JP2012036226A - 粘着性有機無機複合体ゲル、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが複合化して形成した三次元網目構造中に、大気中で60℃、且つ1気圧の開放系における1cm2当たり、毎時0.1g以下(0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下)の揮発性を示す水溶性の低揮発性化合物(C)及び/又は水を含有する粘着性有機無機複合ゲルであって、
該ゲルの表面全体又は一部にアミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を包含することを特徴とする粘着性有機無機複合ゲル。
【選択図】なし
Description
該ゲルの表面全体又は一部にアミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を包含することを特徴とする粘着性有機無機複合ゲルを提供するものである。
水溶性ラジカル重合性モノマーと、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水溶性の低揮発性化合物(C)及び/または水とを含む溶液を調製し、
該水溶性ラジカル重合性モノマーを重合することにより、該水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが形成する三次元網目中に該水溶性の低揮発性化合物(C)及び/または水を含有する有機無機複合ゲルを製造し、
該有機無機複合ゲルの表面全体又は一部にアミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を接触させることにより、該有機無機複合ゲルの表面全体又は一部に該アミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を包含させることを特徴とする粘着性有機無機複合ゲルの製造方法を提供するものである。
本発明の粘着性有機無機複合ゲルは上記のような効果を有するので、創傷被覆材、湿布剤、生体に貼付するサージカルテープ、心電図電極やその他センサー類の固定用テープ等の貼付材、剥離を目的とした工業用テープ等に用いることができる。
本発明で製造する有機無機複合ゲルは、水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と、水に均一分散可能な水膨潤性粘土鉱物(B)と、水とを必須の構成成分とし、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物が分子レベルで複合化された三次元網目の中に水溶性の低揮発性化合物(C)又は水を取り込んだゲルである。
本発明で使用する水溶性ラジカル重合性モノマーは、水に溶解する性質を有し、水に均一分散可能な水膨潤性粘土鉱物(B)と相互作用を有し、非共有結合を形成できるものが好ましく、例えば、粘土鉱物と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等を形成できる官能基を有するものが好ましい。これらの官能基を有する水溶性ラジカル重合性モノマーとしては、具体的には、アミド基、アミノ基、エステル基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する重合性不飽和基含有水溶性有機モノマーが挙げられ、なかでもアミド基やエステル基を有する重合性不飽和基含有水溶性有機モノマーが好ましい。特にアクリルアミド系モノマーが好ましい。
本発明で用いる水膨潤性粘土鉱物(B)は、水に膨潤し、好ましくは水によって層間が膨潤する性質を有するものが用いられる。より好ましくは少なくとも一部が水中で層状に剥離して分散できるものであり、特に好ましくは水中で1ないし10層以内の厚みの層状に剥離して均一分散できる層状粘土鉱物である。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。中でも水膨潤性ヘクトライトや水膨潤性サポナイトを用いると有機無機複合ゲルの透明性が優れ、好ましい。
本発明で使用する水溶性の低揮発性化合物(C)は、大気中60℃、且つ1気圧の開放系における1cm2当たり、毎時0.1g以下(0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下)の揮発性を示す化合物である。中でも水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)からなる三次元網目の中に均一に含まれるものが好ましく、揮発性が60℃・1気圧の開放系において1cm2・1時間当たり0.05g以下が好ましく、0.01g以下がより好ましく、0.001g以下のものが特に好ましい。最も好ましいのは、室温(10〜30℃)において殆ど揮発しないものである。また、人体に対して毒性を有さないものが好ましい。具体的には、グリセリン(0.001g以下/cm2・hr・60℃・1atm)(括弧内は揮発性)、ジグリセリン(0.001g以下/cm2・hr・60℃・1atm)、エチレングリコール(0.01g/cm2・hr・60℃・1atm)、プロピレングリコール(0.001g以下/cm2・hr・60℃・1atm)、ポリエチレングリコール(PEG400)(0.001g以下/cm2・hr・60℃・1atm)等が好ましく、これらから選ばれる一種または複数を用いるのが好ましい。より好ましくは、グリセリン及びジグリセリンであり、特に好ましくはグリセリンである。ちなみに水の揮発性は約0.28g/cm2・hr・60℃・1atmである。
アミド結合を有する水溶性有機高分子(D)としては、分子量150,000以下のポリ−N−ビニルアミド誘導体であることが好ましく、分子量4,000〜58,000がより好ましく、10,000〜34,000が特に好ましい。具体的な化合物としては、それぞれN−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドのホモポリマーであるポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)、ポリ−N−ビニルホルムアミド(PVFm)、ポリ−N−ビニルアセトアミド(PVAm)等が好ましく、産業上の入手のし易さや生物学的安全性の点からポリ−N−ビニルピロリドンがより好ましい。ここでいう分子量とは重量平均分子量であり、光散乱法によって求めた値である。また、ポリ−N−ビニルピロリドンにおいて、粘度指標であるK値は分子量4,000で10〜14、分子量10,000で16〜18、分子量58,000で29〜32である。
本発明の粘着性有機無機複合ゲルの具体的な製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(4)の工程を順次行なう製造方法がある。
(1)水溶性ラジカル重合性モノマーと水膨潤性粘土鉱物(B)とを水中、水溶性の低揮発性化合物(C)中、または水と水溶性の低揮発性化合物(C)の混合液中に分散させ、更に、重合開始剤及び触媒を混合させ反応液を調製する工程、
(2)前記反応液をガラス製密閉容器に充填し、重合させる工程
(3)前記重合により得られた有機無機複合ゲルに必要に応じて水溶性の低揮発性化合物(C)を包含させ、または、水分量を調整するために脱水乾燥する工程
(4)前記で得られる有機無機複合ゲルの表面全体又は一部表面にアミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を接触させることにより、該有機無機複合ゲルの表面全体又は一部に該アミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を包含させる工程
上記(1)における工程では、水溶性ラジカル重合性モノマーと水膨潤性粘土鉱物(B)とを水中、水溶性の低揮発性化合物(C)中、または水と水溶性の低揮発性化合物(C)の混合液中に入れ、均質混合溶液を調製した後、水溶性ラジカル重合性モノマーを重合させて、水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)との沈殿物やゲル状の有機無機複合ゲルを製造する。
(1)水を含有するが低揮発性媒体(C)を含有しない有機無機複合ヒドロゲル
(2)水を含有せずに低揮発性媒体(C)を含有する有機無機複合ゲル
(3)水と低揮発性媒体(C)を共に含有する有機無機複合ヒドロゲル
(重合開始剤および重合触媒)
工程(2)で水溶性ラジカル重合性モノマーを重合させる際に使用する重合開始剤および触媒としては、慣用のラジカル重合開始剤および触媒のうちから適宜選択して用いることができる。好ましくは水に分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが用いられる。特に好ましくは層状に剥離した粘土鉱物と強い相互作用を有するカチオン系ラジカル重合開始剤である。具体的には、重合開始剤として水溶性の過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えば、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501などが好ましく用いられる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有する水溶性のラジカル開始剤なども用いられる。
また触媒としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが用いられる。重合温度は、用いる水溶性有機高分子、重合触媒および開始剤の種類などに合わせて0℃〜100℃の範囲に設定する。
本発明の粘着性有機無機複合ゲルにおける水溶性のラジカル重合性有機モノマー重合体(A)に対する水膨潤性粘土鉱物(B)の質量比(B/A)は、0.05〜2.0であることが好ましく、より好ましくは、0.07〜1.0、特に好ましくは、0.1〜0.5である。
なお、本発明で使用する水としては、水単独以外に、水と混和する有機溶媒との混合溶媒であり、水を主成分とするものが含まれる。
水と混和する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
水溶性有機高分子(D)を有機無機複合ゲルの表面に包含させる方法は、以下に示す処理によって達成することが出来る。水溶性有機高分子(D)を水あるいは水溶性の低揮発性化合物(C)または水と水溶性の低揮発性化合物(C)の混合物に溶解した溶液をゲル表面に接触させ、ゲル内部へ含浸させる。水溶性有機高分子の溶液をゲル表面に接触させる方法としては、スプレー法、コーターを用いた塗布法などがあげられるが、必ずしも限定するものではなく、溶液粘度や塗布量によって最適な方法を選択することが出来る。
加熱処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、水溶性有機高分子(D)を含浸させた有機無機複合ゲルの表面に離型処理を施したセパレータフィルムを貼付し、該表面を加熱処理することによって有機無機複合ゲルの表面近傍に浸透した水溶性高分子(D)を水膨潤性粘土鉱物(B)に担持させることができる。
(実施例1)
内部を窒素置換した100mLの丸底フラスコに、純水30.2gとグリセリン18.6gからなる均一水溶液に、水膨潤性粘土鉱物(B)として1.2gのラポナイトXLG(ROCKWOOD社製)を加え、無色透明の溶液を調製した。この溶液を氷冷した後、N、N−ジメチルアミノアクリルアミド(DMAA;株式会社興人製)5.0gを添加し、次いで、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)20μLを加え、次いで、予め調製した2%ペルオキソ二硫化カリウム(KPS:関東化学株式会社製)水溶液1.25gを撹拌下で加えた。厚さ2mm、幅5mmのブチルゴムをスペーサとし、15cm×15cmのガラス板2枚を用いてゲルシート調製容器を作成した。反応溶液を窒素雰囲気下でゲルシート調製容器中に入れた。尚、ゲルシート調製容器内への溶液の導入は窒素雰囲気としたグローブボックス内で行った。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。得られたゲルは無色透明であり、十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。得られたゲルは、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)と水膨潤性粘土鉱物からなる三次元網目を有し、媒体の30質量%が低揮発性媒体(グリセリン)で残りの媒体が水からなる、柔らかさと強靱性を併せ持つ無色透明の有機・無機複合高分子ゲルであった。次いで、ゲルを60℃で一定質量になるまで乾燥することにより、水分が除去され、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)と水膨潤性粘土鉱物とグリセリンからなる均一透明な有機・無機複合高分子ゲルが得られた。得られたゲルの片面(196cm2)に、予め調製した3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液(平均分子量34,000;ISP社製)2.0gを塗布し、ゲル内部に浸透させた。塗布面にシリコンで離型処理されたポリエステルフィルム(PET、38μm)を貼付し、80℃で1時間保持することにより、ゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルが得られた。該ゲルはグリセリンのみ含有し、グリセリンの有機高分子に対する質量比率は3.0であった。また粘土鉱物の有機高分子に対する質量比率は0.24であった。
最初の均一水溶液として水とグリセリンの水溶液を用いる代わりに、水のみを48.8g用いる以外は、実施例1と同様にして、有機・無機複合高分子ヒドロゲルを調製した。得られた、均一透明なヒドロゲルシートを10cm×10cmにカットし、15cm×15cm角のポリスチレンケース内に入れ、85%グリセリン8.6gを上面から吸収させた。ポリスチレンケース内で1日間保持した。60℃で質量一定になるまで乾燥することにより、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)と水膨潤性粘土鉱物とグリセリンからなる有機・無機複合高分子ゲルが得られた。得られたゲルの片面(196cm2)に、予め調製した3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液(平均分子量34,000;ISP社製)2.0gを塗布し、ゲル内部に浸透させた。塗布面にシリコンで離型処理されたポリエステルフィルム(PET、38μm)を貼付し、80℃の熱風乾燥機内で1時間保持することにより、ゲル表面に粘着が付与された有機・無機複合高分子ゲルが得られた。該ゲルはグリセリンのみを含有し、グリセリンの有機高分子に対する質量比率は3.0であった。また粘土鉱物の有機高分子に対する質量比率は0.24であった。
3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液を0.6g(実施例3)、または6.7g(実施例4)を除き、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルを製造した。該ゲルはグリセリンのみ含有するゲルであった。
3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−12水溶液を(実施例5)、または3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−30水溶液を(実施例6)、または、3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−90水溶液を(実施例7)使用したことを除き、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルを製造した。該ゲルはグリセリンのみ含有するゲルであった。
水膨潤性粘土鉱物(ラポナイトXLG)と含浸させる85%グリセリンは、各々2.0gと9.6g(実施例8)、または2.8gと10.5g(実施例9)としたことを除き、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルを製造した。該ゲルはグリセリンのみ含有し、グリセリンの有機高分子に対する質量比率は3.0であった。また粘土鉱物の有機高分子に対する質量比率は0.4または0.56であった。
グリセリンを吸収させずヒドロゲルのままで3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液を包含させ、恒温恒湿器を用いて80℃、湿度95%条件で加熱処理したことを除き、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ヒドロゲルを製造した。該ゲルは水のみ含有するゲルである。
3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液を包含させた後の加熱処理条件を、熱風乾燥機を用いた80℃の代わりにオートクレーブを用いた80℃での湿熱加熱を除くと、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルが得られた。該ゲルはグリセリン及び水を含有し、グリセリンの有機高分子に対する質量比率は3.0、水分の有機高分子に対する質量比率は1.0であった。
調製した有機・無機複合高分子ヒドロゲルシート(10cm×10cm)に吸収させるグリセリンの代わりにポリエチレングリコール400(PEG400;三洋化成社製)を使用することを、および、3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液を包含させた後の加熱処理条件を、熱風乾燥機を用いる代わりにオートクレーブを用いた湿熱加熱で行うことを除くと、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルが得られた。該ゲルはグリセリン及び水を含有し、ポリエチレングリコール400の有機高分子に対する質量比率は3.0、水分の有機高分子に対する質量比率は1.0であった。
粘着性を発現させる為に包含させたポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液の代わりにポリ−N−ビニルホルムアミド水溶液を使用することを、包含させた後の加熱処理条件を、熱風乾燥機を用いる代わりにオートクレーブを用いた湿熱加熱で行うことを除くと、実施例2と同様にしてゲル表面に粘着性が付与された有機・無機複合高分子ゲルが得られた。該ゲルはグリセリン及び水を含有し、グリセリンの有機高分子に対する質量比率は3.0、水分の有機高分子に対する質量比率は1.0であった。
水膨潤性粘土鉱物の代わりにN,N−メチレンビスアクリルアミド0.21gを使用したことを除き、実施例1と同様にして無色透明な有機架橋高分子ゲルを製造した。
水膨潤性粘土鉱物の代わりにN,N−メチレンビスアクリルアミド0.21gを使用したことを除き、実施例2と同様にして無色透明な有機架橋高分子ゲルを製造した。
3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液を塗布しないことを除き、実施例1と同様にして有機・無機複合高分子ゲルを製造した。
3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液を塗布しないことを除き、実施例2と同様に有機・無機複合高分子ゲルを製造した。
3%ポリ−N−ビニルピロリドンK−25水溶液の代わりに、3%ポリビニルアルコール(ケン化度88%;日本合成化学社製EG−05)2.0gを(比較例5)、そして2%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液(HPMC;信越化学社製メトローズSH−60SH−15)3.0gを(比較例6)使用したことを除き、実施例2と同様にして有機・無機複合高分子ゲルを製造した。
人皮膚に対する粘着力を測定するため、実施例及び比較例の試験片1の粘着面を人皮膚に貼付し、5分間静置後、JIS−Z0237の測定条件に準じて90度剥離粘着力を測定した。結果を表1及び表2に示す。
上記、実施例1〜11と比較例1〜6の高分子ゲルを、40mm角に切り出してサンプル片とした。あらかじめ水洗し、清潔なタオルで水分を拭き取った人の内腕にサンプル片を貼付し、5分静値した後、ゲルを剥ぎ取り、皮膚表面への糊残り物の有無を評価した。この結果を表1及び表2に示す。
実施例11の試料について、モニターテストにより皮膚に対する刺激性を調べた。
無作為に抽出した年齢18〜40歳の女性10名を被験者にし、実施例11の試料と市販のアクリル粘着剤を付したポリウレタン製フィルムドレッシング材をそれぞれ左右の内腕部に貼付し、3時間後の皮膚の状態を以下の評価基準に基づいて評価した。結果を表3に示す。
0 : 紅斑なし
1 : 極く軽度の紅斑
2 : 明らかな紅斑
3 : 中程度から強い紅斑
Claims (8)
- 水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが複合化して形成した三次元網目構造中に、大気中で60℃、且つ1気圧の開放系における1cm2当たり、毎時0.1g以下(0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下)の揮発性を示す水溶性の低揮発性化合物(C)及び/または水を含有する粘着性有機無機複合ゲルであって、
該ゲルの表面全体又は一部にアミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を包含することを特徴とする粘着性有機無機複合ゲル。 - 前記水溶性の低揮発性化合物(C)が、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチエレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールから選ばれる一種以上である請求項1記載の粘着性有機無機複合ゲル。
- 前記低揮発性媒体(C)と重合体(A)との質量比(C)/(A)が0.1〜10である請求項1又は2記載の粘着性有機無機複合ゲル。
- 前記水溶性ラジカル重合性モノマーが、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体及びN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の粘着性有機無機複合ゲル。
- 前記アミド結合を有する水溶性有機高分子(D)が、分子量150,000以下のポリ−N−ビニルアミド誘導体である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着性有機無機複合ゲル。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着性有機無機複合ゲルを用いた医療用部材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着性有機無機複合ゲルを用いた貼付剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着性有機無機複合ゲルの製造方法であって、
水溶性ラジカル重合性モノマーと、水膨潤性粘土鉱物(B)と、水溶性の低揮発性化合物(C)及び/または水とを含む溶液を調製し、
該水溶性ラジカル重合性モノマーを重合することにより、該水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが形成する三次元網目中に該水溶性の低揮発性化合物(C)及び/または水を含有する有機無機複合ゲルを製造し、
該有機無機複合ゲルの表面全体又は一部にアミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を接触させることにより、該有機無機複合ゲルの表面全体又は一部に該アミド結合を有する水溶性有機高分子(D)を包含させることを特徴とする粘着性有機無機複合ゲルの製造方法。
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