JP2013119512A - ガラス基板および太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 面内に形成される凹部のサイズが概ね均一で、かつ、再現性に優れたガラス基板の製造方法を実現する。
【解決手段】 KまたはNaを含むガラス板を用意する工程S1と、前記ガラス板のKまたはNaをLiで交換して表面にクラックが生じたLi置換層を形成するイオン交換工程S2と、前記ガラス板をエッチングして前記Li置換層に生じた前記クラックのサイズを拡大するエッチング工程S3と、を有するガラス基板の製造方法とした。
【選択図】 図1
【解決手段】 KまたはNaを含むガラス板を用意する工程S1と、前記ガラス板のKまたはNaをLiで交換して表面にクラックが生じたLi置換層を形成するイオン交換工程S2と、前記ガラス板をエッチングして前記Li置換層に生じた前記クラックのサイズを拡大するエッチング工程S3と、を有するガラス基板の製造方法とした。
【選択図】 図1
Description
この発明は、太陽電池などに使用される粗面化したガラス基板の製造方法およびその基板を用いた太陽電池の製造方法に関するものである。
薄膜太陽電池としてガラス基板上に透明電極膜、アモルファスシリコンなどの半導体膜、さらに金属電極膜を積層した構造がある。このような太陽電池の透明電極膜やガラス基板に微細な凹凸構造を形成すると、入射光の閉じ込め効果が向上することが知られている。例えば特許文献1には、ガラス基板をサンドブラスト法もしくはウォーターブラスト法により表面を粗面化した後、フッ酸等の強酸により処理することにより半球状ディンプル形状の凹凸構造を形成することが述べられている。凹凸によって実効的な表面積を増大させ、その結果単位面積あたりの電流出力を向上させる効果があり、半球状のディンプル構造であるため鋭角的な凹凸を有するガラス基板に対して強度的にも有効とされる。
また、特許文献2には、ガラス基板に酸化ケイ素被膜を形成後に、被膜をエッチング除去してガラス基板の表面を凹凸に加工する方法が述べられている。再現性良く100〜500nmの周期を持った凹凸構造が形成される。
しかしながら、特許文献1のようにブラスト法を使用して凹凸構造を形成すると、ブラストに使用した砥粒がガラス基板に深く突入して残留するといった問題がある。残留した砥粒は、入射光を吸収してしまうため、太陽電池の発電効率を低減するといった問題がある。また、砥粒のサイズや形状にばらつきがあるため、局所的に大きな凹部ができてしまうという問題もある。一方、特許文献2のように酸化ケイ素被膜を形成後にエッチング法によって凹凸構造を形成すると、局所的に大きな凹部ができる問題はないが、逆に、凹部がうまくできない場合がある。処理には最適な処理時間があり、酸化ケイ素被膜が残留している間は表面が平滑で、エッチング時間が長すぎると一旦形成された凹凸がだれて平滑となってしまう。またエッチング液組成や液のかくはんの有無、温度も影響するため、良好な凹凸形状を得るには、エッチング液や条件の管理が厳しい。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ガラス基板の面内に形成される凹部のサイズが概ね均一で、かつ、より再現性に優れた凹凸形成方法を提供することを目的とする。
本発明のガラス基板の製造方法は、KまたはNaを含むガラス板を用意する工程と、前記ガラス板のKまたはNaをLiで交換して表面にクラックが生じたLi置換層を形成するイオン交換工程と、前記ガラス板をエッチングして前記Li置換層に生じた前記クラックのサイズを拡大するエッチング工程と、を有する。
この発明のガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の面内に形成される凹部のサイズが概ね均一で、かつ、再現性に優れたガラス基板の製造方法となる。
また、この発明の太陽電池の製造方法によれば、ガラス基板に均一な凹凸が再現よく形成されるので、良好な発電効率の太陽電池が得られる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1のガラス基板の製造方法を説明するプロセスフロー図である。本発明では、まず、平滑な面を有する、KまたはNaを含んだガラス材料からなるガラス基板を用意する(S1工程)。このようなガラス材料として、フロートガラスを使用することができる。その典型的な組成は、含まれるシリコンや金属元素を酸化物基準として全量を100質量%とすると、主成分のSiO2が60〜80質量%で、Na2OとK2Oとは加えると3〜20質量%含まれ、残りの成分としてCaO、MgO、Al2O3、MgOや他の酸化物等が含まれる。
図1は本発明の実施の形態1のガラス基板の製造方法を説明するプロセスフロー図である。本発明では、まず、平滑な面を有する、KまたはNaを含んだガラス材料からなるガラス基板を用意する(S1工程)。このようなガラス材料として、フロートガラスを使用することができる。その典型的な組成は、含まれるシリコンや金属元素を酸化物基準として全量を100質量%とすると、主成分のSiO2が60〜80質量%で、Na2OとK2Oとは加えると3〜20質量%含まれ、残りの成分としてCaO、MgO、Al2O3、MgOや他の酸化物等が含まれる。
ついで、この基板のNaまたはKをLiで交換するイオン交換処理を行う(工程S2)。イオン交換処理は溶融したLi塩やLi化合物、たとえば融点約261℃のLiNO3や融点462℃のLiOH、にガラス基板を浸漬して行う。ガラス基板がフロートガラスである場合、一般に、その耐熱の上限は400〜500℃であるので、300〜350℃で溶融したLiNO3に浸漬すると良い。温度が高くなるとイオン交換の速度が速まるので処理時間は溶融塩の温度に応じて適宜調整すればよいが、例えば300℃であれば30分から2時間、350℃であれば15分から1時間程度で処理を行うと良い。この処理によって表面から0.5〜2μm程度の深さのNaまたはKの多くがLiによって置換される。
Liのイオン半径はNaまたはKのイオン半径よりも小さいため、Liで置換された層(以下、Li置換層と略す。)には引張応力が発生する。この層の厚みがある程度厚くなると、引張応力がガラス材料の許容値を超え、微細なクラックが生じて応力が緩和される。このクラックは置換した層の厚み程度のサイズであり、また、化学処理によって形成されるため、面内に概ね均一に形成される。なお、ガラスに含まれるNaまたはKの濃度が高いほど、交換されるLiの割合が増加して、薄い置換層でもクラックが生じやすくなる。また、このイオン交換処理の時間を増やすと、クラックは大きくなって、光を乱反射させる効果が高まるが、溝が深くなると、このガラス基板の上に形成する透明導電膜や半導体膜に欠陥が生じやすくなる。そこでLi置換層の厚みは表面から1μm以下として、クラックの深さも1μm以下となるようにすると良い。なお、このLi置換層の厚みは、スパッタエッチングで表面から掘りながらXPS(X線光電子分光法)で測定することで深さ方向の分布を測定することが可能である。Li濃度は表面付近が最も高く、深くなるほど低下する。ここでは、表面から表面の濃度に対して1/10まで減少する深さまでの層をLi置換層とする。また、クラックの深さは断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで測定することができる。
次に、フッ化水素を含有するエッチング液で表面の微細なクラックが生じたガラス基板をエッチング処理する(工程S3)。エッチング液としては、例えば、バッファードフッ酸(BHF)が使用できる。例えば、フッ化水素酸(50重量%)とフッ化アンモニウム水溶液(40重量%)とを体積比で1:6〜1:20に混合したものである。また、このようなフッ化水素を含有するエッチング液に酢酸やグリセリン、界面活性剤などを加えてもよい。最後に、ガラス基板に付着したエッチング液と残渣成分を水洗で除去して後に乾燥して粗面化したガラス基板の製造が完了する(工程S4)。
本実施の形態1のガラス基板の製造方法によれば、イオン交換処理によってNaまたはKよりイオンサイズの小さいLiで置換することで表面に微細クラックを発生し、このクラックを起点にしてガラスのエッチングが進行するので、ガラス基板の面内に形成される凹部のサイズが概ね均一で、かつ、粗面化の大きさをコントロールしやすく再現性に優れる。
また、本方法によれば、クラックにエッチング液が侵入して、その内部からエッチングが進むと同時に、Li置換層の表面全体からもエッチングが進行する。Li置換層には、Liをはじめ、CaやMg、Alなどのフッ酸で残留物を生じやすい成分が含まれる。このため、表面に残留物ができることによっても凹凸が形成されていく。ただし、フッ酸で残留物が生じにくいKやNaをより残留物が生じやすいLiに置き換えたことによって、より凹凸ができやすくなっている。
そこで、エッチング液としてLi塩を溶かしたものを使用してもよい。例えば、エッチング液として水に溶けにくいLiFを飽和するまで添加するなどしたものを使用すると、エッチング時にLiFの残渣が生じやすくなってこれがマスクとなりエッチングが進むので、さらに凹凸が形成されやすくなる。上記のようなクラックがほとんど生じない場合であっても、Liで置換した効果があると考えられる。特にCaやMgなどのエッチング残渣が生じやすい成分が少ないガラスに対してLiを置換する効果が大きい。
また、Mgやアルカリ土類金属のCaなどを多く含むガラスでは、残渣が多くなりすぎてエッチングの進行が遅くなることがあるので、EDTAやその誘導体、クエン酸などMgやアルカリ土類金属のCaなどの除去に優れたキレート剤の添加や、硫酸や塩酸などの強酸を適量添加してもよい。
また、エッチングの際に粗面化した面にLi置換層の一部が残るようにしてもよい。Li置換層が残留することにより、粗面化した面のガラスのやけの現象や化学的耐久性を高めることができる。
実施の形態2.
実施の形態2の太陽電池の製造方法は実施の形態1の方法で凹凸を形成したガラス基板を用いた太陽電池の製造方法である。図2〜図8は、実施の形態2における製造方法の工程の一例を説明するための部分断面図である。
実施の形態2の太陽電池の製造方法は実施の形態1の方法で凹凸を形成したガラス基板を用いた太陽電池の製造方法である。図2〜図8は、実施の形態2における製造方法の工程の一例を説明するための部分断面図である。
まず、実施の形態1と同様に表面を凹凸にしたガラス基板1を作成する(図2)。典型的なガラス基板1は矩形状で、例えば長辺が1.3〜1.8m、短辺が0.8〜1.2mの長方形である。凹凸が形成された粗面1aは図のように片面のみとしてもよい。さらに、ガラス基板1からのアルカリ成分の拡散を防止するために、凹凸形成後にSiO2膜を50nm程度形成してもよい。このSiO2膜の形成法は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的方法や、スプレー法、ディップ法、CVD法などの化学的方法のいずれを用いてもよい。
つぎに、粗面化したガラス基板1上に透明導電膜2として、アルミニウム(Al)を0.1〜1.0at%ドーパントとして含む膜厚0.5〜1μmの酸化亜鉛(ZnO)膜をDCスパッタリング法によって製膜温度150〜250℃で形成する(図3)。透明導電膜2は下地の粗面1aの凹凸形状に影響されて凹凸表面を有する膜となる。透明導電膜2は、これに限定されることなく、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ(SnO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)などの結晶性金属酸化物を主成分とする透明導電性酸化膜や、これらの透明導電性酸化膜にドーパントとしてアルミニウム(Al)を添加した膜などの透光性の膜を形成してもよい。また、透明導電膜2は、ドーパントとしてアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)から選択した少なくとも1種類以上の元素を用いたZnO膜、ITO膜、SnO2膜、またはこれらを積層して形成した透明導電膜であってもよく、光透過性を有している透明導電膜であればよい。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。
次に、透明導電膜2の一部をガラス基板1の短辺と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して短冊状にパターニングし、複数の透明電極12に分離する(図4)。このパターニングは、レーザスクライブ法により、粗面化したガラス基板1の辺と略平行な方向に延在してガラス基板1に達するストライプ状の第1の溝D1を形成することで行う。なお、このようにガラス基板1上に基板面内で互いに分離された複数の透明電極12を得るには、写真製版などで形成したレジストマスクを用いてエッチングする方法や、メタルマスクを用いた蒸着法などの方法でも可能である。
次に、透明電極12上に光電変換層4をプラズマCVD法により形成する(図5)。本実施の形態では、光電変換層4はp型非晶質半導体層41、i型非晶質半導体層42、n型非晶質半導体層43がこの順に積層されたpin構造を有している。p型非晶質半導体層41としてp型のアモルファス炭化シリコン膜(a−SiC膜)、i型非晶質半導体層42としてi型のアモルファスシリコン膜(a−Si膜)、n型非晶質半導体層43としてn型のアモルファスシリコン膜(a−Si膜)等を用いることができる。
次に、このようにして積層形成された半導体層(光電変換層4)に、透明電極12と同様にレーザスクライブによってパターニングを施す(図6)。すなわち、光電変換層4の一部を第1の溝D1の近傍で第1の溝D1と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して短冊状にパターニングして分離する。半導体層(光電変換層4)のパターニングは、レーザスクライブ法により透明電極12に達するストライプ状の第2の溝D2を形成することで行う。透明電極12で吸収が少なく、半導体層で吸収が大きい波長の光のレーザを使用することで透明電極12を残したままで、その上の半導体層を除去することができる。第2の溝D2の形成後、第2の溝D2内に付着している飛散物を高圧水洗浄、メガソニック洗浄、あるいはブラシ洗浄により除去する。
次に、光電変換層4上および第2の溝D2内に金属膜8を形成する(図7)。金属膜8は、例えば膜厚200nmの銀合金(Ag Alloy)膜であり、スパッタリング法で形成することができる。金属膜8の成膜方法として、CVD法やスプレー法などの他の成膜方法を用いてもよい。なお、光電変換層4のシリコンへの金属拡散を防止するために、金属膜8と光電変換層4との間に、例えば酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)等の透明導電膜を設けてもよい。
金属膜8の形成後、金属膜8および半導体層(光電変換層4)の一部をガラス基板1の第1の溝D1および第2の溝D2と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して透明電極12に達するストライプ状の第3の溝D3を形成する(図8)。第3の溝D3は第2の溝D2の近傍で第1の溝D1と反対側に形成する。この第3の溝D3(分離溝)の形成により、光電変換層4は短冊状のセルを構成する部分として分離される。また、金属膜8も同様に分離されて短冊状のセルを構成する裏面電極18となる。第2の溝D2(接続溝)の内部で裏面電極18は透明電極12に接している。これにより、隣接する短冊状のセルの一方の裏面電極18が他方の透明電極12に接続されて、セル間が直列接続される。以上のように形成された太陽電池は、主として光発電する発電領域Aと、溝でセル間を接続する接続領域Bを有している。
なお、反射率の高い金属膜8にレーザを直接吸収させるのは困難なので、半導体層(光電変換層4)にレーザ光エネルギーを吸収させて、半導体層とともに金属膜8を局所的に吹き飛ばすことによって複数のセルに分離される。以上により、ガラスの表面に凹凸構造が形成されたガラス基板1を用いた薄膜太陽電池が完成する。
図9は以上の方法で作成した太陽電池100をガラス基板1の一例を上面から見た上面図である。ガラス基板1上に短冊状の発電領域Aと接続領域Bとが交互になるように複数のセルが並ぶ。なお、図はガラス基板1の周辺部においてセルを構成する各膜が除去された構造を示している。周辺の膜はレーザ加工やブラスト加工などで除去することができる。周辺の膜を除去することでセルが基板外部と短絡することを防止する。図では示さないが、太陽電池100には直列接続された両端のセルの電極には外部に電力を取り出すためのリード線が接続される。また屋外で使用される太陽電池では各膜の上を封止シートなどで覆われて太陽電池モジュールとなる。
なお、上記においては、光電変換層4に非晶質シリコンが使用されている場合について説明したが、非晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンカーバイド等の非晶質シリコン系の半導体や、微結晶シリコンなどの結晶質シリコン系の半導体を使用してもよい。また、ガラス基板1の形状や、セルの形状、セルの数等は適宜変更可能である。
図10は本実施の形態2の太陽電池の変形例の構造を示す部分断面図である。この太陽電池は上記で述べた太陽電池の光電変換層4を光電変換層4と第2の光電変換層6とで積層したものに置き換えた二層タンデム型の薄膜太陽電池である。光電変換層4および第2の光電変換層6のそれぞれはpin構造を有している。さらに光電変換層を三層の光電変換層で構成した三層タンデム型の薄膜太陽電池としてもよい。タンデム型の場合、変換する光を入射するガラス基板1側の前段の光電変換層として後段側の光電変換層よりもバンドギャップが広い半導体材料を用いるとよい。たとえば、入射側を非晶質シリコン系、裏面側を結晶質シリコン系としたり、裏面側をゲルマニウムの含有量が多いシリコン系等としたりするとよい。たとえば、光電変換層4を上記のような非晶質シリコン系とした場合、第2の光電変換層6は、p型結晶質半導体層61、i型結晶質半導体層62、n型結晶質半導体層63が光電変換層4側から順に積層された構造とする。p型結晶質半導体層61としてp型の微結晶シリコン膜(μc−Si膜)、i型結晶質半導体層62としてi型の微結晶シリコン膜(μc−Si膜)、n型結晶質半導体層63としてn型の微結晶シリコン膜(μc−Si膜)を用いることもできる。このような層はプラズマCVD法で形成することができる。
光電変換層4と第2の光電変換層6との間には図のように中間層5を設けてもよい。中間層5は、前段のユニットである光電変換層4を透過した光を後段のユニットである第2の光電変換層6に導くとともに、光電変換層4と第2の光電変換層6とを電気的に接続する。このような中間層としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)、一酸化ケイ素(SiO)等の膜を用いることができる。また、上記でも述べたが、裏面電極18の金属が半導体中に拡散することを防止するため、図のように第2の光電変換層6と裏面電極18との間に透明導電層7を設けると良い。このようなタンデム型の構成にすると、さらに広波長域の光を吸収する薄膜太陽電池となり、良好な特性を得ることができる。
以上のような実施の形態2の太陽電池の製造方法では、Liイオン交換処理とエッチング加工を組み合わせて製造されたガラス基板を用いて、そのガラス基板の上に薄膜光電変換層からなる光発電素子を設けたので、ガラス基板の面内に形成される凹部のサイズが概ね均一で、その凹凸形状によってより多くの光を光電変換層に吸収させることを可能にし、良好な光電変換効率を有する太陽電池を実現することができる。
Liでイオン交換後にフッ化水素を含有するエッチング液でエッチングした例を以下に説明する。
(実施例1)
厚み1.5mm、10cm角で、組成がSiO2(72%)、Na2O(13%)、CaO(10%)、MgO(4%)、Al2O3(1%)のガラス基板を用意した。次いで、このガラス基板を300℃で溶融したLiNO3に1時間浸漬してイオン交換処理を行った。交換後にできたLi置換層の厚みは、約0.9μmであった。また、表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察すると、表面からみて0.1〜数μmの微細なクラックが面内に多数発生していることが分かった。次いで、フッ化水素酸(50重量%)とフッ化アンモニウム水溶液(40重量%)との体積比が1:10のBHFでエッチング時間を1分、3分、5分、10分と変えて室温でこのガラス基板をエッチング処理した。エッチング処理後の表面形状を触針式の表面粗さ計で表面凹凸の最大高低差を測定した。また、ガラス基板を透過した可視光の散乱特性を分光光度計でヘイズ値を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
厚み1.5mm、10cm角で、組成がSiO2(72%)、Na2O(13%)、CaO(10%)、MgO(4%)、Al2O3(1%)のガラス基板を用意した。次いで、このガラス基板を300℃で溶融したLiNO3に1時間浸漬してイオン交換処理を行った。交換後にできたLi置換層の厚みは、約0.9μmであった。また、表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察すると、表面からみて0.1〜数μmの微細なクラックが面内に多数発生していることが分かった。次いで、フッ化水素酸(50重量%)とフッ化アンモニウム水溶液(40重量%)との体積比が1:10のBHFでエッチング時間を1分、3分、5分、10分と変えて室温でこのガラス基板をエッチング処理した。エッチング処理後の表面形状を触針式の表面粗さ計で表面凹凸の最大高低差を測定した。また、ガラス基板を透過した可視光の散乱特性を分光光度計でヘイズ値を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
Li置換層の微細クラックはエッチングによって、その幅が徐々に拡大する。ただし、エッチング時間1分では、その幅が0.5μmより小さく、最大高低差に関して触針式の表面粗さ計ではうまく測定できなかった可能性がある。また、凹凸が比較的小さいにもかかわらず比較的高いヘイズ値となったのは、このようなクラックの散乱効果によるものと考えられる。ただし、このようにクラックの幅が狭いと、その上に形成する薄膜に欠陥が多くなる可能性があるので、クラックの幅が0.5μm以上になるまでエッチングすることが好ましい。エッチング時間が3分以上になると、クラックの幅が0.5μm以上となり、Li置換層の大半がエッチング除去されたものと考えられる。エッチング時間が5分以降はLi置換層の下のガラスのエッチングが進行していると考えられるが、クラックによって形成された凹部形状や、Li置換層の残留物で形成された形状が反映されて、光散乱の良好な凹凸が形成される。
5分エッチングしたガラス基板を用いて、厚み0.3μの非晶質シリコンからなる光電変換層を設けた太陽電池を作製した。このガラス基板に順に、膜厚約0.5μmのAl添加ZnO透明電極、膜厚約10nmのカーボンを微量添加したp型のアモルファスシリコン膜、膜厚約0.25μmのi型のアモルファスシリコン膜、膜厚約10nmのn型のアモルファスシリコン膜、膜厚約60nmのAl添加ZnOからなる透明導電膜、膜厚約0.2μmのAg合金からなる裏面電極を積層して太陽電池とした。作製した太陽電池をAM1.5の疑似太陽光を用いて評価したところ、光変換効率は約9.6%であった。
(比較例1)
次に、実施例1と同じガラス基板をイオン交換の工程なしに実施例1と同じエッチング処理を行って、その表面凹凸の最大高低差とヘイズ値を測定した。これらの測定結果を表2に示す。
次に、実施例1と同じガラス基板をイオン交換の工程なしに実施例1と同じエッチング処理を行って、その表面凹凸の最大高低差とヘイズ値を測定した。これらの測定結果を表2に示す。
実施例1に比べてすべての処理時間でヘイズ値が小さかった。比較例の条件で5分エッチングしたガラス基板を用いて、実施例と同様に光電変換層を設けた太陽電池を作製したところ、光変換効率は約8.1%であった。
以上の結果から、Li置換層を形成後にエッチング処理を行ったことにより、ヘイズ値を高める効果があることが分かった。また、その方法で製造された基板を使用して高効率の太陽電池を作製することが可能であった。
本発明によれば、光散乱に優れたガラス基板や、高効率の太陽電池を製造することができる。
1 ガラス基板、1a 粗面、2 透明導電膜、4 光電変換層、5 中間層、6 第2の光電変換層、7 透明導電層、8 金属膜、12 透明電極、18 裏面電極、41 p型非晶質半導体層、42 i型非晶質半導体層、43 n型非晶質半導体層、61 p型結晶質半導体層、62 i型結晶質半導体層、63 n型結晶質半導体層、100 太陽電池、A 発電領域、B 接続領域、D1 第1の溝、 D2 第2の溝(接続溝)、 D3 第3の溝(分離溝)。
Claims (6)
- KまたはNaを含むガラス板を用意する工程と、前記ガラス板のKまたはNaをLiで交換して表面にクラックが生じたLi置換層を形成するイオン交換工程と、前記ガラス板をエッチングして前記Li置換層に生じた前記クラックのサイズを拡大するエッチング工程と、を有するガラス基板の製造方法。
- 請求項1に記載のガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス板は、そのガラス組成が酸化物基準の質量%において、Na2O成分とK2O成分とを加えた量が3〜20%であるガラス基板の製造方法。 - 請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法であって、
前記エッチング工程が、フッ化水素を含有するエッチング液で処理する工程であるガラス基板の製造方法。 - 請求項3に記載のガラス基板の製造方法であって、
前記エッチング工程において前記エッチング液にあらかじめLiを含有させた液を使用するガラス基板の製造方法。 - 請求項3または4に記載のガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス板はMgまたはアルカリ土類金属を成分として含有し、
前記エッチング工程において前記エッチング液がMgまたは前記アルカリ土類金属と結合するキレート剤を含むガラス基板の製造方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法で製造したガラス基板の上に光発電素子を設ける工程を備えた太陽電池の製造方法。
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WO2022203037A1 (ja) * | 2021-03-26 | 2022-09-29 | 凸版印刷株式会社 | 配線基板の製造方法及び配線基板 |
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2011
- 2011-12-08 JP JP2011269156A patent/JP2013119512A/ja active Pending
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