JP2012031326A - アクリル酸系共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
(i)下記一般式(1)で表される構造単位を必須として有し、重量平均分子量が2000〜50000のアクリル酸系重合体と、(ii)プロピオン酸(塩)を含有するアクリル酸系重合体組成物であって、上記アクリル酸系重合体に対し、プロピオン酸(塩)が50ppm以上0.5質量%以下である、アクリル酸系重合体組成物である。
【化1】
上記一般式(1)において、Mは、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニア、4級アミン塩を表す。
【選択図】なし
Description
近年、石油資源の枯渇化や、環境面への配慮から、植物原料由来の原料を用いてアクリル酸を製造する取り組みが行なわれている。例えば、グリセリンの気相脱水反応生成物に気相酸化を施すことにより、アクリル酸を製造することが開示されている(特許文献1)。
ここで、水溶性重合体は、水溶液の形態で広く流通されているが、例えば洗剤ビルダーや顔料分散剤として、洗剤組成物や無機粒子スラリーの製造に使用される場合、得られる製品の製造工程の問題から、なるべく水分量の低い水溶性重合体水溶液が要求される。ところが、水溶性重合体水溶液における水分量を低下した場合、水溶性重合体水溶液の粘度が高くなり、取り扱い上問題となる。
また、ドラム缶をドラムヒーター等で加熱して粘性を下げようとする場合、局所的な温度調節が難しいことから、着色の原因となり、洗剤や紙製品の品質低下を引き起こす場合がある。
すなわち、本発明は、(i)下記一般式(1)で表される構造単位を必須として有し、重量平均分子量が2000〜50000のアクリル酸系重合体と、(ii)プロピオン酸(塩)を含有するアクリル酸系重合体組成物であって、上記アクリル酸系重合体に対し、プロピオン酸(塩)が50ppm以上0.5質量%以下である、アクリル酸系重合体組成物である。
本発明はまた、(i)下記一般式(1)で表される構造単位を必須として有し、重量平均分子量が2000〜50000のアクリル酸系重合体と、(ii)プロピオン酸(塩)を含有するアクリル酸系重合体組成物であって、上記アクリル酸系重合体に対し、プロピオン酸が50ppm以上0.5質量%以下であり、上記アクリル酸系重合体はグリセリンを原料とするアクリル酸を必須として重合することにより製造されたものである、アクリル酸系重合体組成物である。
<必須の構造単位>
本発明の重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位を必須として有することを特徴としている。
上記一般式(1)で表される構造単位は、アクリル酸(塩)を必須とする単量体成分を重合開始剤の存在下で重合することによって形成することが好ましい。ここで、アクリル酸(塩)とは、アクリル酸、アクリル酸塩をいう。アクリル酸塩における塩とは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩または有機アミン塩である。具体的には、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;有機アミン塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、モノエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩、エチレンジアミン塩、トリエチレンジアミン塩等のポリアミン等の有機アミンの塩、が挙げられる。この中でもナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
なお、上記一般式(1)で表される構造単位をアクリル酸(塩)由来の構造単位と言うことがあるが、アクリル酸(塩)由来の構造単位を含むとは最終的に得られた重合体が上記一般式(1)で表される構造単位を含むことを意味し、アクリル酸(塩)を重合させることによって重合体中に導入されたものに限られない。
本発明において、上記一般式(1)で表される構造単位の全単量体由来の構造単位に対する割合を計算する際には、対応する酸型換算で計算するものとする。例えば、上記一般式(1)で表される構造単位が、−CH2−CH(COONa)−、で表される塩型構造の場合、対応する酸型構造である、−CH2−CH(COOH)−、として質量割合を計算する。
本発明の重合体は、上記一般式(1)で表される構造単位を必須としているが、その他の単量体由来の構造単位(e)を含んでいても良い。
その他の単量体(E)としては、特に限定されるものではなく、所望の効果によって適宜選択される。
具体的には、メタクリル酸、クロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸及びその誘導体等の、上記アクリル酸(塩)以外の不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩等;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩;ビニルスルホン酸、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、およびこれらの塩等のスルホン酸基含有単量体;(メタ)アリルアルコール、イソプレノールにアルキレンオキサイドを付加した構造を有する単量体、アルコキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アリルアルコール等のアリルエーテル系単量体;イソプレノール、等のイソプレン系単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体、イソブチレン、酢酸ビニル;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環式芳香族炭化水素基とアミノ基を有するビニル芳香族系アミノ基含有単量体およびこれらの4級化物や塩;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、アミノエチルメタクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類およびこれらの4級化物や塩;ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン等のアリルアミン類およびこれらの4級化物や塩;(i)(メタ)アリルグリシジルエーテル、イソプレニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルのエポキシ環に、(ii)ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン等のジアルキルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、イミノジ酢酸、グリシン等のアミノカルボン酸、モルホリン、ピロール等の環状アミン類等のアミンを反応させることにより得られる単量体およびこれらの4級化物や塩等、が挙げられる。
また、上記他の単量体(E)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明において、その他の単量体由来の構造単位(e)の全単量体由来の構造単位に対する割合を計算する際には、その他の単量体が酸基の塩を有する場合は対応する酸型換算で計算するものとし、アミノ基の塩を有する場合は、対応する未中和のアミン換算で計算するものとし、4級化されたアミノ基を有する場合はカウンターアニオンの質量は含めないで計算するものとする。
本発明の重合体は、開始剤や連鎖移動剤に由来する構造単位を含んでいても良い。例えば、重亜硫酸塩に由来するスルホン酸(塩)基や、過酸化水素に由来する水酸基、次亜リン酸(塩)に由来するホスフィネート基等が好ましく例示される。特に本発明の重合体がスルホン酸(塩)基を有すると、重合体の耐塩性が向上することから好ましい。
全単量体由来の構造100質量%に対して、開始剤や連鎖移動剤に由来する構造単位は、0.05〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましい。
本発明に係るアクリル酸系重合体の重量平均分子量Mwは、2000〜50000、好ましくは2500〜25000、より好ましくは3000〜15000である。重量平均分子量がこの範囲内であれば、上記(メタ)アクリル酸系重合体は、分散能、キレート能および耐ゲル性といった各種性能をより顕著かつ効果的に発揮することができる。そのため、分散剤やスケール防止剤、洗剤ビルダーなどの用途に、より一層好適に用いることができる。アクリル酸系重合体の重量平均分子量が2000未満の場合には、十分なキレート能や炭酸カルシウムのスケール防止能が低下する傾向にある。一方、アクリル酸系重合体の重量平均分子量が50000を超える場合には、耐ゲル性や分散性が低下する傾向にある。
本発明のアクリル酸系重合体は、分子内に硫黄原子を含むことが好ましい。より好ましくは、分子の主鎖末端にスルホン酸基を含むことである。主鎖末端にスルホン酸基を有することにより、炭酸カルシウムのスケール防止能やカルシウムキレート能等の性能に悪影響を与えることなく、耐ゲル性が顕著に向上することから好ましい。
例えば、連鎖移動剤として重亜硫酸塩を使用すると、一部は重合体の分子構造に取り込まれることになるが、この場合、通常は分子の主鎖末端にスルホン酸基として導入される。ここで、後述する本発明のアクリル酸系重合体の製造方法により重合を行なえば、不純物の生成を押さえ、効率よく主鎖末端にスルホン酸基を導入することが可能になる為好ましい。
S値=(重合体に含まれるS量)/(全S量)×100で定義される硫黄元素導入量S値を35以上に設定することが好ましい。硫黄元素導入量S値が35以上の重合体では、該不純物に起因する性能低下を格段に低く抑えることが可能であり、また水溶液形態での低温保存時の不純物の析出も格段に低く抑えることができる。ここで、アクリル酸系重合体の硫黄元素導入量S値は、35以上が好ましく、より好ましくは35〜70、さらに好ましくは40〜60の範囲である。
上記の通り、後述する本発明のアクリル酸系重合体の製造方法により重合を行なえば、不純物の生成を押さえ、効率よく主鎖末端にスルホン酸基を導入することが可能になる。
本発明のアクリル酸系重合体組成物は、(i)本発明のアクリル酸系重合体と、(ii)プロピオン酸(塩)を必須として含有し、通常はその他に、重合開始剤残渣、残存モノマー、重合時の副生成物、水分から選ばれる1以上を含有する。本発明のアクリル酸系重合体組成物は、上記本発明のアクリル酸系重合体(酸型換算)に対し、プロピオン酸(塩)が50ppm以上0.5質量%以下であることを特徴としている。上記範囲であれば、本発明のアクリル酸系重合体組成物が水溶液である場合の粘度を低減する効果が発揮され、また、アクリル酸系重合体組成物を洗剤用途に使用した場合の洗浄力も維持できることとなる。さらに、アクリル酸系重合体組成物へのカビの発生を効果的に抑えることが可能となる。上記本発明のアクリル酸系重合体(酸型換算)に対し、プロピオン酸(塩)が60ppm以上0.3質量%以下であることが好ましく、プロピオン酸(塩)が80ppm以上0.25質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明のアクリル酸系重合体組成物におけるアクリル酸系重合体とプロピオン酸(塩)の質量比を計算する場合には、酸型換算で計算する。例えば、プロピオン酸ナトリウムであれば、対応する酸であるプロピオン酸として計算する。
上記プロピオン酸(塩)の塩としては、アクリル酸(塩)における塩と同様の塩が例示されるが、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩(すなわち、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、である)。
本発明の重合体組成物100質量%に対し、本発明の共重合体を1〜99.99質量%含有することが好ましい(本発明のアクリル酸系重合体水溶液とも言う)。好ましい共重合体組成物の形態の一つは、共重合体を40〜60質量%含有し、水を40〜60質量%含有する形態である。上記範囲であれば、洗剤組成物や分散剤スラリーの製造工程においても、効率よく製品を製造することが可能となる。
(単量体組成)
本発明の重合体の製造方法は、その用途により特に言及する場合を除き、全単量体(アクリル酸(塩)とその他の単量体の合計)使用量100質量%に対して、5質量以上100質量%以下のアクリル酸(塩)(単量体(A)とも言う)を必須とし、必要に応じて全単量体の使用量100質量%に対して、0質量%以上95質量%以下のその他の単量体(単量体(E))を任意成分として、重合することが好ましい。本発明の重合体の製造方法においては、上記単量体(A)、単量体(E)は、それぞれ1種を用いても、2種以上を用いても構わない。
全単量体使用量100質量%に対して、アクリル酸(塩)の使用量は、50質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
全単量体使用量100質量%に対して、任意成分であるその他の単量体の使用量は、0質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法において、グリセリンを原料とするアクリル酸を使用する場合、全アクリル酸(塩)の使用量に対する、グリセリンを原料とするアクリル酸の使用量(質量%)は、アクリル酸(塩)とプロピオン酸(塩)の割合(質量%)が下記の範囲になるように設定することが好ましい。例えば、全アクリル酸(塩)の使用量100質量%に対し、グリセリンを原料とするアクリル酸の使用量が5〜100質量%であることが好ましい。
本発明の重合体の製造方法において、アクリル酸(塩)(酸型換算)に対し、プロピオン酸(塩)(酸型換算)が50ppm以上0.5質量%以下の範囲となるように重合する態様は、好ましい態様である。プロピオン酸(塩)(酸型換算)が60ppm以上0.3質量%以下であることがより好ましく、80ppm以上0.25質量%以下であることがさらに好ましい。
但し、アクリル酸(塩)に対し、プロピオン酸(塩)が存在しない態様で重合を行い、重合後に所定量のプロピオン酸(塩)を添加することにより、本発明の重合体組成物を製造しても構わない。
本発明の重合体の製造方法は、上記単量体成分(単量体(A)、単量体(E)を言い、単量体組成物ということもある。)を重合開始剤の存在下で重合することが好ましい。
上記開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、得られる重合体の耐ゲル性、耐塩性が向上する傾向にあることから、後述する通り、過硫酸塩を使用することが好ましい。
開始剤の使用量は、単量体(A)、必要であれば他の単量体(E)の重合を開始できる量であれば特に制限されないが、以下に特に記載する場合を除き、単量体(A)、(E)からなる全単量体成分1モルに対して、15g以下、より好ましくは1〜12gであることが好ましい。
本発明の重合体の製造方法は、必要に応じ、重合に悪影響を及ぼさない範囲内で、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、重亜硫酸、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びその塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤を使用すると、製造される重合体が必要以上に高分子量化することを抑制し、低分子量の共重合体を効率よく製造することができるという利点がある。これらのうち、本発明に係る重合反応においては、上記の通り、重亜硫酸塩を用いることが好適である。これにより、得られる重合体の主鎖末端に定量的にスルホン酸基を導入することができるととなり、耐塩性や耐ゲル性を向上することが可能となる。また、連鎖移動剤として、重亜硫酸塩を用いることにより、重合体(組成物)の色調を改善することができるので好ましい。
本発明の製造方法において、連鎖移動剤の添加量は、単量体(A)、必要であれば他の単量体(E)が良好に重合する量であれば制限されないが、以下に特に記載する場合を除き、好ましくは単量体(A)、必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体成分1モルに対して、1〜20g、より好ましくは2〜15gである。
本発明の重合体の製造方法は、開始剤系として、過硫酸塩および重亜硫酸塩をそれぞれ1種類以上組み合わせて用いることが好ましい。これにより、末端や側鎖にスルホン酸基を定量的に導入し、分散能やキレート能に加えて耐塩性、耐ゲル性にも特に優れた低分子量の水溶性重合体を得ることができ、本発明の効果を有効に発現させることができる。過硫酸塩に加えて、重亜硫酸塩を開始剤系に加えることで、得られる重合体が必要以上に高分子量化することが抑制され、低分子量の重合体を効率よく製造することができる。
また、本発明において重亜硫酸塩とは、重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩を含み、具体的には、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。
上記過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加比率は、過硫酸塩1質量部に対して、重亜硫酸塩は0.5〜5質量部、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは2〜3質量部の範囲内である。過硫酸塩1質量部に対して重亜硫酸塩が0.5質量部未満であると、重亜硫酸塩による効果がすくなくなる傾向にある。そのため、重合体の末端のスルホン酸基を導入量が低下し、重合体の耐ゲル性が低下する傾向にある。また、アクリル酸系重合体の重量平均分子量も高くなる傾向にある。一方、過硫酸塩1質量部に対して重亜硫酸塩が5質量部を超えると、重亜硫酸塩による効果が添加比率に伴うほど得られない状態で、重合反応系において重亜硫酸塩が過剰に供給され(無駄に消費され)る傾向にある。このため、過剰な重亜硫酸塩が重合反応系で分解され、亜硫酸ガスが多量に発生する。そのほか、アクリル酸系重合体中の不純物が多く生成し、得られるアクリル系重合体の性能が低下する傾向にある。また、低温保持時の不純物が析出しやすくなる傾向にある。
本発明の重合体の製造方法において、上記単量体を水溶液中で重合する際に重合反応系に用いることのできる開始剤や連鎖移動剤以外の他の添加剤としては、本発明の作用効果に影響を与えない範囲で適当な添加剤を適量加えることができる。例えば、重金属濃度調整剤、pH調整剤などが用いられる。
上記重金属濃度調整剤は、特に制限されるべきものではなく、多価金属化合物または単体が利用できる。具体的には、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジル、硫酸バナジル、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス[(NH4)2SO4・VSO4・6H2O]、硫酸アンモニウムバナダス[(NH4)V(SO4)2・12H2O]、酢酸銅(II)、銅(II)、臭化銅(II)、銅(II)アセチルアセテート、塩化第二銅アンモニウム、塩化銅アンモニウム、炭酸銅、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)、塩化第一銅、シアン化銅(I)、ヨウ化銅、酸化銅(I)、チオシアン酸銅、鉄アセチルアセナート、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄等の水溶性多価金属塩;五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化第一鉄、酸化第二鉄等の多価金属酸化物;硫化鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化銅等の多価金属硫化物;銅粉末、鉄粉末を挙げることができる。
本発明の重合体の製造方法は、通常は上記単量体を溶媒中で重合することになるが、その際に重合反応系に用いられる溶媒は、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類などの水性の溶媒であることが好ましく、特に好ましくは水である。これらは1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、上記単量体の溶媒への溶解性を向上させるために、各単量体の重合に悪影響を及ぼさない範囲で有機溶媒を適宜加えてもよい。
上記有機溶媒は、具体的には、メタノール、エタノールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアルデヒドなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類;などから、1種類または2種類以上を適宜選択して用いられうる。
上記溶媒の使用量は、単量体全量に対して40〜200質量%、好ましくは45〜180質量%、より好ましくは50〜150質量%の範囲である。該溶媒の使用量が10質量%未満の場合には、分子量が高くなってしまう。一方、該溶媒の使用量が200質量%を超える場合には、製造されたアクリル酸系重合体の濃度が低くなり、場合によっては溶媒除去が必要となる。なお、該溶媒の多くまたは全量は、重合初期に反応容器内に仕込んでおけばよいが、例えば溶媒の一部を、単独で重合中に反応系内に適当に添加(滴下)されてもよく、単量体成分や開始剤成分やその他の添加剤を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合中に反応系内に適当に添加(滴下)されてもよい。
上記単量体の重合における重合温度は、通常25〜150℃であるが、25〜99℃であることが好ましい。重合温度は50℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。また重合温度は95℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。重合温度が25℃未満の場合には、分子量の上昇、不純物が増加する。そのほか、重合時間が長くかかりすぎるため、生産性が低下する。一方、重合温度が99℃を超える場合には、開始剤系として重亜硫酸塩を使用する場合に重亜硫酸塩が分解して亜硫酸ガスが多量に発生する。このため、重合後に液相に亜硫酸ガスが溶解して不純物が形成される。また、重合中に系外に亜硫酸ガスが排出され回収処理コストがかかる。そのほか、開始剤の重亜硫酸塩が亜硫酸ガスとして抜けてしまうため、添加に見合うだけの十分な効果が得られず、分子量が下がらなくなる。なお、ここでの重合温度とは、反応系内の反応溶液温度をいう。
上記単量体の重合に際して、反応系内の圧力は、特に限定されない。常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れの圧力下であってもよい。好ましくは、開始剤系として重亜硫酸塩を使用する場合に、重合中、亜硫酸ガスの放出を防ぎ、低分子量化を可能にするため、常圧または、反応系内を密閉し、加圧下で行うのがよい。また、常圧(大気圧)下で重合を行うと、加圧装置や減圧装置を併設する必要がなく、また耐圧製の反応容器や配管を用いる必要がない。このため、製造コストの観点からは、常圧(大気圧)が好ましい。すなわち、得られるアクリル酸系重合体の使用目的によって、適宜最適な圧力条件を設定すればよい。
反応系内の雰囲気は、空気雰囲気のままで行ってもよいが、不活性雰囲気とするのがよい。例えば、重合開始前に系内を窒素などの不活性ガスで置換することが望ましい。これにより、反応系内の雰囲気ガス(例えば、酸素ガスなど)が液相内に溶解し、重合禁止剤として作用する。その結果、開始剤(過硫酸塩等)が失活して低減するのが防止され、より低分子量化が可能となる。
本発明の製造方法では、上記単量体の重合反応は、酸性条件下で行うのが望ましい。酸性条件下で行うことによって、重合反応系の水溶液の粘度の上昇を抑制し、低分子量のアクリル酸系重合体を良好に製造することができる。しかも、従来よりも高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができる。特に、重合中の中和度を1〜25mol%と低くすることで、上記開始剤量低減による効果を相乗的に高めることができ、不純物の低減効果を格段に向上させることができる。さらに重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6となるように調整するのが望ましい。このような酸性条件下で重合反応を行うことにより、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することも可能である。それゆえ、アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制しうる。
重合に際しては、上記単量体、開始剤、連鎖移動剤その他の添加剤は、これらを予め適当な溶媒(好ましくは被滴下液用の溶媒と同種の溶媒)に溶解し、単量体溶液、開始剤溶液および連鎖移動剤溶液その他の添加剤溶液として、それぞれを反応容器内に仕込んだ(水性の)溶媒(必要があれば所定の温度に調節したもの)に対して、所定の滴下時間に渡って連続的に滴下しながら重合することが好ましい。さらに水性の溶媒の一部についても、反応系内の容器に予め仕込んでなる初期仕込みの溶媒とは別に、後から滴下してもよい。ただし、本発明の製造方法は、これらに制限されない。例えば、滴下方法に関しては、連続的に滴下しても、断続的に何度かに小分けして滴下してもよい。単量体の1種または2種以上を、一部または全量を初期仕込みしてもよい(すなわち、重合開始時に一時に全量ないしその一部を滴下したものと見なすこともできる)。また、単量体の1種または2種以上の滴下速度(滴下量)も、滴下の開始から終了まで常に一定(一定量)として滴下してもよいし、あるいは重合温度等に応じて経時的に滴下速度(滴下量)を変化させてもよい。また、すべての滴下成分を同じように滴下せずとも、滴下成分ごとに開始時や終了時をずらせたり、滴下時間を短縮させたり延長させてもよい。このように、本発明の製造方法は、本発明の作用効果を損なわない範囲で適当に変更可能である。また、溶液の形態で各成分を滴下する場合には、反応系内の重合温度と同程度まで滴下溶液を加温しておいてもよい。こうしておくと、重合温度を一定に保持する場合に、温度変動が少なく温度調整が容易である。
重合に際しては、重合温度を低くして開始剤系として重亜硫酸塩を使用する場合においても、亜硫酸ガスの発生を抑え、不純物の形成を防止することがより重要である。このため、重合の際の総滴下時間は、180〜600分、好ましくは210〜480分、より好ましくは240〜420分と長くすることが好ましい。総滴下時間が180分未満の場合には、開始剤系として添加する過硫酸塩溶液および重亜硫酸塩溶液による効果が低下する傾向にある。そのため、得られるアクリル酸系重合体に対して、末端や側鎖に導入されるスルホン酸基等の硫黄含有基の量が低下する傾向にある。その結果、該重合体の重量平均分子量が高くなる傾向にある。また、反応系内に短期間に滴下されることで過剰に重亜硫酸塩が存在することが起こり得る。このため、こうした過剰な重亜硫酸塩が分解して亜硫酸ガスが発生し、系外に放出されたり、不純物を形成したりすることがある。ただし、重合温度および開始剤量を低い特定の範囲で実施することにより改善する傾向にある。一方、総滴下時間が600分を越える場合には、亜硫酸ガスの発生が抑えられるため、得られる重合体の性能は良好である。しかし、アクリル酸系重合体の生産性が低下し、使用用途が制限される場合がある。ここでいう総滴下時間とは、最初の滴下成分(1成分とは限らない)の滴下開始時から最後の滴下成分(1成分とは限らない)を滴下完了するまでの時間をいう。
上記各成分の滴下が終了し、重合反応系における重合反応が終了した時点での水溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは45〜65質量%である。このように重合反応終了時の固形分濃度が35質量%以上であれば、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、効率よく低分子量のアクリル酸系重合体を得ることができる。例えば、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができる。それゆえ、その製造効率を大幅に上昇させたものとすることができる。その結果、アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
上記熟成時間は、通常1〜120分間、好ましくは5〜60分間、より好ましくは10〜30分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成不十分につき単量体成分が残ることがあり、残存モノマーに起因する不純物を形成し性能低下などを招くおそれがある。一方、熟成時間が120分間を超える場合には、重合体溶液の着色の恐れがある。そのほか、既に重合が完結しており、更なる重合温度を印加することは不経済である。
本発明に係るアクリル酸系重合体の製造方法では、重合は、上記の通り酸性条件下で行われることが好ましい。そのため、得られるアクリル酸系重合体の中和度(最終中和度)は、重合が終了した後に、必要に応じて、後処理として適当なアルカリ成分を適宜添加することによって所定の範囲に設定されても良い。
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、バッチ式で製造されてもよいし、連続式で製造されてもよい。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(または洗剤組成物)、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、セメント添加剤、各種バインダー、乳化剤、スキンケア剤、ヘアケア剤等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体(または重合体組成物)を含む。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、セメント添加剤として用いられうる。セメント添加剤として用いる場合、上記一般式(1)で表される構造単位に加え、下記一般式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。
上記一般式(2)中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。R4は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Raは、同一又は異なって、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。mは、RaOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。Xは、炭素数1〜5の二価のアルキレン基を表すか、又は、R1R3C=CR2−で表される基がビニル基の場合、Xに結合している炭素原子、酸素原子同士が直接結合していることを表す。
上記一般式(1)における−(RaO)−で表されるオキシアルキレン基が同一の不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物に2種以上存在する場合には、−(RaO)−で表されるオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
上記−(RaO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物であるが、このようなアルキレンオキシド付加物の構造は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド等のアルキレンオキシドの1種又は2種以上により形成される構造である。このようなアルキレンオキシド付加物の中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド付加物であることが好ましい。更にエチレンオキシドが主体(全アルキレンオキシド100モル%に対し、50〜100モル%)であるものが更に好ましい。
セメント添加剤として用いる場合、本発明の重合体は、全単量体由来の構造に対して、上記一般式(1)で表される構造(酸型換算)を1〜50質量%、上記一般式(1)で表される構造を50〜99質量%含むことが好ましい。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、洗剤ビルダーとして用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、洗剤組成物にも添加しうる。
(カオリン濁度の測定方法)
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。上記キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、STPP(トリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸等が好適である。本発明における共重合体以外のその他の水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを用いてもよい。
上記洗浄剤組成物は、分散能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤とすることができる。
また、単量体の定量、共重合体の重量平均分子量の測定及び評価は、下記方法に従って行なった。
重合により得られたアクリル酸系重合体の透析処理前後のS量を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,ICP)発光分光分析法によって定量した。ここで、透析処理前のアクリル酸系重合体のS量を「全S量」とした。また、透析処理後のアクリル酸系重合体のS量を「ポリマーに含まれるS量」とした。透析法については以下の通り。
(i)重合により得られたアクリル酸系重合体につき、適量の水を加えて、固形分濃度30質量%のアクリル酸系重合体水溶液を調製した。これを透析膜40cm(長さ)中に20g入れ密閉した。透析膜にはSpectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。
(ii)これを2リットルビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。
(iii)6時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。
(iv)これをエヴァポレーターで濃縮したものを透析処理後のアクリル酸系重合体サンプルとした。
なお、透析処理前のアクリル酸系重合体サンプルとしては、上記(i)における、重合により得られたアクリル酸系重合体を、上記(iv)と同様にしてエヴァポレーターで濃縮したものを用いた。
単量体等の含有量の測定は、下記条件で、液体クロマトグラフィーを用いて行なった。
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:株式会社昭和電工製 Shodex RSpak DE−413L
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
移動相:0.1%リン酸水溶液。
装置:日立社製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液.
<固形分の測定>
窒素雰囲気下、170℃に加熱したオーブンで本発明の重合体(重合体組成物)1.0gに水1.0gを加えたもの)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
容器:500mlのガラス製ビーカー
液温:25℃
粘度計等:B型粘度計、No.3ローター、30rpm。
重合体組成物を固形分5質量%に希釈して、屋外に直射日光が当たらないようにかつ雨が入らないように30日放置した。その後、目視、臭覚にて、カビの発生を評価した。
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物4.41gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
(3)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0g、炭酸ナトリウム6.0g、硫酸ナトリウム2.0gに純水を加えて100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1Lと界面活性剤水溶液5g、固形分換算で2%の重合体水溶液1g、ゼオライト0.15g、カーボンブラック0.25gをポットに入れ、100rpmで1分間攪拌した。その後、白布10枚を入れ100rpmで10分間攪拌した。
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間攪拌した。これを2回行った。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求めた。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100
<実施例1>
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水350.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約90℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約55℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中にアクリル酸を80質量%、プロピオン酸を0.14質量%含む水溶液(以下、AA(1)と略す)900.0g(10.0mol)、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す)41.7g(0.5mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す)133.3g{対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体組成物の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると2.0g/mol}、35%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す)142.9g(対単量体投入量に換算すると5.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、AA(1)、48%NaOHを300分間、15%NaPSを310分間、35%SBSを290分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH750.0g(9.0mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が95mol%の重合体組成物(1)(含まれる重合体は重合体(1))を得た。重合体(1)の重量平均分子量(MW)を表1にまとめた。
なお、重合体組成物(1)におけるアクリル酸系重合体に対するプロピオン酸の質量%は、仕込み量通りであった。
実施例1において、アクリル酸を80質量%、プロピオン酸を0.14質量%含む水溶液(以下、AA(1)と略す)900.0gに変えて、アクリル酸を80質量%、プロピオン酸を0.26質量%含む水溶液(以下、AA(1)と略す)900.0gを使用する以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が46質量%の重合体組成物(2)を得た(含まれる共重合体をそれぞれ重合体(2)とする)。
実施例1において、アクリル酸を80質量%、プロピオン酸を0.14質量%含む水溶液(以下、AA(1)と略す)900.0gに変えて、アクリル酸を80質量%、プロピオン酸を0.52質量%含む水溶液(以下、AA(1)と略す)900.0gを使用する以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が46質量%の重合体組成物(3)を得た(含まれる共重合体をそれぞれ重合体(3)とする)。
実施例1において、アクリル酸を80質量%、プロピオン酸を0.14質量%含む水溶液(以下、AA(1)と略す)900.0gに変えて、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す)900.0gを使用する以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が45質量%の比較重合体組成物(1)を得た(含まれる比較重合体をそれぞれ比較重合体(1)とする)。
得られた重合体組成物(1)〜(3)、および比較重合体組成物(1)の粘性、防カビ試験、再汚染防止能の結果を評価した。再汚染防止能については、重合体を添加しない場合も合わせて評価した。結果を表1に示す。
上記より、本発明の重合体組成物は、従来の重合体組成物と比較して、再汚染防止能を維持し、取り扱い性(粘性の低下)や防カビ性を改善することができることが明らかになった。
Claims (3)
- プロピオン酸(塩)を含むアクリル酸を必須として重合することを特徴とするアクリル酸系重合体の製造方法であって、
上記アクリル酸に対し、プロピオン酸(塩)が50ppm以上0.5質量%以下の範囲で重合することを特徴とする、アクリル酸系共重合体の製造方法。
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