JP2012044893A - 芋液体麹の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酒類を製造するために十分な糖加水分解酵素活性を有しながら、β−グルコシダーゼ活性が抑制された芋液体麹を提供すること。
【解決手段】サツマイモを15〜60%(w/vol)の量で含有する液体培地を用いて、麹菌を培養する工程を包含する芋液体麹の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、芋液体麹の製造方法に関し、特に、β−グルコシダーゼ活性が抑制された芋液体麹の製造方法に関する。
芋焼酎は、一般に、まず、芋に酵素を作用させて、芋に含まれているデンプンを糖に分解(即ち糖化)しながら、添加した酵母により発酵させ、発酵物を蒸留及び精製することにより製造される。
芋のデンプンを糖化するためにはアミラーゼ等の糖加水分解酵素が必要であり、酵素の供給源としては麹が用いられる。麹としては、通常は固体培養の米麹が使われる。この米麹は製造及び入手が容易だからである。
酵素の供給源として固体培養の芋麹が使用されることもある。この芋麹を使用した芋焼酎は純芋焼酎(芋100%から製造された焼酎)と呼ばれ、米麹を用いた通常の芋焼酎に比べ、芋特有の香味が強く、差別化された酒質として評価されている。
特許文献1には、培養原料として表面が外皮で覆われた芋類を含む液体培地で麹菌を培養することにより芋液体麹を製造することが記載されている。この芋液体麹の製造方法は焙炒又は脱汁等の特別な前処理を必要とせず、芋液体麹の製造を簡便に行うことができる。
非特許文献1には、芋焼酎の特徴香に数種のモノテルペンアルコールが寄与しており、芋に存在するβ−グルコシドのような配糖体からモノテルペンアルコールを遊離させるために、麹のβ−グルコシダーゼ活性を制御することが重要であることが記載されている。
非特許文献2には、米麹のもろみ中のβ−グルコシダーゼ活性が芋焼酎の特有の香味に寄与し、β−グルコシダーゼ活性が少ないと芋焼酎の特有の香味が少ないライトタイプとなることが記載されている。
焼酎の香味に関する消費者の嗜好は多様であり、芋特有の香味が低く抑えられたライトタイプな芋焼酎も人気がある。
それゆえ、芋麹を使用した純芋焼酎において、芋特有の香味が低く抑えられたライトタイプの純芋焼酎を造ることが可能になれば、純芋焼酎に対する新たな需要が喚起される。また、このライトタイプの純芋焼酎と従来の芋特有の香味が強い純芋焼酎とをブレンドすることにより、香味の強弱が調節された純芋焼酎を自由に製造することが可能になる。
特開2007−74910
太田、醸造協会誌; 86(4), 250-254, 1991 太田、醸造協会誌; 86(7), 536-539, 1991
本発明は、純芋焼酎を製造するために十分な糖化力を有しながら、β−グルコシダーゼ活性が抑制された芋液体麹を提供することにある。
本発明は、サツマイモを15〜60%(w/vol)の濃度で含有する液体培地を用いて、麹菌を培養する工程を包含する芋液体麹の製造方法を提供する。
ある一形態においては、前記サツマイモがサツマイモの肉質部からなる。
ある一形態においては、前記サツマイモの肉質部が、サツマイモの全長を基準にして両端を10〜20%の長さ分除去して得られたものである。
ある一形態においては、前記サツマイモがコガネセンガン、アケムラサキ、高系14号、シロサツマ、シロユタカ、ジョイホワイト、種子島ゴールド、ベニハヤト、種子島ろまん、安納紅、安納こがね、ベニサツマ、ベニオトメ、ベニアズマ、アヤムラサキ及びジョイレッドからなる群から選択される少なくとも一種である。
ある一形態においては、前記麹菌が白麹菌、黒麹菌又は黄麹菌である。
ある一形態においては、得られる芋液体麹は糖加水分解酵素活性が増強され、β−グルコシダーゼ活性が抑制されたものである。
ある一形態においては、前記β−グルコシダーゼ活性が20U/ml以下である。
ある一形態においては、前記糖加水分解酵素活性が少なくとも耐酸性α−アミラーゼ活性、α−アミラーゼ活性又はグルコアミラーゼ活性である。
ある一形態においては、前記耐酸性α−アミラーゼ活性が15U/ml以上であり、前記グルコアミラーゼ活性が55U/ml以上である。
また、本発明は、上記いずれかに記載の芋液体麹の製造方法によって得られる芋液体麹を提供する。
本発明の方法によれば、酒類を製造するために十分な糖化力を有しながら、β−グルコシダーゼ活性が抑制された芋液体麹が提供される。この芋液体麹を用いることで、芋特有の香味を低く抑えた純芋焼酎を製造することが可能になる。
芋液体麹の製造に使用する液体培地中の芋濃度に対する芋液体麹の耐酸性α−アミラーゼ活性及びグルコアミラーゼ活性の変化を示すグラフである。
液体培地
本発明の方法で用いる液体培地は、麹菌が生育及び増殖するのに必要な栄養又は該栄養を含む培養原料を水中に溶解又は懸濁させた液体である。かかる栄養には、例えば、炭素源、窒素源、無機塩類などが含まれる。
炭素源としては、サツマイモを用いる。サツマイモは芋焼酎の製造に使用される種類のものであれば、特に限定されない。例えば、コガネセンガン、アケムラサキ、高系14号、シロサツマ、シロユタカ、ジョイホワイト、種子島ゴールド、ベニハヤト、種子島ろまん、安納紅、安納こがね、ベニサツマ、ベニオトメ、ベニアズマ、アヤムラサキ及びジョイレッド等が使用される。中でも好ましいサツマイモはコガネセンガン及びジョイホワイトである。また、サツマイモは、生のサツマイモであっても、蒸煮したサツマイモであっても良い。
生のサツマイモを用いることで、作業の効率化や、加工が不要のためエネルギー効率の面でも優位になる。
サツマイモは細長い不定根の一部が栄養分を蓄えて肥大した塊根である。サツマイモの形状は、それゆえ略円筒形であり、長さ方向の前後が徐々に細くなって末端部が形成されている。つまり、サツマイモの末端部は、細長い不定根から塊根の肥大が開始する部分及び長さ方向に沿ってその反対側に存在する肥大が終了する部分である。サツマイモの末端部付近は、肉質である中央部と異なって、繊維質で硬い部分と認識されている。
サツマイモは、好ましくは、肉質である中央部、すなわち、繊維質で硬い末端部付近以外の部分である肉質部を用いる。得られる芋液体麹のβ−グルコシダーゼ活性が有効に抑制されるからである。繊維質で硬いサツマイモの末端部と肉質部の境界は厳密に決定することは困難である。
しかし、経験的に両部分を区別することは可能である。一般には、サツマイモの全長を基準にして端から約10〜20%の長さ分に上記末端部が含まれる。サツマイモの末端部の長さは、一個のサツマイモの一方の端及び他方の端について、独立して決定してよい。
例えば、サツマイモの肉質部は、サツマイモの全長を基準にして両端から上記末端部を含むと考えられる長さ分除去することにより得られる。この場合、除去される末端部の長さは、一個のサツマイモの一方の端及び他方の端について、同一であっても相違していてもよい。
サツマイモの肉質部は、そのまま又は適当な寸法に裁断して用いればよい。サツマイモは表面の少なくとも一部が外皮で覆われたままのものであってよく、外皮が剥かれて表面が外皮で覆われていないものであってもよい。また、麹菌の培養原料としてサツマイモのみを使用することが要求されない場合は、炭素源として芋類、穀類又はこれらの成分を併用してもよい。
サツマイモは、液体培地100mlに対して15〜60g添加される割合の量で用いられる。つまり、液体培地中の前記サツマイモの濃度は15〜60%(w/vol)、好ましくは15〜50%(w/vol)、より好ましくは20〜40%(w/vol)となる。サツマイモの濃度が15%(w/vol)未満であると糖加水分解酵素活性が不十分になり、60%(w/vol)を超えると、培養液の粘性が高くなる。
窒素源としては、麹菌が育成及び増殖するのに必要な窒素供給源であれば特に限定はない。有機物としては、例えば、酵母菌体又はその処理物(例えば、酵母菌体分解物、酵母エキスなど)等が挙げられ、無機物としては、例えば、硝酸塩が挙げられる。
硝酸塩としては硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなどを用いることができ、特に硝酸カリウムが好ましい。窒素源は、単独で用いる他、2種類以上の有機物及び/又は無機物を組み合せて使用してもよい。
窒素源の添加量は、麹菌の増殖を促進する程度であれば特に限定はないが、有機物としては0.1〜2%(w/vol)、好ましくは0.5〜1.0%(w/vol)である。また、無機物としての硝酸塩の添加量は0.05〜2.0%(w/vol)、好ましくは0.1〜2.0%(w/vol)、もっとも好ましくは0.2〜1.5%(w/vol)である。
添加量が上限値を超える場合及び下限値未満である場合は、酵素生産が促されないため、やはり好ましくない。
その他の栄養
本発明に用いる液体培地には、炭素源又は窒素源の他に、硫酸塩及びリン酸塩を添加し含有させることができる。これらの無機塩類を併用することにより、酵素活性が増強される。
例えば、硫酸塩としては硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム7水和物、硫酸鉄7水和物、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。これらの無機塩類は、単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、液体培地における上記の無機塩類の濃度は、麹菌培養物中に糖加水分解酵素や食物繊維分解酵素、タンパク分解酵素などの酵素が生成、蓄積される程度のものに調整される。例えば、リン酸塩の場合は0.05〜1.0%(w/vol)、好ましくは0.1〜0.8%(w/vol)とする。
液体培地には、前述の窒素源や無機塩類以外の有機物や無機塩類等も、栄養源として適宜添加することができる。これらの添加物は麹菌の培養に一般に使用されているものであれば特に限定はないが、有機物としては小麦麩、コーンスティープリカー、大豆粕、脱脂大豆等を、無機塩類としてはアンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の水溶性の化合物を挙げることができ、2種類以上の有機物及び/又は無機塩類を同時に使用してもよい。
これらの添加量は麹菌の増殖を促進する程度であれば特に限定はないが、有機物としては0.1〜5%(w/vol)程度、無機塩類としては0.1〜1%(w/vol)程度添加するのが好ましい。
上限値を超えてこれらの栄養源を添加した場合は、麹菌の増殖を阻害するため好ましくない。また、添加量が下限値未満である場合は、酵素生産が促されないため、やはり好ましくない。
上記の培養原料及び窒素源を水と混合することにより得られる麹菌の液体培地は、必要に応じて滅菌処理を行なってもよく、処理方法には特に限定はない。例としては、高温高圧滅菌法を挙げることができ、121℃で15分間行なえばよい。
液体麹の製造
滅菌した液体培地を培養温度まで冷却後、麹菌を液体培地に接種する。培地に接種する麹菌の形態は任意であり、胞子又は菌糸を用いることができる。
麹菌の液体培地への接種量には特に制限はないが、液体培地1ml当り、胞子であれば1×10〜1×10個程度、菌糸であれば前培養液を0.1〜10%程度接種することが好ましい。
麹菌の培養温度は、生育に影響を及ぼさない限りであれば特に限定はないが、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30〜40℃で行なうのがよい。培養温度が低いと、麹菌の増殖が遅くなるため雑菌による汚染が起きやすくなる。培養時間は24〜120時間が適当である。
本発明で用いる麹菌としては、グルコアミラーゼ、耐酸性α−アミラーゼ、α−アミラーゼなどの糖加水分解酵素、セルラーゼ、β−グルコシダーゼ、キシラナーゼなどの食物繊維分解酵素等の生産能を有する麹菌が好ましい。具体的には、白麹菌としてはアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等、黒麹菌としてはアスペルギルス・アワモリ(Asperigillus awamori)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、黄麹菌としてはアスペルギルス・オリゼ(Asperigillus oryzae)又はアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus soyae)等が挙げられる。
白麹菌としてはアスペルギルス・カワチが好ましい。黒麹菌としてはアスペルギルス・アワモリが好ましい。黄麹菌としてはアスペルギルス・オリゼが好ましい。
これらの麹菌は1種類の菌株による培養、又は同種若しくは異種の2種類以上の菌株による混合培養のどちらでも用いることができる。これらは胞子又は前培養により得られる菌糸のいずれの形態のものを用いても問題はないが、菌糸を用いる方が対数増殖期に要する時間が短くなるので好ましい。
これらの麹菌のうち、より好ましいものはアスペルギルス・カワチ等の白麹菌及びアスペルギルス・アワモリ等の黒麹菌である。また、特に好ましい麹菌はアスペルギルス・カワチ等の白麹菌である。糖加水分解酵素活性の増強効果、及びβ−グルコシダーゼ活性の抑制効果が得られ易いからである。
培養装置は、液体培養を行なうことができるものであればよいが、麹菌は好気培養を行なう必要があるので、酸素や空気を培地中に供給できる好気的条件下で行なう必要がある。また、培養中は培地中の原料、酸素、及び麹菌が装置内に均一に分布するように撹拌をするのが好ましい。撹拌条件や通気量については、培養環境を好気的に保つことができる条件であればいかなる条件でもよく、培養装置、培地の粘度等により適宜選択すればよい。
上記の培養法で培養することにより、デンプンを分解する酵素などの酵素活性を有する液体麹が得られる。
ここでいう液体麹には、液体培養した培養物そのもの、培養物の上清液、培養物を濾過又は遠心分離等することにより得られる清澄液、それらの濃縮物等が含まれる。又、液体麹の乾燥物等も液体麹の同等物であり、酵素源として同様に使用することができる。
本発明の液体麹は、未濃縮の状態で、例えば、次に示す酵素活性を示すことが好ましい。各酵素活性の測定は実施例に説明する方法に準じて行なわれる。
耐酸性α−アミラーゼ(ASAA)活性については、15U/ml以上、好ましくは30U/ml以上、より好ましくは35U/ml以上。
α−アミラーゼ(AA)活性については、250U/ml以上、好ましくは300U/ml以上、より好ましくは350U/ml以上。
グルコアミラーゼ(GA)活性については、55U/ml以上、好ましくは100U/ml以上、より好ましくは120U/ml以上。
β−グルコシダーゼ(BGL)活性については、20U/ml以下、好ましくは10U/ml以下、より好ましくは5U/ml以下。β−グルコシダーゼ活性は、芋焼酎の特徴香であるモノテルペンアルコールの生成に寄与する。そのため、β−グルコシダーゼ活性が低いことは、芋特有の香味を低く抑えた純芋焼酎を得るために有効である。
液体麹の用途
本発明の製造方法で得られた芋液体麹は、焼酎、清酒、しょうゆ、味噌、みりん及び甘酒等の発酵飲食品を製造するための酵素源として固体麹と同様に用いることができる。本発明の製造方法で得られた芋液体麹を芋焼酎を製造するための酵素源として使用すると純芋焼酎が製造されるため、特に好ましい。
芋焼酎の製造
芋焼酎の製造は、一般的な米(固体)麹を用いた芋焼酎の製造とほぼ同様の方法で行うことができ、もろみ仕込み段階において、米麹の代わりに芋液体麹を用いればよい。
本発明において、芋焼酎の発酵原料(いわゆる掛け原料)としては、サツマイモ、ジャガイモ、キャッサバ等の芋類を用いることができ、特に制限されない。
この掛け原料としての芋類は、生のまま使用することができるが、凍結乾燥させたもの(乾燥芋)や乾燥粉砕させたもの(サツマイモパウダーなど)も用いることができる。また、これらの芋類は、洗浄後、先端や病痕を切除し、蒸し、破砕・細断などの前処理を経て発酵工程に供されるが、これらの前処理方法は原料の種類や芋液体麹の酵素活性などに応じて適宜選択すればよい。
また、上記した芋液体麹を用いて芋焼酎を製造する場合には、全工程を液相で行なうことができる。全工程を液相で行なう芋焼酎の製造方法としては、例えば、サツマイモを掛け原料とする場合、サツマイモを約80℃の高温で耐熱性酵素剤を使用して溶かして液化した後、これに上記した芋液体麹、及び酵母を添加することでアルコール発酵させたもろみを、常圧蒸留法又は減圧蒸留法等により蒸留して製造する方法が挙げられる。
また、得られた液体麹の一部を次の液体麹製造におけるスターターとして用いることもできる。このように液体麹を連続的に製造することにより、安定的な生産が可能になると同時に、生産効率の向上も図ることができる。
また、本発明の液体麹は、その高い酵素活性から、酵素製剤、並びに消化剤などの医薬品などとしての利用も可能である。この場合、得られた麹菌培養物を所望の程度に濃縮・精製し、適当な賦形剤、増粘剤、甘味料などを添加して常法により製剤化すればよい。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
1.麹菌
菌株として、白麹菌に関する標準株であるアスペルギルス・カワチ(NBRC4308株)を準備した。
2.前培養方法
65%精白大麦8%(w/vol)、KNO0.2%(w/vol)、KHPO0.3%(w/vol)の組成を有する前培養培地100mlを、容量500mlのバッフル付三角フラスコに入れ、121℃、15分間オートクレーブ滅菌し、室温冷却後、麹菌の胞子1白金耳を接種した。その後、温度37℃、100rpmにて24時間回転振盪培養を行った。
3.本培養方法
生のコガネセンガンの全長の約15%分だけ両端(末端部)を切り落とした。残された肉質部の外皮を剥き、適当な大きさに切り分け、液体培地のサツマイモ濃度に応じて必要な量を収集した。収集した肉質部の量は、各液体培地毎に、5g、10g、15g、20g、30g、40g、50g、60g及び80gとした。
KNO0.4%(w/vol)、KHPO0.6%(w/vol)の組成を有する水溶液(pH無調整)100mlに上記培養原料を添加し、これらを500ml容のバッフル付三角フラスコに入れ、121℃、15分間オートクレーブ滅菌し、室温冷却後、前培養液を2ml接種した。その後、37℃、100rpmにて72時間回転振盪培養を行った。
4.酵素活性の測定
本培養を行った培養液から遠心分離により得た培養上清液を芋液体麹として、酵素活性を測定した。測定方法は次の通りである。
耐酸性α−アミラーゼ(ASAA)活性:
培養上清液1.0mlに100mM酢酸緩衝液(pH3.0)9.0mlを添加して37℃で1時間酸処理を行なった後に、α−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて測定した。
グルコアミラーゼ(GA)活性:
国税庁所定分析法に従い測定した。具体的には、デンプン溶液1.0mlに200mM酢酸緩衝液(pH5.0)0.2mlを加え、40℃で5分間予熱した。これに培養上清液0.1mlを加え、40℃で20分間反応させ、1N水酸化ナトリウム溶液0.1mlを添加して反応を停止させた。その後30分間放置し、1N塩酸溶液0.1mlを加えて中和した。別に対照として、デンプン溶液1mlに0.2M酢酸緩衝液0.2mlを加え、40℃で5分間予熱し、1N水酸化ナトリウム溶液0.1mlを加えた後に培養上清液0.1mlを添加し、以下上記と同様に操作した。反応液中に生成したグルコース量はグルコースCII-テストワコー(和光純薬製)を用いて測定した。
グルコアミラーゼ活性は、可溶性デンプンから40℃で60分間に1mgのブドウ糖を生成する活性を1単位として表した。
5.測定結果
それぞれの培養原料を使用して得られた芋液体麹のASAA活性及びGA活性の測定結果を表1及び図1に示す。
[表1]
Figure 2012044893
測定結果より、培養原料としてサツマイモの肉質部を使用した場合、培地中のサツマイモ濃度が15〜60%の範囲において芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強され、酒類の製造に十分な糖化力が予想される。
実施例2及び比較例1
1.芋液体麹の製造
培養原料として使用するサツマイモの部位及び量を次のように変更すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
実施例2の培養原料として、外皮を剥いた生のコガネセンガンの肉質部を15g、20g、40g及び60g収集した。
また、比較例1の培養原料として、外皮を剥く前に切り落とされたコガネセンガンの末端部(外皮あり)を9g収集した。比較例のサツマイモの量は、アミラーゼ系酵素の活性がほぼ同等になるように考慮して、決定した。
2.酵素活性の測定
得られた芋液体麹の酵素活性を測定した。測定方法は、ASAA活性及びGA活性については実施例1と同様にして行い、β−グルコシダーゼ(BGL)活性については次のように行った。測定結果を表2に示す。
β−グルコシダーゼ(BGL)活性:
4mM p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド溶液0.25mlに50mM酢酸緩衝液(pH5.0)0.5mlの混合溶液を37℃で約5分間予備加温した後、培養上清0.25mlを加え、よく混合して反応を開始した。37℃で正確に15分間反応させた後、200mM炭酸ナトリウム溶液2.0mlを加えてよく混合し、反応を停止させた。この反応終了液を吸光度測定用セルに入れ、波長410nmで吸光度を測定した。ブランク値の測定として、上記反応液を37℃で20分間加熱し、200mM炭酸ナトリウム溶液2.0mlを加えた後に、培養上清を加えてよく混合した液の吸光度を測定した。予め準備した検量線をもとに、遊離生成したp-ニトロフェノール量を算出する。
BGL活性は、p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシドに作用して37℃、1分間に1nmolのp−ニトロフェノールを遊離する力価を1単位と定義した。
[表2]
Figure 2012044893
測定結果より、培養原料としてサツマイモの肉質部を使用した場合、芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強されるが、BGL活性は抑制される。
実施例3
1.芋液体麹の製造
培養原料として、外皮を剥いていない生のコガネセンガンの肉質部及び外皮を剥いた生のコガネセンガンの肉質部をそれぞれ20g使用すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
2.酵素活性の測定
実施例2と同様にして得られた芋液体麹の酵素活性を測定した。測定結果を表3に示す。
[表3]
Figure 2012044893
測定結果より、培養原料として外皮を有する肉質部及び有しない肉質部を使用した場合、共に芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強されるが、BGL活性は抑制されており、肉質部の外皮の有無が麹菌の酵素生産性に与える影響は少ない。
実施例4
1.芋液体麹の製造
培養原料として、大きさ及び個数が相違する生のコガネセンガンの肉質部(外皮なし)を30g使用すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
2.酵素活性の測定
実施例2と同様にして得られた芋液体麹の酵素活性を測定した。測定結果を表4に示す。
[表4]
Figure 2012044893
測定結果より、培養原料として大きさ及び個数が相違する肉質部を使用した場合、全て芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強されるが、BGL活性は抑制されており、肉質部の大きさ及び個数が麹菌の酵素生産性に与える影響は少ない。
実施例5
1.芋液体麹の製造
培養原料として、品種が相違する生のサツマイモの肉質部(外皮なし)を20g及び30g使用すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
2.酵素活性の測定
実施例2と同様にして得られた芋液体麹の酵素活性を測定した。測定結果を表5に示す。
[表5]
Figure 2012044893
測定結果より、培養原料として品種が相違するサツマイモの肉質部を使用した場合、全て芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強されるが、BGL活性は抑制されており、サツマイモの品種が麹菌の酵素生産性に与える影響は少ない。
実施例6
1.芋液体麹の製造
アスペルギルス・カワチの代わりに、黒麹菌に関する標準株であるアスペルギルス・アワモリ(NBRC4388株)を用い、本培養時に生のコガネセンガン(外皮なし)を20g使用すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
2.酵素活性の測定
実施例2と同様にして得られた芋液体麹の酵素活性を測定した。測定結果を表6に示す。
[表6]
Figure 2012044893
測定結果に示されるように、麹菌として黒麹菌を使用した場合でも、白麹菌の場合と同様に、芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強されるが、BGL活性は抑制された。
実施例7
1.芋液体麹の製造
アスペルギルス・カワチの代わりに、黄麹菌に関する標準株であるアスペルギルス・オリゼ(RIB40株)を用い、本培養時に生のコガネセンガン(外皮なし)を20g使用すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
2.酵素活性の測定
得られた芋液体麹のα−アミラーゼ(AA)活性を測定した。測定方法は、次の通りである。測定結果を表7に示す。
α−アミラーゼ(AA)活性:
α−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて測定した。
[表7]
Figure 2012044893
測定結果より、麹菌として黄麹菌を培養した場合は、芋液体麹のAA活性が増強された。
実施例8
1.芋液体麹の製造
培養原料として、外皮を剥いた蒸煮したコガネセンガンの肉質部及び外皮を剥いた生のコガネセンガンの肉質部をそれぞれ30g使用すること以外は実施例1と同様にして芋液体麹を製造した。
2.酵素活性の測定
実施例1と同様にして得られた芋液体麹の酵素活性を測定した。測定結果を表8に示す。
[表8]
Figure 2012044893
測定結果より、培養原料として蒸煮した芋の肉質部及び生の芋の肉質部を使用した場合、共に芋液体麹のASAA活性及びGA活性が増強されており、肉質部の蒸煮の有無が麹菌の酵素生産性に与える影響は少ない。

Claims (10)

  1. サツマイモを15〜60%(w/vol)の濃度で含有する液体培地を用いて、麹菌を培養する工程を包含する芋液体麹の製造方法。
  2. 前記サツマイモがサツマイモの肉質部からなる請求項1に記載の芋液体麹の製造方法。
  3. 前記サツマイモの肉質部が、サツマイモの全長を基準にして両端を端から10〜20%の長さ分除去して得られたものである請求項2に記載の芋液体麹の製造方法。
  4. 前記サツマイモがコガネセンガン、アケムラサキ、高系14号、シロサツマ、シロユタカ、ジョイホワイト、種子島ゴールド、ベニハヤト、種子島ろまん、安納紅、安納こがね、ベニサツマ、ベニオトメ、ベニアズマ、アヤムラサキ及びジョイレッドからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芋液体麹の製造方法。
  5. 前記麹菌が白麹菌、黒麹菌又は黄麹菌である請求項1〜4のいずれか一項に記載の芋液体麹の製造方法。
  6. 得られる芋液体麹は糖加水分解酵素活性が増強され、β−グルコシダーゼ活性が抑制されたものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の芋液体麹の製造方法。
  7. 前記β−グルコシダーゼ活性が20U/ml以下である請求項6に記載の芋液体麹の製造方法。
  8. 前記糖加水分解酵素活性が少なくとも耐酸性α−アミラーゼ活性、α−アミラーゼ活性又はグルコアミラーゼ活性である請求項6又は7に記載の芋液体麹の製造方法。
  9. 前記耐酸性α−アミラーゼ活性が15U/ml以上であり、前記グルコアミラーゼ活性が55U/ml以上である請求項8に記載の芋液体麹の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の芋液体麹の製造方法によって得られる芋液体麹。
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