JP2012035405A - 食品螺旋切り装置及び食品螺旋切り方法 - Google Patents

食品螺旋切り装置及び食品螺旋切り方法 Download PDF

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Abstract

【課題】使い勝手を大幅に向上させるとともに、被切断物を容易に螺旋切りすることのでき、汎用性を高めた食品螺旋切り装置を提供すること。
【解決手段】被切断物Wに軸を通して被切断物Wを保持し、切断刃32の近傍に形成された挿通孔30aから一端が挿通されるとともに、保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒33を有する。刃物盤12と押圧部13との間で保持棒33を介して被切断物Wを押圧しつつ回転部材26の回転操作により被切断物Wを回転させて切断刃32で螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物Wを切断刃32の周囲に開口する開口部を通して送り出すようにした。
【選択図】図10

Description

本発明は、例えば練り製品の他、蒟蒻、豆腐、食肉、魚介類などの半固形化食品、冷凍することにより固形化が可能な食品でも螺旋切りが可能な食品螺旋切り装置及び食品螺旋切り方法の技術分野に関する。
従来、野菜や果物を螺旋切りする調理カッターとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この調理カッターは、端部に刃を形成した中空状のパイプと、このパイプの端部付近にネジの溝のようにわずかに角度を設けて垂直に取り付けた細い板状の刃とを備えている。
上記調理カッターを用いるには、一方の手指で例えばきゅうりを握り、他方の手指で上記パイプを握り、このパイプをきゅうりに押し込みつつ、回転させることにより、きゅうりの芯をくりぬきながら螺旋切りするようにしている。
特開平10−14791号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された調理カッターでは、一方の手指できゅうりを握り、他方の手指でパイプを握り、このパイプをきゅうりに押し込みつつ、回転させることで、きゅうりの芯をくりぬきながら螺旋切りするようにしているので、一方の手指が細い板状の刃に触れるおそれがあり、安全性が低く、かつ使い勝手が極めて悪いという問題点があるとともに、一方の手指でパイプをきゅうりに押し込まなければ切断操作を行うことができないため、切断作業に手間がかかるという問題点がある。
また、上記特許文献1に開示された調理カッターでは、螺旋切りする被切断物が食品の材質によっては、上記パイプを押し込むことが困難である場合があり、また上記パイプを押し込むことが可能でも被切断物を確実に保持していることが困難な場合もある。したがって、上記特許文献1に開示された調理カッターでは、食品の硬さにより自ずと螺旋切りする材料が限定されてしまい、汎用性が低いという問題がある。
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、使い勝手を大幅に向上させるとともに、被切断物を容易に螺旋切りすることのでき、汎用性を高めた食品螺旋切り装置及び食品螺旋切り方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、支持板に設けられた刃物盤と、前記刃物盤に対向して配置され、前記刃物盤に対して進退可能に移動する押圧部と、前記押圧部に取り付けられ、回転中心に保持手段が設けられた回転部材と、前記刃物盤に固定され、被切断物を螺旋切りする切断刃と、前記被切断物に軸を通して前記被切断物を保持し、前記切断刃の近傍に形成された挿通孔から一端が挿通されるとともに、前記保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒と、を備え、前記刃物盤と前記押圧部との間で前記保持棒を介して前記被切断物を押圧しつつ前記回転部材の回転操作により前記被切断物を回転させて前記切断刃で螺旋切りし、当該螺旋切りされた前記被切断物を前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことを特徴とする。
ここで、本発明のいう「被切断物」とは、じゃがいも、人参、里芋、大根などの塊状野菜や、パイナップル、りんご、梨などの塊状果物、ソーセージ、ハムなどの塊状加工食肉などの塊状食品の他、チーズなどのように予め固形化された固形化食品、はんぺん、蒲鉾、さつま揚げなどの練り製品の他、蒟蒻、豆腐、食肉、魚介類などの半固形化食品、アイスクリーム、アイスキャンデーなどのように冷凍することにより固形化が可能なあらゆる食品を含むものとする。本願における固形化食品とは、軸を通さなくても両端を支持して螺旋切りが可能な食品をいう。本願における半固形食品とは、両端を支持したとしても軟弱で螺旋切りができない食品であり、螺旋切りする前に予め冷凍固化しておく。
また、本発明のいう「螺旋切り」とは、上記塊状食品を外周方向から中心に向かって中心部分を残しつつ、軸線方向に沿って螺旋状に切断することをいう。
請求項4記載の発明は、支持板に設けられた刃物盤と、前記刃物盤に対向して配置され、かつハンドルの回動操作により前記刃物盤に対して接近及び離反する方向にねじ棒を進退させるねじ棒進退機構と、前記ねじ棒の先端に取り付けられ、回転中心に保持手段が設けられた回転部材と、前記刃物盤に固定され、被切断物を螺旋切りする切断刃と、前記被切断物に軸を通して前記被切断物を保持し、前記切断刃の近傍に形成された挿通孔から一端が挿通されるとともに、前記保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒と、を備え、前記ハンドルの回動操作により前記刃物盤に対して前記保持棒に保持された前記被切断物を回転させつつねじ送りして前記切断刃で前記被切断物を螺旋切りし、当該螺旋切りされた前記被切断物を前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、支持板に設けられた刃物盤と、前記刃物盤に対向して配置され、かつ前記刃物盤に対して進退可能に前記支持板上を移動する駆動部と、前記駆動部に取り付けられ、回転中心に保持手段が設けられたホルダーと、前記ホルダーを回転駆動する駆動手段と、前記刃物盤に固定され、被切断物を螺旋切りする切断刃と、前記被切断物に軸通して前記被切断物を保持し、前記切断刃の近傍に形成された挿通孔から一端が挿通されるとともに、前記保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒と、を備え、前記刃物盤と前記駆動部との間で前記保持棒を介して前記被切断物を押圧しつつ前記ホルダーを回転駆動させて前記切断刃で前記被切断物を螺旋切りし、当該螺旋切りされた前記被切断物を前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、被切断物に保持棒の軸を通して前記被切断物を保持する保持工程と、前記保持工程の後に、前記被切断物を螺旋切りする螺旋切り工程と、を有することを特徴とする。
本発明の請求項1によれば、刃物盤と押圧部との間で保持棒を介して被切断物を押圧しつつ回転部材の回転操作により被切断物を回転させて切断刃で螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物を切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことにより、螺旋切りする被切断物が保持棒に予め保持されているので、使い勝手を大幅に向上させるとともに、被切断物を容易に螺旋切りすることができる。また、保持棒が刃物盤と回転部材に対して着脱可能であることから、保持棒を取り外して被切断物に軸を通し易い温度環境下において、保持棒に被切断物を予め保持しておくことができるため、被切断物の硬軟の性状に拘わらず螺旋切りすることができ、汎用性を高めることができる。
請求項4によれば、ハンドルの回動操作により刃物盤に対して保持棒に保持された被切断物を回転させつつねじ送りして切断刃で被切断物を螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物を切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことにより、請求項1の効果に加え、ねじ送りして被切断物を螺旋切りするため、被切断物を一定の厚さで螺旋切りすることが可能となる。
請求項5によれば、刃物盤と駆動部との間で保持棒を介して被切断物を押圧しつつホルダーを回転駆動させて切断刃で被切断物を螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物を切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことにより、ホルダーを駆動手段により回転駆動させて被切断物を螺旋切りするため、請求項1の効果に加え、被切断物を短時間で大量に螺旋切りすることが可能となり、操作性を向上させるとともに、切断効率も高めることができる。
請求項11によれば、被切断物に保持棒の軸を通して被切断物を保持する保持工程と、保持工程の後に、被切断物を螺旋切りする螺旋切り工程とを有することにより、螺旋切りする被切断物が保持棒に予め保持されているので、使い勝手を大幅に向上させるとともに、被切断物を容易に螺旋切りすることができる。また、被切断物に軸を通し易い温度環境下において、保持棒に被切断物を予め保持しておくことができるため、被切断物の硬軟の性状に拘わらず螺旋切りすることができ、汎用性の高めることができる。
本発明に係る食品螺旋切り装置の第1実施形態を示す正面図。 図1の平面図。 図2の中央断面図。 図2のIV−IV線による断面図。 図1の回転部材を示す拡大斜視図。 図1の左側面図。 図3の刃物盤の取付状態を示す部分断面正面図。 図7の座金に形成された挿通孔を示す拡大斜視図。 図8のIX−IX線による拡大断面図。 図7の刃物盤の着脱状態を示す斜視図。 図1の保持棒の取付状態を示す斜視図。 第1実施形態の食品螺旋切り装置の使用状態を示す斜視図。 図12の食品螺旋切り装置の具体的な使用状態を示す斜視図。 図12の食品螺旋切り装置の他の方向から見た使用状態を示す斜視図。 図10の刃物盤を他の刃物盤と交換する状態を示す斜視図。 図8において挿通孔が形成された座金の変形例を示す拡大斜視図。 本発明に係る食品螺旋切り装置の第2実施形態を示す正面図。 図17の平面図。 図17の左側面図。 図18の中央断面図。 図20の一部を示す側断面図。 図21の回動アームを示す側面図。 図21の回動アームの取付状態を示す平面図。 図21の回動アームの取付状態を示す正面図。 第2実施形態の食品螺旋切り装置を示す分解斜視図。 図17の保持棒の取付状態を示す斜視図。 第2実施形態の食品螺旋切り装置の使用状態を示す斜視図。 図27の食品螺旋切り装置の他の方向から見た使用状態を示す斜視図。 本発明に係る食品螺旋切り装置の第3実施形態を示す正面図。 図29の平面図。 図29の左側面図。 図30のXXXII−XXXII線による断面図。 図29のホルダーを示す正面図。 図29のホルダーの内部構造を示す拡大断面図。 第3実施形態の食品螺旋切り装置を示す斜視図。 図35の食品螺旋切り装置の使用状態を示す斜視図。 図35の食品螺旋切り装置の他の方向から見た使用状態を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る食品螺旋切り装置の第1実施形態を示す正面図、図2は図1の平面図、図3は図2の中央断面図、図4は図2のIV−IV線による断面図、図5は図1の回転部材を示す拡大斜視図、図6は図1の左側面図、図7は図3の刃物盤の取付状態を示す部分断面正面図、図8は図7の座金に形成された挿通孔を示す拡大斜視図、図9は図8のIX−IX線による拡大断面図、図10は図7の刃物盤の着脱状態を示す斜視図である。なお、以下の実施形態では、被切断物としてウィンナーソーセージを螺旋切りする例を示している。また、以下の実施形態では、刃物盤において保持棒を挿通する側を前面(正面)側とし、その反対側を後面(背面)側として説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態の食品螺旋切り装置10は、大略的に支持板11と、刃物盤12と、押圧部13とから構成されている。
支持板11は、食品螺旋切り装置10を設置するための基台となる。刃物盤12は、支持板11の一側にほぼ鉛直方向に立設されている。押圧部13は、刃物盤12に対向して配置され、刃物盤12に対して進退可能に移動する。
図1〜図4に示すように、支持板11は矩形状の底板14と、この底板14の上面両端部に長手方向に沿って一体に形成された側面部15と、底板14の底面端部に幅方向に沿って一体に形成され、かつ支持板11を係止する係止部16とを備え、底板14と側面部15とであり溝状の溝部17が形成されている。
この溝部17には、底板14の長さよりやや長い摺動板18が摺動可能に装着され、この摺動板18の端部に使用者の腰部、腹部や大腿部などを押し当てる押当部19が一体に形成されている。また、摺動板18の上面には、摺動板18の幅よりも幅が狭い箱状の支持台20が一体に形成されている。この支持台20は、上部に軸受部21の脚部22がねじにより固着され、支持台20に隣接し押当部19と反対側に係止用凸部23が摺動板18と一体に形成されている。
軸受部21には、図3に示すように回転軸24が回転可能に取り付けられ、その回転軸24の一端にはアーム部25の一端が固定される一方、その回転軸24の他端には円板状の回転部材26が固定されている。この回転部材26には、被切断物の一方の端部を係止する高さが10mm程度の保持部材としての係止突部26aが放射状に3枚配置されている。これらの係止突部26aは、先端に刃が形成されるとともに、先端隅角部にアールが形成されている。このように係止突部26aの先端に刃を形成したことにより、被切断物の一方の端部を容易に保持することができる。また、回転部材26には、図3及び図5に示すように係止突部26aが配置された面の回転中心に保持手段としての中心孔26bが形成されている。この中心孔26bは、後述する保持棒の他端が挿入され、保持棒の他端が着脱可能に装着される。そして、アーム部25の他端には、回転軸24を介して回転部材26を回転させるためのハンドル27が回転可能に取り付けられている。
さらに、側面部15の長手方向端部上面には、フレーム28が鉛直方向に立設されている。このフレーム28には、図1〜図3に示すように回転部材26の係止突部26aが配置された面と対向するように刃物盤12がそれぞれ4つの取付ねじ29a及び蝶ナット29bを締結することにより固定されている。すなわち、刃物盤12は、図9に示すように、フレーム28に対してそれぞれ4つの取付ねじ29a及び蝶ナット29bにより着脱可能である。また、回転部材26は、刃物盤12と相対向して配置されるとともに、被切断物を刃物盤12に押圧する押圧部13に取り付けられている。
なお、係止突部26aは、3枚の刃物を放射状に配置したが、これに限らず先尖状に形成された突起を複数配置するようにしてもよく、要するに回転部材26は、被切断物である被切断物の一方の端部を保持し、被切断物が自由に回転しないようにするものであれば如何なるものでもよい。
一方、刃物盤12は、図6〜図9に示すように座金30と切断刃32を備える。座金30は、図7及び図8に示すように厚さが約2mmの矩形板から形成され、その一角が張り出して円形の挿通孔30aが形成されている。この挿通孔30aには、図1〜図3に示す保持棒33の一端が前面側から後面側に貫通するように挿通され、この保持棒33の他端は、上述したように回転部材26の中心孔26bに挿入されて着脱可能に装着される。
挿通孔30aは、図8及び図9に示すように保持棒33を挿通する方向に対して前面側の径が大きく、かつ後面側の径が小さくなるようにテーパ状に形成されている。挿通孔30aの後面側の径は、保持棒33の径より0.2mm程度大きく設定されている。同様に、回転部材26の中心孔26bの径も保持棒33の径より0.1mm程度大きく設定されている。なお、挿通孔30aの径は、必ずしも保持棒33の径より0.2mm程度大きくすることはなく、保持棒33が容易に挿通可能な径であればよい。また、中心孔26bの径は、0.1mm程度大きくすることはなく、ほぼ同一径として圧入するようにしてもよい。
保持棒33は、図1〜図3に示すよう一本の中実の丸棒から串状に形成され、挿通孔30aに挿通し易くするとともに、被切断物に突き刺し易くするため、少なくとも一端がやや尖って形成されている。保持棒33の材質は、竹、木材、プラスチック、金属またはグリッシーニ、スパゲッティなどの棒状食品から選択され、本実施形態では竹が用いられている。
また、保持棒33は、長さが約30cm、径が3.5mmまたは4.5mmであり、本実施形態では径が3.5mmのものが使用されている。ここで、保持棒33の長さは、被切断物を切断した後、少なくとも被切断物を軸方向に展開して伸ばせることが可能な寸法であればよい。
さらに、保持棒33は、予め固形化された被切断物に突き刺すか、あるいは被切断物に軸を通して冷凍などして固形化して被切断物を保持するものであり、また螺旋切りされた被切断物を保持するようにしている。
切断刃32は、挿通孔30aに挿通された保持棒33の外周面に対して刃先32aの一部が接触するような位置に座金30とともに刃物盤12にビスにより固定されている。また、切断刃32は、片刃が後面側に形成され、被切断物を外周方向から中心に向かって中心部分を残しつつ、軸線方向に沿って螺旋状に切断する。
ここで、切断刃32は、保持棒33の外周面に刃先32aの一部が接触するように挿通孔30aに対して位置決めしたが、これに限らず保持棒33の外周面に刃先32aが離間するように切断刃32を挿通孔30aに対して位置決めするようにしてもよい。つまり、挿通孔30aに挿通された保持棒33に対する刃先32aの位置は、被切断物に対する切り込み深さとなる。
切断刃32の周囲の刃物盤12には、開口部34が形成され、この開口部34を通して螺旋切りされた被切断物を送り出す。この開口部34は、本実施形態では、図6及び図7に示すように被切断物が送り出されるだけの大きさに設定されている。このように開口部34の大きさを小さく形成することにより、刃物盤12の機械的強度を高めることができる。
また、座金30における切断刃32の刃先32a近傍の背面側は、図6に示すように円弧部30bが形成されている。この円弧部30bは、切断刃32側に傾斜するように斜面部30cが形成され、この斜面部30cは、切断刃32の刃先32aとほぼ平行に延びている。
次に、本実施形態の食品螺旋切り装置10による螺旋切り操作について説明する。図11は図1の保持棒の取付状態を示す斜視図、図12は第1実施形態の食品螺旋切り装置の使用状態を示す斜視図、図13は図12の食品螺旋切り装置の具体的な使用状態を示す斜視図、図14は図12の食品螺旋切り装置の他の方向から見た使用状態を示す斜視図である。
まず、図13に示すように調理台35に本実施形態の食品螺旋切り装置10を載置する。この場合、調理台35の端縁部に底板14に形成された係止部16を係止させておく。次いで、保持棒33を回転盤12の挿通孔30aと、回転部材26の中心孔26bから引き抜いて取り外した後、図11の二点鎖線に示すように被切断物(本実施形態ではウィンナーソーセージ)Wに保持棒33をその一端から突き刺す。
なお、保持棒33を取り外して被切断物Wに保持棒33を突き刺して保持しておく工程は、最初に保持棒33を取り外しておき、保持棒33を突き刺した被切断物Wを予め多数用意しておいてもよい。また、本実施形態の被切断物Wとしては、上記ウィンナーソーセージに限らず、はんぺん、蒲鉾、さつま揚げなどの練り製品の他、蒟蒻、食肉、魚介類などの半固形化食品、アイスクリーム、アイスキャンデーなどのように冷凍することにより固形化が可能なあらゆる食品を含むものとする。被切断物Wとして上記半固形化食品を選択した場合は、食材によっては保持棒33を突き刺した後に冷凍固化しておいた方が切断し易いものもあり、このような食材は、適宜切断し易い温度で冷凍固化しておく。
次に、図11に示すように、保持棒33の一端を挿通孔30aの前面側から後面側に貫通するように挿通し、この保持棒33の他端を回転部材26の中心孔26bに挿入して図1〜図3に示すように装着する。
この状態で図13に示すように、摺動板18の端部の押当部19に使用者の腰部、腹部や大腿部などを押し当て、刃物盤12に対して回転部材26を押圧しつつ、片手でハンドル27を時計方向に回転操作すると、回転部材26が刃物盤12に対して接近し、回転部材26の係止突部26aにより被切断物Wを回転させながら刃物盤12の切断刃32に押すことにより、その切断刃32は、図12に示すように被切断物Wを外周方向から中心に向かって中心部分を残しつつ、軸線方向に沿って螺旋状に切断する。そして、この螺旋切りされた被切断物Wは、図14に示すように徐々に開口部34から保持棒33とともに送り出されることとなる。
このようにして螺旋切りされた被切断物Wを保持する保持棒33は、挿通孔30a及び中心孔26bの開口縁により支持されており、保持棒33を挿通孔30a及び中心孔26bから引き抜いて離脱させることにより、螺旋切りされた被切断物Wを保持した保持棒33を取り外すことができる。この螺旋切りされた被切断物Wは、保持棒33に保持された状態で、軸方向に展開して伸ばし、例えば食用油により素揚げされて食されることとなる。
ここで、切断刃32が設置された座金30の背面には、円弧部30b及び斜面部30cが形成されていることから、段差部がなくなる。これにより、螺旋切りされた被切断物Wは、円弧部30b及び斜面部30cに沿って送り出されるので、円滑に送り出すことが可能となる。
なお、被切断物Wが螺旋切りされると、図1〜図3に示すように係止用凸部23が刃物盤12の下端に当接することで、それ以上の切断ができなくなるようにしている。これにより、切断刃32に回転部材26が接触して双方が損傷する不具合を防止することができる。
このように本実施形態によれば、刃物盤12と押圧部13との間で保持棒33を介して被切断物Wを押圧しつつ回転部材26の回転操作により被切断物Wを回転させて切断刃32で螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物Wを切断刃32の周囲に開口する開口部34を通して送り出すことにより、螺旋切りする被切断物Wが保持棒33に予め保持されているので、他の棒状体に移し替える必要がなくなり、使い勝手を大幅に向上させるとともに、被切断物Wを容易に螺旋切りすることができる。
また、本実施形態によれば、保持棒33が刃物盤12と回転部材26に対して着脱可能であることから、保持棒33を取り外して被切断物Wに軸を通し易い温度環境下において、保持棒33に被切断物Wを予め保持し、さらに冷凍固化しておくことができるため、被切断物Wの硬軟の性状に拘わらず塊状のものであれば、ほとんどの食材を螺旋切りすることができ、汎用性を高めることができる。さらに、本実施形態によれば、挿通孔30aは、保持棒33を挿通する方向に対して前面側の径が大きく、かつ後面側の径が小さくなるようにデーパ状に形成されているので、保持棒33が挿通し易くなり、作業効率を高めることができる。
なお、本実施形態では、保持棒33を取り外して被切断物Wに保持棒33を突き刺して保持するようにしたが、被切断物Wが竹輪の場合には、突き刺す必要がなく、単に軸を通しておくことで、螺旋切りが可能となる。
ところで、本実施形態は、例えば図15に示すような刃物盤12Aと交換可能である。図15は図10の刃物盤を他の刃物盤と交換する状態を示す斜視図である。なお、前記刃物盤12と同一または対応する部分には、同一の符号を用いて説明する。図15に示すように、刃物盤12Aは、座金30と、支持突起31と、切断刃32と、支持突起31と一体に形成された長尺の棒状体36と、を備える。
刃物盤12Aは、被切断物Wの両端を支持して螺旋切りすることから、じゃがいも、人参、里芋、大根などの塊状野菜や、パイナップル、りんご、梨などの塊状果物、ソーセージ、ハムなどの塊状加工食肉などの塊状食品の他、チーズなどのように予め固形化された固形化食品を螺旋切りするのに好適である。
支持突起31は、長さが例えば11mmの中実の丸棒であり、回転軸24と軸心が一致するように回転部材26側に突設されている。支持突起31及び棒状体36は、取付孔30aに挿入され、この取付孔30aの開口縁に溶接により固着される。支持突起31は、被切断物Wの他方の端部を突き刺して回転部材26との間で被切断物Wを挟持する。
棒状体36は、例えば長さが135mm、径が3mmの中実の丸棒である。棒状体36は、支持突起31の突出する方向と反対側に切断刃32の近傍から突出し、切断刃32の周囲に開口する開口34を通して送り出される螺旋切りされた被切断物Wが絡み付くように支持する。ここで、棒状体36は、支持突起31と一体に形成されたことから、回転軸24と軸心が一致するように支持突起31から突設されている。
なお、棒状体36の長さは、被切断物Wの軸方向の長さにより適宜変更可能である。また、棒状体36の径は、強度上及び螺旋切りされた被切断物Wの中心に形成される孔を可及的に小さくすることから設定される。
このように構成された刃物盤12Aは、次のようにして被切断物Wを螺旋切りする。まず、上記と同様に本実施形態の食品螺旋切り装置10を載置する。次いで、被切断物Wの長さに合う間隔まで回転部材26を支持突起31側から離間させる。その位置で被切断物Wの一端を回転部材26の係止突部26aに係止するとともに、被切断物Wの他端を支持突起31に突き刺して回転部材26と支持突起31との間で被切断物Wを挟持する。
この状態で、摺動板18の端部の押当部19に使用者の腰部、腹部や大腿部などを押し当て、刃物盤12Aに対してホルダー26を押圧しつつ、片手でハンドル27を時計方向に回転操作すると、回転部材26が刃物盤12Aに対して接近し、回転部材26の係止突部26aにより被切断物Wを回転させながら刃物盤12Aの切断刃32に押すことにより、その切断刃32は、上記と同様に被切断物Wを外周方向から中心に向かって中心部分を残しつつ、軸線方向に沿って螺旋状に切断する。
そして、この螺旋切りされた被切断物Wは、部分的に徐々に開口部34から送り出され、棒状体36に順次絡み付いていき、この棒状体36で一体物となって支持されることとなる。また、螺旋切りされた被切断物Wは、その中心部分に支持突起31によって小さな孔が形成されることとなる。このようにして螺旋切りされた被切断物Wは、軸方向に展開して伸ばし、例えば食用油により素揚げされて食されることとなる。
このような刃物盤12Aは、フレーム28に対してそれぞれ4本の取付ねじ29a及び蝶ナット29bにより着脱可能に取り付けられているので、工具などを使用することなく、使用者が指で蝶ナット29bを取り外すことにより、容易に交換することが可能となる。
このような刃物盤12Aによれば、刃物盤12Aの支持突起31と回転部材26との間で被切断物Wを保持し、ハンドル27を回転操作して回転部材26を回転させつつ刃物盤12Aに接近させて切断刃32で被切断物Wを螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物Wを棒状体36で支持することにより、使い勝手を大幅に向上させるとともに、被切断物Wを容易に螺旋切りすることができる。
また、刃物盤12Aによれば、被切断物Wは、刃物盤12Aの支持突起31と回転部材26との間で保持するだけであるので、被切断物Wの装着作業が容易である。さらに、螺旋切りされた被切断物Wは、棒状体36で支持されるので、螺旋切りされた被切断物Wが中途で分断されることなく、常に連続する一体物としての形状を維持することができるため、螺旋切りされた被切断物Wの取扱いが極めて容易になるとともに、商品価値を高めることが可能となる。
なお、上記実施形態の刃物盤12,12Aでは、座金30に取付孔30aを形成するようにしたが、刃物盤12に取付孔30aを直接形成するようにしてもよい。これにより、部品点数を削減することができる。この場合は、上述したように支持突起31の外周が切断刃32の刃先32aに接するように配置する必要がある。
また、上記実施形態では、押当部19に使用者の腰部、腹部や大腿部などを押し当て、その押当力を摺動板18に対する押圧力としたが、これに限らず使用者が一方の手でフレーム28を押え、他方の手でハンドル27を回転操作させつつ切断刃32に押し付けるようにしてもよい。
図16は図8において挿通孔が形成された座金の変形例を示す拡大斜視図である。図16に示すように、座金30の挿入孔30aにおける周壁部は、周方向に分割された開閉蓋としての分割片37aを有し、この分割片37aは、板ばね37bにより周方向に開閉可能に構成されている。板ばね37bは、分割片37aを常に閉止する方向に弾性力を付与している。
このように図16に示す座金の変形例によれば、挿入孔30aの周壁部の一部に分割片37aを設け、この分割片37aが板ばね37bにより径方向に開閉可能であることから、座金30の挿入孔30aに対する保持棒33の着脱作業を極めて容易に行うことができる。
(第2実施形態)
図17は本発明に係る食品螺旋切り装置の第2実施形態を示す正面図、図18は図17の平面図、図19は図17の左側面図、図20は図18の中央断面図、図21は図20の一部を示す側断面図、図22は図21の回動アームを示す側面図、図23は図21の回動アームの取付状態を示す平面図、図24は図21の回動アームの取付状態を示す正面図である。なお、以下の実施形態では、刃物盤42として説明するが、基本構成は、前記第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付して説明する。
図17〜図20に示すように、本実施形態の食品螺旋切り装置40は、支持板としての支持台41と、刃物盤42と、ねじ棒進退機構43と、から大略的に構成されている。
支持台41は、平面視矩形状に形成され、食品螺旋切り装置40を設置するための基台となる。刃物盤42は、支持台41の一側にほぼ鉛直方向に立設したフレーム28に取り付けられている。ねじ棒進退機構43は、刃物盤42に所定間隔をおいて対向するとともに、支持台41の他側にほぼ鉛直方向に立設されている。
ねじ棒進退機構43は、図21〜図24に示すようにカバー枠44と、ブラケット45と、支持板46と、この支持板46上に4本のビス47により固定されたガイド部48と、このガイド部48に回動可能に装着された回動アーム49と、この回動アーム49に2本の六角穴付きボルト50,50により固着された螺合部材51と、回動アーム49の上端に取り付けられた操作用つまみ52と、軸方向に雄ねじが刻設された長尺のねじ棒53と、このねじ棒53の一端(後端)に取り付けられたハンドル54と、を備える。
カバー枠44は、支持台41に立設され、内部が空洞の矩形箱状に形成され、上面に回動アーム49を回動可能とするための長孔44aがねじ棒53に対して直交する方向に形成されている。ブラケット45は、正面視コ字状に形成され、その側面がカバー枠44の内面にビスなどの固定手段により所定の高さに固定される。このブラケット45上には、支持板16が固定されている。
ガイド部48には、図24に示すように所定間隔をおいて形成された2つの軸孔48a,48aと、これらの軸孔48a,48aに対して平行に形成された取付孔48b,48bと、を備えている。回動アーム49は、図22に示すように側面視く字状に形成され、その下端には、図23及び図24に示すように回動軸49a,49aが一体に張り出すように形成されている。これらの回動軸49a,49aは、ガイド部48の取付孔48b,48bに回動可能に装着される。
螺合部材51は、図22に示すように正面視コ字状に形成され、対向する側面に半円弧状に切り欠かれた螺合部51a,51aが形成されている。これらの螺合部51a,51aの円弧部は、刃状に形成され、これらの円弧部がねじ棒53のねじ山とねじ山との間の谷部に食い込み、ねじ棒53に対して外周方向から螺合する雌ねじとなるように構成されている。また、螺合部51a,51aの間隔は、ねじ棒53の多種の長さのピッチに対応できるように、例えば12mmに設定されている。これにより、ねじ棒23のねじピッチが1mm、2mm、3mm、4mm、6mm、12mmのものに対応することが可能となる。
ねじ棒53は、図23及び図24に示すようにガイド部48の2つの軸孔48a,48aに摺動可能に装着される。また、ねじ棒53は、ハンドル54が取り付けられる一端(後端)側に、ねじを刻設しない滑面部53aが形成されている。
したがって、回動アーム49及び螺合部材51が図21に二点鎖線で示す位置では、螺合部51a,51aがねじ棒53と螺合していない状態であり、ねじ棒53はガイド部48の2つの軸孔48a,48aに摺動可能である。
一方、切断作業時には、操作用つまみ52を操作し、回動アーム49及び螺合部材51を図21に実線で示す位置に回動させる。すると、螺合部51a,51aが自重でねじ棒53のねじ山とねじ山との間の谷部に食い込んで螺合し、ねじ棒53に対して操作用つまみ52、回動アーム49及び螺合部材51の重量が負荷する状態となる。これにより、ハンドル54の回動操作によりねじ棒53がそのピッチに従って刃物盤42に対して接近及び離反する方向に進退させることができる。
また、ねじ棒53は、一定のピッチでねじが刻設され、このピッチは被切断物の種類によって変更され、例えば被切断物Wがさつまいもや人参の場合は、3mmピッチであり、じゃがいもや長芋の場合は、3〜4mmピッチである。
さらに、ねじ棒53の他端(先端)には、図17〜図20に示すように被切断物としての被切断物Wの一方の端部を保持する保持部材としての保持板55が固着されている。この保持板55は、円板状に形成され、ねじ棒53の固着側と反対側に、被切断物Wの一方の端部を係止する高さが10mmの保持部材としての係止突部56が放射状に3枚配置されている。これらの係止突部56は、先端に刃が形成されるとともに、先端隅角部にアールが形成されている。このように係止突部56の先端に刃を形成したことにより、被切断物Wの一方の端部を容易に保持することができる。また、保持板55には、図示しないが係止突部56が配置された面の回転中心に中心孔(保持手段)が形成されている。この中心孔は、保持棒33の他端が挿入され、保持棒33の他端が着脱可能に装着される。
なお、係止突部56は、3枚の刃物を放射状に配置したが、これに限らず先尖状に形成された突起を複数配置するようにしてもよく、要するに保持板55は、保持棒33の他端を保持し、被切断物Wが自由に回転しないようにするものであれば如何なるものでもよい。さらに、滑面部53aは、被切断物Wが切断されてしまって係止突部56が刃物盤42に接近する状態で、螺合部材51の螺合部51a,51a間に位置するような寸法関係に予め設定されている。
一方、刃物盤42は、図25に示すように前記第1実施形態と同様に座金30と、切断刃32を備える。なお、座金30及び切断刃32は、前記第1実施形態と同様の構成であるので、その説明を省略する。
一方、支持台41は、図25及び図26に示すように刃物盤42の底部近傍に開口部57が形成されている。すなわち、開口部57は、切断刃32の下方における支持台41に矩形状に形成されている。この開口部57の直下には、図25に示すように引き出し部58が配置されている。この引き出し部58は、支持台41に固定された支持レールに対して水平方向から着脱可能に構成されている。
したがって、切断刃32により被切断物Wを螺旋切りしたときに発生した切断汁は、刃物盤42から開口部57を通り引き出し部58に溜まることとなる。そして、一定の切断汁が溜まった場合には、引き出し部58を支持台41の支持レールから水平方向に引き出して切断汁を廃棄し、再び引き出し部58を支持レールに装着する。これにより、支持台41は、切断汁で汚れることなく、常に清潔に維持することができる。
図25に示すように、ねじ棒進退機構43は、支持台41に対して着脱可能に構成されている。具体的に、支持台41の他側の幅方向には、2本のボルト59a,59aが一定間隔をおいて植設されている。また、ねじ棒進退機構43のカバー枠44は、その底面に図18にも示すように座板が固着されている。この座板の両端は、カバー枠44の支持台41への取付時において、それぞれカバー枠44から支持台41の幅方向に延長するように延長部が形成されている。これらの延長部には、それぞれボルト59a,59aが挿通する挿通孔が形成されている。したがって、カバー枠44は、ボルト59a,59aに挿通孔を挿通してノブ付ナット59b,59bを締め付けることにより固定される。
そして、支持台41にカバー枠44を取り付けるには、支持台41に植設されたボルト59a,59aに座板の延長部に形成された挿通孔を挿通した後、ボルト59a,59aにノブ付ナット59b,59bをそれぞれ締め付けることにより行われる。一方、支持台41からカバー枠44を取り外すには、ノブ付ナット59b,59bをそれぞれ緩めて外した後、カバー枠44を上方に引き上げてボルト59a,59aから座板の延長部に形成された挿通孔を離脱させることにより行われる。このようにカバー枠44を支持台41に対して着脱可能に構成したことから、ねじピッチの異なるねじ棒53が取り付けられた他のねじ棒進退機構53と容易に交換することが可能となる。
本実施形態の食品螺旋切り装置40は、支持板42、ガイド部48、操作用つまみ52及びハンドル54は、合成樹脂によって成形されているものの、他の部材は、全てステンレス鋼から形成されている。
次に、本実施形態の食品螺旋切り装置40による螺旋切り操作について説明する。図26は図17の保持棒の取付状態を示す斜視図、図27は第2実施形態の食品螺旋切り装置の使用状態を示す斜視図、図28は図27の食品螺旋切り装置の他の方向から見た使用状態を示す斜視図である。
切断作業時には、まず、保持棒33を刃物盤42の挿通孔30aと、保持板55の中心孔から引き抜いて取り外した後、図26の二点鎖線に示すように被切断物Wに保持棒33をその一端から突き刺す。次いで、図26に示すように、保持棒33の一端を挿通孔30aの前面側から後面側に貫通するように挿通し、この保持棒33の他端を保持板55の中心孔に挿入して図27に示すように装着する。
そして、操作用つまみ52を操作し、図21の二点鎖線に示すように回動アーム49をその回動軸49aを中心に螺合部材51を手前上方に回動させて螺合部材51がねじ棒53から離れる状態とし、被切断物Wの長さに合う間隔まで保持板55を摺動させ、その位置で切断刃32と保持板55の係止突部56との間で被切断物Wを挟持する。
次いで、再度操作用つまみ22を操作し、図21の実線に示すように回動アーム49をその回動軸49aを中心に螺合部材51を下方に回動させると、螺合部51a,51aが自重でねじ棒53のねじ山とねじ山との間の谷部に食い込んで螺合し、ねじ棒53に対して操作用つまみ52、回動アーム49及び螺合部材51の重量が負荷する状態となる。
この状態からハンドル54を回動操作すると、図27に示すようにねじ棒53がそのピッチに従って刃物盤42に対して接近する方向に進む。そして、ねじ棒53が刃物盤42に対して接近し、保持板55の係止突部56により被切断物Wを回転させながら刃物盤42の切断刃32に押すことにより、その切断刃32は、図28に示すように被切断物Wを外周方向から中心に向かって中心部分を残しつつ、軸線方向に沿って螺旋状に切断する。そして、この螺旋切りされた被切断物Wは、図28に示すように徐々に開口部34から保持棒33とともに送り出されることとなる。
このようにして螺旋切りされた被切断物Wを保持する保持棒33は、挿通孔30a及び保持板55の中心孔の開口縁により支持されており、保持棒33を挿通孔30a及び保持板55の中心孔から引き抜いて離脱させることにより、螺旋切りされた被切断物Wを保持した保持棒33を取り外すことができる。この螺旋切りされた被切断物Wは、保持棒33に保持された状態で、軸方向に展開して伸ばし、例えば食用油により素揚げされて食されることとなる。
なお、被切断物Wの螺旋切り作業が終了し、保持板55の係止突部56が切断刃32に接近する状態では、ねじ棒53の滑面部53aが螺合部材51の螺合部53aに臨む位置となり、ハンドル54を回転させても空転するだけとなって保持板55の係止突部56が切断刃32側に接近することがなくなる。
また、作業中トラブルが生じたり、終了状態から次の螺旋切り作業に移行する場合には、操作用つまみ52を操作し、図21の二点鎖線に示すように回動アーム49をその回動軸49aを中心に螺合部材51を手前上方に回動させて螺合部材51がねじ棒53から離れる状態とすると、ねじ棒53をガイド部48の軸孔48a,48aに摺動させるだけで移動することができる。
このように本実施形態によれば、ハンドル54の回動操作により刃物盤42に対して保持棒33に保持された被切断物Wを回転させつつねじ送りして切断刃32で被切断物Wを螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物Wを切断刃32の周囲に開口する開口部34を通して送り出すことにより、前記第1実施形態の効果に加え、一定のピッチでねじ送りして被切断物Wを螺旋切りするため、被切断物Wを一定の厚さで螺旋切りすることが可能となる。
(第3実施形態)
図29は本発明に係る食品螺旋切り装置の第3実施形態を示す正面図、図30は図29の平面図、図31は図29の左側面図、図32は図30のXXXII−XXXII線による断面図である。なお、前記第1実施形態及び第2実施形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を付し、異なる構成のみを説明する。
図29〜図32に示すように、本実施形態の食品螺旋切り装置60は、支持板としての支持枠61と、刃物盤42と、駆動部62と、から大略的に構成されている。
支持枠61は、長手方向左右にガイドレール63が形成されている。刃物盤42は、支持台61の一側にほぼ鉛直方向に立設されている。
駆動部62は、複数のローラ64が底面に取り付けられ、これらのローラ64がガイドレール63に装着されて支持枠61の長手方向に対して摺動可能となる。駆動部62は、ハンドル65を有し、このハンドル65を作業者が握持して支持枠61の長手方向に対して摺動させることにより、刃物盤42に対して接近及び離反させることができる。また、駆動部62には、駆動手段としてのモータ66が搭載され、その出力軸66aがホルダー70に固定されている。
次に、ホルダーの内部構造について説明する。図33は図29のホルダーを示す正面図、図34は図29のホルダーの内部構造を示す拡大断面図である。
ホルダー70は、被切断物Wの一方及び保持棒33の他端を保持するものである。具体的には、ホルダー70は、モータ66の出力軸66aに固着される回転保持板71を有し、この回転保持板71の表面の中心点より放射状に2等分乃至4等分した位置に保持部材としての刃体72が突出して埋設されている。この刃体72を突設した回転保持板71には、モータ66の空転による危険を防止するため、保護カバー73がばね付勢されており、被切断物Wを保持したときのみ、保護カバー73が回転保持板71に密着して刃体72が保護カバー73の表面から突出して被切断物Wの一方を保持する。
また、ホルダー70の回転保持板71の回転中心には、保持手段としての中心孔77が形成されている。この中心孔77は、保持棒33の他端が挿入され、保持棒33の他端が着脱可能に装着される。
さらに、駆動部62には、ホルダーカバー74が固着され、このホルダーカバー74は被切断物Wを保持するホルダー70が刃物盤42に接近したとき、被切断物Wの汁などが周囲に飛散するのを防止している。モータ66は、図示しない電源コードに電気的に接続されたスイッチ75を押すことにより駆動され、スイッチ75を押している間、モータ66は、回転を続けるように構成されている。
なお、刃物盤42の構成は、前記第1、第2実施形態と同様の構成であるので、その説明を省略する。
刃物盤12の上部には、ゴム製のストッパ76が取り付けられている。このストッパ76は、被切断物Wの一方を保持したホルダー70の刃体72が刃物盤42に接近した場合、これらの刃体72が刃物盤42に接触するのを防止している。
次に、本実施形態の食品螺旋切り装置60による螺旋切り操作について説明する。図35は第3実施形態の食品螺旋切り装置を示す斜視図、図36は図35の食品螺旋切り装置の使用状態を示す斜視図、図37は図35の食品螺旋切り装置の他の方向から見た使用状態を示す斜視図である。
切断作業時には、まず、保持棒33を刃物盤42の挿通孔30aと、回転保持板71の中心孔77から引き抜いて取り外した後、被切断物Wに保持棒33をその一端から突き刺す。次いで、図35に示すように、保持棒33の一端を挿通孔30aの前面側から後面側に貫通するように挿通し、この保持棒33の他端を回転保持板71の中心孔77に挿入して図27に示すように装着する。
そして、作業者は一方の手で刃物盤42を押えつつ、他方の手でハンドル65を握持して支持枠61の長手方向に対して摺動させることにより、ホルダー70の保護カバー73を押圧して刃体72を突出させて被切断物Wの他方を保持する。
次いで、スイッチ75を押してモータ66を駆動してホルダー70を回転させる。次いで、他方の手でハンドル65を握持して支持枠61の長手方向に対して摺動させることにより、ホルダー70が刃物盤42に対して接近させ、ホルダー70の刃体72により被切断物Wを回転させながら刃物盤42の切断刃32に押すことにより、その切断刃32は、図36及び図37に示すように被切断物Wを外周方向から中心に向かって中心部分を残しつつ、軸線方向に沿って螺旋状に切断する。そして、この螺旋切りされた被切断物Wは、徐々に開口部34から保持棒33とともに送り出されることとなる。
このようにして螺旋切りされた被切断物Wを保持する保持棒33は、挿通孔30a及び回転保持板71の中心孔77の開口縁により支持されており、保持棒33を挿通孔30a及び中心孔77から引き抜いて離脱させることにより、螺旋切りされた被切断物Wを保持した保持棒33を取り外すことができる。この螺旋切りされた被切断物Wは、保持棒33に保持された状態で、軸方向に展開して伸ばし、例えば食用油により素揚げされて食されることとなる。
このように本実施形態によれば、刃物盤42と駆動部62との間で保持棒33を介して被切断物Wを押圧しつつホルダー70を回転駆動させて切断刃32で被切断物Wを螺旋切りし、この螺旋切りされた被切断物Wを切断刃32の周囲に開口する開口部34を通して送り出すことにより、ホルダー70をモータ66により回転駆動させて被切断物Wを螺旋切りするため、前記第1実施形態の効果に加え、被切断物Wを短時間で大量に螺旋切りすることが可能となり、操作性を向上させるとともに、切断効率も高めることができる。
また、本実施形態によれば、被切断物Wは、刃物盤12の支持突起31とホルダー60との間で保持するだけであるので、被切断物Wの装着作業が容易である。さらに、ホルダー60をモータ56により回転駆動させて螺旋切りするため、被切断物Wを短時間で大量に螺旋切りすることが可能となる。そして、螺旋切りされた被切断物Wは、棒状体33で支持されるので、螺旋切りされた被切断物Wが中途で分断されることなく、常に連続する一体物としての形状を維持することができるため、商品価値を高めることが可能となる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、保持棒33の他端を中心孔26b,77に挿入して保持するようにしたが、これに限定することなく、保持棒33の他端を挟持するか、U字状の受部などで保持するようにしてもよく、要するに、保持棒33の他端を保持すればよい。
また、上記第2実施形態では、刃物盤12,42に対してねじ棒進退機構43のねじ棒53を水平方向に進退させ、上記第3実施形態では、刃物盤42に対して駆動部62を水平方向に進退させるようにしたが、これに限定することなく、種々の変更が可能である。
上記第2実施形態では、例えば支持板に水平に設けられた刃物盤42の上方にねじ棒進退機構43を設置し、刃物盤42に対してねじ棒53を垂直方向に進退させるようにしてもよい。同様に、上記第3実施形態では、支持板に水平に設けられた刃物盤42の上方に駆動部62を設置し、刃物盤42に対して駆動部62を垂直方向に進退させるようにしてもよい。勿論、これらねじ棒進退機構43や駆動部62を刃物盤42に対して斜め上方となるような位置関係に螺旋切り装置本体を構成し、ねじ棒進退機構43や駆動部62を傾斜する方向に進退させるようにしてもよい。
10 食品螺旋切り装置
11 支持板
12 刃物盤
13 押圧部
14 底板
15 側面部
16 係止部
17 溝部
18 摺動板
19 押当部
20 支持台
24 回転軸
26 ホルダー
26a 係止突部(保持部材)
26b 中心孔(保持手段)
27 ハンドル
28 フレーム
30 座金
30a 取付孔
31 支持突起
32 切断刃
32a 刃先
33 保持棒
34 開口部
36 棒状体
37 周壁部
37a 分割片(開閉蓋)
40 食品螺旋切り装置
41 支持台(支持板)
42 刃物盤
43 ねじ棒進退機構
49 回動アーム
53 操作用つまみ
54 ハンドル
55 保持板
56 係止突部(保持部材)
60 食品螺旋切り装置
61 支持部(支持板)
62 駆動部
65 ハンドル
66 モータ
70 ホルダー
71 回転保持板
72 刃体(保持部材)
73 保護カバー
77 中心孔(保持手段)

Claims (12)

  1. 支持板に設けられた刃物盤と、
    前記刃物盤に対向して配置され、前記刃物盤に対して進退可能に移動する押圧部と、
    前記押圧部に取り付けられ、回転中心に保持手段が設けられた回転部材と、
    前記刃物盤に固定され、被切断物を螺旋切りする切断刃と、
    前記被切断物に軸を通して前記被切断物を保持し、前記切断刃の近傍に形成された挿通孔から一端が挿通されるとともに、前記保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒と、を備え、
    前記刃物盤と前記押圧部との間で前記保持棒を介して前記被切断物を押圧しつつ前記回転部材の回転操作により前記被切断物を回転させて前記切断刃で螺旋切りし、当該螺旋切りされた前記被切断物を前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことを特徴とする食品螺旋切り装置。
  2. 請求項1に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記支持板にこれを係止する係止部を設けたことを特徴とする食品螺旋切り装置。
  3. 請求項1又は2に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記押圧部に前記支持板内を摺動する摺動板を固定し、この摺動板を前記被切断物の押圧方向と逆方向で前記支持板から突出するように長尺に形成し、前記摺動板に前記押圧部を介して前記被切断物を前記刃物盤に押圧するための押当部を形成したことを特徴とする食品螺旋切り装置。
  4. 支持板に設けられた刃物盤と、
    前記刃物盤に対向して配置され、かつハンドルの回動操作により前記刃物盤に対して接近及び離反する方向にねじ棒を進退させるねじ棒進退機構と、
    前記ねじ棒の先端に取り付けられ、回転中心に保持手段が設けられた回転部材と、
    前記刃物盤に固定され、被切断物を螺旋切りする切断刃と、
    前記被切断物に軸を通して前記被切断物を保持し、前記切断刃の近傍に形成された挿通孔から一端が挿通されるとともに、前記保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒と、を備え、
    前記ハンドルの回動操作により前記刃物盤に対して前記保持棒に保持された前記被切断物を回転させつつねじ送りして前記切断刃で前記被切断物を螺旋切りし、当該螺旋切りされた前記被切断物を前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことを特徴とする食品螺旋切り装置。
  5. 支持板に設けられた刃物盤と、
    前記刃物盤に対向して配置され、かつ前記刃物盤に対して進退可能に前記支持板上を移動する駆動部と、
    前記駆動部に取り付けられ、回転中心に保持手段が設けられたホルダーと、
    前記ホルダーを回転駆動する駆動手段と、
    前記刃物盤に固定され、被切断物を螺旋切りする切断刃と、
    前記被切断物に軸通して前記被切断物を保持し、前記切断刃の近傍に形成された挿通孔から一端が挿通されるとともに、前記保持手段に他端が保持されて着脱可能に装着される保持棒と、を備え、
    前記刃物盤と前記駆動部との間で前記保持棒を介して前記被切断物を押圧しつつ前記ホルダーを回転駆動させて前記切断刃で前記被切断物を螺旋切りし、当該螺旋切りされた前記被切断物を前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出すことを特徴とする食品螺旋切り装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記支持板にフレームが立設され、このフレームに対して前記刃物盤が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする食品螺旋切り装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記回転部材又は前記ホルダーに、前記被切断物の一方を保持する保持部材を取り付け、
    前記刃物盤に代えて、前記回転部材又は前記ホルダー側に突設され、前記被切断物を突き刺して前記回転部材又は前記ホルダーとの間で前記被切断物を挟持する支持突起と、前記支持突起に対して刃先が接触及び離反可能に設けられ、前記被切断物を螺旋切りする切断刃と、前記支持突起と反対側に設けられ、前記切断刃の周囲に開口する開口部を通して送り出される螺旋切りされた前記被切断物を支持する支持部材とを有する第2の刃物盤を、前記フレームに取り付けることを特徴とする食品螺旋切り装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記挿通孔の周壁部に径方向に開閉可能な開閉蓋が設けられていることを特徴とする食品螺旋切り装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記挿通孔は、前記保持棒を挿通する方向に対して前面側の径が大きく、かつ後面側の径が小さくなるようにテーパ状に形成されていることを特徴とする食品螺旋切り装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の食品螺旋切り装置において、
    前記保持棒は、竹、木材、プラスチック、金属、食品のいずれかで形成されていることを特徴とする食品螺旋切り装置。
  11. 被切断物に保持棒の軸を通して被切断物を保持する保持工程と、
    前記保持工程の後に、前記被切断物を螺旋切りする螺旋切り工程と、
    を有することを特徴とする食品螺旋切り方法。
  12. 請求項11に記載の食品螺旋切り方法において、
    前記保持工程の後に、前記被切断物を冷凍する冷凍工程を有することを特徴とする食品螺旋切り方法。
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