JP5227818B2 - 被覆パターン形成方法、レジスト被覆膜形成用材料、レジスト組成物、パターン形成方法 - Google Patents

被覆パターン形成方法、レジスト被覆膜形成用材料、レジスト組成物、パターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、被覆パターン形成方法、該方法に用いられるレジスト被覆膜形成用材料およびレジスト組成物、ならびに前記被覆パターン形成方法を利用したパターン形成方法に関する。
基板の上に微細なパターンを形成し、これをマスクとしてエッチングを行うことによって該パターンの下層を加工する技術(パターン形成技術)は、半導体産業のIC作成等に広く採用され、大きな注目を浴びている。パターン形成技術は、半導体デバイスの高集積化に伴い、急速な進歩を遂げているが、更なるパターンの高密度化が求められている。
微細なパターンの高密度化のため、近年提案されているパターン形成技術の一つとして、スペーサーパターニング法(Spacer patterning technology)がある。例えば非特許文献1では、Fig.1(b)〜(d)に、基板上にフィン状のSiNスペーサーのパターンを形成し、その上からCVD(化学気相成長法。化学蒸着法ともいう。)によってSiNスペーサーの上部および両側面に被覆(SiO膜)を形成し、その後、SiNスペーサーの上部の被覆およびSiNスペーサーをドライエッチングで除去する方法が示されている。かかる方法によれば、基板上に、SiNスペーサーの両側面の被覆が残ることになる。つまり、基板上には、当初のSiNスペーサーの2倍の数のSiOのパターンが残り、より高密度なパターンが形成されることとなる。
B.Degrooteら、"Spacer defined FinFET: Active area patterning of sub−20nm fins with high density"、マイクロエレクトロニックエンジニアリング(Microelectronic Engineering、平成19年(2007年)、第84巻、p.609−618
しかしながら、非特許文献1に記載された方法は、パターン(SiN)の上に被覆(SiO膜)を形成するためにCVDを用いており、工程数が多い、時間がかかる、設備等にコストがかかる等の問題がある。そのため、表面が被覆されたパターン(被覆パターン)を、CVDを使用することなく、簡便に形成できる技術が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便に被覆パターンを形成できる被覆パターン形成方法、該被覆パターン形成方法に有用な材料、および前記被覆パターン形成方法を利用したパターン形成方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、支持体上に、表面が被覆膜で被覆されたパターンを形成する被覆パターン形成方法であって、
支持体上に、ラジカル重合開始剤を含有するレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する工程(i)と、
前記レジストパターンが形成された前記支持体上に、重合性基を有するベースポリマーと、重合性モノマーとを含有するレジスト被覆膜形成用材料を塗布して塗膜を形成する工程(ii)と、
前記レジストパターンに対して露光および/またはベークを行う工程(iii)と、
前記塗膜に対して現像処理を行う工程(iv)と、
を含むことを特徴とする被覆パターン形成方法である。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の被覆パターン形成方法に用いられるレジスト被覆膜形成用材料であって、重合性基を有するベースポリマーと、重合性モノマーとを含有し、前記ベースポリマーは、シリコン含有量が5〜40質量%のシリコーン樹脂であることを特徴とするレジスト被覆膜形成用材料である。
本発明の第三の態様は、前記第一の態様の被覆パターン形成方法に用いられるレジスト組成物であって、ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とするレジスト組成物である。
本発明の第四の態様は、前記第一の態様の被覆パターン形成方法により被覆パターンが形成された支持体に対してエッチング処理を行う工程を含むパターン形成方法である。
本明細書および本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明によれば、簡便に被覆パターンを形成できる被覆パターン形成方法、該被覆パターン形成方法に有用な材料(レジスト被覆膜形成用材料およびレジスト組成物)、および前記被覆パターン形成方法を利用したパターン形成方法を提供できる。
本発明の被覆パターン形成方法の好ましい実施形態を説明する概略工程図である。 塗膜全体が硬化した場合を説明する概略断面図である。 本発明のパターン形成方法の好ましい実施形態を説明する概略工程図である。
≪被覆パターン形成方法≫
本発明の被覆パターン形成方法は、支持体上に、表面が被覆膜で被覆されたパターンを形成する被覆パターン形成方法であって、支持体上に、ラジカル重合開始剤を含有するレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する工程(i)と、前記レジストパターンが形成された前記支持体上に、重合性基を有するベースポリマーと、重合性モノマーとを含有するレジスト被覆膜形成用材料を塗布して塗膜を形成する工程(ii)と、前記レジストパターンに対して露光および/またはベークを行う工程(iii)と、前記塗膜に対して現像処理を行う工程(iv)と、を含む。
以下、本発明の被覆パターン形成方法について、図面を用いて好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の被覆パターン形成方法の第一の実施形態を示す概略工程図である。
本実施形態においては、まず、図1(a)に示すように、支持体1の一方の主面1a上に、ラジカル重合開始剤を含有するレジスト組成物を用いて、高さhのレジストパターン2を形成する(工程(i))。
次に、図1(b)に示すように、レジストパターン2が形成された支持体1上に、ラジカル重合型のレジスト被覆膜形成用材料を塗布して塗膜3を形成する(工程(ii))。これにより、複数のレジストパターン2間の空隙がレジスト被覆膜形成用材料で充填される。また、図示した例においては、レジストパターン2の高さhよりも大きい膜厚で塗膜3が形成されており、これにより、レジストパターン2の上面もレジスト被覆膜形成用材料で覆われる。
次に、レジストパターン2に対して露光および/またはベークを行う(工程(iii))。レジストパターン2中には、ラジカル重合開始剤が含まれている。該ラジカル重合開始剤は、露光(放射線の照射)および/またはベークによりラジカルを発生するため、レジストパターン2に対して露光および/またはベークを行うと、レジストパターン2中にてラジカルが発生する。該レジストパターン2と接する塗膜3は、レジスト被覆膜形成用材料からなり、重合性基を有するベースポリマーと重合性モノマーとを含有するため、レジストパターン2内で発生したラジカルの作用により、該レジストパターン2と接する部分の塗膜3の重合が進行し、結果、図1(c)に示すように、レジストパターン2の表面に硬化膜(レジスト被覆膜4)が形成される。
従来法、たとえばCVDを用いる場合は、被覆膜を形成する際、レジストパターン表面だけでなく、支持体表面にも同様の被覆膜が形成されてしまうが、本発明によれば、レジストパターン表面のみに被覆膜を形成することができる。そのため、該被覆膜は、後述するパターン形成方法に示すように、支持体をエッチングする際のエッチングマスクとして有用である。
次に、塗膜3に対して現像処理を行う(工程(iv))。
工程(iii)後において、塗膜3のうち、硬化してレジスト被覆膜4となった部分と、未硬化(未重合または低重合)の部分とでは、重合度の違い等により、アルカリや有機溶剤に対する溶解性が異なっている。そのため、レジスト被覆膜4を溶解しにくく、且つ未硬化の部分を溶解しやすい流体を現像液として用いて現像処理を行うと、塗膜3の未硬化の部分が除去される一方、レジスト被覆膜4は除去されずに残る。結果、図1(d)に示すように、支持体1上に、レジストパターン2と、該レジストパターン2の表面を被覆するレジスト被覆膜4とからなる被覆パターン7が形成される。
以下、工程(i)〜(iv)について、より詳細に説明する。
[工程(i)]
支持体1としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、下層膜が設けられたものであってもよい。下層膜としては、特に限定されず、レジスト膜の下層に設けられるものとして公知のものを利用でき、無機系の膜であってもよく、有機系の膜であってもよく、これらを併用してもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成でき、半導体の製造等において有用であることから好ましい。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と、下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法とに分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基材上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
上記有機系の膜を形成するための有機膜形成用材料としては、特に限定されず、半導体素子や液晶表示素子の製造において、一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。ただし有機膜形成用材料には、レジスト膜のような、電子線や光に対する感受性は必ずしも必要とされない。
後述する本発明のパターン形成方法において、被覆パターンをエッチングマスクとして用いて下層膜をエッチングできるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。
下層膜としては、被覆パターンを構成する材料とのエッチング選択比に優れることから、有機系の膜が好ましい。また、下層膜として有機膜が設けられていると、上記のように、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成しやすく、半導体の製造等において有用であることからも好ましい。
工程(i)では、支持体1の一方の主面1a上にレジストパターン2を形成するために、ラジカル重合開始剤を含有するレジスト組成物を使用する。
該レジスト組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する以外は、これまで提案されているレジスト組成物と同様の組成であってよく、たとえば公知のレジスト組成物にラジカル重合開始剤を配合したものを使用することができる。
レジスト組成物としては、特に、感度、解像性等に優れることから、化学増幅型レジスト組成物が好ましく用いられる。ただし本発明はこれに限定されるものではなく、非化学増幅型のレジスト組成物を用いてもよい。
レジスト組成物の組成については詳しくは後述する。
支持体1の一方の主面1a上にレジストパターン2を形成する方法としては、レジスト組成物としてラジカル重合開始剤を含有するものを用いる以外は従来公知の方法を用いることができる。例えば、該レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む方法によりレジストパターンが形成できる。
レジストパターンの具体的な形成方法は、使用するレジスト組成物の種類に応じて適宜設定すればよい。
具体例を挙げると、たとえばレジスト組成物として化学増幅型のものを用いる場合、該レジストパターン形成方法は、たとえば以下の様にして行うことができる。すなわち、まず支持体1上に、前記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成し、これに例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、レジストパターン2を得ることができる。
レジスト膜の膜厚は、目的のレジストパターン寸法等を考慮して適宜選択することができる。好ましくは20〜300nm、より好ましくは40〜200nmである。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。レジスト組成物として化学増幅型のものを用いる場合、上記の中でも、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUVが好適に用いられる。
露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよく、液浸露光により行ってもよい。
液浸露光は、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う方法である。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜(パターニング工程(1)においては第一のレジスト膜2)の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明においては、レジストパターン2を、ダブルパターニングプロセスにより形成してもよい。ダブルパターニングプロセスは、パターニングを2回以上行ってレジストパターンを形成する方法である(たとえば「プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5256巻,第985〜994頁(2003年).」、「プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第6153巻,第615301−1〜19頁(2006年).」参照)。ダブルパターニングプロセスによれば、上記レジスト膜の形成から現像までの一連の工程(リソグラフィー工程)を1回行ってレジストパターンを形成するシングルパターニングに比べて、同じ露光波長の光源を用いても、また、同じレジスト組成物を用いても、より高解像性のレジストパターンをより高密度に形成することが可能である。また、ダブルパターニングプロセスは、既存の露光装置を用いて行うことができる。
ダブルパターニングプロセスにはいくつか種類があり、たとえば、(1)リソグラフィー工程(レジスト組成物の塗布から露光、現像まで)およびエッチング工程を2回以上繰り返してパターンを形成する方法、(2)リソグラフィー工程を続けて2回以上繰り返す方法、(3)レジスト膜を形成後、該レジスト膜に対する選択的露光を2回以上行い、現像してレジストパターンを形成する方法(多重露光法)等がある。これらの中でも、(2)または(3)が好ましく、特に(2)が好ましい。
(2)のダブルパターニングプロセスによるレジストパターンの形成は、たとえば、支持体上に、第一のレジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(第一のパターニング工程)と、
前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、第二のレジスト組成物を塗布して第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜を選択的に露光し、アルカリ現像して第二のレジストパターンを形成するする工程(第二のパターニング工程)と、
を含む方法により実施できる。
かかる方法によれば、支持体上に、第一のレジストパターンおよび第二のレジストパターンからなるレジストパターンが形成される。
第一のパターニング工程、第二のパターニング工程は、具体的には、それぞれ、上記にて説明した、「支持体1の一方の主面1a上にレジストパターン2を形成する」場合と同様にして実施できる。
各工程で使用する第一のレジスト組成物および第二のレジスト組成物は、それぞれ、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。
第二のパターニング工程において、第二のレジスト膜の膜厚は、少なくとも、第一のレジストパターンの高さと同じか、それよりも厚いことが好ましい。すなわち、支持体1を第二のレジスト膜側から見た場合に、その表面が平坦であることが好ましい。
第二のレジスト膜の選択的露光は、第一のレジストパターンが形成された位置とは異なる位置に第二のレジストパターンが形成されるように実施する。
かかる選択的露光は、たとえば、第二のパターニング工程にて、フォトマスクとして、第一のパターニング工程で用いたフォトマスクとは別のフォトマスクを使用することにより実施できる。また、第一のレジスト組成物および第二のレジスト組成物としてそれぞれポジ型のものを用いる場合、またはそれぞれネガ型のものを用いる場合は、たとえば第一のパターニング工程で用いたフォトマスクの位置を若干ずらし、これを第二のパターニング工程におけるフォトマスク22として用いることによっても実施できる。
このように、第二のパターニング工程において、第二のレジストパターンの位置と第一のレジストパターンの位置とが全く重複しないように選択的露光を行うことで、第一のレジストパターンよりも、パターン間の間隔(ピッチ)が狭い狭ピッチのレジストパターンが得られる。
たとえばラインアンドスペースのレジストパターンを形成する場合を例に挙げると、第一のパターニング工程で、複数のラインが一定のピッチで配置されたラインアンドスペースのフォトマスクを用いてラインアンドスペースのレジストパターンを形成した後、第二のパターニング工程で、第一のパターニング工程で形成したラインパターンとラインパターンとの中間位置にラインパターンを形成することにより、最初に形成したラインアンドスペースのレジストパターン(疎パターン)よりも狭ピッチでライン配置されたラインアンドスペースのレジストパターン(密パターン)が形成される。「疎パターン」としては、ラインアンドスペースのレジストパターンにおいて、ライン幅:スペース幅=1:2以上にスペース幅が広いラインアンドスペースパターンが好ましい。
ただし本発明はこれに限定されず、第二のパターニング工程において形成する第二のレジストパターンの位置と、第一のパターニング工程で形成する第一のレジストパターンの位置とが一部重複していてもよい。
また、第二のパターニング工程において、フォトマスクとして、第一のパターニング工程で用いたフォトマスクを回転移動させて使用したり、該フォトマスクとはパターンの異なるフォトマスク(たとえば、第一のパターニング工程においてラインアンドスペースパターンのフォトマスク、第二のパターニング工程においてホールのマスクパターン等)を用いる等により、多様なレジストパターンを形成することができる。
また、上記ダブルパターニングプロセスにおいては、第二のパターニング工程後、さらに、該第二のパターニング工程と同様のパターニング工程を複数回繰り返して行ってもよい。すなわち、上記第二のパターニング工程でレジストパターンが形成された支持体上に、レジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成し、該レジスト膜を選択的に露光し、現像してレジストパターンを形成する操作を複数回行ってもよい。これにより、さらに狭ピッチのより密なパターンや複雑な形状のパターンを形成することができる。
図1(a)の例では、レジストパターン2の断面形状は、側部が主面1aに垂直で、上部が主面1aに平行な矩形状として模式的に図示してあるが、レジストパターン2の上部が丸みを帯びていたり、側部がテーパ状に傾斜していたりしていても構わない。
レジストパターン2の幅wおよび間隔sは特に限定されない。
本発明においては、ラジカル重合反応を利用して被覆パターンを形成するため、幅wが数十nm程度のレジストパターン2にも適用可能であり、また、数μmでも良い。
w/sの比も、被覆パターンの利用目的に応じて適宜設定可能である。後述するパターン形成方法の実施形態においては、w/s=1/3程度が好ましい。
[工程(ii)]
工程(ii)では、レジストパターン2が形成された支持体1上に、ラジカル重合型のレジスト被覆膜形成用材料を塗布して塗膜3を形成する。
レジスト被覆膜形成用材料の組成については詳しくは後述する。
支持体1上へのレジスト被覆膜形成用材料の塗布方法は、特に限定されず、スピンナー、コーター、ディスペンサー等の公知の手段を用いることができる。
本実施形態において、塗膜3は、レジストパターン2の高さよりも厚い膜厚で形成する。塗膜3の膜厚と、レジストパターン2の高さとの差([塗膜3の膜厚]−[レジストパターン2の高さ])は、後述するパターン形成方法にて、レジストパターン2の上面部分の被覆膜をエッチング等により除去してレジストパターン2を露出させる際の露出させやすさ等を考慮すると、1〜40nmが好ましく、1〜30nmがより好ましい。
また、該塗布は、少なくとも、被覆パターン7を形成しようとする領域内のレジストパターン2が塗膜3に覆われるように実施すればよく、塗膜3により支持体1の主面上全体が覆われるように行ってもよく、該主面上の一部が覆われるように行ってもよい。たとえばレジストパターン2が形成されていない領域への塗布を省略してもよい。
塗布後、場合によっては(たとえば次の工程(iii)で露光のみを行い、ベークを行わない場合)、塗膜の乾燥(溶剤の揮発)を目的としたベーク処理(プレベーク処理)を行ってもよい。この場合、ベーク処理は、レジストパターン2内のラジカル重合開始剤からラジカルが発生しない温度で行われる。
[工程(iii)]
工程(iii)において、露光および/またはベークは、レジストパターン2においてラジカルを発生させることができればよく、露光およびベークのうち、露光のみを行ってもよく、ベークのみを行ってもよく、両方を行ってもよい。
レジストパターン2に対する露光は、たとえば、塗膜3を形成するレジスト被覆膜形成用材料として、露光光源に対して透明なものを用い、レジストパターン2を塗膜3側から露光することにより実施できる。また、支持体1として、露光光源に対して透明な材質のものを用いる場合は、支持体1側から露光することによっても実施できる。
レジストパターン2に対するベークは、支持体1側から行ってもよく、塗膜3側から行ってもよく、両側から行ってもよい。
ベークを支持体1側のみから行う場合は、支持体1が熱伝導性を有する材料からなるものであることが好ましい。熱伝導性を有する材料としては、必要な熱伝導性を有するものであれば有機材料からも選択可能であるが、無機材料が好ましい。具体的には、シリコン(Si)、ゲルマニウム等の半導体、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属、SiO、SiO、SiN等のケイ素化合物等が挙げられる。
工程(iii)における露光および/またはベークの処理条件(露光量、ベーク温度、処理時間等)は、レジストパターン2内のラジカル重合開始剤からラジカルを発生させ、レジスト被覆膜4を形成することができるよう、使用するラジカル重合開始剤の種類、露光光源、レジストパターン寸法や膜厚等を考慮して適宜設定される。具体的には、たとえば予備的に、露光および/またはベークの条件を適宜変化させて本発明のレジストパターン形成方法を実施し、被覆膜が形成される条件を求めておけばよい。
ベークの場合の処理条件としては、特に限定されるものではないが、通常、90〜250℃、5〜150秒間程度であり、好ましくは120〜200℃、5〜120秒間である。
工程(iii)においては、露光および/またはベークの処理条件(露光量、ベーク温度、処理時間等)を調節することにより、形成されるレジスト被覆膜4の膜厚を調節することができる。
塗膜3の重合は、レジストパターン2と接する部分から進むため、仮に処理時間が過剰になると、図2に示すように、塗膜3全体で重合が進行して硬化膜5となるおそれがあるが、適度な時間で処理を終了することにより、図1(c)に示すように、レジストパターン2の表面付近のみを硬化膜とすることができる。
処理時間は、露光量、ベーク温度、ラジカル重合開始剤のラジカル発生効率、レジスト被覆膜形成用材料の重合速度、処理時の周囲温度などによって異なるが、これらの条件が決まれば、目的とするレジスト被覆膜4の厚さと必要な処理時間との関係を求めることは容易である。よって、あらかじめ予備的実験やシミュレーション等によって定めた処理時間を用いることにより、所望の厚さのレジスト被覆膜4を形成することが可能である。
[工程(iv)]
工程(iv)で用いる現像液は、塗膜3のうち、硬化してレジスト被覆膜4となった部分と、未硬化(未重合または低重合)の部分との溶解度に差(溶解コントラスト)が生じるものであればよく、具体的には、レジスト被覆膜形成用材料(重合前)に含まれる各成分を溶解し得る有機溶剤、アルカリ現像液(アルカリ水溶液)等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、たとえば後述する≪レジスト被覆膜形成用材料≫の説明で挙げる有機溶剤が挙げられる。
アルカリ現像液としては、従来公知のものが利用でき、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
工程(iv)で用いる現像液としては、特に、アルコール系有機溶剤が好ましい。
現像後、純水等を用いて水リンスを行ってもよい。
また、さらに、ポストベーク処理を行って支持体1表面を乾燥させてもよい。
上述のようにして、支持体1上に形成された被覆パターン7(レジストパターン2表面がレジスト被覆膜4で被覆されたパターン)を得ることができる。
なお、図1においては、レジスト被覆膜4の膜厚は、レジストパターン2の幅wよりも小さいものとなっているが、本発明はこれに限定されず、たとえば後述する本発明のパターン形成方法において第一実施形態として図3(b)に示すように、レジスト被覆膜4の膜厚を、レジストパターン2の幅wと同等としてもよく、また、レジストパターン2の幅wよりも厚くしてもよい。
≪レジスト組成物≫
本発明に用いられるレジスト組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。
該レジスト組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する以外は、これまで提案されているレジスト組成物と同様の組成であってよく、たとえば公知のレジスト組成物にラジカル重合開始剤を配合したものを使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、ベークおよび/または露光によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始させ得るものであればよく、公知のラジカル重合開始剤のなかから適宜選択すればよい。
以下に、ラジカル重合開始剤の具体例を示す。これらは、熱ラジカル重合開始剤として用いてもよいし、光ラジカル重合開始剤として用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン;メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール類;t−ブチルパ−オキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルパーオキシネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;ジn−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物類等が挙げられる。
上記のなかでも、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物、フェニルグリコシレート、ベンゾフェノン等が好ましい。
これらのラジカル重合開始剤は市販のものを用いることができ、たとえばIRGACURE 907、IRGACURE 651、IRGACURE 2959、IRGACURE 184、DAROCUR 1173、IRGACURE 250、IRGACURE 754、DAROCUR MBF、DAROCUR BP(いずれも、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が市販されている。
これらのラジカル重合開始剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物中、ラジカル重合開始剤の含有量は、レジスト組成物中に含まれる基材成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることがさらに好ましい。上記の範囲の下限値以上とすることにより、当該レジスト組成物を用いて形成されるレジストパターン上に塗布されるレジスト被覆膜形成用材料の硬化不良を抑制でき、レジスト被覆膜の形成能が向上する。また、上限値以下であると、後述の(Y)成分とのバランスが良好となる。
ここで、レジスト組成物の「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物をいう。レジスト組成物には、通常、レジスト膜を形成するために、基材成分(たとえば後述する(A)成分)が配合されている。
該基材成分としては、一般的に、分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を単に「樹脂」ということがある。樹脂の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
従来、レジスト組成物の基材成分としては、樹脂が一般的に用いられている。
本発明のレジスト組成物は、上記ラジカル重合開始剤とともに、開始助剤を含有してもよい。
開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。これらの開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
レジスト組成物中、開始助剤の含有量は、レジスト組成物中に含まれる基材成分100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
上記ラジカル重合開始剤(および任意に開始助剤)が配合されるレジスト組成物の種類は特に限定されず、化学増幅型であってもよく、非化学増幅型であってもよい。
また、レジスト組成物には、露光によりアルカリ溶解性が増大するポジ型と、露光によりアルカリ溶解性が低下するネガ型とがある。本発明において、レジスト組成物としては、ポジ型を用いてもよく、ネガ型を用いてもよい。好ましくはポジ型のレジスト組成物が用いられる。
レジスト組成物としては、特に、感度、解像性等に優れることから、化学増幅型レジスト組成物が好ましく用いられる。
化学増幅型レジスト組成物としては、ラジカル重合開始剤が配合される以外は特に制限はなく、これまで提案されている多数の化学増幅型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。該化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有するものが一般的である。
<(A)成分>
化学増幅型レジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、アルカリ現像液に対して可溶性の基材成分が用いられるもともに、さらに架橋剤が配合される。
かかるネガ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により基材成分と架橋剤との間で架橋が起こり、基材成分がアルカリ現像液に対して可溶性から難溶性へと変化する。そのため、当該ネガ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないため、アルカリ現像により未露光部のみが除去され、レジストパターンが形成される。
ネガ型レジスト組成物の基材成分としては、通常、アルカリ現像液に可溶性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)が用いられる。
該アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の炭素数1〜5のアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。
架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
化学増幅型レジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分が用いられる。
かかるポジ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性へと変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像により露光部のみが除去され、レジストパターンが形成される。
該(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物(A2)(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
以下、(A1)成分および(A2)成分の好ましい態様をより具体的に説明する。
[(A1)成分]
(A1)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物、EB用ポジ型レジスト組成物、EUV用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
該ベース樹脂としては、通常、酸解離性溶解抑制基を含む構成単位を有する樹脂が用いられ、該樹脂としては、たとえば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂(たとえば後述する(A12)成分)、アクリル系樹脂(たとえば後述する(A11)成分)等が挙げられる。
ここで、酸解離性溶解抑制基は、(B)成分から発生した酸の作用により解離し得る酸解離性と、その解離前の(A)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性とを有する基である。そのため、かかる(A)成分においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により酸解離性溶解抑制基が解離し、結果、(A)成分全体がアルカリ可溶性へ変化する。
酸解離性溶解抑制基としては、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。また、これらのモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
本発明において、脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基、等が挙げられる。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
Figure 0005227818
[式中、R15およびR16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
上記R14のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
15〜R16のアルキル基としては、R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
前記式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rのアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005227818
[式中、R’、n、Yは上記と同じである。]
Yのアルキル基としては、上記Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基の具体例としては、たとえば、下記式(p3−1)〜(p3−12)で表される基等が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、R13は水素原子またはメチル基であり、gは前記と同じである。]
酸解離性溶解抑制基を含む構成単位として、より具体的には、後述する構成単位(a1)、(a7)等が挙げられる。
(A1)成分は、酸解離性溶解抑制基を含む構成単位以外の他の構成単位を含んでもよい。該他の構成単位としては、化学増幅型レジスト用のベース樹脂に用いられるものとして提案されている任意の構成単位が利用でき、かかる構成単位としては、たとえば後述する構成単位(a2)〜(a7)等が挙げられる。
・構成単位(a1):
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸発生剤から露光により発生した酸の作用により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものである。
ここで、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
α位の炭素原子に結合する置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基として、具体的には、前記アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
アクリル酸エステルから誘導される構成単位において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基としては、上記と同様のものが挙げられる。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 0005227818
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し;XおよびXはそれぞれ独立に酸解離性溶解抑制基を示し;Yは2価の連結基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rの炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」において、該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04(R04はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−等が挙げられる。また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
本発明において、Yの2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基が特に好ましい。
がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−A−O−B−で表される基、一般式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基等が挙げられる。ここで、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、dは0〜3の整数である。
が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]−B−において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
AおよびBにおける置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記でRにおける「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基において、dは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)および(a1−3−25)〜(a1−3−28)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−3)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)および式(a1−1−20)〜(a1−1−23)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、又は式(a1−3−27)〜(a1−3−28)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるものも好ましい。また、前記式(a1−3−13)〜(a1−3−24)、(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−03)で表されるものも好ましい。
Figure 0005227818
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を示す。]
Figure 0005227818
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し、R12は炭素数1〜5のアルキル基を示す。hは1〜6の整数を表す。]
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11のアルキル基はRにおけるアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12のアルキル基はRにおけるアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
Figure 0005227818
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し;R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数である。]
Figure 0005227818
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し;R14はアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数であり、n’は1〜6の整数である。]
前記一般式(a1−3−01)または(a1−3−02)において、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14のアルキル基は、Rにおけるアルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
aは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
Figure 0005227818
[式中、RおよびXはそれぞれ前記と同じであり、Y’およびY”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、n”は0〜3の整数である。]
式(a1−3−03)中、Y’、Y” における2価の連結基としては、前記Yと同様のものが挙げられる。
’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基またはエチレン基が最も好ましい。
”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
における酸解離性溶解抑制基は、前記と同様のものが挙げられる。
式(a1−3−03)中のXとしては、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、該脂肪族環式基が多環式基(脂肪族多環式基)であるものが特に好ましい。中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
n”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
・構成単位(a2):
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”としては、前記一般式(3−1)中のA’と同様のものが挙げられる。A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a0−1)中のRで説明した2価の連結基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、またはそれらの組み合わせが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Rにおける脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
29としては、特に、単結合、または−R29’−C(=O)−O−[式中、R29’は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]が好ましい。
29’における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1〜2が最も好ましい。
29’における直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。R29’における分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH)−、−C(CH−または−C(CHCH−が特に好ましい。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
Figure 0005227818
(A1)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、(A1)成分は、構成単位(a2)として、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましく、前記一般式(a2−1)〜(a2−3)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種以上がより好ましく、前記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが特に好ましい。
・構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。また、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・構成単位(a4):
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他のアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 0005227818
[式中、Rは前記と同じである。]
・構成単位(a5):
構成単位(a5)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。
ここで、「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン」とは、狭義のヒドロキシスチレン(=ビニルベンゼンのベンゼン環に少なくとも1つの水酸基が結合した化合物。以下、無置換ヒドロキシスチレンということがある。)のほか、該無置換ヒドロキシスチレンのα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたもの(α置換ヒドロキシスチレン)、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。すなわち、単に「ヒドロキシスチレン」と称し、特に限定のない場合、当該「ヒドロキシスチレン」は、無置換ヒドロキシスチレン、α置換ヒドロキシスチレンおよびそれらの誘導体のいずれであってもよい。なお、ヒドロキシスチレンのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことを意味する。
前記α置換ヒドロキシスチレンにおいて、α位の炭素原子に結合していてよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられ、特に、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。該アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
前記誘導体としては、無置換ヒドロキシスチレンまたはα置換ヒドロキシスチレンのベンゼン環に置換基が結合した化合物が挙げられる。
構成単位(a5)として、好適なものとしては、下記一般式(a5−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 0005227818
[式(a5−1)中、R’は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり;Rはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜4の整数であり、p+qは1〜5である。]
式(a5−1)中、R’は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
R’のアルキル基としては、上記ヒドロキシスチレンの説明で、α置換ヒドロキシスチレンのα位の炭素原子に結合していてよいアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R’としては、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、qは0〜4の整数であり、p+qは1〜5である。ただし、p+qは、1〜5である。
pは1が最も好ましい。
qは0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
式(a5−1)中、フェニル基における水酸基の結合位置は特に限定されない。pが1である場合は、o−位、m−位、p−位のいずれでもよく、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
また、フェニル基におけるRの結合位置は特に限定されない。qが1である場合は、o−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
qが2以上の整数である場合、複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
のアルキル基としては、Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
のハロゲン化アルキル基としては、上記Rのアルキル基における水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、該ハロゲン原子としては、Rのハロゲン原子として挙げたものと同様のものが挙げられる。Rのハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。
構成単位(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・構成単位(a6):
構成単位(a6)は、スチレンから誘導される構成単位である。
ここで、本明細書において、「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「スチレン」とは、狭義のスチレン(=ビニルベンゼン。以下、無置換スチレンということがある。)のほか、該無置換スチレンのα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたもの(α置換スチレン)、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。すなわち、単に「スチレン」と称し、特に限定のない場合、当該「スチレン」は、無置換スチレン、α置換スチレンおよびそれらの誘導体のいずれであってもよい。なお、スチレンのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことを意味する。
前記α置換スチレンにおいて、α位の炭素原子に結合していてよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられ、特に、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。該アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
前記誘導体としては、無置換スチレンまたはα置換スチレンのベンゼン環に置換基が結合したものが挙げられる。
構成単位(a6)としては、たとえば、下記一般式(a6−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 0005227818
[式(a6−1)中、R’は前記と同じであり;Rはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;rは0〜5の整数である。]
式(a6−1)中、R’およびRは、それぞれ上記式(a5−1)中のR’およびRと同様のものが挙げられる。
rは、0〜3の整数が好ましく、0または1がより好ましく、工業上、0が最も好ましい。
rが1である場合、Rの置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
rが2または3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a6)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・構成単位(a7):
構成単位(a7)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位であって、当該構成単位中に含まれる水酸基の水素原子の少なくとも1つが、酸解離性溶解抑制基または酸解離性溶解抑制基を含む有機基で置換された構成単位である。
構成単位(a7)として、好適なものとしては、前記一般式(a5−1)中の水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基または酸解離性溶解抑制基を含む有機基で置換されたものが挙げられる。
構成単位(a7)における酸解離性溶解抑制基としては、特に限定されず、KrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用の樹脂において多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができ、たとえば前記構成単位(a1)において挙げたものと同様のものが挙げられる。
好ましい酸解離性溶解抑制基として、具体的には、下記に酸解離性溶解抑制基(7−1)、下記酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)として例示する第3級アルキル基含有基等が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基を有する有機基としては、特に限定されず、たとえばKrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。具体的には、上記で挙げた酸解離性溶解抑制基を有する有機基が挙げられ、たとえば、酸解離性溶解抑制基(7−1)を有する有機基として下記に示す酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2)、下記酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)に例示する第3級アルキル基含有基(たとえば第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基など)等が挙げられる。
・酸解離性溶解抑制基(7−1):
酸解離性溶解抑制基(7−1)としては、下記一般式(7−1a)で表される基、下記一般式(7−1b)で表される基が挙げられる。
Figure 0005227818
[式(7−1a)中、R27は直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し;Xは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。式(7−1b)中、Xは前記式(7−1a)におけるXと同じであり;Rは水素原子若しくは炭素数1〜5のアルキル基を表し、又は、XおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよく;Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
前記一般式(7−1a)中、R27は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
該アルキレン基は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、炭素数1〜2であることがさらに好ましい。
前記式(7−1a)および(7−1b)中、Xは、それぞれ独立して、脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
ここで、本明細書および特許請求の範囲における「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを意味し、飽和または不飽和のいずれでもよく、通常は飽和であることが好ましい。
における脂肪族環式基は1価の脂肪族環式基である。脂肪族環式基は、たとえば、従来のArFレジストにおいて多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、炭素数5〜7の脂肪族単環式基、炭素数10〜16の脂肪族多環式基が挙げられる。
炭素数5〜7の脂肪族単環式基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が例示でき、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
炭素数10〜16の脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
の芳香族環式炭化水素基としては、炭素数10〜16の芳香族多環式基が挙げられる。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基等が挙げられ、2−ナフチル基が工業上特に好ましい。
のアルキル基としては、上記一般式(a5−1)のR’のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
前記式(7−1b)中、Rのアルキル基としては、上記一般式(a5−1)のR’のアルキル基と同様のものが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
は、アルキル基または水素原子を表す。Rのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。Rは、工業的には水素原子であることが好ましい。
特に、RおよびRのいずれか一方が水素原子であって、他方がメチル基であることが好ましい。
また、前記一般式(7−1b)においては、XおよびRが、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよい。この場合、前記一般式(7−1b)においては、Rと、Xと、Xが結合した酸素原子と、該酸素原子およびRが結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基(7−1)としては、レジストパターン形状等に優れることから、Rが水素原子であり、かつ、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
酸解離性溶解抑制基(7−1)の具体例としては、たとえばXがアルキル基である基、すなわち1−アルコキシアルキル基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−iso−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、iso−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基等が挙げられる。
また、Xが脂肪族環式基である基としては、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−(2−アダマンチル)オキシメチル基、下記式(7−1−1)で表される1−(1−アダマンチル)オキシエチル基等が挙げられる。
が芳香族環式炭化水素基である基としては、下記式(7−1−2)で表される1−(2−ナフチル)オキシエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、1−エトキシエチル基が特に好ましい。
Figure 0005227818
・酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2):
酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2)としては、下記一般式(7−2)で表される基が挙げられる。かかる構造を有する有機基(7−2)においては、露光により(B1)成分から酸が発生すると、該酸により、Yに結合した酸素原子と、RおよびRが結合した炭素原子との間の結合が切れて、−C(R)(R)−OXが解離する。
Figure 0005227818
[式(7−2)中、Xは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基または炭素数1〜5のアルキル基を表し;Rは水素原子若しくはアルキル基を表し、又は、XおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよく;Rはアルキル基または水素原子を表し;Yは2価の脂肪族環式基を表す。]
前記一般式(7−2)中、X、R、Rとしては、上記一般式(7−1b)中のX、R、Rとそれぞれ同じである。
Yにおける2価の脂肪族環式基としては、上記Xにおける脂肪族環式基からさらに水素原子1つを除いた基が挙げられる。
・酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)は、上記酸解離性溶解抑制基(7−1)および酸解離性溶解抑制基を有する有機基(7−2)(以下、これらをまとめて「酸解離性溶解抑制基等(7−1)〜(7−2)」ということがある。)に分類されない酸解離性溶解抑制基含有基である。
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)としては、従来公知の酸解離性溶解抑制基含有基のうち、上記酸解離性溶解抑制基等(7−1)〜(7−2)に分類されない任意の酸解離性溶解抑制基含有基が使用できる。
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)として具体的には、たとえば、第3級アルキル基含有基が好適なものとして挙げられる。
ここで、本明細書において、「第3級アルキル基」とは、第3級炭素原子を有するアルキル基を示す。「アルキル基」は、上述のように、1価の飽和炭化水素基を示し、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)のアルキル基および環状構造を有するアルキル基を包含する。
「第3級アルキル基含有基」は、その構造中に第3級アルキル基を含む基を示す。
第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基のみから構成されていてもよく、第3級アルキル基と、第3級アルキル基以外の他の原子又は基とから構成されていてもよい。
第3級アルキル基とともに第3級アルキル基含有基を構成する前記「第3級アルキル基以外の他の原子又は基」としては、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレン基、酸素原子等が挙げられる。
第3級アルキル基含有基としては、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基、環状構造を有する第3級アルキル基含有基等が挙げられる。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基として分岐鎖状の第3級アルキル基を含有し、かつ、その構造内に環状構造を有さない基である。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば、下記一般式(7−3a)で表される基が挙げられる。
Figure 0005227818
式(7−3a)中、R21〜R23は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
炭素数が1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、一般式(7−3a)で表される基の全炭素数が4〜7となるように、上記R21〜R23のアルキル基を組み合わせることが好ましく、全炭素数が4〜6となるように該アルキル基を組み合わせることがより好ましく、全炭素数が4〜5となるように該アルキル基を組み合わせることが最も好ましい。一般式(7−3a)で表される基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等が好ましく挙げられ、tert−ブチル基がより好ましい。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、上述した分岐鎖状の第3級アルキル基;上述した分岐鎖状の第3級アルキル基が直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基に結合してなる第3級アルキル基含有鎖状アルキル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
第3級アルキル基含有鎖状アルキル基におけるアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、たとえば下記一般式(7−3b)で表される基が挙げられる。式(7−3b)中のR21〜R23は、前記式(7−3a)中のR21〜R23とそれぞれ同様である。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)、tert−ペンチルオキシカルボニル基が好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、たとえば下記一般式(7−3c)で表される基が挙げられる。式(7−3c)中のR21〜R23は、前記式(7−3a)中のR21〜R23とそれぞれ同様である。fは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ペンチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基が好ましい。
Figure 0005227818
これらの中で、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、第3級アルキルオキシカルボニル基または第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基が好ましく、第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が特に好ましい。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基は、その構造内に、第3級炭素原子と環状構造とを有する基である。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基において、環状構造は、環を構成する炭素数が4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜10であることが最も好ましい。環状構造としては、例えばモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。好ましくは、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基としては、例えば、第3級アルキル基として下記(1)または(2)の基を有する基等が挙げられる。
(1)環状のアルキル基(シクロアルキル基)の環を構成する炭素原子に、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合し、該炭素原子が第3級炭素原子となっている基。
(2)シクロアルキル基の環を構成する炭素原子に、第3級炭素原子を有するアルキレン基(分岐鎖状のアルキレン基)が結合している基。
前記(1)の基における直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが最も好ましい。
(1)の基の具体例としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロアルキル基、1−エチル−1−シクロアルキル基等が挙げられ、より具体的には、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。
前記(2)の基において、分岐鎖状のアルキレン基が結合しているシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
(2)の基の具体例としては、たとえば、下記一般式(IV)で表される基が挙げられる。
Figure 0005227818
式(IV)中、R24は、置換基を有していてもよく有していなくてもよいシクロアルキル基である。該シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
25、R26は、それぞれ独立して、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基としては、前記式(7−3a)中のR21〜R23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
酸解離性溶解抑制基含有基(7−3)において、第3級アルキル基含有基としては、レジストパターン形状又はリソグラフィー特性(焦点深度幅(DOF)等)に優れる点から、前記一般式(7−3b)で表される鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が最も好ましい。
(A1)成分は、上記構成単位(a1)〜(a7)の何れにも該当しない構成単位(a8)を含んでいてもよい。
構成単位(a8)としては、上述の構成単位(a1)〜(a7)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
本発明に用いられる(A1)成分としては、以下の樹脂(A11)、樹脂(A12)等が好ましい。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
樹脂(A11):ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a5)および酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂。
樹脂(A12):酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有するアクリル系樹脂。
樹脂(A11)は、電子線、EUV用に好適である。
また、樹脂(A12)は、ArFエキシマレーザー用に好適である。
「樹脂(A11)」
樹脂(A11)において、構成単位(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A11)中の構成単位(a5)の割合は、樹脂(A11)を構成する全構成単位の合計に対し、50〜90モル%であることが好ましく、55〜85モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることがさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、適度なアルカリ溶解性が得られ、構成単位(a1)を含有させることによる効果が充分に得られる。該範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
樹脂(A11)において、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A11)中の構成単位(a1)の割合は、樹脂(A11)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、樹脂(A11)は、任意に、構成単位(a5)および(a1)以外の他の構成単位を有していてもよい。
該他の構成単位としては、たとえば、構成単位(a6)が挙げられる。
樹脂(A11)が構成単位(a6)を有する場合、樹脂(A11)中の構成単位(a6)の割合は、樹脂(A11)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、構成単位(a6)を有することによる効果が高く、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、樹脂(A11)は、任意に、構成単位(a2)〜(a4)、(a7)〜(a8)等を有していてもよい。
本発明において、樹脂(A11)の好適なものとしては、たとえば、構成単位(a5)および構成単位(a1)を有する共重合体が好ましく、該共重合体としては、構成単位(a5)および構成単位(a1)からなる共重合体、構成単位(a5)、構成単位(a1)および構成単位(a6)からなる共重合体等が挙げられる。
樹脂(A11)としては、構成単位(a1)が、酸解離性溶解抑制基として、アセタール型酸解離性溶解抑制基を有するものが好ましく、中でも、該アセタール型酸解離性溶解抑制基の末端に脂肪族環式基を有するものが好ましい。
「樹脂(A12)」
「アクリル系樹脂」は、構成単位(a1)等のアクリル酸エステルから誘導から誘導される構成単位を含み、かつ構成単位(a5)〜(a7)等のスチレン系の構成単位を含まない樹脂である。
樹脂(A12)において、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A12)中、構成単位(a1)の割合は、樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
樹脂(A12)は、構成単位(a1)に加えて、さらに、構成単位(a2)を有することが好ましい。
樹脂(A12)において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A12)中の構成単位(a2)の割合は、樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
また、樹脂(A12)は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および構成単位(a2)に加えて、構成単位(a3)を有することが好ましい。
樹脂(A12)において、構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A12)中、構成単位(a3)の割合は、当該樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
樹脂(A12)は、任意に、構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位を有していてもよい。該他の構成単位としては、たとえば、構成単位(a4)が挙げられる。
構成単位(a4)を樹脂(A12)に含有させる場合、その割合は、樹脂(A12)を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
本発明において、樹脂(A12)は、構成単位(a1)、(a2)および(a3)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4'−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3'−フルオロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、及び2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;1,1−ビス[3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル]イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、及びビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、及び2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、及び1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜12核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、(A)成分としては、リソグラフィー特性が向上することから、(A1)成分を含有することが好ましい。
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005227818
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
該アリール基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシアルキルオキシ基、−O−R50−CO−O−R51[式中、R50はアルキレン基であり、R51は酸解離性基である。]等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、−O−C(R47)(R48)−O−R49[式中、R47およびR48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基であり、R48およびR49は相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。ただし、R47およびR48のうち少なくとも1つは水素原子である。]が挙げられる。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
そして、R47およびR48は、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることが好ましく、R47およびR48がいずれも水素原子であることが特に好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。
具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
48およびR49は、相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。この場合、R48とR49と、R49が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR48が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよい−O−R50−CO−O−R51中、R50におけるアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
51における酸解離性基としては、酸(露光時に(B)成分から発生する酸)の作用により解離しうる有機基であれば特に限定されず、たとえば前記(A)成分の説明で挙げた酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。中でも、第3級アルキルエステル型のものが好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
該アルキル基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、前記アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
式(b−1)で表される化合物のカチオン部のうち、R”〜R”が全て、置換基を有していてもよいフェニル基である場合、つまり当該カチオン部がトリフェニルメタン骨格を有する場合の好ましい具体例としては、たとえば、下記式(I−1−1)〜(I−1−8)で表されるカチオン部が挙げられる。
また、これらのカチオン部におけるフェニル基の一部または全部が、置換基を有していてもよいナフチル基で置換されたものも好ましいものとして挙げられる。3つのフェニル基のうち、ナフチル基で置換されるのは、1または2が好ましい。
Figure 0005227818
また、式(b−1)で表される化合物のカチオン部のうち、R”〜R”のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成している場合の好ましい具体例としては、たとえば、下記式(I−1−10)〜(I−1−11)で表されるカチオン部が挙げられる。
下記式(I−1−10)中、Rは、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基である。
下記式(I−1−11)中、R10は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基または水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
Figure 0005227818
[式中、Rは、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基であり、R10は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基または水酸基であり、uは1〜3の整数である。]
”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
X−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
X−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明において、Xは、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
本発明において、R”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート等のアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 0005227818
[式中、pは1〜3の整数であり、v0は0〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、t3は1〜3の整数であり、Rは置換基である。]
Figure 0005227818
[式中、p、R、Q”はそれぞれ前記と同じであり、n1〜n5はそれぞれ独立に0または1であり、v1〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数である。]
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
r1〜r2、w1〜w5は、それぞれ、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
v0〜v5は0〜2が好ましく、0または1が最も好ましい。
t3は、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 0005227818
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 0005227818
[式中、R41〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005227818
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005227818
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005227818
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005227818
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
レジスト組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<任意成分>
レジスト組成物には、任意の成分として、含窒素有機化合物成分(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、炭素数5〜10のトリ−n−アルキルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
また、レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
以上、ラジカル重合開始剤が配合されるレジスト組成物として、化学増幅型のレジスト組成物について詳しく説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、該レジスト組成物として、非化学増幅型のレジスト組成物を用いてもよい。非化学増幅型のレジスト組成物としては、従来、感放射線性組成物として提案されているものが使用でき、たとえばノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂等のアルカリ可溶性樹脂と、ナフトキノンジアジド基含有化合物などの感光性成分とを含有するレジスト組成物が挙げられる。該レジスト組成物には、必要に応じて増感剤を含有させることもできる。
≪レジスト被覆膜形成用材料≫
本発明の被覆パターン形成方法に用いられるレジスト被覆膜形成用材料は、重合性基を有するベースポリマー(以下、(X)成分ということがある。)と、重合性モノマー(以下、(Y)成分ということがある。)とを含有する。
かかるレジスト被覆膜形成用材料においては、重合反応し得る化合物((X)成分および重合性モノマー)を含有することにより、ラジカル重合開始剤の作用により硬化可能となっている。また、(X)成分と(Y)成分とを組み合わせていることにより、硬化性が向上している。
そのため、上記本発明の被覆パターン形成方法において、該レジスト被覆膜形成用材料を塗布してレジストパターン上に塗膜を形成し、露光および/またはベークを行った際、レジストパターンに含まれるラジカル重合開始剤の作用により、該レジストパターンと接する部分のレジスト被覆膜形成用材料が硬化して、該レジストパターンの表面を被覆するレジスト被覆膜を形成することができる。
本発明において、レジスト被覆膜形成用材料は、ラジカル重合開始剤を含まないことが好ましい。これにより、重合反応がレジストパターンと接する部分から進行していくため、レジストパターン表面に形成されるレジスト被覆膜の膜厚の均一性が向上する。ただし本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、レジスト被覆膜形成用材料がラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
[(X)成分]
重合性基としては、ラジカル重合反応し得るものであればよく、従来、ラジカル重合により重合させるモノマーに用いられている重合性基と同様であってよい。
かかる重合性基としては、たとえば、エチレン性不飽和二重結合(>C=C<)を含有する基(エチレン性不飽和二重結合含有基)等が挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合含有基としては、末端にエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましく、特に、下記一般式(I)で表される基が好ましい。
Figure 0005227818
[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはハロゲン化アルキル基であり、RおよびRが相互に結合して環を形成していてもよく、Wは単結合または2価の連結基である。]
、RおよびRにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、具体的には、前記アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
式(I)中、RおよびRは、水素原子であることが好ましい。
は、水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
、RおよびRにおけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基、カルボキシ基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
式(I)中、RおよびRは相互に結合して環を形成していてもよい。この場合、該環の環骨格を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
Wの2価の連結基としては、前記レジスト組成物の(A)成分の構成単位(a1)の説明にて挙げた一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
本発明において、Wの2価の連結基としては、特に、カルボニルオキシ基を含むものが好ましく、該カルボニルオキシ基におけるカルボニル基の炭素原子が、前記式(I)中のRが結合した炭素原子に直接結合していることが好ましい。
カルボニルオキシ基を含む2価の連結基としては、−C(=O)−O−(R−O)−[式中、Rはアルキレン基であり、nは0〜10の整数である。]、−C(=O)−O−Rd1−O−C(=O)−Rd2−O−[式中、Rd1およびRd2はそれぞれ独立にアルキレン基である。]等が挙げられる。これらの中でも、−C(=O)−O−(R−O)−が好ましい。
、Rd1およびRd2のアルキレン基としては、それぞれ、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、エチレン基またはプロピレン基が特に好ましい。
nはアルキレンオキサイド基(R−O)の付加モル数であり、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましく、0が最も好ましい。すなわち、Wは−C(=O)−O−であることが最も好ましい。
(X)成分は、上記のような重合性基を、側鎖部分に有していてもよく、主鎖の末端に有していてもよく、両方に有していてもよい。硬化性の点から、側鎖部分に重合性基を有することが好ましい。
本発明において、当該レジスト被覆膜形成用材料を用いてレジストパターン表面に形成された被覆膜は、後述するパターン形成方法においてエッチングマスクとして機能する。そのため、該レジスト被覆膜形成用材料は、後述するパターン形成方法においてエッチングにより除去するもの(たとえばレジストパターン等の有機材料)に対して充分なエッチング選択比(同じ条件でエッチングを行った際のエッチング速度の差)を有する被覆膜を形成し得るものであることが好ましい。
かかる観点から、(X)成分は、シリコン(ケイ素原子)を含むポリマー(ケイ素含有ポリマー)であることが好ましい。
ケイ素含有ポリマーとしては、側鎖にケイ素原子を含む基(たとえばアルキルシリル基、−Si−O−結合を含む基等)を有するものであってもよく、主鎖にケイ素原子を含むものであってもよい。前者の例としては、たとえば、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等の側鎖にケイ素原子を含む基が導入されたものが挙げられる。後者の例としては、シリコーン樹脂、ポリシラン、ポリカルボシラン等が挙げられる。
本発明においては、これらの中でも、エッチング耐性の点から、シリコーン樹脂が好ましい。
また、該シリコーン樹脂は、シリコン含有率が5質量%以上であることが好ましく、上限値は特に限定する必要ないが50質量%以下であると好ましい。シリコン含有率は、10〜48質量%であることがより好ましく、12〜45質量%であることがさらに好ましい。下限値以上であることにより、酸素プラズマエッチング等のエッチングに対する高い耐性が得られ、レジストパターン等に対するエッチング選択比が充分なものとなる。
該シリコン含有率は、(X)成分を構成する構成単位における原子の総質量に対する、当該(X)成分を構成する構成単位に含まれるケイ素原子の合計の質量の割合(%)である。シリコン含有率は、各構成単位や、組成比を変更する等して調節できる。
シリコーン樹脂は、重合性基を有するものであればその種類は特に限定されず、たとえば公知のシリコーン樹脂の側鎖または主鎖の末端に重合性基を導入したものを使用できる。
重合性基が導入されるシリコーン樹脂としては、たとえば、下記一般式(x1−1)で表される構成単位(たとえば後述する構成単位(x11)、(x12)等)を有する樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、被覆パターンの寸法制御性が良好な点から、式(x1−1)で表される構成単位を有する樹脂が好ましい。
Figure 0005227818
[式中、Rは有機基である。]
式中、Rにおける有機基としては、特に限定されず、従来、シリコーン樹脂において用いられている任意の有機基であってよい。該有機基として、好適なものとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。該アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−プロピル基が好ましい。
該アルキル基は、置換基を有していてもよい。ここで、「アルキル基が置換基を有する」とは、当該アルキル基の環に結合した水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを示す。
アルキル基が有していてもよい置換基として、具体的には、たとえば上述した重合性基や、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、チオール基(−SH)、アルキルチオ基(−S−R[Rはアルキル基である。])、酸素原子(=O)、エステル基(−C(=O)−O−R[Rはアルキル基である。])、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、−SO[Rはアルキル基である。]、−(O−R−OR[Rは水素原子またはアルキル基であり、rは1〜10の整数であり、Rはアルキレン基である。]、エポキシ基含有基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、炭素数1〜5のアルキルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基が最も好ましい。
前記エステル基としては、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルエステル基が好ましく、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、iso−プロピルエステル基、n−ブチルエステル基、tert−ブチルエステル基が好ましく、メチルエステル基が最も好ましい。
前記アミド基としては、窒素に結合している2つの置換基が独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基としては上と同様である。該アルキル基は互いに結合して環を形成していてもよく、その場合は5員環または6員環が好ましい。
−SOにおけるRのアルキル基としては、前記Rにおけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様ものが挙げられる。
−(O−R−ORにおけるRのアルキル基としては、前記Rにおけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様ものが挙げられる。
のアルキレン基としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、エチレン基またはプロピレン基が特に好ましい。
rはアルキレンオキサイド基(O−R)の付加モル数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましい。
エポキシ基含有基としては、たとえば、下記式(e1)〜(e4)等が挙げられる。
Figure 0005227818
におけるアリール基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
アリール基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等が挙げられる。
該アリール基は、置換基を有していてもよい。ここで、「アリール基が置換基を有する」とは、当該アリール基に結合した水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを示す。
該アリール基が有していてもよい置換基としては、たとえば、上述した重合性基や、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基、酸素原子(=O)、エステル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、−SO[Rはアルキル基である。]、−(O−R−OR[Rは水素原子またはアルキル基であり、rは1〜10の整数であり、Rはアルキレン基である。]、エポキシ基含有基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキルチオ基、エステル基、アミド基、−SO、−(O−R−OR、エポキシ基含有基としては、それぞれ、前記Rにおけるアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
におけるアリールアルキル基としては、たとえば、前述したRにおけるアルキル基の水素原子の一部が前述したRにおけるアリール基で置換されたものが挙げられる。アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
アリールアルキル基として、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等が挙げられる。
該アリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。ここで、「アリールアルキル基がアルキル置換基を有する」とは、当該アリールアルキル基に結合した水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを示す。
アリール基が有していてもよい置換基としては、たとえば、上記アルキル基、アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明においてベースポリマーとして好適に用いられるシリコーン樹脂としては、下記一般式(x1−11)で表される構成単位(以下、構成単位(x11)という。)を有する樹脂(X1)が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、Rは、置換基として重合性基を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基である。]
式(x1−11)中、Rにおけるアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基は、それぞれ、前記一般式(x1−1)中のRにおいて挙げたものと同様のものが挙げられる。
におけるアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基は、置換基として、少なくとも、重合性基を有する。重合性基としては、前記と同様のものが挙げられ、特に、前記一般式(I)中のRおよびRが水素原子であり、Wが−C(=O)−O−(R−O)−であるものが好ましい。すなわち、重合性基は、CH=CR−C(=O)−(R−O)−であることが好ましい。
におけるアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基は、置換基として、重合性基以外の他の置換基を有していてもよい。該他の置換基としては、特に限定されず、たとえば上記Rの説明で挙げた置換基のうち、重合性基以外のものが例示できる。
としては、被覆パターンの寸法制御性と硬化性に優れる点から、置換基として重合性基を有するアルキル基が好ましく、置換基として重合性基を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基として重合性基を有する直鎖状のアルキル基がさらに好ましく、置換基として重合性基を有するn−プロピル基が最も好ましい。
構成単位(x11)としては、特に、下記一般式(x11−11)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005227818
[式中、R、Rおよびnはそれぞれ前記と同じであり、Rはアルキレン基である。]
式中、Rのアルキレン基としては、前記Rにおけるアルキル基として挙げたアルキル基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましい。該アルキレン基の炭素数は1〜5が好ましく、3が最も好ましい。
樹脂(X11)において、構成単位(x11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(X11)中、構成単位(x11)の割合は、樹脂(X11)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜70モル%が好ましく、5〜60モル%がより好ましく、10
〜55モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、被覆パターンの硬化性が良好となり、上限値以下とすることにより、エッチング耐性や被覆パターンの寸法制御性が良好となる。
樹脂(X1)は、上記構成単位(x11)に加えて、さらに、下記一般式(x1−12)で表される構成単位(以下、構成単位(x12)という。)を有することが好ましい。構成単位(x12)は必須ではないが、樹脂(X11)が該構成単位(x12)を有することにより、エッチング耐性や被覆パターンの寸法制御性が良好となる。
Figure 0005227818
[式中、Rは、重合性基以外の他の置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基である。]
式(x1−12)中、Rにおけるアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基は、それぞれ、前記一般式(x1−1)中のRにおいて挙げたものと同様のものが挙げられる。
におけるアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
置換基を有する場合、該置換基は、重合性基以外の他の置換基であればよく、特に限定されない。たとえば上記Rの説明で挙げた置換基のうち、重合性基以外のものが例示できる。
としては、形成される被覆膜のエッチング耐性、エッチング後の形状等に優れる点から、置換基を有していてもよいアリール基またはアリールアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよいアリール基がより好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基が最も好ましい。
構成単位(x12)としては、特に、下記一般式(x12−11)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005227818
[式中、Rは置換基であり、mは0〜5の整数である。]
式中、Rとしては、前記Rにおけるアリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられ、特に、アルキル基およびアルコキシ基が好ましい。
mは0〜1の整数が好ましく、0が最も好ましい。
樹脂(X11)において、構成単位(x12)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(X11)中、構成単位(x12)の割合は、樹脂(X11)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜90モル%が好ましく、10〜70モル%がより好ましく、20
〜60モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、被覆パターンの寸法制御性が良好となり、上限値以下とすることにより、被覆パターンの硬化性が良好となる。
樹脂(X1)は、任意に、上記構成単位(x11)に加えて、または構成単位(x11)および(x12)に加えて、下記式(x13−1)で表される構成単位(以下、構成単位(x13)という。)を有していてもよい。樹脂(X11)が構成単位(x13)を有することにより、エッチング耐性が向上し、エッチング後のパターン形状も良好となる。
Figure 0005227818
樹脂(X11)に構成単位(x13)を含有させる場合、樹脂(X11)中、構成単位(x13)の割合は、樹脂(X11)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜55モル%がより好ましく、15〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、エッチング耐性が良好となり、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスが良好となる。
樹脂(X1)は、任意に、上記構成単位(x11)〜(x13)以外の他の構成単位を有していてもよい。該他の構成単位としては、従来、シロキサン樹脂における構成単位として提案されているもののなかから適宜選択することができる。
本発明において、樹脂(X11)は、構成単位(x11)および(x12)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(x11)および(x12)からなる共重合体、上記構成単位(x11)、(x12)および(x13)からなる共重合体等が例示できる。
樹脂(X11)としては、特に、下記一般式(X11−1)に示される2種の構成単位を有する共重合体が好ましい。
Figure 0005227818
[式中、R、R、n、R、R、mはそれぞれ前記と同じである。]
Figure 0005227818
[式中、R、R、n、R、R、mはそれぞれ前記と同じである。]
Figure 0005227818
[式中、R、R、n、R、R、mはそれぞれ前記と同じであり、R’は炭素数1〜5のアルキル基ある。]
(X)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準は、特に限定されるものではないが、500〜500000であることが好ましく、1000〜250000がより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な塗布性が得られる。
(X)成分の分散度(Mw/Mn(数平均分子量))は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
(X)成分は、公知の方法を利用して製造できる。たとえば、上記樹脂(X11)のように、側鎖部分に重合性基を有するポリマーは、たとえば、モノマーとして、側鎖部分となる部位に重合性基を有するものを用いて重合を行う方法;重合性基を有する化合物と、該化合物と反応し得る部位(基または原子)を有する構成単位を含有するポリマーとを反応させて当該ポリマーに重合性基を有する基を導入する方法;等により製造できる。
また、主鎖末端に重合性基を有するポリマーは、重合開始剤として、重合性基を有するものを用いる方法;重合性基を有する化合物と、該化合物と反応し得る部位(基または原子)を主鎖の末端に有するポリマーとを反応させて当該ポリマーに重合性基を有する基を導入する方法;等により製造できる。
たとえば前記一般式(x1−1)中のRが重合性基を有する有機基である構成単位(たとえば前記構成単位(x11))を有する樹脂の場合、たとえば前記構成単位(x13)を有する樹脂と、重合性基を有する化合物とを反応させる方法により製造できる。かかる方法によれば、構成単位(x13)の水素原子の部分に重合性基を含む側鎖が導入される。具体的には、たとえば下記一般式(1)で表される化合物を白金触媒下で付加反応させる方法、下記一般式(2)で表される化合物を触媒下で脱水素反応させる方法等が挙げられる。
Figure 0005227818
[式中、Rは重合性基であり、R101は水素原子またはメチル基であり、R102およびRはそれぞれ独立に2価の有機基である。]
[(Y)成分]
(Y)成分としては、ラジカル重合可能なものであればよく、従来、ラジカル重合により重合させるモノマーとして用いられている化合物の中から適宜選択すればよい。
かかる化合物としては、重合性基を有する化合物が挙げられる。
該重合性基を有する化合物としては、重合性基を1つ有する化合物(単官能モノマー)と、重合性基を少なくとも2つ有する化合物(多官能モノマー)とに大別できる。単官能モノマーおよび多官能モノマーは、いずれか一方のみを用いてもよく、併用してもよい。本発明においては、(Y)成分が、多官能モノマーを含むことが好ましい。
また、本発明においては、エッチング耐性向上の点から(Y)成分がSi原子を含んでいるものを用いてもよい。Si原子含有モノマーとしては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、たとえば、シリコンアクリレートやシリコンジアクリレート等が挙げられる。
該重合性基を有する化合物が有する重合性基としては、前記(X)成分が有する重合性基として挙げたものと同様のものが挙げられ、特に、前記一般式(I)で表される基が好ましい。
該重合性基としては、特に、式(I)中のRおよびRが水素原子であり、Wが−C(=O)−O−(R−O)−である基(CH=C(R)−C(=O)−O−(R−O)−)がより好ましく、該式中のRが水素原子またはメチル基であるものが最も好ましい。かかる重合性基を有する化合物としては、たとえば、アルキレンオキサイドで変性されていてもよい1価または多価アルコールの(メタ)アクリレートが挙げられる。該多価アルコールとしては、水酸基を2〜10個有するものが好ましく、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
以下に、前記一般式(I)で表される基を有する単官能モノマーおよび多官能モノマーの具体例を示す。なお、「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
前記一般式(I)で表される基を有する単官能モノマーとして、具体的には、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド(好ましくはエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド)で変性された一価アルコールの(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。
前記一般式(I)で表される基を有する多官能モノマーとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、アルキレンオキサイド(好ましくはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)で変性された多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート(例えばエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等)等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。
これらの重合性モノマーは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト被覆膜形成用材料中、(Y)成分の含有量は、前記(X)成分100質量部に対して、10〜150質量部が好ましく、30〜100質量部がより好ましく、50〜80質量部がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化性が向上し、上限値以下であると、被覆パターンの寸法制御性が向上する。
[有機溶剤]
レジスト被覆膜形成用材料は、上記被覆パターン形成方法において、レジストパターンが形成された支持体上に塗布されることから、塗布に適した流動性を有する(例えば液状)必要がある。かかる観点から、レジスト被覆膜形成用材料は、前記(X)成分および(Y)成分に加えて、有機溶剤(以下、(S’)成分という。)を含有することが好ましい。
(S’)成分としては、レジスト被覆膜形成用材料が含有する各成分を溶解可能なものであればよく、たとえば上記ポジ型レジスト組成物の(S)成分についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
当該レジスト被覆膜形成用材料がレジストパターン上に塗布されることを考慮すると、(S’)成分は、前記レジストパターンを溶解しない有機溶剤(以下、(S1’)成分という。)を含むことが好ましい。これにより、レジストパターンが形成された支持体上に当該レジスト被覆膜形成用材料を塗布した際に、レジストパターン形状が良好に保たれ、被覆パターンを安定に形成することができる。
ここで、使用する有機溶剤が「レジストパターンを溶解しない」ものであるかどうかは、下記の方法により判定できる。
支持体上にレジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmのレジスト膜を形成し、これを当該有機溶剤に浸漬する。このとき、浸漬開始から60分後においても、当該レジスト膜の消失または膜厚の顕著な変動が生じない(好ましくは、該レジスト膜の膜厚が0.16μm以下とならない)ものを「レジストパターンを溶解しない」ものと判定する。
(S1’)成分として、具体的には、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等が挙げられる。
ここで、「アルコール系溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「フッ素系溶剤」とは、フッ素原子を含む化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
アルコール系溶剤としては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価アルコール、又は3価アルコール及びその誘導体は含まれない。
アルコール系溶剤の沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
アルコール系溶剤の具体例としては、n−ペンチルアルコール(沸点138.0℃)、s−ペンチルアルコール(沸点119.3℃)、t−ペンチルアルコール(101.8℃)、イソペンチルアルコール(沸点130.8℃)、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ)(沸点107.9℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンチルアルコール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、1−プロパノール(沸点97.2℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−ヘプタノール(沸点160.4℃)、3−ヘプタノール(沸点156.2℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。特に(S1’)成分を含有することによる効果が良好であることから、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノール等が好適である。その中でもイソブタノール、n−ブタノールが好ましく、イソブタノールが最も好ましい。
フッ素系溶剤としては、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、下記一般式(s1’−1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
40−O−R41 …(s1’−1)
[式中、R40、R41はそれぞれ独立して炭化水素基である。または、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
前記式中、R40、R41の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。なかでも、R40、R41のいずれもアルキル基であることが好ましく、R40とR41とが同じアルキル基であることがより好ましい。
40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、ネガ型レジスト組成物の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、ネガ型レジスト組成物の塗布時のスピンコート中、(S’)成分が蒸発しにくくなって塗布ムラが抑制され、塗布性が向上する。一方、上限値以下であることにより、プリベークによって(S’)成分がレジスト膜中から充分に除かれ、第二のレジスト膜の形成性が向上する。また、該温度範囲であると、レジストパターンの膜減り低減効果、保存時の組成の安定性がより向上する。また、PAB工程やPEB工程の加熱温度の観点からも好ましい。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、レジストパターンの膜減り低減効果が良好なことから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの(S1’)成分は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(S1’)成分としては、塗布性や、(X)成分等の材料の溶解性の点から、アルコール系溶剤が好ましく用いられる。
(S’)成分として上記(S1’)成分を含む場合、該(S’)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、(S1’)成分以外の有機溶剤(以下、(S2’)成分という。)を含んでもよい。(S2)成分としては、使用する各成分を溶解することが出来るものであればよく、たとえば前記レジスト組成物における(S)成分として挙げたものと同様のものが挙げられる。
ただし、(S1’)成分を含むことによる効果を充分に得るためには、(S’)成分中、(S1’)成分の割合は、(S’)成分の総質量に対し、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、100質量%が最も好ましい。すなわち、(S’)成分は、(S1’)成分のみからなることが最も好ましい。
レジスト被覆膜形成用材料における(S’)成分の使用量は特に限定されず、当該レジスト被覆膜形成用材料が、支持体上に塗布可能な液体となるように適宜設定すればよい。
[その他の成分]
レジスト被覆膜形成用材料には、必要に応じて、ラジカル重合禁止剤、連鎖移動剤、消泡剤、界面活性剤、増感剤、安定剤等の添加剤を含有させることができる。
これらの中でも、ラジカル重合禁止剤は、その配合量によって、形成されるレジスト被覆膜の膜厚の寸法制御が可能であることから、好ましく用いられる。
ラジカル重合禁止剤(ラジカル捕捉剤)としては、従来公知のものが利用でき、たとえばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノンモノエチルエーテル、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
レジスト被覆膜形成用材料にラジカル重合禁止剤を配合する場合、その含有量は、(X)成分100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。
連鎖移動剤としては、従来公知のものが利用できる。連鎖移動剤としては、特に、チオール系連鎖移動剤が、エン・チオール反応を引き起こすため酸素阻害の影響がなく、さらに、このチオール系連鎖移動剤自体が架橋するため良好な硬化特性が得られると推定されることから好ましい。
チオール系連鎖移動剤としては、例えば、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸メチルエステル、β−メルカプトプロピオン酸エチルエステル、β−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、β−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル、β−メルカプトプロピオン酸ステアリルエステル、β−メルカプトプロピオン酸イソノニルエステル、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート等のメルカプト有機酸(プロピオン酸)誘導体;チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオール・ビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等のチオグリコール酸誘導体;メルカプト酢酸、チオサリチル酸、ジチオジグリコール酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、2,2’−ジチオジベンゼン酸、DL−2−メルカプトメチル−3−グアニジノエチルチオプロパン酸、2−メルカプト−4−メチル−5−チアゾール酢酸、p−メルカプトフェノール、2−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)酢酸、2−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、3−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、2−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)コハク酸等が挙げられる。
レジスト被覆膜形成用材料に連鎖移動剤を配合する場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
消泡剤としては、従来公知のものが利用でき、たとえばシリコーン系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等の従来公知のものが利用できる。
レジスト被覆膜形成用材料は、たとえば上記各成分を撹拌機で混合し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過することにより調製できる。
≪パターン形成方法≫
本発明のパターン形成方法は、上述した本発明の被覆パターン形成方法により被覆パターンが形成された支持体に対してエッチング処理を行う工程を含む。
このパターン形成方法では、上述の被覆パターンを利用して、スペーサーテクニックにより、支持体上にパターンを形成することができる。たとえば、支持体上にライン状の被覆パターンを形成した後、該被覆パターンの上面の被覆膜を除去してレジストパターンを露出させ、該レジストパターンをエッチングにより除去すると、支持体上に、レジストパターンの両側面の被覆が残ることになる。つまり、支持体上には、当初のレジストパターンの2倍の数の、より高密度なパターンが形成されることとなる。
以下、本発明のパターン形成方法について、図面を用いて好ましい実施形態を説明する。
図3は、本発明のパターン形成方法の第一の実施形態を示す概略工程図である。
本実施形態は、支持体10上に、前記本発明の被覆パターン形成方法により、表面がレジスト被覆膜14で被覆されたレジストパターン13からなる被覆パターンを形成する工程(被覆パターン形成工程)と、被覆パターンの上部を除去してレジストパターン13を露出させる工程(レジストパターン露出工程)と、支持体10の上方からエッチング処理を行う工程(エッチング工程)とを有する。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(被覆パターン形成工程)
被覆パターン形成工程では、まず、支持体10として、基板11上に有機膜12が形成されたものを用意し、該支持体10上に、上記本発明の被覆パターン形成方法を利用して、被覆パターンを形成する。
すなわち、まず、本発明の被覆パターン形成方法の工程(i)を行うことにより、図3(a)に示すように、有機膜12の表面12a上に、幅w、高さhのライン状のレジストパターン13が所定の間隔sを空けて配置されたラインアンドスペースパターンを形成する。
次いで、本発明の被覆パターン形成方法の工程(ii)〜工程(iv)を行うことにより、図3(b)に示すように、レジストパターン13表面を被覆するレジスト被覆膜14を形成して被覆パターンを得る。
なお、工程(iii)において、ベークのみを行って被覆パターン形成した場合、レジスト被覆膜の位置選択性が得られない。つまり、ベークの場合、レジストパターン周囲の塗膜全てで硬化が進み、一部のみ(たとえばレジストパターンの側面の一部のみ)を選択的に硬化させることはできない。そのため、ベークのみによって被覆パターンを形成した場合、その後、必要に応じて、該被覆パターンのうちの不要な部分(不要な被覆パターン部分)を除去する工程を行ってもよい。この除去工程の実施方法としては、たとえば、該被覆パターンの必要な部分を被覆するレジストパターンを形成し、そのレジストパターンをマスクとしてドライエッチングを行い、レジストパターンで被覆されていない不要な被覆パターン部分を除去した後、マスクのレジストパターンを剥離(除去)する方法が挙げられる。
(レジストパターン露出工程)
レジストパターン露出工程では、少なくともレジストパターン13の上面のレジスト被覆膜14が除去されるように被覆パターンの上部を除去することにより、図3(c)に示すように、レジストパターン13を露出させる。
これにより、支持体10上には、レジストパターン13と、除去されずに残ったレジスト被覆膜(レジストパターン13の側面表面に形成されたレジスト被覆膜。以下、側面部という。)14Aとが存在することとなる。
被覆パターンの上部を除去する方法は特に限定されず、たとえばエッチング(エッチバック)により行ってもよく、公知の平滑化方法を用いてもよい。該平滑化方法としては、たとえば化学的機械的研磨(CMP)が挙げられる。
レジストパターン露出工程では、好ましくはエッチバックにより被覆パターンの上部を除去する。
該エッチバックは、処理工程の簡便さ等の点から、ドライエッチングにより行うことが好ましい。
ドライエッチングの方法としては、ダウンフローエッチングやケミカルドライエッチング等の化学的エッチング;スパッタエッチングやイオンビームエッチング等の物理的エッチング;RIE(リアクティブイオンエッチング)等の化学的・物理的エッチングなどの公知の方法を用いることができる。
最も一般的なドライエッチングは、平行平板型RIEである。この方法では、まず、RIE装置のチャンバーに多層積層体を入れ、必要なエッチングガスを導入する。チャンバー内の、上部電極と平行に置かれた多層積層体のホルダーに高周波電圧を加えると、エッチングガスがプラズマ化される。プラズマ中では正・負のイオンや電子などの電荷粒子、中性活性種などのエッチング種が存在している。これらのエッチング種が下部レジスト層に吸着すると、化学反応が生じ、反応生成物が表面から離脱して外部へ排気され、エッチングが進行する。
エッチバックに用いるエッチングガスとしては、ハロゲン系のガスが好ましい。ハロゲン系のガスとしては、水素原子の一部または全部がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で置換された炭化水素ガスが例示でき、具体的には、フッ化炭素系ガス、塩化炭素系ガス等が挙げられる。フッ化炭素系ガスとしては、テトラフルオロメタン(CF)ガス等のCF系ガス、トリフルオロメタン(CHF)ガス等のCHF系ガス等が挙げられる。塩化炭素系ガスとしては、テトラクロロメタン(CCl)ガス等が挙げられる。これらのエッチングガスは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、該エッチングガスに対して窒素ガス、希ガス(アルゴンガス等)等を混合してもよい。
エッチバックに用いるエッチングガスとしては、フッ化炭素系ガスが好ましく、特にCFガスおよび/またはCHFガスが好ましい。
(エッチング工程)
本実施形態で、エッチング処理は、側面部14Aがエッチングマスクとなり、且つレジストパターン13および有機膜12を構成する材料が除去される条件にて、基板11の表面11aが露出するまで行う。
これにより、レジストパターン13が除去されるとともに、有機膜12のうち、側面部14Aの下方にある部分以外の部分が除去される。結果、図3(d)に示すように、除去されずに残った有機膜12(有機パターン12A)と、その上方に積層された側面部14Aとからなるパターン15が基板11上に形成される。
エッチングの方法は、公知の方法が利用でき、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングの方法としては、上記と同様の公知の方法を用いることができる。
このとき用いられるエッチングガスの種類は、エッチングマスクとなる側面部14Aと、レジストパターン13および有機膜12との間でエッチング選択比のとれるものであればよく、たとえば酸素(O)ガス、二酸化硫黄ガス、上述したハロゲン系ガス等が挙げられる。これらのエッチングガスは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、該エッチングガスに対して窒素ガス、希ガス(アルゴンガス等)等を混合してもよい。
本工程におけるエッチング方法としては、特に、側面部14Aとの間のエッチング選択比が高いことから、酸素プラズマエッチング(Oガスから得られるプラズマによるドライエッチング)が好ましい。
エッチング後、必要に応じて残渣を除去したり、パターン15を有する基板11を洗浄する工程を行うことができる。
上記のようにして、基板11上に、最初のレジストパターン13の2倍の数のパターン15が形成される。
該パターン15は、種々の目的に利用することができる。例えば、そのまま、基板11上の構造物(例えば回路等)として利用したり、パターン15と同一のパターンを基板11に転写するためのマスクとしたりする利用法が考えられる。
また、図3(e)に示すように、側面部14Aを除去して、有機パターン12Aを露出させてもよい。これにより、基板上に、最初のレジストパターン13の2倍の数の有機パターンを形成することができる。
該有機パターンは、上記パターン15と同様、種々の目的に利用することができる。たとえば該有機パターンをマスクとして用いて基板11をエッチングすることにより、半導体デバイス等を製造することができる。
上記本発明のパターン形成方法によれば、たとえば、支持体上に当初形成されたレジストパターンの2倍の線密度(単位長さあたり個数)を有するパターンを形成することができる。
たとえばレジストパターンとして、上記実施形態に示すように、ラインアンドスペースパターンを形成した場合、当該レジストパターンから得られた被覆パターンが形成された支持体に対してエッチングを行う簡単な操作により、狭ピッチの密なラインアンドスペースパターンを形成できる。具体的には、例えば、図3に示す実施形態において、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅wと各パターン間の間隔(スペース幅)sとの比をライン幅:スペース幅=1:3とし、レジスト被覆膜14の膜厚をラインwと同じにすると、最終的に、基板11上には、ライン幅wのライン状のパターン15が、当初の1/3の間隔(ライン幅:スペース幅=1:1)で形成されることとなる。
また、かかるパターン方法は、操作が簡単であるだけでなく、CVD等を用いる従来技術に比べて、少ない工程数でのパターン形成が可能である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[レジスト組成物の調製]
表1に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物(ポジ型)を調製した。
Figure 0005227818
表1中の各略号は以下の意味を有する。また、表1中の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される質量平均分子量(Mw)7000、分散度1.5の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a1/a2/a3=30/50/20である。
(B)−1:ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウム ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
(R)−1:下記化学式(R)−1で表される化合物(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)。
(R)−2:下記化学式(R)−2で表される化合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGACURE OXE01」)。
Figure 0005227818
Figure 0005227818
[レジスト被覆膜形成用材料の調製]
表2に示す各成分を混合、溶解してレジスト被覆膜形成用材料を調製した。
Figure 0005227818
表2中の各略号は以下の意味を有する。また、表2中の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(X)−1:下記化学式(X)−1で表される共重合体(東レファイン社製、質量平均分子量10000、分散度:1.04、シリコン含有率:約15%)。
(X)−2:下記化学式(X)−2で表される共重合体(東レファイン社製、質量平均分子量10000、分散度:1.04、シリコン含有率:約18%)。
(X)−3:下記化学式(X)−3で表される共重合体(、質量平均分子量20000、シリコン含有率:<0.2%)。
(X)−4:下記化学式(X)−4で表される共重合体(東レファイン社製、質量平均分子量10000分散度:1.2、シリコン含有率:約20%)。
(Y)−1:下記化学式(Y)−1で表される化合物(東亜合成化学工業(株)製「M−309」)。
(S’)−1:イソブタノール。
Figure 0005227818
Figure 0005227818
[式中、X〜Xは水素原子またはメチル基であり、Rはメチル基である。]
Figure 0005227818
Figure 0005227818
[実施例1(レジスト組成物1/レジスト被覆膜形成用材料1)]
(i)
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成することにより、支持体を得た。
該支持体の有機系反射防止膜上に、前記レジスト組成物1を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60、2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリーマスク)を介して選択的に照射した。その後、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。これにより、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、120nmL/S(1:1)パターンという。)が形成された支持体を得た。
また、マスクパターンを変更した以外は上記と同様にして、ライン幅120nm、ピッチ360nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、120nmL/S(1:3)パターンという。)が形成された支持体を得た。
(ii)
上記支持体上に、スピンナーを用いて回転数1500rpmで前記レジスト被覆膜形成用材料1を塗布し、ホットプレート上で、90℃、90秒間の条件でプレベーク処理(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚約200nmの塗膜を形成した。
(iii)
次いで、所定のベーク温度(90℃、105℃、120℃または140℃)で60秒間の条件でベーク処理を行った。
(iv)
その後、現像処理を、23℃で、現像液としてイソブタノールを用いて60秒間行った。その後15秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。現像の際、ノズルにはLDノズルを用いた。
乾燥後、得られた支持体表面のパターンの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その幅(ライン幅)を、レジスト被覆膜形成用材料の塗布前のパターン(120nmL/S(1:1)パターン、120nmL/S(1:3)パターン)と比較した。
その結果、(iii)におけるベーク処理を90℃で行った場合に形成されたパターンは、L/S(1:1)パターンでは、塗布前のパターンよりもライン幅が9.7nm増加した。L/S(1:3)パターンでは、4.7nm増だった。
105℃、120℃および140℃での行った場合に形成されたパターンは、L/S(1:3)パターンでは、塗布前のパターンのライン幅に比べて、それぞれ、14.8nm、41.8nm、59.7nmライン幅が広くなっていた。L/S(1:3)パターンでは、それぞれ、35.4nm、50.5nm、63.4nmだった。
これらの結果に示すように、得られたパターンのライン幅は、ベーク温度が高いほど広くなっていた。
上記の結果から、90〜140℃でのベーク処理を行うことにより、レジストパターン表面に被覆膜が形成され、被覆パターンが得られたことが確認できた。
また、90〜105℃の範囲において、L/Sパターンにおけるスペース部の被覆がみられず良好だった。
[実施例2(レジスト組成物1/レジスト被覆膜形成用材料2)]
実施例1の(ii)においてレジスト被覆膜形成用材料1に代えてレジスト被覆膜形成用材料2を用いた以外は上記実施例1の(i)〜(iv)と同様の操作を行った。
得られた支持体表面のパターンの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その幅(ライン幅)を、レジスト被覆膜形成用材料の塗布前のパターンと比較したところ、形成されたパターンは、塗布前のパターンのライン幅に比べて、ライン幅が広くなっていた。この結果から、レジストパターン表面に被覆膜が形成され、被覆パターンが得られたことが確認できた。
[実施例3(レジスト組成物1/レジスト被覆膜形成用材料3)]
実施例1の(ii)においてレジスト被覆膜形成用材料1に代えてレジスト被覆膜形成用材料3を用い、(iii)におけるベーク処理を140℃で実施した以外は上記実施例1の(i)〜(iv)と同様の操作を行った。
得られた支持体表面のパターンの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その幅(ライン幅)を、レジスト被覆膜形成用材料の塗布前のパターンと比較したところ、形成されたパターンは、塗布前のパターンのライン幅に比べて、ライン幅が広くなっていた。この結果から、レジストパターン表面に被覆膜が形成され、被覆パターンが得られたことが確認できた。
[比較例1(レジスト組成物1/レジスト被覆膜形成用材料4)]
実施例1の(ii)においてレジスト被覆膜形成用材料1に代えてレジスト被覆膜形成用材料4を用い、(iii)におけるベーク処理を140℃で実施した以外は上記実施例1の(i)〜(iv)と同様の操作を行った。
得られた支持体表面のパターンの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、その表面にパターンは確認できなかった。これは、(X)−4で表される共重合体が、重合性基を含まず、水酸基を有していることによるものと推測される。
[比較例2(レジスト組成物3/レジスト被覆膜形成用材料1)]
実施例1の(i)においてレジスト組成物3を用いてレジストパターン形成をおこなった他は、実施例1の(i)〜(iv)と同様の操作を行った。
得られた支持体表面のパターンの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、被覆パターンの形成を確認することはできなかった。よって、レジスト被覆膜形成用材料の硬化は、レジスト組成物中のラジカル重合開始剤によるものと確認できた。
[実施例4(レジスト組成物2/レジスト被覆膜形成用材料2)]
実施例1の(i)において120nmL/S(1:1)パターンを形成し、(ii)においてレジスト被覆膜形成用材料1に代えてレジスト被覆膜形成用材料2を用いた以外は上記実施例1の(i)〜(iv)と同様の操作を行った。
得られた支持体表面のパターンの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その幅(ライン幅)を、レジスト被覆膜形成用材料の塗布前のパターン(120nmL/S(1:1)パターン)と比較したところ、形成されたパターンは、塗布前のパターンのライン幅に比べて、ライン幅が広くなっていた。この結果から、レジストパターン表面に被覆膜が形成され、被覆パターンが得られたことが確認できた。また、いずれのベーク温度においても、L/Sパターンにおけるスペース部の被覆がみられず良好だった。
<エッチング耐性評価>
実施例2〜4で得られた(ベーク温度140℃での)被覆パターンに対し、プラズマによるドライエッチング(プラズマエッチング)処理を行う工程1、2を順次実施した。工程1、2におけるプラズマエッチング処理は、具体的には、Telius(東京エレクトロン社製)を用いて、下記に示す条件で行った。
下記工程1、2により、実施例3の被覆パターンを除いて、被覆パターン部をマスクとしたパターン形成を行うことができた。実施例3の被覆パターンは、被覆パターン部が残らず、該被覆パターン部の下側の部分の有機系反射防止膜もエッチングされてしまっていた。
[プラズマエッチング処理の条件]
(工程1:被覆パターンのトップ部分の除去)
ガス:CFガス、ArガスおよびNガスの混合ガス(流量比:CF/Ar/N=9/57/34)
圧力:4.0Pa。
RF電源(上部電極/下部電極):500/1800W。
時間:20秒間。
(工程2:レジストパターンおよび有機系反射防止膜の除去)
ガス:O/N混合ガス(流量比:O/N=1/1)。
圧力:0.67Pa。
RF電源(上部電極/下部電極):750/150W。
時間:13秒間。
1…支持体、2…レジストパターン、3…塗膜、4…レジスト被覆膜、7…被覆パターン、10…支持体、11…基板、12…有機膜、13…レジストパターン、14…レジスト被覆膜、15…パターン。

Claims (12)

  1. 支持体上に、表面が被覆膜で被覆されたパターンを形成する被覆パターン形成方法であって、
    支持体上に、ラジカル重合開始剤を含有するレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する工程(i)と、
    前記レジストパターンが形成された前記支持体上に、重合性基を有するベースポリマーと、重合性モノマーとを含有するレジスト被覆膜形成用材料を塗布して塗膜を形成する工程(ii)と、
    前記レジストパターンに対して露光および/またはベークを行う工程(iii)と、
    前記塗膜に対して現像処理を行う工程(iv)と、
    を含むことを特徴とする被覆パターン形成方法。
  2. 前記ベースポリマーは、シリコーン樹脂である請求項1に記載の被覆パターン形成方法。
  3. 前記ベースポリマーは、シリコン含有量が5〜50質量%のシリコーン樹脂である請求項2に記載の被覆パターン形成方法。
  4. 前記レジスト被覆膜形成用材料は、ラジカル重合開始剤を含有しない請求項1に記載の被覆パターン形成方法。
  5. 前記レジスト被覆膜形成用材料は、前記レジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆パターン形成方法。
  6. 前記有機溶剤は、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、および水酸基を有さないエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の被覆パターン形成方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の被覆パターン形成方法に用いられるレジスト被覆膜形成用材料であって、重合性基を有するベースポリマーと、重合性モノマーとを含有し、前記ベースポリマーは、シリコン含有量が5〜50質量%のシリコーン樹脂であることを特徴とするレジスト被覆膜形成用材料。
  8. ラジカル重合開始剤を含有しない請求項7に記載のレジスト被覆膜形成用材料。
  9. 前記レジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有する請求項7または8に記載のレジスト被覆膜形成用材料。
  10. 前記有機溶剤は、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、および水酸基を有さないエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項9に記載のレジスト被覆膜形成用材料。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の被覆パターン形成方法に用いられるレジスト組成物であって、ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とするレジスト組成物。
  12. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の被覆パターン形成方法により被覆パターンが形成された支持体に対してエッチング処理を行う工程を含むパターン形成方法。
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