JP2012026880A - 物理量センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可動部を第1の開口幅にて適切に画定することができるとともに、スリット部にエッチング残りを生じさせることなく適切に幅細の前記スリット部を形成できる物理量センサ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 第1の開口幅T1のエッチング面により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備え、前記機能層には、前記第1の開口幅T1よりも狭い第2の開口幅T2のエッチング面から成るスリット部52が形成され、前記スリット部52の両側には、前記第1の開口幅T1が連続しており、前記スリット部52の少なくとも一箇所に、前記第2の開口幅T2よりも開口幅T3が大きい幅広部53が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】 第1の開口幅T1のエッチング面により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備え、前記機能層には、前記第1の開口幅T1よりも狭い第2の開口幅T2のエッチング面から成るスリット部52が形成され、前記スリット部52の両側には、前記第1の開口幅T1が連続しており、前記スリット部52の少なくとも一箇所に、前記第2の開口幅T2よりも開口幅T3が大きい幅広部53が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、機能層からエッチングにより切り出して形成された可動部の変位量を検知し、これにより、外部から作用する加速度などの物理量の測定を可能とした物理量センサ及びその製造方法に関する。
例えば、物理量センサは、シリコン基板をエッチング処理して、所定方向に変位可能に支持された可動部(錘部)を備える。下記の特許文献1には、エッチング処理の際に生じるマイクロローディング効果による不具合について記載されている。すなわち、エッチングの際に、開口幅の広いパターン部と、開口幅の狭いパターン部との間にエッチングレート差が生じ、開口幅の広いパターンのほうが速く深さ方向にエッチングされる。
このため特許文献1では、エッチングする領域の開口幅が等しくなるように調整している。
しかしながら、センサの特性向上等のために、開口幅の一部を狭くしなければならない場合がある。例えば、特許文献2のように、幅の狭い開口部(特許文献2では、スリット部と記載されている)と、幅の広い開口部(特許文献2では、切欠部と記載されている)とが存在する構成では、上記したマイクロローディング効果による不具合が生じてしまう。すなわち特許文献2では、幅の広い開口部に合わせてエッチングを行えば、幅の狭い開口部の部分にエッチング残りが生じて不良品となり、また、幅の狭い開口部に合わせてエッチングを行えば、幅の広い開口部が余計に削られて、可動部の形状異常や形状ばらつきが生じて、安定した検出特性を得ることができない問題がある。
特許文献3は加速度センサに関する発明であり、筐体からの反作用を緩和する目的で振動板にスリット(特許文献3の符号2g)を設けていることが開示されている。しかし特許文献3では基板をエッチングしてスリットを形成しているわけでない。しかも特許文献3に示されたスリットの形状を基板にエッチングしようとすると、従来と同様にエッチング残りが生じやすい。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、可動部を第1の開口幅にて適切に画定することができるとともに、スリット部にエッチング残りを生じさせることなく適切に幅細の前記スリット部を形成できる物理量センサ及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明における物理量センサは、
第1の開口幅のエッチング面により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備え、
前記機能層には、前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅のエッチング面から成るスリット部が形成され、前記スリット部の両側には、前記第1の開口幅が連続しており、
前記スリット部の少なくとも一箇所に、前記第2の開口幅よりも開口幅が大きい幅広部が形成されていることを特徴とするものである。
第1の開口幅のエッチング面により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備え、
前記機能層には、前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅のエッチング面から成るスリット部が形成され、前記スリット部の両側には、前記第1の開口幅が連続しており、
前記スリット部の少なくとも一箇所に、前記第2の開口幅よりも開口幅が大きい幅広部が形成されていることを特徴とするものである。
これにより、可動部を画定するための第1の開口幅と、スリット部を形成するための前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅とが混在する構成であっても、スリット部にエッチング残りや可動部の形状異常、形状のばらつき等が生じる不具合を抑制できる。よって、可動部を画定するための第1の開口幅よりも細いスリット部を有する構成において、センサを正常に動作させることができ、且つ安定した特性を有する物理量センサにできる。
本発明では、前記スリット部は、前記可動部の検出変位方向以外の方向への可動範囲を規制するための規制部であることが好ましい。規制部(スリット部)に部分的に幅広部を形成しており、幅広部を除いた部分では第2の開口幅を保つため規制部として適切に機能させることが可能である。
本発明では、前記幅広部は前記スリット部の中央に形成されることが好ましい。
本発明では、前記幅広部は前記スリット部の中央に形成されることが好ましい。
また本発明では、前記スリット部は、前記可動部を変位可能に支持し前記機能層に設けられた固定部と前記可動部との間を画定する前記第1の開口幅に連続して形成されていることが好ましい。このとき、前記幅広部は、前記固定部側に向けて形成されていることが好ましい。これにより、スリット部に幅広部を形成した影響を、可動部側に及ばないようにできる。
また本発明では、前記スリット部は、第1の可動部と第2の可動部とに画定する前記第1の開口幅に連続して形成されている形態でもよい。例えば、前記第1の可動部は、高さ方向へ変位する錘部で、前記第2の可動部は、前記錘部に回動自在に連結された回動支持部である。このとき、前記幅広部は、前記第2の可動部側に向けて形成されていることが好ましい。これにより、スリット部に幅広部を形成した影響を、錘部側に及ばないようにでき、錘部の質量変化等を抑制でき、安定した特性を得ることができる。
また本発明は、第1の開口幅により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備えて成る物理量センサの製造方法であって、
前記機能層を前記第1の開口幅によりエッチングして前記可動部を画定するとき、前記第1の開口幅にてエッチングするエッチング領域の一部を、前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅からなり、両側に前記第1の開口部が連続するスリット部としてエッチングし、この際、前記スリット部の少なくとも一箇所を、前記第2の開口幅よりも開口幅が大きい幅広部としてエッチングすることを特徴とするものである。
前記機能層を前記第1の開口幅によりエッチングして前記可動部を画定するとき、前記第1の開口幅にてエッチングするエッチング領域の一部を、前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅からなり、両側に前記第1の開口部が連続するスリット部としてエッチングし、この際、前記スリット部の少なくとも一箇所を、前記第2の開口幅よりも開口幅が大きい幅広部としてエッチングすることを特徴とするものである。
これにより、スリット部全体のエッチングレートの低下を適切に抑制できる。よって可動部を画定するための第1の開口幅と、スリット部を形成するための前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅とが混在する構成であっても、前記可動部を第1の開口幅にて適切に画定することができるとともに、前記スリット部にエッチング残りが生じる不具合を効果的に抑制することができる。このように本発明によれば、エッチング工程により前記可動部の形状異常や形状ばらつき等を引き起こすことなく、幅細のスリット部を、適切にエッチングにて形成することができる。
また本発明では、前記幅広部を前記スリット部の中央に形成することが好ましい。これにより、スリット部の中央部及び両側に幅の広い開口部分が存在することで、スリット部でのエッチングレートの低下をスリット部全体で適切に抑制でき、且つスリット部の中央から両側にかけてほぼ均一で且つ差の小さいエッチングレートとなるように調整することが出来る。
本発明の物理量センサによれば、可動部を画定するための第1の開口幅と、スリット部を形成するための前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅とが混在する構成であっても、スリット部にエッチング残りや可動部の形状異常、形状のばらつき等が生じる不具合を抑制できる。よって、可動部を画定するための第1の開口幅よりも細いスリット部を有する構成において、センサを正常に動作させることができ、且つ安定した特性を有する物理量センサにできる。
また本発明の物理量センサの製造方法によれば、スリット部全体のエッチングレートの低下を適切に抑制できる。よって可動部を画定するための第1の開口幅と、スリット部を形成するための前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅とが混在する構成であっても、前記可動部を第1の開口幅にて適切に画定することができるとともに、前記スリット部にエッチング残りが生じる不具合を効果的に抑制することができる。このように本発明によれば、エッチング工程により前記可動部の形状異常や形状ばらつき等を引き起こすことなく、幅細のスリット部を、適切にエッチングにて形成することができる。
各図に示す物理量センサに関しては、Y方向が左右方向であり、Y1方向が左方向でY2方向が右方向、X方向が前後方向であり、X1方向が前方でX2方向が後方である。また、Y方向とX方向の双方に直交する方向が上下方向(Z方向;高さ方向)である。
図1に示す物理量センサ1は、例えば、長方形の平板であるシリコン基板(機能層)を有して形成されている。すなわち、シリコン基板に、各部材の形状に対応する平面形状のレジスト層を形成し、レジスト層が存在していない部分で、シリコン基板をディープRIE(ディープ・リアクティブ・イオン・エッチング)のエッチング工程で切断することで、各部材を分離している。したがって、物理量センサ1を構成する各部材は、シリコン基板の表面と裏面の厚みの範囲内で構成されている。図7に示すように、物理量センサ1が無重力下で静止状態のときに、表面全体と裏面全体が夫々、同一面上に位置しており、表面及び裏面から突出する部分がない。なお、物理量センサ1は通常の使用状態のときは地上にあるため、地球の重力の影響で静止状態であっても若干変位をしている。
物理量センサ1は微小であり、例えば長方形の長辺1a,1bの長さ寸法は1mm以下であり、短辺1c,1dの長さ寸法は0.8mm以下である。さらに、厚み寸法は0.1mm以下である。
図1や図7に示すように、物理量センサ1は、長方形の長辺1a,1bおよび短辺1c,1dで囲まれた外枠部分が可動部2である。長辺1a,1bの延びる方向が前後方向であり、短辺1c,1dの延びる方向が左右方向である。
図1や図7に示すように、可動部2は、高さ方向(Z)に平行に変位する錘部(第1の可動部)2aと、錘部2aの内側に設けられた回動支持部(第2の可動部)3,4,14,15とを有して構成される。図1,図2に示すように回動支持部3,4の平面形状はクランク状で形成されている。
図1に示すように第1の回動支持部3は、前方(X1)に延びる連結腕3aと、後方(X2)に延びる脚部3bとが一体に形成されている。また図1に示すように第2の回動支持部4は、後方(X2)に延びる連結腕4aと、前方(X1)に延びる脚部4bとが一体に形成されている。
連結腕3a,4a及び脚部3b,4bは各アンカ部(固定部)5〜7から離れる方向であって、前後方向(X1−X2方向)に平行に所定の幅寸法にて延出する形状で形成されている。
図1に示すように、可動部2の内側には、中央アンカ部5、左側アンカ部6及び右側アンカ部7が設けられている。各アンカ部5〜7は、左右方向(Y)に所定の間隔を空けて設けられる。中央アンカ部5、左側アンカ部6及び右側アンカ部7の前後方向(X)の幅寸法は略同一である。
各アンカ部5〜7は図6(図6は図1に示すC−C線に沿って切断し矢印方向から見た部分縦断面図である。ただし図6にはアンカ部5のみが図示されている)に示すように、支持基板10に酸化絶縁層(SiO2層)25を介して固定支持される。支持基板10は例えばシリコン基板である。酸化絶縁層25は、可動部2と対向する位置には設けられていない。支持基板10、酸化絶縁層25、及び図1に示す可動部2及びアンカ部5〜7等を構成するシリコン基板(機能層)は、例えばSOI基板である。
図1に示すように、第1の回動支持部3の連結腕3aの先端部と錘部2aとが連結部11aにおいて回動自在に連結されており、第2の回動支持部4の連結腕4aの先端部と錘部2aとが連結部11bにおいて回動自在に連結されている。
また図1に示すように、第1の回動支持部3の連結腕3aは、左側アンカ部6と支点連結部12b、及び、中央アンカ部5と支持連結部12aにおいて回動自在に連結されている。また図1に示すように、第2の回動支持部4の第1連結腕4aは、右側アンカ部7と支点連結部13b、及び、中央アンカ部5と支持連結部13aにおいて回動自在に連結されている。
また図1に示す実施形態では、左側アンカ部6の後方(X2)に、錘部2a及び左側アンカ部6と分離して形成された第3の回動支持部14が設けられ、右側アンカ部7の前方(X1)に、錘部2a及び右側アンカ部7と分離して形成された第4の回動支持部15が設けられている。
図1に示すように第3の回動支持部14の先端部と錘部2aとは、連結部16aにおいて、回動自在に連結されている。また、第4の回動支持部15の先端部と錘部2aとは、連結部16bにおいて、回動自在に連結されている。また図1に示すように、第3の回動支持部14と左側アンカ部6とは、支点連結部17aにおいて、回動自在に連結されている。また第4の回動支持部15と右側アンカ部7とは、支点連結部17bにおいて、回動自在に連結されている。
図1に示すように、第1の回動支持部3の連結腕3aと第3の回動支持部14との間が連結部18aを介して連結されている。また図1に示すように、第2の回動支持部4の連結腕4aと第4の回動支持部15との間が連結部18bを介して連結されている。
各連結部部11a,11b,16a,16b及び各支点連結部12a,13a,13b,17bは、シリコン基板をエッチングにて幅細に切り出すことで、ばね性を有するトーションバー(ばね部)で構成される。
図6に示すように、物理量センサ1には、錘部2aと高さ方向にて離れた一方に支持基板10と他方に配線基板30が設けられる。図6に示すように配線基板30の表面には、固定電極30aが設けられている。配線基板30はシリコン基板の表面に絶縁層30bが形成された構成であり、固定電極30aは、前記絶縁層上に導電性金属材料をスパッタしまたはメッキすることで形成されている。
また図6に示すように、各アンカ部5〜7と配線基板30間は金属の接合層50により接合されている。接合層50は例えばAl−Geの共晶接合層である。接合層50から配線基板30の絶縁層30bの内部に配線層51が形成され、前記配線層51は外部に引き出される。
この物理量センサ1は、無重力の状態で外部から力(加速度等)が作用していないときに、それぞれの支点連結部および連結部に設けられたトーションバー(ばね部)の弾性復元力により、図7に示すように、全ての部分の表面が同一平面となった状態を維持している。但し、地上で物理量センサ1を実際に使用する際は、実際は地球の重力の影響で、外部から重力以外の力(加速度)が作用していなくても錘部2aは若干変位をしている。
物理量センサ1に外部から例えば加速度が与えられると、加速度は、錘部2a及び各アンカ部5〜7に作用する。このとき、錘部2aは慣性力によって絶対空間内で留まろうとし、その結果、各アンカ部5〜7に対して錘部2aが加速度の作用方向と逆の方向へ相対的に移動する。そして図8に示すように、錘部2aは慣性力により図7の静止状態の位置から高さ方向へ向けて変位すべく、第1の回動支持部3が支点連結部12a、12bを中心に高さ方向に回動し、第2の回動支持部4が支点連結部13a,13bを中心として高さ方向に回動し、第3の回動支持部14が支点連結部17aを中心として高さ方向に回動し、第4の回動支持部15が支点連結部17bを中心として高さ方向に回動する。この回動動作時、各連結部11a,11b,16a,16b,18a,18b及び支点連結部12a,12b,13a,13b、17a,17bに設けられたトーションバーは捩れ変形する。
本実施形態の錘部2aの支持機構により錘部2aを高さ方向(Z)に効果的に平行移動させることが出来る。
また本実施形態では、物理量変化により、脚部3b,4bが、錘部2aの変位方向とは逆方向に飛び出す構造となっている。この脚部3b,4bは、錘部2aが図6に示す支持基板10の表面10aに当接するよりも先に、脚部3b,4bの先端部が配線基板30の表面(ストッパ面)30aに当接し、錘部2aの高さ方向への変位を抑制する。
このように図1の実施形態では、錘部2aの変位方向とは逆方向に変位する脚部3b,4bを設け、可動部2の高さ方向(Z)への変位を抑制するストッパ機構を設けている。
本実施形態では図2に示すように、錘部2aと各回動支持部3,4,14,15の間、及び各回動支持部3,4,14,15と各アンカ部5,6,7の間が、第1の開口幅T1(一箇所のみ表記)からなる画定部56に画定されている。画定部56の両側面は、エッチング面である。
また図2に示すように、第1の開口幅T1の画定部56に連続して、第1の開口幅T1よりも狭い第2の開口幅T2(一箇所のみ表記)のエッチング面からなる複数のスリット部52が形成されている。図2に示す各スリット部52は、画定部56としてのエッチング領域のライン上に形成されており、各スリット部52の長さ方向(Y1−Y2方向)の両側に前記画定部56が連続している。
各スリット部52は、錘部2aの検出変位方向(図1の実施形態では高さ方向(Z))以外の方向への可動範囲を規制するための規制部として機能する。すなわち各スリット部52は、錘部2aが平面(X1−X2方向及びY1−Y2方向から成る平面)の方向に可動するのを極力、抑えるために設けられている。
図2では、各スリット部52は左右方向(Y1−Y2)に直線状に延びる第1の開口幅T1の一部分をT2に細くして形成されている。よって左右方向(Y1−Y2)に延びる各スリット部52により、錘部2aの前後方向(X1−X2)への可動範囲を小さくすることができる。なお、錘部2aの左右方向(Y1−Y2)への可動範囲は、各連結部11a,11b,16a,16b,18a,18b及び支点連結部12a,12b,13a,13b、17a,17bに設けられたトーションバー(図2の太く図示された部分がトーションバーである)の形状により、もともと小さいため(左右方向に動きにくいため)、この実施形態では、左右方向(Y1−Y2)に対する可動範囲を規制するための規制部を形成していない。ただし、左右方向(Y1−Y2)に対する可動範囲を規制するための規制部を設けてもよい。
図2に示すように、各スリット部52には一部に、第2の開口幅T2よりも開口幅が大きい幅広部53が形成されている。
図3(a)は、スリット部(規制部)52の拡大平面図、図3(b)は、スリット部52を図3(a)に示すA−A線に沿って切断した切断面を示す部分縦断面図であり、スリット部におけるエッチングレートを説明するための説明図である。
図3(a)に示すように、第2の開口幅T2のエッチング面からなるスリット部52の長さ方向(Y1−Y2)の中央部に最大開口幅T3のエッチング面からなる幅広部53が形成されている。幅広部53の最大開口幅T3は小さすぎても、スリット部52にエッチング残りが生じやすくなり、また最大開口幅T3は大きすぎても、アンカ部5〜7や可動部2の面積が減少して、特性変化や、アンカ部5〜7を介した各シリコン基板間の接合強度が低下する等の問題が生じやすくなる。よって、幅広部53の最大開口幅T3は、第1の開口幅T1/2〜第1の開口幅T1程度とすることが好適である。また図3(a)に示すように、スリット部52は、第1の開口幅T1の幅中心からY1−Y2方向に沿って延出しており、幅広部53の突き出し先端53aをちょうど、第1の開口幅T1の片側の開口側面(エッチング面)54とY1−Y2方向にて一致させることで、幅広部53を第1の開口幅T1よりも外側に突き出させることなく、それでいて、適度に大きい開口幅T3にて幅広部53を形成でき好適である。
なお、第1の開口幅T1は、2〜4μm、第2の開口幅T2は、0.5〜1.5μm程度であり、第2の開口幅T2は、第1の開口幅T1の1/2〜1/4程度の大きさである。
また、スリット部52の長さ寸法(Y1−Y2方向)L1は、10〜15μm程度であり、幅広部53の長さ寸法L2は、3〜5μm程度であり、幅広部53の長さ寸法L2は、スリット部52の長さ寸法L1に対して、1/3〜1/4程度の大きさである。
また、幅広部53は各スリット部52に対して図2,図3(a)に示すように一箇所であってもよいし、図5に示すように複数箇所に設けてもよい。幅広部53の個数や大きさに関しては、スリット部52の第2の開口幅T2及び長さ寸法L1から計算したアスペクト比等に基づいて規定することが可能である。ちなみに、スリット部52のアスペクト比(長さ寸法L1/第2の開口幅T2)は、10〜20程度であり、アスペクト比が大きくなればそれだけ、幅広部53の個数を増やしたり幅広部53の大きさを大きくする等の調整を行う。また、幅広部53は、スリット部52の長さ寸法L1に対して均等割りした位置に設けることが望ましい。よって図2,図3(a)に示すように、各スリット部52に一箇所だけ幅広部53を設ける場合には、各スリット部52の長さ寸法L1の中央部に設けることが好ましい。
また幅広部53の開口面(エッチング面)53bの形状は図3では凸曲面状であるが、図5のように、矩形状に形成することも可能である。ただし凸曲面状としたほうが、スリット部55の長さ方向へのエッチングレート分布をなだらかにできる。
図4(a)には、比較例におけるスリット部55が図示されている。図4(a)に示すようにスリット部55は、画定部56を構成する第1の開口幅T1よりも狭い第2の開口幅T2で形成されるが、図3(a)と異なって、第2の開口幅T2よりも広い開口幅T3の幅広部53は設けられていない。
図4(b)は、図4(a)のB−B線より切断した部分縦断面図であり、エッチング工程の途中状態を示している。第1の開口幅T1からなる画定部56及び第2の開口幅T2からなるスリット部55をエッチングしていくと、開口幅の広い画定部56でのエッチングレートはスリット部55よりも速く、既に図4(b)に示すシリコン基板(機能層)57の深さ位置D1までエッチングが進んでいる。一方、開口幅の狭いスリット部55は、画定部56よりもエッチングレートが遅く、特にスリット部55の長さ方向(Y1−Y2)の中心に向うほど、エッチングレートが遅くなる。このため、スリット部55の中央では、シリコン基板(機能層)57の深さ位置D2(深さ位置D1から最も遠い位置)までしかエッチングが進行していない。比較例では、画定部56とスリット部55との間でのエッチングレート差が大きいために、画定部56が第1の開口幅T1でエッチングし終わった状態でも、依然としてスリット部55の下方位置にはエッチング残りが生じた状態となる。スリット部55は第1の開口幅T1で形成された画定部56に連続してスリット部55自体も画定部56の一部を構成しているから、スリット部55にエッチング残りが生じると、適切に可動部2を切り出すことができず、不良品となる。あるいは、スリット部55にエッチング残りが生じないエッチング条件で行うと、画定部56がより長くエッチング工程に曝されて余計に削られる等、可動部2の形状異常や形状ばらつきを生じさせる原因となる。
これに対して本実施形態のようにスリット部(規制部)52の一部に、第2の開口幅T2よりも広い開口幅T3を有する幅広部53を設けることで、スリット部52全体のエッチングレートの低下を適切に抑制することができ、図3(b)に示すように、開口幅の広い画定部56でのエッチングによる深さ位置D1と、開口幅の狭いスリット部52でのエッチングによる深さ位置D3(深さ位置D1から見て最も遠い位置)との差を図4に示す比較例に比べて小さくすることができる。
本実施形態では、スリット部52の長さ方向(Y1−Y2)の両側に第1の開口幅T1からなる画定部56が連続して形成されている。よってスリット部52の両側付近52a,52aでのエッチングレートは、第1の開口幅T1による速いエッチングレートにつられて比較的速くなる。更に本実施形態では、スリット部52に少なくとも一箇所、第2の開口幅T2よりも開口幅T3が広い幅広部53を形成したことで、幅広部53の速いエッチングレートにつられてその両側に位置する幅の狭い第2の開口幅T2からなる部分のエッチングレートが速まり、スリット部52全体としてのエッチングレートを図4に示す比較例に比べて速くできるのである。
図3(a)に示すように、幅広部53をスリット部52の中央に形成すれば、スリット部52の中央部及びその両側に幅の広い開口部分が存在することで、スリット部52でのエッチングレートの低下をスリット部52全体で適切に抑制でき、且つスリット部52の中央から両側にかけてほぼ均一で且つ差の小さいエッチングレートとなるように調整することが出来る。
以上により本実施形態では、可動部2を画定するための第1の開口幅T1よりも細いスリット部52を有する構成において、スリット部52にエッチング残りや可動部2の形状異常、形状ばらつき等が生じる不具合を抑制でき、センサを正常に動作させることができ、且つ安定した特性を有する物理量センサ1にできる。
本実施形態におけるスリット部52は、可動部2の一部を構成する錘部2aが、検出変位方向(高さ方向)以外の方向に可動するのを抑制する規制部として設けられるが、本実施形態では、スリット部52に部分的に幅広部53を形成しており、幅広部53を除いた部分では第2の開口幅T2を保っている。よってスリット部52に幅広部53を設けても、規制部として適切に機能させることが出来る。
図1,図2に示すように、いくつかのスリット部52は、アンカ部5〜7と、可動部2の一部を構成する各回動支持部3,4,14,15との間を画定する第1の開口幅T1に連続して形成されている(図1に示す点線の円S1〜S6の位置に形成される)。このとき、各スリット部52に形成される幅広部53は、アンカ部5〜7側に向けて形成されていることが好適である。アンカ部5〜7は、図6に示すように支持基板10との間で酸化絶縁層25を介して固定支持される部分である。よって、幅広部53をアンカ部5〜7側に向けて形成することで、アンカ部5〜7の面積が多少小さくなり、よって、各アンカ部5〜7と支持基板10間に位置する酸化絶縁層25の面積も小さくなるが、このとき、各アンカ部5〜7を支持基板10に安定して固定できる面積を保つことができれば特に問題はない。
また図1,図2に示すように、残りのスリット部52は、錘部2a(第1の可動部)と各回動支持部3,4(第2の可動部)とに画定する第1の開口幅T1に連続して形成されている(図1に示す点線の円S7〜S10の位置に形成される)。このとき、各スリット部52に形成される幅広部53は、各回動支持部3,4側に向けて形成されていることが好適である。これにより、スリット部52に幅広部53を形成した影響を、錘部2a側に及ばないようにでき、錘部2aの質量変化等を抑制でき、安定した特性を得ることができる。
図1〜図3に示すスリット部52は、他の実施形態にも適用できる。
図9は、図1とは別の実施形態における物理量センサ60の平面図を示す。
図9は、図1とは別の実施形態における物理量センサ60の平面図を示す。
図9の物理量センサ60では、シリコン基板(機能層)60aにディープRIEにより、アンカ部61,62と、複数の回動支持部(第2の可動部)63〜66と、錘部(第1の可動部)67とが分離して形成されている。図9に示すように、各アンカ部61,62と、各回動支持部63〜66との間、及び各回動支持部63〜66と錘部67との間が、ばね部68a〜68hを介して回動自在に連結されている。
この実施形態でも図1と同様に錘部67は高さ方向に変位する。ただし図2の実施形態では図1と異なって脚部3b,4bが形成されていない。
図9に示す点線の丸S11〜S14で囲んだ位置に図2に示す幅広部53を備えたスリット部52が、第1の開口幅T1からなる画定部56に連続して形成されている。
上記の図1や図9に示す物理量センサは、いずれも錘部が高さ方向に変位する構成であったが、錘部(可動部)が平面の方向に変位し、その変位量を検出する物理量センサにおいても本実施形態を適用することが出来る。
図10は図1、図9とは別の実施形態における物理量センサ70の平面図を示す。
図10では物理量センサ70を構成するシリコン基板(機能層)71に、ディープRIEにより、アンカ部(固定部の一部を構成する)72,73と、アンカ部72,73から一体に延びる支持腕部(固定部の一部を構成する)74,75と、錘部76とが分離して形成される。錘部76には一体に櫛歯状の可動電極76a(一本の可動電極にのみ符号を付した)が形成されている。錘部76と、支持腕部74,75の間がばね部77〜80により連結されている。
図10では物理量センサ70を構成するシリコン基板(機能層)71に、ディープRIEにより、アンカ部(固定部の一部を構成する)72,73と、アンカ部72,73から一体に延びる支持腕部(固定部の一部を構成する)74,75と、錘部76とが分離して形成される。錘部76には一体に櫛歯状の可動電極76a(一本の可動電極にのみ符号を付した)が形成されている。錘部76と、支持腕部74,75の間がばね部77〜80により連結されている。
更に、図10に示すように、シリコン基板(機能層)71に、ディープRIEにより、アンカ部81,82と、各アンカ部81,82に一体に形成され、可動電極76aと交互に配置される櫛歯状の固定電極83(一本の固定電極にのみ符号を付した)が、前記錘部76と分離して形成されている。
この実施形態では、Y1方向またはY2方向の加速度を検知する加速度センサとして使用することができる。そして、図10に示すように、錘部76が、検出変位方向(Y1−Y2)以外の方向に可動するのを抑制するために、Y1−Y2方向に沿う第1の開口幅T1からなる画定部84に連続して、第1の開口幅T1よりも狭い第2の開口幅T2(図3(a)参照)からなるスリット部85が形成されている。スリット部85には少なくとも一箇所に第2の開口幅T2よりも広い開口幅から成る幅広部86が形成されている。
本実施形態における幅広部を有するスリット部は、可動部(錘部)の検出変位方向以外の方向への可動を規制するための規制部として設けられることが好ましいが、規制部以外にスリット部が形成される場合にでも適用できる。
本実施形態は加速度センサのみならず角速度センサ、衝撃センサ等、物理量センサ全般に適用可能である。
T1 第1の開口幅
T2 第2の開口幅
T3 幅広部の開口幅
1、60 物理量センサ
2 可動部
2a、67,76 錘部
3、4、14、15、63〜66 回動支持部
5、6、7,61、62、72、73,81、82 アンカ部
10 支持基板
25 酸化絶縁層
30 配線基板
52、85 スリット部
53 幅広部
56、84 画定部
57、60a、71 シリコン基板(機能層)
T2 第2の開口幅
T3 幅広部の開口幅
1、60 物理量センサ
2 可動部
2a、67,76 錘部
3、4、14、15、63〜66 回動支持部
5、6、7,61、62、72、73,81、82 アンカ部
10 支持基板
25 酸化絶縁層
30 配線基板
52、85 スリット部
53 幅広部
56、84 画定部
57、60a、71 シリコン基板(機能層)
Claims (10)
- 第1の開口幅のエッチング面により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備え、
前記機能層には、前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅のエッチング面から成るスリット部が形成され、前記スリット部の両側には、前記第1の開口幅が連続しており、
前記スリット部の少なくとも一箇所に、前記第2の開口幅よりも開口幅が大きい幅広部が形成されていることを特徴とする物理量センサ。 - 前記スリット部は、前記可動部の検出変位方向以外の方向への可動範囲を規制するための規制部である請求項1記載の物理量センサ。
- 前記幅広部は前記スリット部の中央に形成される請求項1または2に記載の物理量センサ。
- 前記スリット部は、前記可動部を変位可能に支持し前記機能層に設けられた固定部と前記可動部との間を画定する前記第1の開口幅に連続して形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物理量センサ。
- 前記幅広部は、前記固定部側に向けて形成されている請求項4記載の物理量センサ。
- 前記スリット部は、第1の可動部と第2の可動部とに画定する前記第1の開口幅に連続して形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の物理量センサ。
- 前記第1の可動部は、高さ方向へ変位する錘部で、前記第2の可動部は、前記錘部に回動自在に連結された回動支持部である請求項6記載の物理量センサ。
- 前記幅広部は、前記第2の可動部側に向けて形成されている請求項7記載の物理量センサ。
- 第1の開口幅により画定された可動部を有する機能層と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを備えて成る物理量センサの製造方法であって、
前記機能層を前記第1の開口幅によりエッチングして前記可動部を画定するとき、前記第1の開口幅にてエッチングするエッチング領域の一部を、前記第1の開口幅よりも狭い第2の開口幅からなり、両側に前記第1の開口部が連続するスリット部としてエッチングし、この際、前記スリット部の少なくとも一箇所を、前記第2の開口幅よりも開口幅が大きい幅広部としてエッチングすることを特徴とする物理量センサの製造方法。 - 前記幅広部を前記スリット部の中央に形成する請求項9記載の物理量センサの製造方法。
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JP2010166116A JP2012026880A (ja) | 2010-07-23 | 2010-07-23 | 物理量センサ及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021062427A (ja) * | 2019-10-10 | 2021-04-22 | 株式会社鷺宮製作所 | Mems素子および振動発電デバイス |
-
2010
- 2010-07-23 JP JP2010166116A patent/JP2012026880A/ja not_active Withdrawn
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