JP2010067921A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換効率などの特性に優れた光電変換装置を提供する。
【解決手段】半導体層と、半導体層の表面に接するように設置された誘電体膜とを含み、誘電体膜は、半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、誘電体膜の表面上に透明導電膜を有しており、キャリアがトンネル効果によって誘電体膜を移動して透明導電膜から外部に取り出される光電変換装置である。
【選択図】図1
【解決手段】半導体層と、半導体層の表面に接するように設置された誘電体膜とを含み、誘電体膜は、半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、誘電体膜の表面上に透明導電膜を有しており、キャリアがトンネル効果によって誘電体膜を移動して透明導電膜から外部に取り出される光電変換装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換装置に関し、特に、光電変換効率などの特性に優れた光電変換装置に関する。
たとえば特許文献1には、n型アモルファスシリコン層、i型アモルファスシリコン層およびp型アモルファスシリコン層がこの順序で積層された単位セルが複数積層されたタンデム構造の光起電力素子であって、最下部に導電性基板を備えるとともに、最上部に透明導電膜を備えた構成の光起電力素子が開示されている(たとえば、特許文献1の第2図および第3頁左欄第9〜17行目等)。
この特許文献1に開示された光起電力素子においては、光の照射によって生じたキャリアは導電性基板および透明導電膜からそれぞれ取り出される。
特公昭63−48197号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光起電力素子においては、短波長の光が最上部のp型アモルファスシリコン層で吸収されるため、光起電力素子の短波長の光の光電変換効率が低くなるという問題があった。
最上部のp型アモルファスシリコン層で吸収される短波長の光の量を低減して光起電力素子の変換効率を向上させる観点からは、最上部のp型アモルファスシリコン層の厚さを薄く形成する必要がある。
しかしながら、大面積の基板上にたとえば10nm以下といった薄さのp型アモルファスシリコン層を均一に形成するのは非常に困難であった。
また、アモルファスシリコンでは、ドナーおよびアクセプタの活性化率が低いため、活性化していないドナー不純物、活性化していないアクセプタ不純物またはそれらの周辺に形成されるダングリングボンド等が再結合中心として機能するため、n型層およびp型層においてキャリア再結合が起こりやすいという問題があった。
そこで、本発明の目的は、光電変換効率などの特性に優れた光電変換装置を提供することにある。
本発明は、半導体層と、半導体層の表面に接するように設置された誘電体膜とを含み、誘電体膜は、少なくとも半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、誘電体膜の表面上に透明導電膜を有しており、キャリアがトンネル効果等によって誘電体膜を通過して透明導電膜から外部に取り出される光電変換装置である。
ここで、本発明の光電変換装置においては、透明導電膜の表面上に透明基板を備えていてもよい。
また、本発明の光電変換装置においては、誘電体膜が接する半導体層の表面の領域の少なくとも一部に、第1導電型または第2導電型の表面反転層を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、半導体層は、結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンからなっていてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、半導体層の厚さは、半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、誘電体膜のバンドギャップは4.2eV以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、誘電体膜は、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種からなっていてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、誘電体膜の厚さは3nm以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、正の固定電荷となる不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、負の固定電荷となる不純物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、不純物が最も多く存在する箇所は、半導体層と誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に半導体層側に5nm進向した領域と、誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明は、第1の半導体層と、第1の半導体層の表面に接するように設置された表面誘電体膜と、第1の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、第1の半導体層の裏面側に設置された第2の半導体層と、第2の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、第2の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、第2の半導体層の裏面側に設置された第3の半導体層と、第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、第3の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層とを含み、第1の半導体層の裏面の第1導電型不純物含有層と、第2の半導体層の表面の第2導電型不純物含有層とが接合され、第2の半導体層の裏面の第1導電型不純物含有層と、第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層とが接合されており、表面誘電体膜は、第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、表面誘電体膜が接する第1の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第2導電型の表面反転層が形成されており、表面誘電体膜の表面上に透明導電膜を有しており、キャリアがトンネル効果等によって表面誘電体膜を通過して透明導電膜から外部に取り出される光電変換装置である。
ここで、本発明の光電変換装置においては、第1の半導体層のバンドギャップが第1の半導体層よりも光入射側から遠い第2の半導体層のバンドギャップ以上であり、第2の半導体層のバンドギャップが第2の半導体層よりも光入射側から遠い第3の半導体層のバンドギャップ以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の半導体層の厚さは、第1の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第2の半導体層の厚さは、第2の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第3の半導体層の厚さは、第3の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、表面誘電体膜のバンドギャップは4.2eV以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、表面誘電体膜は、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種からなっていてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、表面誘電体膜の厚さは3nm以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、正の固定電荷となる不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、負の固定電荷となる不純物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、正または負の固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第1の半導体層と表面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第1の半導体層側に5nm進向した領域と、表面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明は、第1の半導体層と、第1の半導体層の表面に接するように設置された表面誘電体膜と、第1の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、第1の半導体層の裏面側に設置された第2の半導体層と、第2の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、第2の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、第2の半導体層の裏面側に設置された第3の半導体層と、第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、第3の半導体層の裏面に形成された裏面誘電体膜とを含み、第1の半導体層の裏面の第1導電型不純物含有層と、第2の半導体層の表面の第2導電型不純物含有層とが接合され、第2の半導体層の裏面の第1導電型不純物含有層と、第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層とが接合されており、表面誘電体膜は、第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、表面誘電体膜が接する第1の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第2導電型の表面反転層が形成されており、裏面誘電体膜は、表面誘電体膜に含まれる不純物とは逆の極性の固定電荷となる不純物を有しており、裏面誘電体膜が接する第3の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に第1導電型の裏面反転層が形成されており、表面誘電体膜の表面上に透明導電膜を有し、裏面誘電体膜の裏面上に裏面電極を有しており、キャリアがトンネル効果等によって表面誘電体膜および裏面誘電体膜を通過して透明導電膜および裏面電極からそれぞれ外部に取り出される光電変換装置である。
ここで、本発明の光電変換装置においては、第1の半導体層のバンドギャップが第1の半導体層よりも光入射側から遠い第2の半導体層のバンドギャップ以上であり、第2の半導体層のバンドギャップが第2の半導体層よりも光入射側から遠い第3の半導体層のバンドギャップ以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、第1の半導体層の厚さが第1の半導体層よりも光入射側から遠い第2の半導体層の厚さ以下であり、第2の半導体層の厚さが第2の半導体層よりも光入射側から遠い第3の半導体層の厚さ以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の半導体層の厚さは、第1の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第2の半導体層の厚さは、第2の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第3の半導体層の厚さは、第3の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、表面誘電体膜のバンドギャップは4.2eV以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、表面誘電体膜および裏面誘電体膜はそれぞれ、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種からなっていてもよい。
また、本発明の光電変換装置においては、表面誘電体膜の厚さおよび裏面誘電体膜の厚さはそれぞれ3nm以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、表面誘電体膜が有する正または負の固定電荷となる不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含み、裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含み、裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第1の半導体層と表面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第1の半導体層側に5nm進向した領域と、表面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第2の半導体層と裏面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第2の半導体層側に5nm進向した領域と、裏面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明は、第1の半導体層と、第1の半導体層の表面に接するように設置された第1の表面誘電体膜と、第1の半導体層の裏面に接するように設置された第1の裏面誘電体膜と、第1の半導体層の裏面側に設置された第2の半導体層と、第2の半導体層の表面に接するように設置された第2の表面誘電体膜と、第2の半導体層の裏面に接するように設置された第2の裏面誘電体膜と、第2の半導体層の裏面側に設置された第3の半導体層と、第3の半導体層の表面に接するように設置された第3の表面誘電体膜と、第3の半導体層の裏面に接するように設置された第3の裏面誘電体膜とを含み、第1の半導体層の裏面の第1の裏面誘電体膜と、第2の半導体層の表面の第2の表面誘電体膜とは第1の中間透明導電膜を介して接合され、第2の半導体層の裏面の第2の裏面誘電体膜と、第3の半導体層の表面の第3の表面誘電体膜とは第2の中間透明導電膜を介して接合されており、第1の表面誘電体膜は、第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、第1の表面誘電体膜が接する第1の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第1導電型または第2導電型の第1の表面反転層が形成されており、第2の表面誘電体膜は、第2の半導体層との界面近傍に、第1の表面誘電体膜が有する不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、第2の表面誘電体膜が接する第2の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第1の表面反転層と同一の導電型の第2の表面反転層が形成されており、第3の表面誘電体膜は、第3の半導体層との界面近傍に、第1の表面誘電体膜が有する不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、第3の表面誘電体膜が接する第3の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第1の表面反転層と同一の導電型の第3の表面反転層が形成されており、第1の裏面誘電体膜は、第1の半導体層との界面近傍に、第1の表面誘電体膜が有する不純物と逆の極性の固定電荷となる不純物を有し、第1の裏面誘電体膜が接する第1の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に第1の表面反転層とは逆の導電型の第1の裏面反転層が形成されており、第2の裏面誘電体膜は、第2の半導体層との界面近傍に、第1の裏面誘電体膜が有する不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、第2の裏面誘電体膜が接する第2の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に第1の裏面反転層と同一の導電型の第2の裏面反転層が形成されており、第3の裏面誘電体膜は、第3の半導体層との界面近傍に、第1の裏面誘電体膜が有する不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、第3の裏面誘電体膜が接する第3の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に第1の裏面反転層と同一の導電型の第3の裏面反転層が形成されており、第1の表面誘電体膜の表面上に透明導電膜を有し、第3の裏面誘電体膜の裏面上に裏面電極を有しており、キャリアがトンネル効果等によって表面誘電体膜および裏面誘電体膜を通過して透明導電膜および裏面電極からそれぞれ外部に取り出される光電変換装置である。
ここで、本発明の光電変換装置においては、第1の半導体層のバンドギャップが第1の半導体層よりも光入射側から遠い第2の半導体層のバンドギャップ以上であり、第2の半導体層のバンドギャップが第2の半導体層よりも光入射側から遠い第3の半導体層のバンドギャップ以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、第1の半導体層の厚さが第1の半導体層よりも光入射側から遠い第2の半導体層の厚さ以下であり、第2の半導体層の厚さが第2の半導体層よりも光入射側から遠い第3の半導体層の厚さ以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の半導体層の厚さは、第1の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第2の半導体層の厚さは、第2の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第3の半導体層の厚さは、第3の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜および第3の表面誘電体膜のそれぞれのバンドギャップが4.2eV以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜、第3の表面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜がそれぞれ、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種からなっていてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜、第3の表面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜のそれぞれの厚さは3nm以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の表面誘電体膜、第2の表面誘電体膜および第3の表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物はそれぞれ、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含み、第1の裏面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物はそれぞれ、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の表面誘電体膜、第2の表面誘電体膜および第3の表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物はそれぞれ、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含み、第1の裏面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物はそれぞれ、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第1の半導体層と第1の表面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第1の半導体層側に5nm進向した領域と、第1の表面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第2の表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第2の半導体層と第2の表面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第2の半導体層側に5nm進向した領域と、第2の表面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第3の表面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第3の半導体層と第3の表面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第3の半導体層側に5nm進向した領域と、第3の表面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第1の裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第1の半導体層と第1の裏面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第1の半導体層側に5nm進向した領域と、第1の裏面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第2の裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第2の半導体層と第2の裏面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第2の半導体層側に5nm進向した領域と、第2の裏面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、第3の裏面誘電体膜が有する固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、第3の半導体層と第3の裏面誘電体膜との界面から界面に対して垂直な方向に第3の半導体層側に5nm進向した領域と、第3の裏面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、透明導電膜の表面上に透明基板を備えていてもよい。
また、本発明の光電変換装置においては、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層はそれぞれ、結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンからなっていてもよい。
本発明によれば、光電変換効率などの特性に優れた光電変換装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
また、本発明において、反転層とは、誘電体膜中の固定電荷となる不純物によって誘起される、p型半導体表面の電子キャリア層、n型半導体層表面の正孔キャリア層、または、i型(真性型)半導体表面の電子キャリア層または正孔キャリア層の場合も含む。
また、本発明の実施の形態においては、n型層およびp型層を、半導体層と同じ半導体材料に不純物をドープすることによって形成したが、半導体層とは異なる半導体材料を用いてもよい。たとえば、半導体層としてアモルファスシリコンを用いる場合、n型またはp型不純物をドープしたアモルファスシリコンゲルマニウム、または、アモルファス炭化シリコンなどをn型層またはp型層として用いることもできる。
また、本発明の実施の形態においては、半導体層として主にシリコンを用いる場合を中心に説明するが、半導体層としてはシリコンのほかに、窒化ガリウム、炭化シリコン、カドミウムテルル、ガリウム砒素、インジウムリン、Cu(In,Ga)Se2、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム等を用いることもできる。
<実施の形態1>
図1に、本発明の光電変換装置の他の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す構成の本実施の形態の光電変換装置は、第1の半導体層としての第1のアモルファスシリコン層1と、第2の半導体層としての第2のアモルファスシリコン層2と、第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3とが光入射側からこの順序で積層された積層構造を有している。
図1に、本発明の光電変換装置の他の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す構成の本実施の形態の光電変換装置は、第1の半導体層としての第1のアモルファスシリコン層1と、第2の半導体層としての第2のアモルファスシリコン層2と、第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3とが光入射側からこの順序で積層された積層構造を有している。
ここで、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面に接するようにして誘電体膜である表面誘電体膜としての酸化シリコン膜6が設置されており、酸化シリコン膜6は、第1のアモルファスシリコン層1との界面近傍に、正の固定電荷となる不純物としてのイオン化したセシウム5を有している。
また、セシウム5は、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面との界面近傍においてイオン化して正の固定電荷となっているため、酸化シリコン膜6が接する第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面の少なくとも一部の領域には負の電荷が誘起されてn型半導体として機能する表面反転層4が誘起される。
また、酸化シリコン膜6の光入射側の表面上には透明導電膜8が設置されており、透明導電膜8の光入射側の表面上には透明基板としてのガラス基板14が設置されている。
さらに、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面とは反対側の裏面に第1導電型不純物含有層としてのp型層9が形成されており、p型層9はp型半導体として機能する。
また、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面には第2導電型不純物含有層としてのn型層10が形成されており、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面と反対側の裏面には第1導電型不純物含有層としてのp型層11が形成されている。ここで、n型層10はn型半導体として機能し、p型層11はp型半導体として機能する。
また、第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面には第2導電型不純物含有層としてのn型層12が形成されており、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面とは反対側の裏面には第1導電型不純物含有層としてのp型層13が形成されている。ここで、n型層12はn型半導体として機能し、p型層13はp型半導体として機能する。
さらに、第3のアモルファスシリコン層3の裏面のp型層13の裏面に接するようにして裏面電極7が設置されている。
そして、第1のアモルファスシリコン層1の裏面のp型層9と、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面のn型層10とが接合されている。また、第2のアモルファスシリコン層2の裏面のp型層11と、第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面のn型不純物含有層12とが接合されている。これらの接合によって、光入射側から第1のアモルファスシリコン層1、第2のアモルファスシリコン層2および第3のアモルファスシリコン層3が順次積層された積層構造が構成されている。
以上のような構成の本実施の形態の光電変換装置に光が入射することによって発生したキャリアは、光入射側の透明導電膜8および裏面側の裏面電極7からそれぞれ外部に取り出されるが、光入射側においてキャリアは酸化シリコン膜6中をトンネル効果等によって通過して透明導電膜8から取り出される。
以下、図1に示す構成の本実施の形態の光電変換装置の製造方法の一例について説明する。まず、ガラス基板14の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に透明導電膜8を形成する。ここで、透明導電膜8の形成は、たとえば、スパッタリング法、蒸着法またはゾルゲル法等を用いることによって、ガラス基板14の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に、ITO(Indium Tin Oxide)、IO(Indium Oxide;酸化インジウム)、TO(Tin Oxide;酸化スズ)またはZO(Zinc Oxide;酸化亜鉛)などを形成することによって行なうことができる。
次に、セシウム5の配置後の透明導電膜8の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に酸化シリコン膜6を形成する。ここで、酸化シリコン膜6は、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法または酸素を含む雰囲気に曝す方法などによって形成することができる。
次に、酸化シリコン膜6の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に正の固定電荷となる不純物であるセシウム5を配置する。ここで、セシウム5は、たとえば、酸化シリコン膜6上に、塩化セシウム水溶液または水酸化セシウム水溶液などのセシウムを含む溶液を塗布する方法、またはセシウム蒸気に曝す方法などを用いて酸化シリコン膜6上に配置することができる。
また、セシウム5を酸化シリコン膜6上に配置する代わりに、酸化シリコン膜6を形成する際に、たとえば、CVD法またはALD法等に用いる酸化シリコン膜6の原料ガス中にセシウムを含有させることによって酸化シリコン膜6中にセシウムを含有させておくこともできる。
次に、酸化シリコン膜6の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に、第1のアモルファスシリコン層1およびp型層9を順次積層する。ここで、これらの層は、たとえば、CVD法などによって、ノンドープのアモルファスシリコン膜を形成して第1のアモルファスシリコン層1を形成した後に、ボロン等のp型不純物をドープさせたp型アモルファスシリコン膜を形成することによってp型層9を形成して順次積層させることができる。
なお、p型不純物のドープによるp型アモルファスシリコン膜の形成は、たとえば、p型不純物を含むドーピングガス(たとえば、ジボラン等)をアモルファスシリコン膜の原料ガスに混入した状態でアモルファスシリコン膜を成膜することによって行なうことができる。なお、p型不純物としては、たとえば、ボロン、アルミニウム、ガリウムまたはインジウムなどを用いることができる。
次に、p型層9の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に、n型層10、第2のアモルファスシリコン層2およびp型層11を順次積層する。ここで、これらの層は、たとえば、CVD法などによって、n型不純物を含むドーピングガス(たとえば、ホスフィンまたはアルシン等)をアモルファスシリコン膜の原料ガスに混入した状態でアモルファスシリコン膜を成膜することによってn型層10を形成した後に、n型不純物のドープを停止してノンドープのアモルファスシリコン膜を形成して第2のアモルファスシリコン層2を形成し、さらにはp型不純物を含むドーピングガス(たとえば、ジボラン等)をアモルファスシリコン膜の原料ガスに混入した状態でアモルファスシリコン膜を成膜することによってp型層11を形成することなどによって積層することができる。なお、n型不純物としては、たとえば、リン、砒素またはアンチモンなどを用いることができる。
次に、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に、n型層12、第3のアモルファスシリコン層3およびp型層13を順次積層する。ここで、これらの層は、たとえば、CVD法などによって、n型不純物をドープさせたn型アモルファスシリコン膜を形成してn型層12を形成した後に、n型不純物のドープを停止してノンドープのアモルファスシリコン膜を形成して第3のアモルファスシリコン層3を形成し、さらにはp型不純物をドープさせたp型アモルファスシリコン膜を形成してp型層13を形成することなどによって積層することができる。
次に、p型層13の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に裏面電極7を形成する。ここで、裏面電極7は、たとえば、p型層13の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上にアルミニウムなどの金属を蒸着等することによって形成することができる。
最後に、例えば200〜500℃の水素雰囲気中でアニールしてもよい。これにより、ダングリングボンドが水素で終端され、キャリアの再結合が起こりにくくなり、光電変換効率を向上することが出来る。
なお、本発明においては、裏面電極7上に上記とは逆の積層順序でアモルファスシリコン膜等を積層することもできる。
以上のようにして作製した上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、酸化シリコン膜6と第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面とが接しており、酸化シリコン膜6の第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面との界面でイオン化したセシウム5によって、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面に表面反転層4が形成される。
したがって、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、従来の特許文献1の光電変換装置のように、半導体層の積層構造の最上部に不純物がドープされた半導体層からなる表面不純物層が設置された光電変換装置に比べて、表面不純物層における短波長の光の吸収が抑えられるため、光電変換効率などの光電変換装置の特性を向上させることができる。
また、正の固定電荷となる不純物としてのイオン化したセシウム5を含む酸化シリコン膜6が第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面に接するように設置されており、第1のアモルファスシリコン層1との界面近傍に正の固定電荷となる不純物としてイオン化したセシウム5を配置させることができる。これにより、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面に電子が高密度に誘起されてn型半導体としての機能が高い表面反転層4が形成されるため、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面における界面準位、またはn型若しくはp型不純物の準位等に起因するキャリアの再結合が抑制されることなどによって、光電変換効率などの光電変換装置の特性が向上する。
また、従来の特許文献1の光起電力素子においては、透明導電膜とp型アモルファスシリコン層(またはn型アモルファスシリコン層)との接合付近において、キャリアの流れを妨げる方向に電位勾配が生じる。これは、アモルファスシリコン層中の不純物の活性化率が低いこと、および、金属と半導体との界面にはショットキー障壁が形成されることが主なが原因である。また、従来の特許文献1の光起電力素子においては、アモルファスシリコン層間を接続するpn接合部分に全起電力を減少させる方向の起電力が生じる。これは、各pn接合部分がアモルファスシリコン層とは逆向きの発電をすること、および光起電力素子全体に電流が流れる場合にはpn接合部分に順バイアス電圧がかかり、これらは従来の特許文献1の光起電力素子の全起電力とは逆方向となる。しかしながら、本発明においては、従来の特許文献1のような光起電力素子のような光電変換効率を減少させる要因はないため、光電変換装置の特性が向上する。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、酸化シリコン膜6と第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面との界面におけるセシウム5の偏析量によって表面反転層4に誘起される電子の密度を制御することができる。
特に、酸化シリコン膜6と第1のアモルファスシリコン層1との界面近傍にセシウム5を偏析させる場合、表面反転層4における最適な電子の密度を得るためのセシウムイオン注入量のマージンが広いため、安定した品質で高特性の光電変換装置を提供することができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面における界面準位を表面反転層4に誘起される負電荷で終端することにより、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面における界面準位でのキャリアの再結合が抑制され、光電変換効率などの光電変換装置の特性をさらに向上させることができる。
また、光入射側の透明導電膜8と接する半導体層にアモルファスシリコンを用いた場合には、高温プロセスを適用することは困難であるため、透明導電膜8と接する半導体層に不純物活性化率の高い高濃度不純物ドープ層を形成して、透明導電膜8と半導体層との間の接触抵抗を低くすることは難しい。しかしながら、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、酸化シリコン膜6中のイオン化したセシウム5によって第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面に表面反転層4を形成することができ、表面反転層4と透明導電膜8とはキャリアがトンネル効果等によって通過可能な極めて薄い酸化シリコン膜6を介して接触させることができるため、高温プロセスを用いて高濃度の不純物ドープ層を形成しなくても、透明導電膜8と第1のアモルファスシリコン層1との接触抵抗を低くすることができる。
また、上記においては、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層としてそれぞれアモルファスシリコンを用いたが、これには限定されず、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層としては、たとえば結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたはシリコン以外の他の種類の半導体などの半導体層をそれぞれ用いてもよい。なお、結晶シリコンには、単結晶シリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコンと多結晶シリコンとの混合体などが含まれる。なお、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層はそれぞれ同じ材質の半導体層から形成されていてもよく、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層の少なくとも1つが異なる材質の半導体層から形成されていてもよい。
また、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層にそれぞれ結晶シリコンを用いた場合には、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層の積層構造は、たとえば、以下のようにして作製することができる。まず、結晶シリコンの一方の表面にp型不純物を拡散させてp型層を形成し、結晶シリコンの他方の表面にn型不純物を拡散させてn型層を形成したシリコン基板(両面ドープシリコン基板)を2枚作製するとともに、結晶シリコンの一方の表面のみにp型不純物を拡散させてp型層を形成し、結晶シリコンの他方の表面にはn型不純物を拡散させずにn型層を形成していないシリコン基板(片面ドープシリコン基板)を1枚作製する。そして、片面ドープシリコン基板のp型層に1枚の両面ドープシリコン基板のn型層を貼り合わせるとともに、当該両面ドープシリコン基板のp型層に他の両面ドープシリコン基板のn型層を貼り合わせることによって、上記の積層構造を作製することができる。
その後、露出している片面ドープシリコン基板の表面にセシウム5を配置した後、たとえば、CVD法、ALD法、RTO(Rapid Thermal Oxidation:急速熱酸化)法、またはプラズマ酸化法などによって露出している片面ドープシリコン基板の表面の一部に酸化シリコン膜6を形成する。続いて、たとえば、スパッタ法、CVD法またはゾルゲル法などを用いることによって、ITO、IO、TOまたはZOなどからなる透明導電膜9を形成し、当該透明導電膜9とは逆側の上記積層構造の裏面のp型層に接して裏面電極7を形成することによって本実施の形態の光電変換装置を作製することができる。なお、セシウム5は、酸化シリコン膜6を形成した後、酸化シリコン膜6中にセシウムイオンをイオン注入し、その後アニールすることによって、酸化シリコン膜6と片面ドープシリコン基板の界面に偏析させてもよい。
このように、酸化シリコン膜6のアニールによって酸化シリコン膜6と第1の半導体層との界面近傍にイオン化したセシウム5を偏析させる場合、表面反転層4における最適な電子の密度を得るためのセシウムイオン注入量のマージンが広いため、安定した品質で高特性の光電変換装置を提供することができる。また、所望の膜厚よりも厚い酸化シリコン膜6を形成した後、酸化シリコン膜6中にセシウムイオンをイオン注入し、続いてアニールすることによってセシウムを酸化シリコン膜6と片面ドープシリコン基板との界面に偏析させ、その後、フッ酸水溶液などでの処理または反応性イオンエッチングなどを行なうことによって、酸化シリコン膜6が所望の膜厚になるまで薄膜化してもよい。
また、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層の積層構造はたとえば以下のようにしても作製することができる。
まず、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板などのシリコン基板の表面に、n型層を形成する。n型層は、たとえば、リン、砒素またはアンチモンなどのn型不純物を上記シリコン基板の表面にイオン注入した後に活性化アニールを行なうことによって形成することができる。また、n型層は、上記シリコン基板の表面に上記n型不純物をドープしたn型アモルファスシリコン膜を成膜することによって形成してもよい。
次に、n型層上に、たとえば、CVD法などを用いて、p型微結晶シリコン膜、ノンドープ微結晶シリコン膜、n型微結晶シリコン膜、p型アモルファスシリコン膜およびノンドープアモルファスシリコン膜をこの順に堆積する。
次に、ノンドープアモルファスシリコン膜上に、たとえば水酸化セシウム水溶液または塩化セシウム水溶液等のセシウムを含む溶液を塗布し、乾燥させることにより、ノンドープアモルファスシリコン膜の表面にセシウムを配置する。
次に、たとえば、CVD法またはプラズマ酸化法などによって、酸化シリコン膜を形成する。その後、酸化シリコン膜上に透明導電膜を形成する。また、透明導電膜は、たとえば、スパッタ法、蒸着法またはゾルゲル法などを用いて、ITO、IO、TOまたはZOのいずれかを形成すればよい。
次に、上記のシリコン基板の裏面に、裏面電極を形成する。ここで、裏面電極の形成は、たとえば、スパッタ法または蒸着法などを用いることによってアルミニウム等の金属を形成することによって行なうことができる。
最後に、水素を含む雰囲気中で、300〜500℃のアニールを実施してもよい。これにより、膜と膜の界面、結晶粒界またはアモルファスシリコン中に存在するダングリングボンドを水素で終端することができるため、キャリアの再結合を抑制することができ、光電変換装置の変換効率を向上することができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、光入射側に近い第1の半導体層のバンドギャップが、光入射側から遠い第2の半導体層のバンドギャップ以上であることが好ましい。また、光入射側に近い第2の半導体層のバンドギャップが、光入射側から遠い第3の半導体層のバンドギャップ以上であることがより好ましい。さらには、光入射側に近い第1の半導体層のバンドギャップが第1の半導体層よりも光入射側から遠い第2の半導体層のバンドギャップ以上であり、かつ光入射側に近い第2の半導体層のバンドギャップが第2の半導体層よりも光入射側から遠い第3の半導体層のバンドギャップ以上である(第3の半導体層のバンドギャップ≦第2の半導体層のバンドギャップ≦第1の半導体層のバンドギャップ)ことがさらに好ましい。このような光入射側から短波長の光から長波長の光を順次吸収できるような積層構造とすることによって、本実施の形態の光電変換装置に入射した光の吸収量が大きくなるため、光電変換効率などの本実施の形態の光電変換装置の特性が向上する傾向にある。
なお、上記の第3の半導体層のバンドギャップ≦第2の半導体層のバンドギャップ≦第1の半導体層のバンドギャップの関係とするための半導体層の構成としては、たとえば、第1の半導体層にアモルファスの炭化ケイ素(SiC)を用い、第2の半導体層にアモルファスシリコンを用い、第3の半導体層に微結晶シリコンを用いる構成が挙げられる。
また、上記の第3の半導体層のバンドギャップ≦第2の半導体層のバンドギャップ≦第1の半導体層のバンドギャップの関係とするための半導体層の他の構成としては、たとえば、第1の半導体層にアモルファスの炭化ケイ素を用い、第2の半導体層にアモルファスシリコンを用い、第3の半導体層にアモルファスのシリコンゲルマニウム(SiGe)を用いる構成が挙げられる。
また、上記の第3の半導体層のバンドギャップ≦第2の半導体層のバンドギャップ≦第1の半導体層のバンドギャップの関係とするための半導体層の構成としては、たとえば、第1の半導体層にアモルファスの炭化ケイ素(SiC)を用い、第2の半導体層にアモルファスシリコンを用い、第3の半導体層に単結晶または多結晶シリコンを用いる構成が挙げられる。
また、上記の第3の半導体層のバンドギャップ≦第2の半導体層のバンドギャップ≦第1の半導体層のバンドギャップの関係とするための半導体層の構成としては、たとえば、第1の半導体層にアモルファスシリコンを用い、第2の半導体層に微結晶シリコンを用い、第3の半導体層に単結晶または多結晶シリコンを用いる構成が挙げられる。
なお、たとえば、シリコンが含まれる半導体材料のバンドギャップの大小関係は、アモルファス炭化ケイ素>多結晶炭化ケイ素>単結晶炭化ケイ素>アモルファスシリコン>微結晶シリコン>多結晶シリコン>単結晶シリコン>アモルファスシリコンゲルマニウム>多結晶シリコンゲルマニウム>単結晶シリコンゲルマニウムであるため、バンドギャップの大きい材料ほど光入射側になるように積層すればよい。
また、第1の半導体層の厚さは、第1の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。この場合には、第1の半導体層内でのキャリアの再結合を有効に抑止することができるとともに、本実施の形態のように積層構造とすることによって、入射した光が吸収される確率も高くすることができる。
また、第2の半導体層の厚さは、第2の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。この場合には、第2の半導体層内でのキャリアの再結合を有効に抑止することができるとともに、本実施の形態のように積層構造とすることによって、入射した光が吸収される確率も高くすることができる。
また、第3の半導体層の厚さは、第3の半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことが好ましい。この場合には、第3の半導体層内でのキャリアの再結合を有効に抑止することができるとともに、本実施の形態のように積層構造とすることによって、入射した光が吸収される確率も高くすることができる。
また、上記においては、表面誘電体膜として酸化シリコン膜6を用いたが、これに限定されないことは言うまでもなく、たとえば、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種を用いてもよい。
また、表面誘電体膜としては、バンドギャップが4.2eV以上である誘電体膜を用いることが好ましい。たとえば太陽光の大部分は300nm以上の波長を有する光から構成されているため、バンドギャップが4.2eV以上である表面誘電体膜を用いて太陽光を入射させた場合には、300nm以上の波長を有する太陽光は吸収されず、変換ロスが少なくなるため、光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
また、トンネル効果を向上させる観点からは、表面誘電体膜の厚さは3nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。すなわち、本実施の形態の光電変換装置において、トンネル効果を向上させる観点からは、表面誘電体膜としての酸化シリコン膜6の厚さは3nm以下であることが好ましい。さらに、酸化シリコン膜6の厚さを1nm以下とすることによってダイレクトトンネリングによるキャリア伝導が支配的となり、透明導電膜8と表面反転層4との間の抵抗を小さくすることができる。
また、上記においては、正の固定電荷となる不純物としてセシウム5を用いた場合について説明したが、これには限定されず、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含むものを用いることができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、p型とn型の導電型が入れ替わっていてもよい。この場合には、セシウムのような正の固定電荷となる不純物の代わりに、負の固定電荷となる不純物を用いることができる。負の固定電荷となる不純物としては、たとえば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含むものを用いることができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、上記の不純物が最も多く存在する箇所は、第1の半導体層としての第1のアモルファスシリコン層1と表面誘電体膜としての酸化シリコン膜6との界面から、この界面に対して垂直な方向に第1の半導体層としての第1のアモルファスシリコン層1側に5nm進向した領域と、表面誘電体膜としての酸化シリコン膜6側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。この場合には、上記構成の本実施の形態の光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
すなわち、本発明の光電変換装置においては、表面誘電体膜が、第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有していればよいが、この不純物の少なくとも一部が、第1の半導体層と表面誘電体膜との界面から、この界面に対して垂直な方向に第1の半導体層側に5nm進向した領域と、表面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に存在していればよい。
また、上記においては、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の酸化シリコン膜6を反射防止膜として機能させてもよく、酸化シリコン膜6の表面にテクスチャ構造および/またはモスアイ構造などを形成してもよいことは言うまでもない。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層の3層を積層した積層構造を有する場合について説明したが、これに限定されず、第1の半導体層を含む1層以上であれば、半導体層の積層数は限定されない。なお、半導体層の厚さの合計は、100μm以上であることが好ましい。これにより、長波長光についても効率的な光電変換が可能になる傾向にある。
また、上述したように、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、n型とp型の導電型を入れ替えてもよい。なお、上記構成の本実施の形態の光電変換装置においてn型とp型の導電型を入れ替えた場合には、正と負の電荷の極性、および電子と正孔も入れ替わることになる。
上記構成の本実施の形態の光電変換装置においては、透明導電膜8として、たとえば、ITO、IO、TOまたはZOからなる層の単層または複数層の積層体を用いることができる。
また、本実施の形態の光電変換装置のように第1の半導体層にアモルファスシリコンを用いた場合には、表面誘電体膜としての酸化シリコン膜6に含まれる不純物として負の固定電荷となる不純物を用いて、第1の半導体層の光入射側の表面に正の電荷を誘起させてp型半導体として機能する表面反転層4を形成することが好ましい。
<実施の形態2>
図2に、本発明の光電変換装置の他の一例の模式的な断面図を示す。ここで、図2に示す構成の本実施の形態の光電変換装置においては、第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3の光入射側とは反対側の裏面に裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26が設置されている点に特徴がある。
図2に、本発明の光電変換装置の他の一例の模式的な断面図を示す。ここで、図2に示す構成の本実施の形態の光電変換装置においては、第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3の光入射側とは反対側の裏面に裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26が設置されている点に特徴がある。
ここで、裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26は、第3のアモルファスシリコン層3との界面近傍に、表面誘電体膜としての酸化シリコン膜6に含まれる正の固定電荷となる不純物としてのセシウム5とは逆の極性の負の固定電荷となる不純物25を有している。そして、負の固定電荷となる不純物25の存在によって、酸化シリコン膜26が接する第3のアモルファスシリコン層3の裏面の領域の少なくとも一部に正の電荷が誘起してp型半導体として機能する裏面反転層24が形成されている。
以上のような構成の本実施の形態の光電変換装置に光が入射することによって発生したキャリアは、光入射側の透明導電膜8および裏面側の裏面電極7からそれぞれ外部に取り出されるが、光入射側においてはキャリアは酸化シリコン膜6中をトンネル効果等によって通過して透明導電膜8から取り出され、裏面側においてはキャリアは酸化シリコン膜26中をトンネル効果等によって通過して裏面電極7から取り出される。
本実施の形態のような構成とすることによって、裏面電極7として透明導電膜などの透明電極を用いて、第1の半導体層としての第1のアモルファスシリコン層1側からだけでなく第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3側からも光を入射させたときに、第3のアモルファスシリコン層3の裏面にp型不純物を拡散させることによって形成されたp型層がある場合に比べて、p型層による短波長の光の吸収を抑制することができるため、光電変換装置の光電変換効率などの特性を向上させることが可能になる。
また、本実施の形態のような構成とすることによって、第3のアモルファスシリコン層3の裏面における界面準位を裏面反転層24に誘起される正電荷で終端することにより、第3のアモルファスシリコン層3の裏面における界面準位でのキャリアの再結合が抑制され、光電変換効率などの光電変換装置の特性をさらに向上させることができる。
なお、裏面電極7が透明導電膜などの透明電極からなる場合には、裏面電極7としては、たとえば、ITO、IO、TOまたはZOからなる層の単層または複数層の積層体を用いることができる。また、裏面電極7は、たとえばアルミニウムなどの金属電極からなっていてもよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、第1の半導体層の厚さは第2の半導体層の厚さ以下であり、かつ第2の半導体層の厚さは第3の半導体層の厚さ以下であることが好ましい。一般に、直列接続された半導体層からなる光電変換装置の光電変換効率は、光入射側の半導体層ほど広いスペクトルの光が入射するため、単位厚さ当たりの発生電流も光入射側の半導体層ほど大きくなる傾向にある。また、直列接続された半導体層からなる光電変換装置では、最も発生電流量の小さい半導体層の電流が、光電変換装置全体に流れる電流量を律速するため、各半導体層で発生する電流量は等しくなっていることが好ましい。したがって、光入射側から遠い半導体層ほど厚く形成することによって、各半導体層で発生する電流量をほぼ揃えることができるため、光電変換効率を向上することができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、裏面誘電体膜としては、酸化シリコン膜26を用いたが、これに限定されないことは言うまでもなく、たとえば、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種を用いてもよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26に含まれる不純物25が最も多く存在する箇所は、第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3と裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26との界面から、この界面に対して垂直な方向に第3の半導体層としての第3のアモルファスシリコン層3側に5nm進向した領域と、裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。この場合には、上記構成の本実施の形態の光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
すなわち、本発明の光電変換装置においては、裏面誘電体膜が、第3の半導体層との界面近傍に、表面誘電体膜に含まれる正または負の固定電荷となる不純物と逆の極性の固定電荷となる不純物を有していることが好ましいが、この場合には、この不純物の少なくとも一部が、第3の半導体層と裏面誘電体膜との界面から、この界面に対して垂直な方向に第3の半導体層側に5nm進向した領域と、裏面誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に存在していればよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、キャリアのトンネル効果を向上させる観点からは、裏面誘電体膜の厚さは3nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。すなわち、本実施の形態の光電変換装置において、トンネル効果を向上させる観点からは、裏面誘電体膜としての酸化シリコン膜26の厚さは3nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、負の固定電荷となる不純物25としては、たとえば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含むものを用いることができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、p型とn型の導電型が入れ替わっていてもよい。この場合には、裏面誘電体膜に含まれる不純物25としては、負の固定電荷となる不純物の代わりに正の固定電荷となる不純物を用いることができる。不純物25として、正の固定電荷となる不純物を用いる場合には、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含むものを用いることができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、裏面誘電体膜に含まれる不純物25は、たとえば、アルミニウムなどの負の固定電荷となる不純物25を含有する溶液(たとえば、アルカリ性水溶液にアルミニウムを溶かしたものなど)を塗布する方法、アルミニウムなどの負の固定電荷となる不純物25を含有する蒸気に暴露する方法、スパッタ法などを用いて、第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に付着させた後、CVD法、ALD法、プラズマ酸化法などによって、第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に酸化シリコン膜26を形成することによって、第3のアモルファスシリコン層3と酸化シリコン膜26の界面に配置することができる。
なお、負の固定電荷となる不純物25を第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に配置する代わりに、上記の酸化シリコン膜26を形成する際に、CVDまたはALD等に用いる酸化シリコン膜26の原料ガスの中に負の固定電荷となる不純物25を含有する分子を含ませることによって酸化シリコン膜26中に負の固定電荷となる不純物25を含有させておくこともできる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜26中に含まれる不純物25は、たとえば、熱酸化法、CVD法、ALD法またはプラズマ酸化法などによって第3のアモルファスシリコン層3の裏面上に酸化シリコン膜26を形成した後に、当該酸化シリコン膜26中にたとえば不純物25をイオン注入することなどによって形成することができる。
本実施の形態における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
<実施の形態3>
図3に、本発明の光電変換装置の他の一例の模式的な断面図を示す。ここで、図3に示す構成の本実施の形態の光電変換装置においては、第1のアモルファスシリコン層1の裏面の酸化シリコン膜32と第2のアモルファスシリコン層2の表面の酸化シリコン膜34とが第1の中間透明導電膜33を介して接合され、第2のアモルファスシリコン層2の裏面の酸化シリコン膜37と第3のアモルファスシリコン層3の表面の酸化シリコン膜39とが第2の中間透明導電膜38を介して接合されている点に特徴がある。
図3に、本発明の光電変換装置の他の一例の模式的な断面図を示す。ここで、図3に示す構成の本実施の形態の光電変換装置においては、第1のアモルファスシリコン層1の裏面の酸化シリコン膜32と第2のアモルファスシリコン層2の表面の酸化シリコン膜34とが第1の中間透明導電膜33を介して接合され、第2のアモルファスシリコン層2の裏面の酸化シリコン膜37と第3のアモルファスシリコン層3の表面の酸化シリコン膜39とが第2の中間透明導電膜38を介して接合されている点に特徴がある。
ここで、本実施の形態の光電変換装置においては、酸化シリコン膜6が第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面との界面近傍において正の固定電荷となる不純物としてイオン化したセシウム5を有しているとともに、酸化シリコン膜34が第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面との界面近傍において正の固定電荷となる不純物としてイオン化したセシウム5を有しており、さらには酸化シリコン膜39が第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面との界面近傍において正の固定電荷となる不純物としてイオン化したセシウム5を有している。
また、酸化シリコン膜26が第3のアモルファスシリコン層3の裏面との界面近傍において負の固定電荷となる不純物25を有しているとともに、酸化シリコン膜37が第2のアモルファスシリコン層2の裏面との界面近傍において負の固定電荷となる不純物25を有しており、さらには酸化シリコン膜32が第1のアモルファスシリコン層1の裏面との界面近傍において負の固定電荷となる不純物25を有している。
本実施の形態の光電変換装置は、上記の構成を有していることから、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面には電子が誘起してn型半導体として機能する表面反転層4が形成されており、第1のアモルファスシリコン層1の裏面には正孔が誘起してp型半導体として機能する裏面反転層31が形成されている。
また、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面にも電子が誘起してn型半導体として機能する表面反転層35が形成されており、第2のアモルファスシリコン層2の裏面には正孔が誘起してp型半導体として機能する裏面反転層36が形成されている。
さらには、第3のアモルファスシリコン層3の光入射側の表面にも電子が誘起してn型半導体として機能する表面反転層40が形成されており、第3のアモルファスシリコン層3の裏面には正孔が誘起してp型半導体として機能する裏面反転層24が形成されている。
以上のような構成の本実施の形態の光電変換装置に光が入射することによって発生したキャリアは、光入射側の透明導電膜8および裏面側の裏面電極7からそれぞれ外部に取り出され、光入射側においてはキャリアは酸化シリコン膜6をトンネル効果等によって通過して透明導電膜8から取り出され、裏面側においてはキャリアは酸化シリコン膜26をトンネル効果等によって通過して裏面電極7から取り出すことができる。
また、たとえば第2のアモルファスシリコン層2で発生したキャリアのうち電子はトンネル効果等によって、裏面反転層36中、酸化シリコン膜37中、第2の中間透明導電膜38中、酸化シリコン膜39中および表面反転層40中をそれぞれ移動するとともに、正孔はトンネル効果等によって表面反転層35中、酸化シリコン膜34中、第1の中間透明導電膜33中、酸化シリコン膜32中および裏面反転層31中を移動することになる。
従来の特許文献1に記載の光起電力素子においては、単位セル間をpn接合で接合しているため、このpn接合部分が高抵抗となって光起電力素子の光電変換効率等の特性が低下する傾向にある。しかしながら、本実施の形態のように、中間透明導電膜と、正または負の固定電荷となる不純物を含む酸化シリコン膜とをトンネル効果等によって通過させる構成とすることによって、従来の特許文献1に記載の光起電力素子のpn接合と比較して低抵抗とすることができる。これは、中間透明導電膜の光入射側の表面および裏面にそれぞれ形成された酸化シリコン膜が正または負の固定電荷となる不純物を含んでいるため、トンネル効果等による透過確率を向上させることができるためである。
特に、本実施の形態のように、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層にそれぞれアモルファスシリコンを用いた場合には、高温プロセスを適用することが困難であり、従来の特許文献1に記載の光起電力素子においては、pn接合を構成するp型層およびn型層のキャリア濃度が低くなるため、より効果的であると考えられる。
なお、上記において、第1の中間透明導電膜33および第2の中間透明導電膜38としてはそれぞれ、たとえば、ITO、IO、TOまたはZOからなる層の単層または複数層の積層体を用いることができる。なお、透明導電膜8、第1の中間透明導電膜33および第2の中間透明導電膜38としてはそれぞれ同じ材質の透明導電膜を用いてもよく、透明導電膜8、第1の中間透明導電膜33および第2の中間透明導電膜38の少なくとも1つが異なる材質の透明導電膜からなっていてもよい。
また、上記においては、第1の表面誘電体膜として酸化シリコン膜6を用い、第1の裏面誘電体膜として酸化シリコン膜32を用い、第2の表面誘電体膜として酸化シリコン膜34を用い、第2の裏面誘電体膜として酸化シリコン膜37を用い、第3の表面誘電体膜として酸化シリコン膜39を用い、第3の裏面誘電体膜として酸化シリコン膜26を用いているが、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜、第3の表面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜としてはそれぞれ酸化シリコン膜に限定されず、たとえば、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種を用いてもよい。なお、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜、第3の表面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜としてはそれぞれ同じ材質の誘電体膜を用いてもよく、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜、第3の表面誘電体膜および第3の裏面誘電体膜の少なくとも1つが異なる材質の誘電体膜からなっていてもよい。
また、第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜および第3の表面誘電体膜のそれぞれのバンドギャップは4.2eV以上であることが好ましい。たとえば太陽光の大部分は300nm以上の波長を有する光から構成されているため、バンドギャップが4.2eV以上である第1の表面誘電体膜、第1の裏面誘電体膜、第2の表面誘電体膜、第2の裏面誘電体膜および第3の表面誘電体膜をそれぞれ用いて太陽光を入射させた場合には、300nm以上の波長を有する太陽光は吸収されず、変換ロスが少なくなるため、光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜32に含まれる不純物25が最も多く存在する箇所は、第1のアモルファスシリコン層1と酸化シリコン膜32との界面から、この界面に対して垂直な方向に第1のアモルファスシリコン層1側に5nm進向した領域と、酸化シリコン膜32側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。この場合には、上記構成の本実施の形態の光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜34に含まれるイオン化したセシウム5が最も多く存在する箇所は、第2のアモルファスシリコン層2と酸化シリコン膜34との界面から、この界面に対して垂直な方向に第2のアモルファスシリコン層2側に5nm進向した領域と、酸化シリコン膜34側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。この場合には、上記構成の本実施の形態の光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜37に含まれる不純物25が最も多く存在する箇所は、第2のアモルファスシリコン層2と酸化シリコン膜37との界面から、この界面に対して垂直な方向に第2のアモルファスシリコン層2側に5nm進向した領域と、酸化シリコン膜37側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。この場合には、上記構成の本実施の形態の光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜39に含まれるイオン化したセシウム5が最も多く存在する箇所は、第3のアモルファスシリコン層3と酸化シリコン膜39との界面から、この界面に対して垂直な方向に第3のアモルファスシリコン層3側に5nm進向した領域と、酸化シリコン膜39側に5nm進向した領域との間の領域に位置することが好ましい。この場合には、上記構成の本実施の形態の光電変換装置の特性がさらに向上する傾向にある。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、キャリアのトンネル効果を向上させる観点からは、酸化シリコン膜32、酸化シリコン膜34、酸化シリコン膜37および酸化シリコン膜39の厚さはそれぞれ3nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜32は、たとえば、アルミニウムなどの負の固定電荷となる不純物25を含有する溶液(アルカリ性水溶液にアルミニウムを溶かしたものなど)を塗布する方法、アルミニウムなどの負の固定電荷となる不純物25を含有する蒸気に暴露する方法、スパッタ法などを用いて、第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に負の固定電荷となる不純物25を付着させた後、たとえば、CVD法、ALD法、酸素を含む雰囲気に暴露する方法などによって第1のアモルファスシリコン層1の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に形成することができる。また、酸化シリコン膜32中にたとえば不純物25をイオン注入してもよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、第1の中間透明導電膜33は、たとえば、スパッタリング法、蒸着法またはゾルゲル法等を用いることによって、酸化シリコン膜32の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に、ITO、IO、TOまたはZOなどを蒸着等することによって形成すればよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜34は、たとえば、CVD法、ALD法または酸素を含む雰囲気に暴露する方法などを用いて、第1の中間透明導電膜33の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に形成することができる。その後、たとえば、塩化セシウム水溶液等のセシウムを含む溶液を塗布する方法、またはセシウム蒸気に暴露する方法などを用いてセシウム5を酸化シリコン膜34の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に配置した後に、たとえばCVD法などによって第2のアモルファスシリコン層2を形成することができる。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜37は、たとえば、アルミニウムなどの負の固定電荷となる不純物25を含有する溶液(アルカリ性水溶液にアルミニウムを溶かしたものなど)を塗布する方法、アルミニウムなどの負の固定電荷となる不純物25を含有する蒸気に暴露する方法、スパッタ法などを用いて、第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に負の固定電荷となる不純物25を付着させた後、たとえば、CVD法、ALD法、酸素を含む雰囲気に暴露する方法などによって第2のアモルファスシリコン層2の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に形成することができる。また、酸化シリコン膜37中にたとえば不純物25をイオン注入してもよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、第2の中間透明導電膜38は、たとえば、スパッタリング法、蒸着法、ゾルゲル法等を用いることによって、酸化シリコン膜37の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に、ITO、IO、TOまたはZOなどを形成すればよい。
また、上記構成の本実施の形態の光電変換装置において、酸化シリコン膜39は、たとえば、CVD法、ALD法または酸素を含む雰囲気に暴露する方法などを用いて、第2の中間透明導電膜38の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に形成することができる。その後、たとえば、塩化セシウム水溶液等のセシウムを含む溶液を塗布する方法、またはセシウム蒸気に暴露する方法などを用いてセシウム5を酸化シリコン膜39の光入射側の表面とは反対側の裏面となる表面上に配置した後に、たとえばCVD法などによって第3のアモルファスシリコン層3を形成することができる。
また、第1の半導体層、第2の半導体層および第3の半導体層の積層構造はたとえば以下のようにしても作製することができる。
まず、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板などのシリコン基板の表面に、たとえば、熱酸化法またはCVD法などを用いて酸化シリコン膜を形成する。
次に、酸化シリコン膜中に、正の固定電荷になる不純物として、たとえばセシウムをイオン注入する。続いて、800〜1100℃程度、好ましくは850〜950℃にてアニールすることにより、セシウムを酸化シリコン膜とシリコン基板との界面に偏析させる。
次に、酸化シリコン膜上に透明導電膜を形成する。透明導電膜は、たとえば、スパッタ法、蒸着法またはゾルゲル法等によって形成することができる。
次に、透明導電膜上に、酸化シリコン膜を形成する。ここで、シリコン基板の裏面をフッ酸水溶液等で処理するなどして、シリコン基板の裏面に着いた酸化シリコン膜を除去してもよい。
次に、シリコン基板を、たとえばアルミニウムを含有する溶液(たとえばアルカリ性水溶液にアルミニウムを溶かしたもの)中にディップすることによって、負の固定電荷としてのアルミニウムを、最表面の酸化シリコン膜およびシリコン基板裏面に付着させる。
上記のようにして作製される積層構造を有するシリコン基板を複数作製し、積層構造を有する第1のシリコン基板の裏面と、上記の積層構造を有する第2のシリコン基板の表面側の酸化シリコン膜とが接するように貼り合わせる。次に、上記の積層構造を有する第2のシリコン基板の裏面と、上記の積層構造を有する第3のシリコン基板の表面側の酸化シリコン膜とが接するように貼り合わせる。シリコン基板を4層以上形成する場合には、上記と同様にしてシリコン基板を貼り合わせていく。
次に、上記の貼り合わせ後のシリコン基板の裏面に、酸化シリコン膜を形成した後に裏面電極を形成する。
最後に、300〜500℃の水素雰囲気中でアニールしてもよい。これにより、ダングリングボンドが水素で終端され、キャリアの再結合が起こりにくくなり、光電変換効率を向上することが出来る。
本実施の形態でのシリコンの積層数は3層であったが、特に限定されるものではなく、1層以上であればよい。
本実施の形態における上記以外の説明は、実施の形態1および実施の形態2と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図4に、本実施例で作製した光電変換装置のサンプルの模式的な断面図を示す。ここで、図4に示す光電変換装置のサンプルは、p型シリコン基板101の光入射側の表面の一部にn+層102が形成されている。また、p型シリコン基板101の光入射側の表面上には酸化シリコン膜105と窒化シリコン膜106とがこの順序で形成されており、酸化シリコン膜105および窒化シリコン膜106に設けられたコンタクトホールを通してn+層102に接する電極107が設けられている。さらに、酸化シリコン膜105は、p型シリコン基板101の光入射側の表面との界面近傍にイオン化したセシウム104を有しているため、酸化シリコン膜105が接するp型シリコン基板101の光入射側の表面の領域には負の電荷が誘起されてn型半導体として機能する表面反転層103が形成される。なお、図示はされていないが、p型シリコン基板101の裏面には裏面電極が形成されている。
以下、図5に示すフローチャートを参照して、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルの作製方法について説明する。
まず、ステップS1において、ボロンイオンがイオン注入されたシリコンを1190℃の温度でアニールすることによってp型シリコン基板101を作製する。
次に、ステップS2において、p型シリコン基板101の光入射側の表面に熱酸化法で酸化シリコン膜105を形成した後にプラズマCVD法により窒化シリコン膜106を形成する。
次に、ステップS3において、酸化シリコン膜105および窒化シリコン膜106の積層体の一部にコンタクトホールを設けた後に、当該コンタクトホールからPOCl3を拡散させることによってn+層102を形成する。
次に、ステップS4において、p型シリコン基板101の光入射側の表面に形成された酸化シリコン膜105にセシウムイオンをイオン注入する。
次に、ステップS5において、セシウムイオンのイオン注入後のp型シリコン基板101を900℃に加熱することによって、酸化シリコン膜105が接するp型シリコン基板101の光入射側の表面の領域に表面反転層103を形成する。
その後、ステップS6において、酸化シリコン膜105および窒化シリコン膜106の積層体に設けられたコンタクトホールを通して電極107が形成されたp型シリコン基板101を水素雰囲気中でアニールすることによって、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルが作製される。
図6に、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルの酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面近傍の組成分析を行なった結果を示す。ここで、図6に示す結果は、酸化シリコン膜105の全体におけるセシウム104の濃度を様々に変化(2×1015cm-2、1×1014cm-2および5×1013cm-2)させて、高解像度RBS(Rutherford Back Scattering)により、酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面近傍の組成分析を行なったときの結果である。
なお、図6における横軸は、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルの酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面からの距離(nm)を示し、縦軸は、セシウム濃度(×1021cm-3)、シリコン濃度(原子%)および酸素濃度(原子%)をそれぞれ示している。
図6に示すように、酸化シリコン膜105の全体におけるセシウム104の濃度を様々に変化させた場合のいずれにおいても、酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面から酸化シリコン膜106側への距離およびp型シリコン基板101側への距離がそれぞれ5nmの範囲内にセシウム104の大部分が存在しており、イオン化したセシウム104が酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面近傍に偏析していることがわかる。
図7に、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルの酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面近傍におけるセシウムの偏析量(cm-2)と、セシウムの偏析によりp型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)との関係を示す。ここで、図7の横軸は、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量を示し、図7の縦軸は、酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面近傍におけるセシウムの偏析量(cm-2)およびセシウムの偏析によりp型シリコン基板101の表面に誘起された電子反転層の電子面密度(cm-2)を示している。
また、図7に示す結果は、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量を様々に変化させて、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルを作製してホール測定により上記の電子反転層の電子面密度を測定している。また、図7に示すセシウムの偏析量は、図6に示す結果に基づいて算出している。また、図7に示す結果は、p型シリコン基板101のボロン濃度をそれぞれ変化(6.5×1014cm-3、2.9×1016cm-3、1.4×1017cm-3および6.6×1017cm-3)させたそれぞれサンプルについて求めたものである。
図7に示すように、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量が増加するにしたがって、p型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)は増加していくが、セシウムイオンのドーズ量が2×1014cm-2以上になると上記の電子反転層の電子面密度(cm-2)はほぼ一定(2×1013cm-2程度)となることがわかる。
また、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量が増加するにしたがって、酸化シリコン膜105とp型シリコン基板101との界面近傍におけるセシウムの偏析量(cm-2)も増加していくが、セシウムイオンのドーズ量が一定以上になると上記のセシウムの偏析量(cm-2)もほぼ一定となる。
したがって、p型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)およびセシウムの偏析量(cm-2)はともに同じような挙動を示すため、これらの間には相関関係があると考えられることから、p型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)はセシウムの偏析量(cm-2)によって制御することができると考えられる。
また、p型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)がほぼ一定となる値を光電変換装置に最適な電子反転層の電子面密度とすることによって、本発明の光電変換装置に最適な電子反転層の電子面密度を得るための広いプロセスマージンを確保することができ、高精度な電子反転層の電子面密度の制御を実現することが可能になる。
図8に、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルの酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量(cm-2)と、p型シリコン基板101の電子が誘起された表面のシート抵抗(kΩ/□)との関係を示す。ここで、図8の横軸は、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量を示し、図8の縦軸は、p型シリコン基板101の表面に誘起された電子反転層のシート抵抗(kΩ/□)を示している。また、図8に示す結果は、p型シリコン基板101のボロン濃度をそれぞれ変化(4.6×1014cm-3、2.9×1016cm-3、1.4×1017cm-3および6.6×1017cm-3)させたそれぞれサンプルについて求めたものである。
図8に示すように、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量が増加するにしたがって、p型シリコン基板101に誘起された電子反転層のシート抵抗(kΩ/□)が低下していくが、セシウムイオンのドーズ量が一定以上(2×1014cm-2以上)になると上記のp型シリコン基板101の表面の電子反転層のシート抵抗(kΩ/□)もほぼ一定(約2kΩ/□程度)となる。ここでも、p型シリコン基板101の表面の電子反転層のシート抵抗がほぼ一定となる値を光電変換装置に最適なシート抵抗とすることによって、本発明の光電変換装置に最適な上記シート抵抗を得るための広いプロセスマージンを確保することができ、高精度な上記シート抵抗の制御を実現することが可能になる。
図9に、図4に示す構成の光電変換装置のサンプルのp型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)と温度(K)との関係を示す。ここで、図9の横軸は温度(K)を示し、図9の縦軸はp型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)を示している。また、図9に示す結果は、酸化シリコン膜105にイオン注入されるセシウムイオンのドーズ量をそれぞれ変化(5×1013cm-2、5×1014cm-2および2×1015cm-2)させて求めたものである。
図9に示すように、温度(K)が上昇するにつれて、p型シリコン基板101の表面に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)が低下している。これは、シリコンにドープされたリンや砒素などの通常のドーパントによって形成されたn+層とは逆の温度依存性を示していることになる。
図10(a)に、p型シリコン基板と酸化シリコン膜との界面に存在する不純物がイオン化する前の状態のp型シリコン基板と酸化シリコン膜との界面近傍におけるエネルギーバンド図を示す。また、図10(b)に、p型シリコン基板と酸化シリコン膜との界面に存在する不純物がイオン化した後の状態のp型シリコン基板と酸化シリコン膜との界面近傍におけるエネルギーバンド図を示す。
図10(a)においては、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面に不純物が存在し、当該不純物が不純物準位200を形成している。不純物準位200は、p型シリコン基板の伝導帯下端の上方−EA(EAは、不純物による電子キャリア生成の活性化エネルギーを表わす。)の位置に形成されている。このような状態が形成されると、図10(b)に示すように、不純物準位200からp型シリコン基板に電子が放出され、空になった不純物準位は正電荷として振舞う(不純物がイオン化する)。そして、当該正電荷による電界によって、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面近傍では、p型シリコン基板のエネルギーバンドの曲がりが生じ、上記の界面近傍において、電子反転層が形成される。なお、イオン化した不純物準位201に対応してp型シリコン基板の表面に表面反転層に対応する準位202が形成されることになる。
図10(a)および図10(b)に示すエネルギーバンド図に基づいて数値計算を行なったところ、不純物としてのセシウムによる電子キャリア生成の活性化エネルギーEAは−0.11eV〜−0.13eVであり、特に−0.12eVであることがわかった。すなわち、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面付近に存在するセシウムは、p型シリコン基板の伝導帯下端の上方約0.12eVの位置に不純物準位を形成し、当該不純物準位からの電子放出により、p型シリコン基板の表面に電子反転層が形成されることが解明された。
なお、図9においては、一点鎖線は不純物としてのセシウムによる電子キャリア生成の活性化エネルギーEAが−0.13eVである場合の挙動を示し、実線が当該活性化エネルギーEAが−0.12eVである場合の挙動を示し、破線が当該活性化エネルギーEAが−0.11eVである場合の挙動を示しているが、不純物としてのセシウムによる電子キャリア生成の活性化エネルギーEAが−0.11eV〜−0.13eVである場合、特に−0.12eVである場合の挙動は図9に示す結果と一致する。
図11〜図15にそれぞれ、図10(a)および図10(b)に示すエネルギーバンド図の構成において、酸化シリコン膜のp型シリコン基板との界面近傍における電子反転層の電子面密度(cm-2)と、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面に存在する不純物の面密度(cm-2)との関係を示す。
ここで、図11〜図15において、横軸は上記の不純物の面密度(cm-2)を示しており、縦軸は上記の電子反転層の電子面密度(cm-2)を示している。また、図11〜図15には、それぞれ活性化エネルギーEAが−0.00eVから−0.20eVまで順次−0.02eVずつ変化させたときの酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面に存在する不純物の面密度(cm-2)と電子反転層の電子面密度(cm-2)との関係が線で示されている。なお、上述した実験の結果から、不純物としてセシウムを用いる場合は、EA≒−0.12eVの場合に相当する。
また、図11はp型シリコン基板中のボロン濃度が1×1016cm-3のときの関係を示しており、図12はp型シリコン基板中のボロン濃度が1×1017cm-3のときの関係を示しており、図13はp型シリコン基板中のボロン濃度が1×1018cm-3のときの関係を示している。また、図14はp型シリコン基板中のボロン濃度が3×1018cm-3のときの関係を示しており、図15はp型シリコン基板中のボロン濃度が6×1018cm-3のときの関係を示している。
また、図11〜図15における斜線部分は、光電変換装置として優れた特性を示す範囲を表わしている。すなわち、上記斜線部分の範囲の上限を超えると電子反転層の電子面密度が大きくなりすぎてp型シリコン基板の表面がメタリック化して光が入射しにくくなって特性が低下し、上記斜線部分の範囲の下限を下回ると電子反転層の電子面密度が小さくなりすぎて抵抗が上昇して特性が低下する。
図11〜図15に示すように、不純物がセシウムである場合(EA≒−0.12eVの場合)、p型シリコン基板中のボロン濃度がいずれの場合であっても、不純物の面密度(cm-2)と電子反転層の電子面密度(cm-2)とは一致していない。従来においては、酸化シリコン膜中のセシウムはすべてイオン化するものと考えられていたため、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面に存在するセシウムの面密度(cm-2)とイオン化したセシウム(正の固定電荷)の面密度(cm-2)とは一致するものと考えられてきた。ここで、イオン化したセシウムの面密度は、p型シリコン基板に誘起される電子反転層の電子面密度とp型シリコン基板の表面に形成される空乏層中の空間電荷密度の和として表わされるため、p型シリコン基板中のボロン濃度が低い場合、若しくは電子反転層の電子面密度(cm-2)が十分に高い場合には、当該界面に存在するセシウムの面密度(cm-2)とp型シリコン基板に誘起される電子反転層の電子面密度(cm-2)とはほぼ一致することになる。
しかしながら、図11〜図15に示される斜線部分の範囲において、上記のイオン化したセシウムの面密度(cm-2)は、上記の電子反転層の電子面密度(cm-2)よりも小さくなっていることからわかるように、所望とする電子反転層の電子面密度(cm-2)を得るためには、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面に存在するセシウムの面密度(cm-2)が上記の所望とする電子反転層の電子面密度(cm-2)よりも高くなるようにセシウムイオンを酸化シリコン膜に導入する必要がある。
図16(a)に従来の特許文献1のように、p型シリコン基板の表面に酸化シリコン膜を形成し、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜を形成して、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との界面に正の固定電荷となる不純物を配置したときのエネルギーバンド図を示す。また、図16(b)に図4に示す構成の光電変換装置のサンプルのように、p型シリコン基板の表面に酸化シリコン膜を形成し、酸化シリコン膜とp型シリコン基板との界面に正の固定電荷となる不純物を配置したときのエネルギーバンド図を示す。
一般的には、正の固定電荷となる不純物の準位とp型シリコン基板との間で電子の移動が起こり、十分な密度の不純物が存在する場合には、正の固定電荷となる不純物の準位とp型シリコン基板のフェルミ準位がほぼ一致するまで電子の移動が起こることになる。
しかしながら、図16(a)のように、正の固定電荷となる不純物とp型シリコン基板との間に酸化シリコン膜が存在する場合には、酸化シリコン膜中での電位勾配によって、正の固定電荷となる不純物の活性化エネルギ−EAが実効的に増加する(正の固定電荷となる不純物の準位201の位置が実効的に下がる)。これにより、p型シリコン基板の表面の反転層に対応する準位202に移動する電子量が低減して、p型シリコン基板の表面における反転層の電子面密度は小さくなる。
一方、図16(b)のように、p型シリコン基板の表面に直接形成された酸化シリコン膜がp型シリコン基板の表面との界面に正の固定電荷となる不純物を有する場合には、図26(a)の場合とは異なって介在する誘電体膜が存在しないため、正の固定電荷となる不純物の活性化エネルギ−EAの実効的な増加は起こらない。したがって、この場合には、p型シリコン基板の表面の反転層に対応する準位202に移動する電子量が低減しないため、p型シリコン基板の表面における反転層の電子面密度は小さくならない。
なお、図4に示す光電変換装置のサンプルは、トンネル効果を利用してキャリアを移動させる構成とはなっていないが、本実施例における実験結果は、たとえば図1〜図3に例示されるトンネル効果等を利用してキャリアを移動させる構成の光電変換装置にも適用できると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の光電変換装置は、たとえば太陽電池などに好適に用いることができる可能性がある。
1 第1のアモルファスシリコン層、2 第2のアモルファスシリコン層、3 第3のアモルファスシリコン層、4,35,40 表面反転層、5,104 セシウム、6,26,32,34,37,39,105 酸化シリコン膜、7 裏面電極、8 透明導電膜、9,11,13 p型層、10,12 n型層、14 ガラス基板、24,31,36 裏面反転層、25 不純物、33 第1の中間透明導電膜、38 第2の中間透明導電膜、101 p型シリコン基板、102 n+層、103 表面反転層、106 窒化シリコン膜、107 電極、200,201 不純物準位、202 準位。
Claims (14)
- 半導体層と、
前記半導体層の表面に接するように設置された誘電体膜とを含み、
前記誘電体膜は、前記半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、
前記誘電体膜の表面上に透明導電膜を有しており、
キャリアが前記誘電体膜を通過して前記透明導電膜から外部に取り出される、光電変換装置。 - 前記透明導電膜の表面上に透明基板を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記誘電体膜が接する前記半導体層の表面の領域の少なくとも一部に、第1導電型または第2導電型の表面反転層を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の光電変換装置。
- 前記半導体層は、結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンからなることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記半導体層の厚さは、前記半導体層内でのキャリア拡散長よりも薄いことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記誘電体膜のバンドギャップは4.2eV以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記誘電体膜は、炭化ケイ素、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選択された少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記誘電体膜の厚さは、3nm以下であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の光電変換装置。
- 正の固定電荷となる不純物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リン、砒素およびアンチモンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の光電変換装置。
- 負の固定電荷となる不純物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、白金、フッ化フラーレン、酸化フラーレン、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記固定電荷となる不純物が最も多く存在する箇所は、前記半導体層と前記誘電体膜との界面から前記界面に対して垂直な方向に前記半導体層側に5nm進向した領域と、前記誘電体膜側に5nm進向した領域との間の領域に位置することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の光電変換装置。
- 第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面に接するように設置された表面誘電体膜と、
前記第1の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、
前記第1の半導体層の裏面側に設置された第2の半導体層と、
第2の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、
前記第2の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、
前記第2の半導体層の裏面側に設置された第3の半導体層と、
前記第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、
前記第3の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層とを含み、
前記第1の半導体層の裏面の前記第1導電型不純物含有層と、前記第2の半導体層の表面の前記第2導電型不純物含有層とが接合され、
前記第2の半導体層の裏面の前記第1導電型不純物含有層と、前記第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層とが接合されており、
前記表面誘電体膜は、前記第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、
前記表面誘電体膜が接する前記第1の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第2導電型の表面反転層が形成されており、
前記表面誘電体膜の表面上に透明導電膜を有しており、
キャリアが前記表面誘電体膜を通過して前記透明導電膜から外部に取り出される、光電変換装置。 - 第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面に接するように設置された表面誘電体膜と、
前記第1の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、
前記第1の半導体層の裏面側に設置された第2の半導体層と、
第2の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、
前記第2の半導体層の裏面に形成された第1導電型不純物含有層と、
前記第2の半導体層の裏面側に設置された第3の半導体層と、
前記第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層と、
前記第3の半導体層の裏面に形成された裏面誘電体膜とを含み、
前記第1の半導体層の裏面の前記第1導電型不純物含有層と、前記第2の半導体層の表面の前記第2導電型不純物含有層とが接合され、
前記第2の半導体層の裏面の前記第1導電型不純物含有層と、前記第3の半導体層の表面に形成された第2導電型不純物含有層とが接合されており、
前記表面誘電体膜は、前記第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、
前記表面誘電体膜が接する前記第1の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第2導電型の表面反転層が形成されており、
前記裏面誘電体膜は、前記表面誘電体膜に含まれる前記不純物とは逆の極性の固定電荷となる不純物を有しており、
前記裏面誘電体膜が接する前記第3の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に第1導電型の裏面反転層が形成されており、
前記表面誘電体膜の表面上に透明導電膜を有し、
前記裏面誘電体膜の裏面上に裏面電極を有しており、
キャリアが前記表面誘電体膜および前記裏面誘電体膜を通過して前記透明導電膜および前記裏面電極からそれぞれ外部に取り出される、光電変換装置。 - 第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面に接するように設置された第1の表面誘電体膜と、
前記第1の半導体層の裏面に接するように設置された第1の裏面誘電体膜と、
前記第1の半導体層の裏面側に設置された第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の表面に接するように設置された第2の表面誘電体膜と、
前記第2の半導体層の裏面に接するように設置された第2の裏面誘電体膜と、
前記第2の半導体層の裏面側に設置された第3の半導体層と、
前記第3の半導体層の表面に接するように設置された第3の表面誘電体膜と、
前記第3の半導体層の裏面に接するように設置された第3の裏面誘電体膜とを含み、
前記第1の半導体層の裏面の前記第1の裏面誘電体膜と、前記第2の半導体層の表面の前記第2の表面誘電体膜とは第1の中間透明導電膜を介して接合され、
前記第2の半導体層の裏面の前記第2の裏面誘電体膜と、前記第3の半導体層の表面の前記第3の表面誘電体膜とは第2の中間透明導電膜を介して接合されており、
前記第1の表面誘電体膜は、前記第1の半導体層との界面近傍に、正または負の固定電荷となる不純物を有し、
前記第1の表面誘電体膜が接する前記第1の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に第1導電型または第2導電型の第1の表面反転層が形成されており、
前記第2の表面誘電体膜は、前記第2の半導体層との界面近傍に、前記第1の表面誘電体膜が有する前記不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、
前記第2の表面誘電体膜が接する前記第2の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に前記第1の表面反転層と同一の導電型の第2の表面反転層が形成されており、
前記第3の表面誘電体膜は、前記第3の半導体層との界面近傍に、前記第1の表面誘電体膜が有する前記不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、
前記第3の表面誘電体膜が接する前記第3の半導体層の表面の領域の少なくとも一部に前記第1の表面反転層と同一の導電型の第3の表面反転層が形成されており、
前記第1の裏面誘電体膜は、前記第1の半導体層との界面近傍に、前記第1の表面誘電体膜が有する前記不純物と逆の極性の固定電荷となる不純物を有し、
前記第1の裏面誘電体膜が接する前記第1の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に前記第1の表面反転層とは逆の導電型の第1の裏面反転層が形成されており、
前記第2の裏面誘電体膜は、前記第2の半導体層との界面近傍に、前記第1の裏面誘電体膜が有する前記不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、
前記第2の裏面誘電体膜が接する前記第2の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に前記第1の裏面反転層と同一の導電型の第2の裏面反転層が形成されており、
前記第3の裏面誘電体膜は、前記第3の半導体層との界面近傍に、前記第1の裏面誘電体膜が有する前記不純物と同一の極性の固定電荷となる不純物を有し、
前記第3の裏面誘電体膜が接する前記第3の半導体層の裏面の領域の少なくとも一部に前記第1の裏面反転層と同一の導電型の第3の裏面反転層が形成されており、
前記第1の表面誘電体膜の表面上に透明導電膜を有し、
前記第3の裏面誘電体膜の裏面上に裏面電極を有しており、
キャリアが前記表面誘電体膜および前記裏面誘電体膜を通過して前記透明導電膜および前記裏面電極からそれぞれ外部に取り出される、光電変換装置。
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