JP2012027337A - Mems光スキャナ - Google Patents

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清彦 河野
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Abstract

【課題】不要な反射光の方向がミラー面での反射光の方向に揃うのを抑制することが可能なMEMS光スキャナを提供する。
【解決手段】半導体基板であるSOI基板100を用いて形成され可動部20にミラー面21が設けられたミラー形成基板1と、ミラー形成基板1においてミラー面21が設けられた一表面側に接合された第1のカバー基板2と、ミラー形成基板1の他表面側に接合された第2のカバー基板3とを備える。ミラー形成基板1は、外側フレーム部10と、外側フレーム部10の内側に配置された可動部20と、外側フレーム部10と可動部20とを連結した一対の捩りばね部30,30とを有する。第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1とは反対の外表面側に、透光性部材6が配置される。透光性部材6は、第1のカバー基板2側とは反対側の表面が、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1側の平面とは非平行な非平行面61となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、MEMS(micro electro mechanical systems)光スキャナに関するものである。
近年、マイクロマシニング技術などを利用して形成されるMEMSデバイスの一種として、入射光を反射する機能を有する可動部と、可動部を駆動する駆動手段とを備えたMEMS光スキャナが各所で研究開発されている(例えば、特許文献1参照)。なお、MEMS光スキャナは、例えば、レーザプロジェクタ、レーザビームプリンタ、バーコードリーダ、内視鏡、距離画像センサなどの種々の光学機器への応用が考えられている。
特許文献1には、MEMS光スキャナとして、図9に示す構成の光走査装置が開示されている。この光走査装置は、ミラー基板(ミラー形成基板)101と、ミラー基板101の一表面側に接合されたカバー基板220と、ミラー基板101の他表面側に接合されたベース基板330とを備えている。なお、ミラー基板101は、第1のシリコン基板141と第2のシリコン基板142とでシリコン酸化膜143を挟んで接合した2層シリコン基板140を用いて形成してある。ここで、2層シリコン基板140は、第2のシリコン基板142の厚さを500μm程度とし、第1のシリコン基板141の厚さを100μm以下としてある。また、カバー基板220およびベース基板330の材料としては、パイレックス(登録商標)ガラスが採用されている。ミラー基板101とカバー基板220およびベース基板330とは、陽極接合などにより接合している。
上述のミラー基板101は、フレーム部(外側フレーム部)110と、フレーム部110の内側に配置され一表面側にミラー面(図示せず)が形成された矩形板状のミラー(可動部)120と、フレーム部110の内側でミラー120を挟む形で配置されフレーム部110とミラー120とを連結した一対の捻れ梁(捩りばね部)130,130とを備えている。また、ミラー基板101は、静電力によってミラー120を駆動する静電駆動式の駆動手段を備えている。この駆動手段は、ミラー120において一対の捻れ梁130,130を結ぶ方向に直交する方向の両側に形成された櫛形状の可動電極122,122と、フレーム部110に形成され可動電極122,122の複数の可動櫛歯片122bに対向する複数の固定櫛歯片112bを有する櫛形状の固定電極112,112とで構成されている。
また、ベース基板330は、ミラー基板101側の表面に、ミラー120の振動空間を確保するための凹部331が形成されている。そして、光走査装置は、ミラー120の振動空間を減圧してある。
特開2004−109651号公報
ところで、図9に示した構成の光走査装置のようなMEMS光スキャナでは、別置の光源(例えば、レーザ光源など)から出射されカバー基板220の外表面に入射した光ビームのうち、カバー基板220を透過してミラー基板101の上記ミラー面で反射されてカバー基板220の上記外表面から出射する所望の光ビームと、カバー基板220の上記外表面で反射された不要な光ビームとの進行方向が揃ってしまうことがある。このため、上述の光走査装置を、例えば、レーザプロジェクタなどの表示装置に応用した場合、スクリーン上に不要な輝点が生じてしまい、表示品質が低下してしまう懸念がある。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、不要な反射光の方向がミラー面での反射光の方向に揃うのを抑制することが可能なMEMS光スキャナを提供することにある。
本発明のMEMS光スキャナは、半導体基板を用いて形成され可動部にミラー面が設けられたミラー形成基板と、前記ミラー形成基板において前記ミラー面が設けられた一表面側に接合されたガラス基板からなる第1のカバー基板と、ミラー形成基板の他表面側に接合された第2のカバー基板と、前記可動部を駆動する駆動手段とを備え、前記ミラー形成基板が、外側フレーム部と、前記外側フレーム部の内側に配置された前記可動部と、前記外側フレーム部の内側で前記可動部を挟む形で配置され前記外側フレーム部と前記可動部とを連結し捩れ変形が可能な一対の捩りばね部とを有し、前記第1のカバー基板における前記ミラー形成基板側とは反対の外表面側に、透光性部材が配置されており、前記透光性部材における前記第1のカバー基板側とは反対の表面が、前記第1のカバー基板における前記ミラー形成基板側の平面とは非平行な非平行面であることを特徴とする。
このMEMS光スキャナにおいて、前記透光性部材と前記第1のカバー基板とが、透光性を有する接着剤により固着されてなることが好ましい。
このMEMS光スキャナにおいて、前記ミラー形成基板は、前記一表面側において前記外側フレーム部に形成され前記駆動手段に接続された複数のパッドを備え、前記第1のカバー基板は、前記各パッドそれぞれを露出させる複数の貫通孔が形成され、前記各貫通孔それぞれに各別に連通するとともに前記貫通孔側とは反対側が開放された溝部が形成されてなり、前記透光性部材は、前記パッドに電気的に接続され前記溝部を通された金属線を保護することが可能な大きさに形成されてなることが好ましい。
本発明のMEMS光スキャナにおいては、不要な反射光の方向がミラー面での反射光の方向に揃うのを抑制することが可能となる。
実施形態1のMEMS光スキャナを示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’概略断面図である。 同上のMEMS光スキャナの概略分解斜視図である。 同上のMEMS光スキャナの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 実施形態2のMEMS光スキャナの概略分解斜視図である。 同上のMEMS光スキャナの要部の概略分解斜視図である。 同上のMEMS光スキャナの要部の概略斜視図である。 同上のMEMS光スキャナの要部の概略斜視図である。 同上のMEMS光スキャナの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 従来例の光走査装置を示し、(a)は概略分解斜視図、(b)は概略断面図である。
(実施形態1)
以下、本実施形態のMEMS光スキャナについて図1および図2を参照しながら説明する。
本実施形態のMEMS光スキャナは、半導体基板であるSOI基板100を用いて形成され可動部20にミラー面21が設けられたミラー形成基板1を備えている。また、MEMS光スキャナは、ミラー形成基板1においてミラー面21が設けられた一表面側に接合された第1のカバー基板2を備えている。また、MEMS光スキャナは、ミラー形成基板1の他表面側に接合された第2のカバー基板3を備えている。
ミラー形成基板1は、枠状(ここでは、矩形枠状)の外側フレーム部10と、外側フレーム部10の内側に配置された上述の可動部20と、外側フレーム部10の内側で可動部20を挟む形で配置され外側フレーム部10と可動部20とを連結した一対の捩りばね部30,30とを有している。各捩りばね部30,30は、捩れ変形が可能となっている。
外側フレーム部10は、外周形状および内周形状それぞれが矩形状に形成されている。ここにおいて、MEMS光スキャナは、ミラー形成基板1および各カバー基板2,3それぞれの外周形状が、矩形状であり、各カバー基板2,3の外形寸法を、ミラー形成基板1の外形寸法に合わせてある。
ミラー形成基板1は、可動部20の平面視形状が矩形状であり、ミラー面21の平面視形状も矩形状としてある。
ミラー形成基板1は、上述のSOI基板100をバルクマイクロマシニング技術などにより加工することによって形成してある。このSOI基板100は、導電性を有する第1のシリコン層(活性層)100aと第2のシリコン層(シリコン基板)100bとの間に絶縁層(SiO層)100cが介在している。なお、SOI基板100は、第1のシリコン層100aの厚さを30μm、第2のシリコン層100bの厚さを400μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。また、SOI基板100の一表面である第1のシリコン層100aの表面は(100)面としてある。
また、第1のカバー基板2は、それぞれパイレックス(登録商標)ガラスなどからなる2枚のガラス板を厚み方向に重ねて接合することにより形成した第1のガラス基板200を用いて形成してある。また、第2のカバー基板3は、パイレックス(登録商標)ガラスなどからなる第2のガラス基板300を加工することにより形成してある。なお、第1のガラス基板200および第2のガラス基板300の厚さは、0.5mm〜1.5mm程度の範囲で設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。
ミラー形成基板1の外側フレーム部10は、SOI基板100の第1のシリコン層100a、絶縁層100c、第2のシリコン層100bそれぞれを利用して形成してある。そして、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10のうち第1のシリコン層100aにより形成された部位が、第1のカバー基板2の外周部と全周に亘って接合され、外側フレーム部10のうち第2のシリコン層100bにより形成された部位が、第2のカバー基板3の外周部と全周に亘って接合されている。また、ミラー形成基板1は、上記一表面側において、外側フレーム部10に、可動部20を駆動する後述の駆動手段に電気的に接続される2つのパッド13,13が形成されている。各パッド13,13は、平面視形状が円形状であり、第1の金属膜(例えば、Al−Si膜など)により構成されている。なお、本実施形態では、各パッド13,13の膜厚を500nmに設定してあるが、この数値は一例であり、特に限定するものではない。
また、ミラー形成基板1の可動部20および各捩りばね部30,30は、SOI基板100の第1のシリコン層100aを用いて形成されており、外側フレーム部10よりも十分に薄肉となっている。また、可動部20に設けられたミラー面21は、光源(レーザ光源など)からの光を反射するものであり、可動部20において第1のシリコン層100aにより形成された部位上に形成した第2の金属膜(例えば、Al−Si膜など)からなる反射膜21aの表面により構成されている。なお、本実施形態では、反射膜21aの膜厚を500nmに設定してあるが、この数値は一例であり、特に限定するものではない。
以下では、図1(a),(b)それぞれの左下に示すように、平面視において一対の捩りばね部30,30の並設方向に直交する方向をx軸方向、一対の捩りばね部30,30の並設方向をy軸方向、x軸方向およびy軸方向に直交する方向をz軸方向として説明する。
ミラー形成基板1は、一対の捩りばね部30,30がy軸方向に並設されており、可動部20が、外側フレーム部10に対して一対の捩りばね部30,30の回りで変位可能となっている(y軸方向の軸回りで回動可能となっている)。つまり、一対の捩りばね部30,30は、外側フレーム部10に対して可動部20が揺動自在となるように外側フレーム部10と可動部20とを連結している。言い換えれば、外側フレーム部10の内側に配置される可動部20は、可動部20から相反する2方向へ連続一体に延長された2つの捩りばね部30,30を介して、外側フレーム部10に揺動自在に支持されている。ここで、一対の捩りばね部30,30は、両者のy軸方向に沿った中心線同士を結ぶ直線が、平面視で可動部20の重心を通るように形成されている。なお、各捩りばね部30,30は、厚み寸法(z軸方向の寸法)を30μm、幅寸法(x軸方向の寸法)を、5μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。また、可動部20およびミラー面21の平面視形状は、矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。また、外側フレーム部10の内周形状も矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
上述のミラー形成基板1は、可動部20において一対の捩りばね部30,30を結ぶ方向(一対の捩りばね部30,30の並設方向)に直交する方向(つまり、x軸方向)の両側に形成された櫛形状の可動電極22を備えている。さらに、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10に形成され可動電極22の複数の可動櫛歯片22bに対向する複数の固定櫛歯片12bを有する櫛形状の固定電極12を備えている。ここにおいて、可動電極22と固定電極12とで、静電力により可動部20を駆動する静電駆動式の駆動手段を構成している。なお、本実施形態では、駆動手段が、静電力により可動部20を駆動するものであるが、静電駆動式に限らず、例えば、電磁力によって可動部20を駆動する電磁駆動式でもよいし、圧電素子によって可動部20を駆動する圧電駆動式でもよい。
上述の固定電極12は、平面視形状が櫛形状であり、外側フレーム部10のうちy軸方向に沿った枠片部において第1のシリコン層100aにより形成された部位の一部が、櫛骨部12aを構成している。そして、固定電極12は、櫛骨部12aにおける可動部20との対向面(外側フレーム部10におけるy軸方向に沿った内側面)に、多数の固定櫛歯片12bが一対の捩りばね部30,30の並設方向に沿って列設されている。ここで、各固定櫛歯片12bは、第1のシリコン層100aの一部により構成されている。
一方、可動電極22は、可動部20における固定電極12の櫛骨部12a側の櫛骨部22aの側面(可動部20におけるy軸方向に沿った側面)において、第1のシリコン層100aの一部により構成され固定櫛歯片12bにそれぞれ対向する多数の可動櫛歯片22bが上記並設方向に列設されている。ここで、各可動櫛歯片22bは、第1のシリコン層100aの一部により構成されている。
櫛形状の固定電極12と櫛形状の可動電極22とは、それぞれの櫛骨部12a,22aが互いに対向し、固定電極12の各固定櫛歯片12bが可動電極22の櫛溝に入り組んでおり、固定櫛歯片12bと可動櫛歯片22bとが、y軸方向において互いに離間している。したがって、駆動手段では、固定電極12と可動電極22との間に電圧が印加されることにより、固定電極12と可動電極22との間に互いに引き合う方向に作用する静電力が発生する。なお、y軸方向における固定櫛歯片12bと可動櫛歯片22bとの間の隙間は、例えば、2μm〜5μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
ミラー形成基板1の外側フレーム部10において第1のシリコン層100aにより形成された部位には、一方のパッド13(図2における左側のパッド13a)が可動電極22,22に電気的に接続されるとともに他方のパッド13(図2における右側のパッド13b)が固定電極12,12に電気的に接続され、且つ、固定電極12,12と可動電極22,22とが電気的に絶縁されるように、複数(ここでは、3つ)のスリット10aが絶縁層100cに達する深さで形成されている。これにより、外側フレーム部10において第1のシリコン層100aにより形成された部分は、可動部20の可動電極22,22と同電位になる第1の導電性構造体11aと、固定電極12,12と同電位になる第2の導電性構造体11bとに分けられている。ここで、第1の導電性構造体11aは、各捩りばね部30,30それぞれに連続一体に連結された2つのアンカー部11aa,11abと、一方のパッド13aが形成された矩形状の島部11acと、一方のアンカー部11aaと島部11acとをつなぐ平面視L字状の導電部11adとで構成されている。また、第2の導電性構造体11bは、第1のシリコン層100aのうち第1の導電性構造体11a以外の残りの部分からなり、他方のパッド13bが形成されている。
ここで、本実施形態のMEMS光スキャナでは、各スリット10aをトレンチとし、各スリット10aの平面視形状を外側フレーム部10の外側面側に開放されない形状としてある。しかして、本実施形態のMEMS光スキャナでは、外側フレーム部10にスリット10a,10a,10aを形成した構造を採用しながらも、外側フレーム部10と第1のカバー基板2との接合性が低下するのを防止することが可能となり、外側フレーム部10と各カバー基板2,3とで囲まれる空間の気密性を確保することができる。
第1のカバー基板2は、上述のように第1のガラス基板200を用いており、第1のガラス基板200の厚み方向に貫通して各パッド13それぞれを全周に亘って露出させる2つの貫通孔202が形成されている。ここにおいて、第1のガラス基板200の各貫通孔202は、ミラー形成基板1から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなるテーパ状に形成されている。各貫通孔202は、サンドブラスト法により形成してある。各貫通孔202の形成方法は、サンドブラスト法に限定するものではなく、ドリル加工法やエッチング法などを採用してもよい。
本実施形態のMEMS光スキャナでは、各パッド13の平面視形状を円形状としてあり、各貫通孔202の第1のミラー形成基板1側での開口径が各パッド13の直径よりも大きくなるようにしてある。各パッド13の直径は、0.5mmに設定してあるが、特に限定するものではない。また、各パッド13の平面視形状は、必ずしも円形状である必要はなく、例えば、正方形状としてもよいが、各貫通孔202の開口径を小さくするうえでは円形状の方が正方形状よりも好ましい。
ところで、各パッド13の一部が厚み方向において第1のカバー基板2に重なる場合には、各パッド13の厚みの影響で接合性や気密性が損なわれて製造時の歩留まり低下や、動作安定性の低下、経時安定性の低下の原因となる懸念がある。したがって、このような場合には、外側フレーム部10の幅寸法(外側フレーム部10の外側面と内側面との距離)を増大させる必要が生じて、MEMS光スキャナの小型化が制限されてしまうことが考えられる。
これに対して、本実施形態のMEMS光スキャナでは、第1のカバー基板2が各パッド13と重なることがなく、第1のカバー基板2と外側フレーム部10との間に各パッド13の一部が介在することもない。したがって、本実施形態のMEMS光スキャナでは、第1のカバー基板2とミラー形成基板1の外側フレーム部10との接合が各パッド13により妨げられるのを防止することができる。その結果、本実施形態のMEMS光スキャナでは、各パッド13の厚みの影響で接合性や気密性が損なわれるのを防止することができ、外側フレーム部10の幅寸法を増大させずに歩留まりの向上による低コスト化を図れるとともに、動作安定性の低下、経時安定性の低下を抑制することが可能となる。
また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、ミラー形成基板1の外側フレーム部10と各カバー基板2,3とで囲まれる気密空間を真空(真空雰囲気)とすることで、低消費電力化を図りつつ可動部20の機械振れ角を大きくすることが可能となる。そこで、本実施形態のMEMS光スキャナでは、上記気密空間を真空とするとともに、第2のカバー基板3におけるミラー形成基板1との対向面において外側フレーム部10に接合される部位よりも内側の適宜部位に非蒸発型ゲッタ(図示せず)を設けてある。なお、非蒸発型ゲッタは、例えば、Zrを主成分とする合金やTiを主成分とする合金などにより形成すればよい。また、本実施形態のMEMS光スキャナにおいて、外側フレーム部10と第1のカバー基板2と第2のカバー基板3とで囲まれた上記気密空間を不活性ガス雰囲気(例えば、ドライ窒素ガス雰囲気など)としてもよい。本実施形態のMEMS光スキャナでは、上記気密空間を真空雰囲気と不活性ガス雰囲気とのいずれにしても、ミラー面21の酸化を防止できるから、ミラー面21の材料の選択肢が多くなるとともに、ミラー面21の反射特性の経時変化を抑制することができる。
第1のガラス基板200は、ミラー形成基板1との対向面に、可動部20の変位空間を確保するための凹部(以下、第1の凹部と称する)201を有している。ここで、第1のガラス基板200は、上述のように2枚のガラス板を接合して形成されている。そこで、第1のガラス基板200は、ミラー形成基板1に近い側に配置するガラス板(以下、第1のガラス板と称する)において第1の凹部201に対応する部位に、厚み方向に貫通する開孔部を形成し、ミラー形成基板1から遠い側に配置するガラス板(以下、第2のガラス板と称する)を平板状としてある。したがって、第1のガラス基板200は、サンドブラスト加工などにより第1の凹部201が形成されたものに比べて、第1の凹部201の内底面を滑らかな表面とすることができ、第1の凹部201の内底面での拡散反射、光拡散、散乱損失などを低減できる。
第2のカバー基板3は、第2のガラス基板300を用いて形成されており、厚み方向の両面を平面状としてある。第2のカバー基板3については、可動部20の厚みや、SOI基板100の第2のシリコン層100bの厚みなどに応じて、第2のガラス基板300におけるミラー形成基板1側の一表面に、可動部20の変位空間を確保するための凹部(以下、第2の凹部と称する)を形成してもよい。第2のガラス基板300の上記一表面に第2の凹部を形成する場合は、例えば、サンドブラスト法などにより形成すればよい。なお、第2のカバー基板3は、光を透過させる必要がないので、第2のガラス基板300に限らず、例えば、シリコン基板を用いて形成してもよく、この場合の第2の凹部は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成すればよい。
各ガラス基板200,300のガラス材料としては、硼珪酸ガラスであるパイレックス(登録商標)を採用しているが、硼珪酸ガラスに限らず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどを採用してもよい。また、本実施形態では、各カバー基板2,3の厚さを0.5mm〜1.5mm程度の範囲で設定し、第1の凹部201の深さを0.3mm程度に設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。
次に、本実施形態のMEMS光スキャナの動作について簡単に説明する。
本実施形態のMEMS光スキャナでは、互いに対向する可動電極22と固定電極12との間に、可動部20を駆動するためのパルス電圧を一対のパッド13,13を介して印加することにより、可動電極22・固定電極12間に静電力が発生し、可動部20がy軸方向の軸回りで回動する。しかして、本実施形態のMEMS光スキャナでは、可動電極22・固定電極12間に所定の駆動周波数のパルス電圧を印加することにより、周期的に静電力を発生させることができ、可動部20を揺動させることができる。
ここで、上述の可動部20は、内部応力に起因して、静止状態でも水平姿勢(xy平面に平行な姿勢)ではなく、きわめて僅かであるが傾いているので、例えば、可動電極22・固定電極12間にパルス電圧が印加されると、静止状態からであっても、可動部20に略垂直な方向(z軸方向)の駆動力が加わり、可動部20が一対の捩りばね部30,30を回動軸として当該一対の捩りばね部30,30を捩りながら回動する。そして、可動電極22・固定電極12間の駆動力を、可動櫛歯片22bと固定櫛歯片12bとが完全に重なりあうような姿勢となったときに解除すると、可動部20は、慣性力により、一対の捩りばね部30,30を捩りながら回動し続ける。そして、可動部20の回動方向への慣性力と、一対の捩りばね部30,30の復元力とが等しくなったとき、当該回動方向への可動部20の回動が停止する。このとき、可動電極22・固定電極12間に再びパルス電圧が印加されて静電力が発生すると、可動部20は、一対の捩りばね部30,30の復元力と駆動手段の駆動力とにより、それまでとは逆の方向への回動を開始する。可動部20は、駆動手段の駆動力と一対の捩りばね部30,30の復元力とによる回動を繰り返して、一対の捩りばね部30,30を回動軸として揺動する。
本実施形態のMEMS光スキャナでは、可動部20と一対の捩りばね部30,30とにより構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数のパルス電圧を印加することにより、可動部20が共振現象を伴って駆動され、機械振れ角(xy平面に平行な水平面を基準としたときの傾き)が大きくなる。なお、可動電極22・固定電極12間への電圧(駆動電圧)の印加形態や周波数は特に限定するものではなく、例えば、可動電極22・固定電極12間に印加する電圧を正弦波電圧としてもよい。
ところで、本実施形態のMEMS光スキャナは、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1とは反対の外表面側に、透光性材料(例えば、ガラス、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂など)からなる透光性部材6が配置されている。ここにおいて、透光性部材6の透光性材料としては、第1のガラス基板2との屈折率差が小さいことが好ましく、第1のガラス基板2と屈折率が同じ透光性材料であることが、より好ましい。透光性部材6は、第1のカバー基板2側とは反対側の表面が、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1側の平面(xy平面に平行な平面であり、より具体的には、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1との接合面を含む仮想平面)とは非平行な非平行面61となっており、第1のカバー基板2の外表面とも非平行となっている。ここにおいて、本実施形態のMEMS光スキャナでは、透光性部材6の非平行面61が、一対の捩りばね部30,30を結ぶ直線に直交する断面(xz平面に平行な面)において傾斜する傾斜面により構成されている。ここで、透光性部材6は、光源からの光が入射する側の方が、厚みが薄くなっている。なお、図1(b)中の太線の矢印は、光源からの光で透光性部材6の非平行面61に入射する光のうちミラー面21で反射される光の進行経路を模式的に示し、細線の矢印は上記光源からの光で透光性部材6の非平行面61に入射する光のうち非平行面61で反射される光(不要な反射光)の進行方向を模式的に示している。
また、透光性部材6と第1のカバー基板2とは、透光性の接着剤により固着されているが、接着剤の材料としては、透光性部材6および第1のカバー基板2との屈折率差が小さな材料が好ましく、屈折率が同じで材料であることが、より好ましい。なお、透光性部材6の非平行面61は、傾斜面に限らず、例えば、凸曲面や凹曲面などでもよい。
以下、本実施形態のMEMS光スキャナの製造方法について図3を参照しながら説明するが、(a)〜(d)は図1(a)のA−B’断面に対応する部分の概略断面を示している。
まず、半導体基板であるSOI基板100の上記一表面側に所定膜厚(例えば、500nm)の金属膜(例えば、Al−Si膜)をスパッタ法や蒸着法などにより成膜する金属膜形成工程を行う。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して金属膜をパターニングすることにより各パッド13および反射膜21aを形成する金属膜パターニング工程を行うことによって、図3(a)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、各パッド13と反射膜21aとの材料および膜厚を同じに設定してあるので、各パッド13と反射膜21aとを同時に形成しているが、各パッド13と反射膜21aとの材料や膜厚が相違する場合には、各パッド13を形成するパッド形成工程と反射膜を形成する反射膜形成工程とを別々に設ければよく、パッド形成工程と反射膜形成工程との順序はどちらが先でもよい。
上述の各パッド13および反射膜21aを形成した後、SOI基板100の上記一表面側で、第1のシリコン層100aのうち可動部20、一対の捩りばね部30,30、外側フレーム部10、各固定電極12、各可動電極22に対応する部位を覆うようにパターニングされた第1のレジスト層131を形成する。続いて、第1のレジスト層131をマスクとして、第1のシリコン層100aを絶縁層100cに達する深さ(第1の所定深さ)までエッチングすることにより第1のシリコン層100aをパターニングする第1のシリコン層パターニング工程(表面側パターニング工程)を行うことによって、図3(b)に示す構造を得る。なお、第1のシリコン層パターニング工程での第1のシリコン層100aのエッチングは、誘導結合プラズマ(ICP)型のエッチング装置などのように、異方性の高いエッチングが可能なドライエッチング装置により行えばよい。また、第1のシリコン層パターニング工程では、絶縁層100cをエッチングストッパ層として利用している。
上述の第1のシリコン層パターニング工程の後、SOI基板100の上記一表面側の第1のレジスト層131を除去する。その後、SOI基板100の上記一表面側の全面に第2のレジスト層132を形成し、続いて、SOI基板100の他表面側で、第2のシリコン層100bのうち外側フレーム部10に対応する部位以外を露出させるようにパターニングされた第3のレジスト層133を形成する。そして、第3のレジスト層133をマスクとして、第2のシリコン層100bを絶縁層100cに達する深さ(第2の所定深さ)までエッチングすることにより第2のシリコン層100bをパターニングする第2のシリコン層パターニング工程を行うことによって、図3(c)に示す構造を得る。第2のシリコン層パターニング工程での第2のシリコン層100bのエッチングは、誘導結合プラズマ(ICP)型のエッチング装置などのように、異方性が高く垂直深堀が可能なドライエッチング装置により行えばよい。また、第2のシリコン層パターニング工程では、絶縁層100cをエッチングストッパ層として利用している。
上述の第2のシリコン層パターニング工程の後、SOI基板100の絶縁層100cにおいて外側フレーム部10と可動部20との間の部位、可動電極22と固定電極12との間の部位を、SOI基板100の上記他表面側からエッチングする絶縁層パターニング工程を行うことでミラー形成基板1を形成する。続いて、第2のレジスト層132および第3のレジスト層133を除去する。その後、ミラー形成基板1と、第1のカバー基板2および第2のカバー基板3とを陽極接合などにより接合する接合工程を行う。続いて、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1とは反対の外表面側に、透光性部材6を固着する透光性部材固着工程を行うことによって、図3(d)に示す構造のMEMS光スキャナを得る。
上述の接合工程では、ミラー形成基板1のミラー面21を保護する観点から、第1のカバー基板2とミラー形成基板1とを接合する第1の接合過程を行ってから、ミラー形成基板1と第2のカバー基板3とを接合する第2の接合過程を行うことが好ましい。ここで、第1の接合過程では、先ず、第1のガラス基板200に第1の凹部201や各貫通孔202を形成した第1のカバー基板2とミラー形成基板1とを重ねた積層体を、所定真空度(例えば、10Pa以下)の真空中で所定の接合温度(例えば、300℃〜400℃程度)に加熱した状態で、第1のシリコン層100aと第1のカバー基板2との間に第1のカバー基板2側を低電位側として所定電圧(例えば、400V〜800V程度)を印加し、この状態を所定の接合時間(例えば、20分〜60分程度)だけ保持すればよい。また、第2の接合過程では、上述の第1の接合過程に準じて、第2のシリコン層100bと第2のカバー基板3との陽極接合を行う。なお、ミラー形成基板1と各カバー基板2,3を接合する接合方法は、陽極接合に限らず、例えば、常温接合法などでもよい。また、第1のシリコン層パターニング工程の後に、SOI基板100と第1のカバー基板2とを接合し、その後、第2のシリコン層パターニング工程、絶縁層パターニング工程を行うことでミラー形成基板1を形成し、その後、ミラー形成基板1と第2のカバー基板3とを接合するようにしてもよい。
ところで、本実施形態のMEMS光スキャナの製造方法では、接合工程が終了するまでの全工程をミラー形成基板1および各カバー基板2,3それぞれについてウェハレベルで行うことでウェハレベルパッケージ構造体を形成するようにし、当該ウェハレベルパッケージ構造体から個々のMEMS光スキャナに対応するチップに分割する分割工程を行い、その後、各チップそれぞれにおける第1のカバー基板2に、透光性部材6を固着するようにしている。要するに、本実施形態のMEMS光スキャナの製造方法では、ミラー形成基板1を複数形成した第1のウェハと、第1のカバー基板2を複数形成した第2のウェハおよび第2のカバー基板3を複数形成した第3のウェハとを接合することでウェハレベルパッケージ構造体を形成した後、ウェハレベルパッケージ構造体からミラー形成基板1の外形サイズに分割するようにしているので、各カバー基板2,3の平面サイズをミラー形成基板1の外形サイズに合わせることができるから、小型のMEMS光スキャナセンサを簡易なプロセスで製造することができ、また、量産性を高めることが可能となる。
以上説明した本実施形態のMEMS光スキャナでは、透光性部材6における第1のカバー基板2側とは反対の表面が、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1側の平面とは非平行な非平行面61であるので、不要な反射光の方向がミラー面21での反射光(ミラー面21で反射されMEMS光スキャナから出射される光)の方向に揃うのを抑制することが可能となる。また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、透光性部材6と第1のカバー基板2とが、透光性を有する接着剤により固着されているので、透光性部材6の形状の自由度が高くなるとともに、製造が容易になる。
また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、SOI基板100の第1のシリコン層100aにより各捩りばね部30,30を形成してあるので、半導体基板としてシリコン基板を用いる場合に比べて各捩りばね部30,30の厚み寸法の精度を高めることができ、可動部20と一対の捩りばね部30,30とで構成される振動系の共振周波数の精度を高めることができる。
(実施形態2)
本実施形態のMEMS光スキャナの基本構成は実施形態1と略同じであって、図4〜図7に示すように、ミラー形成基板1と第1のカバー基板2と第2のカバー基板3とで構成されるチップ9が実装される実装基板5を備えている点や、可動部20および第2のカバー基板3などの構造が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態では、可動部20が、外側フレーム部(固定フレーム部)10に一対の捩りばね部30,30(以下、第1の捩りばね部30,30と称する)を介して揺動自在に支持された枠状(ここでは、矩形枠状)の可動フレーム部23と、可動フレーム部23の内側に配置されミラー面21が設けられたミラー部24と、可動フレーム部23の内側でミラー部24を挟む形で配置され可動フレーム部23とミラー部24とを連結し捩れ変形が可能な一対の捩りばね部25,25(以下、第2の捩りばね部25,25と称する)とを有している。
第2の捩りばね部25,25は、第1の捩りばね部30,30の並設方向(y軸方向)とは直交する方向(x軸方向)に並設されている。要するに、可動部20は、一対の第2の捩りばね部25,25がx軸方向に並設されており、ミラー部24が、可動フレーム部23に対して一対の第2の捩りばね部25,25の回りで変位可能となっている(x軸方向の軸回りで回動可能となっている)。つまり、一対の第2の捩りばね部25,25は、可動フレーム部23に対してミラー部24が揺動自在となるように可動フレーム部23とミラー部24とを連結している。言い換えれば、可動フレーム部23の内側に配置されるミラー部24は、ミラー部24から相反する2方向へ連続一体に延長された2つの第2の捩りばね部25,25を介して可動フレーム部23に揺動自在に支持されている。ここで、一対の第2の捩りばね部25,25は、両者のx軸方向に沿った中心線同士を結ぶ直線が、平面視でミラー部24の重心を通るように形成されている。なお、各第2の捩りばね部25は、厚み寸法(z軸方向の寸法)を30μm、幅寸法(y軸方向の寸法)を、30μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。また、ミラー部24およびミラー面21の平面視形状は、矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。また、可動フレーム部23の内周形状も矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
上述の説明から分かるように、ミラー部24は、一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りの回動と、一対の第2の捩りばね部25,25の軸回りの回動とが可能である。要するに、本実施形態のMEMS光スキャナは、ミラー部24のミラー面21が、2次元的に回動可能に構成されている。ここで、可動部20は、可動フレーム部23における第1のカバー基板2側とは反対側に、可動フレーム部23を支持する枠状の支持体29が一体に設けられており、支持体29が可動フレーム部23と一体に回動可能となっている。
そこで、第2のカバー基板3は、第2のガラス基板300におけるミラー形成基板1側の上記一表面に、可動部20の変位空間を確保するための第2の凹部301を形成してある。
また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、外側フレーム部10と第1のカバー基板2と第2のカバー基板3とで囲まれる気密空間を真空とすることで、低消費電力化を図りつつ可動部20の機械振れ角を大きくすることが可能となるので、上記気密空間を真空とするとともに、第2の凹部301の内底面に、フィルム状のゲッタ4を配置してある。なお、ゲッタ4としては、非蒸発型ゲッタが好ましく、例えば、Zrを主成分とする合金やTiを主成分とする合金などにより形成すればよい。
ここにおいて、第2のガラス基板300の上記一表面に凹部301を形成する場合は、例えば、サンドブラスト法などにより形成すればよい。また、第2のカバー基板3についても、第1のカバー基板2と同様、2枚のガラス板を接合して形成してもよく、ミラー形成基板1に近い側に配置するガラス板(以下、第3のガラス板と称する)において第2の凹部301に対応する部位に厚み方向に貫通する開孔部を形成するとともに、ミラー形成基板1から遠い側に配置するガラス板(以下、第4のガラス板と称する)を平板状としてもよい。なお、第2のカバー基板3は、光を透過させる必要がないので、第2のガラス基板300に限らず、ミラー形成基板1との接合が容易で且つ半導体基板(SOI基板100)の材料であるSiとの線膨張率差が小さな材料により形成された基板であればよく、例えば、シリコン基板を用いて形成してもよく、この場合の第2の凹部301は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成すればよい。
なお、本実施形態では、第1のカバー基板2および第2のカバー基板3の厚さを0.5mm〜1.5mm程度の範囲で設定し、第1の凹部201および第2の凹部301の深さを300μm〜800μmの範囲で設定してあるが、これらの数値は一例であり、可動部20のz軸方向への変位量に応じて適宜設定すればよく(つまり、可動部20の回動運動を妨げない深さであればよく)、特に限定するものではない。
また、本実施形態のMEMS光スキャナは、外側フレーム部10に、3つのパッド13が平面視において一直線上に並ぶように略等間隔で並設されており、第1のカバー基板2に、各パッド13それぞれを各別に露出させる3つの貫通孔202が貫設されている。
また、ミラー形成基板1は、実施形態1と同様、可動部20において一対の第1の捩りばね部30,30を結ぶ方向(一対の第1の捩りばね部30,30の並設方向)に直交する方向(つまり、x軸方向)の両側に形成された櫛形状の可動電極22(以下、第1の可動電極22と称する)と、外側フレーム部10に形成され第1の可動電極22の複数の可動櫛歯片22bに対向する複数の固定櫛歯片12bを有する櫛形状の固定電極12(以下、第1の固定電極12と称する)とを備えている。さらに、ミラー形成基板1は、ミラー部24において一対の第2の捩りばね部25,25を結ぶ方向(一対の第2の捩りばね部25,25の並設方向)に直交する方向(つまり、y軸方向)の両側に形成された櫛形状の第2の可動電極27と、可動フレーム部23に形成され第2の可動電極27の複数の可動櫛歯片27bに対向する複数の固定櫛歯片26bを有する櫛形状の第2の固定電極26とを備えている。そして、ミラー形成基板1は、第1の可動電極22と第1の固定電極12との組、第2の可動電極27と第2の固定電極26との組、それぞれが静電力により可動部20を駆動する静電駆動式の駆動手段を構成している。
上述の第2の固定電極26は、平面視形状が櫛形状であり、櫛骨部26aが可動フレーム部23の一部により構成されている。そして、第2の固定電極26の櫛骨部26aにおけるミラー部24との対向面(可動フレーム部23におけるx軸方向に沿った内側面)には、多数の固定櫛歯片26bが一対の第2の捩りばね部25,25の並設方向に沿って列設されている。一方、第2の可動電極27はミラー部24の一部により構成されており、第2の固定電極26の櫛骨部26a側の側面(ミラー部24におけるx軸方向に沿った側面)には、固定櫛歯片26bにそれぞれ対向する多数の可動櫛歯片27bが上記並設方向に列設されている。ここで、櫛形状の第2の固定電極26と櫛形状の第2の可動電極27とは、櫛骨部26a,27aが互いに対向し、第2の固定電極26の各固定櫛歯片26bが第2の可動電極27の櫛溝に入り組んでおり、固定櫛歯片26bと可動櫛歯片27bとが、x軸方向において互いに離間している。したがって、ミラー形成基板1は、第2の固定電極26と第2の可動電極22との間に電圧が印加されることにより、第2の固定電極26と第2の可動電極27との間に、互いに引き合う方向に作用する静電力が発生する。なお、x軸方向における固定櫛歯片26bと可動櫛歯片27bとの間の隙間は、例えば、2μm〜5μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
ミラー形成基板1は、外側フレーム部10において第1のシリコン層100aにより形成された部位に複数(ここでは、3つ)のスリット10aを形成するとともに、可動部20の可動フレーム部23において第1のシリコン層100aにより形成された部位に複数(ここでは、4つ)のスリット20aを形成してある。これにより、ミラー形成基板1は、3つのパッド13のうち図5における真ん中のパッド13(13b)が第1の固定電極12と電気的に接続されて同電位となり、右側のパッド13(13a)が第1の可動電極22および第2の可動電極26と電気的に接続されて同電位となり、左側のパッド13(13c)がミラー部24の第2の可動電極27と電気的に接続されて同電位となっている。
ここで、外側フレーム部10の複数のスリット10aは、絶縁層100cに達する深さで形成されている。本実施形態においても、実施形態1と同様、各スリット10aをトレンチとし、各スリット10aの平面視形状を外側フレーム部10の外側面側に開放されない形状とすることで、外側フレーム部10にスリット10aを形成した構造を採用しながらも、外側フレーム部10と第1のカバー基板2との接合性が低下するのを防止し、外側フレーム部10と各カバー基板2,3とで囲まれる空間の気密性を確保している。
また、可動部20における可動フレーム部23の各スリット20aは、トレンチとしてあり、SOI基板100の絶縁層100cの一部と第2のシリコン層100bの一部とで構成される上述の支持体29における絶縁層100cに達する深さに形成してある。要するに、本実施形態では、可動フレーム部23に複数のスリット20aを形成した構成を採用しながらも支持体29により可動フレーム部23を支持しているので、可動フレーム部23と支持体29とが、一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りで一体に回動可能となっている。ここにおいて、支持体29は、可動フレーム部23のうち各固定櫛歯片26bおよび各可動櫛歯片22bを除く部位を覆う枠状(矩形枠状)に形成されている(図7参照)。また、可動フレーム部23の複数のトレンチ20aは、支持体29を含めた可動部20の重心が、平面視において一対の第1の捩りばね部30,30のy軸方向に沿った中心線を結ぶ直線の略真ん中に位置するように形状を設計してある。しかして、本実施形態のMEMS光スキャナでは、可動部20が一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りでスムーズに揺動し、反射光のスキャンが適正に行われる。なお、本実施形態では、支持体29において第2のシリコン層100bにより構成される部位の厚さを、外側フレーム部10において第2のシリコン層100bにより構成される部位と同じ厚さに設定してあるが、同じに限らず、厚くしてもよいし薄くしてもよい。
本実施形態のMEMS光スキャナでは、例えば、第1の可動電極22および第2の固定電極26が電気的に接続されたパッド13aの電位を基準電位として、第1の固定電極12および第2の可動電極27それぞれの電位を周期的に変化させることにより、可動部20を一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りで回動させることができるとともに、ミラー部24を一対の第2の捩りばね部25,25の軸回りで回動させることができる。要するに、本実施形態のMEMS光スキャナでは、対向する第1の固定電極12と可動電極22との間に、可動部20を駆動するためのパルス電圧を一対のパッド13b,13aを介して印加することにより、第1の固定電極12・第1の可動電極22間に静電力が発生し、可動部20がy軸方向の軸回りで回動する。また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、対向する第2の固定電極26と第2の可動電極27との間に、ミラー部24を駆動するためのパルス電圧を一対のパッド13a,13cを介して印加することにより、第2の固定電極26・第2の可動電極27間に静電力が発生し、ミラー部24がx軸方向の軸回りで回動する。しかして、本実施形態のMEMS光スキャナでは、第1の固定電極12・第1の可動電極22間に所定の第1の駆動周波数のパルス電圧を印加することにより、周期的に静電力を発生させることができ、可動部20全体を揺動させることができ、さらに、第2の固定電極26・第2の可動電極27間に所定の第2の駆動周波数のパルス電圧を印加することにより、周期的に静電力を発生させることができ、可動部20のミラー部24を揺動させることができる。なお、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10と第1のカバー基板2とで囲まれた空間側において、第1のシリコン層100aの反射膜21aが形成されていない部位の表面に、シリコン酸化膜111a(図8(f)参照)が形成されている。
本実施形態のMEMS光スキャナでは、第1の固定電極12・第1の可動電極22間に、可動部20と一対の第1の捩りばね部30,30とにより構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数のパルス電圧を印加することにより、可動部20が共振現象を伴って駆動され、機械振れ角(xy平面に平行な水平面を基準としたときの傾き)が大きくなる。また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、第2の固定電極26・第2の可動電極27間に、ミラー部24と一対の第2の捩りばね部25,25とにより構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数のパルス電圧を印加することにより、ミラー部24が共振現象を伴って駆動され、機械振れ角(可動フレーム部23における第1のカバー基板2側の表面に平行な面を基準としたときの傾き)が大きくなる。
以下、本実施形態のMEMS光スキャナにおいて、ミラー形成基板1と第1のカバー基板2と第3のカバー基板3とで構成されるチップ9の製造方法について図8を参照しながら説明するが、図8の(a)〜(f)は図5のA−B断面に対応する部分の概略断面を示している。
まず、半導体基板であるSOI基板100の上記一表面側および上記他表面側それぞれに熱酸化法などによりシリコン酸化膜111a,111bを形成する酸化膜形成工程を行うことによって、図8(a)に示す構造を得る。
その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してSOI基板100の上記一表面側のシリコン酸化膜(以下、第1のシリコン酸化膜と称する)111aをパターニングする第1のシリコン酸化膜パターニング工程を行うことによって、図8(b)に示す構造を得る。この第1のシリコン酸化膜パターニング工程では、第1のシリコン酸化膜111aのうち、可動部20において反射膜21aの形成予定領域以外の部分、第1の捩りばね部30,30などに対応する部位などが残るように、第1のシリコン酸化膜111aをパターニングする。
第1のシリコン酸化膜パターニング工程の後、SOI基板100の上記一表面側に所定膜厚(例えば、500nm)の金属膜(例えば、Al−Si膜)をスパッタ法や蒸着法などにより成膜する金属膜形成工程を行い、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して金属膜をパターニングすることにより各パッド13および反射膜21aを形成する金属膜パターニング工程を行うことによって、図8(c)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、各パッド13と反射膜21aとの材料および膜厚を同じに設定してあるので、各パッド13と反射膜21aとを同時に形成しているが、各パッド13と反射膜21aとの材料や膜厚が相違する場合には、各パッド13を形成するパッド形成工程と反射膜を形成する反射膜形成工程とを別々に設ければよい。
上述の各パッド13および反射膜21aを形成した後、SOI基板100の上記一表面側で、第1のシリコン層100aのうち可動フレーム部23、ミラー部24、一対の第1の捩りばね部30,30、一対の第2の捩りばね部25,25、外側フレーム部10、第1の固定電極12、第2の可動電極22、第2の固定電極26、第2の可動電極27に対応する部位を覆うようにパターニングされた第1のレジスト層131を形成する。その後、第1のレジスト層131をマスクとして、第1のシリコン層100aを絶縁層100cに達する深さ(第1の所定深さ)までエッチングすることにより第1のシリコン層100aをパターニングする第1のシリコン層パターニング工程(表面側パターニング工程)を行うことによって、図8(d)に示す構造を得る。第1のシリコン層パターニング工程での第1のシリコン層100aのエッチングは、誘導結合プラズマ型のエッチング装置などのように、異方性の高いエッチングが可能なドライエッチング装置により行えばよい。また、第1のシリコン層パターニング工程では、絶縁層100cをエッチングストッパ層として利用している。
上述の第1のシリコン層パターニング工程の後、SOI基板100の上記一表面側の第1のレジスト層131を除去する。その後、SOI基板100の上記一表面側の全面に第2のレジスト層132を形成する。続いて、SOI基板100の他表面側で、第2のシリコン層100bのうち外側フレーム部10、支持体29に対応する部位以外を露出させるようにパターニングされた第3のレジスト層133を形成する。その後、第3のレジスト層133をマスクとして、第2のシリコン層100bを絶縁層100cに達する深さ(第2の所定深さ)までエッチングすることにより第2のシリコン層100bをパターニングする第2のシリコン層パターニング工程を行うことによって、図8(e)に示す構造を得る。第2のシリコン層パターニング工程での第2のシリコン層100bのエッチングは、誘導結合プラズマ型のエッチング装置などのように、異方性が高く垂直深堀が可能なドライエッチング装置により行えばよい。また、第2のシリコン層パターニング工程では、絶縁層100cをエッチングストッパ層として利用している。
上述の第2のシリコン層パターニング工程の後、SOI基板100の絶縁層100cの不要部分をSOI基板100の上記他表面側からエッチングする絶縁層パターニング工程を行うことでミラー形成基板1を形成する。続いて、第2のレジスト層132および第3のレジスト層133を除去する。その後、ミラー形成基板1と、第1のカバー基板2および第2のカバー基板3とを陽極接合などにより接合する接合工程を行うことによって、図8(f)に示す構造を得る。
上述の接合工程では、ミラー形成基板1のミラー面21を保護する観点から、第1のカバー基板2とミラー形成基板1とを接合する第1の接合過程を行ってから、ミラー形成基板1と第2のカバー基板3とを接合する第2の接合過程を行うことが好ましい。ここで、第1の接合過程では、先ず、第1のガラス基板200に第1の凹部201や各貫通孔202などを形成した第1のカバー基板2とミラー形成基板1とを重ねた積層体を、所定真空度(例えば、10Pa以下)の真空中で所定の接合温度(例えば、300℃〜400℃程度)に加熱した状態で、第1のシリコン層100aと第1のカバー基板2との間に第1のカバー基板2側を低電位側として所定電圧(例えば、400V〜800V程度)を印加し、この状態を所定の接合時間(例えば、20分〜60分程度)だけ保持すればよい。また、第2の接合過程では、上述の第1の接合過程に準じて、第2のシリコン層100bと第2のカバー基板3との陽極接合を行う。なお、ミラー形成基板1と各カバー基板2,3を接合する接合方法は、陽極接合に限らず、例えば、常温接合法などでもよい。また、第1のシリコン層パターニング工程の後に、SOI基板100と第1のカバー基板2とを接合し、その後、第2のシリコン層パターニング工程、絶縁層パターニング工程を行うことでミラー形成基板1を形成し、その後、ミラー形成基板1と第2のカバー基板3とを接合するようにしてもよい。
ところで、上述の実装基板5は、複数の導体パターン(電極)502が一表面側に形成されている。そして、実装基板5は、チップ9の各パッド13それぞれから延出されたボンディングワイヤ8が互いに異なる導体パターン502に電気的に接続されている。ここで、ボンディングワイヤ8を構成する金属線としては、例えば、Au細線や、1%Si−Al線、1%Mg−Al線などAl−Si細線を用いることができるが、導電性に優れたAu細線が好ましい。また、導体パターン502の材料は、耐酸化性の高い金属であれば特に限定するものではないが、ボンディングワイヤ8との接合性の観点からAuが好ましい。
また、実装基板5は、プリント配線板などの配線基板(回路基板)に対して2次実装するにあたって、表面実装できるように、側面(側面に形成された切欠部の内面)と裏面とに跨って連続する導体パターン(端子パターン)からなる外部接続電極504が形成されている。したがって、実装基板5を上記配線基板に2次実装する場合には、半田フィレットを形成でき、実装強度の向上を図れる。なお、実装基板5は、導体パターン502と外部接続電極504とを電気的に接続する配線用導体パターン503も形成されているが、導体パターン502と外部接続電極504とが連続して形成されるような配置にすれば、配線用導体パターン503は設ける必要はない。外部接続電極504および配線用導体パターン503の材料は、導体パターン502と同様、Auが好ましい。
また、上述のチップ9は、第1のカバー基板2に、各貫通孔202それぞれに各別に連通するととともに貫通孔202側とは反対側が開放された複数(ここでは、3つ)の溝部203が形成されている。
上述の実装基板5の各導体パターン502は、対応するパッド13(ボンディングワイヤ8を介して電気的に接続するパッド13)との距離が短くなるように配置されており、溝部203は、1対1で対応するパッド13と導体パターン502との並び方向に沿って走るように形成されている。溝部203の深さ寸法は、当該溝部203に通したボンディングワイヤ8が、第1のカバー基板2の外表面を含む平面から突出しないようにボンディングワイヤ8を退避させる(隠す)ことができる値であればよい。
さらに、溝部203について説明すれば、ミラー形成基板1の構造によっては、溝部203を第1のカバー基板2の厚み方向に貫通する形で形成してもよいが、ミラー形成基板1と第1のカバー基板2との接合面積や、チップ9内部の気密性の観点から、貫通していないことが好ましく、溝部203の深さ寸法は、貫通孔203の長さ寸法よりも200μm〜400μm程度小さいことが好ましい。特に本実施形態では、図5における左右のパッド13(13c),13(13a)の周りに、スリット10a,10aの一部が形成されているので、気密性を確保するために、少なくとも、図5における左右の溝部203,203は、第1のカバー基板2の厚み方向に貫通しない形で形成する必要がある。なお、溝部203の幅寸法は、ボンディングワイヤ8を通すことができる寸法であればよく、本実施形態では、第1のカバー基板2の外表面における貫通孔202の開口径よりも小さな値に設定してあるが、幅寸法は特に限定するものではない。また、溝部203の開口形状は、特に限定するものではなく、溝部203の内側面がテーパ面となっていてもよい。また、第1のカバー基板2の溝部203は、ドリル加工法により形成してある。溝部203の形成方法は、ドリル加工法に限らず、例えば、サンドブラスト法やエッチング法などを採用してもよく、第2のカバー基板2の材料や溝部203の所望の開口形状に応じて適宜の形成方法を採用すればよい。
また、実装基板5は、中央部に、導体パターン502を含む平面よりも凹んだ凹部501が形成されており、当該凹部501の内底面にチップ9が搭載されているので、凹部501の深さ寸法を適宜設定することにより、ミラー形成基板1の厚み方向に沿った方向におけるパッド13と導体パターン502との高低差を低減でき、ボンディングワイヤ8が溝部203の両端で第1のカバー基板2に接触するのを防止することが可能となる。ここで、凹部501の深さ寸法は、チップ9の裏面からパッド13の表面までの高さに応じて適宜設定すればよく、例えば、数百μm〜1mm程度の範囲で適宜設定すればよい。言い換えれば、実装基板5の凹部501の深さ寸法を適宜設定することにより、ミラー形成基板1の厚み方向に沿った方向におけるパッド13と導体パターン502との高低差を調整することができる。なお、チップ9は、実装基板5に対して、ダイボンド材を用いて接着されている(ダイボンドされている)。ダイボンド材としては、例えば、樹脂系のダイボンド材(例えば、シリコーン樹脂や、エポキシ樹脂など)を採用すればよいが、実装基板5の凹部501の内底面からパッド13の表面までの高さ寸法の精度を高めるために、例えば、多数の球状のスペーサを混ぜた樹脂を用いてもよい。また、実装基板5は、セラミック基板により形成されているが、特にセラミック基板に限定するものではない。
ところで、本実施形態のMEMS光スキャナでは、ミラー形成基板1の厚み方向において、パッド13の表面を含む平面が、実装基板5の導体パターン502の表面を含む平面よりも所定高さ(例えば、200μm〜500μm程度)だけ低い位置となるように実装基板5の凹部501の深さ寸法を設定することが好ましい。これにより、本実施形態のMEMS光スキャナでは、ボンディングワイヤ8が、溝部203の両端で第1のカバー基板2に接触するのを防止することができ、良好なワイヤボンディングを実現することができる。さらに、良好なワイヤボンディングを実現するためには、溝部203の深さ寸法よりも、第1のカバー基板2の外表面における貫通孔202の開口径を大きくすることが好ましい。
本実施形態のMEMSスキャナの製造にあたっては、上述のチップ9の製造方法により製造されたチップ9を実装基板5に接着することで実装基板5に搭載するチップ搭載工程を行い、その後、チップ9におけるパッド13と実装基板5の導体パターン502とをボンディングワイヤ8を介して電気的に接続するワイヤボンディング工程を行うようにすればよく、当該ワイヤボンディング工程において、ボンディングワイヤ8を第1のカバー基板2の溝部203に通すようにしている。
また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、各溝部203それぞれに各別に充填されボンディングワイヤ8を保護する樹脂からなる複数の保護部7を設けてある。なお、保護部7の材料である樹脂としては、熱硬化型ものを用いているが、熱硬化型に限らず、紫外線硬化型のものや、紫外線・熱併用硬化型のものを用いてもよい。
本実施形態のMEMS光スキャナでは、ボンディングワイヤ8を少量の樹脂により保護することができ、しかも、貫通孔202が樹脂溜まりとしての機能を有することとなり、樹脂が第1のカバー基板2の外表面上に広がるのを抑制することが可能となる。なお、保護部7の形成にあたっては、ディスペンサなどを利用して溝部203に樹脂を充填すればよい。
また、本実施形態のMEMSスキャナでは、透光性部材6が、パッド13に電気的に接続され溝部203を通されたボンディングワイヤ8を保護することが可能な大きさに形成されている。具体的には、透光性部材6の外形寸法を実装基板5の外形寸法と略同じに設定してあるが、透光性部材6の外形寸法は特に限定するものではない。しかして、本実施形態のMEMS光スキャナの製造にあたっては、チップ9を実装基板5に実装した後で、保護部7を形成し、その後、透光性部材6をチップ9における第1のカバー基板2に固着するようにしている。
以上説明した本実施形態のMEMS光スキャナでは、実施形態1と同様、透光性部材6における第1のカバー基板2側とは反対の表面が、第1のカバー基板2におけるミラー形成基板1側の平面とは非平行な非平行面61であるので、不要な反射光の方向がミラー面21での反射光(ミラー面21で反射されMEMS光スキャナから出射される光)の方向に揃うのを抑制することが可能となる。
また、本実施形態のMEMS光スキャナによれば、第1のカバー基板2に、各貫通孔202それぞれに各別に連通するととともに貫通孔202側とは反対側が開放されパッド13と実装基板5の導体パターン502とを電気的に接続するボンディングワイヤ8を通す複数の溝部203が形成されているので、第1のカバー基板2の外表面よりもボンディングワイヤ8が突出するのを防止することが可能となる。
また、本実施形態のMEMS光スキャナでは、透光性部材6が、パッド13に電気的に接続され溝部203を通されたボンディングワイヤ8を保護することが可能な大きさに形成されているので、外部物体との接触によるボンディングワイヤ8の破損を防止することが可能となるとともに、保護部7に外力が作用して発生する応力によりボンディングワイヤ8が断線するのを防止することが可能となり、信頼性が向上する。なお、本実施形態のMEMS光スキャナでは、保護部7を設けずに、透光性部材6をチップ9に固着するようにしてもよい。
1 ミラー形成基板
2 第1のカバー基板
3 第2のカバー基板
6 透光性部材
8 ボンディングワイヤ(金属線)
10 外側フレーム部
12 固定電極
13 パッド
20 可動部
21 ミラー面
22 可動電極
30 捩りばね部
61 非平行面
100 SOI基板(半導体基板)
200 第1のガラス基板
202 貫通孔
203 溝部

Claims (3)

  1. 半導体基板を用いて形成され可動部にミラー面が設けられたミラー形成基板と、前記ミラー形成基板において前記ミラー面が設けられた一表面側に接合されたガラス基板からなる第1のカバー基板と、ミラー形成基板の他表面側に接合された第2のカバー基板と、前記可動部を駆動する駆動手段とを備え、前記ミラー形成基板が、外側フレーム部と、前記外側フレーム部の内側に配置された前記可動部と、前記外側フレーム部の内側で前記可動部を挟む形で配置され前記外側フレーム部と前記可動部とを連結し捩れ変形が可能な一対の捩りばね部とを有し、前記第1のカバー基板における前記ミラー形成基板側とは反対の外表面側に、透光性部材が配置されており、前記透光性部材における前記第1のカバー基板側とは反対の表面が、前記第1のカバー基板における前記ミラー形成基板側の平面とは非平行な非平行面であることを特徴とするMEMS光スキャナ。
  2. 前記透光性部材と前記第1のカバー基板とが、透光性を有する接着剤により固着されてなることを特徴とする請求項1記載のMEMS光スキャナ。
  3. 前記ミラー形成基板は、前記一表面側において前記外側フレーム部に形成され前記駆動手段に接続された複数のパッドを備え、前記第1のカバー基板は、前記各パッドそれぞれを露出させる複数の貫通孔が形成され、前記各貫通孔それぞれに各別に連通するとともに前記貫通孔側とは反対側が開放された溝部が形成されてなり、前記透光性部材は、前記パッドに電気的に接続され前記溝部を通された金属線を保護することが可能な大きさに形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のMEMS光スキャナ。
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