JP2012041285A - 抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、抗炎症剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い抗老化効果、抗酸化効果、アルギナーゼ活性促進効果、痩身効果、美白効果、及び抗炎症効果を発揮する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、及び抗炎症剤を提供する。
【解決手段】 オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、及び抗炎症剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、及び抗炎症剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高い抗老化効果、抗酸化効果、アルギナーゼ活性促進効果、痩身効果、美白効果、および抗炎症効果を発揮する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤に関する。
従来より、皮膚の美観を保つことに対する女性の関心は非常に高く、シワ、シミ、タルミなどは女性の肌に対する悩みの上位に常に位置する。これらの悩みのうち、シワやタルミは、加齢等による真皮線維芽細胞の機能低下や、それに伴うコラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの減少や変性、さらには紫外線等の外来ストレスによる酸化障害などが重要な要因となっている。また、もう一方の大きな悩みである、皮膚の色黒は一部不明な点もあるがホルモンの異常や日光の紫外線の刺激によるメラニン色素の産生が原因であり、その中でも、シミやソバカスはメラニン色素が異常沈着することが、その要因である。
これまでの皮膚外用剤の分野では、上述の皮膚の美観を損なうような諸症状を防止、或いは改善するために、さまざまな細胞賦活剤や抗酸化剤、メラニン産生抑制剤の検索および配合検討が成されてきた。
例えば、細胞賦活剤としては、ポンカンのエッセンス(特許文献1参照)、ツリガネニンジン属、クサギおよびそれらの抽出物(特許文献2参照)、有機溶媒によるクロレラ抽出物(特許文献3参照)等、抗酸化剤としては、キク科ヘテロテカ属植物抽出物(特許文献4参照)やカユンアンギンの抽出物(特許文献5参照)等、さらにメラニン産生抑制剤としては、ホンダワラの抽出物(特許文献6参照)、ショウガ属植物の抽出物(特許文献7参照)等が知られている。
天然由来成分は、様々な薬理作用や美容効果を有することが知られ、これまでにも数多くの植物や菌類などが皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用されている。しかし、天然由来成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れたアルギナーゼ活性促進作用、細胞賦活作用、抗酸化作用、美白作用などを有する有効成分の開発が期待されていた。本発明は、このような有効成分を見出すためになされたものであり、皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤を見出すために、天然由来の種々の物質について検討を行った。その結果、オニシモツケの抽出物に優れた、抗老化効果、抗酸化効果、アルギナーゼ活性促進効果、痩身効果、美白効果、および抗炎症効果を見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤を提供するものである。
本発明によれば、優れた効果を有する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤を提供することができる。
本発明の原料として用いられる植物であるオニシモツケ(Filipendula kamtschatica (Pall.) Maxim.)は、バラ科シモツケソウ属に属する大型の多年草で、カムチャッカ、サハリンから北海道と本州に分布する。
本発明において、オニシモツケは原体や乾燥物を用いてもよいが、各種溶媒を用いて抽出した抽出物を用いるのが好ましい。抽出には、オニシモツケの茎、葉、花、種子、根、地下茎、果実、芽などのいずれの部位を用いても構わないが、有効性の点からは全草を用いるとよい。抽出の際は、生のまま用いてもよいが、抽出効率を考えると、細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、抽出溶媒に浸漬するか、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出方法でも行うことができる。抽出効率を上げるため、撹拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
抽出溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、1、3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類などの溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。さらに、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界流体や亜臨界流体を用いてもよい。
オニシモツケの上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、濃縮、乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解して使用することもでき、これらの生理作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理やカラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。オニシモツケの前記抽出物やその処理物および分画物は、各処理および分画後に凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。
オニシモツケの抽出物は、優れた抗老化作用、抗酸化作用、アルギナーゼ活性促進作用、痩身作用、美白作用、および抗炎症作用を有し、オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤として利用することができる。オニシモツケの抽出物を有効成分とする抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤は、皮膚に外用するだけではなく、毛髪に利用することや経口摂取も可能であり、食品、飲料、あるいは医薬品などにも応用することが可能である。
オニシモツケの抽出物は、細胞賦活作用(抗老化作用)、過酸化脂質耐性促進作用(抗酸化作用)、スーパーオキサイドアニオン消去能(抗酸化作用)、フリーラジカル消去能(抗酸化作用)、アルギナーゼ活性促進作用、中性脂肪蓄積抑制作用(痩身作用)、チロシナーゼ活性阻害作用(美白作用)、メラニン産生抑制作用(美白作用)、ヒアルロニダーゼ阻害作用(抗炎症作用)を発揮し、抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、および抗炎症剤として有用である。
以下にオニシモツケ抽出物の製造例、各作用を評価するための試験についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
[抽出物1]
オニシモツケの全草の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの50容量%エタノール水溶液に、分散させ、撹拌しながら室温にて2時間抽出した。抽出上清を濾別したのち、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物1を得た。
オニシモツケの全草の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの50容量%エタノール水溶液に、分散させ、撹拌しながら室温にて2時間抽出した。抽出上清を濾別したのち、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物1を得た。
[抽出物2]
オニシモツケの全草の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの熱水で20分間加熱抽出した。抽出上清を濾別したのち、凍結乾燥を行い、抽出物2を得た。
オニシモツケの全草の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの熱水で20分間加熱抽出した。抽出上清を濾別したのち、凍結乾燥を行い、抽出物2を得た。
上記抽出物1、抽出物2を用いて、真皮線維芽細胞賦活作用、表皮細胞を用いた過酸化脂質耐性作用、スーパーオキサイドアニオン消去作用、DPPHラジカル消去能、アルギナーゼ活性促進作用、中性脂肪蓄積抑制作用、ヒト表皮メラニン細胞を用いたチロシナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用の評価を行った。なお各評価結果に記載した*および**は、t検定における有意確率P値に対し、有意確率5%未満(P<0.05)を*で、有意確率1%未満(P<0.01)を**でそれぞれ表したものである。
[抗老化作用:真皮線維芽細胞賦活作用]
正常ヒト真皮線維芽細胞を1ウェル当り2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に1質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、1質量%FBS添加DMEM培地に抽出物1を添加し、各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに48時間培養した。
次にMTT試薬を400μg/mLとなるように培地にて調整し交換し約2時間培養した。最後に2−プロパノールにて生じたフォルマザンを抽出し、マイクロプレートリーダーにて550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価ではサンプル培養液の他にネガティブコントロールとして1質量%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。結果を表1に示す。
正常ヒト真皮線維芽細胞を1ウェル当り2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に1質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、1質量%FBS添加DMEM培地に抽出物1を添加し、各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに48時間培養した。
次にMTT試薬を400μg/mLとなるように培地にて調整し交換し約2時間培養した。最後に2−プロパノールにて生じたフォルマザンを抽出し、マイクロプレートリーダーにて550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価ではサンプル培養液の他にネガティブコントロールとして1質量%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。結果を表1に示す。
表1より明らかなように、オニシモツケ抽出物を添加した培地では、有意な真皮線維芽細胞賦活作用を示すことから、優れた抗老化効果を発揮することが明らかとなった。
[抗酸化作用:表皮細胞の過酸化脂質耐性試験]
ヒト表皮細胞株HaCatを1ウェル当り2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に10質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、10質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに24時間培養した。次に任意濃度のt−butylhydroperoxideおよび抽出物2を添加したHanks(+)溶液に交換し2時間培養した。さらに150μg/mLニュートラルレッド含有PBS(−)に交換し37℃で2時間培養した。次に1質量%酢酸含有50質量%エタノール水溶液に交換し、細胞内に取り込まれたニュートラルレッドを抽出し、抽出液の540nmの吸光度を測定した。得られた結果を、t−butylhydroperoxideを添加していないコントロールの細胞生存率を100とした時の相対値により表2に示す。
ヒト表皮細胞株HaCatを1ウェル当り2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に10質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、10質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに24時間培養した。次に任意濃度のt−butylhydroperoxideおよび抽出物2を添加したHanks(+)溶液に交換し2時間培養した。さらに150μg/mLニュートラルレッド含有PBS(−)に交換し37℃で2時間培養した。次に1質量%酢酸含有50質量%エタノール水溶液に交換し、細胞内に取り込まれたニュートラルレッドを抽出し、抽出液の540nmの吸光度を測定した。得られた結果を、t−butylhydroperoxideを添加していないコントロールの細胞生存率を100とした時の相対値により表2に示す。
表2より明らかなように、オニシモツケ抽出物を添加することにより、過酸化脂質を添加した場合の細胞生存率が有意に向上したことから、優れた抗酸化作用を発揮することが明らかとなった。
[抗酸化作用:SOD様活性作用]
0.25mM WST−1および1mMハイポキサンチンを含有するHANK’S(+)溶液75μLに、HANK’S(+)溶液にて各濃度に調整した抽出物2を含有するサンプル溶液25μLを添加する。さらに、キサンチンオキシダーゼ25μL(0.0075ユニット)を添加し、37℃で15分間反応させた後、450nmの吸光度を測定した。サンプル溶液に替えてHANK’S(+)溶液のみを添加した場合の吸光度を(A)、サンプル溶液を添加した場合の吸光度を(B)としたとき、スーパーオキサイドアニオン消去率は次式によって求めた。
消去率(%)=[1−(B)/(A)]×100
評価結果を表3に示した。
0.25mM WST−1および1mMハイポキサンチンを含有するHANK’S(+)溶液75μLに、HANK’S(+)溶液にて各濃度に調整した抽出物2を含有するサンプル溶液25μLを添加する。さらに、キサンチンオキシダーゼ25μL(0.0075ユニット)を添加し、37℃で15分間反応させた後、450nmの吸光度を測定した。サンプル溶液に替えてHANK’S(+)溶液のみを添加した場合の吸光度を(A)、サンプル溶液を添加した場合の吸光度を(B)としたとき、スーパーオキサイドアニオン消去率は次式によって求めた。
消去率(%)=[1−(B)/(A)]×100
評価結果を表3に示した。
表3より明らかなように、オニシモツケ抽出物を添加した培地では、有意なスーパーオキサイドアニオン消去作用を示すことから、優れた抗酸化効果を発揮することが明らかとなった。
[抗酸化作用:DPPHラジカル消去作用]
抽出物1を50質量%エタノールを用いて各濃度に調整し、96ウェルマイクロプレートに100μLずつ添加した。さらに0.2mMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液を100μLずつ添加し、充分に混合後室温、暗所にて10分間静置後、516nmの吸光度を測定した。試料無添加のブランクの吸光度を(A)、試料を添加したときの吸光度を(B)としたとき、式(1)の値をラジカル消去率とした。評価結果を表4に示した。
式(1) {1−(B)/(A)}×100(%)
抽出物1を50質量%エタノールを用いて各濃度に調整し、96ウェルマイクロプレートに100μLずつ添加した。さらに0.2mMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液を100μLずつ添加し、充分に混合後室温、暗所にて10分間静置後、516nmの吸光度を測定した。試料無添加のブランクの吸光度を(A)、試料を添加したときの吸光度を(B)としたとき、式(1)の値をラジカル消去率とした。評価結果を表4に示した。
式(1) {1−(B)/(A)}×100(%)
表4より明らかなように、オニシモツケ抽出物には、高いDPPHラジカル消去作用を示すことから、優れた抗酸化効果を発揮することが明らかとなった。
[アルギナーゼ活性促進作用]
ヒト皮膚角化細胞を1ウェル当たり2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にウシ胎児血清(FBS)を5%添加したものを用いた。24時間後1.2mMCaCl2を含む5%FBS添加DMEM培地によって、抽出物2を各濃度に調整したサンプル液に交換しさらに9日間培養した。培地は3日に1回交換した。培養終了後、培養上清を採取し、アルギナーゼ活性促進能の評価を行った。アルギナーゼはアルギニンを加水分解し、オルニチンと尿素を生成する。尿素はウレアーゼによってアンモニアに分解され、アンモニアはペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(ニトロプルシッドナトリウム)存在下でサリチル酸、次亜塩素酸と反応し、インドフェノールが生成する。アルカリ性条件下でインドフェノールの吸収(570nm)を測定し、尿素濃度を求め、アルギナーゼ活性の定量を行った。尿素定量のため、和光純薬社製尿素窒素B−テストワコーを用いて同様の測定を行い、検量線を作成した。また、BCAProteinAssayKitにて、各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量あたりのアルギナーゼ活性促進能を求めた。サンプルを添加しないブランクの値を100とした時の相対値により、アルギナーゼ活性促進能を評価した。結果を表5に示す。
ヒト皮膚角化細胞を1ウェル当たり2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にウシ胎児血清(FBS)を5%添加したものを用いた。24時間後1.2mMCaCl2を含む5%FBS添加DMEM培地によって、抽出物2を各濃度に調整したサンプル液に交換しさらに9日間培養した。培地は3日に1回交換した。培養終了後、培養上清を採取し、アルギナーゼ活性促進能の評価を行った。アルギナーゼはアルギニンを加水分解し、オルニチンと尿素を生成する。尿素はウレアーゼによってアンモニアに分解され、アンモニアはペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(ニトロプルシッドナトリウム)存在下でサリチル酸、次亜塩素酸と反応し、インドフェノールが生成する。アルカリ性条件下でインドフェノールの吸収(570nm)を測定し、尿素濃度を求め、アルギナーゼ活性の定量を行った。尿素定量のため、和光純薬社製尿素窒素B−テストワコーを用いて同様の測定を行い、検量線を作成した。また、BCAProteinAssayKitにて、各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量あたりのアルギナーゼ活性促進能を求めた。サンプルを添加しないブランクの値を100とした時の相対値により、アルギナーゼ活性促進能を評価した。結果を表5に示す。
表5の通り、オニシモツケ抽出物は高いアルギナーゼ活性促進効果を発揮することが明らかとなった。
[痩身作用:中性脂肪蓄積抑制作用]
皮下脂肪由来正常ヒト前駆脂肪細胞Cryo HPRAD−SQ(三光純薬株式会社)を1ウェル当り1.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはPGM培地(10質量%FBS、2mM L−glutamine、100units/mL Penicilline、100μg/mL Streptomycine含有)を用いた。細胞がコンフルエントになる直前に抽出物1を添加したPGM−分化用培地(10μg/mL インスリン、1μM dexamethasone、200μM indomethacin、500μM Isobutyl−methylxanthine含有)に交換し、脂肪細胞への分化誘導を行った。分化誘導開始後、コントロール群が成熟して細胞内に多数の脂肪滴が蓄積されるまで、10〜14日間培養した。細胞を回収後、10%中性緩衝ホルムアルデヒド液を用いて細胞を固定した。PBS(−)にて洗浄の後、0.5w/v% オイルレッドO溶液を添加し、37℃で2時間培養した。PBS(−)にて洗浄の後、メタノールを添加し、色素を抽出した。抽出後、マイクロプレートリーダーにて550nm、650nmの吸光度をそれぞれ測定し、両測定値の差を用いて中性脂肪蓄積抑制作用の評価を行った。
評価結果を、試料無添加のブランクにおける中性脂肪蓄積量を100とした相対値にて表6に示した。
皮下脂肪由来正常ヒト前駆脂肪細胞Cryo HPRAD−SQ(三光純薬株式会社)を1ウェル当り1.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはPGM培地(10質量%FBS、2mM L−glutamine、100units/mL Penicilline、100μg/mL Streptomycine含有)を用いた。細胞がコンフルエントになる直前に抽出物1を添加したPGM−分化用培地(10μg/mL インスリン、1μM dexamethasone、200μM indomethacin、500μM Isobutyl−methylxanthine含有)に交換し、脂肪細胞への分化誘導を行った。分化誘導開始後、コントロール群が成熟して細胞内に多数の脂肪滴が蓄積されるまで、10〜14日間培養した。細胞を回収後、10%中性緩衝ホルムアルデヒド液を用いて細胞を固定した。PBS(−)にて洗浄の後、0.5w/v% オイルレッドO溶液を添加し、37℃で2時間培養した。PBS(−)にて洗浄の後、メタノールを添加し、色素を抽出した。抽出後、マイクロプレートリーダーにて550nm、650nmの吸光度をそれぞれ測定し、両測定値の差を用いて中性脂肪蓄積抑制作用の評価を行った。
評価結果を、試料無添加のブランクにおける中性脂肪蓄積量を100とした相対値にて表6に示した。
表6より明らかなように、オニシモツケ抽出物は、有意な中性脂肪蓄積抑制作用を示すことから、優れた痩身効果を発揮することが明らかとなった。
[美白作用:チロシナーゼ活性阻害作用]
ヒト表皮メラニン細胞チロシナーゼ活性阻害評価
クラボウ社製正常ヒト表皮メラニン細胞を1ウェル当り3.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはクラボウ社製Medium154Sを用いた。24時間後Medium154Sによって各濃度に調整した抽出物1を含有するサンプル液に交換しさらに48時間培養した。次に1質量%Triton−X含有リン酸緩衝液75μLに交換し細胞を完全に溶解させ内50μLを粗酵素液として使用した。粗酵素液に基質となる50μLの0.05質量%L−ドーパ含有リン酸緩衝液を加え37℃で2時間静置した。マイクロプレートリーダーにて基質添加直後と反応終了時の405nmの吸光度を測定し生成されたドーパメラニン量は両測定値の差を次式に導入して求めた。
反応後405nm値−反応前405nm値 = 5.238×(生成されたドーパメラニン量)+2.166
又、PIERCE社製BCA Protein Assay Kitにて各ウェルのタンパク量を測定し単位タンパク量当りのドーパメラニン生成量を求めた。コントロールとして抽出物1を添加しなかった場合のドーパメラニン生成量を100とした相対値を表7に示す。
ヒト表皮メラニン細胞チロシナーゼ活性阻害評価
クラボウ社製正常ヒト表皮メラニン細胞を1ウェル当り3.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはクラボウ社製Medium154Sを用いた。24時間後Medium154Sによって各濃度に調整した抽出物1を含有するサンプル液に交換しさらに48時間培養した。次に1質量%Triton−X含有リン酸緩衝液75μLに交換し細胞を完全に溶解させ内50μLを粗酵素液として使用した。粗酵素液に基質となる50μLの0.05質量%L−ドーパ含有リン酸緩衝液を加え37℃で2時間静置した。マイクロプレートリーダーにて基質添加直後と反応終了時の405nmの吸光度を測定し生成されたドーパメラニン量は両測定値の差を次式に導入して求めた。
反応後405nm値−反応前405nm値 = 5.238×(生成されたドーパメラニン量)+2.166
又、PIERCE社製BCA Protein Assay Kitにて各ウェルのタンパク量を測定し単位タンパク量当りのドーパメラニン生成量を求めた。コントロールとして抽出物1を添加しなかった場合のドーパメラニン生成量を100とした相対値を表7に示す。
表2より明らかなように、オニシモツケ抽出物を添加した培地では、高いチロシナーゼ活性阻害作用を示すことから、優れた美白効果を発揮することが明らかとなった。
[美白作用:メラニン産生抑制作用]
評価は、以下の手順で行った。B16マウスメラノーマ細胞(B16F0細胞)を90mmディッシュ1ディッシュ当り1.8×104個となるように播種し、5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて培養した。24時間後に5質量%FBS添加DMEM培地に抽出物2を添加して各濃度に調整した培地に交換した。さらに5日間培養し、培養終了後にトリプシンにより細胞を剥離して回収した。回収した細胞を遠心分離し、細胞沈殿物を得た。得られた沈殿物は表8に示した判定基準によりその黒化状況を目視で判定した。判定1は、試料を添加せず5質量%FBS添加DMEM培地のみで培養したネガティブコントロールと同程度、判定5は、製造例1のかわりに50mM乳酸ナトリウムを添加して培養したポジティブコントロールと同程度とした。また同時に、沈殿物に組織溶解剤(商品名Solvable[パーキンエルマー製])を添加して煮沸し、室温に戻して分光光度計(日立社製分光光度計U−3010)により500nmの吸光度を測定した。評価結果を表9に示す。
評価は、以下の手順で行った。B16マウスメラノーマ細胞(B16F0細胞)を90mmディッシュ1ディッシュ当り1.8×104個となるように播種し、5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて培養した。24時間後に5質量%FBS添加DMEM培地に抽出物2を添加して各濃度に調整した培地に交換した。さらに5日間培養し、培養終了後にトリプシンにより細胞を剥離して回収した。回収した細胞を遠心分離し、細胞沈殿物を得た。得られた沈殿物は表8に示した判定基準によりその黒化状況を目視で判定した。判定1は、試料を添加せず5質量%FBS添加DMEM培地のみで培養したネガティブコントロールと同程度、判定5は、製造例1のかわりに50mM乳酸ナトリウムを添加して培養したポジティブコントロールと同程度とした。また同時に、沈殿物に組織溶解剤(商品名Solvable[パーキンエルマー製])を添加して煮沸し、室温に戻して分光光度計(日立社製分光光度計U−3010)により500nmの吸光度を測定した。評価結果を表9に示す。
表9より明らかなように、オニシモツケ抽出物を添加することにより、有意なメラニン産生抑制作用を示すことから、優れた美白効果を発揮することが明らかとなった。
[抗炎症作用:ヒアルロニダーゼ阻害作用]
市販のヒアルロン酸カリウム塩(ヒト臍の緒由来)を0.9mmg/mLになるように、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、基質溶液とした。市販のヒアルロニダーゼ(ウシ精巣由来)を5,300unit/mLとなるように、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、酵素溶液とした。なお酵素溶液は用時調製とした。試験管に緩衝液で各濃度に調製した抽出物2溶液0.1mL、および酵素溶液0.03mLを試験管にとり、37℃で20分間反応させた。次に活性化剤を0.06mL加え、37℃で20分間反応させた。さらに基質溶液を0.15mL加え、37で1時間反応させた。0.4N,NaOH、0.06mLを加え反応を停止させた後すぐに氷冷し、ホウ酸緩衝液(pH9.1)を0.06mL添加し、3分間煮沸した後さらに氷冷した。p−DABA溶液を2.0mL添加し、37℃で20分間反応させた後、各試験管から96ウェルマイクロプレートに移しかえ、マイクロプレートリーダーを用いて585nmにおける吸光度を測定した。コントロールには、サンプルを溶かすのに用いた緩衝溶液のみを加えたものを用いた。ヒアルロニダーゼの活性が阻害されると分解産物であるN−Acetylglucosamin(GlcNAc)が減少し、p−DABAによる吸光度が低くなる。このことを利用し、阻害活性は次式より求め、表10に示した。
阻害率(%)=(コントロール吸光度−サンプル吸光度)/コントロール吸光度×100
市販のヒアルロン酸カリウム塩(ヒト臍の緒由来)を0.9mmg/mLになるように、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、基質溶液とした。市販のヒアルロニダーゼ(ウシ精巣由来)を5,300unit/mLとなるように、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、酵素溶液とした。なお酵素溶液は用時調製とした。試験管に緩衝液で各濃度に調製した抽出物2溶液0.1mL、および酵素溶液0.03mLを試験管にとり、37℃で20分間反応させた。次に活性化剤を0.06mL加え、37℃で20分間反応させた。さらに基質溶液を0.15mL加え、37で1時間反応させた。0.4N,NaOH、0.06mLを加え反応を停止させた後すぐに氷冷し、ホウ酸緩衝液(pH9.1)を0.06mL添加し、3分間煮沸した後さらに氷冷した。p−DABA溶液を2.0mL添加し、37℃で20分間反応させた後、各試験管から96ウェルマイクロプレートに移しかえ、マイクロプレートリーダーを用いて585nmにおける吸光度を測定した。コントロールには、サンプルを溶かすのに用いた緩衝溶液のみを加えたものを用いた。ヒアルロニダーゼの活性が阻害されると分解産物であるN−Acetylglucosamin(GlcNAc)が減少し、p−DABAによる吸光度が低くなる。このことを利用し、阻害活性は次式より求め、表10に示した。
阻害率(%)=(コントロール吸光度−サンプル吸光度)/コントロール吸光度×100
表10に示した通り、オニシモツケ抽出物は、有意なヒアルロニダーゼ阻害作用を示すことから、優れた抗炎症効果を発揮することが明らかとなった。
Claims (6)
- バラ科シモツケソウ属オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する、抗老化剤。
- バラ科シモツケソウ属オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する、抗酸化剤。
- バラ科シモツケソウ属オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する、アルギナーゼ活性促進剤。
- バラ科シモツケソウ属オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する、痩身剤。
- バラ科シモツケソウ属オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する、美白剤。
- バラ科シモツケソウ属オニシモツケの抽出物を有効成分として含有する、抗炎症剤。
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---|---|---|---|
JP2010182264A JP2012041285A (ja) | 2010-08-17 | 2010-08-17 | 抗老化剤、抗酸化剤、アルギナーゼ活性促進剤、痩身剤、美白剤、抗炎症剤 |
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WO2018173816A1 (ja) * | 2017-03-24 | 2018-09-27 | 味の素株式会社 | 美白剤 |
-
2010
- 2010-08-17 JP JP2010182264A patent/JP2012041285A/ja active Pending
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WO2018173816A1 (ja) * | 2017-03-24 | 2018-09-27 | 味の素株式会社 | 美白剤 |
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