JP2012036801A - 円筒容器の製造方法および密閉型圧縮機 - Google Patents

円筒容器の製造方法および密閉型圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】密閉容器の溶接接合部のピンホールによる洩れ品質の低減、及び密閉容器内に飛散する溶接スパッタを低減させる。
【解決手段】一方の円筒の一方の端部に形成した拡径部の内面、又はこの拡径部に挿入される他方の円筒の外面の一方に、嵌め合い方向の軸線に沿って直線状に延びる凸条を周方向複数箇所に設け、拡径部に他方の円筒を挿入して、凸条と他方の円筒の外面、又は凸条と拡径部の内面とを当接させて、拡径部の端部と他方の円筒の外面とをアーク溶接によって接合する。
【選択図】図2

Description

本発明は、円筒容器の製造方法、およびこの製造方法によって製造された密閉容器を有する密閉型圧縮機に関する。
従来より、密閉容器の溶接部の溶接品質を高めるために、接合部の奥にガス逃し溝を設け、現在溶接を行っている溶接部位の前方から大気中にガスを放出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開平6−4403号公報(図1)
しかしながら、接合部の奥にガス逃し溝を設け、現在溶接を行っている溶接部位の前方から大気中に放出するようにしたものにあっては、ガス逃し溝が空気だまりとなり、溶接部位の終端を溶接接合する際に、当該空気だまりにある空気が加熱により膨張され、溶接により溶融された金属間を貫通し、ピンホールが発生し、洩れの原因となるという難点があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、第1の目的は溶接接合においてピンホールによる洩れ品質を低減して、信頼性を向上させる円筒容器の製造方法を得るものである。
また、第2の目的は溶接接合において密閉容器内に飛散する溶接スパッタを低減することができる円筒容器の製造方法を得るものである。
さらに、第3の目的は、前記円筒容器の製造方法によって製造された圧縮機本体の密閉容器または液だめの密閉容器を有する密閉型圧縮機を得るものである。
本発明に係る円筒容器の製造方法は、一方の円筒の一方の端部に形成した拡径部に他方の円筒を挿入し、前記拡径部の端部と前記他方の円筒の外面とを溶接接合する円筒容器の製造方法であって、前記拡径部の内面又は前記他方の円筒の挿入される外面の一方に、嵌め合い方向の軸線に沿って直線状に延びる凸条を周方向複数箇所に設ける工程と、前記拡径部に前記他方の円筒を挿入して、前記凸条と前記他方の円筒の外面、又は前記凸条と前記拡径部の内面とを当接させて、前記拡径部の端部と前記他方の円筒の外面とをアーク溶接によって接合する工程と、を有することを特徴としている。
本発明の円筒容器の製造方法においては、拡径部の内面又は他方の円筒の挿入される外面の一方に、嵌め合い方向の軸線に沿って直線状に延びる凸条を周方向複数箇所に設けてから、拡径部に他方の円筒を挿入して、凸条と他方の円筒の外面、又は凸条と拡径部の内面とを当接させて、拡径部の端部と他方の円筒の外面とをアーク溶接によって接合するので、拡径部に他方の円筒を挿入した段階で各凸条間に容器内外に連なる通路が形成される。そしてこの状態で、拡径部の端部と他方の円筒の外面とをアーク溶接によって接合するので、溶接時に加熱されたガスが前記通路を通り、溶接部とは反対の容器内方向に逃げることができて、溶融金属間を貫通しなくなり、ピンホールによる溶接部洩れ不良が低減される。
本発明の実施の形態1に係る密閉型圧縮機の構成を示す側面視の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の構成部材であるアッパーカップを接合部側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程で用いるプレスパンチ型を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程を示す図である。 密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の接合部に凸条を設けていない場合の溶接時の加熱ガス流れを示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の接合部における溶接時の加熱ガス流れを示す断面図である。 本発明の実施の形態2に係る密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の構成部材であるアッパーカップを接合部側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態3に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程を示す図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る密閉型圧縮機の構成を示す側面視の断面図である。図2は本実施の形態1に係る密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の構成部材であるアッパーカップを接合部側から見た斜視図である。図3は本実施の形態1に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程で用いるプレスパンチ型を示す斜視図である。図4は本実施の形態1に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程を示す図である。図5は密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の接合部に凸条を設けていない場合の溶接時の加熱ガス流れを示す断面図である。図6は本実施の形態に係る密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の接合部における溶接時の加熱ガス流れを示す断面図である。
本実施の形態の密閉型圧縮機は、図1のように冷媒を圧縮する圧縮機本体1と、圧縮機本体1の入り口側に設けられて圧縮機本体1に冷媒を供給する密閉容器すなわち液だめ容器2とを備えている。
これを更に詳述すると、圧縮機本体1は、上面に吐出パイプ14が設置された密閉容器13と、密閉容器13の内部に収納された圧縮機構11および圧縮機構11を駆動する電動機12と、を有している。密閉容器13は、上シェル13aと下シェル13bとそれらの間に配置接合された中間管状シェル13cとで構成されている。また、液だめ容器2を固定するための固定板15が、密閉容器13の側面に設けられ、圧縮機本体1と液だめ容器2とを連通する排出パイプ24が、密閉容器13の側面に接続されている。
液だめ容器2は、後述する製造方法によって製造されるものである。すなわち、液だめ容器2は、アッパーカップ22とロアーカップ23が付き合わさった密閉容器であって、上面に吸入パイプ21が、下面に排出パイプ24が、内部に金属製ストレーナフィルター(図示せず)が、それぞれ設置されている。また、アッパーカップ22のロアーカップ23との接合部となるフランジ22aの内面の周方向複数箇所に、図2のように嵌め合い方向の軸線に沿って直線状に延びる凸条22bが設けられている。凸条22bが挿入方向に線状でないと、嵌合部が圧入形態のため内部に連通する隙間を確保できなくなる可能性がある。凸条22bの数量としては、隙間が円周方向に安定して形成されるよう8箇所設けているが、溶接時に加熱膨張した空気の抜ける通路を安定的に確保するために、凸条幅は2mm以下、個数は各凸条22bが隙間内で占める断面積が隙間断面積の1/10以下となる個数とするのが望ましい。さらに、溶接スパッタが液だめ容器2内に飛散しないように凸条22bの高さは0.1mm以下にするのが望ましい。下記表1に凸条高さを0.05mm、0.10mm、0.15mmとした場合の液だめ容器2内への溶接スパッタ飛散量の測定結果を示す。
Figure 2012036801
表1から明らかなように、凸条高さを0.05mmから0.10mmに大きく(2倍)した場合、液だめ容器2内への溶接スパッタ飛散量は0.08mgから0.2mgに増加(2.5倍)しているだけであるが、凸条高さを0.05mmから0.15mmに大きく(3倍)すると、液だめ容器2内への溶接スパッタ飛散量は0.08mgから1.2mgに急激に増加(15倍)していることが分かる。したがって、凸条22bの高さは0.1mm以下とし、凸条外形を基準として軽圧入とするよう嵌め合い代を設定するのが望ましい。
本実施の形態の密閉型圧縮機において、冷媒ガスは、吸入パイプ21より液だめ容器2に流入し、金属製ストレーナフィルターによって異物が除去された後、排出パイプ24を経由して圧縮機本体1内に導入される。そして、電動機12によって駆動される圧縮機構11において圧縮された冷媒ガスは、吐出パイプ14から圧縮機本体1の外部に放出される。
次に、本実施の形態に係る円筒容器の製造方法について図2乃至図6に基づき図1を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の円筒容器の製造方法は、密閉型圧縮機において圧縮機本体1の密閉容器13と液だめ容器2の双方に適用可能であるが、ここでは液だめ容器2への適用例について説明する。
図2に示すアッパーカップ22の凸条22bは、嵌合部の成形工程(フランジアップ)のプレスパンチ型31(図3)に切り欠き31aを設けることで、プレス成形により転写させて成型することができる。つまり、図4のようにプレスダイ型32を使い、絞り工程にて切り欠き31aにアッパーカップ素材が押し付けられることで、転写され、凸条22bを成型する。凸条22bが小さければ、フランジ22aのスプリングバックにより、型からアッパーカップ22を抜く際に干渉して抜きにくくなるようなことはない。また、例え凸条22bが大きくても、図3のようにプレスパンチ型31のフランジ全体に切り欠き31aがあると、嵌合部の接触面積をより減らせるので、干渉しにくくなる。
次いで、接合部を互いに嵌め合わせ、つまりアッパーカップ22のフランジ22a内にロアーカップ23の端部を挿入してから、フランジ22aの開口端すなわち嵌合外端縁部をアーク溶接によって接合する。
従来の凸条無しの接合形態においては、図5のようにアッパーカップ22内に圧入したロアーカップ23の端部エッジ(嵌合内端縁部)がアッパーカップ22のフランジ22aに食い込んでしまう。そのため、フランジの開口端側(嵌合外端側)が若干開き、空気だまりが生じてしまう。嵌合部の奥側はロアーカップ23の嵌合内端縁部により密閉されているため、溶接時に加熱された空気だまり内の加熱膨張空気は溶融ビード41側に逃げ、溶融ビード41内にピンホールを発生させる。
しかし、本実施の形態に係る円筒容器の製造方法により製造された密閉容器すなわち、液だめ容器2は、密閉容器2のアッパーカップ22のロアーカップ23との接合部であるフランジ22aの内面の周方向複数箇所に、嵌め合い方向の軸線に沿って直線状に延びる凸条22bを設けているので、接合部を嵌め合わせた段階で、各凸条22b間に容器内外に連なる通路が形成される。そしてこの状態で、嵌合外端縁部をアーク溶接によって接合するので、溶接時に加熱されたガスが図6のように各凸条22b間の通路を通り、溶接部とは反対の容器内方向に逃げることができて、溶融ビード41を貫通しなくなり、ピンホールの発生を防止でき、溶接部洩れ不良を低減することができ、信頼性が向上する。
また、凸条22bの高さを0.1mm以下に設定して、通路となる径方向の隙間厚みを極力小さくしているので、溶接スパッタの液だめ容器2内への侵入を抑制する(異物混入規格水準以下に抑える)ことができる。
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2に係る密閉型圧縮機の密閉容器(液だめ容器)の構成部材であるアッパーカップを接合部側から見た斜視図であり、前述の実施の形態1のものと同一機能部分には同一符号を付してある。なお、説明にあたっては前述の図1を参照するものとする。
本実施の形態に係る密閉容器すなわち液だめ容器2は、図7のようにアッパーカップ22Aのロアーカップ23との接合部であるフランジ22aの内面の周方向複数箇所に、嵌め合い方向の軸線周りにスパイラル状に延びる凸条(以下、「スパイラル凸条」という)22cを設けたものである。
本実施の形態においても、前述の実施の形態1のものと同様に、スパイラル凸条22cの幅は2mm以下、高さは0.1mm以下、個数(条数)は各スパイラル凸条22cが隙間内で占める断面積が隙間断面積の1/10以下となる個数(条数)とすることで、溶接スパッタの液だめ容器2内への侵入を抑制することができ、かつピンホールによる溶接部洩れ不良の低減化が図れる。
また、本実施の形態においても、前述の実施の形態1のものと同様に、各凸条22c間に容器内外に連なる通路が形成され、溶接時に加熱されたガスが各凸条22c間の通路を通り、溶接部とは反対の容器内方向に逃げてくれる機能を有している。それに加えて本実施の形態では各凸条22cがスパイラル状に形成されているので、溶接スパッタが密閉容器内により侵入しにくくなり、その分、凸条高さを大きくして、通路断面積を大きくすることが可能となる。
なお、図7のように隣接するスパイラル凸条22cを、一部が嵌め合い方向から見て互いに重畳するように構成することで、容器内空間に連なる隙間の通路をラビリンス通路とすることができ、更に溶接スパッタの液だめ容器2内への侵入防止効果を高めることができる。
なお、前述の各実施の形態では、いずれも液だめ容器のアッパーカップ側に凸条を設けたものを例に挙げて説明したが、これをアッパーカップに挿入されるロアーカップの接合部外面に設けてもよい。
実施の形態3.
図8及び図9はいずれも凸条をロアーカップ側に設ける本発明の実施の形態3に係る円筒容器の製造方法における凸条成形工程を示す図であり、前述の実施の形態1のものと同一機能部分には同一符号を付してある。なお、ここでも説明にあたっては前述の図1を参照するものとする。
本実施の形態に係る密閉容器すなわち液だめ容器2は、図8及び図9のようにロアーカップ23のアッパーカップ22との接合部、つまりアッパーカップ22のフランジ22aと対向する外面の周方向複数箇所に、凸条(ここではスパイラル凸条)を設けるものである。スパイラル凸条は、成形してからロアーカップ23を抜く際に干渉して抜きにくくなるため、スパイラル溝模様51を設けたクランプ固定型5が図8のように半割れ構成となっていて左右に分離できるようになっている。
次に、本実施の形態に係る円筒容器の製造方法について図8及び図9に基づき図1を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の円筒容器の製造方法も、当該密閉型圧縮機において圧縮機本体1の密閉容器13と液だめ容器2の双方に適用可能であるが、ここでも液だめ容器2への適用例について説明する。
まず、図8のようにプレスで成形されたロアーカップ23に対し、スパイラル凸条を成形したい箇所の外周部をスパイラル溝模様51の設けられたクランプ固定型5で固定する。次いで、図9のように拡管機構を備えた装置または圧入工具52をロアーカップ23の開口より圧入し、ロアーカップ23の外周部をクランプ固定型5に押し当てる。これにより、クランプ固定型5のスパイラル溝模様51をロアーカップ23の外周部に転写し、ロアーカップ23の外周部にスパイラル凸条を成形する。その後、クランプ固定型5をロアーカップ23より引き離し、ロアーカップ23を取り出す。
次いで、接合部を互いに嵌め合わせ、つまり外周部にスパイラル凸条が成形されたロアーカップ23をアッパーカップ22のフランジ22a内に挿入してから、フランジ22aの開口端すなわち嵌合外端縁部をアーク溶接によって接合する。
以上の方法なら、成形工程が増えてしまうが、希望する形状を半割れ構成のクランプ固定型5に転写しておけば、どんな形状の凸条でも成形できるメリットがある。
1 圧縮機本体、2 液だめ容器(密閉容器)、5 クランプ固定型、11 圧縮機構、12 電動機、13 密閉容器、13a 上シェル、13b 下シェル、13c 中間管状シェル、14 吐出パイプ、21 吸入パイプ、22,22A アッパーカップ、23 ロアーカップ、22a フランジ(接合部)22b 直線状に延びる凸条、22c スパイラル状に延びる凸条、24 排出パイプ、31 プレスパンチ型、31a 切り欠き、32 プレスダイ型、41 溶融ビード、51 スパイラル溝模様、52 圧入工具。

Claims (5)

  1. 一方の円筒の一方の端部に形成した拡径部に他方の円筒を挿入し、前記拡径部の端部と前記他方の円筒の外面とを溶接接合する円筒容器の製造方法であって、
    前記拡径部の内面又は前記他方の円筒の挿入される外面の一方に、嵌め合い方向の軸線に沿って直線状に延びる凸条を周方向複数箇所に設ける工程と、
    前記拡径部に前記他方の円筒を挿入して、前記凸条と前記他方の円筒の外面、又は前記凸条と前記拡径部の内面とを当接させて、前記拡径部の端部と前記他方の円筒の外面とをアーク溶接によって接合する工程と、
    を有することを特徴とする円筒容器の製造方法。
  2. 一方の円筒の一方の端部に形成した拡径部に他方の円筒を挿入し、前記拡径部の端部と前記他方の円筒の外面とを溶接接合する円筒容器の製造方法であって、
    前記拡径部の内面又は前記他方の円筒の挿入される外面の一方に、嵌め合い方向の軸線周りにスパイラル状に延びる凸条を周方向複数箇所に設ける工程と、
    前記拡径部に前記他方の円筒を挿入して、前記凸条と前記他方の円筒の外面、又は前記凸条と前記拡径部の内面とを当接させて、前記拡径部の端部と前記他方の円筒の外面とをアーク溶接によって接合する工程と、
    を有することを特徴とする円筒容器の製造方法。
  3. 前記凸条の高さが、0.1mm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の円筒容器の製造方法。
  4. 前記円筒容器が、アッパーカップとロアーカップで構成される密閉容器、又は上シェルと中間管状シェルと下シェルで構成される密閉容器であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の円筒容器の製造方法。
  5. 冷媒を圧縮するための冷媒圧縮手段を収容する圧縮機本体の密閉容器と該圧縮機本体に冷媒を供給するための液だめの密閉容器とを備える密閉型圧縮機であって、
    前記圧縮機本体の密閉容器または前記液だめの密閉容器が、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の円筒容器の製造方法によって製造されることを特徴とする密閉型圧縮機。
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