JP2012030879A - 炭酸飲料充填方法、炭酸飲料充填システム、および炭酸飲料入ボトル - Google Patents

炭酸飲料充填方法、炭酸飲料充填システム、および炭酸飲料入ボトル Download PDF

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Abstract

【課題】ボトル内に最初から存在する酸素量を減らし、炭酸飲料の酸化劣化を抑制することが可能な炭酸飲料充填方法、炭酸飲料充填システム、および炭酸飲料入ボトルを提供する。
【解決手段】本発明は、口部31と、ボトル本体32とを有するボトル30に対して炭酸飲料43を充填する炭酸飲料充填方法である。まず口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42のみを供給してボトル本体32内を不活性ガス42で置換し、その後、口部31からボトル本体32内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料43を充填する。予めボトル本体32内に導入された不活性ガス42により、ボトル本体32内に充填された炭酸飲料43に、内部に不活性ガス42を収納した泡43aが生じる。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭酸飲料充填方法、炭酸飲料充填システム、および炭酸飲料入ボトルに係り、とりわけボトル内の初期酸素量を減らすことにより、炭酸飲料の酸化劣化を抑制することが可能な炭酸飲料充填方法、炭酸飲料充填システム、および炭酸飲料入ボトルに関する。
近年、プラスチックボトルに使用されるプラスチック材料の使用量を減らすことにより、プラスチックボトルを軽量化することが望まれている。しかしながら、プラスチックボトルを軽量化することは、プラスチックボトルの強度および内容物保存(酸素バリア)性を低下させることに繋がる。
このため、内容物保存(酸素バリア)性を高めるために、プラスチックボトルを構成する材料に酸素遮断性や酸素吸収機能性を有する材料をブレンドしたり、プラスチックボトルを多層化することにより、プラスチックボトルのガスバリア性を高める(内容物の経時酸化を抑制する)技術が使用されている。
また、内容物を充填した後、プラスチックボトル内のヘッドスペース中の酸素を不活性ガスによって置換することにより、ヘッドスペース中の酸素を除去する(内容物の初期酸化を抑制する)充填包装技術が存在する(特許文献1)。
他方、特許文献2には、不活性ガスと洗浄水(リンス水)とを混合した状態で空ボトル内に注入させる技術が示されている。
特開2008−155943号公報 特開2002−301441号公報
しかしながら、特許文献1のように、内容物入りのボトルのヘッドスペース中に不活性ガスを吹きかけ、不活性ガスにより酸素を置換することを行うのみでは、そのガス置換率に限界が存在する。とりわけ内容物の種類によっては、充填時に周囲の空気を巻き込み、泡立ち易く、かつこの泡が消えにくいものもある。このような泡立ちやすい内容物が充填されているボトルの場合、ヘッドスペース中の酸素を不活性ガスにより置換する際、ヘッドスペースのうち泡の外部の空間(液面上方空間)に存在する酸素を置換することはできるが、泡の内部に存在する酸素を置換することはできない。このような、泡内部に存在する酸素は、一定時間の経過後、泡の消滅とともにヘッドスペース中に放出されるため、結果的にヘッドスペース中の酸素量が上昇してしまうことになる。
一方、内容物が炭酸飲料からなる場合、加圧雰囲気下で充填を行う、いわゆる口部密着充填と呼ばれる充填方式が用いられるため、充填時の発泡は比較的起こりにくいと考えられる。しかしながら、充填後、キャッピングまでの間にボトルの口部が一時的に圧開放されるので、このとき内容物に泡立ちが発生する可能性がある。したがって、従来の充填方法においては、内容物が炭酸飲料からなる場合であっても、上述した問題と同様の問題が発生するおそれがある。
他方、特許文献2においては、不活性ガスを注入する工程と洗浄水(リンス水)を注入する工程とが区別されていないため、洗浄水(リンス水)の水切りを十分に行うことが難しいと考えられる。すなわち、リンス水と不活性ガスとがスプレー状に吹き出してしまうため、リンス水がボトル内壁にミスト状に残り、水切りが難しくなると考えられる。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ボトル内に最初から存在する酸素量を減らし、炭酸飲料の酸化劣化を抑制することが可能な炭酸飲料充填方法、炭酸飲料充填システム、および炭酸飲料入ボトルを提供することを目的とする。
本発明は、口部と、ボトル本体とを有するボトルに対して炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填方法において、口部からボトル本体内へ不活性ガスのみを供給してボトル本体内を不活性ガスで置換する不活性ガス置換工程と、口部からボトル本体内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填工程とを備えたことを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、不活性ガス置換工程の前に、口部からボトル本体内へリンス水を供給するリンス工程が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、炭酸飲料充填工程の後、口部からボトル本体内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、不活性ガス供給工程の後、口部にキャップを装着するキャップ装着工程が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、キャップ装着工程の後、ボトル本体内を殺菌する殺菌工程が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、殺菌工程において、ボトルに対して60℃〜75℃の温水を浴びせることによりボトル本体内を殺菌することを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、炭酸飲料は、果汁、乳成分、またははちみつ成分(動植物由来成分)を含むことを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、不活性ガス置換工程から炭酸飲料充填工程までの間が0.5秒〜20秒で行われることを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、ボトルのボトル本体は、胴部と、ペタロイド形状からなる底部とを有することを特徴とする炭酸飲料充填方法である。
本発明は、口部と、ボトル本体とを有するボトルに対して炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填システムにおいて、口部からボトル本体内へ不活性ガスのみを供給してボトル本体内を不活性ガスで置換する不活性ガス置換部と、不活性ガス置換部の下流側に設けられ、口部からボトル本体内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填部とを備えたことを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、不活性ガス置換部の上流側に、口部からボトル本体内へリンス水を供給するリンス部が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、炭酸飲料充填部の下流側に、口部からボトル本体内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給部が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、不活性ガス供給部の下流側に、口部にキャップを装着するキャップ装着部が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、キャップ装着部の下流側に、ボトル本体内を殺菌する殺菌部が設けられていることを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、殺菌部において、ボトルに対して60℃〜75℃の温水を浴びせることによりボトル本体内を殺菌することを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、炭酸飲料は、果汁、乳成分、またははちみつ成分(動植物由来成分)を含むことを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、不活性ガス置換部でボトル本体内を不活性ガスで置換してから、炭酸飲料充填部でボトル本体内へ炭酸飲料を充填するまでの間が0.5秒〜20秒で行われることを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、ボトルのボトル本体は、胴部と、ペタロイド形状からなる底部とを有することを特徴とする炭酸飲料充填システムである。
本発明は、ボトル本体と口部とを有するボトルと、ボトルのボトル本体内に1℃〜10℃の温度で充填された炭酸飲料とを備え、炭酸飲料に、内部に不活性ガスを収納した泡が形成されていることを特徴とする炭酸飲料入ボトルである。
本発明は、ボトルのボトル本体は、胴部と、ペタロイド形状からなる底部とを有することを特徴とする炭酸飲料入ボトルである。
本発明によれば、口部からボトル本体内へ不活性ガスのみを供給してボトル本体内を不活性ガスで置換した後、口部からボトル本体内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料を充填する。このため、ボトル本体内に不活性ガスが充填されるとともに、炭酸飲料に、内部に不活性ガスを収納した泡が形成される。これにより、ボトル内に最初から存在する酸素量(初期容器内総酸素量)を減らすことができ、炭酸飲料の初期酸化劣化を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施の形態による炭酸飲料充填システムを示す構成図。 図2は、本発明の一実施の形態による炭酸飲料充填システムのリンス部および不活性ガス置換部を示す概略断面図。 図3は、本発明の一実施の形態による炭酸飲料充填方法を示すフロー図。 図4(a)〜図4(d)は、本発明の一実施の形態による炭酸飲料充填方法の各工程におけるボトルを示す図。 図5は、実施例1、3および比較例で用いられるボトルを示す斜視図。 図6は、実施例2で用いられるボトルを示す斜視図。 図7は、実施例1〜3と比較例との間で炭酸飲料の色差ΔEを比較するグラフ。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明の一実施の形態を示す図である。
(炭酸飲料充填システム)
まず図1乃至図2により本実施の形態による炭酸飲料充填システムについて説明する。
図1に示す炭酸飲料充填システム10は、口部31と、ボトル本体32とを有するボトル30に対して炭酸飲料43を充填するシステムである。
この炭酸飲料充填システム10は、リンス部12と、不活性ガス置換部13と、炭酸飲料充填部14と、不活性ガス供給部15と、キャップ装着部16と、殺菌部19とを備えている。これらリンス部12、不活性ガス置換部13、炭酸飲料充填部14、不活性ガス供給部15、キャップ装着部16、および殺菌部19は、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。
不活性ガス置換部13と炭酸飲料充填部14との間には、ボトル30を不活性ガス置換部13から炭酸飲料充填部14へ搬送する第1搬送機構18が設けられている。またキャップ装着部16と殺菌部19との間には、ボトル30をキャップ装着部16から殺菌部19へ搬送する第2搬送機構36が設けられている。
リンス部12は、空のボトル30の口部31からボトル本体32内へリンス水41を供給するものである。このリンス水41は、例えば25℃〜80℃程度の温水(無菌水)からなっている。なおリンス部12において、ボトル30は、口部31が下方を向くように倒立されている。
不活性ガス置換部13は、リンス部12でリンスされたボトル30に対し、その口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42のみを供給し、これによりボトル本体32内を不活性ガス42で置換するものである。この不活性ガス42としては各種のガスを用いることができるが、とりわけ窒素(N2)を用いることが好ましい。また充填する不活性ガス42の量は、ボトル30の容積を上回る量とすることが好ましい。なお、不活性ガス置換部13において、ボトル30は口部31を下方に向けたままの状態である。このように、不活性ガス42を用いてボトル30内の空気(酸素)を置換することにより、ボトル30内に不活性ガス42が充填される。
次に図2を用いて、このリンス部12および不活性ガス置換部13の構成について更に詳細に説明する。
図2に示すように、リンス部12および不活性ガス置換部13は、それぞれディストリビュータ50上に配置されている。このディストリビュータ50は、固定部51と、固定部51上で一定方向に回転する回転部52とを有している。このうち回転部52に、上方に向けて突出する複数のノズル53が連結されている。そしてボトル30は、回転部52の回転に伴い、口部31内に挿入された各ノズル53とともに一定方向に回転するようになっている。なお、ディストリビュータ50は平面円形形状からなっているが、図2では、便宜上、ディストリビュータ50の一部分のみを模式的に示している。
リンス部12は、リンス水41を収容したリンス水タンク59と、リンス水タンク59に連結されたリンス水供給管54と、リンス水供給管54に連結されたリンス水供給空間55とを有している。このうちリンス水供給空間55は、固定部51内に形成されるとともに、回転部52の回転に伴ってリンス水供給空間55上方に移動してきたノズル53と連通するようになっている。これによりリンス水41は、リンス水タンク59から、リンス水供給管54、リンス水供給空間55、および各ノズル53を順次介してボトル30内に供給され、ボトル30内が洗浄される。
他方、不活性ガス置換部13は、不活性ガス42を収容した不活性ガスタンク56と、不活性ガスタンク56に連結された不活性ガス供給管57と、不活性ガス供給管57に連結された不活性ガス供給空間58とを有している。このうち不活性ガス供給空間58は、固定部51内に形成されるとともに、回転部52の回転に伴って不活性ガス供給空間58上方に移動してきたノズル53と連通するようになっている。これにより不活性ガス42は、不活性ガスタンク56から、不活性ガス供給管57、不活性ガス供給空間58、および各ノズル53を順次介してボトル30内に供給され、ボトル30内の空気と置換される。
再び図1を参照すると、不活性ガス置換部13の下流側に、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ炭酸飲料43を充填する炭酸飲料充填部14が設けられている。この炭酸飲料充填部14において、不活性ガス42が充填された状態のボトル30に対して炭酸飲料43が充填される。炭酸飲料充填部14での充填時における炭酸飲料43の温度は1℃〜10℃であり、好ましくは5℃〜10℃である。このように炭酸飲料43の温度を1℃〜10℃のチルド域とする理由は、液温が10℃を上回ると炭酸ガスが炭酸飲料43から抜けやすくなってしまうためである。
炭酸飲料43は、炭酸ガスを含む各種飲料からなっていて良いが、とりわけ、果汁(植物系)、乳成分(動物系)、またははちみつ成分を含む炭酸飲料を好適に用いることができる。このうち果汁としては、オレンジ、ブラッドオレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等の柑橘類、リンゴ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類等の各種果物の搾汁(果汁)、豆乳等が挙げられる。これらは1種類の果物の搾汁であってもよいし、2種類以上の果物の搾汁の混合液であってもよい。
なお不活性ガス置換部13と炭酸飲料充填部14との間の第1搬送機構18において、口部31が上方を向くようにボトル30を上下反転するようになっている。
炭酸飲料充填部14の下流側には、不活性ガス供給部15が設けられている。この不活性ガス供給部15は、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42を供給し、ボトル本体32のうち炭酸飲料43の液面上方の空間(液面上方空間32a)内に不活性ガス42を充填するものである(不活性ガス供給部)。この場合、不活性ガス42としては、不活性ガス置換部13において供給されるガスと同様に、例えば窒素(N2)を用いることができる。なお、不活性ガス供給部15で供給される不活性ガスが、不活性ガス置換部13で供給される不活性ガスと異なる種類のガスからなっていても良い。この不活性ガス供給部15で充填される不活性ガス42の量は、泡43aおよび液面上方空間32aの合計容積と同等以上の量とすることが好ましい。ここで本明細書中、液面上方空間32aとは、ボトル本体32内部の空間のうち、炭酸飲料43の液面上方に形成される空間であって、炭酸飲料43に発生する泡43aを除いたものをいう。したがって、泡43aおよび液面上方空間32aに含まれる気体が、市場に出た後におけるヘッドスペース中の気体に相当する。
不活性ガス供給部15の下流側に設けられたキャップ装着部16は、ボトル30の口部31にキャップ33を装着することにより、ボトル30を密閉するものである。このように、ボトル30の口部31にキャップ33を装着することにより、炭酸飲料入ボトル35が得られる。
また殺菌部19は、直立した状態の炭酸飲料入ボトル35に対して、ボトル30の外面から温水シャワーを浴びせることにより、ボトル本体32内の炭酸飲料43を殺菌するものである。具体的には、温水ノズル45からボトル30に対して例えば60℃〜75℃の温水を10分以上浴びせることにより殺菌を行う(中温殺菌)。
なお、図示していないが、リンス部12の上流側に、予めボトル30内部を殺菌する容器殺菌部を設けても良い。この場合、容器殺菌部は、ミスト状、棒状、または噴水式に噴出される殺菌剤(例えば過酸化水素水または過酢酸)により空のボトル内を殺菌するものであっても良く、電子線殺菌(EB(Electron Beam)殺菌)により空のボトル内を殺菌するものであっても良い。
(炭酸飲料充填方法)
次に、図3および図4により、本実施の形態による炭酸飲料充填方法について説明する。本実施の形態による炭酸飲料充填方法は、上述した炭酸飲料充填システム10(図1)を用いて行われるものである。
まず空のボトル30が、口部31を下方に向けた状態でリンス部12に搬送されてくる。次にこのリンス部12において、ボトル30の口部31からボトル本体32内へリンス水41が供給される(リンス工程)(図3のステップS1)。このように、リンス水41を用いてボトル30内を洗浄することにより、ボトル30内に残存する異物等を取り除く。
続いて、ボトル30は、口部31を下方に向けた状態のまま不活性ガス置換部13に搬送される(図2参照)。この不活性ガス置換部13において、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42のみを供給し、ボトル本体32内を不活性ガス42で置換する(不活性ガス置換工程)(図3のステップS2)。このように、ボトル本体32内に下方から不活性ガス42を噴射することにより、ボトル本体32内に残存するリンス水41を効果的に取り除くことができるという効果もある。
次に、不活性ガス42が充填されたボトル30は、第1搬送機構18において口部31が上方を向くように上下反転され、炭酸飲料充填部14に搬送される。続いて、炭酸飲料充填部14において、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ炭酸飲料43が充填される(炭酸飲料充填工程)(図3のステップS3、図4(a))。この場合、炭酸飲料43の充填温度は、1℃〜10℃であり、好ましくは5℃〜10℃である。
この炭酸飲料43には、予め炭酸ガスが封入されている(炭酸封入工程)。炭酸飲料43の炭酸ガスの強度は、ガスボリューム(G.V.)が2.0〜4.0の炭酸ガスを封入した程度に相当するものを用いることができる。なお、上述した炭酸封入工程において、液中に含まれる酸素等の気体が炭酸ガスに置き換わるため、このように低温(1℃〜10℃)で充填しているにも関わらず、溶存酸素量が低く抑えられている。
また、炭酸飲料充填工程において、炭酸飲料43は、口部密着充填と呼ばれる加圧雰囲気下での充填方式により充填されるので、充填された直後には、炭酸飲料43の内部および表面に泡は生じにくい(図4(b))。
ところで、本実施の形態において、炭酸飲料43は、上述したように果汁(植物系)、乳成分(動物系)、またははちみつ成分を含む炭酸飲料からなっていることが好ましい。すなわち、本実施の形態によれば、炭酸飲料43の初期酸化を抑制する効果が高いため、炭酸飲料43に含まれる果汁(植物系)、乳成分(動物系)、またははちみつ成分のような天然由来の成分の酸化劣化を防止することができ、素材感を維持した炭酸飲料を提供することができる。
炭酸飲料充填工程の後、ボトル30は不活性ガス供給部15に搬送される。次いで、この不活性ガス供給部15において、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42が供給される(不活性ガス供給工程)(図3のステップS4、図4(c))。これにより、ボトル本体32の液面上方空間32a内に不活性ガス42が充填され、不活性ガス置換部13から炭酸飲料充填部14を経て不活性ガス供給部15に至るボトル30の搬送中に一部失われた不活性ガス42が、ボトル本体32内に補填される。
なお、炭酸飲料充填工程(図3のステップS3)においては、上述したように口部密着充填(加圧充填)を行っているので、充填時の泡立ちは起こりにくい。しかしながら、不活性ガス供給工程においては、ボトル30の口部31が一時的に開放されるので、このとき泡立ちが発生する(図4(c)参照)。すなわち、ボトル本体32に充填された炭酸飲料43の内部および表面に多数の泡43aが生じる。この場合、上述したように、不活性ガス置換工程においてボトル本体32内に不活性ガス42が導入されているので、泡43aの内部には不活性ガス42が収容される。また、炭酸飲料43中にも不活性ガス42が包み込まれている。
その後、ボトル30はキャップ装着部16に搬送される。このキャップ装着部16において、ボトル30の口部31にキャップ33を装着することにより、炭酸飲料入ボトル35が得られる(キャップ装着工程)(図3のステップS5、図4(d))。
この密栓後の炭酸飲料入ボトル35は、ボトル本体32と口部31とを有するボトル30と、ボトル30の口部31に装着されたキャップ33と、ボトル30のボトル本体32内に充填された炭酸飲料43とを備えている。また、ボトル本体32の液面上方空間32a内に不活性ガス42が充填されるとともに、内部に不活性ガス42を収納した泡43aが形成されている(図4(d))。したがって、ボトル30内に最初から存在する酸素量(初期容器内総酸素量)がきわめて少なく抑えられている。なお、炭酸飲料入ボトル35においては、ボトル30内が炭酸ガス(内圧)によって膨張する為、一般的な飲料の場合と比べてその液面が比較的低くなる(液面上方空間32aが大きくなる)。
その後、炭酸飲料入ボトル35は、第2搬送機構36により殺菌部19に搬送される。この殺菌部19において、ボトル30の外面(側方および上方)から温水シャワーを浴びせることにより、ボトル本体32内の炭酸飲料43を殺菌する(殺菌工程、図3のステップS6)。この際、温水ノズル45からボトル30に対して、例えば60℃〜75℃の温水シャワーを10分以上浴びせることにより殺菌を行う(中温殺菌)。なお、炭酸飲料43は酸性である為、もともと菌(芽胞菌)が生育しづらい環境下にある。したがって、上記殺菌条件(すなわち60℃〜75℃の温水を10分以上浴びせるという条件)は、熱履歴が低く、ホット充填方式を採用した場合の殺菌条件よりも緩やかであるが、この場合であっても十分な殺菌効果が得られる。
なお、本実施の形態において、炭酸飲料入ボトル35の生産(搬送)速度は、100bpm〜2000bpmとすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル30の搬送速度をいう。この場合、不活性ガス置換工程(図3のステップS2)から炭酸飲料充填工程(図3のステップS3)までの間が0.5秒〜20秒で行われることが好ましい。
なお、ボトル30の主材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)等の合成樹脂材料を用いることができる。なお、ボトル30としては、後述するように、ペタロイド形状の底部を有するものを用いることが好ましい(図5および図6参照)。また、ボトル30としては、炭酸ガスバリア性を有する耐熱圧ボトルを用いることが好ましい。耐熱圧ボトルは、一般的なボトルと比較してその重量が重くなる傾向があるが、多層ボトルまたは蒸着ボトルを使用することにより、軽量化を図ることが可能である。
以上のように本実施の形態によれば、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42のみを供給してボトル本体32内を不活性ガス42で置換した後、口部31からボトル本体32内へ炭酸飲料43を充填する。このことにより、ボトル本体32内に不活性ガス42が充填されるとともに、例えば不活性ガス供給工程で、炭酸飲料43に、内部に不活性ガス42を収納した泡43aが形成される。この結果、ボトル30内の初期容器内総酸素量(製造直後における、液面上方空間32a内部に存在する酸素量、泡43a内部に存在する酸素量、および炭酸飲料43に溶解している酸素量の合計)を減らすことができ、炭酸飲料43の初期酸化劣化を抑制することができる。具体的には、500mlサイズのボトル30の場合、初期容器内総酸素量を1.5ml以下に抑えることができる。また、殺菌工程において炭酸飲料43が加熱された際にも、ボトル30内の酸素の影響によって炭酸飲料43が酸化するおそれがない。
また本実施の形態によれば、ボトル30の口部31からボトル本体32内へリンス水41を供給し(リンス工程)、その後、口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42のみを供給してボトル本体32内を不活性ガス42で置換する(不活性ガス置換工程)。したがって、不活性ガス42によってリンス水41を効果的に除去することができる。
また本実施の形態によれば、口部31からボトル本体32内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料43を充填しているので、炭酸ガスが炭酸飲料43から抜けにくい。一方、本実施の形態においては、ボトル本体32内を不活性ガス42で置換した後、ボトル本体32内へ炭酸飲料43を充填している。したがって、炭酸飲料43の温度が低温(1℃〜10℃)であるにも関わらず、炭酸飲料43に溶解する酸素量は少なく抑えられている。
さらに本実施の形態によれば、炭酸飲料入ボトル35の生産(搬送)速度は、100bpm〜2000bpmであり、また不活性ガス置換工程から炭酸飲料充填工程までの間が0.5秒〜20秒で行われるので、ボトル30に対して高速で炭酸飲料43を充填することが可能である。
次に、図5乃至図7を用いて本発明の具体的実施例を説明する。
(実施例1)
図1に示す炭酸飲料充填システム10を用い、かつ図3に示す炭酸飲料充填方法により炭酸飲料入ボトル35(実施例1)を作製した。
ボトル30としては図5に示す容量500mlの耐熱圧PETボトルを用いた。この場合、ボトル30のボトル本体32は、胴部21と、胴部21に連接するとともにペタロイド形状からなる底部22とを有している。このうち底部22は、周方向に等間隔に配置された5つの脚部23を有している。
この場合、まずボトル30の口部31からボトル本体32内へリンス水を供給し(リンス工程)、続いて、口部31からボトル本体32内へ窒素からなる不活性ガス42を550ml供給して、ボトル本体32内を窒素ガスで置換した(不活性ガス置換工程)。次に、口部31からボトル本体32内へオレンジ果汁入り炭酸飲料からなる炭酸飲料43を10℃の温度で充填した(炭酸飲料充填工程)。なお、ボトル30の搬送速度は600bpmとした。
続いて、ボトル30の口部31からボトル本体32内へ不活性ガス42を供給した(不活性ガス供給工程)。その後、口部31にキャップ33を装着し(キャップ装着工程)、ボトル30内を殺菌することにより(殺菌工程)、実施例1による炭酸飲料入ボトル35を得た。なお、炭酸飲料入ボトル35のヘッドスペースの容量は30mlであった。
続いて、このようにして得られた炭酸飲料入ボトル35(実施例1)の泡立ち量および初期容器内総酸素量を測定した。この結果、泡立ち量は17mlとなり、初期容器内総酸素量は0.8mlとなった。なお、泡立ち量とは、炭酸飲料43に生じる泡、すなわち不活性ガス42の泡43aおよび炭酸ガスの泡の合計体積をいう。
(実施例2)
ボトル30として、図6に示す容量500mlの耐熱圧PETボトルを用いたこと、以外は、上記実施例1と同様にして炭酸飲料入ボトル35(実施例2)を作製した。図6ににおいて、各脚部23の幅は図5に示すボトル30より広く、各脚部23の長さは図5に示すボトル30より短くなっている。この炭酸飲料入ボトル35(実施例2)の泡立ち量および初期容器内総酸素量を測定したところ、泡立ち量は14mlとなり、初期容器内総酸素量は1.1mlとなった。
(実施例3)
炭酸飲料充填工程の後、不活性ガス供給工程を行わなかったこと、以外は、上記実施例1と同様にして炭酸飲料入ボトル35(実施例3)を作製した。この炭酸飲料入ボトル35(実施例3)の泡立ち量および初期容器内総酸素量を測定したところ、泡立ち量は18mlとなり、初期容器内総酸素量は1.3mlとなった。
(比較例)
リンス工程の後、口部31からボトル本体32内へ窒素ではなく無菌化した空気からなるガスを550ml供給したこと、以外は、上記実施例1と同様にして炭酸飲料入ボトル(比較例)を作製した。この炭酸飲料入ボトル(比較例)の泡立ち量および初期容器内総酸素量を測定したところ、泡立ち量は17mlとなり、初期容器内総酸素量は1.8mlとなった。
このようにして得られた4つの炭酸飲料入ボトル(実施例1〜3および比較例)について、それぞれ温度40℃の暗所で3週間保存した後、色差ΔEを測定した。この結果を図7に示す。なお色差ΔEとは、充填直後の炭酸飲料43の色を0とした場合における、3週間経過後の炭酸飲料43の色の変化を数値化したものである。
この結果、実施例1〜3による炭酸飲料入ボトル35は、比較例による炭酸飲料入ボトルと比べて、3週間経過後における色差ΔEが小さく、酸化が進みにくいことが分かった。このことから、本実施の形態による炭酸飲料充填システムおよび炭酸飲料充填方法の有効性を確認することができた。
10 炭酸飲料充填システム
12 リンス部
13 不活性ガス置換部
14 炭酸飲料充填部
15 不活性ガス供給部
16 キャップ装着部
18 第1搬送機構
19 殺菌部
30 ボトル
31 口部
32 ボトル本体
33 キャップ
35 炭酸飲料入ボトル
36 第2搬送機構
41 リンス水
42 不活性ガス
43 炭酸飲料
43a 泡

Claims (20)

  1. 口部と、ボトル本体とを有するボトルに対して炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填方法において、
    口部からボトル本体内へ不活性ガスのみを供給してボトル本体内を不活性ガスで置換する不活性ガス置換工程と、
    口部からボトル本体内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填工程とを備えたことを特徴とする炭酸飲料充填方法。
  2. 不活性ガス置換工程の前に、口部からボトル本体内へリンス水を供給するリンス工程が設けられていることを特徴とする請求項1記載の炭酸飲料充填方法。
  3. 炭酸飲料充填工程の後、口部からボトル本体内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の炭酸飲料充填方法。
  4. 不活性ガス供給工程の後、口部にキャップを装着するキャップ装着工程が設けられていることを特徴とする請求項3記載の炭酸飲料充填方法。
  5. キャップ装着工程の後、ボトル本体内を殺菌する殺菌工程が設けられていることを特徴とする請求項4記載の炭酸飲料充填方法。
  6. 殺菌工程において、ボトルに対して60℃〜75℃の温水を浴びせることによりボトル本体内を殺菌することを特徴とする請求項5記載の炭酸飲料充填方法。
  7. 炭酸飲料は、果汁、乳成分、またははちみつ成分を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の炭酸飲料充填方法。
  8. 不活性ガス置換工程から炭酸飲料充填工程までの間が0.5秒〜20秒で行われることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の炭酸飲料充填方法。
  9. ボトルのボトル本体は、胴部と、ペタロイド形状からなる底部とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の炭酸飲料充填方法。
  10. 口部と、ボトル本体とを有するボトルに対して炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填システムにおいて、
    口部からボトル本体内へ不活性ガスのみを供給してボトル本体内を不活性ガスで置換する不活性ガス置換部と、
    不活性ガス置換部の下流側に設けられ、口部からボトル本体内へ1℃〜10℃の温度で炭酸飲料を充填する炭酸飲料充填部とを備えたことを特徴とする炭酸飲料充填システム。
  11. 不活性ガス置換部の上流側に、口部からボトル本体内へリンス水を供給するリンス部が設けられていることを特徴とする請求項10記載の炭酸飲料充填システム。
  12. 炭酸飲料充填部の下流側に、口部からボトル本体内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給部が設けられていることを特徴とする請求項10または11記載の炭酸飲料充填システム。
  13. 不活性ガス供給部の下流側に、口部にキャップを装着するキャップ装着部が設けられていることを特徴とする請求項12記載の炭酸飲料充填システム。
  14. キャップ装着部の下流側に、ボトル本体内を殺菌する殺菌部が設けられていることを特徴とする請求項13記載の炭酸飲料充填システム。
  15. 殺菌部において、ボトルに対して60℃〜75℃の温水を浴びせることによりボトル本体内を殺菌することを特徴とする請求項14記載の炭酸飲料充填システム。
  16. 炭酸飲料は、果汁、乳成分、またははちみつ成分を含むことを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項記載の炭酸飲料充填システム。
  17. 不活性ガス置換部でボトル本体内を不活性ガスで置換してから、炭酸飲料充填部でボトル本体内へ炭酸飲料を充填するまでの間が0.5秒〜20秒で行われることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか一項記載の炭酸飲料充填システム。
  18. ボトルのボトル本体は、胴部と、ペタロイド形状からなる底部とを有することを特徴とする請求項10乃至17のいずれか一項記載の炭酸飲料充填システム。
  19. ボトル本体と口部とを有するボトルと、
    ボトルのボトル本体内に1℃〜10℃の温度で充填された炭酸飲料とを備え、
    炭酸飲料に、内部に不活性ガスを収納した泡が形成されていることを特徴とする炭酸飲料入ボトル。
  20. ボトルのボトル本体は、胴部と、ペタロイド形状からなる底部とを有することを特徴とする請求項19記載の炭酸飲料入ボトル。
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