JP2012045909A - 画像形成装置、及び、画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】滲みを抑制し、画質の向上を図る。
【解決手段】複数のノズルを有するキャリッジを移動方向に移動させながら各ノズルからインクを吐出することに基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置であって、光の照射によって硬化する第1インクを吐出可能な第1ノズルと、第1ノズルよりも移動方向の上流側の第2ノズルであって、光の照射によって硬化する第2インクを吐出可能な第2ノズルと、第1ノズルと第2ノズルの間に位置するようにキャリッジに設けられ、仮硬化用の光を照射可能な第1仮硬化用光源と、第2ノズルよりも移動方向の上流側に位置するようにキャリッジに設けられ、仮硬化用の光を照射可能な第2仮硬化用光源と、第1仮硬化用光源及び第2仮硬化用光源よりも媒体の搬送方向の下流側に設けられ、本硬化用の光を照射可能な本硬化用光源と、を有し、第2インクは、第1インクよりも硬化し難いインクである。
【選択図】図4

Description

本発明は、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
画像形成装置として、複数色のインクを媒体(例えば紙)に吐出することで画像を形成(印刷)するものがある(例えば、インクジェットプリンター)。このように複数色のインクによって画像を形成する場合、媒体に着弾したインク同士が接することによってインク間で滲みの生じるおそれがある。そこで、ドットが重ならない(あるいは接触しない)ようにドット径を制御することによって、インク間の滲みを抑制するようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005-119291号公報
上述したようにドット径を制御するようにしていても、製造誤差や着弾位置の誤差などによりドットが重なったり、接触したりする可能性がある。なお、このインク間の滲みの問題は、光(例えば紫外線(UV))の照射によって硬化するインク(例えばUVインク)を用いる場合に顕著になる。このようなUVインクを用いると、インクを吸収しにくい媒体にもドットを形成することができるが、この場合、先に形成されたドットが媒体に吸収されていない状態で、次のドットが形成されることになり、インク間(ドット間)で滲みの生じるおそれが高くなる。
そこで、本発明は、インク間の滲みを抑制し、画質の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、複数のノズルを有するキャリッジを媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動させながら各ノズルからインクを吐出することに基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置であって、光の照射によって硬化する第1インクを吐出可能な第1ノズルと、前記第1ノズルよりも前記移動方向の上流側の第2ノズルであって、光の照射によって硬化する第2インクを吐出可能な第2ノズルと、前記第1ノズルと前記第2ノズルの間に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第1ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第1仮硬化用光源と、前記第2ノズルよりも前記移動方向の上流側に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第2ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第2仮硬化用光源と、前記第1仮硬化用光源及び前記第2仮硬化用光源よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、媒体に本硬化用の光を照射可能な本硬化用光源と、を有し、前記第2インクは、前記第1インクよりも硬化し難いインクであることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
プリンターの構成を示すブロック図である。 プリンターのヘッド周辺の概略図である。 図3Aはプリンターの斜視図であり、図3Bは、プリンターの横断面図である。 ヘッドの構成の説明図である。 図5A〜図5Eは、第1実施形態の画像形成の様子の概略説明図である。 図6A、図6Bは、ドットの形成順序の違いによる比較を示す図である。 第2実施形態のヘッドの構成の説明図である。 第2実施形態のドット形成および仮硬化を説明するための図である。 第3実施形態のヘッドの構成の説明図である。 第3実施形態によって形成される画像の説明図である。 第4実施形態のヘッドの構成の説明図である。 第4実施形態によって形成される画像の説明図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
複数のノズルを有するキャリッジを媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動させながら各ノズルからインクを吐出することに基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置であって、光の照射によって硬化する第1インクを吐出可能な第1ノズルと、前記第1ノズルよりも前記移動方向の上流側の第2ノズルであって、光の照射によって硬化する第2インクを吐出可能な第2ノズルと、前記第1ノズルと前記第2ノズルの間に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第1ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第1仮硬化用光源と、前記第2ノズルよりも前記移動方向の上流側に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第2ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第2仮硬化用光源と、前記第1仮硬化用光源及び前記第2仮硬化用光源よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、媒体に本硬化用の光を照射可能な本硬化用光源と、を有し、前記第2インクは、前記第1インクよりも硬化し難いインクであることを特徴とする画像形成装置が明らかとなる。
このような画像形成装置によれば、インク間の滲みを抑制することができ、画質の向上を図ることができる。
かかる画像形成装置であって、前記第1仮硬化用光源の光の照射条件と、前記第2仮硬化用光源の光の照射条件は同じであることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、光の照射エネルギーを抑えつつ滲みを抑制することができる。
かかる画像形成装置であって、前記第1インクを吐出可能な第3ノズルと、前記第3ノズルよりも前記移動方向の下流側の第4ノズルであって、前記第2インクを吐出可能な第4ノズルと、をさらに有し、前記キャリッジが前記移動方向の逆方向に移動する際には、前記第3ノズルおよび前記第4ノズルによって媒体にドットを形成してもよい。
このような画像形成装置によれば、双方向で印刷を行う際の滲みを抑制することができる。
かかる画像形成装置であって、前記第3ノズルによって形成されたドットには、前記第2仮硬化用光源によって仮硬化用の光を照射し、前記第4ノズルによって媒体に形成されたドットには、前記第1仮硬化用光源によって仮硬化用の光を照射することが望ましい。
このような画像形成装置によれば、光源を増やすことなく効率的に仮硬化を行うことができる。
また、前記第1ノズルよりも前記移動方向の下流側の第3ノズルであって、前記第2インクよりも硬化し難い第3インクを吐出可能な第3ノズルと、前記第1ノズルと前記第3ノズルの間に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第3ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第3仮硬化用光源と、をさらに有し、前記第3仮硬化用光源の光の照射エネルギーを、前記第1仮硬化用光源及び前記第2仮硬化用光源の光の照射エネルギーよりも大きく、前記本硬化用光源の光の照射エネルギーよりも小さくしてもよい。
このような画像形成装置によれば、硬化しにくいインクを先に吐出する場合においても、滲みを抑制することができる。
また、複数のノズルを有するキャリッジを媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動させながら各ノズルからインクを吐出することに基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置による画像形成方法であって、光の照射によって硬化する第1インクを第1ノズルから吐出することと、前記第1ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射することと、光の照射によって硬化する第2インクを前記第1ノズルよりも前記移動方向の上流側の第2ノズルから吐出することと、前記第2ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射することと、媒体に本硬化用の光を照射することと、を有し、前記第2インクは、前記第1インクよりも硬化し難いインクであることを特徴とする画像形成方法が明らかとなる。
以下の実施形態では、画像形成装置としてシリアルプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
===第1実施形態===
<プリンターの構成について>
以下、図1、図2、図3A、図3Bを参照しながら本実施形態のプリンター1について説明する。図1は、プリンター1の構成を示すブロック図である。図2は、プリンター1のヘッド周辺の概略図である。また、図3Aはプリンター1の斜視図であり、図3Bは、プリンター1の横断面図である。
本実施形態のプリンター1は、紙、布、フィルムシート等の媒体に向けて、光の一種である紫外線(以下、UV)の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を吐出することにより、媒体に画像を印刷する装置である。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、UVの照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。なお、第1実施形態のプリンター1は、CMYKの4色のUVインクを用いて画像を印刷する。
プリンター1は、搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット10は、媒体(例えば、紙)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット10は、給紙ローラー11と、搬送モーター(不図示)と、搬送ローラー13と、プラテン14と、排紙ローラー15とを有する。給紙ローラー11は、紙挿入口に挿入された媒体をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー13は、給紙ローラー11によって給紙された媒体を印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーターによって駆動される。プラテン14は、印刷中の媒体を支持する。排紙ローラー15は、媒体をプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
キャリッジユニット20は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター(不図示)とを有する。また、キャリッジ21は、UVインクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。そして、キャリッジ21は、後述する搬送方向と交差したガイド軸24に支持された状態で、キャリッジモーターによりガイド軸24に沿って往復移動する。なお、以下の説明において、移動方向のうち往路の場合の方向を往路方向ともいい、復路の場合の方向のことを復路方向ともいう。往路方向と復路方向は、移動方向について逆方向になる。
ヘッドユニット30は、媒体に液体(本実施形態ではUVインク)を吐出するためのものである。ヘッドユニット30は、複数のノズルを有するヘッド(後述する)を備える。なお、ヘッドはキャリッジ21に設けられているため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、ノズルも移動方向に移動する。そして、ノズルが移動方向に移動中にUVインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が媒体に形成される。なお、ヘッドユニット30の構成については、後述する。
照射ユニット40は、媒体に着弾したUVインクに向けてUVを照射するものである。媒体上に形成されたドットは、照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより、硬化する。本実施形態の照射ユニット40は、仮硬化用照射部421〜424、及び本硬化用照射部44を備えている。
仮硬化用照射部421〜424は、キャリッジ21に設けられている。このため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、仮硬化用照射部421〜424も移動方向に移動する。そして、各仮硬化用照射部42は、キャリッジ21が移動中にそれぞれ媒体に仮硬化用のUVを照射する。
本硬化用照射部44は、キャリッジ21よりも搬送方向下流側に設けられている。つまり、本硬化用照射部44は、仮硬化用照射部421〜424よりも搬送方向下流側に設けられている。また、本硬化用照射部44の移動方向の長さは、印刷対象となる媒体の幅よりも長くなっている。そして、本硬化用照射部44は、搬送動作によって本硬化用照射部44の下に搬送された媒体に向けてUVを照射して媒体上のドットを硬化させる(後述する本硬化)。なお、仮硬化及び本硬化の詳細については後述する。
検出器群50には、リニア式エンコーダー(不図示)、ロータリー式エンコーダー(不図示)、紙検出センサー53、および光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダーは、キャリッジ21の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダーは、搬送ローラー13の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ21に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ21によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
印刷を行うとき、コントローラー60は、移動方向に移動中のキャリッジ21のノズルからUVインクを吐出させるドット形成動作と、搬送方向に紙を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、複数のドットから構成される画像を紙に印刷する。なお、以下、ドット形成動作のことを「パス」と呼ぶ。第1実施形態のプリンター1は、キャリッジ21が移動方向のうちの一方(例えば往路方向)に移動するときのみに各ノズルからUVインクを吐出する。すなわち、第1実施形態のプリンター1は単方向印刷(Uni−d印刷)を行う。なお、パスの際には、後述するように仮硬化も行なわれる。
<ヘッドの構成について>
図4は、ヘッドの構成の一例の説明図である。なお、図4はキャリッジ21の下部を上から透過して見た図である。
図4の例では、左側(往路方向の下流側)から順に、シアンインクヘッドHcと、マゼンダインクヘッドHmと、イエローインクヘッドHyと、ブラックインクヘッドHkが設けられている。各ヘッドは、それぞれA列とB列の2つのノズル列を有している。各色の2つのノズル列は、移動方向の位置が所定値ずれおり、また、搬送方向に半ノズルピッチ(D/2)分ずれている。すなわち、これらのノズル列に属する各ノズルは千鳥状に配置されている。本実施形態では、1つのノズル列は180個のノズルで構成され、隣り合うノズルNz同士が180dpi相当の間隔となるように設けられている。従って、1組(2つ)のノズル列を用いることで360dpi相当の印刷ができる。
各ノズル列のノズルには、搬送方向上流側のノズルほど若い番号が付されている。例えば、A列の最も搬送方向上流側のノズルは#1Aであり、B列の最も搬送方向上流側のノズルは#1Bである。各ノズルには、各ノズルからUVインクを吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。このピエゾ素子を駆動信号によって駆動させることにより、前記各ノズルから滴状のUVインクが吐出される。吐出されたUVインクは、媒体に着弾してドットを形成する。
また、キャリッジ21には、各色のヘッドと対応して仮硬化用照射部421〜424が設けられている。例えば、仮硬化用照射部421は、シアンインクヘッドHcとマゼンダインクヘッドHmの間の位置になるようにキャリッジ21に設けられている。また、仮硬化用照射部422はマゼンダインクヘッドHmとイエローインクヘッドHyの間の位置、仮硬化用照射部423はイエローインクヘッドHyとブラックインクヘッドHkの間の位置になるように、それぞれキャリッジ21に設けられている。さらに、仮硬化用照射部424は、ブラックインクヘッドHkよりも右側(往路方向についての上流側)になるようにキャリッジ21に設けられている。そして、キャリッジ21が往路方向に移動する際に、仮硬化用照射部421は、シアンインクヘッドHcの各ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用のUVを照射する。また、仮硬化用照射部422は、マゼンダインクヘッドHmの各ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用のUVを照射し、仮硬化用照射部423は、イエローインクヘッドHyの各ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用のUVを照射する。さらに仮硬化用照射部424は、ブラックインクヘッドHkによって媒体に形成されたドットに仮硬化用のUVを照射する。
<仮硬化及び本硬化について>
本実施形態では、媒体に着弾したUVインクにUVを照射することで、ドットを硬化させている。本実施形態のプリンター1では、照射ユニット40として、UVインクの仮硬化用のUV照射を行なう仮硬化用照射部421〜424と、本硬化用のUV照射行なう本硬化用照射部44を備えており、2段階の硬化を行なっている。
仮硬化とは、媒体に着弾したUVインクの流動(ドットの広がり)や、インク間の滲み(以下、ブリードともいう)を抑えるためのものである。また、本硬化とは、UVインクを完全に硬化させるためのものである。本硬化の方がUVの照射エネルギー(すなわちUVの照射量)が大きい。仮硬化用照射部421〜424及び本硬化用照射部44は、それぞれ媒体に向けてUVを照射するための光源を備えている。本実施形態において、仮硬化用照射部421〜424のUV照射の光源には、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。また本硬化用照射部44のUV照射の光源には、ランプ(メタルハライドランプ、水銀ランプなど)が用いられている。
<UVインクについて>
本実施形態のUVインクは、光重合開始剤と、モノマーと、オリゴマーと、顔料などを含有している。なお、UVインクの反応タイプとしては、ラジカル重合方式とカチオン重合方式がある。本実施形態ではラジカル重合方式を採用している。
ラジカル重合方式では、種々のアクリルモノマーあるいはオリゴマーを硬化成分としている。モノマーとは、高分子の基本構造の構成単位となり得る分子をいい、アクリルアミド、フェノキシエチルアクリレートなどが用いられる。オリゴマーとしてはウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが用いられる。
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類が多く用いられる。ラジカル重合方式では、これらの光重合開始剤を含むインクに光を照射すると、インクに含まれる光重合開始剤が特定波長の光を吸収してラジカルを発生する。そして、そのラジカルがモノマーをアタックすることで重合反応が進んでいく(硬化が進む)。
また、本実施形態ではインクの色材として、顔料が使用される。なお、顔料としては、特別な制限なしに無機顔料又は有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄などがある。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料など)、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料などを使用することができる。
なお、このようなUVインクにおいて、同一条件のUVの照射による硬化の度合いは同じではなく色ごとに異なる。例えば、本実施形態(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の場合、図4に示すように、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの順で硬化し難くなっている。言い換えると、シアンは最もブリードが起こり難く、ブラックは最もブリードが起こりやすい。本実施形態では、後述するように、このインクの硬化し難さの順序に応じて、インクの吐出順序(すなわちドットの形成順序)を定めている。
<第1実施形態の印刷動作>
次に、第1実施形態の印刷動作について説明する。
図5A〜図5Eは、第1実施形態の画像形成の様子の概略説明図である。なお、図では説明の簡略化のため、各色のヘッドの2つ(A列、B列)のノズル列の一方のみについて示している。また、ここでは、各色のドットを重ねて形成することとする。この図5A〜図5Eは、第1実施形態におけるドット形成動作(パス)の様子を順に示している。前述したように本実施形態のプリンター1はパスと搬送動作を交互に行うので、パスの際に媒体は搬送されていない(停止)状態となっている。
なお、第1実施形態では往路においてドットを形成し、復路ではドットを形成しない単方向印刷であることとする。各図はキャリッジ21が往路方向に移動する場合について順に示している。また、図において、媒体に形成された直後のドットを白色で示し、仮硬化のUVが照射された後のドットをハッチング(斜線)で示している。
最初、キャリッジ21は図の右端(復路方向側端)に位置している。コントローラー60は、キャリッジ21を往路方向に移動させる。キャリッジ21が印刷領域に入ると、コントローラー60は、まずシアンインクヘッドHcの各ノズルからシアンインクを吐出させる。これにより、図5Aに示すように媒体にシアンインクのドット(以下、シアンドットともいう)が形成される。
図5Bに示すように、コントローラー60は、キャリッジ21をさらに往路方向に移動させる。ここでも、コントローラー60は、シアンインクヘッドHcの各ノズルからシアンインクを吐出させる。これにより、図5Aで形成されたシアンドットの左側にシアンドットが形成される。また、コントローラー60は、仮硬化用照射部421から仮硬化用のUVを照射させる。これにより図5Aで形成されたシアンドットは仮硬化される。
そして図5Cに示すように、コントローラー60は、キャリッジ21をさらに往路方向に移動させる。ここでも、コントローラー60は、シアンインクヘッドHcの各ノズルからシアンインクを吐出させる。これにより、図5Bで形成されたシアンドットの左側にシアンドットが形成される。また、コントローラー60は、仮硬化用照射部421から仮硬化用のUVを照射させる。これにより図5Bにおいて形成されたシアンドットは仮硬化される。さらに、コントローラー60は、マゼンダインクヘッドHmの各ノズルからマゼンダインクを吐出させる。これにより、図5Bで仮硬化されたシアンドットの上にマゼンダインクのドット(以下、マゼンダドットともいう)が形成される。
続いて図5Dに示すように、コントローラー60は、キャリッジ21をさらに往路方向に移動させる。ここでも、コントローラー60は、シアンインクヘッドHcの各ノズルからシアンインクを吐出させる。これにより、図5Cで形成されたシアンドットの左側にシアンドットが形成される。また、コントローラー60は、仮硬化用照射部421から仮硬化用のUVを照射させる。これにより図5Cにおいて形成されたシアンドットは仮硬化される。さらに、コントローラー60は、マゼンダインクヘッドHmの各ノズルからマゼンダインクを吐出させる。これにより、図5Cで仮硬化されたシアンドットの上にマゼンダインクのドット(以下、マゼンダドットともいう)が形成される。また、コントローラー60は、仮硬化用照射部422から仮硬化用のUVを照射させる。これにより図5Cにおいて形成されたシアンドットは仮硬化される。
さらに、コントローラー60は、図5Eに示すように、キャリッジ21をさらに往路方向に移動させる。ここでも、コントローラー60は、シアンインクヘッドHcの各ノズルからシアンインクを吐出させる。これにより、図5Dで形成されたシアンドットの左側にシアンドットが形成される。また、コントローラー60は、仮硬化用照射部421から仮硬化用のUVを照射させる。これにより図5Dにおいて形成されたシアンドットは仮硬化される。さらに、コントローラー60は、マゼンダインクヘッドHmの各ノズルからマゼンダインクを吐出させる。これにより、図5Dで仮硬化されたシアンドットの上にマゼンダドットが形成される。また、コントローラー60は、仮硬化用照射部422から仮硬化用のUVを照射させる。これにより図5Dにおいて形成されたマゼンダドットは仮硬化される。また、コントローラー60は、イエローインクヘッドHyの各ノズルからイエローインクを吐出させる、これにより、図5Dで形成されたマゼンダドットの上にイエローインクのドット(以下、イエロードットともいう)が形成される。
同様にして、キャリッジ21が往路方向に移動する際に、コントローラー60は、ドットの形成と、仮硬化のUV照射を行う。これにより、媒体には、各ヘッドのA列とB列のノズル列のノズル数分のラスタラインが移動方向に沿って形成される。そして、キャリッジ21が往路方向端まで移動すると、コントローラー60は、キャリッジ21の移動方向を反転し、キャリッジ21を復路方向に移動させる。キャリッジ21が元の位置に戻ると、コントローラー60は、媒体を搬送方向に所定量搬送させる。
媒体が搬送方向に搬送されていくことで、媒体に形成されたドットは本硬化用照射部44の下を通る。このときコントローラー60は、本硬化用照射部44から本硬化用のUVを照射させる。これにより、媒体に形成されたドットは完全に硬化する。
<ドットの形成順序について>
本実施形態では、図4に示すインクの硬化し難さの順序に応じて、パスの際にシアンインク、マゼンダインク、イエローインク、ブラックインクと順にインクを吐出するようにしている。つまり、硬化し易いインクほど先に吐出し、硬化し難いインクほど後で吐出するようにヘッド(ノズル列)を配置している。
以下、この順序の設定の理由について説明する。
図6A、図6Bは、ドットの形成順序の違いによる比較を示す図である。なお、ここでは、説明の都合上、シアンとマゼンダのみについて示している。図6Aはシアンのドット(シアンドット)を先に形成し、シアンドットの仮硬化後にマゼンダのドット(マゼンダドット)を形成した場合を示しており、図6Bはマゼンダドットを先に形成し、マゼンダドットの仮硬化後にシアンドットを形成した場合を示している。なお、シアンよりもマゼンダの方が硬化し難く、シアンとマゼンダの仮硬化の条件(UVの照射エネルギーなど)は同じであるとする。
図6Bの場合、マゼンダドットに対する仮硬化のUV照射が弱く、仮硬化の後においてもマゼンダドットが広がり続けている。この状態で、マゼンダドットの上(あるいは隣接する位置)にシアンドットが形成されると、マゼンダとシアンの間でブリードが発生する可能性が高くなる。
これに対し、図6Aの場合、先に形成されたシアンドットは仮硬化のUV照射によってより確実に仮硬化されている(硬化の度合いが大きい)。このため、シアンドットの上(または隣接する位置)にマゼンダドットが形成されても、ブリードの発生する可能性が図6Bの場合よりも低くなる。
なお、図6Bの場合、マゼンダに対する仮硬化のUVの照射エネルギーを高くすると、シアンとマゼンダとの間でブリードを抑制することができる。しかしながら、この場合、UVの照射エネルギーを低く抑えられないことになる。また、もしUVの照射エネルギーを上げすぎると(ドットを硬化させすぎると)、次に形成されるドットがはじかれてしまうおそれがある。
よって、図6Aの順序でドットを形成(硬化し難いインクを後で形成)する方が、UV照射のエネルギーを低く抑えつつ、ブリードを抑制することができる。なお、このような関係は他のインク色についても同様である。
よって、本実施形態では、各仮硬化用照射部421〜424のUVの照射エネルギーを一定とし、硬化し難いインク(ブリードしやすいインク)ほど後で吐出するように各ヘッド(ノズル列)を配置している。例えば、4色のインクのうち最も硬化し難いブラックインクを吐出するブラックインクヘッドHkは、往路方向の最も上流側になるように、キャリッジ21に配置している。
こうすることによって、仮硬化のUV照射のエネルギーを低く抑えつつ、ブリードを抑制することができ、画質の向上を図ることができる。
===第2実施形態===
前述の第1実施形態では、単方向印刷(Uni−d印刷)であったが、第2実施形態ではキャリッジ21が往路方向に移動する際と、キャリッジ21が復路方向に移動する際の両方において媒体にドットを形成する双方向印刷(Bi−d印刷)を行う。
図7は、第2実施形態のヘッドの構成の一例の説明図である。なお、図7はキャリッジ21の下部を上から透過して見た図である。図7では、図の左側(往路方向の下流側)から順に、シアンインクヘッドHc1、ブラックインクヘッドHk2、マゼンダインクヘッドHm1、イエローインクヘッドHy2、イエローインクヘッドHy1、マゼンダインクヘッドHm2、ブラックインクヘッドHm1、シアンインクヘッドHm2が設けられている。なお、シアンインクヘッドHc1、マゼンダインクヘッドHm1、イエローインクヘッドHy1、ブラックインクヘッドHm1は、第1実施形態(図4)のA列のノズル列と同じノズル配置であり、図4と同じ番号(#1A、#2A・・・#180A)を付している。また、シアンインクヘッドHc2、マゼンダインクヘッドHm2、イエローインクヘッドHy2、ブラックインクヘッドHm2は、第1実施形態のB列のノズル列と同じノズル配置であり、図4と同じ番号(#1B、#2B・・・#180B)を付している。
このため、例えば、シアンインクヘッドHc1とシアンインクヘッドHc2では、搬送方向について各ノズルの位置がそれぞれノズルピッチDの半分ずれている。具体的には、シアンインクヘッドHc2のノズル#1Bは、搬送方向についてシアンインクヘッドHc1のノズル#1Aとノズル#2Aの中間に位置している。
また、第2実施形態では、仮硬化用照射部421は、シアンインクヘッドHc1とブラックインクヘッドHk2の間に設けられており、仮硬化用照射部422は、マゼンダインクヘッドHm1とイエローインクヘッドHy2の間に設けられている。また、仮硬化用照射部423は、イエローインクヘッドHy1とマゼンダインクヘッドHm2の間に設けられており、仮硬化用照射部424は、ブラックインクヘッドHk1とシアンインクヘッドHc2の間に設けられている。
図8は、第2実施形態のドット形成および仮硬化を説明するための図である。なお、図8において、使用する(インクを吐出する)ノズルを黒色で示し、使用しない(インクを吐出しない)ノズルを白色で示している。
まず、最初のパス(往路のパス)では、コントローラー60は、キャリッジ21を往路方向に移動させる際に、シアンインクヘッドHc1、マゼンダインクヘッドHm1、イエローインクヘッドHy1、ブラックインクヘッドHm1の各ノズルからインクを吐出させる。よって、媒体には、第1実施形態と同様に、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの順でドットが形成される。ただし、往路では、搬送方向について180dpi相当の印刷が行われる。
また、このパスにおいて、コントローラー60は、仮硬化用照射部421〜424からUVを照射させ、各ヘッドによってそれぞれ媒体に形成されたドットを仮硬化させる。例えば、仮硬化用照射部421は、シアンインクヘッドHc1によって形成されたシアンドットに仮硬化用のUVを照射する。
次のパス(復路のパス)では、コントローラー60は、キャリッジ21を復路方向に移動させる際に、シアンインクヘッドHc2、マゼンダインクヘッドHm2、イエローインクヘッドHy2、ブラックインクヘッドHm2の各ノズルからインクを吐出させる。これにより、媒体には、往路のパスで形成されたラスタライン間にラスタラインが形成される。往路と復路のパスによって、媒体には、搬送方向に360dpi相当の印刷が行われる。なお、図からわかるように、この復路においても、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの順でインクが吐出される。また、この復路のパスの際に、コントローラー60は、仮硬化用照射部421〜424からUVを照射させ、各ヘッドによって媒体に形成されたドットをそれぞれ仮硬化させる。ただし、復路では、各仮硬化用照射部がUVを照射するドット(ドットの色)は往路の場合と異なる。例えば、シアンとブラックに着目すると、往路では、シアンドット(シアンインクヘッドHC1によって形成されたドット)の仮硬化は仮硬化用照射部421によって行われ、ブラックドット(ブラックインクヘッドHk1によって形成されたドット)の仮硬化は仮硬化用照射部424によって行われる。これに対し、復路では、シアンドット(シアンインクヘッドHC2によって形成されたドット)の仮硬化は仮硬化用照射部424によって行われ、ブラックドット(ブラックインクヘッドHk2によって形成されたドット)の仮硬化は、仮硬化用照射部421によって行われる。このように、往路と復路において、各仮硬化用照射部で異なる色のドットの仮硬化を行うようにすることで、仮硬化用照射部の数を増やすことなく効率的に仮硬化を行うことができる。
復路のパスが終わると、コントローラー60は、媒体を搬送方向に所定量搬送させる。その後、コントローラー60は、同様の動作(パスと搬送動作)を繰り返し行なわせる。なお、第2実施形態においても、媒体が搬送方向に搬送されていくことで、媒体に形成されたドットは本硬化用照射部44の下を通る。このときコントローラー60は、本硬化用照射部44から本硬化用のUVを照射させる。これにより、媒体に形成されたドットは完全に硬化する。
このように、第2実施形態では、各色についてそれぞれ2つのノズル列を設け、往路方向のパスと復路方向のパスで異なるノズル列(ヘッド)を使用するようにしている。そして、往路と復路でノズル列(ヘッド)の並び順を逆にすることで、往路においても復路においてもシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの順でドットが形成されるようにしている。すなわち、往路においても復路においても、硬化し難いインクほど後で吐出している。
これにより、双方向印刷する場合にブリードを抑制することができ、画質の向上を図ることができる。
===第3実施形態===
第3実施形態では、カラーインク(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)以外に、背景用インク(白インク)も使用する。なお、以下の説明において、白インクによって生成されたドットのことを背景用ドットともいう。
白インクは、例えば透明媒体などに印刷を行うときに、カラー画像の背景色(白色)を印刷するための白色のインクである。このように、背景を白色にすることによって、カラー画像が見やすくなる。なお、白インクは、カラーインクよりも硬化し難いインクである。この第3実施形態では、透明な媒体を用いて媒体側から画像を見る印刷物を印刷するモード(裏刷りモード)で画像の形成を行う。
図9は、第3実施形態のヘッドの構成の一例の説明図である。なお、第3実施形態では第1実施形態と同様に単方向印刷を行うこととする。図9において、第1実施形態(図4)と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。また、図9ではヘッドのノズルを省略して示している。
第3実施形態では、仮硬化用照射部424よりも右側(往路方向の上流側)のキャリッジ21に、白インクを吐出するホワイトインクヘッドHwが設けられており、さらにその右側に仮硬化用照射部425が設けられている。なお、ホワイトインクヘッドHwの構成(ノズル配置等)は、他のヘッドと同様であり、仮硬化用照射部425の照射条件は、他の仮硬化用照射部421〜424と同じである。
図10は、第3実施形態によって形成される画像の説明図である。まず、往路のパスの際に、透明の媒体上に、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックによるカラー画像が形成される。このカラー画像についてのドット形成及び仮硬化については、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。第2実施形態では、さらにその上に、ホワイトインクヘッドHwによって白インクのドット(ホワイトドット)が形成される。これにより、カラー画像の上に背景画像が形成される。その後、仮硬化用照射部425から仮硬化用のUVがホワイトドットに照射される。なお、第3実施形態では単方向印刷なので、復路ではドットの形成を行わないが、復路において各仮硬化用照射部から仮硬化のUVを照射するようにしてもよい。これによって、ブリードをより抑制することができる。
復路のパスの後、媒体が搬送方向に搬送される。搬送動作によって、媒体に形成されたドットは本硬化用照射部44の下を通る。このとき本硬化用照射部44から本硬化用のUVが照射されて、媒体上の各ドットは完全に硬化する。
この第3実施形態においても、各色のヘッド(ノズル)の配置は、前述の実施形態と同様の関係である。つまり、硬化し難い(ブリードしやすい)インクを吐出するノズルほど、移動方向(往路方向)の上流側に配置するようにしている。こうすることにより、UVの照射エネルギーを抑えつつ、ブリードを抑制することができる。なお、第3実施形態において媒体は透明であることとしたが、これには限られず、例えば半透明であってもよい。
===第4実施形態===
第4実施形態では、背景用の白インクに加え、さらに無色透明のUVインク(クリアインク)を用いている。また、背景用の白インクを吐出する順序が第3実施形態と異なる。
図11は、第4実施形態のヘッドの構成の一例の説明図である。第4実施形態では、印刷面から画像を見る印刷物を印刷するモード(表刷りモード)で画像の形成を行う。なお、第4実施形態においても単方向印刷を行うこととし、図11において、第3実施形態(図9)と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
第4実施形態では、ホワイトインクヘッドHwを最も左側(往路方向の下流側)に設けている。また、ホワイトインクヘッドHwに対応する仮硬化用照射部430を、ホワイトインクヘッドHwとシアンインクヘッドHcの間に位置するようにキャリッジ21に設けている。また、仮硬化用照射部424よりも右側(往路方向の上流側)には、クリアインクヘッドHclが設けられている。クリアインクは、無色透明のインクであり、表面のコーティングや、媒体に対するカラーインクの密着性を高めるために用いられる。本実施形態では表面のコーティングにクリアインクを用いている。なお、クリアインクはカラーインクよりも硬化し難いインクである。さらに、クリアインクヘッドHclよりも右側(往路方向の上流側)に仮硬化用照射部425が設けられている。
第4実施形態において、ホワイトインクヘッドHw及びクリアインクヘッドHclの構成はカラーインクの各ヘッドと同様であるので説明を省略する。
第4実施形態では、往路のパスの際に、媒体上に背景用の白インクを最初に吐出することになる。この場合だけ、インクの吐出順序が前述の実施形態と異なる。すなわち、硬化し難い白インクを最初に吐出している。そこで、仮硬化用照射部430による仮硬化のUV照射は、他の仮硬化用照射部よりも照射エネルギーを強く、且つ、本硬化用照射部44よりも弱くしている。こうすることで、背景用ドットと、後で形成されるカラードットとの間のブリードを抑制するようにしている。以下、この通常の仮硬化よりも強く、本硬化よりも弱い仮硬化のことを、仮本硬化ともいう。具体的には、本硬化による硬化の度合いを100%とすると、通常の仮硬化は30%〜50%程度、仮本硬化は80〜90%程度である。なお、仮本硬化が弱すぎるとブリードが生じやすくなり、強すぎると次に形成されるドットをはじいてしまう。
図12は、第4実施形態によって形成される画像の説明図である。まず、媒体上にホワイトインクヘッドHwによって、白インクによる背景画像が形成される。この背景画像は、仮硬化用照射部430の強い照射エネルギーによるUV照射によって仮本硬化される。その後、第1実施形態と同様のドット形成順序及び、仮硬化によりカラー画像が形成される。そして、クリアインクヘッドHclによってクリアインクのドット(クリアドット)を形成した後、仮硬化用照射部425から仮硬化用のUVを照射してクリアドットを仮硬化させる。その後、本硬化用照射部44から媒体に本硬化用のUVを照射して媒体上のドットを完全に硬化させる。
このように、第4実施形態では、背景用の白インクを形成するときだけ、例外的に、硬化し難い白インクを先に吐出しているが、それ以外は、硬化し難いインクほど後に吐出するようにしている。また、最初に吐出される白インクは、仮硬化用照射部430によって、通常の仮硬化よりも強いエネルギーで硬化するようにしている(仮本硬化)。これにより、背景画像とカラー画像との間のブリードを抑制することができる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<プリンターについて>
前述の実施形態では、装置の一例としてプリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。
また、前述の実施形態では、インクを吐出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子を用いていたが、他の素子であってもよい。例えば、発熱素子を用いてもよい。
<UVインクについて>
前述の実施形態は、紫外線(UV)の照射を受けることによって硬化するインク(UVインク)をノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、UV光で硬化するインクには限られず、可視光によって硬化するインクでも良い。この場合、インクが硬化する波長の可視光を各照射部が照射するようにすれば良い。
また、前述の実施形態では、カラーインクとしてCMYKの4色のインクを使用していたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ブルー、グリーン、レッド等のインクを用いてもよい。なお、この場合も前述の実施形態のように硬化し難いインクほど後で吐出するようにすればよい。
<ヘッドおよびノズルについて>
図4では、各ヘッドについて2個のノズル列(A列、B列)が設けられていた。但し、ノズル列の構成はこれには限られず、例えば、単に一直線上にノズルが配置されることによって、ノズル列が構成されていても良い。
また、図4に示すヘッドおよび仮硬化用照射部の構成を、キャリッジ21の異なる位置に複数設けるようにしてもよい。
<仮硬化について>
前述した実施形態では、各仮硬化用照射部(第4実施形態の仮硬化用照射部425を除く)による仮硬化の条件は同じであったが、移動方向の最も上流側にあたる仮硬化用照射部によるUVの照射条件を他の照射条件と変えてもよい。例えば、第1実施形態において最も往路方向の上流側の仮硬化用照射部424のUV照射を、第4実施形態の仮硬化用照射部425での仮本硬化(通常の仮硬化よりも強く、本硬化よりも弱い硬化)と同じにしてもよい。
<裏刷りモードについて>
第3実施形態では、裏刷りモードで最後に白インクを吐出するようにしていたが、最後にコーティング用のクリアインクを吐出するようにしてもよい。この場合も、インクの吐出順序を、第3実施形態と同様(すなわちシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの後にクリア)にすればよい。これにより、硬化し難いインクほど後で吐出されることになり、エネルギーを低く抑えつつ滲みを抑制することができる。なお、この場合も、最後のクリアインクに対応する仮硬化用照射部によってクリアインクを仮本硬化するようにしてもよい。
<白インクについて>
本実施形態において「白色」とは、厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとし、背景として用いられるのであれば純粋な白(純白)に限られない。
1 プリンター、11 給紙ローラー、13 搬送ローラー、
14 プラテン、15 排紙ローラー、
20 キャリッジユニット、21キャリッジ、24 ガイド軸、
30 ヘッドユニット、40 照射ユニット、
421〜424 仮硬化用照射部、44 本硬化用照射部、
50 検出器群、53 紙検出センサー、54 光学センサー、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、110 コンピューター、
Hc シアンインクヘッド、Hm マゼンダインクヘッド、
Hy イエローインクヘッド、Hk ブラックインクヘッド、
Hw ホワイトインクヘッド、Hcl クリアインクヘッド

Claims (6)

  1. 複数のノズルを有するキャリッジを媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動させながら各ノズルからインクを吐出することに基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
    光の照射によって硬化する第1インクを吐出可能な第1ノズルと、
    前記第1ノズルよりも前記移動方向の上流側の第2ノズルであって、光の照射によって硬化する第2インクを吐出可能な第2ノズルと、
    前記第1ノズルと前記第2ノズルの間に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第1ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第1仮硬化用光源と、
    前記第2ノズルよりも前記移動方向の上流側に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第2ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第2仮硬化用光源と、
    前記第1仮硬化用光源及び前記第2仮硬化用光源よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、媒体に本硬化用の光を照射可能な本硬化用光源と、
    を有し、
    前記第2インクは、前記第1インクよりも硬化し難いインクである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置であって、
    前記第1仮硬化用光源の光の照射条件と、前記第2仮硬化用光源の光の照射条件は同じである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
    前記第1インクを吐出可能な第3ノズルと、
    前記第3ノズルよりも前記移動方向の下流側の第4ノズルであって、前記第2インクを吐出可能な第4ノズルと、
    をさらに有し、
    前記キャリッジが前記移動方向の逆方向に移動する際には、前記第3ノズルおよび前記第4ノズルによって媒体にドットを形成する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3に記載の画像形成装置であって、
    前記第3ノズルによって形成されたドットには、前記第2仮硬化用光源によって仮硬化用の光を照射し、
    前記第4ノズルによって媒体に形成されたドットには、前記第1仮硬化用光源によって仮硬化用の光を照射する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
    前記第1ノズルよりも前記移動方向の下流側の第3ノズルであって、前記第2インクよりも硬化し難い第3インクを吐出可能な第3ノズルと、
    前記第1ノズルと前記第3ノズルの間に位置するように前記キャリッジに設けられ、前記第3ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射可能な第3仮硬化用光源と、
    をさらに有し、
    前記第3仮硬化用光源の光の照射エネルギーは、前記第1仮硬化用光源及び前記第2仮硬化用光源の光の照射エネルギーよりも大きく、前記本硬化用光源の光の照射エネルギーよりも小さい
    ことを特徴とする画像形成装置。
  6. 複数のノズルを有するキャリッジを媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動させながら各ノズルからインクを吐出することに基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置による画像形成方法であって、
    光の照射によって硬化する第1インクを第1ノズルから吐出することと、
    前記第1ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射することと、
    光の照射によって硬化する第2インクを前記第1ノズルよりも前記移動方向の上流側の第2ノズルから吐出することと、
    前記第2ノズルによって媒体に形成されたドットに仮硬化用の光を照射することと、
    媒体に本硬化用の光を照射することと、
    を有し、
    前記第2インクは、前記第1インクよりも硬化し難いインクである
    ことを特徴とする画像形成方法。
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