JP2013004660A - 銅研磨用研磨剤及びそれを用いた研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅膜を高研磨速度でかつ平滑に研磨するとともにバリア膜の研磨速度を抑制することが可能であり、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨においても、良好な仕上がりと充分な生産性を確保できる銅研磨用研磨剤及びそれを用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】(A)二価以上の無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上、(D)成分の平均粒径が100nm以上であり、下記(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす銅研磨用研磨剤。
(i)(C)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の比率が2.00以上である。
(ii)(G)有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種を更に含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、銅研磨用研磨剤及びそれを用いた研磨方法に関する。また本発明は、特に、ケミカル・メカニカル・ポリッシング(CMP)工程での使用に適する、高研磨速度かつ研磨後の平滑性の高い銅研磨用研磨剤及びそれを用いた研磨方法に関する。
LSIを高性能化するために、配線材料として従来のアルミニウム合金に替わって銅合金の利用が進んでいる。銅合金は、従来のアルミニウム合金配線の形成で頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難である。そこで、あらかじめ溝部(凹部)及び隆起部(凸部)が形成された絶縁膜上に銅合金薄膜を堆積して溝部に銅合金を埋め込み、次いで、隆起部上に堆積した銅合金薄膜(溝部以外の銅合金薄膜)をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン法が、銅合金の微細加工に主に採用されている(例えば、特許文献1参照)。
銅合金等の金属に対するCMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨布(研磨パッド)を貼り付け、研磨布表面を金属用研磨剤で浸し、基体の金属膜が形成された面を研磨布表面に押し付けて、その裏面から所定の圧力(以下、「研磨圧力」という。)を金属膜に加えた状態で研磨定盤を回し、研磨剤と隆起部上の金属膜との機械的摩擦によって隆起部上の金属膜を除去するものである。
CMPに用いられる金属用研磨剤は、一般には酸化剤及び固体砥粒(以下、単に「砥粒」という。)を含有し、必要に応じて更に酸化金属溶解剤、保護膜形成剤を含有する。酸化剤を含有する研磨剤を用いたCMPの基本的なメカニズムは、まず酸化剤によって金属膜表面が酸化されて酸化層が形成され、その酸化層が砥粒によって削り取られることにより、金属膜が研磨されると考えられている。
このような研磨方法では、絶縁膜の溝部の金属膜表面の酸化層は研磨布にあまり触れず、砥粒による削り取りの効果が及ばないので、CMPの進行とともに隆起部上の金属膜が除去されて基体表面は平坦化される(例えば、非特許文献1参照)。
一般にLSIの製造において、研磨される銅合金膜の膜厚は1μm程度であり、研磨速度が5000Å/min(0.5μm/min)程度となる研磨剤が使用されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、近年では銅合金に対するCMP処理は、パッケージ基板等の高性能・微細配線板の製造や、新しい実装方法として注目されているシリコン貫通ビア(TSV:Through Silicon Vias)形成にも適用されようとしている。
しかし、これらの用途においてはLSIに比べて金属膜の膜厚が厚いため、従来のLSI用の研磨剤では研磨速度が低く生産性が低下するという課題があった。特にTSV用では通常5μm以上、場合によっては10μm以上の膜厚の銅合金膜を研磨する必要があるため、より高速の研磨が可能な研磨剤が求められている。
これに対して、特許文献3には、従来よりも高い銅研磨速度(22000〜29000Å/min(2.2〜2.9μm/min)程度)で銅合金膜を研磨することが可能な研磨剤が開示されている。
特開平2−278822号公報 特開2003−124160号公報 特開2007−150263号公報
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌、第138巻11号(1991年発行) 3460〜3464頁
特許文献3に記載の研磨剤はTSV用の研磨剤として適用し得るが、生産性の向上のために、更に高い研磨速度でかつ平滑に銅合金膜を研磨可能な研磨剤が求められている。
また、TSV用途においても、一般的な半導体の銅配線形成時と同様に、通常、絶縁膜と銅膜の間には、銅の拡散を防止するためのバリア膜を成膜する。バリア膜としては、タンタル化合物やチタン化合物が用いられることが多い。配線形成の上では、このバリア膜も研磨除去する必要があるが、しかし、これらのバリア膜導体膜は、銅又は銅合金に比べ硬度が高いために、銅又は銅合金用の研磨材料の組み合わせでは充分なCMP速度が得られない場合が多い。そのような研磨液で、バリア膜も連続して研磨しようとすると、銅又は銅合金部のディッシング(凹み)が発生してしまう。このため、多くの場合、銅を主として研磨する工程(銅研磨工程)とバリア膜を主として研磨する工程(バリア研磨工程)は分離されている。銅研磨工程の終了点付近では、銅のウエハ面内での研磨速度が完全に均一ではないことから、バリア膜が一部研磨にさらされるが、このとき、バリア膜が部分的に研磨されすぎると、バリア膜の膜厚がウエハ内でばらつきが大きい状態で次のバリア研磨工程を行う必要が生じる。このため、バリア研磨工程完了後の絶縁膜の膜厚が不均一になってうねりを生じたりする等、ウエハの仕上がりに悪影響を与えたり、バリア研磨工程の工程時間管理が難しくなる場合があった。更に、高速で銅膜を研磨可能な研磨液は、比較的多くの砥粒を配合している傾向があり、バリア膜の研磨速度が抑制しにくいという課題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、銅膜を高研磨速度でかつ平滑に研磨するとともにバリア膜の研磨速度を抑制することが可能であり、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、短時間で良好な仕上がりの研磨処理が可能で充分な生産性を確保できる銅研磨用研磨剤及びそれを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、二価以上の無機酸(以下、単に「無機酸」という。)、アミノ酸及び保護膜形成剤の含有量を所定量以上に制御することによって、銅膜を高研磨速度でかつ平滑に研磨できる研磨剤が得られることを見いだした。更に、本発明者らは、無機酸、アミノ酸及び保護膜形成剤の含有量を所定量以上に制御することに加え、砥粒の平均粒径が100nm以上とした上で、下記条件(i)及び(ii)のうち少なくとも一方を満たすことにより、高性能配線板用途、TSV用途として有用となる、銅に対する高い研磨速度(例えば、研磨圧力:3psi(20.7kPa)において30000Å/min(3μm/min)を超える研磨速度)かつバリア膜に対する低い研磨速度(例えば、研磨圧力:2psi(13.8kPa)において窒化タンタルの研磨速度が500Å/min(0.05μm/min)以下)が得られる研磨剤が得られることを見いだした。
条件(i)保護膜形成剤の含有量(mol/kg)に対する無機酸の含有量(mol/kg)の比率(無機酸の含有量/保護膜形成剤の含有量)が、2.00以上であること。
条件(ii)研磨剤中に有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種を含むこと。
すなわち、本発明は、第1の実施形態として、(A)無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、(C)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の比率が2.00以上であり、前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である銅研磨用研磨剤を提供する。
本発明は、第2の実施形態として、(A)無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水と、(G)有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である銅研磨用研磨剤銅研磨用研磨剤を提供する。
なお、本発明において、特に断りがない限り、「銅」とは、純銅の他、銅を含む金属(例えば銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物)を含むものとする。また、「バリア膜」とは、銅配線形成時に銅の拡散を抑制や銅の密着性を向上させることを目的として形成された膜であり、純タンタル、純チタンの他、タンタル化合物やチタン化合物を含む。本発明において、特に断りのない限り、「銅研磨用研磨剤」とは、純銅からなる金属膜、銅を含む金属膜(例えば銅合金膜)、又はそれらの金属膜と他の金属との積層膜を研磨するための研磨剤をいう。
上記銅研磨用研磨剤は、銅膜を高研磨速度で平滑に研磨すること及びバリア膜の研磨速度抑制が可能であり、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、短時間で研磨処理が可能で充分な生産性を確保できる。また、このような銅研磨用研磨剤は、溶解作用の強い(A)無機酸及び(B)アミノ酸を含むpH緩衝溶液であるため、被研磨物である銅が研磨剤中に溶解してもpH変動が起こりにくい。このため、研磨の進行の程度に依存せず、安定して高い研磨速度を維持することができると考えられる。更に、適切な平均粒径を有する砥粒を使用することでバリア膜の研磨速度の抑制が可能である。
第1の実施形態の銅研磨用研磨剤(該銅研磨用研磨剤が塩酸水溶液等の酸性成分や、アンモニア水溶液等のアルカリ成分をpH調整剤として含む場合には該pH調整剤を除く)のpHを4まで増加させるために要する水酸化カリウムの量は、銅研磨用研磨剤1kg当たり0.10mol以上であることが好ましい。このような研磨剤によれば、銅膜を更に高研磨速度でかつ更に平滑に研磨することができ、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、更に短時間で研磨処理が可能で充分な生産性を確保することができる。
また、本発明では、前記条件(i)及び(ii)の両方を満たすことにより、銅膜を更に高研磨速度でかつ更に平滑に研磨することが可能であり、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、更に短時間で研磨処理が可能で充分な生産性を確保できる。すなわち、本発明は、第3の実施形態として、(A)無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水と、(G)有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、(C)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の比率が2.00以上であり、前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である銅研磨用研磨剤を提供する。
第2及び第3の実施形態の銅研磨用研磨剤は、該銅研磨用研磨剤から(G)成分を除いた組成物(銅研磨用研磨剤が塩酸水溶液等の酸性成分や、アンモニア水溶液等のアルカリ成分をpH調整剤として含む場合には該pH調整剤も除く)のpHを4まで増加させるために要する水酸化カリウムの量が、前記組成物1kg当たり0.10mol以上であることが好ましい。このような研磨剤によれば、銅膜を更に高研磨速度でかつ更に平滑に研磨することができ、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、更に短時間で研磨処理が可能で充分な生産性を確保することができる。
第2及び第3の実施形態の銅研磨用研磨剤では、(G)成分の含有量が0.02mol/kg以上であることが好ましい。
第2及び第3の実施形態の銅研磨用研磨剤では、(G)成分が、カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
カルボキシル基を2つ有する有機酸のうちpKaが2.7以下であるものは、pKaが2.7を超える有機酸よりも銅表面に対する相互作用が強く、このような有機酸及びその酸無水物は、研磨速度の向上効果が高いものと考えられる。また、カルボキシル基を3つ以上有する有機酸は、pKaが2.7以下の場合に加えて、pKaの値が2.7を超える場合であってもカルボキシル基を3つ以上有していることにより、銅に対する相互作用が強く、研磨速度の向上効果が高いものと考えられる。
ここで、「pKa」とは、第1解離可能酸性基の酸解離定数を意味し、該基の平衡定数Kaの負の常用対数である。
第2及び第3の実施形態の銅研磨用研磨剤では、(G)成分がシュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸及びクエン酸から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの(G)成分は、これら以外の有機酸及びその酸無水物を同量添加した場合と比較して、顕著に研磨速度が向上する。
本発明の銅研磨用研磨剤の砥粒は、平均粒径が100nm以上である。この場合、銅研磨速度を維持したままバリア膜の研磨速度を良好に抑制することができる。
本発明の銅研磨用研磨剤のpHは1.5〜4.0であることが好ましい。この場合、pH緩衝溶液としての機能を有し易く、安定して高い研磨速度を維持することが容易になる。
本発明の銅研磨用研磨剤では、(A)成分が、硫酸及びリン酸から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、研磨速度及び平滑性を更に高度に両立することが可能である。
本発明の銅研磨用研磨剤は、(B)成分としてpKaが2〜3のアミノ酸を含むことが好ましい。この場合、銅研磨用研磨剤のpHを容易に所望の値とすることができる。
本発明の銅研磨用研磨剤では、(C)成分が、トリアゾール化合物であることが好ましく、トリアゾール化合物が、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。これらの場合、研磨速度を更に向上させることができると共に、研磨速度と防食性とのバランスに優れた研磨剤とすることができる。
本発明の銅研磨用研磨剤では、(D)成分が、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の銅研磨用研磨剤では、(E)成分が、過酸化水素、過硫酸及び過硫酸塩から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの(E)成分は研磨促進作用が特に高いことから酸化剤として好適である。
また、本発明は、上記銅研磨用研磨剤を用いて銅を含む金属膜を研磨し、金属膜の少なくとも一部を除去する、研磨方法を提供する。
このような研磨方法によれば、高い研磨速度と、研磨終了後の金属膜の表面状態が粗くなることを抑制する効果との両立が可能であり、高性能配線板やTSV等の厚い金属膜の研磨が必要とされる用途においても、生産性の向上と製品歩留まりの向上とを両立できる。
上記研磨方法では、高い研磨速度及び平滑な研磨を両立できるので、上記金属膜の最大厚みが5μm以上であるもの、特に10μm以上であるものに好適に適用することができる。なお、「金属膜の最大厚み」とは、研磨すべき部分の金属膜の厚みのうち最大であるものをいい、金属膜が基板の凹部上に形成されている場合における凹部の金属膜の厚さは含まない。
更に、上記研磨方法では、高い研磨速度及び平滑な研磨を両立できるので、金属膜に対する銅研磨速度を30000Å/min(3μm/min)以上とすることができる。
本発明の銅研磨用研磨剤では、バリア膜の研磨速度を抑制しつつ、銅に対して、通常の研磨剤よりも格段に高い研磨速度を示す。特に、本発明によれば、銅に対する研磨速度が30000Å/min(3μm/min)を超えるような研磨剤が得られるため、高性能配線板用途、TSV用途等の、短時間で大量に銅を研磨する用途に最適な銅研磨用研磨剤及びそれを用いた研磨方法を提供することができる。また、本発明の銅研磨用研磨剤では、銅膜を高研磨速度で研磨することが可能であると共に、銅膜を平滑に研磨することも可能である。
本発明の一実施形態に係る研磨剤をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を示す第1の工程図である。 本発明の一実施形態に係る研磨剤をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を示す第2の工程図である。 本発明の一実施形態に係る研磨剤をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を示す第3の工程図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る銅研磨用研磨剤(以下、単に「研磨剤」という。)は、前記条件(i)を満たす。すなわち、第1実施形態に係る研磨剤は、(A)無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、(C)成分の含有量(mol/kg)に対する(A)成分の含有量(mol/kg)の比率が2.00以上であり、前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である。
なお、(A)成分又は(B)成分をそれぞれ単独で使用してもある程度研磨速度を向上させることはできるが、この場合には含有量に見合う研磨速度の向上効果を得ることができない。これに対して第1実施形態に係る研磨剤によれば、(A)成分及び(B)成分を併用し、更にそれらの含有量を上記特定量とすることで、研磨剤の研磨速度を飛躍的に向上させることができる。また、別の側面として、第1実施形態に係る研磨剤は、(A)成分又は(B)成分をそれぞれ単独で使用する場合と比較して、所定の研磨速度の向上効果を得るために必要な(A)成分及び(B)成分の含有量を低減することができるという効果を有する。
また、従来の研磨剤において、(C)成分の使用は、銅表面に保護膜を形成することによる銅のエッチングの抑制効果がある一方、一般的には研磨速度を抑制してしまう場合があった。これに対して第1実施形態に係る研磨剤によれば、上記特定量の(A)成分及び(B)成分の併用や、(C)成分を特定量用いることで、研磨速度を高水準に維持しつつ、エッチング速度の抑制効果を得ることができる。
なお、第1実施形態に係る研磨剤によって研磨速度の向上効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、(C)成分と(A)成分の作用により、銅表面に、(C)成分及び銅イオンを含む「反応層」が形成される。更に、(B)成分が銅イオンにキレート化することで、反応層がより除去しやすい状態となり、研磨が促進されるものと考えられる。
このような複数の研磨プロセスは、それぞれが独立して同時並行に進むのではなく、個々の研磨プロセスが他の研磨プロセスと連関して進行すると考えられる。そのため、(A)成分、(B)成分及び(C)成分のうちの一種の成分のみを増やしても、他の成分による研磨プロセスがボトルネック(律速過程)になり、全体としての研磨速度は効率的に向上しないと考えられる。一方、第1実施形態に係る研磨剤では、それぞれの成分を特定量用いることで、各研磨プロセスが促進され、研磨速度を効率的に向上させることができると考えられる。
以下、第1実施形態に係る研磨剤の各構成成分について、より具体的に説明する。
(pH)
第1実施形態に係る研磨剤のpHは、CMPによる銅に対する研磨速度が大きく、銅膜に腐食を生じさせないという点で、1.5〜4.0の範囲であることが好ましい。pHが1.5以上であると、銅膜の表面粗さを低減しやすくなる傾向があり、同様の観点から、pHは2.0以上がより好ましい。pHが4.0以下であると、CMPによる研磨速度が増加してより実用的な研磨剤となる傾向があり、同様の観点から、pHは3.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。
第1実施形態に係る研磨剤は、(A)成分として無機酸を含むpH緩衝溶液である。無機酸は一般に強酸であり、無機酸を多量に含有するとpHが低下してしまい、pHを所定の範囲(例えば1.5〜4.0の範囲)に調整するのは困難である。しかし、第1実施形態に係る研磨剤では、無機酸に加えて(B)成分としてアミノ酸を含有しており、(A)成分及び(B)成分の含有量を調整することにより、研磨剤を容易に所定の範囲(例えば1.5〜4.0の範囲)のpHを有するpH緩衝溶液とすることができる。
第1実施形態に係る研磨剤のpHは、所望のpHに調整するために、研磨剤の構成成分(例えば無機酸やアミノ酸)の添加量により調整してもよく、酸性成分又はアルカリ成分をpH調整剤として添加してもよい。このようなpH調整剤としては、例えば、塩酸、硝酸等の一価の無機酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の塩基等を挙げることができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。もちろん、pH調整剤を含まずにpHが所望の範囲である場合には、pH調整剤を含有する必要はない。また、pH調整剤としての上記の一価の無機酸は、上記(A)成分には含まれない。
第1実施形態に係る研磨剤のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製の商品名:PH81)で測定することができる。pHとしては、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液pH:6.86(25℃))を用いて、2点校正した後、電極を研磨剤に入れて、2分以上経過して安定した後の値を採用する。
((A)成分:無機酸)
(A)成分は、二価以上の無機酸(一価でない無機酸)であり、公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、硫酸、クロム酸、炭酸、モリブデン酸、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、セレン酸、テルル酸、亜テルル酸、タングステン酸、ホスホン酸等の二価の酸、リン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、バナジン酸等の三価の酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の四価以上の酸等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記の(A)成分の中でも、CMPによる研磨速度が更に大きくなる点では、強酸(pKaが0以下である酸と定義する。以下同じ。)が好ましい。強酸としては、具体的には、硫酸、クロム酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸が挙げられ、CMPによる研磨速度が更に大きくなり、更に入手が容易である点で、硫酸がより好ましい。
銅膜の表面粗さを更に低減できるという点では、弱酸(pKaが0を超える酸と定義する。以下同じ。)が好ましい。弱酸としては、具体的には、炭酸、モリブデン酸、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、セレン酸、テルル酸、亜テルル酸、タングステン酸、ホスホン酸、リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、バナジン酸が挙げられ、リン酸が好ましい。
研磨速度の向上と表面粗さの低減とを更に高度に両立できる点では、上記強酸と上記弱酸とを組み合わせて使用することが好ましく、この観点で、硫酸及びリン酸の混合物が特に好ましい。
(A)成分の含有量は、更に研磨速度に優れる点で、研磨剤全量に対して0.08mol/kg以上であり、0.09mol/kg以上であることが好ましく、0.1mol/kg以上であることがより好ましい。(A)成分の含有量は、(A)成分を一定以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから(A)成分の含有量の増加を抑制する点で、1.0mol/kg以下であることが好ましく、0.8mol/kg以下であることがより好ましい。
((B)成分:アミノ酸)
(B)成分は、pHを調整し、かつ銅を溶解させる目的で使用されるアミノ酸である。このような(B)成分としては、わずかでも水に溶解するアミノ酸であれば特に制限はなく、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シシチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリンから選択される少なくとも一種が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記(B)成分の中でも、研磨剤のpHを調整(例えば1.5〜4.0)し易いという点で、pKaが2〜3のアミノ酸を使用することが好ましい。このようなアミノ酸としては、上記の例示化合物の中では、具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、トリプトファン等が好ましい。(B)成分としては、研磨速度の向上効果が高くかつ安価である点でグリシンがより好ましい。なお、「pKa」の値については、化学便覧、基礎編II(改訂5版、日本化学会編、丸善株式会社)を参照することができる。
(B)成分の含有量は、研磨速度に更に優れる点で、研磨剤全量に対して0.20mol/kg以上であり、0.25mol/kg以上であることが好ましい。(B)成分の含有量は、(B)成分を一定以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから(B)成分の含有量の増加を抑制する点で、2.0mol/kg以下であることが好ましく、1.8mol/kg以下であることがより好ましい。
((C)成分:保護膜形成剤)
(C)成分である保護膜形成剤とは、銅表面に対して保護膜を形成する作用を有する物質をいい、防食剤やインヒビターとも呼ばれる物質である。ただし、上述のように保護膜形成剤は、研磨進行時に除去される「反応層」を構成していると考えられ、必ずしも銅が研磨されるのを防ぐための「保護膜」を形成するものに限られない。
(C)成分としては、保護膜形成剤の添加効果を発揮するために有効な水溶性を有していればよく、従来公知の物質を特に制限なく使用することができる。(C)成分としては、例えば、キナルジン酸、アントニル酸、サリチルアルドキシム、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、ピラゾール化合物、テトラゾール化合物等の含窒素化合物が挙げられる。上記(C)成分の中でも含窒素複素環化合物が好ましく、トリアゾール化合物が特に好ましい。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
トリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体;ベンゾトリアゾール;1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールメチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールブチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールオクチルエステル、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、[1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル][1,2,4−トリアゾリル−1−メチル][2−エチルヘキシル]アミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸、3−アミノトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体;等が挙げられ、中でも研磨速度と防食性のバランスに優れるという点でベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体から選択される少なくとも一種を使用することが好ましい。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2、4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−アミノイミダゾール等が挙げられる。
ピラゾール化合物としては、例えば、3,5−ジメチルピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、4−メチルピラゾール、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール等が挙げられる。
テトラゾール化合物としては、例えば、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、1−(2−ジアミノエチル)−5−メルカプトテトラゾール等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、金属の表面粗さを更に小さくできる点で、研磨剤全量に対して、0.02mol/kg以上であり、0.025mol/kg以上であることが好ましく、0.03mol/kg以上であることがより好ましい。(C)成分の含有量は、(C)成分を一定以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから(C)成分の含有量の増加を抑制する点で、0.3mol/kg以下であることが好ましく、0.25mol/kg以下であることがより好ましい。
(C)成分の含有量(mol/kg)に対する(A)成分の含有量(mol/kg)の比率((A)成分の含有量/(C)成分の含有量)は、研磨速度に優れる点で、2.00以上である。更に研磨速度に優れる研磨剤を得ることができる観点から、前記比率は2.30以上であることが好ましく、2.50以上であることがより好ましく、2.80以上であることが更に好ましい。上記比率は、表面粗さの増大を更に抑えるという点で、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
((D)成分:砥粒)
(D)成分としては、特に制限はなく、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、炭化珪素等の無機物砥粒、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル等の有機物砥粒を挙げることができる。これらの(D)成分の中でも、研磨剤中での分散安定性が良く、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数が少ない点で、シリカ及びアルミナが好ましく、粒径の制御が容易であり、研磨特性により優れる点で、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナがより好ましい。コロイダルシリカは、シリコンアルコキシドの加水分解又は珪酸ナトリウムのイオン交換による製造方法が知られている。コロイダルアルミナは、硝酸アルミニウムの加水分解による製造方法が知られている。上記(D)成分は単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、(D)成分としては、バリア膜の研磨速度を抑制可能である点で、平均粒径が100nm以上である砥粒が好ましく、平均粒径が100nm以上であるコロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選ばれる少なくとも一種の砥粒がより好ましい。なお、粒子の「平均粒径」とは、銅研磨用研磨剤をレーザ回折式粒度分布計で測定したときのD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)をいう。
(D)成分の含有量は、物理的な研削作用が充分に得られ研磨速度が更に高くなる点で、研磨剤全量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、研磨速度が飽和し(D)成分を一定以上加えても研磨速度の増加が認められなくなることを抑制すると共に、砥粒の凝集や研磨傷の増加を抑制する観点から、(D)成分の含有量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
((E)成分:酸化剤)
(E)成分としては、銅に対する酸化作用を有する酸化剤であれば特に制限なく使用することができる。(E)成分としては、例えば、過酸化水素(H)、過硫酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム等が挙げられ、その中でも研磨速度に更に優れる点で過酸化水素、過硫酸及び過硫酸塩から選択される少なくとも一種が好ましい。上記酸化剤は単独で又は二種類以上組み合わせて使用することができる。
(E)成分の含有量は、更に良好な研磨速度が得られやすい点で、研磨剤全量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、(E)成分を過剰に含有しても研磨速度が向上しない場合、又は、かえって低下する場合となることを抑制する観点から、(E)成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
また、前記酸化剤は、研磨剤の安定性を低下させる場合があるので、研磨剤を長期(例えば1ヶ月以上)保管する必要がある等の場合は、酸化剤の水溶液と、酸化剤以外の成分の研磨剤材料とに分けて保存し、研磨直前に又は研磨中に研磨定盤上で混合することが好ましい。
((F)成分:水)
研磨剤の媒体である(F)成分としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。研磨剤における(F)成分の含有量は、他の構成成分の含有量の残部でよく、研磨剤中に含有されていれば特に限定されない。
研磨剤は、上記成分の他に、分散剤や着色剤等のように一般にCMP研磨剤に使用される材料を、研磨剤の作用効果を損なわない範囲で含有してもよい。
(中和滴定当量)
適用される基板や用途によっては、銅に対する更に高い研磨速度(例えば50000Å/min(5μm/min)を超えるような研磨速度)が求められる場合がある。このような場合、第1実施形態に係る研磨剤は、(A)無機酸、(B)アミノ酸、(C)保護膜形成剤、(D)砥粒、(E)酸化剤及び(F)水を少なくとも含む研磨剤のpHを4まで増加させるために要する水酸化カリウムの量(無機酸の水酸化カリウムによる中和滴定当量)が、研磨剤1kg当たり0.10mol以上となるように無機酸を添加することが好ましい。
第1実施形態に係る研磨剤において、無機酸の水酸化カリウムによる中和滴定当量を規定する理由は次の通りである。すなわち、第1実施形態に係る研磨剤により研磨される金属膜に含まれる銅は、研磨されると研磨剤中に陽イオンとして溶解する。ここで無機酸の添加量が少なく、pH緩衝作用を有さない研磨剤であると、銅の溶解により水素イオンが消費され研磨剤のpHが上昇してしまい、研磨速度が低下すると考えられる。一方、充分な量の無機酸を含有し、pH緩衝作用のある研磨剤を使用した場合は、銅イオン等の金属イオンが多量に溶解しても、pHの上昇は抑制され、安定した研磨が可能になる。
そのために必要な研磨剤中の無機酸の量は、研磨速度、研磨中における研磨剤流量によって多少のばらつきはあるものの、水酸化カリウムによる中和滴定当量で0.10mol/kg以上に相当する量が好ましく、0.12mol/kg以上であるとより好ましく、0.15mol/kg以上であると更に好ましく、0.20mol/kg以上であると特に好ましい。水酸化カリウムによる中和滴定当量の上限値は、例えば2.0mol/kgとすることができる。
なお、研磨剤の中和滴定当量は、次のようにして求めることができる。すなわち、研磨剤の組成から、pH調整剤(例えば、塩酸水溶液等の酸性成分、アンモニア水溶液等のアルカリ成分)を除いた組成の「中和滴定量測定用の試験液」を調製する。次に、100mlのビーカーに試験液を50ml入れ、撹拌子により80min−1で撹拌しながら濃度20%水酸化カリウム水溶液を滴下し、pHの値が4.0となったときの水酸化カリウム水溶液の添加量から中和滴定当量を算出することができる。
また、研磨剤の組成が不明な場合は、測定精度が10−8g以上のイオンクロマトグラフィーによる分析で研磨剤の組成と濃度を調べることができる。従って、その測定値から上記試験液を作製し、中和滴定当量を測定することができる。
上述の研磨剤であれば、例えば、直径:8インチ(20.3cm)の円盤状の基板を研磨する場合、研磨剤の流量を約200ml/minと設定すると、高速で研磨できることが確認されている。なお、「無機酸の水酸化カリウムによる中和滴定当量」は、研磨剤からアルカリ成分及び後述する有機酸を除いた組成である1kgの試験液を別途用意し、この試験液のpH値を4まで増加するのに必要な水酸化カリウムのモル数として定義する。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る銅研磨用研磨剤(以下、単に「研磨剤」という。)は、前記条件(ii)を満たす。すなわち、第2実施形態に係る研磨剤は、(A)無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水と、(G)有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である。
第2実施形態に係る研磨剤では、(C)成分の含有量(mol/kg)に対する(A)成分の含有量(mol/kg)の比率は必ずしも2.00以上である必要はない。第2実施形態に係る研磨剤において前記比率が2.00以上である研磨剤については、第3実施形態に係る研磨剤として後述する。
なお、(A)成分、(B)成分及び(G)成分をそれぞれ単独又はこれらの中の2種を選択し使用してもある程度研磨速度を向上させることはできるが、この場合には含有量に見合う研磨速度の向上効果を得ることができない。これに対して第2実施形態に係る研磨剤によれば、(A)成分、(B)成分及び(G)成分を組み合わせ、更にそれらの含有量を上記特定量とすることで、研磨剤の研磨速度を飛躍的に向上させることができる。
また、別の側面として、第2実施形態に係る研磨剤は、(A)成分、(B)成分及び(G)成分をそれぞれ単独又はこれらの中の2種を選択して使用する場合と比較して、所定の研磨速度の向上効果を得るために必要な上記化学成分の総含有量を低減することができるという効果を有する。更に、従来の研磨剤では、研磨剤に、(A)成分、(B)成分及び(G)成分から選ばれる少なくとも一種が、溶解可能な含有量以上含有されると、研磨剤の保存安定性が低下してしまうが、第2実施形態に係る研磨剤は、このような保存安定性の低下を抑制することができる。
また、従来の研磨剤において、(C)成分である保護膜形成剤の使用は、銅表面に保護膜を形成することによる銅のエッチングの抑制効果がある一方、一般的には研磨速度を抑制してしまう場合があった。これに対して第2実施形態に係る研磨剤によれば、上記特定量の(A)成分、(B)成分及び(G)成分の併用や、(C)成分を特定量用いることで、研磨速度を高水準に維持しつつ、エッチング速度の抑制効果を得ることができる。
なお、第2実施形態に係る研磨剤によって研磨速度の向上効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、(A)成分、(C)成分及び(G)成分の作用により、銅表面に(C)成分及び銅イオンを含む「反応層」が形成される。更に、(B)成分が銅イオンにキレート化することで、反応層がより除去しやすい状態となり、研磨が促進されるものと考えられる。
このような複数の研磨プロセスは、それぞれが独立して同時並行に進むのではなく、個々の研磨プロセスが他の研磨プロセスと連関して進行すると考えられる。そのため、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(G)成分のうちの一種の成分のみを増やしても、他の成分による研磨プロセスがボトルネック(律速過程)になり、全体としての研磨速度は効率的に向上しないと考えられる。一方、第2実施形態に係る研磨剤では、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(G)成分をそれぞれ特定量用いることにより、各研磨プロセスが促進され、研磨速度を効率的に向上させることができると考えられる。
以下、第2実施形態に係る研磨剤の構成成分について具体的に説明する。なお、第2実施形態に係る研磨剤については、第1実施形態に係る研磨剤との相違点を説明し、重複する部分の説明は省略する。
((G)成分:有機酸及びその酸無水物)
第2実施形態に係る研磨剤は、(G)成分として有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種を含有する。(G)成分としては、例えば、ギ酸、酢酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、乳酸、マンデル酸、ビニル酢酸、3−ヒドロキシ絡酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、フタル酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、オキサロ酢酸、クエン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メリト酸、イソクエン酸、アコニット酸、オキサロコハク酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、オクタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、安息香酸、ケイヒ酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、グリコール酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、ゲンチジン酸、プロカテク酸、オルセリン酸、没食子酸、タルトロン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、シトラマル酸、キナ酸、シキミ酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸,メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、シナピン酸等の有機酸、及び、無水マレイン酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の有機酸の酸無水物から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なお、(G)成分としては(B)成分のアミノ酸を除く。
(G)成分としては、カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物、並びに、カルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種が好ましい。このような(G)成分を使用することにより、銅との相互作用を強め効率的に銅イオンとキレート化することにより、更に高い研磨速度を得ることができる。
カルボキシル基を2つ有する有機酸は、効果を発揮するために有効な水溶性を有している限り、従来公知の物質を特に制限なく使用することができる。カルボキシル基を2つ有する有機酸のpKaは、2.7以下であることが好ましく、2.6以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。なお、「pKa」の値については、化学便覧、基礎編II(改訂5版、日本化学会編、丸善株式会社)を参照することができる。
カルボキシル基を2つ有し、かつpKaが2.7以下である有機酸としては、例えばシュウ酸、マレイン酸、マロン酸、オキサロ酢酸が挙げられる。カルボキシル基を2つ有し、かつpKaが2.7以下である有機酸の酸無水物としては、例えば無水マレイン酸が挙げられる。これらの有機酸及びその酸無水物の中でも、CMPによる研磨速度を更に向上させることができるという点で、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、無水マレイン酸が好ましい。
カルボキシル基を3つ以上有する有機酸としては、例えばクエン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メリト酸、イソクエン酸、アコニット酸、オキサロコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、クエン酸は、銅の研磨速度に更に優れるだけでなく、研磨後の研磨布着色が抑制できる点で好ましい。
上記有機酸及びその酸無水物は、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(G)成分の含有量は、研磨速度に更に優れるという点で、研磨剤全量に対して0.02mol/kg以上であることが好ましく、0.03mol/kg以上であることがより好ましい。(G)成分の含有量は、(G)成分を一定量以上加えても研磨速度が増加しない傾向があることから(G)成分の含有量の増加を抑制する点で、1.0mol/kg以下であることが好ましく、0.8mol/kg以下であることがより好ましい。
(中和滴定当量)
適用される基板や用途によっては、銅に対する更に高い研磨速度(例えば50000Å/min(5μm/min)を超えるような研磨速度)が求められる場合がある。このような場合、第2実施形態に係る研磨剤は、研磨剤から(G)成分を除いた組成物のpHを4まで増加させるために要する水酸化カリウムの量(無機酸の水酸化カリウムによる中和滴定当量)が、前記組成物1kg当たり0.10mol以上となるように無機酸を添加することが好ましい。
なお、有機酸を含有する研磨剤の中和滴定当量は、次のようにして求めることができる。すなわち、研磨剤の組成から、有機酸及びpH調整剤(例えば、塩酸水溶液等の酸性成分、アンモニア水溶液等のアルカリ成分)を除いた組成の「中和滴定量測定用の試験液」を調製する。次に、100mlのビーカーに試験液を50ml入れ、撹拌子により80min−1で撹拌しながら濃度20%水酸化カリウム水溶液を滴下し、pHの値が4.0となったときの水酸化カリウム水溶液の添加量から中和滴定当量を算出することができる。無機酸の水酸化カリウムによる中和滴定当量を規定する理由や、水酸化カリウムによる中和滴定当量は第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る銅研磨用研磨剤(以下、単に「研磨剤」という。)は、前記条件(i)及び(ii)の両方を満たす。すなわち、第3実施形態に係る研磨剤は、(A)無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水と、(G)有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種とを含み、(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、(C)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の比率が2.00以上であり、前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である。
本発明者らは、カルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種の(G)成分と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と(以下、場合により、これら四成分の総称を「ケミカル(化学)成分」という。)を含む研磨剤において、当該ケミカル成分の種類や含有量を制御することによって、銅を更に高速かつ平滑に研磨できる研磨剤が得られることを見出した。具体的には、本発明者らは、上記ケミカル成分の各含有量を増量(例えば、従来の約2倍以上増量)すると共に、特定の有機酸及びその酸無水物から選択される少なくとも一種を使用することにより、平滑性を維持しつつ、予想される以上に銅に対する研磨速度が向上することを見出した。
すなわち、第3実施形態に係る研磨剤では、(A)成分、(B)成分、(C)成分の含有量、及び、(C)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の比率を上記範囲とした上で、(G)成分としてカルボキシル基を2つ有しかつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物、並びに、カルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
その他、第3実施形態に係る研磨剤の構成成分については第1,2実施形態に係る研磨剤と同様であるため説明は省略する。なお、水酸化カリウムによる中和滴定当量は第2実施形態と同様に測定される。
(研磨剤の保存方法)
上記各実施形態に係る研磨剤の保存方法に特に制限はない。例えば、構成成分を全て含む1液式研磨剤として保存しても良く、互いに混合して上記各実施形態に係るCMP研磨剤となるように該研磨剤の構成成分を少なくともスラリー(第1の液)と添加液(第2の液)とに分ける2液式研磨剤として保存しても良い。上記第1実施形態が2液式研磨剤の場合、例えば、(D)砥粒及び(F)水を含有するスラリーと、(A)無機酸、(B)アミノ酸、(C)保護膜形成剤及び(F)水を含有する添加液とに分けられる。(E)酸化剤は、スラリーと添加液とを混合する際に添加される。スラリーと添加剤とを混合せずに保管すると、研磨剤の保存安定性を向上させることが可能であり、研磨速度の低下を更に抑制し、安定した研磨速度で研磨することが可能である。
(研磨方法)
本実施形態に係る研磨方法は、上記各実施形態に係る研磨剤を用いて銅を含む金属膜を研磨し、金属膜の少なくとも一部を除去することを特徴とする。本実施形態に係る研磨方法は、より具体的には、基板上に、銅を含む金属膜を積層する積層ステップと、上記各実施形態に係る研磨剤を用いて銅を含む金属膜を研磨し、当該金属膜の一部を除去する研磨ステップ、を有することを特徴とする。ここで、「銅を含む金属膜」とは、純銅からなる金属膜、銅を含む金属膜(例えば銅合金膜)、又はそれらの金属膜と他の金属との積層膜等であってもよい。
上記各実施形態に係る研磨剤は、従来の銅研磨用研磨剤と比較して、銅を含む金属膜に対する研磨速度が極めて速いという特徴を有しており、例えば、LSI等のパッケージ基板等に代表される高性能・微細配線板の製造工程における厚い金属膜を研磨するのに特に好適に使用することができる。より具体的には、研磨されるべき銅を含む金属膜の厚みが例えば4μm以上である基板を研磨する場合に特に好適に使用することができる。また、上記各実施形態に係る研磨剤は、高い研磨速度及び平滑な研磨を両立できるので、上記金属膜の最大厚みが5μm以上であるもの、特に10μm以上であるものに好適に適用することができる。
このように、非常に厚い金属膜を研磨する必要がある工程として、シリコン貫通ビア(TSV:Through Silicon Vias)形成工程を挙げることができる。TSVの形成方法としては様々な方法が提案されているが、具体例として、素子を形成した後にビアを形成するVIA−LASTといわれる方法がある。以下、図1〜3の工程図(模式断面図)を参照しながら、上記各実施形態に係る研磨剤をVIA−LASTに用いた場合の使用方法を説明する。
図1は、シリコン基板1上に銅層5を形成する工程を示す模式断面図である。図1(a)に示すように、シリコン基板1上の所定の位置に、素子2を形成する。次に、図1(b)に示すように、貫通ビアとするための凹部3をプラズマエッチング等の方法により形成する。次に、図1(c)に示すように、スパッタリングや電解メッキ等の方法により、表面全体を被覆するようにバリア膜4を形成する。次に、スパッタリングや電解メッキ等の方法により、凹部3を埋め込むように銅を積層して銅層5を形成し、図1(d)に示すような構造の基板100を得る。
図2は、このように形成した基板100を研磨し、片面にバンプ6を形成する工程を示す模式断面図である。図2(a)における銅層5の表面と、研磨布(図示せず)との間に上記研磨剤を供給しながら、図2(b)に示すように、バリア膜4が露出するまで銅層5を研磨する。更に、銅の研磨が完了した後、図2(c)に示すように、バリア膜研磨用の研磨剤を用いて同様にバリア膜4を除去して、素子2を露出させる。
より具体的には、基板100の銅層5と研磨定盤の研磨布の表面との間に上記研磨剤を供給しながら、基板100の銅層5を研磨布の表面に押圧した状態で、研磨定盤と基板100とを相対的に動かすことによって銅層5を研磨する。研磨布の代わりに、金属製又は樹脂製のブラシを使用しても良い。また、研磨剤を所定の圧力で吹きつけることで研磨しても良い。
研磨装置としては、例えば研磨布により研磨する場合、回転数が変更可能なモータ等に接続されていると共に研磨布を貼り付けることができる研磨定盤と、研磨される基板を保持できるホルダとを有する一般的な研磨装置を使用できる。研磨布の材質としては、特に制限はなく、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が使用できる。
研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は、基板が飛び出さないように200min−1以下の低回転が好ましい。被研磨面を有する基板の研磨布への押し付け圧力(研磨圧力)は、1〜100kPaであることが好ましく、CMP速度の被研磨面内の均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、5〜50kPaであることがより好ましい。研磨している間、研磨布には研磨剤をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常に研磨剤で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。研磨布の表面状態を常に同一にしてCMPを行うために、研磨の前に研磨布のコンディショニング工程を入れるのが好ましい。例えば、ダイヤモンド粒子のついたドレッサを用いて、少なくとも水を含む液で研磨布のコンディショニングを行う。続いて本実施形態に係る研磨方法を用いたCMP研磨工程を実施し、更に、基板洗浄工程を加えるのが好ましい。
続いて、図2(d)に示すように、露出した銅層5の表面部分に、電解メッキ等の方法によりバンプ6を形成し、片面にバンプ6を有する基板200を得る。バンプ6の材質としては、銅等を挙げることができる。
図3は、もう一方の面にバンプ7を形成する工程を示す模式断面図である。図3(a)に示す状態の基板200において、シリコン基板1におけるバンプ6の形成されていない面(バンプ6が形成されている面の反対面)を、CMP等の方法により研磨し、銅層5を露出させる(図3(b))。次に、上記バンプ6の形成方法と同様の方法により、バンプ7を形成し、TSVが形成された基板300を得る(図3(c))。
以下、実施例(実験例)により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に限定しない限り、「%」とは「質量%」を意味するものとする。
<実験例1−1〜1−15>
(研磨剤の作製)
以下、実験例1−1〜1−15の研磨剤について説明する。なお、実験例1−14、1−15は、本発明の上記第3実施形態に相当する。
(実験例1−1)
濃度96%の硫酸:10g、濃度85%のリン酸:10g、グリシン:50g、ベンゾトリアゾール(BTA):10g、シュウ酸:10g、及びテトラエトキシシランのアンモニア溶液中での加水分解により作製した平均粒径:70nmのコロイダルシリカ(固形分:20%):50gを550gの水に加えて、コロイダルシリカ以外の成分を溶解させた。更に25%のアンモニア水溶液を添加して液のpHを2.6に調整した後、純水を更に加えて全量を700gとした。これに、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)を300g加えて、全量1000gの研磨剤1−1を得た。
(実験例1−2)
シュウ酸の代わりにマロン酸を10g添加した以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−2を作製した。
(実験例1−3)
シュウ酸の代わりにマレイン酸を10g添加した以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−3を作製した。
(実験例1−4)
グリシンの代わりにアラニンを50g添加した以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−4を作製した。
(実験例1−5)
グリシンの代わりにセリンを50g添加した以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−5を作製した。
(実験例1−6)
添加する硫酸とリン酸の量をそれぞれ5gとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−6を作製した。
(実験例1−7)
シュウ酸を加えないこと以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−7を作製した。
(実験例1−8)
シュウ酸を加えず、硫酸の量を20gに増量した以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−8を作製した。
(実験例1−9)
シュウ酸の代わりにリンゴ酸を添加したこと以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−9を作製した。
(実験例1−10)
硫酸及びリン酸を加えず、シュウ酸の量を30gとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−10を作製した。
(実験例1−11)
添加する硫酸の量を1g、リン酸の量を5gとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−11を作製した。
(実験例1−12)
コロイダルシリカの平均粒径を62nmとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−12を作製した。
(実験例1−13)
コロイダルシリカの平均粒径を87nmとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−13を作製した。
(実験例1−14)
コロイダルシリカの平均粒径を114nmとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−14を作製した。
(実験例1−15)
コロイダルシリカの平均粒径を134nmとした以外は実験例1−1と同様にして研磨剤1−15を作製した。
(研磨剤のpH測定)
上記研磨剤1−1〜1−15のpHを横河電機株式会社製の商品名:PH81を用いて測定した。表1に記載のpHは、この測定値である。
(中和滴定当量測定)
有機酸及び25%のアンモニア水溶液を添加しないこと以外は実験例1−1〜1−15と同様にして、中和滴定当量測定用の試験液(試験液1−1〜1−15)を作製した。それぞれの試験液について、pHメータ(横河電機株式会社製、商品名:PH81)を使用し、25℃の恒温水槽中で、水酸化カリウムによる中和滴定当量を測定した。なお、実験例1−10については、シュウ酸及びアンモニア水を添加しない状態でのpHが4.0を超えていたため、中和滴定当量を0(mol/kg)とした。
なお、上記中和滴定当量は、次のようにして求めた。すなわち、100mlビーカーに試験液:50mlを入れ、撹拌子により80min−1で撹拌しながら濃度20%水酸化カリウム水溶液を滴下し、pHの値が4.0となったときの水酸化カリウム水溶液の添加量から中和滴定当量を算出した。
(基板の研磨)
直径:8インチ(20.3cm)のシリコン基板上に厚み:20μmの銅膜を成膜した基板(株式会社アドバンテックより購入)(以下、「銅基板」という。)及び直径:8インチ(20.3cm)のシリコン基板上に厚み:150nmの窒化タンタル膜を成膜した基板(AMT社より購入)(以下、「窒化タンタル基板」という。)用意した。これらの基板を使用し、上記研磨剤1−1〜1−15を、研磨装置の定盤に貼り付けた研磨布に滴下しながら、CMP研磨を行った。また銅研磨速度が比較的低かった研磨剤1−6〜1−11については、窒化タンタル基板の研磨は行わなかった。
なお、研磨条件は下記の通りである。
研磨装置:定盤寸法は直径:600mm、ロータリータイプ
研磨布:独立気泡を持つ発泡ポリウレタン樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:IC−1010)
研磨圧力:32kPa(銅基板)、14kPa(窒化タンタル基板)
定盤/ヘッド回転速度:93/87min−1
研磨剤流量:200ml/min
(評価項目及び評価方法)
上述のようにして研磨した基板について、CMPによる銅及び窒化タンタルの研磨速度(以下、単に「銅研磨速度及び窒化タンタル研磨速度」という。)及び銅膜表面の表面粗さを測定した。
研磨速度:基板のCMP前後での膜厚差をシート抵抗変化から換算して求めた。測定装置は、ナプソン株式会社製抵抗率測定器、商品名:Model RT−7を用いた。なお、抵抗値としては、ウエハの直径方向77点(エッジから5mm部分除外)の平均値を用いた。また、銅研磨速度/窒化タンタル研磨速度を選択比とした。選択比が大きいほど銅研磨終了時の窒化タンタルの減少が少ないと言え、良好である。
表面粗さ(算術平均粗さ(Ra)):研磨後の銅膜表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、商品名:SPA−400)で測定した。測定は、基板中央部から半径方向に50mm離れた箇所において、5μm×5μmの面積範囲で行った。なお、Raは、JIS B 0601で規定される平均粗さである。
研磨剤1−1〜1−15の構成成分、各研磨剤のpH、水酸化カリウムによる中和滴定当量及び研磨試験の評価結果を表1に示す。なお、表中の「ケミカル成分合計」とは、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(G)成分の含有量の合計を意味する。
Figure 2013004660
表1に示す結果より下記のことがわかる。すなわち、実験例1−14、1−15におけるそれぞれの研磨剤は、良好に高い銅研磨速度及び表面粗さ、良好に抑制された窒化タンタル研磨速度を示した。
実験例1−7の研磨剤にシュウ酸を加えた組成である実験例1−1の研磨剤1−1は、実験例1−7と比較して表面粗さが維持されつつ、研磨速度が向上した。
実験例1−1の研磨剤において硫酸及びリン酸をシュウ酸に置き換えた組成である実験例1−10の研磨剤1−10は、実験例1−1と比較して、表面粗さは維持したものの、銅研磨速度は大幅に低下した。
実験例1−8の研磨剤において硫酸の一部をシュウ酸に置き換えた組成である実験例1−1の研磨剤1−1は、実験例1−8と比較して、表面粗さ及び銅研磨速度が向上した。実験例1−8は、実験例1−7と同様に30000Å/min(3μm/min)を上回る速度であった。
また、研磨速度に着目すると、実験例1−7に対して10gの硫酸を更に追加した実験例1−8の研磨剤では、銅研磨速度が37000Å/min(3.7μm/min)であるのに対し、実験例1−7に対して10gのシュウ酸を加えた系である実験例1−1の研磨剤では、銅研磨速度が60000Å/min(6μm/min)を達成した。これにより、(A)成分と(G)成分を組み合わせることが銅研磨速度向上に有効であることが確認できる。
実験例1−1の研磨剤1−1に対して、(A)成分の量が少ない実験例1−11の研磨剤1−11は、実験例1−1と比較して研磨速度は大幅に低下した。
一方、(A)成分の種類、(A)成分及び(G)成分の量は実験例1−9と同じであるが、(G)成分のpKaが2.7以下である実験例1−1の研磨剤1−1は、実験例1−9と比較して表面粗さが維持されつつ、研磨速度が向上した。
また、良好な銅研磨速度を示した研磨剤1−1及びに対して砥粒の平均粒径を変化させた研磨剤1−12〜1−15の窒化タンタル研磨速度測定の結果、平均粒径が100nm未満である研磨剤1−1、1−12、1−13では、窒化タンタル研磨速度が500Å/min(0.05μm/min)以上と高いのに対し、平均粒径が100nm以上である研磨剤1−14、1−15においては、窒化タンタル研磨速度は500Å/min(0.05μm/min)未満と良好に抑制された値を示し、かつ銅研磨速度、銅表面粗さについても良好な値を示した。更に、研磨剤1−2〜1−5についても窒化タンタル研磨速度を測定したが、これらケミカル成分の変更では窒化タンタル研磨速度抑制について顕著な効果は見られなかった。また、選択比は、どの研磨剤も50以上であり良好だった。
以上より、(A)成分及び(G)成分の量、組合せを及び(D)成分の平均粒径を最適化することによって、バリア膜の研磨速度及び銅表面粗さを低く保ちつつ、銅に対して、通常の研磨剤よりも格段に高い研磨速度を示す研磨剤が得られることがわかる。特に、銅に対する研磨速度が30000Å/min(3μm/min)、より好適には50000Å/min(5μm/min)を超えるような研磨剤は、短時間で大量に銅を研磨する用途、例えばTSV形成用途に最適である。
<実験例2−1〜2−18>
(研磨剤の作製)
以下、実験例2−1〜2−18の研磨剤について説明する。なお、実験例2−17、2−18は、本発明の上記第1実施形態に相当する。
(実験例2−1)
濃度96%の硫酸:5.1g、濃度85%のリン酸:5.8g、グリシン:20.3g、ベンゾトリアゾール(BTA):4.0g、及び、砥粒としてテトラエトキシシランのアンモニア溶液中での加水分解により作製した平均粒径:70nmのコロイダルシリカ(固形分20%):50gを600gの純水に加えて、コロイダルシリカ以外の成分を溶解させた。更に25%のアンモニア水溶液を添加して液のpHを2.6に調整した後、純水を更に加えて全量を700gとした。これに、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)を300g加えて、全量1000gの研磨剤2−1を得た。
(実験例2−2)
硫酸の量を7.7g、リン酸の量を8.6g、グリシンの量を30.8g、ベンゾトリアゾールの量を6.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−2を作製した。
(実験例2−3)
硫酸の量を10.2g、リン酸の量を11.5g、グリシンの量を40.5g、ベンゾトリアゾールの量を8.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−3を作製した。
(実験例2−4)
グリシンの代わりにセリンを28.4g用いた以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−4を作製した。
(実験例2−5)
硫酸の量を2.6g、リン酸の量を2.9g、グリシンの量を10.5g、ベンゾトリアゾールの量を2.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−5を作製した。
(実験例2−6)
グリシンの量を10.5g、ベンゾトリアゾールの量を2.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−6を作製した。
(実験例2−7)
硫酸の量を10.2g、リン酸の量を11.5g、グリシンの量を10.5g、ベンゾトリアゾールの量を2.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−7を作製した。
(実験例2−8)
硫酸の量を2.6g、リン酸の量を2.9g、ベンゾトリアゾールの量を2.0gとし、pH調整にアンモニア水溶液にかえて36%の塩酸を使用した以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−8を作製した。
(実験例2−9)
硫酸の量を2.6g、リン酸の量を2.9g、グリシンの量を10.5gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−9を作製した。
(実験例2−10)
硫酸の量を2.6g、リン酸の量を2.9gとし、pH調整にアンモニア水溶液にかえて36%の塩酸を使用した以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−10を作製した。
(実験例2−11)
グリシンの量を0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−11を作製した。
(実験例2−12)
グリシンの量を10.5g、ベンゾトリアゾールの量を4.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−12を作製した。
(実験例2−13)
ベンゾトリアゾールの量を2.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−13を作製した。
(実験例2−14)
ベンゾトリアゾールの量を8.0gとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−14を作製した。
(実験例2−15)
コロイダルシリカの平均粒径を62nmとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−15を作製した。
(実験例2−16)
コロイダルシリカの平均粒径を87nmとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−16を作製した。
(実験例2−17)
コロイダルシリカの平均粒径を114nmとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−17を作製した。
(実験例2−18)
コロイダルシリカの平均粒径を134nmとした以外は実験例2−1と同様にして研磨剤2−18を作製した。
(研磨剤のpH測定)
上記研磨剤2−1〜2−18のpHを横河電機株式会社製の商品名:PH81を用いて測定した。表2,3に記載のpHはこの測定値である。
(中和滴定当量測定)
25%のアンモニア水溶液を添加しないこと以外は実験例2−1〜2−18と同様にして、中和滴定当量測定用の試験液(試験液2−1〜2−18)を作製した。それぞれの試験液について、pHメータ(横河電機株式会社製、商品名:PH81)を使用し、25℃の恒温水槽中で、水酸化カリウムによる中和滴定当量を測定した。
なお、上記中和滴定当量は、次のようにして求めた。すなわち、100mlビーカーに試験液50mlを入れ、撹拌子により80min−1で撹拌しながら濃度20%水酸化カリウム水溶液を滴下し、pHの値が4.0となったときの水酸化カリウム水溶液の添加量から中和滴定当量を算出した。
(基板の研磨)
直径:8インチ(20.3cm)のシリコン基板上に厚み20μmの銅膜を成膜した基板(株式会社アドバンテックより購入)(以下、「銅基板」という。)及び直径:8インチ(20.3cm)のシリコン基板上に厚み150nmの窒化タンタル膜を成膜した基板(AMT社より購入)(以下、「窒化タンタル基板」という。)用意した。この基板を使用し、上記研磨剤2−1〜2−18を、研磨装置の定盤に貼り付けた研磨布に滴下しながら、CMP研磨を行った。また銅研磨速度が比較的低かった研磨剤2−8〜2−11については窒化タンタル基板の研磨は行わなかった。
なお、研磨条件は下記の通りである。
研磨装置:定盤寸法は直径:600mm、ロータリータイプ
研磨布:独立気泡を持つ発泡ポリウレタン樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:IC−1010)
研磨圧力:32kPa(銅基板)、14kPa(窒化タンタル基板)
研磨定盤/ヘッド回転速度:93/87min−1
研磨剤流量:200ml/min
(評価項目及び評価方法)
上述のようにして研磨した基板について、CMPによる銅及び窒化タンタルの研磨速度(以下、単に「銅研磨速度及び窒化タンタル研磨速度」という。)及び銅膜表面の表面粗さを測定した。
研磨速度:基板のCMP前後での膜厚差をシート抵抗変化から換算して求めた。測定装置は、ナプソン株式会社製抵抗率測定器、商品名:Model RT−7を用いた。なお、抵抗値としては、ウエハの直径方向77点(エッジから5mm部分除外)の平均値を用いた。また、銅研磨速度/窒化タンタル研磨速度を選択比とした。選択比が大きいほど銅研磨終了時の窒化タンタルの減少が少ないと言え、良好である。
表面粗さ(算術平均粗さ(Ra)):研磨後の銅膜表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、商品名:SPA−400)で測定した。測定は、基板中央部から半径方向に50mm離れた箇所において、5μm×5μmの面積範囲で行った。なお、Raは、JIS B 0601で規定される平均粗さである。
研磨剤2−1〜2−18の構成成分、各研磨剤のpH、水酸化カリウムによる中和滴定当量及び研磨試験の評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2013004660
Figure 2013004660
表2、表3に示す結果より下記のことがわかる。すなわち、実験例2−17、2−18におけるそれぞれの研磨剤は、良好に高い銅磨速度及び良好に抑制された窒化タンタル研磨速度を示した。また、銅表面粗さも良好であった。
実験例2−1の研磨剤2−1に対して(A)成分、(B)成分、(C)成分の含有量がそれぞれ本発明の値よりも小さい実験例2−5の研磨剤2−5の銅研磨速度は低下した。
(A)成分の含有量のみを実験例2−1と同含有量とした以外は実験例2−5と同様にした実験例2−6の研磨剤2−6、及び、実験例2−6の(A)成分の含有量を増した実験例2−7の研磨剤2−7については、若干の銅研磨速度の向上は見られたものの実験例2−1に対して研磨速度は低下した。つまり、(A)成分の含有量のみを増しても銅研磨速度の向上効果は大きくないことが分かった。
アミノ酸であるグリシンの含有量のみを実験例2−1と同含有量とした以外は実験例2−5と同様にした実験例2−8の研磨剤2−8、及び、保護膜形成剤であるベンゾトリアゾールのみを実験例2−1と同含有量とした以外は実験例2−5と同様にした実験例2−9の研磨剤2−9については、実験例2−5と比べて銅研磨速度が低下し、実験例2−1に対しても研磨速度が低下した。
実験例2−1の研磨剤2−1に対して(B)成分、(C)成分の含有量は同じであるが、(A)成分の含有量が本発明の値よりも小さい実験例2−10の研磨剤2−10の銅研磨速度は低下した。
実験例2−1の研磨剤2−1に対して(A)成分、(C)成分の含有量は同じであるが、(B)成分の含有量が本発明の値よりも小さい実験例2−11の研磨剤2−11、実験例2−12の研磨剤2−12の銅研磨速度は低下した。
実験例2−1の研磨剤2−1に対して(A)成分、(B)成分の含有量は同じであるが、(C)成分の含有量が本発明の値よりも小さい実験例2−13の研磨剤2−13の銅研磨速度は低下した。
(A)成分、(B)成分、(C)成分の含有量が全て実験例2−5より高含有量であるが、(A)成分含有量(mol/kg)/(C)成分含有量(mol/kg)の値が1.49であり、2.00より低い値である実験例2−14の研磨剤2−14の銅研磨速度は、実験例2−1と比べて低下した。
上記実験例2−1と実験例2−5の関係から、(A)成分、(B)成分、(C)成分が一定含有量に達していない場合は銅研磨速度が不充分であることが分かる。
実験例2−1と実験例2−6、2−8、2−9の関係から(A)成分、(B)成分、(C)成分のうち1成分のみの含有量を同程度にし、他の成分の含有量が本発明の値より小さい場合は、銅研磨速度が不充分であることが分かる。
実験例2−1と実験例2−10〜2−14の関係から(A)成分、(B)成分、(C)成分のうち2成分の含有量を同程度にし、他の成分の含有量が本発明の値より小さい場合は、銅研磨速度が不充分であることが分かる。
以上の結果より同時に(A)成分、(B)成分、(C)成分の3成分を一定量以上にすることで効率良く銅研磨速度を向上させることができることが分かる。
また、実験例2−5の銅研磨速度を基準として、実験例2−6、2−8、2−9の銅研磨速度は以下のように増減した。(A)成分の含有量のみを実験例2−1と同等にした場合(実験例2−6)の銅研磨速度は3000Å/min(0.3μm/min)増加した。(B)成分の含有量のみを実験例2−1と同等にした場合(実験例2−8)は3000Å/min(0.3μm/min)の減少、(C)成分含有量のみを実験例2−1と同等にした場合(実験例2−9)は3000Å/min(0.3μm/min)減少した。これらの実験例2−6、2−8、2−9の銅研磨速度の変化から、3成分の含有量をすべて実験例2−1と同じとした場合の銅研磨速度は、実験例2−5に対する実験例2−6、2−8、2−9の銅研磨速度の増減を足し合わせた3000Å/min(0.3μm/min)減少するとも予想することができる。しかし、実際は実験例2−1の結果から分かるように11000Å/min(1.1μm/min)の増加となっており、3成分の含有量を同時に増加させることにより、銅研磨速度が向上する効果が高いことが確認された。
また、良好な銅研磨速度を示した研磨剤2−1に対して砥粒の平均粒径を変化させた研磨剤2−15〜2−18の窒化タンタル研磨速度測定の結果、平均粒径が100nm未満である研磨剤2−1、2−15、2−16では窒化タンタル研磨速度が500Å/min(0.05μm/min)以上と高いのに対し、平均粒径が100nm以上である研磨剤2−17、2−18においては、窒化タンタル研磨速度は500Å/min(0.05μm/min)未満と良好に抑制された値を示し、かつ銅研磨速度、銅表面粗さについても良好な値を示した。更に、研磨剤2−2〜2−7、2−12〜2−13についても窒化タンタル研磨速度を測定したが、これらケミカル成分の変更では、窒化タンタル研磨速度抑制について顕著な効果は見られなかった。また、選択比は、研磨剤2−3、2−17、2−18で50以上であり良好だったが、他の研磨液では50未満であり良好でなかった。
以上より、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量を最適化することによって、バリア膜の研磨速度及び銅表面粗さを低く保ちつつ銅に対して、通常の研磨剤よりも格段に高い銅研磨速度を示す研磨剤が得られることがわかる。特に、銅に対する研磨速度が30000Å/min(3μm/min)を超えるような研磨剤は、短時間で大量に銅を研磨する用途、例えばTSV形成用途に最適である。
<実験例3−1〜3−20>
(研磨剤の作製)
以下、実験例3−1〜3−20の研磨剤について説明する。なお、実験例3−18、3−19は、本発明の上記第3実施形態に相当し、実験例3−20は、本発明の上記第2実施形態に相当する。
(実験例3−1)
濃度96%の硫酸:5.1g、濃度85%のリン酸:5.8g、グリシン:20.3g、ベンゾトリアゾール(BTA):4.0g、シュウ酸:5.4g、及び、砥粒として平均粒径70nmのコロイダルシリカ(固形分20%):50gを600gの純水に加えて、コロイダルシリカ以外の成分を溶解させた。更に25%のアンモニア水溶液を添加して液のpHを2.6に調整した後、純水を更に加えて全量を700gとした。これに、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)を300g加えて、全量1000gの研磨剤3−1を得た。
(実験例3−2)
シュウ酸の含有量を14.0gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−2を作製した。
(実験例3−3)
シュウ酸5.4gの代わりにマレイン酸7.0gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−3を作製した。
(実験例3−4)
シュウ酸5.4gの代わりに無水マレイン酸5.9gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−4を作製した。
(実験例3−5)
シュウ酸5.4gの代わりにマロン酸6.2gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−5を作製した。
(実験例3−6)
シュウ酸5.4gの代わりにクエン酸11.5gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−6を作製した。
(実験例3−7)
ベンゾトリアゾールの含有量を7.9gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−7を作製した。
(実験例3−8)
シュウ酸を添加せず、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−8を作製した。
(実験例3−9)
シュウ酸5.4gの代わりに酒石酸9.0gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−9を作製した。
(実験例3−10)
シュウ酸5.4gの代わりにリンゴ酸8.0gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−10を作製した。
(実験例3−11)
濃度96%の硫酸:2.6g、濃度85%のリン酸:2.9g、グリシン:10.2g、ベンゾトリアゾール:2.0g、砥粒として平均粒径70nmのコロイダルシリカ(固形分20%):50gを600gの純水に加えて、コロイダルシリカ以外の成分を溶解させた。更に25%のアンモニア水溶液を添加して液のpHを2.6に調整した後、純水を更に加えて全量を700gとした。これに、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)を300g加えて、全量1000gの研磨剤3−11を得た。
(実験例3−12)
硫酸の含有量を5.1gとし、リン酸の含有量を5.8gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−11と同様にして研磨剤3−12を作製した。
(実験例3−13)
グリシンの含有量を20.3gとし、pH調整にアンモニア水溶液にかえて36%の塩酸を使用し、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−11と同様にして研磨剤3−13を作製した。
(実験例3−14)
ベンゾトリアゾールの含有量を4.0gとし、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−11と同様にして研磨剤3−14を作製した。
(実験例3−15)
有機酸としてシュウ酸を5.4g更に加え、純水の添加量を調整して全量1000gとしたこと以外は実験例3−11と同様にして研磨剤3−15を作製した。
(実験例3−16)
コロイダルシリカの平均粒径を62nmとした以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−16を作製した。
(実験例3−17)
コロイダルシリカの平均粒径を87nmとした以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−17を作製した。
(実験例3−18)
コロイダルシリカの平均粒径を114nmとした以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−18を作製した。
(実験例3−19)
コロイダルシリカの平均粒径を134nmとした以外は実験例3−1と同様にして研磨剤3−19を作製した。
(実験例3−20)
コロイダルシリカの平均粒径を134nmとした以外は実験例3−7と同様にして研磨剤3−20を作製した。
(研磨剤のpH測定)
上記研磨剤3−1〜3−20のpHを横河電機株式会社製の商品名:PH81を用いて測定した。表4、5に記載のpHは、この測定値である。
(中和滴定当量測定)
有機酸及び25%のアンモニア水溶液を添加しないこと以外は実験例3−1〜3−20と同様にして、中和滴定当量測定用の試験液(試験液3−1〜3−20)を作製した。それぞれの試験液について、pHメータ(横河電機株式会社製、商品名:PH81)を使用し、25℃の恒温水槽中で、水酸化カリウムによる中和滴定当量を測定した。
なお、上記中和滴定当量は、次のようにして求めた。すなわち、100mlビーカーに試験液50mlを入れ、撹拌子により80min−1で撹拌しながら濃度20%水酸化カリウム水溶液を滴下し、pHの値が4.0となったときの水酸化カリウム水溶液の添加量から中和滴定当量を算出した。
(研磨速度測定)
直径:12インチ(30.5cm)のシリコン基板上に厚み:20μmの銅膜を成膜した基板(グローバルネット株式会社製)(以下、「銅基板」という。)及び直径:12インチ(30.5cm)のシリコン基板上に厚み:150nmの窒化タンタル膜を成膜した基板(AMT社より購入)(以下、「窒化タンタル基板」という。)を用意した。これらの基板を使用し、上記研磨剤3−1〜3−20を、研磨装置の定盤に貼り付けた研磨布に滴下しながら、CMP研磨を行った。また銅研磨速度が比較的低かった研磨剤3−11〜3−15については窒化タンタル基板の研磨は行わなかった。
なお、研磨条件は下記の通りである。
研磨装置:CMP用研磨機(アプライドマテリアルズ社製、商品名:Reflexion)
研磨布:独立気泡を持つ発泡ポリウレタン樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:IC−1010)
研磨圧力:32kPa(銅基板)、14kPa(窒化タンタル基板)
定盤/ヘッド回転速度:60/55min−1
研磨剤流量:300ml/min
以下のようにして研磨速度を算出した。まず、株式会社日立国際電気エンジニアリング製の金属膜厚測定器、商品名:VR−120型を用いて、銅膜表面における基板の直径方向に並んだ81か所のそれぞれでシート抵抗を測定し、CMP研磨前後でそれぞれ平均値を算出した。そして、研磨前後の平均値の差から換算してCMP研磨前後での銅膜の膜厚差を求め、更に研磨速度を算出した。
研磨剤3−1〜3−20の構成成分、各研磨剤のpH、水酸化カリウムによる中和滴定当量及び研磨速度の評価結果を表4及び表5に示す。
Figure 2013004660
Figure 2013004660
表4及び表5に示す結果より下記のことが確認された。すなわち、実験例3−18、3−19におけるそれぞれの研磨剤3−18、3−19は、良好に高い銅磨速度及び良好に抑制された窒化タンタル研磨速度を示した。また、研磨後のシリコン基板の表面を観察したところ、平滑に研磨されていることが確認された。
一方、研磨剤3−11では、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量がそれぞれ本発明の所定の範囲外であるため、銅研磨速度が低下した。研磨剤3−12では、(A)成分の含有量を研磨剤3−1と同様にしたこと以外は研磨剤3−11と同様にしており、研磨剤3−11に対して若干の銅研磨速度の向上は見られたものの、研磨剤3−1に対して銅研磨速度は低下した。研磨剤3−13では、(B)成分の含有量を研磨剤3−1と同様にし、pH調整に用いた物質を変更したこと以外は研磨剤3−11と同様にしており、研磨剤3−1及び研磨剤3−11に対して銅研磨速度が低下した。研磨剤3−14では、(C)成分の含有量を研磨剤3−1と同様にしたこと以外は研磨剤3−11と同様にしており、研磨剤3−1及び研磨剤3−11に対して銅研磨速度が低下した。研磨剤3−15では、(G)成分の含有量を研磨剤3−1と同様にしたこと以外は研磨剤3−11と同様にしているが、研磨剤3−1に対して銅研磨速度が低下した。
(A)成分の含有量を研磨剤3−1と同等にしたことを除き研磨剤3−11と同様にした研磨剤3−12では、銅研磨速度は研磨剤3−11に比べて3000Å/min(0.3μm/min)増加した。(B)成分の含有量を研磨剤3−1と同等にしたことを除き研磨剤3−11と同様にした研磨剤3−13では、銅研磨速度は研磨剤3−11に比べて3000(0.3μm/min)/min減少した。(C)成分の含有量を研磨剤3−1と同等にしたことを除き研磨剤3−11と同様にした研磨剤3−14では、銅研磨速度は研磨剤3−11に比べて3000Å/min(0.3μm/min)減少した。(D)成分の含有量を研磨剤3−1と同等にしたことを除き研磨剤3−11と同様にした研磨剤3−15では、銅研磨速度は研磨剤3−11に比べて7000Å/min(0.7μm/min)増加した。
以上の結果から、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(G)成分の含有量を全て研磨剤3−1と同等とした場合には、研磨剤3−11に対する銅研磨速度の増加量は、研磨剤3−12〜3−15の銅研磨速度の研磨剤3−11に対する増減を足し合わせた4000Å/min(0.4μm/min)程度となることが予想される。しかし、研磨剤3−1の銅研磨速度は、研磨剤3−11に対して23000Å/min(2.3μm/min)増加し、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の含有量を同時に本発明の所定の範囲内とすると共に、(A)成分の含有量(mol/kg)/(C)成分の含有量(mol/kg)を2.00以上とすることにより、銅研磨速度の向上効果が高くなることが確認された。
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量が本発明の所定の範囲内であるものの、(A)成分の含有量(mol/kg)/(C)成分の含有量(mol/kg)が2.00未満である研磨剤3−7、3−20に対して、研磨剤3−1では銅研磨速度が向上した。
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量が研磨剤3−11の約2倍であるが、(G)成分を含有していない研磨剤3−8に対して、研磨剤3−1では銅研磨速度が向上した。
カルボキシル基の数が2つである有機酸に関して、pKaが2.82である酒石酸を含有した研磨剤3−9、及び、pKaが3.46であるリンゴ酸を含有した研磨剤3−10に対して、研磨剤3−1では銅研磨速度が向上した。
以上より、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量を本発明の所定の範囲内とすると共に、(A)成分と(C)成分との含有量の関係を特定のものとすることによって、銅のCMP研磨において、従来の研磨剤よりも格段に優れた銅研磨速度を示す研磨剤が得られることが確認された。
また、良好な銅研磨速度を示した研磨剤3−1に対して砥粒の平均粒径を変化させた研磨剤3−16〜3−19、研磨剤3−7に対して砥粒の平均粒径を変化させた研磨剤3−20の窒化タンタル研磨速度測定の結果、平均粒径が100nm未満である研磨剤3−1、3−7、3−16、3−17では、窒化タンタル研磨速度が500Å/min(0.05μm/min)以上と高いのに対し、平均粒径が100nm以上である研磨剤3−18、3−19、3−20においては、窒化タンタル研磨速度は500Å/min(0.05μm/min)未満と良好に抑制された値を示し、かつ銅研磨速度、銅表面粗さについても良好な値を示した。更に、研磨剤3−2〜3−10についても窒化タンタル研磨速度を測定したが、これらケミカル成分の変更では窒化タンタル研磨速度抑制について顕著な効果は見られなかった。また、選択比は、研磨剤3−17〜3−20で50以上であり良好だったが、他の研磨液では50未満であり良好でなかった。
このようにバリア膜の研磨速度を低く保ちつつ銅研磨速度が30000Å/min(3μm/min)を超えるような研磨剤は、特に、短時間で大量に銅を研磨する用途、例えばTSV形成用途に最適である。
1…シリコン基板、2…素子、3…凹部、4…バリア膜、5…銅層、6,7…バンプ、100,200,300…基板。

Claims (20)

  1. (A)二価以上の無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水とを含み、
    前記(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、
    前記(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、
    前記(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、
    前記(C)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の比率が2.00以上であり、
    前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である銅研磨用研磨剤。
  2. pHを4まで増加させるために要する水酸化カリウムの量が、銅研磨用研磨剤1kg当たり0.10mol以上である、請求項1に記載の銅研磨用研磨剤。
  3. (A)二価以上の無機酸と、(B)アミノ酸と、(C)保護膜形成剤と、(D)砥粒と、(E)酸化剤と、(F)水と、(G)有機酸及びその酸無水物から選ばれる少なくとも一種とを含み、
    前記(A)成分の含有量が0.08mol/kg以上であり、
    前記(B)成分の含有量が0.20mol/kg以上であり、
    前記(C)成分の含有量が0.02mol/kg以上であり、
    前記(D)成分の平均粒径が100nm以上である銅研磨用研磨剤。
  4. (C)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の比率が2.00以上である請求項3に記載の銅研磨用研磨剤。
  5. 銅研磨用研磨剤から(G)成分を除いた組成物のpHを4まで増加させるために要する水酸化カリウムの量が、前記組成物1kg当たり0.10mol以上である、請求項3又は4に記載の銅研磨用研磨剤。
  6. (G)成分の含有量が0.02mol/kg以上である、請求項3〜5のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  7. (G)成分が、カルボキシル基を2つ有し、かつpKaが2.7以下である有機酸及びその酸無水物並びにカルボキシル基を3つ以上有する有機酸から選択される少なくとも一種である、請求項3〜6のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  8. (G)成分が、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸及びクエン酸から選択される少なくとも一種である、請求項3〜7のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  9. pHが1.5〜4.0である、請求項1〜8のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  10. (A)成分が、硫酸及びリン酸から選択される少なくとも一種である、請求項1〜9のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  11. (B)成分としてpKaが2〜3のアミノ酸を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  12. (C)成分が、トリアゾール化合物である、請求項1〜11のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  13. トリアゾール化合物が、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選択される少なくとも一種である、請求項12に記載の銅研磨用研磨剤。
  14. (D)成分が、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選択される少なくとも一種である、請求項1〜13のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  15. (E)成分が、過酸化水素、過硫酸及び過硫酸塩から選択される少なくとも一種である、請求項1〜14のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の銅研磨用研磨剤を用いて銅を含む金属膜を研磨し、前記金属膜の少なくとも一部を除去する、研磨方法。
  17. 金属膜の最大厚みが5μm以上である、請求項16に記載の研磨方法。
  18. 金属膜の最大厚みが10μm以上である、請求項16に記載の研磨方法。
  19. 金属膜に対する研磨速度が30000Å/min以上である、請求項16〜18のいずれかに記載の研磨方法。
  20. 金属膜に対するバリア膜が、純チタン、純タンタル、チタン化合物及びタンタル化合物から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜19のいずれかに記載の研磨方法。
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