JP2012033617A - 有機トランジスタ素子用テンプレートおよびその製造方法、並びに有機トランジスタ素子およびその製造方法 - Google Patents

有機トランジスタ素子用テンプレートおよびその製造方法、並びに有機トランジスタ素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる有機トランジスタ素子用テンプレートを提供することを主目的とする。
【解決手段】基板と、上記基板上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、上記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜とを有し、上記下地層の表面が上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示しかつ上記チャネル領域外において上記チャネル領域内よりも疎液性を示すことを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレートを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機トランジスタ素子を製造するために用いられる有機トランジスタ素子用テンプレートおよびその製造方法と、当該有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられた有機トランジスタ素子およびその製造方法に関するものである。
TFTに代表される半導体トランジスタは、近年、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。このような半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、上記半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)やインジウムガリウム砒素(InGaAs)などの無機半導体材料が用いられてきた。近年、普及が拡大している液晶表示装置のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
一方、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。有機半導体材料は、上記無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であることから、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有している。したがって、このような有機半導体材料を対象として、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイ等の次世代ディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
有機半導体材料が用いられた有機トランジスタ素子を製造する際には、通常、有機半導体層をパターン状に形成することが必要とされる。従来、パターン状に有機半導体層を形成する方法としては、メタルマスクを介した真空蒸着法が主に用いられてきた(例えば、非特許文献1)。しかしながら、真空蒸着法は、有機半導体材料からなる層を所望のパターン状に精度良くパターニングできる点においては優れているが、パターニングする際に、真空条件が必要になることや、マスクに付着する有機半導体材料が大量に無駄になること等により、工程が煩雑でコストが高く、生産性に乏しいという問題点があった。
また、有機半導体層を塗布法によってパターン状に形成する方法も検討されているが(例えば、非特許文献2)、有機トランジスタの半導体特性は、有機半導体層の厚みに大きく依存するものであるところ、塗布法によって有機半導体層を形成すると、厚みを所定の範囲に制御することが困難であるという問題もあった。このような問題は、特にゲート電極およびドレイン電極の表面に、有機半導体層の半導体特性を向上させることを目的として、有機半導体層を形成するために用いられる塗工液に対して親液性を示す自己組織化単分子膜を形成した場合において顕著になる傾向があった。
Seungmoon Pyo et al,「Low-temperature processable inherently photosensitive polyimide as a gate insulator for organic thin-film transistors」Appl.Phys.Lett.86,133508(2005) Henning Sirringhaus,"Device physics of solution-processed organic field-effect transistors", Adv. Mater. 17, 2411-2425 (2005)
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる有機トランジスタ素子用テンプレートを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、基板と、上記基板上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、上記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜とを有し、上記下地層の表面が上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外において上記チャネル領域内よりも疎液性を示すことを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレート(以下、「第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」と称する場合がある。)を提供する。
また本発明は、基板、上記基板上に形成されたゲート電極、および上記ゲート電極を覆うように上記基板上に形成されたゲート絶縁層を有する電極積層体と、上記電極積層体のゲート絶縁層上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、上記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜とを有し、上記下地層の表面が上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外において上記チャネル領域内よりも疎液性を示すことを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレート(以下、「第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」と称する場合がある。)を提供する。
本発明によれば、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液膜が形成されており、かつ有機半導体層形成領域外の表面上に疎液膜が形成されており、さらに上記チャネル領域内の下地層の表面が親液化処理されていることにより、上記有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成する際に、有機半導体層が有機半導体層形成領域外へ拡がって形成されることを防止できる。このため、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートによれば、予め個々の有機半導体層が形成される面積が決定されることになるため、当該面積を基準として有機半導体層の形成条件を調整することにより、所定の厚みで精度良く有機半導体層を形成することが容易になる。
このようなことから、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートによれば簡易な工程により厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる。
本発明においては、上記親液性材料が、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層中の有機半導体材料を配列させることができるものであることが好ましい。これにより、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上させることができる結果、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子を、より性能の優れたものにできるからである。
また本発明においては、上記親液‐疎液可変性材料が上記親液化処理としてエネルギー照射処理がされることによって親液化されるものであることが好ましい。これにより、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートを製造する際に、上記チャネル領域内の下地層表面を選択的に親液化処理することが容易になるからである。
本発明は、基板を用い、上記基板上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する下地層形成工程と、上記下地層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極上の全面に疎液性材料からなる疎液膜を形成する疎液膜形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において上記下地層の表面を親液化処理する疎液膜除去‐親液化処理工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に、親液性材料からなる親液膜を形成する親液膜形成工程と、を有することを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法(以下、「第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法」と称する場合がある。)を提供する。
また、基板、上記基板上に形成されたゲート電極、および上記ゲート電極を覆うように上記基板上に形成されたゲート絶縁層を有する電極積層体を用い、上記ゲート絶縁層上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する下地層形成工程と、上記下地層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極上の全面に疎液性材料からなる疎液膜を形成する疎液膜形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において上記下地層の表面を親液化処理する疎液膜除去‐親液化処理工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液性材料からなる親液膜を形成する親液膜形成工程とを有することを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法(以下、「第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法」と称する場合がある。)を提供する。
本発明によれば、上記疎液膜形成工程、上記疎液膜除去‐親液化処理工程、および上記親液膜形成工程により、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液膜が形成され、かつ有機半導体層形成領域外の表面上に疎液膜が形成され、さらに上記チャネル領域内の下地層の表面が親液化処理されることにより、本発明によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層が有機半導体層形成領域外へ拡がって形成されることを防止できる。このため、本発明によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートによれば、予め個々の有機半導体層が形成される面積が決定されることになるため、当該面積を基準として有機半導体層の形成条件を調整することにより、所定の厚みで精度良く有機半導体層を形成することが容易になる。
このようなことから、本発明によれば、簡易な工程により厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる有機トランジスタ素子用テンプレートを製造することができる。
本発明においては、上記疎液膜除去‐親液化処理工程において上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜の除去と、上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内における上記下地層表面の親液化処理と、が同時に行われることが好ましい。これにより、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法を簡略化することができるからである。
本発明は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートと、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを有することを特徴とする有機トランジスタ素子(以下、「第1態様の有機トランジスタ素子」と称する場合がある。)を提供する。
また本発明は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートと、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層とを有することを特徴とする有機トランジスタ素子(以下、「第2態様の有機トランジスタ素子」と称する場合がある。)を提供する。
本発明によれば、上記本発明に係る有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられ、かつ有機半導体層が上記有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域上に形成されることにより、有機半導体層の厚みを精度良く制御することができる。このため、本発明によれば半導体特性に優れた有機トランジスタ素子を得ることができる。
本発明は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを有することを特徴とする有機トランジスタ素子の製造方法(以下、「第1態様の有機トランジスタ素子の製造方法」と称する場合がある。)を提供する。
また本発明は、上記第2態様に係る有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程を有することを特徴とする有機トランジスタ素子の製造方法(以下、「第2態様の有機トランジスタ素子の製造方法」と称する場合がある。)を提供する。
本発明によれば上記有機半導体層形成工程が、上記本発明に係る有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、当該有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成するものであることにより、厚みが精度良く制御された有機半導体層を形成することができる。このため、本発明によれば半導体特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる。
本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートは、厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができるという効果を奏する。
本発明の第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの一例を示す概略断面図である。 本発明の第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの一例を示す概略断面図である。 本発明の第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の第1態様の有機トランジスタ素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の第1態様の有機トランジスタ素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の第2態様の有機トランジスタ素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の第2態様の有機トランジスタ素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の第1態様の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の第2態様の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程図である。
本発明は、有機トランジスタ素子用テンプレートおよびその製造方法と、有機トランジスタ素子およびその製造方法とに関するものである。
以下、各発明について順に説明する。
A.有機トランジスタ素子用テンプレート
まず、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートについて説明する。本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートは、有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成することより有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものである。本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートは、トップゲート型の有機トランジスタ素子を製造するために用いられるもの(第1態様)と、ボトムゲート型の有機トランジスタ素子を製造するために用いられるもの(第2態様)とに分けることができる。したがって、以下、各態様に分けて、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートについて説明する。
A−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート
まず、本発明の第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートについて説明する。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、トップゲート型の有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものである。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、基板と、上記基板上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、上記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜とを有し、上記下地層の表面が上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外において上記チャネル領域内の表面よりも疎液性を示すことを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートについて、図を参照しながら説明する。図1(a)、(b)は本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの一例を示す概略断面図である。図1(a)に例示するように本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10は、基板11と、上記基板11上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層12と、上記下地層12上に形成されたソース電極13およびドレイン電極14と、上記ソース電極13およびドレイン電極14の有機半導体層形成領域X内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜15と、上記ソース電極13およびドレイン電極14の有機半導体層形成領域外Yの表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜16とを有するものである。また、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10においては、上記下地層12の表面が上記ソース電極13およびドレイン電極14間のチャネル領域C内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外Dにおいて上記チャネル領域C内よりも疎液性を示すことを特徴とするものである。
そして、図1(b)に例示するように、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10は、有機半導体層形成領域X上に有機半導体層21が形成されることにより有機トランジスタ素子20を製造するために用いられるものである。
なお、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層が形成される場所として予め決定されている領域を意味するものであるが、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの構成上は、ゲート電極およびドレイン電極間のチャネル領域および親液膜が形成されている領域が、有機半導体層形成領域となる。
本態様によれば、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液膜が形成されており、かつ有機半導体層形成領域外の表面上に疎液膜が形成されており、かつ上記チャネル領域内の下地層の表面が親液化処理されていることにより、上記有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成する際に、有機半導体層が有機半導体層形成領域外へ拡がって形成されることを防止できる。このため、予め個々の有機半導体層が形成される面積が決定されることになるため、当該面積を基準として形成条件を調整することにより、所定の厚みで有機半導体層を形成することが容易になる。このため、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートによれば、簡易な工程により厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる。
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、少なくとも基板、下地層、ソース電極、ドレイン電極、親液膜、および疎液膜を有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。
以下、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートに用いられる各構成について、順に説明する。
1.下地層
まず、本態様に用いられる下地層について説明する。本態様に用いられる下地層は、後述する基板上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなるものである。したがって、本態様に用いられる下地層は、親液化処理されていない表面は疎液性を示すが、親液化処理された表面は親液性を示すものとなる。本態様に用いられる下地層は、親液性の表面あるいは疎液性の表面のいずれを備えるものであってもよいが、少なくとも、後述するソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外において上記チャネル領域内よりも疎液性を示すものである。
以下、このような下地層について詳細に説明する。
本態様に用いられる下地層は、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなるものである。当該親液‐疎液可変性材料は親液化処理されることによって親液性を示すが、親液化処理がされない状態では疎液性を示す化合物である。また、本態様に用いられる下地層は親液性の表面、または疎液性の表面のいずれを有するものであってもよいものであるが、親液性の表面を有する部位については既に親液化処理がなされているため、当該部位を構成する親液‐疎液可変性材料は、既に親液化処理に伴って一定の変化が生じたものになっている。このため、親液性の表面を有する部位についてはさらに親液化処理を行ったとしてもさらなる親液性の向上が図れない状態になっている場合もある。
ここで、本発明における「親液性」、「疎液性」とは、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層を形成するために用いられる有機半導体層形成用塗工液に対する液性を意味するものである。
本態様に用いられる親液−疎液可変性材料としては、所定の親液化処理を行うことにより親液化される性質を有するものであれば特に限定されないが、エネルギー照射処理がなされることにより親液化されるものであることが好ましい。これにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを製造する際に、チャネル領域内の下地層表面を選択的に親液化処理することが容易になるからである。
上記エネルギー照射処理としては、例えば、紫外線照射処理、真空紫外光照射処理、プラズマ照射処理等を挙げることができる。
本態様に用いられる親液‐疎液可変性材料は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の用途や、親液化処理されることによって親液化される程度等に応じて適宜選択して用いられるものである。したがって、本態様に用いられる親液‐疎液可変性材料は有機材料であってもよく、無機材料であってもよい。親液‐疎液可変性材料の具体例としては、例えば、シランカップリング剤、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、表面をヘキサメチルジシランやアルキルトリクロロシラン等で修飾処理したSiO2(酸化ケイ素)等を挙げることができるが、照射するエネルギーを吸収可能な材料であれば特に限定されるものではない。また、親液‐疎液可変性材料は一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。中でも本態様においては、上記親液‐疎液可変材料としてシランカップリング剤が用いられることが好ましい。シランカップリング剤は真空紫外光照射処理がなされることにより、側鎖の一部が分解されて水酸基が生じることによって親液化されるため、例えば、上記側鎖の種類を適宜選択することによって、疎液性の程度を任意に制御できるとともに、真空紫外光照射処理という簡易な手段によって親液化することもできるからである。
本態様に用いられるシランカップリング剤としては、例えば、アルキルトリメトキシシラン、フッ素化アルキルトリアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルトリクロロシラン、フッ素化アルキルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等を挙げることができる。本態様においてはこれらのいずれのシランカップリング剤であっても好適に用いることができる。また、本態様に用いられるシランカップリング剤は1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。中でも本態様においてはシランカップリング剤として、デシルトリメトキシシランとテトラメトキシシランとを併用することが好ましい。これにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層を形成する工程において必要な疎液性を実現できるとともに、エネルギー照射によって有機半導体層形成領域内の効率的な親液化が行えるからである。
次に、本態様に用いられる下地層は、後述するソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において表面が親液性を示し、かつ上記チャネル領域外において表面が上記チャネル領域内よりも疎液性を示すものである。ここで、上述したように「親液性」、「疎液性」とは、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層を形成するために用いられる有機半導体層形成用塗工液に対する液性を意味するものである。チャネル領域内における下地層表面の親液性の程度は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機半導体層を形成する際に、当該チャネル領域上にも有機半導体層を形成できる程度であれば特に限定されるものではない。中でも本態様においては、チャネル領域内における下地層表面は、25℃における水の接触角が40°未満の親液性を示すことが好ましい。
一方、本態様におけるチャネル領域外の下地層表面については、上記チャネル領域内の下地層表面よりも疎液性であれば特に限定されるものではないが、なかでも25℃における水に対する接触角が40°以上であることが好ましい。
本態様に用いられる下地層の厚みは、構成材料として用いられる親液‐疎液可変性材料の種類等に応じて下地層を均一な厚みで製膜できる範囲内であれば特に限定されるものではない。中でも本態様に用いられる下地層の厚みは0.1nm〜200μmの範囲内であることが好ましく、0.1nm〜5μmの範囲内であることがより好ましく、0.1nm〜50nmの範囲内であることがさらに好ましい。
2.ソース電極およびドレイン電極
次に、本態様に用いられるソース電極およびドレイン電極について説明する。本態様に用いられるソース電極およびドレイン電極は、互いに一定の間隔をもって対向するように形成され、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を作製した場合に、そのままソース電極およびドレイン電極として機能するものである。また、ソース電極およびドレイン電極間に設けられた間隔はチャネル領域となるものである。
以下、本態様に用いられるソース電極およびドレイン電極について詳細に説明する。
本態様に用いられるソース電極およびドレイン電極は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子において、そのままソース電極およびドレイン電極として機能するものである。したがって、本態様に用いられるソース電極およびドレイン電極は導電性材料からなるものが用いられることになる。本態様に用いられる導電性材料としては、例えば、金属系材料の他、十分抵抗が小さければ、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子や、TTF-TCNQなどの電荷移動錯体等を挙げることができるが、金属系材料を用いることが好ましい。金属系材料の具体例としては、Mn、In、Bi、Ta、Ag、Al、V、Nb、Ti、Zn、Cr、W、Mo、Cu、Fe、Co、Au、Pd、Ni、Ir、およびPt等の金属材料、IZO、ITO、MoOx、NiOx、TiOx等の金属酸化物材料、C、カーボンナノチューブ、グラフェン等の半金属材料を挙げることができる。また、金属ナノ粒子も本態様におけるソース電極およびドレイン電極を構成する金属系材料として用いることができる。本態様においてはこれらのいずれの金属系材料であっても好適に用いることができるが、なかでもAuが用いられることが好ましい。
なお、本態様に用いられる導電性材料は1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。また、ソース電極およびドレイン電極において同一の導電性材料が用いられていてもよく、あるいは互いに異なる導電性材料が用いられていてもよい。
また、ソース電極およびドレイン電極間にはチャネル領域が形成されることになるが、ソース電極およびドレイン電極間の距離は、通常、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜500μmの範囲内であることがより好ましく、2μm〜100μmの範囲内であることがさらに好ましい。
なお、ソース電極およびドレイン電極の厚みは、使用される導電性材料の種類に応じて所望の電気抵抗を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではない。中でも本態様におけるソース電極およびドレイン電極の厚みは、通常、10nm〜1000nmの範囲内とされる。
3.親液膜
次に、本態様に用いられる親液膜について説明する。本態様に用いられる親液膜は、上述したソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなるものである。
ここで、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、有機半導体層を形成することによって有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものであるところ、上述したように、有機半導体層形成領域とは、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する場合に、有機半導体層が形成される領域を意味するものである。
本態様において、親液膜を形成するために用いられる親液性材料としては、所定の親液性を有するものであれば特に限定されるものではないが、下地層の親液化処理がされていない表面よりも有機溶媒に対する親液性が高い親液膜を形成することができる性質を有するものであることが好ましい。これにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層を形成する工程において有機半導体層を親液膜上に選択に形成することが容易になる結果、容易にパターン状の有機半導体層を形成することができるからである。ここで上記親液性とは、有機半導体層を形成するために用いられる塗工液の溶媒に対する親和性が高いことを意味するものである。このような親和性については、例えば、親液性材料からなる膜を形成し、当該膜の接触角を測定することにより評価することができる。接触角は、例えば、井元製作所製接触角測定装置を用いることによって測定することができる。
本態様に用いられる親液性材料としては、上述した親液性を備えるものであれば特に限定されるものではない。本態様に用いられる親液性材料としては、例えば、ベンゼンチオール、フルオロベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール、トルエンチオール、フェニルトリアルコキシシラン、フェネチルトリアルコキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン等を挙げることができる。本態様においてはこれらのいずれの親液性材料であっても好適に用いることができる。また本態様に用いられる親液性材料は1種類のみであってもよく、または2種類以上であってもよい。中でも本態様に用いられる親液性材料は、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上できる性質を有するものであることが好ましい。有機半導体層の半導体特性を向上させる手段としては、上記有機半導体層中に含まれる有機半導体材料の配列規則性を向上させる方法、親液性材料の電気陰性度に起因する電荷注入障壁を低減させる方法等を挙げることができる。例えば、上記親液性材料として、上記有機半導体層中の有機半導体材料を配列させることができるものを用いることにより、有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上させることができる結果、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子を、より性能の優れたものにできる。このような観点からすると、本態様においては親液性材料として、ベンゼンチオールのベンゼン環におけるオルト、メタ位の水素の一部もしくは全部がフッ素原子に置換されたフルオロベンゼンチオールが用いられることが好ましい。
本態様に用いられる親液膜の形態としては、上述した親液性材料からなるものであればよく、特に限定されるものではない。したがって、親液膜としては上記親液性材料からなる単分子膜としての形態であってもよく、あるいは一定の厚みを持った層状の形態であってもよい。層状の形態を有する親液膜が用いられる場合、親液膜の厚みは特に限定されるものではないが、通常は0.1nm〜100nmの範囲内とされる。
4.疎液膜
次に、本態様に用いられる疎液膜について説明する。本態様に用いられる親液膜は、上述したソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなるものである。本態様に用いられる疎液性材料としては、所定の疎液性を有するものであれば特に限定されるものではないが、上述した親液膜よりも有機溶媒に対する疎液性が高い疎液膜を形成することができるものであることが好ましい。これにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層を形成する工程において疎液膜上には有機半導体層が形成されにくくさせることができる結果、容易にパターン状の有機半導体層を形成することができるからである。ここで上記疎液性は、有機半導体層を形成するために用いられる塗工液の溶媒に対する親和性が低いことを意味するものである。このような親和性については、例えば、疎液性材料からなる膜を形成し、当該膜の接触角を測定することにより評価することができる。接触角は、例えば、井元製作所製接触角測定装置を用いることによって測定することができる。
本態様に用いられる疎液性材料としては、例えば、アルカンチオール、フルオロアルカンチオール、アルキルトリアルコキシシラン、フルオロアルキルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。本態様においてはこれらのいずれの疎液性材料であっても好適に用いることができる。また本態様に用いられる疎液性材料は1種類のみであってもよく、または2種類以上であってもよい。中でも本発明に用いられる疎液性材料は、アルカンチオールまたはフルオロアルカンチオールであることが好ましい。これにより、ソース電極およびドレイン電極と良好な密着強度を有するとともに、有機半導体層を形成するために用いられる塗工液の溶媒として一般的に用いられている芳香族系溶媒に対する疎液性が高い疎液膜を形成することができるからである。
本態様に用いられる疎液膜の形態としては、上述した疎液性材料からなるものであればよく、特に限定されるものではない。したがって疎液膜としては上記疎液性材料からなる単分子膜としての形態であってもよく、あるいは一定の厚みを持った層状の形態であってもよい。層状の形態を有する疎液膜が用いられる場合、疎液膜の厚みは特に限定されるものではないが、通常は0.1nm〜100nmの範囲内とされる。
5.基板
次に、本態様に用いられる基板について説明する。本態様に用いられる基板は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の用途等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。したがって、本態様に用いられる基板は、可撓性を有するフレキシブル基板であってもよく、あるいは可撓性を有しないリジッド基板であってもよい。本態様に用いられる基板の具体例としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フィノール樹脂等からなるものや、ガラス基板、SUS基板等を挙げることができる。
6.有機半導体層形成領域
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、有機半導体層形成領域に有機半導体層を形成することによって有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものである。上記有機半導体層形成領域は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートにおいて予め有機半導体層が形成される場所として決定されている領域を意味するものである。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子が製造される場合、有機半導体層はチャネル領域、およびソース電極・ドレイン電極上に形成された親液膜上に形成されることになるため、有機半導体層形成領域はチャネル領域および上記親液膜が形成された部位から構成されることになる。よって、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域は、チャネル領域の幅、および親液膜を形成する場所によって決定されることになる。
7.有機トランジスタ素子用テンプレート
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは少なくとも、上記基板、下地層、ソース電極・ドレイン電極、親液膜、および疎液膜を有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。本態様に用いられる他の構成は特に限定されるものではなく、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造する有機トランジスタ素子の用途や、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法等に応じて、所望の機能を有するものを適宜選択して用いることができる。中でも本態様においては上記他の構成として、チャネル領域内の下地層上に形成され、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造した際に、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上する機能を有する、半導体機能向上層が用いられることが好ましい。このような半導体機能向上層が形成されることにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の性能を、さらに向上させることができるからである。
図2は本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートに上記半導体機能向上層が用いられる場合の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10には、ソース電極13およびドレイン電極14間のチャネル領域C上に半導体機能向上層17が形成されていてもよい。
上記半導体機能向上層が用いられる場合、当該半導体機能向上層に用いられる構成材料としては、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造した際に、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上させる性質を有する機能性材料であれば特に限定されるものではない。このような機能性材料は、上記有機半導体層に用いられる有機半導体材料の種類等に応じて適宜選択して用いればよいものであり、特に限定されるものではない。ここで、上記機能性材料が有する性質としては、例えば、上記有機半導体層における有機半導体材料の結晶性を向上させることができる性質や、有機半導体層における電気伝導の向上、有機トランジスタの信頼性の向上等ができる性質を挙げることができる。より具体的には、伝導特性や動作安定性、バイアスストレス特性、移動度、オンオフ比等を向上できる性質を挙げることができる。
上記機能性材料としては、例えば、高分子化合物からなる高分子型機能性材料と、低分子化合物からなる低分子型機能性材料とを挙げることができる。高分子型機能性材料としては、例えば、ポリイミド、ポリスチレン、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができる。本態様においては上記高分子型機能性材料と、低分子型機能性材料のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも低分子型機能性材料を用いることが好ましく、さらに低分子型機能性材料のなかでも自己組織化単分子膜を形成することができるものを用いることが好ましい。このような低分子型機能性材料を用いることにより、上記チャネル領域上に、自己組織化単分子膜からなる半導体機能向上層を形成することが容易になるからである。さらに、このような自己組織化単分子膜を形成できる低分子型機能性材料の中でも、芳香族性の置換基を有するものが用いられることが好ましい。芳香族性の自己組織化単分子膜は、有機溶媒に対して高い親液性を持つ一方で、疎水性が高く、表面への水分子の吸着を防ぐことができるため、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の伝導特性や信頼性を、より向上させることができるからである。
本態様に用いられる自己組織化単分子膜を形成することが可能な低分子型機能性材料としては、例えば、PhTS(フェニチルトリクロロシラン)、PTS(フェニルトリクロロシラン)、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン等のフェニル基誘導体を有するトリアルコキシシランを挙げることができる。本態様においてはこれらのいずれの低分子型機能性材料であっても好適に用いることができるが、なかでもPhTS(フェニチルトリクロロシラン)やPTS(フェニルトリクロロシラン)を好適に用いることができる。
なお、本態様に用いられる機能性材料は、1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。
8.有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、例えば、後述する「B.有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法」の項において説明する方法により製造することができる。
9.その他
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものである。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する方法、および製造される有機トランジスタ素子の詳細については、後述する「C.有機トランジスタ素子」、および「D.有機トランジスタ素子の製造方法」の項において説明するため、ここでの説明は省略する。
A−2.第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレート
次に、本発明の第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートについて説明する。上述したように、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、ボトムゲート型の有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものである。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、基板、上記基板上に形成されたゲート電極、および上記ゲート電極を覆うように上記基板上に形成されたゲート絶縁層を有する電極積層体と、上記電極積層体のゲート絶縁層上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、上記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜とを有し、上記下地層の表面が、上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外において、上記チャネル領域内よりも疎液性を示すことを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートについて、図を参照しながら説明する。図3(a)、(b)は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの一例を示す概略断面図である。図3(a)に例示するように、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10は、基板11、上記基板11上に形成されたゲート電極18、および上記ゲート電極18を覆うように上記基板11上に形成されたゲート絶縁層19を有する電極積層体1と、上記電極積層体1のゲート絶縁層19上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層12と、上記下地層12上に形成されたソース電極13およびドレイン電極14と、上記ソース電極13およびドレイン電極14上の有機半導体層形成領域X内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜15と、上記ソース電極13およびドレイン電極14上の有機半導体層形成領域外Yの表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜16とを有するものである。また、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10においては、上記下地層12の表面が、上記ソース電極13およびドレイン電極14間のチャネル領域C内において親液性を示し、かつ上記チャネル領域外Dにおいて上記チャネル領域C内よりも疎液性を示すことを特徴とするものである。そして、図3(b)に例示するように、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10は、有機半導体層形成領域X上に有機半導体層21が形成されることにより、有機トランジスタ素子20を製造するために用いられるものである。
本態様によれば、上記ソース電極およびドレイン電極上の有機半導体層形成領域内の表面上に親液膜が形成されており、かつ有機半導体層形成領域外の表面上に疎液膜が形成されており、さらに上記チャネル領域内の下地層の表面が親液化処理されていることにより、上記有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成する際に、有機半導体層が有機半導体層形成領域外へ拡がって形成されることを防止できる。このため、予め個々の有機半導体層が形成される面積が決定されることになるため、当該面積を基準として形成条件を調整することにより、所定の厚みで有機半導体層を形成することが容易になる。
このようなことから、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートによれば簡易な工程により厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる。
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは少なくとも、電極積層体、下地層、ソース電極・ドレイン電極、親液膜、および疎液膜を有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。
以下、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートに用いられる各構成について順に説明する。
なお、下地層、ソース電極・ドレイン電極、親液膜、および疎液膜については、上記「A−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様であるため、以下での説明は省略する。
1.電極積層体
まず、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートに用いられる電極積層体について説明する。本態様に用いられる電極積層体は、基板、上記基板上に形成されたゲート電極、および上記ゲート電極を覆うように上記基板上に形成されたゲート絶縁層を有するものである。このような電極積層体が用いられることにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、ボトムゲート型の有機トランジスタ素子を製造するために用いることができるのである。
(1)ゲート電極
電極積層体に用いられるゲート電極は、後述する基板上に形成されるものである。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものであることから、ゲート電極は上記基板上に所定のパターン状に形成されるのが通常である。本態様に用いられるゲート電極としては、所望の導電性を備える導電性材料からなるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に有機トランジスタのゲート電極に用いられる導電性材料を用いることができる。このような導電性材料の例としては、例えば、Ag、Au、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Mo−Ta合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。また、金属ナノ粒子も同様に本態様におけるゲート電極を構成する材料として用いることができる。
本態様におけるゲート電極の厚みは、当該ゲート電極を形成するために用いられる導電性材料の種類等に応じて、所望の伝導性を達成できる範囲内で適宜決定されるものである。中でも本態様におけるゲート電極の厚みは、通常10nm〜1000nmの範囲内とされる。
(2)ゲート絶縁層
本態様に用いられるゲート絶縁層は、上述したゲート電極を覆うように基板上に形成されるものである。またゲート絶縁層は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子において、ソース電極およびドレイン電極と、ゲート電極とを絶縁する機能を有するものである。
本態様に用いられるゲート絶縁層を構成する材料としては、所望の絶縁性を有する絶縁性材料であれば特に限定されるものではない。このような絶縁性材料としては、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリパラキシレン等の有機材料や、SiO、SiNx、Al等の無機材料を挙げることができる。本態様においては、これらのいずれの絶縁性材料であっても好適に用いることができる。なお、本態様に用いられる絶縁性材料は1種類であってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。
本態様において、ゲート絶縁層が形成されている態様としては、上述したゲート電極を覆うように形成されている態様であれば特に限定されるものではない。したがって、本態様に用いられるゲート絶縁層は、上記基板上の全面に形成されていてもよく、あるいはゲート電極が形成されているパターンに対応するように、パターン状に形成されていてもよい。
本態様におけるゲート絶縁層の厚みは、ゲート絶縁層を形成するために用いられる絶縁性材料の種類等に応じて、所望の絶縁性を達成できる範囲内で適宜決定されるものである。中でも本態様におけるゲート絶縁層の厚みは、通常10nm〜5000nmの範囲内とされる。
(3)基板
電極積層体に用いられる基板については、上記「A−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.有機トランジスタ素子用テンプレート
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは少なくとも、上記電極積層体、下地層、ソース電極・ドレイン電極、親液膜、および疎液膜を有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。本態様に用いられる他の構成は特に限定されるものではなく、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造する有機トランジスタ素子の用途や、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法等に応じて所望の機能を有するものを適宜選択して用いることができる。中でも本態様においては上記他の構成として、チャネル領域内の下地層上に形成され、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造した際に、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上する機能を有する半導体機能向上層が用いられることが好ましい。このような半導体機能向上層が形成されることにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の性能を、さらに向上させることができるからである。
図4は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートに上記半導体機能向上層が用いられる場合の一例を示す概略断面図である。図4に例示するように本態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10には、ソース電極13およびドレイン電極14間のチャネル領域C上に半導体機能向上層17が形成されていてもよい。
なお、本態様に用いられる半導体機能向上層としては、上記「A−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
3.有機半導体層形成領域
本態様における有機半導体層形成領域については、上記「A−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは、例えば後述する「B.有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法」の項において説明する方法により製造することができる。
5.その他
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートは有機トランジスタ素子を製造するために用いられるものである。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する方法、および製造される有機トランジスタ素子の詳細については、後述する「C.有機トランジスタ素子」、および「D.有機トランジスタ素子の製造方法」の項において説明するため、ここでの説明は省略する。
B.有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法
次に、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法について説明する。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、製造される有機トランジスタ素子の構成によって2態様に大別することができる。したがって、以下、各態様に分けて本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法について説明する。
B−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法
まず、本発明の第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法について説明する。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、上述した第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを製造する態様である。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、基板を用い、上記基板上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する下地層形成工程と、上記下地層上に、ソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極上の全面に疎液性材料からなる疎液膜を形成する疎液膜形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域において上記下地層の表面を親液化処理する疎液膜除去‐親液化処理工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液性材料からなる親液膜を形成する親液膜形成工程とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法について、図を参照しながら説明する。図5は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法の一例を示す工程図である。図5に例示するように本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、基板11を用い(図5(a))、上記基板11上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層12を形成する下地層形成工程と(図5(b))、上記下地層12上にソース電極13およびドレイン電極14を形成するソース・ドレイン電極形成工程と(図5(c))、上記ソース電極13およびドレイン電極14上の全面に疎液性材料からなる疎液膜16を形成する疎液膜形成工程と(図5(d))、上記ソース電極13およびドレイン電極14の有機半導体層形成領域X内の表面上に形成された疎液膜16を除去し、かつ上記ソース電極13およびドレイン電極14間のチャネル領域Cにおいて、上記下地層12の表面を親液化処理する疎液膜除去‐親液化処理工程と(図5(e))、上記ソース電極13およびドレイン電極14の有機半導体層形成領域X内の表面上に、親液性材料からなる親液膜15を形成する親液膜形成工程と(図5(f))、を有することにより、有機トランジスタ素子用テンプレート10を製造するものである(図5(f))。
本態様によれば、上記疎液膜形成工程、上記疎液膜除去‐親液化処理工程、および上記親液膜形成工程により、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液膜が形成され、かつ有機半導体層形成領域外の表面上に疎液膜が形成され、さらに上記チャネル領域内の下地層の表面が親液化処理されることにより、本態様によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層が有機半導体層形成領域外へ拡がって形成されることを防止できる。このため、本態様によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートによれば、予め個々の有機半導体層が形成される面積が決定されることになるため、当該面積を基準として有機半導体層の形成条件を調整することにより、所定の厚みで有機半導体層を形成することが容易になる。
このようなことから、本態様によれば、簡易な工程により厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することが可能な有機トランジスタ素子用テンプレートを製造することができる。
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は少なくとも下地層形成工程と、ソース・ドレイン電極形成工程と、疎液膜除去‐親液化処理工程と、親液膜形成工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。
以下、本態様に用いられる各工程について順に説明する。
1.下地層形成工程
まず、本態様における下地層形成工程について説明する。本工程は、基板を用い、上記基板上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する工程である。
なお、上述したように親液‐疎液可変性材料は親液化処理によって親液化されるものであるが、本工程においてはまだ親液化処理がされていない親液‐疎液可変性材料が用いられる。したがって、本工程において形成される下地層は表面が疎液性を有するものになる。
本工程において基板上に下地層を形成する方法としては、所望の厚みで均一な下地層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上記親液‐疎液可変性材料を含有する下地層形成用塗工液を、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、スリットコート法、グラビアオフセット印刷等の一般的に公知な塗布方法によって基板上に塗工する方法等を挙げることができる。
なお、本工程に用いられる親液−疎液可変性材料、および基板については、上記「A.有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
2.ソース・ドレイン電極形成工程
次に、本態様におけるソース・ドレイン電極形成工程について説明する。本工程は、上記下地層形成工程において基板上に形成された下地層上に、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程である。本工程においてソース電極およびドレイン電極を形成する方法としては、所望の導電性材料を用いて予め定められた形状のソース電極およびドレイン電極を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザCVD法等のCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法や、金属ナノ粒子を含有する塗工液を塗布し、次いで当該塗工液の塗膜を焼結することによって多孔質体からなる電極を形成する塗布法等を挙げることができる。ここで、上記塗布法は、金属ナノ粒子を溶媒に分散して金属ナノ粒子塗工液を調製する金属ナノ粒子塗工液作成工程と、金属ナノ粒子塗工液を塗工し、当該塗工液の塗膜を形成する塗工工程と、形成された金属ナノ粒子の塗膜を焼結する焼結工程とを少なくとも有するものである。
なお、本工程においてソース電極およびドレイン電極を形成するために用いられる構成材料については、上記「A.有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
3.疎液膜形成工程
次に、本態様における疎液膜形成工程について説明する。本工程は、上記ソース・ドレイン電極形成工程において形成されたソース電極およびドレイン電極上の全面に、疎液性材料からなる疎液膜を形成する工程である。
本工程において疎液膜を形成する方法としては、上記ソース電極およびドレイン電極上の全面に、所望の疎液性材料からなる疎液膜を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、疎液性材料を含有する疎液膜形成用塗工液を用い、当該塗工液を上記ソース電極およびドレイン電極上に選択的に塗布する方法や、上記疎液膜形成用塗工液をソース電極およびドレイン電極が形成された基板の全面に塗布する方法を挙げることができる。ここで、上述したように下地層形成工程において形成された下地層は、表面が未だ親液化処理されておらず、ソース電極およびドレイン電極が形成された領域を除き、下地層の表面は疎液性を示すものになっている。したがって、下地層の全面に上記疎液膜形成用塗工液を塗布したとしても、疎液性を示す下地層の表面には疎液膜は形成されず、結果としてソース電極およびドレイン電極の表面のみに疎液膜を形成することができる。このように、下地層の表面とソース電極およびドレイン電極の表面とは濡れ性が異なる状態にあることから、本工程においてはこのような濡れ性の違いを利用して、上記疎液膜形成用塗工液をソース電極およびドレイン電極が形成された基板上の全面に塗布する方法により疎液膜を形成することが好ましい。
上記疎液膜形成用塗工液をソース電極およびドレイン電極が形成された基板上の全面に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、グラビアオフセット印刷、スリットコート法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリント法、フレキソ印刷法等の一般的に公知の塗布方法によって、疎液膜形成用塗工液を基板上に塗布する塗布法であってもよく、またソース電極およびドレイン電極が形成された基板を、疎液膜形成用塗工液中に浸漬して、一定時間後に引き上げるという浸漬法であってもよい。
なお、本工程に用いられる疎液性材料については、上記「A.有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
4.疎液膜除去‐親液化処理工程
次に、本態様における疎液膜除去‐親液化処理工程について説明する。本工程は、上記ソース・ドレイン電極形成工程において形成されたソース電極およびドレイン電極の、有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域において、上記下地層の表面を親液化処理する工程である。
本工程においてソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去する方法としては、疎液膜を構成する疎液性材料の種類やソース電極およびドレイン電極を構成する導電性材料の種類等に応じて、有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜のみを選択的に除去できる方法であれば特に限定されるものではない。中でも本工程においては、ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面にエネルギーを照射して、当該領域の疎液膜を分解することにより、選択的に疎液膜を除去する方法が用いられることが好ましい。このような方法によれば、上記有機半導体層形成領域のみを対象として、選択的に疎液膜を除去することが容易だからである。
なお、本工程において疎液膜が除去される有機半導体層形成領域は、本態様によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて作製される有機トランジスタ素子の用途に応じて決定されるものである。
エネルギーを照射して疎液膜を除去する方法が用いられる場合、照射されるエネルギーの種類としては、上記疎液膜を除去できるものであれば特に限定されず、疎液膜を構成する疎液性材料の種類や、ソース電極およびドレイン電極を構成する導電性材料の種類等に応じて適宜決定される。上記エネルギーの例としては例えば、電子線、紫外線、真空紫外光等を挙げることができる。
次に、本工程において、上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内の上記下地層の表面を親液化処理する方法としては、上記下地層を構成する親液‐疎液可変性材料の種類に応じて、当該親液‐疎液可変性材料が親液化される親液化処理を選択して用いることができる。どのような親液化処理を行うかは上記親液‐疎液可変性材料の種類に依存して決定されるものであり、特に限定されるものではない。
本工程においては、上記疎液膜の除去と上記下地層表面の親液化処理とが別々に行われてもよく、あるいは同時に行われてもよい。上記疎液膜の除去と上記下地層表面の親液化処理とが別々に行われる場合、実施する順序は特に限定されず、いずれの工程を先に実施してもよい。なかでも本工程においては上記疎液膜の除去と上記下地層表面の親液化処理とが同時に行われることが好ましい。これにより、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法を簡略化することができるからである。
本工程において上記疎液膜の除去と上記下地層表面の親液化処理とを同時に行う方法としては、例えば、上記疎液膜の除去と上記下地層表面の親液化処理とを同一の方法で実施できるよう、上記疎液膜および下地層の構成材料を選択する方法が挙げられる。例えば、上記疎液膜を構成する疎液性材料としてチオール類のような真空紫外光によって分解されるものを用い、かつ上記下地層を構成する親液−疎液可変性材料としてシランカップリング剤のような真空紫外光照射処理によって親液化されるものを用いることにより、本工程においては単一の真空紫外光照射処理によって、上記疎液膜の除去と下地層の親液化処理とを同時に行うことができる。
5.親液膜形成工程
次に、本態様における親液膜形成工程について説明する。本工程は、上記疎液膜除去‐親液化処理工程において疎液膜が除去されたソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に、親液性材料からなる親液膜を形成する工程である。
本工程において親液膜を形成する方法としては、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に、所望の親液膜材料からなる親液膜を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、親液性材料を含有する親液膜形成用塗工液を用い、当該塗工液を上記ソース電極およびドレイン電極上の有機半導体層形成領域内に選択的に塗布する方法等を挙げることができる。
また、ソース電極およびドレイン電極が形成された基板を親液膜形成用塗工液に浸漬させる方法や、親液膜形成用塗工液を基板の全面に塗布する方法を用いることもできる。上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面には疎液膜が形成されていることから、疎液膜上には親液膜形成用塗工液が付加されにくくなっているため、親液膜形成用塗工液を基板の全面に塗布する方法であっても、上記ソース電極およびドレイン電極上の有機半導体層形成領域内に選択的に親液膜形成用塗工液を付加させることができるからである。
なお、本工程に用いられる親液性材料については、上記「A.有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
6.その他の工程
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、少なくとも下地層形成工程と、ソース・ドレイン電極形成工程と、疎液膜形成工程と、疎液膜除去‐親液化処理工程と、親液膜形成工程とを有するものであるが必要に応じて他の工程が用いられてもよいものである。本態様に用いられる他の工程は特に限定されるものではなく、本態様において製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造する有機トランジスタ素子の用途等に応じて、任意の工程を用いることができる。中でも本態様においては、上記他の工程として上記疎液膜除去‐親液化処理工程後に実施され、本態様によって製造されるテンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造した際に、上記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層の半導体特性を向上する機能を有する半導体機能向上層を、上記下地層のチャネル領域内の表面上に形成する半導体機能向上層形成工程が用いられることが好ましい。このような半導体機能向上層形成工程が用いられることにより、本態様によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の性能を、さらに向上させることができるからである。
半導体機能向上層形成工程において半導体機能向上層を形成する方法としては、上記チャネル領域内の下地層の表面上に、選択的に半導体機能向上層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、グラビアオフセット印刷法、スリットコート法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリント法、フレキソ印刷法等を挙げることができる。
なお、上記半導体機能向上層は機能性材料を用いて形成されるが、当該機能性材料については、上記「A.有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
B−2.第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法
次に、本発明の第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法について説明する。本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、上述した第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを製造する態様である。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、基板、上記基板上に形成されたゲート電極、および上記ゲート電極を覆うように上記基板上に形成されたゲート絶縁層を有する電極積層体を用い、上記ゲート絶縁層上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する下地層形成工程と、上記下地層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極上の全面に疎液性材料からなる疎液膜を形成する疎液膜形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ上記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域において上記下地層の表面を親液化処理する疎液膜除去‐親液化処理工程と、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液性材料からなる親液膜を形成する親液膜形成工程とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法について図を参照しながら説明する。図6は、本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法の一例を示す工程図である。図6に例示するように本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は、基板11、上記基板11上に形成されたゲート電極18、および上記ゲート電極18を覆うように上記基板11上に形成されたゲート絶縁層19を有する電極積層体1を用い(図6(a))、上記電極積層体1の上記ゲート絶縁層19上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層12を形成する下地層形成工程と(図6(b))、上記下地層12上に、ソース電極13およびドレイン電極14を形成するソース・ドレイン電極形成工程と(図6(c))、上記ソース電極13およびドレイン電極14上の全面に、疎液性材料からなる疎液膜16を形成する疎液膜形成工程と(図6(d))、上記ソース電極13およびドレイン電極14上の有機半導体層形成領域X内の表面上に形成された疎液膜16を除去し、かつ上記ソース電極13およびドレイン電極14間のチャネル領域Cにおいて上記下地層12の表面を親液化処理する疎液膜除去‐親液化処理工程と(図6(e))、上記ソース電極13およびドレイン電極14の有機半導体層形成領域X内の表面上に親液性材料からなる親液膜15を形成する親液膜形成工程と(図6(f))、を有することにより、有機トランジスタ素子用テンプレート10を製造するものである(図6(f))。
本態様によれば、上記疎液膜形成工程、上記疎液膜除去‐親液化処理工程、および上記親液膜形成工程により、上記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液膜が形成され、かつ有機半導体層形成領域外の表面上に疎液膜が形成され、さらに上記チャネル領域内の下地層表面が親液化処理されることにより、本態様によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する際に、有機半導体層が有機半導体層形成領域外へ拡がって形成されることを防止できる。このため、本態様によって製造される有機トランジスタ素子用テンプレートによれば、予め個々の有機半導体層が形成される面積が決定されることになるため、当該面積を基準として形成条件を調整することにより、所定の厚みで有機半導体層を形成することが容易になる。
このようなことから、本態様によれば、簡易な工程により厚みが制御された有機半導体層を形成することが可能であり、トランジスタ特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる有機トランジスタ素子用テンプレートを製造することができる。
本態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法は少なくとも下地層形成工程と、ソース・ドレイン電極形成工程と、疎液膜除去‐親液化処理工程と、親液膜形成工程とを有するものである。ここで、本態様における各工程の具体的実施態様は、基板に代えて上記電極積層体が用いられること以外は、上記「B−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法」の各工程の項において説明した具体的実施態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様に用いられる電極積層体は、上記「A−2.第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様である。
本態様においては、必要に応じて上述した以外の他の工程を有してもよいものである。本態様に用いられる他の工程は特に限定されるものではなく、本態様において製造される有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて製造される有機トランジスタ素子の用途等に応じて任意の工程を用いることができる。ここで、本態様における他の工程としては上記「B−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法」の項において説明した工程と同様のものを用いることができる。
C.有機トランジスタ素子
次に、本発明の有機トランジスタ素子について説明する。本発明の有機トランジスタ素子は上記本発明に係る有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられたものである。このため、本発明の有機トランジスタ素子用テンプレートは、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられたトップゲート型のものと、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられたボトムゲート型のものと、の2態様に大別することができる。
したがって、以下では各態様に分けて本発明の有機トランジスタ素子について説明する。
C−1.第1態様の有機トランジスタ素子
まず、本発明の第1態様の有機トランジスタ素子について説明する。本態様の有機トランジスタ素子は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられたものであり、トップゲート型構造を有するものである。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートと、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子について図を参照しながら説明する。図7は、本態様の有機トランジスタ素子の一例を示す概略断面図である。図7に例示するように本態様の有機トランジスタ素子20は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10と、上記有機トランジスタ素子用テンプレート10の有機半導体層形成領域X上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層21と、上記有機半導体層21上に形成されたゲート絶縁層19と、上記ゲート絶縁層19上に形成されたゲート電極18とを有するものである。
本態様によれば、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられ、かつ有機半導体層が、上記有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域上に形成されることにより、有機半導体層の厚みを精度良く制御することができる。このため、本態様によれば半導体特性に優れた有機トランジスタ素子を得ることができる。
本態様の有機トランジスタ素子は少なくとも上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートと、有機半導体層とを有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。
以下、本態様の有機トランジスタ素子に用いられる各構成について順に説明する。
なお、本態様に用いられる有機トランジスタ素子用テンプレートは、上記「A−1.第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様であるため、以下での説明を省略する。
1.有機半導体層
本態様に用いられる有機半導体層は、上記有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域上に形成されるものであり、有機半導体材料からなるものである。
本態様における有機半導体層を構成する有機半導体材料としては、本態様の有機トランジスタ素子の用途等に応じて、所望の半導体特性を備える有機半導体層を形成できる材料であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、シリルエチン置換ペンタセンに代表されるペンタセン誘導体、アントラジチオフェン誘導体、ベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体、ジナフトチエノチオフェン誘導体、およびポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。
また、本態様に用いられる有機半導体層には、上記有機半導体材料に有機ポリマーを混合させてもよい。混合させる有機ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、ポリメタクリル酸メチル樹脂類、ポリビニルカルバゾール類、ポリトリアリルアミン類が挙げられる。また、ここに挙げた有機ポリマー以外にも一般的な有機ポリマーを用いることができる。
また、本態様に用いられる有機半導体層の厚みについては、上記有機半導体材料の種類等に応じて、所望の半導体特性を備える有機半導体層を形成できる範囲であれば特に限定されない。なかでも本態様においては、1nm〜1000nmであることが好ましく、なかでも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、特に15nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
2.有機トランジスタ素子
本態様の有機トランジスタ素子は、少なくとも上記有機トランジスタ素子用テンプレートと、上記有機半導体層とを有するものであるが、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。本態様に用いられる他の構成としては、本態様の有機トランジスタ素子の用途等に応じて任意の機能を有する構成を適宜選択して用いることができ、特に限定されるものではない。このような任意の構成としては、例えば、上記ゲート電極を覆うように形成され、有機トランジスタ素子の経時劣化を防止する機能を有するパッシベーション層を挙げることができる。このようなパッシベーション層が上記他の構成として用いられることにより、本態様の有機トランジスタ素子を、耐久性に優れたものにできるという利点がある。
図8は、本態様の有機トランジスタ素子にパッシベーション層が用いられる場合の一例を説明する概略断面図である。図8に例示するように本態様の有機トランジスタ素子20にはゲート電極18を覆うようにパッシベーション層22が形成されていてもよい。
本態様に用いられるパッシベーション層を構成する材料としては、有機トランジスタ素子が空気中に含有される水分等に曝露されることを所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の樹脂材料を挙げることができる。
また、パッシベーション層の厚みは、構成材料の種類に応じて所望の耐久性を実現できる範囲で適宜決定されるものであり特に限定されないが、通常、1μm〜50μmの範囲内とされる。
3.有機トランジスタ素子の製造方法
本態様の有機トランジスタ素子は、例えば、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、当該有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に、有機半導体層を形成することによって製造することができる。このような製造方法については、「D.有機トランジスタ素子の製造方法」の項において説明するため、ここでの説明は省略する。
C−2.第2態様の有機トランジスタ素子
次に、本発明の第2態様の有機トランジスタ素子について説明する。本態様の有機トランジスタ素子は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられたものであり、ボトムゲート型構造を有するものである。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートと、上記ソース電極およびドレイン電極上の有機半導体層形成領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子について、図を参照しながら説明する。図9は、本態様の有機トランジスタ素子の一例を示す概略断面図である。図9に例示するように本態様の有機トランジスタ素子20は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10と、上記有機トランジスタ素子用テンプレート10の有機半導体層形成領域X上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層21とを有することを特徴とするものである。
本態様によれば、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられ、かつ有機半導体層が上記有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域上に形成されることにより、有機半導体層の厚みを精度よく制御することができる。このため、本態様によれば半導体特性に優れた有機トランジスタ素子を得ることができる。
本態様の有機トランジスタ素子は、少なくとも上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートと、有機半導体層とを有するものであり、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。なお、本態様に用いられる有機トランジスタ素子用テンプレートは、上記「A−2.第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレート」の項において説明したものと同様であるため、以下での説明を省略する。また、本態様に用いられる有機半導体層についても、上記「C−1.有機トランジスタ素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様の有機トランジスタ素子は、少なくとも上記有機トランジスタ素子用テンプレートと、上記有機半導体層とを有するものであるが、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。本態様に用いられる他の構成としては、本態様の有機トランジスタ素子の用途等に応じて任意の機能を有する構成を適宜選択して用いることができ、特に限定されるものではない。このような他の構成としては、例えば上記有機半導体層を覆うように形成され、有機半導体層の劣化を防止する機能を有するパッシベーション層を挙げることができる。このようなパッシベーション層が上記他の構成として用いられることにより、本態様の有機トランジスタ素子を耐久性に優れたものにできるという利点がある。
図10は、本態様の有機トランジスタ素子にパッシベーション層が用いられる場合の一例を説明する概略断面図である。図10に例示するように、本態様の有機トランジスタ素子20には、有機半導体層21を覆うようにパッシベーション層22が形成されていてもよい。
なお、本態様に用いられるパッシベーション層については、上記「C−1.第1態様の有機トランジスタ素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様の有機トランジスタ素子は、例えば、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、当該有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成することによって製造することができる。このような製造方法については、「D.有機トランジスタ素子の製造方法」の項において説明するため、ここでの説明は省略する。
D.有機トランジスタ素子の製造方法
次に、本発明の有機トランジスタ素子の製造方法について説明する。本発明の有機トランジスタ素子の製造方法は、上記本発明に係る有機トランジスタ素子用テンプレートを用いて有機トランジスタ素子を製造する方法に関するものであり、上記第1態様または第2態様のいずれの有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられるかによって、2態様に大別することができる。
したがって、以下では、各態様に分けて本発明の有機トランジスタ素子の製造方法について説明する。
D−1.第1態様の有機トランジスタ素子の製造方法
まず、本発明の第1態様の有機トランジスタ素子の製造方法について説明する。本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられるものであり、トップゲート型の有機トランジスタ素子を製造する方法である。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図11は本態様の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程図である。図11に例示するように、本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10を用い(図11(a))、上記有機トランジスタ素子用テンプレート10の有機半導体層形成領域X上に、有機半導体材料からなる有機半導体層21を形成する有機半導体層形成工程と(図11(b))、上記有機半導体層21上にゲート絶縁層19を形成するゲート絶縁層形成工程と(図11(c))、上記ゲート絶縁層19上にゲート電極18を形成するゲート電極形成工程と(図11(d))を有し、トップゲート型の有機トランジスタ素子20を製造するものである(図11(d))。
本態様によれば、上記有機半導体層形成工程が、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、当該有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成するものであることにより、厚みが精度良く制御された有機半導体層を形成することができる。このため、本態様によれば半導体特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる。
本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は少なくとも、上記有機半導体層形成工程、ゲート絶縁層形成工程およびゲート電極形成工程を有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。
以下、本態様に用いられる各工程について順に説明する。
1.有機半導体層形成工程
まず、本態様に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、上記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する工程である。
本工程において有機半導体層を形成する方法としては、上記第1態様の有機トランジスタ素子用テンプレートにおける有機半導体層形成領域上に、選択的に有機半導体層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、有機半導体材料を含有する有機半導体層形成用塗工液を用い、当該有機半導体層形成用塗工液を上記有機半導体層形成領域上に選択的に塗布する方法や、上記有機半導体層形成用塗工液をソース電極およびドレイン電極が形成された基板上の全面に塗布する方法を挙げることができる。ここで、上記有機トランジスタ素子用テンプレートにおいては、チャネル領域内の下地層表面は親液化されているが、それ以外の下地層表面は疎水性を示す状態になっている。また、ソース電極およびドレイン電極上においては有機半導体層形成領域内の表面上のみに親液膜が形成されており、それ以外の領域には疎液膜が形成されている。したがって、基板の全面に上記有機半導体層形成用塗工液を塗布したとしても、疎液性を有する下地層の表面、およびソース電極・ドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成された疎液膜上には有機半導体層は形成されず、結果として有機半導体層形成領域上のみに選択的に有機半導体層を形成することができる。
なお、本工程に用いられる有機半導体材料については、上記「C.有機トランジスタ素子」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。
2.ゲート絶縁層形成工程
次に、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、上記有機半導体層形成工程によって形成された有機半導体層上に、ゲート絶縁層を形成する工程である。
本工程においてゲート絶縁層を形成する方法としては、構成材料として使用する絶縁性材料の種類に応じて、所望の絶縁性を備えるゲート絶縁層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、絶縁性材料として有機材料を用いる場合には、有機材料を溶媒に溶解させたゲート絶縁層形成用塗工液を調製し、当該塗工液を、上記ゲート電極を覆うように塗工する方法を挙げることができる。
上記ゲート絶縁層形成用塗工液を塗工する塗布方式としては、上記ゲート絶縁層形成用塗工液の粘度等に応じて、厚みが均一な塗膜を形成できる方式であれば特に限定されるものではない。このような塗布方式としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等の塗布方法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、および、グラビア・オフセット印刷法等の印刷方法等を挙げることができる。
また、絶縁性材料として無機材料を用いる場合には、CVD法等を用いることができる。
なお、ゲート絶縁層を形成するために用いられる絶縁性材料については、上記「C.有機トランジスタ素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.ゲート電極形成工程
次に、本態様におけるゲート電極形成工程について説明する。本工程は、上記ゲート絶縁層形成工程において形成されたゲート絶縁層上にゲート電極を形成する工程である。
本工程において、上記ゲート電極を形成する方法としては、ゲート電極を構成する材料の種類に応じて所望の形態のゲート電極を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、真空蒸着法や金属ナノ粒子を塗布・焼結して形成する塗布法等を挙げることができる。
また、本工程においては、通常、上記ゲート絶縁層上にパターン状にゲート電極を形成するが、パターン状にゲート絶縁層を形成する方法としては、上述した方法によってゲート絶縁層の全面にゲート電極を形成した後、これをパターニングする方法であってもよく、または、ゲート絶縁層上に直接パターン状のゲート電極を形成する方法であってもよい。
ここで、上記ゲート電極をパターニングする方法としては、通常、リソグラフィー法が用いられ、なかでもフォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法が好適に用いられる。
一方、上記パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法や、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
なお、本工程においてゲート電極を形成するために用いられる構成材料は、上記「C.有機トランジスタ素子」の項において説明したものと同様である。
4.その他の工程
本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、少なくとも上記有機半導体層形成工程、ゲート絶縁層形成工程、およびゲート電極形成工程を有するものであるが、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。本工程に用いられる他の工程は、本態様によって製造される有機トランジスタ素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような他の工程としては、例えば、上記ゲート電極を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を挙げることができる。このようなパッシベーション層形成工程を有することにより、本態様によって製造される有機トランジスタ素子は最表面にパッシベーション層が形成されたものになるため、耐久性に優れ、経時劣化が少ないものになるという利点を有する。
上記パッシベーション層形成工程において、パッシベーション層を形成する方法としては、所望の保護機能を備えるパッシベーション層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、樹脂材料を溶媒に溶解したパッシベーション層形成用塗工液を用い、これを上記ゲート電極上に塗工する方法が好適に用いられる。このような方法としては、印刷法を用い、上記パッシベーション層形成用塗工液をパターン状に印刷する方法と、上記パッシベーション層形成用塗工液を全面に塗工することにより、パターニングされていないパッシベーション層を形成する方法とを挙げることができる。本工程においては上記のいずれの方法であっても好適に用いることができる。
なお、パッシベーション層を形成するために用いられる構成材料については、上記「C.有機トランジスタ素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
D−2.有機トランジスタ素子の製造方法
次に、本態様の第2態様の有機トランジスタ素子の製造方法について説明する。本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられるものであり、ボトムゲート型の有機トランジスタ素子を製造する方法である。すなわち、本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、上記ソース電極およびドレイン電極上の有機半導体層形成領域上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程を有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機トランジスタ素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図12は本態様の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程図である。図12に例示するように本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレート10を用い(図12(a))、上記有機トランジスタ素子用テンプレート10の有機半導体層形成領域X上に、有機半導体材料からなる有機半導体層21を形成する有機半導体層形成工程を有し(図12(b))、ボトムゲート型の有機トランジスタ素子20を製造するものである(図12(b))。
本態様によれば上記有機半導体層形成工程が、上記第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、当該機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に有機半導体層を形成するものであることにより、厚みが精度良く制御された有機半導体層を形成することができる。このため、本態様によれば半導体特性に優れた有機トランジスタ素子を製造することができる。
本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は少なくとも上記有機半導体層形成工程を有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。本態様に用いられる有機半導体層形成工程については、第2態様の有機トランジスタ素子用テンプレートが用いられること以外は、上記「D−1.第1態様の有機トランジスタ素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様の有機トランジスタ素子の製造方法は、必要に応じて上記有機半導体層形成工程以外の他の工程を有してもよいものである。本工程に用いられる他の工程は、本態様によって製造される有機トランジスタ素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような他の工程としては、例えば、上記有機半導体層を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を挙げることができる。このようなパッシベーション層形成工程を有することにより、本態様によって製造される有機トランジスタ素子は最表面にパッシベーション層が形成されたものになるため、耐久性に優れ、経時劣化が少ないものになるという利点を有する。
なお、このようなパッシベーション層形成工程については上記「D−1.第1態様の有機トランジスタ素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
1.有機トランジスタ素子用テンプレートの作製
基板としてガラス基板を用い、親液‐疎液可変性材料からなる下地層として、デシルトリメトキシシランとテトラメトキシシランとの混合膜をガラス基板上に塗布形成後、Cr2nm、Au30nmをマスク蒸着し、ソース電極およびドレイン電極とした。この下地層とソース電極およびドレイン電極が形成された基板を、デカンチオール(DT)のイソプロパノール溶液(1質量パーセント濃度)に10分間浸漬し、ソース電極およびドレイン電極全面にDTからなる疎液膜を形成した。次に、開口部を有するメタルマスクを介して有機半導体層形成領域のみに、波長185nmの紫外線を5分間照射し、有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜の除去を行った。このとき、同時にチャネル領域内の下地層表面を親液化した。
次に、この基板を、ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)のイソプロパノール溶液(1質量パーセント濃度)に3分間浸漬し、有機半導体層形成領域内のソース電極およびドレイン電極表面にPFBTからなる親液膜を形成した。以上の方法を用いて有機トランジスタ素子用テンプレートを作製した。
2.有機トランジスタ素子の作製
上記のようにして作製した有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、当該有機トランジスタ素子用テンプレート上に低分子有機半導体(6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン)および有機ポリマー(ポリ−α−メチルスチレン)をそれぞれ2質量パーセントでメシチレンに溶解させた有機半導体層形成用塗工液を滴下後、250μm塗工ギャップのアプリケータを用いて塗布した。以上の方法を用いることにより、有機半導体層形成領域のみに有機半導体層が形成できていることを確認した。その後、ゲート絶縁層として400nmのフッ素系樹脂(旭硝子製CYTOP)を上記有機半導体層上に塗布形成し、ゲート電極としてAlを50nmマスク蒸着後、有機トランジスタ素子とした。
このようにして作製した有機トランジスタ素子の電流電圧特性を計測したところ、良好なトランジスタとして動作した。
[比較例1]
1.有機トランジスタ素子用テンプレートの作製
基板としてガラス基板を用い、親液‐疎液可変性材料からなる下地層として、デシル基を有するシロキサンをガラス基板上に塗布形成後、Cr2nm、Au30nmをマスク蒸着してソース電極およびドレイン電極とした。この下地層とソース電極およびドレイン電極とが形成された基板を、PFBTのイソプロパノール溶液(1重量パーセント濃度)に3分間浸漬し、ソース電極およびドレイン電極の全面にPFBT膜を形成した。次に、開口部を有するメタルマスクを介し、有機半導体層形成領域のみに、波長185nmの紫外線を5分間照射し、有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜の除去を行った。このとき、同時にチャネル領域内の下地層表面を親液化した。
この基板を、PFBTのイソプロパノール溶液(1重量パーセント濃度)に3分間浸漬し、有機半導体層形成領域内のソース電極およびドレイン電極表面にPFBT親液膜を形成した。以上の方法を用いて、ソース電極およびドレイン電極の表面に疎液膜を有さない有機トランジスタ素子用テンプレートを作製した。
2.有機トランジスタ素子の作製
上記のようにして作製した有機トランジスタ素子用テンプレート上に、低分子有機半導体(6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン)および有機ポリマー(ポリ−α−メチルスチレン)をそれぞれ2重量パーセントでメシチレンに溶解させた有機半導体層形成用塗工液を滴下後、250μm塗工ギャップのアプリケータを用いて塗布した。このようにソース電極およびドレイン電極上に疎液膜を有さないテンプレートを用いてしまうと有機半導体層形成領域内に有機半導体層を形成できない箇所が多数発生し不良基板となった。
[比較例2]
比較例1と同様の方法により作製した有機トランジスタ素子用テンプレート上に、低分子有機半導体(6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン)および有機ポリマー(ポリ−α−メチルスチレン)をそれぞれ2重量パーセントでメシチレンに溶解させた有機半導体層形成用塗工液をドロップキャスト法にて塗布した。その結果、基板内全面にわたって有機半導体層形成領域のみに有機半導体層を形成できていることを確認したが、偏光顕微鏡像からすると有機半導体層の膜厚が、実施例で形成した有機半導体層よりも大きかった。
次に、ゲート絶縁層として400nmのフッ素系樹脂(旭硝子製CYTOP)を塗布形成し、ゲート電極としてAlを50nmマスク蒸着後、有機トランジスタ素子とした。このトランジスタの電流電圧特性を計測したところ、実施例と比較して1桁程度OFF電流が大きく、十分なトランジスタとして動作しなかった。
1 … 電極積層体
10 … 有機トランジスタ素子用テンプレート
11 … 基板
12 … 下地層
13 … ソース電極
14 … ドレイン電極
15 … 親液膜
16 … 疎液膜
17 … 半導体機能向上層
18 … ゲート電極
19 … ゲート絶縁層
20 … 有機トランジスタ素子
21 … 有機半導体層
22 … パッシベーション層
X … 有機半導体層形成領域
C … チャネル領域

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、
    前記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜と、
    を有し、
    前記下地層の表面が、前記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ前記チャネル領域外において前記チャネル領域内よりも疎液性を示すことを特徴とする、有機トランジスタ素子用テンプレート。
  2. 基板、前記基板上に形成されたゲート電極、および前記ゲート電極を覆うように前記基板上に形成されたゲート絶縁層を有する電極積層体と、
    前記電極積層体の前記ゲート絶縁層上に形成され、親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層と、
    前記下地層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成され、親液性材料からなる親液膜と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域外の表面上に形成され、疎液性材料からなる疎液膜と、
    を有し、
    前記下地層の表面が、前記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において親液性を示し、かつ前記チャネル領域外において前記チャネル領域内よりも疎液性を示すことを特徴とする、有機トランジスタ素子用テンプレート。
  3. 前記親液性材料が、前記有機半導体層形成領域上に形成される有機半導体層中の有機半導体材料を配列させることができるものであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の有機トランジスタ素子用テンプレート。
  4. 前記親液‐疎液可変性材料が、前記親液化処理としてエネルギー照射処理がされることによって親液化されるものであることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機トランジスタ素子用テンプレート。
  5. 基板を用い、前記基板上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する下地層形成工程と、
    前記下地層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、
    前記ソース電極およびドレイン電極上の全面に疎液性材料からなる疎液膜を形成する疎液膜形成工程と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ前記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において前記下地層の表面を親液化処理する、疎液膜除去‐親液化処理工程と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液性材料からなる親液膜を形成する親液膜形成工程と、
    を有することを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法。
  6. 基板、前記基板上に形成されたゲート電極、および前記ゲート電極を覆うように前記基板上に形成されたゲート絶縁層を有する電極積層体を用い、
    前記ゲート絶縁層上に親液化処理によって親液化される親液‐疎液可変性材料からなる下地層を形成する下地層形成工程と、
    前記下地層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、
    前記ソース電極およびドレイン電極上の全面に疎液性材料からなる疎液膜を形成する疎液膜形成工程と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜を除去し、かつ前記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内において前記下地層の表面を親液化処理する、疎液膜除去‐親液化処理工程と、
    前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に親液性材料からなる親液膜を形成する親液膜形成工程と、
    を有することを特徴とする有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法。
  7. 前記疎液膜除去‐親液化処理工程において前記ソース電極およびドレイン電極の有機半導体層形成領域内の表面上に形成された疎液膜の除去と、前記ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域内における前記下地層表面の親液化処理とが、同時に行われることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の有機トランジスタ素子用テンプレートの製造方法。
  8. 請求項1に記載の有機トランジスタ素子用テンプレートと、
    前記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、
    前記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極と、
    を有することを特徴とする、有機トランジスタ素子。
  9. 請求項2に記載の有機トランジスタ素子用テンプレートと、
    前記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、を有することを特徴とする、有機トランジスタ素子。
  10. 請求項1に記載の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、前記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
    前記有機半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
    前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
    を有することを特徴とする、有機トランジスタ素子の製造方法。
  11. 請求項2に記載の有機トランジスタ素子用テンプレートを用い、前記有機トランジスタ素子用テンプレートの有機半導体層形成領域上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程を有することを特徴とする、有機トランジスタ素子の製造方法。
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