試験後の劣化油動粘度−試験前の動粘度)/(100℃の試験前の動粘度)
上記ポリスルフィド化合物の活性度指数、各物性測定、各試験の結果を表1に示す。
実施例1〜3においては、上記ポリスルフィド化合物の各スルフィド化合物の合計量が100wt%になるよう配合にし、更にりん酸エステルや亜りん酸エステルやりん酸エステルのアルキルアミン塩、酸性チオリン酸エステル、酸性ジチオリン酸エステル又はこれらのアルキルアミン塩などのリン化合物をリン量で0.1wt%になるようにしている。
実施例1〜3は、シェル四球EP試験における融着荷重(WL)は250kgf以上であり、最大非焼き付き荷重(LNL)は100kgf以上であり、更にISOT粘度増加率(100℃)は11.4〜19.4%であって、良好な結果が得られている。
こうした良好な結果が得られている実施例1〜3におけるポリスルフィド化合物の合計硫黄分は1.457〜1.510wt%であって、1.4〜1.8wt%の範囲に入っており、また、ポリスルフィド化合物の活性度指数が9.078〜14.950であって、12±3の範囲に入っていることが判る。
これに対して、比較例1〜4のものは、ポリスルフィド化合物の活性度指数が8.350〜104.400であって12±3の範囲に入っていないものであり、比較例3ではポリスルフィド化合物の合計硫黄分は1.216wt%であって、1.4〜1.8wt%の範囲に入っていない。こうした比較例1〜3のものは、シェル四球EP試験における融着荷重(WL)は250kgf以上であって満足しているが、最大非焼き付き荷重(LNL)は90kgf以下であるし、ISOT粘度増加率(100℃)も25.1〜37.2と20%を超えており、好ましくないことが判る。また、比較例4は、ISOT粘度増加率(100℃)は13.5%で、シェル四球EP試験における最大非焼き付き荷重(LNL)は100kgfであって満足しているが、シェル四球EP試験における融着荷重(WL)は230kgfと劣っており、好ましく結果が得られていないことが判る。
Claims (5)
- 鉱油及び/または合成油の基油に、一般式(1)で表されるポリスルフィド化合物を含むギヤ油組成物であって、
(化1)
A−Sx−A (1)
(Aは各々独立してアルキル基,アルコキシ基,アルコキシアルキル基,アシロキシ基,アシロキシアルキル基,アリーロキシ基,アリーロキシアルキル基であり、xは2〜5の整数である。)
上記ポリスルフィド化合物を構成するジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物、ペンタスルフィド化合物の各構成比率をS2wt%、S3wt%、S4wt%、S5wt%とするとき、下記式(2)が成立し、
S2wt%+S3wt%+S4wt%+S5wt%=100wt% (2)
(但し、S2wt%、S3wt%、S4wt%、S5wt%の2つ以下が0wt%であるものを含む。)
上記ポリスルフィド化合物の硫黄分の合計がギヤ油組成物中の1.4〜1.8wt%であり、
上記ジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフィド化合物、ペンタスルフィド化合物の各々について銅板腐食性試験(JIS K 2513準拠:150℃で8時間)を行ったときの各腐食減量〔腐食減量(mg)=試験前の銅版重量−試験後の銅版重量〕をW2、W3、W4、W5とするときに、下記式(3)
〔(S2×W2)+(S3×W3)+(S4×W4)+(S5×W5)〕/100
=12±3 (3)
が成立することを特徴とするAPIサービス分類のGL−5に相当するギヤ油組成物。 - りん酸エステル、亜りん酸エステル、りん酸エステルのアルキルアミン塩、酸性チオリン酸エステル、酸性ジチオリン酸エステル又はこれらのアルキルアミン塩の1種以上から選択されるリン化合物及びチオリン酸エステル化合物の少なくとも一種以上を、ギヤ油組成物中にリン含量として0.08〜0.12wt%を更に含有する請求項1に記載のギヤ油組成物。
- 上記一般式(1)で表されるポリスルフィド化合物の「A」がいずれもt−ブチル基である請求項1または2に記載のギヤ油組成物。
- 酸化安定度試験(JIS K 2514;150℃で240時間)による100℃粘度増加率が20%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のギヤ油組成物。
- 極圧特性試験(ASTM D 2783:Measurement of Extreme-Pressure Properties of Lubricating Fluids)に準拠した試験による、5kgf単位で計測したときの最大非焼付き荷重値(LNL)が100kgf以上であり、10kgf単位で計測した融着荷重値(WL)が250kgf以上である請求項1〜4のいずれかに記載のギヤ油組成物。
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