JP5730070B2 - 重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記方法によれば、得られる重合体混合物は、再汚染防止能に優れ、保存安定性に優れることから、製造される洗剤の品質が安定する。さらに、保存安定性の向上によって、洗剤製造の自由度が向上し、製造コストも削減されることが開示されている。
しかし、特許文献3の記載の方法によって製造された重合体混合物は、例えば液体洗剤等により多く配合できるように、界面活性剤との相溶性を改良する余地があった。
そこで、本発明は、保存安定性(層分離等をおこし難い)に優れ、例えば洗剤用途に用いられた場合に従来より一層改善された再汚染防止能を有し、界面活性剤との相溶性に優れることから液体洗剤にも配合可能な重合体組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の製造方法は、(メタ)アクリル酸系単量体およびジカルボン酸系単量体を必須とする単量体(単量体成分)をポリアルキレングリコール構造を有する化合物の存在下で重合させる工程(重合工程)を含む重合体組成物の製造方法であって、重合開始時の水の量(但し重合開始時にジカルボン酸系単量体の無水物が存在する場合には、水と化学両論的に反応する為、存在するジカルボン酸系単量体の無水物のモル数を超えない範囲の水は「重合開始時の水の量」から除くこととする。)が上記ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の使用量100質量部に対し0〜120質量部であり、(メタ)アクリル酸系単量体の添加終了時における反応溶液に含まれる水の量が、上記ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の使用量100質量部に対し100〜100,000質量部である、重合体組成物の製造方法である。
本発明の製造方法は、重合開始時のジカルボン酸系単量体の量が上記ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の使用量100質量部に対し30〜800質量部であることを特徴としている。本発明において「重合開始時のジカルボン酸系単量体の量」とは、重合開始時に反応容器内(言い換えれば重合反応溶液中)に存在するジカルボン酸系単量体の量を表す。重合開始時のジカルボン酸系単量体の量は、PAG化合物100質量部に対して、30質量部以上800質量部以下である。上記範囲であることによって、得られる重合体組成物の再汚染防止能を向上する傾向にある。また、上記範囲であることによって、保存安定性が良好となる傾向にある。重合開始時のジカルボン酸系単量体の量は、PAG化合物100質量部に対して、好ましくは40〜700質量部であり、より好ましくは60〜650質量部である。
なお、PAG化合物100質量部に対するジカルボン酸系単量体の量を計算する場合には、ジカルボン酸系単量体は対応する酸型換算で計算する。対応する酸型換算で計算するとは、例えばジカルボン酸系単量体がマレイン酸二ナトリウムである場合には、マレイン酸として質量を計算することを言い、ジカルボン酸系単量体がマレイン酸無水物である場合には、マレイン酸として計算することを言う。
本発明において使用可能なジカルボン酸系単量体とは、エチレン(CH2=CH2)の水素原子を置換する置換基の有するカルボキシル基の合計が2である単量体を意味する。二つのカルボキシル基は無水物を形成していても良い。ジカルボン酸系単量体としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、メチレングルタル酸、およびこれらの塩が例示される。塩としては、アンモニウム塩、有機アミン塩、金属塩が例示される。
上記アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、モノエタノールアミン、メチルアミン等のアミン類、アンモニアが挙げられる。上記アルカリ性物質は水溶液として反応容器に添加しても良いが、分離安定性の良好な重合体組成物を製造するためには、可能なものはペレットまたは粉体として添加して重合開始時の水の量を低減することが好ましい。上記(ii)の方法によれば、中和反応で水が生成することになるが、重合開始時の水の量を低減する目的で、加熱および/または減圧条件で重合開始前に水を留去させても良い。
なお、ジカルボン酸系単量体に由来する構造単位とは、ジカルボン酸系単量体が重合して生成する構造であり、例えばマレイン酸に由来する構造単位であれば、−CH(COOH)CH(COOH)−、で表すことができる。ジカルボン酸系単量体自体の構造単位、すなわち、例えばマレイン酸の場合において、CH(COOH)=CH(COOH)表される構造単位自体は(メタ)アクリル酸系単量体に由来する構造単位に含まないものとする。
本発明の重合体組成物は、重合反応系において、PAG化合物存在下で、(メタ)アクリル酸系単量体およびジカルボン酸系単量体を必須として重合させることによって、合成される。本願において重合体組成物中に含有される主として重合前半に形成されるグラフト重合体は、PAG化合物が幹ポリマーであり、(メタ)アクリル酸系単量体およびジカルボン酸系単量体等から形成されるポリマーが枝ポリマーである。
−(O−R)n− 一般式(1)
(式中、Rはアルキレン基を表し、nは繰り返し数を表す)
アルキレン基としては、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、シクロへキシレン基などが挙げられる。好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。nは、通常は5〜300程度、好ましくは5〜100、より好ましくは7〜90、特に好ましくは10〜80である。ただし、nは、この範囲に限定されない。
PAG化合物の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアリールエーテル等のポリアルキレングリコールのエーテル化合物などが挙げられる。ポリアルキレングリコール構造でない成分が、PAG化合物中に多く含まれていてもよい。例えば、活性水素を有する化合物の活性水素に、ポリアルキレングリコールを付加したものが挙げられる。つまり、例えばポリエチレンイミン等の活性水素を複数有する化合物の活性水素がポリアルキレングリコール構造で置換された化合物を、PAG化合物として用いてもよい。他にも、ポリアルキレングリコールのエステル化合物、イソプレノールやアリルアルコールなどの不飽和二重結合を有する化合物のポリアルキレングリコール付加体などがPAG化合物として用いられうる。
上記一般式(2)において、R1、R3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を表し、R2は炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nは5〜300の数を表す。
上記一般式(2)において、R1、R3が炭素数1〜20のアルキル基である場合の具体例としてはメチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が例示され、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が例示される。
上記一般式(2)において、R2としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が例示され、エチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基が好ましい。
なお、ポリアルキレングリコール構造を有する化合物に由来する構造単位とは、ポリアルキレングリコール構造を有する化合物がそのままで、またはポリアルキレングリコール構造を有する化合物に単量体等が付加した場合の単量体等に由来する構造を除いた部分の構造単位を表す。
すなわち、ポリアルキレングリコール構造を有する化合物に由来する構造単位には、ポリアルキレングリコール構造を有する化合物自体の構造単位を含み、重合体や副生成物に含まれる構造部分も含まれる。
本発明の製造方法に使用される「(メタ)アクリル酸系単量体」とは、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの塩を意味する。(メタ)アクリル酸系単量体は1種または2種以上で使用される。アクリル酸またはメタクリル酸の塩としては、アクリル酸またはメタクリル酸を水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ成分で中和した塩;アクリル酸またはメタクリル酸をアンモニア、またはモノエタノールアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミン類により中和した塩が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸系単量体に由来する構造単位とは、(メタ)アクリル酸系単量体が重合して生成する構造であり、例えばアクリル酸に由来する構造単位であれば、−CH2CH(COOH)−、で表すことができる。(メタ)アクリル酸系単量体自体の構造単位、すなわち、例えばアクリル酸の場合において、CH2=CH(COOH)で表される構造単位自体は(メタ)アクリル酸系単量体に由来する構造単位に含まないものとする。
本発明の製造方法に使用される単量体としては、上記ジカルボン酸系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体の他に、これらと重合可能なその他の単量体を使用しても構わない。その他の単量体としては、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸などのホスホン酸基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化により得られるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン、スチレンスルホン酸等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;アリルアルコールやイソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを付加した構造の単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
すなわち、本発明の重合体組成物に含まれる重合体は、任意成分であるその他の単量体に由来する構造単位をPAG化合物由来の構造単位と単量体由来の構造単位の合計100質量%に対し、0〜30質量%有することが好ましい。
本発明の製造方法は、ポリアルキレングリコール構造を有する化合物と重合開始剤の存在下でジカルボン酸系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体とを重合する工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法で使用できる重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が例示される。これらの重合開始剤のうちでも、ジカルボン酸の重合の進行が良好であることから、過硫酸塩、過酸化水素を使用することが好ましい。
連鎖移動剤を使用すると、製造される重合体が必要以上に高分子量化することを抑制し、低分子量の重合体を効率よく製造することができるという利点がある。
重金属イオンは、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いて添加されうる。その際に用いられる重金属化合物は、重合反応系中に含有されることを所望する重金属イオンに応じて決定される。溶媒として水が用いられる場合には、水溶性の重金属塩が好ましい。水溶性の重金属塩としては、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マンガンなどが挙げられる。重金属イオンの添加方法としては、初期添加または逐次添加、好ましくは初期添加が用いられる。ただし、重金属イオンの添加方法がこれらに限定されるわけではない。なお、初期添加とは、重金属イオンの全量を重合反応系中に予め添加する方法をいい、逐次添加とは、重金属イオンを重合反応の進行と共に、徐々に添加していく方法をいう。
本発明の製造方法は、上記の通り水の使用量が制御されることとなる。単量体の溶解性を向上させるために、有機溶剤を使用してもよい。使用可能な有機溶剤としては、メタノール、エタノールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアルデヒドなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。
重合中に滴下する各成分の滴下時間は、通常は40分〜420分であり、好ましくは60分〜360分である。各成分によって、滴下時間が異なっていてもよい。
過酸化水素の反応容器(反応液)への添加終了時間は、(メタ)アクリル酸系単量体の添加終了時より以前に終了することが好ましい。過酸化水素の添加終了時間が(メタ)アクリル酸系単量体の添加終了時より後になると、過酸化水素が多量に残存する傾向にある。
本発明の重合体組成物は、上記の製造方法により製造される。
本発明の重合体組成物は、良好な保存安定性を有する。
本発明の水溶液は、(メタ)アクリル酸系単量体に由来する構造単位を有する化合物(化合物A)、ジカルボン酸系単量体に由来する構造単位を有する化合物(化合物B)、およびポリアルキレングリコール構造を有する化合物に由来する構造単位を有する化合物(化合物C)を含むことを特徴としている。
化合物A、B、Cは、重複していても良い。すなわち、例えば化合物Aは、(メタ)アクリル酸系単量体に由来する構造単位の他に、ジカルボン酸系単量体に由来する構造単位および/またはポリアルキレングリコール構造を有する化合物に由来する構造単位を有していても良い。
化合物A、B、Cは、任意であるが、その他の単量体に由来する構造単位等を有していても構わない。その他の単量体に由来する構造単位を有する場合、化合物A、B、Cの合計の質量100質量%に対して0〜30質量%であることが好ましい。
また、上記水溶液に含まれるジカルボン酸系単量体に由来する構造単位の合計の質量が、化合物A、B、Cの合計の質量100質量%に対して14〜85質量%であり、好ましくは17〜80質量%であり、さらに好ましくは20〜68質量%である。
また、上記水溶液に含まれるポリアルキレングリコール構造を有する化合物に由来する構造単位に由来する構造単位の合計の質量が、化合物A、B、Cの合計の質量100質量%に対して4〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%であり、さらに好ましくは7〜30質量%である。
それぞれの構造単位の合計の質量の範囲が、上記範囲であれば、水溶液の再汚染防止能が向上する効果が顕著であることから好ましい。
上記構造単位の質量%を計算する場合には、酸型換算で計算するものとする。
上記構造単位の範囲は、NMR法等によって測定できる(モル比から換算する)。
本発明の水溶液の好ましい製造方法は、適用可能な範囲で本発明の重合体組成物の製造方法と同様である。
本発明の水溶液の好ましい水分量は、20〜80質量%である。本発明の水溶液の好ましい固形分濃度は20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%であり、さらに好ましくは40〜65質量%である。
本発明の重合体組成物は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(または洗剤組成物)等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
本発明の重合体組成物は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
上記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
本発明の重合体組成物は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体組成物を含む。
上記繊維処理剤における本発明の重合体組成物の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
<無機顔料分散剤>
本発明の重合体組成物は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
本発明の重合体組成物は、洗剤組成物にも添加しうる。
本発明の重合体組成物は、上述した重合体を含むが、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、当該重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
<重量平均分子量、及び、残存モノマーの測定条件(GPC)>
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:RI(重量平均分子量)、UV(残存モノマー)
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ,GF−710−HQ,GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLATE STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
<再汚染防止能の評価>
(1)洗濯科学協会より入手したJIS−L0803綿布を切断し、5cm×5cmの白布を作成した。この白布を、あらかじめ、日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)2.29gの塩化カルシウム2水和物に純水を加えて13kgとし、硬水を調製した。硬水とすすぎ用の水道水を25℃の恒温槽で保持しておいた。
(3)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水500mlとクレー1gとをポットにいれ、100rpmで1分間撹拌した。その後、固形分濃度を0.6質量%に調整した重合体水溶液2.5gをポットに入れ、100rpmで10分間撹拌した。
(4)6%アルキルポリオキシエチレン硫酸塩水溶液2.5g、1%硼酸ナトリウム水溶液2.5g、1%クエン酸ナトリウム水溶液2.5g、および白布15枚をポットにいれ、100rpmで1分間撹拌した。
(5)手で白布の水を切り、準備しておいた25℃の硬水500mlが入ったポットにおいて、100rpmで1分間撹拌した。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて、再度、白布の白色度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から、下式により再汚染防止能を求めた。
(8)再汚染防止率(%)=[(洗浄後の白色度)/原白布の白色度)]×100。
固形分濃度を55質量%に調整した、重合体混合物を含む水溶液5gを、恒温機内において、35℃で1時間静置した。濁りがない場合を○、やや濁っている場合を△、濁っている場合を×とした。濁りがないことは、重合体溶液が長期間に渡って均一に保たれうることを示す。
ポリオキシエチレンドデシルエーテル(ドデカノールにエチレンオキサイドを平均8モル付加したもの)25%水溶液 4gに重合体組成物0.2g(固形分)を混合し、1時間静置した。濁りがない場合を○、やや濁っている場合を△、濁っている場合を×とした。濁りがないことは、重合体組成物を添加した洗剤が長期間に渡って均一に保たれうることを示す。
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、メトキシポリエチレングリコール(メタノールにエチレンオキサイドを平均25モル付加させて得られたもの、以降PGM25と略す)85.0g、無水マレイン酸166.1g、純水61.0gを仕込み、100℃まで昇温した。次に、80%アクリル酸水溶液(80%AAと略す)356.3gを180分間、15%過硫酸ナトリウム水溶液(15%NaPSと略す)150.8gを190分間、35%過酸化水素水溶液(35%H2O2と略す)161.5gを180分間にわたって、別々に連続的に滴下した。80%AA滴下終了後、30分間撹拌した後に純水89.3gを加え、本発明の重合体組成物1(本発明の水溶液1とも言う)を得た。重合体組成物1に含まれる重合体の重量平均分子量は12000であった。重合体組成物1における残存マレイン酸は47000ppm、残存アクリル酸は0ppmであった。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、PGM25 170.0g、無水マレイン酸136.4g、純水50.2gを仕込み、100℃まで昇温した。次に80%AA294.0gを180分間、48%水酸化ナトリウム水溶液(48%NaOHと略す)50.4g、15%NaPS 124.2gを190分間、35%H2O2 133.1gを180分間にわたって、別々に連続的に滴下した。80%AA滴下終了後、30分間撹拌した後に純水89.3gを加え、本発明の重合体組成物2(本発明の水溶液2とも言う)を得た。重合体組成物2に含まれる重合体の重量平均分子量は8200であった。重合体組成物2における残存マレイン酸は8900ppm、残存アクリル酸は0ppmであった。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、PGM25 85.0g、無水マレイン酸251.1g、純水46.1gを仕込み、100℃まで昇温した。次に80%AA230.6gを120分間、15%NaPS 136.6gを130分間、35%H2O2 73.2gを90分間、純水156.0gを120分間にわたって、別々に連続的に滴下した。80%AA滴下終了後、30分間撹拌した後に純水89.0gを加え、本発明の重合体組成物3(本発明の水溶液3とも言う)を得た。重合体組成物3に含まれる重合体の重量平均分子量は5500であった。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、PGM25 85.0g、無水マレイン酸251.1g、純水46.1g、モール塩0.03gを仕込み、100℃まで昇温した。次に80%AA230.6gを120分間、15%NaPS 68.3gを80%AA滴下開始50分後から80分間、35%H2O2 58.6gを50分間、純水221.9gを120分間にわたって、別々に連続的に滴下した。80%AA滴下終了後、30分間撹拌した後に純水87.4gを加え、本発明の重合体組成物4(本発明の水溶液4とも言う)を得た。重合体組成物4に含まれる重合体の重量平均分子量は8500であった。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、PGM25 85.0g、無水マレイン酸143.6g、純水26.4gを仕込み、90℃まで昇温した。次に80%AA389.6gを180分間、48%NaOH 6.1gを180分間、15%NaPS 309.0gを190分間、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液 66.2gを170分間、純水37.1gを180分間にわたって、別々に連続的に滴下した。80%AA滴下終了後、30分間撹拌した後に純水145.0gを加え、本発明の重合体組成物5(本発明の水溶液5とも言う)を得た。重合体組成物5に含まれる重合体の重量平均分子量は37000であった。重合体組成物6における残存マレイン酸は5200ppm、残存アクリル酸は0ppmであった。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、PGM25 42.5g、無水マレイン酸181.4g、純水68.4gを仕込み、100℃まで昇温した。次に80%AA 386.8gを180分間、48%NaOH 66.7gを80%AA滴下開始120分後から60分間、15%NaPS 164.0gを190分間、35%H 2 O 2 175.7gを180分間にわたって、別々に連続的に滴下した。80%AA滴下終了後、30分間撹拌した後に純水21.9gを加え、本発明の重合体組成物7(本発明の水溶液7とも言う)を得た。重合体組成物6に含まれる重合体の重量平均分子量は8,100であった。
温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたSUS製反応器に、無水マレイン酸251.1g、純水100.5g、48%NaOH 363.0gを仕込み、撹拌しながら、100℃まで昇温した。次に、約100℃に保持された重合反応系中に、撹拌しながら、80%AA 230.6gを120分間、15%NaPS 68.3gをAA滴下開始後から80分間、35%H 2 O 2 58.6gを50分間、純水205.5gを120分間、別々の滴下ノズルより、別々に連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を100℃ で熟成して、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、48%NaOH 181.3gを重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和して比較重合体1を得た。
比較重合体1の重量平均分子量は10000であった。
上記重合体組成物1〜4、7、比較重合体1、比較重合体2としてPGM25の再汚染防止能、保存安定性、界面活性剤との相溶性の評価をおこなった結果を示す。
表1に示す結果から、本発明の重合体組成物は、従来の重合体組成物と比較して、優れた再汚染防止能、保存安定性および界面活性剤との相溶性を有していることが示される。
従って、本発明の重合体組成物を洗剤ビルダーとして用いると、良好な洗浄力が得られることが期待される。
Claims (3)
- 過硫酸塩または過酸化水素の存在下において、
(メタ)アクリル酸系単量体およびジカルボン酸系単量体を必須とする単量体を
ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の存在下で重合させる工程を含む、
重合体組成物の製造方法であって、
重合開始時の水の量が上記ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の使用量100質量部に対し0〜120質量部であり、
重合開始時のジカルボン酸系単量体の量が上記ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の使用量100質量部に対し30〜800質量部であり、
(メタ)アクリル酸系単量体の添加終了時における反応溶液に含まれる水の量が、上記ポリアルキレングリコール構造を有する化合物の使用量100質量部に対し100〜100,000質量部である、重合体組成物の製造方法。 - 請求項1に記載の方法によって得られる重合体組成物。
- 請求項2に記載の重合体組成物に含まれる重合体を含む洗剤組成物。
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