JP2012035294A - テーパ穴形成装置、テーパ穴形成方法、光変調手段および変調マスク - Google Patents

テーパ穴形成装置、テーパ穴形成方法、光変調手段および変調マスク Download PDF

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Abstract

【課題】被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができるテーパ穴形成装置を提供する。
【解決手段】テーパ穴形成装置10は、マスク照明系11からの光を変調して、略円形の等強度線を有する光を被加工物18に照射する光変調手段15を備えている。光変調手段15は、各々がテーパ穴20に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有しており、各単位変調手段により変調されて被加工物18に照射される光は各々、テーパ穴20に対応する光強度分布を有する単位階調光50となっている。また、各単位階調光50のうち一の単位階調光50における傾斜部分52の幅wは、その他の単位階調光50のうち少なくとも1つの単位階調光50における傾斜部分52の幅と異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光源からの光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置およびテーパ穴形成方法に関する。また本発明は、光源からの光を変調する光変調手段および変調マスクに関する。
近年、電子機器などで用いられる部品において、部品(被加工物)を様々な形状に高精度で光加工することが求められている。例えば、プリンタなどに使用されるインクジェットヘッドにおいては、良好なインクの吐出性能を得るために、インクジェットヘッドのノズルまたはインク流路などを精密に光加工することが求められる。このうちノズルにおいては、インクの吐出口が基端部よりも細くなるようテーパ部が設けられる。
図47に、レーザ光によるアブレーションを利用してノズルを形成するための、従来のレーザ加工装置100を示す。レーザ加工装置100のステージ109上には、ポリイミド等の樹脂プレートからなり、レーザ加工によりノズルが形成される被加工物108が載置されている。レーザ光源102から出射されるパルス状のレーザ光は、光強度分布を均一化する照明光学系103を通過した後、マスク104に入射される。マスク104は、光を透過させる石英ガラス層105と、光を遮蔽する金属からなる光遮蔽膜106とを積層することにより形成されており、また、光遮蔽膜106はその中央部に円形の開口部106aを有している。このため、マスク104に入射したレーザ光のうち、光遮蔽膜106の開口部106aに対応する領域に入射したレーザ光のみがマスク104を透過し、その他の光はマスク104の光遮蔽膜106により遮蔽される。マスク104を透過したレーザ光は、結像光学系107により被加工物108上に結像される。被加工物108上に結像され照射された光は、光遮蔽膜106の開口部106aに対応する円形パターンを有しており、このため、被加工物108が円形に加工される。これによって、テーパ部110bが設けられたノズル110が作製される。
レーザ加工により作製されるノズル110のテーパ部110bのテーパ角と、照射されるレーザ光のエネルギー密度(光強度)との間には、図48(a)に示すように、強度を小さくするとテーパ角が大きくなる関係があることが知られている。この関係を利用することにより、照射されるレーザ光の強度を調整して所望角度のテーパ部110bを形成することが可能となる。例えば特許文献1において、所定の角度を有するテーパ部110bを形成するよう、照射されるレーザ光の強度を調整してノズル110を形成する装置が開示されている。
特開2002−67333号公報
上述のノズルなどの部品の生産効率を向上させるため、複数のノズルを一度に製造することが求められる場合がある。この場合、例えばレーザ加工により、被加工物に複数のテーパ穴が一度に形成される。
ところで、レーザ光による加工においては、複数のテーパ穴が形成されるべき領域(テーパ穴形成領域)に対して、レーザ加工装置からそれぞれ等しい強度を有するレーザ光が出射される場合であっても、被加工物に到達する際のレーザ光の強度がテーパ穴形成領域の位置によって異なる場合がある。このように被加工物に到達する際のレーザ光の強度がテーパ穴形成領域の位置によって異なる理由としては、様々な要因が挙げられる。
例えば、1つの要因として以下のような現象が考えられる。レーザ光による加工においては、アブレーションにより被加工物の一部が除去される際に飛散物が発生するが、この飛散物によって、被加工物に到達する際のレーザ光が吸収・散乱されることが知られている。ここで、各テーパ穴形成領域間の距離が小さい場合、一のテーパ穴形成領域において発生した飛散物が、他のテーパ穴形成領域にまで到達することがある。この場合、他のテーパ穴形成領域に照射されるレーザ光は、自身の加工により発生する飛散物だけでなく、一のテーパ穴形成領域において発生した飛散物によっても吸収・散乱される。このように近傍のテーパ穴形成領域からの飛散物の影響が生じうる状況においては、複数のテーパ穴形成領域からなる一群において、一群の中央部に位置するテーパ穴形成領域は、一群の端部に位置するテーパ穴形成領域に比べて、飛散物によるレーザ光の吸収・散乱がより多く発生すると考えられる。この場合、中央部に位置するテーパ穴形成領域に到達する際のレーザ光の強度は、端部に位置するテーパ穴形成領域に到達する際のレーザ光の強度に比べて小さくなる。
また、その他の要因として以下のような現象も考えられる。複数の領域に対して、レンズを用いて結像された光を照射する場合、各領域に照射される光の収差は一般にそれぞれ異なっている。例えばレーザ加工装置によりテーパ穴形成領域の一群に対してレーザ光が照射される場合、一群の端部に位置するテーパ穴形成領域に照射される光の収差が、一群の中央部に位置するテーパ穴形成領域に照射される光の収差に比べて大きくなることが考えられる。すなわち、一群の端部に位置するテーパ穴形成領域に照射される光の点像が、一群の中央部に位置するテーパ穴形成領域に照射される光の点像に比べてボケることが考えられる。この場合、一群の端部に位置するテーパ穴形成領域に照射される光の円形パターンにおいて、円形パターンの境界部分(円形パターン内側の強い光と円形パターン外側の弱い光との間の遷移部分であり、後述する本発明の実施の形態における傾斜部分)が長くなることになる。
また、さらなる要因として、照明光学系における、レーザ光の光強度分布を均一化する機能や、結像光学系における、レーザ光を被加工物上に結像する機能が、位置によって若干ばらつき、これによってレーザ光の強度が位置によってばらつくことが考えられる。このような照明光学系または結像光学系のばらつきは、設計時の限界(位置によるムラの無い完全な設計は一般に困難であるという限界)や、製造時の製造誤差によるものである。
上述のとおり、レーザ光の強度を小さくするとテーパ角が大きくなるという関係がある。従って、被加工物に到達する際のレーザ光の強度がテーパ穴形成領域の位置によって異なる場合、形成されるテーパ穴のテーパ角が互いに異なることになる。また、被加工物に到達する際のレーザ光の境界部分の長さが、テーパ穴形成領域の位置によって異なる場合も、形成されるテーパ穴のテーパ角が互いに異なることになる。
被加工物に形成されるテーパ穴のテーパ角が、テーパ穴形成領域の位置によってばらついている場合、得られたテーパ穴を用いて構成されるノズルのインク吐出性能もばらつくことになる。ノズルのインク吐出性能がばらつくと、このノズルを用いて印刷された印刷物にスジやムラが生じることになるため、好ましくない。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るテーパ穴形成装置、テーパ穴形成方法、光変調手段および変調マスクを提供することを目的とする。
第1の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する光変調手段と、を備え、前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外縁に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分と、前記傾斜部分の外縁に位置する周縁部分と、を含み、各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第1の本発明によれば、各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっている。すなわち、各単位階調光が照射される位置に応じて、単位階調光における傾斜部分の幅を変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第1の本発明において、前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、各単位階調光における前記傾斜部分の幅は、列の端に向かうにつれて大きくなっていてもよい。
第1の本発明において、前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、各単位階調光における前記傾斜部分の幅は、列の端に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
第2の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部と、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置する変調マスク周縁部と、を含み、各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、前記変調マスク傾斜部の各変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少しており、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第2の本発明によれば、変調マスクの各変調領域は、変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部を含んでいる。各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅を、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と任意に異ならせることができる。従って、変調マスクの各変調領域により変調された後、被加工物に照射される各単位階調光の傾斜部分の幅を、各単位階調光が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第2の本発明において、前記変調領域は、各変調領域が前記変調マスク上に一列もしくは複数列に並ぶよう配置され、各変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、列の端に向かうにつれて大きくなっていてもよい。
この場合、前記変調マスク傾斜部において、変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の数が、列の端に向かうにつれて大きくなっていてもよい。
または、前記変調マスク傾斜部において、前記変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の幅方向における寸法が、列の端に向かうにつれて大きくなっていてもよい。
第2の本発明において、前記変調領域は、各変調領域が前記変調マスク上に一列もしくは複数列に並ぶよう配置され、各変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、列の端に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
この場合、前記変調マスク傾斜部において、変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の数が、列の端に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
または、前記変調マスク傾斜部において、変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の幅方向における寸法が、列の端に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
第2の本発明において、前記第1変調単位領域の第1の変調量および前記第2変調単位領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっていてもよい。この場合、前記変調マスク傾斜部において、各変調単位領域における前記第1変調単位領域の占有率と前記傾斜部第2変調領域の占有率との差が、変調マスク傾斜部の外方に向かうにつれて単調に減少する。
第2の本発明において、前記第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含んでいてもよい。この場合、前記変調マスク傾斜部において、各変調単位領域における前記第1変調単位領域の占有率が、変調マスク傾斜部の外方に向かうにつれて単調に増加する。
第3の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、光を出射する光源を準備する工程と、光源の出射側に設けられた光変調手段により、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する工程と、を備え、前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外縁に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分と、前記傾斜部分の外縁に位置する周縁部分と、を含み、各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法である。
第3の本発明によれば、各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっている。すなわち、各単位階調光が照射される位置に応じて、単位階調光における傾斜部分の幅を変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第4の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、光を出射する光源を準備する工程と、光源の出射側に設けられた変調マスクにより、光源からの光を変調する工程と、変調マスクの出射側に設けられた結像光学系により、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する工程と、を備え、前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部と、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置する変調マスク周縁部と、を含み、各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、前記変調マスク傾斜部の各変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少しており、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法である。
第4の本発明によれば、変調マスクの各変調領域は、変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部を含んでいる。各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅を、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と任意に異ならせることができる。従って、変調マスクの各変調領域により変調された後、被加工物に照射される各単位階調光の傾斜部分の幅を、各単位階調光が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第5の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成する光変調手段において、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外縁に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分と、前記傾斜部分の外縁に位置する周縁部分と、を含み、各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっていることを特徴とする光変調手段である。
第5の本発明によれば、各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっている。すなわち、各単位階調光が照射される位置に応じて、単位階調光における傾斜部分の幅を変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第6の本発明は、光を出射する光源と、光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、の間に設けられ、光源からの光を変調するとともに、変調された光を結像光学系に向かって出射する変調マスクにおいて、前記結像光学系から前記被加工物に照射される光により、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴が形成され、変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部と、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置する変調マスク周縁部と、を含み、各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、前記変調マスク傾斜部の各変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少しており、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と異なっていることを特徴とする変調マスクである。
第6の本発明によれば、変調マスクの各変調領域は、変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部を含んでいる。各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅を、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と任意に異ならせることができる。従って、変調マスクの各変調領域により変調された後、被加工物に照射される各単位階調光の傾斜部分の幅を、各単位階調光が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第7の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する光変調手段と、を備え、前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外側に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される周縁部分と、を含み、各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第7の本発明によれば、各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっている。すなわち、各単位階調光が照射される位置に応じて、単位階調光における中央部分の光強度を変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第7の本発明において、前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、各単位階調光における中央部分の光強度は、列の端に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
第7の本発明において、前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、各単位階調光における中央部分の光強度は、列の端に向かうにつれて大きくなっていてもよい。
第8の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、光を出射する光源と、光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、を備え、前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外側に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される光を変調する変調マスク周縁部と、を含み、各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されており、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置である。
第8の本発明によれば、変調マスクの各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部を含んでいる。各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。また、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなっている。そして、各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されている。従って、変調マスクの各変調領域により変調された後、被加工物に照射される各単位階調光の中央部分の光強度を、各単位階調光が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第8の本発明において、前記変調領域は、各変調領域が前記変調マスク上に一列もしくは複数列に並ぶよう配置され、各変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、列の端に向かうにつれて単調に増加または減少していてもよい。
第8の本発明において、前記第1変調単位領域の第1の変調量および前記第2変調単位領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっていてもよい。
この場合、各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率と第2変調単位領域の占有率との差が、列の端に向かうにつれて単調に減少していてもよい。
または、各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率と第2変調単位領域の占有率との差が、列の端に向かうにつれて単調に増加していてもよい。
第8の本発明において、前記第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含んでいてもよい。
この場合、各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率が、列の端に向かうにつれて単調に増加していてもよい。
または、各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率が、列の端に向かうにつれて単調に減少していてもよい。
第9の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、光を出射する光源を準備する工程と、光源の出射側に設けられた光変調手段により、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する工程と、を備え、前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外側に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される周縁部分と、を含み、各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法である。
第9の本発明によれば、各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっている。すなわち、各単位階調光が照射される位置に応じて、単位階調光における中央部分の光強度を変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第10の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、光を出射する光源を準備する工程と、光源の出射側に設けられた変調マスクにより、光源からの光を変調する工程と、変調マスクの出射側に設けられた結像光学系により、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する工程と、を備え、前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外側に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される光を変調する変調マスク周縁部と、を含み、各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されており、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法である。
第10の本発明によれば、変調マスクの各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部を含んでいる。各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。また、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなっている。そして、各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されている。従って、変調マスクの各変調領域により変調された後、被加工物に照射される各単位階調光の中央部分の光強度を、各単位階調光が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第11の本発明は、光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成する光変調手段において、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外側に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される周縁部分と、を含み、各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっていることを特徴とする光変調手段である。
第11の本発明によれば、各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっている。すなわち、各単位階調光が照射される位置に応じて、単位階調光における中央部分の光強度を変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
第12の本発明は、光を出射する光源と、光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、の間に設けられ、光源からの光を変調するとともに、変調された光を結像光学系に向かって出射する変調マスクにおいて、前記結像光学系から前記被加工物に照射される光により、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴が形成され、変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外側に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される光を変調する変調マスク周縁部と、を含み、各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されており、各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率と異なっていることを特徴とする変調マスクである。
第12の本発明によれば、変調マスクの各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部を含んでいる。各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域を結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。また、各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなっている。そして、各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されている。従って、変調マスクの各変調領域により変調された後、被加工物に照射される各単位階調光の中央部分の光強度を、各単位階調光が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光の照射によって形成されるテーパ穴のテーパ角を、各単位階調光が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
本発明によれば、被加工物に、略同一のテーパ角を有する複数のテーパ穴を同時に形成することができる。
図1は、本発明によるテーパ穴形成装置を示す図。 図2は、本発明の第1の実施の形態において、被加工物に形成される複数のテーパ穴を示す平面図。 図3(a)は、図2のテーパ穴を拡大して示す図、図3(b)は、図3(a)のテーパ穴を示す縦断面図。 図4は、被加工物に形成されるテーパ穴と、被加工物に照射される単位階調光との関係を示す図。 図5は、単位階調光の中央部分の光強度が一定となっている場合において、単位階調光の傾斜部分の幅と、単位階調光により形成されるテーパ穴のテーパ角との関係を示す図。 図6(a)(b)(c)は、被加工物に照射される単位階調光の中央部分の光強度および傾斜部分の幅が、テーパ穴形成領域の位置に依らず一定の場合において、各テーパ穴形成領域に形成されるテーパ穴のテーパ角を示す参考図。 図7(a)(b)は、図6におけるテーパ穴形成領域の位置とテーパ穴のテーパ角との関係をグラフとして示す参考図。 図8(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態の場合であって、被加工物に照射される単位階調光の傾斜部分の幅が、テーパ穴形成領域の位置に応じて変えられる場合において、各テーパ穴形成領域に形成されるテーパ穴のテーパ角を示す。 図9(a)(b)は、図8におけるテーパ穴形成領域の位置とテーパ穴のテーパ角との関係をグラフとして示す図。 図10は、単位階調光の傾斜部分の幅をテーパ穴形成領域の位置に応じて変える形態の変形例を示す図。 図11(a)は、本発明の第1の実施の形態における変調マスクを示す平面図、図11(b)は、図11(a)の変調マスクをXIb−XIb方向から見た断面図。 図12は、本発明の第1の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図13は、図12に示す変調領域において枠XIIIで囲まれた部分を拡大して示す図。 図14は、図13の変調領域を複数の仮想的な変調単位領域に区画した場合を示す図。 図15は、図14の変調領域をXV−XV方向から見た断面図。 図16(a)は、結像光学系から出射された光の被加工物に対する結像面を示す図、図16(b)は、結像面における点像分布関数を示す図、図16(c)は、結像面における点像分布関数と、変調マスクの変調領域における変調単位領域との関係を示す図、図16(d)は、結像面の点像分布関数内における光強度の概念を示す図。 図17(a)は、結像光学系における瞳関数を示す図、図17(b)は、結像面における点像分布関数を示す図。 図18は、被加工物に照射される光の強度分布を示す図。 図19は、本発明の第1の実施の形態において、変調マスクの変調領域を設計する手順を示すフローチャート。 図20は、本発明の第1の実施の形態において、変調マスクの変調領域のパターンを設計するための手順を詳細に示すフローチャート。 図21A(a)(b)(c)は、テーパ穴形成領域の位置に応じて、対応する変調領域の変調マスク傾斜部の幅が異なるよう設計された変調マスクを示す図。 図21Bは、図21A(a)に示す変調領域における第1位相変調単位領域の占有率の分布を示す図。 図22(a)(b)は、図21A(a)(b)(c)に示す各変調領域により変調されて被加工物に照射される単位階調光の光強度分布を示す図。 図23(a)は、本発明の第1の形態において、各変調領域における変調マスク傾斜部の幅zを示す図、図23(b)は、各変調マスク傾斜部により変調されて被加工物上に結像される各単位階調光の傾斜部分の幅wを示す図、図23(c)は、被加工物に形成されるテーパ穴のテーパ角φを示す図。 図24(a)は、本発明の第1の形態の変形例において、各変調領域における変調マスク傾斜部の幅zを示す図、図24(b)は、各変調マスク傾斜部により変調されて被加工物上に結像される各単位階調光の傾斜部分の幅wを示す図、図24(c)は、被加工物に形成されるテーパ穴のテーパ角φを示す図。 図25(a)は、本発明の第1の形態の変形例において、各変調領域における変調マスク傾斜部の幅zを示す図、図25(b)は、各変調マスク傾斜部により変調されて被加工物上に結像される各単位階調光の傾斜部分の幅wを示す図、図25(c)は、被加工物に形成されるテーパ穴のテーパ角φを示す図。 図26Aは、変調マスクの変調領域の変形例を示す図。 図26Bは、図26Aに示す変調領域において枠XXVIBで囲まれた部分を拡大して示す図。 図27は、本発明の第2の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図28は、図27に示す変調領域において枠XXVIIIで囲まれた部分を拡大して示す図。 図29は、図28の変調領域をXXIX−XXIX方向から見た断面図。 図30は、本発明の第2の実施の形態において、変調マスクの変調領域を設計する手順を示すフローチャート。 図31(a)(b)(c)は、テーパ穴形成領域の位置に応じて、対応する変調領域の変調マスク傾斜部の幅が異なるよう設計された変調マスクを示す図。 図32(a)(b)(c)は、本発明の第3の実施の形態において、テーパ穴形成領域の位置に応じて、対応する変調領域の変調マスク傾斜部の幅が異なるよう設計された変調マスクを示す図。 図33(a)(b)は、図32(a)(b)(c)に示す各変調領域により変調されて被加工物に照射される単位階調光の光強度分布を示す図。 図34は、単位階調光の中央部分の光強度と、単位階調光により形成されるテーパ穴のテーパ角との関係を示す図。 図35(a)(b)(c)は、本発明の第4の実施の形態の場合であって、被加工物に照射される単位階調光の中央部分の光強度が、テーパ穴形成領域の位置に応じて変えられる場合において、各テーパ穴形成領域に形成されるテーパ穴のテーパ角を示す。 図36(a)(b)は、図35におけるテーパ穴形成領域の位置とテーパ穴のテーパ角との関係をグラフとして示す図。 図37は、単位階調光の中央部分の光強度をテーパ穴形成領域の位置に応じて変える形態の変形例を示す図。 図38は、本発明の第4の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図39は、図38に示す変調領域において枠XXXIXで囲まれた部分を拡大して示す図。 図40は、本発明の第4の実施の形態において、変調マスクの変調領域を設計する手順を示すフローチャート。 図41(a)(b)(c)は、テーパ穴形成領域の位置に応じて、対応する変調領域の変調マスク中央部における第1位相変調単位領域の占有率が異なるよう設計された変調マスクを示す図。 図42(a)(b)は、図41(a)(b)(c)に示す各変調領域により変調されて被加工物に照射される単位階調光の光強度分布を示す図。 図43は、本発明の第5の実施の形態における変調マスクの変調領域を示す平面図。 図44は、図43に示す変調領域において枠XXXXIVで囲まれた部分を拡大して示す図。 図45(a)(b)(c)は、テーパ穴形成領域の位置に応じて、対応する変調領域の変調マスク中央部における第1振幅変調単位領域の占有率が異なるよう設計された変調マスクを示す図。 図46(a)は、被加工物に形成される複数のテーパ穴の変形例を示す図、図46(b)は、図46(a)に示すテーパ穴を形成するための変調マスクの一例を示す図。 図47は、従来のテレーザ加工装置を示す図。 図48は、テーパ角とレーザ光の光強度との関係を示す図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図26を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
はじめに、図2を参照して、本実施の形態におけるテーパ穴形成装置10からの光が照射される被加工物18、および、被加工物18に形成されるテーパ穴20について説明する。
(被加工物およびテーパ穴)
本実施の形態においては、テーパ穴形成装置10からの光を被加工物18に照射することにより、一列に並ぶ複数のテーパ穴20が形成される。例えば図2に示すように、一列に並ぶ18個のテーパ穴20(a)〜20(s)が被加工物18に形成される。ここで図2に示すように、一列に並ぶ一群のテーパ穴20のうち、一群の端部に位置するテーパ穴がテーパ穴20(a)となっており、一群の中央部に位置するテーパ穴がテーパ穴20(i)となっている。また、テーパ穴20(a)とテーパ穴20(i)の中間部に位置するテーパ穴がテーパ穴(e)となっている。なお各テーパ穴20は、各テーパ穴20に対応する光強度分布を各々有する単位階調光(後述)をテーパ穴形成装置10から被加工物18に照射することにより形成される
次に図3(a)(b)を参照して、テーパ穴20の形状についてより詳細に説明する。図3(a)(b)に示すように、被加工物18に形成されるテーパ穴20は、貫通部20aと、テーパ穴20の基端部20dから先端部20cに向って貫通部20aが先細となるよう傾斜した面からなるテーパ部20bとを有している。ここでテーパ部20bの傾斜角度(テーパ角)は、図3(b)に示すように角度φとなっている。なおテーパ穴形成装置10からの光は、テーパ穴20の基端部20d側から照射される。
テーパ穴20の直径cおよびテーパ角φの値が特に限られることはなく、テーパ穴20の用途に応じて適宜設定される。また、テーパ穴20の深さ(被加工物18の厚み)も、テーパ穴20の用途に応じて適宜設定される。
被加工物18の材料としては、加工性および物理的安定性の良い材料が用いられる。例えば被加工物18を加工してインクジェットヘッドのノズルを製造する場合、被加工物18としてポリイミドなどが用いられる。なお、図示はしないが、被加工物18中に、シリカや炭酸カルシウムの粒子などからなるフィラーが添加されていてもよい。そのようなフィラーを添加することにより、被加工物18同士の滑りを良くすることができ、これによって、被加工物18にテーパ穴20を形成する際の作業性などを向上させることができる。
(単位階調光)
次に図4を参照して、テーパ穴形成装置10から被加工物18に照射される光であって、各テーパ穴20に対応する光強度分布を有する単位階調光50について説明する。図4に示すように、単位階調光50は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成されるべき領域に照射される中央部分51と、中央部分51の外縁に位置するとともに、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成されるべき領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分52と、傾斜部分52の外縁に位置する周縁部分53と、を含んでいる。
このうち単位階調光50の中央部分51の光強度Pは、被加工物18を所望の速度で加工するよう、被加工物18のアブレーション閾値よりも十分に高い値に設定されている。また、単位階調光50の周縁部分53の光強度P’は、被加工物18のうち単位階調光50の周縁部分53が照射される領域が加工されないよう、被加工物18のアブレーション閾値よりも低い値に設定されている。そして、単位階調光50の傾斜部分52の光強度は、外方に向かうにつれて光強度Pから光強度P’へ単調に減少するよう設定されている。
なおレーザ光を用いた加工においては、単位階調光50における最大の光強度Pを有する光(中央部分51)が照射された領域のうちの一部が、テーパ穴20の貫通部20aではなくテーパ部20bとなる場合がある。本発明において、単位階調光50の中央部分51とは、図4に示すように、テーパ穴20の貫通部20aが形成されるべき領域に照射される光と同一の光強度Pを有するとともに、当該光に隣接している光を含む概念とする。
(テーパ角と単位階調光との基本的な関係)
次に、被加工物18に形成されるテーパ穴20のテーパ角φと、被加工物18に照射される単位階調光50との基本的な関係について説明する。なお「基本的な関係」とは、被加工物18に1個のテーパ穴20のみが形成される場合に、テーパ角φと単位階調光50との間に成立する関係のことである。
図4から明らかなように、テーパ穴20のうち単位階調光50の傾斜部分52が照射される領域は、傾斜部分52における光強度の傾斜(勾配)に対応する傾斜(勾配)を有するテーパ部20bとなる。すなわち、単位階調光50の傾斜部分52の幅wと、テーパ穴20のテーパ角φとの間には、一定の関係が成立している。なお「傾斜部分52の幅w」とは、傾斜部分52の光強度の傾斜方向における、傾斜部分52の寸法のことである。傾斜部分52の輪郭が円形の場合、光強度の傾斜方向は半径方向に一致している。
一方、上述のように、単位階調光50の中央部分51の光強度Pと、テーパ穴20のテーパ角φとの間にも、一定の関係が成立している(図48(a)参照)。すなわち被加工物18に1個のテーパ穴20のみが形成される場合、テーパ穴20のテーパ角φは、単位階調光50の傾斜部分52の幅wに基づいて算出される角度φと、単位階調光50の中央部分51の光強度Pに基づいて算出される角度φの両方に基づいて決定されると考えられる。
図5に、単位階調光50の傾斜部分52の幅wと、当該単位階調光50により形成されるテーパ穴20のテーパ角φとの関係の一例を実線で示す。図5においては、横軸が単位階調光50の傾斜部分52の幅wとなっており、縦軸がテーパ穴20のテーパ角φとなっている。
この場合、切片の値、すなわち傾斜部分52の幅wがゼロである場合のテーパ角φの値が、単位階調光50の中央部分51の光強度Pに基づいて算出される角度φとなっている。また、傾斜部分52の幅wが大きくなるにつれて、テーパ穴20のテーパ角φも大きくなっており、例えば両者の関係は以下の[数1]により表される。
Figure 2012035294
ここでαは、被加工物18の厚みなどに基づいて決定される定数である。[数1]においては、α×wが上述の角度φに相当している。
[数1]に示すように、単位階調光50の中央部分51の光強度P、または単位階調光50の傾斜部分52の幅wを適切に設定することにより、テーパ穴20のテーパ角φを任意に調整することが可能であるといえる。
(複数のテーパ穴が同時に形成される場合のテーパ角)
ところで、被加工物18に複数のテーパ穴20が同時に形成される場合、テーパ穴形成装置10から出射される各単位階調光50が互いに同一の光であったとしても、課題の欄で述べたように、テーパ穴形成領域の位置に応じて、被加工物18に照射される際の単位階調光50の強度が異なることが考えられる。例えば、各テーパ穴20間の距離が小さい場合、一のテーパ穴20において発生した飛散物が、他のテーパ穴20にまで到達することがある。この場合、一列に並ぶ一群のテーパ穴20のうち、一群の中央部に位置するテーパ穴20(i)は、一群の端部に位置するテーパ穴20(a)に比べて、他のテーパ穴20からの飛散物の影響をより多く受けることになる。
図6(a)(b)(c)は、中央部分51の光強度Pおよび傾斜部分52の幅wが一律である単位階調光50(a),50(e),50(i)が照射された場合に、被加工物18に形成されるテーパ穴20(a),20(e),20(i)の一例を示す図である。この場合、中央部のテーパ穴20(i)は、中間部のテーパ穴20(e)または端部のテーパ穴20(a)に比べて、周辺のテーパ穴20からの飛散物の影響を多く受ける。また、中間部のテーパ穴20(e)は、端部のテーパ穴20(a)に比べて、周辺のテーパ穴20からの飛散物の影響を多く受ける。このため、中央部のテーパ穴20(i)のテーパ角φ(i)は、中間部のテーパ穴20(e)のテーパ角φ(e)よりも大きくなっている。また、中間部のテーパ穴20(e)のテーパ角φ(e)は、端部のテーパ穴20(a)のテーパ角φ(a)よりも大きくなっている。
この場合、端部のテーパ穴20(a)におけるテーパ角φ(a)と傾斜部分52の幅wとの間の関係が、図5に示す実線により表されているとすると、中間部のテーパ穴20(e)に関しては、テーパ角φ(e)と傾斜部分52の幅wとの間の関係が図5において一点鎖線で示される関係にシフトするといえる。中央部のテーパ穴20(i)に関しては、テーパ角φ(i)と傾斜部分52の幅wとの間の関係が図5において二点鎖線で示される関係にシフトするといえる。
図7(a)は、図6(a)(b)(c)に示す例において、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを示すグラフであり、図7(b)は、図6(a)(b)(c)に示す例において、形成されるテーパ穴20のテーパ角φを示すグラフである。図7(b)に示すように、テーパ穴形成領域の位置に応じて、形成されるテーパ穴20のテーパ角φが異なってしまっている。このように、中央部分51の光強度Pおよび傾斜部分52の幅wが各単位階調光50において一律の値である場合、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φの大きさを揃えるのは困難であるといえる。
(本実施の形態の特徴)
ここで上述のように、テーパ穴20のテーパ角φは、単位階調光50の中央部分51の光強度P、または単位階調光50の傾斜部分52の幅wに応じて変化するものである。本実施の形態においては、テーパ角φのこのような特性を利用して、テーパ穴形成領域の位置に応じて単位階調光50の傾斜部分52の幅wを適宜調整することにより、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φの大きさを全て略同一に揃えることを目的とする。
例えば、各テーパ穴20間の距離が小さい場合を考える。この場合、形成されるテーパ穴20のテーパ角φが、単位階調光50の中央部分51の光強度P、および単位階調光50の傾斜部分52の幅wから想定される値から逸脱する主要因として、図6に示したように、アブレーションの際の飛散物の影響が考えられる。この場合、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて大きくすることにより(言い換えると、一列に並ぶテーパ穴20の中央に向かうにつれて小さくすることにより)、形成されるテーパ穴20のテーパ角φを略同一にすることができると考えられる。すなわち本実施の形態においては、図8(a)(b)(c)に示すように、端部のテーパ穴20(a)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(a)が、中間部のテーパ穴20(e)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(e)よりも大きくなるよう設定される。また、中間部のテーパ穴20(e)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(e)が、中央部のテーパ穴20(i)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(i)よりも大きくなるよう設定される。
図9(a)は、図8(a)(b)(c)に示す例において、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを示すグラフであり、図9(b)は、図8(a)(b)(c)に示す例において、形成されるテーパ穴20のテーパ角φを示すグラフである。このように、テーパ穴形成領域の位置に応じて、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを適宜調整することにより、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φを略同一にすることができる。この場合、傾斜部分52の幅wの調整量は、図5に示す関係に応じて適宜設定される。例えば、図5に示すように、中央部のテーパ穴20(i)においては、飛散量の影響によるテーパ角φのシフト量がΔφ(i)である場合、端部のテーパ穴20(a)に比べてΔw(i)だけ小さくなるよう傾斜部分52の幅wが設定される。
なお図9(a)においては、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wが、テーパ穴形成領域の位置に応じて連続的に調整される例を示した。しかしながら、常に連続的に傾斜部分52の幅wが調整される必要はなく、図10に示すように、傾斜部分52の幅wが離散的に調整されてもよい。このような離散的な調整の場合であっても、傾斜部分52の幅wが調整されない場合に比べて、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φの大きさを揃えることができ、有利である。
(テーパ穴形成装置)
次に、テーパ穴20の位置に応じて傾斜部分52の幅wが調整可能な単位階調光50を生成するためのテーパ穴形成装置10について説明する。はじめに図1を参照して、テーパ穴形成装置10全体について説明する。
図1に示すように、テーパ穴形成装置10は、被加工物18を載置する載置台19と、光を出射するマスク照明系(光源)11と、マスク照明系11の出射側に設けられ、マスク照明系11からの光を変調して出射する変調マスク21と、変調マスク21の出射側に設けられ、変調マスク21により変調された光を結像して、略円形の等強度線を有する光を被加工物18に照射する結像光学系17と、を備えている。このうち変調マスク21と結像光学系17とにより、光変調手段15が構成されている。
マスク照明系11は、パルス状のレーザ光を出射するレーザ光源12と、レーザ光源12からのレーザ光の光強度分布を均一化する照明光学系13とを有している。具体的には、レーザ光源12は、308nmの波長を有する光を供給するXeClエキシマレーザ光源12からなる。また照明光学系13は、レーザ光源12からの光の面内強度分布を均一化するとともに、照明光学系13から変調マスク21に入射される光の入射角度分布を均一化するものであり、フライアイレンズ(図示せず)と、コンデンサ光学系(図示せず)とを有している。
変調マスク21は、前述のとおり、マスク照明系11の出射側に設けられ、マスク照明系11からの光を変調して出射するものである。詳細については後述する。
変調マスク21において変調されたレーザ光は、変調マスク21の出射側に設けられた結像光学系17に入射される。結像光学系17は、変調マスク21により変調された光を結像して被加工物18に照射するものであり、図1に示すように、凸レンズ17aと、凸レンズ17bと、両レンズ17a、17bの間に設けられた開口絞り17cとを有している。なお開口絞り17cの開口部17kの大きさは、実質的に結像光学系17の像側開口数NAに対応している。後述するように、当該開口部17kの大きさは、被加工物18において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。
結像光学系17により結像されたレーザ光は、被加工物18に照射される。被加工物18は、変調マスク21と光学的に共役な面、すなわち結像光学系17の後述する結像面17f上に配置されている。
(変調マスク)
次に、図11乃至図15を参照して、本実施の形態における変調マスク21について説明する。変調マスク21は、平板状の形状を有し、その平面部とレーザ光の入射および出射方向とが直交するよう配置されている。また図11(a)に示すように、変調マスク21は、テーパ穴20の輪郭に対応する円形の輪郭からなる複数の変調領域(単位変調手段)22と、各変調領域22間を埋めるよう形成された非変調領域23と、を有している。図11(a)に示すように、複数の変調領域22は、被加工物18に形成されるテーパ穴20(a)〜20(s)にそれぞれ対応する変調量分布を有する変調領域22(a)〜22(s)からなっている。
(非変調領域)
非変調領域23は、非変調領域23に入射した光を遮蔽するよう構成されている。具体的には、図11(b)に示すように、非変調領域23は、変調マスク本体部21aと、変調マスク本体部21a上に設けられた光遮蔽層21bと、を含んでいる。光遮蔽層21bは、光を透過させない材料から形成されている。このため、照明光学系13から変調マスク21の非変調領域23に入射した光は、結像光学系17側から取り出されることなく、光遮蔽層21bによって遮蔽される。
光遮蔽層21bの光透過率は、非変調領域23を通って被加工物18に照射される光の強度が被加工物18のアブレーション閾値を超えないよう適宜選択される。例えば、光遮蔽層21bの光透過率は0.00001以下となっており、好ましくは0となっている。光遮蔽層21bの材料としては、所望の光透過率を実現することができる材料を適宜用いることができ、例えば、クロム、アルミニウム、シリコン酸化物または誘電体多層膜など様々な遮光材料を用いることができる。
(変調領域)
次に、変調マスク21の変調領域22について、図12乃至図15を参照して詳細に説明する。なお各変調領域22(a)〜22(s)は、後述する変調マスク傾斜部の幅が異なるのみであり、その他の構造は略同一となっている。
図12に示すように、変調領域22は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部34と、変調マスク中央部34の外縁に位置し、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部32と、変調マスク傾斜部32の外縁に位置する変調マスク周縁部33と、を含んでいる。
(変調マスク傾斜部)
はじめに変調マスク傾斜部32について説明する。図12に示すように、変調領域22の変調マスク傾斜部32は、光を第1の位相変調量(第1の変調量)で変調する多数の第1位相変調単位領域(第1変調単位領域)25aと、各第1位相変調単位領域25aを埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量(第2の変調量)で変調する第2位相変調単位領域(第2変調単位領域)25bと、を有している。図12における横方向をx方向とし、x方向に直交する方向であって、図12における縦方向をy方向とした場合、各第1位相変調単位領域25aは、図12に示すように、x方向に延びる一対のx方向側縁28aと、y方向に延びる一対のy方向側縁28bと、を有している。後述するように、全ての第1位相変調単位領域25aを構成する側縁を、x方向およびy方向のいずれかの方向にのみ延びる側縁(x方向側縁28aまたはy方向側縁28b)によって構成することにより、変調領域22の作製を容易化することができる。
ここで、各第1位相変調単位領域25aは、図12および図13に示すように、所定の円周方向線27上において周期的に並んでいる。また、同一の円周方向線27上に並ぶ各第1位相変調単位領域25aの面積は同一となっている。さらに、第1位相変調単位領域25aの面積は、変調領域22の変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調領域22の外方)に向かうにつれて単調に増加している。このため、第1位相変調単位領域25aの占有率が、変調領域22外方に向かうにつれて単調に増加している。ここで第1位相変調単位領域25aの占有率とは、後述するように、変調領域22の変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域に区画した場合の、変調単位領域の面積に対する第1位相変調単位領域25aの面積率のことである。
本発明においては、このように半径方向に沿って第1位相変調単位領域25aの占有率が変化する領域が、変調マスク傾斜部32となっている。より具体的には、第1位相変調単位領域25aの占有率の値が、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域の占有率の値と、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域の占有率の値と、の間の値になっている変調単位領域から構成される領域が、変調マスク傾斜部32となっている。
次に、各第1位相変調単位領域25aの具体的な配置パターンについて説明する。図12に示すように、変調マスク傾斜部32内に、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27を考える。この場合、各第1位相変調単位領域25aは、円周方向線27に沿って設けられている。具体的には、各第1位相変調単位領域25aは、その中心が円周方向線27上に位置するよう配置されている。
図13を参照して、各第1位相変調単位領域25aの配置パターンについてより詳細に説明する。図13は、図12の変調領域22において枠XIIIで囲まれた部分を拡大して示す図である。図13に示すように、第1位相変調単位領域25aが配置された円環状の各円周方向線27間の半径方向距離Lは、略一定となっている。また図13に示すように、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心間の円周方向距離Lは、略一定となっている。また、図13に示すように、同一の円周方向線27上に配置された第1位相変調単位領域25a間だけではなく、すべての同一円周方向線27上に配置された第1位相変調単位領域25a間において、上記中心間の円周方向距離Lが略一定となっている。このことにより、所定の円周方向線27上において周期的に並ぶよう、第1位相変調単位領域25aを配置することが可能となる。
次に、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lについて説明する。結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離のうち少なくとも一方がRよりも小さくなるよう、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lが設定されている。ここで、「半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離」とは、変調マスク21における半径方向距離Lおよび円周方向距離Lに、結像光学系17の倍率をそれぞれ掛けた値のことである。
次に、図14を参照して、第1位相変調単位領域25aの占有率について説明する。はじめに、図14において点線で示すように、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画する。
変調単位領域24eを画定する図14の点線は、例えば、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心を結ぶ線に直交するよう延びる半径方向の線と、からなっている。このようにして図14に示す点線を描くことにより、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画することができる。ここで、各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の長さはほぼL,Lに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。
図14に示すように、各変調単位領域24eは、1つの第1位相変調単位領域25aと、第1位相変調単位領域25aを取り囲む第2位相変調単位領域25bと、からなっている。図12乃至図14に示す変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調単位領域25aの面積は、半径方向における外側(変調領域22の外方)に向かうにつれて単調に増加している。このため、第1位相変調単位領域25aの占有率は、変調領域22の外方に向かうにつれて単調に増加している。後述するように、変調マスク21の変調領域22の変調マスク傾斜部32により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率に基づく光強度分布を生成する。このため、変調マスク傾斜部32により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、外方に向かうにつれて低下する光強度分布を生成する。
このような変調マスク傾斜部32において、その幅が符号zで表されている(図12および図13参照)。ここで「変調マスク傾斜部32の幅z」とは、第1位相変調単位領域25aの占有率が変化する方向(占有率の傾斜方向)における変調マスク傾斜部32の幅のことである。変調マスク傾斜部32の輪郭が円形の場合、占有率が変化する方向は半径方向に一致している。
次に、図15を参照して、変調マスク傾斜部32の第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調単位領域25bの構造について説明する。図15は、図14の変調領域22をXV−XV方向から見た断面を示す図である。図15に示すように、変調マスク傾斜部32において、変調マスク本体部21aは、その表面に凹凸を有している。変調マスク本体部21aは、光を透過させる材料、例えば屈折率nの石英ガラスから形成されている。
図15に示すように、第1位相変調単位領域25aに対応する領域における変調マスク本体部21aの高さと、第2位相変調単位領域25bに対応する領域における変調マスク本体部21aの高さとは異なっている。ここで、高さの差をΔhとし、空気の屈折率を1とすると、変調マスク傾斜部32において、第1位相変調単位領域25aにおける変調マスク21の入射面から出射面までの光学距離と、第2位相変調単位領域25bにおける変調マスク21の入射面から出射面までの光学距離との差は、Δh×(n−1)になる。
本実施の形態においては、前記の光学距離の差Δh×(n−1)が{λ/2}の奇数倍となるよう、すなわち、第1位相変調単位領域25aにおける位相変調量と第2位相変調単位領域25bにおける位相変調量との差が180度の奇数倍となるよう、Δhが設定されている。例えば、マスク照明系11から出射されるレーザ光の中心波長λが308nm、変調マスク本体部21aを形成する石英ガラスの屈折率nが1.49の場合、Δhが317nmとなるよう変調マスク本体部21aの表面の凹凸形状が設計されている。
(変調マスク周縁部)
次に変調マスク周縁部33について説明する。図12に示すように、変調マスク周縁部33は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域45aと、各第1位相変調単位領域45a間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調単位領域45bと、を有している。図12に示すように、第1位相変調単位領域45aおよび第2位相変調単位領域45bは、それぞれリング状の形状を有している。第1位相変調単位領域45aおよび第2位相変調単位領域45bは、変調領域22を平面図で示した場合の形状および配置パターンが異なるのみであり、その他の構成は、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aおよび第2位相変調単位領域25bと略同一となっている。
第1位相変調単位領域45aの形状および配置パターンについてより詳細に説明する。図12に示すように、各第1位相変調単位領域45aは、半径方向に多列に並べられるとともに各々が円環状に延びるよう形成されている。具体的には、各第1位相変調単位領域45aは、変調マスク周縁部33内に仮想的に設けられた複数の仮想的な円周方向線27を半径方向に均等に覆うよう形成されている。このことにより、円周方向線27に沿って見た場合の第1位相変調単位領域45aの占有率(後述)を略一定とすることができる。
次に、図13を参照して、第1位相変調単位領域45aの配置パターンについてより詳細に説明する。図13に示すように、隣り合う2つの第1位相変調単位領域45aの半径方向距離L(隣り合う2つの円周方向線27間の半径方向距離)は、略一定となっている。ここで、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、隣り合う2つの第1位相変調単位領域45aの半径方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。ここで、「半径方向距離Lを結像光学系17の結像面17fに換算した距離」とは、変調マスク21における半径方向距離Lに、結像光学系17の倍率を掛けた値のことである。
次に、図14を参照して、第1位相変調単位領域45aの占有率について説明する。はじめに、図14において点線で示すように、変調マスク周縁部33を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域45aを半径方向に横切る複数の変調単位領域24eに区画する。
図14の点線は、例えば、変調マスク傾斜部32における変調単位領域24eの面積および形状と、変調マスク周縁部33における変調単位領域24eの面積および形状とが略同一となるよう描かれた点線からなっている。このようにして図14に示す点線を描くことにより、変調マスク周縁部33を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域45aを半径方向に横切る複数の変調単位領域24eに区画することができる。この場合、第1位相変調単位領域45aの占有率は、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域45aの面積率として定義される。
ここで、各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の一辺の長さはほぼLに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、変調マスク周縁部33により変調されて被加工物18に照射される光は、第1位相変調単位領域45aの占有率に基づいた強度分布を有することになる。ここで変調マスク周縁部33において、第1位相変調単位領域45aの占有率は全域にわたって約0.5となっている。このため後述するように、変調マスク周縁部33により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、ほぼゼロの光強度分布を生成する。
(変調マスク中央部)
次に変調マスク中央部34について説明する。変調マスク中央部34は、被加工物18のうちテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調するものである。図12に示すように、変調マスク中央部34は、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調単位領域25bのみからなっている。従って、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率はゼロとなっている。
(光強度分布の生成原理)
次に、図16および図17を参照して、変調マスク21の変調領域22により位相変調され出射された光が、結像光学系17の結像面に、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25a,45aの占有率に基づく光強度分布を生成する原理について説明する。
はじめに、レーザ光の強度とアブレーション深さとの関係について説明する。被加工物18に照射されるレーザ光の強度と、被加工物18のうちアブレーションにより除去される部分の深さ(アブレーションレート)との間には、一般に[数2]の関係式が成り立つことが知られている。
Figure 2012035294
ここで、dはパルス状のレーザ光を被加工物18に一回照射したときのアブレーションレート、αは被加工物18の光吸収率、Iはレーザ光のエネルギー密度(光強度)、Ithは被加工物18におけるアブレーション発生閾値を示す。
[数2]により明らかなように、アブレーションレートdはレーザ光のエネルギー密度Iに依存する。また、レーザ光照射を複数回繰り返した場合、被加工物18のうちレーザ光照射によって除去される部分の深さの合計は、レーザ光の照射回数に比例することが知られている。従って、被加工物18に照射されるレーザ光のエネルギー密度Iを被加工物18の場所に応じて任意に設定することにより、被加工物18を任意の形状に加工することが可能となる。
次に、結像光学系17における物体面(変調マスク21)と結像面17f(被加工物18)との関係について説明する。
結像光学系17における物体面分布と結像面分布の関係は、一般にフーリエ結像論により扱うことができる。また、コヒーレンスファクタが0.5程度以下の場合は、コヒーレント結像として近似できる。この場合、結像面、すなわち被加工物18における複素振幅分布U(x,y)は、以下の[数3]に示すように、変調マスク21の複素振幅透過率分布T(x,y)と、結像光学系17の複素振幅点像分布関数ASF(x,y)の畳み込み積分で与えられる
Figure 2012035294
ここで、*はコンボリューション(たたみ込み積分)を表す。
上記の点像分布関数ASF(x,y)は、結像光学系17の瞳関数のフーリエ変換で与えられる。この場合、瞳が円形で無収差の場合は、良く知られたエアリーパターンとなる([数4])。
Figure 2012035294
ここで、rは以下の[数5]により表される関数である。また、Jはベッセル関数、λは光の波長、NAは結像光学系17の結像側開口数を表す。
Figure 2012035294
次に、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)について説明する。結像面17f、すなわち被加工物18の複素振幅分布U(x,y)は、前述のとおり、変調マスク21の複素振幅透過率分布T(x,y)と、結像光学系17の点像分布関数ASF(x,y)との畳み込み積分により与えられる。ここで、前述のように点像分布関数ASF(x,y)を円筒形17eで近似して考えると、図16(c)に示す円形の点像分布範囲17lにおいて変調マスク21の複素振幅透過率を均一重みで積分した結果が、結像面17fにおける複素振幅になる。そして、結像面17fにおける複素振幅の絶対値の二乗が、被加工物18に照射されるレーザ光の強度となる。
点像分布範囲17lでの変調マスク21の複素振幅透過率の積分は、図16(d)に示すように、単位円17g内における複素振幅透過率をあらわす複数のベクトル17hの和として考えることができる。これらの複数のベクトル17hの和の絶対値を二乗することにより、対応する被加工物18上の位置における光照射強度が算出される。
図17(a)(b)に、結像光学系17における瞳関数と点像分布関数ASF(x,y)との関係を示す。一般に、図17(b)に示す点像分布関数ASF(x,y)は、図17(a)に示す瞳関数のフーリエ変換により与えられる。また、結像光学系17が均一円形瞳を有し、かつ収差がない場合は、上述のように、点像分布関数ASF(x,y)は[数4]により表される。しかしながら、結像光学系17に収差が存在する場合や、結像光学系17が均一円形瞳以外の瞳関数を有する場合はこの限りではない。
結像光学系17における瞳関数が均一円形瞳であり、かつ結像光学系17に収差がない場合、点像分布関数ASF(x,y)が最初に0となるまでの中央領域(すなわちエアリーディスク)の半径Rは、以下の[数6]により与えられる。
Figure 2012035294
ここで前述の点像分布範囲17lは、図16(b)または図17(b)に示すように、点像分布関数ASF(x,y)が最初に0となるまでの円形状の中央領域、即ちエアリーディスク内側を意味することになる。なお本実施の形態において、例えばレーザ光の波長λ=308nm、結像光学系17の結像側の開口数NA=0.15とすると、R=1.25μmとなる。
図16(a)〜(d)から明らかなように、結像光学系17の点像分布範囲17lに光学的に対応する円の中に複数の変調単位領域24eが含まれている場合、すなわち図16(d)に示す単位円17gの中に複数のベクトル17hが存在する場合、複数のベクトル17hの和により光の振幅が表される。従って、各変調単位領域24eにおける複素振幅透過率を調整することにより、光の強度分布を解析的にかつ簡単な計算に従って制御することが可能となる。
上述の説明から明らかなように、変調マスク21の変調領域22を通過した光の強度分布を自由に制御するためには、図16(c)に示すように、変調領域22の変調単位領域24eが、結像光学系17の点像分布範囲17lの半径Rよりも光学的に小さいことが好ましい。すなわち、変調領域22の変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さいことが好ましい。
ここで、例えば結像光学系17の倍率が1/5である場合、変調単位領域24eを前述の結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域が、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmよりも少なくとも一方向に関して小さくなるよう、変調マスク21の変調領域22が設計される。すなわち、このような条件を満たす変調単位領域24eによって変調領域22が区画され得るよう、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lが設定される。
本実施の形態においては、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lがともに5μmに設定されている。すなわち、各第1位相変調単位領域25aは、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lがともに5μmとなるよう配置されている。また、各第1位相変調単位領域45aは、上述の半径方向距離Lが5μmとなるよう配置されている。この場合、図14に示す変調単位領域24eを正方形で近似すると、当該矩形の一辺が約5μmとなっている。この場合、5μm×5μmの正方形からなる変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、(5μm×5μm)×1/5、すなわち1μm×1μmの正方形からなり、結像光学系17の点像分布範囲の半径R=1.25μmよりも小さくなっている。
次に、変調マスク21の変調領域とレーザ光の強度Iとの関係について説明する。点像分布関数ASF(x,y)を、エアリーディスク内側で定数値1、その外側で0となる関数で近似すると、[数3]はエアリーディスク内側での積分に近似される([数7])。
Figure 2012035294
[数7]中、Cは定数であり、積分は点(x,y)を中心とする半径Rの内側の積分を示している。
ここで、変調単位領域24eの作用を再度考える。この変調単位領域24eは、同じ形状・大きさの領域が敷き詰められていてもよいし、また場所毎に変化してもよい。ここで、エアリーディスクの範囲内にある複数の変調単位領域24eの面積が等しく、かつそれらの間で複素振幅透過率の構造が大きく変化しない場合、[数6]の積分範囲を、エアリーディスク内側から、(x,y)を含む変調単位領域24eの内側に置き換えることができる。
次に、図16、図17を参照しながら、変調マスク21の変調領域22を通過した光の光強度分布の導出方法について説明する。前述のとおり、変調領域22は、その表面に凹凸が設けられている屈折率nの石英ガラスから形成されている。この場合、レーザ光がこの凹部(凸部)を透過するとき、石英ガラスの屈折率nと空気の屈折率1の差だけ波面にずれが生じて位相変調となる。このときの位相変調量θは、以下の[数8]により表される。
Figure 2012035294
ここで、Δhは変調領域22に形成された凹部の深さ(凸部の高さ)を表している。
ここで、凹部の深さ(凸部の高さ)Δhが離散的である、すなわち多段加工されているものとし、ある変調単位領域24e内でのk番目の位相変調単位領域の面積率と位相変調量をそれぞれDp,k、θと表すとする。この場合、前述の[数7]に基づき、当該変調単位領域24eに対応する結像光学系17の結像面17fにおける複素振幅透過率U、およびレーザ光の強度Iが以下のように求められる。
Figure 2012035294
Figure 2012035294
ここで、Σは当該変調単位領域24eにおけるすべての位相変調単位領域に関する和を表している。
簡単のため、変調マスク21の変調領域22が、第1位相変調単位領域(第1位相変調単位領域25a,45a)、および第2位相変調単位領域(第2位相変調単位領域25b,45b)の2種類からなる場合について考える。第1位相変調単位領域および第2位相変調単位領域により変調されたレーザ光の位相をそれぞれθ(=θ)、θ(=0)と表す場合、レーザ光の強度Iは以下の[数11]により表される。
Figure 2012035294
ここでDは、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域の面積率を表している。この式をDに関して解くと、以下の[数12]が得られる。
Figure 2012035294
本実施の形態においては、上述のように、第1位相変調単位領域における位相変調量と第2位相変調単位領域における位相変調量との差が180度の奇数倍となるよう、Δhが設定されている。すなわち、θ=180度となっている。この場合、上記の[数11]および[数12]が以下の[数13]および[数14]のように表される。
Figure 2012035294
Figure 2012035294
上述のように、被加工物18に形成するテーパ穴20の大きさ、テーパ部20bの傾斜角度などに応じて、[数2]に基づき、被加工物18に照射されるレーザ光強度分布Iを設定することができる。さらに、所望のレーザ光強度分布Iが得られるよう、[数14]に従い、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25a,45aの面積率を設定することができる。すなわち、所定の変調マスク21を準備することにより、所望の大きさ、傾斜角度などを有するテーパ穴20を被加工物18に形成することが可能となる。
図18に、本実施の形態による変調マスク21の変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被加工物18上に結像される単位階調光50の光強度分布の一例を示す。
上述のように、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率はゼロとなっている。このため、図18に示すように、変調マスク中央部34に対応する光として、最大の光強度Pを有する単位階調光50の中央部分51が被加工物18上に結像される。
また上述のように、変調マスク周縁部33における第1位相変調リング領域45aの占有率は、変調マスク周縁部33の全域にわたって約0.5となっている。このため、図18に示すように、変調マスク周縁部33に対応する光として、ほぼゼロの光強度P’を有する単位階調光50の周縁部分53が被加工物18上に結像される。
また上述のように、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率は、変調マスク傾斜部32の半径方向における外側(変調マスク傾斜部32の外方)に向かうにつれて単調に増加している。また、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率は0.5よりも小さくなっている。従って、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差は、変調マスク傾斜部32の外方に向かうにつれて単調に減少している。このため、図18に示すように、変調マスク傾斜部32に対応する光として、外方に向かうにつれて光強度Pから光強度P’へ単調に強度が減少する単位階調光50の傾斜部分52が結像される。この場合、傾斜部分52の幅wは、変調マスク傾斜部32の幅zを適宜設定することにより調整可能となっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18に、テーパ角φが互いに同一の18個のテーパ穴20を形成する方法について説明する。
(変調マスクの設計手順)
まず、変調マスク21の設計手順について説明する。はじめに図19および図20を参照して、変調マスク21の変調領域22の設計手順について説明する。図19は、変調マスク21の変調領域22を設計する手順を示すフローチャートであり、図20は、変調領域22の設計のうち、変調領域22のパターンを設計するための手順を詳細に示すフローチャートである。
(変調領域の設計手順)
(イ)まず、被加工物18に形成する各テーパ穴20に関する情報(位置(x、y)、半径、深さ、テーパ角φなど)を入力する(S101)。例えばテーパ角φとして11度が入力される。また、テーパ穴20の半径および深さとして、30μmおよび50μmが入力される。
(ロ)次に、レーザ光の照射回数mを入力する(S102)。例えば照射回数mとして150回が入力される。
(ハ)その後、テーパ穴20の深さおよびレーザ光の照射回数に基づいて、被加工物18に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度Pを算出する(S103)。例えば中央部分51の光強度Pとして1000mJ/cmが算出される。
(ニ)次に、図48(a)参照に基づいて、上述の角度φを算出する(S104)。そして、入力されたテーパ角φと、算出された角度φとに基づいて、単位階調光50の傾斜部分52の幅wに起因して形成されるべき角度φを算出する(S105)。
(ホ)次に、算出された角度φと、テーパ穴20の深さに基づいて、被加工物18に照射されるべき単位階調光50の傾斜部分52の幅wを算出する。この際、図5の関係に基づいて、テーパ穴20が形成されるべき位置に応じて、単位階調光50の傾斜部分52の幅wの値を補正する(S106)。例えば、アブレーションの際にテーパ穴20間で飛散物が大量に行き交うことが予想される場合、端部のテーパ穴20(a)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(a)が、中央部のテーパ穴20(i)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(i)よりも大きくなるよう、幅wの補正が施される。幅wの具体的な補正量は、過去の実験結果などに基づいて決定される。例えば、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(a),w(e)およびw(i)が、それぞれ4μm,3μmおよび2μmに決定される。
(ヘ)次に、算出された幅wと、テーパ穴20の位置(x、y)および半径に基づいて、被加工物18における所望のアブレーションレートd(x、y)を算出する(S107)。
(ト)その後、d(x、y)に基づいて、被加工物18に照射される光の光強度分布I(x、y)を算出する(S108)。なお光強度分布I(x、y)のうち、単位階調光50の中央部分51に対応する領域の光強度としては、上述のS103で算出された光強度Pが用いられる。
(チ)次に、レーザ光の強度分布I(x,y)と[数14]とに基づき、変調マスク21の各変調領域22における第1位相変調単位領域25a,45aの占有率(各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25a,45aの面積率D)が算出される(S109)。面積率Dは、変調単位領域24eを単位として区分けされた領域ごとに算出される。
(リ)最後に、算出された面積率Dに基づいて、変調マスク21の各変調領域22における第1位相変調単位領域25a,45aの配置パターンが決定される(S110)。
次に、各変調領域22における第1位相変調単位領域25a,45aの配置パターン、とりわけ変調マスク傾斜部32の第1位相変調単位領域25aの配置パターンを設計するための手順について、図20を参照して詳細に説明する。
(ヌ)まず、上述の半径方向距離Lを入力し(S121)、次に、上述の円周方向距離Lを入力する(S122)。このとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離がRよりも小さくなるよう、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lを設定する。
(ル)次に、各変調マスク傾斜部32内に、複数の円環状の仮想的な円周方向線27が、隣接する円周方向線27間の半径方向距離がLとなるよう設けられる(S123)。その後、各円周方向線27上に、多数の第1位相変調単位領域25aが、隣接する第1位相変調単位領域25a間の中心間の円周方向距離がLとなるよう配置される(S124)。
(ヲ)次に、変調マスク傾斜部32が、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画される(S125)。この場合、例えば上述のように、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの中心を結ぶ線に直交するよう延びる半径方向の線と、を描くことにより、変調マスク傾斜部32が複数の変調単位領域24eに区画される。
(ワ)次に、S109において算出された面積率Dと、各変調単位領域24eの面積とに基づいて、各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの面積が決定される(S126)。
このようにして、各変調マスク傾斜部32において、第1位相変調単位領域25aの配置パターンが設計される。
なお、変調マスク周縁部33において第1位相変調単位領域45aを配置する方法は、上述のS121〜S126において円周方向距離Lに関する設計が不要になる点が異なるのみであり、その他の点は、各変調マスク傾斜部32において第1位相変調単位領域25aを配置する方法と略同一である。
上述のようにして設計された具体的な変調領域22を図21A(a)(b)(c)に示す。図21A(a)(b)(c)は、端部の変調領域22(a)、中間部の変調領域22(e)および中央部の変調領域22(i)をそれぞれ示している。
上述のように、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(a),w(e)およびw(i)は、それぞれ4μm,3μmおよび2μmに決定されている。この場合、対応する変調領域22(a),22(e)および22(i)においては、変調マスク傾斜部32(a),32(e)および32(i)の幅z(a),z(e)およびz(i)がそれぞれ15μm(3μm×(結像光学系17の倍率1/5の逆数),10μm(2μm×(結像光学系17の倍率1/5の逆数)および5μm(1μm×(結像光学系17の倍率1/5の逆数)に設定される。ここで図21A(a)(b)(c)に示すように、各変調マスク傾斜部32(a),32(e)および32(i)における幅z(a),z(e)およびz(i)は、各変調マスク傾斜部32(a),32(e)および32(i)の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの数を増減させることにより調整されている。
傾斜部分52の幅w(a)が4μmで、変調マスク傾斜部32(a)の幅z(a)が15μm(3μm×(結像光学系17の倍率1/5の逆数)となることについて説明する。
図21Bは、図21A(a)に示す変調領域22(a)における第1位相変調単位領域の占有率の分布を示す図である。図21Bに示すように、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域45aの占有率はほぼ一定の値(約0.5)となっており、また、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率も一定の値(ゼロ)となっている。一方、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率は、0〜約0.5の範囲内の値となっており、また、変調領域22(a)の外方に向かうにつれて単調に増加している。
上述のように、本実施の形態において、変調マスク傾斜部32は、第1位相変調単位領域25aの占有率の値が、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域45aの占有率の値と、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率の値と、の間の値になっている変調単位領域24eから構成される領域として定義されている。この場合、変調マスク傾斜部32は、図21Bに示すように、半径方向に沿って3つ(3重に)並んだ変調単位領域24eから構成される領域として定義される。上述のように、本実施の形態において、変調単位領域24eを正方形で近似した場合の一辺の長さは5μmとなっており、このため、変調領域22(a)における変調マスク傾斜部32の幅z(a)は15μmとなる。
ここで、第1位相変調単位領域の占有率のグラフにおいて、変調領域22(a)の半径方向に沿って占有率の値が増加または減少する部分を占有率傾斜部分とし、占有率傾斜部分の幅をz’(a)とする。この場合、図21Bに示すように、占有率傾斜部分の幅z’(a)は、変調マスク傾斜部32の幅z(a)よりも大きくなっている。具体的には、占有率傾斜部分の幅z’(a)は、ほぼ1つの変調単位領域24eの幅の分だけ変調マスク傾斜部32の幅z(a)よりも大きくなっている。すなわち、占有率傾斜部分の幅z’(a)は20μmとなっている。
上述のように、変調領域22(a)により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、第1位相変調単位領域の占有率に基づく光強度分布を生成する。このため、変調領域22(a)により変調され被加工物18に照射される単位階調光50(a)は、変調領域22(a)における第1位相変調単位領域の占有率に基づく光強度分布を有している。この場合、占有率傾斜部分の幅z’(a)が、単位階調光50(a)における傾斜部分52の幅w(a)に対応している。従って、変調領域22(a)により変調され被加工物18に照射される単位階調光50(a)の傾斜部分52の幅w(a)は、4μm(20μm×1/5(結像光学系17の倍率))となる。
同様に、変調領域22(e),変調領域22(i)における占有率傾斜部分の幅z’(e),z’(i)はそれぞれ15μm,10μmとなっている。このため、テーパ穴20(e),20(i)に照射される単位階調光50(e),(i)の傾斜部分52の幅w(e),w(i)は、それぞれ3μm,2μmとなる。
(非変調領域の設計手順)
次に、変調マスク21の非変調領域23の設計手順について説明する。図11(a)(b)に示したように、非変調領域23は、変調マスク本体部21aと、変調マスク本体部21a上に設けられた光遮蔽層21bと、を含んでいる。この場合、非変調領域23の光透過率は、光遮蔽層21bの光透過率により決定される。すなわち、非変調領域23の光透過率は、光遮蔽層21bの光透過率とほぼ等しくなっている
上述のように、非変調領域23の光遮蔽層21bの光透過率は、非変調領域23を通って被加工物18に照射される光の強度が被加工物18のアブレーション閾値を超えないよう適宜選択される。例えば、非変調領域23に光遮蔽層21bが設けられていない場合の像面における光の強度が1000mJ/cmであり、被加工物18のアブレーション閾値が50mJ/cmである場合、光透過率が0.05よりも小さくなるよう光遮蔽層21bが選択される。このため、被加工物18のうちテーパ穴20が形成されない領域を加工し得る強度を有する光が非変調領域23から出射されるのを防ぐことができ、このことにより、被加工物18のうちテーパ穴20が形成されない領域が加工されるのを確実に防ぐことができる。
(変調マスクの製造方法)
その後、設計されたパターンに従って、上述の変調領域22および非変調領域23を有する変調マスク21を製造する。この場合、例えばフォトリソグラフィー法などにより、設計されたパターンに従って、変調マスク本体部21a上に第1位相変調単位領域25a,45aが形成される。また、適切に選択された光遮蔽層21bが、変調マスク本体部21a上に設けられる。このようにして変調マスク21が得られる。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態における変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成する方法について説明する。
まず、載置台19上に被加工物18を予め載置しておく。次に、マスク照明系11から、面内強度分布が均一化されたレーザ光を出射させる。レーザ光としては、例えば、波長が308nm、発振時間(1パルスあたり)が30nsのXeClエキシマレーザが用いられる。その後、マスク照明系11から出射された光を前述の変調マスク21に入射させる。変調マスク21に入射されたレーザ光は、前述の手順により決定された変調マスク21のパターンに応じて変調または遮蔽される。
変調マスク21から出射されたレーザ光は、結像光学系17に入射される。結像光学系17としては、例えば、倍率(縮小率)が1/5、結像側開口数(NA)が0.13の結像光学系が用いられる。前述のとおり、変調マスク21の各変調領域22における仮想的な変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、各変調領域22の各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25a,45aの占有率に対応する強度分布を有している。
図22は、変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光のうち、テーパ穴20(a),20(e),20(i)に照射される単位階調光50(a),50(e)および50(i)の強度分布を示す図である。上述のように、変調領域22(a),22(e)および22(i)において、各変調マスク傾斜部32の幅z(a),z(e)およびz(i)はそれぞれ15μm,10μmおよび5μmに決定されている。このため、対応する単位階調光50(a),50(e)および50(i)においても、その傾斜部分52の幅w(a),w(e)およびw(i)がそれぞれ4μm,3μmおよび2μmとなっている。このように、変調マスク傾斜部32の幅zを、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくすることにより、被加工物18上に結像される単位階調光50の傾斜部分52の幅wを、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて大きくすることができる。
図23(a)は、各変調領域22における変調マスク傾斜部32の幅zを示すグラフであり、図23(b)は、各変調マスク傾斜部32により変調されて被加工物18上に結像される各単位階調光50の傾斜部分52の幅wを示すグラフである。図23(c)は、各単位階調光50を照射することにより形成されるテーパ穴20のテーパ角φを示すグラフである。テーパ穴20の位置に応じて、変調マスク傾斜部32の幅zを適宜調整し(図23(a)参照)、これによって各単位階調光50の傾斜部分52の幅wを適切に調整することにより(図23(b)参照)、図23(c)に示すように、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することが可能となっている。
このように本実施の形態によれば、各単位階調光50のうち一の単位階調光50における傾斜部分52の幅wは、その他の単位階調光50のうち少なくとも1つの単位階調光50における傾斜部分52の幅と異なっている。例えば、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wは、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて大きくなっている。これによって、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク21の各変調領域22は、変調マスク中央部34の外縁に位置し、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部32を含んでいる。各変調マスク傾斜部32は、複数の変調単位領域24eからなっており、ここで、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域24eを結像光学系17の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域22のうち一の変調領域22における変調マスク傾斜部32の幅zを、その他の変調領域22のうち少なくとも1つの変調領域22における変調マスク傾斜部32の幅と任意に異ならせることができる。例えば、変調マスク傾斜部32の幅zを、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくなるように設定することができる。これによって、各変調領域22により変調されて被加工物18に照射される各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて大きくすることができる。従って、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
また本実施の形態によれば、各変調領域22において、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの数が、列の端に向かうにつれて大きくなっている。このように変調単位領域24eの数を増減させることにより、各変調マスク傾斜部32の幅zを増減することができる。このことにより、各変調領域22により変調されて被加工物18に照射される各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、テーパ穴20の位置に応じて容易に調整することが可能となっている。
(変形例)
なお本実施の形態において、変調マスク傾斜部32の幅zが、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくなるように設定される例を示した。しかしながら、これに限られることはない。
例えば、各テーパ穴20間の距離が大きい場合について考える。この場合、一のテーパ穴形成領域において発生した飛散物は、他のテーパ穴形成領域にまでほとんど到達しない。一方、端部に位置するテーパ穴20(a)に照射される単位階調光50(a)の収差は、中央部に位置するテーパ穴20(i)に照射される単位階調光50(i)の収差に比べて大きくなると考えられる。このため、端部の単位階調光50(a)の傾斜部分52(a)の幅w(a)と、中央部の単位階調光50(i)の傾斜部分52(i)の幅w(i)とが同一である場合、端部のテーパ穴20(a)のテーパ角φ(a)の方が、中央部のテーパ穴20(i)のテーパ角φ(i)に比べて大きくなる。
この場合、図24(a)に示すように、変調マスク傾斜部32の幅zが、変調マスク21の端に向かうにつれて小さくなるように設定される。これによって、図24(b)に示すように、各変調領域22により変調されて被加工物18に照射される各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて小さくすることができる。このことにより、図24(c)に示すように、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
また、飛散物による影響と光の収差による影響が同等の大きさで混在している場合、図25(a)(b)に示すように、各変調マスク傾斜部32の幅zおよび各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、テーパ穴20の位置に応じて柔軟に設定することができる。これによって、図25(c)に示すように、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
(その他の変形例)
また本実施の形態による変調マスク傾斜部32において、第1位相変調単位領域25aの面積が、変調領域22の外方に向かうにつれて単調に増加する例を示したしかしながら、これに限られることはなく、第1位相変調単位領域25aの面積は、第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差が、変調領域22の外方に向かうにつれて単調に減少するよう設定されていればよい。すなわち、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率が0.5よりも小さい場合、第1位相変調単位領域25aは、変調領域22の外方に向かうにつれてその面積が単調に増加するよう設定される。一方、変調マスク傾斜部32における第1位相変調単位領域25aの占有率が0.5よりも大きい場合、第1位相変調単位領域25aは、変調領域22の外方に向かうにつれてその面積が単調に減少するよう設定される。
また本実施の形態において、変調マスク中央部34が、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調単位領域25bのみからなっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、変調マスク中央部34が、第1位相変調単位領域25aと第2位相変調単位領域25bとからなっていてもよい。この場合、変調マスク中央部34から出射されて被加工物18に照射される光(単位階調光50の中央部分51)の光強度Pが、テーパ穴20の貫通部20aを形成するのに十分な大きさを有するよう、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差が適宜設定される。
(第1位相変調単位領域の形状およびパターンの意義)
次に、第1位相変調単位領域25aの形状およびパターンを図12乃至図14に示すように設定することの意義について、補足として説明する。
所定の円周方向線27上で各第1位相変調単位領域25aを完全に周期的に並べるためには、各第1位相変調単位領域25aの側縁が変調領域22の変調マスク傾斜部32の半径方向または円周方向のいずれかに沿って延びている必要がある。すなわち、第1位相変調単位領域25aが配置される場所に応じて、側縁が延びる方向を変える必要がある。このため、各第1位相変調単位領域25aの側縁が上述のようにいずれもx方向およびy方向に沿って延びている場合、所定の円周方向線上において各第1位相変調単位領域25aを完全に周期的に並べることはできず、わずかな不完全さが生じる。
しかしながら、上述のように、第1位相変調単位領域25aの側縁の長さを結像光学系17の結像面17fに換算した長さが、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rと比べて十分に小さい場合、変調マスク21の変調領域22の変調マスク傾斜部32により位相変調され出射された光は、結像光学系17の結像面に、第1位相変調単位領域25aの占有率に基づく光強度分布を生成する。この場合、結像光学系17の結像面における光強度分布が円形の等強度線を有するかどうかは、変調マスク21の変調マスク傾斜部32の所定の円周方向線上において第1位相変調単位領域25aの占有率の分布が周期的となっているかどうかにより決定される。従って、変調マスク傾斜部32の所定の円周方向線27上において第1位相変調単位領域25aの占有率の分布が周期的となるよう、各第1位相変調単位領域25aを配置することが重要となる。すなわち、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向またはy方向に沿って延びていることによる周期性のわずかな不完全さが、結像光学系17の結像面における光強度分布に与える影響は、無視され得る。
一方、変調マスク21を作製する上では、感光材料に対するレーザビームや電子線ビームの走査露光が直交座標系に基づき行われることを考えると、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向およびy方向に延びていることが好ましい。なぜなら、各第1位相変調単位領域25aの側縁が様々な方向に延びている場合に比べて、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向およびy方向の2方向のいずれかにのみ延びている場合の方が、走査露光のために用いるデータ量が少なく、また露光時間も短くなるからである。従って、本実施の形態においては、その側縁がx方向およびy方向の2方向のいずれかにのみ延びている第1位相変調単位領域25aが、変調マスク傾斜部32において採用されている。しかしながら、本発明の技術的思想から考えると、各第1位相変調単位領域25aがx方向またはy方向以外の方向、例えば半径方向および円周方向に延びていてもよい。
なお、第1位相変調単位領域25aの長さを結像光学系17の結像面17fに換算した長さが、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rと比べて無視できないくらいに大きい場合、各第1位相変調単位領域25aの側縁がx方向またはy方向に沿って延びていることによる周期性のわずかな不完全さが、結像光学系17の結像面における光強度分布に与える影響が、無視できなくなってくる。具体的には、結像光学系17の結像面における等強度線が、完全な円形ではなく、若干うねった円形になることが考えられる。このような場合は、図12の変調マスク周縁部33に示されているように、第1位相変調単位領域45aを用いることが好ましい。
上述の第1位相変調単位領域25aの配置方法によれば、変調領域22の変調マスク傾斜部32を、円周方向線27に沿って所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1位相変調単位領域25aを含む複数の変調単位領域24eに区画することが可能となっている。一方、上述のように第1位相変調単位領域25aを配置しない場合、同一円周方向線27上における変調単位領域24eの面積を一定にすることができない。この場合、[数14]の関係(または後述する第2の実施の形態における[数17]の関係)が成立しなくなってしまう。このため、上述のように第1位相変調単位領域25aを配置することなく、結像光学系17の結像面に目的とする光強度分布を生成するためには、第1位相変調単位領域25aの面積を位置ごとに個別に計算して求める必要があり、変調マスク傾斜部32の設計が複雑になるので好ましくない。また、結像光学系17の結像面において均一な光強度分布を生成する場合であっても、第1位相変調単位領域25aの面積を様々に変化させる必要がある。このように第1位相変調単位領域25aの面積を変化させることは、変調マスク21の作製が困難になるため好ましくない。
これに対して本実施の形態によれば、上述のように第1位相変調単位領域25aを配置することにより、結像光学系17の結像面に円形の等強度線を有する光強度分布を生成することができる変調マスク21の変調マスク傾斜部32を、簡易な計算により設計することが可能となっている。また、同一円周方向線27上における各第1位相変調単位領域25aの面積は一定となっており、このため、変調マスク21を容易に作製することができる。
また上述のように、第1位相変調単位領域25aを構成する側縁は、x方向に延びる一対のx方向側縁28aと、y方向に延びる一対のy方向側縁28bとからなっている。このため、第1位相変調単位領域25aを構成する側縁が様々な方向に延びる場合に比べて、フォトリソグラフィー法によって変調マスク本体部21a上に第1位相変調単位領域25aを形成する際に用いられる露光マスクの構造が単純になっている。従って、露光マスクの製造コストが低くなっており、このことにより、第1位相変調単位領域25aをより容易に低コストで形成することが可能となっている。
また上述のように、変調マスク傾斜部32において、各第1位相変調単位領域25aは、円環状に設けられた複数の仮想的な円周方向線27に沿って周期的に並べられている。また、各円周方向線27において、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1位相変調単位領域25aの面積は略一定となっている。このことにより、図18に示すように、単位階調光50の傾斜部分52を、円形の等強度線を有する光とすることができる。
なお本実施の形態の第1の特徴は、テーパ穴20の位置に応じて、各変調領域22の変調マスク傾斜部32の幅zを調整し、これによって、各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを最適化することである。従って、上述のように第1位相変調単位領域25aの形状および配置を設定することは付加的な事項であり、このような形状および配置に限られるものではない。例えば図26Aおよび図26Bに示すように、第1位相変調単位領域25aが格子状に配置されていてもよく、また、各第1位相変調単位領域25aが正方形の形状となっていてもよい。
図26Aおよび図26Bに示す変調領域22においても、一部の変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率が、変調領域22の外方に向かうにつれて単調に増加または減少するよう設定されている。また、変調マスク周縁部33における第1位相変調単位領域25aの占有率の値と、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率の値と、の間の値になっている変調単位領域24eから構成される領域が、変調マスク傾斜部32となっている。そして、当該変調マスク傾斜部32の幅zが、本発明による技術的思想に従って調整される。
また本実施の形態において、変調領域22が円形の輪郭を有する例を示した。しかしながら、これに限られることはない。変調領域22において、変調マスク傾斜部32および変調マスク中央部34の輪郭が略円形であればよく、従って前述の図26Aに示されているように、変調領域22の輪郭(変調マスク周縁部33の輪郭)が非円形であってもよい。
第2の実施の形態
次に、図27乃至図29を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図27乃至図29に示す第2の実施の形態は、変調マスクの変調領域の各変調単位領域が、光を振幅変調する第1振幅変調単位領域と第2振幅変調領域とからなる点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図26に示す第1の実施の形態と略同一である。図27乃至図29に示す第2の実施の形態において、図1乃至図26に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(変調マスクの変調領域)
図1乃至図26に示す第1の実施の形態の場合と同様に、変調マスク21の変調領域22は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部34と、変調マスク中央部34の外縁に位置し、被加工物18においてテーパ穴20のテーパ部20bが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部32と、変調マスク傾斜部32の外縁に位置する変調マスク周縁部33と、を含んでいる。
このうち変調マスク周縁部33は光を第1の振幅変調量(第1の変調量)で変調する第1振幅変調単位領域(第1変調単位領域)26aのみからなっている。また、変調マスク中央部34は、光を第2の振幅変調量(第2の変調量)で変調する第2振幅変調単位領域(第2変調単位領域)26bのみからなっている。第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調単位領域26bの構造については後述する。
(変調マスク傾斜部)
次に変調マスク傾斜部32について説明する。図27に示すように、変調領域22の変調マスク傾斜部32は、第1振幅変調単位領域26aと、各第1振幅変調単位領域26aを埋めるよう形成された第2振幅変調単位領域26bと、を有している。
図28に示すように、各第1振幅変調単位領域26aは、各々の中心が同一円環上に位置するよう配置されている。具体的には、図28に示すように、各第1振幅変調単位領域26aは、その中心が、変調マスク傾斜部32内に仮想的に設けられた複数の仮想的な円周方向線27上に位置するよう配置されている。
次に、変調マスク傾斜部32における第1振幅変調単位領域26aの形状について説明する。図28に示すように、各第1振幅変調単位領域26aは、各々が変調マスク傾斜部32の半径方向に延びる略一定長さの2側縁26c,26cを含んでいる。このため、変調マスク傾斜部32を複数の単位変調領域24eに区画した場合、各単位変調領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率を容易に大きくすることができる。
なお図28に示す例において、隣接する円周方向線27間の半径方向距離Lは略一定となっており、このため、各第1振幅変調単位領域26aの側縁26cの長さも略一定の長さ(=L)となっている。
また図28に示すように、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1振幅変調単位領域26aの中心間の円周方向距離Lは、略一定となっている。また、同一の円周方向線27上に配置された第1振幅変調単位領域26a間だけではなく、すべての同一円周方向線27上に配置された第1振幅変調単位領域26a間において、上記中心間の円周方向距離Lが略一定となっている。また、同一円周方向線27上で隣り合う2つの第1振幅変調単位領域26aの円周方向長さLは略同一となっている。このことにより、円周方向線27に沿って見た場合の第1振幅変調単位領域26aの占有率を略一定とすることができる。
次に、上述の半径方向距離Lおよび円周方向距離Lについて説明する。結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、レーザ光源12からの光の中心波長λ、結像光学系17の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、半径方向距離Lおよび円周方向距離Lをそれぞれ結像光学系17の結像面17fに換算した距離は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも小さくなっている。ここで、「半径方向距離Lおよび円周方向距離Lを結像光学系17の結像面17fに換算した距離」とは、変調マスク21における半径方向距離Lおよび円周方向距離Lに、結像光学系17の倍率を掛けた値のことである。
次に、図28を参照して、第1振幅変調単位領域26aの占有率について説明する。はじめに、図28において点線で示すように、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1振幅変調単位領域26aを含む複数の変調単位領域24eに区画する。
変調単位領域24eを画定する図28の点線は、例えば、隣接する2つの円周方向線27間の中間点に沿って延びる円周方向の線と、円周方向線27上で隣り合う2つの第1振幅変調単位領域26aの中心を結ぶ線に直交するよう延びる半径方向の線と、からなっている。このようにして図28に示す点線を描くことにより、変調マスク傾斜部32を、所定の面積を有するとともに、各々が1つの第1振幅変調単位領域26aを含む複数の変調単位領域24eに区画することができる。この場合、第1振幅変調単位領域26aの占有率は、各変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率として定義される。
ここで、各変調単位領域24eを長方形で近似した場合、この長方形の一辺の長さはほぼL,Lに等しい。従って、各変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、上述の結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、変調マスク傾斜部32により変調されて被加工物18に照射される光は、後述するように、第2振幅変調単位領域26bの占有率に基づいた強度分布を有することになる。
次に、図29を参照して、変調領域22の第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調単位領域26bの構造について説明する。図29に示すように、変調領域22において、変調マスク本体部21a上には、部分的に光遮蔽層29が設けられており、この光遮蔽層29と、変調マスク本体部21aとにより、各第1振幅変調単位領域26aが構成されている。一方、第2振幅変調単位領域26bは、変調マスク本体部21aのうち光遮蔽層29が設けられていない領域からなっている。この場合、第1振幅変調単位領域26aにおける光の透過率は略0となっており、第2振幅変調単位領域26bにおける光の透過率は略1となっている。
第1振幅変調単位領域26aの光遮蔽層29は、光を透過させない材料から形成されている。このため、変調マスク21の変調領域22の第1振幅変調単位領域26aに入射した光は、変調マスク21の結像光学系17側から取り出されることなく、光遮蔽層29によって遮蔽される。光遮蔽層29の材料としては、例えば、クロム、アルミニウム、シリコン酸化物または誘電体多層膜など様々な遮光材料を用いることができる。
次に、変調マスク21の変調領域22により振幅変調され出射された光が、結像光学系17の結像面に、各変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率に基づく光強度分布を生成する原理について説明する。
本実施の形態における変調領域22は、透過率0の第1振幅変調単位領域26aと、透過率1の第2振幅変調単位領域26bからなる。従って、変調領域22における複素振幅透過率分布T(x,y)は、点(x,y)が第1振幅変調単位領域26a内にある場合はT(x,y)=0、点(x,y)が第2振幅変調単位領域26b内にある場合はT(x,y)=1となる。従って、上述の[数7]の積分範囲を、(x,y)を含む変調単位領域24eの内側に置き換えて計算を行うことにより、以下の[数15]が得られる。
Figure 2012035294
ここで、Da,iは、変調領域22のうち第i番目の変調単位領域24eにおける開口率(変調単位領域24eに対する第2振幅変調単位領域26bの面積率)、Uは結像面17fのうちこの第i番目の領域に対応する位置における複素振幅透過率である。
結像面17f、すなわち被加工物18に照射されるレーザ光の強度Iは複素振幅透過率Uの絶対値の二乗で与えられることから、以下の[数16]、[数17]が導かれる。
Figure 2012035294
Figure 2012035294
ここでIについては、被加工物18に形成するテーパ穴20の大きさ、テーパ部20bの傾斜角度などに応じて、[数2]に基づき、被加工物18に照射されるレーザ光強度分布Iを設定することができる。さらに、所望のレーザ光強度分布Iが得られるよう、[数17]に従い、変調領域22の各変調単位領域24eにおける開口率を設定することができる。従って、所定の変調領域22を有する変調マスク21を準備することにより、所望の大きさ、傾斜角度などを有するテーパ穴20を被加工物18に形成することが可能となる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18に、テーパ角φが互いに同一の18個のテーパ穴20を形成する方法について説明する。
(変調マスクの設計手順)
まず、変調マスク21の設計手順について説明する。図20は、変調マスク21の変調領域22を設計する手順を示すフローチャートである。
図30に示す変調マスク21の設計手順は、レーザ光強度分布I(x、y)が算出された後(S208)、[数17]に基づいて、変調マスク21の各変調領域22の各変調単位領域24eにおける開口率D(各変調単位領域24eにおける第2振幅変調単位領域26bの面積率)が算出される(S209)点が異なるのみであり、その他の手順は、図19に示す第1の実施の形態における変調マスク21の設計手順と略同一となっている。
また、各変調領域22における第1振幅変調単位領域26aの配置パターンの設計手順も、図20に示す第1の実施の形態における第1位相変調単位領域25aの場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
設計された具体的な変調領域22を図31(a)(b)(c)に示す。図31(a)(b)(c)は、端部の変調領域22(a)、中間部の変調領域22(e)および中央部の変調領域22(i)をそれぞれ示している。なお、各変調領域22の変調単位領域24eを正方形で近似すると、一辺が約5μmの正方形となっている。
図31に示すように、変調マスク傾斜部32における第1振幅変調単位領域26aの面積は、変調領域22の外方に向かうにつれて単調に増加するよう設定されている。具体的には、端部の変調領域22(a)においては、第1振幅変調単位領域26aの円周方向長さLが、変調領域22の内方から外方に向かうにつれて順に0.65μm、1.45μm、2.5μmとなるよう設定されている。中間部の変調領域22(e)においては、第1振幅変調単位領域26aの円周方向長さLが、変調領域22の内方から外方に向かうにつれて順に0.85μm、2.15μmとなるよう設定されている。このように第1振幅変調単位領域26aの面積を設定することにより、外方に向かうにつれて単調に光強度が減少する光(単位階調光50の傾斜部分52)を生成することができる。なお、中央部の変調領域22(i)においては、第1振幅変調単位領域26aの円周方向長さLが1.45μmとなっている。
また、第1の実施の形態の場合と同様に、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(a),w(e)およびw(i)は、それぞれ4μm,3μmおよび2μmに決定されている。この場合、対応する変調領域22(a),22(e)および22(i)においては、変調マスク傾斜部32(a),32(e)および32(i)の幅z(a),z(e)およびz(i)がそれぞれ15μm,10μmおよび5μmに設定される。ここで図31(a)(b)(c)に示すように、各変調マスク傾斜部32(a),32(e)および32(i)における幅z(a),z(e)およびz(i)は、各変調マスク傾斜部32(a),32(e)および32(i)の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの数を増減させることにより調整されている。
このように、本実施の形態においても、変調マスク傾斜部32の幅zが、テーパ穴20の位置に応じて適宜調整されている。これによって、各変調領域22により変調されて被加工物18に照射される各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、テーパ穴20の位置に応じて最適化することができる。従って、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
なお本実施の形態において、変調マスク傾斜部32の第1振幅変調単位領域26aが、変調マスク傾斜部32の半径方向に延びる略一定長さの2側縁26c,26cを含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、変調マスク傾斜部32の第1振幅変調単位領域26aは、第1の実施の形態における第1位相変調単位領域25aの場合と同様に、xおよびy方向に延びる矩形形状を有していてもよい。
第3の実施の形態
次に、図32および図33を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図32および図33に示す第3の実施の形態は、変調単位領域24eの寸法を増減させることにより、各変調マスク傾斜部32の幅zが調整される点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図26に示す第1の実施の形態と略同一である。図32および図33に示す第3の実施の形態において、図1乃至図26に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図32(a)(b)(c)は、本実施の形態による変調マスク21において、端部の変調領域22(a)、中間部の変調領域22(e)および中央部の変調領域22(i)をそれぞれ示す図である。
本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態の場合に比べて、被加工物18に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅wをより精密に調整することが求められている。例えば、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の傾斜部分52の幅w(a),w(e)およびw(i)を、それぞれ3.4μm,2.8μmおよび2.2μmに調整することが求められている。このため本実施の形態においては、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの数を増減させるのではなく、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの幅方向における寸法を調整することにより、単位階調光50の傾斜部分52の幅wが最適化される。
図32(a)に示す端部の変調マスク傾斜部32(a)においては、例えば、各円周方向線27間の半径方向距離Lが5μmに設定される。従って、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの幅方向における寸法も約5μmとなる。この結果、変調マスク傾斜部32(a)の幅z(a)は、約10μmとなっている。
また、図32(b)に示す中間部の変調マスク傾斜部32(e)においては、例えば、各円周方向線27間の半径方向距離Lが4μmに設定される。従って、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの幅方向における寸法も約4μmとなる。この結果、変調マスク傾斜部32(e)の幅z(e)は、約8μmとなっている。
また、図32(c)に示す中央部の変調マスク傾斜部32(i)においては、例えば、各円周方向線27間の半径方向距離Lが3μmに設定される。従って、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの幅方向における寸法も約3μmとなる。この結果、変調マスク傾斜部32(i)の幅z(i)は、約6μmとなっている。
図33は、変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光のうち、テーパ穴20(a),20(e),20(i)に照射される単位階調光50(a),50(e)および50(i)の強度分布を示す図である。上述のように、変調領域22(a),22(e)および22(i)において、各変調マスク傾斜部32の幅z(a),z(e)およびz(i)はそれぞれ10μm,8μmおよび6μmに決定されている。このため、対応する単位階調光50(a),50(e)および50(i)においても、その傾斜部分52の幅w(a),w(e)およびw(i)がそれぞれ3.4μm,2.8μmおよび2.2μmとなっている。このように、変調マスク傾斜部32の幅zを、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくすることにより、被加工物18上に結像される単位階調光50の傾斜部分52の幅wを、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて大きくすることができる。
また本実施の形態によれば、各変調領域22において、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの幅方向における寸法が、列の端に向かうにつれて大きくなっている。このように変調単位領域24eの幅方向における寸法を増減させることにより、各変調マスク傾斜部32の幅zをより精密に増減させることができる。このことにより、各変調領域22により変調されて被加工物18に照射される各単位階調光50における傾斜部分52の幅wを、テーパ穴20の位置に応じてより精密に調整することが可能となっている。
なお、変調マスク傾斜部32の幅zを、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくする例を示したが、これに限られることはなく、図24に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、変調マスク傾斜部32の幅zが、変調マスク21の端に向かうにつれて小さくなっていてもよい。この場合、各変調領域22において、変調マスク傾斜部32の幅方向に並ぶ変調単位領域24eの幅方向における寸法が、列の端に向かうにつれて小さくなっている。
第4の実施の形態
次に、図34乃至図42を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図34乃至図42に示す第4の実施の形態においては、単位階調光の中央部分の光強度をテーパ穴の位置に応じて調整することにより、被加工物に同時に形成される複数のテーパ穴のテーパ角が最適化される。図34乃至図42に示す第4の実施の形態において、図1乃至図26に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(本実施の形態の特徴)
第1の実施の形態において説明したように、テーパ穴20のテーパ角φは、単位階調光50の中央部分51の光強度P、または単位階調光50の傾斜部分52の幅wに応じて変化するものである。第1の実施の形態においては、テーパ穴20の位置に応じて単位階調光50の傾斜部分52の幅wを適宜調整することにより、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φの大きさを全て略同一に揃える方法を示した。本実施の形態においては、テーパ穴20の位置に応じて単位階調光50の中央部分51の光強度Pを適宜調整することにより、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φの大きさを全て略同一に揃える方法について説明する。
(本実施の形態における前提条件)
被加工物18に1個のテーパ穴20のみが形成される場合、図34において実線で示すように、被加工物18に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度Pと、被加工物18に形成されるテーパ穴20のテーパ角φとの間には、光強度Pを小さくするとテーパ角φが大きくなるという関係がある。
(複数のテーパ穴が同時に形成される場合のテーパ角)
ところで、被加工物18に複数のテーパ穴20が同時に形成される場合、第1の実施の形態において説明したように、テーパ穴形成装置10から出射される各単位階調光50が互いに同一の光であったとしても、テーパ穴形成領域の位置に応じて、被加工物18に照射される際の単位階調光50の強度が異なることが考えられる。
各テーパ穴20間の距離が小さい場合について考える。この場合、第1の実施の形態において説明したように、中央部のテーパ穴20(i)は、中間部のテーパ穴20(e)または端部のテーパ穴20(a)に比べて、周辺のテーパ穴20からの飛散物の影響を多く受ける。また、中間部のテーパ穴20(e)は、端部のテーパ穴20(a)に比べて、周辺のテーパ穴20からの飛散物の影響を多く受ける。
この場合、端部のテーパ穴20(a)におけるテーパ角φ(a)と中央部分51の光強度Pとの間の関係が、図34に示す実線により表されているとすると、中間部のテーパ穴20(e)に関しては、テーパ角φ(e)と中央部分51の光強度Pとの間の関係が図34において一点鎖線で示される関係にシフトするといえる。中央部のテーパ穴20(i)に関しては、テーパ角φ(i)と中央部分51の光強度Pとの間の関係が図34において二点鎖線で示される関係にシフトするといえる。
ここで、各単位階調光50における中央部分51の光強度を、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて小さくすることにより(言い換えると、一列に並ぶテーパ穴20の中央に向かうにつれて大きくすることにより)、形成されるテーパ穴20のテーパ角φを略同一にすることができると考えられる。すなわち本実施の形態においては、図35(a)(b)(c)に示すように、端部のテーパ穴20(a)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(a)が、中間部のテーパ穴20(e)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(e)よりも小さくなるよう設定される。また、中間部のテーパ穴20(e)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(e)が、中央部のテーパ穴20(i)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(i)よりも小さくなるよう設定される。
図36(a)は、図35(a)(b)(c)に示す例において、各単位階調光50における中央部分51の光強度Pを示すグラフであり、図36(b)は、図35(a)(b)(c)に示す例において、形成されるテーパ穴20のテーパ角φを示すグラフである。このように、テーパ穴20の位置に応じて、各単位階調光50における中央部分51の光強度Pを適宜調整することにより、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φを略同一にすることができる。この場合、中央部分51の光強度Pの調整量は、図34に示す関係に応じて適宜設定される。例えば、図34に示すように、中央部のテーパ穴20(i)においては、飛散量の影響によるテーパ角φのシフト量がΔφ(i)である場合、端部のテーパ穴20(a)に比べてΔP(i)だけ大きくなるよう中央部分51の光強度Pが設定される。
なお図36(a)においては、各単位階調光50における中央部分51の光強度Pが、テーパ穴20の位置に応じて連続的に調整される例を示した。しかしながら、常に連続的に中央部分51の光強度Pが調整される必要はなく、図37に示すように、中央部分51の光強度Pが離散的に調整されてもよい。このような離散的な調整の場合であっても、中央部分51の光強度Pが調整されない場合に比べて、形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φの大きさを揃えることができ、有利である。
次に、テーパ穴20の位置に応じて中央部分51の光強度Pが調整可能な単位階調光50を生成するための変調マスク21の変調領域22について、図38および図39を参照して説明する。図38は、変調領域22を示す平面図であり、図39は、図38に示す変調領域22において枠XXXIXで囲まれた部分を拡大して示す図である。
(変調領域)
図38に示すように、変調領域22は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部34と、変調マスク中央部34の外縁に位置する変調マスク周縁部33と、を含んでいる。
(変調マスク中央部)
このうち変調マスク中央部34は、光を第1の位相変調量(第1の変調量)で変調する多数の第1位相変調単位領域(第1変調単位領域)25aと、各第1位相変調単位領域25aを埋めるよう形成され、光を第2の位相変調量(第2の変調量)で変調する第2位相変調単位領域(第2変調単位領域)25bと、を有している。図38および図39に示すように、第1位相変調単位領域25aの形状および配置パターンは、第1の実施の形態における変調マスク傾斜部32の第1位相変調単位領域25aの形状および配置パターンと略同一であり、詳細な説明は省略する。
変調マスク中央部34においては、後述するように、変調マスク中央部34により変調されて生成される単位階調光50の中央部分51の光強度Pを適宜設定するため、第1位相変調単位領域25aの占有率が調整される。
(変調マスク周縁部)
図38に示すように、変調マスク周縁部33は、光を第1の位相変調量で変調する多数の第1位相変調単位領域45aと、各第1位相変調単位領域45a間に形成され、光を第2の位相変調量で変調する多数の第2位相変調単位領域45bと、を有している。図38および図39に示すように、位相変調単位領域45a,45bの形状および配置パターンは、第1の実施の形態における変調マスク周縁部33の位相変調単位領域45a,45bの形状および配置パターンと略同一であり、詳細な説明は省略する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18に、テーパ角φが互いに同一の18個のテーパ穴20を形成する方法について説明する。
(変調マスクの設計手順)
まず、変調マスク21の設計手順について説明する。図40は、変調マスク21の変調領域22を設計する手順を示すフローチャートである。
(変調領域の設計手順)
(イ)まず、被加工物18に形成する各テーパ穴20に関する情報(位置(x、y)、半径、深さ、テーパ角φなど)を入力する(S401)。例えばテーパ角φとして8度が入力される。また、テーパ穴20の半径および深さとして、30μmおよび50μmが入力される。
(ロ)次に、レーザ光の照射回数mを入力する(S402)。例えば照射回数mとして150回が入力される。
(ハ)その後、テーパ穴20の深さおよびレーザ光の照射回数に基づいて、被加工物18に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度Pの初期値(後述する補正のベースとなる値)を算出する(S403)。例えば中央部分51の光強度Pの初期値として1000mJ/cmが算出される。
(ニ)次に、図34の関係に基づいて、テーパ穴20が形成されるべき位置に応じて、単位階調光50の中央部分51の光強度Pの値を補正する(S404)。例えば、アブレーションの際にテーパ穴20間で飛散物が大量に行き交うことが予想される場合、端部のテーパ穴20(a)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(a)が、中央部のテーパ穴20(i)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(i)よりも小さくなるよう、光強度Pの値の補正が施される。光強度Pの具体的な補正量は、過去の実験結果などに基づいて決定される。例えば、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(a),P(e)およびP(i)が、端部から中央部に向かうにつれて0.68→0.85(相対値)に増加するよう決定される。
(ホ)次に、算出された光強度Pと、テーパ穴20の位置(x、y)および半径に基づいて、被加工物18における所望のアブレーションレートd(x、y)を算出する(S405)。
(ヘ)その後、d(x、y)に基づいて、被加工物18に照射される光の光強度分布I(x、y)を算出する(S406)。
(ト)次に、レーザ光の強度分布I(x,y)と[数14]とに基づき、変調マスク21の各変調領域22における第1位相変調単位領域25a,45aの占有率(各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25a,45aの面積率D)が算出される(S407)。面積率Dは、変調単位領域24eを単位として区分けされた領域ごとに算出される。
(チ)最後に、算出された面積率Dに基づいて、変調マスク21の各変調領域22における第1位相変調単位領域25a,45aの配置パターンが決定される(S408)。
次に、各変調領域22における第1位相変調単位領域25a,45aの配置パターンを設計する。具体的な設計方法は、図20に示す第1の実施の形態の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
上述のようにして設計された具体的な変調領域22を図41(a)(b)(c)に示す。図41(a)(b)(c)は、端部の変調領域22(a)、中間部の変調領域22(e)および中央部の変調領域22(i)をそれぞれ示している。
上述のように、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(a),P(e)およびP(i)が、端部から中央部に向かうにつれて0.68→0.85に増加するよう決定されている。この場合、対応する変調領域22(a),22(e)および22(i)においては、変調マスク中央部34(a),34(e)および34(i)における第1位相変調単位領域25aの一辺の寸法Lが、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて1.5μm→1.0μmと減少するよう設定される。すなわち、変調マスク中央部34の各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率が、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて減少するよう設定される。また、変調マスク中央部34の各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は、0.5よりも小さくなっている。従って、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差が、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて増加するよう設定されることになる。
(変調マスクの製造方法)
その後、設計されたパターンに従って、変調領域22および非変調領域23を有する変調マスク21を製造する。この場合、例えばフォトリソグラフィー法などにより、設計されたパターンに従って、変調マスク本体部21a上に第1位相変調単位領域25a,45aが形成される。また、適切に選択された光遮蔽層21bが、変調マスク本体部21a上に設けられる。このようにして変調マスク21が得られる。
(テーパ穴の形成方法)
次に、本実施の形態における変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18にテーパ穴20を形成する方法について説明する。
まず、載置台19上に被加工物18を予め載置しておく。次に、マスク照明系11から、面内強度分布が均一化されたレーザ光を出射させる。レーザ光としては、例えば、波長が308nm、発振時間(1パルスあたり)が30nsのXeClエキシマレーザが用いられる。その後、マスク照明系11から出射された光を前述の変調マスク21に入射させる。変調マスク21に入射されたレーザ光は、前述の手順により決定された変調マスク21のパターンに応じて変調または遮蔽される。
変調マスク21から出射されたレーザ光は、結像光学系17に入射される。結像光学系17としては、例えば、倍率(縮小率)が1/5、結像側開口数(NA)が0.13の結像光学系が用いられる。前述のとおり、変調マスク21の各変調領域22における仮想的な変調単位領域24eを結像光学系17の結像面17fに換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rよりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。このため、各変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光の光強度分布は、各変調領域22の各変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25a,45aの面積率に対応する強度分布を有している。
図42は、変調領域22を通った後に結像光学系17から出射され被加工物18上に結像されるレーザ光のうち、テーパ穴20(a),20(e),20(i)に照射される単位階調光50(a),50(e)および50(i)の強度分布を示す図である。上述のように、変調領域22(a),22(e)および22(i)において、各変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの一辺の寸法Lが、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて減少するよう設定されている。すなわち、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差が、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて増加するよう設定されている。このため、対応する単位階調光50(a),50(e)および50(i)においても、その中央部分51の光強度P(a),P(e)およびP(i)が、端部から中央部に向かうにつれて増加している。このように、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの一辺の寸法Lを、変調マスク21の中央部に向かうにつれて小さくすることにより、被加工物18上に結像される単位階調光50の中央部分51の光強度Pを、一列に並ぶテーパ穴20の中央部に向かうにつれて大きくすることができる。
このように本実施の形態によれば、各単位階調光50のうち一の単位階調光50における中央部分51の光強度Pは、その他の単位階調光50のうち少なくとも1つの単位階調光50における中央部分51の光強度Pと異なっている。例えば、各単位階調光50における中央部分51の光強度Pは、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて小さくなっている。これによって、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク21の各変調領域22は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部34を含んでいる。各変調マスク中央部34は、複数の変調単位領域24eからなっており、ここで、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域24eを結像光学系17の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。また、各変調単位領域24eは、光を第1の位相変調量で変調する第1位相変調単位領域25aと、光を第2の位相変調量で変調する第2位相変調単位領域25bと、からなっている。そして、各変調マスク中央部34の変調単位領域24eにおける第1位相変調単位領域25aの占有率は、各々所定の値に設定されている。従って、変調マスク21の各変調領域22により変調された後、被加工物18に照射される各単位階調光50の中央部分51の光強度Pを、各単位階調光50が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
(変形例)
なお本実施の形態において、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差が、変調マスク21の中央部に向かうにつれて大きくなるように設定される例を示した。しかしながら、これに限られることはない。
例えば、各テーパ穴20間の距離が大きい場合について考える。この場合、一のテーパ穴20において発生した飛散物は、他のテーパ穴20にまでほとんど到達しない。一方、端部に位置するテーパ穴20(a)に照射される単位階調光50(a)の収差は、中央部に位置するテーパ穴20(i)に照射される単位階調光50(i)の収差に比べて大きくなると考えられる。このため、端部の単位階調光50(a)の中央部分51(a)の光強度P(a)と、中央部の単位階調光50(i)の中央部分51(i)の光強度P(i)とが同一である場合、端部のテーパ穴20(a)のテーパ角φ(a)の方が、中央部のテーパ穴20(i)のテーパ角φ(i)に比べて大きくなる。
この場合、図24(a)に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様の技術的思想により、変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差が、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくなるように設定される。これによって、各変調領域22により変調されて被加工物18に照射される各単位階調光50における中央部分51の光強度Pを、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて大きくすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
また、飛散物による影響と光の収差による影響が同等の大きさで混在している場合、各変調マスク中央部34における第1位相変調単位領域25aの占有率と第2位相変調単位領域25bの占有率との差を、テーパ穴20の位置に応じて柔軟に設定することができる。これによって、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
第5の実施の形態
次に、図43乃至図45を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。図43乃至図45に示す第5の実施の形態は、変調マスクの変調領域の各変調単位領域が、光を振幅変調する第1振幅変調単位領域と第2振幅変調領域とからなる点が異なるのみであり、他の構成は、図34乃至図42に示す第4の実施の形態と略同一である。図43乃至図45に示す第5の実施の形態において、図34乃至図42に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
(変調マスクの変調領域)
図34乃至図42に示す第4の実施の形態の場合と同様に、変調マスク21の変調領域22は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部34と、変調マスク中央部34の外縁に位置する変調マスク周縁部33と、を含んでいる。
(変調マスク中央部)
このうち変調マスク中央部34は、光を第1の振幅変調量(第1の変調量)で変調する多数の第1振幅変調単位領域(第1変調単位領域)26aと、各第1振幅変調単位領域26aを埋めるよう形成され、光を第2の振幅変調量(第2の変調量)で変調する第2振幅変調単位領域(第2変調単位領域)26bと、を有している。図43および図44に示すように、第1振幅変調単位領域26aの形状および配置パターンは、第4の実施の形態における変調マスク中央部34の第1位相変調単位領域25aの形状および配置パターンと略同一であり、詳細な説明は省略する。
変調マスク中央部34においては、第4の実施の形態の場合と同様に、変調マスク中央部34により変調されて生成される単位階調光50の中央部分51の光強度Pを適宜設定するため、各変調単位領域24eの第1振幅変調単位領域26aの占有率が調整される。
(変調マスク周縁部)
図43に示すように、変調マスク周縁部33は、光を第1の振幅変調量(第1の変調量)で変調する第1振幅変調単位領域(第1変調単位領域)26aのみからなっている。変調マスク周縁部33は、図27乃至図29に示す第2の実施の形態における変調マスク周縁部33と略同一であり、詳細な説明は省略する。
また、変調マスク中央部34および変調マスク周縁部33における第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調単位領域26bの構造は、図27乃至図29に示す第2の実施の形態における第1振幅変調単位領域26aおよび第2振幅変調単位領域26bの構造と略同一であり、詳細な説明は省略する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18に、テーパ角φが互いに同一の18個のテーパ穴20を形成する方法について説明する。
(変調マスクの設計)
まず、変調マスク21を設計する。本実施の形態における変調マスク21の設計手順は、レーザ光強度分布I(x、y)が算出された後、[数17]に基づいて、変調マスク21の各変調マスク中央部34の変調単位領域24eにおける開口率D(各変調単位領域24eにおける第2振幅変調単位領域26bの面積率)が算出される点が異なるのみであり、その他の手順は、図40に示す第4の実施の形態における変調マスク21の設計手順と略同一となっている。なお、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(a),P(e)およびP(i)は、第4の実施の形態の場合と同様に、端部から中央部に向かうにつれて0.68→0.85に増加するよう設定される。
また、各変調マスク中央部34における第1振幅変調単位領域26aの配置パターンの設計手順も、図40に示す第4の実施の形態における第1位相変調単位領域25aの場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
設計された具体的な変調領域22を図45(a)(b)(c)に示す。図45(a)(b)(c)は、端部の変調領域22(a)、中間部の変調領域22(e)および中央部の変調領域22(i)をそれぞれ示している。なお、各変調領域22の変調単位領域24eを正方形で近似すると、一辺が約5μmの正方形となっている。
上述のように、端部、中間部および中央部のテーパ穴20(a),20(e)および20(i)に照射される単位階調光50の中央部分51の光強度P(a),P(e)およびP(i)が、端部から中央部に向かうにつれて0.68→0.85に増加するよう設定されている。この場合、対応する変調領域22(a),22(e)および22(i)においては、変調マスク中央部34(a),34(e)および34(i)における第1振幅変調単位領域26aの一辺の寸法Lが、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて2.1μm→1.4μmと減少するよう設定される。すなわち、変調マスク中央部34の各変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率が、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて増加するよう設定される。従って、変調マスク中央部34における各変調単位領域24eの開口率(各変調単位領域24eにおける第2振幅変調単位領域26bの面積率)が、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて増加するよう設定されることになる。
(変調マスクの製造方法)
その後、設計されたパターンに従って、変調領域22および非変調領域23を有する変調マスク21を製造する。この場合、設計されたパターンが形成されるよう、光遮蔽層21aおよび光遮蔽層29が変調マスク本体部21a上に所定パターンで設けられる。このようにして変調マスク21が得られる。
(テーパ穴の形成方法)
その後、第4の実施の形態の場合と同様にして、本実施の形態による変調マスク21を備えたテーパ穴形成装置10を用いて、被加工物18に18個のテーパ穴20が形成される。
この際、上述のように、変調領域22(a),22(e)および22(i)において、各変調マスク中央部34における第1振幅変調単位領域26aの一辺の寸法Lが、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて減少するよう設定されている。すなわち、変調マスク中央部34における各変調単位領域24eの開口率が、変調マスク21の端部から中央部に向かうにつれて増加するよう設定されている。このため、対応する単位階調光50(a),50(e)および50(i)においても、その中央部分51の光強度P(a),P(e)およびP(i)が、端部から中央部に向かうにつれて増加している。このように、変調マスク中央部34における第1振幅変調単位領域26aの一辺の寸法Lを、変調マスク21の中央部に向かうにつれて小さくすることにより、被加工物18上に結像される単位階調光50の中央部分51の光強度Pを、一列に並ぶテーパ穴20の中央部に向かうにつれて大きくすることができる。
このように本実施の形態によれば、各単位階調光50のうち一の単位階調光50における中央部分51の光強度Pは、その他の単位階調光50のうち少なくとも1つの単位階調光50における中央部分51の光強度Pと異なっている。例えば、各単位階調光50における中央部分51の光強度Pは、一列に並ぶテーパ穴20の端に向かうにつれて小さくなっている。これによって、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
また本実施の形態によれば、変調マスク21の各変調領域22は、被加工物18においてテーパ穴20の貫通部20aが形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部34を含んでいる。各変調マスク中央部34は、複数の変調単位領域24eからなっており、ここで、結像光学系17の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、変調単位領域24eを結像光学系17の結像面に換算した変調単位換算領域は、結像光学系17の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっている。また、各変調単位領域24eは、光を第1の振幅変調量で変調する第1振幅変調単位領域26aと、光を第2の振幅変調量で変調する第2振幅変調単位領域26bと、からなっている。そして、各変調マスク中央部34の変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率は、各々所定の値に設定されている。従って、変調マスク21の各変調領域22により変調された後、被加工物18に照射される各単位階調光50の中央部分51の光強度Pを、各単位階調光50が照射される位置に応じて任意に変えることができる。これによって、各単位階調光50の照射によって形成されるテーパ穴20のテーパ角φを、各単位階調光50が照射される位置によらず略同一にすることができる。このことにより、被加工物18に、略同一のテーパ角φを有する複数のテーパ穴20を同時に形成することができる。
(変形例)
なお本実施の形態において、なお、各変調マスク中央部34の変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率を、変調マスク21の端に向かうにつれて大きくする例を示したが、これに限られることはない。図24に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様の技術的思想により、各変調マスク中央部34の変調単位領域24eにおける第1振幅変調単位領域26aの面積率を、変調マスク21の端に向かうにつれて小さくしてもよい。
(その他の変形例)
また上記各実施の形態において、レーザ光源12が、308nmの波長を有する光を供給するXeClエキシマレーザ光源12からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、レーザ光源12として308nm以外の波長を有する光を供給するレーザ光源12を用いても良い。この場合、レーザ光源12の波長は、被加工物18の材料、結像光学系17の倍率、および結像光学系17の開口率NAなどを考慮して決定される。
また上記各実施の形態において、テーパ穴形成装置10により被加工物18に貫通部20aと傾斜部20bとを有するテーパ穴20が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、テーパ穴形成装置10により被加工物18に非貫通のテーパ穴20、すなわち底部分と傾斜部20bとを有するテーパ穴20を形成してもよい。
また上記各実施の形態において、変調マスク21の変調領域22が、円形の輪郭からなる例を示したが、これに限られることはない。変調領域22により変調され、その後に被加工物18に対して照射される光により、被加工物18に所定のテーパ角φを有するテーパ穴20が形成される限りにおいて、変調領域22の輪郭を任意の形状とすることができる。
また上記各実施の形態において、テーパ穴形成装置10からの各単位階調光50を被加工物18に照射することにより、一列に並ぶ複数のテーパ穴20が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば図46(a)に示すように、複数列に並ぶ複数のテーパ穴20が形成されるよう、テーパ穴形成装置10から被加工物18に各単位階調光50を照射してもよい。この場合、図46(b)に示すように、各々がテーパ穴20に対応する変調量分布を有する複数の変調領域22が形成された変調マスク21が用いられる。
なお、テーパ穴20を複数列に並べる具体的な方法が特に限られることはなく、例えば図46(a)に示すように、テーパ穴20が千鳥足状に並べられていてもよい。
また本実施の形態において、光変調手段15が、変調マスク21と結像光学系17とにより構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはない。本発明の技術的思想は、上述のように、被加工物18に複数のテーパ穴を同時に形成する際、被加工物18に照射される各単位階調光50の中央部分51の光強度P、若しくは傾斜部分52の幅wを、テーパ穴20の位置に応じて適宜調整することである。従って本発明においては、このような調整を実現可能な様々な光変調手段を用いることができる。例えば、被加工物18に照射される光の強度を調整する方法として、所定の透過率分布を有する補正板を、被加工物18の近傍、若しくは被加工物18と共役な位置に設けることにより、被加工物18に照射される光に強度分布を持たせる方法を用いることができる。
また本実施の形態において被加工物に形成される複数のテーパ穴20が各々略同一のテーパ角φを有する例を示した。しかしながら、これに限られることはない。本発明の技術的思想は、上述のように、被加工物18に複数のテーパ穴を同時に形成する際、被加工物18に照射される各単位階調光50の中央部分51の光強度P、若しくは傾斜部分52の幅wを、テーパ穴20の位置に応じて適宜調整することである。従って本発明においては、各テーパ穴20のテーパ角φを略同一にするだけでなく、単位階調光50の中央部分51の光強度P、若しくは傾斜部分52の幅wを調整することにより、各テーパ穴20のテーパ角φを位置に応じて任意に設定することが可能となっている。すなわち、被加工物18に形成される複数のテーパ穴20のテーパ角φを、位置に応じて意図的に変えることができる。
10 テーパ穴形成装置
11 マスク照明系
12 レーザ光源
13 照明光学系
15 光変調手段
17 結像光学系
17a 凸レンズ
17b 凸レンズ
17c 開口絞り
17e 円筒形
17f 結像面
17g 単位円
17h ベクトル
17k 開口部
17l 点像分布範囲
18 被加工物
19 載置台
20 テーパ穴
20a テーパ穴の貫通部
20b テーパ穴の傾斜部
20c テーパ穴の先端部
20d テーパ穴の基端部
21 変調マスク
21a 変調マスク本体部
21b 光遮蔽層
22 変調領域
23 非変調領域
24e 変調単位領域
25a 第1位相変調単位領域
25b 第2位相変調単位領域
26a 第1振幅変調単位領域
26b 第2振幅変調単位領域
26c 側縁
27 円周方向線
28a x方向側縁
28b y方向側縁
29 光遮蔽層
32 変調マスク傾斜部
33 変調マスク周縁部
34 変調マスク中央部
45a 第1位相変調単位領域
45b 第2位相変調単位領域
50 単位階調光
51 中央部分
52 傾斜部分
53 周縁部分
100 従来のレーザ加工装置
102 レーザ光源
103 照明光学系
104 マスク
105 石英ガラス層
106 光遮蔽膜
106a 開口部
107 結像光学系
108 被加工物
109 ステージ
110 ノズル
110b ノズルのテーパ部

Claims (29)

  1. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する光変調手段と、を備え、
    前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、
    各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、
    各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外縁に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分と、前記傾斜部分の外縁に位置する周縁部分と、を含み、
    各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  2. 前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、
    各単位階調光における前記傾斜部分の幅は、列の端に向かうにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載のテーパ穴形成装置。
  3. 前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、
    各単位階調光における前記傾斜部分の幅は、列の端に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載のテーパ穴形成装置。
  4. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、
    各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部と、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置する変調マスク周縁部と、を含み、
    各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、
    各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、
    前記変調マスク傾斜部の各変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少しており、
    各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  5. 前記変調領域は、各変調領域が前記変調マスク上に一列もしくは複数列に並ぶよう配置され、
    各変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、列の端に向かうにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項4に記載のテーパ穴形成装置。
  6. 前記変調マスク傾斜部において、変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の数が、列の端に向かうにつれて大きくなることを特徴とする請求項5に記載のテーパ穴形成装置。
  7. 前記変調マスク傾斜部において、前記変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の幅方向における寸法が、列の端に向かうにつれて大きくなることを特徴とする請求項5に記載のテーパ穴形成装置。
  8. 前記変調領域は、各変調領域が前記変調マスク上に一列もしくは複数列に並ぶよう配置され、
    各変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、列の端に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載のテーパ穴形成装置。
  9. 前記変調マスク傾斜部において、変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の数が、列の端に向かうにつれて小さくなることを特徴とする請求項8に記載のテーパ穴形成装置。
  10. 前記変調マスク傾斜部において、変調マスク傾斜部の幅方向に並ぶ前記変調単位領域の幅方向における寸法が、列の端に向かうにつれて小さくなることを特徴とする請求項8に記載のテーパ穴形成装置。
  11. 前記第1変調単位領域の第1の変調量および前記第2変調単位領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    前記変調マスク傾斜部において、各変調単位領域における前記第1変調単位領域の占有率と前記傾斜部第2変調領域の占有率との差が、変調マスク傾斜部の外方に向かうにつれて単調に減少することを特徴とする請求項4乃至10のいずれかに記載のテーパ穴形成装置。
  12. 前記第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、
    前記変調マスク傾斜部において、各変調単位領域における前記第1変調単位領域の占有率が、変調マスク傾斜部の外方に向かうにつれて単調に増加することを特徴とする請求項4乃至10のいずれかに記載のテーパ穴形成装置。
  13. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、
    光を出射する光源を準備する工程と、
    光源の出射側に設けられた光変調手段により、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する工程と、を備え、
    前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、
    各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、
    各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外縁に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分と、前記傾斜部分の外縁に位置する周縁部分と、を含み、
    各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法。
  14. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、
    光を出射する光源を準備する工程と、
    光源の出射側に設けられた変調マスクにより、光源からの光を変調する工程と、
    変調マスクの出射側に設けられた結像光学系により、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する工程と、を備え、
    前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、
    各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部と、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置する変調マスク周縁部と、を含み、
    各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、
    各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、
    前記変調マスク傾斜部の各変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少しており、
    各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法。
  15. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成する光変調手段において、
    各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、
    各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、
    各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外縁に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射され、外方に向かうにつれて光強度が低下する傾斜部分と、前記傾斜部分の外縁に位置する周縁部分と、を含み、
    各単位階調光のうち一の単位階調光における傾斜部分の幅は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における傾斜部分の幅と異なっていることを特徴とする光変調手段。
  16. 光を出射する光源と、光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、の間に設けられ、光源からの光を変調するとともに、変調された光を結像光学系に向かって出射する変調マスクにおいて、
    前記結像光学系から前記被加工物に照射される光により、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴が形成され、
    変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、
    各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外縁に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク傾斜部と、前記変調マスク傾斜部の外縁に位置する変調マスク周縁部と、を含み、
    各変調マスク傾斜部は、複数の変調単位領域からなり、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、
    各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、
    前記変調マスク傾斜部の各変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、変調領域の外方に向かうにつれて単調に増加または減少しており、
    各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク傾斜部の幅は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク傾斜部の幅と異なっていることを特徴とする変調マスク。
  17. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する光変調手段と、を備え、
    前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、
    各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、
    各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外側に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される周縁部分と、を含み、
    各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  18. 前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、
    各単位階調光における中央部分の光強度は、列の端に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項17に記載のテーパ穴形成装置。
  19. 前記単位階調光は、各単位階調光が前記被加工物上に一列もしくは複数列に並ぶよう被加工物に対して照射され、
    各単位階調光における中央部分の光強度は、列の端に向かうにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項17に記載のテーパ穴形成装置。
  20. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成装置において、
    光を出射する光源と、
    光源の出射側に設けられ、光源からの光を変調して出射する変調マスクと、
    変調マスクの出射側に設けられ、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、を備え、
    前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、
    各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外側に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される光を変調する変調マスク周縁部と、を含み、
    各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、
    各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、
    各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されており、
    各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成装置。
  21. 前記変調領域は、各変調領域が前記変調マスク上に一列もしくは複数列に並ぶよう配置され、
    各変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、列の端に向かうにつれて単調に増加または減少することを特徴とする請求項20に記載のテーパ穴形成装置。
  22. 前記第1変調単位領域の第1の変調量および前記第2変調単位領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率と第2変調単位領域の占有率との差が、列の端に向かうにつれて単調に減少することを特徴とする請求項21に記載のテーパ穴形成装置。
  23. 前記第1変調単位領域の第1の変調量および前記第2変調単位領域の第2の変調量が、互いに180度の奇数倍だけ異なる所定の位相変調量となっており、
    各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率と第2変調単位領域の占有率との差が、列の端に向かうにつれて単調に増加することを特徴とする請求項21に記載のテーパ穴形成装置。
  24. 前記第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、
    各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率が、列の端に向かうにつれて単調に増加することを特徴とする請求項21に記載のテーパ穴形成装置。
  25. 前記第1変調単位領域が、光を遮蔽する光遮蔽層を含み、
    各変調領域の変調マスク中央部における第1変調単位領域の占有率が、列の端に向かうにつれて単調に減少することを特徴とする請求項21に記載のテーパ穴形成装置。
  26. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、
    光を出射する光源を準備する工程と、
    光源の出射側に設けられた光変調手段により、光源からの光を変調して、被加工物に対して光を照射する工程と、を備え、
    前記光変調手段は、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、
    各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、
    各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外側に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される周縁部分と、を含み、
    各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法。
  27. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成するテーパ穴形成方法において、
    光を出射する光源を準備する工程と、
    光源の出射側に設けられた変調マスクにより、光源からの光を変調する工程と、
    変調マスクの出射側に設けられた結像光学系により、変調マスクにより変調された光を結像して被加工物に照射する工程と、を備え、
    前記変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、
    各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外側に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される光を変調する変調マスク周縁部と、を含み、
    各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、
    各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、
    各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されており、
    各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率と異なっていることを特徴とするテーパ穴形成方法。
  28. 光源から出射された光を変調し、変調された光を被加工物に照射することにより、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴を形成する光変調手段において、
    各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の単位変調手段を有し、
    各単位変調手段により変調されて被加工物に照射される光は各々、テーパ穴に対応する光強度分布を有する単位階調光となっており、
    各単位階調光は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される中央部分と、前記中央部分の外側に位置するとともに、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される周縁部分と、を含み、
    各単位階調光のうち一の単位階調光における中央部分の光強度は、その他の単位階調光のうち少なくとも1つの単位階調光における中央部分の光強度と異なっていることを特徴とする光変調手段。
  29. 光を出射する光源と、光を結像して被加工物に照射する結像光学系と、の間に設けられ、光源からの光を変調するとともに、変調された光を結像光学系に向かって出射する変調マスクにおいて、
    前記結像光学系から前記被加工物に照射される光により、被加工物に貫通部若しくは底部分と、テーパ部とを有する複数のテーパ穴が形成され、
    変調マスクは、各々がテーパ穴に対応する変調量分布を有する複数の変調領域を有し、
    各変調領域は、被加工物においてテーパ穴の貫通部若しくは底部分が形成される領域に照射される光を変調する変調マスク中央部と、前記変調マスク中央部の外側に位置し、被加工物においてテーパ穴のテーパ部が形成される領域の周縁の領域に照射される光を変調する変調マスク周縁部と、を含み、
    各変調マスク中央部は、複数の変調単位領域からなり、
    前記結像光学系の点像分布範囲の半径Rを、光の中心波長λ、結像光学系の出射側の開口数NAを用いてR=0.61λ/NAと定義したとき、前記変調単位領域を前記結像光学系の結像面に換算した変調単位換算領域は、前記結像光学系の点像分布範囲の半径よりも少なくとも一方向に関して小さくなっており、
    各変調単位領域は、光を第1の変調量で変調する第1変調単位領域と、光を第2の変調量で変調する第2変調単位領域と、からなり、
    各変調マスク中央部の変調単位領域における第1変調単位領域の占有率は、各々所定の値に設定されており、
    各変調領域のうち一の変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率は、その他の変調領域のうち少なくとも1つの変調領域における変調マスク中央部の第1変調単位領域の占有率と異なっていることを特徴とする変調マスク。
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