JP2012036495A - 窒化処理機械部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本実施の形態による製造方法は、鋼材を準備する工程と、式(1)〜式(4)により定義されるオーステナイト体積分率Fγ(T)の値が0.10≦Fγ(T)≦0.60を満たし、かつ700℃以上となる窒化処理温度T(℃)で、鋼材に対して窒化処理を行う工程と、窒化処理後、鋼材を急冷する工程とを備える。
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr (1)
Xα(T)=(910−T)/8394 (2)
Xγ(T)=(910+K−T)2/41209 (3)
Fγ(T)=(C−Xα)/(Xγ−Xα) (4)
ここで、式(1)及び式(4)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
【選択図】図7
Description
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr (1)
Xα(T)=(910−T)/8394 (2)
Xγ(T)=(910+K−T)2/41209 (3)
Fγ(T)=(C−Xα)/(Xγ−Xα) (4)
ここで、式(1)及び式(4)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr+31.5×Mo+104×V−20×Cu−15.2×Ni (5)
ここで、式(5)式中の元素記号はその元素の質量%での含有量を表す。
VE=P1/P2×(T+273)/(T1+273)×V1 (I)
本実施の形態による窒化処理機械部品の製造方法は、(1)鋼材を準備する工程(鋼材準備工程)と、(2)窒化処理時の窒化処理温度T(℃)を決定し、決定された窒化処理温度T(℃)で、鋼材に対して窒化処理を実施する工程(窒化処理工程)と、(3)窒化処理後の鋼材を急冷する工程(急冷工程)とを備える。以下、それぞれの工程について説明する。
以下の化学組成からなる鋼材を準備する。
炭素(C)は、鋼材の強度を決定するのに最も重要な元素である。Cは、生地の強度、すなわち窒化処理後の急冷(焼入れ)では硬化されない芯部硬さを向上する。Cはさらに、窒化処理後急冷したとき、表層付近にマルテンサイトを生成させ、表層硬さを向上する。一方、Cが過剰に含有されると、冷間鍛造性が著しく低下したり、芯部の靱性が低下したり、被削性が低下したりする。したがって、Cの含有量は0.05〜0.42%である。C含有量は0.07%以上であるのが好ましく、0.30%以下であるのが好ましい。
珪素(Si)は、固溶強化元素として芯部硬さの増大に寄与して疲労強度を改善する。Siはさらに、鋼材の焼入れ性を高める。さらに、Siは窒素との親和力も比較的高いため、窒化処理により鋼材中に侵入する窒素とクラスタを形成する。これにより、硬化層が強化し、疲労強度が向上する。一方、Siが過剰に含有されると、熱間加工性が劣化するとともに、靱性や被削性も劣化する。したがって、Si含有量は、0.05〜0.80%である。Si含有量は0.10%以上であるのが好ましく、0.50%以下であるのが好ましい。
マンガン(Mn)は、固溶強化元素として芯部硬さの増大に寄与し、鋼材の靭性を高める。Mnはさらに、疲労強度を改善し、焼入れ性を高める。さらに、Mnは窒素との親和力が高いため、窒化処理により鋼材中に侵入する窒素とクラスタや窒化物を形成する。これにより、硬化層が強化し、疲労強度が向上する。Mnはさらに、Sと結合してMnSを生成し、鋼材の被削性を向上する。一方、Mnが過剰に含有されても、その効果は飽和する。また、Mnが過剰に含有されると、被削性が劣化する場合がある。したがって、Mn含有量は、0.40〜1.60%である。Mn含有量は0.60%以上であるのが好ましく、1.30%以下であるのが好ましい。
燐(P)は不純物である。Pは、粒界偏析して粒界割れを引き起こす。したがって、P含有量は少ない方が好ましい。P含有量は、0.05%以下である。好ましいP含有量は、0.020%以下である。
(硫黄)Sは、鋼に含有される不純物であるが、Mnと結合してMnSを形成して、鋼材の被削性を高める。したがって、鋼材の被削性を向上する場合には、Sが含有される。しかしながら、Sが過剰に含有されると、鋳片内で偏析欠陥が発生したり、熱間加工性が低下したりする。したがって、S含有量は0.10%以下である。被削性を高める効果を得る場合、S含有量は0.010%以上であるのが好ましい。また、S含有量は、0.065%以下であるのが好ましい。
クロム(Cr)は、炭素および窒素との親和力が大きく、窒化処理時のオーステナイト中のNの活量を下げて、窒化を促進する。Crはさらに、窒化処理によって鋼材中に侵入する窒素とクラスタや窒化物を形成する。これにより、硬化層が強化し、疲労強度が向上する。Crはさらに、固溶強化によって、窒化後の急冷(焼入れ)で硬化されない芯部硬さを増大させて疲労強度を改善する。Crはさらに、鋼材の焼入れ性を高める。一方、Crが過剰に含有されると、Cr窒化物が粒界に優先的に生成して粒界近傍のCrが欠乏する。その結果、不完全焼入れ組織及び/又は酸化異常層が生成しやすくなり、鋼材の耐摩耗性が劣化する。したがって、Cr含有量は、0.05〜2.0%である。Cr含有量は0.20%以上であるのが好ましく、1.50%以下であるのが好ましい。
アルミニウム(Al)は脱酸材として、溶製時に鋼に含有される。Alはさらに、窒素と結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化する。一方、Alが過剰に含有されると、靭性が劣化する。したがって、Al含有量は0.001〜0.050%である。Al含有量は0.010%以上であるのが好ましく、0.035%以下であるのが好ましい。本実施の形態におけるAl含有量は、酸可溶Al(Sol.Al)の含有量である。
窒素(N)は、Tiと結合してピンニング粒子を形成し、熱間加工時の結晶粒粗大化を抑える。Nはさらに、Alと結合してAlNを形成し、焼準処理や焼鈍処理の工程で、結晶粒を微細化する。Nはさらに、オーステナイト安定化元素であるため、窒化処理中にオーステナイトを生成させやすくする。Nはさらに、固溶強化に寄与して芯部硬さを増大する。一方、Nが過剰に含有されると、インゴット中で気泡欠陥が生成して材質を損なうことがある。したがって、N含有量は、0.003〜0.030%である。N含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.020%以下であるのが好ましい。
モリブデン(Mo)は、鋼材の靭性や焼入れ性を高める。Moはさらに、鋼材の表層における不完全焼入れ組織の生成を抑制し、粒界酸化による異常層の生成を抑制する。Moはさらに、鋼材の芯部硬さを高めて疲労強度を向上する。Moが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Moが過剰に含有されると、鋼材の被削性が低下する。さらに、素材コストが嵩む。したがって、Mo含有量は、0.60%以下である。Mo含有量が0.05%以上であれば、上記効果は顕著に得られる。好ましくは、Mo含有量は0.40%以下である。
バナジウム(V)は、炭化物として析出して芯部強度の増大に寄与する。さらに、Vは窒素との親和力が高いため、窒化処理によって侵入する窒素量を増大させて硬化層の硬さ及び鋼材の疲労強度を向上する。Vが少しでも含有されると、上記効果が得られる。一方、Vが過剰に含有されると、V炭化物の析出量が多くなり過ぎて硬さが過度に上昇し、被削性が劣化する。したがって、V含有量は、0.60%以下である。V含有量が0.05%以上であれば、上記効果は顕著に得られる。好ましくは、V含有量は0.40%以下である。
銅(Cu)は、フェライトの固溶強化に寄与して芯部硬さを高め、疲労強度を向上する。Cuが少しでも含有されると、上記効果が得られる。一方、Cuが過剰に含有されると、Cuが鋼材の粒界に偏析して熱間割れを誘起することがある。したがって、Cu含有量は0.60%以下である。Cu含有量が0.05%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいCu含有量は0.40%以下である。
ニッケル(Ni)は、鋼材の靭性を高めたり、焼入れ性を高めたりする。Niはさらに、フェライト中での固溶強化によって、疲労強度を向上する。Niはさらに、鋼材がCuを含む場合に、Cuに起因する熱間割れを抑制する。Niが少しでも含有されると、上記効果が得られる。一方、Niが過剰に含有されると、上記効果は飽和する。さらに、Niが過剰に含有されると、鋼材の被削性が低下し、素材コストも嵩む。したがって、Ni含有量は、0.60%以下である。Ni含有量が0.05%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましくは、Niの含有量は0.40%以下である。
チタン(Ti)は、窒化物、炭化物、炭窒化物のピンニング粒子を形成し、熱間加工時の結晶粒粗大化を抑制する。Tiが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、ピンニング粒子として析出しなかった過剰なTiは、鋼中のSと結合して硫化物(Ti2SあるいはTiS)を形成する。この硫化物の生成により、被削性改善に有用なMnSの生成量が低下する。過剰なTiはさらに、鋼材中のCと結合して炭化物(TiC)を形成し、被削性を劣化する。したがって、Ti含有量は0.10%以下である。Ti含有量が0.005%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。Ti含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.05%以下であるのが好ましい。
カルシウム(Ca)は、鋼材の被削性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Caが過剰に含有されると、鋳片内で偏析欠陥が発生したり、熱間加工性が低下したりする。したがって、Ca含有量は0.005%以下である。Ca含有量が0.0001%以上であれば、上記効果は顕著に得られる。Ca含有量は0.003%以下とするのが好ましい。
窒化処理工程では、下記式(1)〜式(4)を用いて窒化処理温度(以下、単に処理温度という)T(℃)を決定する。具体的には、700℃以上であって、かつ、式(4)で定義されるオーステナイト体積分率Fγ(T)が0.10≦Fγ(T)≦0.60を満たす温度T(℃)を、処理温度に決定する。
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr (1)
Xα(T)=(910−T)/8394 (2)
Xγ(T)=(910+K−T)2/41209 (3)
Fγ(T)=(C−Xα)/(Xγ−Xα) (4)
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr+31.5×Mo+104×V−20×Cu−15.2×Ni (5)
ここで、式(1)、式(4)及び式(5)中の元素記号には、鋼材中の対応する元素の質量%での含有量が代入される。
式(1)〜式(5)は、上記知見(a)〜(e)に基づいて導かれたものである。具体的には、窒化処理の際に、適度の量のフェライトと適度の量のオーステナイトとが存在すると、窒素原子の侵入速度を低下させることなく、窒素の侵入量を高めることができる。これらの効果を奏するためには、鋼材中のオーステナイトの体積分率Fγ(T)を0.10〜0.60にする。オーステナイトの体積分率Fγ(T)を0.10〜0.60にするには、鋼材の化学組成により鋼材のA3点を推定し、推定されたA3点から、処理温度T(℃)を設定すればよい。
Fγ(T)=A/(A+B)=(C−Xα)/(C−Xα+Xγ−C)=(C−Xα)/(Xγ−Xα) (4)
ここで、Fγ(T)は、オーステナイト体積分率Fγが処理温度T(℃)の関数であることを明示的に示したものである。以降、オーステナイト体積分率は、Fγ(T)又はFγと記載する。
Xα(T)=(910−T)/8394 (2)
ここで、Xα(T)は、Xαが処理温度Tの関数であることを明示的に示したものである。
A3=910−203×√C−15.2×Ni+44.7×Si+104×V+31.5×Mo+13.1×W
−30×Mn−11×Cr−20×Cu
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr (1)
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr+31.5×Mo+104×V−20×Cu−15.2×Ni (5)
T=910−203×√Xγ +K
Xγ(T)=(910+K−T)2/41209 (3)
ここで、Xγ(T)は、Xγが処理温度T(℃)の関数であることを明示的に示したものである。
窒化処理工程において、上述の式(1)〜式(5)で定義されたオーステナイト体積分率Fγ(T)が、0.10≦Fγ(T)≦0.60を満たすように、処理温度T(℃)を設定する。
窒化処理を実行した後、鋼材を急冷する。処理温度T(℃)からの冷却過程は本実施の形態において重要である。すなわち、処理温度T(℃)で鋼材の表層付近に生成したオーステナイトをマルテンサイトに変態させる必要があるため、鋼材を急冷する。本実施の形態における急冷とは、油冷または水冷である。
焼ならし後の各丸棒の中心部から、鍛造方向(鍛錬軸)に平行に、各種の試験片を複数採取した。具体的には、各丸棒から、図2に示す形状の小野式回転曲げ疲労試験用の試験片と、図3に示す形状のブロック試験片と、図4に示す形状のCリング試験片とを採取した。図3に示すブロック試験片は、後述するブロックオンリング摩耗試験の他に、ミクロ組織観察および硬さ測定にも用いられた。図4に示すCリング試験片は、窒化処理又は浸炭処理前後での歪み量を判断するために用いられた。図2、3および4に示した試験片における各寸法の単位は全て「mm」である。
採取された試験片に対して、窒化処理を実施した。図5は、窒化処理時の条件を示す模式図である。図5に示す条件にしたがって、窒化処理を実施した。具体的には、試験片を熱処理炉に挿入した。挿入後、熱処理炉の炉内を1Pa程度まで真空引きした。真空引きした後、炉内を処理温度T℃まで昇温した。処理温度T℃まで昇温した後、300hPaの窒素ガスを炉内に導入し、アンモニアガスを2.0リットル/分の流量で導入しながら、炉内を処理温度T℃で4時間保持した。730℃、750℃、780℃及び830℃の4つの処理温度T℃で、窒化処理をそれぞれ実施した。ただし、処理温度T=780℃において、一部の試験片(後述の表5中の試験記号C21〜C23)については、アンモニアガス流量を制御して、有効体積1m3当たりのアンモニアガス流量を変化した。本実施例で用いた熱処理炉の780℃における有効体積は、以下の方法で求めた。初めに、熱処理炉を真空に引いた。次に、25℃(298K)、101.3kPaにおいて0.39m3に相当する量の窒素ガスを炉内に導入した。次に、炉温を780℃(1053K)に昇温し、30分保持した。保持後の炉内圧力を測定した結果、炉内圧力は39.5kPaになった。以上の結果から、式(I)より、熱処理炉の780℃における有効体積VEは、以下のとおり、3.5m3であった。
VE=101.3kPa/39.5kPa×(780+273)K/(25+273)K×0.39m3=3.5m3
本発明例との比較のために、鋼種番号11の一部の試験片に対して、窒化処理を実施せずに、浸炭焼入れ及び焼戻しを実施した。具体的には、次の条件で浸炭処理を実施した。処理温度を930℃、保持時間を180分とした。炭素ポテンシャルは0.8%で一定とした。浸炭処理後、試験片を100℃の油に投入して焼入れた。焼戻し工程では、処理温度を180℃、保持時間を120分とし、炉から試験片を取り出して大気中で放冷した。
[疲労強度評価試験]
窒化処理又は浸炭処理された、図2に示す試験片を用いて、各試験片の疲労強度を調査した。具体的には、各試験片に対して、JISZ2274に準拠して、小野式回転曲げ疲労試験を室温(25℃)、大気中で、回転数3400rpmの条件で実施した。そして、応力付加繰返し回数107回において破断しない最大の応力を疲労強度とした。
窒化処理又は浸炭処理された、図3に示す試験片を用いて、各番号の鋼材の耐摩耗性を調査した。具体的には、図6(A)に示すブロックオンリング摩耗試験を実施した。表2に、ブロックオンリング摩耗試験の試験条件を示す。
ブロックオンリング摩耗試験を実施しないブロック試験片を用いて、ミクロ組織観察を行った。ブロック試験片を長さ16mmの中央で半割にし、6mm×10mmの面が被検面となるように樹脂に埋め込んで鏡面研磨した。研磨された被検面をナイタールで腐食した。腐食後、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で試験片の表層付近のミクロ組織を調査した。観察倍率は、光学顕微鏡では100〜400倍、走査型電子顕微鏡では600〜5000倍であった。ミクロ組織観察では、最表層に鉄窒化物からなる化合物層が形成されているかどうかを注意深く観察し、薄い化合物層でも見逃さないように、走査型電子顕微鏡の観察結果をもって化合物層の有無を判定した。
硬さ試験は、ミクロ組織観察用と同じ試験片を用いて、マイクロビッカース硬度計を用いて行った。ブロック試験片を長さ16mmの中央で半割にし、6mm×10mmの面が被検面となるように樹脂に埋め込んで鏡面研磨した。図3及び図6に表示した接触面5を表面側として、2.94N(300gf)の試験力で、接触面5から50μm、100μm深さ位置の硬さを求め、それ以降は深さ方向に100μmピッチで進みながら1mm深さ位置までの硬さを求めた。そして、得られた各位置での硬さを連続的に結んで、硬化層を含む表層付近の硬さプロファイルを作成した。
本実施の形態による窒化処理により生じる歪み量と、比較例として行った浸炭焼入れにより生じる歪み量とを比較するために、窒化処理又は浸炭処理されたCリング試験片の開口端の距離D(図4参照)を測定した。具体的には、それぞれの処理の前後で開口端の距離Dをマイクロメータで測定し、処理後の変形量を求めた。測定は開口端の3点で行い、その平均値をとった。
試験結果を表3〜表6に示す。表3は、窒化処理の処理温度T(℃)が730℃のときの試験結果である。表4は、処理温度T(℃)が750℃のときの試験結果である。表5は、処理温度T(℃)が780℃のときの試験結果である。表6は、処理温度T(℃)が830℃のときの試験結果である。各表中の「化合物層の有無」欄の「有り」は、化合物層が観察されたことを示す。「なし」は化合物層が観察されなかったことを示す。表中の「Xα」は式(2)で算出された値であり、「Xγ」は式(3)で算出された値である。「Fγ」はオーステナイト体積分率であり、式(4)で算出された値である。表5中の「NH3流量」欄には、アンモニアガス流量(リットル/分)が記載される。「有効体積あたりのNH3流量」欄には、有効体積1m3あたりのアンモニアガス流量(リットル/分)が記載される。以下、有効体積1m3当たりのアンモニアガス流量を、「流量F0」と称する。
2 浴槽
3 輪状試験片
4 ブロック試験片
5 接触面
6 摩耗痕
Claims (5)
- 質量%で、C:0.05〜0.42%、Si:0.05〜0.80%、Mn:0.40〜1.60%、P:0.05%以下、S:0.10%以下、Cr:0.05〜2.0%、Al:0.001〜0.050%及びN:0.003〜0.030%を含有し、残部はFeおよび不純物からなる鋼材を準備する工程と、
式(1)〜式(4)で定義されるオーステナイト体積分率Fγ(T)が0.10≦Fγ(T)≦0.60を満たし、かつ700℃以上である窒化処理温度T(℃)で、前記鋼材に対して窒化処理を行う工程と、
窒化処理後、前記鋼材を急冷する工程とを備える、窒化処理機械部品の製造方法。
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr (1)
Xα(T)=(910−T)/8394 (2)
Xγ(T)=(910+K−T)2/41209 (3)
Fγ(T)=(C−Xα)/(Xγ−Xα) (4)
ここで、式(1)及び式(4)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - 前記鋼材はさらに、Feの一部に替えて、
質量%で、Mo:0.60%以下、V:0.60%以下、Cu:0.60%以下及びNi:0.60%以下からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記窒化処理を行う工程では、前記式(1)に替えて、式(5)を利用してKを求める、請求項1に記載の窒化物処理機械部品の製造方法。
K=44.7×Si−30×Mn−11×Cr+31.5×Mo+104×V−20×Cu−15.2×Ni (5)
ここで、式(5)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - 前記鋼材はさらに、Feの一部に替えて、
質量%で、Ti:0.10%以下を含有する、請求項1又は請求項2に記載の窒化処理機械部品の製造方法。 - 前記鋼材はさらに、Feの一部に替えて、
質量%で、Ca:0.005%以下を含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化処理機械部品の製造方法。 - 前記窒化処理は、アンモニアガスを含む雰囲気の熱処理炉内で行い、
前記窒化処理を行う工程では、前記窒化処理温度T(℃)において予め求めた熱処理炉の有効体積に基づいて、前記窒化処理中の前記有効体積1m3あたりのアンモニアガス流量を{0.4+(T−700)×0.003}〜{3.0+(T−700)×0.03}リットル/分にする、請求項1〜請求項4に記載の窒化処理機械部品の製造方法。
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