JP2012026918A - 多成分用レーザ式ガス分析計 - Google Patents

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Abstract

【課題】収差の影響の排除および伝播可能な光周波数の広帯域化を実現し、可視光および近赤外光に渉って吸光する複数の測定対象ガスに対して、ガス成分を正確に検出する多成分用レーザ式ガス分析計を提供する。
【解決手段】発光用光学系および受光用光学系は収差の影響を低減するような光学系を採用した。また、マルチモード型の光ファイバ、結合手段、分波手段により光周波数の広帯域化を実現した。これにより、ガス成分を正確に検出する多成分レーザ式ガス分析計とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、空間内の各種の測定対象ガスの有無や濃度を分析する多成分用レーザ式ガス分析計に関する。
多成分用レーザ式ガス分析計の従来技術として、例えば、特許文献1(特開2009−264814号公報、発明の名称「多成分用レーザ式ガス分析計」)に記載の発明が知られている。この多成分用レーザ式ガス分析計は、発光側では4個の発光素子本体を有している。これら4個の発光素子本体それぞれに対し、例えば10kHz,12.5kHz,15kHz,17.5kHzというそれぞれ異なる変調波周波数を設定する。そして、それぞれ20kHz,25kHz,30kHz,35kHzという2倍周波数成分を変調信号に発生させる。また、受光側では、参照信号発生回路がこれらの周波数の参照信号を出力する。すると、同期検波回路がそれぞれの2倍周波数成分に吸光特性を有する測定対象ガス、すなわちNH,HCl,HS,CHという測定対象ガスの吸光特性をそれぞれ検出して出力する。
また、多成分用レーザ式ガス分析計の他の従来技術として、例えば、特許文献2(特開2000−74830号公報、発明の名称「半導体レーザ分光法を用いた温度・濃度・化学種の高速計測方法および計測システム」に記載の発明が知られている。この計測システムは、分布帰還型(DFB)半導体レーザを2個備え、互いに異なる波長λ(例えば1.996μm)、λ(例えば2.050μm)のレーザ光を発して、これらレーザ光を合波し、この合成したレーザ光を、COと空気とを適宜の割合で混合してなる被測定ガス内に通過させて温度・濃度・化学種を求める。
また、光ファイバ式多成分計の他の従来技術として、例えば、図17で示すような装置が知られている。半導体レーザ501aはメタンガス吸収線(1.6659μm帯)の光を発振する。半導体レーザ501bはアセチレンガス吸収線(1.5328μm帯)の光を発振する。特に、半導体レーザ501a,501bから出射されるレーザ光は、コリメートレンズ502a,502bにより平行レーザ光になる。この平行レーザ光は、アイソレータ503a,503bの通過後、集光レンズ504a,504bにより光ファイバ505a,505bに入射される。
これら光ファイバ505a,505b中を伝送された入射レーザ光は、互いに分岐結合器506により合成され、1本の往路用光ファイバ507中を伝送されてテストセル508へ送られる。これら光ファイバ505a,505b,507は、遠隔地での測定を行うために光伝送路として石英系光ファイバを用いており、その光ファイバは0.8μm〜1.7μm付近で低損失特性を示す。そのため、検出対象とするガスとしては、吸収線がこの帯域内にあるメタンガスとアセチレンガスとが対象となる。
テストセル508内では合成レーザ光が空中伝搬される。これら合成レーザ光のうち半導体レーザ501aからのレーザ光がメタンガスに吸収される。また、半導体レーザ501bからのレーザ光がアセチレンガスにそれぞれ吸収される。これら吸収後のレーザ光は、対向する復路用ファイバ509に受光される。そして、図18で示すように、受光側で可視および近赤外光に対する二個のフォトダイオードにより受光される。
特開2009−264814号公報 特開2000−74830号公報
半導体レーザを用いた吸収分光法に基づく従来技術の多成分用レーザ式ガス分析計は、使用可能な半導体レーザ光の波長範囲が狭いため、測定対象ガスが限定されるという問題があった。
先に説明した特許文献1に記載の多成分用レーザ式ガス分析計では、(O)酸素ガスの検出を行うことが困難であった。NH,HCl,HS,CHの吸収波長は、1600nm〜2000nmである。一方、(O)酸素ガスの吸収波長は760〜768nmであって波長が大きく離れており、従来技術の光学系では(O)酸素ガスを検出することが困難であった。
また、図19にも示すように、従来技術の受光素子は760nm〜768nmの領域では感度が殆どないため(O)酸素ガスが検出できず、これらガスを全て検出することが困難であった。
さらにまた、光ファイバとして、例えば、通信用途に用いられるシングルモード光ファイバを長距離伝送に用いるとき、1300nm〜1800nmの波長の光は低損失であるが、(O)酸素ガスの検出に必要な760〜768nm付近の波長の光は損失が大きいという問題があった。
そのため、特許文献1の多成分用レーザ式ガス分析計は、ガス分析に必要な複数のガス成分を検出できないという問題があった。
そして、先に説明した特許文献2に記載の計測システムでも、波長が1900nm〜2000nmのレーザ光を合成し、多波長検出の例が示されている。しかしながら、波長が大きく離れたレーザ光の合成については記載ない。
また、空間光への変換において、コリメートレンズは波長による屈折率の違いによって、収差の影響がある。特許文献2には、その問題について言及されておらず、この収差の影響を受けない範囲でしか多波長検出はできないと考えられる。このように収差について考慮されたものではなかった。
そのため、特許文献2の計測システムは、ガス分析に必要な複数のガス成分を検出できないという問題があった。
また、図17で示した従来技術のシステムでは、多数のレーザ光を含む検出光にてガス検出し、受光側で可視光および近赤外光に対してフォトダイオードを使い分ける例が記載されている。しかしながら、波長が800nm〜1700nm付近で低損失特性の石英系光ファイバを用いるものであり、換言すると吸収が800nm以下のガスの検出が困難であり、(O)酸素ガスの検出が容易ではなかった。
さらに、空間光への変換において、コリメートレンズとなるレンズ502a,502bは波長による屈折率の違いによって収差の影響があるにもかかわらず、図17で示した従来技術のシステムでは、その問題について言及されておらず、この収差の影響を受けない範囲でしか多波長検出はできないと考えられる。このように収差について考慮されたものではなかった。
一般に煙道や排ガス測定などで使用されるガス分析計は、排出される複数のガス濃度を同時に計測する必要がある。従来技術では、複数のガス成分について計測するために、単成分計を複数台設置するというものであり、一台で複数のガス成分について計測することは容易ではなかった。この理由は、1つのレーザダイオード素子で可変できる波長範囲が狭く、1成分もしくは特定の2成分を検出する程度しかできないためである。この原因の根本は、レーザダイオード素子の波長可変範囲が狭いことにあるが、光学系においても収差の影響が大きく、装置の校正が困難であるという問題があった。
また、単成分計であるレーザ式ガス分析計を複数台設置するため、設置面積や、設置工事・光軸調整費用など装置台数に比例し増加するため、システムの大型化、コストの増加などの問題があった。
また、石油・科学分野などの本質安全防爆が必要なところには多数のレーザ式ガス分析計を設置できないという問題があった。そこで、一台の分析装置で必要な多数の測定対象ガスの測定を可能にしたいという要請があった。
さらに、先行技術で波長の対応範囲を広く記載しているものもあるが、実際には空間光への変換において、コリメートレンズは、波長・屈折率の違いによる収差を有するものであり、この収差の影響により一の光学系において波長が大幅に異なる多数の検出光を使用することは容易ではなかった。収差の影響を排除して広波長帯域で波長が異なる検出光を使用可能とし、検出対象ガスを増加させたいという要請があった。
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、収差の影響の排除および伝播可能な光周波数の広帯域化を共に実現する光学系を採用することで、可視光および近赤外光に渉って吸光する複数の測定対象ガスに対して、ガス成分を正確に検出する多成分用レーザ式ガス分析計を提供することにある。
本発明の請求項1に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
発光部は、ピグテール型発光素子の出射光を結合するマルチモード型の結合手段と、この結合手段から出射される結合光を伝播するマルチモード型の光ファイバと、この光ファイバから出射された結合光に対して収差の影響を低減しつつ前記空間に検出光として出射する発光用光学系と、を備えるようにした。
また、受光部は、空間を透過した検出光を収差の影響を低減しつつ受光する受光用光学系と、この受光用光学系により出力された集光を等光量で分波するマルチモード型の分波手段と、分波手段により分波された分波光のうちの可視波長域に感度を有する可視光用受光素子と、分波手段により分波された分波光のうちの近赤外波長域に感度を有する近赤外光用受光素子と、を備えるようにした。
したがって、発光用光学系および受光用光学系により収差の影響の排除を実現し、また、マルチモード型の光ファイバ、結合手段、分波手段により光周波数の広帯域化を実現し、ガス成分を正確に検出する多成分レーザ式ガス分析計とした。
また、本発明の請求項2に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
発光部は、ピグテール型発光素子の出射光を結合するマルチモード型の結合手段と、この結合手段から出射される結合光を伝播するマルチモード型の光ファイバと、この光ファイバから出射された結合光に対して収差の影響を低減しつつ前記空間に検出光として出射する発光用光学系と、を備えるようにした。
また、受光部は、空間を透過した検出光を収差の影響を低減しつつ受光する受光用光学系と、可視波長域に感度を有する可視光用受光素子および近赤外波長域に感度を有する近赤外光用受光素子が一体化されており受光用光学系により出力された集光について両者が検出信号を出力する受光素子と、を備えるようにした。
したがって、発光用光学系および受光用光学系により収差の影響の排除を実現し、また、マルチモード型の光ファイバ、結合手段により光周波数の広帯域化を実現し、ガス成分を正確に検出する多成分レーザ式ガス分析計とした。
また、本発明の請求項3に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
レンズと光ファイバの端部との間の距離を調整して結合効率を高くし、可視波長域の検出光や近赤外波長域の検出光に対して収差の影響を低減して検出精度を向上させた多成分レーザ式ガス分析計とした。
また、本発明の請求項4に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
発光側光学系および受光側光学系は、複数のレーザを透過する材料による回折型のレンズを用いて、可視波長域の検出光や近赤外波長域の検出光に対して収差の影響を低減して検出精度を向上させた多成分レーザ式ガス分析計とした。
また、本発明の請求項5に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
発光側光学系および受光側光学系は、複数のレーザを透過する材料により平凸レンズの平面側に回折面を形成したレンズを用いて、可視波長域の検出光や近赤外波長域の検出光に対して収差の影響を低減して検出精度を向上させた多成分レーザ式ガス分析計とした。
また、本発明の請求項6に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
光ファイバは、その端面が斜め研磨端であり、戻り光の入射側への浸入を防止して検出精度を向上させた多成分用レーザ式ガス分析計とした。
また、本発明の請求項7に係る多成分レーザ式ガス分析計は、
ピグテール型発光素子を時分割で発光させて、単成分計と同様に動作させて、誤検出の防止を図るような多成分レーザ式ガス分析計とした。
本発明によれば、半導体レーザを用いた吸収分光法に基づくレーザ式ガス分析計において、従来技術の光ファイバ式ガス分析計と比較してより広帯域の光周波数に適用可能となるため、複数成分を同時に計測可能となり、かつ収差の影響を低減しているので安定性を向上できるという効果がある。
また、本発明によれば、平行光以外の光路では全て光ファイバで構成しているので本質安全防爆になるという効果がある。
総じて、収差の影響の排除および伝播可能な光周波数の広帯域化を共に実現する光学系を採用することで、可視光および近赤外光に渉って吸光する複数の測定対象ガスに対して、ガス成分を正確に検出する多成分用レーザ式ガス分析計を提供することができる。
本発明の実施の形態の多成分用レーザ式ガス分析計の全体構成図である。 発光部および受光部による光学系を説明するブロック図である。 ピグテール型発光素子の内部構成図である。 ドライブ電流及び温度による半導体レーザの発光波長の変化を示す図である。 波長−損失特性を示す特性図である。 離間距離−結合効率特性を示す特性図である。 可視光受光素子についての波長−受光感度特性を示す特性図である。 近赤外光受光素子についての波長−受光感度特性を示す特性図である。 受光部および信号処理部の構成図である。 ガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。 レーザ素子の波長走査駆動信号波形、Oガスの吸収波形、同期検波回路のガス吸収波形を示す図である。 受光信号と同期検波回路の出力信号を示す波形図である。 NHガス、HClガス、HSガス、CHガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。 可視光・近赤外光受光素子の構造図である。 他の形態の受光部による光学系を説明するブロック図である。 回折型収差補正レンズの説明図である。 従来技術の多成分ガス分析計の説明図である。 従来技術の多成分ガス分析計の受光部の説明図である。 従来技術の受光素子の波長−受光感度特性を示す特性図である。
続いて、本発明を実施するための形態に係る多成分用レーザ式ガス分析計について図を参照しつつ以下に説明する。図1は、本形態の多成分用レーザ式ガス分析計の全体構成図である。
本形態の多成分用レーザ式ガス分析計1は、周波数変調方式を採用している。この多成分用レーザ式ガス分析計1は、発光部10と、受光部20と、信号処理部30と、を備えている。
発光部10は、変調光発生部11、コリメートレンズ12を備える。変調光発生部11が測定対象ガスの吸光特性に応じて周波数変調された複数のレーザ光を合成して出射し、コリメートレンズ12で平行光である検出光として出射する。
そして、受光部20は、集光レンズ21、検出部22を備える。受光部20は、この発光部10から出射される検出光40を受光する。集光レンズ21が平行光である検出光40を集光して検出部22が受光し、検出信号を出力する。
信号処理部30は、受光部20から出力された検出信号に基づいて、後述するようなガス分析を行う。
発光部10及び受光部20は、複数の測定対象ガスからなるガスが流通する配管等の壁51a,51bに、溶接等により固定されたフランジ52a,52b及び光軸調整フランジ53a,53bを介して取り付けられる。ここで、光軸調整フランジ53a,53bは、発光部10からの検出光40が受光部30において最大の光量で受光されるように光軸を調整するためのものである。なお、フランジ52a,52bまたは光軸調整フランジ53a,53bの光路内に樹脂やガラス製の透明な窓を設けて複数の測定対象ガスを含むガスからコリメートレンズ12や集光レンズ21が直接ガスに触れないよう保護しても良い。
次に、発光部10、および、受光部30の詳細構成について図2〜図9を参照しつつ詳細に説明する。
発光部10は、測定対象ガスの吸光特性に応じたレーザ光の発光素子を複数設けて、測定対象ガスの個数のレーザ光を照射するようになされており、これらレーザ光に対して周波数を変調した変調光を複数生成し、これら複数の変調光を結合した検出光40を出射するユニットである。
この発光部10のうち変調光生成部11は、図2で示すように、さらに波長走査駆動信号発生回路111、測定対象ガスの種類の数に等しいn個のピグテール型発光素子112a,112b,・・・,112n、n本のピグテール113a,113b,・・・,113n、光結合器114、光ファイバ115を備えている。なお、ピグテール型発光素子1とピグテールとは予め光学的に接続された状態で市販されており、光学的な調整を不要としている。
ピグテール型発光素子112a,112b,・・・,112nは、詳しくは、図3で示すような構成としている。なお、図3ではn個のピグテール型発光素子112a,112b,・・・,112nを図示している。
ピグテール型発光素子112a,112b,・・・,112nは、それぞれ発光素子本体121a,121b,・・・,121nを内蔵している。これら発光素子本体121a,121b,・・・,121nは、測定対象ガス1成分につき1個の発光素子を用いるように構成している。これらは、例えばDFBレーザ(Distributed Feedback Laser)、もしくはVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)といわれるレーザダイオードである。
このレーザダイオードは、発光波長がガスの吸光特性に一致する可視領域や近赤外領域にて発光が可能であり、かつ、電流と温度により、レーザダイオードの発光波長を可変可能である。可視領域として、例えば、酸素を検出するために波長763nmを発光するピグテール型発光素子112aとし、近赤外領域として、例えば、二酸化炭素を検出するために波長2004nm発光するピグテール型発光素子112bとする。
これら発光素子本体121a,121b,・・・,,121nは、ガスの吸収特性に一致する可視領域・近赤外領域の波長にて発光が可能であり、さらに、図4(a)に示したようにドライブ電流により発光波長を可変とすることができる。また、図4(b)に示したように温度によって発光波長を可変とすることができる。このように温度と電流で、レーザの発光波長を可変可能である。なお、レーザダイオード以外でも上記の条件を満たす、つまり測定対象ガスの吸収波長帯域で波長掃引できるものであれば他種の発光素子を用いてもよい。
図3において、発光素子本体121a,121b,・・・,121nの温度は、サーミスタ等の温度検出素子122a,122b,・・・,122nを用いて検出される。これらの温度検出素子122a,122b,・・・,122nは温度制御回路123a,123b,・・・,123nに接続されている。これら、温度制御回路123a,123b,・・・,123nは、発光素子本体121a,121b,・・・,121nの発光波長を安定化させるため、温度検出素子122a,122b,・・・,122nの抵抗値がそれぞれ一定になるようにPID制御等を行ってペルチェ素子124a,124b,・・・,124nの温度制御を行い、発光素子本体121a,121b,・・・,121nの温度を調節する。
また、発光波長を変化させる波長走査駆動信号発生回路111の出力信号と、発光波長を周波数変調させるための高周波変調信号発生回路125a,125b,・・・,125nの出力信号とを、駆動信号発生回路126a,126b,・・・,126nにより合成して駆動信号を生成し、この駆動信号をV−I変換して発光素子本体121a,121b,・・・,121nに供給する。これにより、発光素子本体121a,121b,・・・,121nからは、それぞれ異なる種類の測定対象ガスの吸光特性を走査するための、周波数変調された所定波長のレーザ光が出射される。したがって、ピグテール型発光素子112a,112b,・・・,112nから所定波長のレーザ光が出射される。
なお、複数のピグテール型発光素子を備えたレーザ光源としては、例えば、NTTエレクトロニクス株式会社製のバタフライ型パッケージのレーザ光源を用いることができる。しかしながら、温度調節機能と光ファイバへの接続ができればよく、外形形状はバタフライ型に限定するものではない。
図2に戻るが、ピグテール型発光素子112a,112b,・・・,・・・,112nから出射したレーザ光は、それぞれピグテール(光ファイバ)113a,113b,113c,・・・,113n内を伝播する。ピグテール(光ファイバ)113a,113b,113c,・・・,113nの出力側は光結合器114に接続されている。光結合器114は、光ファイバカプラ、もしくは、光ファイバスイッチなどであり、マルチモード型の装置である(理由は後述する)。ピグテール(光ファイバ)113a,113b,113c,・・・,113nを伝播したこれらレーザ光を、光結合器114は重ね合わせ、結合光として出射する。光結合器114からの結合光は、光ファイバ115へ入力される。この光ファイバ115もマルチモード型のファイバである。
ここで光結合器114および光ファイバ115がマルチモード型を採用している点について説明する。
この光ファイバ115は複数のレーザ光からなり広い帯域に渉る結合光を伝播させる必要がある。一般的にシングルモード光ファイバのコア径は、伝搬する波長によって異なる。波長が長い方がコア径が大きくなる。そのため、波長が長い、例えば2000nmの光でシングルモードとなるような光ファイバを選択すると、例えば700nmの光はマルチモードで伝搬が可能となる。そこで、結合器や全ての光ファイバをマルチモード型とし、複数のレーザ光からなり広い帯域に渉る結合光を、結合器や全ての光ファイバで確実に伝播させるようにする。
本形態では光結合器114としてマルチモード型の光ファイバカプラ、もしくは、光ファイバスイッチを選択し、また、光ファイバ115としてマルチモード型の光ファイバを選択した。マルチモード型の光ファイバカプラやマルチモード光ファイバを適用すれば図5(a),(b)からも明らかなように、波長が500nm〜2500nmのレーザ光については低損失で伝搬可能である。
加えて、他の光ファイバ221,223a,223bも、光ファイバ115と同様にマルチモード型の光ファイバとして、500nm〜2500nmのレーザ光について低損失で伝搬可能とする。
また、分波器222も同様にマルチモード型の光ファイバカプラ、もしくは、光ファイバスイッチとして、500nm〜2500nmのレーザ光について低損失で伝搬可能とする。
話を戻すが、図2で示すように、光結合器114からの結合光は、マルチモード型の光ファイバ115へ入射され、この光ファイバ115の端部から出射した結合光13をコリメートレンズ12により平行な検出光40に変換し、発光部10から出射する。
ここに、光ファイバから空間へ出射するコリメート光学系において、収差の影響を低減する必要がある。図6は石英ガラスの平凸レンズであるコリメートレンズ12の平面側と光ファイバ115の端面の距離Lによる結合効率を計算したものである。
ここに波長により焦点位置にズレが生じるために、図6に示すように、両方の波長で充分な受光光量が得られるように焦点位置を決める。マルチモード型の光ファイバ115とコリメートレンズ12との間の距離Lは、波長が異なるレーザが入射されても検出光の光量が十分に大きくなるように決定される。例えば、可視領域として、例えば、酸素を検出するために波長763nmを発光するピグテール型発光素子112aとし、近赤外領域として、例えば、二酸化炭素を検出するために波長2004nm発光するピグテール型発光素子112bとしたとき、距離Lは図6に示すように12.5mmである。同様に、集光レンズ21と光ファイバ221の端部との距離も上記手法にて決定される。
加えて、コリメートレンズ12や集光レンズ21の素材も二種のレーザ光が伝搬される材料を選ぶ。なお、レンズは今回1枚の例であるが、複数枚用いてもよい。
このような発光側光学系を経て検出光40が出射される。図2に示すように、発光部10から出力された平行光である検出光40は、壁51a,51bの内部区間(複数の測定対象ガスが流通する空間)を伝播し、受光部20により受光される。
受光部20は、検出光を受光し、測定対象ガスの吸光特性により吸収された変調光について調査するユニットである。すなわち、受光部20では、集光レンズ21により集めた集光23を光ファイバ221の端部へ入射させる。光ファイバ221を通過する集光を分波器222が1:1の光量となるように分波する。この分波器222は、分波機能を有しているものであれば良く、具体的には、マルチモード型の光ファイバカプラであったり、または、マルチモード型の光ファイバスイッチを採用することができる。
これら分波光は光ファイバ223a,223bを介してそれぞれ可視光受光素子224a、近赤外光受光素子224bにて分波光が受光される。可視光受光素子224aは、例えば、図7に示すように可視波長域に感度をもつSiフォトダイオードであり、また、近赤外光受光素子224bは、図8に示すように近赤外波長域に感度をもつInGaAsフォトダイオードである。
分波器222により分波された分波光は、全ての波長のレーザ光が含まれているが、可視光受光素子224a、近赤外光受光素子224bは、波長に対して感度をもつ波長領域がそれぞれ決まっているため、それぞれ異なる領域の受光が可能となる。例えば、検出光のうち波長が763nmの光は可視光受光素子224aでのみ検出される。また、検出光のうち波長が2004nmの光は近赤外光受光素子224bでのみ検出される。
これら可視光受光素子224a、近赤外光受光素子224bは、受光量に応じて、電気信号による検出信号に変換して可視光用処理回路225a,近赤外光用処理回路225bに送る。これら可視光用処理回路225a,近赤外光用処理回路225bは、例えば、検出信号に対して増幅やノイズのフィルタリングを行い、この検出信号を信号処理部30に送出する。
図9は、信号処理部30の内部構成図である。可視光用処理回路225a,近赤外光用処理回路225bから出力された検出信号は、I−V変換回路301によって電流信号から電圧信号に変換される。また、参照信号発生回路(発振回路)302a,302b,・・・,302nは、前記高周波変調信号発生回路125a,125b,・・・,125nによる高周波変調信号の2倍周波数の信号を参照信号として出力する。I−V変換回路301により変換された電圧信号と前記参照信号とは同期検波回路303a,303b,・・・,303nに入力され、前記電圧信号から2倍周波数成分の信号が抽出される。これらの信号はフィルタ304a,304b,・・・,304nに入力され、ノイズ除去、増幅等の処理が行われて演算回路305に入力されると共に、この演算回路305において測定対象ガスの濃度が演算されることになる。
次に、上記の構成において、2種類の測定対象ガスの濃度を検出する原理について説明する。n=2であり、例えば、発光素子本体121a,121bのみ設けられている。2種類の測定対象ガスは、説明の具体化のため、酸素および二酸化炭素であるものとして説明する。酸素は、図10で示すように760nm〜768nmで吸光特性を有する。酸素検出するために波長763nmを発光するピグテール型発光素子112aとし、二酸化炭素検出するために波長2004nm発光するピグテール型発光素子112bとする。本発明では500〜2500nmまでの光が光ファイバ、結合器、分波器を伝播されるようにしたため、検出は可能である。
まず、発光部10から出射した検出光40は、測定対象ガスが流通する壁51a,51b内の空間を透過し、吸光されたものとする。これらの検出光は同軸上で受光部30に入射する。
そして、可視光に感度を持つ可視光受光素子(Siフォトダイオード)224aでは、763nmの発光素子本体121aからの光のみを受光し、また、近赤外波長域に感度を持つ近赤外光受光素子(InGaAsフォトダイオード)224bは、2004nmの発光素子本体121bからの光のみを受光する。
図11(a)は、例えば発光素子本体121aの駆動電流波形の一例を示している。
図3の波長走査駆動信号発生回路111において、測定対象ガスの吸光特性を走査する波長走査駆動信号Sは、発光素子本体121aの駆動電流値を直線的に変化させて発光素子本体121aの発光波長を徐々に変化させ、例えば、0.2nm程度の吸光特性を走査する。一方、信号Sは、駆動電流値を発光素子本体121aが安定するスレッショルドカレント以上に保ち、一定波長で発光させるためのものである。更に、信号Sでは、駆動電流値を0mAにしておく。
図11(b)は、図3の高周波変調信号発生回路125aから出力される変調信号の波形図であり、測定対象ガスの吸光特性を検出するための信号Sは、例えば周波数が10kHzの正弦波とし、波長幅を0.02nm程度変調する。
図11(c)は、図2の駆動信号発生回路126aから出力される駆動信号(波長走査駆動信号発生回路111の出力信号と高周波変調信号発生回路125aの出力信号との合成信号)の波形図であり、この駆動信号Sを発光素子本体121aに供給すると、発光素子本体121aからは、測定対象ガスの0.2nm程度の吸光特性を波長幅0.02nm程度で検出可能な変調光が出力される。
他の発光素子本体121bも、上記と同様にして、測定対象ガスの吸光特性に応じて駆動される。
2個の発光素子本体121a,121bの変調波周波数を、例えば10kHz,12.5kHzとすると、変調信号の2倍周波数成分はそれぞれ20kHz,25kHzとなり、参照信号発生回路302a,302bがこれらの周波数の参照信号を出力することで、同期検波回路503a,503bは上記2倍周波数成分に吸光特性を有する測定対象ガス、すなわち、OやCOの吸光特性のみをそれぞれ検出して出力することができる。
測定対象ガス、すなわちOやCOに吸光特性がある場合、同期検波回路303aからは図12に示すような吸光特性が得られる。なお、検出光40の光路上に測定対象ガスが存在しない場合には、同期検波回路503a,503bの出力に図12のような吸光特性は現れない。
この吸光特性はその波形のピーク値がそのままガス濃度を表すため、例えば、図9の演算回路305によって上記ピーク値を測定したり、信号変化を積分したりすればOやCOの濃度を測定することが可能である。他の測定対象ガスの濃度検出動作についても、同様に行えばよい。
また、図13で示すNH,HCl,HS,CHの吸収波長は、1600nm〜2000nmであるが、近赤外光受光素子(InGaAsフォトダイオード)224bが検出可能であるため分析することができる。本発明では500〜2500nmまで伝播されるため検出は可能である
例えば、4個の発光素子本体121c,121d,121e,121fを更に備えるものとし、これら4個の発光素子本体121c,121d,121e,121fの変調波周波数を、例えば15kHz,17.5kHz,20kHz,22.5kHzとすると、変調信号の2倍周波数成分はそれぞれ30kHz,35kHz,40kHz,45kHzとなり、参照信号発生回路302c,302d,302e,302fがこれらの周波数の参照信号を出力することで、同期検波回路303c,303d,303e,303fは上記2倍周波数成分に吸光特性を有する測定対象ガス、すなわちNH,HCl,HS,CHの吸光特性のみをそれぞれ検出して出力する。以下同様にしてこれら測定対象ガスの濃度検出が可能である。
このような装置構成によって、従来技術と同様に、2倍周波数の信号を検出することでガス濃度を計測可能となる。本発明では特に光ファイバとしてマルチモード光ファイバを用いているので、500〜2500nmという広い波長域で計測可能となる。したがって、ピグテール型発光素子を101a,101bだけでなく、さらに複数追加した場合でも、変調周波数を変えるか、レーザの発光をシリーズに発光させることで、受光素子の波長領域が同一の場合も分離して計測可能である。
以上本発明の多成分レーザ式ガス分析計について説明した。この多成分レーザ式ガス分析計では各種の変形形態が可能である。
続いて他の形態について説明する。先の形態のうち、発光部10と信号処理部30とは同じ構成とするが、受光部20のみを変更するものである。先の形態の受光部20は、詳しくは、図2で示したように、分波器222を用いる構成であったが、本形態では、受光部20側は、図14に示すようなSiフォトダイオードとInGaAsフォトダイオードが一体化された可視光・近赤外光受光素子226を用い、図15で示すように分波器222を用いずに、光ファイバ221から直接可視光・近赤外光受光素子226が受光し、可視光用処理回路225a,近赤外光用処理回路225bで、信号処理の上で、信号処理部30へ出力するようにしてもよい。このような構成を採用しても本発明の実施は可能である。
続いて他の形態について説明する。先に説明した二形態の多成分レーザ式ガス分析計において、さらにコリメートレンズ12および集光レンズ21へARコーティングを行うことが好ましい。ARコーティングは、反射防止(ノングレア)処理の一種であり、レンズ表面に例えばフッ化マグネシウムなどを真空蒸着させて透明な薄膜を作り、光の干渉を利用して照明などによる外光を打ち消すというものである。膜の薄さは可視光線の波長の1/4になっている。外光が入射すると、膜の表面で反射する光と、透過して奥で反射する光に分かれるが、両者は1/2波長ずれた逆位相となるため、打ち消しあって反射光が目立たなくなる。特に外乱光が検出光に合成される事態を防止し、正確な光量で検出することが可能となる。
続いて他の形態について説明する。先の三形態では、レンズの平面側と光ファイバの端面の距離を調整することで、収差の影響を低減させていた。本形態では更に、集光レンズ21は図16(a)のような平凸レンズではなく、図16(b)のように平凸レンズの平面側に回折格子を形成した回折型収差補正レンズを採用するというものである。回折格子を適切に形成することで、収差の影響をさらに低減し、集光レンズ21による集光が光ファイバ221の端部である受光ポイントで全ての検出光の焦点として入射され、確実に検出光が光ファイバ221に入力されるようにすることができる。このような回折型収差補正レンズはコリメートレンズ19に適用しても良い。
また、平凸レンズに代えて回折を利用した回折型レンズ、非球面レンズを用いても収差の低減に寄与する。
続いて他の形態について説明する。先の四形態では、光ファイバの端面については限定していなかったが、本形態では光ファイバの端部を斜め研磨端とする。このように構成することで、光ファイバの端部への戻り光があったとしても、戻り光は斜め研磨端での反射により光ファイバ内に戻ることがなく戻り光の影響を除去することが可能になる。
続いて他の形態について説明する。先の五形態では、発光側のマルチモード型の光結合器114は、一つしか出力しないというものであった。光結合器114は、詳しくは2つの入力に対して、2つの出力を持たせることができ、光結合器114の出力側に2本の光ファイバおよびコリメートレンズ12を設けることで2系統のガス分析が可能となる。
続いて他の形態について説明する。先に説明した六形態では、周波数が異なる複数光線を結合した検出光であるものとして説明した。本形態では、それぞれのピグテール型発光素子を、時分割で動作させるものとした。そして検波手段では、受光手段の信号から、高周波変調の基本波成分と2倍波成分を、動作中のピグテール型発光素子と同期しながら検波することとした。例えば、図3の発光素子本体121a,121b,・・・,121nと、図9の参照信号発生回路302a,302b,・・・,302nと、をそれぞれ演算回路305に接続し、ともに一個ずつ動作するように同期させて、検波手段の信号から変調周波数成分を測定する。このように複数のガス成分を時分割で測定するような多成分用レーザ式ガス分析計としても良い。
以上本発明について説明した。本発明のレーザ式ガス分析計によれば、可視光および近赤外光に渉って吸光する複数のガスを含む測定対象ガスに対してガス成分を正確に検出することが可能となる。
本発明の多成分用レーザ式ガス分析計は、ボイラ、ゴミ焼却等の燃焼排ガス測定用として最適である。その他、鉄鋼用ガス分析[高炉、転炉、熱処理炉、焼結(ペレット設備)、コークス炉]、青果貯蔵及び熟成、生化学(微生物)[発酵]、大気汚染[焼却炉、排煙脱硫・脱硝]、自動車排ガス(除テスタ)、防災[爆発性ガス検知、有毒ガス検知、新建築材燃焼ガス分析]、植物育成用、化学用分析[石油精製プラント、石油化学プラント、ガス発生プラント]、環境用[着地濃度、トンネル内濃度、駐車場、ビル管理]、理化学各種実験用などの分析計としても有用である。
10:発光部
11:変調光生成部
111:波長走査駆動信号発生回路
112a,112b,・・・,112n:ピグテール型発光素子
121a,121b,・・・,121n:発光素子本体
122a,122b,・・・,122n:温度検出素子
123a,123b,・・・,123n:温度制御回路
124a,124b,・・・,124n:ペルチェ素子
125a,125b,・・・,125n:高周波変調信号発生回路
126a,126b,・・・,126n:駆動信号発生回路
113a,113b,113c,113d:ピグテール
114:光結合器
115:光ファイバ
12:コリメートレンズ
13:結合光
20:受光部
21:集光レンズ
22:検出部
221:光ファイバ
222:分波器
223a,223b:光ファイバ
224a:可視光受光素子
224b:近赤外光受光素子
225a:可視光用処理回路
225b:近赤外光用処理回路
226:可視光・近赤外光受光素子
23:集光
30:信号処理部
302a,302b,・・・,302n:参照信号発生回路
303a,303b,・・・,303n:同期検波回路
304a,304b,・・・,304n:フィルタ
305:演算回路
40:検出光
51a,51b:壁
52a.52b:フランジ
53a,53b:光軸調整フランジ

Claims (7)

  1. レーザ光による検出光を出射する発光部と、複数の測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された検出光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理部と、を備え、複数種類の測定対象ガスの濃度を測定する周波数変調方式の多成分用レーザ式ガス分析計であって、
    前記発光部は、
    それぞれの測定対象ガス別に設けられる素子であって周波数変調されたレーザ光を出射する複数のピグテール型発光素子と、これらのピグテール型発光素子の出射光を結合するマルチモード型の結合手段と、この結合手段から出射される結合光を伝播するマルチモード型の光ファイバと、この光ファイバから出射された結合光に対して収差の影響を低減しつつ前記空間に検出光として出射する発光用光学系と、を備え、
    前記受光部は、
    前記空間を透過した検出光を収差の影響を低減しつつ受光する受光用光学系と、この受光用光学系から出力された集光を等光量で分波するマルチモード型の分波手段と、分波手段により分波された分波光のうちの可視波長域に感度を有する可視光用受光素子と、分波手段により分波された分波光のうちの近赤外波長域に感度を有する近赤外光用受光素子と、を備え、
    前記ピグテール型発光素子は、
    発光素子本体と、この発光素子本体の温度検出手段と、前記発光素子本体の加熱冷却手段と、前記発光素子本体からの出射波長が所定値になるように前記温度検出手段による検出温度に応じて前記加熱冷却手段を制御する温度制御手段と、前記発光素子本体への供給電流を変化させて測定対象ガスの吸光特性を走査するための波長走査駆動信号を生成する波長走査駆動信号発生手段と、高周波変調信号を生成する高周波変調信号発生手段と、前記波長走査駆動信号を前記高周波変調信号により変調して前記発光素子本体に対する駆動信号を生成する駆動信号発生手段と、をそれぞれ備えると共に、
    前記信号処理部は、各ピグテール型発光素子における高周波変調信号の2倍周波数成分を有する参照信号をそれぞれ生成する参照信号発生手段と、前記可視光用受光素子および近赤外光用受光素子の出力信号から前記2倍周波数成分をそれぞれ検出する同期検波手段と、この同期検波手段の出力信号から複数種類の測定対象ガスの濃度を演算する演算手段と、を備えたことを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
  2. レーザ光による検出光を出射する発光部と、複数の測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された検出光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理部と、を備え、複数種類の測定対象ガスの濃度を測定する周波数変調方式の多成分用レーザ式ガス分析計であって、
    前記発光部は、
    それぞれの測定対象ガス別に設けられる素子であって周波数変調されたレーザ光を出射する複数のピグテール型発光素子と、これらのピグテール型発光素子の出射光を結合するマルチモード型の結合手段と、この結合手段から出射される結合光を伝播するマルチモード型の光ファイバと、この光ファイバから出射された結合光に対して収差の影響を低減しつつ前記空間に検出光として出射する発光用光学系と、を備え、
    前記受光部は、
    前記空間を透過した検出光を収差の影響を低減しつつ受光する受光用光学系と、可視波長域に感度を有する可視光用受光素子および近赤外波長域に感度を有する近赤外光用受光素子が一体化されており受光用光学系から出力された集光について両者が検出信号を出力する受光素子と、を備え、
    前記ピグテール型発光素子は、
    発光素子本体と、この発光素子本体の温度検出手段と、前記発光素子本体の加熱冷却手段と、前記発光素子本体からの出射波長が所定値になるように前記温度検出手段による検出温度に応じて前記加熱冷却手段を制御する温度制御手段と、前記発光素子本体への供給電流を変化させて測定対象ガスの吸光特性を走査するための波長走査駆動信号を生成する波長走査駆動信号発生手段と、高周波変調信号を生成する高周波変調信号発生手段と、前記波長走査駆動信号を前記高周波変調信号により変調して前記発光素子本体に対する駆動信号を生成する駆動信号発生手段と、をそれぞれ備えると共に、
    前記信号処理部は、各ピグテール型発光素子における高周波変調信号の2倍周波数成分を有する参照信号をそれぞれ生成する参照信号発生手段と、前記受光手段の出力信号から前記2倍周波数成分をそれぞれ検出する同期検波手段と、この同期検波手段の出力信号から複数種類の測定対象ガスの濃度を演算する演算手段と、を備えたことを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
  3. 請求項1および請求項2に記載の多成分用レーザ式ガス分析計において、
    前記発光用光学系および前記受光用光学系は、複数のレーザを透過する材料で形成したレンズを用いるものであり、複数の波長に対して、発光側と受光側で所定の結合効率が得られるようにレンズと光ファイバの端部との間の距離を調整して構成したことを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の多成分用レーザ式ガス分析計において、
    前記発光側光学系および前記受光側光学系は、複数のレーザを透過する材料により平凸レンズの平面側に回折面を形成したレンズを用いるものであり、複数の波長に対して収差の影響を低減した光学系とすることを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
  5. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の多成分用レーザ式ガス分析計において、
    前記発光側光学系および前記受光側光学系は、複数のレーザを透過する材料による回折型のレンズを用いるものであり、複数の波長に対して収差の影響を低減した光学系とすることを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の多成分用レーザ式ガス分析計において、
    前記光ファイバは、その端面が斜め研磨端であることを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の多成分用レーザ式ガス分析計において、
    前記複数のピグテール型発光素子は、時分割で順次動作し、
    前記参照信号発生手段は、動作しているピグテール型発光素子と同期しながら高周波変調信号の2倍周波数成分を有する参照信号をそれぞれ生成する、
    ことを特徴とする多成分用レーザ式ガス分析計。
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