JP2012035544A - 熱成形用ガスバリア性積層体 - Google Patents

熱成形用ガスバリア性積層体 Download PDF

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雅之 樫村
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Abstract

【課題】高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器を成形することが可能な熱成形用積層体を提供すること。
【解決手段】ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層(A)と、層(A)の一方の面に配置された、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層(B)と、層(A)の他方の面に配置された、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層(C)とを備えるガスバリア層前駆体が、熱成形可能な基材に直に、又はアンカーコート層を介して積層されていることを特徴とする熱成形用ガスバリア性積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱成形用ガスバリア性積層体に関する。
従来、ガスバリア性重合体としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体に代表される分子内に親水性の高い高水素結合性基を含有する重合体が用いられていた。しかしながら、これらの重合体は、乾燥条件下においては、非常に優れた酸素等のガスバリア性を有する一方で、高湿度条件下においては、その親水性に起因して酸素等のガスバリア性が大きく低下するという問題があった。
このような問題を解決するために、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有する塗料を用いて形成されたガスバリア層が提案されている。例えば、特開2007−112114号公報(特許文献1)、特開2007−112115号公報(特許文献2)、特開2007−112116号公報(特許文献3)には、プラスチック基材(I)に直に、又はアンカーコート層を介して基材上に、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有するガスバリア層形成用塗料から形成されるガスバリア層(II)と、2価以上の金属化合物を少なくとも含有する塗料から形成されるオーバーコート層(III)とからなり、(I)(II)(III)の順に積層されたガスバリア性積層体が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載のガスバリア性積層体は、それ自体はガスバリア性に優れたものであるが、これらに熱成形を施してもガスバリア性に優れた熱成形容器を得ることは困難であった。
特開2007−112114号公報 特開2007−112115号公報 特開2007−112116号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器を成形することが可能な熱成形用積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層及び多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層を備えるガスバリア層前駆体が、熱成形可能な基材に直に、又はアンカーコート層を介して積層されている熱成形用ガスバリア性積層体において、前記ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層を、ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層の一方の面に配置し、他方の面には前記多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層を配置することによって、前記熱成形用ガスバリア性積層体を熱成形して得られる熱成形容器が、高温高湿処理によって高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体は、ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層(A)と、層(A)の一方の面に配置された、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層(B)と、層(A)の他方の面に配置された、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層(C)とを備えるガスバリア層前駆体が、熱成形可能な基材に直に、又はアンカーコート層を介して積層されていることを特徴とするものである。
本発明の熱成形用ガスバリア性積層体において、前記ポリカルボン酸系重合体としては、ポリ(メタ)アクリル酸及びエチレン−マレイン酸共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体が好ましく、前記水酸基を有する可塑剤としては、(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、ポリビニルアルコール及び糖類からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤が好ましい。
また、前記層(C)としては、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂とを含有し、且つ溶媒として有機溶媒のみを含有する塗工液を用いて形成されたものが好ましく、前記層(C)を形成するバインダ樹脂としては、前記層(A)を形成する樹脂と同一の樹脂が好ましい。
なお、本発明によって、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器を成形することが可能な熱成形用ガスバリア性積層体が得られる理由については必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、特許文献1〜3に記載のガスバリア性積層体においては、ガスバリア層(II)を形成する際に、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有するガスバリア層形成用塗料を塗布した後、熱処理を施すことによってエステル結合を形成させ、ガスバリア層に緻密な架橋構造を形成している。また、オーバーコート層(III)を形成する際、2価以上の金属化合物を少なくとも含有する塗料を塗布した後、熱処理を施すことによって2価以上の金属化合物とガスバリア層(II)中のポリアルコール系ポリマー又はポリカルボン酸系ポリマーとの架橋反応を進行させているが、ガスバリア層(II)とオーバーコート層(III)が隣接している場合、オーバーコート層(III)中の2価以上の金属イオンは常温でもガスバリア層(II)に移動するため、前記架橋反応が進行し、ガスバリア層中の架橋構造が更に緻密なものとなる。その結果、特許文献1〜3に記載のガスバリア性積層体においては、優れたガスバリア性を備えているものの、ガスバリア層の成形性が既に損なわれているため、熱成形を施すと、ガスバリア層に割れが発生し、十分なガスバリア性を有する熱成形容器が得られないと本発明者らは推察する。
これに対して、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体においては、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層(B)を形成する際に、高温での熱処理を施さないため、前記層(B)中にはエステル結合は生成しない。また、ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層(A)の一方の面に前記層(B)を配置し、他方の面に多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層(C)を配置しているため、前記層(C)から前記層(B)への多価金属イオンの高温高湿処理前の移動が抑制され、前記多価金属イオンと前記ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基との間のイオン結合の形成(イオン結合反応)が抑制されると推察される。このように、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体においては、エステル結合やイオン結合の生成は抑制されるため、成形性が低下せず、熱成形を施して熱成形容器を製造することが可能になると推察される。そして、このような熱成形容器は、未だ、ガスバリア性を備えていないが、高温高湿処理を施すことによって優れたガスバリア性を発現する。すなわち、多価金属イオンは高温高湿処理によって樹脂中を移動しやすくなるため、前記熱成形容器に高温高湿処理を施すと、前記層(C)中の多価金属イオンは、前記層(A)を介して前記層(B)に移動し、前記ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基との間でイオン結合を形成する。その結果、前記層(B)はガスバリア性に優れた層となり、前記熱成形容器は、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有するものとなると推察される。
本発明によれば、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器を成形することが可能な熱成形用積層体を得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の熱成形用ガスバリア性積層体について説明する。本発明の熱成形用ガスバリア性積層体は、ガスバリア層前駆体が、熱成形可能な基材に直に、又はアンカーコート層を介して積層されたものである。
<ガスバリア層前駆体>
本発明にかかるガスバリア層前駆体は、ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層(A)と、層(A)の一方の面に配置された、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層(B)と、層(A)の他方の面に配置された、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層(C)とを備えるものである。
(A)ポリエステル系ポリウレタン樹脂および/またはポリエステル系樹脂からなる層
本発明にかかる層(A)は、ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層である。このような樹脂は、後述する層(B)及び層(C)に対する接着性に優れている樹脂であるとともに、層(C)中の多価金属イオンが層(B)に高温高湿処理前に移動することを抑制することができる樹脂である。
このような層(A)の厚さは、厚みが0.01〜2μmの範囲であることが必要である。層(A)の厚みが0.01μm未満では、得られる積層体の熱成形前におけるイオン結合反応の抑制が不十分となり、他方、2μmを超えると、得られる熱成形容器のガスバリア性が不十分となる。なお、このような層(A)の厚さとしては、厚みが0.05〜1μmの範囲であることが好ましく、0.1〜0.5μmの範囲であることがより好ましい。
(B)ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層
本発明にかかる層(B)は、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層である。そして、本発明にかかるポリカルボン酸系重合体は、ポリカルボン酸系の重合性単量体が重合したものであり、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体である。具体的には、重合性単量体として、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸を用いた単独重合体、それらのうちの少なくとも2種を用いた共重合体、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体、更にアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類を例示することができる。これらのポリカルボン酸系重合性単量体は1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
ここで、前記α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が代表的なものである。またそれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレン等が挙げられる。また、これらのポリカルボン酸系重合体が、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類との共重合体の場合には、更にケン化することにより、飽和カルボン酸ビニルエステル部分をビニルアルコールに変換して使用することができる。
また、本発明にかかるポリカルボン酸系重合体が、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である場合には、得られるガスバリア層のガスバリア性及び高温水蒸気や熱水に対する耐性の向上という観点から、その共重合組成はα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体組成が、好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上である。このようなα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体としてはエチレン−マレイン酸共重合体が好ましい。また、得られるガスバリア層のガスバリア性の向上という観点から、本発明にかかるポリカルボン酸系重合体としては、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体を用いることが最も好ましい。さらに、これらのポリカルボン酸系重合体がα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の場合には、その好適な具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合によって得られる重合体、及びそれらの混合物が挙げられる。そして、このようなα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合によって得られる重合体、及び/又はそれらの混合物が用いることがより好ましく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、及びそれらの混合物を用いることが最も好ましい。また、これらのポリカルボン酸系重合体がα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体の重合体以外の例えば、酸性多糖類の場合には、アルギン酸を好ましく用いることができる。
また、本発明にかかるポリカルボン酸系重合体は、1価及び/又は2価の金属化合物で部分的に中和されていてもよい。このような金属化合物に含有される金属としては、ナトリウム、カルシウム、亜鉛等が挙げられる。そして、このような金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの金属化合物の添加量は、成形性を損なうことのない量であればよく特に限定されないが、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の含有量に対して0.3化学当量以下であることが好ましい。
さらに、このようなポリカルボン酸系重合体の数平均分子量については特に限定されないが、有機薄膜の形成性の観点から、2,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、更に5,000〜500,000であることが好ましい。
本発明にかかる水酸基を有する可塑剤(以下、単に「可塑剤」ともいう。)としては、公知の水酸基を有する可塑剤から適宜選択して使用することが可能である。このような可塑剤としては、ポリアルコールが好ましく用いられる。このような可塑剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、へキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等のグリコール類;ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、エリトリトール、プルラン等の糖類;グリセリン、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール、乳酸を例示することができる。これらの中でも、得られる積層体の成形性と得られる熱成形容器のガスバリア性の観点から、グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、糖類等がより好ましい。これらの可塑剤は1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
本発明にかかる層(B)においては、前記ポリカルボン酸系重合体と前記可塑剤との質量比(ポリカルボン酸系重合体/可塑剤)が、99.9/0.1〜70/30の範囲であることが好ましく、99/1〜80/20の範囲であることがより好ましく、95/5〜85/15の範囲であることが特に好ましい。質量比が前記範囲にあることにより、得られる積層体の成形性と得られる熱成形容器のガスバリア性を両立することができる。すなわち、層(B)中のポリカルボン酸系重合体と、後述する層(C)中の多価金属イオンとの間にイオン結合を形成させて安定したガスバリア性を発現させることができる。また、層(B)中に可塑剤が存在することにより、熱成形時に層(B)を基材に追従させることができ、さらには後述する層(A)及び層(C)の熱成形を補助することができる。
また、このような層(B)の厚さは、厚みが0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜5μmの範囲であることがより好ましく、0.1〜2μmの範囲であることが特に好ましい。層(B)の厚みが前記下限未満では成膜が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、多価金属イオンとのイオン結合反応が厚み方向に均一に進行しにくくなるために、得られる熱成形容器のガスバリア性が不十分となる傾向にある。
(C)多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層
本発明にかかる層(C)は、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層である。そして、本発明にかかる多価金属化合物は、前記ポリカルボン酸系重合体とイオン結合を形成させるためのものである。このような多価金属化合物に含有される金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属;チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の遷移金属;アルミニウムを挙げることができる。
また、このような多価金属化合物は、前記金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩;その他、前記金属のアンモニウム錯体や多価金属の2〜4級アミン錯体とそれら錯体の炭酸塩や有機酸塩等が挙げられる。前記有機酸塩としては、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、ステアリン酸塩、モノエチレン性不飽和カルボン酸塩等が挙げられる。前記無機酸塩としては、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等を挙げることができる。それ以外には前記金属のアルキルアルコキシド等を挙げることができる。
このような多価金属化合物は1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。また、このような多価金属化合物の中でも、得られる熱成形容器のガスバリア性、防湿性及び製造性の向上という観点から、2価の金属化合物が好ましく用いられる。更に、このような多価金属化合物の中でも、アルカリ土類金属、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩又はアルカリ土類金属、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛のアンモニウム錯体或いは前記錯体の炭酸塩を用いることが好ましく、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、銅、亜鉛の各酸化物、水酸化物、炭酸塩、及びジルコニウム、銅、ニッケル若しくは亜鉛のアンモニウム錯体とその錯体の炭酸塩を用いることがより好ましい。
なお、本発明にかかる層(C)にイオン結合の形成に関与しない多価金属化合物が存在する場合には、得られる積層体の透明性の観点で多価金属化合物は、粒状で、その粒径が小さい方が好ましい。また、後述するように本発明にかかる層(C)を形成させる場合には塗工液を用いることが好ましいが、このような塗工液をより効率よく、且つ確実に調製するという観点で多価金属化合物は粒状で、その粒径は小さい方が好ましい。このような多価金属化合物の平均粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
本発明にかかる分散剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
本発明にかかるバインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等であって、接着剤や塗料として用いられている樹脂を好適に使用することができる。このようなバインダ樹脂としては、前記層(A)を形成する樹脂と同一の樹脂がより好ましい。これにより、熱成形時に前記層(A)を前記層(C)に追従させやすくして、得られる積層体の成形性を向上させることができる。
なお、本発明にかかるバインダ樹脂は、主剤となる樹脂の他に必要に応じて硬化剤を添加し、これらを反応させたものでもよい。このような硬化剤としては、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ポリアミン等の公知の樹脂を挙げることができる。
本発明にかかる層(C)においては、前記多価金属化合物と前記バインダ樹脂との質量比(多価金属化合物/バインダ樹脂)が65/35〜92/8の範囲であることが好ましく、70/30〜92/8の範囲であることがより好ましく、75/25〜92/8の範囲であることが特に好ましい。質量比が前記下限未満では、得られる熱成形容器のガスバリア性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる積層体の成形性が乏しくなる傾向にある。
また、このような層(C)の厚さは、厚みが0.05〜10μmの範囲であることが好ましく、0.1〜5μmの範囲であることがより好ましく、0.2〜3μmの範囲であることが特に好ましい。層(B)の厚みが前記下限未満では、得られる熱成形容器のガスバリア性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成形性が乏しくなる傾向にある。
<基材>
本発明にかかる基材は、熱成形が可能なものであって、前記ガスバリア層前駆体を直に、又は後述するアンカーコート層を介して積層させるための支持体となるものであり、未延伸のものでも延伸されたものでもよい。
このような基材の材料としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体やそれらの共重合体及びその酸変性物;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系重合体やその共重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6,66共重合体、ナイロン6,12共重合体、メタキシレンアジパミド・ナイロン6共重合体等のポリアミド系重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の塩素系及びフッ素系重合体やその共重合体を用いることができる。これらの中でも、包装材料として使用するという観点から、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体が好ましい。
また、このような基材の形態としては、熱成形が可能なものであれば特に限定されず、延伸又は未延伸のシート、延伸又は未延伸フィルム等の形態で用いることができる。更に、このような基材の厚さは特に限定されないが、厚みが5〜500μmの範囲であることが好ましく、10〜300μmの範囲であることがより好ましい。基材の厚みが前記下限未満では、基材が切れ易くなる等の塗工性の問題が生ずる傾向にあり、他方、前記上限を超えると基材の剛性が高すぎるために二次加工や内容物の充填におけるハンドリング性に問題が生ずる傾向にある。
<アンカーコート層>
本発明にかかるアンカーコート層は、必要に応じて前記基材の少なくとも片面に形成された層であって、アンカーコート剤を含有する層である。このようなアンカーコート層を設けることによって、前記基材と前記ガスバリア層前駆体との層間接着強度を高めることが可能となる。
前記アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、耐熱性及び層間接着強度の観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
また、このようなアンカーコート層の厚さは特に限定されないが、この厚みが0.01〜5μmの範囲であることが好ましく、0.05〜2μmの範囲であることがより好ましく、0.1〜1μmの範囲であることが特に好ましい。アンカーコート層の厚みが前記下限未満では、層間接着強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると所望のガスバリア性が発現しない傾向にある。
(ガスバリア層前駆体)
本発明にかかるガスバリア層前駆体においては、前記層(A)の一方の面に前記層(B)が、他方の面に前記層(C)が配置されている必要がある。これにより、前記層(C)中の多価金属イオンが前記層(B)に移動することを抑制することができ、前記多価金属イオンと前記ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基との間にイオン結合が形成されること(イオン結合反応)を抑制することができる。そのため、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体は熱成形することが可能であり、高温高湿処理を施すことによりガスバリア性に優れた熱成形容器を得ることができる。
また、このようなガスバリア層前駆体は、前記層(A)、前記層(B)及び前記層(C)のうちのいずれか1つ以上の層を複数備える積層体であってもよい。ここで、このようなガスバリア層前駆体の積層態様の例を示す。ただし、これらはあくまでも例示であって、本発明にかかるガスバリア層前駆体はこれらのみに限定されるものではない。
1:(B)/(A)/(C)、
2:(A)/(B)/(A)/(C)、
3:(A)/(C)/(A)/(B)、
4:(B)/(A)/(C)/(A)、
5:(A)/(B)/(A)/(C)/(A)
さらに、このようなガスバリア層前駆体においては、得られる熱成形容器のガスバリア性の観点から、前記ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の含有量(At)と前記多価金属化合物の含有量(Bt)の化学当量比(Bt/At)が0.2以上であることが好ましく、0.5〜10の範囲であることがより好ましい。さらに、上記観点に加え、得られる積層体の成形性や透明性の観点から、前記化学当量比(Bt/At)が0.8〜5の範囲であることが特に好ましい。
<熱可塑性樹脂からなる層>
本発明の熱成形用ガスバリア性積層体においては、前記ガスバリア層前駆体及び/または前記基材の表面に、必要に応じて熱可塑性樹脂からなる層を配置してもよい。このような熱可塑性樹脂からなる層は、熱成形用ガスバリア性積層体への耐磨耗性付与、光沢性付与、ヒートシール性付与、強度付与、防湿性付与等の目的に併せて適宜配置される層である。また、このような熱可塑性樹脂としては、前記基材の材料と同様のものを挙げることができる。さらに、このような熱可塑性樹脂は、上記の目的に併せて適宜選択して用いることができる。なお、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体においては、上記の目的に併せて2層以上の熱可塑性樹脂からなる層を備えていてもよい。
また、このような熱可塑性樹脂からなる層の厚さとしては、厚みが1〜1000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、5〜300μmであることが特に好ましく、5〜200μmであることが最も好ましい。
<熱成形用ガスバリア性積層体>
本発明の熱成形用ガスバリア性積層体は、前述した熱成形可能な基材と、前述したガスバリア層前駆体と、必要に応じて前述した熱可塑性樹脂からなる層とを備えるものである。このような熱成形用ガスバリア性積層体は、成形性を有し、熱成形を施すことによって熱成形容器を得ることができるものである。また、このような熱成形用ガスバリア性積層体を熱成形してなる熱成形容器は、ボイル処理、レトルト処理等の高温高湿処理を施すことによって、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器となる。したがって、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体は、ボイル処理、レトルト処理等の高温高湿処理を施す必要がある熱成形容器に用いる積層体として特に有用である。
<熱成形用ガスバリア性積層体を製造する方法>
次に、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体を製造する方法について説明する。本発明の熱成形用ガスバリア性積層体を製造する方法としては、前記層(A)、前記層(B)、前記層(C)、及び必要に応じて前記アンカーコート層を形成するための塗工液を調製する工程と、前記基材に直に、又はアンカーコート層を介して前記ガスバリア層前駆体が形成されるように、前記基材に順次調製した塗工液を塗工及び乾燥する工程と、必要に応じて前記ガスバリア層前駆体の表面に熱可塑性樹脂フィルムを積層させて熱可塑性樹脂からなる層を形成する工程とを含む方法を挙げることができる。
前記塗工液を調製する工程においては、前記層(A)、前記層(B)、前記層(C)、及び必要に応じて前記アンカーコート層を形成するための塗工液を調製する。このような塗工液を調製する方法としては、前記層(A)、前記層(B)、前記層(C)、及び前記アンカーコート層の材料を溶媒に溶解又は分散せしめる方法を挙げることができる。
前記層(A)および前記層(B)を形成するために用いられる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶媒を挙げることができる。また、このような塗工液の固形分濃度としては、塗工適性の観点から、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、2〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
また、前記層(C)を形成するために用いられる溶媒は水以外の溶媒である必要があり、このような溶媒としては、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒が好ましい。これにより、高温高湿処理前に前記層(C)における多価金属イオンの生成を抑制することができ、前記層(C)から前記層(B)への多価金属イオンの移動を抑制することが可能となる。その結果、前記多価金属イオンと前記ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基との間にイオン結合が形成されること(イオン結合反応)を抑制することができる。
前記塗工液を塗工及び乾燥する工程においては、上記のようにして調製された塗工液を前記基材に順次塗工及び乾燥することにより、前記基材に直に、又は前記アンカーコート層を介して前記ガスバリア層前駆体を形成させる。より具体的には、先ず、前記基材の表面に、必要に応じて前記アンカーコート層用の塗工液を塗工及び乾燥してアンカーコート層を形成させる。そして、前記基材又は前記アンカーコート層の表面に前記層(B)用の塗工液を塗工及び乾燥して層(B)を形成させた後に、前記層(A)用の塗工液を塗工及び乾燥して層(A)を形成させ、その後、前記層(C)用の塗工液を塗工及び乾燥して層(C)を形成させることによって、前記層(A)の一方の面に前記層(B)が配置され、他方の面に前記層(C)が配置されたガスバリア層前駆体を形成させることができる。また、本発明にかかるガスバリア層前駆体においては、前記基材上又は前記アンカーコート層上に、前記層(C)、前記層(A)及び前記層(B)の順に各層を形成してもよい。
このように塗工液を塗工する方法としては、公知の塗工方法が特に制限なく使用可能であり、浸漬法(ディッピング法);スプレー、コーター、印刷機、刷毛等を用いる方法が挙げられる。また、これらの方法に用いられるコーター及び印刷機の種類並びにそれらの塗工方式としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を挙げることができる。
また、塗工液の塗布量としては、所望する層の厚みにより異なり特に限定されないが、塗工液を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が0.01〜5g/mであることが好ましく、0.03〜3g/mであることがより好ましい。このように塗工液を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が前記下限未満では、成膜が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると乾燥が不十分で溶剤が残留しやすくなる傾向にある。
さらに、前記塗工液を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、自然乾燥による方法や、所定の温度に設定したオーブン中で乾燥させる方法、前記コーター付属の乾燥機、例えばアーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等を用いる方法を挙げることができる。さらに、乾燥の条件としては、乾燥させる方法により適宜選択することできるが、例えばオーブン中で乾燥させる方法においては、温度60〜120℃にて、1秒間〜5分間程度乾燥することが好ましい。特に、前記層(B)を形成する場合の乾燥温度が前記上限を超えると、前記層(B)においてポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との間でエステル結合が形成され、熱成形用ガスバリア性積層体の成形性が低下する傾向にある。
本発明の熱成形用ガスバリア性積層体においては、このようにして形成されたガスバリア層前駆体の表面に、必要に応じて熱可塑性樹脂からなる層を積層することができる。熱可塑性樹脂フィルムを積層させる方法としては特に制限されず、適宜公知の方法を用いることができ、ドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、ホットメルトラミネート法等を挙げることができる。
<熱成形容器>
本発明の熱成形用ガスバリア性積層体に熱成形を施すことによって熱成形容器を製造することができる。前記熱成形としては、延伸成形、絞り成形などが挙げられる。この熱成形容器は、高温高湿処理を施すことにより、前記層(C)中の多価金属イオンが前記層(A)を介して前記層(B)に移動し、前記多価金属イオンと前記ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基との間にイオン結合を形成させることが可能となる。その結果、優れたガスバリア性を有する熱成形容器を得ることができる。
このような高温高湿処理とは、前記熱成形容器を高温高湿の雰囲気下や熱水に曝す処理のことをいう。このような高温高湿処理において、処理温度としては80℃以上(より好ましくは90℃以上)であることが好ましい。また、処理時間はとしては、処理温度にもよるが5分以上(より好ましくは10分以上)であることが好ましい。さらに、前記熱成形容器を高温高湿の雰囲気下に曝す場合においては、相対湿度が90%以上であることが好ましい。このような高温高湿処理として、前記熱成形容器にボイル処理、レトルト処理等の加熱殺菌処理を施すことが好ましい。
前記熱成形容器においては、高温高湿処理後の温度20℃、相対湿度80%における酸素透過度が50cm(STP)/(m・day・MPa)以下であることが好ましく、30cm(STP)/(m・day・MPa)以下であることがより好ましく、20cm(STP)/(m・day・MPa)以下であることが特に好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
ポリエステル系ポリオール(三井化学(株)製「タケラックA−525」、固形分濃度50質量%)と脂肪族イソシアネート系硬化剤(三井化学(株)製「タケネートA−52」、固形分濃度70質量%)とを質量比(主剤/硬化剤)=9/1で混合し、この混合物を酢酸エチルで希釈して固形分濃度5質量%の塗工液(A−1)を得た。
(調製例2)
ポリエステル系樹脂(ユニチカ(株)製「エリーテルUE−3210」、ペレット状)を酢酸エチルに溶解し、固形分濃度5質量%の塗工液(A−2)を得た。
(調製例3)
ポリアクリル酸水溶液(東亞合成(株)製「アロンA−10H」、数平均分子量200000、濃度25質量%)とグリセリンとを固形分の質量比(ポリアクリル酸/グリセリン)=9/1で混合し、この混合物を蒸留水で希釈して固形分濃度5質量%の塗工液(B−1)を得た。
(調製例4)
エチレン−マレイン酸共重合体(重量平均分子量60000)とグリセリンとを固形分の質量比(エチレン−マレイン酸共重合体/グリセリン)=9/1で混合し、この混合物を蒸留水で希釈して固形分濃度5質量%の塗工液(B−2)を得た。
(調製例5)
グリセリンの代わりにエチレングリコールを用いた以外は調製例3と同様にして固形分濃度5質量%の塗工液(B−3)を得た。
(調製例6)
グリセリンの代わりにポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール(株)製「JF−03」(ケン化度98〜99%、平均重合度300)を水に溶解させて濃度10質量%の水溶液としたもの)を用いた以外は調製例3と同様にして固形分濃度5質量%の塗工液(B−4)を得た。
(調製例7)
グリセリンの代わりにプルラン((株)林原商事製)を用いた以外は調製例3と同様にして固形分濃度5質量%の塗工液(B−5)を得た。
(調製例8)
酸化亜鉛(堺化学工業(株)製「FINEX−30」、平均粒子径35nm)の酢酸エチル懸濁液とポリエステル系ポリオール(三井化学(株)製「タケラックA−525」、固形分濃度50質量%)と分散剤(ソルビタン脂肪酸エステル)とを固形分の質量比(酸化亜鉛/主剤/分散剤)=56/34/10で混合した。この混合物を酢酸エチルで希釈して固形分濃度を20質量%に調整して撹拌した後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製「P−7」)を用いて酸化亜鉛を分散させた。得られた酸化亜鉛分散液に脂肪族イソシアネート系硬化剤(三井化学(株)製「タケネートA−52」、固形分濃度70質量%)を、酸化亜鉛分散液中の主剤と前記硬化剤との固形分での質量比(主剤/硬化剤)が6/4となるように添加し、酢酸エチルで希釈して固形分濃度10質量%の塗工液(C)を得た。
(実施例1)
先ず、厚み20μmのナイロンフィルム(東レフィルム加工(株)製「レイファン1401」)の一方の面に、バーコーター(K303 PROOFER;RK Print−Coat Instruments社製)を用いて、調製例3で得られた塗工液(B−1)を塗工し、70℃で5分間乾燥させて層(B−1)を形成させた。得られた層(B−1)の厚みは0.6μmであった。
次に、層(B−1)の表面に、上記バーコーターを用いて、調製例1で得られた塗工液(A−1)を塗工し、70℃で2分間乾燥させて層(A−1)を形成させた。得られた層(A−1)の厚みは0.2μmであった。その後、層(A−1)の表面に、上記バーコーターを用いて、調製例8で得られた塗工液(C)を塗工し、70℃で2分間乾燥させて層(C)を形成させた。得られた層(C)の厚みは0.8μmであった。
このようにして得られた熱成形用ガスバリア性積層体のナイロンフィルム側の表面と層(C)側の表面に、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の接着剤(三井化学(株)製、主剤:タケラックA−620、硬化剤:タケネートA−65、溶剤:酢酸エチル)を介して、厚み100μmの未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムをドライラミネート法により接着し、CPP/接着剤/熱成形用ガスバリア性積層体/接着剤/CPPからなるラミネートフィルムを得た。
(実施例2)
塗工液(A−1)の代わりに調製例2で得られた塗工液(A−2)を塗工して層(A−2)を形成した以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。なお、得られた層(A−2)の厚みは0.2μmであった。
(実施例3)
先ず、厚み20μmのナイロンフィルム(東レフィルム加工(株)製「レイファン1401」)の一方の面に、バーコーター(K303 PROOFER;RK Print−Coat Instruments社製)を用いて、調製例1で得られた塗工液(A−1)を塗工し、70℃で2分間乾燥させて層(A−1)を形成させた。得られた層(A−1)の厚みは0.4μmであった。
次に、層(A−1)の表面に層(B−1)を実施例1と同様にして形成させた後、層(B−1)の表面に層(A−1)を、さらに層(A−1)の表面に層(C)を、実施例1と同様にして形成させた。得られた層(B−1)、層(A−1)および層(C)の厚みは、それぞれ0.6μm、0.2μmおよび0.8μmであった。
このようにして得られた熱成形用ガスバリア性積層体の両面に、実施例1と同様にして、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の接着剤を介して未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを接着し、ラミネートフィルムを得た。
(実施例4)
塗工液(B−1)の代わりに調製例4で得られた塗工液(B−2)を塗工して層(B−2)を形成した以外は実施例3と同様にしてラミネートフィルムを得た。なお、得られた層(B−2)の厚みは0.6μmであった。
(実施例5)
塗工液(B−1)の代わりに調製例5で得られた塗工液(B−3)を塗工して層(B−3)を形成した以外は実施例3と同様にしてラミネートフィルムを得た。なお、得られた層(B−3)の厚みは0.6μmであった。
(実施例6)
塗工液(B−1)の代わりに調製例6で得られた塗工液(B−4)を塗工して層(B−4)を形成した以外は実施例3と同様にしてラミネートフィルムを得た。なお、得られた層(B−4)の厚みは0.6μmであった。
(実施例7)
塗工液(B−1)の代わりに調製例7で得られた塗工液(B−5)を塗工して層(B−5)を形成した以外は実施例3と同様にしてラミネートフィルムを得た。なお、得られた層(B−5)の厚みは0.6μmであった。
(実施例8)
先ず、実施例3と同様にして、ナイロンフィルムの一方の面に層(A−1)を形成させた。得られた層(A−1)の厚みは0.4μmであった。その後、層(A−1)の表面に層(C)を、次いで層(C)の表面に層(A−1)を、さらに層(A−1)の表面に層(B−1)を実施例1と同様にして形成させた。得られた層(C)、層(A−1)および層(B−1)の厚みは、それぞれ0.8μm、0.2μmおよび0.6μmであった。
このようにして得られた熱成形用ガスバリア性積層体の両面に、実施例1と同様にして、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の接着剤を介して未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを接着し、ラミネートフィルムを得た。
(比較例1)
層(A−1)を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較用のラミネートフィルムを得た。
<熱成形容器の作製>
実施例1〜8および比較例1で得られたラミネートフィルムを深絞り型高速自動真空包装機(大森機械工業(株)製「FV−603型」)を用いて、直径φ90mm、深さ40mmに成形して熱成形容器を得た。
<酸素透過度の測定>
先ず、得られた熱成形容器に、高温高湿処理として、レトルト処理機((株)日阪製作所製「RCS−60」)を用いて、温度120℃で30分間のレトルト処理(貯湯式)を施して試料を得た。次に、得られた試料について、酸素透過試験器(Modern Control社製「OX−TRAN(R)2/20」)を用いて、容器外側の雰囲気を温度20℃、50%相対湿度(RH)、容器内側の雰囲気を温度20℃、80%相対湿度(RH)とした場合の酸素透過度を測定した。得られた測定値を、雰囲気中の酸素濃度(20%)及び容器表面積(0.018m)の値を用いて換算して、酸素濃度100%、表面積1mにおける酸素透過度〔単位:cm(STP)/(m・day・MPa)〕の値を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2012035544
表1に示した結果から明らかなように、本発明の熱成形用ガスバリア性積層体(実施例1〜8)を用いることによって、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、高湿度雰囲気下においても優れたガスバリア性を有する熱成形容器を成形することが可能な熱成形用ガスバリア性積層体を提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. ポリエステル系ポリウレタン樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層(A)と、層(A)の一方の面に配置された、ポリカルボン酸系重合体と水酸基を有する可塑剤との混合物からなる層(B)と、層(A)の他方の面に配置された、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂との混合物からなる層(C)とを備えるガスバリア層前駆体が、熱成形可能な基材に直に、又はアンカーコート層を介して積層されていることを特徴とする熱成形用ガスバリア性積層体。
  2. 前記ポリカルボン酸系重合体が、ポリ(メタ)アクリル酸及びエチレン−マレイン酸共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱成形用ガスバリア性積層体。
  3. 前記水酸基を有する可塑剤が、(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、ポリビニルアルコール及び糖類からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱成形用ガスバリア性積層体。
  4. 前記層(C)が、多価金属化合物と分散剤とバインダ樹脂とを含有し、且つ溶媒として有機溶媒のみを含有する塗工液を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の熱成形用ガスバリア性積層体。
  5. 前記層(C)を形成するバインダ樹脂が、前記層(A)を形成する樹脂と同一の樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の熱成形用ガスバリア性積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016093150A1 (ja) * 2014-12-08 2016-06-16 凸版印刷株式会社 ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法
WO2016093152A1 (ja) * 2014-12-08 2016-06-16 凸版印刷株式会社 ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法

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