JP2019014491A - スクイーズ容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器の厚みに依存せず、また加熱殺菌処理によるガスバリア性の低下が発生しないハイバリア性と、内容物を容易に絞り出すことができるスクイーズ性を併せ持ったスクイーズ容器を提供すること。【解決手段】ガスバリア性を有する多層シートからなるスクイーズ容器であって、前記多層シートは、少なくともポリオレフィン樹脂組成物層と、ポリオレフィン樹脂組成物層の一方の面に積層した熱可塑性バリアフィルムとを含むことを特徴とするスクイーズ容器。【選択図】図1

Description

本発明は、ボイルやレトルト殺菌処理を施す食品等に用いるスクイーズ容器に関する。
従来、食品等を保存する容器としては瓶や缶が使用されてきた。これらの容器は液体、気体の遮断性が高く、また食品を充填後の加熱殺菌処理にも適した耐熱性があることから、特に長期保管を前提とした食品の容器として現在も広く使用されている。
一方、近年では環境意識の高まりから包装材料の減量化がキーワードとなっており、このような視点から見ると、瓶や缶は重量があり輸送時の環境負荷が高い容器と言える。
この対策の一つに、容器をプラスチックの成形品に切り替えることがあげられ、長期保管を前提としたガスバリア性を付与する手段としてはプラスチック材料の中間層としてEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)を用いるのが一般的である。(例えば特許文献1、特許文献2)
EVOHは押出成形性、熱成形性に優れているため、例えばポリプロピレン(以降、PPと略す)樹脂/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/PP樹脂といった構成の同時押出(共押出)によりバリアシートを作製し、これを真空成形等により容器化することでバリア容器を得ることができる。
また、容器をプラスチック化することでその柔軟性を活かした容器形態が可能となり、その一つとしてスクイーズ容器がある。これは、容器を押しつぶすことにより内容物を必要な量だけ絞り出す容器形態で、マヨネーズやマスタード等の調味料、ペットフードや離乳食等の流動食の容器として適している。
ここで、EVOHはその厚みと酸素バリア性が比例することから、酸素バリア性の向上とスクイーズ性の向上(=薄膜化)が相反することになる。したがって、より長期保存を目指したハイバリア容器でスクイーズ性を確保することは困難である。
また、EVOHは温度や湿度(EVOHの吸湿量)の増加とともに酸素バリア性が低下するという特徴がある。食品等を長期保存するためにはボイルやレトルト等の加熱殺菌処理を行うことが一般的であるが、このときにEVOHが吸湿することにより、EVOHのバリア性が低下し、EVOHが十分に乾燥するまでは内容物が酸素のアタックを受けるという問題がある。これはレトルトショックと呼ばれる現象で、レトルト食品の風味を損なう原因となっている。
特開平7−308994号公報 特開平11−221891号公報
そこで、本発明は、容器の厚みに依存せず、また加熱殺菌処理によるガスバリア性の低下が発生しないハイバリア性と、内容物を容易に絞り出すことができるスクイーズ性を併せ持ったスクイーズ容器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によるスクイーズ容器は、
ガスバリア性を有する多層シートからなるスクイーズ容器であって、
前記多層シートは、少なくともポリオレフィン樹脂組成物層と、ポリオレフィン樹脂組成物層の一方の面に積層した熱可塑性バリアフィルムとを含むことを特徴とするスクイーズ容器である。
このような多層シートは、容器の剛性を決めるシート部分はポリオレフィン樹脂組成物が担い、バリア性はそこに貼り合わせる熱可塑性バリアフィルムが担うため、スクイーズ性とバリア性を独立して設計することが可能である。
また本発明において、前記熱可塑性バリアフィルムは、熱可塑性樹脂を含む基材と、ポリカルボン酸系重合体及び可塑剤を含む層と、多価金属化合物及び樹脂を含む層とが積層されてなる熱可塑性バリアフィルムを用いることができる。
このような熱可塑性バリアフィルムは、レトルト処理等の湿熱処理によりバリア性を発現し、EVOHのように吸湿によるバリア性の低下が発生しないという特徴がある。また、数μmオーダーの厚さのコーティングによりバリア性を発現するため、容器の剛性には影響を与えない。
また本発明において、上記ポリオレフィン樹脂組成物層の厚みは200μm以上600μm以下であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物層の厚みが200μm以上であれば容器としての剛性が充分にあり、保管中や輸送中の偶発的な外力から内容物を保護することができる。また、その厚みが600μm以下であれば容器としての剛性が充分に維持でき、かつ内容物を絞り出すことが容易になる。
本発明において、レトルト処理等の加熱殺菌処理を想定すると、上記ポリオレフィン樹脂組成物は耐熱性の観点からポリプロピレンであることが好ましい。
本発明において、上記熱可塑性バリアフィルムの厚みは10μm以上100μm以下であることが好ましい。
この厚みが10μm以上であれば、容器成形の延伸の際に熱可塑性バリアフィルムが耐えられず破断が発生するようなおそれがない。また100μm以下であれば多層シートの剛性に影響を与えてしまうおそれがない。
本発明において、前記多層シートは、ポリオレフィン樹脂組成物層と熱可塑性バリアフィルムが、2液硬化型の接着性樹脂を介して接着されているものでも良い。
本発明において、前記多層シートは、ポリオレフィン樹脂組成物層と熱可塑性バリアフィルムが、グラフト変性ポリオレフィンを含む接着性樹脂を介して接着されているものでも良い。
本発明において、前記接着性樹脂組成物層のメルトフローレート(MFR)は3g/10分以上10g/10分以下であることが好ましい。
MFRが3g/10分以上で柔軟性の高い接着性樹脂組成物を用いることで、より強い接着力が得られる。一方、10g/10分以下にすることにより、容器成形や加熱殺菌処理において熱的な負荷を受けた際に接着性樹脂組成物が過度に流動することを防ぐことができる。
本発明によれば、多層シートがポリオレフィン樹脂組成物を含むことにより容器の剛性
を適切に制御することが可能になり、さらに熱可塑性バリアフィルムが積層されることによってバリア性を付与することができるので、これを用いることでハイバリア性とスクイーズ性を併せ持つスクイーズ容器が提供できる。
本発明の一実施形態に係る多層シートの構成を示す断面図である。 図1に示す多層シートを製造するためのプロセスを模式的に示す図であり、(a)は、熱可塑性バリアフィルムの製造プロセスを示し、(b)はポリオレフィン樹脂のシート押出と熱可塑性バリアフィルムのラミネートを同時に行うプロセスを示す。 図1に示す多層シートを製造するためのプロセスを模式的に示す図であり、(a)は、熱可塑性バリアフィルムの製造プロセスを示し、(b)はポリオレフィン樹脂シートの製造プロセスを示す。 本発明の一実施形態に係るスクイーズ容器を示す断面図である。 本発明の実施例および比較例を評価するための容器の一形態を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るスクイーズ容器の製造方法について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層シートを示す断面図である。
図1に示すように、多層シート10は、基材1と、基材1の一方の面に設けられたバリア層2と、バリア層2の一方の面に設けられたポリオレフィン樹脂組成物層3とを備えており、バリア層2とポリオレフィン樹脂組成物層3とは、接着層4により互いに貼り付けられている。
またバリア層2は、ポリカルボン酸系重合体及び可塑剤を含む層5と、多価金属化合物及び樹脂を含む層6とを含んでいる。なお以降、前記のポリカルボン酸系重合体及び可塑剤を含む層を第1バリア層と呼び、多価金属化合物及び樹脂を含む層を第2バリア層と呼ぶことにする。
すなわち、基材1と、第1バリア層5及び第2バリア層6からなるバリア層2とにより、熱可塑性バリアフィルム7が構成される。多層シート10を包装容器等に成形した場合、多層シート10のポリオレフィン樹脂組成物層3側(図示上側)が包装内容物と接する側になり、多層シート10の基材1側(下側)が容器の外側となる。
[基材1]
基材1は、熱可塑性バリアフィルム7の基材であり、熱可塑性樹脂を含んで構成される。基材1を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系重合体やそれらの共重合体、およびそれらの酸変性物;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール等の酢酸ビニル系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル系重合体やその共重合体;ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート等の脂肪族ポリエステル系重合体やそれらの共重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6,66共重合体、ナイロン6,12共重合体、メタキシレンアジパミド・ナイロン6共重合体等のポリアミド系重合体やその共重合体;ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイドなどのポリエーテル系重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の塩素系又はフッ素系重合体やそれらの共重合体;ポリメチルアクリレート、ボリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系重合体やそれらの共重合体;ポリスチレンなどのスチレン系重合体やその共重合体;ポリイミド系重合体やその共重合体など、を用いることができる。
これらのうち、基材1を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド系重合体、ポリスチレンなどが延伸成形性の観点からは好ましい。なお、基材1は、延伸されていてもよいし、未延伸であってもよい。
基材1の厚さは、例えば10μm以上100μm以下であることが好ましい。基材1は、複数の層から構成されていてもよい。
[第1バリア層5]
第1バリア層5は、バリア層2を構成する層の1つであり、ポリカルボン酸系重合体と可塑剤とを含んで構成されている。ポリカルボン酸系重合体は、第2バリア層6に含まれる多価金属化合物と塩を生成して安定したガスバリア性を発現する。可塑剤は、ポリカルボン酸系化合物の延伸性を高めるために添加することができる。具体的には、ポリカルボン酸系重合体の一部を可塑剤に置き換えることにより、固形分全体のガラス転移温度を低下させて、より低い温度条件で多層シート10を延伸することができる。
ポリカルボン酸系重合体としては、既存のポリカルボン酸系重合体であれば特に制限されない。既存のポリカルボン酸系重合体とは、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体の総称である。具体的には、重合性単量体として、α,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸を用いた単独重合体、単量体成分としてα,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなり、それらの少なくとも2種類の共重合体、また、α,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体、さらにアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチンなどの分子内にカルボキシ基を有する酸性多糖類を例示することができる。これらのポリカルボン酸系重合体は、それぞれ単独で、または少なくとも2種類のポリカルボン酸系重合体(B)を混合して用いることができる。
ここで、α,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが代表的なものである。また、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレンなどが代表的なものである。
ポリカルボン酸系重合体がα,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸と酢酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステル類との共重合体の場合には、さらにケン化することにより、飽和カルボン酸ビニルエステル部分をビニルアルコールに変換して使用することができる。
また、ポリカルボン酸系重合体がα,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である場合であって、多層シート10がレトルト用の成形容器に用いられる場合には、ガスバリア性及び高温水蒸気や熱水に対する耐性の観点から、その共重合組成は、α,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体組成が60モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、最も好ましくは100モル%、即ち、ポリカルボン酸系重合体がα,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体であることが好ましい。
さらに、ポリカルボン酸系重合体がα,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の場合には、その好適な具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体単
量体の重合によって得られる重合体、及びそれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体からなる単独重合体、共重合体、及び/又はそれらの混合物を用いることができる。最も好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、及びそれらの混合物を用いることができる。ポリカルボン酸系重合体がα,β‐モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体の重合体以外の例えば酸性多糖類の場合には、アルギン酸を好ましくは用いることができる。
ポリカルボン酸系重合体は、レトルト用の成形容器に用いられる場合にガスバリア性、及び、高温水蒸気や熱水に対する耐性を損なわない範囲で、予め一価の金属(アルカリ金属)やアンモニアを部分的に中和しておくことができる。
ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量については特に限定されない。フィルム成形性の観点からは、2,000以上10,000,000以下の範囲であることが好ましく、さらには、5,000以上1,000,000以下であることが好ましい。
原料としてのポリカルボン酸系重合体は、ガスバリア性、及び、高温水蒸気や熱水に対する安定性の観点から、それを単独でフィルムに形成したときに、乾燥条件下(30℃、相対湿度0%)で測定した酸素透過係数が1000cm(STP)・μm/(m・day・MPa)以下が好ましく、更に好ましくは、500cm(STP)・μm/(m・day・MPa)以下であり、最も好ましくは、100cm(STP)・μm/(m・day・MPa)以下である。
ここでいう酸素透過係数は、例えば、以下の方法で求めることができる。ポリカルボン酸系重合体を水などの溶媒に溶解して10質量%の溶液を調整する。次に、調整した溶液をバーコータを用いて、プラスチックからなる基材上に塗工して乾燥することにより、厚さ1μmのポリカルボン酸系重合体が形成されたコーティングフィルムを作製する。得られたコーティングフィルムを乾燥したときの30℃、相対湿度0%における酸素透過度を測定する。ここで、プラスチック基材として、その酸素透過度が既知の任意にプラスチックフィルムを用いる。
そして、得られたポリカルボン酸系重合体のコーティングフィルムの酸素透過度が基材として用いたプラスチックフィルム単独の酸素透過度に対して10分の1以下であれば、その酸素透過度の測定値がほぼポリカルボン酸系重合体の層単独の酸素透過度と見なすことができる。また、得られた値は、厚さ1μmのポリカルボン酸系重合体(B)の酸素透過度であるため、その値に1μmを乗じることにより、酸素透過係数に変換することができる。
可塑剤は、公知の可塑剤から適宜選択して使用することができる。可塑剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3‐ブタンジオール、2,3‐ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどのグリコール類;ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、エリトリトール、グリセリン、乳酸、脂肪酸などを例示することができる。これらは必要に応じて、混合物で用いてもよい。なお、これらの中でも、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが延伸性やガスバリア性の観点からは好ましい。
ポリカルボン酸系重合体と可塑剤との混合割合は、質量比でポリカルボン酸系重合体/可塑剤が70/30〜99.9/0.1であることが好ましく、80/20〜99/1であることがより一層好ましい。より好ましくは、ポリカルボン酸系重合体/可塑剤の質量
比が85/15〜95/5である。ポリカルボン酸系重合体/可塑剤の質量比が70/30〜99.9/0.1の範囲にあることにより、延伸性とガスバリア性とを両立することができる。
[第2バリア層6]
第2バリア層6は、バリア層2を構成する層の1つであり、多価金属化合物と樹脂とを含んで構成される。多価金属化合物は、第1バリア層5に含まれるポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基とイオン結合し、ガスバリア性を向上するために用いられる。一方、樹脂は、第2バリア層6の成膜性向上のためのバインダーとして用いられる。
多価金属化合物は、金属イオンの価数が2以上の多価金属原子単体、及びその化合物である。レトルト用の成形容器としてのガスバリア性、高温水蒸気や熱水に対する耐性、及び製造性の観点から、多価金属化合物は2価の金属化合物が好ましく用いられる。
また、第1バリア層5及び第2バリア層6の合計を基準として、それらの層中に含まれるカルボキシ基の合計に対する多価金属化合物の合計中の多価金属の化学当量が0.2以上、更には0.5化学当量以上10化学当量以下であることが好ましい。更に、上記観点に加え、フィルムの成形性や透明性の観点から、0.8化学当量以上5化学当量以下の範囲であることがより好ましい。
多価金属の具体例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ジルコニア、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属、アルミニウムなどを挙げることができる。
多価金属化合物の具体例としては、前記多価金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩、その他、多価金属のアンモニウム錯体や多価金属の2〜4級アミン錯体とそれら錯体の炭酸塩や有機酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、ステアリン酸塩、モノエチレン性不飽和カルボン酸塩などが挙げられる。無機酸塩としては、塩化物、硫酸塩、硝酸塩などを挙げることができる。それ以外には多価金属のアルキルアルコキシドなどを挙げることができる。
多価金属化合物の形態は、特に限定されない。しかし、多層シート10の透明性の観点から、多価金属化合物は、粒状で、その粒径が小さい方が好ましい。
また、後述するようにレトルト用成形容器を構成する多層シートを作製するためのコーティング混合物を調製する上でも、調製時の効率化、及びより均一なコーティング混合物を得る観点から、多価金属化合物は、粒状で、その粒径は小さい方が好ましい。多価金属化合物の平均粒径としては、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以下である。
第2バリア層6に多価金属化合物が含まれる場合、レトルト処理後の内容物から発生する臭気を低減することができる。このメカニズムとしては、例えば、多価金属化合物として酸化亜鉛を用いた場合、酸化亜鉛が亜鉛イオンとなり、内容物から発生する臭気の原因となる硫化水素(HS)の硫黄と反応することで硫化水素を吸着するためと考えられる。
樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などで、塗料用に用いられている樹脂であれば好適に使用することができる。具体的には、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、セルロース系樹
脂、天然樹脂などの樹脂を挙げることができる。なお、必要に応じて硬化剤を用いることができ、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ポリアミンなどの公知の樹脂を挙げることができる。
多価金属化合物と樹脂との混合割合は、質量比で多価金属化合物/樹脂が1/100〜10/1であることが好ましく、より好ましくは1/10〜5/1であり、更に好ましくは1/5〜2/1である。この範囲にあることは、加熱延伸成形性と酸素ガスバリア性を両立させる観点から好ましい。
バリア層2は、基材1の一方の面に、接着層若しくはアンカーコート層を介し、または、接着層又はアンカーコート層を介することなく、第1バリア層5及び第2バリア層6を積層することで設けられる。
第1バリア層5及び第2バリア層6の配置は、第1バリア層5に含まれるポリカルボン酸系重合体のカルボキシ基と、第2バリア層6に含まれる多価金属化合物とのイオン結合を生成するために、第1バリア層5と第2バリア層6とが隣接する層構成単位である第1バリア層5/第2バリア層6を少なくとも1単位含む層構成であることが好ましい。
更に、第1バリア層5と第2バリア層6とが隣接した層構成単位が、第2バリア層6/第1バリア層5/第2バリア層6の三層構成であってもよいし、逆に、第1バリア層5/第2バリア層6/第1バリア層5の三層構成であってもよく、これらの何れかを1単位以上含む層構成であることが好ましい。
第1バリア層5の延伸成形を行う前の厚さは、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシ基の合計に対する多価金属化合物の合計中の多価金属の化学当量が0.2以上である条件下であれば特に限定されないが、良好な酸素ガスバリア性を確保するためには、第1バリア層5の厚さは、0.05μm以上100μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、更に好ましくは0.2μm以上5μm以下である。
第1バリア層5が0.05μm以上であることにより、第2バリア層6と積層した際に延伸性を発現することができる。また、第1バリア層5が100μm以下であることにより、高い生産性を維持することが可能となる。
また、第1バリア層5の延伸成形を行う前の厚さは、良好な酸素ガスバリア性と延伸成形性を確保するためには、0.05μm以上100μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、更に好ましくは0.2μm以上5μm以下である。
なお、基材1及び第1バリア層5、第2バリア層6を合わせた熱可塑性バリアフィルム7の厚さとしては、バリア性を保持するためには10μm以上が好ましく、容器に用いた場合の剛性の観点からスクイーズ性を保持するためには100μm以下であることが好ましい。
[ポリオレフィン樹脂組成物層3]
ポリオレフィン樹脂組成物層3は、バリア層2の表面に設けられる層である。ポリオレフィン樹脂組成物層3は、耐摩耗性、光沢性、ヒートシール性、強度、及び、防湿性等を多層シート10に付与する。
ポリオレフィン層3に用いられる樹脂としては、基材1に用いられる熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン樹脂を用いることができ、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系重合体やそれらの共重合体、およびそれらの酸変性物を用いることができ、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物層3の延伸成形を行う前の厚さは、延伸成形される成形容器の厚さにより適宜決められるが、スクイーズ性を持たせた容器においては100μm以上
1000μm以下が好ましく、200μm以上600μm以下であると更に好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物層3は、後述する接着層4によりバリア層2の表面に貼り付けられる。
[接着層4]
熱可塑性バリアフィルム7をドライラミネート法によりポリオレフィン層に接着する場合の接着層4は、一般的にドライラミネート法に用いられる2液硬化型の接着剤を用いることができる。例えばポリオールを含む主剤とイソシアネートを含む硬化剤を混合することにより生じるウレタン結合による反応系が挙げられる。接着剤を用いた接着層4の厚さは接着層としての機能を満たすのであれば特に限定されないが、例えば1μm以上50μm以下が好ましい。
熱可塑性バリアフィルム7を押出ラミネート法または熱ラミネート法によりポリオレフィン層に接着する場合の接着層4は、一般的にPP/EVOH/PPの構成の積層フィルムを共押出する際に用いられるような接着性樹脂を用いることができる。
接着性樹脂としては、少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体を、変性前のポリオレフィン樹脂にグラフト変性あるいは共重合化したグラフト変性ポリオレフィンであることが好ましい。この場合、ポリオレフィンに付与される官能基が熱可塑性バリアフィルム7の表層に含まれる金属化合物との水素結合により接着させることが可能となる。
ベースとなるポリオレフィンとしてはポリエチレンやポリプロピレンが挙げられるが、中でもポリプロピレンは耐熱性が高いためレトルト食品容器の材料として適当である。
変性前のポリオレフィン樹脂にグラフト変性あるいは共重合化するエチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸がある。より好ましくは無水マレイン酸を用いることができるが、これらは単独で、あるいは2種類以上を併用することができる。
接着性樹脂の延伸成形を行う前の厚さは、接着層としての機能を満たすのであれば、特に限定されないが、例えば1μm以上50μm以下である。接着性樹脂の厚みが1μm以上であることにより、熱可塑性バリアフィルム7をポリオレフィン層3に十分に接着することができ、両者の剥離を抑制することができる。また、接着性樹脂の厚みが50μm以下であることにより、接着層4を不要に厚くしないようにすることができる。
また、接着性樹脂を構成する樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、3g/10分以上、10g/10分以下であることが好ましい。3g/10分以上であることにより、容器として多層シートを成形する際、応力等により接着層4そのものや熱可塑性バリアフィルム7の表層が破壊されたり、その結果として接着層4と熱可塑性バリアフィルム7との間の接着強度が弱まったりすることを抑制できる。
一方、10g/10分以下であることにより、接着層4が成形の際の応力によって大きく変形することを抑制すると共に、特にレトルト等の熱水処理において接着層4の流動による熱可塑性バリアフィルム7の皺や剥がれを抑制できる。なお、これらのMFRはJIS K 7210−1999に基づき測定されたものとする。
[多層シート10の製造方法]
次に、図2を参照しながら、多層押出機20を用いて、多層シート10を製造する方法について説明する。図2は、図1に示す多層シートを製造するためのプロセスを模式的に示す図である。
まず、PETフィルムなどの基材1上に第1バリア層5を積層するため、ポリカルボン酸系重合体と可塑剤とを含んだ塗工液を調製する。例えば、この調製工程では、ポリカルボン酸系重合体としてポリアクリル酸(以下「PAA」と記す)を用いた場合には、PAAを蒸留水で希釈し、PAAの5質量%水溶液を調製する。得られたPAA水溶液、例えば90質量部に対して、可塑剤としてグリセリン5質量%水溶液を10質量部混合して撹拌し、第1バリア層5を形成するための塗工液(PAA/グリセリン混合物水溶液)を調製する。次いで、図2(a)に示すように、得られたPAA/グリセリンの混合物水溶液を公知の塗工方法により、基材1の片面に塗工し、乾燥させることで、第1バリア層5を形成する。乾燥温度は室温から90℃の間であり、乾燥時間は10秒から60分の間が好ましい。
次に、第2バリア層6を構成する多価金属化合物と樹脂とを含んだ塗工液を調製する。例えば、この調製工程では、多価金属化合物としての酸化亜鉛微粒子と、樹脂としてのポリエステル系樹脂との混合分散液(混合溶媒:トルエン/MEK)100質量部に対し、硬化剤0〜15質量部を混合した多価金属化合物を含む混合液を調製する。
この混合液を、公知のコーティング法により、第1バリア層5の表面に塗工し、乾燥させることで第2バリア層6を形成する。乾燥温度及び乾燥時間は、第1バリア層5を形成する際の乾燥温度及び乾燥時間と同様の条件を採用することができる。
なお、公知の塗工方法としては、例えば、グラビアロールコータ、リバースロールコータ、ディップコータ、またはダイコータ、メイヤーバ、刷毛などで塗工する方法、懸濁液、または溶液をスプレーなどで噴霧する方法、または浸漬法を含む方法が挙げられる。
以上の工程により、熱可塑性バリアフィルム7が準備される。
次に、図2(b)に示すように、ポリオレフィン樹脂組成物層3を形成するポリオレフィン樹脂組成物、例えばポリプロピレン樹脂と、接着層4を形成する樹脂組成物、例えば酸変性ポリエチレン樹脂とを、多層押出機(エクストルーダ)20に投入し、押出時の樹脂温度が200℃〜300℃となるように所定の温度で溶融させる。なお、接着性樹脂の接着力を十分に引き出すには、押出時の樹脂温度が280℃〜300℃となるように所定の温度で溶融させることが好ましい。
そして、予め準備されている熱可塑性バリアフィルム7を多層押出機20の下方にロール21を介して供給すると共に、ポリプロピレン樹脂23と酸変性ポリエチレン樹脂24とを多層押出機20のTダイ等から共押出しし、接着性樹脂である酸変性ポリエチレン樹脂24を、ポリオレフィン層3を構成するポリプロピレン樹脂23と、供給される熱可塑性バリアフィルム7との間に位置させて、この接着性樹脂により、ポリオレフィン層3を構成するポリプロピレン樹脂23と熱可塑性バリアフィルム7とを互いに貼り付ける。その後、ローラ22を介して、これらフィルムが積層され、多層シート10が完成する。
なお、図2(b)の方法は、Tダイ等から押出した溶融状態の樹脂に熱可塑性バリアフィルムを直接供給する押出ラミネート方式であるが、押出した樹脂を一度冷却ロールにより冷却固化させた後、接着性樹脂の表面を熱ロール等で再加熱し、その部分に熱可塑性バリアフィルムを給紙する熱ラミネート方式を選択しても良い。
ここで、接着性樹脂は、ポリオレフィン樹脂組成物層3を構成するポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂よりも高価であることから、多層シート10の厚みを調整するには、ポリオレフィン樹脂で厚みを調整することが好ましい。例えば、上記では2種2層の多層押出機を用いた例を示したが、3種3層の多層押出機を用いて、そのうちの1系統からは接着性樹脂組成物を、残りの2系統からはポリオレフィン樹脂組成物を押出して、
ポリオレフィン樹脂組成物層3をより厚くすることも可能である。
一方、図3は、ポリオレフィン層3のシート押出と、ポリオレフィン層3と熱可塑性バリアフィルム7のラミネートを別々に行う場合のプロセスを模式的に示す図である。
この場合、図2(a)と同様の図3(a)にて示すプロセスにて熱可塑性バリアフィルム7を製造すると共に、ポリオレフィン層3に相当する例えばポリプロピレンシート(PPシート)33を製造する。
そして、その後に図3(b)に示すように、熱可塑性バリアフィルム7を接着剤等を用いてPPシート33にドライラミネートにより貼り合せている。
[スクイーズ容器]
本発明によるスクイーズ容器はいずれのラミネート法によっても製造することができるが、押出ラミネート法や熱ラミネート法を用いることによって製造プロセスを短縮することができるためより好ましい。
図4は本発明の一実施形態に係るスクイーズ容器を示す断面図である。ポリオレフィン層3と熱可塑性バリアフィルム7からなる多層シート10を用いて、真空成形法等の溶融成形法により所望の容器形状に成形することができる。
図4(a)は成形された多層シート10同士を対面させて貼り合わせた場合のスクイーズ容器を示している。一方、図4(b)は成形された多層シート10にプラスチックフィルム等を積層して作製した蓋材41をシールした場合のスクイーズ容器を示している。
(a)では容器全面でシート成形容器としての剛性を持ち、内容物を保護することができる。(b)ではスクイーズ容器としてのみならず、利用時に蓋材41を剥がすことによって容器をトレイのようにして使用することができる。
そして、本発明のこれらのスクイーズ容器は、ポリオレフィン樹脂組成物を含むことにより容器の剛性を高めることが可能になり、且つ熱可塑性バリアフィルムによってバリア性を有するものとなる。
以下、本発明に係る多層シートを実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
熱可塑性バリアフィルムのベース基材1として、テフレックス(帝人デュポンフィルム株式会社製)25μmを選択し、次に示す方法によりバリア層を形成した。
まず、第1バリア層5を構成するため、ポリカルボン酸系重合体としてPAAを蒸留水で希釈し、PAAの5質量%水溶液を調製した。得られたPAA水溶液90質量部に対して、可塑剤としてグリセリン5質量%水溶液を10質量部混合して撹拌し、第1バリア層5を形成するための塗工液(PAA/グリセリン混合物水溶液)を調製した。
次いで、図2(a)に示すように、得られたPAA/グリセリンの混合物水溶液をグラビアロールコータにより、基材1の片面に塗工し、乾燥させることで、第1バリア層5を形成した。次に、第2バリア層6を構成するため多価金属化合物としての酸化亜鉛微粒子と、樹脂としてのポリエステルポリオール樹脂との混合分散液(混合溶媒:トルエン/MEK)100質量部に対し、イソシアネート系硬化剤15質量部を混合した多価金属化合物を含む混合液を調製した。この混合液をグラビアロールコータにより第1バリア層5の表面に塗工し、乾燥させることで第2バリア層6を形成した。
次に、多層シートのポリオレフィン層を構成するPP樹脂としてホモPP「E111G
(株式会社プライムポリマー製、商品名),MFR0.5g/10分」を準備すると共に、接着性樹脂として変性PP「アドマーQF551(三井化学株式会社製、「アドマー」は登録商標),MFR5.7g/10分」を準備した。次に、このホモPP「E111G」及び変性PP「アドマーQF551」を、エクストルーダー(住友重機械モダン株式会社製)に投入し、押出時の溶融温度が240℃となるように溶融した。
次に、既に準備した熱可塑性バリアフィルムをエクストルーダーの下方へと給紙すると共に、ホモPP「E111G」及び変性PP「アドマーQF551」をエクストルーダーで共押出しし、接着性樹脂である変性PPが熱可塑性バリアフィルムとホモPPとの間に位置するようにして、給紙された熱可塑性バリアフィルムを押出ラミネートした。その際、接着性樹脂の膜厚は25μmとなるようにエクストルーダーのスクリューの回転数を調整した。また、ホモPPの膜厚は同じくスクリューの回転数を調整し、175μm、375μm、575μm、757μmの4水準を作製した。以上の方法により、図1に示す多層シート10を得た。
[比較例1]
比較例1として、PP樹脂/接着性樹脂/EVOH樹脂/接着性樹脂/PP樹脂の順に層構成がされた多層シートを作製した。具体的には、まず、PP樹脂としてホモPP「E111G(株式会社プライムポリマー製、商品名)」、接着性樹脂として変性PP「アドマーQF551(三井化学株式会社製)」、EVOH樹脂としてエバール「F171B(株式会社クラレ性)」を準備した。そして、総膜厚200μm、400μm、600μm、800μmの4水準に対し、接着性樹脂の厚みは10μmで固定し、またEVOHの割合が8%になるように各層の厚みを設計した。これらの樹脂を3種5層の共押出が可能なエクストルーダーを用いて押出し、EVOHを用いた多層シートを得た。
以上により得られた実施例1および比較例1の多層シートを用い、真空成形法によって図5に示す側面が台形型の容器を得た。開口部は長辺51の長さを50mm、短辺52の長さを30mm、底面は長辺53の長さを50mm、短辺54の長さを20mm、容器の深さ55の長さを30mmとした。このようにして成形した容器を用いて、以下の試験を行った。
[試験1]
内容物を充填しない状態の容器を121℃×30分のレトルト処理に投入した。次にレトルト処理から1日後の容器の酸素透過度を容器モコン法により30℃70%の環境下で測定した。
[試験2]
内容物としてケチャップソースを満中の9割まで充填し、PET12μm、アルミ箔9μm、CPP70μmをこの順番で貼り合わせた蓋材を用いて、ヒートシールにより容器の開口部を塞ぐように接着した。次に、容器の短辺52、短辺54で囲まれた台形型の面の中央に直径5mmの穴を開けて擬似的な搾り出し口を設けた。5人の被験者に実際の使用を想定して絞り出しを実施させ、5人全員が無理なく内容物を9割以上絞り出すことができた場合を合格、容器が固く1割以上の内容物の残留が発生した場合を不合格としてスクイーズ性を評価した。
試験1、試験2の結果を表1に示す。
Figure 2019014491
実施例1では酸素透過度の値が樹脂厚みの影響を受けずに一定となり、樹脂厚み600
μm以下ではスクイーズ性とバリア性を両立することができた。一方、比較例1では樹脂厚みにより酸素バリアが変化し、スクイーズ性が確保できる厚み600μm以下では厚み800μmと比較してバリア性が大きく劣る結果となった。
以上により、本発明にかかる多層シートを用いれば、バリア性が容器の厚みに依存せず、スクイーズ性と高いバリア性を両立したスクイーズ容器を提供することが可能である。
1・・・基材
2・・・バリア層
3・・・ポリオレフィン樹脂組成物層
4・・・接着層
5・・・第1バリア層(ポリカルボン酸系重合体及び可塑剤を含む層)
6・・・第2バリア層(多価金属化合物及び樹脂を含む層)
7・・・熱可塑性バリアフィルム
10・・・多層シート
20・・・多層押出機
21・・・ロール
22・・・ローラ
23・・・ポリプロピレン樹脂
24・・・酸変性ポリエチレン樹脂
33・・・ポリプロピレンシート
41・・・蓋材
51、53・・・長辺
52、54・・・短辺
55・・・深さ

Claims (8)

  1. ガスバリア性を有する多層シートからなるスクイーズ容器であって、
    前記多層シートは、少なくともポリオレフィン樹脂組成物層と、ポリオレフィン樹脂組成物層の一方の面に積層した熱可塑性バリアフィルムとを含むことを特徴とするスクイーズ容器。
  2. 前記熱可塑性バリアフィルムは、熱可塑性樹脂を含む基材と、ポリカルボン酸系重合体及び可塑剤を含む層と、多価金属化合物及び樹脂を含む層とが積層されてなるバリア層を備えることを特徴とする請求項1に記載のスクイーズ容器。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂組成物層の厚みは200μm以上600μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスクイーズ容器。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂組成物層はポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のスクイーズ容器。
  5. 前記熱可塑性バリアフィルムの厚みは10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のスクイーズ容器。
  6. 前記多層シートは、ポリオレフィン樹脂組成物層と熱可塑性バリアフィルムが、2液硬化型の接着性樹脂を介して接着されていることを特徴とするスクイーズ容器。
  7. 前記多層シートは、ポリオレフィン樹脂組成物層と熱可塑性バリアフィルムが、グラフト変性ポリオレフィンを含む接着性樹脂を介して接着されていることを特徴とするスクイーズ容器。
  8. 前記請求項7に記載の接着性樹脂のメルトフローレート(MFR)が3g/10分以上10g/10分以下であることを特徴とするスクイーズ容器。
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