JP2012037657A - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも簡便な方法で支持体との密着性の高いレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】基板上に直接、レジスト組成物を塗布する工程(1)と、前記レジスト組成物が塗布された前記基板をベークしてレジスト膜を形成する工程(2)と、前記レジスト膜が形成された前記基板を有機溶剤で洗浄する工程(3)と、前記の洗浄後の前記基板上に、前記レジスト組成物と同じレジスト組成物を塗布してレジストパターンを形成する工程(4)とを有することを特徴とするレジストパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。また、その後、該レジストパターンが形成された基板に対して、該レジストパターンをマスクとしてエッチング処理を行うことによりパターンを形成する工程が行われる。
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEB(電子線)、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストとしては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する組成物が一般的に用いられている。たとえばポジ型の化学増幅型レジスト組成物の場合、基材成分として、酸の作用により基材成のアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている。
従来、化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては主に樹脂(ベース樹脂)が用いられている。ポジ型の場合、ベース樹脂としては、一般的に、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂が用いられている。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジスト組成物のベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主流である(たとえば特許文献1参照)。
半導体素子等のリソグラフィー工程においては、前記の化学増幅型レジスト組成物を用いて支持体上に形成されたレジストパターンをマスクとしてエッチング処理が行われている。その際、エッチング処理により、レジストパターン縁が支持体から剥がれ、解像度が劣る問題があった。
この問題に対し、解像度の向上を目的として、レジストパターンの支持体からの剥がれを抑制したパターン形成方法、たとえば、ヘキサアルキルジシラザンを含む接着剤を用いてレジスト材料を支持体に付着させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−241385号公報 特公昭47−026043号公報
しかしながら、特許文献2に記載された方法においては、レジストパターンの支持体からの剥がれを抑制するため、ヘキサアルキルジシラザンを含む接着剤が必要であり、加えて、該接着剤を基板等の表面に処理するための設備も要する。
一方、パターンの微細化が進むに従い、レジストパターンの形成においては、レジストパターン倒れ、又はレジストパターンの支持体からの剥がれが生じやすくなってきている。これに対して、支持体からレジストパターンを剥がれにくくするため、支持体とレジストパターンとの密着性をこれまで以上に高める技術が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来よりも簡便な方法で支持体との密着性の高いレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のレジストパターン形成方法は、基板上に直接、レジスト組成物を塗布する工程(1)と、前記レジスト組成物が塗布された前記基板をベークしてレジスト膜を形成する工程(2)と、前記レジスト膜が形成された前記基板を有機溶剤で洗浄する工程(3)と、前記の洗浄後の前記基板上に、前記レジスト組成物と同じレジスト組成物を塗布してレジストパターンを形成する工程(4)とを有することを特徴とする。
本明細書および本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、「ハロゲン化アルキレン基」は、アルキレン基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「ヒドロキシアルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部または全部が水酸基で置換された基である。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
本発明によれば、従来よりも簡便な方法で支持体との密着性の高いレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することができる。
本発明のレジストパターン形成方法の実施形態を説明する概略工程図である。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、基板上に直接、レジスト組成物を塗布する工程(1)と、前記レジスト組成物が塗布された前記基板をベークしてレジスト膜を形成する工程(2)と、前記レジスト膜が形成された前記基板を有機溶剤で洗浄する工程(3)と、前記の洗浄後の前記基板上に、前記レジスト組成物と同じレジスト組成物を塗布してレジストパターンを形成する工程(4)とを有する。
以下、本発明のレジストパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に、本発明のレジストパターン形成方法の一実施形態例を示す。本実施形態では、レジストパターンの形成を図1に示す手順で行う。
なお、図1において、基板10、レジスト組成物20、レジスト膜21、レジスト薄膜22、レジストパターン23は、便宜上拡大して示しているため、寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
まず、工程(1)で、基板10上に直接、レジスト組成物20が塗布される(図1(a))。
次に、工程(2)で、レジスト組成物20が塗布された基板10をベークすることにより、基板10上にレジスト膜21が形成される(図1(b))。
次いで、工程(3)で、レジスト膜21が形成された基板10を有機溶剤で洗浄することにより、大部分のレジスト膜21が除去されて、基板10上にレジスト薄膜22が形成される(図1(c))。
その後、工程(4)で、洗浄後にレジスト薄膜22が形成された基板10上に、工程(1)で用いたレジスト組成物20と同じレジスト組成物20が塗布される(図1(d))。そして、これに対してパターニングを行うことにより、レジストパターン23、23が形成される(図1(e))。
図1(e)では、レジスト薄膜22が形成された基板10上に、一定間隔で離間配置された複数のレジストパターン23から構成されるラインアンドスペースのレジストパターンが形成されている。
以下、各工程について詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)では、基板10上に直接、レジスト組成物20を塗布する。
基板10としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板;ガラス基板、金属酸化膜(ITO)等が挙げられる。配線パターンの材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
レジスト組成物20としては、ベークによりレジスト膜を形成することができ、該レジスト膜の大部分が有機溶剤での洗浄により基板から除去され得るものであればよい。レジスト組成物20の具体例について、詳しくは後述する。
基板10上に直接、レジスト組成物20を塗布する方法としては、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いることができる。
<工程(2)>
工程(2)では、レジスト組成物20が塗布された基板10をベークしてレジスト膜21を形成する。
該ベークは、ベーク温度を90℃以上として行うことが好ましく、90〜250℃として行うことがより好ましく、90〜200℃として行うことがさらに好ましい。
このベーク温度範囲でベーク温度が高いほど、工程(3)後の基板10表面の疎水性が高まり、支持体(レジスト薄膜22が形成された基板10)とレジストパターン23、23との密着性が高くなる。
該ベークは、ベーク時間を10〜600秒間として行うことが好ましく、30〜600秒間として行うことがより好ましく、30〜300秒間として行うことがさらに好ましい。
レジスト膜21の厚さは、レジスト組成物20の種類などに応じて適宜設定することができる。操作の簡便さの点から、レジスト膜21の厚さを、工程(4)で形成されるレジスト膜と同じ厚さとすることが好ましい。
<工程(3)>
工程(3)では、レジスト膜21が形成された基板10を有機溶剤で洗浄する。該洗浄により、大部分のレジスト膜21が除去されて、基板10上にレジスト薄膜22が形成される(図1(c))。これにより、基板10表面の疎水性が高まる。
有機溶剤としては、特に限定されず、なかでも基板10からレジスト膜21を除去しやすいことから、レジスト組成物20に用いられている有機溶剤として公知のものを用いることが好ましい。
かかる有機溶剤は、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)が好ましい。
工程(3)において、レジスト膜21が形成された基板10と、有機溶剤とを接触させる時間(洗浄時間)は、有機溶剤又はレジスト組成物20の種類などに応じて適宜設定することができ、10〜90秒間とすることが好ましく、20〜60秒間とすることがより好ましい。
洗浄時間が前記範囲の下限値以上であると、レジスト膜の充分な洗浄が可能となる。一方、上限値以下であれば、基板10表面の疎水性を高い状態で維持でき、支持体(レジスト薄膜22が形成された基板10)とレジストパターン23、23との密着性が高まる。
レジスト膜21が形成された基板10に有機溶剤を接触させる方法としては、有機溶剤をノズル等から吹き付けたり、又はレジスト膜21が形成された基板10を有機溶剤に浸漬させたりする方法が挙げられる。
なお、かかる有機溶剤での洗浄の後、基板10に残存した有機溶剤を除去するため、ベーク(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは、通常、ベーク温度100℃程度、ベーク時間30〜90秒間の条件で行われる。
<工程(4)>
工程(4)では、前記の洗浄後(前記ポストベークが行われた場合は該ポストベーク後)の基板10上に、工程(1)で用いたレジスト組成物20と同じレジスト組成物20を塗布してレジストパターン23、23を形成する。
レジストパターン23、23を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、前記の洗浄後の基板10上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いて、工程(1)で用いたレジスト組成物20と同じレジスト組成物20を塗布し、好ましくは80〜150℃の温度条件下、ベーク(プレベーク)を40〜120秒間、より好ましくは60〜90秒間施し、有機溶剤を揮発させることによりレジスト膜を形成できる。
レジスト膜の厚さは、レジスト組成物20の種類、波長などに応じて適宜設定することができ、好ましくは30〜500nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターン23、23を高解像度で形成できる、又は、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
次に、上記のようにして形成したレジスト膜を、フォトマスクを介して選択的に露光し、露光後ベーク(PEB)を施し、現像してレジストパターン23、23を形成する。
露光に用いる波長は、特に限定されず、g線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。微細なレジストパターンを形成しやすいことから、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV、EBのいずれかが好ましい。
フォトマスクとしては、特に限定されず、公知のものを利用でき、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。
該バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
該ハーフトーン型位相シフトマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが用いられる。
なお、本発明では、フォトマスクを介して行う露光に限定されず、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等による描画により選択的露光を行ってもよい。
レジスト膜の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよく、液浸露光により行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズと支持体上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体を、簡便な方法で除去できることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物として具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
露光量およびPEB温度は、レジスト膜の露光部の現像液に対する溶解性が変化するように設定する。つまり、露光およびPEBによりレジスト膜の露光部に供給されるエネルギー量が、該露光部の現像液に対する溶解性は変化し、一方、未露光部の現像液に対する溶解性は変化しないエネルギー量となるように、露光およびPEBを実施する。
レジスト膜の現像液に対する溶解性を変化させるためには、露光量、PEB温度ともにある程度以上の値が必要となる。たとえば露光量が少なすぎると、PEB温度を高くしても、現像液に対する溶解性の変化は見られない。また、露光量が多くても、PEB温度が低すぎると、現像液に対する溶解性の変化は見られない。
上記のうち、露光量については、レジスト膜の現像液に対する溶解性が変化し得る程度であればよく、通常、レジスト膜の最適露光量(Eop)が用いられる。ここで、「最適露光量」とは、当該レジスト膜を選択的に露光し、所定のPEB温度にてPEBを行い、現像した際に、レジストパターン23、23が、設計パターン寸法の通りに忠実に再現される露光量をいう。
PEB温度は、使用するレジスト組成物20の組成によっても異なるが、通常、70〜150℃の範囲内であり、80〜140℃が好ましく、85〜135℃がより好ましい。
該PEBにおけるベーク時間は、通常、40〜120秒間であり、好ましくは60〜90秒間施される。
上記PEB処理の後、レジスト膜の現像を行う。現像は、一般的に現像液として用いられているアルカリ水溶液、例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液、又は、有機溶剤を用いて、公知の方法により実施できる。かかる現像により、レジスト膜の露光部又は未露光部が除去されてレジストパターン23、23が形成される。
上記現像の後、純水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記現像後、さらに、ベーク(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(現像やリンス処理後の水分又は有機溶剤を除去する目的で主に行われるため)、ベーク温度が、好ましくは120〜160℃程度の条件で行われ、ベーク時間が、好ましくは30〜90秒間である。
以上説明した本発明のレジストパターン形成方法によれば、従来よりも簡便な方法で支持体との密着性の高いレジストパターンを形成できる。
基板上にレジストパターンを形成する際、従来、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)溶液などの表面処理剤で基板の前処理が行われている。本発明においては、レジストパターンの形成に用いるレジスト組成物を表面処理剤として用いて基板の前処理を行い、該前処理後の基板上にレジストパターンを形成する。これにより、従来よりも疎水性の高まった(接触角の大きい)基板表面にレジストパターンが形成される。そのため、本発明によれば、支持体との密着性の高いレジストパターンを形成できる、と考えられる。
また、本発明においては、レジストパターンの形成に用いるレジスト組成物を表面処理剤としても用いることから、HMDS溶液などの表面処理剤が不要であり、また、表面処理工程とパターニング工程とを同一の塗布装置、塗布条件等で実施できるため、従来よりも簡便な方法でレジストパターンを形成できる。
(レジスト組成物)
前記の工程(1)及び工程(4)で用いられるレジスト組成物20は、特に限定されず、従来公知のものを利用できる。
レジスト組成物20としては、化学増幅型レジスト組成物、カチオン重合系レジスト組成物、ノボラック系レジスト組成物、ラジカル重合系レジスト組成物等が挙げられる。なかでも、露光光源の短波長化に適していることから、化学増幅型レジスト組成物、カチオン重合系レジスト組成物が好ましい。
以下、化学増幅型レジスト組成物、カチオン重合系レジスト組成物についてそれぞれ詳述する。
[化学増幅型レジスト組成物]
「化学増幅型レジスト組成物」は、露光により酸を発生する酸発生剤成分を必須の成分として含有するものであり、該酸の作用により、化学増幅型レジスト組成物全体のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する性質を有する。
かかる化学増幅型レジスト組成物は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。ポジ型の化学増幅型レジスト組成物の場合、アルカリ現像液に対する溶解性は増大し、ネガ型の化学増幅型レジスト組成物の場合、アルカリ現像液に対する溶解性は減少する。
本発明におけるレジスト組成物が「ポジ型の化学増幅型レジスト組成物」である場合、該ポジ型の化学増幅型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A1)(以下「(A1)成分」という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)とを含有する。
(A1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型の化学増幅型レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
本発明におけるレジスト組成物が「ネガ型の化学増幅型レジスト組成物」である場合、該ネガ型の化学増幅型レジスト組成物は、アルカリ現像液に可溶性の基材成分(A2)(以下「(A2)成分」という。)と、(B)成分と、架橋剤成分(C)とを含有するものが好ましい。
該ネガ型の化学増幅型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が作用して(A2)成分と架橋剤成分(C)との間で架橋が起こり、露光部がアルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該ネガ型の化学増幅型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
(A1)成分又は(A2)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、分子量が1000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
基材成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分を用いることができ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する低分子化合物成分を用いることもできる。
<(A1)成分>
(A1)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1−1)(以下「(A1−1)成分」という。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A1−2)(以下「(A1−2)成分」という。)であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。なかでも、該(A1)成分は、(A1−1)成分を含有するものが好ましい。
・(A1−1)成分について
(A1−1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)のなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
前記ベース樹脂として、具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有する樹脂の該親水基を酸解離性溶解抑制基で保護したものが挙げられる。
該親水基を有する樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)又はヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等の、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有する樹脂(PHS系樹脂);α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するアクリル系樹脂等が挙げられる。
これらは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位をいう。
「ヒドロキシスチレン」とは、α位の炭素原子(フェニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているヒドロキシスチレンをいう。
「α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレンのほか、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合しているもの、及びそれらの誘導体も含む概念とする。具体的には、少なくともベンゼン環と、該ベンゼン環に結合する水酸基が維持されており、たとえば、ヒドロキシスチレンのα位の炭素原子に結合する水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等の置換基に置換されたもの、並びに、ヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子(アクリル酸のカルボニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているアクリル酸エステルをいう。
「α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合しているものも含む概念とする。
「α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステル」における、水素原子以外の原子としてはハロゲン原子等が挙げられ、置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
上記のヒドロキシスチレンまたはアクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明において、ヒドロキシスチレンまたはアクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
(A1−1)成分としては、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するものが好ましい。
そのなかでも、(A1−1)成分は、特に、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸解離性溶解抑制基を含む構成単位(a1)を有するものが好ましい。
また、(A1−1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)を有するものが好ましい。
また、(A1−1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)を有するものが好ましい。
また、(A1−1)成分としては、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a5)を有するものが好ましい。
そのなかでも、(A1−1)成分は、特に、構成単位(a5)と構成単位(a1)とを有するものが好ましい。
また、(A1−1)成分は、構成単位(a5)に加えて、さらに、該構成単位(a5)の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸解離性溶解抑制基を含む置換基により保護された構成単位(a6)を有するものが好ましい。
・・構成単位(a1)について
構成単位(a1)は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸解離性溶解抑制基を含む構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1−1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1−1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
一般式(a1”−1)〜(a1”−6)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 2012037657
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは低級アルキル基または脂肪族環式基を表す。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
なかでも、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2012037657
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
Yの低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 2012037657
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し;Yは2価の連結基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、「−A−O(酸素原子)−B−(ただし、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。)」等が挙げられる。
が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
が「A−O−B」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
Aにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Bにおける炭化水素基としては、前記Aで挙げたものと同様の2価の炭化水素基が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2012037657
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5の低級アルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には、式(a1−1−1)〜(a1−1−4)、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、式(a1−1−20)〜(a1−1−23)、式(a1−1−26)、式(a1−1−32)〜(a1−1−33)および式(a1−3−25)〜(a1−3−28)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜(a1−1−3)および式(a1−1−26)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの;式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、式(a1−1−20)〜(a1−1−23)および式(a1−1−32)〜(a1−1−33)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの;式(a1−3−25)〜(a1−3−26)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、又は式(a1−3−27)〜(a1−3−28)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるものも好ましい。
Figure 2012037657
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R12は炭素数1〜5のアルキル基を示す。n’は1〜6の整数を表す。)
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。
11の炭素数1〜5のアルキル基は、Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。
12の炭素数1〜5のアルキル基は、Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
n’は、1又は2が好ましい。
Figure 2012037657
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、a0は1〜10の整数である。)
Figure 2012037657
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、a0は1〜10の整数であり、n’は1〜6の整数である。)
前記一般式(a1−3−01)または(a1−3−02)において、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14の炭素数1〜5のアルキル基は、Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
a0は1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
n’は上記と同様であり、1又は2が好ましい。
(A1−1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜60モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a2)について
構成単位(a2)は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1−1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりする上で有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”は、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のYで説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記YのうちAにおける脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例をそれぞれ例示する。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
(A1−1)成分において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(A1−1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a3)について
構成単位(a3)は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位である。
(A1−1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2012037657
(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1−1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、10〜40モル%がより好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a5)について
構成単位(a5)は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。
構成単位(a5)のなかで好適なものとしては、下記一般式(a5−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R88はハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜4の整数である。ただし、1≦p+q≦5である。]
前記式(a5−1)中、Rのアルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。
Rのハロゲン化アルキル基は、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)で置換された基であり、なかでもフッ素化低級アルキル基が好ましく、特に、水素原子の全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。フッ素化低級アルキル基として具体的には、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
Rとしては、水素原子又は低級アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜4の整数であり、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
88のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
88の炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、Rの炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基とそれぞれ同様のものが挙げられる。
88の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
qが2の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR88は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
ただし、1≦p+q≦5である。
構成単位(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1−1)成分中の構成単位(a5)の割合は、(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対して50〜90モル%であることが好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜88モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上とすることによって、(A1−1)成分は(S)成分に対して適度なアルカリ溶解性が得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a6)について
構成単位(a6)は、前記構成単位(a5)の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸解離性溶解抑制基を含む置換基により保護された構成単位である。
構成単位(a6)において、酸解離性溶解抑制基を含む置換基としては、上記構成単位(a1)において説明した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基が好ましいものとして挙げられる。
構成単位(a6)のなかで好適なものとしては、下記の一般式(a6−1)〜(a6−5)で表される構成単位等が例示できる。
Figure 2012037657
[式中、Rは上記同様であり;R88はハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;qは0〜4の整数であり;R’は上記と同様であり;nは0〜3の整数であり;Wは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5のアルキル基であり;uは1〜3であり;R21、R22、R23はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり;Xは酸解離性溶解抑制基である。]
前記式(a6−1)〜(a6−5)中、「−O−CHR’−O−(CH−W」、「−O−C(O)−O−C(R21)(R22)(R23)」、「−O−C(O)−O−X」、「−O−(CH−C(O)−O−X」、および「−C(O)−O−X」のフェニル基との結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、本発明の効果が良好であることから、p−位が最も好ましい。
88はハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
88のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
88の炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、Rの炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基とそれぞれ同様のものが挙げられる。
88の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
qが2の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
ただし、1≦p+q≦5である。
qは0〜4の整数であり、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
nは0〜3の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
Wにおける脂肪族環式基は1価の脂肪族環式基である。脂肪族環式基は、たとえば、従来のArFレジストにおいて多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、炭素数5〜7の脂肪族単環式基、炭素数10〜16の脂肪族多環式基が挙げられる。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされず、該環構造中に酸素原子等を有していてもよい。
炭素数5〜7の脂肪族単環式基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が例示でき、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
炭素数10〜16の脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデシル基が工業上好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
Wの芳香族環式炭化水素基としては、炭素数10〜16の芳香族多環式基が挙げられる。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基等が挙げられ、2−ナフチル基が工業上特に好ましい。
Wの炭素数1〜5のアルキル基としては、上記ヒドロキシスチレンのα位に結合していてよい炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
21〜R23は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、具体例としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基で例示したものと同様である。
は、上記式(a1−0−1)におけるXと同じであり、上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、またはアルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
uは、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
上記のなかでも、構成単位(a6)としては、前記一般式(a6−1)、(a6−4)で表される構成単位が特に好ましい。
構成単位(a6)の好適な具体例を以下に挙げる。
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
Figure 2012037657
構成単位(a6)としては、上記のなかでも、本発明の効果が良好なことから、化学式(a6−1−1)〜(a6−1−14)で表される構成単位から選択される少なくとも1種が好ましく、化学式(a6−1−1)〜(a6−1−2)、(a6−1−5)〜(a6−1−14)で表される構成単位がより好ましく、化学式(a6−1−13)〜(a6−1−14)で表される構成単位が特に好ましい。
構成単位(a6)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1−1)成分中の構成単位(a6)の割合は、(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対して10〜70モル%であることが好ましく、10〜60モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・その他の構成単位について
(A1−1)成分は、上記の構成単位(a1)〜(a3)、(a5)及び(a6)以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。
かかるその他の構成単位は、上記の構成単位(a1)〜(a3)、(a5)及び(a6)に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
その他の構成単位としては、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位(a4)、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいスチレンから誘導される構成単位(a7)等が挙げられる。
・・・構成単位(a4)について
構成単位(a4)は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位である。
(A1−1)成分が構成単位(a4)を有することにより、焦点深度幅(DOF)、解像性、露光余裕度(ELマージン)等のリソグラフィー特性が向上する。また、炭素密度の向上により、エッチング耐性も向上する。
構成単位(a4)において、該多環式基は、たとえば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構造のものを例示することができる。
Figure 2012037657
(式中、Rは前記と同じである。)
構成単位(a4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1−1)成分中、構成単位(a4)の割合は、当該(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、5〜20モル%がより好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・・構成単位(a7)
構成単位(a7)は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいスチレンから誘導される構成単位である。
構成単位(a7)を有すると、(A1−1)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を制御することができる。また、ドライエッチング耐性が向上するため、好ましい。
本明細書において、「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位をいう。
「スチレン」とは、α位の炭素原子(フェニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているスチレンをいう。
「α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいスチレン」とは、スチレンのほか、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合しているものを含む概念とする。具体的には、スチレンのα位の炭素原子に結合する水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等の置換基に置換されたもの、並びに、ベンゼン環に炭素数1〜5のアルキル基が結合したもの等を包含するものとする。
構成単位(a7)のなかで好適なものとしては、下記一般式(a7−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2012037657
[式中、Rは前記と同じであり;R89は炭素原子数1〜5のアルキル基またはハロゲン原子であり;rは0〜3の整数である。]
前記式(a7−1)中、RおよびR89は、上記式(a5−1)中のRおよびR88とそれぞれ同様である。
rは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
rが1である場合、R89の置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
rが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR89は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a7)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1−1)成分が構成単位(a7)を有する場合、構成単位(a7)の割合は、(A1−1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、構成単位(a7)を有することによる効果が高く、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
(A1)成分中、(A1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A1−1)成分のなかで好適なものとしては、構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体;構成単位(a1)および(a5)からなる共重合体、構成単位(a5)および(a6)からなる共重合体等が例示できる。
(A1−1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1−1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1−1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されず、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A1−1)成分の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、「Mn」は数平均分子量を示す。
・(A1−2)成分について
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A1−2)としては、分子量が500以上2000未満であって、上述の(A1−1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A1−2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A1)成分中、(A1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<(A2)成分>
アルカリ現像液に可溶性の基材成分(A2)は、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂成分(以下「アルカリ可溶性樹脂成分(A2−1)」という。)を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、たとえば、特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有する(メタ)アクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有する(メタ)アクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂;前記の構成単位(a5)と構成単位(a7)とを有する共重合体(ヒドロキシスチレン系樹脂)等が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるレジスト組成物中、(A1)成分又は(A2)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<(B)成分>
本発明における化学増幅型レジスト組成物において、(B)成分は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2012037657
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
式(b−1)で表される化合物のカチオン部の好ましいものとしては、トリフェニルメタン骨格を有する、下記式(I−1−1)〜(I−1−8)で表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2012037657
また、オニウム塩系酸発生剤のカチオン部としては、下記式(I−1−9)〜(I−1−10)で表されるカチオンも好ましい。
下記式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R27、R39は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基又は炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
vは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
Figure 2012037657
”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
X−Q−で表される基において、Qは、酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
X−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
Figure 2012037657
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
上記のなかでも、かかるXとしては、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
また、Xは、リソグラフィー特性、レジストパターン形状がより向上することから、極性部位を有するものが特に好ましい。
極性部位を有するものとしては、たとえば、上述したXの脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基、すなわち、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等、で置換されたものが挙げられる。
”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
のフッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
前記式(b−2)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてが、アリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)におけるR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート等のアルキルスルホネート;d−カンファー−10−スルホネート、ベンゼンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート等のスルホネートにそれぞれ置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオンに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 2012037657
[式中、yは1〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、iは1〜20の整数であり、R50は置換基であり、m1〜m5はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
50の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
50に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR50はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部(R”SO )を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は前記式(b−1)又は(b−2)におけるカチオン部と同様)。
Figure 2012037657
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部(R”SO )を、R−COO[式中、Rはアルキル基又はフッ素化アルキル基である。]に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は前記式(b−1)又は(b−2)におけるカチオン部と同様)。
前記式中、Rとしては、前記R”と同様のものが挙げられる。
上記「R−COO」の具体例としては、たとえばトリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、1−アダマンタンカルボン酸イオン等が挙げられる。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 2012037657
[式中、R81〜R86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
81〜R86において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
81〜R86に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR81〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 2012037657
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012037657
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 2012037657
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 2012037657
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における化学増幅型レジスト組成物中、(B)成分の含有量は、(A1)成分又は(A2)成分の100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜45質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<(C)成分>
本発明における化学増幅型レジスト組成物がネガ型である場合に配合される架橋剤成分(C)(以下「(C)成分」という。)としては、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤、エポキシ基を有する化合物を用いたものをエポキシ系架橋剤という。
(C)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、及びエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、メラミンとホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
尿素系架橋剤としては、尿素とホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、尿素とホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもビスメトキシメチル尿素が好ましい。
アルキレン尿素系架橋剤としては、下記一般式(C−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012037657
[式(C−1)中、R’とR’はそれぞれ独立に水酸基又は低級アルコキシ基であり、R’とR’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基であり、wは0又は1〜2の整数である。]
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
’とR’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R’とR’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
wは、0又は1〜2の整数であり、好ましくは0又は1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、wが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはwが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
上記一般式(C−1)で表される化合物は、アルキレン尿素とホルマリンを縮合反応させることにより、また、この生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
アルキレン尿素系架橋剤の具体例としては、例えば、モノ及び/又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化エチレン尿素等のエチレン尿素系架橋剤;モノ及び/又はジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化プロピレン尿素等のプロピレン尿素系架橋剤;1,3−ジ(メトキシメチル)4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジノンなどを挙げられる。
グリコールウリル系架橋剤としては、N位がヒドロキシアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシアルキル基の一方又は両方で置換されたグリコールウリル誘導体が挙げられる。かかるグリコールウリル誘導体は、グリコールウリルとホルマリンとを縮合反応させることにより、また、この生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル;モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、エポキシ基を有するものであれば特に限定されず、任意に選択して用いることができる。その中でも、エポキシ基を2つ以上有するものが好ましい。エポキシ基を2つ以上有することにより、架橋反応性が向上する。
エポキシ基の数は、2つ以上であることが好ましく、より好ましくは2〜4つであり、最も好ましくは2つである。
エポキシ系架橋剤として好適なものを以下に示す。
Figure 2012037657
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の含有量は、(A2)成分の100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、3〜20質量部がさらに好ましく、5〜20質量部が最も好ましい。
(C)成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、膨潤の少ない良好なレジストパターンが得られる。また、この上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
<(D)成分>
本発明における化学増幅型レジスト組成物は、任意の成分として、さらに、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
(D)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A1)成分又は(A2)成分の100質量部に対して、通常0.01〜10.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
<(E)成分>
本発明における化学増幅型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、たとえば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でもホスホン酸が特に好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、サリチル酸が特に好ましい。
(E)成分は、(A1)成分又は(A2)成分の100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明における化学増幅型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、たとえばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
<(S)成分>
本発明における化学増幅型レジスト組成物は、該化学増幅型レジスト組成物に配合される成分を、有機溶剤(以下「(S)成分」という。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
(S)成分は、たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
(S)成分は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよく、1:9〜9:1の範囲内とすることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内とすることがより好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されるものではなく、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定され、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
[カチオン重合系レジスト組成物]
「カチオン重合系レジスト組成物」は、エポキシ基を有する化合物とカチオン重合開始剤とを少なくとも含有し、紫外線等の活性エネルギー線の照射によってカチオン重合開始剤がカチオンを発生し、そのカチオンによってエポキシ基を有する化合物が重合して高分子量化し、硬化する。これにより、レジストパターンが形成できる。
<エポキシ基を有する化合物>
エポキシ基を有する化合物としては、分子内にエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、レジストパターンと支持体との密着性、レジストパターンの溶剤耐性などが向上することから、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物であることが好ましい。このような化合物としては、多官能エポキシ樹脂が例示される。
多官能エポキシ樹脂は、レジスト膜を硬化させるのに充分な数のエポキシ基を1分子中に含むエポキシ樹脂が挙げられる。このような多官能エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂が好ましく例示される。
多官能エポキシ樹脂の1分子中に含まれるエポキシ基の数(官能性)は、3以上であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。多官能エポキシ樹脂の官能性が3以上であることにより、高いアスペクト比と解像性を有するレジストパターンを形成しやすくなる。多官能エポキシ樹脂の官能性が12以下であることにより、樹脂合成の制御が容易となり、またレジストパターンの内部応力が過剰に大きくなることが抑制される。
多官能エポキシ樹脂の質量平均分子量は、700〜5000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。多官能エポキシ樹脂の質量平均分子量が700以上であることにより、レジスト膜が放射線の照射(露光)によって硬化する前に熱フローする現象の発生が抑制される。多官能エポキシ樹脂の質量平均分子量が5000以下であることにより、パターニング現像時に適当な溶解速度が得られやすくなる。
このような多官能エポキシ樹脂としては、8官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER157S70)、平均6.4官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製の商品名エピクロンN−885)、平均5.6官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製の商品名エピクロンN−865)等が特に好ましい。
上記の多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂は、たとえば、下記一般式(g1)で表されるものが例示される。
Figure 2012037657
(式中、R〜Rは水素原子又はメチル基である。xは0又は正の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜5の整数である。なお、式(g1)中のエポキシ基は、他のビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂と反応し、結合していてもよい。)
また、前記の多官能エポキシ樹脂以外の、エポキシ基を有する化合物としては、下記一般式(g2−1)で表される構成単位(g21)を有するエポキシ樹脂が好ましい。該エポキシ樹脂は、構成単位(g21)以外の構成単位を有していてもよい。
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R65aは置換基を有していてもよい二価の炭化水素基であり、R66a、R69a及びR69bはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、g4は1〜20の整数であり、g5は1〜20の整数である。]
前記式(g2−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上述した構成単位(a1)におけるRと同様である。
なかでも、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
前記式(g2−1)中、R65aは、置換基を有していてもよい二価の炭化水素基である。
該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、水素原子以外の基又は原子で置換されていることを意味する。
65aにおいて、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
「脂肪族炭化水素基」は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
65aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、その構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(以下「鎖状の脂肪族炭化水素基」という。)は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
その構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個以上を除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
65aにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
65aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基が最も好ましい。
前記式(g2−1)中、R66a、R69a及びR69bは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。R66a、R69a及びR69bにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。なかでも、R66aは、水素原子又はメチル基が好ましく;R69a及びR69bは、それぞれ、水素原子又はメチル基が好ましく、いずれも水素原子であることが特に好ましい。
g4は1〜20の整数であり、1〜5であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが最も好ましい。
g5は1〜20の整数であり、1〜5であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
以下に、上記一般式(g2−1)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2012037657
構成単位(g21)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)中、構成単位(g21)の割合は、該エポキシ樹脂を構成する全構成単位の合計に対して10〜80モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(g21)の割合が下限値以上であると、レジスト膜内の架橋効率が高まり、容易にパターンを得ることができる。一方、上限値以下であると、レジストパターンの解像性、パターン倒れ等のリソグラフィー特性が向上する。
構成単位(g21)以外の構成単位としては、特に限定されず、前記構成単位(g21)を誘導する化合物と共重合可能な化合物から誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(g21)以外の構成単位として具体的には、たとえば、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいスチレンから誘導される構成単位(前記の構成単位(a7)と同じ)、Si原子とアルコキシ基とが結合したアルコキシシラン基を含む構成単位(g22)などが好適なものとして挙げられる。
エポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)中、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいスチレンから誘導される構成単位(前記の構成単位(a7)と同じ)の割合は、該エポキシ樹脂を構成する全構成単位の合計に対して20〜100モル%であることが好ましく、40〜100モル%であることがより好ましく、60〜100モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a7)の割合が下限値以上であると、レジストパターンの解像性、パターン倒れ等のリソグラフィー特性が向上する。一方、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
アルコキシシラン基を含む構成単位(g22)としては、たとえば、下記一般式(g2−2)で表される構成単位が例示される。
Figure 2012037657
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R65bは炭素数1〜5のアルキレン基であり、R67a〜R67cはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。]
前記式(g2−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上述した構成単位(a1)におけるRと同様である。
なかでも、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
65bは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
67a〜R67cは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、R67a〜R67cのいずれも同じであることが好ましい。
構成単位(g22)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)中、構成単位(g22)の割合は、該エポキシ樹脂を構成する全構成単位の合計に対して1〜40モル%であることが好ましく、1〜30モル%であることがより好ましく、1〜10モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(g22)の割合が下限値以上であると、レジストパターンと支持体との密着性がより向上する。一方、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(g21)を有するエポキシ樹脂として具体的には、たとえば、構成単位(g21)と構成単位(a7)と構成単位(g22)とを有する共重合体(コポリマー)が好適なものとして挙げられる。
かかるエポキシ樹脂としては、下記の様な構成単位を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
Figure 2012037657
[式中、R、g4、g5、R67a〜R67cはそれぞれ上記と同じである。g9は1〜5の整数であり、g8は1〜3の整数である。]
前記式(g2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
67a〜R67cは、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R67a〜R67cのいずれもメチル基であることが特に好ましい。
g8は、2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
g9は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
g4は、1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
g5は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
構成単位(g21)を有するエポキシ樹脂は、所望とする構成単位を誘導するモノマーを、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル等のラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
構成単位(g21)を有するエポキシ樹脂は、質量平均分子量が1000〜100000であり、2000〜100000であることが好ましく、3000〜100000であることがより好ましく、3000〜50000であることが最も好ましい。
該エポキシ樹脂の質量平均分子量が前記範囲であることにより、充分に架橋が行われ、良好なリソグラフィー特性を有するレジストパターンが得られやすくなる。
また、該質量平均分子量が下限値以上であると、該エポキシ樹脂を含有するレジスト組成物は適度な粘度を有し、支持体上に該レジスト組成物を均一に塗布しやすくなる。一方、該質量平均分子量が上限値以下であることにより、該レジスト組成物の粘度増加が抑えられ、支持体上に該レジスト組成物を均一に塗布しやすくなる。
構成単位(g21)を有するエポキシ樹脂の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましく、1.0〜3.0が特に好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合系レジスト組成物中、エポキシ基を有する化合物の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<カチオン重合開始剤>
カチオン重合開始剤は、g線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線の照射を受けてカチオンを発生し、そのカチオンが重合開始剤となり得る化合物である。
このようなカチオン重合開始剤は、たとえば、下記一般式(4)で表されるものが例示される。
Figure 2012037657
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、又は置換基が結合してもよいアルコキシ基を表す。Rは、ハロゲン原子又はアルキル基が結合してもよいp−フェニレン基を表す。R10は、水素原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、置換基が結合してもよいベンゾイル基、又は置換基が結合してもよいポリフェニル基を表す。Aは、オニウムイオンの対イオンを表す。)
前記式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、又は置換基が結合してもよいアルコキシ基を表す。
ここでの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよく、炭素数1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
ここでのアルコキシ基は、炭素数1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。該アルコキシ基における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。
は、ハロゲン原子又はアルキル基が結合してもよいp−フェニレン基を表す。ここでのアルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
10は、水素原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、置換基が結合してもよいベンゾイル基、又は置換基が結合してもよいポリフェニル基を表す。ここでの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよく、炭素数1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
ベンゾイル基又はポリフェニル基における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。
〜R10におけるハロゲン原子は、それぞれ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記式(4)中、Aは、オニウムイオンの対イオンを表す。
として、具体的には、SbF 、PF 、AsF 、BF 、SbCl 、ClO 、CFSO 、CHSO 、FSO 、FPO 、p−トルエンスルホネート、ノナフロロブタンスルホネート、アダマンタンカルボキシレート、テトラアリールボレート、下記一般式(5)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン等が例示される。
Figure 2012037657
(式中、Rfは、水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基を表す。bはその個数を表し、1〜5の整数である。b個のRfは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
前記式(5)中、Rfのフッ素化アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
このようなカチオン重合開始剤としては、たとえば、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート等が挙げられる。
これらの化合物のうち、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(株式会社ADEKA製の商品名アデカオプトマーSP−172)、
ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート(サンアプロ株式会社製の商品名CPI−210S)、
ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製の商品名HS-1PG)、
ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート(サンアプロ株式会社製の商品名HS−1PG)が好ましい。
カチオン重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合系レジスト組成物におけるカチオン重合開始剤の含有量は、エポキシ基を有する化合物100質量部に対し、0.05〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。カチオン重合開始剤の含有量が下限値以上であれば、カチオン重合系レジスト組成物の放射線の照射(露光)による硬化時間をより適切なものとすることができる。一方、上限値以下であれば、放射線の照射(露光)後の現像性をより良好なものにできる。
カチオン重合系レジスト組成物には、必要とされる特性に応じて、前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分、増感剤、シランカップリング剤、溶剤、界面活性剤等を添加することができる。
前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分としては、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位;α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸のカルボキシ基末端の水素原子が、鎖状のアルキル基、又は、アルコキシアルキル基(−R71−O−R72;R71はアルキレン基,R72はアルキル基)とそれぞれ置換した構成単位などを有するものが例示される。
鎖状のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、4〜8がさらに好ましい。
アルコキシアルキル基(−R71−O−R72)において、R71のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。R72のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位の割合は、前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜20モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。
前記カルボキシ基末端の水素原子が鎖状のアルキル基と置換した構成単位の割合は、前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対して5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜30モル%がさらに好ましい。
前記カルボキシ基末端の水素原子がアルコキシアルキル基と置換した構成単位の割合は、前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対して10〜80モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましく、40〜70モル%がさらに好ましい。
前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分のなかで好適なものとしては、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記カルボキシ基末端の水素原子が鎖状のアルキル基と置換した構成単位と、前記カルボキシ基末端の水素原子がアルコキシアルキル基(−R71−O−R72)と置換した構成単位とを有する共重合体等が例示できる。
前記エポキシ樹脂以外の樹脂成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
該樹脂成分を配合する場合、該樹脂成分と前記エポキシ樹脂との混合割合は、質量比で、該樹脂成分:前記エポキシ樹脂=1:9〜9:1が好ましく、2:8〜5:5がより好ましい。
増感剤としては、ナフトール型増感剤が例示される。カチオン重合系レジスト組成物の感度が高い場合には、フォトマスクとレジスト層との間に間隙が存在すると、露光の結果、得られる樹脂パターン(硬化物)の寸法がフォトマスクの寸法に比べて太くなる現象を生じる場合があるが、この太り現象を、ナフトール型増感剤を含有させることにより、感度を下げずに、抑制することができる。このように、ナフトール型増感剤を添加すると、フォトマスクの寸法に対する樹脂パターンの寸法の誤差を抑えることができるため、好ましい。
このようなナフトール型増感剤としては、1−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテルが好ましく例示され、感度を下げずに樹脂パターンの太り現象を抑制するという効果の点を考慮すると、1−ナフトールがより好ましく例示される。
シランカップリング剤は、レジスト層から形成された樹脂パターンと基材との間の密着性を向上させるために使用される。
シランカップリング剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができるが、シランカップリング剤の分子をレジストパターンに含むことにより、レジストパターンと支持体との間の密着性がより強固になることから、エポキシ基を有するシランカップリング剤を使用することが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
カチオン重合系レジスト組成物中、シランカップリング剤の含有量は、エポキシ基を有する化合物100質量部に対し、0.01〜40質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましい。
溶剤は、カチオン重合系レジスト組成物の感度を高め、また、カチオン重合系レジスト組成物の粘度を、基材の表面に塗布するのに適したものとするのに使用される。このような溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、γ−ブチロラクトン等が例示される。カチオン重合系レジスト組成物における溶剤の添加量は、カチオン重合系レジスト組成物の塗布性を考慮して適宜決定すればよい。
界面活性剤としては、従来からレジスト用界面活性剤として知られている化合物を用いることができる。
界面活性剤のなかで好適なものとしては、フッ素−ケイ素系界面活性が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルエステル基とアルキルシロキサン基とエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とが結合した非イオン性フッ素−ケイ素系界面活性剤が例示できる。この界面活性剤としては、メガファックR−08、R−60(製品名、大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、下記の一般式(1)で表される繰返し単位と、一般式(2)で表される繰返し単位とを有するポリエステル変性ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤も好適なものとして挙げられる。この界面活性剤をレジスト組成物に含有させると、支持体上にレジスト組成物を塗布する際、特にスピンレス塗布方式におけるスジ状痕の発生を有効に防止することができる。また、膜厚均一性に対しても有効である。
Figure 2012037657
(式中、R41は炭素原子数1〜3の直鎖状あるいは分岐鎖状のアルキル基を表し、R42は炭素原子数1〜15の直鎖状あるいは分岐鎖状のアルキル基を表し、R43はポリエステル変性基を表す。)
前記ポリエステル変性ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤のなかでも、上記一般式(1)、(2)で表される繰返し単位を主成分(合計で50モル%以上)とするものが好ましく、さらには主鎖末端のケイ素原子が下記一般式(3)で表される構造を有するものが特に好ましい。
Figure 2012037657
(式中、R41は炭素原子数1〜3の直鎖状あるいは分岐鎖状のアルキル基を表す。複数のR41は同じでも異なっていてもよい。)
前記ポリエステル変性ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤の好適な具体例としては、商品名BYK−310、BYK−315(いずれもビックケミー社製)などが挙げられる。これらの中でも、特にBYK−310は、支持体上にレジスト組成物を塗布する際、モヤムラ、及びスジムラ(スジ状痕)の発生を効果的に抑制できるので好ましい。
また、界面活性剤としては、フッ素含有量が10〜25質量%(好ましくは15〜25質量%)であり、かつ、ケイ素含有量が3〜10質量%(好ましくは5〜10質量%)の界面活性剤が挙げられ、ケイ素含有量に対するフッ素含有量が2〜5倍のものがより好ましい。この界面活性剤を含有させると、支持体上にレジスト組成物を塗布する際、特にスピンレス塗布方式におけるスジ状痕の発生を有効に防止することができる。
フッ素含有量とは、フッ素イオンを形成させた後、イオンクロマトグラフィーにより求められる数値である。またケイ素含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)により求められる数値である。より具体的には、フッ素含有量は試料を電気炉で加熱し、炭素、水素を燃焼しフッ素イオンを生成した後、イオンクロマトグラフィーで定量する。また、ケイ素含有量は試料を固体又は溶液として調製し、ICP法により定量する。
前記のフッ素含有量とケイ素含有量を有する界面活性剤の好適な具体例としては、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093(いずれも信越化学工業社製)のようなパーフルオロアルキル基とアルキルシロキサン基とアルキレンオキシ基とが結合した非イオン性フッ素・シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。ここに挙げた具体例は、いずれもフッ素含有量21質量%、ケイ素含有量7質量%である。これらの中でも、特にX−70−093は、レジスト組成物の塗布量が少量であっても、スジ状痕や乾燥ムラによる膜厚不均一の発生を抑制する効果が高いので好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
カチオン重合系レジスト組成物中、界面活性剤の含有量は、エポキシ基を有する化合物100質量部に対し、0.01〜2質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。
上述した化学増幅型レジスト組成物、カチオン重合系レジスト組成物等において、レジスト組成物に配合される成分の溶剤への溶解は、たとえば、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでも行うことができ、また、必要に応じてディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用いて分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<レジスト組成物の調製>
表1、2に示す各成分を混合して溶解し、各レジスト組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2012037657
表1中の各略号は以下の意味を有する。また、表2中の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記化学式(A1−1−1)で表される質量平均分子量(Mw)7000、分散度2.1の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、l:m:n=40:40:20である。
Figure 2012037657
(A)−2:下記化学式(A1−1−2)で表される質量平均分子量(Mw)8000、分散度1.8の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、m:n=70:30である。
Figure 2012037657
(A)−3:下記化学式(A1−1−3)で表される質量平均分子量(Mw)3000、分散度1.1の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、m:n=30:70である。
Figure 2012037657
(B)−1:下記化学式(B−11)で表される化合物。
(B)−2:下記化学式(B−12)で表される化合物。
(B)−3:下記化学式(B−13)で表される化合物。
(B)−4:下記化学式(B−14)で表される化合物。
(B)−5:下記化学式(B−15)で表される化合物。
Figure 2012037657
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)。
Figure 2012037657
表2中の各略号は以下の意味を有する。また、表2中の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−4:下記化学式(A3−1)で表される質量平均分子量(Mw)40000、分散度2.3の共重合体(エポキシ基を有する化合物)。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、l:m:n=60:35:5である。
Figure 2012037657
(A)−5:下記化学式(A2−1−1)で表される質量平均分子量(Mw)2000、分散度1.2の共重合体(アルカリ可溶性樹脂)。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、m:n=85:15である。
Figure 2012037657
(A)−6:下記化学式(A3−2)で表される質量平均分子量(Mw)3500、分散度4.0の共重合体(エポキシ基を有する化合物)。
Figure 2012037657
(A)−7:下記化学式(A3−3)で表される質量平均分子量(Mw)80000、分散度5.7の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、l:m:n=62.9:23.1:14である。
Figure 2012037657
(B)−6:下記化学式(B−16)で表される化合物、カチオン重合開始剤。
(B)−7:下記化学式(B−17)で表される化合物、酸発生剤。
Figure 2012037657
(D)−2:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(C)−1:下記化学式(C−11)で表される化合物(商品名「MW−100LM」、三和ケミカル社製)架橋剤。
Figure 2012037657
Add−1:界面活性剤(商品名「BYK−310」、ビックケミー製)。
Add−2:界面活性剤(商品名「R08」、大日本インキ製)。
Add−3:下記化学式で表される化合物(商品名「Z−6040N」、東レ・ダウコーニング製)シランカップリング剤。
Figure 2012037657
(S)−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
(S)−3:γ−ブチロラクトン。
<レジストパターンの形成(1)>
(実施例1)
工程(1):
8インチシリコンウェーハ上に直接、上記のレジスト組成物(1)をスピン塗布した。
工程(2):
レジスト組成物(1)が塗布された前記シリコンウェーハを、ホットプレート上で、200℃で90秒間ベークして、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
工程(3):
レジスト膜が形成された前記シリコンウェーハを、乳酸エチル(EL)を用いて40秒間洗浄し、大部分のレジスト膜を除去した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(1)をスピン塗布し、ホットプレート上で、100℃で90秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて、描画(露光)を行った。
その後、90℃で90秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅100nm/ピッチ200nmのラインアンドスペースパターン(以下「L/Sパターン」という。)が形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、40(μC/cm)であった。
(実施例2)
工程(3)以外は実施例1と同様にしてレジストパターンの形成を行った。
工程(3):
レジスト膜が形成された前記シリコンウェーハを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて25秒間洗浄し、大部分のレジスト膜を除去した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
レジストパターンの形成を行った結果、レジスト膜に、ライン幅100nm/ピッチ200nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、40(μC/cm)であった。
(実施例3)
工程(1)〜(3):
レジスト組成物(1)の代わりに、上記のレジスト組成物(3)を用いた以外は実施例1と同様にして各工程の操作を行った。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(3)をスピン塗布し、ホットプレート上で、120℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて、描画(露光)を行った。
その後、100℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅100nm/ピッチ200nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、46(μC/cm)であった。
(実施例4)
工程(1)〜(3):
レジスト組成物(1)の代わりに、上記のレジスト組成物(4)を用いた以外は実施例1と同様にして各工程の操作を行った。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(4)をスピン塗布し、ホットプレート上で、80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて、描画(露光)を行った。
その後、80℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅100nm/ピッチ200nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、52(μC/cm)であった。
(実施例5)
工程(1):
8インチシリコンウェーハ上に直接、上記のレジスト組成物(2)をスピン塗布した。
工程(2):
レジスト組成物(2)が塗布された前記シリコンウェーハを、ホットプレート上で、200℃で90秒間ベークして、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
工程(3):
レジスト膜が形成された前記シリコンウェーハを、乳酸エチル(EL)を用いて40秒間洗浄し、大部分のレジスト膜を除去した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(2)をスピン塗布し、ホットプレート上で、100℃で90秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302A(株式会社ニコン製;NA(開口数)/sigma=0.75/0.60)を用いて、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスク(バイナリーマスク)パターンを介して選択的に照射した。
その後、90℃で90秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅150nm/ピッチ300nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、20(mJ/cm)であった。
(比較例1)
8インチシリコンウェーハを、100℃で60秒間ベークした。
該ベーク後の前記シリコンウェーハに対して、実施例1における工程(4)の操作を行った。
(比較例2)
8インチシリコンウェーハ上に直接、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)溶液をスピン塗布した。
HMDS溶液が塗布された前記シリコンウェーハを、ホットプレート上で、90℃で36秒間ベークしてHMDS膜を形成した。
次いで、100℃で60秒間ベークした。
該60秒間ベーク後の前記シリコンウェーハに対して、実施例1における工程(4)の操作を行うことにより、ライン幅100nm/ピッチ200nmのL/Sパターンが形成された。
(比較例3)
8インチシリコンウェーハを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて25秒間洗浄した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
該ベーク後の前記シリコンウェーハに対して、実施例1における工程(4)の操作を行った。
(比較例4)
8インチシリコンウェーハを、乳酸エチル(EL)を用いて40秒間洗浄した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
該ベーク後の前記シリコンウェーハに対して、実施例1における工程(4)の操作を行った。
(比較例5)
8インチシリコンウェーハを、ホットプレート上で、200℃で90秒間ベークした。次いで、100℃で60秒間ベークした。
該60秒間ベーク後の前記シリコンウェーハに対して、実施例1における工程(4)の操作を行った。
[接触角の測定]
各例における工程(3)後(100℃で60秒間ベーク後)のシリコンウェーハの表面に、水2μLを滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて静的接触角の測定を行った。この測定値を「接触角(°)」として表3に示す。
[基板からのパターン剥がれの評価]
各例のレジストパターン形成方法によりL/Sパターンが形成された基板に対し、エッチング液(濃度20質量%水溶液、組成:質量比でHF/NHF=1/6)を用いて、温度23℃で5分間の浸漬によるウェットエッチング処理を行った。
ウェットエッチング処理後の基板とレジストパターンとの界面の状態を、走査型電子顕微鏡SEMを用いて観察し、下記の評価基準に従って、基板からのパターン剥がれについて評価した。
(評価基準)
○:レジストパターンのシリコンウェーハからの剥がれは認められなかった。
×:レジストパターンのシリコンウェーハからの剥がれが認められた。
Figure 2012037657
表3の結果から、実施例1〜5のレジストパターン形成方法によれば、基板との密着性の高いレジストパターンを形成できることが分かる。かかる効果が得られる理由は、実施例1〜5においては、工程(3)の後、基板上にレジスト薄膜が形成されて基板表面の疎水性がより高まるため、と考えられる。これは、表3中の接触角の値から示唆される。
また、実施例1〜5では、工程(1)と工程(4)で同じレジスト組成物を用いればよく、また、両工程での操作を、塗布装置又は塗布条件等を同じにして行うことができる。
これに対して、比較例2では、塗工液がHMDS溶液とレジスト組成物とで異なり、また、両工程での操作を、塗布装置又は塗布条件等を同じにして行うことができない。
したがって、実施例1〜5のレジストパターン形成方法は従来よりも簡便な方法であると云える。
<レジストパターンの形成(2)>
(実施例6)
工程(1):
8インチシリコンウェーハ上に直接、上記のレジスト組成物(5)をスピン塗布した。
工程(2):
レジスト組成物(5)が塗布された前記シリコンウェーハを、ホットプレート上で、90℃で60秒間ベークして、膜厚500nmのレジスト膜を形成した。
工程(3):
レジスト膜が形成された前記シリコンウェーハを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて25秒間洗浄し、大部分のレジスト膜を除去した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(5)をスピン塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚500nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、i線露光装置NSR2205i14E(株式会社ニコン製)を用いて、i線を、マスク(バイナリーマスク)パターンを介して選択的に照射した。
その後、100℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて60秒間洗浄し、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅2.0μm/ピッチ4.0μmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、80(mJ/cm)であった。
(実施例7)
工程(1)〜(3):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(6)を用いた以外は実施例6と同様にして各工程の操作を行った。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(6)をスピン塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚500nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、i線露光装置NSR2205i14E(株式会社ニコン製)を用いて、i線を、マスク(バイナリーマスク)パターンを介して選択的に照射した。
その後、120℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅2.0μm/ピッチ4.0μmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、90(mJ/cm)であった。
(実施例8)
工程(1)〜(4):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(7)を用いた以外は実施例6と同様にして各工程の操作を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅2.0μm/ピッチ4.0μmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、80(mJ/cm)であった。
(実施例9)
工程(1)〜(4):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(8)を用いた以外は実施例6と同様にして各工程の操作を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅2.0μm/ピッチ4.0μmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、80(mJ/cm)であった。
実施例6〜9における工程(3)後(100℃で60秒間ベーク後)のシリコンウェーハ表面の接触角を、上記と同様にして測定した。
また、得られたレジストパターンの基板からのパターン剥がれについて、上記と同様にして評価した。これらの結果を表4に示す。
Figure 2012037657
<レジストパターンの形成(3)>
(実施例10)
工程(1):
8インチシリコンウェーハ上に直接、上記のレジスト組成物(5)をスピン塗布した。
工程(2):
レジスト組成物(5)が塗布された前記シリコンウェーハを、ホットプレート上で、90℃で60秒間ベークして、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
工程(3):
レジスト膜が形成された前記シリコンウェーハを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて25秒間洗浄し、大部分のレジスト膜を除去した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(5)をスピン塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、KrF露光装置NSR−S203B(株式会社ニコン製)を用いて、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスク(バイナリーマスク)パターンを介して選択的に照射した。
その後、100℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて60秒間洗浄し、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅400nm/ピッチ800nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、120(mJ/cm)であった。
(実施例11)
工程(1)〜(3):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(6)を用いた以外は実施例10と同様にして各工程の操作を行った。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(6)をスピン塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚350nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、KrF露光装置NSR−S203B(株式会社ニコン製)を用いて、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスク(バイナリーマスク)パターンを介して選択的に照射した。
その後、120℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅400nm/ピッチ800nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、40(mJ/cm)であった。
(実施例12)
工程(1)〜(4):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(7)を用いた以外は実施例10と同様にして各工程の操作を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅400nm/ピッチ800nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、100(mJ/cm)であった。
(実施例13)
工程(1)〜(4):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(8)を用いた以外は実施例10と同様にして各工程の操作を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅400nm/ピッチ800nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、120(mJ/cm)であった。
実施例10〜13における工程(3)後(100℃で60秒間ベーク後)のシリコンウェーハ表面の接触角を、上記と同様にして測定した。
また、得られたレジストパターンの基板からのパターン剥がれについて、上記と同様にして評価した。これらの結果を表5に示す。
Figure 2012037657
<レジストパターンの形成(4)>
(実施例14)
工程(1):
8インチシリコンウェーハ上に直接、上記のレジスト組成物(5)をスピン塗布した。
工程(2):
レジスト組成物(5)が塗布された前記シリコンウェーハを、ホットプレート上で、90℃で60秒間ベークして、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
工程(3):
レジスト膜が形成された前記シリコンウェーハを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて25秒間洗浄し、大部分のレジスト膜を除去した。次いで、100℃で60秒間ベークした。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(5)をスピン塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて、描画(露光)を行った。
その後、100℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて60秒間洗浄し、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅200nm/ピッチ400nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、22(μC/cm)であった。
(実施例15)
工程(1)〜(3):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(6)を用いた以外は実施例14と同様にして各工程の操作を行った。
工程(4):
工程(3)後の前記シリコンウェーハ上に、レジスト組成物(6)をスピン塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に対して、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて、描画(露光)を行った。
その後、120℃で60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。そして、100℃で60秒間のベーク処理(ポストベーク)を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅200nm/ピッチ400nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、60(μC/cm)であった。
(実施例16)
工程(1)〜(4):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(7)を用いた以外は実施例14と同様にして各工程の操作を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅200nm/ピッチ400nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、26(μC/cm)であった。
(実施例17)
工程(1)〜(4):
レジスト組成物(5)の代わりに、上記のレジスト組成物(8)を用いた以外は実施例14と同様にして各工程の操作を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅200nm/ピッチ400nmのL/Sパターンが形成された。このときの最適露光量(感度,EOP)を求めたところ、30(μC/cm)であった。
実施例14〜17における工程(3)後(100℃で60秒間ベーク後)のシリコンウェーハ表面の接触角を、上記と同様にして測定した。
また、得られたレジストパターンの基板からのパターン剥がれについて、上記と同様にして評価した。これらの結果を表6に示す。
Figure 2012037657
表4〜6の結果から、実施例6〜17のレジストパターン形成方法によれば、i線、KrFエキシマレーザー及びEBのいずれの光源においても、従来よりも簡便な方法で基板との密着性の高いレジストパターンを形成できることが分かる。
10…基板、20…レジスト組成物、21…レジスト膜、22…レジスト薄膜、23…レジストパターン

Claims (1)

  1. 基板上に直接、レジスト組成物を塗布する工程(1)と、
    前記レジスト組成物が塗布された前記基板をベークしてレジスト膜を形成する工程(2)と、
    前記レジスト膜が形成された前記基板を有機溶剤で洗浄する工程(3)と、
    前記の洗浄後の前記基板上に、前記レジスト組成物と同じレジスト組成物を塗布してレジストパターンを形成する工程(4)と
    を有することを特徴とするレジストパターン形成方法。
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