JP2012033538A - 太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方の面を第一導電型層1、他方の面を第二導電型層2としてなる光電変換部と、第一導電型層1を覆うように配された第一パッシベーション層3および第二導電型層2を覆うように配された第二パッシベーション層4と、第一電極5および第二電極6と、を少なくとも備えた太陽電池10であって、両パッシベーション層3,4は、同じ構成元素からなり、前記構成元素として、金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素と、酸素および/または窒素とを含み、かつ、前記金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素の組成比が、両パッシベーション層3,4において異なることを特徴とする太陽電池10。
【選択図】図1
Description
結晶またはアモルファスのシリコンを用いた太陽電池の一般的な構成は、例えば結晶シリコンを基板とした場合は、当該基板中にドナーまたはアクセプターとなる不純物をそれぞれ、一方の側と他方の側にドーピングすることによりpn接合を形成し、各導電型層に電極を設けたものが挙げられる。
特許文献1には、pn接合を形成したシリコン基板表面において、p型層およびn型層の上に異なる元素からなるパッシベーション膜をそれぞれ形成することによって、表面再結合速度を減少させ、変換効率を高めた太陽電池が開示されている。具体的には、シリコン基板の片面にp型層およびn型層からなるpn接合を形成し、p型層上に酸化珪素膜または酸化アルミニウム膜からなる第1パッシベーション膜、n型層上に窒化珪素膜からなる第2パッシベーション膜を形成することによって変換効率を高めている。
本発明の請求項2に記載の太陽電池は、請求項1において、前記金属元素および半金属元素が、以下の元素群αであることを特徴とする。
前記元素群αは、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、ゲルマニウム(Ge)、ルテチウム(Lu)、およびストロンチウム(Sr)である。
本発明の請求項3に記載の太陽電池は、請求項1または2において、前記第一導電型層をn型半導体層、前記第二導電型層をp型半導体層とした場合、前記第一パッシベーション層は正の固定電荷を、前記第二パッシベーション層は負の固定電荷を、それぞれ有することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の太陽電池は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、HfとAlとOから構成される場合、HfとAlとの比においてAlが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Hfの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜である、ことを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の太陽電池は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、HfとYとOから構成される場合、HfとYとの比においてHfが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Yの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜である、ことを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の太陽電池は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、AlとYとOから構成される場合、AlとYとの比においてAlが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Yの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜である、ことを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の太陽電池は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記光電変換部が、無機半導体、有機半導体または化合物半導体からなる結晶である、ことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の太陽電池は、請求項1〜7のいずれか一項において、前記光電変換部が、無機半導体、有機半導体または化合物半導体からなる薄膜である、ことを特徴とする。
また、本発明の太陽電池によれば、当該パッシベーション膜と各導電型層の界面における表面再結合速度を低減することができる。この結果、本発明の太陽電池の変換効率を高められる。
前記構成元素は、金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素と、酸素および/または窒素とを含み、かつ、前記金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素の組成比が、前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層において異なる。
固定電荷は、元素組成比を調整することで制御できる。つまり、パッシベーション層3,4の固定電荷を導電型層1,2の固定電荷と反対の固定電荷とすることによって、各導電型層における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
一般に、太陽電池は半導体の一種であるから、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されることは周知である。本発明にかかる太陽電池のC−V特性のグラフにおいても同様にフラットバンド(Vfb)が観測される。
第一パッシベーション層3および第二パッシベーション層4は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、HfとAlとOから構成される場合、HfとAlとの比においてAlが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Hfの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜であることが好ましい。
このような薄膜では、例えば第一パッシベーション層3におけるAlとHfとの組成比をAl<Hfとすることによって、当該第一パッシベーション層3の固定電荷を正側に大きくすることができる。同様に、例えば第二パッシベーション層4では、Al>Hfとすることによって、当該第二パッシベーション層4の固定電荷を負側に大きくすることができる。
この場合、前記「Alが主体の組成域」とは、「Al2Oxが主体の組成域」を意味する。また、前記「Hfの割合を増すにつれ、」とは、「HfOyの割合を増すにつれ、」を意味する。
このような薄膜は、例えばAl2O3からなるターゲットおよびHfO2からなるターゲットを使用したPLD法(Pulsed Laser Deposition法)、またはスパッタ法、CVD法等によって成膜することができる。
前記試料薄膜S1は、SiO2薄膜を形成したシリコン基板(p−Si)上に、Al2Ox100%の領域(P1)〜HfOy100%の領域(P5)へ、2つの化合物の組成比が漸次変化するように形成されたものである。
具体的には、酸素雰囲気下(1.0×10−5Torr)、シリコン基板温度を300℃とし、KrFエキシマレーザ(波長248nm、エネルギー密度0.5J/cm2)を、HfO2(ターゲット純度98%)およびAl2O3(ターゲット純度99.99%)に対して、繰り返し周波数5Hzで照射し、組成傾斜膜として形成する方法が例示できる。
P4のVfbは、P5のVfbよりも負の方向にシフトしている。
Al2Ox:HfOy=50:50〜99.9:0.1が好ましく、
Al2Ox:HfOy=60:40〜90:10がより好ましく、
Al2Ox:HfOy=60:40〜75:25がさらに好ましい。
上記範囲の組成比とすることにより、当該第一パッシベーション層3における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
Al2Ox:HfOy=50:50〜0.1:99.9が好ましく、
Al2Ox:HfOy=40:60〜10:90がより好ましく、
Al2Ox:HfOy=40:60〜25:75がさらに好ましい。
上記範囲の組成比とすることにより、当該第二パッシベーション層4における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
当該第一パッシベーション層3および第二パッシベーション層4は、前述のPLD法によって形成できる。この際、例えば図11に示す成膜装置が適用可能である。
このような成膜装置を用いれば、ターゲットを交換し、可動マスクの動き(図中では両方矢印で示す)を制御することによって、同一の元素からなり、異なる元素組成比を有する第一パッシベーション層および第二パッシベーション層を、単一の成膜装置によって形成できる。
第一パッシベーション層3および第二パッシベーション層4は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、HfとYとOから構成される場合、HfとYとの比においてHfが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Yの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜であることが好ましい。
このような薄膜では、例えば第一パッシベーション層3におけるHfとYとの組成比をHf<Yとすることによって、当該第一パッシベーション層3の固定電荷を正側に大きくすることができる。同様に、例えば第二パッシベーション層4では、Hf>Yとすることによって、当該第二パッシベーション層4の固定電荷を負側に大きくすることができる。
この場合、前記「Hfが主体の組成域」とは、「HfOyが主体の組成域」を意味する。また、前記「Yの割合を増すにつれ、」とは、「Y2Ozの割合を増すにつれ、」を意味する。
このような薄膜は、例えばHfO2からなるターゲットおよびY2O3からなるターゲットを使用したPLD法(Pulsed Laser Deposition法)、またはスパッタ法、CVD法等によって成膜することができる。
前記試料薄膜S2は、SiO2薄膜を形成したシリコン基板上に、HfOy100%の領域(P1)〜Y2Oz100%の領域(P5)へ、2つの化合物の組成比が漸次変化するように形成されたものである。
具体的には、酸素雰囲気下(1.0×10−5Torr)、シリコン基板温度を300℃とし、KrFエキシマレーザ(波長248nm、エネルギー密度0.5J/cm2)を、HfO2(ターゲット純度98.0%)に対しては繰り返し周波数5Hzで、Y2O3(ターゲット純度99.9%)に対しては繰り返し周波数3Hzで照射し、組成傾斜膜として形成する方法が例示できる。
その後、Ptからなるゲート電極を、直径0.1mmの円形マスクを使用して、高さ50nmとなるように、マグネトロンスパッタ法(アルゴン雰囲気:3.6cm3/min)で形成すればよい。
P4のVfbは、P5のVfbよりも負の方向にシフトしている。
試料薄膜S2の上面から見た場合の、表面におけるμ‐PCDマッピングを図7に示す。
HfOy:Y2Oz=40:60〜0.1:99.9が好ましく、
HfOy:Y2Oz=30:70〜10:90がより好ましく、
HfOy:Y2Oz=25:75〜15:85がさらに好ましい。
上記範囲の組成比とすることにより、当該第一パッシベーション層3における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
HfOy:Y2Oz=50:50〜99.9:0.1が好ましく、
HfOy:Y2Oz=60:40〜90:10がより好ましく、
HfOy:Y2Oz=65:35〜75:25がさらに好ましい。
上記範囲の組成比とすることにより、当該第二パッシベーション層4における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
当該第一パッシベーション層3および第二パッシベーション層4は、前述のPLD法によって形成できる。この際、例えば図11に示す成膜装置が適用可能である。
第一パッシベーション層3および第二パッシベーション層4は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、AlとYとOから構成される場合、AlとYとの比においてAlが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Yの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜であることが好ましい。
このような薄膜では、例えば第一パッシベーション層3におけるAlとYとの組成比をAl<Yとすることによって、当該第一パッシベーション層3の固定電荷を正側に大きくすることができる。同様に、例えば第二パッシベーション層4では、Al>Yとすることによって、当該第二パッシベーション層4の固定電荷を負側に大きくすることができる。
このような薄膜は、例えばAl2O3からなるターゲットおよびY2O3からなるターゲットを使用したPLD法(Pulsed Laser Deposition法)、またはスパッタ法、CVD法等によって成膜することができる。
前記試料薄膜S3は、SiO2薄膜を形成したシリコン基板上に、Al2Ox100%の領域(P1)〜Y2Oz100%の領域(P5)へ、2つの化合物の組成比が漸次変化するように形成されたものである。
具体的には、酸素雰囲気下(1.0×10−5Torr)、シリコン基板温度を300℃とし、KrFエキシマレーザ(波長248nm、エネルギー密度0.5J/cm2)を、Al2O3(ターゲット純度99.99%)に対しては繰り返し周波数5Hzで、Y2O3(ターゲット純度99.9%)に対しては繰り返し周波数3Hzで照射し、組成傾斜膜として形成する方法が例示できる。
P4のVfbは、P5のVfbよりも負の方向にシフトしている。
また、図9の破線は電圧の掃引方向が正から負の場合のVfbの値、実線は電圧の掃引方向が負から正の場合のVfbの値を示す。
Al2Ox:Y2Oz=40:60〜0.1:99.9が好ましく、
Al2Ox:Y2Oz=35:65〜10:90がより好ましく、
Al2Ox:Y2Oz=30:70〜20:80がさらに好ましい。
上記範囲の組成比とすることにより、当該第一パッシベーション層3における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
Al2Ox:Y2Oz=60:40〜99.9:0.1が好ましく、
Al2Ox:Y2Oz=70:30〜99.9:0.1がより好ましく、
Al2Ox:Y2Oz=80:20〜90:10がさらに好ましい。
上記範囲の組成比とすることにより、当該第二パッシベーション層4における表面再結合速度を低減し、当該太陽電池の変換効率を高められる。
当該第一パッシベーション層3および第二パッシベーション層4は、前述のPLD法によって形成できる。この際、例えば図11に示す成膜装置が適用可能である。
第二導電型層12の表面には、裏面電界効果を得るために第二導電型層と同じ導電型の不純物をドープした高濃度不純物拡散領域17が設けられている。高濃度不純物拡散領域17の表面には第二パッシベーション層14が除かれた開口部があり、高濃度不純物拡散領域17と第二電極16とが直接コンタクトしている。
例えば、第一導電型層11が結晶シリコン基板にP(リン)をドープしたn型導電層であり、第二導電型層12が結晶シリコン基板にB(ボロン)をドープしたp型導電層である場合が挙げられる。
以上に示した実施例においては、Al,Y,およびHfから選ばれる2種の元素の酸化物を含むパッシベーション層を例示したが、本発明におけるパッシベーション膜はこれらに何ら限定されることなく、前記金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素の酸化物を含むものであってもよく、また、前記金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素の窒化物を含むものであってもよい。また、前記金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素の酸化物及び窒化物の両方を含むものであってもよい。
Claims (8)
- 一方の面を第一導電型層、他方の面を第二導電型層としてなる光電変換部と、前記第一導電型層を覆うように配された第一パッシベーション層および前記第二導電型層を覆うように配された第二パッシベーション層と、前記第一導電型層上に配された第一電極および前記第二導電型層上に配された第二電極と、を少なくとも備えた太陽電池であって、
前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、同じ構成元素からなり、前記構成元素として、金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素と、酸素および/または窒素とを含み、かつ、前記金属元素および半金属元素の中から選択される2つの元素の組成比が、前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層において異なる、ことを特徴とする太陽電池。 - 前記金属元素および半金属元素が、以下の元素群αであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
前記元素群αは、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、ゲルマニウム(Ge)、ルテチウム(Lu)、およびストロンチウム(Sr)である。 - 前記第一導電型層をn型半導体層、前記第二導電型層をp型半導体層とした場合、
前記第一パッシベーション層は正の固定電荷を、前記第二パッシベーション層は負の固定電荷を、それぞれ有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池。 - 前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、HfとAlとOから構成される場合、HfとAlとの比においてAlが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Hfの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池。
- 前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、HfとYとOから構成される場合、HfとYとの比においてHfが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Yの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池。
- 前記第一パッシベーション層および前記第二パッシベーション層は、C−V特性のグラフにおいてフラットバンド(Vfb)が観測されるものであり、かつ、AlとYとOから構成される場合、AlとYとの比においてAlが主体の組成域では、負の固定電荷に対応して前記Vfbが正の値をもち、Yの割合が増すにつれ、その組成域で前記Vfbが負の方向にシフトする薄膜である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池。
- 前記光電変換部が、無機半導体、有機半導体または化合物半導体からなる結晶である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池。
- 前記光電変換部が、無機半導体、有機半導体または化合物半導体からなる薄膜である、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池。
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