JP2012031396A - 粘着テープおよび電気・電子機器デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】電気・電子機器デバイスの製造に用いられる粘着テープにおいて、その防湿性を一段と改善する。
【解決手段】粘着テープ3は、液晶ポリエステルから構成される支持基材4に粘着層5が積層されている。この液晶ポリエステルは、式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計含有量に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上である。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。)
【選択図】図2
【解決手段】粘着テープ3は、液晶ポリエステルから構成される支持基材4に粘着層5が積層されている。この液晶ポリエステルは、式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計含有量に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上である。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。)
【選択図】図2
Description
本発明は、シート状の支持基材に粘着層が積層された構造を有する粘着テープに関するものである。
近年、各種の電気・電子機器デバイス(部品であると完成品であるとを問わない。)の製造過程において、防湿性および耐熱性を有する粘着テープが要望されている。そして、こうした要望に応えるべく、粘着テープの支持基材の材質に工夫が凝らされている。
例えば、粘着テープの支持基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやナイロンフィルム等を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような粘着テープでは、過酷な条件下で使用する場合(例えば、高温焼付け塗装時に非塗装部を保護するためマスキングテープとして用いる場合その他)には、防湿性および耐熱性が不十分になる恐れがあった。
また、ポリイミドフィルムを支持基材とする粘着テープも知られている。しかし、このような粘着テープでは、支持基材がイミド基を有するため水蒸気バリア性がやや低く、あまり防湿性に優れないという問題があった。
こうした状況下、粘着テープの防湿性および耐熱性を改善することを目的として、液晶ポリエステル(液晶ポリマー)を支持基材とする粘着テープが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2で提案された技術によれば、支持基材の水蒸気バリア性が高くなり、粘着テープの防湿性が向上するものの、粘着テープの用途(例えば、塗装用マスクテープ、防湿テープなど)によっては、一段と防湿性に優れた粘着テープが要望される場合がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、防湿性をさらに改善することが可能な粘着テープを提供することを第1の目的とし、このような粘着テープの使用によって防湿性を大幅に高めることが可能な電気・電子機器デバイスを提供することを第2の目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明者は、粘着テープの防湿性を改善すべく、種々の骨格を有する液晶ポリエステルに関して鋭意検討を重ねた結果、特定の骨格を有する液晶ポリエステルが特に高い水蒸気バリア性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、液晶ポリエステルから構成される支持基材に粘着層が積層された粘着テープであって、前記液晶ポリエステルは、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計含有量に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上である粘着テープとしたことを特徴とする。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar1 、Ar2 またはAr3 で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar1 、Ar2 またはAr3 で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記液晶ポリエステルは、流動開始温度が280℃以上であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記支持基材は、温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が0.1g/m2 ・24h以下であることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、液晶ポリエステルから構成される支持基材に粘着層が積層された粘着テープであって、前記支持基材は、温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が0.005g/m2 ・24h以下である粘着テープとしたことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、液晶ポリエステルから構成される支持基材に粘着層が積層された粘着テープであって、前記液晶ポリエステルは、厚さ50μmのフィルムにしたときの温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が0.005g/m2 ・24h以下である粘着テープとしたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記粘着層が、アクリル系粘着剤から構成されることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記粘着層が、シリコーン系粘着剤から構成されることを特徴とする。
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の粘着テープの前記支持基材が前記粘着層を介してデバイス本体に貼設されている電気・電子機器デバイスとしたことを特徴とする。
本発明によれば、特に高い水蒸気バリア性を示す特定の液晶ポリエステルを支持基材の材質として採択したことから、粘着テープの防湿性を一段と改善することができる。また、このような粘着テープの使用により、電気・電子機器デバイスの防湿性を大幅に高めることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
[発明の実施の形態1]
図1および図2には、本発明の実施の形態1を示す。なお、図1および図2においては、わかりやすさを重視して図示しているため、各構成要素の寸法比率は必ずしも正確ではない。
まず、実施の形態1に係る電気・電子機器デバイス1の構成について説明する。
この電気・電子機器デバイス1は、図1に示すように、デバイス本体2を有しており、デバイス本体2には粘着テープ3が貼設されている。
ここで、粘着テープ3は、図2に示すように、支持基材4および粘着層5からなる2層構造を備えており、全体的に可撓性を有している。すなわち、粘着テープ3は、所定の厚さT1(例えば、T1=3〜1000μm、好ましくはT1=10〜200μm、さらに好ましくはT1=12〜150μm)のシート状の支持基材4を有している。支持基材4の裏面(図2下面)には、その全面にわたって、所定の厚さT2(例えば、T2=0.5〜500μm、好ましくはT2=1〜100μm、さらに好ましくはT2=2〜50μm)の粘着層5が積層されている。そして、粘着テープ3は、図1(b)に示すように、その支持基材4が粘着層5を介してデバイス本体2に貼り付けられた状態となっている。
ところで、支持基材4は特定の液晶ポリエステルから構成される。この液晶ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示し、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計含有量(液晶ポリエステルを構成する各構造単位の質量を各構造単位の式量で割ることにより、各構造単位の含有量を物質量相当量(モル)として求め、それらを合計した値)に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上である。なお、この液晶ポリエステルは、流動開始温度が280℃以上で、流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンション(溶融張力)の最大値が0.0098N以上であると好ましい。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar1 、Ar2 またはAr3 で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar1 、Ar2 またはAr3 で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
ここで、液晶ポリエステルとは、450℃以下の温度で、溶融時に光学的異方性を示すポリエステルを意味する。このような液晶ポリエステルは、その製造段階で、2,6−ナフタレンジイル基を含むモノマーと、それ以外の芳香環を有するモノマーとを、得られる液晶ポリエステル中において、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上になるように、原料モノマーを選択して重合させることで得ることができる。
このように、粘着テープ3の支持基材4は、前記の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計含有量に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上であるので、水蒸気バリア性を大幅に高めることができる。その結果、粘着テープ3は、その防湿性を一段と改善することが可能となる。
本発明に用いられる液晶ポリエステルにおいては、全構造単位の合計含有量に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が、50モル%以上であることが好ましく、65モル%以上であることがさらに好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。このように、2,6−ナフタレンジイル基をより多く含む液晶ポリエステルは、支持基材4の水蒸気バリア性をさらに向上させることができる。
また、本発明の液晶ポリエステルを構成する全構造単位の合計含有量に対して、(1)で示される芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位の含有量が30〜80モル%、(2)で示される芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位の含有量が10〜35モル%、(3)で示される芳香族ジオールに由来する構造単位の含有量が10〜35モル%であることが好ましく、式(2)で示される構造単位の含有量と式(3)で示される構造単位の含有量とは実質的に等しいことが好ましい。
また、本発明に用いられる液晶ポリエステルは、全芳香族液晶ポリエステルであると好ましい。ここで、全芳香族液晶ポリエステルとは、式(1)、(2)および(3)で示される構造単位の如き芳香族モノマーに由来する構造単位のみを有する液晶ポリエステルである。全芳香族液晶ポリエステルは、耐熱性にも優れるため、粘着テープ3の支持基材4の材料として好適に用いることができる。
ここで、全構造単位の合計含有量に対する前記芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位、前記芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位および前記芳香族ジオールに由来する構造単位の含有量が前記の範囲であると、液晶ポリエステルが高度の液晶性を発現することに加えて、溶融加工性に優れるものとなるため好ましい。
なお、全構造単位の合計含有量に対する前記芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位の含有量は、40〜70モル%であると、より好ましく、45〜65モル%であると、とりわけ好ましい。一方、全構造単位の合計含有量に対する前記芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位および前記芳香族ジオールに由来する構造単位の含有量はそれぞれ、15〜30モル%であると、より好ましく、17.5〜27.5モル%であると、とりわけ好ましい。
式(1)で示される構造単位を形成するモノマーとしては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、p−ヒドロキシ安息香酸または4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸が挙げられ、さらに、これらのベンゼン環またはナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基で置換されているモノマーも挙げられる。ここで、本発明の2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位を形成するモノマーとしては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸であり、さらに2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。さらに、後述のエステル形成性誘導体にして用いてもよい。
式(2)で示される構造単位を形成するモノマーとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはビフェニル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられ、さらに、これらのベンゼン環またはナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基で置換されているモノマーも挙げられる。ここで、本発明の2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位を形成するモノマーとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、さらに2,6−ナフタレンジカルボン酸のナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。さらに、後述のエステル形成性誘導体にして用いてもよい。
式(3)で示される構造単位を形成するモノマーとしては、2,6−ナフトール、ハイドロキノン、レゾルシンまたは4,4’−ジヒドロキシビフェニルが挙げられ、さらに、これらのベンゼン環またはナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基で置換されているモノマーも挙げられる。ここで、本発明の2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位を形成するモノマーとしては、2,6−ナフトールであり、さらに2,6−ナフトールのナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。さらに、後述のエステル形成性誘導体にして用いてもよい。
前述したように、式(1)、(2)または(3)で示される構造単位はいずれも、芳香環(ベンゼン環またはナフタレン環)に前記の置換基(ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基)を有していてもよい。これらの置換基を例示すると、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などで代表されるアルキル基であり、これらは直鎖でも分岐していてもよく、脂環基でもよい。さらに、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などで代表される炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
前記の式(1)、(2)または(3)で示される構造単位を形成するモノマーは、液晶ポリエステルを製造する過程で重合を容易にするため、エステル形成性誘導体を用いることが好ましい。このエステル形成性誘導体とは、エステル生成反応を促進するような基を有するモノマーを示し、具体的に例示すると、モノマー分子内のカルボキシル基をハロホルミル基やアシルオキシカルボニル基に転換したエステル形成性誘導体や、モノマー分子内のヒドロキシル基(水酸基)を低級カルボン酸エステル基にしたエステル形成性誘導体などの高反応性誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる液晶ポリエステルの好ましいモノマーの組み合わせとしては、特開2005−272810号公報に記載された液晶ポリエステルが、耐熱性とメルトテンションの向上という観点から好ましい。具体的には、全構造単位の合計含有量に対して、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位(I)の含有量が40〜74.8モル%、ハイドロキノンに由来する構造単位(II)の含有量が12.5〜30モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位(III)の含有量が12.5〜30モル%およびテレフタル酸に由来する構造単位(IV)の含有量が0.2〜15モル%であり、かつ(III)および(IV)で表される構造単位のモル比が(III)/{(III)+(IV)}≧0.5の関係を満たすものである。
より好ましくは、全構造単位の合計含有量に対して、(I)の構造単位の含有量が40〜64.5モル%、(II)の構造単位の含有量が17.5〜30モル%、(III)の構造単位の含有量が17.5〜30モル%および(IV)の構造単位の含有量が0.5〜12モル%であり、かつ(III)および(IV)で表される構造単位のモル比が(III)/{(III)+(IV)}≧0.6を満足するものが挙げられる。
さらに好ましくは、全構造単位の合計含有量に対して、(I)の構造単位の含有量が50〜58モル%、(II)の構造単位の含有量が20〜25モル%、(III)の構造単位の含有量が20〜25モル%および(IV)の構造単位の含有量が2〜10モル%であり、かつ(III)および(IV)で表される構造単位のモル比が(III)/{(III)+(IV)}≧0.6を満足するものが挙げられる。
また、液晶ポリエステルの製造方法としては、公知の方法を採用することができるが、前記のエステル形成性誘導体として、モノマー分子内のヒドロキシル基を低級カルボン酸を用いてエステル基に転換した誘導体を用いて製造することが好ましく、ヒドロキシル基をアシル基に転換することが特に好ましい。アシル化は、通常、ヒドロキシル基を有するモノマーを無水酢酸と反応させることで達成できる。こうしたアシル化によるエステル形成性誘導体は、脱酢酸重縮合により重合することができ、容易にポリエステルを製造することができる。
前記の液晶ポリエステル製造方法としては、公知の方法(例えば、特開2002−146003号公報に記載された方法など)を適用することができる。すなわち、前記の式(1)、(2)および(3)で示されるに対応するモノマーを、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位に対応するモノマーの含有量が、全モノマーの合計含有量に対して、40モル%以上になるように選択し、必要に応じてエステル形成性誘導体に転換した後、溶融重縮合を行い、比較的低分子量の液晶ポリエステル(以下、「プレポリマー」と略記する。)を得、次いで、このプレポリマーを粉末とし、加熱することにより、固相重合させる方法が挙げられる。このような固相重合を用いると、重合がより進行しやすく、高分子量化を図ることができる。
溶融重縮合により得られたプレポリマーを粉末とするには、例えばプレポリマーを冷却固化した後に粉砕すればよい。粉末の粒子径は、平均で0.05mm以上3mm程度以下が好ましく、特に0.05mm以上1.5mm程度以下が、液晶ポリエステルの高重合度化が促進されることから、より好ましく、0.1mm以上1mm程度以下であれば、粉末の粒子間のシンタリングを生じることなく液晶ポリエステルの高重合度化が促進されるため、さらに好ましい。
固相重合における加熱は、通常昇温しながら行われ、例えば室温からプレポリマーの流動開始温度より20℃以上低い温度まで昇温させる。このときの昇温時間は、特に限定されるものではないが、反応時間の短縮という観点から、1時間以内で行うことが好ましい。
液晶ポリエステルの製造においては、固相重合における加熱は、プレポリマーの流動開始温度より20℃以上低い温度から280℃以上の温度まで昇温することが好ましい。昇温は、0.3℃/分以下の昇温速度で行うことが好ましい。この昇温速度は、好ましくは0.1〜0.15℃/分である。この昇温速度が0.3℃/分以下であれば、粉末の粒子間のシンタリングが生じにくいため、高重合度の液晶ポリエステルの製造が容易となる点で好ましい。
ここで、液晶ポリエステルの重合度を高めるため、固相重合における加熱は、得られる液晶性樹脂の芳香族ジオールまたは芳香族ジカルボン酸成分のモノマー種によって異なるが、280℃以上の温度で、好ましくは280℃〜400℃の範囲で、30分以上反応させることが好ましい。とりわけ、液晶性樹脂の熱安定性の点から、反応温度280〜350℃で30分〜30時間反応させることが好ましく、反応温度285〜340℃で30分〜20時間反応させることがさらに好ましい。
本発明に係る液晶ポリエステルの流動開始温度とは、上記製造方法で得られた液晶ポリエステル(パウダーまたはペレット)について、押出機を使用し、溶融混錬により得られたペレットについて測定した値であることを意味する。このペレットの流動開始温度が280℃以上であることが、耐熱性の向上、特に高密度実装技術として、はんだリフロー処理に耐えうる耐熱性という観点からは必須であり、特に290℃以上380℃以下であれば、耐熱性が高く、かつ成形時のポリマーの分解劣化が抑えられるため好ましく、295℃以上350℃以下であれば、さらに好ましい。
ここで、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポアズ)を示す温度である(例えば、小出直之編「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」第95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
こうして得られる前記所定の構造単位組成を有する液晶ポリエステルは、水蒸気バリア性に優れており、厚さ50μmのフィルムにしたときに、温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が、0.005g/m2 ・24h以下となる。
次に、上記製造方法で得られた液晶ポリエステル(パウダーまたはペレット)について、押出機を使用して溶融混錬する具体的方法を説明する。
例えば、単軸または多軸押出機、好ましくは二軸押出機、バンハリー式混錬機、ロール式混練機等を用いて、上記液晶ポリエステルの製造方法により得られた樹脂単体(パウダーまたはペレット)の流動開始温度マイナス10℃から流動開始温度プラス100℃の範囲で溶融混練して、ペレットを得る。液晶ポリエステルの熱劣化を防止するという観点から、好ましくは流動開始温度マイナス10℃から流動開始温度プラス70℃の範囲、さらに好ましくは流動開始温度マイナス10℃から流動開始温度プラス50℃の範囲である。
また、本発明に用いる液晶ポリエステルは、これに充填剤などを含有させることにより、液晶ポリエステル樹脂組成物とすることもできる。
ここで、充填剤としては、例えば、ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維、ガラスビーズ、中空ガラス球、ガラス粉末、マイカ、タルク、クレー、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウム、ウォラスナイト、炭酸カルシウム(重質、軽質、膠質など)、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸ソーダ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、けい酸カルシウム、けい砂、けい石、石英、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄グラファイト、モリブデン、アスベスト、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、石膏繊維、炭素繊維、カーボンブラック、ホワイトカーボン、けいそう土、ベントナイト、セリサイト、シラス、黒鉛等の無機充填剤;チタン酸カリウムウイスカ、アルミナウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、炭化けい素ウイスカ、窒化けい素ウイスカ等の金属または非金属系ウイスカ類、これら2種以上の混合物などが挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維、ガラス粉末、マイカ、タルク、炭素繊維などが好適である。
また、充填剤は、表面処理剤で表面処理されたものであってもよい。この表面処理剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ボラン系カップリング剤などの反応性カップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの潤滑剤その他が挙げられる。
これら充填剤の使用量は、液晶ポリエステル100質量部に対し、通常、0.1〜400質量部の範囲であり、好ましくは、10〜400質量部、より好ましくは、10〜250質量部の範囲である。
また、液晶ポリエステル樹脂組成物は、前記の充填剤の他に、液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂や添加剤などを含有していてもよい。
ここで、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などが挙げられる。
また、添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤など)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛など)、光安定剤(ヒンダードアミン系の光安定剤など)、酸化防止剤、安定剤、離型改良剤(フッ素樹脂、金属石鹸類など)、核剤、可塑剤、滑剤、着色剤、着色防止剤、帯電防止剤、潤滑剤および難燃剤などが挙げられる。紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が含まれていると、液晶ポリエステルにとって有害な紫外線を吸収したり反射・散乱させたりすることができるため、粘着テープ3の耐候性をますます改善することが可能となる。
液晶ポリエステル樹脂組成物は、例えば、前記のようして得られた液晶ポリエステルと上記のような充填剤、必要に応じて使用される熱可塑性樹脂や添加剤などを混合することにより、製造することができる。このときの混合は、乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダー等を用いてもよく、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、ニーダー等の溶融混練機を用いてもよく、上記溶融混錬条件にて実施することが好ましい。
本発明に用いられる液晶ポリエステルは、上記製造方法で得られた液晶ポリエステル(パウダーまたはペレット)を溶融混錬して得られたペレットの流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上(好ましくは0.015N以上、さらに好ましくは0.020N以上)を示すことが好ましい。さらに、流動開始温度より25℃高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上である液晶ポリエステルは、支持基材4を安定して製造することができる。
このメルトテンションとは、溶融粘度測定試験機(流れ特性試験機)に上記製造方法で得られた液晶ポリエステル(パウダーまたはペレット)を溶融混錬により得られたペレットを充填し、シリンダーバレル径1mm、ピストンの押出速度は5mm/分、速度可変巻取機で自動昇速しながら試料を糸状に引き取り、破断したときの張力(単位:N)を意味する。
本発明に用いる支持基材4の製造方法としては、かかる液晶ポリエステルを、例えば、Tダイから溶融樹脂を押し出して巻き取るTダイ法や、環状ダイスを設置した押出機から溶融樹脂を円筒状に押し出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法により得られたフィルムまたはシート、熱プレス法または溶媒キャスト法により得られたフィルムまたはシート、或いは、射出成形法や押出法で得られたシートをさらに一軸延伸または二軸延伸して得られたフィルムまたはシートを用いることもできる。射出成形、押出成形などの場合にはあらかじめ混練の工程を経ることなく、成分のパウダーまたはペレットを成形時にドライブレンドして溶融成形して、フィルムまたはシートを得ることもできる。
Tダイ法では、Tダイを通して押し出された溶融樹脂を巻き取り機方向(長手方向)に延伸しながら巻き取って得られる一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムが好ましく用いられる。
一軸延伸フィルムの成膜時における押出機の設定条件は、液晶ポリエステル樹脂組成物の組成に応じて適宜設定できるが、シリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好ましく、230〜350℃の範囲がさらに好ましい。この範囲外であると、液晶ポリエステル樹脂組成物の熱分解が生じたり、成膜が困難となったりする場合がある点で好ましくない。
Tダイのスリット間隔は、0.2〜2mmが好ましく、0.2〜1.2mmがさらに好ましい。一軸延伸フィルムのドラフト比は、1.1〜40の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは10〜40であり、特に好ましくは15〜35である。
このドラフト比とは、Tダイスリットの断面積を長手方向に垂直な面のフィルム断面積で除した値をいう。ドラフト比が1.1未満であると、フィルム強度が不十分であり、ドラフト比が45を越すと、フィルムの表面平滑性が不十分となる場合がある。このドラフト比は、押出機の設定条件、巻き取り速度などを制御して設定することができる。
二軸延伸フィルムは、一軸延伸フィルムの成膜と同様の押出機の設定条件、すなわちシリンダー設定温度が、好ましくは200〜360℃の範囲、さらに好ましくは230〜350℃の範囲、Tダイのスリット間隔が、好ましくは0.2〜1.2mmの範囲で、この液晶ポリエステル樹脂組成物の溶融押出しを行い、Tダイから押し出された溶融体シートを長手方向および長手方向と垂直方向(横手方向)に同時に延伸する方法、または、Tダイから押し出された溶融体シートをまず長手方向に延伸した後、この延伸シートを同一工程内で100〜300℃の高温下でテンターより横手方向に延伸する逐次延伸の方法などにより得られる。
二軸延伸フィルムを得る際、その延伸比は長手方向に1.2〜40倍、横手方向に1.2〜20倍の範囲が好ましい。延伸比が上記の範囲外であると、この液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの強度が不十分となったり、または均一な厚さのフィルムを得るのが困難となったりする場合がある。
円筒形のダイから押し出された溶融体シートをインフレーション法で成膜して得られるインフレーションフィルムなども好ましく用いられる。すなわち、上記の方法により得られた支持基材4は、環状スリットのダイを備えた溶融混練押出機に供給され、シリンダー設定温度200〜360℃、好ましくは230〜350℃で溶融混練を行って、押出機の環状スリットから筒状フィルムとして上方または下方へ溶融樹脂が押し出される。環状スリット間隔は、通常0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.6〜1.5mmである。環状スリットの直径は、通常20〜1000mm、好ましくは25〜600mmである。
溶融押出しされた溶融樹脂フィルムに長手方向(MD)にドラフトをかけるとともに、この筒状フィルムの内側から空気または不活性ガス、例えば窒素ガスなどを吹き込むことにより、長手方向と直角な横手方向(TD)にフィルムを膨張延伸させる。
インフレーション成形(成膜)において、好ましいブロー比(横方向の延伸比:インフレーションバブルの直径/環状スリットの直径)は1.5〜10、より好ましくは2〜5であり、好ましいドローダウン比(MD延伸倍率:バブル引き取り速度/樹脂吐出速度)は1.5〜50、さらに好ましくは5〜30である。また、バブル形状はいわゆるB型(ワイングラス型)が好ましく選択される。インフレーション成膜時の設定条件が上記の範囲外であると、厚さが均一でしわのない高強度のフィルムを得るのが困難となる場合がある点で好ましくない。
膨張させたフィルムは通常、その円周を空冷または水冷させた後、ニップロールを通過させて引き取る。
インフレーション成膜に際しては、支持基材4に応じて、筒状の溶融体フィルムが均一な厚さで表面平滑な状態に膨張するような条件を選択することができる。
本発明で用いる支持基材4の厚さには、特に制限はないが、好ましくは3〜1000μm、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは12〜150μmである。かかる方法により得られる液晶ポリエステルは、耐熱性、電気絶縁性に優れ、軽量で薄肉化が可能であり、機械的強度が良好であり、柔軟性があり、しかも安価なものである。
こうして得られる支持基材4は、前記所定の構造単位組成を有する液晶ポリエステルから構成されることにより、水蒸気バリア性に優れたものとなる。そして、支持基材4の水蒸気透過度は支持基材4の厚さにほぼ反比例すると考えられるので、粘着テープ3に要求される防湿性に応じて支持基材4の厚さを適宜厚くして、温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度を0.1g/m2 ・24h以下、0.05g/m2 ・24h以下、0.01g/m2 ・24h以下、0.005g/m2 ・24h以下と段階的に減少させることにより、所望の水蒸気バリア性を得ることが可能となる。
本発明においては、支持基材4の表面にあらかじめ表面処理を施すことができる。このような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、スパッタリング処理、溶剤処理、紫外線処理、研磨処理、赤外線処理、オゾン処理などが挙げられる。
支持基材4は無色であってもよいし、顔料または染料などの着色成分を含有していてもよい。着色成分を含有させる方法としては、例えば、フィルムの製膜時に予め着色成分を練り込んでおく方法や、支持基材4上に着色成分を印刷する方法などがある。また、着色フィルムと無色フィルムとを貼り合わせて使用しても構わない。
インフレーション成膜に際しては、組成物の性質に応じて、筒状の溶融体フィルムが均一な厚さで表面平滑な状態に膨張するような条件を選択することができる。フィルム厚さは、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmである。インフレーション成膜以外の方法であると、フィルムが二軸延伸されず必要最小限の強度が得られなかったり、別の方法で逐次二軸延伸しても製法にコストがかかりすぎることがある。
また、本発明に用いられる粘着層5としては、一般的に知られる粘着剤、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着剤を主成分とするものを限定なく用いることができる。塗布の方法としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系についてはエマルション型、ソルベント型、ゴム系についてはエマルション型、ソルベント型、ホットメルト型、さらにシリコーン系についてはソルベント型が主に用いられる。また、かかる粘着剤を支持基材4に塗布する方法は特に制限はなく、周知の塗布方法で塗布することができる。具体的には、例えば、ソルベント型の粘着剤を塗布する場合については、ナイフコーターやリバースコーターを用いて離型紙側に粘着剤を塗布し、乾燥した後、離型紙を調湿してから、液晶ポリエステルフィルムに貼り合わせるなどの方法が好ましく用いられる。
本発明で用いられるアクリル系粘着剤としては、構成成分として、粘着性を発現させるための主モノマー、凝集力を高めるコモノマー、接着力の向上のため、および、架橋剤と反応させるための官能基を有するモノマーの共重合体が挙げられ、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
主モノマーとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチルなど、アルキル基の炭素数が2〜14のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチルなど、アルキル基の炭素数が4〜14のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
凝集力を高めるためのコモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなど、アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、さらには、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどが挙げられ、これらのうち二種以上を組み合わせてもよい。本発明の液晶ポリエステルから構成される支持基材4は、耐溶剤性にも優れるため、粘着剤に各種の添加剤を自由に加えることができる。
さらに、接着性向上、架橋剤との反応のため、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸や、マレイン酸、グルタミン酸などの多価カルボン酸やそれらの無水物、さらには、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基を有するカルボン酸誘導体などが挙げられ、これらのうち二種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤としては、一般に、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、フェノール化合物、アミノ化合物、酸無水物、金属酸化物などが用いられるが、前記官能基を有するモノマーの種類に適応するよう適宜選択が可能である。
また、本発明に用いられるシリコーン系粘着剤は、ポリマー成分と架橋用樹脂の2つの主要成分から構成され、ポリマーとしては主に、−SiO(CH3 )2 −を繰り返し単位とするポリマーの長連鎖の末端に残存のシラノール基(SiOH)を持つ高分子量のポリジメチルシロキサン、またはポリジメチルジフェニルシロキサンが主に用いられる。また、架橋用樹脂は、3次元シリケート構造を有しており、末端がトリメチルシロキシ基となっている。
ポリマー末端のシラノール基と架橋用樹脂成分末端のトリメチルシロキシ基を適宜反応させ、部分架橋したポリシロキサンを得ることができる。部分架橋することで、長連鎖部分と架橋部分および末端部とがミクロに相分離して不連続相となり、粘着性を発現すると考えられる。
シリコーン系粘着剤の粘着力を向上するために、シロキサン架橋密度を高くすることもでき、触媒として有機過酸化物、アミノシラン、有機酸金属塩などを用いることができる。
本発明に用いられるゴム系粘着剤としては、天然ゴム系、スチレン/ブタジエンラテックス系、熱可塑性ゴム系、ブチルゴムなどが用いられる。
なお、防湿性という観点からは、シリコーン系粘着剤が特に好ましく用いられる。また、耐熱性という観点からは、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。ゴム系粘着剤は、耐熱性や耐老化性が十分でない場合がある。
[発明の実施の形態2]
[発明の実施の形態2]
図3には、本発明の実施の形態2を示す。なお、図3においては、わかりやすさを重視して図示しているため、各構成要素の寸法比率は必ずしも正確ではない。
この実施の形態2に係る粘着テープ3では、図3に示すように、支持基材4の表裏両面(図3上下両面)にそれぞれ粘着層5が積層されている点を除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。
したがって、この実施の形態2では、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。
[発明のその他の実施の形態]
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、図2に示すように、支持基材4の裏面に粘着層5が積層された2層構造の粘着テープ3について説明した。しかし、さらに、粘着層5の保護を目的として、剥離紙などの保護フィルム(図示せず)を粘着層5の裏面(支持基材4と反対側の面)に剥離自在に積層した3層構造の粘着テープ3に本発明を同様に適用することもできる。
また、上述した実施の形態2では、図3に示すように、支持基材4の表裏両面にそれぞれ粘着層5が積層された3層構造の粘着テープ3について説明した。しかし、さらに、これらの粘着層5の保護を目的として、剥離紙などの保護フィルム(図示せず)を各粘着層5の裏面(支持基材4と反対側の面)にそれぞれ剥離自在に積層した5層構造の粘着テープ3に本発明を同様に適用することも可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
<合成例1>
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1034.99g(5.5モル)、ハイドロキノン272.52g(2.475モル、0.225モル過剰仕込み)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、無水酢酸1226.87g(12モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを添加し、室温で15分間にわたって攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度(145℃)を保持したまま1時間にわたって攪拌した。
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温した。同温度(310℃)で3時間保温して液晶ポリエステルを得た。こうして得られた液晶ポリエステルを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの粉末状の液晶ポリエステル(プレポリマー)を得た。これを合成例1とする。
この合成例1の液晶ポリエステルにおいて、実質的な共重合モル分率は、前記の式(1)で示される構造単位:前記の式(2)で示される構造単位:前記の式(3)で示される構造単位で表して、55モル%:22.5モル%:22.5モル%である。また、この合成例1の液晶ポリエステルにおいて、これらの構造単位に含まれる芳香族基の合計含有量に対する2,6−ナフタレンジイル基の共重合モル分率は72.5モル%である。
<合成例2>
<合成例2>
合成例1と同様にして得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から293℃まで5時間かけて昇温し、次いで、同温度(293℃)で5時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、粉末状の液晶ポリエステルを得た。これを合成例2とする。
この合成例2の液晶ポリエステルにおいて、実質的な共重合モル分率は、前記の式(1)で示される構造単位:前記の式(2)で示される構造単位:前記の式(3)で示される構造単位で表して、55モル%:22.5モル%:22.5モル%である。また、この合成例2の液晶ポリエステルにおいて、これらの構造単位に含まれる芳香族基の合計含有量に対する2,6−ナフタレンジイル基の共重合モル分率は72.5モル%である。
<合成例3>
<合成例3>
合成例1と同様にして得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から310℃まで10時間かけて昇温し、次いで、同温度(310℃)で5時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、粉末状の液晶ポリエステルを得た。これを合成例3とする。
この合成例3の液晶ポリエステルにおいて、実質的な共重合モル分率は、前記の式(1)で示される構造単位:前記の式(2)で示される構造単位:前記の式(3)で示される構造単位で表して、55モル%:22.5モル%:22.5モル%である。また、この合成例3の液晶ポリエステルにおいて、これらの構造単位に含まれる芳香族基の合計含有量に対する2,6−ナフタレンジイル基の共重合モル分率は72.5モル%である。
<合成例4>
<合成例4>
合成例1と同様の反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸を911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを409g(2.2モル)、イソフタル酸を91g(0.55モル)、テレフタル酸を274g(1.65モル)、無水酢酸を1235g(12.1モル)用いて攪拌した。次いで、1−メチルイミダゾールを0.17g添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾールを1.7g添加した後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。こうして得られた液晶ポリエステルを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの粉末状の液晶ポリエステル(プレポリマー)を得た。
こうして得られた粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から285℃まで5時間かけて昇温し、次いで、同温度(285℃)で3時間保温して固相重合させた。その後、固相重合した後の粉末を冷却し、粉末状の液晶ポリエステルを得た。これを合成例4とする。
<流動開始温度の測定>
<流動開始温度の測定>
合成例1〜4についてそれぞれ、粉末状の液晶ポリエステルの流動開始温度を測定した。すなわち、フローテスター((株)島津製作所製の「CFT−500型」)を用いて、試料約2gを内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターに充填する。9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポアズ)を示す温度を流動開始温度とした。これらの結果をまとめて表1に示す。
また、合成例1〜4についてそれぞれ、粉末状の液晶ポリエステルを造粒してペレット状にし、このペレット状の液晶ポリエステルの流動開始温度を測定した。すなわち、合成例1〜4の液晶ポリエステル粉末各500gを用いて、二軸押出機((株)池貝製の「PCM−30」)によって各液晶ポリエステルの粉末の流動開始温度〜流動開始温度+10℃高い温度で造粒し、ペレットを得た。こうして得られた合成例1〜4に相当するペレットについて、その流動開始温度を測定した。これらの結果をまとめて表1に示す。
<メルトテンションの測定>
<メルトテンションの測定>
液晶ポリエステルフィルムを安定して工業的に作製するためには、ある程度のメルトテンションが必要になるので、合成例1〜4についてそれぞれ、ペレット状の液晶ポリエステルのメルトテンションを測定した。このとき、各ペレットについては、ペレットの流動開始温度より高い温度でメルトテンション測定を実施し、メルトテンションの最大値を求めた。また、試料が糸状に引き取れず、メルトテンション測定が実施できない温度についても調べた。
すなわち、溶融粘度測定試験機((株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1B型)を用いて、試料約10gを仕込み、シリンダーバレル径1mm、ピストンの押出速度は5mm/分、速度可変巻取機で自動昇速しながら試料を糸状に引き取り、試料が破断したときの張力をメルトテンション(単位:N)とした。これらの結果をまとめて表1に示す。
なお、合成例1の液晶ポリエステルについては、メルトテンション測定は、測定温度が300℃以下であると、試料が糸状に引き取れず、一方、測定温度が310℃以上では、樹脂が糸状にならず流動するため、メルトテンション測定が不可能であった。測定温度300〜310℃の間においてもメルトテンション測定を試みたが、試料が糸状に引き取れる場合があるが、メルトテンションが低すぎて糸が破断してしまうため、メルトテンションを算出することができなかった。
<実施例1>
<実施例1>
合成例3で得た液晶ポリエステルを用いて、厚さ25μmの支持基材を作製した。すなわち、この液晶ポリエステルの粉末を一軸押出機(スクリュー径50mm)内で溶融し、その一軸押出機の先端のTダイ(リップ長さ300mm、リップクリアランス1mm、ダイ温度350℃)よりフィルム状に押し出して冷却し、厚さ25μmの支持基材(実施例1)を作製した。
<実施例2>
<実施例2>
合成例3で得た液晶ポリエステルを用いて、厚さ50μmの支持基材を作製した。すなわち、この液晶ポリエステルの粉末を一軸押出機(スクリュー径50mm)内で溶融し、その一軸押出機の先端のTダイ(リップ長さ300mm、リップクリアランス1mm、ダイ温度350℃)よりフィルム状に押し出して冷却し、厚さ50μmの支持基材(実施例2)を作製した。
<比較例1>
<比較例1>
合成例4で得た液晶ポリエステルを用いて、実施例1と同様の手順により、厚さ25μmの支持基材(比較例1)を作製した。
<水蒸気バリア性の評価>
<水蒸気バリア性の評価>
これらの実施例1、実施例2および比較例1について、支持基材の水蒸気バリア性を評価するため、水蒸気バリア性の指標として水蒸気透過度を求めた。すなわち、JIS K7129 C法に準拠して、ガス透過率・透湿度測定装置(GTRテック(株)製の「GTR−30X」)により、温度40℃、相対湿度90%の条件で、支持基材の水蒸気透過度を測定した。
その結果、支持基材の水蒸気透過度は、比較例1では0.343g/m2 ・24hであったのに対して、実施例1では0.011g/m2 ・24h(つまり、比較例1の約1/31倍)であった。この結果から、比較例1と比べて実施例1は、支持基材の水蒸気バリア性が極めて高いことが判明した。また、支持基材の水蒸気透過度は、実施例2では0.0030g/m2 ・24h(つまり、比較例1の約1/110倍)であり、支持基材の水蒸気バリア性が一層高いことが判明した。
本発明は、塗装用マスクテープ、防湿テープ、防錆テープ、絶縁テープなど、とりわけ高い防湿性が求められる各種のテープに広く適用することができる。
1……電気・電子機器デバイス
2……デバイス本体
3……粘着テープ
4……支持基材
5……粘着層
T1……支持基材の厚さ
T2……粘着層の厚さ
2……デバイス本体
3……粘着テープ
4……支持基材
5……粘着層
T1……支持基材の厚さ
T2……粘着層の厚さ
Claims (8)
- 液晶ポリエステルから構成される支持基材に粘着層が積層された粘着テープであって、
前記液晶ポリエステルは、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計含有量に対して、2,6−ナフタレンジイル基を含む構造単位の含有量が40モル%以上であることを特徴とする粘着テープ。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar2 およびAr3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar1 、Ar2 またはAr3 で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。) - 前記液晶ポリエステルは、流動開始温度が280℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
- 前記支持基材は、温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が0.1g/m2 ・24h以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着テープ。
- 液晶ポリエステルから構成される支持基材に粘着層が積層された粘着テープであって、
前記支持基材は、温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が0.005g/m2 ・24h以下であることを特徴とする粘着テープ。 - 液晶ポリエステルから構成される支持基材に粘着層が積層された粘着テープであって、
前記液晶ポリエステルは、厚さ50μmのフィルムにしたときの温度40℃および相対湿度90%の条件で測定される水蒸気透過度が0.005g/m2 ・24h以下であることを特徴とする粘着テープ。 - 前記粘着層が、アクリル系粘着剤から構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の粘着テープ。
- 前記粘着層が、シリコーン系粘着剤から構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の粘着テープ。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の粘着テープの前記支持基材が前記粘着層を介してデバイス本体に貼設されていることを特徴とする電気・電子機器デバイス。
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