JP2012041618A - ガス吹き込み用プラグおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の厚みと平面的な広がりを有し、プラグ本体1の底面1aから上面1bまで連通するように配設されたスリット状ガス通路1を備えたガス吹き込み用プラグA1において、スリット状ガス通路を構成する、互いに対向する一対の対向内壁面2a,2bが、所定の位置に点在する複数の接合部4を介して、所定の間隔をおいて接合され、かつ、スリット状ガス通路を平面に展開したときにおける、複数の接合部の合計平面面積が、接合部を含むスリット状ガス通路全体の平面面積の5〜30%であるような構成とする。
スリット状ガス通路の厚みを0.1〜0.3mmとする。
1または2以上のスリット状ガス通路を、プラグ本体の底面から上面に向かう方向と直交する方向の断面の中心軸周りを周回するような態様で配設する。
【選択図】図2
Description
しかしこの製造方法により製造されるスリットプラグの場合、スリットが水平方向に不連続であり、使用中にスリットが目詰まりを起こしやすく、必要なガス流量が確保できなくなるという問題点がある。
しかしながら、この特許文献2のガス吹き込み用プラグの場合、渦巻状にした1枚のシートを燃焼させて形成されるスリットは完全に連続しており、スリットを介して対向する耐火物は、互いに接続されていないため、使用時の熱スポーリングなどにより容易に耐火物が剥離し、損傷速度が非常に大きくなるという問題点がある。
しかしながら、このガス吹き込み用プラグは、スリットが水平方向に不連続であることから、使用中にスリットが目詰まりを起こしやすく、必要なガス流量が確保できなくなるという問題点がある。
しかしながら、ガス通路が連続した部分と非連続の部分とで構成されており、使用毎に新しい断面が露出するが、非連続の浅いスリットを段違いに形成するようにしていることから、スリット内部の緻密部が多くなりすぎてガス流通路が狭くなるという問題点がある。また、スリットに非連続部分が多く、ガスの流通路が複雑になることからも、ガスが通気しにくくなり、必要なガス流量を確保しにくいという問題点がある。
またスリットを形成するためのシートの形状が複雑で、製造が容易でないという問題点がある。
内部にガス通路を備えた耐火物からなるプラグ本体と、ガス通路にガスを導入するためのガス導入管とを備えた、溶融金属容器の底部から容器内部の溶鋼にガスを吹き込むために用いられるガス吹き込み用プラグであって、
前記ガス通路として、所定の厚みと平面的な広がりを有し、前記プラグ本体の底面から上面まで連通するように配設されたスリット状ガス通路を備え、
前記プラグ本体の前記スリット状ガス通路を構成する、互いに対向する一対の対向内壁面は、所定の位置に点在する複数の接合部を介して、所定の間隔をおいて互いに接合されており、
前記スリット状ガス通路を平面に展開したときにおける、複数の前記接合部の合計平面面積が、前記接合部を含む前記スリット状ガス通路全体の平面面積の5〜30%であること
を特徴としている。
請求項1〜5に記載されたガス吹き込み用プラグの製造方法であって、
前記接合部に対応する貫通孔が設けられた熱消失性材料からなるシートを鋳込み枠の所定の位置にセットする工程と、
前記鋳込み枠に耐火物を鋳込むことにより、内部に前記シートを備えた耐火物成形体を形成する工程と、
前記耐火物成形体を熱処理して、前記シートを消失させる工程と
を具備することを特徴としている。
ただし、接合部の合計平面面積(占有率)は、スリット状ガス通路全体の平面面積の5〜30%とすることが望ましい。これは、接合部の合計平面面積がスリット状ガス通路全体の平面面積5%を下回ると、スリット状ガス通路を構成する、一対の対向内壁面どうしの結合強度が不十分になって、使用中の溶鋼静圧により容易に破断が生じる(例えば、スリット状ガス通路の内側の中心部分が抜け落ちる)という問題点があり、また、30%を超えると、スリット状ガス通路の障害物(接合部)が多くなりすぎて、通気が阻害され、ガス流量が低下するという問題点があることによる。
なお、接合部の合計平面面積の、スリット状ガス通路全体の平面面積に対する割合は10〜20%の範囲とすることがより好ましい。
なお、個々の接合部の平面面積(単位面積)は、70〜120mm2の範囲とすることがより好ましい。
なお、スリット状ガス通路の厚みが0.1mmを下回ると、ガス流量の確保が困難になり、0.3mmを超えると、溶鋼が差し込み易くなり、スリット状ガス通路が閉塞してガス流量を確保できなくなるおそれが生じる。
図1は本発明の実施例にかかるガス吹き込み用プラグの構成を示す正面断面図、図2(a)はその要部構成を示す平面図、図2(b)は平面断面図である。
なお、プラグ本体1を構成する耐火物としては、キャスタブル耐火物を用いて形成された、Al2O3が90%の緻密質耐火物が用いられている。
そして、各スリット状ガス通路2は、上述のように、円錐台形状のプラグ本体1の底面1aから上面1bまで連通(連続)しているとともに、周方向(水平方向)にも全体的に連通(連続)している。
ただし、接合部4の平面形状は円形に限られるものではなく、他の形状とすることも可能である。
次に、上述のガス吹き込み用プラグA1の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、複数の貫通孔(本発明のガス吹き込み用プラグの接合部に対応する貫通孔)11aが設けられた熱消失性材料からなるシート(熱消失性シート)11を用意した。この実施例では貫通孔11aの平面形状は、ガス吹き込み用プラグA1の接合部の形状に対応する円形とした。
この実施例では、熱消失性シート11として、ポリスチロールからなるシートを用いた。
なお、熱消失性シート11としては、プラグ本体に形成すべきスリット状ガス通路に対応する寸法のものを、形成すべきスリット状ガス通路の数(この実施例では2層)だけ用意した。
図4(a),(b)は本発明の他の実施例(実施例2)にかかるガス吹き込み用プラグを示す図であり、(a)実施例のガス吹き込み用プラグを模式的に示す平面図、(b)は内部構造を示す平面断面図である。
上では、プラグ本体1の底面1aから上面1bに向かう方向と直交する方向(水平方向)の断面の中心軸周りを周回するような態様で、同心状の円筒状のスリット状ガス通路2を2層設けたガス吹き込み用プラグA1およびその製造方法について説明したが、同様の方法で、図4(a),(b)に示すように、内側(径方向内側)のスリット状ガス通路2(2a)が、プラグ本体1の底面1aから上面1bに向かう方向と直交する方向の断面形状が星形であり、外側(径方向外側)のスリット状ガス通路2(2b)の同方向の断面形状が円形であるガス吹き込み用プラグ(実施例2のガス吹き込み用プラグ)A2を製造した。なお、図4(a),(b)において、図2(a),(b)と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示す。
(1)プラグ本体1の底面から上面に貫通する細長い帯状の(縦長の)スリット状ガス通路21(21a)を複数本、周方向に沿って配設することにより形成された内側スリット状ガス通路22(22a)と、同じくプラグ本体1の底面から上面に貫通する細長い帯状の(縦長の)スリット状ガス通路21(21b)を複数本、周方向に沿って配設することにより形成された外側スリット状ガス通路22(22b)とを備えたガス吹き込み用プラグであって、図5に示すように、内側スリット状ガス通路22(22a)を構成する帯状スリット21(21a)どうし、および,外側スリット状ガス通路22(22b)を構成する帯状スリット21(21b)どうしが独立しており、周方向に不連続である、本発明の要件を備えていないガス吹き込みノズル(比較例1のガス吹き込み用プラグ)B1、
(2)図1,図2(a),(b)に示した本発明の実施例にかかるガス吹き込み用プラグA1に準じる構造を有するが、複数の接合部4の合計平面面積が、接合部4を含むスリット状ガス通路2全体の平面面積の4%と、本発明の範囲(本発明では5〜30%)を下回るガス吹き込み用プラグ(比較例2のガス吹き込み用プラグ)B2(図示せず)、
(3)図1,図2(a),(b)に示した本発明の実施例にかかるガス吹き込み用プラグA1に準じる構造を有するが、複数の接合部4の合計平面面積が、接合部4を含むスリット状ガス通路2全体の平面面積の35%と、本発明の範囲(本発明では5〜30%)を超えたガス吹き込み用プラグ(比較例3のガス吹き込み用プラグ)B3(図示せず)
の3種類のガス吹き込み用プラグを作製した。
上述の実施例のガス吹き込み用プラグA1,A2および比較例のガス吹き込み用プラグB1〜B3について、以下の条件でガス流量の測定と耐圧テストを実施した。
各ガス吹き込み用プラグA1,A2およびB1〜B3のそれぞれに、0.1MPaの圧力で空気を流し、各ガス吹き込み用プラグにおけるガス流量を測定した。
各ガス吹き込み用プラグA1,A2およびB1〜B3のそれぞれの、径方向内側の中心部耐火物(図1,図2(a),(b)では符号20で示した部分)を0.5MPaの圧力で押圧し、破断しなかったガス吹き込み用プラグを良(○)とし、破断したガス吹き込み用プラグを不良(×)として評価した。なお、耐圧テストが良好なガス吹き込み用プラグは、使用時の溶鋼の静圧に対する耐性が高く、耐用性に優れている。
表1に、各ガス吹き込み用プラグの条件、上記の方法で測定したガス流量、および耐圧テストの結果を示す。
1a プラグ本体の底面
1b プラグ本体の上面
2 スリット状ガス通路
3 ガス導入管
4 接合部
5 メタルケース
T スリット状ガス通路の厚み
11 熱消失性シート
11a 貫通孔
12a,12b 一対の対向内壁面
20 中心部耐火物
A1,A2 実施例にガス吹き込み用プラグ
B1 比較例1のガス吹き込み用プラグ
Claims (6)
- 内部にガス通路を備えた耐火物からなるプラグ本体と、前記ガス通路にガスを導入するためのガス導入管とを備えた、溶融金属容器の底部から容器内部の溶鋼にガスを吹き込むために用いられるガス吹き込み用プラグであって、
前記ガス通路として、所定の厚みと平面的な広がりを有し、前記プラグ本体の底面から上面まで連通するように配設されたスリット状ガス通路を備え、
前記プラグ本体の前記スリット状ガス通路を構成する、互いに対向する一対の対向内壁面は、所定の位置に点在する複数の接合部を介して、所定の間隔をおいて互いに接合されており、
前記スリット状ガス通路を平面に展開したときにおける、複数の前記接合部の合計平面面積が、前記接合部を含む前記スリット状ガス通路全体の平面面積の5〜30%であること
を特徴とするガス吹き込み用プラグ。 - 前記スリット状ガス通路の厚みが0.1〜0.3mmであることを特徴とする請求項1記載のガス吹き込み用プラグ。
- 複数の前記スリット状ガス通路を備えていることを特徴とする請求項1記載または2記載のガス吹き込み用プラグ。
- 前記スリット状ガス通路が、前記プラグ本体の底面から上面に向かう方向と直交する方向の断面の中心軸周りを周回するような態様で配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス吹き込み用プラグ。
- 複数の前記スリット状ガス通路が、前記プラグ本体の底面から上面に向かう方向と直交する方向の断面の中心軸周りを周回するような態様で同心状に配設されていることを特徴とする請求項3記載のガス吹き込み用プラグ。
- 請求項1〜5に記載されたガス吹き込み用プラグの製造方法であって、
前記接合部に対応する貫通孔が設けられた熱消失性材料からなるシートを鋳込み枠の所定の位置にセットする工程と、
前記鋳込み枠に耐火物を鋳込むことにより、内部に前記シートを備えた耐火物成形体を形成する工程と、
前記耐火物成形体を熱処理して、前記シートを焼失させる工程と
を具備することを特徴とするガス吹き込み用プラグの製造方法。
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