JP2012028516A - 銅研磨用研磨液及びそれを用いた研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、高研磨速度を維持しつつエッチング速度を充分に抑制することが可能な銅研磨用研磨液を提供する。
【解決手段】カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種の有機酸成分と、二価以上の無機酸と、アミノ酸と、保護膜形成剤と、陰イオン性界面活性剤と、砥粒と、酸化剤と、水とを含み、有機酸成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、上記無機酸の含有量が0.08mol/kg以上であり、アミノ酸の含有量が0.20mol/kg以上であり、保護膜形成剤の含有量が0.02mol/kg以上であり、保護膜形成剤の含有量に対する上記無機酸の含有量の比率が2.00以上である、銅研磨用研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、銅研磨用研磨液及びそれを用いた研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、高性能化に伴って、新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(CMP)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜層の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線形成において頻繁に利用される技術となっている(例えば、下記特許文献1参照)。
CMPに用いられる金属用研磨液は、一般に酸化剤及び固体砥粒を含有しており、必要に応じて更に酸化金属溶解剤、保護膜形成剤(金属防食剤)を含有する。酸化剤を含有する研磨液を用いたCMPの研磨は、酸化剤によって金属層表面を酸化して酸化層を形成し、その酸化層を固体砥粒によって削り取ることが基本的なメカニズムであると考えられている。
LSIを高性能化するために、配線材料として従来のアルミニウム合金に替わって銅合金の利用が進んでいる。銅合金の微細加工には、主にダマシン法が採用されている。ダマシン法では、あらかじめ溝部(凹部)及び隆起部(凸部)が形成された絶縁膜上に銅合金薄膜を堆積して溝部に銅合金を埋め込み、次いで、隆起部上に堆積した銅合金薄膜(溝部以外の銅合金薄膜)をCMPにより除去して埋め込み配線(金属配線)を形成する。
溝部に埋め込まれた銅合金の表面の酸化層は研磨布(研磨パッド)にあまり触れず、固体砥粒による削り取りの効果が及ばないが、隆起部上に堆積した銅合金薄膜の表面の酸化層は研磨布に触れるため削り取りが進む。従って、CMPの進行とともに、隆起部上の銅合金薄膜が除去されて基板表面は平坦化される(例えば、下記非特許文献1参照)。
一般にLSIの製造において、研磨される銅合金の膜厚は1μm程度であり、研磨速度が5000Å/min程度となる研磨液が使用されている(例えば、下記特許文献2参照)。
米国特許第4944836号公報 特開2003−124160号公報
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌、第138巻、11号(1991年発行) 3460〜3464頁
ところで、近年では銅合金のCMP処理は、パッケージ基板等の高性能(微細)配線板の製造や、新しい実装方法として注目されているシリコン貫通ビア(TSV:Through Silicon Vias)形成にも適用されようとしている。
しかし、これらの用途においてはLSIに比べて金属膜の膜厚が厚いため、従来のLSI用の研磨液では研磨速度が低く生産性が低下するという課題がある。特にTSV用では通常10μm以上の膜厚の銅合金を研磨する必要があるため、より高速の研磨が可能な研磨液が求められている。
また、高い研磨速度を得るためにpKaの低い酸を用いた場合、研磨液の化学的エッチング作用が増加して、金属配線の腐食が発生する、ディッシングが大きくなるなどの課題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、高研磨速度を維持しつつエッチング速度を充分に抑制することが可能な銅研磨用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明は、特定の有機酸成分、特定の無機酸及び特定の界面活性剤を用いた上で、有機酸成分、無機酸、アミノ酸及び保護膜形成剤の含有量を制御することによって、高研磨速度を維持しつつエッチング速度を充分に抑制することができることを見出してなされたものである。すなわち、本発明は、カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種の有機酸成分と、二価以上の無機酸と、アミノ酸と、保護膜形成剤と、陰イオン性界面活性剤と、砥粒と、酸化剤と、水とを含み、有機酸成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、上記無機酸の含有量が0.08mol/kg以上であり、アミノ酸の含有量が0.20mol/kg以上であり、保護膜形成剤の含有量が0.02mol/kg以上であり、保護膜形成剤の含有量に対する上記無機酸の含有量の比率が2.00以上である、銅研磨用研磨液を提供する。
本発明に係る銅研磨用研磨液では、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、高研磨速度を維持しつつエッチング速度を充分に抑制することができる。これにより、短時間で研磨処理が可能であることから充分な生産性を確保することもできる。
また、本発明に係る銅研磨用研磨液では、エッチング速度を充分に抑制しつつ、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜を優れた研磨速度でかつ平滑に研磨することができる。さらに、本発明に係る銅研磨用研磨液は、溶解作用の強い無機酸、アミノ酸、有機酸成分を含むpH緩衝溶液とすることができるため、被研磨物である銅が研磨液中に溶解してもpH変動が起こりにくい。このため、研磨の進行の程度に依存せず、安定して高い研磨速度を維持することができる。
ここで、本発明において「pKa」とは、第1解離可能酸性基の酸解離定数を意味し、当該基の平衡定数Kaの負の常用対数である。また、本発明において、特に断りがない限り「銅」とは、純銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物等をいう。また、本発明において、特に断りのない限り「銅研磨用研磨液」とは、純銅膜、銅合金膜、銅の酸化物膜、銅合金の酸化物膜等からなる単一膜、これらの複合膜、前記単一膜又は前記複合膜と他の金属膜との積層膜などを研磨するための研磨液をいう。
有機酸成分は、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの有機酸成分は、これら以外の有機酸成分を同量添加した場合と比較して、顕著に研磨速度が向上する。
本発明に係る銅研磨用研磨液のpHは1.5〜4.0であることが好ましい。この場合、pH緩衝溶液としての機能が向上し、安定して高い研磨速度を維持することが容易になる。
無機酸は、硫酸及びリン酸から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、研磨速度及び平滑性を更に高度に両立することが可能である。
アミノ酸のpKaは2〜3であることが好ましい。この場合、研磨液のpHを容易に所望の値とすることができる。
保護膜形成剤は、トリアゾール化合物であることが好ましい。トリアゾール化合物は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの場合、研磨速度と防食性とのバランスに優れた研磨液とすることができる。
本発明に係る銅研磨用研磨液では、砥粒がコロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選択される少なくとも一種であり、当該砥粒の平均二次粒子径が200nm以下であることが好ましい。この場合、研磨速度及び平滑性を更に高度に両立することが可能である。
酸化剤は、過酸化水素(H)、過硫酸及び過硫酸塩から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、研磨速度を更に優れたものとすることができる。
また、本発明は、上記銅研磨用研磨液を用いて銅を含む金属膜を研磨し、金属膜の少なくとも一部を除去する、研磨方法を提供する。なお、本発明において、特に断りのない限り「銅を含む金属膜」とは、純銅膜、銅合金膜、銅の酸化物膜、銅合金の酸化物膜等からなる単一膜、これらの複合膜、前記単一膜又は前記複合膜と他の金属膜との積層膜などをいう。
このような研磨方法によれば、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、高い研磨速度と、研磨終了後における金属膜の腐食の抑制とを両立可能であり、生産性の向上と製品歩留まりの向上とを両立できる。
本発明によれば、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、高研磨速度を維持しつつエッチング速度を充分に抑制することができる。本発明によれば、銅に対するエッチング速度が20nm/min以下と充分に低くなると共に、銅に対する研磨速度が従来の研磨液よりも格段に速くなり、4000nm/minを超えるような研磨速度が得られる。また、本発明によれば、腐食の低減が図れるため、高性能配線板やTSV等の用途、短時間で大量に銅を研磨する用途に最適な研磨液及び研磨方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る銅研磨用研磨液をVIA−LASTに用いた場合の第1の工程を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る銅研磨用研磨液をVIA−LASTに用いた場合の第2の工程を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る銅研磨用研磨液をVIA−LASTに用いた場合の第3の工程を示す模式断面図である。
本実施形態に係る銅研磨用研磨液(以下、単に「研磨液」という。)は、カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種の有機酸成分と、二価以上の無機酸(以下、特に断りがない限り、単に「無機酸」という)と、アミノ酸と、保護膜形成剤と、陰イオン性界面活性剤と、砥粒と、酸化剤と、水とを含む。本実施形態に係る研磨液において、有機酸成分の含有量は0.02mol/kg以上であり、無機酸の含有量は0.08mol/kg以上であり、アミノ酸の含有量は0.20mol/kg以上であり、保護膜形成剤の含有量は0.02mol/kg以上であり、保護膜形成剤の含有量に対する無機酸の含有量の比率は2.00以上である。
なお、有機酸成分、無機酸、アミノ酸をそれぞれ単独又はこれらの中の2種を選択し使用してもある程度研磨速度を向上させることはできるが、この場合には含有量に見合う研磨速度の向上効果を得ることができない。これに対して本実施形態に係る研磨液によれば、有機酸成分、無機酸、アミノ酸を組み合わせ、更にそれらの含有量を上記特定量とすることで、研磨液の研磨速度を飛躍的に向上させることができる。
また、別の側面として、本実施形態に係る研磨液は、有機酸成分、無機酸、アミノ酸をそれぞれ単独又はこれらの中の2種を選択し使用する場合と比較して、所定の研磨速度の向上効果を得るために必要な有機酸成分、無機酸及びアミノ酸の総含有量を低減することができるという効果を有する。更に、従来の研磨液では、研磨液へ溶解可能な含有量以上の有機酸成分、無機酸、アミノ酸から選ばれる少なくとも一種を研磨液が含有すると、研磨液の保管安定性が低下してしまうが、本実施形態に係る研磨液は、このような保管安定性の低下を抑制することができる。
一方、有機酸成分、無機酸を使用することで、研磨液のエッチング速度が高くなってしまう傾向がある。これにより、平坦性の低下、研磨後の金属膜表面が鏡面にならないといった課題が生じてしまう。この課題に対して、本実施形態に係る研磨液では、保護膜形成剤を使用することで銅表面に保護膜を形成することにより銅のエッチングを抑制している。しかしながら、従来の研磨液において、保護膜形成剤は一般的に研磨速度を抑制してしまう場合がある。これに対して、本実施形態に係る研磨液は、陰イオン性界面活性剤を含有した上で、上記特定量の有機酸成分、無機酸、アミノ酸及び保護膜形成剤を併用することで、研磨速度を高水準に維持しつつ、エッチング速度の抑制効果を得ることができる。
なお、本実施形態に係る研磨液によって研磨速度の向上効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、通常、有機酸成分、無機酸、アミノ酸及び保護膜形成剤の作用により、有機酸成分、アミノ酸、保護膜形成剤及び銅イオンを含む「反応層」が、溶出してしまい易い状態で銅表面に形成される傾向がある。しかし、本実施形態に係る研磨液では、陰イオン性界面活性剤の作用により、研磨により除去され易くかつ溶出し難い状態の反応層が形成されていると考えられる。
このような複数の研磨プロセスは、それぞれが独立して同時並行に進むのではなく、個々の研磨プロセスが他の研磨プロセスと連関して進行すると考えられる。そのため、無機酸、アミノ酸及び保護膜形成剤のうちの一種の成分のみを増やしても、他の成分による研磨プロセスがボトルネック(律速過程)になり、全体としての研磨速度は効率的に向上しないと考えられる。一方、本実施形態に係る研磨液では、それぞれの成分を特定量用いることで、各研磨プロセスが促進され、研磨速度を効率的に向上させることができると考えられる。
以下、本実施形態に係る研磨液の各構成成分について、より具体的に説明する。
(研磨液のpH)
研磨液のpHは、特に制限はなく1.0〜13.0の範囲とすることができるが、CMPによる銅の研磨速度が更に向上する点で酸性又は中性(7.0以下)の範囲であることが好ましく、それと共に、銅膜に腐食が更に生じづらくなる点で、1.5〜4.0がより好ましい。研磨液のpHが1.5以上であると、過度なディッシングが発生する等のように銅膜の平坦性が低下することを回避しやすくなる傾向があり、同様の観点から、研磨液のpHは2.0以上がより好ましい。研磨液のpHが4.0以下であると、CMPによる研磨速度が増加して更に実用的な研磨液となる傾向があり、同様の観点から、研磨液のpHは3.8以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましい。
本実施形態に係る研磨液は、有機酸成分、無機酸を含むpH緩衝溶液であることが好ましい。無機酸が強酸である場合、無機酸を多量に含有するとpHが低下してしまい、pHを所定の範囲(例えば1.5〜4.0の範囲)に調整するのは困難である傾向がある。しかし、本実施形態に係る研磨液では、有機酸成分及び無機酸に加えてアミノ酸を含有しており、有機酸成分、無機酸及びアミノ酸の含有量を調整することにより、研磨液を容易に所定の範囲(例えば1.5〜4.0の範囲)のpHを有するpH緩衝溶液とすることができる。
研磨液のpHは、有機酸成分、無機酸及びアミノ酸の含有量により適宜調整することができる。また、研磨液は、所望のpHに調整するために、酸性成分又はアルカリ成分をpH調整剤として含有することができる。酸性成分としては、例えば、塩酸、硝酸等の一価の無機酸が挙げられる。アルカリ成分としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。もちろん、pH調整剤を含まずにpHが所望の範囲である場合には、pH調整剤を含有する必要はない。
研磨液のpHは、pHメータ(例えば、堀場製作所製のpHメータF8E)で測定することができる。pHの測定値としては、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液:pH4.01(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液:pH6.86(25℃))を用いて、2点校正した後、電極を研磨液に入れて、2分以上経過し安定した後の値を採用する。
(有機酸成分)
有機酸成分としては、銅との相互作用を強め、高い研磨速度を得る点で、カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種を使用する。
カルボキシル基を2つ有する有機酸は、pKaが2.7以下であり、効果を発揮するために有効な水溶性を有している限り、従来公知の物質を特に制限なく使用することができる。カルボキシル基を2つ有する有機酸のpKaは、2.7以下であり、2.6以下が好ましく、2.5以下がより好ましい。なお、「pKa」の値については、化学便覧、基礎編II(改訂5版、丸善(株))を参照することができる。
カルボキシル基を2つ有する有機酸及びその酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される少なくとも一種が挙げられる。これらの中でも、CMPによる研磨速度を更に向上させることができるという点で、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸が好ましい。
カルボキシル基を3つ以上有する有機酸としては、例えば、クエン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メリト酸、イソクエン酸、アコニット酸、オキサロコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、クエン酸は、銅の研磨速度に更に優れるだけでなく、研磨後のパッド着色を抑制できる点で、上記カルボキシル基を2つ有する有機酸と比較しても、特に好ましい。
上記有機酸成分は、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、有機酸成分としてはアミノ酸を除く。
有機酸成分の含有量は、研磨速度に優れるという点で、研磨液全体を基準として有機酸換算で0.02mol/kg以上であり、0.03mol/kg以上が好ましい。有機酸成分の含有量は、有機酸成分を一定量以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから、有機酸成分の含有量の増加を抑制する点で、研磨液全体を基準として1.0mol/kg以下が好ましく、0.8mol/kg以下がより好ましい。なお、有機酸成分が有機酸の酸無水物である場合、有機酸成分の含有量とは、有機酸に換算した含有量を意味しており、有機酸に換算した含有量が上記範囲であることが好ましい。
(無機酸)
無機酸は、二価以上の無機酸(一価でない無機酸)であり、公知のものを特に制限なく使用することができる。無機酸としては、例えば、硫酸、リン酸、クロム酸、炭酸、モリブデン酸、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、セレン酸、テルル酸、亜テルル酸、タングステン酸、ホスホン酸等の二価の酸、リン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、バナジン酸等の三価の酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の四価以上の酸などが挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。上記の無機酸の中でも、CMPによる研磨速度が更に増加し、銅膜の表面粗さを低減できるという点で、硫酸、リン酸、又は硫酸とリン酸との混合物が好ましい。
無機酸の含有量は、研磨速度に優れるという点で、研磨液全体を基準として0.08mol/kg以上であり、0.09mol/kg以上が好ましく、0.1mol/kg以上がより好ましい。無機酸の含有量は、無機酸を一定量以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから、無機酸の含有量の増加を抑制する点で、研磨液全体を基準として1.0mol/kg以下が好ましく、0.8mol/kg以下がより好ましい。
(アミノ酸)
アミノ酸は、pHを調整し、かつ銅を溶解させる目的で使用されるものである。このようなアミノ酸としては、わずかでも水に溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シシチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記アミノ酸の中でも、研磨液のpHを1.5〜4.0に調整し易いという点で、pKaが2〜3のアミノ酸を使用することが好ましい。このようなアミノ酸としては、上記の例示化合物の中では、具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、トリプトファン等が該当する。研磨速度の向上効果が高く、安価である点で、特にグリシンが好ましい。なお、「pKa」の値については、化学便覧、基礎編II(改訂5版、丸善(株))を参照することができる。
アミノ酸の含有量は、研磨速度に優れるという点で、研磨液全体を基準として0.20mol/kg以上であり、0.23mol/kg以上が好ましく、0.25mol/kg以上がより好ましい。アミノ酸の含有量は、アミノ酸を一定量以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから、アミノ酸の含有量の増加を抑制する点で、研磨液全体を基準として2.0mol/kg以下が好ましく、1.8mol/kg以下がより好ましい。
(保護膜形成剤)
保護膜形成剤とは、銅表面に対して保護膜を形成する作用を有する物質をいう。ただし、上述のように保護膜形成剤は、研磨進行時に除去される「反応層」を構成していると考えられ、必ずしも銅が研磨されるのを防ぐための「保護膜」を形成する必要はない。
保護膜形成剤としては、効果を発揮するために有効な水溶性を有していれば、従来公知の物質を特に制限なく使用することができる。保護膜形成剤としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、ピラゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物が好ましい。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
トリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール;3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体;ベンゾトリアゾール;1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールメチルエステル、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールオクチルエステル、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、[1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル][1,2,4−トリアゾリル−1−メチル][2−エチルヘキシル]アミン、トリルトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のベンゾトリアゾール誘導体;ナフトトリアゾール等が挙げられ、中でも研磨速度と防食性のバランスに優れるという点でベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体から選択される少なくとも一種を使用することが好ましい。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2、4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−アミノイミダゾール等が挙げられる。
ピラゾール化合物としては、例えば、3,5−ジメチルピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、4−メチルピラゾール、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール等が挙げられる。
テトラゾール化合物としては、例えば、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、1−(2−ジアミノエチル)−5−メルカプトテトラゾール等が挙げられる。チアゾール化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。
保護膜形成剤の含有量は、金属の表面粗さを小さくできる点で、研磨液全体を基準として0.01mol/kg以上であり、0.015mol/kg以上が好ましく、0.02mol/kg以上がより好ましい。保護膜形成剤の含有量は、保護膜形成剤を一定量以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから、保護膜形成剤の含有量の増加を抑制する点で、研磨液全体を基準として0.3mol/kg以下が好ましく、0.25mol/kg以下がより好ましい。
保護膜形成剤の含有量(mol/kg)に対する無機酸の含有量(mol/kg)の比率(無機酸の含有量/保護膜形成剤の含有量)は、研磨速度に優れる点で、2.00以上であり、2.5以上が好ましく、2.8以上がより好ましい。上記比率は、表面粗さの増大を抑えるという点で、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。
(界面活性剤)
一般に界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の四種類に分類される。本実施形態における界面活性剤は陰イオン性界面活性剤であり、特にアルカリ金属を含まないものが好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロオクタンスルホン酸、リン酸ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクタンスルホニルアミノ)エチル]エステル、アルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩及びその誘導体が挙げられる。塩としては、例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
上記の陰イオン性界面活性剤の中でも、銅との親和性が高く、少量の添加量でエッチング速度を抑制することができるという点で、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロオクタンスルホン酸、リン酸ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクタンスルホニルアミノ)エチル]エステル、アルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロオクタンスルホン酸、アルキルスルホン酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩がより好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。アルキルスルホン酸塩としては、例えばペルフルオロアルキルスルホン酸塩が好ましい。アルキル硫酸塩としては、例えばドデシル硫酸塩が好ましい。アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
上記の陰イオン性界面活性剤は、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
陰イオン性界面活性剤の含有量は、エッチング速度を更に抑制することができる点で、研磨液全体を基準として0.001mol/kg以上が好ましく、0.003mol/kg以上がより好ましい。また、陰イオン性界面活性剤を一定量以上加えても研磨速度が低下し難くなる観点から、陰イオン性界面活性剤の含有量は、研磨液全体を基準として0.020mol/kg以下が好ましく、0.015mol/kg以下がより好ましい。
(砥粒)
砥粒としては、特に制限はなく、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、炭化珪素等の無機物砥粒、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル等の有機物砥粒を挙げることができる。中でも、研磨液中での分散安定性が良く、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数が少ない点で、シリカ及びアルミナが好ましく、粒径の制御が容易であり、研磨特性に更に優れる点で、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナがより好ましい。コロイダルシリカの製造方法としては、シリコンアルコキシドの加水分解又は珪酸ナトリウムのイオン交換による方法が知られている。コロイダルアルミナの製造方法としては、硝酸アルミニウムの加水分解による方法が知られている。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、研磨速度に更に優れると共に研磨後の表面粗さが低い点で、砥粒の平均二次粒子径が200nm以下であることが好ましく、平均二次粒子径が200nm以下であるコロイダルシリカ、コロイダルアルミナがより好ましい。なお、砥粒の平均二次粒子径とは、研磨液中の平均粒子径であり、研磨液をレーザ回折式粒度分布計(例えば、COULTER Electronics社製の商品名COULTER N4 SD)で測定したときのD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)をいう。
砥粒の平均一次粒子径は、平坦性が向上し、かつ研磨後の被研磨面に残る傷の発生を抑制できる点で、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましく、100nm以下であることが極めて好ましい。また、平均一次粒子径の下限としては、特に制限はないが、充分な物理的な削り取り作用を得ることができる点で、1nmであることがより好ましく、3nmであることが特に好ましく、5nmであることが極めて好ましい。
CMP研磨液中の砥粒の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(例えば株式会社日立製作所製のS4700)を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、例えば、上記の二種の砥粒を含む複合粒子と、そのほかの成分を混合して試験液を作製し、この試験液を適量採取する。採取量としては、砥粒含有量を考慮して決定し、例えば砥粒含有量1質量%の時は0.2cc程度採取する。採取した試験液を乾燥し、観察する。
砥粒の含有量が0.1質量%以上であれば、物理的な削り取り作用を充分に得ることができ、CMPによる研磨速度が更に大きくなる傾向がある。このような観点から、砥粒の含有量は、研磨液全体を基準として0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。また、砥粒の含有量が10質量%以下であれば粒子が凝集沈降することを抑制できる傾向にあり、10質量%を超える量を含有しても含有量に見合った研磨速度の増加が見られない傾向がある。このような観点から、砥粒の含有量は、研磨液全体を基準として10質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましい。
(酸化剤)
酸化剤としては、銅に対する酸化作用を有するものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、過酸化水素(H);過硫酸;過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;ヨウ素酸塩;臭素酸塩などが挙げられ、その中でも研磨速度に更に優れるという点で、過酸化水素、過硫酸及び過硫酸塩から選択される少なくとも一種が好ましい。これらの酸化剤は単独で又は二種類以上組み合わせて使用することができる。
酸化剤の含有量は、更に良好な研磨速度が得られやすい点で、研磨液全体を基準として0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。また、過剰に含有しても研磨速度が向上しないか、又は、かえって低下する場合もあるため、酸化剤の含有量は、研磨液全体を基準として20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
(水)
研磨液の媒体である水としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。研磨液における水の含有量は、上記含有成分の含有量の残部でよく、研磨液中に含有されていれば特に限定されない。なお、研磨液は、必要に応じて水以外の溶媒、例えばエタノール、アセトン等の極性溶媒等を更に含有してもよい。
研磨液は、上記成分の他に、分散剤や着色剤等のように一般にCMP研磨液に使用される材料を、研磨液の作用効果を損なわない範囲で含有してもよい。
(研磨方法)
本実施形態に係る研磨方法は、本実施形態に係る研磨液を用いて銅を含む金属膜を研磨し、金属膜の少なくとも一部を除去する工程を備えることを特徴とする。
研磨液は、従来の銅研磨用研磨液と比較して、極めて研磨速度が速いという特徴を有しており、例えば、LSI等のパッケージ基板等に代表される高性能(微細)配線板の製造工程において厚い金属膜を研磨する用途に特に好適に使用することができる。より具体的には、研磨されるべき銅を含む金属膜の厚みが例えば4μm以上である基板を研磨する場合に特に好適に使用することができる。
このように、非常に厚い金属膜を研磨する必要がある工程として、TSV形成工程を挙げることができる。TSVの形成方法は様々な方法が提案されているが、具体例として、VIA−LAST方法がある。以下、図面を参照しながら、VIA−LAST工程において、本実施形態に係る研磨液をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を説明する。
図1は、シリコン基板1上に銅膜4を形成する第1の工程を示す模式断面図である。図1(a)に示すように、シリコン基板1上の所定の位置に、素子2を形成する。次に、図1(b)に示すように、貫通ビアとするための凹部3をプラズマエッチング等の方法により形成する。次に、スパッタリングや電解メッキ等の方法により、凹部3を埋め込むように銅を積層して銅膜4を形成し、図1(c)に示すような構造の基板100を得る。
図2は、このように形成した基板100を研磨し、片面にバンプ5を形成する第2の工程を示す模式断面図である。図2(a)における銅膜4の表面と、研磨布(図示せず)との間に上記研磨液を供給しながら、図2(b)に示すように、素子2が露出するまで銅膜4を研磨する。
より具体的には、基板100の銅膜4と、研磨定盤の研磨布の表面との間に上記研磨液を供給しながら、基板100の銅膜4をパッドの表面に押圧した状態で、研磨定盤と基板100とを相対的に動かすことによって銅膜4を研磨する。研磨布の代わりに、金属製又は樹脂製のブラシを使用しても良い。また、研磨液を所定の圧力で吹きつけることで研磨しても良い。
研磨装置としては、例えば研磨布により研磨する場合、回転数が変更可能なモータ等に接続されていて研磨布を貼り付けることができる研磨定盤と、研磨される基板を保持できるホルダとを有する一般的な研磨装置を使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が使用でき、特に制限はない。
研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は、基板が飛び出さないように200min−1以下の低回転が好ましい。被研磨面を有する基板の研磨布への押し付け圧力(研磨圧力)は、1〜100kPaであることが好ましく、CMP速度の被研磨面内の均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、5〜50kPaであることがより好ましい。研磨している間、研磨布には研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。研磨布の表面状態を常に同一にしてCMPを行うために、研磨の前に研磨布のコンディショニング工程を入れることが好ましい。例えば、ダイヤモンド粒子のついたドレッサを用いて、少なくとも水を含む液で研磨布のコンディショニングを行う。続いて本実施形態に係る研磨液を用いたCMP研磨工程を実施し、更に、基板洗浄工程を加えることが好ましい。
続いて、図2(c)に示すように、露出した銅膜4の表面部分に、電解メッキ等の方法によりバンプ5を形成し、片面にバンプ5を有する基板200を得る。バンプ5の材質としては、銅等を挙げることができる。
図3は、もう一方の面にバンプ6を形成する第3の工程を示す模式断面図である。図3(a)に示す状態の基板200において、シリコン基板1におけるバンプ5の形成されていない面(バンプ5が形成されている面の反対面)を、CMP等の方法により研磨し、銅膜4を露出させる(図3(b))。次に、上記バンプ5の形成方法と同様の方法により、バンプ6を形成する。以上により、TSVが形成された基板300が得られる(図3(c))。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に限定しない限り、「%」とは「質量%」を意味するものとする。
[研磨液の作製]
(実施例1)
濃度96%の硫酸5.1g、濃度85%のリン酸5.8g、マレイン酸7.0g、クエン酸3.8g、セリン28.4g、ベンゾトリアゾール2.5g、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4g、及び砥粒としてテトラエトキシシランのアンモニア溶液中での加水分解により作製したコロイダルシリカ(固形分20%)35gを純水500gに加えて、コロイダルシリカ以外の成分を溶解させた。更に25%のアンモニア水溶液を添加して液のpHを2.6に調整した後、純水を更に加えて全量を700gとした。これに過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)300gを加えて、全量1000gの研磨液1を得た。
(実施例2)
マレイン酸7.0gの代わりにシュウ酸7.6gとし、セリン28.4gの代わりにグリシン20.3gとし、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4gの代わりに25%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液0.3gとし、純水の添加量を調整して全量を1000gとした以外は実施例1と同様にして研磨液2を作製した。
(実施例3)
セリン28.4gの代わりにグリシン20.3gとし、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4gの代わりに25%ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム水溶液0.3gとし、純水の添加量を調整して全量を1000gとした以外は実施例1と同様にして研磨液3を作製した。
(実施例4)
マレイン酸7.0gの代わりにシュウ酸7.6gとし、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4gの代わりにペルフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム0.1gとし、純水の添加量を調整して全量を1000gとした以外は実施例1と同様にして研磨液4を作製した。
(比較例1)
マレイン酸7.0gの代わりにシュウ酸7.6gとし、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4gを0.0gとし、純水の添加量を調整して全量を1000gとした以外は実施例1と同様にして研磨液X1を作製した。
(比較例2)
マレイン酸7.0g及びクエン酸3.8gの代わりにマレイン酸9.3g及びクエン酸0.0gとし、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4gを0.0gとし、純水の添加量を調整して全量を1000gとした以外は実施例1と同様にして研磨液X2を作製した。
(比較例3)
セリン28.4gの代わりにグリシン20.3gとし、ベンゾトリアゾール2.5gを6.0gとし、20%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.4gを0.0gとし、純水の添加量を調整して全量を1000gとした以外は実施例1と同様にして研磨液X3を作製した。
(比較例4)
濃度96%の硫酸2.6g、濃度85%のリン酸2.9g、グリシン10.2g、ベンゾトリアゾール2.0g、砥粒としてテトラエトキシシランのアンモニア溶液中での加水分解により作製したコロイダルシリカ(固形分20%)50gを純水600gに加えて、コロイダルシリカ以外の成分を溶解させた。更に25%のアンモニア水溶液を添加して液のpHを2.6に調整した後、純水を更に加えて全量を700gとした。これに、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)300gを加えて、全量1000gの研磨剤X4を得た。
(比較例5)
硫酸の含有量を5.1gとし、リン酸の含有量を5.8gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は比較例4と同様にして研磨剤X5を作製した。
(比較例6)
グリシンの含有量を20.3gとし、pH調整にアンモニア水溶液にかえて36%の塩酸を使用し、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は比較例4と同様にして研磨剤X6を作製した。
(比較例7)
ベンゾトリアゾールの含有量を4.0gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は比較例4と同様にして研磨剤X7を作製した。
(比較例8)
有機酸としてシュウ酸を5.4g更に加え、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は比較例4と同様にして研磨剤X8を作製した。
[平均二次粒子径の測定]
上記研磨液1〜4及び研磨液X1〜X8の砥粒の平均二次粒子径を測定したところ、いずれの研磨液においても平均二次粒子径は70nmであった。なお、COULTER Electronics社製の商品名「COULTER N4 SD」を用いて得られたD50の値を平均二次粒子径とした。
[研磨液のpH測定]
上記研磨液1〜4及び研磨液X1〜X8のpHを、堀場製作所製pHメータF8Eを用いて測定した。
[評価項目及び評価方法]
CMPによる銅の研磨速度(以下、単に「研磨速度」という。)及びエッチング速度を以下のようにして測定した。
(研磨速度)
直径8インチ(20.3cm)(φ)サイズのシリコン基板上に厚さ20μmの銅膜を製膜した基板(アドバンテック社より購入)を用意した。この基板を使用し、上記研磨液1〜4及び研磨液X1〜X8を、研磨装置の定盤に貼り付けた研磨布に滴下しながら、CMP研磨を行った。
なお、研磨条件は下記の通りである。
研磨装置:定盤寸法は直径600mm(φ)、ロータリータイプ
研磨布:独立気泡を持つ発泡ポリウレタン樹脂(IC−1010、ロームアンドハース社製)
研磨圧力:32kPa
研磨定盤/ヘッド回転速度:93/87rpm
研磨液流量:200ml/min
基板のCMP前後での膜厚差をシート抵抗値の変化から換算して求め、膜厚差から研磨速度を求めた。測定装置はナプソン社製抵抗率測定器Model RT−7を用いた。ウエハの直径方向77点(エッジから5mm部分除外)の平均値を抵抗値とした。
(エッチング速度)
攪拌した研磨液(室温(25℃)、攪拌600rpm)へ銅膜が製膜された測定基板を浸漬し、浸漬前後の銅膜の膜厚差を電気抵抗値から換算して求め、膜厚差からエッチング速度を求めた。測定基板は、直径8インチ(20cm)(φ)サイズのシリコン基板上に厚さ20μmの銅膜が製膜された基板(グローバルネット社製)を2cm×2cmに切断したチップを用いた。研磨液の液量は100mlとした。なお、エッチング速度の測定は、研磨液1〜4及び研磨液X1〜X3についてのみ行い、研磨液X4〜X8については行わなかった。
上記研磨液1〜4及び研磨液X1〜X8の構成成分、各研磨液のpH及び評価結果を表1,2に示す。なお、4000nm/minを超える研磨速度が得られると共に20nm/min以下のエッチング速度が得られる場合を優れた研磨液として評価した。
Figure 2012028516
Figure 2012028516
表1,2に示す結果より下記のことがわかる。すなわち、実施例1〜4におけるそれぞれの研磨液1〜4は、比較例1〜8におけるそれぞれの研磨液X1〜X8に比べ、高い研磨速度を維持しつつ、充分抑制されたエッチング速度を示すことが分かった。
一方、界面活性剤を配合していない比較例1の研磨液X1は、実施例1の研磨液1に対して研磨速度は同等であるが、エッチング速度が上昇した。界面活性剤を配合していない比較例2の研磨液X2は、実施例1の研磨液1に対してエッチング速度が上昇し、研磨速度が低下した。界面活性剤を配合していない比較例3の研磨液は、実施例1の研磨液1に対してエッチング速度が上昇し、研磨速度が低下した。界面活性剤を配合していない比較例4〜8の研磨液X4〜X8は、実施例1の研磨液1に対して研磨速度が低下した。
以上より、陰イオン界面活性剤を添加することで、銅に対して、研磨速度を維持しつつ、エッチング速度を抑制することができる研磨液が得られることがわかる。特に、銅に対する研磨速度が4000nm/minを超えるような研磨液は、短時間で大量に銅を研磨する用途、例えばTSV形成用途に最適である。
1…シリコン基板、2…素子、4…銅膜、5,6…バンプ、100,200,300…基板。

Claims (10)

  1. カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種の有機酸成分と、二価以上の無機酸と、アミノ酸と、保護膜形成剤と、陰イオン性界面活性剤と、砥粒と、酸化剤と、水とを含み、
    前記有機酸成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、
    前記無機酸の含有量が0.08mol/kg以上であり、
    前記アミノ酸の含有量が0.20mol/kg以上であり、
    前記保護膜形成剤の含有量が0.02mol/kg以上であり、
    前記保護膜形成剤の含有量に対する前記無機酸の含有量の比率が2.00以上である、銅研磨用研磨液。
  2. 前記有機酸成分が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の銅研磨用研磨液。
  3. pHが1.5〜4.0である、請求項1又は2に記載の銅研磨用研磨液。
  4. 前記無機酸が、硫酸及びリン酸から選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の銅研磨用研磨液。
  5. 前記アミノ酸のpKaが2〜3である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の銅研磨用研磨液。
  6. 前記保護膜形成剤がトリアゾール化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の銅研磨用研磨液。
  7. 前記トリアゾール化合物が、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の銅研磨用研磨液。
  8. 前記砥粒がコロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選択される少なくとも一種であり、当該砥粒の平均二次粒子径が200nm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の銅研磨用研磨液。
  9. 前記酸化剤が、過酸化水素、過硫酸及び過硫酸塩から選択される少なくとも一種である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の銅研磨用研磨液。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の銅研磨用研磨液を用いて銅を含む金属膜を研磨し、前記金属膜の少なくとも一部を除去する、研磨方法。
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