JP2012044226A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池モジュールにおいて、基板と光電変換層との剥離を生じ難くさせる。
【解決手段】透明基板10上に透明電極12、光電変換ユニット14、裏面電極16を順に積層した光電変換素子を複数直列に接続し、透明電極12が第1の幅D1で除去されたスリットS2と、透明電極12が除去された領域に重なり、光電変換ユニット14及び裏面電極16が第1の幅D1以下の第2の幅D2で除去されたスリットS5と、を備え、スリットS2内の透明基板10の表面に凹凸34を設ける。
【選択図】図3
【解決手段】透明基板10上に透明電極12、光電変換ユニット14、裏面電極16を順に積層した光電変換素子を複数直列に接続し、透明電極12が第1の幅D1で除去されたスリットS2と、透明電極12が除去された領域に重なり、光電変換ユニット14及び裏面電極16が第1の幅D1以下の第2の幅D2で除去されたスリットS5と、を備え、スリットS2内の透明基板10の表面に凹凸34を設ける。
【選択図】図3
Description
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
多結晶、微結晶またはアモルファスシリコンを用いた太陽電池モジュールが知られている。特に、微結晶またはアモルファスシリコンの薄膜を積層した構造を有する太陽電池モジュールは、資源消費の観点、コストの低下の観点および効率化の観点から注目されている。
図8に、太陽電池モジュール100の基本構成の断面模式図を示す。太陽電池モジュール100は、一般的に、ガラス等の透明基板10上に透明電極12、光電変換ユニット14及び裏面電極16を積層した構造を有し、透明基板10から光を入射させることによって電力を発生させる。このような太陽電池モジュールを直列に集積するための製造方法及びパターニング装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
図9(a)〜図9(f)に、従来の太陽電池モジュール100の製造工程を示す。図9(a)〜図9(f)では、太陽電池モジュール100の製造工程の各ステップにおける平面図及び断面図を模式的に示している。断面図は、平面図におけるラインA−Aに沿った断面図とラインB−Bに沿った断面図を示している。
ステップS10では、図9(a)に示すように、レーザ加工によりガラス等の透明基板10上に形成された透明電極12を分割するスリットS1、及びスリットS1に直交する方向にスリットS2を形成する。ステップS12では、図9(b)に示すように、透明電極12を被うように光電変換層となる光電変換ユニット14を成膜する。光電変換ユニット14としては、アモルファスシリコン(a−Si)光電変換ユニット、微結晶シリコン(μc−Si)光電変換ユニット又はそれらのタンデム構造が挙げられる。ステップS14では、図9(c)に示すように、レーザ加工によりスリットS1の近傍であって重ならない位置にスリットS1の方向に沿って光電変換ユニット14を分割するスリットS3を形成する。ステップS16では、図9(d)に示すように、光電変換ユニット14を被うように裏面電極16を形成する。ステップS18では、図9(e)に示すように、レーザ加工によりスリットS3の近傍であってスリットS1及びS3に重ならない位置にスリットS1,S3の方向に沿って光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するスリットS4を形成する。これにより、スリットS2の方向に沿って複数の太陽電池セルが直列に接続された構造が得られる。ステップS20では、図9(f)に示すように、レーザ加工によりスリットS2内に形成された光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するスリットS5を形成する。これにより、スリットS1の方向に沿って隣接する太陽電池セル間が電気的に分離され、直列に接続された複数の太陽電池セルからなる太陽電池セル群が複数並設された構造が得られる。そして、これら太陽電池セル群は最終的に並列に接続され、太陽電池モジュール100を構成する。
ところで、従来の太陽電池モジュールでは、直列に接続された太陽電池セルを複数の太陽電池セル群に分離するスリットS2内において光電変換層となる光電変換ユニット14が透明基板10であるガラス基板等の表面に直接接触する構成を有している。このような構成では、透明基板10と光電変換層との剥離が生じ易いという問題があった。
本発明は、基板と光電変換層との間の剥離を生じ難くし、耐久性を高めた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明の1つの態様は、基板上に第1の電極、発電層、第2の電極を順に積層した光電変換素子を複数直列に接続した太陽電池モジュールであって、第1の電極が第1の幅で除去された領域と、第1の電極が除去された領域に重なり、発電層及び第2の電極が第1の幅より狭い第2の幅で除去された領域と、を備えた分離溝を有し、分離溝内の基板表面に凹凸が設けられている、太陽電池モジュールである。
本発明によれば、基板と光電変換層との剥離を生じ難くし、耐久性及び安定性を高めた太陽電池モジュールを提供することができる。
<第1の実施の形態>
図1(a)〜図1(f)に、第1の実施の形態における太陽電池モジュール200の製造工程を示す。図1(a)〜図1(f)では、太陽電池モジュール200の製造工程の各ステップにおける平面図及び断面図を模式的に示している。断面図は、平面図におけるラインC−Cに沿った断面図とラインD−Dに沿った断面図を示している。
図1(a)〜図1(f)に、第1の実施の形態における太陽電池モジュール200の製造工程を示す。図1(a)〜図1(f)では、太陽電池モジュール200の製造工程の各ステップにおける平面図及び断面図を模式的に示している。断面図は、平面図におけるラインC−Cに沿った断面図とラインD−Dに沿った断面図を示している。
ステップS30では、図1(a)に示すように、レーザ加工により透明基板10上に形成された透明電極12を分割するスリットS1(図中、左右方向)、及びスリットS1に直交する方向にスリットS2(図中、上下方向)を形成する。透明基板10は、太陽電池において光電変換に利用される波長の光を透過する材料とし、例えば、ガラス、プラスチック等を用いる。透明電極12は、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等に錫(Sn)、アンチモン(Sb)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)等をドープした透明導電性酸化物(TCO)を用いることができる。
スリットS1及びS2を形成するためのレーザ装置は、波長1064nmのYAGレーザを用いることが好適である。レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して透明電極12側から照射し、連続してスリットS1の方向及びそれに直交するスリットS2の方向に走査することによってスリットS1及びS2を形成することができる。なお、スリットS1及びS2を形成するためのレーザは、透明基板10側から照射してもよい。
また、太陽電池セルを直列に多数集積するために多数のスリットS1を形成する必要があるので、スリットS1に直交する方向にレーザビーム出射口を等間隔に複数配置したマルチ出射型のレーザ装置を用いることが好適である。例えば、2〜5ヶ所のレーザビーム出射口を配置したレーザ装置を用いることが好適である。これにより、太陽電池セルを直列に多数集積するために多数のスリットS1を高速に形成することができる。なお、スリットS2の寸法は他のスリットの寸法より大きく、スリットS2の加工精度は他のスリットよりも低くてもよいので、マルチ出射型のレーザ装置を用いた場合であっても加工条件の設定は容易である。
ステップS32では、図1(b)に示すように、スリットS2をブラスト加工する。ブラスト加工では、透明電極12間に透明基板10が露出したスリットS2に対してノズル30から粒子32を吹き付ける。粒子32は、タングステン、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム等を用いることが好ましい。粒子32の粒径は、研磨剤の#1000(1000番)程度のものを用いることが好適である。例えば、粒子32としてタングステンを用いた場合、68g/分程度の研磨剤を80Hzの周波数で吹き付けてブラスト加工を行う。
また、ブラスト加工において粒子32を吹き付ける圧力は0.1MPa以上0.4MPa以下とすることが好適であり、0.15MPa以上0.25MPa以下とすることがより好適である。表1は、ブラスト加工の処理条件を示す。なお、試料番号7は、比較例として波長1064nmのYAGレーザを用いて加工を行った場合を示している。また、表1には、光学顕微鏡による目視観察による透明電極12の剥離状態の評価を併せて示している。
ブラスト加工において粒子32を吹き付ける圧力が低すぎる場合には、透明基板10の表面に凹凸34が形成され難くなる。一方、圧力が0.30Paを超えると、ブラスト加工による透明基板10からの透明電極12の剥離がみられる。また、微細クラックが増加し、基板の割れ等の発生の原因となるおそれがある。
ブラスト加工によって、図2の拡大断面図に示すように、透明電極12間に露出した透明基板10の表面に凹凸34が形成される。ここでは、透明基板10の表面に垂直に切断した断面において凹凸34の谷間と頂点との段差(peak to Valley値)dの平均値が0.1μm以上10μm以下とすることが好適である。さらに好ましくは、1.0μm以上3.0μm以下とすることが好適である。
なお、段差dは、接触式段差計、レーザ顕微鏡、光干渉顕微鏡で測定することができる。例えば、接触式段差計の場合には、段差dの平均値は、スリットS2として透明電極12間に露出した透明基板10の表面に段差計の探針を接触させながら走査して約1mmに亘って測定したときの平均値とする。また、段差dは、ブラスト加工後の状態で測定してもよいし、完成品の太陽電池モジュール200のバックシートを剥離して測定してもよい。
凹凸34の段差dが小さすぎると、透明基板10と光電変換ユニット14との界面の接触面積を増やす効果が減り、剥離防止の効果が小さくなる。一方、凹凸34の段差dが大きすぎると、ブラスト加工による微細クラックが増加し、基板の割れ等の発生の原因となるおそれがある。
ステップS34では、図1(c)に示すように、透明電極12及びスリットS1,S2を被うように光電変換ユニット14を成膜する。光電変換ユニット14は、特に限定されるものではないが、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)光電変換ユニット、微結晶シリコン(μc−Si)光電変換ユニット又はそれらのタンデム構造が挙げられる。光電変換ユニット14は、プラズマCVD等を用いて形成することができる。
ステップS36では、図1(d)に示すように、レーザ加工により光電変換ユニット14を分割するスリットS3を形成する。スリットS3は、スリットS1の近傍であってスリットS1に重ならない位置にスリットS1の方向に沿って透明電極12の表面に達するように形成する。
スリットS3を形成するためのレーザ装置は、波長532nmのYAGレーザ(2倍高調波)を用いることが好適である。レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して透明基板10側から照射し、スリットS1に平行な方向に走査することによってスリットS3を形成することができる。
ステップS38では、図1(e)に示すように、光電変換ユニット14及びスリットS3を被うように裏面電極16を形成する。裏面電極16は、反射性金属とすることが好適である。また、反射性金属と透明導電性酸化物(TCO)との積層構造とすることも好適である。反射性金属としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等が使用できる。また、透明導電性酸化物(TCO)としては、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等が使用できる。
ステップS40では、図1(f)に示すように、レーザ加工により光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するスリットS4及びS5を形成する。スリットS4は、スリットS3の近傍であってスリットS1及びS3に重ならない位置にスリットS1,S3の方向に沿って光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するように透明電極12の表面まで形成する。これにより、スリットS2の方向に沿って複数の太陽電池セルが直列に接続された構造が得られる。さらに、スリットS5は、スリットS2が形成された領域内においてスリットS2内に形成された光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するように透明電極12の表面まで形成する。スリットS5の幅D2は、スリットS2の幅D1よりも狭いものとする。スリットS5により、スリットS1の方向に隣接する太陽電池セル間が電気的に分離される。スリットS2が形成された領域内にスリットS5を形成するので、透明電極12側からのレーザ光の照射が可能となり、スリットS4を形成する際に連続してスリットS5を形成することができる。
上記のように、スリットS1,S3及びS4は、隣接する太陽電池セル群を直列に接続するために設けられ、スリットS2及びS5は、直列に接続された太陽電池セル群を並設するために設けられる。これにより、スリットS1の方向に沿って隣接する太陽電池セル間が電気的に分離され、直列に接続された複数の太陽電池セルからなる太陽電池セル群が複数並設された構造が得られる。そして、これら太陽電池セル群は最終的に並列に接続され、太陽電池モジュール200が構成される。
スリットS4及びS5を形成するためのレーザ装置は、波長532nmのYAGレーザ(2倍高調波)を用いることが好適である。レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して透明基板10側から照射し、スリットS1、S3に平行な方向に走査することによってスリットS4を形成し、これに連続してスリットS2に平行な方向に走査することによってスリットS5を形成することができる。
なお、ステップS40の後に、太陽電池モジュール200の外周部分を除去する工程等を設けてもよい。また、ステップS40の後に、太陽電池モジュール200の表面を保護するためのバックシートや樹脂層を形成する工程を設けてもよい。バックシートや樹脂層は、太陽電池モジュール200の保護層として機能する。
なお、第1の実施の形態では、レーザ加工によってスリットS2を形成した後、スリットS2にブラスト加工を施して凹凸を形成したがこれに限定されるものではない。例えば、レーザ加工によってスリットS2を形成せず、スリットS2を形成する領域の透明電極12に対してブラスト加工を施して、透明電極12を除去すると共に、透明電極12の下地となる透明基板10の表面に凹凸を形成してもよい。また、レーザ加工によってスリットS2を形成した後、残された透明電極12をマスクとしてウエットエッチング法によってスリットS2に露出した透明基板10の表面に凹凸を形成してもよい。透明基板10がガラス基板である場合、ウエットエッチング法はフッ酸を用いればよい。
第1の実施の形態によれば、図3に示すように、スリットS2における透明基板10の表面に凹凸34が設けられているので、透明基板10と光電変換ユニット14との界面の密着性が高くなり、透明基板10からの光電変換ユニット14の剥離が生じ難くなる。また、太陽電池モジュール200の表面に保護層を設けた場合には、スリットS5内に形成される保護層と透明基板10との界面の密着性が高くなり、透明基板10からの保護層の剥離が生じ難くなる。これらにより、太陽電池モジュール200の耐環境性を高めることができ、安定して発電を行うことが可能となる。
ここで、透明電極12を分割するスリットにおいて、スリットS1よりも幅の広いスリットS2に対してブラスト加工を選択的に施すことにより、透明基板10からの光電変換ユニット14の剥離を効果的に抑制することができる。
また、スリットS2に露出した透明基板10の表面に凹凸を形成したことで、その後のスリットS5を形成する際、レーザ光の照射によるストレスに起因した剥離を抑制することができる。特に、ブラスト加工における圧力が0.15Pa以上0.25Pa以下において、ブラスト加工による透明基板10からの透明電極12の剥離を抑制する効果が顕著となる。この結果、スリットS2の領域内へのスリットS5のレーザ加工を安定して行うことができ、太陽電池モジュール200の製造歩留りを向上させることができる。
また、スリットS5に露出した透明基板10の表面に凹凸を形成したことで、透明基板10側から入射する光を凹凸で乱反射させることができ、本来であればスリットS5を介して透過してしまう光を、隣接する光電変換層で光電変換に寄与させることが可能になる。これにより、太陽電池モジュール200の発電効率を高めることができる。
<第2の実施の形態>
図4(a)〜図4(f)に、第2の実施の形態における太陽電池モジュール300の製造工程を示す。図4(a)〜図4(f)では、太陽電池モジュール300の製造工程の各ステップにおける平面図及び断面図を模式的に示している。断面図は、平面図におけるラインE−Eに沿った断面図とラインF−Fに沿った断面図を示している。なお、第1の実施の形態と同様の構成及びステップについては説明を省略する。
図4(a)〜図4(f)に、第2の実施の形態における太陽電池モジュール300の製造工程を示す。図4(a)〜図4(f)では、太陽電池モジュール300の製造工程の各ステップにおける平面図及び断面図を模式的に示している。断面図は、平面図におけるラインE−Eに沿った断面図とラインF−Fに沿った断面図を示している。なお、第1の実施の形態と同様の構成及びステップについては説明を省略する。
ステップS50では、図4(a)に示すように、レーザ加工により透明基板10上に形成された透明電極12を分割するスリットS1(図中、左右方向)を形成する。
ステップS52では、図4(b)に示すように、レーザ加工により透明基板10上に形成された透明電極12を分割するスリットS2(図中、上下方向)を形成する。スリット2は、スリットS1に直交する方向に形成される。
第2の実施の形態では、図5の拡大断面図に示すように、スリットS2の全幅Dに対してD/2未満の幅を有するレーザ光を用いて、スリットS2内に透明電極12の島40が残されるように複数の溝42を形成する。すなわち、D/2未満の幅を有するレーザ光をスリットS1に直交する方向に向けてスリットS2の全幅Dより短いピッチPで走査することによって、透明基板10の表面が露出する溝42によって分離された透明電極12の島40を形成する。また、本実施の形態では、溝42の形成は、スリットS1の幅と同程度の幅を有するレーザ光を用いて行っている。
溝42の幅d1は5μm以上100μm以下とし、島40の幅d2は5μm以上100μm以下とする。ここで、幅d1及び幅d2は、透明電極12の膜厚の中央において島40の延伸方向に直角な方向に沿って測定した溝42の幅の平均値及び島40の幅の平均値とする。幅d1及び幅d2は、接触段差計やレーザ光干渉計を用いて島40の延伸方向に直角な方向に沿って測定することによって求めることができる。また、光学顕微鏡又は電子顕微鏡によって、島40の延伸方向に直角な方向に沿って切断した太陽電池モジュール300の断面を観察することによって求めることができる。また、スリットS2内に形成される島40のライン数は4以上100以下とすることが好適である。
スリットS2を形成するためのレーザ装置は、波長1064nmのYAGレーザを用いることが好適である。レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して透明電極12側から照射し、スリットS2を形成することができる。なお、スリットS2を形成するためのレーザは、透明基板10側から照射してもよい。
ステップS54〜S58では、図4(c)〜図4(e)に示すように、第1の実施の形態のステップS34〜S38と同様に、光電変換ユニット14の成膜、スリットS3の形成、及び裏面電極16の形成が行われる。
ステップS60では、図4(f)に示すように、レーザ加工により光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するスリットS4を形成する。スリットS4は、スリットS3の近傍であってスリットS1及びS3に重ならない位置にスリットS1,S3の方向に沿って光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するように透明電極12の表面まで形成する。これにより、スリットS2の方向に沿って複数の太陽電池セルが直列に接続された構造が得られる。
スリットS4を形成するためのレーザ装置は、波長532nmのYAGレーザ(2倍高調波)を用いることが好適である。レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して透明基板10側から照射し、スリットS1、S3に平行な方向に走査することによってスリットS4を形成することができる。
ステップS62では、図4(g)に示すように、レーザ加工により光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するスリットS5を形成する。スリットS5は、スリットS2が形成された領域内においてスリットS2内に形成された光電変換ユニット14及び裏面電極16を分割するように透明電極12の表面まで形成する。スリットS5により、スリットS1の方向に隣接する太陽電池セル間が電気的に分離される。
スリットS5を形成するためのレーザ装置は、波長1064nmのYAGレーザを用いて、レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して裏面電極16側から照射し、スリットS2に平行な方向に走査することによってスリットS5を形成することができる。
また、波長532nmのYAGレーザ(2倍高調波)を用いて、レーザ装置から出射されるレーザビームのパワーを調整して透明基板10側から照射し、スリットS2に平行な方向に走査することによってスリットS5を形成することができる。
スリットS5は、図6(a)に示すように、スリットS2内に形成された溝42の位置に合わせてレーザ光を照射して形成してもよいし、図6(b)に示すように、スリットS2内に残された透明電極12の島40の一部に重畳させてレーザ光を照射し、透明電極12を除去して形成してもよい。
上記のように、スリットS1,S3及びS4は、隣接する太陽電池セル群を直列に接続するために設けられ、スリットS2及びS5は、直列に接続された太陽電池セル群を並設するために設けられる。これにより、スリットS1の方向に沿って隣接する太陽電池セル間が電気的に分離され、直列に接続された複数の太陽電池セルからなる太陽電池セル群が複数並設された構造が得られる。そして、これら太陽電池セル群は最終的に並列に接続され、太陽電池モジュール300が構成される。
なお、ステップS60の後に、太陽電池モジュール300の外周部分を除去する工程等を設けてもよい。また、ステップS60の後に、太陽電池モジュール300の表面を保護するためのバックシートや樹脂層を形成する工程を設けてもよい。バックシートや樹脂層は、太陽電池モジュール300の保護層として機能する。
第2の実施の形態によれば、図6(a)及び図6(b)に示すように、スリットS2内に透明電極12の島40が残されているので、スリットS2内において密着性の低い透明基板10と光電変換ユニット14とが直接接触している領域が小さくなる。この結果、スリットS2内における透明基板10と光電変換ユニット14との界面の密着性が高くなり、透明基板10からの光電変換ユニット14の剥離が生じ難くなる。
また、スリットS2内に透明基板10と光電変換ユニット14とが直接接触する溝42が複数設けられているため、いずれかの溝42において絶縁抵抗が小さくなったとしても他の溝42によってスリットS2を挟んで隣接する光電変換ユニット14の透明電極12間の絶縁を十分に維持することができる。
また、スリットS2を複数の溝42と島40とで構成したことで、その後のスリットS5を形成する際、レーザ光の照射によるストレスに起因した剥離を抑制することができる。この結果、スリットS2の領域内へのスリットS5のレーザ加工を安定して行うことができ、太陽電池モジュール300の製造歩留りを向上させることができる。
特に、光電変換層として微結晶シリコン(μc−Si)光電変換ユニットを用いる場合には、微結晶シリコン光電変換ユニットを構成する微結晶シリコン層が有する高い膜ストレスのために透明基板10との間の剥離が生じやすいので、剥離抑制効果を顕著に享受することができる。
例えば、図7に示すように、スリットS5の幅を溝42の幅よりも広く形成し、スリットS5が複数の島40及び複数の溝42に跨るように形成する場合には、太陽電池モジュール300の表面に保護層を設けた際、スリットS5内に形成される島40及び溝42に起因した凹凸により保護層と下地(島40及び透明基板10)との密着性が高くなり、下地からの保護層の剥離が生じ難くなる。これにより、太陽電池モジュール300の耐環境性を高めることができ、安定して発電を行うことが可能となる。
また、スリットS2を複数の溝42と島40とで構成したことで、その後のスリットS5を形成する際のレーザ光の照射において、溝42内に光電変換ユニット14や裏面電極16に起因した残渣が生じたとしても、スリットS5の領域外の他の溝42によってスリットS2を挟んで隣接する光電変換ユニット14の透明電極12間の絶縁を十分に維持することができる。
10 透明基板、12 透明電極、14 光電変換ユニット、16 裏面電極、30 ノズル、32 粒子、34 凹凸、40 透明電極の島、42 溝、100,200,300 太陽電池モジュール。
Claims (2)
- 基板上に第1の電極、発電層、第2の電極を順に積層した光電変換素子を複数直列に接続した太陽電池モジュールであって、
前記第1の電極が第1の幅で除去された領域と、
前記第1の電極が除去された領域に重なり、前記発電層及び前記第2の電極が前記第1の幅より狭い第2の幅で除去された領域と、を備えた分離溝を有し、
前記分離溝内の前記基板表面に凹凸が設けられていることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記凹凸の段差の平均値は、0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
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